特許第6707646号(P6707646)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6707646ユーティリティシステムにおける供給停止に対処するためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707646
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】ユーティリティシステムにおける供給停止に対処するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20120101AFI20200601BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   G06Q50/06
   H02J13/00 301A
【請求項の数】15
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-536169(P2018-536169)
(86)(22)【出願日】2017年4月6日
(65)【公表番号】特表2019-518254(P2019-518254A)
(43)【公表日】2019年6月27日
(86)【国際出願番号】US2017026276
(87)【国際公開番号】WO2017180415
(87)【国際公開日】20171019
【審査請求日】2019年11月20日
(31)【優先権主張番号】15/099,664
(32)【優先日】2016年4月15日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502303739
【氏名又は名称】オラクル・インターナショナル・コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダンカン−ウィルソン,ジェイソン・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,ローレンス
(72)【発明者】
【氏名】シスカ,デイビッド
【審査官】 岸 健司
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2010/0117856(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0183339(US,A1)
【文献】 特開2006−220536(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0192429(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0173322(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0296607(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00−99/00
H02J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリからの命令を実行するための少なくとも1つのプロセッサを含むコンピューティングデバイスによって行なわれる、コンピュータで実行される方法であって、
測定メーターデータをプロセッサを介して読み出すことを含み、前記測定メーターデータは、前記測定メーターデータの有効な使用量データと無効な使用量データとを特定するために、ユーティリティシステムの区域内の複数のメーターから収集され確認プロセスで処理されたユーティリティ使用量データを示し、前記方法はさらに、
前記プロセッサを介して前記測定メーターデータに対して推定プロセスを行なって、前記有効な使用量データと前記測定メーターデータ内の前記無効な使用量データに置き換わる推定使用量データとを含む修正メーターデータを生成することを含み、前記推定使用量データは、前記有効な使用量データの少なくとも一部から少なくとも部分的に導出され、前記方法はさらに、
ある期間にわたって前記区域内の前記複数のメーターについて前記プロセッサを介して前記修正メーターデータを集約して、前記期間に受信されたデータの全割合を指定する集約割合の値を生成することと、
前記プロセッサが前記集約割合の値を閾値と比較することによって、ユーティリティの供給停止が前記区域内で発生した時を検出することと、
前記集約割合の値が前記閾値を下回ると、前記区域内のユーティリティの供給停止の検出を知らせるための制御信号を生成し、前記プロセッサが、前記制御信号に応じて前記区域内の前記複数のメーターについて前記測定メーターデータに対する前記推定プロセスを抑制することとを含む、方法。
【請求項2】
前記推定プロセスが抑制されている間は、前記プロセッサを介して前記修正メーターデータをゼロ値データと置き換えることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記推定プロセスが抑制されていない間は、前記プロセッサを介して前記修正メーターデータを請求処理システムに伝送することをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記抑制の後で、
(i)前記プロセッサを介して、前記複数のメーターのうちの少なくとも1つのメーターについて有効な測定メーターデータを受信すること、または、
(ii)前記プロセッサを介して、前記複数のメーターのうちの少なくとも1つのメーターについて、前記少なくとも1つのメーターが起動されることを示すメッセージを受信することと、
前記プロセッサを介して、前記受信に応じて前記少なくとも1つのメーターについて前記推定プロセスを再開することとをさらに含む、請求項1のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記抑制の後で、前記集約割合の値が戻って前記閾値を超えたと前記プロセッサを介して判断することと、
前記判断に応じて前記複数のメーターについて、前記プロセッサを介して前記推定プロセスを再開することとをさらに含む、請求項1のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記測定メーターデータは、前記複数のメーターに対応する間隔消費データまたはレジスタ(スカラ)消費データのうちの少なくとも一方を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記閾値のユーザ設定を容易にする、または前記推定プロセスの前記抑制のユーザオーバーライドを容易にするグラフィカルユーザインターフェースを前記プロセッサを介して提供することをさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記区域は郵便番号に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
コンピューティングシステムであって、
プロセッサと、
命令を含むコンピュータ可読媒体に格納された推定モジュールとを備え、前記命令は、実行されると前記プロセッサに、
ユーティリティシステムの区域内の複数のメーターから収集され確認プロセスシステムを通じて処理されたユーティリティ使用量データを示す測定メーターデータを読み出して、前記測定メーターデータの有効な使用量データと無効な使用量データとを特定することと、
前記測定メーターデータに対して推定プロセスを行なって、前記有効な使用量データと前記測定メーターデータ内の前記無効な使用量データに置き換わる推定使用量データとを含む修正メーターデータを生成することとを行なわせ、前記推定使用量データは、前記有効な使用量データの少なくとも一部から少なくとも部分的に導出され、前記コンピューティングシステムはさらに、
命令を含む前記コンピュータ可読媒体に格納された集約モジュールを備え、前記命令は、実行されると前記プロセッサに、ある期間にわたって前記区域内の前記複数のメーターについて前記修正メーターデータの読出しおよび集約を行なって、前記期間に受信されたデータの全割合を指定する集約割合の値を生成させ、前記コンピューティングシステムはさらに、
命令を含む前記コンピュータ可読媒体に格納された比較モジュールを備え、前記命令は、実行されると前記プロセッサに、前記集約割合の値を読出しこれを閾値と比較することによってユーティリティの供給停止が発生した時を検出させ、前記コンピューティングシステムはさらに、
命令を含む前記コンピュータ可読媒体に格納された抑制モジュールを備え、前記命令は、実行されると前記プロセッサに、前記集約割合の値が前記閾値を下回ると、前記区域内におけるユーティリティの供給停止の検出を知らせるための制御信号を生成し、前記制御信号を介して、前記区域内の前記複数のメーターについて前記測定メーターデータに対する前記推定プロセスを抑制させる、コンピューティングシステム。
【請求項10】
記コンピュータ可読媒体に格納された前記推定モジュールは、実行されると前記プロセッサに、前記推定プロセスが抑制されていない間は前記修正メーターデータを請求処理システムに伝送させる命令を含む、請求項9に記載のコンピューティングシステム。
【請求項11】
命令を含む前記コンピュータ可読媒体に格納されたビジュアルユーザインターフェースモジュールをさらに備え、前記命令は、実行されると前記プロセッサに、前記閾値のユーザ設定および前記制御信号のユーザオーバーライドを容易にするグラフィカルユーザインターフェースを提供して前記推定モジュールに前記推定プロセスを再開させる、請求項9または10に記載のコンピューティングシステム。
【請求項12】
少なくとも前記ビジュアルユーザインターフェースモジュールによって提供される前記グラフィカルユーザインターフェースとのユーザインタラクションを表示し、これを容易にするように構成されたディスプレイスクリーンをさらに備える、請求項11に記載のコンピューティングシステム。
【請求項13】
記コンピュータ可読媒体に格納される前記推定モジュールは命令を含み、前記命令は、実行されると前記プロセッサに、前記推定プロセスが抑制されている間は前記修正メーターデータをゼロ値データと置き換えさせる、請求項911のいずれか1項に記載のコンピューティングシステム。
【請求項14】
前記ゼロ値データを格納するように構成されたデータベースデバイスをさらに備える、請求項13に記載のコンピューティングシステム。
【請求項15】
記コンピュータ可読媒体に格納された前記推定モジュールは命令を含み、前記命令は、実行されると前記プロセッサに、
前記確認プロセスシステムから受信された新たな確認使用量データに基づいて、前記複数のメーターのうちの1つのメーターについて前記推定プロセスが再開すると決定させ、
前記データべースデバイスから前記メーターについて前記ゼロ値データにアクセスさせ、
前記推定プロセスを再開して、前記新たな確認使用量データに少なくとも基づいて、前記メーターについての前記ゼロ値データの時間間隔に対応する新たな推定使用量データを生成させ、
前記メーターについての前記ゼロ値データを、前記メーターについての前記ゼロ値データの前記時間間隔に対応する前記新たな推定使用量データで置き換えさせ、
前記新たな推定使用量データを請求処理システムに伝送させる、請求項14に記載のコンピューティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
消費メーターは、ユーティリティプロバイダの顧客による、たとえば電気、天然ガス、または水の経時的な使用量(すなわち、消費量)を計測する。従来の間隔消費(interval consumption)メーターおよび最近のアドバンスト・メータリング・インフラストラクチャ(advanced metering infrastructure: AMI)「スマート」消費メーターは、たとえば、間隔消費データおよびレジスタ(スカラ)消費データという消費データの2つのチャネルで最小限に構成されている。現在では、大容量のデータが配電網上のAMIスマートメーターから受信されて、顧客システムまたはユーティリティにおけるメーターデータ管理アプリケーションに伝えられる。このデータは頻繁に、たとえば日ごとにまたは1日のうちで何度も受信される。
【0002】
大きな嵐(たとえば、ハリケーン、トルネード、着氷性悪天)が管轄区域を直撃すると、配電網は通常大きく損傷し、停電を引き起こす。新しいアドバンスト・メータリング・インフラストラクチャ(AMI)メーター技術を用いると、そのような嵐はメーターからの電気使用量情報の受信にも影響を及ぼす。なぜなら、AMIメーターは電力に依存して電気使用量情報を通信しているからである。さらに、電気使用量情報の通信に使用される通信ネットワークも、そのような嵐から影響を受ける場合がある。
【0003】
ユーティリティは、顧客のAMIメーターからの使用量情報に基づいて顧客の使用量を予測することが多い。そのような推定は、顧客への請求のために使用される。ユーティリティの供給停止は、メーターからの情報を破壊しデータ収集を妨げることがある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
概要
一実施形態において、メモリからの命令を実行するための少なくとも1つのプロセッサを含むコンピューティングデバイスによって行なわれる、コンピュータで実行される方法が開示される。この方法は、測定メーターデータをプロセッサを介して読み出すことを含み、測定メーターデータは、測定メーターデータの有効な使用量データと無効な使用量データとを特定するために、ユーティリティシステムの区域内の複数のメーターから収集され確認プロセスで処理されたユーティリティ使用量データを示す。プロセッサを介して測定メーターデータに対して推定プロセスを行なって、有効な使用量データと測定メーターデータ内の無効な使用量データに置き換わる推定使用量データとを含む修正メーターデータを生成することを含む。推定使用量データは、有効な使用量データの少なくとも一部から少なくとも部分的に導出される。この方法はさらに、ある期間にわたって区域内の複数のメーターについてプロセッサを介して修正メーターデータを集約して、当該期間に受信されたデータの全割合を指定する集約割合の値を生成することと、プロセッサが集約割合の値を閾値と比較することによってユーティリティの供給停止が区域内で発生した時を検出することと、集約割合の値が閾値を下回ると、区域におけるユーティリティの供給停止の検出を知らせるための制御信号を生成し、プロセッサが、制御信号に応じて区域内の複数のメーターについて測定メーターデータに対する推定プロセスを抑制することとを含む。
【0005】
他の実施形態において、この方法はさらに、推定プロセスが抑制されている間はプロセッサを介して修正メーターデータをゼロ値データと置き換えることと、および/または、推定プロセスが抑制されていない間はプロセッサを介して修正メーターデータを請求処理システムに伝送することとを含む。
【0006】
他の実施形態において、この方法はさらに、抑制の後で、(i)プロセッサを介して、複数のメーターのうちの少なくとも1つのメーターについて有効な測定メーターデータを受信すること、または、(ii)プロセッサを介して、複数のメーターのうちの少なくとも1つのメーターについて、少なくとも1つのメーターが起動されることを示すメッセージを受信することと、プロセッサを介して、この受信に応じて少なくとも1つのメーターについて推定プロセスを再開することとを含む。
【0007】
他の実施形態において、この方法はさらに、抑制の後で、集約割合の値が戻って閾値を超えたとプロセッサを介して判断することと、この判断に応じて複数のメーターについて、プロセッサを介して推定プロセスを再開することとを含む。
【0008】
他の実施形態において、この方法の上述の特徴のうちのいずれか1つにおいて、測定メーターデータは、複数のメーターに対応する間隔消費データまたはレジスタ(スカラ)消費データのうちの少なくとも一方を含む。
【0009】
他の実施形態において、この方法はさらに、閾値のユーザ設定を容易にする、または推定プロセスの抑制のユーザオーバーライドを容易にするグラフィカルユーザインターフェースをプロセッサを介して提供することを含む。
【0010】
この方法の他の実施形態において、区域は郵便番号に対応する。
一実施形態において、コンピューティングデバイスの1つ以上のプロセッサによって実行されると、コンピューティングデバイスに少なくとも本明細書で説明する方法の動作/機能を行なわせる命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体を開示する。
【0011】
他の実施形態において、コンピューティングシステムが開示される。このコンピューティングシステムは、プロセッサと、命令を含む非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された推定モジュールとを備える。命令は、実行されるとプロセッサに、ユーティリティシステムの区域内の複数のメーターから収集され確認プロセスシステムを通じて処理されたユーティリティ使用量データを示す測定メーターデータを読み出して、測定メーターデータの有効な使用量データと無効な使用量データとを特定することと、測定メーターデータに対して推定プロセスを行なって、有効な使用量データと測定メーターデータ内の無効な使用量データに置き換わる推定使用量データとを含む修正メーターデータを生成することとを行なわせ、推定使用量データは、有効な使用量データの少なくとも一部から少なくとも部分的に導出される。コンピューティングシステムはさらに、命令を含む非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された集約モジュールを備える。命令は、実行されるとプロセッサに、ある期間にわたって区域内の複数のメーターについて修正メーターデータの読出しおよび集約を行なってこの期間に受信されたデータの全割合を指定する集約割合の値を生成させる。コンピューティングシステムはさらに、命令を含む前記非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された比較モジュールを備える。命令は、実行されるとプロセッサに、集約割合の値を読出しこれを閾値と比較することによって、ユーティリティの供給停止が発生した時を検出させる。コンピューティングシステムはさらに、命令を含む非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された抑制モジュールを備える。命令は、実行されるとプロセッサに、集約割合の値が閾値を下回ると、制御信号を生成して区域内におけるユーティリティの供給停止の検出を示させ、制御信号を介して、区域内の複数のメーターについて測定メーターデータに対する推定プロセスを抑制させる。
【0012】
コンピューティングシステムの他の実施形態において、非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された推定モジュールは、実行されるとプロセッサに、推定プロセスが抑制されていない間は修正メーターデータを請求処理システムに伝送させる命令を含む。
【0013】
他の実施形態において、コンピューティングシステムはさらに、命令を含む非一時的なコンピュータ可読媒体に格納されたビジュアルユーザインターフェースモジュールを備える。命令は実行されるとプロセッサに、閾値のユーザ設定および制御信号のユーザオーバーライドを容易にするグラフィカルユーザインターフェースを提供して推定モジュールに推定プロセスを再開させる。
【0014】
他の実施形態において、コンピューティングシステムはさらに、少なくともビジュアルユーザインターフェースモジュールによって提供されるグラフィカルユーザインターフェースとのユーザインタラクションを表示しこれを容易にするように構成されたディスプレイスクリーンを備える。
【0015】
コンピューティングシステムの他の実施形態において、非一時的なコンピュータ可読媒体に格納される推定モジュールは命令を含む。命令は、実行されるとプロセッサに、推定プロセスが抑制されている間は修正メーターデータをゼロ値データと置き換えさせる。
【0016】
上述の特徴のいずれか1つを有する他の実施形態において、コンピューティングシステムはさらに、ゼロ値データを格納するように構成されたデータベースデバイスを含む。
【0017】
コンピューティングシステムの他の実施形態において、非一時的なコンピュータ可読媒体に格納された推定モジュールは命令を含む。命令は、実行されるとプロセッサに、確認プロセスシステムから受信された新たな確認使用量データに基づいて、複数のメーターのうちの1つのメーターについて推定プロセスが再開すると決定させ、データべースデバイスからメーターについてゼロ値データにアクセスさせ、推定プロセスを再開して、新たな確認使用量データに少なくとも基づいて、メーターについてのゼロ値データの時間間隔に対応する新たな推定使用量データを生成させ、メーターについてのゼロ値データを、メーターについてのゼロ値データの時間間隔に対応する新たな推定使用量データで置き換えさせ、新たな推定使用量データを請求処理システムに伝送させる。
【0018】
明細書において引用され、その一部を構成する添付の図面は、開示されているさまざまなシステム、方法および他の実施形態を示す。図に例示された要素の境界(たとえば、ボックス、ボックスの群または他の形状)が、これら境界の一実施形態を表すことが理解され得る。いくつかの実施形態において、1つの要素が複数の要素として設計されてもよく、または、複数の要素が1つの要素として設計されてもよい。いくつかの実施形態において、別の要素の内部コンポーネントとして示される要素が外付コンポーネントとして実現されてもよく、この逆であってもよい。さらに、要素は縮尺通りには図示されないこともある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ユーティリティ供給停止検出ロジックで構成されるコンピューティングデバイスを有するコンピュータシステムの一実施形態を示す図である。
図2】ユーティリティの供給停止中の使用量データの推定を抑制するための、図1のコンピュータシステムのユーティリティ供給停止検出ロジックによって実行可能な方法の一実施形態を示す図である。
図3】ユーティリティの供給停止を検出すると使用量推定を抑制し、ユーティリティの供給停止が終わると使用量推定を再開するプロセスの実施形態例を図式的に示す図である。
図4図2の方法を用いて図1のシステムによって対処される停電シナリオの例を示す図である。
図5】コンピューティングシステムのユーティリティ供給停止検出ロジックが実現され得るコンピューティングデバイスの一実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
郵便番号区域内においてユーティリティの供給停止(たとえば停電)が発生した時を検出し、供給停止が検出されるとこの郵便番号区域内のメーターについて使用量データの推定を抑制するシステム、方法、および他の実施形態が開示される。後で説明するように、供給停止中の使用量データの推定を抑制することによって、顧客に対する過剰請求を防止できる。さらに、たとえば、電力が回復したとシステムが判断すると、メーターごとに推定を再開可能である。システム、方法、および他の実施形態はいかなる電気、水道、またはガスユーティリティにも適用可能であるが、本明細書で説明される例は電気ユーティリティに着目する。
【0021】
一実施形態によると、多数のメーターについて配電網における供給停止を検出するように構成されたユーティリティ供給停止検出ロジックが開示される。郵便番号区域内の電力メーターから毎日受信されるデータの割合は、計算され、たとえば多くの以前の週における他の日から受信されたデータの中央値の割合と比較される。受信データの割合が著しく低くなる場合(たとえば、閾値割合に基づいて)、それらのメーターの区域に関して広範囲な供給停止が想定される。その結果、その区域が供給停止から回復したとその区域の少なくとも1つのメーターが示すまでは、電気使用量の推定がそれらのメーターの区域について抑制される。
【0022】
さまざまな実施形態に関して、本明細書では以下の用語が使用される。
本明細書で使用される「計測メーターデータ」という用語は、ユーティリティシステムに接続された1つ以上のユーティリティメーターによって生成されるユーティリティ使用量データを表す。たとえば、電気使用量データは、電気メーターによって監視され計測される、各顧客によって使用される電気量に関する特性を示す。これらの特性は、たとえば、メーターID、顧客ID、物理アドレス位置、使用電気量、日時などを含み得る。電気使用量データは、間隔消費データとして、レジスタ(スカラ)消費データとして、またはその双方として生成される。本明細書で使用される「計測メーターデータ」という用語は、確認プロセスで処理される前または後の最近の使用量データを表し得る。
【0023】
本明細書で使用される「ヘッドエンドデバイス」という用語は、ユーティリティシステムから(たとえば、配電網から)ユーティリティ使用量データを収集するように構成されたデバイスを表す。
【0024】
本明細書で使用される「起動」という用語は、デバイス(たとえば、電気メーター)に電力が加えられることを表す。
【0025】
本明細書で使用される「区域」という用語は、複数のユーティリティメーターが配置される領域または地域(たとえば、同一の郵便番号によって特徴づけられる領域)を表す。
【0026】
本明細書で使用される「サービスポイント」という用語は、ユーティリティメーターの物理的な位置を表す。
【0027】
図1は、ユーティリティ供給停止検出ロジック110で構成されたコンピューティングデバイス105を有するコンピュータシステム100の一実施形態を示す図である。たとえば、一実施形態において、ユーティリティ供給停止検出ロジック110は、顧客への請求を含むユーティリティ会社のさまざまな局面の対処を助けるように構成された、大規模なコンピュータアプリケーション(たとえば、コンピュータ化されたユーティリティ管理アプリケーション)の一部であり得る。ユーティリティ供給停止検出ロジック110は、ユーティリティの供給停止が検出されるとユーティリティシステムから収集された測定メーターデータ(MMD)に基づいてユーティリティ使用量データの推定を抑制するプロセスをコンピュータ化するように構成されている。本明細書で説明される実施形態では、間隔消費データ、レジスタ(スカラ)消費データ、または双方を含む測定メーターデータが考慮される。
【0028】
ユーティリティ供給停止検出ロジック110はまた、ユーティリティ使用量データの推定が行なわれる時を制御することによってより正確な使用量データを生成して、顧客への過剰請求を防ぐプロセスをコンピュータ化するように構成されている。一実施形態において、システム100は、企業組織用のアプリケーションまたは分散型アプリケーションの集合を含むコンピューティング/データ処理システムである。アプリケーションおよびコンピューティングシステム100は、クラウドベースのネットワーキングシステム、サービスとしてのソフトウェア(Service as a Software: SaaS)アーキテクチャ、または他の種類のコンピューティングソリューションと共に作用するように、またはこれとして実現されるように構成され得る。
【0029】
図1を参照すると、一実施形態において、ユーティリティ供給停止検出ロジック110はコンピューティングデバイス105上で実現され、ユーティリティ供給停止検出ロジック110のさまざまな機能面を実現するためのロジックまたはモジュールを含む。一実施形態において、ユーティリティ供給停止検出ロジック110は、ビジュアルユーザインターフェースロジック/モジュール120と、推定ロジック/モジュール130と、集約ロジック/モジュール140と、比較ロジック/モジュール150と、抑制ロジック/モジュール160とを含む。
【0030】
他の実施形態は、他のロジックまたは図1のユーティリティ供給停止検出ロジック110と同じもしくはこれと類似した機能を提供するロジックの組合せを提供し得る。一実施形態において、ユーティリティ供給停止検出ロジック110は、ロジックの機能を実施するように構成されたアルゴリズムおよび/またはプログラムモジュールを含む、実行可能なアプリケーションである。このアプリケーションは、非一時的なコンピュータ記憶媒体に格納される。つまり、一実施形態において、ユーティリティ供給停止検出ロジック110に含まれるロジックは、コンピュータ可読媒体に格納される命令のモジュールとして実現される。
【0031】
コンピュータシステム100はまた、コンピューティングデバイス105に動作可能に接続されたディスプレイスクリーン170を含む。一実施形態によると、ディスプレイスクリーン170は、パラメーターを見るためおよびユーティリティ使用量推定プロセスの抑制と関連するコマンドを生成するためにビジュアルユーザインターフェースロジック120によって生成されるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)のビューを表示し、GUIとのユーザインタラクションを容易にするように実現される。グラフィカルユーザインターフェースは、ユーティリティの供給停止検出アルゴリズムと関連し得、ビジュアルユーザインターフェースロジック120は、グラフィカルユーザインターフェースを生成するように構成され得る。
【0032】
一実施形態において、コンピュータシステム100は集中型サーバ側アプリケーションである。このアプリケーションは、少なくともここで開示される機能を提供し、コンピュータネットワークによって(サーバとして機能する)コンピュータシステム100と通信するコンピューティングデバイス/ターミナルを介して多数のユーザによってアクセスされる。それゆえ、ディスプレイスクリーン170は、ユーザがネットワーク化されたコンピュータ通信を介してユーティリティ供給停止検出ロジック110にアクセスし、これからサービスを受けることを許可する複数のコンピューティングデバイス/ターミナルを示し得る。
【0033】
一実施形態において、コンピュータシステム100はさらに、コンピューティングデバイス105に動作可能に接続された少なくとも1つのデータベースデバイス180および/またはネットワーク接続を介してデータベースデバイス180にアクセスするためのネットワークインターフェースを含む。たとえば、一実施形態において、データべースデバイス180は、推定ロジック130に動作可能に接続されている。一実施形態によると、データべースデバイス180は、データベースシステム(たとえば、コンピュータ化されたユーティリティ使用量アプリケーション)内でユーティリティ供給停止検出ロジック110と関連するデータ構造の格納および管理を行なうように構成されている。データ構造は、たとえば、推定されたまたはゼロ充填された(ゼロ値の)使用量データの記録を含み得る。
【0034】
一実施形態において、コンピュータシステム100はまた、コンピューティングデバイス105に動作可能に接続された少なくとも1つのヘッドエンドデバイス190、および/またはネットワーク接続を介してヘッドエンドデバイス190にアクセスするためのネットワークインターフェースを含み得る。たとえば、一実施形態において、ヘッドエンドデバイス190は確認ロジック(図示せず)を介して推定ロジック130に動作可能に接続される。一実施形態によると、確認ロジックは、ヘッドエンドデバイス190からの最近の測定メーターデータにアクセス(たとえば、ストリーミング)するように構成されている。ヘッドエンドデバイス190は、ユーティリティシステムから(たとえば、配電網から)測定メーターデータを収集するように構成されている。一実施形態において、ヘッドエンドデバイス190は、システム100の一部ではなくユーティリティシステムの一部としてみなされる。
【0035】
図1のユーティリティ供給停止検出ロジック110のロジックを再び参照すると、一実施形態において、ビジュアルユーザインターフェースロジック120は、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を生成してユーティリティ供給停止検出ロジック110とのユーザインタラクションを容易にするように構成されている。たとえば、ビジュアルユーザインターフェースロジック120は、グラフィカルユーザインターフェースを生成しこれをインターフェースの実現されたグラフィカルデザインに基づいて表示させるプログラムコードを含む。GUIを介したユーザの動作および選択に応じて、閾値の設定および推定抑制のオーバーライドの関連する側面が操作される。
【0036】
たとえば、一実施形態において、ビジュアルユーザインターフェースロジック120は、ユーザの動作に応じて閾値の選択または入力を容易にするように構成されている。たとえば、ビジュアルユーザインターフェースロジック120は、ユーティリティ供給停止検出ロジック110によって提供される複数の閾値からの1つの閾値の手動の選択を容易にし得る。各閾値は、データとしてコンピューティングデバイス105のメモリに事前に格納され得る。選択または入力された閾値は、一実施形態によると、後で説明されるように比較ロジック140によって集約割合の値と比較され得る。
【0037】
一実施形態において、ビジュアルユーザインターフェースロジック120は、ユーザの動作に応じて推定プロセスの抑制の手動によるオーバーライドを容易にするように構成されている。たとえば、ビジュアルユーザインターフェースロジック120は、抑制ロジック160のコマンドを容易にして推定ロジック130の推定プロセスの抑制をオーバーライドし得る。ユーザは、グラフィカルユーザインターフェースを介してオーバーライドコマンドを選択し得、その結果、オーバーライド信号(OVR)が抑制ロジック160に送信される。ビジュアルユーザインターフェースロジックを伴なわない、抑制プロセスをオーバーライドする他の自動的な方法は、本明細書において後で説明する。
【0038】
図1を再び参照すると、一実施形態において、推定ロジック130は測定メーターデータ(MMD)を読出し、パーサし、分析するように構成されている。測定メーターデータは、ヘッドエンドデバイス(たとえば、ヘッドエンドデバイス190)によってユーティリティシステムの区域(郵便番号区域)内の複数のユーティリティメーターから収集されたデータである。この議論に関して、システムは、測定メーターデータが推定ロジック130によって受信される前に確認プロセスで処理されていると想定する。確認プロセスによって、測定メーターデータから有効な使用量データと無効な使用量データとを特定する。無効な使用量データは、たとえば、測定メーターデータにおける不良データもしくは壊れたデータまたはギャップ(欠測データ)の結果である場合がある。どのデータが有効か無効かを特定する方法は本開示の範囲を超えており、ここでは詳細な説明は行なわない。有効な使用量データおよび無効な使用量データは、特定された後で、データを相互に識別するために異なる特定データビットまたはフラッグで印をつけられ得る。一実施形態において、レコードフィールド内のビットは、データの対応する部分を有効または無効と特定するように設定され得る。測定メーターデータの処理に依存して、無効と特定される使用量データの複数の部分が存在し得る。
【0039】
推定ロジック130は、無効な使用量データが後のプロセスで使用されないように、(データビットの特定に基づいて)測定メーターデータ内の無効な使用量データのパーサおよび特定を行なうように構成されている。たとえば、無効なデータは顧客への請求のための請求プロセスで使用されない。なぜなら、無効なデータを使用すると、不正確な使用量データに基づいて顧客に誤って請求をすることになるかもしれないからである。そうではなく、無効な使用量データは、以下で説明するように有効な使用量データから推定される推定使用量データと最終的に置き換えられる。
【0040】
推定ロジック130はまた、(たとえば、メーターに関して)測定メーターデータの一部に対して推定プロセスを行なって修正メーターデータを生成するように構成されている。修正メーターデータは、処理中の部分からの有効な使用量データと推定使用量データとを含む。推定使用量データは、処理中の測定メーターデータの部分において特定される無効な使用量データに置き換わる。推定使用量データは、有効な使用量データから導出される。たとえば、(時間間隔に対応する)無効なデータを有する検討中の測定メーターデータの間隔は、廃棄され得、検討中の間隔の直前および直後に発生する時間間隔に対応するデータ間隔からの有効な使用量データに基づいて、使用量データの推定と置き換えられ得る。
【0041】
さまざまな実施形態に従って、さまざまな推定手法を使用して推定使用量データを生成することができる。そのような推定手法は、重み付け平均化手法、データ補間手法、統計的手法、確率的手法、およびフィルタリング手法を含み得る。他の実施形態によると、他の推定手法も可能である。
【0042】
一実施形態によると、推定ロジック130は、データに対して他のプロセスを行なう他のシステムに修正メーターデータを送信する(たとえば、伝送する)ように構成されている。他のプロセスを行なう他のシステムは、コンピューティングデバイス105の内部であり得る、コンピューティングデバイス105の外部であり得る、またはそれらの双方であり得る。たとえば、一実施形態において、修正メーターデータは顧客への請求のための請求プロセスを提供する請求システムに伝送される。さらに、一実施形態において、推定ロジック130は、修正メーターデータを集約ロジック140に送信(たとえば、伝送)するように構成されている。
【0043】
一実施形態において、集約ロジック140は、推定ロジック130から修正メーターデータを読出し、一定の期間にわたって郵便番号区域内の複数のメーターについて修正メーターデータを集約するように構成されている。一実施形態において、期間は24時間に相当する。修正メーターデータを集約すると、集約ロジック140は集約割合の値αを生成する。この集約割合の値αは、当該期間にわたって受信されたメーターデータの全割合を定義または指定する。修正メーターデータの最大予測量は100%に相当してもよく、区域についての通常使用の統計に基づいている(たとえば、一般に正常に動作しデータを送信しているメーターの数に基づいている)。数日にわたる使用量の中央値は、たとえば98%に相当し得る。
【0044】
特定の日(期間)の終わりにおいて、集約割合の値αは、その日について集約ロジック140によって受信された修正メーターデータ量および100%に相当する修正メーターデータ量に基づいて計算される。たとえば、特定の日について、修正メーターデータ量はある区域における10000の全メーターのうちのわずか5000メーターについてしか受信されない場合がある。残りの5000メーターについては、ほとんどまたは全くデータが受信されていない。したがって、集約割合の値αは、50%(つまり、(5000/10000)×100)と計算可能であり、これは、当該区域のうちの半分が停電を経験していることを示唆する。一実施形態において、システムは区域内のメーター数を「知って」おり、システムが処理中の使用量データと関連するメーター識別子の数を数える。区域ごとに検討されるヘッドエンド/計測技術を選択する能力が設けられており、ユーザによって構成可能である。たとえば、一実施形態によると、異なる供給業者についてのメーターが監視されていない状態で、一組のメーターを推定を抑制するために監視可能である。
【0045】
一実施形態において、比較ロジック150は、期間後に(たとえば、1日の終わりにおいて)集約割合の値αを集約ロジック140から読出し、この集約割合の値αを閾値Tと比較するように構成されている。閾値Tは、区域について予測された割合レベル(たとえば、中央値の割合レベル)を下回る許容レベルを指定する割合レベルを指定する。一実施形態によると、比較ロジック150は、集約割合の値αが区域についてのユーティリティの供給停止を示す閾値Tを下回ると、比較信号Δを出力する。
【0046】
一例では、区域についての中央値の割合レベルは98%でもよい。閾値Tは、デフォルト値(たとえば、40%、50%)でもよい、および/または、ディスプレイスクリーン170上に表示されるとビジュアルユーザインターフェースロジック120によって提供されるグラフィカルユーザインターフェースを介して設定されてもよい。40%の閾値Tは、98%の中央値の割合レベルを下回る58%である。一例では、1日の終わりにおける区域についての集約割合の値αは35%と決定されるとする。その結果、比較ロジック150は、集約割合の値α(35%)が許容閾値T(40%)を下回ったと判断し、これによって供給停止が検出されると判断する。それに応じて、比較ロジック150は、比較信号Δの生成および出力を行ない、区域についての供給停止を知らせる。そうでない場合は、供給停止が検出されていないと知らせるための信号が生成される。
【0047】
一実施形態によると、抑制ロジック160は、比較ロジック150によって出力された比較信号Δを読み出すように構成されている。抑制ロジック160はまた、比較信号Δに応じて制御信号ψを生成するように構成されており、起動されると、推定ロジック130に区域内の複数のメーターについて推定プロセスを抑制するように命じる。言い換えると、ユーティリティの供給停止が検出されると、推定ロジック130によって行なわれる推定プロセスは、郵便番号区域の複数のメーターについて停止される。このように、以下でさらに説明されるように、誤った使用量および請求情報の生成を避けることが可能である。
【0048】
一実施形態によると、抑制中、制御信号がアクティブな間は、推定ロジック130は修正メーターデータをゼロ値データで置き換えるように構成されている。つまり、有効な使用量データおよび予測使用量データを有する修正メーターデータのデータ構造を生成する代わりに、データ構造はゼロ充填される(使用量データは、ある期間中に電気の使用量がないと示すゼロ値と置き換えられる)。一実施形態において、ゼロ充填されたデータ構造はデータべースデバイス180に格納される。推定プロセスが再開されると、ゼロ値データは予測使用量データと置き換えられ得る。
【0049】
一実施形態によると、ビジュアルユーザインターフェースロジック120は、ディスプレイスクリーン170上に表示され得るグラフィカルユーザインターフェースを提供して、オーバーライド信号(OVR)の生成によって制御信号ψのユーザオーバーライドを容易にするように構成されている。たとえば推定が抑制されると、ユーザは、区域について供給停止が発生していないこと、または電力が区域に復旧されたことをユーザに示す他のなんらかの知識に基づいて、抑制を手動でオーバーライドするように決定し得る。
【0050】
一実施形態において、推定ロジック130は、推定プロセスが、確認プロセスから受信された最近確認された使用量データに基づいて抑制されている区域の複数のメーターのうちの1つのメーターについて再開するためのものであると決定するように構成されている。メーターについて最近確認された使用量データは、メーターが停電の後で起動されると受信され始め得る。また、推定ロジック130は、推定プロセスがメーターについて再開されると判断すると、データべースデバイス180からのメーターに対応するゼロ値のデータにアクセスするように構成されている。
【0051】
推定ロジック130はさらに、推定プロセスを再開して、メーターについてのゼロ値データと関連する時間間隔に対応する新たな推定使用量データを生成し、ゼロ値データを新たな推定使用量データと置き換えるように構成されている。新たな推定使用量データは、最近確認された使用量データおよび/またはユーティリティの供給停止の直前に生成された修正測定データに基づいて推定(生成)される。推定ロジック130は、生成されると、新たな推定使用量データを、たとえば請求処理システムに送信(たとえば、伝送)するように構成されている。たとえば、区域内の他のメーターが電力を回復し推定ロジック130に新たな確認使用量データを送信すると、これらの他のメーターについての推定も同様に行なわれる。
【0052】
一実施形態において、時には抑制が命令された後で、推定ロジック130は、区域の複数のメーターのうちの1つのメーターについてのメーターがふたたび起動される(すなわち、電力を回復した)と知らせるメッセージを受信するように構成されている。一実施形態によると、このメッセージは確認プロセスのうちの測定メーターデータの一部でもよい。推定ロジック130はまた、メッセージの受信に応じてメーターについての推定プロセスを再開するように構成されている。同様に、推定ロジック130は、他のメーターの各々について同様のメッセージを受信すると、区域内の他のメーターについて推定プロセスを再開し得る。
【0053】
一実施形態において、ユーティリティ供給停止検出ロジック110は、集約割合の値αが閾値Tを超える値に戻ったと判断するように構成されている。たとえば、ユーティリティ供給停止検出ロジック110は、時には抑制が命令された後に、集約割合の値αが区域についての予測割合レベル付近(または98%付近の場合もある)に回復したと判断し得る。それに応じて、推定プロセスが再開され得る。たとえば、抑制中であっても、推定ロジック130は、少なくとも確認プロセスから受信された有効な使用量データを依然として集約ロジック140に送信可能である。ある期間(たとえば、1日)にわたる有効な使用量データの集約は、停電が終了したと確認するのに十分である。
【0054】
このように、ユーティリティ供給停止検出ロジック110は、供給停止を検出すると区域内の複数のメーターについて使用量データの推定を抑制する。ある期間(たとえば、1日)にわたって複数のメーターについて使用量データを集約し、集約された使用量データの割合がきわめて低い(すなわち、閾値を下回る)と判断することによって、供給停止を検出可能である。さまざまな実施形態によると、推定プロセスはいくつかの異なる方法でメーターごとに再開可能である。
【0055】
図2は、ユーティリティの供給停止(たとえば停電)中の使用量データの推定を抑制するために、図1のコンピュータシステム100のユーティリティ供給停止検出ロジック110によって実行可能な方法200の一実施形態を示す図である。方法200は、ユーティリティ供給停止検出ロジック110の動作について説明し、図1のユーティリティ供給停止検出ロジック110によって、または方法200のアルゴリズムで構成されたコンピューティングデバイスによって行なわれるように実現される。たとえば、一実施形態において、方法200は、コンピュータアプリケーションを実行するように構成されたコンピューティングデバイスによって実現される。コンピュータアプリケーションは、電子的な形態でデータを処理するように構成されており、方法200の機能を行なう、格納された実行可能な命令を含む。
【0056】
方法200は、1つ以上の顧客ユーティリティメーターからの最近の測定メーターデータがネットワーク化されたコンピュータ通信を介してアクセス可能であり、確認プロセスで処理可能であるという観点から説明される。確認プロセスで、(たとえば、履歴メーターデータと統計的に比較することによって)測定メーターデータのさまざまな部分を有効また無効であると特定し、そのようにタグ付けする。最近の測定メーターデータは、区域における顧客の複数のユーティリティメーターに対応する間隔消費データまたはレジスタ(スカラ)消費データのうちの少なくとも一方を含み得る。一実施形態において、区域は郵便番号によって範囲を定められる。
【0057】
方法200を開始すると、ブロック210で、測定メーターデータは(たとえば、図1の推定ロジック130によって)読み出される。測定メーターデータは、複数のユーティリティメーターによって生成される最近のユーティリティ(たとえば、電気)使用量データに相当する。測定メーターデータは、ヘッドエンドデバイス(たとえば、図1のヘッドエンドデバイス190)を介してユーティリティシステム(たとえば、配電網)の区域内の複数のユーティリティメーターから以前に収集されている。また、測定メーターデータは、測定メーターデータの有効な使用量データと無効な使用量データとを特定するためにタグ付する確認システム(図示せず)によって提供された確認プロセスで処理されている。無効な使用量データは、たとえば本明細書で説明されたように、測定メーターデータにおける不良データもしくは壊れたデータまたはギャップ(欠測データ)の結果であり得る。
【0058】
ブロック220において、(たとえば、図1の推定ロジック130によって)推定プロセスが測定メーターデータに対して行なわれて、有効な使用量データおよび推定使用量データを含む修正メーターデータを生成する。推定使用量データは、測定メーターデータの無効な使用量データに置き換わる。一実施形態によると、推定使用量データは、有効な使用量データの一部から少なくとも部分的に導出される。たとえば、無効なデータを有する検討中の測定メーターデータの間隔は廃棄されてもよく、有効なレジスタデータに基づいて、または有効なレジスタデータと有効な間隔データとの何らかの組合せに基づく使用量データの推定と置き換えられてもよい。一実施形態において、(たとえば、図1の推定ロジック130によって、)修正メーターデータが請求プロセスシステム(図示せず)に伝送される。
【0059】
ブロック230で、区域の複数のメーターについての修正メーターデータが(たとえば、図1の集約ロジック140によって)ある期間(たとえば、1日)にわたって集約されて、集約割合の値が生成される。集約割合の値は、本明細書で説明されたように、当該期間に受信されたデータの全割合を指定する。当該期間後にブロック240で、ユーティリティの供給停止(たとえば、停電)を検出しようとして、(たとえば、図1の比較ロジック150によって)集約割合の値が閾値と比較される。閾値は、本明細書で説明されたように、区域について予測割合レベルを下回る割合レベルを指定する。一実施形態において、閾値はユーザによって(たとえば、図1のビジュアルユーザインターフェースロジック120によって提供され図1のディスプレイスクリーン170上でユーザに対して表示されたグラフィカルユーザインターフェースを介して)設定される。
【0060】
ブロック250で、集約割合の値が区域内におけるユーティリティの供給停止の検出を示す閾値を下回ると(たとえば、図1の比較ロジック150によって検出されたように)、区域内の複数のメーターについての推定プロセスが(たとえば、図1の抑制ロジック160によって)抑制される。一実施形態において、推定プロセスが抑制されている間は、推定プロセスが再開されてゼロ値データが推定使用量データと置き換え可能になるまで、修正メーターデータが格納可能なゼロ値データと置き換えられる。これにより、顧客が供給停止中に消費していないサービス(たとえば、電力、水、ガス)について過剰に請求されることを防ぐ。
【0061】
請求の特質は、顧客ごとの請求タイミングに依存する。一例では、二人の顧客(顧客#1および顧客#2)が共にサンフランシスコに住んでいて、3月29日に大地震が発生して両者の区域内で停電が発生すると仮定する。双方の顧客についての測定メーターデータは3月30日にゼロと記入されるが、顧客1には同日に請求書が郵送される予定になっている。顧客#2についての請求書は4月7日まで予定されていない。ユーティリティは、1日がゼロと想定される、顧客#1についての請求書を郵送する。地震復旧は1週間続き、双方の顧客への電力は4月6日に復旧される。その時点で、双方の顧客についての使用量データには、顧客のメーターからの実際の結果が再び記入されている。1日について修正された使用量について、顧客#1に再請求する(または翌月に請求する)必要がある。しかしながら、顧客#2についての請求書はまだ生成されておらず、送信されていない。したがって、請求書が郵送される前にゼロが修正されるため、顧客#2は再請求されることはない。
【0062】
時には区域内の全てのメーターについて推定プロセスが抑制された後に、推定プロセスをいくつかの方法のうちのいずれかの方法で再開し得る。たとえば、一実施形態において、有効な測定メーターデータがあるメーターについて受信され始めると、推定プロセスを当該メーターに関して再開し得る。他の実施形態において、メーターが起動される(すなわち、電力を回復した)と示すメッセージがメーターから受信されると、当該メーターについて推定プロセスを再開し得る。他の実施形態において、ユーザが推定プロセスの抑制をオーバーライドすると、(たとえば、図1のビジュアルユーザインターフェースロジック120によって提供され、図1のディスプレイスクリーン170上でユーザに対して表示されたグラフィカルユーザインターフェースを介して)推定プロセスを再開し得る。
【0063】
一実施形態によると、区域について集約割合の値が妥当なレベル(たとえば、予測される割合レベル)に戻ると、推定プロセスを再開し得る。本明細書で説明されたように、抑制中であっても、少なくとも確認プロセスから受信される有効な使用量データを依然として集約可能である。ある期間(たとえば、1日)にわたる有効な使用量データの集約は、供給停止が終了したと確認するのに十分であり得る。
【0064】
このように、顧客への過剰請求を避けるために、ユーティリティ使用量データの推定は区域におけるユーティリティの供給停止中は抑制可能である。供給停止中に推定さなかったユーティリティ使用量データは、供給停止の直前および/または直後に受信された確認済みの測定メーターデータに基づいて後で推定可能である。
【0065】
図3は、停電を検出すると使用量推定を抑制し、停電が終わると使用量推定を再開するプロセス300の実施形態の一例を示す図である。プロセス300のブランチ310で、数日にわたって1日単位で測定メーターデータが収集され、集約される。ブランチ310において示すように、過去7日についての集約割合の値は96%、98%、99%、98%、96%、99%、および20%であり、20%が最も最近の日に対応する。最も最近の日についての20%という集約割合の値は閾値を下回っており、郵便番号区域において停電が発生したと示している。
【0066】
プロセス300のブランチ320で、郵便番号区域内の複数のサービスポイントにおけるメーターについて使用量の推定が抑制される。修正メーターデータは、ゼロ値データと置き換えられ、推定が再開可能になるまでメーターについて格納することができる。プロセス300のブランチ330で、郵便番号区域について停電が終了しており、使用量の推定が郵便番号区域内のメーターについて再開される。ゼロ値のデータは、アクセス可能であり、新たな確認使用量データおよび/または停電の直前に生成された修正測定データに基づく新たな推定使用量データと置き換え可能である。
【0067】
図4は、図2の方法200を用いて図1のシステム100によって処理される停電シナリオ400の例を示す図である。図4の行410を参照すると、1日目および2日目に、確認プロセスから区域のメーターについて、確認された測定メーターデータ(レジスタ使用量データと間隔使用量データとの双方を含む)を受信する。2日目の終わりに、区域についての集約割合の値が、区域についての停電を示す閾値を下回っている。その結果、使用量推定が3日目の区域について抑制され、修正メーターデータの代わりにメーターと関連する間隔について、ゼロ値データが生成される。すなわち、停電によって、3日目のメーターについて測定メーターデータは受信されないと想定される。
【0068】
図4の行420を参照すると、4日目に、メーターは確認プロセスから測定メーターデータを再び提供し始める。メーターについての推定プロセスが再開され、3日目の使用量は推定されてゼロ値データに置き換わると推定される。4日目の終わりにおけるスカラレジスタデータは12530kWhであり、2日目の終わりにおけるスカラレジスタデータは12380kWhである。4日目の間隔使用量データから分かるように、4日目の全電力消費量は110kWhである。したがって、システムは、メーターと関連する顧客によって3日目に消費された全電力量は40kWh(すなわち、12530−12380−110=40)であったに違いないと判断する。これは、(おそらく停電のために)この顧客に関する通常の使用量よりも大幅に低い。
【0069】
図4の行430を参照すると、3日目の間隔使用量データは、4日目の終わりにおいて知られているあらゆるものに基づいてゼロ値データに置き換わるように記入される。つまり、3日目に使用された全電力40kWhが、スカラレジスタデータを考慮した同期推定プロセスに基づいて3日目の間隔にわたって分配される。顧客についての請求日によって、3日目のゼロ値データが請求に含まれるように顧客に請求することも可能である(顧客が過剰請求されないように保証する)、または、3日目の推定使用量データが(その月の正確な請求を反映している)請求に含まれるように顧客に請求することも可能である。
【0070】
このように、顧客は停電が発生する場合に過剰請求されることはない。しかしながら、停電の発生日に実際に電力を消費していれば、その分について最終的に請求される。
【0071】
さらに、他の実施形態は、電気消費データおよび電気メーター以外の他の種類の消費データおよびメーターと関連し得る。たとえば、他の実施形態は、水メーターによって提供される水消費データまたは天然ガスメーターによって提供される天然ガス消費データにアクセスし、このデータを処理するように構成され得る。このような他の実施形態は、本明細書で説明する電気使用量の例と同様の態様で作用し得る。
【0072】
コンピューティングデバイスの実施形態
図5は、本明細書で説明するシステムおよび方法の例のうちの1つ以上を用いて構成されたおよび/またはプログラムされたコンピューティングデバイス、ならびに/またはその均等物を説明する図である。図5は、ユーティリティ供給停止検出ロジックの実施形態が実現され得るコンピューティングデバイスの一実施形態例を示す。コンピューティングデバイスの例は、バス508によって動作可能に接続されたプロセッサ502、メモリ504、および入出力ポート510を含むコンピュータ500であり得る。
【0073】
一例では、コンピュータ500は、郵便番号区域内の複数のメーターについて無効なメーターデータを修正する推定プロセスを抑制するように構成されたユーティリティ供給停止検出ロジック530(図1のユーティリティ供給停止検出ロジック110に対応する)を含み得る。異なる例では、ロジック530はハードウェア、命令が格納された非一時的なコンピュータ可読媒体、ファームウェア、および/またはそれらの組合せで実現され得る。ロジック530はバス508に取付けられたハードウェアコンポーネントとして図示されるが、他の実施形態において、ロジック530は、プロセッサ502、メモリ504に格納されたモジュール、またはディスク506に格納されたモジュールでもよいと理解されるであろう。
【0074】
一実施形態において、ロジック530またはコンピュータ500は、説明された動作を行なうための手段(たとえば、構造:ハードウェア、非一時的なコンピュータ可読媒体、ファームウェア)である。いくつかの実施形態において、コンピューティングデバイスは、クラウドコンピューティングシステムで動作するサーバ、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)アーキテクチャ、スマートフォン、ラップトップ、タブレットコンピューティングデバイスなどであり得る。
【0075】
この手段は、たとえば、ユーティリティの供給停止中のユーティリティ使用量データを推定するための推定プロセスの抑制を容易にするようにプログラムされたASICとして実現され得る。この手段は、メモリ504に一時的に格納されプロセッサ502によって実行されるデータ516としてコンピュータ500に提示される、格納されたコンピュータ実行可能な命令でもあり得る。
【0076】
ロジック530はまた、供給停止が終了したという決定に応じて推定プロセスを再開するための手段(たとえば、ハードウェア、実行可能な命令を格納する非一時的なコンピュータ可読媒体、ファームウェア)を提供し得る。
【0077】
一般にコンピュータ500の構成例について説明すると、プロセッサ502は、デュアルマイクロプロセッサおよび他のマルチプロセッサアーキテクチャを含むさまざまなプロセッサでもよい。メモリ504は、揮発性メモリおよび/または不揮発性メモリを含み得る。不揮発性メモリは、たとえばROMおよびPROMなどを含み得る。揮発性メモリは、たとえばRAM、SRAM、およびDRAMなどを含み得る。
【0078】
ストレージディスク506は、たとえば入出力インターフェース(カード、デバイスなど)518および入出力ポート510を介してコンピュータ500に動作可能に接続され得る。ディスク506は、たとえば、磁気ディスクドライブ、ソリッドステートディスクドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ、テープドライブ、Zipドライブ、フラッシュメモリカード、メモリスティックなどでもよい。さらに、ディスク506は、CD−ROMドライブ、CD−Rドライブ、CD−RWドライブ、DVD ROMなどでもよい。メモリ504は、たとえばプロセス514および/またはデータ516を格納可能である。ディスク506および/またはメモリ504は、コンピュータ500のリソースの制御および割り当てを行なうオペレーティングシステムであり得る。
【0079】
コンピュータ500は、i/oインターフェース518および入出力ポート510を介して入出力デバイスとやり取りしてもよい。入出力デバイスは、たとえば、キーボード、マイクロホン、ポインティングおよび選択デバイス、カメラ、ビデオカード、ディスプレイ、ディスク506、ネットワークデバイス520などであってもよい。入出力ポート510は、たとえば、シリアルポート、パラレルポート、およびUSBポートを含んでいてもよい。
【0080】
コンピュータ500はネットワーク環境において動作可能であり、このため、i/oインターフェイス518および/またはi/oポート510を介してネットワークデバイス520に接続されてもよい。ネットワークデバイス520を介して、コンピュータ500はネットワークとやりとりしてもよい。ネットワークを介して、コンピュータ500はリモートコンピュータにロジック的に接続されてもよい。コンピュータ500がやりとりし得るネットワークは、LAN、WAN、および他のネットワークを含むものの、それらに限定されない。
【0081】
ユーティリティの供給停止中の郵便番号区域内の全てのメーターについて測定メーターデータ中の無効なデータを修正する目的で、ユーティリティ使用量データの推定を抑制するように構成されたシステム、方法、および他の実施形態について説明した。一実施形態において、推定ロジックが、ヘッドエンドデバイスを介してユーティリティシステムの区域内の複数のメーターから収集されたユーティリティ使用量データを示す測定メーターデータを読み出す。測定メーターデータは、測定メーターデータの有効な使用量データおよび無効な使用量データを特定する確認プロセスで処理されている。推定ロジックは、測定メーターデータに対して推定プロセスを行なって、有効な使用量データおよび測定メーターデータの無効な使用量データに置き換わる推定使用量データを含む修正メーターデータを生成する。推定使用量データは、有効な使用量データの少なくとも一部から少なくとも部分的に導出される。集約ロジックはある期間にわたって区域内の複数のメーターについて修正メーターデータの読出しおよび集約を行なって、当該期間に受信されたデータの全割合を指定する集約割合の値を生成する。比較ロジックは、集約割合の値を読み出してこれを閾値と比較することによって、ユーティリティの供給停止が発生した時を検出する。集約割合の値が閾値を下回ると抑制ロジックは、区域内のユーティリティの供給停止の検出を知らせるための制御信号を生成して、制御信号を介して区域内の複数のメーターについて測定メーターデータに対する推定プロセスを抑制する。
【0082】
定義および他の実施形態
他の実施形態において、説明された方法および/またはそれらの均等物はコンピュータ実行可能命令を用いて実現されてもよい。このため、一実施形態において、マシンによって実行されると、マシン(および/または関連する構成要素)に方法を行なわせる、アルゴリズム/実行可能アプリケーションの格納されたコンピュータ実行可能命令を用いて、非一時的なコンピュータ可読/記憶媒体が構成されている。マシンの例は、プロセッサ、コンピュータ、クラウドコンピューティングシステムにおいて動作するサーバ、サービスとしてのソフトウェア(SaaS)アーキテクチャにおいて構成されたサーバ、スマートフォンなどを含むが、これらに限定されない。一実施形態において、コンピューティングデバイスは、開示された方法のうちのいずれかを実行するように構成された1つ以上の実行可能アルゴリズムで実現される。
【0083】
1つ以上の実施形態において、開示された方法またはそれらの均等物は、当該方法を実行するように構成されたコンピュータハードウェア、または、当該方法を実行するように構成された実行可能なアルゴリズムを含む非一時的なコンピュータ可読媒体において具体化されるコンピュータソフトウェアのいずれかによって実行される。
【0084】
説明を簡潔にするために、図に例示された方法論はアルゴリズムの一連のブロックとして図示および説明されているが、方法論はブロックの順序によって限定されないことが理解されるであろう。いくつかのブロックは、図示および説明されたものとは異なる順序で、および/または図示および説明された以外の他のブロックと同時に起こり得る。さらに、方法論の例を実現するために、すべての図示されたブロックよりも少ないブロックが使用されてもよい。ブロックは組合わされてもよく、または複数の動作/構成要素へと分離されてもよい。さらに、付加的および/または代替的な方法論が、ブロックに例示されていない追加の動作を採用してもよい。
【0085】
以下は、本明細書に採用された選択された用語の定義を含む。定義は、ある用語の範囲に入り、実現のために使用され得る構成要素のさまざまな例および/または形を含む。例は、限定的であるよう意図されたものではない。用語の単数形および複数形は双方とも、定義の範囲に入り得る。
【0086】
「一実施形態」、「実施形態」、「一例」、「例」などと言及する場合、そのように説明された実施形態または例が特定の特徴、構造、特性、性質、要素、または限定を含み得るものの、すべての実施形態または例が必ずしもその特定の特徴、構造、特性、性質、要素、または限定を含むとは限らないことを示している。さらに、「一実施形態において」という句を繰り返し使用する場合、必ずしも同じ実施形態を指すとは限らないものの、同じ実施形態を指す場合もある。
【0087】
ASIC:特定用途向け集積回路。
CD:コンパクトディスク。
【0088】
CD−R:記録可能なCD。
CD−RW:書換え可能なCD。
【0089】
DVD:デジタルバーサタイルディスクおよび/またはデジタルビデオディスク。
HTTP:ハイパーテキスト転送プロトコル。
【0090】
LAN:ローカルエリアネットワーク。
RAM:ランダムアクセスメモリ。
【0091】
DRAM:ダイナミックRAM。
SRAM:シンクロナスRAM。
【0092】
ROM:読取り専用メモリ。
PROM:プログラマブルROM。
【0093】
EPROM:消去可能PROM。
EEPROM:電気的消去可能PROM。
【0094】
USB:ユニバーサル・シリアル・バス。
WAN:ワイドエリアネットワーク。
【0095】
「動作可能な接続」、または、エンティティが「動作可能に接続される」接続は、信号、物理的通信および/またはロジック的通信が送信および/または受信され得る接続である。動作可能な接続は、物理的インターフェイス、電気的インターフェイスおよび/またはデータインターフェイスを含み得る。動作可能な接続は、動作可能な制御を可能にするのに十分なインターフェイスおよび/または接続のさまざまな組合せを含み得る。たとえば、2つのエンティティは互いに直接的に、または1つ以上の中間エンティティ(たとえばプロセッサ、オペレーティングシステム、ロジック、非一時的なコンピュータ可読媒体)を介して、信号を互いに通信するように動作可能に接続することができる。動作可能な接続は、データを生成しメモリに当該データを格納する1つのエンティティ、および、たとえば命令制御によってメモリからそのデータを検索する別のエンティティを含んでもよい。ロジック的および/または物理的な通信チャネルを用いて、動作可能な接続を作成することができる。
【0096】
本明細書で使用されるような「データ構造」は、メモリ、ストレージデバイスまたは他のコンピュータ化されたシステムに格納されているコンピューティングシステムにおけるデータの編成である。データ構造は、たとえば、データフィールド、データファイル、データ配列、データ記録、データベース、データテーブル、グラフ、ツリー、リンクされたリストなどのうちのいずれか1つであってもよい。データ構造は、他の多くのデータ構造から形成され得るとともに、他の多くのデータ構造を含み得る(たとえば、データベースは多くのデータ記録を含む)。他の実施形態によると、データ構造の他の例も同様に実現可能である。
【0097】
本明細書で使用されるような「コンピュータ可読媒体」または「コンピュータ記憶媒体」は、実行されると開示されている機能のうちの1つ以上を実行するように構成された命令および/またはデータを格納する非一時的な媒体を指す。コンピュータ可読媒体は、不揮発性媒体および揮発性媒体を含むもののこれらに限定されない形を取ってもよい。不揮発性媒体は、たとえば、光ディスク、磁気ディスクなどを含んでいてもよい。揮発性媒体は、たとえば、半導体メモリ、ダイナミックメモリなどを含んでいてもよい。コンピュータ可読媒体の一般的な形は、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ、他の磁気媒体、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム可能ロジックデバイス、コンパクトディスク(CD)、他の光学媒体、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読取り専用メモリ(ROM)、メモリチップまたはカード、メモリスティック、ソリッドステートディスクドライブ(SSD)、フラッシュドライブ、および、コンピュータ、プロセッサまたは他の電子装置が機能可能な他の媒体を含み得るものの、これらに限定されない。各々のタイプの媒体は、一実施形態における実現例のために選択された場合、開示された機能および/またはクレームに記載された機能のうちの1つ以上を実行するように構成されたアルゴリズムの格納された命令を含み得る。
【0098】
本明細書で使用されるような「ロジック」は、本明細書で開示されるように機能または動作のいずれかを行なうように、および/または、本明細書で開示されるように別のロジック、方法および/またはシステムから機能または動作を引き起こすように、コンピュータもしくは電気的ハードウェア、実行可能なアプリケーションもしくはプログラムモジュールの命令が格納された非一時的な媒体、ならびに/またはこれらの組合せで実現される構成要素を表す。同等のロジックはファームウェア、アルゴリズムでプログラムされたマイクロプロセッサ、個別ロジック(たとえばASIC)、少なくとも1つの回路、アナログ回路、デジタル回路、プログラム化ロジックデバイス、アルゴリズムの命令を含むメモリデバイスなどを含んでいてもよい。これらはいずれも、開示された機能のうちの1つ以上を実行するように構成され得る。一実施形態において、ロジックは、1つ以上のゲート、ゲートの組合せ、または開示される機能のうちの1つ以上を実行するように構成された他の回路部品を含んでいてもよい。複数のロジックが説明される場合、その複数のロジックを1つのロジックに組込むことが可能であり得る。同様に、単一のロジックが説明される場合、その単一のロジックを複数のロジック間に分散させることが可能であり得る。一実施形態において、これらのロジックのうちの1つ以上は、開示および/またはクレームに記載された機能を実行することに係る対応する構造となる。実現すべきロジックのタイプの選択は、所望のシステム条件または規格に基づき得る。たとえば、より速い速度が検討すべき事項であれば、機能を実現するためのハードウェアが選択され得る。より低いコストが検討すべき事項であれば、機能を実現するために、格納された命令/実行可能なアプリケーションが選択され得る。
【0099】
本明細書で使用されるような「ユーザ」は、1人以上の人間、1つ以上のコンピュータもしくは他のデバイス、またはこれらの組合せを含むものの、これらに限定されない。
【0100】
開示された実施形態は極めて詳細に例示および説明されてきたが、添付の特許請求の範囲をそのように詳細に制限したり何らかの形で限定したりすることは、意図されていない。主題のさまざまな局面を説明する目的のために、構成要素または方法論のすべての考えられ得る組合せを説明することは、当然不可能である。したがって、この開示は、図示および説明された特定の詳細または説明的な実例に限定されない。このため、本開示は、添付の特許請求の範囲内に収まる変更、修正および変形を包含するよう意図されている。
【0101】
「含む」または「含んで」という語が詳細な説明または請求項において採用されている範囲では、それは、「備える」という語と同様の態様で包括的であるよう意図されている。なぜなら、その語は、採用された場合、請求項において移行的な言葉として解釈されるためである。
【0102】
「または」という語が詳細な説明または請求項において用いられている(たとえば、AまたはB)範囲では、それは、「AまたはBまたはそれら双方」を意味するよう意図されている。出願人が「AまたはBのどちらか一方だけ」を示すよう意図する場合には、「AまたはBのどちらか一方だけ」という句が使用されるであろう。このため、本明細書での「または」という語の使用は包括的使用であり、排他的使用ではない。
【0103】
本明細書で「A、BおよびCのうちの1つ以上」という句(たとえば、A、BおよびCのうちの1つ以上を格納するように構成されたデータ格納)が用いられている範囲では、それは、A、B、C、AB、AC、BCおよび/またはABCという可能性のセットを示唆する(たとえば、データ格納はAだけ、Bだけ、Cだけ、AおよびB、AおよびC、BおよびC、ならびに/または、AおよびBおよびCを格納し得る)ように意図されているが、Aのうちの1つ、Bのうちの1つおよびCのうちの1つを必要とするよう意図されたものではない。出願人が「Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、およびCのうちの少なくとも1つ」を示すよう意図している場合、「Aのうちの少なくとも1つ、Bのうちの少なくとも1つ、およびCのうちの少なくとも1つ」という句が用いられることとなる。
図1
図2
図3
図4
図5