【発明が解決しようとする課題】
【0002】
本明細書で提供される実施形態では、小型ガソリンエンジンで用いるための持ち運びできる、簡単な、安全な、且つ信頼性のあるスパークプラグ・テストキットが開示される。例えば、スパークプラグ・テストキットは、道具箱などに収納し、例えば、かかりにくい芝刈機の問題を解決するなどの必要なときに必要とされる場所で使用することができる。
【0003】
小型ガソリンエンジンに関する従来の問題を解決する手法は、スパークプラグを取り外し、スパークプラグをエンジンブロック上に置いて接地接続をなし、その後、エンジンをクランキングして、スパークプラグの火花ギャップ内の火花を見ることである。このような手法は、燃料が不注意で点火される、オペレータが感電死する、及び/又はスパークプラグ開口部から燃焼チャンバの中にごみが落ちる場合があるという点で危険である。
【0004】
したがって、本明細書で説明される実施形態に係るスパークプラグ・テストキットは、これらの問題をなくし又は実質的に改善しながらスパークプラグの火花の簡単明瞭な検査を可能にするガソリンエンジンの安全且つ便利なテストを可能にする。後の説明から分かるように、スパークプラグ・テストキットは、既存の慣習及び構成に照らして、可搬性、使いやすさ、信頼性、及び安全性において利点を与える。
【0005】
これに関して、ここで
図1に移ると、最も近い技術と考えられる米国特許第4,570,124号A(Fuchs)(以下D1)で開示される従来技術の構成が示されている。D1は、スパークプラグ火花の目視検査のための透明火花チャンバと、スパークプラグを異なる圧力で目視検査するべく火花チャンバを加圧するための空気ポンプとを有する、単気筒及び多気筒火花点火型エンジンのテストのための持ち運びできる自己内蔵型の点火系統テスト診断器具を開示する。
【0006】
具体的には、D1で開示されるように、単気筒エンジンをテストするために、接地ワイヤ38が、テストクリップ40によってエンジン上の任意の適切な接地点に接続される。スパークプラグワイヤが、エンジンスパークプラグから取り外され、テストスパークプラグ32の上側端子76上に取り付けられる。スパークプラグがエンジンから取り外され、ロープ又は電気スタータでエンジンがクランキングされ、点火火花アークが透明ハウジングを通して視覚的に観察される。
【0007】
しかしながら、D1は、安全性を含むいくつかの欠点に悩まされる。例えば、スパークプラグの取り外しは、エンジンを損傷する可能性のあるごみがシリンダチャンバの中に落ちるのを許すことがある。
【0008】
さらに、エンジン上の任意の適切な接地点に接続されるワニ口クリップ14の使用は、信頼性のある電気接続を常には成さず、これにより、火花に影響する可能性があるという点で信頼できず、さらに、適切な取付点を見つけ出さなければならないという点で不便である。
【0009】
さらに、D1の電気リードは露出されており、不注意で結果的にオペレータが19kVに感電死する可能性がある。
【0010】
さらに、ここで
図2に移ると、スパークプラグを高い空気圧力でテストする目的でスパークプラグを内部に受け入れるための複数の開口部を有する装置を開示する米国特許第1,695,557号(Myers)(以下D2)で開示されるさらなる従来技術の構成が示されている。この装置は、残留ガソリンの爆発によりガラスが吹き飛んだ場合の怪我のリスクを低下させるべく観察を行うためのミラーを備える。
【0011】
しかしながら、D2は、複数のスパークプラグを同時にテストするのに適した「ハイエンド」の実験室テスト装置であり、本明細書で開示される持ち運びできる簡単なテストキットとは異なる。さらに、D2は、スパークプラグに電力を与える目的で、内蔵変圧器、スパークコイルなどを備える。さらに、内蔵電気部品を組み込んでいるD2は、スパークプラグをテストしながら同時に実際のエンジンの配電系統/マグネトなどをテストすることはできない。
【0012】
ここで
図3に移ると、加圧されたハウジング内の選択的電気テストのためのトレイ上のコンタクトの上に内燃機関のプラグのすべてを逆傾斜位に同時に配置することができるスパークプラグテスタを開示する米国特許第3,360,718(WILLIAMS)(以下D3)で開示されるさらなる従来技術の構成が示されている。しかしながら、D3は、その構造及び構成が実験室環境に適しているという点で、及び/又は、内蔵電気部品などを組み込んでおり、したがって、本明細書で開示される本実施形態のスパークプラグ・テストキットが可能であるような実際のエンジン自体の配電系統と併せたスパークプラグのテストに適していないという点でD2と異ならない。
【0013】
したがって、D2及びD3のいずれも、スパークプラグをテストしながら同時に実際のエンジンの配電系統をテストすることはできない。
【0014】
さらに詳細に後述するように、本発明のスパークプラグ・テストキットは、従来技術の構成と比べて可搬性、簡素さ、安全性、及び信頼性において利点を与える構成要素を備える。
【0015】
具体的には、さらに詳細に後述するように、スパークプラグ・テストキットは、密閉された透明なスパークプラグ観察装置を備える。火花観察装置は、火花ギャップの明瞭なビューをもたらすためにD2及びD3で開示された構成と違って手で持たれてよい。
【0016】
ここで、スパークプラグ観察装置は、ガソリン蒸気の不慮の点火を防ぐべく安全のためにシールされる。これに関して、D2及びD3の観察チャンバは、ガソリン爆発を防止しないが、むしろミラーの使用を通じてガラスの飛散による怪我を軽減することに注目される。
【0017】
本実施形態のスパークプラグ・テストキットは、スパークプラグ開口部と係合するときに、1)クラッキングを容易にするべくチャンバの減圧を可能にすること、2)スパークプラグ開口部にごみが入るのを防ぐこと、及び3)スパークプラグ・テストキットの接地リードに関する確実な電気接続を提供すること、の3つの目的を果たし得るスパークプラグ開口部係合装置をさらに備える。さらに、いくつかの実施形態において、スパークプラグ開口部係合装置は、従来の絶縁スパークプラグコネクタ及び関連する絶縁ブーツを用いてこれに接続することを可能にする、スパークプラグ型電気端子ヘッドを備える。
【0018】
前述のように、D1は、テストされるエンジンブロックへの接地接続をなす目的でワニ口クリップ40を使用する。
【0019】
しかしながら、D1のワニ口クリップ40は、信頼性のある電気接続を提供しない。これに対して、スパークプラグ開口部係合装置は、エンジンブロックとだけでなくスパークプラグ型端子ヘッドに接続される接地電気リードとも優れた電気接続をなす。
【0020】
さらに、D1のテストキットは、テスト中に不注意でごみが燃焼チャンバに入ってエンジンを損傷することを許す場合がある。
【0021】
さらに、スパークプラグ開口部係合装置は、クランキングを容易にするべくスパークプラグ開口部内に係合されている状態でチャンバの減圧を可能にする排気通路を提供する。
【0022】
これに関して、米国特許第3,115,033号A(Williams)(以下D4)は、シリンダのスパークプラグ開口部の中に挿入するように構成され、圧縮テストのための圧力計を備える、内燃機関圧縮テスト装置を開示する。
【0023】
しかしながら、D4は、エンジンの電気テストではなく圧縮テストに向けられており、これらの異なる別個のスキルセットを与えるD1及びD4の開示を一緒に組み合わせることを当業者は当然に予想していなかったであろう。これに関して、エンジン圧縮テストとエンジン電気系統のテストは、異なるタイプの当業者によって行われる可能性の方が高いと一般に言えるであろう。
【0024】
さらに、当業者がD1のアースリード38の電気接続の改良をしようとしたと仮定すると、その当業者の仮定上のルーチンステップは、別のタイプのクリップ又は係合の使用などによってワニ口クリップ40の電気接続を強化する程度までにしか延長されなかったであろうとだけは言えるであろう。
【0025】
さらに、チャンバの中にごみが落ちる問題は(D1〜D4の開示によって証明されるように)記録上の従来技術によってまだ認識さえされていないので、当業者がスパークプラグ開口部を塞ぐ又は他の方法で係合させようとすることは当然に予想され得ないであろう。したがって、本構成のスパークプラグ開口部係合装置を備えるテストキットがチャンバの中にごみが落ちるのを防ぐように構成されることを当業者がルーチンステップだけで想到することは予想されていなかったであろう。
【0026】
さらに、当業者がスパークプラグ開口部係合装置の使用を想到したと仮定しても、このようなスパークプラグ開口部係合装置がクランキングを容易にするべくチャンバの減圧を可能にするために排気部を有することは当然に予想されていなかったであろう。
【0027】
さらに、後の説明からも理解されるように、本構成のスパークプラグ・テストキットは、従来技術の参照D1〜D4を含む従来技術の構成と比べて可搬性、安全性、及び信頼性においてさらなる利点を提供する。
【0028】
具体的には、後の説明から分かるように、スパークプラグ・テストキットは、ユーザへの不慮のショックを防ぐために電気的に絶縁される。さらに、テストキットは、設置及び取り外しの目的で解体することができ、設置段階中に、スパークプラグが取り外され、スパークプラグ開口部係合装置がスパークプラグ開口部の中に挿入され、ソケットで締め付けられ、その後、スパークプラグが観察装置の中に挿入され、その後、アースリード電気接続ブーツがスパークプラグ開口部係合装置の遠位端子の上に挿入され、さらにその後、正リードの端子がディストリビュータからのコネクタの中に挿入される。さらに、引火性の液体、蒸気などから火花を隔離するためにスパークプラグ観察装置をねじ止めすることができる。
【0029】
したがって、理解されるように、参照D1〜D4で開示されたものを含む従来技術は、本実施形態に従って開示される特徴及び機能を含むテストキット構成を開示も提案もしない。
【0030】
何らかの従来技術の情報が本明細書で言及される場合、このような言及は、その情報がオーストラリア又はあらゆる他の国での当該技術分野での共通の一般知識の一部をなすことの自認を構成するものではないことが理解される。
【課題を解決するための手段】
【0031】
したがって、上記のことを念頭において、一実施形態によれば、スパークプラグ・テストキットであって、火花観察装置と、スパークプラグ開口部係合装置と、火花観察装置とスパークプラグ開口部係合装置とを電気的に接続するアースリードと、を備え、火花観察装置は、使用中にその内部に設置されたスパークプラグの火花ギャップを見ることができるようにするために透明観察チャンバを備え、観察チャンバは、燃料の不慮の点火を実質的に防ぐ又は可能性を低減させるために実質的に気密であってよく、スパークプラグ開口部係合装置は、ごみが開口部を通って中に落ちるのを実質的に防ぎ、且つ、アースリードのためのエンジンブロック電気接続コンタクトとして作用するように、観察のためにスパークプラグが取り外されるとスパークプラグのスパークプラグ開口部と係合するように構成され、チャンバの減圧のための少なくとも1つの排気部を備える、スパークプラグ・テストキットが開示される。
【0032】
スパークプラグ開口部係合装置は電気端子を画定してよく、アースリードは、遠位端でアースリード電気接続部により終端し、端子は、アースリード電気接続部と解放可能に接続するように構成されてよい。
【0033】
電気端子は、スパークプラグの端子の形状及び寸法と実質的に適合してよい。
【0034】
スパークプラグ開口部係合装置は、実質的に細長く、スパークプラグ開口部の中に回し入れる際に用いられるソケットの係合を容易にするべくソケット係合プロフィールを画定してよい。
【0035】
少なくとも1つの排気部は、スパークプラグ開口部係合装置から横方向に出てよい。
【0036】
アースリード電気接続部は、絶縁接続ブーツを含んでよい。
【0037】
アースリードは、近位端でスパークプラグのヘッドとの電気接触のためのカラーにより終端してよい。
【0038】
透明観察チャンバは、火花ギャップを異なる角度から見ることができるように実質的にドーム形に形状設定されてよい。
【0039】
透明観察チャンバは、透明ポリカーボネートを含んでよい。
【0040】
火花観察装置は、円筒部分及び端子ヘッド部分を備えてよく、円筒部分及び端子ヘッド部分は、使用中にそれらの間にスパークプラグを固定するために一緒に締結されるように構成される。
【0041】
端子ヘッド部分は、火花ギャップを透明な様態で収容するべく透明観察チャンバの相補的な内ねじの中に回し入れるための外ねじを備える環状押出成形部を備えてよい。
【0042】
スパークプラグ・テストキットは、火花観察装置を電気的に接続するための正リードをさらに備えてよく、正リードは、遠位端で正リード端子内で終端する。
【0043】
正リード端子は、実質的に細長く、ディストリビュータリードコネクタの中に挿入するように構成されてよい。
【0044】
正リード端子は、近位絶縁シースを含んでよい。
【0045】
本発明の他の態様も開示される。
【0046】
本発明の範囲内に入り得る任意の他の形態があるにもかかわらず、本開示の好ましい実施形態がここで単なる例として添付図を参照しながら説明される。