(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707663
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】高信頼・低遅延トラフィック用の無線リソース管理のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
H04W 28/04 20090101AFI20200601BHJP
H04W 72/14 20090101ALI20200601BHJP
H04W 72/10 20090101ALI20200601BHJP
【FI】
H04W28/04 110
H04W72/14
H04W72/10
【請求項の数】21
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2018-555713(P2018-555713)
(86)(22)【出願日】2017年4月10日
(65)【公表番号】特表2019-518367(P2019-518367A)
(43)【公表日】2019年6月27日
(86)【国際出願番号】CN2017079939
(87)【国際公開番号】WO2017185968
(87)【国際公開日】20171102
【審査請求日】2018年12月3日
(31)【優先権主張番号】15/139,155
(32)【優先日】2016年4月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504161984
【氏名又は名称】ホアウェイ・テクノロジーズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】テニー、ネイサン エドワード
(72)【発明者】
【氏名】リウ、ビン
【審査官】
横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】
特表2010−537542(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0170515(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0163540(US,A1)
【文献】
Qualcomm Incorporated,Frame structure requirements[online],3GPP TSG-RAN WG1#84b R1-162206,2016年 4月 2日,[検索日2019.11.14], インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_84b/Docs/R1-162206.zip>, 2節
【文献】
Huawei, HiSilicon,Overview of resource allocation mechanism for V2V[online],3GPP TSG-RAN WG1#82b R1-155662,2015年 9月26日,[検索日2019.11.14], インターネット<URL:https://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_82b/Docs/R1-155662.zip>, 2節
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
3GPP TSG RAN WG1−4
SA WG1−4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の送信機からのワイヤレス伝送を管理するための方法であって、
ネットワークエンティティが、第1サービスに関連付けられた第1デバイスに第1グラントを指示する段階であって、前記第1グラントは、前記第1サービスのための伝送用の第1リソースと前記第1サービスのための再伝送用の第2リソースとを含む、段階と、
前記ネットワークエンティティが、第2サービスに関連付けられた第2デバイスに第2グラントを指示する段階であって、前記第2グラントは、前記第2サービスのための伝送用の前記第1リソースと前記第2サービスのための再伝送用の第3リソースとを含む、段階と、
前記ネットワークエンティティが、第3サービスに関連付けられた第3デバイスに第3グラントを指示する段階であって、前記第3グラントは、前記第3サービスのための伝送用の前記第1リソースを含む、段階と
を備え、
前記第1サービスおよび前記第2サービスは、前記第3サービスよりも高い伝送信頼性要件を有する、
方法。
【請求項2】
前記第1サービスおよび前記第2サービスは、前記第3サービスよりも短い伝送遅延要件を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1サービスおよび前記第2サービスは、前記第3サービスの伝送とのコンテンションが生じた場合に伝送の受信が成功する可能性が高いことを保証する、前記第3サービスよりも高い伝送電力、より好ましい変調・符号化方式(MCS)、または他のパラメータを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1デバイスおよび前記第2デバイスの伝送をスケジューリングすることなく伝送を行うように、前記第1グラントが前記第1デバイスに指示され、前記第2グラントが前記第2デバイスに指示される、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1デバイスが自機のスケジューラエンティティを変更したときに、前記第1サービスのための前記第1グラントに関する更新を前記第1デバイスへ送信する段階と、
前記第2デバイスが自機のスケジューラエンティティを変更したときに、前記第2サービスのための前記第2グラントに関する更新を前記第2デバイスへ送信する段階と
をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1グラントおよび前記第2グラントに関する前記更新は、前記第1サービスおよび前記第2サービスに関する測定されたチャネル状況に基づいて決定される前記第1グラントおよび前記第2グラントに関する変調・符号化方式の変更を指示する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1サービスおよび前記第2サービスを確立したときに、前記第1サービスのための前記第1デバイスおよび前記第2サービスのための前記第2デバイスの承認処理を行う段階と、
前記第1デバイスおよび前記第2デバイスの承認が成功したときに、前記第1デバイスを前記第1サービスに登録し、前記第2デバイスを前記第2サービスに登録する段階と
をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記第1リソース、前記第2リソース、および前記第3リソースは、時間リソース、周波数リソース、符号リソース、またはそれらの組み合わせである、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1リソース、前記第2リソース、および前記第3リソースは、伝送時間間隔(TTI)またはTTI内のシンボルである、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
複数の送信機からのワイヤレス伝送を処理するための方法であって、
第1デバイスがネットワークへ、第1サービスのための第1伝送を、前記第1サービス、第2デバイスに関連付けられた第2サービス、および第3デバイスに関連付けられた第3サービスに割り振られた第1伝送リソース上で送信する段階であって、前記第1サービスおよび前記第2サービスは、前記第3サービスよりも高い伝送信頼性要件を有する、段階と、
前記第1伝送と前記第2デバイスからの前記第2サービスのための第2伝送との間において前記第1伝送リソース上でコンテンションが生じたときに、前記第1デバイスが前記ネットワークから、前記第1伝送の失敗の指示を受信する段階と、
前記第2サービスには割り振られず前記第1サービスに割り振られた第2伝送リソース上で、前記第1サービスのための前記第1伝送の少なくとも一部分を再送信する段階と
を備える、方法。
【請求項11】
前記第1サービスおよび前記第2サービスは、前記第3サービスよりも短い伝送遅延要件を有する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
受信された前記指示は、前記失敗が始まった前記第1伝送におけるシンボルを指定する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記第1伝送は、指定された前記シンボルから始めて再送信される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1伝送の再送信された前記一部分は、指定された前記シンボルのみを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記第1伝送は、第1伝送レイヤプロトコルにおいて送信され、前記第1伝送レイヤプロトコルよりも上位の第2伝送レイヤプロトコルにおいて再送信される、請求項10から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
複数の送信機からのワイヤレス伝送を処理するための方法であって、
第1デバイスがネットワークへ、第1サービスのための第1伝送を、前記第1サービス、第2デバイスに関連付けられた第2サービス、および第3デバイスに関連付けられた第3サービスに割り振られた第1伝送リソース上で送信する段階であって、前記第1サービスおよび前記第2サービスは、前記第3サービスよりも高い伝送信頼性要件を有する、段階と、
前記第1デバイスが前記ネットワークから、グループ確認応答を、前記第1サービスおよび前記第2サービスのための共有下りリンクリソース上で受信する段階であって、前記グループ確認応答は、前記第2サービスの識別子を含み、前記第1サービスの識別子を含まない、段階と、
前記第2サービスには割り振られず前記第1サービスに割り振られた第2伝送リソース上で、前記第1サービスのための前記第1伝送を再送信する段階と
を備える、方法。
【請求項17】
複数の送信機からのワイヤレス伝送を処理するための方法であって、
ネットワークエンティティが第1デバイスから、第1サービスのための第1伝送を、前記第1サービス、第2デバイスに関連付けられた第2サービス、および第3デバイスに関連付けられた第3サービスに割り振られた第1伝送リソース上で受信する段階であって、前記第1サービスおよび前記第2サービスは、前記第3サービスよりも高い伝送信頼性要件を有する、段階と、
前記第2サービスのための第2伝送を前記第2デバイスから受信する段階と、
前記第2伝送の受信に成功し、前記第1伝送の受信に失敗したときに、前記ネットワークエンティティが前記第1デバイスおよび前記第2デバイスへ、グループ確認応答を、前記第1サービスおよび前記第2サービスのための共有下りリンクリソース上で送信する段階であって、前記グループ確認応答は、前記第2サービスの識別子を含み、前記第1サービスのいかなる識別子も含まない、段階と、
前記第2サービスには割り振られず前記第1サービスに割り振られた第2伝送リソース上で、前記第1サービスのための前記第1伝送の再伝送を前記第1デバイスから受信する段階と
を備える、方法。
【請求項18】
複数の送信機からのワイヤレス伝送を管理するためのネットワークエンティティであって、
メモリに結合された少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサが実行するためのプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体と
を備え、
前記プログラミングは、
第1サービスに関連付けられた第1デバイスに第1グラントを指示することであって、前記第1グラントは、前記第1サービスのための伝送用の第1リソースと前記第1サービスのための再伝送用の第2リソースとを含む、ことと、
第2サービスに関連付けられた第2デバイスに第2グラントを指示することであって、前記第2グラントは、前記第2サービスのための伝送用の前記第1リソースと前記第2サービスのための再伝送用の第3リソースとを含む、ことと、
第3サービスに関連付けられた第3デバイスに第3グラントを指示することであって、前記第3グラントは、前記第3サービスのための伝送用の前記第1リソースを含む、ことと
を実行させる命令を含み、
前記第1サービスおよび前記第2サービスは、前記第3サービスよりも高い伝送信頼性要件を有する、
ネットワークエンティティ。
【請求項19】
ワイヤレス通信デバイスであって、
メモリに結合された少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサが実行するためのプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体と
を備え、
前記プログラミングは、
ネットワークへ、第1サービスのための第1伝送を、前記第1サービス、第2ワイヤレス通信デバイスに関連付けられた第2サービス、および第3ワイヤレス通信デバイスに関連付けられた第3サービスに割り振られた第1伝送リソース上で送信することであって、前記第1サービスおよび前記第2サービスは、前記第3サービスよりも高い伝送信頼性要件を有する、ことと、
前記第1伝送と前記第2ワイヤレス通信デバイスからの前記第2サービスのための第2伝送との間において前記第1伝送リソース上でコンテンションが生じたときに、前記ネットワークから前記第1伝送の失敗の指示を受信させることと、
前記第2サービスには割り振られず前記第1サービスに割り振られた第2伝送リソース上で、前記第1サービスのための前記第1伝送の少なくとも一部分を再送信することと
を実行させる命令を含む、
ワイヤレス通信デバイス。
【請求項20】
ワイヤレス通信デバイスであって、
メモリに結合された少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサが実行するためのプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体と
を備え、
前記プログラミングは、
ネットワークへ、第1サービスのための第1伝送を、前記第1サービス、第2デバイスに関連付けられた第2サービス、および第3デバイスに関連付けられた第3サービスに割り振られた第1伝送リソース上で送信することであって、前記第1サービスおよび前記第2サービスは、前記第3サービスよりも高い伝送信頼性要件を有する、ことと、
前記ネットワークから、グループ確認応答を、前記第1サービスおよび前記第2サービスのための共有下りリンクリソース上で受信することであって、前記グループ確認応答は、前記第2サービスの識別子を含み、前記第1サービスのいかなる識別子も含まない、ことと、
前記第2サービスには割り振られず前記第1サービスに割り振られた第2伝送リソース上で、前記第1サービスのための前記第1伝送を再送信することと
を実行させる命令を含む、
ワイヤレス通信デバイス。
【請求項21】
複数の送信機からのワイヤレス伝送をサポートするネットワークエンティティであって、
メモリに結合された少なくとも1つのプロセッサと、
前記少なくとも1つのプロセッサが実行するためのプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体と
を備え、
前記プログラミングは、
第1デバイスから、第1サービスのための第1伝送を、前記第1サービス、第2デバイスに関連付けられた第2サービス、および第3デバイスに関連付けられた第3サービスに割り振られた第1伝送リソース上で受信することであって、前記第1サービスおよび前記第2サービスは、前記第3サービスよりも高い伝送信頼性要件を有する、ことと、
前記第2サービスのための第2伝送を前記第2デバイスから受信することと、
前記第2伝送の受信に成功し、前記第1伝送の受信に失敗したときに、前記第1デバイスおよび前記第2デバイスへ、グループ確認応答を、前記第1サービスおよび前記第2サービスのための共有下りリンクリソース上で送信することであって、前記グループ確認応答は、前記第2サービスの識別子を含み、前記第1サービスのいかなる識別子も含まない、ことと、
前記第2サービスには割り振られず前記第1サービスに割り振られた第2伝送リソース上で、前記第1サービスのための前記第1伝送の再伝送を前記第1デバイスから受信することと
を実行させる命令を含む、
ネットワークエンティティ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2016年4月26日出願の「高信頼・低遅延トラフィック用の無線リソース管理のための装置および方法(Apparatus and Method for Radio Resource Management for High Reliability and Low Latency Traffic)」と題する米国非仮特許出願第15/139,155号に基づく優先権を主張し、当該出願は、その全内容が引き写されているものとして、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ワイヤレス通信に関し、特定の実施形態においては、高信頼・低遅延トラフィック用の無線リソース管理のための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ワイヤレス通信システムにおいては、いくつかの通信およびサービスが、その他のものよりも重要である、または優先度が高いとみなされる。典型的には、より重要である、またはより優先度の高いトラフィックは、より信頼性の高い伝送を必要とする。例として、第5世代(5G)ワイヤレス通信システムにおける通信は、関連付けられたトラフィックの送達の高信頼性を保証するべく、よりロバストな伝送方式を必要とする超高信頼(UHR)通信を含む。UHR通信は、高信頼伝送に加え、そのような通信の緊要性に起因して、超低遅延(ULL)と称される厳しい低遅延化要件を必要とする場合がある。UHR通信は、高サービス品質(QoS)要件のサービスに属する場合がある。UHR通信の例としては、輸送機器アプリケーション、産業用制御、医療アプリケーション、および期限内にトラフィックを送達する非常に高いレベルの確実性が必要とされる他の重要なアプリケーションが挙げられる。いくつかのUHRアプリケーションはまた、例えばアラーム通知または制御パケットといった、頻度の低い小規模伝送を要する。そのような場合、伝送時間間隔(TTI)などのリソースブロックを予約すると、そのようなブロックはしばしば使用されずに浪費されることがあるため、非効率的であり得る。さらに、伝送が必要な場合は、やはり遅延要件も厳格であり得る。したがって、無線トラフィックをスケジューリングする既存の方法は、使用されないリソースブロックを予約する非効率性、および新たなリソースブロック予約を確立するのに必要な時間に起因して、これらの利用事例の要件を満たすには適切でないことがある。5G UHR通信などのための高信頼・低遅延トラフィックには、効率的な無線リソース管理方式が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
一実施形態によれば、高信頼ワイヤレス通信用の無線リソース管理のための方法が開示される。当該方法は、ネットワークエンティティが、第1サービスに関連付けられた第1デバイスに第1グラントを指示する段階を備える。第1グラントは、第1サービスのための伝送用の第1リソースと、第1サービスのための再伝送用の第2リソースとを含む。当該方法はまた、第2サービスに関連付けられた第2デバイスに第2グラントを指示する段階を備える。第2グラントは、第2サービスのための伝送用の第1リソースと、第2サービスのための再伝送用の第3リソースとを含む。また、第3サービスに関連付けられた第3デバイスに第3グラントが指示される。第3グラントは、第3サービスのための伝送用の第1リソースを含む。当該リソースは、ある時間間隔にわたる伝送帯域幅の周波数領域であり得る。当該リソースはまた、ネットワークによりスケジューリングされた伝送時間間隔(TTI)であり得る。第1サービスおよび第2サービスは、第3サービスよりも高い伝送信頼性・遅延要件を有する。
【0005】
第1サービスおよび第2サービスは、第3サービスよりも短い伝送遅延要件を有する、前述の実施形態のいずれかに係る方法。
【0006】
第1サービスおよび第2サービスは、第3サービスの伝送とのコンテンションが生じた場合に伝送の受信が成功する可能性が高いことを保証する、より高い伝送電力、より好ましい変調・符号化方式(MCS)、または他のパラメータを有する、前述の実施形態のいずれかに係る方法。
【0007】
第1デバイスおよび第2デバイスの伝送をスケジューリングすることなく伝送を行うように、第1グラントが第1デバイスに指示され、第2グラントが第2デバイスに指示される、前述の実施形態のいずれかに係る方法。
【0008】
第1デバイスが自機のスケジューラエンティティを変更したときに、第1サービスのための第1グラントに関する更新を第1デバイスへ送信する段階と、第2デバイスが自機のスケジューラエンティティを変更したときに、第2サービスのための第2グラントに関する更新を第2デバイスへ送信する段階とをさらに備える、前述の実施形態のいずれかに係る方法。
【0009】
第1グラントおよび第2グラントに関する更新は、第1サービスおよび第2サービスに関する測定されたチャネル状況、または第1グラントおよび第2グラントに関する変調・符号化方式の変更を指示する、前述の実施形態のいずれかに係る方法。
【0010】
第1サービスおよび第2サービスを確立したときに、第1サービスのための第1デバイスおよび第2サービスのための第2デバイスの承認処理を行う段階と、第1デバイスおよび第2デバイスの承認が成功したときに、第1デバイスを第1サービスに登録し、第2デバイスを第2サービスに登録する段階とをさらに備える、前述の実施形態のいずれかに係る方法。
【0011】
第1リソース、第2リソース、および第3リソースは、時間リソース、周波数リソース、符号リソース、またはそれらの組み合わせである、前述の実施形態のいずれかに係る方法。
【0012】
第1リソース、第2リソース、および第3リソースは、伝送時間間隔(TTI)またはTTI内のシンボルである、前述の実施形態のいずれかに係る方法。
【0013】
別の実施形態によれば、複数の送信機からのワイヤレス伝送を処理するための別の方法が開示される。当該方法は、第1デバイスがネットワークへ、第1サービスのための第1伝送を、第1サービス、第2デバイスに関連付けられた第2サービス、および第3デバイスに関連付けられた第3サービスに割り振られた第1伝送リソース上で送信する段階を備える。第1サービスおよび第2サービスは、第3サービスよりも高い伝送信頼性・遅延要件を有する。当該デバイスは、基地局、例えばLTE進化型ノードB(eNB)などのネットワークエンティティと通信する、スマートフォン、タブレット、またはデスクトップ/ラップトップコンピュータなどのUEを含む、任意のワイヤレス通信デバイスであり得る。当該デバイスは、本来は通信デバイスではないワイヤレス対応デバイス、例えばモノのインターネット(IoT)用デバイスであってもよい。例として、当該デバイスは、アラームシステム、医療用モニタ、または工場設備内の組み込み制御モジュールを含み得る。当該方法は、第1伝送と第2デバイスからの第2サービスのための第2伝送との間において第1伝送リソース上でコンテンションが生じたときに、第1デバイスにおいてネットワークから、第1伝送の失敗の指示を受信する段階をさらに備える。当該方法は、第1デバイスが、第2サービスには割り振られず第1サービスに割り振られた第2伝送リソース上で、第1サービスのための第1伝送の少なくとも一部分を再送信する段階をさらに備える。
【0014】
第1サービスおよび第2サービスは、第3サービスよりも短い伝送遅延要件を有する、前述の実施形態のいずれかに係る方法。
【0015】
受信された指示は、失敗が始まった第1伝送におけるシンボルを指定する、前述の実施形態のいずれかに係る方法。
【0016】
第1伝送は、指定されたシンボルから始めて再送信される、前述の実施形態のいずれかに係る方法。
【0017】
第1伝送の再送信された一部分は、指定されたシンボルのみを含む、前述の実施形態のいずれかに係る方法。
【0018】
第1伝送は、第1伝送レイヤプロトコルにおいて送信され、第1伝送レイヤプロトコルよりも上位の第2伝送レイヤプロトコルにおいて再送信される、前述の実施形態のいずれかに係る方法。
【0019】
別の実施形態によれば、複数の送信機からのワイヤレス伝送を処理するための別の方法が開示される。当該方法は、第1デバイスがネットワークへ、第1サービスのための第1伝送を、第1サービス、第2デバイスに関連付けられた第2サービス、および第3デバイスに関連付けられた第3サービスに割り振られた第1伝送リソース上で送信する段階を備える。第1サービスおよび第2サービスは、第3サービスよりも高い伝送信頼性・遅延要件を有する。当該方法は、第1デバイスがネットワークから、グループ確認応答を、第1サービスおよび第2サービスのための共有下りリンクリソース上で受信する段階をさらに備える。グループ確認応答は、第2サービスの識別子を含み、第1サービスの識別子を含まない。当該方法は、第1デバイスが、第2サービスには割り振られず第1サービスに割り振られた第2伝送リソース上で、第1サービスのための第1伝送を再送信する段階をさらに備える。
【0020】
別の実施形態によれば、複数の送信機からのワイヤレス伝送を処理するための別の方法が開示される。当該方法は、基地局などのネットワークエンティティが第1デバイスから、第1サービスのための第1伝送を受信する段階を備える。第1伝送は、第1サービス、第2デバイスに関連付けられた第2サービス、および第3デバイスに関連付けられた第3サービスに割り振られた第1伝送リソース上で受信される。第1サービスおよび第2サービスは、第3サービスよりも高い伝送信頼性・遅延要件を有する。当該方法は、ネットワークエンティティが、第2サービスのための第2伝送を第2デバイスから受信する段階と、第2伝送の受信に成功し、第1伝送の受信に失敗したときに、第1デバイスおよび第2デバイスへ、グループ確認応答を、第1サービスおよび第2サービスのための共有下りリンクリソース上で送信する段階をさらに備える。グループ確認応答は、第2サービスの識別子を含み、第1サービスのいかなる識別子も含まない。当該方法は、第2サービスには割り振られず第1サービスに割り振られた第2伝送リソース上で、第1サービスのための第1伝送の再伝送を第1デバイスから受信する段階をさらに備える。
【0021】
別の実施形態によれば、複数の送信機からのワイヤレス伝送を管理するための基地局などのネットワークエンティティが開示される。当該ネットワークエンティティは、メモリに結合された少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサが実行するためのプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体とを備える。当該プログラミングは、第1サービスに関連付けられた第1デバイスに第1グラントを指示することを実行させる命令を含む。第1グラントは、第1サービスのための伝送用の第1リソースと、第1サービスのための再伝送用の第2リソースとを含む。当該プログラミングはまた、第2サービスに関連付けられた第2デバイスに第2グラントを指示することを実行させる命令を含む。第2グラントは、第2サービスのための伝送用の第1リソースと、第2サービスのための再伝送用の第3リソースとを含む。当該プログラミングは、第3サービスに関連付けられた第3デバイスに第3グラントを指示することを実行させるさらなる命令を含む。第3グラントは、第3サービスのための伝送用の第1リソースを含む。第1サービスおよび第2サービスは、第3サービスよりも高い伝送信頼性・遅延要件を有する。
【0022】
別の実施形態によれば、ワイヤレス通信デバイスが開示される。当該デバイスは、メモリに結合された少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサが実行するためのプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体とを備える。当該プログラミングは、ネットワークへ、第1サービスのための第1伝送を、第1サービス、第2ワイヤレス通信デバイスに関連付けられた第2サービス、および第3ワイヤレス通信デバイスに関連付けられた第3サービスに割り振られた第1伝送リソース上で送信することを実行させる命令を含む。第1サービスおよび第2サービスは、第3サービスよりも高い伝送信頼性・遅延要件を有する。当該プログラミングはまた、第1伝送と第2ワイヤレス通信デバイスからの第2サービスのための第2伝送との間において第1伝送リソース上でコンテンションが生じたときに、ネットワークから第1伝送の失敗の指示を受信することを実行させる命令を含む。当該プログラミングは、第2サービスには割り振られず第1サービスに割り振られた第2伝送リソース上で、第1サービスのための第1伝送の少なくとも一部分を再送信することを実行させるさらなる命令を含む。
【0023】
別の実施形態によれば、ワイヤレス通信デバイスが開示される。当該デバイスは、メモリに結合された少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサが実行するためのプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体とを備える。当該プログラミングは、ネットワークへ、第1サービスのための第1伝送を、第1サービス、第2デバイスに関連付けられた第2サービス、および第3デバイスに関連付けられた第3サービスに割り振られた第1伝送リソース上で送信することを実行させる命令を含む。第1サービスおよび第2サービスは、第3サービスよりも高い伝送信頼性・遅延要件を有する。当該プログラミングはまた、ネットワークから、グループ確認応答を、第1サービスおよび第2サービスのための共有下りリンクリソース上で受信することを実行させる命令を含む。グループ確認応答は、第2サービスの識別子を含み、第1サービスのいかなる識別子も含まない。当該プログラミングは、第2サービスには割り振られず第1サービスに割り振られた第2伝送リソース上で、第1サービスのための第1伝送を再送信することを実行させる命令をさらに含む。
【0024】
さらに別の実施形態によれば、複数の送信機からのワイヤレス伝送をサポートするネットワークエンティティが開示される。当該ネットワークエンティティは、メモリに結合された少なくとも1つのプロセッサと、少なくとも1つのプロセッサが実行するためのプログラミングを記憶する非一時的コンピュータ可読記憶媒体とを備える。当該プログラミングは、第1デバイスから、第1サービスのための第1伝送を、第1サービス、第2デバイスに関連付けられた第2サービス、および第3デバイスに関連付けられた第3サービスに割り振られた第1伝送リソース上で受信することを実行させる命令を含む。第1サービスおよび第2サービスは、第3サービスよりも高い伝送信頼性・遅延要件を有する。当該プログラミングはまた、第2サービスのための第2伝送を第2デバイスから受信することと、第2伝送の受信に成功し、第1伝送の受信に失敗したときに、第1デバイスおよび第2デバイスへ、グループ確認応答を、第1サービスおよび第2サービスのための共有下りリンクリソース上で送信することとを実行させる命令を含む。グループ確認応答は、第2サービスの識別子を含み、第1サービスのいかなる識別子も含まない。当該プログラミングは、第2サービスには割り振られず第1サービスに割り振られた第2伝送リソース上で、第1サービスのための第1伝送の再伝送を第1デバイスから受信することを実行させるさらなる命令を含む。
【0025】
上記において、後述の本発明の詳細な説明がよりよく理解され得るよう、本発明の一実施形態の特徴を比較的大まかに概説した。以下、本発明の特許請求の範囲の対象をなす、本発明の実施形態のさらなる特徴および利点を説明する。開示の概念および具体的実施形態は、本発明と同じ目的を遂行するべく他の構造またはプロセスを変形または設計するための基礎として容易に利用されてよいことが、当業者には理解されるべきである。また、そのような均等的構成は、添付の特許請求の範囲に定める本発明の趣旨および範囲から逸脱するものではないことも、当業者には認識されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
ここで、本発明およびその利点のより完全な理解のために、以下の説明を添付の図面と併せて参照する。
【0027】
【
図1】高信頼通信のための無線リソース割り振りの一実施形態を示す。
【0028】
【
図2】高信頼通信を管理するための方式の一実施形態を示す。
【0029】
【
図3】複数の送信機からのトラフィックコンテンションを軽減するための方式の一実施形態を示す。
【0030】
【
図4A】複数の送信機によるワイヤレス再伝送のコンテンションを管理する一シナリオを示す。
【
図4B】複数の送信機によるワイヤレス再伝送のコンテンションを管理する一シナリオを示す。
【0031】
【
図5】ハイブリッド自動再送要求(HARQ)と欠損シンボルの指示との組み合わせを用いたトラフィックコンテンションリカバリの方式の一実施形態を示す。
【0032】
【
図6】複数の高信頼伝送に重複する確認応答(ACK)リソースを用いる方式の一実施形態を示す。
【0033】
【
図7】本開示の一実施形態に係る、複数の送信機のワイヤレス伝送に同じACKを用いる一シナリオを示す。
【0034】
【
図8】高信頼通信のためのリソースの割り振りおよび協調を行う方法の一実施形態を示す。
【0035】
【
図9】複数の送信機からの複数の高信頼伝送間における伝送失敗を処理する方法の一実施形態を示す。
【0036】
【
図10】複数の送信機からの複数の高信頼伝送間における伝送失敗を処理する別の方法の一実施形態を示す。
【0037】
【
図11】様々な実施形態を実現するよう用いられ得る処理システムの図である。
【0038】
別途指定のない限り、全般的に、異なる図中の対応する番号および記号は対応する部分を指す。各図は、実施形態の関連する態様を明瞭に示すよう描かれており、必ずしも縮尺通りに描かれてはいない。
【発明を実施するための形態】
【0039】
現時点で好適な実施形態の実施および利用について、以下で詳細に記載する。しかしながら、本発明は、多様な具体的コンテクストにおいて具現化され得る多数の適用可能な発明概念を提供するものであることを理解されるべきである。記載されている具体的な実施形態は、本発明を実施および利用するための具体的態様を例示するものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【0040】
優先度の高いワイヤレス通信およびサービスは、例えばより優先度の低いトラフィックと比較して、高信頼な伝送を必要とする。伝送信頼性は、トラフィックまたはパケットが、ある時間間隔以内に送達される保証のレベルを反映するものである。5Gシステムにおける超高信頼(UHR)通信などの高信頼通信は、散発性のパケット(例えば制御パケット)を搬送することがあり、任意の時点に発生することがある。場合によっては、時間間隔が短過ぎるために、例えば専用の無線リソースのグラントを要求して受信するといった、既存の方法によれば得られるはずのスケジューリング機会を通信が待機することができない。高信頼伝送の事前のスケジューリングを必要とすることなく、それらの伝送を管理するためのシステムおよび方法の実施形態が、本明細書において提供される。高信頼性を必要とする重要なトラフィックは、他のトラフィックと共有される、選択された無線リソースブロックを用いて伝送される。当該方式は、例として、ロングタームエボリューション(LTE)システム、5GまたはNew Radio(NR)システム、デバイスツーデバイス(D2D)通信システム、マシンツーマシン(M2M)システム、およびその他のものなどの、任意のワイヤレス通信システムまたは無線通信システムにおいて実装することができる。
【0041】
各実施形態によれば、高信頼伝送は、サブリソースブロックまたはサブ伝送時間間隔(TTI)の単位で、例えばTTIの予め定められたシンボルを用いて、行われる場合がある。高信頼伝送を複数回繰り返すことで、受信機で利得を合成することが可能となり、複数の伝送間のコンテンションを軽減することができる。高信頼トラフィックはまた、5G通信システムにおける超低遅延(ULL)要件などの低遅延を必要とすることがある。例えば、低遅延要件は、1ミリ秒(ms)未満、または閉ループ伝送方式が可能でない小さい時間幅以内である場合がある。サブリソースブロックまたはサブTTIの粒度の無線リソースを高信頼伝送に割り当て、複数のサブブロックまたはサブTTIにわたる複数の伝送を可能とすることで、そのようなトラフィックの低遅延要件を満足することができる。実施形態はまた、確認応答(ACK)・再伝送メカニズム、および重複するリソース上における高信頼サービスのコンテンション管理を含む。
【0042】
図1は、高信頼通信のための無線リソース割り振りの一実施形態を示す。高信頼トラフィック用の第1領域(UHR領域と表記)と、他のクラスのトラフィック、例えばより優先度またはQoS要件の低いサービスのトラフィック用の第2領域(非UHR領域と表記)とを含む、無線リソースブロック110および120の領域を示す。各ブロックは、ある時間間隔にわたる伝送帯域幅の周波数領域を表す。UHR領域において、いくつかのリソースブロックまたはサブブロック120が、高信頼伝送を必要とする重要なまたは優先度の高いトラフィックの高信頼伝送を可能とするよう選択される。あるいは、そのようなトラフィックが発生しない場合は、同じ選択されたブロックまたはサブブロック120を、他の非高信頼トラフィックの伝送に用いることができる。
【0043】
様々な実施形態において、高信頼トラフィック用に選択されたブロックまたはサブブロック120は、1つのキャリア全体、複数のリソースブロックのグループ、1つのTTI内の選択された複数のシンボル(例えば直交周波数分割多重(OFDM)シンボル)、またはリソースの他の適切なグルーピングにわたって広がる場合がある。非高信頼トラフィックが同じ高信頼通信リソース上で搬送されることを可能とすることで、高信頼伝送が発生しない場合にそのようなリソースを浪費することが防止され、したがってリンク利用度が向上する。UHR領域における残りのリソースブロック110は、高信頼通信ではなく、非高信頼トラフィックに用いられる場合がある。非UHR領域においては、全てのリソースブロック110が非高信頼通信専用である。また、重要なトラフィックタイプのコンテンションまたは損失を回避または抑制するべく、指定された高信頼トラフィック以外のトラフィックタイプを選択リソースブロック120に割り振らないことが望ましい。
【0044】
具体的には、非UHR領域では高信頼伝送を行うことができず、UHR領域のこれら選択されたブロックまたはサブブロック120のみ、高信頼を必要とする優先度の高いまたは重要なトラフィックの伝送に用いることができる。ユーザ機器(UE)などのデバイスは、高信頼トラフィックを受信するのに、選択リソースブロック120のみをそのようなトラフィックについてのリッスン対象とすることができ、これにより、受信機に必要とされるアクティブ時間を低減することによってデバイス電力が節約される。しかしながら、同じ選択ブロック120内で非高信頼トラフィックが許可されているので、複数の送信機からの2つのトラフィックタイプ間でのコンテンションを解消するための何らかのメカニズムが必要となる。当該メカニズムは、高信頼トラフィックに優先度を与えるものとすべきである。例えば、高信頼トラフィックには、同じ選択リソース上で他のトラフィックとのコンテンションが生じた場合に高信頼トラフィックの受信が成功する可能性が高いことを保証する、より高い伝送電力、より好ましい変調・符号化方式(MCS)、または他のパラメータが設定され得る。
【0045】
さらに、高信頼伝送は、選択リソース上で複数回繰り返すことができ、これにより受信機で利得を合成することが可能となる。当該メカニズムはまた、同じリソース上で発生する非高信頼トラフィックのための何らかのリカバリ方法を可能とすべきである。例として、そのようなリカバリには、逐次干渉除去(SIC)、前方誤り訂正(FEC)、巡回冗長検査またはHARQ方式を用いることができる。また、ネットワークは、高信頼トラフィックリソースに対するある程度の損失に耐える非高信頼トラフィックをスケジューリングすることがある。非高信頼トラフィックは、リカバリのために、物理レイヤよりも上位の伝送レイヤプロトコルにおいて再伝送されてもよい。
【0046】
図2は、複数のデバイスからネットワークへの上りリンクにおける高信頼伝送のための方式の一実施形態を示す。当該デバイスは、基地局、例えばeNBなどのネットワークエンティティと通信する、スマートフォン、タブレット、またはデスクトップ/ラップトップコンピュータなどのUEを含む、任意のワイヤレス通信デバイスであり得る。当該デバイスは、本来は通信デバイスではないワイヤレス対応デバイス、例えばモノのインターネット(IoT)用デバイスであってもよい。例として、当該デバイスは、アラームシステム、医療用モニタ、または工場設備内の組み込み制御モジュールを含み得る。本シナリオにおいて、デバイス220および230には、本明細書でUHRグラントと称するグラントが、高信頼サービス用の選択リソース290上で与えられる。UHRグラントは、デバイスまたはユーザに関連付けられる任意のサービスで利用可能であるのではなく、サービスごとに割り当てられる。これは例えば、無線リソースのグラントが特定のサービスへの制限なしで特定のデバイスに対して与えられる既存のセルラーシステムとは対照的である。UHRグラントは、デバイス220および230により、高信頼要件を有し伝送時のスケジューリングがないサービスに用いられ得る。また、例えばスマートフォンであるユーザデバイス210には、同じリソース290上における非UHRユーザトラフィック用の半永続スケジューリング(SPS)グラントが与えられる。例として、
図1のUHR領域における選択された高信頼ブロックまたはサブブロック120(シンボルまたはサブTTI)のうちのいずれかを、UHRグラントおよびSPSグラントの両方に割り当てることができる。
図2において、ユーザデバイス210がSPSグラント上で伝送を行い、一方でデバイス220および230がUHRグラント上で伝送を行わない場合、リソース290上にはコンテンションが存在しない。しかしながら、SPSグラント上におけるユーザデバイス210の伝送と同時に、デバイス220または230のいずれかが、例えばアラームメッセージといったサービスをUHRグラント上で伝送する場合は、コンテンションシナリオとなる。この場合、設計上のこととして、SPSグラント上における伝送は、UHRグラント上におけるより高信頼の伝送に後れて欠損する。ユーザデバイス210の欠損データは、FEC、HARQ、無線リンク制御(RLC)再伝送、伝送制御プロトコル(TCP)、またはその他のものなど、利用可能であれば何らかのメカニズムによりリカバリされてよい。あるいは、トラフィックがSPSグラントを占有するユーザデバイス210上のサービスは、例えば、単一の音声フレームの偶発的損失は許容可能である音声通話といった、限定的なデータ損失に耐えるものであってよい。
【0047】
SPSおよびUHRグラントは、TTIに関して何らかの周期性を有する。例として、周期性が5xTTIの場合、高信頼伝送は、トリガイベントと次の伝送機会との間で、平均2.5xTTIおよび最大5xTTIの遅れを受ける。UHRグラントは、サービスの遅延要件を考慮したものであるべきである。例えば、高信頼・低遅延要件のサービスは、1msを下回る粒度に至る任意の時間に伝送を行う機会を必要とする。繰り返しの回数は、高信頼サービスの許容可能な伝送遅延を超えないように選択されるべきである。
【0048】
2以上の異なる高信頼伝送サービスについて共有UHRグラントを割り当てる場合、そのようなサービス間のコンテンション軽減が必要となる。複数の送信機からの伝送の時間多重化、周波数多重化または符号多重化を用いて、トラフィックコンテンションを軽減することができる。
図3は、複数の送信機からのトラフィックコンテンションを軽減するための方式の一実施形態を示す。コンテンションを低減するべく、ネットワークは、送信機1および送信機2と表記される2つの送信機からの同時伝送を時間的に低減するように、これらの送信機の高信頼トラフィックをスケジューリングする。これは、送信機1および送信機2それぞれの繰り返しまたは再伝送310および320の少なくともいくつかを、異なるリソース上にスケジューリングすることにより実現される。例として、送信機1には7TTIの繰り返し周期が割り当てられ、一方で送信機2には5TTIの繰り返し周期が割り当てられる。そのため、2つの送信機それぞれの2回目および3回目の再伝送310および320は重複せず、そのような繰り返しからはトラフィックコンテンションが発生しない。繰り返しサイクルが異なることで、送信機間における伝送時間の疑似直交性がもたらされる。再伝送は、システムの時間スケールおよび対応性に依存して、ブラインドまたはACK/NACKベースのいずれかであり得る。しかしながら、繰り返し周期によってさらなる伝送遅れが生じる場合がある。よって、サービスまたは送信機の繰り返し周期は、過度の遅れが生じないよう、例として高信頼・低遅延サービスの一の伝送機会について数シンボル以下となるように、注意して決定される必要がある。
【0049】
複数の実施形態において、複数の送信機からの高信頼伝送間のコンテンションを軽減するべく、追加の直交性レイヤが用いられる。複数の送信機は、時間多重化方式に加えて、符号多重化または周波数多重化を高信頼伝送に用いることができ、例えば異なる周波数上で伝送を繰り返すことでこれを行う。追加の直交性レイヤは、高信頼伝送の低遅延要件を満足するよう用いることもできる。直交性レイヤは、真の直交性を提供するものであってもよく、または、2つの信号が完全には直交しないものの、それらの信号の同時復号が成功する可能性を高める疑似直交性を提供するものであってもよい。
【0050】
図4Aおよび
図4Bは、一実施形態に係る、複数の送信機によるワイヤレス再伝送のコンテンションを管理する一シナリオを示す。本シナリオにおいては、異なるグラントを有する複数の伝送がコリジョンを起こすことが可能となっている。任意の所与のデバイスが任意の所与のグラントにおいて伝送を行う確率が小さければ、同時コンテンションの確率は小さくなる。具体的に、デバイス410(例えばスマートフォンまたはデジタルカメラ)は、自機の初回伝送リソースをデバイス420(例えばモバイル通信デバイス)と共有する。デバイス410および420の初回伝送には、リソースブロック401が割り振られる。デバイス410は、自機の繰り返しリソースをデバイス430と共有する。デバイス410および430の繰り返しには、リソースブロック403が割り振られる。さらに、デバイス430(例えばセットトップボックス)は、自機の初回伝送リソースをデバイス420の繰り返しリソースと共有する場合がある。当該共有リソースは、リソースブロック402を含む。本シナリオにおいて、任意のデバイスの初回伝送および繰り返し伝送の両方でのコンテンションの確率は、許容可能な損失確率の範囲内であってよい。
図4Aに示すように、リソースブロック内での伝送の確率が低いと仮定すると、任意のデバイスによる伝送の1回の繰り返しによって、受信機での合成利得を約3dBとすることが可能となる。
図4Bにおいて、リソースブロック401でデバイス410および420の伝送のコンテンションが生じた場合は、この合成利得が低下する。しかしながら、デバイス410の繰り返し伝送は、ブロック403でコンテンションなしで受信することができる。同様に、デバイス420の繰り返し伝送は、ブロック402でコンテンションなしで受信することができる。
【0051】
複数の実施形態において、追加的または代替的なコンテンション管理技法を用いることができる。コンテンション管理技法は、即時スケジューリング要求、差分伝送時間オフセット、搬送波感知多重アクセス(CSMA)、送信要求/送信許可シグナリング、またはその他の技法を用いることを含む。いくつかの技法は、高信頼伝送の制約の範囲内では解消され得ない隠れ端末問題を生じさせることがある。伝送にいくらかの遅延を上乗せし得るそのようなシナリオでは、高速なコンテンション解消処理が必要となる。そのような技法は、例えばLTEにおけるコンテンションベースのランダムアクセスチャネル(RACH)処理に用いられるように、遅延限度が十分に緩いサービスには可能であり得る。
【0052】
一実施形態において、複数の送信機間における伝送の時間多重化、周波数多重化または符号多重化と共に、HARQまたは類似のメカニズムが用いられる。HARQメカニズムにより、コンテンションの検出および不要な繰り返しの回避が可能となり、これによりコンテンションの確率も低減される。例えば、デバイスは、HARQメカニズムの一部として自機の伝送についての確認応答を検出した場合、同コンテンツのさらなる伝送をやめてよい。そのため、そのようなさらなる伝送が別のデバイスからの信号とコンテンションを起こす可能性が回避される。そのようなHARQメカニズムの実装に関連して、同じ上りリンクリソース内で伝送を行う2つのデバイスが、互いのACK信号について異なる下りリンクリソースを有する場合、下りリンク伝送において成功側の送信機を明示的に特定する必要がないことに留意されたい。ACKリソースを選ぶことで、さらなる指示またはシグナリングを必要とすることなく、成功側の送信機を暗黙的に特定することができる。
【0053】
上記のコンテンション軽減方式を実装するべく、高信頼伝送要件のサービスおよび当該サービスに関連付けられたデバイスを、ネットワークのスケジューラに認識させる。それらのデバイスは、何らかの登録プロセスを介してそのようなサービスをネットワークに登録することができる。登録は、サービスの確立時に、例えばタイムクリティカルなプロセスではないベアラ確立の時に実行することができる。一実施形態において、登録プロセスは、デバイスが高信頼伝送サービスに登録することを許可されていることを検証するための承認ステップを含む。承認には、要求元デバイスの識別情報/サブスクリプションに関するハンドシェイクメカニズムを用いることができる。承認プロセスは、QoSパラメータ、および高信頼伝送に特有な拡張パラメータのプロビジョニングも含み得る。
【0054】
高信頼伝送サービスのデバイス登録プロセスは、セルの変更または基地局の変更のたびになど、UEのトラフィックスケジューリングを担うエンティティに変更があるたびごとに更新される。デバイスが、必要なときに伝送を行える状況にあることを維持していれば、例えば、自機の上りリンクタイミングを、グラントフリーの上りリンク伝送に必要な正確度のレベルに維持していれば、登録の後もデバイスが接続状態のままである必要はないことがある。登録の間に、ネットワークは、高信頼伝送サービスのためのQoSパラメータを送達することができる。QoSパラメータの例としては、バースト単位の最大ブロックサイズ、最小デューティサイクル、および最大ビットレート、例えば、許容パケット遅延ウィンドウの範囲内または最小デューティサイクル時間の範囲内で要求され得る最大ビットレートが挙げられる。登録されると、そのサービスに永続的UHRグラントが割り当てられる。UEは、当該UHRグラントの使用について、他のサービスのデータによる占有を防止するように制約されてよい。割り当ては、ホッピングパターンなどの周波数情報、または異なるサービスによる繰り返しのコンテンションを解消するための他の確定的な変更の情報を含み得る。割り当てはまた、時間ディメンションを遅延要件と合致させるべく、イントラTTIリソース割り当て(例えばシンボル割り当て)を含み得る。割り当て情報はまた、HARQなどの繰り返しパラメータまたは他の繰り返しパラメータを含み得る。また、サービスの短い識別子が、割り当て情報と交換され得る。識別子は、ACKシグナリングなどのための下りリンク伝送を区別するのに用いることができる。伝送電力の制御、リンクバジェットの管理、および/またはブラインドサーチスペースの低減のために、トランスポートフォーマットの制約または変調符号方式(MCS)/電力の限度などの他の情報が含まれてもよい。
【0055】
デバイスは、ネットワークにより、単一セルよりも大きいエリアにまたがる協調(すなわちセル間協調)を用いて管理することができるが、UHRグラントは、セルごとに協調および管理される。しかしながら、異なるセル間または異なる基地局間での通信を用いて、それら異なるセルにより管理されるUHR伝送間での干渉を低減してもよい。例えば、セル間干渉制御(ICIC)/拡張型ICIC(eICIC)メカニズムを用いて、セルエッジにおける高信頼伝送リソースのコンフリクトを回避することができる。場合によっては、異なるスケジューリングエリア間で類似の協調技法が適用されてよい。例として、単一のスケジューラが1セルよりも広いエリアにわたる無線リソースを担当する場合、当該単一のスケジューラは、隣接するエリアを担当するスケジューラと協調して干渉を回避または低減してよい。複数セルにわたるデバイス総数はリアルタイムで変更されることがあり、それに応じてスケジューラがリソースを再割り当てする必要がある。リソース不足とスケジューラが判定した場合は、高信頼伝送のためのデバイス登録が却下されることがある。
【0056】
一実施形態において、UHRグラント割り当てのための保守的なMCSおよび伝送電力が、高信頼要件を満たすように選択される。この文脈において、「保守的なMCS」とは、例えばより低次の変調といった、通常必要とされるであろうものよりもヘッドルームの大きいリンクバジェットを可能とするように選択されるMCSを指す。例えばMCSおよび伝送電力といったリンクパラメータを選択する一態様として、リンクアダプテーションを準静的に(semi−statically)高信頼伝送に用いることができる。リンクアダプテーションにより、高信頼伝送を伴うデバイスがネットワークに物理的に近い場合などで伝送信頼性を向上することができ、好ましいリンクバジェットを実現することができる。リンクアダプテーションを可能とするべく、高信頼伝送サービスを伴うデバイスは、チャネル状態情報(CSI)レポートを維持することで、スケジューラがそれに応じてUHRグラント割り当てパラメータを更新することを可能とする。リンクアダプテーションを用いない場合、スケジューラは、サービスに必要なレベルの信頼性で通信を行うための推定リンクバジェットに基づいて、MCS、伝送電力、および他のリンクパラメータを決定してよい。
【0057】
下りリンクトラフィックに適用可能なリンクアダプテーションでは、高信頼伝送を伴うデバイスが、CSI処理に従って下りリンク信号品質を測定し、ネットワークにフィードバックする。例えば、周期性およびワイドバンド/サブバンドチャネル品質インジケータ(CQI)を報告する。ネットワークは、そのMCSを下りリンク伝送に適応させ、得られたグラントパラメータへの更新をデバイスに通知することができる。当該更新は、高信頼伝送無線リソース上のトラフィックと同帯域内で送信されるのではなく、上位レイヤシグナリングを介して、例えば媒体アクセス制御(MAC)の制御要素(MAC CE)として送信され得る。上位レイヤトランスポートの使用によって、例えば無線リンク制御(RLC)の確認応答モード(AM)を用いた、信頼できる送達が可能となり、それによりネットワークおよびデバイスUEは、MCSが同期していることを認知する。そのため、実際の高信頼下りリンク伝送には、MCSのインジケータを含める必要がない。
【0058】
リンクアダプテーションについて、類似の処理を上りリンクトラフィックに用いることができる。例えば、デバイスは、サウンディング参照信号(SRS)または類似の測定可能な上りリンク信号を送信し、それによりネットワークは、当該上りリンク信号の測定に基づいて、後の上りリンク伝送のためのMCSおよび電力制御情報を更新することができる。UHR割り当ての更新は、MACまたは他の制御シグナリングで送信され得る。デバイスがMCS更新を逃した場合、次回の高信頼伝送が、送信済みのフォーマットと期待されるフォーマットとの間で不整合を有し得る。MCSの不整合はリンクバジェットに影響を与えることになるので、更新には信頼できるトランスポートを用いることが好ましい。ネットワークは、RLC AMを用いてMAC制御要素(CE)において更新を送信することができる。考えられる1つの解決手段は、デバイスに、上りリンクにおいて更新の確認応答を送信させることである。別の解決手段は、高信頼伝送トラフィックにMCSインジケータを含めることである。さらに別の解決手段においては、下りリンクのみでMCSが指示され、上りリンクではネットワークが半ブラインド復号を用いてそれに適応する。そのため、現在のMCSが正しく復号されない場合、ネットワークは、対立仮説として、デバイスが以前のMCSを使用していると想定し、当該以前のMCSで復号を行う。MCSの周期的更新は、上りリンク上のみで行われ得る。
【0059】
例えば厳密でタイトな期限または低遅延要件の対象でない高信頼伝送サービスについては、HARQ方式によりさらなる信頼性を供することができる。拡張型HARQメカニズムを用いて、コンテンションシナリオからのリカバリを行うこともできる。
図5は、HARQと欠損シンボルの指示との組み合わせを用いたトラフィックコンテンションリカバリの方式の一実施形態を示す。本シナリオにおいて、デバイス510の通常のユーザ伝送が、あるTTIの第5シンボル505上で上りリンクにおいて高信頼伝送トラフィックとコリジョンを起こす。結果として、そのシンボル上ではデバイス510の伝送の復号が失敗する。そのため、受信機は、デバイス510の再伝送が第5シンボル505で始まるべきであることを指示し得る。これは、デバイス510へのNACKにチャネル品質の指示を含めることにより実現される。当該指示が、チャネル品質が良好であることを示す場合、デバイスは、欠損シンボルが、チャネル状況の全般的な劣化ではなく短期的な干渉に起因するものであること、および、MCSを変更するまたは後続の再伝送用の電力を増大するなどの他のリンクアダプテーション技法よりも、(1または複数の)欠損シンボルの再伝送の方がより適切な応答であることを推察し得る。当該NACKは、これに加え、デバイス510の伝送と高信頼伝送とのコリジョンに起因して干渉が発生した第5シンボル505を指示する。これに応答して、デバイス510は、(1または複数の)欠損シンボルで始めること、または(1または複数の)欠損シンボルを送信することのいずれかにより、部分的な再伝送を開始する。当該欠損シンボルは、この場合は第5シンボル505である。NACKにおけるシンボル指示により、デバイス510は、例えばより保守的なMCSを自機のトラフィックの再伝送に用いることなく、再伝送においてデータを節約することが可能となる。再伝送におけるデータスペースが節約された結果、デバイスは、当該再伝送をシンボル511〜514(d1、d2、d3、およびd4)などの新たなデータの一部分と組み合わせてよい。一実施形態において、冗長バージョン(RV)シーケンスが再伝送に用いられる。これは、再伝送データが、データのサブセット、例えば高信頼伝送トラフィックにより干渉されたデータ(ここでは第5シンボル505)、または干渉されたデータとその後続のデータ(ここでは第5シンボル505と併せてシンボルs6、s7、およびs8)のみを含むことを指示する。
【0060】
高信頼伝送にHARQ方式を実装することには、課題があり得る。上りリンク方向において、ネットワークは、伝送がいつ到来するかを認知していないことがあり、そのため、「メッセージが受信されない」状況(このとき、ネットワークはNACK指示を送信すべきである)を、「メッセージが存在しない」状況(このとき、ネットワークはいずれのACK/NACK指示の送信も行わないべきである)と区別できないことがある。下りリンク伝送では、ネットワーク自体が送信機であるので、ネットワークは、どの高信頼伝送サービス/デバイスのデータがエアリンク上で送信されたかを認知可能なはずであり、よって、ACK指示を受信するよう見込む対象であるサービスを、ACK指示を受信するよう見込む対象ではないサービスと、それらが伝送されなかったことを理由に区別することができる。ネットワークは、伝送が実際に送信済みとなるまで、上りリンクリソースをACK/NACK用に予約する必要がない。よって、下りリンク方向においては、対象サービスの遅延要件が既存のACK/NACKメカニズムのタイムラインと適合していれば、そのような既存のメカニズムを用いることができる。
【0061】
上りリンク伝送については、明示的なNACKの送信が有用でないことがある。なぜならば、高信頼伝送は事前にスケジューリングされないことがあり、これは、ネットワークが、正しく受信することに失敗した伝送が発生したか否かを容易に認知できないことを意味するためである。そのため、下りリンク指示はACKのみの信号とみなすことができ、NACK指示は、確認応答が送信されなかったことによって暗黙的に示され得る。リソース割り振りに関して、システムは、各サービスからの/各サービスへの伝送が一般にスパースなものであるという事実を利用することができる。このスパース性により、上りリンクにおける個別の高信頼伝送に応答するのに、下りリンクにおいて重複するACKリソースを用いることが可能となり、スパース性に依拠して実質的なコンフリクトを防止し、またコンフリクトが発生した場合にはグループACKメカニズムに依拠してコンフリクトを解消する。これは、異なるリソース上における2以上の高信頼伝送の各々について、ACKインジケータの送信に用いるよう割り当てられた同じリソースを用いることにより実現することができる。
【0062】
図6は、複数の高信頼伝送に同じ確認応答(ACK)リソースを用いる方式の一実施形態を示す。当該方式は、任意の時間スケールで、かつ任意の伝送プロトコルレイヤについて適用することができる。より上位のレイヤは、スケジューリングがより緩く、シグナリングメッセージにおいて個々の受信先を指示することが可能な傾向があるので、当該方式は、HARQレベル、または無線通信ビットが高価である短サイクル確認応答・再伝送方式を伴う下位レベルで用いることができる。異なるリソース上の2以上のサービスについて、同じACKリソースブロック630を用いることができる。例として、上りリンク(UL)上のサービスリソース610および620の両方について、ACKリソースブロック630を下りリンク(DL)上で割り当てることができる。この場合、リソース610またはリソース620上のサービスのうち1つのみが上りリンク上で伝送されて受信されることに成功したときは、下りリンク上で返されるACKは多義的でない。さらに、両方のサービスが伝送されて受信されることに成功した場合は、ACKをその両方に対して問題なく適用することができる。あるいは、いずれの信号も受信されない場合は、暗黙的または受動的なNACK(例えば伝送がないこと)によって、両方のサービスの再伝送が行われる。しかしながら、一方の信号が受信されて他方が欠損した場合には、両方のサービスについて同じリソースブロック630を共有するACKが多義的なものとなる。この状況は、本明細書においてNACK2ACKエラーと称される。このとき、ACK信号を検出する任意のデバイスは、2つのサービスのうちどちらが受信に成功したかを区別する手段を必要とする。
【0063】
図7は、本開示の一実施形態に係る、複数の送信機のワイヤレス伝送に同じACKインジケータを用いる一シナリオを示す。当該方式は、上述のNACK2ACK状況に対処するものである。2つのデバイス710および720(例えば、それぞれセットトップボックスおよびカメラデバイス)は、異なるリソース上でサービスの高信頼伝送をネットワークノード701(例えば基地局)へ送信する。両サービスについてのACK信号は同じリソースを共有するので、デバイス710の信号が受信されることに成功し、デバイス720の信号が欠損した場合、デバイス710および720の両方がACKを受信する。さらなる情報がなければ、デバイス720は、ACK信号を受信し、自機の伝送が受信されることに成功したとみなすことになり、すなわち、デバイス720はNACK2ACKエラーを被る。この状況において、2つのサービスのうちどちらが受信されることに成功したかを指示するためのインジケータが、下りリンク上のACK信号に追加される。そのため、2つのデバイス710および720は、2つのサービスのうちどちらが受信されることに成功したか、または欠損したかを判定することができる。
【0064】
上記のシナリオでは、2つのサービスについて2つの送信機を示している。しかしながら、当該方式は、任意の適切な数のサービスに拡張することができる。これは、下りリンク帯域幅の可用性に依存して、受信に成功したサービスの識別子をシグナリングするグループACK方式である。高信頼伝送サービスがセルごとに登録される場合においては、短いサービス識別子が用いられ得る。さらに、基地局701は、同じACKリソースに割り当てられた上りリンクリソース上でサービスのどのサブセットが伝送中であり得るかを認知しているので、得られる値がそのグループ内において一意であれば、識別子をトランケートまたは別の方法でハッシュ化することが可能であってよい。
【0065】
適切なグループACK方式を決定するには、下りリンク帯域幅に加え、アクティブなサービスの遅延要件およびデューティサイクルなどの因子を考慮することが必要である。例えば、いくつかのシナリオにおいて、下りリンクスケジューリングを用いて、自機の伝送に対して確認応答が行われる必要がある各個のデバイスをアドレス指定することができる。遅延要件がタイト過ぎるために閉ループ再伝送アプローチが可能でないことがある他のシナリオにおいては、送信機に自機の伝送が失敗したことを知らせるのに、より低速のレイヤ2、伝送制御プロトコル(TCP)、またはアプリケーションレイヤでの確認応答がサービスごとに別々に用いられてよい。
【0066】
図8は、高信頼伝送のためのリソースの割り振りおよび協調を行う方法800の一実施形態を示す。ブロック810において、ネットワークエンティティ(例えば基地局)が、第1サービスに関連付けられた第1デバイスに、高信頼伝送のための第1グラントの指示をシグナリングする。第1グラント(例えば第1UHRグラント)は、第1サービスのための伝送用の第1リソースと、第1サービスのための再伝送用の第2リソースとを含む。ブロック820において、ネットワークエンティティは、第2サービスに関連付けられた第2デバイスに、高信頼伝送のための第2グラント(例えばUHRグラント)の指示をシグナリングする。第2UHRグラントは、第2サービスのための伝送用の第1リソースと、第2サービスのための再伝送用の第3リソースとを含む。例として、
図3の2つの送信機には、それぞれのサービスの初回伝送について同じリソースが割り当てられるが、それらの再伝送310および320について異なる周期が割り当てられる。ステップ830において、ネットワークエンティティは、第3サービスに関連付けられた第3デバイスに、非高信頼伝送のための第3グラント(例えばSPSグラント)の指示をシグナリングする。第3グラントは、第3サービスのための伝送用の第1リソースを含む。例として、
図2において、デバイス210には、デバイス220および230のUHRグラントと同じリソース290上でSPSグラントが割り当てられる。
【0067】
図9は、複数の送信機からネットワークへの複数の高信頼伝送間における伝送失敗を処理する方法900の一実施形態を示す。ブロック910において、第1デバイスが、第1サービスのための第1伝送を、第1サービスに割り振られた第1伝送リソース上でネットワークへ送信する。第1伝送リソースは、ネットワークにより、第2デバイスに関連付けられた第2サービス、および第3デバイスに関連付けられた第3サービスにも割り振られる。第1サービスおよび第2サービスは、高信頼伝送サービス(例えばUHRサービス)であり、一方で第3サービスは、より低い伝送信頼性要件およびより高い遅延を有する。ブロック920において、第1デバイスは、第1伝送と第2デバイスからの第2サービスのための第2伝送との間において第1伝送リソース上でコンテンションが生じたときに、第1伝送の失敗の指示(例えばNACK)をネットワークから受信する。ブロック930において、第1デバイスは、第2サービスには割り振られず第1サービスに割り振られた第2伝送リソース上で、第1サービスのための第1伝送の少なくとも一部分を繰り返し送信する。例として、
図5のデバイス510は、第5シンボル505の受信に失敗したネットワークからNACKを受信したときに、このシンボルを再送信する。この再伝送は、類似の高信頼・低遅延要件を有する第2のサービスと共有されていないTTIなどのリソースブロック上で送信される。
【0068】
図10は、複数の送信機からネットワークへの複数の高信頼伝送間における伝送失敗を処理する別の方法1000の一実施形態を示す。ブロック1010において、第1デバイスが、第1サービスのための第1伝送を、第1サービスに割り振られた第1伝送リソース上でネットワークへ送信する。第1伝送リソースは、ネットワークにより、第2デバイスに関連付けられた第2サービス、および第3デバイスに関連付けられた第3サービスにも割り振られる。第1サービスおよび第2サービスは、高信頼伝送サービス(例えばUHRサービス)であり、一方で第3サービスは、より低い伝送信頼性要件およびより高い遅延を有する。ブロック1020において、第1デバイスは、第1サービスおよび第2サービスのための共有下りリンクリソース上で、グループ確認応答をネットワークから受信する。グループ確認応答は、第2サービスの識別子を含み、第1サービスのいかなる識別子も含まない。ブロック1030において、第1デバイスは、第2サービスには割り振られず第1サービスに割り振られた第2伝送リソース上で、第1サービスのための第1伝送を再送信する。第1デバイスは、グループ確認応答に第1サービスの識別子が存在しないことを検出したときに、第2伝送リソース上で第1伝送を再送信する。
【0069】
図11は、上記の方法を含む様々な実施形態を実現するよう用いられ得る処理システム1100のブロック図である。例えば、処理システム1100は、スマートフォン、コンピュータタブレットなどのユーザデバイスもしくはモバイルデバイス、または輸送機器もしくはM2Mデバイスなどの他の適切なデバイスもしくはモバイルデバイスであり得る、あるいはその一部である。処理システム1100はまた、基地局などのネットワークエンティティの一部であり得る。具体的なデバイスには、示されているコンポーネントの全て、またはそれらコンポーネントのサブセットのみを利用してよく、統合のレベルは、デバイスごとに異なっていてよい。さらに、デバイスは、複数の処理ユニット、プロセッサ、メモリ、送信機、受信機等のような、コンポーネントの複数のインスタンスを含んでよい。処理システム1100は、スピーカ、マイクロフォン、マウス、タッチスクリーン、キーパッド、キーボード、プリンタ、およびディスプレイ等のような1または複数の入出力デバイスを備えた処理ユニット1101を含んでよい。入出力デバイスは、デジタルの画像または動画をキャプチャするためのカメラも含む。処理ユニット1101は、バスに接続された中央処理ユニット(CPU)1110、メモリ1120、大容量ストレージデバイス1130、ビデオアダプタ1140、およびI/Oインタフェース1160を含んでよい。バスは、メモリバスもしくはメモリコントローラ、周辺バス、またはビデオバス等を含む任意のタイプのいくつかのバスアーキテクチャのうちの1つまたは複数であってよい。
【0070】
CPU1110は、任意のタイプの電子データプロセッサを含んでよい。メモリ1120は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、シンクロナスDRAM(SDRAM)、リードオンリメモリ(ROM)、またはそれらの組み合わせ等のような任意のタイプのシステムメモリを含んでよい。一実施形態において、メモリ1120は、ブートアップ時に用いるためのROM、およびプログラムの実行中に用いるための、プログラムおよびデータの記憶用のDRAMを含んでよい。複数の実施形態において、メモリ1120は、非一時的なものである。大容量ストレージデバイス1130は、データ、プログラム、および他の情報を記憶するよう、およびデータ、プログラム、および他の情報を、バスを介してアクセス可能とするよう構成された任意のタイプのストレージデバイスを含んでよい。大容量ストレージデバイス1130は、例として、ソリッドステートドライブ、ハードディスクドライブ、磁気ディスクドライブ、または光ディスクドライブ等のうちの1つまたは複数を含んでよい。
【0071】
ビデオアダプタ1140およびI/Oインタフェース1160は、外部入出力デバイスを処理ユニットと結合するためのインタフェースを提供する。図示のとおり、入出力デバイスの例としては、ビデオアダプタ1140に結合されたディスプレイまたはタッチスクリーン1190、およびI/Oインタフェース1160に結合されたカメラ/キーボード/マウス1170の任意の組み合わせが挙げられる。他のデバイスが処理ユニット1101に結合されてよく、追加のまたはより少数のインタフェースカードが利用されてよい。例として、プリンタ用のシリアルインタフェースを提供するべく、シリアルインタフェースカード(不図示)が用いられてよい。
【0072】
処理ユニット1101はまた、ノードまたは1または複数のネットワーク1180にアクセスするための、イーサネット(登録商標)ケーブル等のような有線リンクおよび/またはワイヤレスリンクを含み得る、1または複数のネットワークインタフェース1150を含む。ネットワークインタフェース1150は、処理ユニット1101がネットワーク1180を介して遠隔ユニットと通信することを可能とする。例として、ネットワークインタフェース1150は、1または複数の送信機/送信アンテナおよび1または複数の受信機/受信アンテナを介したワイヤレス通信を提供してよい。一実施形態において、処理ユニット1101は、データ処理、および他の処理ユニット、インターネット、または遠隔記憶設備等のような遠隔デバイスとの通信のために、ローカルエリアネットワークまたはワイドエリアネットワークに結合される。
【0073】
本開示においていくつかの実施形態を提供したが、開示のシステムおよび方法は、本開示の趣旨または範囲から逸脱することなく、多数の他の具体的形態において具現化され得ることが理解されるべきである。本例は例示的かつ非限定的なものとみなされるべきであり、本明細書において与えられた詳細にその意図が限定されるべきではない。例として、様々な要素またはコンポーネントが別のシステムに組み合わされまたは統合されてよく、あるいは特定の特徴が省略されてよく、または実装されなくてもよい。
【0074】
加えて、様々な実施形態において別個のまたは別々のものとして説明および図示されている技法、システム、サブシステム、および方法は、本開示の範囲から逸脱することなく、他のシステム、モジュール、技法、または方法と組み合わされまたは統合されてよい。互いに結合もしくは直接的に結合されているまたは通信しているものとして示されまたは記載されている他のアイテムは、電気的か、機械的か、または別の方法かを問わず、何らかのインタフェース、デバイス、または中間コンポーネントを介して間接的に結合されていてよい、または通信していてよい。他の変更例、置換例、および代替例が、当業者によって確認可能であり、本明細書に開示の趣旨および範囲から逸脱することなく実施され得る。