(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
<実施形態1>
1.表面実装機の全体構成
表面実装機1は、
図1に示すように、基台11と、プリント基板Pを搬送する搬送コンベア20と、ヘッドユニット60と、ヘッドユニット60を基台11上にて平面方向(XY方向)に移動させる駆動装置30とを備えている。尚、以下の説明において、基台11の長手方向(
図1の左右方向)をX方向と呼ぶものとし、基台11の奥行方向(
図1の上下方向)をY方向、
図2の上下方向をZ方向とする。
【0021】
搬送コンベア20は、基台11の中央に配置されている。搬送コンベア20はX方向に循環駆動する一対の搬送ベルト21を備えており、搬送ベルト21上の二点鎖線で示したプリント基板Pを、ベルトとの摩擦によりX方向に搬送する。
【0022】
本実施形態では、
図1に示す左側が入り口となっており、プリント基板Pは、
図1に示す左側より搬送コンベア20を通じて機内へと搬入される。搬入されたプリント基板Pは、搬送コンベア20により基台中央の作業位置まで運ばれ、そこで停止される。
【0023】
一方、基台11上には、作業位置の周囲を囲むようにして、部品供給部13が4箇所設けられている。これら各部品供給部13には、電子部品を供給するフィーダ80が横並び状に多数設置されている。
【0024】
そして作業位置では、上記フィーダ80を通じて供給された電子部品を、プリント基板P上に実装する実装処理が、ヘッドユニット60に搭載された実装ヘッド63により行われるとともに、その後、実装処理を終えたプリント基板Pはコンベア20を通じて
図1における右方向に運ばれ、機外に搬出される構成になっている。
【0025】
駆動装置30は、大まかには一対の支持脚41、ヘッド支持体51、Y軸ボールネジ45、Y軸モータ47、X軸ボールネジ55、X軸モータ57から構成される。具体的に説明してゆくと、
図1に示すように基台11上には一対の支持脚41が設置されている。両支持脚41は作業位置の両側に位置しており、共にY方向にまっすぐに延びている。
【0026】
両支持脚41にはY方向に延びるガイドレール42が支持脚上面に設置されると共に、これら左右のガイドレール42に長手方向の両端部を嵌合させつつヘット支持体51が取り付けられている。
【0027】
また、右側の支持脚41にはY方向に延びるY軸ボールねじ45が装着され、更にY軸ボールねじ45にはボールナット(不図示)が螺合されている。そして、Y軸ボールねじ45にはY軸モータ47が付設されている。
【0028】
Y軸モータ47を通電操作すると、Y軸ボールねじ45に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッド支持体51、ひいては次述するヘッドユニット60がガイドレール42に沿ってY方向に移動する(Y軸サーボ機構)。
【0029】
ヘッド支持体51は、X方向に長い形状である。ヘッド支持体51には、
図2に示すように、X方向に延びるガイド部材53が設置され、更に、ガイド部材53に対してヘッドユニット60が、ガイド部材53の軸に沿って移動自在に取り付けられている。このヘッド支持体51には、X方向に延びるX軸ボールねじ55が装着されており、更にX軸ボールねじ55にはボールナットが螺合されている。
【0030】
そして、X軸ボールねじ55にはX軸モータ57が付設されており、同モータ57を通電操作すると、X軸ボールねじ55に沿ってボールナットが進退する結果、ボールナットに固定されたヘッドユニット60がガイド部材53に沿ってX方向に移動する(X軸サーボ機構)。
【0031】
従って、X軸モータ57、Y軸モータ47を複合的に制御することで、基台11上においてヘッドユニット60を平面方向(XY方向)に移動操作出来る構成となっている。
【0032】
係るヘッドユニット60には、電子部品の実装作業を行う実装ヘッド63が列をなして複数個搭載されている。各実装ヘッド63はR軸モータによる軸回りの回転と、Z軸モータの駆動によりヘッドユニット60に対して昇降可能な構成となっている。また、各実装ヘッド63には図外の負圧手段から負圧が供給されるように構成されており、ヘッド先端に吸引力を生じさせるようになっている。
【0033】
このような構成とすることで、X軸モータ57、Y軸モータ47、Z軸モータを所定のタイミングで作動させることにより、フィーダ80を通じて供給される電子部品を実装ヘッド63により取り出して、プリント基板P上に実装する処理を実行することが出来る。
【0034】
尚、
図1に示す符号「17」は部品認識カメラ、
図2に示す符号65は基板認識カメラである。部品認識カメラ17は基台11上において撮像面を上に向けて固定されている。
【0035】
この部品認識カメラ17は、実装ヘッド63により取り出された電子部品の画像(下面画像)を撮像して、実装ヘッド63による電子部品の吸着姿勢を検出するものである。基板認識カメラ65はヘッドユニット60に撮像面を下に向けた状態で固定されており、ヘッドユニット60とともに一体的に移動する構成とされている。
【0036】
これにより、上述のX軸サーボ機構、Y軸サーボ機構を駆動させることで、プリント基板P上の任意の位置の画像を、基板認識カメラ65により撮像することが出来る。
【0037】
2.部品供給テープ70及びフィーダ80の構成
部品供給テープ70は、
図3に示すように、キャリアテープ71と、これに貼着されるカバーテープ75とから構成されている。キャリアテープ71の材質は、例えば、合成樹脂製であり、カバーテープ75の材質は、例えば、合成樹脂製である。キャリアテープ71は、上方に開口した空洞状の部品収納部72を一定間隔置きに有しており、各部品収納部72にはチップ抵抗等の小型電子部品Wが収納されている。
【0038】
カバーテープ75は、撓み可能な薄いシート状であり、テープ幅方向の両側縁部を、キャリアテープ71の上面に貼着している。カバーテープ75は、部品収納部72の上面をカバーして、部品収納部72から電子部品Wが飛び出すのを抑制している。また、キャリアテープ71の一辺側には、縁部に沿って係合孔73が一定間隔で設けられている。部品供給テープ70は、フィーダ80の後方位置において、図外のリールに巻回されて支持されている。
【0039】
フィーダ(本発明の「部品供給装置」の一例)80は、
図4、
図5に示すように、駆動装置90と、自動ローデング装置100と、テープガイド120と、これらが取り付けられるフレーム81とを備える。
【0040】
以下、フィーダ80の説明を行う。尚、フィーダ80の説明に関し、部品供給位置Gが設けられた側(
図4、
図5の右側)を「前側」、部品供給位置Gの反対側(
図4、
図5の左側)を「後側」とする。また、部品供給テープ70はフィーダ80の後方から前方(
図4、
図5の左側から右側)に送られることから、フィーダ80の後部側が部品供給テープ70の搬送方向の「上流側」であり、フィーダ80の前部側が、部品供給テープ70の搬送方向の「下流側」である。また、フィーダ80は、プリント基板Pの搬送方向であるX方向に対して直交する向きとなっているので、
図4、
図5に示すように、フィーダ80の前後方向はY方向と一致している。
【0041】
フレーム81は、前後方向であるY方向に長い形状であり、例えば、アルミダイキャスト製である。フレーム81には、部品供給テープ70を通すためのテープ通路83が設けられている。テープ通路83は、フレーム81の下部後端から前方に向けて延びている。その後、テープ通路83は、斜め上方に向かって延びており、フレーム81の上面に連続している。
【0042】
駆動装置90は、
図5に示すように、フレーム81の前部側に設けられている。駆動装置90は、モータ91、複数枚のギヤからなるギヤ列93、第1スプロケット95、第2スプロケット97からなる。これら2つのスプロケット95、97は、フレーム81の上部側において、前後方向であるY方向に並んで配置されている。ギヤ列93は、モータ91の動力を伝達して、2つのスプロケット95、97を、同方向に同ピッチで回転させる。
【0043】
スプロケット95、97の外周には等間隔で歯95A、97Aが形成されている。スプロケット95、97の歯95A、97Aは、部品供給テープ70の係合孔73と係合しており、スプロケット95、97の回転により、部品供給テープ70をフィーダ前部の部品供給位置Gに送出することが出来る。
【0044】
尚、第1スプロケット95は、部品供給テープ70を部品供給位置Gに送る、駆動用のメインスプロケットである。本実施形態では、部品供給位置Gは、第1スプロケット95の概ね頂部に設定されている。また、第2スプロケット97は、次に説明する自動ローデング装置100の第3スプロケット101から送られてきた部品供給テープ70を第1スプロケット95の位置まで押し込むため押込用スプロケットである。第1スプロケット95が本発明の「駆動用スプロケット」の一例である。
【0045】
自動ローデング装置100は、部品供給テープ70が未装着である未装着フィーダに対して部品供給テープ70を装着する機能(ローデング機能)を果たし、フレーム81の後部側に設けられている。ここで、ローデング動作は、「部品供給テープ70をフィーダ80に挿入して、部品供給位置Gまで自動的に運び入れる一連の動作」を言う。
【0046】
自動ローデング装置100は、第3スプロケット101と、第3スプロケット101を駆動するモータ103とを備える。第3スプロケット101は、フレーム81の後部において、テープ通路83の上側に配置されている。第3スプロケット101の外周には、第1スプロケット95や第2スプロケット97と同様に、部品供給テープ70の係合孔73と係合する歯を有している。そのため、モータ103を駆動して第3スプロケット101を回転させることで、部品供給テープ70をテープ通路83に沿ってフィーダ前方へと送り、部品供給位置Gまで自動的に運び入れることが出来る。
【0047】
尚、ローデング動作中、3つのスプロケット95、97、101は同期した状態で回転しており、第3スプロケット101により送られる部品供給テープ70は、テープ先端70Aが第2スプロケット97、第1スプロケット95をそれぞれ通過する時に、各スプロケット97、95の歯97A、95Aに対してそれぞれ係合する構成になっている。
【0048】
テープガイド120は、
図7に示すように、ガイド本体121と、ガイド本体121に取り付けられた露出ユニット150とを有する。ガイド本体121は、例えば、金属製であって、前後方向であるY方向に長い形状をなす。
図7に示すように、ガイド本体121は、フィーダ80のうち駆動装置90が設置された範囲と概ね対応する長さであり、ガイド本体121は、フレーム81の上面前部に設置されている。
【0049】
そして、フレーム81は、ガイド本体121の前端と後端に対応する位置に、前部ロック部85と後部ロック部87を設けている。テープガイド120は、これら2つのロック部85、87により前後をロックされることで、フレーム81に装着される構成となっている。
【0050】
具体的に説明すると、
図8に示すように、前側ロック部85は、フレーム81の先端部に対して上下移動可能に支持されている。前側ロック部85は、ガイド本体121の先端部に設けられたロック爪131に対して係合するロックピン85Aを有している。前側ロック部85は、ばね86によって下向に付勢されており、ロックピン85Aがロック爪131を上から押さえることで、ガイド本体121の前部をロック出来る。
【0051】
一方、後側ロック部87は、フレーム上部であって、ガイド本体121の後方位置に、ヒンジH2を介して回転可能に支持されている。後側ロック部87は、ガイド本体121の後端に設けられた軸ピン133に対応してロック片87Aを有している。後側ロック部87は、ばね88によってロック方向に付勢されており、ロック片87Aが軸ピンを上から押さえることで、ガイド本体121の後部をロック出来る。
【0052】
上記のように、前側ロック部85及び後側ロック部87は、ばね86、88の弾性力を利用して、テープガイド120をロックする構造となっており、ばね86、88の付勢力に抗する力が加わると、ガイド本体121が上下方向に動くことが出来るようになっている。尚、図
9に示す符号
133は後部ロック部87とロックする
軸ピン、図
8に示す符号
131は、前側ロック部85とロックするロック爪である。
【0053】
ガイド本体121は、フレーム上面を部品供給位置Gに向けて送られる部品供給テープ70を上から押さえることによりテープの浮き抑制して、スプロケット95、97の歯95A、97Aと部品供給テープ70の係止孔73との係合を維持する機能を果たす。
【0054】
また、ガイド本体121は、部品供給テープ70の両側をガイドする一対のガイド壁125を有し、フレーム81の上面82を送られる部品供給テープ70の姿勢が斜かないようにしている。
【0055】
露出ユニット150は、部品供給位置Gで部品を露出させるために設けられており、板状の支持部材151と、切開刃161と、後述する回転部材171とを含む。支持部材151は切開刃161と回転部材171を支持する部材である。切開刃161は、刃面を上に向けた状態で支持部材151の下部に固定されている。尚、回転部材が、本発明の「調整部、可動部材」の一例である。また、切開刃161が本発明の「部品露出部」の一例、刃先163が本発明の「挿入部」の一例である。
【0056】
図7に示すように、ガイド本体121の前部側には、開口122が形成されている。露出ユニット150は、切開刃161や回転部材171を開口122の内部に収めつつ、開口122の周縁部に支持部材151をねじ止めすることで、テープガイド120に取り付けられている。また、支持部材151は、電子部品Wを取り出すための部品取出孔153や、第1スプロッケ95の逃がし孔154を有している。
【0057】
図10、
図11に示すように、切開刃161は、部品供給テープ70の搬送方向(Y方向)で部品供給位置Gよりも上流側に位置しており、部品供給位置Gに向けて搬送されるカバーテープ75の中央を切開する機能を果たす。
【0058】
中央を切開されたカバーテープ75は、
図11に示すように、切開刃161の側方を通過する過程で幅方向の両側に開かれ、これにより、部品収納部72内の電子部品Wが露出する。
【0059】
そして、露出ユニット150の支持部材151には、部品供給位置Gに対応した位置に部品取出孔153が設けられている。そのため、電子部品Wが部品供給位置Gに移動するタイミングに合わせて実装ヘッド63を部品供給位置Gに移動して吸着動作を行うことにより、部品取出孔153を通じて、部品収納部72から電子部品Wをピックアップすることが出来る。
【0060】
また、露出ユニット150の支持部材151の下面155は、
図17に示すように、切開刃161の上流側で段が付いており、第1水平部155Aと、傾斜部155Bと、第2水平部155Cとを有している。これら第1水平部155A、傾斜部155B、第2水平部155Cは、ローデング動作時に、部品供給テープ70の上面を押さえる押さえ面となっている。
【0061】
3.切開刃161の突出量調整機能
図10に示すように、切開刃161は刃先163を上流側に向けつつ上方を向いている。そして、キャリアテープ71とカバーテープ75の間に刃先163が挿入された状態で、切開刃161を通過するよう部品供給テープ70が送られることで、切開刃161がカバーテープ75を切開する。
【0062】
両テープ間への刃先163の挿入は、部品供給テープ70の先端70Aが切開刃171を通過する時、すなわちローデング動作時に行われる。
【0063】
従って、部品供給テープ70の先端70Aが切開刃171を通過する時に、刃先163が両テープ間に挿入され易くなるように、ローデング動作時は、切開刃161の刃先163を、部品供給テープ70の押さえ面から下方に突出させておくことが望ましい。
【0064】
しかしながら、押さえ面から切開刃161の刃先163が常に突出していると、ローデング終了後、部品供給テープ70を所定ピッチで送る通常使用時に、切開刃161の刃先163と電子部品Wが干渉することが懸念される。
【0065】
そのため、本実施形態では、部品供給テープ70の押さえ面に対する切開刃161の突出量を調整することにより、部品供給テープ70を所定ピッチで送る通常使用時に、切開刃161と電子部品Wが接触することを抑制する構造となっている。
【0066】
具体的に説明すると、露出ユニット150は、支持部材151、切開刃161に加えて、回転部材171を備えている。回転部材171は、
図15に示すように、カバー部173と、一対のアーム部175を備える。カバー部173は、切開刃161の上流側(テープ搬送方向の上流側であり、
図15では左側)に位置しており、切開刃161の正面(上流側)を囲っている。
【0067】
一対のアーム部175は、
図12、
図13に示すように、カバー部173から二股状に分かれている。一対のアーム部175は、部品供給テープ70の搬送方向で下流側に延びている。一対のアーム部175は、切開刃161の両側に位置しており、切開刃161の側方を囲っている。
【0068】
回転部材171は、
図13に示すように概ねV字型をしており、上面側から見た時に、回転部材171の内側に切開刃161が位置する関係となっている。
【0069】
回転部材171は、支持部材151に対してヒンジH1を介して連結されており、ヒンジH1を中心に回転可能である。
【0070】
ヒンジH1は、カバー部173とアーム部175の概ね中間に位置しており、ヒンジH1に対して上流側(テープ搬送方向の上流側であり、
図15では左側)にカバー部173が位置し、下流側(テープ搬送方向の下流側であり、
図15では右側)にアーム部175が位置する関係になっている。
【0071】
そして、回転部材171が時計回りに回転すると、カバー部173側が持ち上がり、反時計回りに回転すると、アーム部175側が持ち上がる。
【0072】
また、刃先163との関係において、ヒンジH1は刃先163よりも下流側(テープ搬送方向の下流側であって、
図15の右側)にあって、刃先163よりも上方に位置する。
【0073】
本実施形態では、回転部材171が部品供給テープ70の先端70Aに押されて回転することで、切開刃161の刃先163の突出量が減少調整され、切開刃161と電子部品Wの接触を抑制する構造となっている。
【0074】
以下、その動作説明を行う。
(A)テープ未挿入時
図14はフィーダ上部の正面図である。
図15は一部を断面で示したフィーダ上部の正面図であり、部品供給テープ70がフィーダ80に挿入される前の状態を示している。
【0075】
図15に示すように、部品供給テープ70がフィーダ80に挿入される前の状態では、部品供給テープ70の搬送面となるフレーム81の上面82と、テープガイド120を構成する露出ユニット150の支持部材151の下面155との間には、所定の隙間Fがある。この隙間Fは、部品供給テープ70の厚さよりも幾らか狭くなっている。
【0076】
また、
図15に示すように、回転部材171は、重量バランスにより、アーム部175側が下がり、アーム部175の下面がフレーム81の上面82に接触した状態となる。
【0077】
この状態では、
図15に示すように、カバー部173の下面175の下端は、切開刃161の刃先の高さと一致しており、カバー部173は、切開刃161の刃先163の全体を覆っている。また、回転部材171は、概ね水平な姿勢である。
【0078】
(B)ローディング時
部品供給テープ70が未装着である未装着フィーダ80に対して部品供給テープ70を装着するため、部品供給テープ70をフィーダ後部からテープ通路83に挿入して、自動ローデング装置100を作動させると、部品供給テープ70は第3スプロケット101の回転に伴い、テープ通路83の下流側へと搬送されてゆく。
【0079】
テープ通路83を搬送される部品供給テープ70は、やがて、フレーム81の上面82に達し、それ以降、部品供給テープ70はテープガイド120とフレーム81の間を搬送される。
【0080】
そして、部品供給テープ70がテープガイド120とフレーム81の上面82の間を搬送される状態になると、部品供給テープ70の厚みにより、テープガイド120と露出ユニット150が持ち上げられた状態となり、回転部材171とフレーム81の上面82との間に隙間が出来る。
【0081】
すると、この隙間分、回転部材171が、アーム部175を下げるように、時計回りに回転する。これにより、
図16に示すように、刃先163を覆っていたカバー部173が持ち上がり、カバー部173から切開刃161の刃先163が露出する。
【0082】
尚、このとき、カバー部173は、
図17に示すように、支持部材151の第2水平部155Cよりも上方に位置しており、下面174の下端が、第2水平部155Cの高さと一致した状態となる。
【0083】
そして、テープ先端70Aが露出ユニット150まで搬送されると、部品供給テープ70は、支持部材151の下面155により、カバーテープ上面を押さえられた状態となる。
【0084】
すなわち、テープ先端70Aが第1水平部155Aを通過するまでの期間は、第1水平部155Aにより、カバーテープ上面を押さえられた状態となる。その後、テープ先端70Aが傾斜部155Bを通過するまでの期間は、傾斜部155Bにより、カバーテープ上面を押さえられた状態となる。
【0085】
そして、テープ先端70Aが第2水平部155Cを通過するまでの期間は、第2水平部155Cにより、カバーテープ上面を押さえられた状態となる。
【0086】
従って、
図17、
図18に示すように、テープ先端70Aが刃先163に到達する直前の状態では、部品供給テープ70は第2水平部155Cにより上面を押さえられた状態で、下流へと搬送されることになる。
【0087】
そして、
図17、
図18に示すように、カバー部173が持ち上がった状態では、切開刃161の刃先163は、カバー部173から露出しており、しかも、刃先163の位置は第3水平部155Cよりも低く、下方に突出している。そのため、テープ先端70Aが切開刃161に到達すると、
図19に示すように、キャリアテープ71とカバーテープ75の間に、刃先163が挿入され易くなり、容易に入り込む。
【0088】
従って、部品供給テープ70が切開刃161を通過するに伴い、カバーテープ75は切り開かれて、電子部品Wを露出させることが出来る。
【0089】
そして、テープ先端70Aが刃先163を通過して更に下流側に搬送されると、やがて、テープ先端70Aが、回転部材171のアーム部175に突き当たる。そのため、回転部材171は、部品供給テープ70に押されて、反時計回りに回転する。これにより、回転部材171のカバー部173が下降する。
【0090】
図20に示すように、テープ先端70Aがアーム部175を通過した状態では、カバー部173の下面174が、切開刃161の刃先163の位置まで下降した状態となり、切開刃161の刃先163は、カバー部173により覆われた状態となる。
【0091】
そして、1つ目の電子部品Wが部品供給位置Gまで搬送されると、部品供給テープ70のローデング動作は終了する。ローデング動作の終了時には、上記の通り、切開刃161の刃先163はカバー部173に覆われた状態となる。
【0092】
そのため、ローデング動作後の通常使用時、すなわち、部品供給テープ70をピッチ送りして部品供給位置Gに部品を供給する時に、切開刃161の刃先163がキャリアテープ71の部品収納部72に収容された電子部品Wと接触することを抑制できる。
【0093】
具体的に説明すると、
図20、
図21に示すように、ローデング動作終了後、カバー部173の下面174は、支持部材151の第2水平部155Cよりも下方に位置している。そのため、ローデング動作後の通常使用時において、カバー部173の下面174が、部品供給テープ70の上面を押さえる押さえ面して機能することとなり、部品供給テープ70は、カバー部173の下面174により、キャリアテープ上面を押さえられた状態で搬送されることになる。
【0094】
そして、カバー部173の下面174は、切開刃161の刃先163を隠しており、キャリアテープ71の部品収納部72に収容された電子部品Wを、切開刃161の刃先163よりも下側に押し下げるように作用する。
【0095】
従って、ローデング動作後の通常使用時、すなわち、部品供給テープ70をピッチ送りして部品供給位置Gに電子部品Wを供給する時に、切開刃161の刃先163がキャリアテープ71の部品収納部72に収容された電子部品Wと接触することを抑制できる。
【0096】
また、上記したように、ローデング動作終了後、切開刃161の刃先163はカバー部173により覆われた状態となるが、切開刃161の刃先163が両テープ間に挿入された以降は、切開刃161の刃先163に対応する部分で、カバーテープ75に撓みが生じる。従って、切開刃161の刃先163が両テープ間に挿入されてしまえば、その後、刃先163がカバー部173に覆われた状態になった以降も、切開刃161の刃先がテープ間から外れることはない。
【0097】
また、
図13に示すように、回転部材171に設けられた2つのアーム部175の間には、切開刃161との干渉を避けるため溝部176が形成されている。この溝部176の溝幅Hを電子部品Wの幅よりも小さくしておくことで、2つのアーム部175の下面で部品上面を押さえることが可能となり、テープ切開後、露出した電子部品Wが切開刃161の高さまで上がることを規制することが出来る。そのため、露出した電子部品Wが、切開刃161と接触することをより一層、抑制できる。
【0098】
また、電子部品Wが溝部176よりも小さい場合、切開刃161と回転部材171の位置を、テープ搬送方向であるY方向に対して直交するX方向にズラすようにすれば、片側のアーム部175で部品上面を押さえることが可能であり、電子部品Wが、切開刃161と接触することを抑制できる。
【0099】
4.実施形態の効果
本実施形態の表面実装機1によれば、ローデング動作時は、押さえ面155Cから刃先163を突出させることで、両テープ間に刃先が挿入され易くなる。また、通常使用時は、押さえ面174から刃先163を突出させないようにすることで、切開刃161の刃先163がキャリアテープ71の部品収納部72に収容された電子部品Wと接触することを抑制できる。
【0100】
また、回転部材171を部品供給テープ70の先端70Aで押して回転させることによって、押さえ面に対する切開刃161の突出量を調整している。このような構成であれば、突出量調整のため、回転部材171を回転させる駆動源を専用に設ける必要がないと言うメリットがある。
【0101】
<実施形態2>
実施形態1では、切開刃161の突出量を回転部材171で調整する構成を示した。実施形態2は、切開刃161の突出量を調整する構造が実施形態1と相違している。
【0102】
図22に示すように、実施形態2のフィーダ200は、テープ通路213を有するフレーム210と、第1スプロケット95、第2スプロケット97、第3スプロケット101、テープガイド250を備えている。
【0103】
各スプロッケット95、97、101は、図外のモータの駆動により回転して、部品供給テープ70を搬送する。各スプロッケット95、97、101の機能は、実施形態1と同様であり、スプロッケ95は駆動用、スプロケット97は押し込用、スプロケット101は自動ローデング用である。
【0104】
テープガイド250は、フレーム上面を搬送される部品供給テープ70の上面を押さえるガイド本体251と、切開刃270とを含み、フレーム210の上面前部に配置されている。テープガイド250のガイド本体251の下面L1は、部品供給テープ70の上面(カバーテープの上面)を押さえる押さえ面となっている。
【0105】
切開刃270は、
図22、
図23に示すように、概ね3角形状をしている。切開刃270は、刃先271をテープ搬送方向で上流側(
図22の左側)に向けた状態で、テープガイド250のガイド本体251の下部に固定されており、ガイド本体251に対して位置不変な構成になっている。切開刃270は、部品供給位置Gの上流側の位置で、カバーテープ75を切開することにより、キャリアテープ71に収納された電子部品Wを露出させるものである。
【0106】
また、テープガイド250は、調整部300を備えている。調整部300は取り付けアーム280により、フレーム210に固定されている。
【0107】
調整部300は、刃カバー320、リニアガイド340、駆動用のエアシリンダ330とを含み、部品供給テープ70の押さえ面Lに対する切開刃310の突出量を調整する。
【0108】
具体的に説明すると、刃カバー320は、概ね長方形をしており、
図23に示すように、カバー前側の約半分が、テープ搬送方向(Y方向)で、切開刃270の全体に重なる大きさである。
【0109】
リニアガイド340は、レール341と、レール341に沿ってスライドするスライダ345とから構成されている。刃カバー320は連結部材347を介して、リニアガイド340のスライダ345に固定されている。
【0110】
そのため、エアシリンダ330を駆動させると、リニアガイド340の案内作用により、刃カバー320を上下方向に移動することが出来る。
【0111】
ローデング動作中、刃カバー320は、
図23の(A)に示すように、テープガイド250のガイド本体251の下面L1よりも上方に位置する。そのため、切開刃310の刃先は、テープガイド250のガイド本体251の下面(テープの押さえ面)L1よりも下方に突出した状態となる。
【0112】
従って、部品供給テープ70の先端70Aが、切開刃310を通過する時に、切開刃310の刃先をキャリアテープ71とカバーテープ75の間に挿入し易くなる。
【0113】
一方、ローデング後の通常使用時、
図23の(B)に示すように、刃カバー320が下降して、テープガイド250のガイド本体251の下面L1よりも下方に位置しており、通常使用時には、刃カバー320の下面L2が、部品供給テープ70の上面を押さえる押さえ面となる。
【0114】
図23の(B)に示すように、刃カバー320が下降した状態において、刃カバー320の下面L2は、切開刃310の下面と高さが一致しており、刃カバー320の下面L2から切開刃310の刃先が下方に突出しない構成になっている。
【0115】
そのため、実施形態1と同様に、ローデング動作後の通常使用時に、切開刃310の刃先がキャリアテープ71の部品収納部72に収容された電子部品Wと接触することを抑制できる。尚、
図23は、テープガイド250のガイド本体251を省略した図としてある。
【0116】
<実施形態3>
実施形態2では、刃カバー320を上下移動することで、切開刃310の突出量を調整する構成を例示した。
【0117】
実施形態3は、切開刃410を上下方向に移動させることで、テープガイド250のガイド本体251の下面(部品供給テープ70の押さえ面)L1に対する切開刃410の突出量を調整する。
【0118】
具体的に説明すると、切開刃410の突出量を調整する調整部430は、ベース431と、モータ440、ピニオンギヤ450、ラックギヤ460、リニアガイド470を備えている。
【0119】
図24に示すように、切開刃410の上端部は、ラックギヤ460に固定されている。ラックギヤ460はピニオンギヤ450と噛み合っており、モータ440の駆動により、回転する。
【0120】
従って、モータ440を駆動すると、ピニオンギヤ450の回転に伴ってラックギヤ460が上下方向に移動することから、切開刃410を上下方向に移動させることが出来る。そのため、テープガイド250のガイド本体251の下面(部品供給テープ70の押さえ面)L1に対する切開刃410の突出量を調整することが出来る。
【0121】
すなわち、ローデング動作中、切開刃410を下げて、テープガイド250のガイド本体251の下面L1に対する切開刃410の突出量を増加する。一方、ローデング動作後の通常使用時は、切開刃410を上げて、テープガイド250のガイド本体251の下面L1に対する切開刃410の突出量を減少させる。
【0122】
このようにすることで、ローデング動作時に、キャリアテープ71とカバーテープ75の間に切開刃410の刃先411が挿入し易くなる。また、ローデング動作後の通常使用時に、切開刃410の刃先411がキャリアテープ71の部品収納部72に収容された電子部品Wと接触することを抑制できる。
【0123】
尚、リニアガイド470は、ラックギヤ460及び切開刃410の上下移動を、安定させるために設けられている。
【0124】
<実施形態4>
実施形態3では、切開刃410を上下移動させるのに、ピニオンギヤ430とラックギヤ440を利用した例を示した。
【0125】
実施形態4では、切開刃550を上下移動させるのにリンク機構500を用いている。リンク機構500は、第1リンク510と、第2リンク520とから構成されている。
図25に示すように、切開刃550は、2つのリンク510、520を介して支持板501に上下移動可能に支持されている。
【0126】
図25の(A)にて示すように、ローデング動作時において、テープ先端が刃先551に到達するまでの間は、切開刃550は、自重により、テープガイド250の下面(部品供給テープの押さえ面)L1よりも下がった状態にあり、切開刃550の刃先551が、キャリアテープ71とカバーテープ75の間に挿入し易くなる。なお、この時、切開刃550は傾いた姿勢になっており、下面553は水平になっておらず、前方が下がるように傾斜する。
【0127】
図25の(B)に示すように、搬送に伴って、部品供給テープ70の先端70Aが、切開刃550の下面553に当たると、切開刃550は持ち上がることから、テープガイド250の下面(部品供給テープの押さえ面)L1に対する切開刃550の突出量が小さくなる。そのため、ローデング動作後の通常使用時に、切開刃550の刃先551がキャリアテープ71の部品収納部72に収容された電子部品Wと接触することを抑制できる。
【0128】
<他の実施形態>
本明細書で開示される技術は上記既述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0129】
キャリアテテープから電子部品を露出させる方法には、両テープ間に刃先を挿入してカバーテープの一部を切開する切開方式と、両テープ間に刃先を挿入させてカバーテープの一部をキャリアテープから剥離させる剥離方式がある。
【0130】
実施形態1〜4では、本発明を、切開方式のフィーダに適用した例を示したが、剥離方式のフィーダに適用することも可能である。すなわち、剥離方式の場合も、部品を露出させるきっかけとして、両テープ間に刃先などの先端を挿入することは共通しており、実施形態に開示した方法を適用して、剥離部材の刃先の突出量を調整することで、ローデング動作後の通常使用時に、剥離部材の刃先がキャリアテープ71の部品収納部72に収容された電子部品Wと接触することを抑制できる。