(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の蓄電池モジュール、蓄電池ユニット、および車両用蓄電装置を、図面を参照して説明する。なお、以下に示す各図においては、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0008】
まず、実施形態の車両用蓄電装置1が搭載される鉄道車両2について、図を用いて説明する。
図1は、実施形態の車両用蓄電装置が搭載される鉄道車両を側面から見た模式図である。本実施形態の鉄道車両2は、車両用蓄電装置1と、集電装置3と、走行用モータ4とを備える。鉄道車両2は、車両の一例である。
【0009】
車両用蓄電装置1は、例えば、鉄道車両2における床下等の底部2aに配置される。車両用蓄電装置1は、集電装置3から供給された架線電力により電力を蓄える。車両用蓄電装置1は、例えば、集電装置3からの電力が遮断された場合に、鉄道車両2を走行させるために、蓄電された直流電力をインバータに供給する。インバータは、車両用蓄電装置1から供給された直流電力を電動モータ駆動用の交流電力に変換して、走行用モータ4に供給する。これにより、車両用蓄電装置1は、走行用モータ4にトルクを発生させ、鉄道車両2を矢印方向に走行させる。
【0010】
実施形態の車両用蓄電装置1は、1または複数の蓄電池ユニットが設置可能である。蓄電池ユニットは、1または複数の蓄電池モジュールが設置可能である。以下の説明では、蓄電池モジュール、蓄電池ユニット、および車両用蓄電装置1の順に説明する。
【0011】
次に、
図2から
図4に蓄電池モジュール100の構造について説明する。
図2は、実施形態の蓄電池モジュールを上面から見た図である。
蓄電池モジュール100は、板状部材110と、ヒートパイプ112と、フィン114と、カバー部材116と、複数の蓄電池120−1〜120−3と、固定部材130および132とを備える。なお、以下の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標系を用いて説明する。
図2から
図4の説明において、X方向は複数の蓄電池120が配列される方向に一致し、Y方向は板状部材110の厚み方向に一致し、Z方向は板状部材110の平面において、X方向と直交する方向に一致する。
【0012】
板状部材110は、熱伝導率の高い金属(例えば、アルミ)等である。板状部材110の内部には、複数のヒートパイプ112−1および112−2が設けられている。板状部材11は、X方向およびZ方向に延びた平面(XZ平面)が形成される。板状部材110は、Y方向に所定の厚みを有する。
【0013】
ヒートパイプ112は、Z方向に沿って延びる中空の棒状に形成されている。ヒートパイプ112は、一部が板状部材110内に埋設されている。ヒートパイプ112の一端は、板状部材110のフィン114側の面からそれぞれ外部(Z方向)に引き出されている。フィン114側の面とは、フィン側に対応する面でもよく、板状部材110の上面(平面)でもよい。外部に引き出されたヒートパイプ112−1および112−2の一端は、1または複数のフィン114を貫通した状態で設置される。
【0014】
板状部材110の平面上には、複数の蓄電池120−1〜120−3が載置される。複数の蓄電池120は、X方向に並べて配置される。例えば、複数のヒートパイプ112−1a〜112−1cおよびヒートパイプ112−2a〜112−2cは、蓄電池120−1と下部の板状部材110内に設置される。複数のヒートパイプ112−1および112−2は、それぞれが並列に配列されている。ヒートパイプ112内には、空気または水等の冷媒が収容される。ヒートパイプ112は、この冷媒によって、板状部材110に載置された複数の蓄電池120の底面から、蓄電池120の熱を効率的に吸収する。
【0015】
フィン114は、「熱交換部」の一例である。フィン114は、Z方向を厚さ方向とし、X方向に延びた薄板状に形成されている。フィン114は、Z方向に間隔を空けて複数積層されている。各フィン114は、X方向に沿って互いに平行に延在している。したがって、隣り合うフィン114同士の間には、空気が流通する流通路が形成される。
【0016】
各フィン114は、例えば、ヒートパイプ112の径よりも径の小さい開口部が設けられている。そして、開口部にヒートパイプ112を圧入することにより、所定の位置に固定される。なお、フィン114と、ヒートパイプ112との接続は、上述した圧入に限定されるものではなく、例えば固定部材等により固定させてもよい。
【0017】
蓄電池モジュール100は、各フィン114を保護するカバー部材116を備える。カバー部材116により、作業員の不意の接触や落下等の衝撃による外的負荷からフィン114を保護することができる。また、カバー部材116は、後述する蓄電池ユニットに設けられたファンから送られる風を整風する。蓄電池モジュール100に設けられる蓄電池120およびヒートパイプ112の本数等については、これに限定されるものではない。
【0018】
この構成によれば、蓄電池120−1〜120−3で発生した熱が板状部材110に伝達されると、その熱によって板状部材110の内部に設けられたヒートパイプ112内の冷媒が加熱される。加熱された冷媒は、対流によりヒートパイプ112内におけるZ方向の端部に流通する。そして、冷媒は、ヒートパイプ112内におけるZ方向の端部でヒートパイプ112およびフィン114を介して周囲の空気と熱交換される。これにより、蓄電池120で発生した熱を、冷媒、ヒートパイプ112およびフィン114を介して放熱することができる。
【0019】
板状部材110に載置された蓄電池120の一つの面には、接続コネクタ122が設けられている。蓄電池モジュール100において、接続コネクタ122が設けられる面は、例えばフィン114が設けられる面とは対面である。接続コネクタ122は、他の蓄電池120と電気的に接続するためのケーブル123を接続する。接続コネクタ122は、負極の接続コネクタ122−1と、正極の接続コネクタ122−2とを備える。蓄電池120同士を接続する場合は、一方の負極の接続コネクタ122−1と、他の蓄電池120の正極の接続コネクタ122−2とが接続される。
【0020】
また、蓄電池モジュール100は、複数の蓄電池120−1〜120−3のそれぞれを板状部材110に固定するための固定部材130−1〜130−3および132−1〜132〜3を備える。蓄電池120−1を固定する固定部材130−1は、第1の仕切り板130−1aと、第2の仕切り板130−1bとを連結させる。
【0021】
第1の仕切り板130−1aは、XY平面を有する板状で形成される。第1の仕切り板130−1aは、Z方向に所定の厚みを有する。第1の仕切り板130−1aは、板状部材110のX方向の長さに対応する位置まで延びている。第1の仕切り板130−1aは、蓄電池120−1〜120−3に対応する位置に設けられて板状部材110から引き出されたヒートパイプ112を非接触で通過させるための開口部を備える。第1の仕切り板130−1aは、蓄電池120−1とフィン114との間に設けられる。また、第1の仕切り板131−1aは、板状部材110のフィン114側の端部に、この板状部材110の延在方向に対して直交する方向に立設された形で連結される。さらに、第1の仕切り板131−1aのフィン114側の面では、カバー部材116と連結される。
【0022】
第2の仕切り板130−1bは、蓄電池120−1とフィン114との間において第1の仕切り板130−1aよりも蓄電池120に近い位置に設けられる。また、第2の仕切り板130−1bは、蓄電池120と連結される。XY平面を有する板状で形成される。第2の仕切り板130−1bは、Z方向に所定の厚みを有する。第2の仕切り板130−1bは、蓄電池120−1〜120−3のそれぞれのX方向の長さに対応する位置まで延びている。更に、それぞれの第2の仕切り板130−1bは、隣接する他の蓄電池120に対応する第2の仕切り板130−1bとの隙間が小さくなる位置、または隙間がなくなる位置まで延びている。また、板状部材110のX方向の最も右側に配置された蓄電池120−1に対する第2の仕切り板130−1bの右側端部は、板状部材110のX方向の端部まで延びている。また、板状部材のX方向の最も左側に配置された蓄電池120−3に対応する第2の仕切り板130−1bの左側端部は、板状部材110のX方向の端部まで延びている。第1の仕切り板130−1aおよび第2の仕切り板130−1bは、例えば鉄板である。
【0023】
蓄電池120−1を固定する固定部材132−1は、L字型の取り付け部材132−1aを備える。取り付け部材132−1aの一端は、4つの螺子132−1bにより、蓄電池120の接続コネクタ122が設けられる面に螺子止めされる。取り付け部材132−1aの他端は、2つの螺子132−1cにより、板状部材110の上面に螺子止めされる。板状部材110に載置される他の蓄電池120−2および120−3についても同様に固定部材130−2および130−3、並びに、固定部材132−2および132−3により固定される。なお、螺子の数については、これに限定されるものではない。これにより、蓄電池120−1〜120−3は、Z方向に対して2箇所で板状部材110に固定される。
【0024】
図3は、実施形態の蓄電池モジュールを前面から見た図である。
板状部材110に載置された複数の蓄電池120−1〜120−3は、接続コネクタ122が設けられた面が、蓄電池モジュール100の前面から見える位置に配置される。例えば、接続コネクタ122が設けられる面は、同一方向(−Z方向)に向くように配置される。これにより、作業員は、同一方向を向いた蓄電池120−1〜120−3間におけるケーブル123の接続作業を迅速に行うことができる。
【0025】
板状部材110に載置される複数の蓄電池120−1〜120−3は、負極の接続コネクタ122−1の位置が、他の蓄電池120の正極の接続コネクタ122−2と近い位置になるように配列される。これにより、蓄電池120−1の接続コネクタ122−1および蓄電池120−2の接続コネクタ122−2とを接続するケーブル123−1の長さを短くすることができる。また、蓄電池120−2の接続コネクタ122−1および蓄電池120−3の接続コネクタ122−2とを接続するケーブル123−2の長さを短くすることができる。更に、作業員による結線の間違い等を防止することができる。
【0026】
図4Aは、実施形態の蓄電池モジュール100を側面から見た図である。
板状部材110および第1の仕切り板130−1aのX方向両端には、ブラケット140および補助ブラケット150が取り付けられている。
ブラケット140は、第1の仕切り板130−1aの倒れ込みを防止するとともに、この第1の仕切り板130−1aと後述の壁板255との接圧を確保するためのものである。なお、この接圧についての詳細は後述する。
【0027】
図4Bは、実施形態のブラケット140および補助ブラケット150を分解した斜視図である。
ブラケット140は、X方向からみてZ方向に長い略長方形状に形成された板状の本体壁141と、本体壁141のZ方向両端から蓄電池120−1〜120−3に向かって屈曲されZ方向に厚みを有する第1の端壁142aおよび第2の端壁142bと、が一体成形されたものである。
【0028】
本体壁141の板状部材110側の端部は、板状部材110とX方向で重なっている。そして、本体壁141と板状部材110は、断面L字状の取付ブラケット160を介して連結されている。
本体壁141と取付ブラケット160は、螺子143により螺子止めされている。また、板状部材110と取付ブラケット160は、螺子161により螺子止めされている。
また、本体壁141には、X方向からみて中央の大部分に開口部141aが形成されている。この開口部141aは、ブラケット140の軽量化を図るためのものである。
【0029】
第1の端壁142aは、本体壁141の第1の仕切り板130−1aの側端に配置され、この第1の仕切り板130−1aに当接されている。そして、例えば溶接等により第1の仕切り板130−1aに固定されている。
なお、第1の仕切り板130−1aのX方向端部を屈曲させてこの屈曲させた箇所を本体壁141とし、第1の仕切り板130−1aのX方向端部の一部を第1の端壁142aとしてもよい。
【0030】
第2の端壁142bは、本体壁141の第1の仕切り板130−1aとは反対側端に配置されている。
また、本体壁141の蓄電池120−1〜120−3側の面(各端壁142a,142bが屈曲延出されている側の面)には、各端壁142a,142bの間を跨るように、2つの螺子挿通管145が設けられている。2つの螺子挿通管145は、板状部材110の延在方向と同様にZ方向に沿って延びており、本体壁141のY方向両側に配置されている。そして、各螺子挿通管145の長手方向両端は、各端壁142a,142bに、例えば溶接等により固定されている。
【0031】
螺子挿通管145は、螺子144を挿通可能な管である。各端壁142a,142bには、各螺子挿通管145に対応する箇所に、これら螺子挿通管145に連通する貫通孔142c,142dが形成されている。更に、第1の仕切り板130−1aには、各螺子挿通管145および貫通孔142c,142dに連通する貫通孔130aが形成されている。このような構成のもと、第2の端壁142b側から貫通孔142dを介して螺子挿通管145に螺子144を挿通すると、この螺子144の先端が第1の仕切り板130−1aの貫通孔130aを介して突出する。この突出した螺子144の先端は、後述の壁板255に螺合される。
【0032】
なお、ブラケット140を、本体壁141と各端壁142a,142bとにより構成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ブラケット140は、板状部材110と第1の仕切り板130−1aとの間に跨るように、設けられていればよい。また、ブラケット140に螺子挿通管145を設けなくてもよい。この螺子挿通管145に代わって、螺子144を挿通可能で、且つこの螺子144の先端を第1の仕切り板130−1aから突出させる挿通孔が、ブラケット140に設けられていればよい。
【0033】
このように構成されたブラケット140は、板状部材110および第1の仕切り板130−1aのX方向両端に配置された2つのブラケット140同士が、連結プレート170を介して連結されている。
連結プレート170は、X方向に長い板状の部材である。そして、連結プレート170は、2つのブラケット140の第1の端壁142aにおける板状部材110とは反対側の端部に配置されている。また、連結プレート170のX方向両端には、Z方向で第1の仕切り板130−1aとは反対側に屈曲延出された接合部171が一体形成されている。この接合部171と、2つのブラケット140の第1の端壁142aとが、例えば溶接等により固定されている。そして、連結プレート170は、第1の仕切り板130−1aに当接されている。
【0034】
補助ブラケット150は、第1の仕切り板130−1aの倒れ込みを防止するためのものであり、ブラケット140とX方向で重なる位置に配置されている。補助ブラケット150は、第1の仕切り板130−1aと板状部材110との間を跨るように、X方向からみて略L字状に形成されている。すなわち、補助ブラケット150は、板状部材110からY方向に延びる縦ブラケット151と、縦ブラケット151の板状部材110とは反対側端からZ方向で第1の仕切り板130−1aに至るまで延びる横ブラケット152と、が連続形成されたものである。縦ブラケット151と横ブラケット152との連結部には、平面取り部153が形成されている。
【0035】
また、縦ブラケット151の板状部材110側の端部には、板状部材110の一面110aと対向するように屈曲延出する取付座154が一体成形されている。この取付座154と板状部材110の一面110aとが、螺子155により螺子止めされている。
さらに、横ブラケット152の第1の仕切り板130−1a側の端部には、取付座156が一体成形されている。取付座156は、第1の仕切り板130−1aのブラケット140が配置されている側とは反対側の面に回り込むように屈曲延出されている。この取付座156と第1の仕切り板130−1aとが、例えば溶接等により固定されている。
【0036】
図4Cは、実施形態の蓄電池モジュール100を、ブラケット140を取り外した状態で側面から見た図である。
ヒートパイプ112−1およびヒートパイプ112−2は、板状部材110の内部で板状部材110のXZ平面と平行にZ方向に延びた後、蓄電池120の位置とフィン114の位置との間で、XZ平面と非平行な角度に曲げられ、蓄電池120が載置されたXZ平面から引き出される。例えば、曲げられた後のヒートパイプ112−1およびヒートパイプ112−2は、XZ平面と垂直に+Y方向に向かって引き出される。引き出されたヒートパイプ112−1およびヒートパイプ112−2は、+Y方向に変位を持ちながら所定の位置まで延びる。ヒートパイプ112−1およびヒートパイプ112−2は、それぞれ+Y方向の異なる高さまで延びた後、フィン114が設けられている方向(+Z方向)に曲げられて、フィン114と接続される。ヒートパイプ112−1およびヒートパイプ112−2は、フィン114のXY平面と垂直に交わるように接続される。
【0037】
フィン114に近い位置には、第1の仕切り板130−1aが設けられ、蓄電池120に近い位置には、第2の仕切り板130−1bが設けられている。第1の仕切り板130−1aと第2の仕切り板130−1bとの間の空間で、複数のヒートパイプ112−1および112−2が曲げられることにより、複数のヒートパイプ112−1および112−2がフィン114に接続される位置の高さを異ならせることができる。
【0038】
このように、ヒートパイプ112−1およびヒートパイプ112−2を異なる高さで曲げて、フィン114と接続させることにより、ヒートパイプ112−1およびヒートパイプ112−2とフィン114との設置部分を所定距離以上離して配置することができる。
したがって、フィン114は、ヒートパイプ112−1およびヒートパイプ112−2によって熱交換する位置を分散させることができる。これにより、ヒートパイプ112−1およびヒートパイプ112−2と、フィン114との熱交換を効率的に行うことができる。
【0039】
蓄電池モジュール100は、板状部材110から引き出されたヒートパイプ112−1およびヒートパイプ112−2がフィン114に到達するまでに+Y方向に変位している空間を利用して、上述した固定部材130−1により、第1の仕切り板130−1aと第2の仕切り板130−1bとを連結する。
【0040】
上述した第1の仕切り板130−1aは、ヒートパイプ112−1およびヒートパイプ112−2が+Y方向に変位している空間と、フィン114が設けられている空間とを仕切る。また、第2の仕切り板130−1bは、ヒートパイプ112−1およびヒートパイプ112−2が+Y方向に変位している空間と、蓄電池120−1が設けられている空間とを仕切る。
【0041】
第1の仕切り板130−1aは、螺子130−1cにより、板状部材110の1つの面(+Z方向を向いている面)と螺子止めされる。この面は、板状部材110内のヒートパイプ112−1およびヒートパイプ112−2が曲げられて板状部材110のXZ平面から引き出される位置よりも+Z方向の位置にある面である。また、第2の仕切り板130−1bは、2つの螺子130−1dおよび130−1eにより、蓄電池120の+Z方向の面と螺子止めされる。この面は、板状部材110内のヒートパイプ112−1およびヒートパイプ112−2が曲げられて板状部材110のXZ平面から引き出される位置よりも−Z方向にある位置である。第1の仕切り板130−1aおよび第2の仕切り板130−1bは、それぞれZ方向に所定の厚みを有する。また、第1の仕切り板130−1aおよび第2の仕切り板130−1bは、それぞれX方向およびY方向に延びた平面(XY平面)を形成する。
【0042】
固定部材130−1は、L字の板状形状を有する2つの固定フレーム130−1fおよび130−1gを備える。固定フレーム130−1fの一端は、第1の仕切り板130−1aと重なるように位置付けられ、螺子130−1hにより螺子止めされる。また、固定フレーム130−1gの一端は、第2の仕切り板130−1bと重なるように位置付けられ、螺子130−1iにより螺子止めされる。そして、固定フレーム130−1fの他端と、固定フレーム130−1gの他端とは、XZ平面と平行な位置で重ねられ、他端同士が螺子130−1jにより螺子止めされる。したがって、第1の仕切り板130−1aと第2の仕切り板130−1bとは、双方に固定される。
【0043】
このように、第1の仕切り板130−1aのXY平面と、第2の仕切り板130−1bのXY平面とで挟まれた空間内において、ヒートパイプ112−1およびヒートパイプ112−2が曲げられており、更に、+Y方向に変位させている。また、ヒートパイプ112−1およびヒートパイプ112−2が曲げられている空間および+Y方向に変位させる空間の上方にある空間を利用している。このように、固定部材130−1により蓄電池120−1を板状部材110に載置させた状態で固定させることができる。したがって、蓄電池モジュール100の省スペース化を図ることができる。
【0044】
蓄電池120−1は、固定部材132−1により、固定部材130−1で蓄電池120を固定した面の対面が固定される。固定部材130および132により、蓄電池120をZ方向に対して前後の2つの位置で固定することにより、蓄電池120を安定して固定させることができる。また、1つの板状部材110に複数の蓄電池120を載置することで、大容量の蓄電容量が必要な場合に、複数の蓄電池120を纏めてモジュール化することができるため、全体の収容スペースを削減することができる。
【0045】
次に、
図5から
図8に基づいて、蓄電池モジュール100を含む蓄電池ユニット200について、図を用いて説明する。なお、
図5から
図8の説明において、X方向は筐体210の水平方向に一致し、Y方向は筐体210の鉛直方向に一致し、Z方向はXY平面に直交する方向に一致する。
【0046】
図5は、実施形態の蓄電池ユニットの組み立ての様子を説明するための図である。
蓄電池ユニット200の筐体210は、開口部220と、棚板230と、収容部240とを備える。
【0047】
筐体210は、鉄等で形成される。筐体210は、Z方向に長い直方体形状に形成されている。筐体210は、XY平面を形成する一方の面に蓄電池モジュール100を挿入する開口部220Aを有する。また、筐体210は、開口部220Aが設けられた面の反対側の面にも蓄電池モジュールを挿入する開口部220Bを有する。また、筐体210において、2つの開口部220Aおよび220Bの間に形成されている面(YZ平面)の一つには、ファン250を収容する収容部240を有する。収容部240の形状は、四角形状であり、ファン250が挿入されるように開口されている。
【0048】
筐体210の内部には、蓄電池モジュール100が所定の位置に配置されるように棚板230が設けられている。棚板230は、蓄電池モジュール100が、開口部220Aから挿入される方向(+Z方向)および開口部220Bから挿入される方向(−Z方向)に延びて形成される。棚板230は、蓄電池モジュール100の底部に接する位置に設けられる。棚板230は、筐体210の内部の面に固定されている。棚板230は、蓄電池モジュール100が1つの開口部220から挿入される数に応じて設置される。
【0049】
蓄電池ユニット200には、開口部220Aから、3つの蓄電池モジュール100が+Y方向に3段で配列されるように配置される。作業員は、蓄電池モジュール100を筐体210内に収容させる際、各蓄電池モジュール100を各段に合わせて設けられた棚板230の上に置き、蓄電池モジュール100を棚板230上に移動させながら、筐体210のZ方向の奥まで挿入する。これにより、蓄電池モジュール100を容易に収容することができる。
【0050】
棚板230の受け部分(蓄電池モジュール100の底面との接触面)は、例えば、ステンレスである。ステンレスを用いることで、蓄電池モジュール100を棚板230上で、スライドさせやすくすることができる。ステンレスを用いることで、棚板230の受け部分に、メッキ等の塗装を行う必要もなく、チタン等の金属を用いるよりも安価に形成することができる。
【0051】
筐体210内に収容される各蓄電池モジュール100のフィン114を有する面は、収容部240がある空間内に、一方向に向けた状態で複数配置される。なお、配置される蓄電池モジュール100の数はこれに限定されるものではない。例えば、蓄電池ユニット200の筐体210には、開口部220Aおよび開口部220Bのうち、いずれか一方のみが設けられていてもよい。この場合、設けられた開口部から3つの蓄電池モジュール100が一方向から配置される。また、蓄電池ユニット200は、蓄電池モジュール100を縦方向に配列させるのではなく、横方向に配列させてもよい。
【0052】
図6は、
図5のVI−VI線に相当する概略断面図である。
図6の例では、筐体210に各蓄電池モジュール100が収容された状態を示している。
蓄電池ユニット200には、開口部220Aおよび開口部220Bから、それぞれ3つの蓄電池モジュール100が配置される。
【0053】
開口部220Aから挿入した蓄電池モジュール100のうち、最下面に配置された蓄電池モジュール100−1aには、蓄電池120−1a〜蓄電池120−3aが配列されている。開口部220Bから挿入した蓄電池モジュール100のうち、最下面に配置された蓄電池モジュール100−1bには、蓄電池120−1b〜蓄電池120−3bが配列されている。このとき、筐体210内は、各蓄電池モジュール100のフィン114の設けられた面が、収容部240に設置されるファン250による送風を受けられるように収容されている。
【0054】
また、筐体210内には、挿入された蓄電池モジュール100の蓄電池120と、フィン114とで隔離するための壁板255が設けられている。壁板255には、フィン114およびカバー部材116を挿入するための開口部255aが形成されている。
【0055】
筐体210内に挿入された蓄電池モジュール100は、フィン114およびカバー部材116が壁板255の開口部255aを通過し、壁板255の開口部255aの周囲と蓄電池モジュール100の第1の仕切り板130−1aとが当接される。
ここで、壁板255には、第1の仕切り板130−1aに形成されている貫通孔130aに対応する位置に、雌ネジ部255b(
図2、
図4Bに詳細示す)が設けられている。そして、蓄電池モジュール100に設けられたブラケット140(
図4A、
図4B参照)の第2の端壁142bの貫通孔142dから挿入された螺子144の先端は、螺子挿通管145を通り、さらに、第1の端壁142aの貫通孔142c、第1の仕切り板130−1aの貫通孔130aの順に通り、壁板255の雌ネジ部255bに螺合される。これにより、壁板255に第1の仕切り板130−1aが締結固定される。
【0056】
第1の仕切り板130−1aと、壁板255とが接触することで、蓄電池モジュール100の収容位置が固定される。また、第1の仕切り板130−1aと、壁板255とが接触することで、筐体210内のフィン114が設けられている空間と蓄電池120が設けられている空間とが隔離される。第1の仕切り板130−1aと、壁板255との接触部分には、パッキン等のシール部材を備えている。
【0057】
ここで、螺子144により、壁板255に第1の仕切り板130−1aが締結固定されている。螺子144が挿通される螺子挿通管145は、板状部材110の延在方向と同様にZ方向に沿って延びている。すなわち、第1の仕切り板130−1aに対して直交する方向に延びている。このため、螺子144を締め付けると、この螺子144の軸力により第1の仕切り板130−1aがパッキン等のシール部材が押圧されて若干圧縮変形される。また、ブラケット140の本体壁141が第1の仕切り板130−1aと直交するZ方向に長い略長方形状に形成されている。このため、ブラケット140を介して第1の仕切り板130−1aに螺子144の軸力が確実、且つ効果的に伝達される。この結果、シール部材と壁板255との間の接圧、およびシール部材と第1の仕切り板130−1aとの間の接圧が、適正な圧力に保たれる。よって、壁板255と第1の仕切り板130−1aとの間を確実にシールできる。
【0058】
さらに、ブラケット140は、本体壁141のZ方向両端から蓄電池120−1〜120−3に向かって屈曲されZ方向に厚みを有する第1の端壁142aおよび第2の端壁142bと、により構成されている。そして、各端壁142a,142bの間を跨るように、2つの螺子挿通管145が設けられているので、各端壁142a,142bおよび螺子挿通管145にかかる螺子144の軸力を、効果的に第1の仕切り板130−1aに伝達できる。
【0059】
そして、本体壁141と板状部材110は、取付ブラケット160を介して連結されているので、ブラケット140によって、壁板255に第1の仕切り板130−1aを確実に押圧できるばかりか、第1の仕切り板130−1aの倒れ込みも確実に防止できる。
また、本体壁141と板状部材110とを直接締結固定する場合、これら本体壁141と板状部材110との間に隙間が生じると、螺子143により螺子止めする際に、本体壁141が変形してしまう可能性がある。しかしながら、取付ブラケット160を介して本体壁141と板状部材110とを固定することにより、本体壁141の変形を確実に防止できる。
【0060】
また、第1の仕切り板130−1aと板状部材110との間を跨るように、補助ブラケット150が設けられているので、第1の仕切り板130−1aの倒れ込みも防止できる。しかも、補助ブラケット150は、ブラケット140とX方向で重なる位置に配置されている。この結果、ブラケット140の機械的強度を補助するように機能し、螺子144を締め付けた際に、壁板255に向かって第1の仕切り板130−1aを確実に押圧できる。よって、壁板255と第1の仕切り板130−1aとの間を確実にシールできると共に、壁板255に第1の仕切り板130−1a(蓄電池モジュール100)を強固に固定できる。
【0061】
さらに、板状部材110および第1の仕切り板130−1aのX方向両端に配置された2つのブラケット140同士が、連結プレート170を介して連結されている。そして、連結プレート170は、第1の仕切り板130−1aに当接されている。このため、ブラケット140と共に、連結プレート170が第1の仕切り板130−1aを押圧し、第1の仕切り板130−1aの全体を壁板255に押し付けることができる。よって、シール部材と壁板255との間の接圧、およびシール部材と第1の仕切り板130−1aとの間の接圧を、より確実に適正な圧力で保つことができる。
【0062】
このように、筐体210内に蓄電池モジュール100を挿入し、第1の仕切り板130−1aがシール部材と当接した場合に、フィン114が配列された空間と、蓄電池120が配列された空間とが、第1の仕切り板130−1aおよび壁板255により、筐体210内で隔離される。そのため、フィン114が設けられている空間の水等の流体や空気および塵埃等が、蓄電池120が設けられている空間へ進入するのを防止することができる。また、フィン114が収容されている空間の気密性を高めることができる。
【0063】
収容部240に設置されるファン250は、各蓄電池モジュール100のフィン114に対して、外部からの吸入した風を共通に送風する。また、ファン250は、吸入した風を、蓄電池モジュール100のフィン114が配置された筐体210内部の空間を通って、筐体210における収容部240と反対の位置に設けられた排気口260から排気させる。蓄電池モジュール100に設けられたカバー部材116は、ファン250から送られる風を整風して、排気口260から効率的に排気させる。
【0064】
図7は、実施形態の蓄電池ユニットにファンが取り付けられる部位で示す側面図である。
ファン250は、開口部220Aおよび220Bから挿入される蓄電池モジュール100の段数に応じて配置される。なお、ファン250は、蓄電池モジュール100の段数に関係しない数が設置されてもよい。
【0065】
ファン250は、羽状の回転体が形成されており、この回転体を回転させることにより、外気を吸入する。回転体の回転速度等により、フィン114に送風する風の量や強さを調整することができる。ファン250は、筐体210の内部に吸入した外気を蓄電池モジュール100のフィン114が隔離された空間に送風させる。送風された空気は、フィン114の熱を吸収し、排気口260により排気される。このように、蓄電池ユニット200は、各蓄電池モジュール100のフィン114が設けられた部分を、ファン250による風を受けられる状態で複数収容することで、熱交換を効率的に行うことができる。
【0066】
また、蓄電池ユニット200は、フィン114が収容された空間は気密性を高いため、ファン250による風の流れがよくなる。そのため、効率的な熱交換を行うことができるとともに、品質を確保しやすくなる。各蓄電池モジュール100のフィン114が設けられた部分を集めることで、気密性を確保するための仕切りの壁を多く設置する必要がないため、蓄電池ユニット200の省スペース化を図ることができる。また、蓄電池120の容量または出力の増加に伴い、蓄電池120の熱量が増加した場合であっても、熱交換の性能を向上させることができる。
【0067】
図8は、実施形態の蓄電池ユニットに収容された蓄電池の配線の様子を説明するための図である。
例えば、開口部220Aから3つの蓄電池モジュール100が縦に配列されている場合、+Y方向に対して、各層の蓄電池モジュール100−1a〜100−3aを合わせて合計9個の蓄電池120−1〜120−9が配列される。また、開口部220Bに収容された3つの蓄電池モジュール100にも合計9個の蓄電池120が配列される。蓄電池ユニット200は、これら18個の蓄電池120を、ケーブル123を用いて直列に接続する。
【0068】
例えば、最上位にある第3層に配置された蓄電池モジュール100−3aのうち、最も左側にある蓄電池120−9の接続について説明する。この蓄電池120−9の負極の接続コネクタ122−1は、開口部220Aの対面にある蓄電池ユニット200の開口部220Bから挿入された蓄電池モジュール100に接続される。より具体的には、蓄電池120−9の負極の接続コネクタ122−1は、3つの蓄電池モジュール100の最下位にある第1層の蓄電池モジュール100に接続される。更に、この蓄電池モジュール100の最も右側にある蓄電池の正極の接続コネクタ122−2からのケーブルと、蓄電池120−9の負極の接続コネクタ122−1とが接続される。
【0069】
また、第3層の最も右側にある蓄電池120−7の正極の接続コネクタ122−2と接続されたケーブルは、第2層に配置された蓄電池モジュール100−2aの最も左側にある蓄電池120−6の負極の接続コネクタ122−1と接続される。
【0070】
次に、第2層に配置された蓄電池モジュール100−2aのうち、最も右側にある蓄電池120−4の接続について説明する。この蓄電池120−4の正極の接続コネクタ122−2と接続されたケーブルは、第1層に配置された蓄電池モジュール100−1aに接続される。より具体的には、この蓄電池モジュール100−1aの最も左側にある蓄電池120−3の負極の接続ケーブル12201に、正極の接続コネクタ122−2と接続されたケーブルが接続される。
【0071】
また、第1層に配置された蓄電池モジュール100−1aの最も右側にある蓄電池120−1の正極の接続コネクタ122−2に接続されたケーブルは、後述する主回路機器や制御回路機器の正極の接続コネクタと接続される。また、主回路機器や制御回路機器の正極の接続コネクタに接続されたケーブルは、開口部220Bから挿入された3つの蓄電池モジュール100の最上位にある第3層の最も左側にある蓄電池の負極の接続コネクタ122−1と接続される。開口部220Bから挿入された3つの蓄電池モジュール100についても各層間で上述と同様に接続される。また、各蓄電池モジュール100−1a、100−2a、および100−3aの中心にある蓄電池120−2、120−5、および120−8は、その両側にある蓄電池120の異極の接続コネクタと接続される。
【0072】
このような接続状態により、蓄電池ユニット200に収容された全18個の蓄電池120を、電気的に直列に接続することができる。また、蓄電池120−1〜120−3、蓄電池120−4〜120−6、蓄電池120−7〜120−9を、蓄電池ユニット200に収容する前に予め接続しておくことで、結線作業を効率化することができる。また、蓄電池120間の接続は、コネクタ間の距離に応じたケーブルを、筐体210内に予め設置しておく。これは、ケーブルの接続ミスがないようにするためである。これにより、蓄電池ユニット200の所定の位置に蓄電池モジュール100を組み付けた後に、設置されたケーブルを用いて間違いなく結線させることができる。
【0073】
次に、
図9から
図16に基づいて、車両用蓄電装置1について説明する。なお、
図9から
図16の説明において、X方向は筐体310の水平方向に一致し、Y方向は筐体310の鉛直方向に一致し、XY平面に直交する方向に一致する。
図9は、車両用蓄電装置1の組み立ての様子を説明するための図である。
車両用蓄電装置1の筐体310は、例えばX方向およびZ方向にほぼ同じ長さを有する直方体形状に形成されている。筐体310は、例えば鉄等である。筐体310には、一方の面(YZ平面)に、蓄電池モジュールを挿入する挿入口320aが形成されている。また、筐体310には、挿入口320aが設けられた反対の面に、もう一つの1つの蓄電池ユニット200を挿入する挿入口320bが形成されている。
【0074】
筐体310の内部には、蓄電池ユニット200が所定の位置に配置されるように棚板311が設けられる。なお、棚板311の代わりに位置決めガイドが設けられてもよい。棚板311の受け部分(蓄電池ユニット200の底面との接触面)は、例えば、ステンレスである。ステンレスを用いることで、蓄電池ユニット200を棚板311上に載置したまま、奥にスライドさせやすくすることができる。ステンレスを用いることで、棚板311の受け部分に、メッキ等の塗装を行う必要もなく、チタン等の金属を用いるよりも安価に形成することができる。
【0075】
蓄電池ユニット200は、筐体310の挿入口320aおよび320bから、ファン250を有する面が筐体310の外側に露出して配置される状態で挿入される。なお、蓄電池ユニット200には、筐体210にカバー部材280が取り付けられている。カバー部材280には、蓄電池ユニット200を挿入する際に、作業員が利用する取手280aが設けられている。また、カバー部材290には、網状のカバー部材290aが設けられている。網状のカバー部材290aを設けることで、蓄電池120の熱を蓄電池ユニット200の外部に逃がしやすくすることができる。
【0076】
図10は、
図9のX−X線に相当する概略断面図である。
車両用蓄電装置1の筐体310には、例えば、第1の領域312と第2の領域314とが設けられている。第1の領域312は、2つの蓄電池ユニット200aおよび200bを設置する領域である。第2の領域314は、蓄電池ユニット200により電力が供給される主回路機器350、および蓄電池ユニット200に対する稼働制御等の各種制御を行う制御回路機器360を設置する領域である。主回路機器350には、例えば、ヒューズやコンタクタ等の電気部品が設けられている。また、制御回路機器360には、例えば、制御ユニット、制御電源、リレー等の電気部品が設けられている。
【0077】
筐体310内には、2つの蓄電池ユニット200aおよび200bを収容する空間と、主回路機器350および制御回路機器360を収容する空間とを隔離する隔壁315が設けられている。隔壁315は、XY平面を有する板状の壁である。隔壁315は、Z方向に所定の厚みを有する。隔壁315は、2つの蓄電池ユニット200aおよび200bが収容された空間と、主回路機器350および制御回路機器360の収容された空間との間で、配線を通すための開口部を有する。
【0078】
主回路機器350と、制御回路機器360とを2つの蓄電池ユニット200a、200bから隔離して収容することで、蓄電池ユニット200の影響を回路機器側で受けることがなく、また作業員による電気部品のメンテナンスや蓄電池ユニット200の交換時にも安全性を確保することができる。
【0079】
車両用蓄電装置1には、主回路機器350と外部機器とを電気的に接続させる主回路コネクタ330と、制御回路機器360と外部機器とを電気的に接続させる制御回路コネクタ340A,340Bとが設けられている。
【0080】
筐体310には、排気口370が設けられている。排気口370は、蓄電池ユニット200aの排気口260aと、蓄電池ユニット200bの排気口260bと連結されており、ファン250aおよび250bにより吸入された空気を車両用蓄電装置1の外(−Y方向)に排出する。車両用蓄電装置1の筐体310には、側面や底面等に蓄電池ユニット200、主回路機器350、および制御回路機器360への接触を防止するカバー部材380が設けられている。筐体310の底面には、着脱可能なカバー部材380−1〜380−3が設けられている。筐体310の側面には、着脱可能なカバー部材380−4が設けられている。
【0081】
カバー部材380−1は、筐体310の底面であって、第2の領域314内の主回路機器350および制御回路機器360が収容された位置の間に設けられた開口部をカバーする部材である。カバー部材380−1は、開口部の形状に対応する四角形の板状形状である。カバー部材380−1を取り外すことで、筐体310の底面に設けられた開口部から作業員が第2の領域314内に手を入れて、内部の配線作業等を行うことができる。
【0082】
カバー部材380−2および380−3は、筐体310の底面であって、第1の領域312内の2つの蓄電池ユニット200a、200bが収容された位置の間に設けられた2つの開口部をカバーする部材である。2つの開口部は、排気口370を挟む位置に同一形状で設けられる。カバー部材380−2および380−3は、例えば開口部の形状に対応する四角形の板状形状である。カバー部材380−2および380−3を取り外すことで、作業員が第1の領域312内に手を入れて配線作業等を行うことができる。
【0083】
カバー部材380−4は、筐体310の側面(YZ平面)であって、第2の領域314内の制御回路機器360が収容された位置の間に設けられた開口部をカバーする部材である。カバー部材380−4は、開口部の形状に対応する四角形の板状形状である。カバー部材380−4を取り外すことで、作業員が第2の領域に設けられた制御回路機器360を操作することができる。制御回路機器360は、主回路機器350よりも低電圧であるため、作業員が直接手を触れても感電等になる可能性がない。
【0084】
筐体310内には、筐体310と蓄電池ユニット200との接触部分にパッキン等のシール部材を備える。これにより、筐体310において、蓄電池ユニット200がある空間と、排気口370、並びにおよびカバー部材380−2および380−3とがある空間とを、遮断することができ、排気口370やカバー部材380−2および380−3を開けたときに入り込む水分やゴミ等を蓄電池ユニット200内に入り込むことを防止することができる。
【0085】
図11は、実施形態の車両用蓄電装置1を、ファンおよび主回路機器が設けられた側面側から見た図である。
車両用蓄電装置1の筐体310のファン250aおよび250bを有する面側には、ファン250aの吸風側に配置されたフィルタ部390が設けられている。フィルタ部390は、ファン250aおよびファン250bを収容した筐体210の収容部240aおよび240bの突起部分と接続される。フィルタ部390を設けることで、外部からのゴミ等が筐体310の内部に混入するのを防止することができ、車両用蓄電装置1の安全性を向上させることができる。
【0086】
また、筐体310の第2の領域314には、主回路機器350の正面に扉部400が設けられている。筐体310に設けられたに扉部400を開けることで、作業員は、主回路機器350に手を触れることができる。しかしながら、主回路機器350は、通常、高電圧であるため、作業員が電気部品のメンテナンスや蓄電池ユニット200との配線作業を行う場合に、感電する可能性がある。そこで、車両用蓄電装置1には、扉部400の開閉が制限されるように、インターロック機構を設けて感電を防止する。
【0087】
扉部400は、例えば、作業員が扉部400の開閉を行うための取手部432を備える。扉部400とカバー部材380とは、蝶番434a,434bにより筐体310の側面と連結されている。ここで、作業者が取手部432を持って扉部400を引くと、扉部400は、蝶番434a,434bを基準に回転し、開閉動作が行われる。しかしながら、プラグ410が筐体310の天面310aに設けられたレセプタクル412に装着されている場合、プラグ410の一部が扉部400の回転動作で通過する軌道を遮る位置に存在することになる。そのため、扉部400を開くことができない状態となる。
【0088】
なお、実施形態では、インターロック機能として4つのプラグ410が装着できるように、4つのレセプタクル412が設けられている。したがって、4つのレセプタクル412のうち、少なくとも1にプラグ410が装着されている場合には、扉部400を開くことができない。以下に、フィルタ部390およびプラグ410について、具体的に説明する。
【0089】
図12は、実施形態のフィルタ部の一例を示す図である。
フィルタ部390は、車両用蓄電装置1の外部側からファン250の方向に向かって、順に、第1のフィルタ部392と、第2のフィルタ部394と、第3のフィルタ部396とが並べられて配置されている。
【0090】
第1のフィルタ部392は、いわゆるルーバー状に形成されたフィルタである。第1のフィルタ部392は、幅の狭い複数の羽根板392aを上部から下部に向かって外側に所定の傾斜を持たせて、斜めに並べる。これにより、第1のフィルタ部392は、矩形の複数の開口部が形成される。第1のフィルタ部392は、例えば、鉄やステンレス等の金属である。第1のフィルタ部392により、雨や雪、葉っぱ等の大きなゴミ等が車両用蓄電装置1の筐体310内に入り込むのを防止することができる。
【0091】
第2のフィルタ部394は、第1のフィルタ部392に比して開口部の狭い網目状に形成されたフィルタである。第2のフィルタ部394は、例えば鉄やステンレス等の金属でもよく、樹脂等でもよい。第2のフィルタ部394は、鉄板等を所定の小口径で開口させた孔を配列したパンチング板でもよい。第2のフィルタ部394により、更に細かいゴミが車両用蓄電装置1の筐体310内に入り込むのを防止することができる。
【0092】
第3のフィルタ部396は、第2のフィルタ部394に比して細かい多孔形状に形成されたフィルタである、第3のフィルタ部396は、例えば、スポンジ等の濾材である。第3のフィルタ部396により、塵埃等の小さな粉塵等が車両用蓄電装置1の筐体310内に入り込むのを防止することができる。
【0093】
図13は、実施形態のプラグの一例を示す図である。
上述したインターロック機構の一例としては、扉部400が開く場合に通過する軌道を遮る位置にプラグ410が装着されるように、扉部400の前面にレセプタクル412を設ける。レセプタクル412は、筐体310の天面310aに設けられる。プラグ410は、例えば、円筒形状でもよく直方体等の筒形状でもよい。プラグ410は、例えば、端部410aと、導通部410bと、本体部410cと、取手部410dと、を備える。
【0094】
端部410aは、プラグ410を挿入するレセプタクル412の筒状内部と当接される部分である。端部410aには、制御線が設けられており、この制御線のオン/オフは、プラグ410のレセプタクル412への装着またはレセプタクル412からの取り外しに連動してプラグの有無に関する情報が電気信号で主回路機器350に通知されるようになっている。
【0095】
導通部410bは、導通可能な金属で形成されており、挿入時には、蓄電池ユニット200から延びる配線と、主回路機器350から延びる配線とを導通させる金属等で形成される。本体部410cは、内部に円筒状の凹部410eが設けられている。凹部410eにレセプタクル412を挿入することで、レセプタクル412の表面と、凹部410eの内面とが当接され、プラグ410がレセプタクル412に装着される。なお、本体部410cの表面には、プラグ410とレセプタクル412との装着時の位置決めを行うためのライン410fが設けられてもよい。取手部410dは、プラグ410をレセプタクル412から着脱するために作業員が持つ部分である。
【0096】
図14は、実施形態のプラグの装着時の電気的な接続状態を説明するための図である。
筐体310の天面310aには、主回路機器350から延びる配線が設けられている。例えば、プラグ410をレセプタクル412に装着した場合、主回路機器350から延びる配線420は、導通部410bを介して、蓄電池ユニット200側の配線422に接続される。これにより、電気的に導通することができる。なお、プラグ410がレセプタクル412に装着されている場合には、扉部400が開く際の軌道416にプラグ410の取手部410dが存在するため、扉部400を開くことができない。
【0097】
一方、プラグ410をレセプタクル412から外した場合には、配線420と、配線422とが電気的に遮断される。したがって、蓄電池ユニット200等から供給される主回路機器350等への電力が遮断される。
【0098】
例えば、予め設けられた4つのレセプタクル412の全てにプラグ410が装着されていない状態である場合、扉部400の回転動作で通過する軌道を遮るプラグ410が存在しない。そのため、作業者は、取手部432を持って扉部400を開くことができる。
【0099】
上述した構成により、プラグ410がレセプタクル412から取り外された場合に、蓄電池ユニット200により高電圧が印加されている主回路機器350から電圧を物理的に切り離すことができ、また扉部400を開くことができる。したがって、例えば主回路機器350に対するメンテナンス時の電気部品の取扱いの際の作業員の安全性を確保することができる。
【0100】
また、上述した各カバー部材380−1〜380−4や扉部400の裏面部には、湿度対策を目的とした調湿剤を設けてもよい。調湿剤は、車両用蓄電装置1内の湿度に応じて吸湿、放湿を繰り返す可逆特性を持っている。調湿剤は、額縁状の固定プレートにより抜け落ちないように保持されている。
【0101】
また、実施形態の車両用蓄電装置1には、蓄電池ユニット200の高温等による火災を防止するために、消火用配管が設けられてもよい。以下、
図15および
図16を用いて消火用配管について説明する。
【0102】
図15は、実施形態の車両用蓄電装置を上面から見た場合における消火用配管の取り付け状態を説明するための図である。
消火用配管500は、筐体310の第1の領域312に収容された蓄電池ユニット200a,200bの形状に対応させて、蓄電池ユニット200a,200bの上面に取り付けられる。消火用配管500は、第2の領域314内に設けられた消火器510と接続されている。消火用配管500は、消火器510による加圧により、消火器510から供給された消火剤が加圧された状態で充填された配管である。消火用配管500には、加圧されていない状態の消火剤が充填されていてもよい。消火剤とは、例えば、気体でもよく、空気に触れることで気化する液体でもよく、粉末状の固体でもよい。
【0103】
図16は、実施形態の車両用蓄電装置を側面から見た場合における消火用配管の取り付け状態を説明するための図である。
消火用配管500は、筐体310の天面310aに取り付けられる。天面310aには、フック部材520が設けられている。作業員は、このフック部材520に消火用配管500を引っかけることで、消火用配管500を天面310aに取り付けることができる。なお、フック部材520の配置や数については、図の例に限定されるものではない。
【0104】
また、消火用配管500は、例えば、周囲の温度が所定温度以上である場合に溶けることが可能な樹脂製のチューブである。したがって、消火用配管500は、蓄電池ユニット200の温度が所定温度以上になった場合に、その部分の天面310aにある消火用配管500が溶けて、配管内から消火剤を散布させることができる。また、配管内を加圧しておくことで、広範囲に消火剤を散布させることができる。これにより、例えば、蓄電池ユニット200が高温になった場合であっても、火災等を防止することができる。
【0105】
以上説明した実施形態の蓄電池モジュール100は、複数の蓄電池120と、複数の蓄電池120が載置される板状部材110と、熱交換を行うフィン114と、板状部材110の内部における複数の蓄電池120のそれぞれに対応した箇所に配設され、板状部材110の複数の蓄電池120が載置される面からそれぞれ引き出され、板状部材110の外部においてフィン114に接続されていることにより、省スペース化を実現できる。
【0106】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。