特許第6707708号(P6707708)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6707708痛み軽減のために自律駆動される人工知能型医療用サクション装置及び人工知能型医療用サクション装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707708
(24)【登録日】2020年5月22日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】痛み軽減のために自律駆動される人工知能型医療用サクション装置及び人工知能型医療用サクション装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
   A61M1/00 131
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2019-501886(P2019-501886)
(86)(22)【出願日】2016年7月14日
(65)【公表番号】特表2019-509880(P2019-509880A)
(43)【公表日】2019年4月11日
(86)【国際出願番号】KR2016007668
(87)【国際公開番号】WO2017171150
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2018年9月26日
(31)【優先権主張番号】10-2016-0037433
(32)【優先日】2016年3月29日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】516203450
【氏名又は名称】エルエムイーシーエー カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】カン、 ジュン−キル
【審査官】 安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/130007(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/144769(WO,A1)
【文献】 国際公開第2006/035769(WO,A1)
【文献】 米国特許第05819723(US,A)
【文献】 韓国公開特許第10−2010−0000636(KR,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0044799(US,A1)
【文献】 特表2009−525087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
A61M 25/00−25/082
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルを用いて呼吸器内部の異物を除去する人工知能型医療用サクション装置において、
前記カテーテルに連結された吸引ポンプと、
前記吸引ポンプの吸引圧を所定の基準吸引圧として設定し、前記カテーテルの吸引端部が呼吸器の内部に挿入されるように前記カテーテルを前進駆動させ、前記カテーテルの内部で測定した実際の吸引圧の変動値に基づいて前記カテーテルの吸引端部の状態を分析する制御部と、
患者の血液中の酸素飽和度を測定し、前記制御部へ伝送する酸素飽和度測定部と、
を含み、
前記制御部は、前記酸素飽和度測定部から受信された酸素飽和度に基づき、前記吸引ポンプの動作を制御し、
前記カテーテルの内部で測定した実際の吸引圧が所定の割合以上増加した状態でカテーテルが所定時間以上維持される場合に、前記制御部は前記カテーテルの吸引端部が気管支内壁に吸着されたと判断する人工知能型医療用サクション装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は人工知能型医療用サクション装置及び人工知能型医療用サクション装置の制御方法に関するもので、より詳細には、気管支内壁へのカテーテルの吸着可否を医療用サクション装置が自ら判断できるようにすることで、カテーテルの吸引端部が気管支の内壁に吸着されることによって患者の苦痛が増加する状況の発生を防止することができるようにする、患者の痛み軽減のために自律駆動される人工知能型医療用サクション装置及び人工知能型医療用サクション装置の制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療用サクション装置は病院で手術を行いながら患者の体内から発生する血液、唾液、嘔吐物や分泌物などの異物を容器に強制的に吸引して除去する医療用異物吸引装置である。
【0003】
一般的に、病院や家庭で挙動が不便な患者は常にサクション装置を装着しており、この装置は保護者や看護師が気道や気管支から異物を除去する役割をする。
【0004】
しかし、痰などの異物は睡眠中にも発生して患者の気道を塞ぐ恐れがあるので、看護師、看病人や保護者が頻繁にサクション装置を駆動しなければならない。その他にも、これらの保護者は、患者の状態を常時直接確認しながら、頻繁にサクション装置を駆動して異物を除去しなければならない困難を甘受しなければならない。
【0005】
その他にも、保護者が患者の呼吸器に痰などの異物が存在すると判断し、医療用サクション装置に備えられたカテーテルを呼吸器に挿入させる場合、カテーテルの挿入方向が不正確であると、カテーテルの吸引端部が気管支の内壁に吸着される状況が発生する恐れがある。この場合に、患者は激しい痛みを感じるようになる問題が発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、気管支内壁へのカテーテルの吸着可否を医療用サクション装置が自ら判断できるようにすることで、カテーテルの吸引端部が気管支の内壁に吸着されることによって患者の苦痛が増加する状況の発生を防止できるようにする人工知能型医療用サクション装置及び人工知能型医療用サクション装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の目的を達成するための本発明に係る人工知能型医療用サクション装置の制御方法は、カテーテルを用いて呼吸器内部の異物を除去する人工知能型医療用サクション装置の制御方法において、(a)制御部が、前記カテーテルに連結された吸引ポンプの吸引圧を所定の基準吸引圧として設定する段階と、(b)前記制御部が、前記カテーテルの吸引端部が呼吸器の内部に挿入されるように前記カテーテルを前進駆動させる段階と、及び(c)前記制御部が、前記カテーテルの内部で測定した実際の吸引圧の変動値に基づいて前記カテーテルの吸引端部の状態を分析する段階を含む。
【0008】
好ましくは、 前記(c)段階では、前記制御部が、前記カテーテルの内部で測定した実際の吸引圧が所定の割合以上増加した状態でカテーテルが所定時間以上維持される場合に、前記カテーテルの吸引端部が気管支内壁に吸着されたと判断することを特徴とする。
【0009】
一方、本発明に係る人工知能型医療用サクション装置は、カテーテルに連結された吸引ポンプと、前記吸引ポンプの吸引圧を所定の基準吸引圧として設定し、前記カテーテルの吸引端部が呼吸器の内部に挿入されるように前記カテーテルを前進駆動させ、前記カテーテルの内部で測定した実際の吸引圧の変動値に基づいて前記カテーテルの吸引端部の状態を分析する制御部を含み、前記カテーテルの内部で測定した実際の吸引圧が所定の割合以上増加した状態でカテーテルが所定時間以上維持される場合に、前記制御部は前記カテーテルの吸引端部が気管支内壁に吸着されたと判断する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、気管支内壁へのカテーテルの吸着可否を医療用サクション装置が自ら判断することができるので、カテーテルの吸引端部が気管支の内壁に吸着されることによって患者の苦痛が増加する状況の発生を防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る人工知能型医療用サクション装置の構造を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る人工知能型医療用サクション装置の制御方法の実行過程及び手順を説明するフローチャートである。
図3】痰などによる呼吸障害のない患者から測定した聴診音の波形を周波数ドメイン(Frequency Domain)に変換して示すグラフである。
図4】痰などによる呼吸障害が発生した患者から測定した聴診音の波形を周波数ドメイン(Frequency Domain)に変換して示すグラフである。
図5】本発明の他の実施形態に係る気管支内壁へのカテーテルの吸着可否を判断する人工知能型医療用サクション装置の制御方法の実行過程及び手順を説明するフローチャートである。
図6】本発明に係る人工知能型医療用サクション装置に備えられるカテーテルの吸引端部の構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付した図面を参照して本発明をより詳細に説明する。図面のうち同一の構成要素は可能な限りどこでも同一の符号で示していることに留意しなければならない。また、本発明の要旨を不要に曖昧にし得ると判断する公知機能及び構成についての詳細な説明は省略する。
【0013】
図1は本発明の一実施形態に係る人工知能型医療用サクション装置の構造を示すブロック図である。本発明の一実施形態に係る人工知能型医療用サクション装置200はカテーテル100を用いて呼吸器内部の異物を除去する機能を行う。そのために、医療用サクション装置はカテーテル100の一端部に連設される吸引ポンプ210、センサ部220、駆動部230、聴診マイク240、圧力センサ250、脈拍測定部260、制御部270、及び酸素飽和度測定部280を含む。
【0014】
まず、吸引ポンプ210はカテーテル100の一端に設けられ、患者の呼吸器内部に挿入されたカテーテル100の他端を通じて痰などの異物を吸引するようにカテーテル100の内部に吸引圧を発生させる。
【0015】
センサ部220は患者の吸気ガスの質量と呼気ガスの質量をそれぞれ測定する質量流量計(Mass Flow Meter:MFM)センサを含み、患者の吸気ガスと呼気ガスの質量をそれぞれ測定し、測定結果を制御部270に伝送する機能を実行する。
【0016】
一方、駆動部230はカテーテル100を気管支内部に挿入するためにカテーテル100を前進移動させたり、カテーテル100を機関から除去するためにカテーテル100を後進移動させる。
【0017】
聴診マイク240は患者の聴診音を測定し、測定した聴診音を制御部270に伝送する。脈拍測定部260は患者の脈拍数を測定し、測定した脈拍数を制御部270に伝送する。酸素飽和度測定部280は患者から採取した血液サンプルから酸素飽和度を測定し、測定した酸素飽和度を制御部270に伝送する。
【0018】
一方、制御部270は聴診マイク240から受信した患者の聴診音情報、脈拍測定部260から受信した患者の脈拍数情報、酸素飽和度測定部280から受信した患者の酸素飽和度情報を含む患者の状態情報に基づいて患者の気管支内で痰などの異物を除去する必要がある状況であるか否かを判断する機能を実行する。
【0019】
更に、圧力センサ250はカテーテル100の内部に形成される圧力(負圧)の値を測定し、測定した圧力値を制御部270に伝送する。
【0020】
図2は本発明の一実施形態に係る人工知能型医療用サクション装置200の制御方法の実行過程及び手順を説明するフローチャートである。以下、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態に係る人工知能型医療用サクション装置200の制御方法の実行過程を説明する。
【0021】
まず、センサ部220は第1質量流量計センサと第2質量流量計センサを含む。第1質量流量計センサは患者が着用している呼吸用マスクの呼気排出口から患者の呼気呼吸量を測定し、第2質量流量計センサは呼吸用マスクの吸気流入口から患者の吸気呼吸量を測定する。
【0022】
一方、制御部270は第1質量流量計センサからの患者の呼気呼吸量の測定値と第2の質量流量計センサからの患者の吸気呼吸量の測定値を交互に受信する。結果的に、制御部270は第1及び2質量流量計センサから受信した測定値に基づいて、患者の呼吸サイクルあたりの呼吸量の情報をリアルタイムで取得することができる。
【0023】
更に、制御部270は第1質量流量計センサから呼気呼吸量の測定値を受信した時間と、その次の回の呼気呼吸量の測定値を受信した時間との間隔を演算することで、当該患者の呼吸(吸気/呼気)サイクルを測定することができるようになる(S320)。
【0024】
このように制御部270には患者の呼吸量の情報と呼吸サイクルの情報がリアルタイムで蓄積格納される。制御部270はこのような情報に基づいて患者の呼吸量の累積平均値を算出して格納し、患者の呼吸サイクルの累積平均値を算出して格納する。
【0025】
一方、制御部270はセンサ部220からリアルタイムで受信する患者の呼吸サイクルあたりの呼吸量が当該患者の呼吸量の累積平均値(基準呼吸量)未満であるか否かを判断する(S330)。
【0026】
通常、呼吸器に痰などの異物が一定レベル以上に累積された場合、患者の呼吸が苦しくなる。その結果、呼吸サイクルが短くなると同時に、呼吸サイクルあたりの呼吸量が減少するようになる。
【0027】
従って、制御部270により患者の呼吸サイクルあたりの呼吸量が当該患者の呼吸量の累積平均値(基準呼吸量)未満であると判断した場合、制御部270は患者からの痰を除去する必要がある状態と判断し、吸引ポンプ210及び駆動部230に動作開始指令を伝送する。それによって、患者の呼吸器内へのカテーテル100の挿入が開始される(S390)。
【0028】
一方、前述したS330段階で、制御部270により患者の呼吸サイクルあたりの呼吸量が当該患者の呼吸量の累積平均値(基準呼吸量)以上であると判断した場合、制御部270はその次の段階では患者の現在の呼吸サイクルが呼吸サイクルの累積平均値(基準サイクル)より小さいか否かを判断する(S340)。
【0029】
その結果、患者の現在測定した呼吸サイクルが呼吸サイクルの累積平均値(基準サイクル)より小さいと判断した場合、制御部はたとえ患者の呼吸量に異常がなくても、これを痰などにより呼吸が苦しくなった状態と判断し、吸引ポンプ210及び駆動部230に動作開始指令を伝送する。それによって、患者の呼吸器内へのカテーテル100の挿入が開始される(S390)。
【0030】
一方、前述したS340段階で、制御部270により患者の現在測定した呼吸サイクルが呼吸サイクルの累積平均値(基準サイクル)よりも小さくないと判断した場合、制御部270は患者の聴診音の波形を分析し(S350)、分析した波形の最大振幅(Amplitude)が所定の基準振幅値を超えるか否かを判断する(S360)。
【0031】
具体的には、平常時に制御部270は聴診マイク240で測定した患者の胸からの聴診音(または息音)をリアルタイムで受信し、受信した聴診音に対して図3に示すような波形分析を実施する。図3は痰などによる呼吸障害のない患者から測定した聴診音の波形を周波数ドメイン(Frequency Domain)に変換して示すグラフである。
【0032】
制御部270はこのように聴診マイクからリアルタイムで受信される聴診音に対して分析した波形の最大振幅(Amplitude)を累積した平均値を基準振幅値として設定する。
【0033】
一方、制御部270は聴診マイク240から受信した聴診音を分析する。この時、分析した波形の最大振幅(Amplitude)が所定の基準振幅値を超えていると判断する場合、制御部270はこれを痰などによって患者の息が荒くなった状態であると判断し、吸引ポンプ210及び駆動部230に動作開始指令を伝送する。それによって、患者の呼吸器内へのカテーテル100の挿入が開始される(S390)。
【0034】
具体的には、図4に示すように痰などによる呼吸障害のある患者から測定した聴診音波形の最大振幅は図3で定常状態の波形の最大振幅を超えることを確認することができる。
【0035】
一方、前述したS360段階で、制御部270により聴診マイク240から受信した聴診音に対して分析した波形の最大振幅(Amplitude)が所定の基準振幅値を超えていないと判断した場合、制御部270は患者の現在脈拍数が基準脈拍数を超えるか否かを判断する(S370)。
【0036】
具体的には、平常時に制御部270は患者の手首に設けられた脈拍測定部260から患者の脈拍数をリアルタイムで受信し、受信した累積脈拍数の平均値を基準脈拍数として設定する。
【0037】
一方、制御部270により脈拍測定部260から受信した脈拍数の平均値が基準脈拍数を超えていると判断した場合、制御部270はこれを意識不明の患者が痰などの呼吸器内の異物により呼吸が困難になり、その結果、当該患者の脈拍数が増加したと判断し、吸引ポンプ210及び駆動部230に動作開始指令を伝送する。それによって、患者の呼吸器内へのカテーテル100の挿入が開始される(S390)。
【0038】
一方、前述したS370段階で、制御部270により脈拍測定部260から受信した脈拍数の平均値が基準脈拍数を超えていないと判断した場合、制御部270は患者から現在測定した酸素飽和度が、定常状態の酸素飽和度の約80%に相当する値である基準酸素飽和度未満であるか否かを判断する(S380)。
【0039】
一方、制御部270により酸素飽和度測定部280から受信した患者の現在酸素飽和度が基準酸素飽和度未満であると判断した場合に、制御部270はこれを意識不明の患者が痰などの呼吸器内の異物により呼吸が困難になって、結果的に当該患者の酸素飽和度が低下したと判断し、吸引ポンプ210及び駆動部230に動作開始指令を伝送する。それによって、患者の呼吸器内へのカテーテル100の挿入が開始される(S390)。
【0040】
一方、前述した方法により患者の呼吸器に痰などの異物が存在すると判断し、カテーテルの呼吸器への挿入が開始された場合に、カテーテルを通じて異物を成功的に除去することもできる。しかし、カテーテルの呼吸器への挿入方向におけるエラーが原因でカテーテルの吸引端部が気管支の内壁に吸着されることが発生する恐れがある。
【0041】
この場合に、患者は激しい痛みを感じるようになるため、本発明者は気管支内壁へのカテーテルの吸着可否をインテリジェントに判断できるようにする人工知能型医療用サクション装置の制御方法を着目し、この方法に基づいて本発明を完成した。
【0042】
図5は本発明の他の実施形態に係る気管支内壁へのカテーテル100の吸着可否を判断する人工知能型医療用サクション装置200の制御方法の実行過程及び手順を説明するフローチャートである。以下、図1及び図5を参照して、本発明の他の実施形態に係るカテーテル100の気管支内壁への吸着可否を判断する人工知能型医療用サクション装置200の制御方法の実行過程を説明する。
【0043】
まず、カテーテル100の呼吸器への挿入を決定した制御部270は、吸引ポンプ210の吸引圧力が所定の基準吸引圧力になるように設定した後(S410)、カテーテル100を前進移動するために駆動部230を制御する(S420)。
【0044】
このようにカテーテル100が呼吸器の内部に挿入されて前進移動する間に吸引ポンプ210の吸引圧力は一定の値に維持され、カテーテル100に設けられた圧力センサ250はカテーテル100の内部での実際の吸引圧力値を測定する(S430)。
【0045】
具体的には、図6に示すようにカテーテル100は、その吸引端部に形成される複数の吸引孔150を有する。複数の吸引孔150のうち一部が痰などの異物に接触することで塞ぐ場合、カテーテル100の内部での実際の吸引圧力値は瞬間的に上昇する。以後、痰などの異物が吸引孔150を通じて吸引されて外部に排出されると、カテーテル100の内部での実際の吸引圧力値は再び元の状態に回復される。
【0046】
しかし、カテーテル100の端部の吸引孔150に接触された痰などの異物が高い粘度を有している場合には、時間が経過しても異物が吸引孔150を通過することができない。従って、吸引孔150は異物によって依然として塞がれている状態が維持される。
【0047】
従って、本発明では、カテーテル100の内部での実際の吸引圧力値が所定の割合(例えば、30%)以上増加したと判断した場合(S440)、制御部270は、カテーテルがそのような圧力状態で所定の基準時間(例えば、5秒)以上維持されるか否かを判断する(S450)。
【0048】
一方、所定の基準時間以内にカテーテル100の内部での実際の吸引圧力値が元の状態に回復した場合には、制御部270は吸引孔150を一時的に塞いでいる異物がカテーテル100の内部に完全に吸引されて入り込んだと判断するようになる。
【0049】
しかし、カテーテルが所定の基準時間を超えても実際の吸引圧力値の増加された状態で維持されると、制御部270は吸引孔150を塞いでいる異物の高粘度によって異物が吸引孔150を通過しない状態であると判断し、当該異物の吸引が可能に吸引ポンプ210の吸引圧力値を所定の割合(例えば、30%)だけ増加させる(S460)。
【0050】
このように吸引ポンプ210の増加した吸引圧によって異物が吸引孔150を通過すると、カテーテル100の内部での実際の吸引圧力値は前述したS430段階での測定値に回復される。
【0051】
しかし、痰などの異物によって吸引孔150が遮断されたことではなく、カテーテル100の端部が気管支の内壁に吸着された状態であれば、前述したS460段階でのポンプ吸引圧の増加設定にもかかわらず、カテーテル100は内部での実際の吸引圧力値が依然として増加した状態に維持される。
【0052】
従って、本発明に係る制御部270は、前述したS460段階でポンプの吸引圧を増加させた後にも、カテーテル100が内部での実際の吸引圧力値が増加した状態で所定の基準時間(例えば5秒)以上維持される場合、これをカテーテル100の端部が気管支内壁に吸着されることによって吸引孔150が遮断された状態であると判断し、患者の痛みを軽減するために、吸引ポンプ210の駆動を停止させる(S480)。
【0053】
一方、本発明を実施するに当たって、前述したS450段階で、カテーテル100の内部での実際の吸引圧力値が所定の割合以上増加した状態で、カテーテルがそのような圧力状態で所定の基準時間(例えば、5秒)以上維持されると、制御部270はカテーテル100の端部が気管支内壁に吸着されることによって吸引孔150が遮断された状態であると判断し、患者の痛みを軽減するために、吸引ポンプ210の駆動を停止させることもできある(S480)。
【0054】
本出願において使用した用語は単に特定の実施形態を説明するために使われたもので、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は文脈上明白に異なるように意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」又は「有する」等の用語は明細書上に記載した特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品又は、それらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つ又は、それ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品又は、それらを組み合わせたものなどの存在又は、付加の可能性を予め排除しないことと理解すべきであろう。
【0055】
以上では本発明の好ましい実施形態及び応用例について図示及び説明したが、本発明は前述した特定の実施形態及び応用例に限定されず、請求範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく当該発明が属する技術分野で通常の知識を有する者により多様な変形実施が可能であることは勿論であり、このような変形実施は本発明の技術的思想や展望から個別的に理解されてはならない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は医療用サクション装置に適用することができるので、医療機器産業分野における産業上の利用可能性が認められる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6