(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707675
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】リフロー可能な熱フューズ
(51)【国際特許分類】
H01H 85/38 20060101AFI20200601BHJP
H01H 85/06 20060101ALI20200601BHJP
H01H 85/36 20060101ALI20200601BHJP
H01H 85/08 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
H01H85/38
H01H85/06
H01H85/36
H01H85/08
【請求項の数】20
【外国語出願】
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-798(P2019-798)
(22)【出願日】2019年1月7日
(65)【公開番号】特開2019-145495(P2019-145495A)
(43)【公開日】2019年8月29日
【審査請求日】2019年4月5日
(31)【優先権主張番号】15/865,698
(32)【優先日】2018年1月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514037697
【氏名又は名称】リテルヒューズ・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・ピー・ガラ
(72)【発明者】
【氏名】ジエンホア・チェン
【審査官】
関 信之
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/034835(WO,A1)
【文献】
特開平06−036674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 85/38
H01H 85/06
H01H 85/08
H01H 85/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リフロー可能な熱フューズであって、
フューズ・ボディと、
該フューズ・ボディ内に配置されている伝導性コンポジット要素と、
第1伝導性ターミナルおよび第2伝導性ターミナルであって、前記伝導性コンポジット要素に接続されていて、前記フューズ・ボディの外側に延在している、第1伝導性ターミナルおよび第2伝導性ターミナルと、
リムーバブル・バリアであって、前記伝導性コンポジット要素の表面を被覆し、第1伝導性ターミナルおよび第2伝導性ターミナルと電気的に導通している、リムーバブル・バリアと、
溶媒要素であって、前記リムーバブル・バリアに配置され、該リムーバブル・バリアによって、前記伝導性コンポジット要素から分離されている、溶媒要素と
を含む、リフロー可能な熱フューズ。
【請求項2】
前記リムーバブル・バリアは、前記リフロー可能な熱フューズのリフロー温度よりも高い融解温度を有する、請求項1に記載のリフロー可能な熱フューズ。
【請求項3】
前記溶媒要素は、正確に溶融する有機化合物(PMOC)から形成される、請求項1に記載のリフロー可能な熱フューズ。
【請求項4】
PMOCは、ビスフェノールA、トリフェニレン、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールP、4,4’−スルホニルジフェノール、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ニトロアニリン、4−アミノ安息香酸、4−ニトロフェノール、レゾルシノール、ベンゾインおよびアスパラギン酸の少なくとも1つを含む、請求項3に記載のリフロー可能な熱フューズ。
【請求項5】
前記伝導性コンポジット要素は、正温度係数(PTC)の材料から形成され、該材料は、伝導性粒子を含み、該伝導性粒子は、ポリマー母材に懸濁している、請求項1に記載のリフロー可能な熱フューズ。
【請求項6】
前記伝導性コンポジット要素は、該伝導性コンポジット要素の抵抗を増加させるために、前記溶媒要素を吸収するようになっている、請求項1に記載のリフロー可能な熱フューズ。
【請求項7】
前記溶媒要素は、前記リフロー可能な熱フューズにおいて過電流の状態が発生すると、溶融するようになっている、請求項1に記載のリフロー可能な熱フューズ。
【請求項8】
前記リムーバブル・バリアは、前記リフロー可能な熱フューズにおいて過電流の状態が発生すると、融解するようになっていて、それにより、前記溶媒要素を前記伝導性コンポジット要素と接触させることができる、請求項1に記載のリフロー可能な熱フューズ。
【請求項9】
前記リムーバブル・バリアは、層状の要素であり、該層状の要素は、ポリイミドの層と、該ポリイミドの層に配置されている銅の層とから形成されている、請求項1に記載のリフロー可能な熱フューズ。
【請求項10】
前記リムーバブル・バリアは、第1リムーバブル・バリアであり、第1リムーバブル・バリアが、前記伝導性コンポジット要素の第1表面を被覆し、
前記溶媒要素は、第1溶媒要素であり、
前記リフロー可能な熱フューズは、さらに、第2リムーバブル・バリアを含み、第2リムーバブル・バリアが、前記伝導性コンポジット要素の第1表面に対向する第2表面を被覆し、第2溶媒要素は、第2リムーバブル・バリアに配置されていて、第2リムーバブル・バリアによって、前記伝導性コンポジット要素から分離されている、請求項1に記載のリフロー可能な熱フューズ。
【請求項11】
リフロー可能な熱フューズであって、
フューズ・ボディと、
該フューズ・ボディ内に配置されている伝導性コンポジット要素と、
第1伝導性ターミナルおよび第2伝導性ターミナルであって、前記伝導性コンポジット要素に接続されていて、前記フューズ・ボディの外側に延在している、第1伝導性ターミナルおよび第2伝導性ターミナルと、
前記伝導性コンポジット要素の表面を被覆し、開口が形成されている基材と、
リムーバブル・バリアであって、前記基材に配置されていて、前記開口をブリッジしている可融性の領域を有し、第1伝導性ターミナルおよび第2伝導性ターミナルと電気的に導通して配置されている、リムーバブル・バリアと、
溶媒要素であって、前記リムーバブル・バリアに配置され、該リムーバブル・バリアによって、前記伝導性コンポジット要素から分離されている、溶媒要素と、
付勢要素であって、前記溶媒要素に対して、前記基材および前記リムーバブル・バリアを付勢する、付勢要素と
を含み、前記リムーバブル・バリアは、予め決められた活性化電流に供されたとき、前記可融性の領域が融解するようになっている、リフロー可能な熱フューズ。
【請求項12】
前記リムーバブル・バリアは、前記リフロー可能な熱フューズのリフロー温度よりも高い融解温度を有する、請求項11に記載のリフロー可能な熱フューズ。
【請求項13】
前記溶媒要素は、正確に溶融する有機化合物(PMOC)から形成される、請求項11に記載のリフロー可能な熱フューズ。
【請求項14】
PMOCは、ビスフェノールA、トリフェニレン、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールP、4,4’−スルホニルジフェノール、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ニトロアニリン、4−アミノ安息香酸、4−ニトロフェノール、レゾルシノール、ベンゾインおよびアスパラギン酸の少なくとも1つを含む、請求項13に記載のリフロー可能な熱フューズ。
【請求項15】
前記伝導性コンポジット要素は、正温度係数(PTC)の材料から形成され、該材料は、伝導性粒子を含み、該伝導性粒子は、ポリマー母材に懸濁している、請求項11に記載のリフロー可能な熱フューズ。
【請求項16】
前記伝導性コンポジット要素は、該伝導性コンポジット要素の抵抗を増加させるために、前記溶媒要素を吸収するようになっている、請求項11に記載のリフロー可能な熱フューズ。
【請求項17】
前記溶媒要素は、前記リフロー可能な熱フューズにおいて過電流の状態が発生すると、溶融して、前記リムーバブル・バリアを通って、なおかつ前記基材の開口を通って流れるようになっている、請求項11に記載のリフロー可能な熱フューズ。
【請求項18】
前記リムーバブル・バリアは、層状の要素であり、該層状の要素は、ポリイミドの層と、該ポリイミドの層に配置されている銅の層とから形成されている、請求項11に記載のリフロー可能な熱フューズ。
【請求項19】
前記基材の開口は、該基材において、複数の開口を含み、前記リムーバブル・バリアの可融性の領域は、複数の可融性の領域を含み、該複数の可融性の領域は、前記基材の複数の開口をそれぞれブリッジしている、請求項11に記載のリフロー可能な熱フューズ。
【請求項20】
前記付勢要素は、コイル・スプリングを含み、該コイル・スプリングは、前記伝導性コンポジット要素を通るように延在している、請求項11に記載のリフロー可能な熱フューズ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の分野
本開示は、概して、回路保護デバイス(又は回路を保護するデバイス又はサーキット・プロテクション・デバイス(circuit protection devices))の分野に関し、より具体的には、熱フューズ(又は温度フューズ又はサーマル・フューズ(thermal fuses))に関する。
【背景技術】
【0002】
開示の分野
回路保護デバイスとして一般に用いられるフューズは、典型的には、電力の供給源(又は電源)と、保護されるべき電気回路の成分(又は構成要素又はコンポネント(component))との間に取り付けられる。一種のフューズ、一般的には、「熱フューズ」と呼ばれるものは、電気的に絶縁(又は遮蔽)するフューズ・ボディを含み、このフューズ・ボディは、可融性の要素(又は素子又はエレメント(element))を含み、この可融性の要素は、複数の電気伝導性(又は導電性)の金属性ターミナル(又は端子又は電極(terminals))の間に延在するものであり、かかるターミナルは、このフューズ・ボディの長手方向の対向する(2つの)端部を通るように延在するものである。指定の故障状態(又はフォールト・コンディション(fault condition))(フューズを通して過剰の電流が流れることによって引き起こされ得る温度過上昇(overtemperature)の状態など)が発生すると、可融性の要素が、「トリップ(又は移動又は飛び出し(trip))」(すなわち、溶融(又はメルト(melt)))して、電力の供給源(又は電源)と、保護される成分(又は構成要素又はコンポネント)との間で、電気電流の流れ(又はフロー)を中断させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
いくつかの用途(又は適用又はアプリケーション)では、相対的に低いトリップ温度を有する熱フューズを提供(又は実行又は実施)することが望ましいことであってよい。これにより、回路でフューズを絶縁するためのリフロー・ソルダリング(又はリフロー・ハンダ付)の使用が排除され得る。なぜなら、リフロー・ソルダリング・プロセスにより発生する熱によって、熱フューズの可融性の要素(又は素子又はエレメント)が、その溶融温度を超えて加熱されてよく、熱フューズを早まってトリップさせるからである。
【0004】
熱フューズを早まってトリップさせることなく、従来のリフロー・ソルダリング・プロセスを用いて、回路に取り付けられ得る熱フューズを提供することは有用であるだろう。ここで、熱フューズのトリップ温度は、取り付ける間に、この熱フューズが供される温度よりも低い。これは、かかる検討および他の検討に関して、本改良が有用となり得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
要旨
この要旨は、概念(又はコンセプト)の選択を導くために提供されるものであり、以下、「詳細な説明」において、さらに記載されるものから簡略化されて記載されるものである。この要旨は、特許請求の範囲に記載の主題(subject matter)の重要な特徴または必須の特徴を同定(又は決定)することは意図されず、特許請求の範囲に記載の主題の範囲を決定する際の助けとなるようにも意図されるものでもない。
【0006】
本開示の例示の実施形態に従うリフロー可能な熱フューズ(又はリフローアブル・サーマル・フューズ(reflowable thermal fuse))は、以下を含んでよい:
フューズ・ボディ、
該フューズ・ボディ内に配置されている伝導性コンポジット要素、
第1伝導性ターミナルおよび第2伝導性ターミナルであって、上記伝導性コンポジット要素に接続されていて、前記フューズ・ボディの外側に(又は外に出て)延在している、第1伝導性ターミナルおよび第2伝導性ターミナル、
リムーバブル・バリア(又は除去可能バリア(removable barrier))であって、上記伝導性コンポジット要素の表面を被覆し、第1伝導性ターミナルおよび第2伝導性ターミナルと電気的に連絡(又は電気通信又は電気コミュニケーション(electrical communication))している、リムーバブル・バリア、および
溶媒要素であって、上記リムーバブル・バリアに配置され、該リムーバブル・バリアによって、上記伝導性コンポジット要素から分離(又はセパレート)されている、溶媒要素。
当該リフロー可能な熱フューズにおいて、上記リムーバブル・バリアは、当該リフロー可能な熱フューズのリフロー温度よりも高い融解温度(又はフューズ温度(fusing temperature))を有する。
【0007】
本開示の別の例示の実施形態に従うリフロー可能な熱フューズは、以下を含んでよい:
フューズ・ボディ、
該フューズ・ボディ内に配置されている伝導性コンポジット要素、
第1伝導性ターミナルおよび第2伝導性ターミナルであって、上記伝導性コンポジット要素に接続されていて、上記フューズ・ボディの外側に(又は外に出て)延在している、第1伝導性ターミナルおよび第2伝導性ターミナル、
上記伝導性コンポジット要素の表面を被覆し、開口が形成されている基材、
リムーバブル・バリア(又は除去可能バリア(removable barrier))であって、上記基材に配置されていて、上記開口をブリッジ(橋渡し又は架橋又は橋絡)している可融性の領域(又は面積又はエリア)を有し、第1伝導性ターミナルおよび第2伝導性ターミナルと電気的に連絡(又は電気通信又は電気コミュニケーション(electrical communication))して配置されている、リムーバブル・バリア、
溶媒要素であって、上記リムーバブル・バリアに配置され、該リムーバブル・バリアによって、上記伝導性コンポジット要素から分離(又はセパレート)されている、溶媒要素、および
付勢要素(又は付勢素子又はバイアス要素又はバイアス素子又はバイアスエレメント(biasing element))であって、上記溶媒要素に対して、上記基材および上記リムーバブル・バリアを付勢する(又は偏らせる又はバイアスする(biasing))、付勢要素。
当該リフロー可能な熱フューズにおいて、上記リムーバブル・バリアは、当該リフロー可能な熱フューズのリフロー温度よりも高い溶融温度(又はフューズ温度(fusing temperature))を有し、上記リムーバブル・バリアは、予め決められた活性化電流(又はアクティベーション電流又はアクティベーション・カレント(activation current))に供されたとき、上記可融性の領域が融解するようになっている(又は適合又は形成されている)。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1a】
図1aは、本開示の例示の実施形態に従うリフロー可能な熱フューズを示す側面図(断面)である。
【
図1b】
図1bは、
図1aのリフロー可能な熱フューズ(トリップした状態)を示す側面図(断面)である。
【
図2a】
図2aは、本開示の別の例示の実施形態に従うリフロー可能な熱フューズを示す側面図(断面)である。
【
図2b】
図2bは、
図2aのリフロー可能な熱フューズ(トリップした状態)を示す側面図(断面)である。
【
図3a】
図3aは、本開示の別の例示の実施形態に従うリフロー可能な熱フューズを示す側面図(断面)である。
【
図3b】
図3bは、
図3aのリフロー可能な熱フューズ(活性化した状態)を示す側面図(断面)である。
【
図3c】
図3cは、
図3aのリフロー可能な熱フューズ(トリップした状態)を示す側面図(断面)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明
本明細書中、本開示に従うリフロー可能な熱フューズの実施形態が、添付の図面を参照しながら、より十分に記載される。図面においては、本開示の好ましい実施形態が示されている。しかしながら、リフロー可能な熱フューズは、多くの様々な(又は異なる)形態で具体化されてよく、本明細書中に示される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではない。むしろ、かかる実施形態は、この開示が、リフロー可能な熱フューズの特定の例示的な態様を当業者に伝えるように提供される。図面では、他に説明する場合を除いて、全体を通して、同様の数字は、同様の要素(又は素子又はエレメント(elements))を指す。
【0010】
図1aを参照すると、本開示の例示の実施形態に従うリフロー可能な熱フューズ10(本明細書中、以下、「フューズ10」)の側面図(断面)が示されている。フューズ10は、表面実装フューズ(又はサーフェス・マウント・フューズ(surface mount fuse))であるとして示されているが、これは決定的ではない。以下に記載されるフューズ10の種々の新規な特徴(又はフィーチャ)が、他のタイプのフューズ(カートリッジフューズ、ブレードフューズなどが挙げられるが、これらに限定されない)に提供され得ることは、当業者に理解されるだろう。便宜上および明確性の理由から、「上(又はトップ(top))」、「下(又はボトム(bottom))」、「長手方向(longitudinal)」、「横切る方向(lateral)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」などの用語は、本明細書中で使用されてよく、これらは、
図1aに示す通り、フューズ10の様々な成分(又は構成要素又はコンポネント(components))の相対的な位置および配向(又は向き又はオリエンテーション(orientations))を説明するためのものであり、フューズ10の幾何学的形状(又は幾何学的配置又はジオメトリ(geometry))および配向(又は向き又はオリエンテーション)に関して、すべて、説明するためのものである。上記の用語は、具体的に言及された単語(又はワード(words))、その派生語、および同様の意味を含む単語を包含する。本明細書中に記載される後続の実施形態を説明するために、同様の用語が、同様の様式で使用されるだろう。
【0011】
フューズ10は、フューズ・ボディ12、伝導性コンポジット要素(又は伝導性複合要素又は伝導性複合素子又は伝導性複合エレメント(conductive composite element))14と、ターミナル(又は端子又は電極)16aおよび16bと、リムーバブル・バリア(又は除去可能バリア(removable barrier))18と、溶媒要素(又は溶媒素子又は溶媒エレメント(solvent element))20とを含んでよい。フューズ・ボディ12は、電気絶縁材料(例えば、プラスチック、セラミックなど)から形成されてよく、内部の空洞(又はキャビティ)22を規定してよい。伝導性コンポジット要素14は、内部の空洞22に配置されてよい。ターミナル16aおよび16b(これらは、電気伝導性材料(又は導電性材料)(例えば、銅またはその合金の一種であって、ニッケルまたは他の伝導性で耐腐食性の材料でメッキされているもの)から形成されるもの)は、伝導性コンポジット要素14の対向する端部(又は終端又はエンド(ends))に接続されてよく、例えば、ハンダ、伝導性エポキシなどで接続されてよく、そして、フューズ・ボディ12を通るように延在してよく、これらは、他の回路の要素(又は素子又はエレメント(elements))への電気的な接続を促進するためにある。
【0012】
伝導性コンポジット要素14は、
図1aに示す通り、細長く実質的に平らな部材(又はメンバー)であってよいが、これは、決定的ではない。伝導性コンポジット要素14の寸法(又はサイズ)および形状(又はシェイプ)は、本開示の範囲から逸脱することなく、変更されてよい。伝導性コンポジット要素14は、正温度係数(positive temperature coefficient)(PTC)の材料から形成されてよく、この材料は、伝導性粒子(conductive particles)を含むものであり、かかる伝導性粒子が、ポリマー母材(又はポリマーマトリクス)中に懸濁(又は分散)しているものである。フューズ10の通常の故障のない(又は正常な)操作(又は作動)の間では、この伝導性コンポジット要素14の内部の伝導性粒子は、比較的に一緒に近接してよく、それ故、ターミナル16aとターミナル16bとの間において、伝導性コンポジット要素14にわたって、比較的に低い抵抗の電気伝導性(又は導電性)の経路(又は通路又はパス(pathway))を提供してよい。しかし、伝導性コンポジット要素14が、溶媒要素20と接触するようになった場合(以下にて、さらに詳細に説明する通りである)、伝導性コンポジット要素14は、溶媒要素20を迅速に吸収してよく、それにより、ポリマー母材を膨張(又は膨潤(swell))させて、伝導性粒子を互いにさらに分離させる。伝導性コンポジット要素14の抵抗は、それにより、顕著に増加し、これによって、ターミナル16aとターミナル16bとの間に流れる電流を軽減するか、または実質的に阻止する。
【0013】
リムーバブル・バリア18は、電気伝導性材料(又は導電性材料)の層またはフィルムであってよく、伝導性コンポジット要素14の上面および側面ならびにターミナル16aおよび16bの上面にわたって延在し、なおかつ、伝導性コンポジット要素14の上面および側面ならびにターミナル16aおよび16bの上面と密接に接触して配置され、それ故、ターミナル16aとターミナル16bとの間に電気伝導性(又は導電性)の経路(又は通路又はパス)を提供する。リムーバブル・バリア18の対向する(2つの)端部(又は終端又はエンド(ends))を、フューズ・ボディ12の外側に延在するものとして、
図1aに示すが、これは、決定的ではない。フューズ10の代替の実施形態が考えられ、この実施形態では、リムーバブル・バリア18は、フューズ・ボディ12の内部に完全(又は全体的)に配置されている。
【0014】
リムーバブル・バリア18は、その寸法(又はサイズ)、形状(又はシェイプ)および材料組成の適切な選択によって、予め決められた比較的に低い電流に供されたとき、融解(例えば、分離(又はセパレート))されるようになっていてよい(又は適合又は形成されてよい)が、比較的に高熱(例えば、フューズ10が、リフロー・ソルダリングによって回路に取り付けられるとき、リムーバブル・バリア18が曝される高い温度(本明細書中、以下、「リフロー温度」とよぶ))に供されたときは、そのままの状態(又は無傷又はインタクト(intact)の状態)を維持するようになっていてよい(又は適合又は形成されてよい)。例えば、リムーバブル・バリア18は、約2アンペア(Amps)の電流で融解するようになっていてよい(又は適合又は形成されてよい)が、260℃を超えるリフロー温度に曝されたときには、そのままの状態(又は無傷又はインタクト)を維持するようになっていてよい(又は適合又は形成されてよい)。リムーバブル・バリア18が融解または分離(又はセパレート)する最低の温度は、リムーバブル・バリア18の「融解温度(又はフューズ温度(fusing temperature))」と呼ばれてよい。非限定的な例では、このリムーバブル・バリア18は、層状の要素(又は素子又はエレメント(element))であってよく、この要素は、銅の層から形成されていて、この銅の層がポリイミドの層の上側に配置されているものである。これに関して、リムーバブル・バリア18は、限定されず、このリムーバブル・バリア18が、様々な他の材料(スズ、ニッケルなどが挙げられるが、これらに限定されない)を追加的または代替的に含んでよいことが考慮される。
【0015】
溶媒要素20は、
図1aに示す通り、細長くて実質的に平らな部材であってよいが、これは、決定的ではない。溶媒要素20の寸法(又はサイズ)および形状(又はシェイプ)は、本開示の範囲から逸脱することなく、変更されてよい。溶媒要素20は、リムーバブル・バリア18の上側で、フューズ・ボディ12の内部の空洞22に配置されてよい。より具体的には、リムーバブル・バリア18は、完全に分離(又はセパレート)していてよく、溶媒要素20と、伝導性コンポジット要素14との間に連続的なバリアを提供してよい。
【0016】
溶媒要素20は、正確に溶融する有機化合物(又は精密溶融有機化合物又はプレシジョン・メルティング・オーガニック化合物(precision melting organic compound)(PMOC)から形成されてよく、PMOCは、予め決められた温度を超えると、迅速に溶融するものである。一例として、PMOCの溶融温度は、120℃〜125℃(例えば、122℃)の範囲内であってよい。本開示は、このことに関して、限定されない。PMOCは、伝導性コンポジット要素14の材料に対する高い親和性(又はアフィニティ(affinity))と、伝導性コンポジット要素14の材料の中での高い移動性(又はモビリティ(mobility))とを有してよい。従って、溶媒要素20が、液体または半液体(又はセミ・リキッド(semi-liquid))の状態であり、なおかつ、伝導性コンポジット要素14と接触するようになる場合、この伝導性コンポジット要素14は、溶媒要素20を簡単に吸収してよく、そして、溶媒要素20は、時間の比較的に短い期間において、伝導性コンポジット要素14の実質的に均一に全体にわたって、分布されてよい。非限定的な例示の実施形態において、PMOCは、ビスフェノールA(BPA)であってよく、溶融温度は、フューズ10のリフロー温度未満であってよい。代替のPMOC(類)が使用されてよく、これには、ビスフェノールA、トリフェニレン、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールP、4,4’−スルホニルジフェノール、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ニトロアニリン、4−アミノ安息香酸、4−ニトロフェノール、レゾルシノール、ベンゾインおよびアスパラギン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
フューズ10を回路(又はサーキット)に取り付ける間、ターミナル16aおよび16bは、他の回路の要素(又は素子又はエレメント(elements))(例えば、電力の供給源(又は電源)およびロード(load))との電気的な接続により、プリント回路基板(printed circuit board)(PCB)にリフロー・ソルダリング(又はリフロー・ハンダ付)されてよく、それにより、フューズ10は、リフロー温度(例えば、260℃を超える温度)に供されてよい。リフロー温度は、溶媒要素20の溶融温度よりも十分に高くてよく、それ故、溶媒要素20は、液体または半液体の状態に溶融されてよい。しかし、リムーバブル・バリア18は、リフロー温度よりも高い溶融温度を有してよく、それ故、そのままの状態(又は無傷又はインタクト(intact)の状態)を維持してよい。それ故、このリムーバブル・バリア18は、フューズ10の取り付けの間において、溶媒要素20と伝導性コンポジット要素14との間の物理的な分離(又はセパレート)を維持するので、フューズ10が早まってトリップすることを防止(又は抑制)する。
【0018】
フューズ10のハンダ・リフロー取り付けが完了して、溶媒要素20を冷却させた後、溶媒要素20は、「通常(又はノーマル)」の温度(例えば、室温)に戻ってよく、再び凝固(又は再び固化(re-solidify))してよい。フューズ10は、その後、通常の方法(又は様式)で作動してよく、ここで、伝導性コンポジット要素14は、比較的に低い抵抗を有し、伝導性コンポジット要素14およびリムーバブル・バリア18は、ターミナル16aとターミナル16bとの間で、平行して、電流を運ぶ(又は伝える)。
【0019】
フューズ10において、故障状態(又はフォールト・コンディション)(例えば、過電流の状態)が発生すると、リムーバブル・バリア18を通して流れる電流は、予め決められた「トリップ・レベル(trip level)」(例えば、2アンペア(Amps))を超えてよい。このとき、リムーバブル・バリア18は、融解(すなわち、溶融、分離(又はセパレート)など)してよい。故障状態の間、伝導性コンポジット要素14およびリムーバブル・バリア18によって放出される熱は、溶媒要素20を迅速に溶融させるのに十分であってよい。従って、
図1Bを参照すると、溶融した溶媒要素20は、このリムーバブル・バリア18において、1以上のセパレーション(又は分離部)23を通して流れてよく、伝導性コンポジット要素14と接触してよく、この伝導性コンポジット要素14によって吸収されてよい。溶媒要素20を
図1Bに示し、この溶媒要素20は、リムーバブル・バリア18において、複数の別々のセパレーション23を通して流れるように示されているが、これは、決定的ではない。あるいは、リムーバブル・バリア18は、トリップ・レベルを超えたとき、1つ(又は単一又はシングル)の位置で分離(又はセパレート)するように構成されてよいことが考えられる。
【0020】
上記で説明した通り、伝導性コンポジット要素14は、溶融した溶媒要素20を吸収してよく、伝導性コンポジット要素14のポリマー母材を迅速に膨張(又は膨潤(swell))させて、ポリマー母材内の伝導性粒子を互いに分離させる。それによって、伝導性コンポジット要素14の抵抗は、顕著に増加し、ターミナル16aとターミナル16bとの間を流れる電流を実質的に止める(又は阻止又は捕捉する)。それによって、このフューズ10に接続される電気的な成分(又は構成要素又はコンポーネント(components))は、過電流の事象(又はイベント(events))の間、保護され得る。
【0021】
図2を参照すると、リフロー可能な熱フューズ100(本明細書中、以下、「フューズ100」)の側面図(断面)が示されていて、これは、本開示の別の例示の実施形態に従うものである。フューズ100は、上記で説明したフューズ10と実質的に同様であってよい。そして、フューズ100は、フューズ・ボディ112と、伝導性コンポジット要素(又は伝導性複合素子又は伝導性複合エレメント(conductive composite element))114と、ターミナル(又は端子又は電極)116aおよび116bと、第1リムーバブル・バリア(又は除去可能バリア(removable barrier))118と、第1溶媒要素(又は溶媒素子又は溶媒エレメント(solvent element))120とを含んでよく、これらは、フューズ・ボディ12、伝導性コンポジット要素14、ターミナル16aおよび16b、リムーバブル・バリア18、溶媒要素20と、それぞれ、実質的に同様であってよいものである。さらに、フューズ100は、第2リムーバブル・バリア119と、第2溶媒要素121とを含んでよい。
【0022】
第2リムーバブル・バリア119は、第1リムーバブル・バリアと実質的に同様であってよいが、伝導性コンポジット要素14の下面ならびにターミナル116aおよび116bの下面に延在してよく、伝導性コンポジット要素14の下面ならびにターミナル116aおよび116bの下面と密接に接触して配置されてよいので、ターミナル116aとターミナル116bとの間に電気伝導性(又は導電性)の経路(又は通路又はパス(pathway))を提供してよい。第2リムーバブル・バリア119の対向する端部(又は終端又はエンド(ends))を
図2に示す。第2リムーバブル・バリア119の対向する端部は、フューズ・ボディ112の外側に延在するように示されているが、これは決定的ではない。フューズ100の代替の実施形態が考えられ、この実施形態では、第2リムーバブル・バリア119は、フューズ・ボディ112の内部に完全(又は全体的)に配置されている。
【0023】
第2溶媒要素121は、第1溶媒要素と実質的に同様であってよい。しかし、第2溶媒要素121は、第2リムーバブル・バリア119の下側に配置されてよい。より具体的には、第2リムーバブル・バリア119は、完全(又は全体的)に分離(又はセパレート)してよい。そして、第2リムーバブル・バリア119は、第2溶媒要素121と伝導性コンポジット要素14との間で、連続的なバリアを提供してよい。
【0024】
フューズ100において、故障の状態(例えば、過電流の状態)が発生したとき、第1リムーバブル・バリア118および第2リムーバブル・バリア119を通して流れる電流は、予め決められた「トリップ・レベル(例えば、2アンペア(Amps)」を超えてよく、そうすると、第1リムーバブル・バリア118および第2リムーバブル・バリア119は、融解(すなわち、溶融、分離(又はセパレート)など)してよい。故障した状態の間、伝導性コンポジット要素14および第1リムーバブル・バリア118および第2リムーバブル・バリア119によって放出される熱は、第1溶媒要素120および第2溶媒要素121を迅速に溶融させるのに十分であってよい。従って、
図2Bを参照すると、溶融した第1溶媒要素120および第2溶媒要素121は、第1リムーバブル・バリア118および第2リムーバブル・バリア119のそれぞれにおいて、1以上のセパレーション123、125を通して流れてよく、そして、伝導性コンポジット要素14と接触してよく、そして、伝導性コンポジット要素14によって吸収されてよい。第1溶媒要素120および第2溶媒要素121は、
図2Bに示され、第1リムーバブル・バリア118および第2リムーバブル・バリア119のそれぞれにおいて、複数の別々のセパレーション123、125を通して流れるように示されているが、これは決定的ではない。あるいは、トリップ・レベルを超えるとき、第1リムーバブル・バリア118および第2リムーバブル・バリア119の片方または両方が、1つ(又は単一又はシングル)の位置で分離(又はセパレート)するように構成されてよいことが考えられる。
【0025】
上記で説明した通り、伝導性コンポジット要素114は、溶融した第1溶媒要素120および第2溶媒要素121を吸収してよく、伝導性コンポジット要素114のポリマー母材を迅速に膨張(又は膨潤(swell))させて、ポリマー母材において伝導性粒子を互いから分離させる。それによって、伝導性コンポジット要素114の抵抗は、顕著に増加し、ターミナル116aとターミナル116bとの間で流れる電流を実質的に止める(又は阻止又は捕捉する)。それによって、フューズ10に接続される電気的な成分(又は構成要素又はコンポーネント(components))は、過電流の事象(又はイベント(events))の間、保護されてよい。フューズ100の伝導性コンポジット要素114は、その上面および下面の両方を同時に通して、溶媒を吸収するので、フューズ10の伝導性コンポジット要素14と比べて、より多くの量の溶媒が、時間の所定の期間にわたって、伝導性コンポジット要素114に吸収されてよい。従って、過電流の状態が発生すると、伝導性コンポジット要素114は、より早く膨張(又は膨潤)してよいので、上記で説明したフューズ10の伝導性コンポジット要素14と比べて、より早く電流の流れ(又はフロー)を止めてよい。
【0026】
図3aを参照すると、リフロー可能な熱フューズ200(本明細書中、以下、「フューズ200」)の側面図(断面)が示されていて、これは、本開示の別の例示の実施形態に従うものである。フューズ200は、フューズ・ボディ212と、伝導性コンポジット要素(又は伝導性複合要素又は伝導性複合素子又は伝導性複合エレメント(conductive composite element))214と、ターミナル(又は端子又は電極)216aおよび216bと、リムーバブル・バリア(又は除去可能バリア(removable barrier))218(これは、基材(又は基体又はサブストレート(substrate))219上に形成されている)と、溶媒要素(又は溶媒素子又は溶媒エレメント(solvent element))220と、スプリング要素(又はスプリング素子又はスプリング・エレメント(spring elements))221aおよび221bとを含んでよい。フューズ・ボディ212は、電気絶縁材料(例えば、プラスチック、セラミックなど)から形成されてよく、内部の空洞(又はキャビティ)222を規定してよい。伝導性コンポジット要素214は、内部の空洞222に配置されてよく、そして、フューズ・ボディ212の床上(又はフロア上)に置かれてよい。ターミナル216aおよび216b(これらは、電気伝導性材料(又は導電性材料)(例えば、銅、又はその合金の一種であって、ニッケルまたは他の伝導性で耐腐食性の材料でメッキされているもの)から形成されるものである)は、垂直に配向された部分217aおよび217bを含んでいてよく、かかる部分は、伝導性コンポジット要素214の対向する端部(又は終端又はエンド(ends))に接続されてよいものである(例えば、ハンダ、伝導性エポキシなどによる接続)。ターミナル216aおよび216bは、フューズ・ボディ212のフロア(又は床)を通して、延在してよく、所望の方法(又は様式)で、曲げられてよく(例えば、図示する通り、フューズ・ボディ212の底部に対して水平(又はフラット)に曲げられてよく)、これらは、他の回路の要素(又は素子又はエレメント(elements))との電気的な接続を促進するためにある。
【0027】
伝導性コンポジット要素214は、
図3aに示す通り、細長く、実質的に平らな部材(又はメンバー)であってよいが、これは、決定的ではない。伝導性コンポジット要素214の寸法(又はサイズ)および形状(又はシェイプ)は、本開示の範囲から逸脱することなく、変更されてよい。伝導性コンポジット要素214は、正温度係数(PTC)の材料から形成されてよく、この材料は、伝導性粒子を含むものであり、この伝導性粒子は、ポリマー母材中に懸濁(又は分散)している。フューズ210の通常の故障のない(又は正常な)操作(又は作動)の間では、伝導性コンポジット要素214における伝導性粒子は、一緒に、比較的に近接してよいので、ターミナル216aとターミナル216bとの間において、伝導性コンポジット要素14にわたって、比較的に低い抵抗の電気伝導性(又は導電性)の経路(又はパス(pathway))を提供してよい。しかし、この伝導性コンポジット要素14が、溶媒要素220と接触することになるとき(以下にて、より詳細に説明する通りである)、伝導性コンポジット要素214は、溶媒要素220を迅速に吸収してよく、ポリマー母材を膨張(又は膨潤(swell))させてよく、さらに、伝導性粒子を互いから分離させてよい。それにより、伝導性コンポジット要素214の抵抗は、顕著に増加し、これによって、ターミナル216aとターミナル216bとの間に流れる電流を軽減するか、または、かかる電流を実質的に止める(又は阻止又は捕捉する)。
【0028】
リムーバブル・バリア218は、電気伝導性材料(又は導電性材料)の層またはフィルムであってよく、これは、電気絶縁基材219の上に形成されるものである(例えば、印刷(又はプリント)、積層(又はラミネート)、または、そうでなければ、堆積(又はデポジション))。基材219(これは、FR−4または同様の材料から形成されてよいものである)は、1以上の開口225を有してよく、開口225は、基材219に形成されているものである。リムーバブル・バリア218は、1以上の可融性の領域(又は面積又はエリア)226(以下にて説明する)を含んでよく、これは、開口225をブリッジ(又は橋渡し又は架橋又は橋絡)するものである。リムーバブル・バリア218の端部(又は終端又はエンド(ends))は、ターミナル216aおよび216bと接触して配置されてよく、そして、ターミナル216aおよび216bに対して、運動可能(又は移動可能又はムーバブル(moveable))である。例えば、リムーバブル・バリア218の端部は、垂直に配向されて(又は向けられて)よく、そして、
図3aにおいて示される通り、ターミナル216aおよび216bの垂直に配向された部分217aおよび217bに隣接して平行(又は水平)に配置されてよく、ターミナル216aおよび216bの垂直に配向された部分217aおよび217bとの平行(又は水平)の接合点(又はアバットメント(abutment))で配置されてよい。
【0029】
リムーバブル・バリア218は、その寸法(又はサイズ)、形状(又はシェイプ)および材料組成の適切な選択によって、予め決められた比較的に低い「活性化電流(又はアクティベーション電流又はアクティベーション・カレント(activation current))」に供されたとき、可融性の領域(又は面積又はエリア(areas))226において、融解(例えば、分離(又はセパレート))するようになっていてよい(又は適合又は形成されてよい)。しかし、比較的に高い熱(例えば、回路にフューズ100がリフロー・ソルダリングによって取り付けられるときにリムーバブル・バリア218が曝される高い温度(本明細書中、以下、「リフロー温度」と呼ぶ))に供されたときには、そのままの状態(又は無傷又はインタクト(intact)の状態)を維持するようになっていてよい(又は適合又は形成されてよい)。例えば、リムーバブル・バリア218は、約2アンペア(Amps)の電流で融解するようになっていてよい(又は適合又は形成されてよい)が、260℃を超えるリフロー温度に曝露されたときには、そのままの状態(又は無傷又はインタクト(intact)の状態)を維持するようになっていてよい(又は適合又は形成されてよい)。リムーバブル・バリア218の可融性の領域226が融解または分離(又はセパレート)する最小の温度は、リムーバブル・バリア218の「融解温度(又はフューズ温度(fusing temperature))」と呼ばれてよい。非限定的な例において、このリムーバブル・バリア218は、銅から形成されてよい。これに関して、リムーバブル・バリア218は、限定されず、以下のことが考えられる。リムーバブル・バリア18は、追加的または代替的に、様々な他の材料を包含してよく、スズ、ニッケルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
溶媒要素220は、
図3aに示される通り、細長く実質的に平らな部材(又はメンバー)であってよいが、これは決定的ではない。溶媒要素220の寸法(又はサイズ)および形状(又はシェイプ)は、本開示の範囲から逸脱することなく、変更されてよい。溶媒要素220は、リムーバブル・バリア218の上側で、フューズ・ボディ212の内部の空洞222に配置されてよい。より具体的には、リムーバブル・バリア218は、完全(又は全体的)に分離(又はセパレート)してよく、溶媒要素220と伝導性コンポジット要素214との間に連続的なバリアを提供してよい。
【0031】
スプリング要素221aおよび221bは、対応する貫通孔(又はスルーホール)227aおよび227bの中に配置されてよく、かかる貫通孔は、伝導性コンポジット要素214に形成されるものであり、フューズ・ボディ212の床(又はフロア)と基材219との間での圧縮を防止してよい。溶媒要素20(これは、リムーバブル・バリア218の上側の空間(又はスペース)を占めるものである)は、スプリング要素221aおよび221bの脱落(又はアンロード(unloading))と、基材219およびリムーバブル・バリア218の上方への運動(又は移動)とを抑制(又は防止)してよい。フューズ200の非限定的な実施形態において、スプリング要素221aおよび221bは、コイル・スプリング(又はコイルバネ)であってよい。これに関して、本開示は、限定されず、以下のことが考えられる。スプリング要素221aおよび221bは、いずれの種類(又はタイプ)の付勢部材(又はバイアス部材又はバイアスメンバー(biasing member))であってよく、これは、フューズ・ボディ212の床(又はフロア)から離れて、上方に、基材219を付勢する(又は偏らせる又はバイアスする(bias))ものである。
【0032】
溶媒要素220は、正確に溶融する有機化合物(又は精密溶融有機化合物又はプレシジョン・メルティング・オーガニック化合物(precision melting organic compound))(PMOC)から形成されてよく、PMOCは、予め決められた温度を超えると、迅速に溶融するものである。一例として、PMOCの溶融温度は、120℃〜125℃の範囲内であってよい(例えば、122℃)。これに関して、本開示は、限定されない。PMOCは、伝導性コンポジット要素214の材料に対する高い親和性(又はアフィニティ(affinity))と、伝導性コンポジット要素214の材料の中での高い移動性(又はモビリティ(mobility))とを有してよい。従って、溶媒要素220が、液体または半液体の状態であり、なおかつ、伝導性コンポジット要素214と接触させたとき、伝導性コンポジット要素214は、溶媒要素220を迅速に吸収してよく、溶媒要素220は、時間の比較的に短い期間で、伝導性コンポジット要素214の実質的に均一に全体にわたって、分布されてよい。非限定的な例示の実施形態において、PMOCは、ビスフェノールA(BPA)であってよく、その溶融温度は、フューズ210のリフロー温度よりも低くてもよい。使用してよい代替のPMOC(類)は、ビスフェノールA、トリフェニレン、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールP、4,4’−スルホニルジフェノール、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ニトロアニリン、4−アミノ安息香酸、4−ニトロフェノール、レゾルシノール、ベンゾインおよびアルパラギン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
回路にフューズ210を取り付ける間、ターミナル216aおよび216bは、他の回路の要素(又は素子又はエレメント(elements))(例えば、電力の供給源(又は電源)およびロード(load))に電気的に接続されたプリント回路基板(PCB)にリフロー・ソルダリング(又はリフロー・ハンダ付)されてよい。それにより、フューズ210は、例えば、260℃を超えるリフロー温度に供されてよい。リフロー温度は、溶媒要素220の溶融温度よりも十分に高くてよい。従って、溶媒要素220は、液体又は半液体の状態に溶融されてよい。しかし、リムーバブル・バリア218は、リフロー温度よりも高い溶融温度を有してよいので、そのままの状態(又は無傷又はインタクト(intact)の状態)を維持してよい。従って、リムーバブル・バリア218は、フューズ210を取り付ける間において、溶媒要素220と伝導性コンポジット要素214との間に物理的な分離を維持するので、それにより、フューズ210が早まってトリップすることを防止(又は抑制)する。
【0034】
フューズ210のソルダー・リフローによる取り付けが完了し、そして、溶媒要素220を冷却させた後、溶媒要素220は、「通常(又はノーマル)」の温度(例えば、室温)に戻してよく、そして、再び凝固(又は再び固化(re-solidify))してよい。この時点で、活性化電流(又はアクティベーション電流又はアクティベーション・カレント(activation current))がフューズ200に印加(又は付与又は適用)されてよい。上記の通り、活性化電流は、リムーバブル・バリア218の可融性の領域(又は面積又はエリア)226を融解させるのに十分な電流であってよく、
図3bに示す通り、間隙(又はギャップ)229をもたらす。活性化電流は、時間の比較的に短い期間にわたって、印加(又は付与又は適用)されてよく、この活性化電流の印加は、リムーバブル・バリア218において、または、伝導性コンポジット要素214において、溶媒要素220を溶融させるのに十分な熱を発生しない。従って、溶媒要素220は、固体の状態を維持し、融解したリムーバブル・バリア218の間隙229を通して流れることはない。さらに、固体状の溶媒要素220は、リムーバブル・バリア218の上側の空間を占め続け、スプリング要素221aおよび221bの脱落(又はアンロード(unloading))を防止(又は抑制)し、そして、基材219およびリムーバブル・バリア218の上方への運動(又は移動)を防止(又は抑制)する。
【0035】
フューズ200が活性化された後(すなわち、活性化電流の印加および可融性の領域226の融解の後)、フューズ200が通常の方法(又は様式)で作動してよく、ここで、伝導性コンポジット要素214は、比較的に低い抵抗を有し、ターミナル216aとターミナル216bとの間で電流を運ぶ(又は伝える)。
【0036】
フューズ210において、故障の状態(例えば、過電流の状態)が発生すると、伝導性コンポジット要素214を通って流れる電流は、予め決められた「トリップ・レベル」(例えば、2アンペア(Amps))を超えてよい。そうすると、故障の状態の間、伝導性コンポジット要素14によって放出される熱は、溶媒要素220を迅速に溶融させるのに十分であってよい。従って、
図3cを参照すると、溶融した溶媒要素220は、リムーバブル・バリア18において、間隙229を通して流れてよく、そして、伝導性コンポジット要素14と接触してよく、この伝導性コンポジット要素14によって吸収されてよい。さらに、スプリング要素221aおよび221bは、液化した溶媒要素220に対して、基材219およびリムーバブル・バリア218を上方に力を加えて(又は押して)よい。それにより、
図3cに示す通り、隙間229および開口225を通して、溶媒要素220が強制的に搾り出されて、伝導性コンポジット要素214と溶媒要素220とを接触させる。
【0037】
上記で説明した通り、伝導性コンポジット要素214は、溶融した溶媒要素220を吸収してよく、伝導性コンポジット要素214のポリマー母材を迅速に膨張(又は膨潤(swell))させて、ポリマー母材内において、伝導性粒子を互いに分離させる。それによって、伝導性コンポジット要素214の抵抗は、顕著に増加し、ターミナル216aとターミナル216bとの間に流れる電流を実質的に止める(又は阻止又は捕捉する)。それにより、フューズ10に接続されている電気的な成分(又は構成要素又はコンポーネント(components))は、過電流の事象(又はイベント(events))の間、保護されてよい。
【0038】
本明細書中で使用する通り、単数で記載され、そして用語(冠詞)「a」または「an」の後に続く要素(又は素子又はエレメント(element))または工程(又はステップ)は、複数の要素または工程を排除しないように理解されるべきである(ただし、このような除外が明確に記載されている場合を除く)。さらに、本開示の「実施形態(又は1実施形態)」という記載は、追加の実施形態(これも、また、上記で記載された特徴を包含するものである)の存在を排除するように解釈されることは意図されない。
【0039】
本開示は、特定の実施形態を参照して記載されているが、添付の特許請求の範囲に記載される通り、本開示の分野および範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に対する多数の改変、代替および変更が可能である。従って、本開示が、記載された実施形態に限定されないことが意図される。しかし、これは、以下の特許請求の範囲の文言によって規定される全範囲およびその均等の範囲を有することが意図される。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
リフロー可能な熱フューズであって、
フューズ・ボディと、
該フューズ・ボディ内に配置されている伝導性コンポジット要素と、
第1伝導性ターミナルおよび第2伝導性ターミナルであって、前記伝導性コンポジット要素に接続されていて、前記フューズ・ボディの外側に延在している、第1伝導性ターミナルおよび第2伝導性ターミナルと、
リムーバブル・バリアであって、前記伝導性コンポジット要素の表面を被覆し、第1伝導性ターミナルおよび第2伝導性ターミナルと電気的に連絡している、リムーバブル・バリアと、
溶媒要素であって、前記リムーバブル・バリアに配置され、該リムーバブル・バリアによって、前記伝導性コンポジット要素から分離されている、溶媒要素と
を含む、リフロー可能な熱フューズ。
(態様2)
前記リムーバブル・バリアは、前記リフロー可能な熱フューズのリフロー温度よりも高い融解温度を有する、態様1に記載のリフロー可能な熱フューズ。
(態様3)
前記溶媒要素は、正確に溶融する有機化合物(PMOC)から形成される、態様1に記載のリフロー可能な熱フューズ。
(態様4)
PMOCは、ビスフェノールA、トリフェニレン、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールP、4,4’−スルホニルジフェノール、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ニトロアニリン、4−アミノ安息香酸、4−ニトロフェノール、レゾルシノール、ベンゾインおよびアスパラギン酸の少なくとも1つを含む、態様3に記載のリフロー可能な熱フューズ。
(態様5)
前記伝導性コンポジット要素は、正温度係数(PTC)の材料から形成され、該材料は、伝導性粒子を含み、該伝導性粒子は、ポリマー母材に懸濁している、態様1に記載のリフロー可能な熱フューズ。
(態様6)
前記伝導性コンポジット要素は、該伝導性コンポジット要素の抵抗を増加させるために、前記溶媒要素を吸収するようになっている、態様1に記載のリフロー可能な熱フューズ。
(態様7)
前記溶媒要素は、前記リフロー可能な熱フューズにおいて過電流の状態が発生すると、溶融するようになっている、態様1に記載のリフロー可能な熱フューズ。
(態様8)
前記リムーバブル・バリアは、前記リフロー可能な熱フューズにおいて過電流の状態が発生すると、融解するようになっていて、それにより、前記溶媒要素を前記伝導性コンポジット要素と接触させることができる、態様1に記載のリフロー可能な熱フューズ。
(態様9)
前記リムーバブル・バリアは、層状の要素であり、該層状の要素は、銅の層から形成されていて、該銅の層は、ポリイミドの層に配置されている、態様1に記載のリフロー可能な熱フューズ。
(態様10)
前記リムーバブル・バリアは、第1リムーバブル・バリアであり、第1リムーバブル・バリアが、前記伝導性コンポジット要素の第1表面を被覆し、
前記溶媒要素は、第1溶媒要素であり、
前記リフロー可能な熱フューズは、さらに、第2リムーバブル・バリアを含み、第2リムーバブル・バリアが、前記伝導性コンポジット要素の第1表面に対向する第2表面を被覆し、第2溶媒要素は、第2リムーバブル・バリアに配置されていて、第2リムーバブル・バリアによって、前記伝導性コンポジット要素から分離されている、態様1に記載のリフロー可能な熱フューズ。
(態様11)
リフロー可能な熱フューズであって、
フューズ・ボディと、
該フューズ・ボディ内に配置されている伝導性コンポジット要素と、
第1伝導性ターミナルおよび第2伝導性ターミナルであって、前記伝導性コンポジット要素に接続されていて、前記フューズ・ボディの外側に延在している、第1伝導性ターミナルおよび第2伝導性ターミナルと、
前記伝導性コンポジット要素の表面を被覆し、開口が形成されている基材と、
リムーバブル・バリアであって、前記基材に配置されていて、前記開口をブリッジしている可融性の領域を有し、第1伝導性ターミナルおよび第2伝導性ターミナルと電気的に連絡して配置されている、リムーバブル・バリアと、
溶媒要素であって、前記リムーバブル・バリアに配置され、該リムーバブル・バリアによって、前記伝導性コンポジット要素から分離されている、溶媒要素と、
付勢要素であって、前記溶媒要素に対して、前記基材および前記リムーバブル・バリアを付勢する、付勢要素と
を含み、前記リムーバブル・バリアは、予め決められた活性化電流に供されたとき、前記可融性の領域が融解するようになっている、リフロー可能な熱フューズ。
(態様12)
前記リムーバブル・バリアは、前記リフロー可能な熱フューズのリフロー温度よりも高い融解温度を有する、態様11に記載のリフロー可能な熱フューズ。
(態様13)
前記溶媒要素は、正確に溶融する有機化合物(PMOC)から形成される、態様11に記載のリフロー可能な熱フューズ。
(態様14)
PMOCは、ビスフェノールA、トリフェニレン、テトラブロモビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールP、4,4’−スルホニルジフェノール、4−ヒドロキシベンズアルデヒド、4−ニトロアニリン、4−アミノ安息香酸、4−ニトロフェノール、レゾルシノール、ベンゾインおよびアスパラギン酸の少なくとも1つを含む、態様13に記載のリフロー可能な熱フューズ。
(態様15)
前記伝導性コンポジット要素は、正温度係数(PTC)の材料から形成され、該材料は、伝導性粒子を含み、該伝導性粒子は、ポリマー母材に懸濁している、態様11に記載のリフロー可能な熱フューズ。
(態様16)
前記伝導性コンポジット要素は、該伝導性コンポジット要素の抵抗を増加させるために、前記溶媒要素を吸収するようになっている、態様11に記載のリフロー可能な熱フューズ。
(態様17)
前記溶媒要素は、前記リフロー可能な熱フューズにおいて過電流の状態が発生すると、溶融して、前記リムーバブル・バリアを通って、なおかつ前記基材の開口を通って流れるようになっている、態様11に記載のリフロー可能な熱フューズ。
(態様18)
前記リムーバブル・バリアは、層状の要素であり、該層状の要素は、銅の層から形成されていて、該銅の層は、ポリイミドの層に配置されている、態様11に記載のリフロー可能な熱フューズ。
(態様19)
前記基材の開口は、該基材において、複数の開口を含み、前記リムーバブル・バリアの可融性の領域は、複数の可融性の領域を含み、該複数の可融性の領域は、前記基材の複数の開口をそれぞれブリッジしている、態様11に記載のリフロー可能な熱フューズ。
(態様20)
前記付勢要素は、コイル・スプリングを含み、該コイル・スプリングは、前記伝導性コンポジット要素を通るように延在している、態様11に記載のリフロー可能な熱フューズ。