特許第6707621号(P6707621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6707621情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6707621
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/278 20060101AFI20200601BHJP
   G06F 16/435 20190101ALI20200601BHJP
   G06F 16/48 20190101ALI20200601BHJP
   G06F 16/487 20190101ALI20200601BHJP
   G06F 16/907 20190101ALI20200601BHJP
【FI】
   H04N5/278
   G06F16/435
   G06F16/48
   G06F16/487
   G06F16/907
【請求項の数】8
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-247078(P2018-247078)
(22)【出願日】2018年12月28日
【審査請求日】2020年1月7日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】308010675
【氏名又は名称】株式会社ラムダシステムズ
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】特許業務法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】宇波 暢二
【審査官】 西谷 憲人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−109566(JP,A)
【文献】 特開2013−232813(JP,A)
【文献】 特開2007−104405(JP,A)
【文献】 特開平10−21029(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/278
G06F 16/435
G06F 16/48
G06F 16/487
G06F 16/907
G06F 16/332
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テロップの表示態様を定めるテンプレートを記憶する記憶部と、
テロップに表示する素材データを取得する素材データ取得部と、
前記素材データ取得部において取得された素材データの内容に基づき前記記憶部に記憶されたテンプレートを選択する選択部と、
前記素材データ取得部において取得された素材データに対して前記選択部において選択されたテンプレートを適用してテロップデータを制作する制作部と、
前記制作部において制作されたテロップデータを含む提供データを提供する提供部とを備え、
前記選択部は、
素材データを提供する提供者情報とテンプレートとを対応させるための対応情報を取得し、
前記素材データ取得部において取得された素材データに提供者情報が含まれている場合、取得された提供者情報と取得した対応情報とに基づき、素材データの提供者情報に対応したテンプレートを選択する、情報処理装置。
【請求項2】
前記選択部は、
文字データの特徴を示す特徴量とテンプレートとを対応させるための対応情報を取得し、
前記素材データ取得部において取得された素材データに文字データが含まれている場合、取得された文字データの特徴量を算出し、
さらに、算出した文字データの特徴量と取得した対応情報とに基づき、文字データに対応したテンプレートを選択する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記選択部は、
音声データの特徴を示す特徴量とテンプレートとを対応させるための対応情報を取得し、
前記素材データ取得部において取得された素材データに音声データが含まれている場合、取得された音声データの特徴量を算出し、
さらに、算出した音声データの特徴量と取得した対応情報とに基づき、音声データに対応したテンプレートを選択する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記選択部は、
画像データの特徴を示す特徴量とテンプレートとを対応させるための対応情報を取得し、
前記素材データ取得部において取得された素材データに画像データが含まれている場合、取得された画像データの特徴量を算出し、さらに、算出した画像データの特徴量と取得した対応情報とに基づき、画像データに対応したテンプレートを選択する、請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記選択部は、
前記素材データ取得部において取得された素材データの内容に基づき複数のテンプレートを選択し、
前記制作部は、前記選択部において選択された複数のテンプレートを適用して複数のテロップデータを制作し、前記提供部は、前記制作部において制作された複数のテロップデータを選択可能に提供する、請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記提供部は、前記制作部において制作されたテロップデータを画像データとして提供する、請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置において実行される情報処理方法であって、
テロップの表示態様を定めるテンプレートを記憶する記憶ステップと、
テロップに表示する素材データを取得する素材データ取得ステップと、
前記素材データ取得ステップにおいて取得された素材データの内容に基づき前記記憶ステップにおいて記憶されたテンプレートを選択する選択ステップと、
前記素材データ取得ステップにおいて取得された素材データに対して前記選択ステップにおいて選択されたテンプレートを適用してテロップデータを制作する制作ステップと、
前記制作ステップにおいて制作されたテロップデータを含む提供データを提供する提供ステップとを含み、
前記選択ステップは、
素材データを提供する提供者情報とテンプレートとを対応させるための対応情報を取得し、
前記素材データ取得ステップにおいて取得された素材データに提供者情報が含まれている場合、取得された提供者情報と取得した対応情報とに基づき、素材データの提供者情報に対応したテンプレートを選択する、情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
テロップの表示態様を定めるテンプレートを記憶する記憶機能と、
テロップに表示する素材データを取得する素材データ取得機能と、
前記素材データ取得機能において取得された素材データの内容に基づき前記記憶機能において記憶されたテンプレートを選択する選択機能と、
前記素材データ取得機能において取得された素材データに対して前記選択機能において選択されたテンプレートを適用してテロップデータを制作する制作機能と、
前記制作機能において制作されたテロップデータを含む提供データを提供する提供機能とを実現させ
前記選択機能は、
素材データを提供する提供者情報とテンプレートとを対応させるための対応情報を取得し、
前記素材データ取得機能において取得された素材データに提供者情報が含まれている場合、取得された提供者情報と取得した対応情報とに基づき、素材データの提供者情報に対応したテンプレートを選択する、情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、対象となる操作に対するヘルプ情報として複数個のテロップの候補データを格納し、複数の候補データを表示し、候補データを選択すると共に、選択した候補データを合成する場合の少なくとも表示方向と表示速度を示すパラメータを指定して合成指示を行ない、合成指示に基づいて選択された候補データの合成処理を行なうことにより、表示方向と表示速度情報を設定したテロップデータを生成し、合成されたテロップデータを設定された表示方向と表示速度に従って表示する技術が記載されている。
【0003】
また、特許文献2には、映像から抽出されたシンボル,印象的な発話空間および印象的な映像区間を結合し,編集済み映像として出力する技術が記載されている。
【0004】
また、特許文献3には、再生された番組素材データからテロップ分離部、映像認識処理部、音声認識処理部にてキーワードを抽出し、シソーラス辞書が記憶蓄積するキーワード候補と順次比較し、相関度または出現頻度の高いキーワードをオペレータに提示して、オペレータの入力を待ってメタデータを生成してビデオサーバに転送する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−021029号公報
【特許文献2】特開2011−254342号公報
【特許文献3】特開2010−068434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の技術では、テロップの内容に適した表示対応をオペレータが手動で選択する必要があり、オペレータの人件費またはオペレータが使用する機器の導入コスト等、テロップ制作に係るコストが上昇してしまう場合があった。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、テロップ制作に係るコストを低減させることができる、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の課題を解決するため、情報処理装置は、テロップの表示態様を定めるテンプレートを記憶する記憶部と、テロップに表示する素材データを取得する素材データ取得部と、素材データ取得部において取得された素材データの内容に基づき記憶部に記憶されたテンプレートを選択する選択部と、素材データ取得部において取得された素材データに対して選択部において選択されたテンプレートを適用してテロップデータを制作する制作部と、制作部において制作されたテロップデータを含む提供データを提供する提供部とを備える。
【0009】
(2)また、実施形態の情報処理装置において、選択部は、文字データの特徴を示す特徴量とテンプレートとを対応させるための対応情報を取得し、素材データ取得部において取得された素材データに文字データが含まれている場合、取得された文字データの特徴量を算出し、さらに、算出した文字データの特徴量と取得した対応情報とに基づき、文字データに対応したテンプレートを選択してもよい。
【0010】
(3)また、実施形態の情報処理装置において、選択部は、音声データの特徴を示す特徴量とテンプレートとを対応させるための対応情報を取得し、素材データ取得部において取得された素材データに音声データが含まれている場合、取得された音声データの特徴量を算出し、さらに、算出した音声データの特徴量と取得した対応情報とに基づき、音声データに対応したテンプレートを選択してもよい。
【0011】
(4)また、実施形態の情報処理装置において、選択部は、画像データの特徴を示す特徴量とテンプレートとを対応させるための対応情報を取得し、素材データ取得部において取得された素材データに画像データが含まれている場合、取得された画像データの特徴量を算出し、さらに、算出した画像データの特徴量と取得した対応情報とに基づき、画像データに対応したテンプレートを選択してもよい。
【0012】
(5)また、実施形態の情報処理装置において、選択部は、素材データを提供する提供者情報とテンプレートとを対応させるための対応情報を取得し、素材データ取得部において取得された素材データに提供者情報が含まれている場合、取得された提供者情報と取得した対応情報とに基づき、素材データの提供者情報に対応したテンプレートを選択してもよい。
【0013】
(6)また、実施形態の情報処理装置において、選択部は、素材データ取得部において取得された素材データの内容に基づき複数のテンプレートを選択し、制作部は、選択部において選択された複数のテンプレートを適用して複数のテロップデータを制作し、提供部は、制作部において制作された複数のテロップデータを選択可能に提供してもよい。
【0014】
(7)また、実施形態の情報処理装置において、提供部は、制作部において制作されたテロップデータを画像データとして提供してもよい。
【0015】
(8)上記の課題を解決するため、情報処理方法は、情報処理装置において実行される情報処理方法であって、テロップの表示態様を定めるテンプレートを記憶する記憶ステップと、テロップに表示する素材データを取得する素材データ取得ステップと、素材データ取得ステップにおいて取得された素材データの内容に基づき記憶ステップにおいて記憶されたテンプレートを選択する選択ステップと、素材データ取得ステップにおいて取得された素材データに対して選択ステップにおいて選択されたテンプレートを適用してテロップデータを制作する制作ステップと、制作ステップにおいて制作されたテロップデータを含む提供データを提供する提供ステップと、を含む。
【0016】
(9)上記の課題を解決するため、情報処理プログラムは、コンピュータに、テロップの表示態様を定めるテンプレートを記憶する記憶機能と、テロップに表示する素材データを取得する素材データ取得機能と、素材データ取得機能において取得された素材データの内容に基づき記憶機能において記憶されたテンプレートを選択する選択機能と、素材データ取得機能において取得された素材データに対して選択機能において選択されたテンプレートを適用してテロップデータを制作する制作機能と、制作機能において制作されたテロップデータを含む提供データを提供する提供機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一つの実施形態によれば、テロップの表示態様を定めるテンプレートを記憶し、テロップに表示する素材データを取得し、取得された素材データの内容に基づき記憶されたテンプレートを選択し、取得された素材データに対して選択されたテンプレートを適用してテロップデータを制作し、制作されたテロップデータを含む提供データを提供することにより、テロップ制作に係るコストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施形態における情報処理装置のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
図2】実施形態における情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】実施形態における情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図4】実施形態における情報処理装置において用いられる対応情報の一例を示す図である。
図5】実施形態における情報処理装置において用いられるテンプレートを適用して制作されたテロップの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態における情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムについて詳細に説明する。
【0020】
先ず、図1を用いて、情報処理装置の機能を説明する。図1は、実施形態における情報処理装置のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
図1において、情報処理装置1は、ネットワーク9を介して、端末21、端末31、素材データ提供装置4および画像配信システム5と通信可能に接続されている。図1は情報処理装置1の接続先を例示して示すものであり、情報処理装置1の接続先を限定するものではない。
【0022】
情報処理装置1は、通信制御部11、認証部12、記憶部13、素材データ取得部14、選択部15、制作部16および提供部17の各機能部を有する。本実施形態における情報処理装置1の上記各機能部は、本実施形態における情報処理プログラム(ソフトウェア)によって実現される機能モジュールであるものとして説明する。
【0023】
通信制御部11は、ネットワークを介して接続された端末21、端末31、素材データ提供装置4または画像配信システム5(以下、端末21、端末31、素材データ提供装置4、画像配信システム5の全てまたは一部の複数を、「端末21等」という場合がある。)との通信を制御する。通信制御部11は、例えば、端末21等に対して、情報処理装置1を利用するためのUI(User Interface)を提供するものであってもよい。
【0024】
認証部12は、通信制御部11を用いて端末21等の利用者を認証する。例えば、端末21の利用者とは、端末21から通信可能に接続された情報処理装置1が提供する機能を利用する利用権限を有する者である。認証部12は、例えばそれぞれの利用者に割り当てられたログインIDとパスワードによって利用者権限を有する利用者を認証する。なお、本実施形態における利用者は、特定された個人でなくてもよい。例えば、1つのログインIDを複数人で順次使用する場合、利用者は利用者IDを現在使用している者とすることができる。なお、認証部12は、ログインIDとパスワードによる認証以外の他の認証方法(例えば、生体認証、磁気カード認証等)を用いてもよい。
【0025】
ここで、本実施形態における「テロップ」、「テロップデータ」、「素材データ」、「テロップの表示態様」、および「テンプレート」について説明する。
【0026】
テロップとは、動画や静止画等の元画像に対して重畳、挿入または合成(以下、「重畳等」という場合がある。)される、文字情報、記号情報、図形情報、音声情報もしくは画像情報、またはこれらの結合(以下、「文字情報等」という場合がある。)の情報である。元画像は、例えば、テレビ放送用に用いられるテレビ映像、動画配信サービスに用いられる動画、大型表示装置に表示される表示画像等である。本実施形態では、元画像に重畳等されるテロップに用いられるデータをテロップデータという。テロップデータは、後述する素材データに基づき制作されて、利用者が所有する利用者システム(後述)に提供される。テロップデータは、利用者システムにおいて元画像の一部または全部に重畳等されて放送、配信または表示等がされる。テロップデータには、例えば、テロップデータを含む画像データであってもよい。なお、テロップは、使用される地域、内容、または形式等によって、例えばキャプション、サブタイトル、ティッカー、アラート、またはスーパーインポーズ等と呼ばれることもあり、本実施形態のテロップに含まれるものとする。
【0027】
素材データは、テロップに用いられる素材のデータであり、例えば、文字情報を含む文字データ、音声情報を含む音声データ、ベクトルデータ等によって表される図形データ、もしくは画像情報を含む画像データ、またはこれらの組合せ等である。なお、図形情報はラスタライズされることにより画像となるため、画像データには図形情報が含まれてもよい。
【0028】
文字データには、例えば、時刻情報、気象情報、交通情報、ニュース速報または字幕等が含まれていてもよい。また、文字データには、端末21のキーボード(不図示)から手動で入力された入力データが含まれていてもよい。文字データは、例えば、テレビ放送、動画配信サービスに用いられる動画または大型表示装置に表示される表示画像等において表示される。
【0029】
音声データには、例えば、音声、または音声認識によって生成された文字情報が含まれていてもよい。音声データは、例えば、テレビ放送の副音声で使用され、または文字データに変換されてテレビ放送等で表示される。
【0030】
画像データには、静止画情報、動画情報(複数の静止画のアニメーションを含む)が含まれていてもよい。画像データは、テレビ放送等の表示画面においてサムネイル表示され、分割表示され、または全画面表示される。
【0031】
素材データには、テレビ放送の番組内容に特化した情報が含まれてもよい。例えば、素材データには、スポーツ番組におけるそれぞれのスポーツに特化した得点経過、試合経過もしくは選手の紹介、ニュース番組におけるニュース項目、SNS(Social Networking Service)における投稿内容、または選挙番組における開票速報等が含まれていてもよい。
【0032】
テロップの表示態様とは、素材データに対して設定される、装飾、効果または校閲等の態様である。テロップの表示態様には、例えば、元画像におけるテロップを重畳する位置、文字情報に対するフォント、強調、2D(Dimensional)/3D表示の切替え、3Dモーション(動画)もしくは3D回転等の効果、ルビ追加、複数行表示等(以下、「装飾等」と言う場合がある。)の設定が含まれていてもよい。テロップの表示態様(装飾等)には、音声情報に対する出力音量の設定、もしくは音声認識の設定、または画像情報に対する画面上の表示位置もしくは表示サイズの設定等が含まれていてもよい。テロップの表示態様には、制作したテロップデータの送出の順序またはタイミングを含んでいてもよい。テロップの表示態様は、後述するテンプレートによって設定(定義)される。
【0033】
テンプレートは、テロップの表示態様を定める設定情報(設定データ)であり、例えば、設定ファイルとして予め用意される。テロップデータは、素材データに対してテンプレートにおいて設定された表示態様を適用することにより制作される。例えば、テレビ放送の番組内容に特化したテロップを利用したい場合、そのテレビ番組に対応したテンプレートを予め準備しておくことにより、それぞれのテレビ放送に特化したテロップデータを制作することができる。
【0034】
テンプレートは、利用者によって予め設定(編集)されてもよい。テンプレートは、例えば、端末21等の利用者に対して、テロップの表示態様を編集するためのUIを提供することにより設定出来るようにしてもよい。
【0035】
記憶部13は、テロップの表示態様を定める1つまたは複数のテンプレートを記憶する。テンプレートは、例えば、読み出し可能な設定ファイルとして記憶部13に予め記憶されてもよい。記憶部13は、複数種類のテンプレートを記憶することができる。例えば、上述のようにテレビ放送の番組内容に特化したテロップを制作する場合、記憶部13に番組内容に特化したテンプレートを複数記憶しておくことにより、記憶されたテンプレートの中から番組内容に特化したテロップデータを制作できるテンプレートを容易に選択することが可能となる。
【0036】
素材データ取得部14は、テロップに表示する素材データを取得する。図は、素材データ取得部14が、文字データ、音声データおよび画像データを取得する場合を例示している。素材データ取得部14は、情報処理装置1の内部(例えば、記憶部13)または情報処理装置1の外部から素材データを取得する。図は、素材データ取得部14が、端末21の素材データ提供部211または素材データ提供装置4から素材データを取得する場合を例示している。なお、本実施形態においてデータの「取得」と言う場合、ダウンロード等のプル型のデータの取得であっても、他の装置から送信されたデータを受信するプッシュ型のデータ取得であってもよい。例えば、素材データ取得部14は、端末21に対して提供する素材データを入力または選択するためのUIを提供し、端末21の利用者が端末21に表示されたUIを操作することにより素材データを取得してもよい。また、素材データ取得部14は、素材データ提供装置4に記憶された素材データを読み出すことにより素材データを取得してもよい。
【0037】
選択部15は、素材データ取得部14において取得された素材データの内容に基づき記憶部13に記憶された1つまたは複数のテンプレートを選択する。素材データの内容に基づきテンプレートを選択することにより、利用者のテンプレート選択に係る工数を削減することができるためテロップデータの制作コストを低減させることが可能となる。なお、テンプレートを選択するとは、複数のテンプレートの中から1または複数のテンプレートを選択することに加えて、テロップにおける素材データの意味(後述)を決定することを含んでいてもよい。以下、素材データの内容に基づく具体的なテンプレートの選択方法を説明する。
【0038】
<素材データの特徴量に基づくテンプレートの選択>
選択部15は、素材データの内容として、素材データの特徴量に基づきテンプレートを選択してもよい。素材データの特徴量とは、素材データの特徴を示す情報である。素材データの特徴量は、素材データの種類によってその特徴を示す情報が異なってもよい。以下の説明では、例えば、素材データが、文字データである場合、音声データである場合、または画像データである場合についての特徴量の算出方法を例示する。なお、記憶部13は、対応情報を記憶するようにしてもよい。対応情報とは、特徴量とテンプレートとを対応させた情報である。すなわち、対応情報は素材データの特徴量に基づき一または複数のテンプレートを選択するための情報であり、例えば、特徴量を引数とした場合のテンプレート(または素材データの意味)を選択するためのアルゴリズム等であってもよい。選択部15は、素材データの特徴量と対応情報に基づき一または複数のテンプレート(または素材データの意味)を選択する。例えば、選択部15は、特徴量の一番近い一のテンプレートを選択してもよく、特徴量が近い順に所定個数のテンプレートを選択してもよく、さらに特徴量は所定の範囲内にある全てのテンプレートを選択するようにしてもよい。
【0039】
例えば、素材データが文字データである場合、素材データの特徴量は、文字データの特徴量とすることができる。文字データの特徴量は、例えば、既知のテキストマイニングの手法であるTF−IDF(Term Frequency(単語頻度数)−Inverse Document Frequency(文書頻度数の逆数))によって算出することができる。TF−IDFにおいては、文字データに含まれる文字列の中から特定の単語を抽出し、抽出された単語の出現頻度を特徴量として算出する。例えば、テレビ放送における特定のスポーツ番組で利用される素材データには、そのスポーツにおいて使用される特徴的な単語が使用される場合が多い。例えば、野球番組においては、「ヒット」、「二塁打」、「ホームラン」等の単語が使用されることが多い。野球番組における特定の単語の出現頻度と、野球番組に特化したテンプレートを対応させて対応情報として記憶させておくことにより、文字データから一のテンプレートまたは複数のテンプレートを選択することが可能となる。
【0040】
また、文字データの特徴量は、文字データの配列等の付帯情報から算出されてもよい。例えば、野球番組においては、氏名とポジションが9名分の配列データとして取得され、サッカー番組においては11名分の配列データとして取得される。また、競馬番組においては、8枠分の配列データとして取得される。文字データの特徴量を配列データとして算出し、配列データとテンプレートとを対応させた対応情報を記憶しておくことにより、配列データから一のテンプレートまたは複数のテンプレートを選択することが可能となる。
【0041】
また、文字データの特徴量は、文字データに含まれる特定の情報から、テロップにおける素材データの意味を決定するものであってもよい。素材データの意味とは、素材データの種類または属性を示すものであり、例えば、野球のテロップにおいて、「アウト」、「ヒット」、「二塁打」、「三塁打」および「ホームラン」等の結果を示す情報である。また、選挙番組において、「当選」および「当選確実」等の結果を示す情報である。例えば、対応情報として、素材データの特徴量「0」に対して素材データの意味「アウト」をそれぞれ対応させて記憶部13に記憶させておく。同様に、「1」に対して「ヒット」、「2」に対して「二塁打」、「3」に対して「三塁打」、および「4」に対して「ホームラン」の素材データの意味をそれぞれ対応させて記憶部13に記憶させておく。選択部15は、特徴量である「0」〜「4」の数字と選手名を組み合わせた文字データを取得して、選手名と「ヒット」等の結果を対応させた成績表を示すテンプレートを選択し、またはそのテンプレートにおける選手名と結果(素材データの意味)の表示形態(例えば、選手名と結果の表示位置、表示の大きさ、フォント、またはアイコンの表示等)を決定するようにしてもよい。また、選択部15は、競馬のテロップにおいて、文字データに含まれる特徴量である所定の数字と文字列に基づき、文字列に対して所定の意味(例えば、出走枠順等)を持たせて、テロップにおける表示形態を決定するものであってもよい。
【0042】
また、素材データが音声データである場合、素材データの特徴とは、音声データの特徴量である。音声データの特徴量は、例えば、音声データに含まれる特定のパルス音または音階等を検出することにより算出することができる。音声データの特徴量とテンプレートとを対応させた対応情報を記憶しておくことにより、音声データから一のテンプレートまたは複数のテンプレートを選択することが可能となる。例えば、音声データの冒頭に所定のパルス音が含まれている場合、対応情報においてパルス音とテンプレートとを予め対応させておくことにより、一のテンプレートまたは複数のテンプレートを選択することができる。また、音声データの特徴量は、音声データを音声認識してテキストデータに変換することにより、上述した文字データの特徴量を算出するようにしてもよい。
【0043】
また、素材データが画像データである場合、素材データの特徴とは、画像データの特徴量である。画像データの特徴量は、既知の特徴量である、Edge特徴量、Color特徴量、Haar−like特徴量またはHOG特徴量等によって算出することができる。画像データの特徴量とテンプレートとを対応させた対応情報を記憶しておくことにより、画像データから一のテンプレートまたは複数のテンプレートを選択することが可能となる。例えば、画像データに特定のスポーツ用具、スポーツ施設、選手の動作等が含まれている場合、画像データにはそのスポーツ用具等の特徴量が検出される。対応情報においてスポーツ用具等の画像データの特徴量とテンプレートとを予め対応させておくことにより、一のテンプレートまたは複数のテンプレートを選択することができる。
【0044】
<素材データの提供者に基づくテンプレートの選択>
選択部15は、素材データの内容として、素材データの提供者に基づきテンプレートを選択してもよい。素材データの提供者とは、素材データを提供した者であり、素材データと1対1で対応付けられる情報である。素材データの提供者は、例えば、認証部12において認証された利用者等の人を特定する情報、端末21等の装置を特定する情報、または、素材データ提供装置4における素材データの格納領域等の素材データへのアクセス情報等によって特定することができる。素材データの提供者とテンプレートとを対応させた対応情報を記憶しておくことにより、選択部15は、素材データの提供者に基づき一または複数のテンプレートを選択することができる。
【0045】
例えば、特定のテレビ番組においては特定の表示態様におけるテロップが使用される場合がある。素材データの提供者がそのテレビ番組におけるテロップを制作する者であった場合、選択部15において対応情報に基づきその提供者に対応したテンプレートが選択されることにより、テロップの制作においてテンプレート選択に係る工数を削減することができる。なお、情報処理装置1は、利用者に対してテンプレートを手動で選択できる機能を提供するようにしてもよい。例えば、選択部15は、素材データに基づき、特徴量の算出結果等により、適切なテンプレートを選択できないと判断したときは、利用者に対してその旨を通知して、手動によるテンプレートの選択を促すようにしてもよい。
【0046】
制作部16は、素材データ取得部14において取得された素材データに対して、選択部15において選択されたテンプレートを適用してテロップデータを制作する。素材データに対するテンプレートの適用とは、素材データに対してテンプレートにおいて設定された表示態様を適用することである。テンプレートにおいて設定される表示態様には、上述のように素材データに対する装飾等を含めることができる。例えば、制作部16は、表示画面の所定の領域に文字データを流して表示するテロップデータを制作する。また、制作部16は、文字データを立体的な3D表示とするテロップデータを制作してもよい。また、制作部16は、素材データとして取得された動画ファイルに含まれる音声データをテキストデータに変換して、動画に変換したテキストデータを字幕として重畳したテロップデータを制作してもよい。
【0047】
制作部16は、テンプレートを適用したテロップデータを画像変換(ラスタライズ等)した画像データを制作するようにしてもよい。すなわち、本実施形態において、制作部16において制作されるテロップデータは、画像データに変換される前のデータであっても、画像に変換された後のデータであってもよい。
【0048】
制作部16は、選択部15において選択されたテンプレートが複数であった場合、それぞれのテンプレートを適用したテロップデータを制作する。例えば、選択されたテンプレートがそれぞれ異なる表示態様を設定するものである場合、制作部16は、素材データをそれぞれの表示態様におけるテロップデータとして制作する。
【0049】
提供部17は、制作部16において制作されたテロップデータを含む提供データを提供する。提供部17は、ネットワーク9を介して接続された、例えば、端末21、端末31または画像配信システム5に提供データを提供する。提供部17が提供する提供データは、例えば、ネットワーク9を介した通信プロトコルに応じて符号化された通信データであり、また、所定の暗号化方式において暗号化された暗号データであってもよい。
【0050】
提供部17は、端末21のテロップデータ取得部212に対して、送出装置22の入力に対応したデータ形式のテロップデータを提供してもよい。例えば、提供部17は、シリアルデジタルインタフェース (SDI; Serial Digital Interface)のビデオ電装規格に準拠した信号またはその信号を含むデータを提供してもよい。提供部17は、送出装置22の送出タイミングに合わせてテロップデータを送出してもよい。また、提供部17は、利用者システム2からの要求に応じてテロップデータを送出するようにしてもよい。
【0051】
利用者システム2は、送出装置22から放送設備23にテロップを送出するシステムであって、情報処理装置1に対して素材データを提供し、情報処理装置1からテロップデータを取得するシステムを例示している。利用者システム2は、端末21、送出装置22および放送設備23を備える。端末21は、素材データ提供部211およびテロップデータ取得部212を備える。
【0052】
素材データ提供部211は、情報処理装置1に対して素材データを提供する。素材データ提供部211は、素材データ取得部14が提供するUIを端末21の利用者(操作者)が操作することにより素材データを提供してもよい。例えば、素材データ取得部14が提供するUIにおいて、利用者は、素材データを含むファイルを選択し、または文字データをキーボードから入力することにより素材データを提供する。
【0053】
テロップデータ取得部212は、情報処理装置1で制作されたテロップデータを取得して、送出装置22に対して出力する。例えば、テロップデータ取得部212は、提供部17からテロップデータを提供可能になったことを示す信号を取得することにより、テロップデータを取得してもよい。テロップデータ取得部212は、制作されたテロップデータが複数である場合、制作された複数のテロップデータを取得する。テロップデータ取得部212は、取得された複数のテロップデータを利用者に対して選択可能に表示して、選択されたテロップデータを送出装置22に対して出力してもよい。
【0054】
送出装置22は、放送設備23に対してテロップ画像を送出する装置であり、図示しない、テロップデータを入力するための画像入力部、テロップデータを一時記憶するフレームバッファ、フレームバッファに記憶されたテロップデータを予め定められた画像方式のフレーム画像(テロップ画像)として出力するための画像出力部を備える。送出装置22は、図示しない送出タイミングを制御する装置からの指示によって、フレームバッファに一時記憶されたテロップ画像を放送設備23に出力する。
【0055】
放送設備23は、テレビ放送の放送局に設置され、送出装置22から送出されたテロップ画像を元画像に重畳等して、テレビ放送に使用されるテロップを含む画像を生成する。
【0056】
利用者システム2は、素材データを提供することにより、素材データの内容に基づいたテロップデータを取得することができるので、テロップデータの制作に掛かる制作コストを削減することが可能となる。
【0057】
利用者システム3は、表示装置32に画像を表示させるシステムであって、情報処理装置1からテロップデータを取得するシステムを例示している。利用者システム3は、端末31および表示装置32を備える。端末31は、テロップデータ取得部311を備える。
【0058】
テロップデータ取得部311は、情報処理装置1で制作されたテロップデータを取得して、表示装置32において表示可能な表示データとして出力する。例えば、テロップデータ取得部311は、テロップデータ取得部212と同様に、提供部17からテロップデータを提供可能になったことを示す信号を取得することにより、テロップデータを取得してもよい。また、テロップデータ取得部311は、制作されたテロップデータが複数である場合、制作された複数のテロップデータを取得し、取得された複数のテロップデータを利用者に対して選択可能に表示し、さらに選択されたテロップデータを表示装置32に対して出力してもよい。また、テロップデータ取得部311は、取得したテロップデータを表示装置32において表示可能な表示データ(例えば、映像信号)に変換して表示装置32に対して出力してもよい。
【0059】
表示装置32は、テロップデータ取得部311から出力された表示データを表示する装置である。表示装置32は、例えば公共の場に設置される大型ディスプレイ、または商業施設等に設置されるデジタルサイネージ等である。
【0060】
利用者システム3は、素材データの内容に基づいたテロップデータを取得することができるので、テロップデータの制作に掛かる制作コストを削減することが可能となる。
【0061】
素材データ提供装置4は、情報処理装置1に対して素材データを提供する装置を例示している。素材データ提供装置4は、例えば、素材データを読み出し可能に記憶するネットワークストレージサービスである。素材データ提供装置4は、例えば、所定のネットワークアドレス及びパスワードによって記憶している素材データを読み出し可能にすることにより、素材データを提供してもよい。情報処理装置1は、素材データ提供装置4から提供される素材データの内容に基づいてテロップデータを制作することができるので、テロップデータの制作に掛かる制作コストを削減することが可能となる。
【0062】
画像配信システム5は、提供部17から提供されたテロップデータに基づく画像(動画または静止画)を、図示しない配信先にリアルタイムまたはオンデマンドで配信するシステムである。画像配信システム5は、動画を配信する動画配信システムである。画像配信システム5は、テロップデータそのものを配信するようにしてもよく、あるいは、テロップデータを重畳した画像を配信するようにしてもよい。
【0063】
ネットワーク9は、例えば、インターネットである。ネットワーク9には、例えば携帯電話の基地局、無線LANのアクセスポイント等が含まれていてもよい。
【0064】
なお、情報処理装置1が有する、通信制御部11、認証部12、記憶部13、素材データ取得部14、選択部15、制作部16および提供部17の各機能部は、情報処理装置1の機能部の一例を示したものであり、情報処理装置1が有する機能を限定したものではない。例えば、情報処理装置1は、上記全ての機能部を有している必要はなく、一部の機能部を有するものであってもよい。また、情報処理装置1は、上記以外の他の機能を有していてもよい。例えば、情報処理装置1は、情報を入力するために入力機能や、装置の稼働状態をLEDランプ等により報知する出力機能を有していてもよい。
【0065】
また、情報処理装置1が有する上記各機能部は、上述の通り、ソフトウェアによって実現されるものとして説明した。しかし、情報処理装置1が有する上記機能部の中で少なくとも1つ以上の機能部は、ハードウェアによって実現されるものであってもよい。
【0066】
また、情報処理装置1が有する上記何れかの機能部は、1つの機能部を複数の機能部に分割して実施してもよい。また、情報処理装置1が有する上記何れか2つ以上の機能部を1つの機能部に集約して実施してもよい。すなわち、図1は、情報処理装置1が有する機能を機能ブロックで表現したものであり、例えば、各機能部がそれぞれ別個のプログラムファイル等で構成されていることを示すものではない。
【0067】
また、情報処理装置1は、1つの筐体によって実現される装置であっても、ネットワーク等を介して接続された複数の装置から実現されるシステムであってもよい。例えば、情報処理装置1は、その機能の一部または全部をクラウドコンピューティングシステムによって提供されるクラウドサービス等、他の仮想的な装置によって実現するものであってもよい。すなわち、情報処理装置1は、上記各機能部のうち、少なくとも1以上の機能部を他の装置において実現するようにしてもよい。また、情報処理装置1は、デスクトップPC等の汎用的なコンピュータであってもよく、機能が限定された専用の装置であってもよい。
【0068】
次に、図2を用いて、情報処理装置1のハードウェア構成を説明する。図2は、実施形態における情報処理装置1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0069】
情報処理装置1は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、I/O機器104、および通信I/F(Interface)105を有する。情報処理装置1は、図1で説明した情報処理プログラムを実行する装置である。
【0070】
CPU101は、RAM102またはROM103に記憶された情報処理プログラムを実行することにより、利用者端末の制御を行う。情報処理プログラムは、例えば、プログラムを記録した記録媒体、又はネットワークを介したプログラム配信サーバ等から取得されて、ROM103にインストールされ、CPU101から読出されて実行される。
【0071】
I/O機器104は、操作入力機能と表示機能(操作表示機能)を有する。I/O機器104は、例えばタッチパネルである。タッチパネルは、情報処理装置1の利用者に対して指先又はタッチペン等を用いた操作入力を可能にする。本実施形態におけるI/O機器104は、操作表示機能を有するタッチパネルを用いる場合を説明するが、I/O機器104は、表示機能を有する表示装置と操作入力機能を有する操作入力装置とを別個有するものであってもよい。その場合、タッチパネルの表示画面は表示装置の表示画面、タッチパネルの操作は操作入力装置の操作として実施することができる。なお、I/O機器104は、ヘッドマウント型、メガネ型、腕時計型のディスプレイ等の種々の形態によって実現されてもよい。
【0072】
通信I/F105は、通信用のI/Fである。通信I/F105は、例えば、無線LAN、有線LAN、赤外線等の近距離無線通信を実行する。図は通信用のI/Fとして通信I/F105のみを図示するが、情報処理装置1は複数の通信方式においてそれぞれの通信用のI/Fを有するものであってもよい。
【0073】
次に、図3を用いて、情報処理装置1の動作を説明する。図3は、実施形態における情報処理装置1の動作の一例を示すフローチャートである。以下に示すフローチャートにおける動作の実行主体は情報処理装置1であるものとして説明するが、それぞれの動作は、上述した情報処理装置1の各機能部において実行することができる。
【0074】
図3において、情報処理装置1は、記憶部13にテンプレートを記憶して、素材データを適用できるように準備をする(ステップS11)。例えば、情報処理装置1は、テンプレートデータと、素材データとテンプレートとを対応させるための対応情報とを記憶部13に読み出し可能に記憶することによりステップS11の処理を実行することができる。
【0075】
ステップS11の処理を実行した後、情報処理装置1は、端末21の利用者のログインが成功したか否かを判断する(ステップS12)。ログインが成功したか否かは認証部12において認証が成功したか否かによって判断することができる。ログインが成功していないと判断した場合(ステップS12:NO)、情報処理装置1は、ステップS12の処理を繰り返し、ログインが成功するのを待機する。
【0076】
一方、ログインが成功したと判断した場合(ステップS12:YES)、情報処理装置1は、素材データを取得したか否かを判断する(ステップS13)。素材データを取得したか否かは、例えば、素材データ取得部14が素材データを取得したか否かで判断することができる。素材データを取得していないと判断した場合(ステップS13:NO)、情報処理装置1は、ステップS13の処理を繰り返し、素材データが取得されるのを待機する。
【0077】
一方、素材データを取得したと判断した場合(ステップS13:YES)、情報処理装置1は、素材データを処理する(ステップS14)。素材データの処理は、例えば、素材データ取得部14において取得された素材データに含まれる文字データの特徴量を算出することにより実行される。また、素材データの処理は、素材データ取得部14において取得された素材データに含まれる音声データの特徴量を算出することにより実行されてもよい。また、素材データの処理は、素材データ取得部14において取得された素材データに含まれる画像データの特徴量を算出することにより実行されてもよい。また、素材データの処理は、素材データ取得部14において取得された素材データの提供者情報を取得することにより実行されてもよい。
【0078】
ステップS14の処理を実行した後、情報処理装置1は、対応情報を取得する(ステップS15)。対応情報の取得は、例えば、選択部15が記憶部13に記憶された対応情報を読み出すことにより実行することができる。対応情報の取得は、取得された素材データに応じて実行されるようにしてもよい。例えば、素材データに文字データが含まれる場合、情報処理装置1は、文字データの特徴を示す特徴量とテンプレートとを対応させるための対応情報を取得する。同様に、情報処理装置1は、音声データの特徴を示す特徴量とテンプレートとを対応させるための対応情報、画像データの特徴を示す特徴量とテンプレートとを対応させるための対応情報、または素材データを提供する提供者情報とテンプレートとを対応させるための対応情報を取得してもよい。
【0079】
ステップS15の処理を実行した後、情報処理装置1は、テンプレートを選択する(ステップS16)。テンプレートの選択は、例えば、選択部15が、算出した素材データの特徴量と取得した対応情報とに基づき、素材データに対応したテンプレートを選択することにより実行することができる。
【0080】
ステップS16の処理を実行した後、情報処理装置1は、テロップデータを制作する(ステップS17)。テロップデータの制作は、例えば、制作部16が、素材データ取得部14において取得された素材データに対して選択部15において選択されたテンプレートを適用することにより実行することができる。
【0081】
例えば、素材データが文字データの場合、制作部16は、テンプレートにおいて設定された表示画面の所定の領域に文字データを流して表示するテロップデータを制作する。また、制作部16は、文字データをテンプレートにおいて設定された立体的な3D表示とするテロップデータを制作してもよい。また、素材データが音声データの場合、制作部16は、テンプレートの設定に基づき、素材データとして取得された動画ファイルに含まれる音声データをテキストデータに変換して、動画に変換したテキストデータを表示画面の所定の領域に字幕として重畳したテロップデータを制作してもよい。また、素材データが画像データの場合、制作部16は、テンプレートにおいて設定された表示画面の所定の領域に画像データを表示するテロップデータを制作してもよい。
【0082】
なお、テンプレートにおいて、文字データ、音声データまたは画像データの中のいずれか複数の素材データに対する設定が含まれている場合、制作部16は、それぞれの素材データをテンプレートに適用させたテロップデータを制作する。例えば、テンプレートにおいて文字データと画像データに対する設定がされており、素材データに文字データと画像データが含まれている場合、制作部16は、文字データと画像データにそれぞれテンプレートを適用したテロップデータを制作する。
【0083】
ステップS17の処理を実行した後、情報処理装置1は、テロップデータを画像データに変換するか否かを判断する(ステップS18)。テロップデータを画像データに変換するか否かは、例えば、制作部16または提供部17が、テロップデータの提供先に応じて判断することにより実行することができる。テロップデータの提供先は、例えば、素材データの付帯情報として、素材データとともに取得するようにしてもよい。制作部16または提供部17は、素材データの付帯情報において、テロップデータの提供先が表示装置32等であると判断した場合、テロップデータを画像データに変換すると判断するようにしてもよい。画像データに変換すると判断した場合(ステップS18:YES)、情報処理装置1は、テロップデータを画像データに変換する(ステップS19)。画像データへの変換は、例えば、制作部16または提供部17が、テロップを表示する表示装置に応じたデータ形式にテロップデータを変換することにより実行することができる。
【0084】
ステップS19の処理を実行した後、または画像データに変換しないと判断した場合(ステップS18:NO)、情報処理装置1は、テロップデータを提供する(ステップS20)。テロップデータの提供は、提供部17がテロップデータ(画像データに変換後のテロップデータを含む)を利用者システム2、利用者システム3、または画像配信システム5等に提供することにより実行することができる。ステップS20の処理を実行した後、情報処理装置1は、フローチャートに示す動作を終了する。
【0085】
なお、図示したフローチャートは、情報処理装置1の動作の一例を示したものであり、情報処理装置1における動作を限定するものではない。
【0086】
次に、図4を用いて、素材データの特徴を示す特徴量とテンプレートとを対応させるための対応情報について説明する。図4は、実施形態における情報処理装置1において用いられる対応情報の一例を示す図である。
【0087】
図4において、対応情報Aは、素材データの特徴を示す特徴量として例示する、文字特徴量、音声特徴量、画像特徴量、および提供者と、テンプレートとを対応させるデータを有している。対応情報Aは、例えば、利用者毎のファイルデータとして記憶部13に予め記憶させておくことができる。対応情報Aは、「大分類」、「中分類」、「小分類」、「文字特徴量」、「音声特徴量」、「画像特徴量」、「提供者」および「テンプレート」のデータ項目を有する。「テンプレート」のデータ項目は、テンプレートを一意に特定するための情報である。
【0088】
対応情報Aは、「大分類」、「中分類」および「小分類」の3階層の分類によってテンプレートを分類分けしている。対応情報Aは、大分類において、「スポーツ」、「汎用」、「SNS」および「選挙」の種類の分類分けがされている。例えば、テンプレート「S1」は、大分類が「スポーツ」、中分類が「野球」、および小分類が「プロ野球」に分類分けされたテンプレートであり、プロ野球のテレビ放送等に用いられるテロップデータを生成するためのテンプレートである。これらの分類分けの種類および階層は、対応情報の一例を示したものであり、利用者毎に異なっていてもよい。
【0089】
分類分けされたそれぞれのテンプレートは、「文字特徴量」、「音声特徴量」、「画像特徴量」および「提供者」の特徴量を有する。例えば、選択部15は、素材データに文字データが含まれている場合、文字データの特徴量を算出することにより、「文字特徴量」において算出された特徴量に近似した1つまたは複数のテンプレートを選択することができる。また、素材データが「文字特徴量」、「音声特徴量」、「画像特徴量」および「提供者」の中で複数の特徴量を有するものである場合、それぞれの特徴量に近似したテンプレートを選択するようにしてもよい。例えば、「文字特徴量」においてテンプレート「S1」が選択され、「画像特徴量」においてテンプレート「S2」が選択された場合、選択部15は、「S1」と「S2」の2つのテンプレートを選択するようにしてもよい。また、選択部15は、「文字特徴量」、「音声特徴量」、「画像特徴量」および「提供者」の特徴量において優先順位を設けて、優先順位が高い特徴量において1つのテンプレートを選択するようにしてもよい。素材データに含まれる内容を特徴量として算出することにより、素材データに適したテンプレートを自動的に選択することが可能となる。
【0090】
次に、図5を用いて、テンプレートを説明する。実施形態における情報処理装置において用いられるテンプレートを適用して制作されたテロップの一例を示す図である。
【0091】
図5は、テレビ放送における選挙番組で使用されるテロップであり、選挙用のテンプレートに素材データを適用して制作されている。テロップ1000は、候補者毎の得票数を表示するための表示部1001、政党毎の議席数を表示するための表示部1002、現在時刻を表示するための表示部1003、現在の開票率を表示するための表示部1004を含む。
【0092】
例えば、表示部1001は、当選か落選かを示すアイコン、候補者の写真、候補者の氏名、所属政党名のアイコン、現在の状態(現職議員、新人または元議員)を示すアイコン、および得票数の表示を含む。上記アイコンおよび候補者の写真は素材データとして画像データに基づき表示される。選挙用のテンプレートは、画像データとしてのアイコン画像および候補者の写真の表示位置、または表示の大きさ等を設定している。また、候補者の氏名および得票数の文字データは、素材データとして文字データに基づき表示される。選挙用のテンプレートは、文字データを表示する表示位置、表示の大きさ、フォント等を設定している。また、テンプレートは、1名分の素材データを1列に、5名分の素材データを表示することを設定している。
【0093】
また、選挙用のテンプレートは、表示部1002における政党名のアイコン(画像データ)と議席数(文字データ)、表示部1003における現在時刻(文字データ)、表示部1004における開票率(文字データ)の表示位置、表示の大きさ、フォント等を設定している。
【0094】
選挙用のテンプレートは、上記素材データの表示位置等が予め設定されて、記憶部13に記憶される。素材データにおける文字データまたは画像データの特徴量によって選挙用のテンプレートが選択された場合、記憶されたテンプレートが自動的に選択されて、素材データに選挙用のテンプレートが適用されて、図示したテロップを表示するためのテロップデータが制作される。
【0095】
なお、本実施形態で説明した装置を構成する機能を実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本実施形態の上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0096】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0097】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1 情報処理装置
11 通信制御部
12 認証部
13 記憶部
14 素材データ取得部
15 選択部
16 制作部
17 提供部
2 利用者システム
21 端末
211 素材データ提供部
212 テロップデータ取得部
22 送出装置
23 放送設備
3 利用者システム
31 端末
311 テロップデータ取得部
32 表示装置
4 素材データ提供装置
5 画像配信システム
9 ネットワーク
101 CPU
102 RAM
103 ROM
104 I/O機器
105 通信I/F
A 対応情報
【要約】
【課題】テロップ制作に係るコストを低減させることができる、情報処理装置、情報処理方法および情報処理プログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置は、テロップの表示態様を定めるテンプレートを記憶する記憶部と、テロップに表示する素材データを取得する素材データ取得部と、素材データ取得部において取得された素材データの内容に基づき記憶部に記憶されたテンプレートを選択する選択部と、素材データ取得部において取得された素材データに対して選択部において選択されたテンプレートを適用してテロップデータを制作する制作部と、制作部において制作されたテロップデータを含む提供データを提供する提供部とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5