(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1開口周縁接触面及び前記第2開口周縁接触面が前記開口周縁に接触しているときの、前記第1開口周縁接触面と前記ピルファープルーフキャップの中心とを結ぶ直線と、前記第2開口周縁接触面と前記ピルファープルーフキャップの中心とを結ぶ直線と、のなす角であって、前記ピルファープルーフキャップの中心に関して前記第1腕部接続部の側のなす角は、180°以下である請求項1に記載のピルファープルーフキャップかしめ具。
ピルファープルーフキャップがかしめられる瓶型の容器の開口部の周面には、雄ネジ部が形成され、前記雄ネジ部に関して前記開口部の開口端とは反対の側にはフランジ部が形成されており、
前記第1腕部湾曲部は、前記第1開口周縁接触面及び前記第2開口周縁接触面が前記ピルファープルーフキャップの開口周縁に接触して、前記第1腕部と前記第2腕部とで前記ピルファープルーフキャップを挟んでいるときに、前記フランジ部に当接可能な第1フランジ当接面を有し、
前記第2腕部湾曲部は、前記第1開口周縁接触面及び前記第2開口周縁接触面が前記ピルファープルーフキャップの開口周縁に接触して、前記第1腕部と前記第2腕部とで前記ピルファープルーフキャップを挟んでいるときに、前記フランジ部に当接可能な第2フランジ当接面を有する請求項1〜請求項3のいずれかに記載のピルファープルーフキャップかしめ具。
前記第1フランジ当接面及び前記第2フランジ当接面は、前記フランジ部に当接し、前記天板当接部においては、前記第1天板当接部は、前記ピルファープルーフキャップの天板に当接せずに前記第2天板当接部が前記天板に当接する請求項4に記載のピルファープルーフキャップかしめ具。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1実施形態によるピルファープルーフキャップかしめ具について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態によるピルファープルーフキャップかしめ具1を示す斜視図である。
図2は、本発明の第1実施形態によるピルファープルーフキャップかしめ具1によってピルファープルーフキャップ2をかしめている様子を示す平面図である。
図3は、
図2のa−a線に沿った部分断面図である。
【0014】
ここで、説明の便宜上、
図2に示すように、第1腕部湾曲部14と第2腕部湾曲部24とによりピルファープルーフキャップ2を挟んでかしめている状態のときの、第1腕部10及び第2腕部20の他端部12、22から一端部11、21へ向かう方向(
図2における右側から左側へ向かう方向)を前方向D11と定義し、その反対の方向を後方向D12と定義し、これらを前後方向D1と定義する。また前後方向D1に直交し、且つ、第1腕部10と第2腕部20とを結ぶ方向に直交する方向であって、第1腕部接続部13から第2腕部接続部23へと向かう方向(
図2の紙面の裏面から表面へと向かう方向)を上方向D21(
図1等参照)と定義し、その反対の方向を下方向D22と定義し、これらを上下方向D2と定義する。また、第2腕部20から第1腕部10へと向かう方向(
図2における上方向)を左方向D31と定義し、その反対の方向を右方向D32と定義し、これらを左右方向D3と定義する。
【0015】
ピルファープルーフキャップかしめ具1によってかしめられるピルファープルーフキャップ2(以下「PPキャップ2」と言う)は、
図3等に示すように、瓶型の容器であるブドウジュースのボトル3の開口部や、ピッコロサイズのワインボトルの開口部を閉塞可能であり、アルミ合金により構成されている。
図3に示すように、PPキャップ2は、天板201と、筒部202と、PPバンド203(ピルファープルーフバンド203)とを有している。
【0016】
天板201は、略円盤形状を有している。筒部202は、円筒形状を有している。筒部202の上端部は、天板201の周縁部に一体成形されて接続されており、筒部202の上端部の開口を閉塞している。筒部202の内周面には、雌ネジ部(図示せず)が形成されている。筒部202の雌ネジは、ボトル3の開口部に形成された雄ネジ部(図示せず)に螺合可能である。
【0017】
筒部202の下端部には、PPバンド203が筒部202と同軸的な位置関係で一体成形されて接続されている。PPバンド203と筒部202の下端部との間には、筒部202の週方向へ所定の間隔で切断されて切り線204が形成されている。ボトル3の開口部の雄ネジへの、筒部202の雌ネジの螺合が緩む方向へ、天板201及び筒部202が、回転させられることにより、切り線204の位置においてPPバンド203と筒部202の下端部とが切り離される。
【0018】
PPバンド203の下端部は、ピルファープルーフキャップかしめ具1によって、
図3に示すように直径が縮められるように、変形させられてかしめられ、PPバンド203は、ボトル3の開口部の雄ネジ(図示せず)の下部に固定される。
【0019】
図1に示すように、ピルファープルーフキャップかしめ具1は、第1腕部10と第2腕部20とを備える。第1腕部10は、一端部11と、他端部12と、を有しており、一端部11から他端部12に向かって延びている。同様に、第2腕部20は、一端部21と、他端部22と、を有しており、一端部21から他端部22に向かって延びている。第1腕部10、第2腕部20は、それぞれ真鍮製であり、第1腕部10、第2腕部20の長手方向における長さは190mm程度である。
【0020】
図3に示すように、第1腕部10、第2腕部20の長手方向に直交する第1腕部10、第2腕部20の断面は、円形を有しており、その直径Dは、5.5mm〜8.0mmの範囲の値を採る。本実施形態では、この断面の直径Dは、8.0mmである。この断面の直径Dの下限値を5.5mmとしたのは、5.5mm未満では、かしめたキャップの口の部分、即ち、PPバンド203の部分に、鱗状の模様が生じたり、クラックが生じたりするためである。また、この断面の直径Dの上限値を8.0mmとしたのは、8.0mm以下であれば、キャップの口の部分、即ち、PPバンド203の部分を、上下方向D2に対して45°程度にまで折り曲げてかしめることができるからである。また、このように折り曲げられる部分を、上下方向D2においてPPバンド203の最下端から、1mm〜2mm程度とすることができるからである。このように曲げられることにより、この部分により手を切ってしまう恐れを低減することができる。
【0021】
第1腕部10と第2腕部20とは、一端部11、21と他端部12、22との間の部分において、互いに離れるように湾曲する形状を有している。具体的には、第1腕部10は、第1腕部湾曲部14と、第1把持部121とを有している。第1腕部湾曲部14は、第1腕部10の一端部11と他端部12との間の部分であって一端部11寄りの部分を構成している。第1腕部湾曲部14は、第2腕部20から離れるように湾曲している。第1把持部121は、第1腕部湾曲部14よりも第1腕部10の他端部12寄りに位置し、第1腕部10の他端部12近傍の部分を構成しており、人の手によって把持される。
【0022】
同様に、第2腕部20は、第2腕部湾曲部24と、第2把持部221とを有している。第2腕部湾曲部24は、第2腕部20の一端部21と他端部22との間の部分であって一端部21寄りの部分を構成している。第2腕部湾曲部24は、第1腕部10の第1腕部湾曲部14から離れるように湾曲している。第2把持部221は、第2腕部湾曲部24よりも第2腕部20の他端部22寄りに位置し、第2腕部20の他端部22近傍の部分を構成しており、第1把持部121とともに、人の手によって把持される。
【0023】
第1腕部10の一端部11は、第1腕部接続部13を有する。第1腕部接続部13は、第1腕部10の一端部11の上半分が削り取られたような形状を有している。第1腕部接続部13には、貫通孔(図示せず)が形成されている。
【0024】
第2腕部20の一端部21は、第2腕部接続部23を有する。第2腕部接続部23は、第2腕部20の一端部21の下半分が削り取られたような形状を有している。第2腕部接続部23には、貫通孔(図示せず)が形成されている。第1腕部接続部13の貫通孔と第2腕部接続部23の貫通孔とには、ネジ31が挿入されており、ネジ31の先端部には、ナット(図示せず)が螺合している。この構成により、第2腕部20の一端部21の第2腕部接続部23は、第1腕部10に対して回動可能に第1腕部10の第1腕部接続部13に接続されている。
【0025】
第1腕部湾曲部14は、第1開口周縁接触面141を有している。また、第2腕部湾曲部24は、第2開口周縁接触面241を有している。第1把持部121及び第2把持部221が人の手によって把持されることにより、
図2及び
図3に示すように、第1開口周縁接触面141及び第2開口周縁接触面241がPPキャップ2の開口周縁に接触して、第1腕部10と第2腕部20とでPPキャップ2を挟んでいるときに、第1開口周縁接触面141、第2開口周縁接触面241は、それぞれ、PPキャップ2の開口周縁の部分であって開口周縁の周方向の3mm〜6mmの長さの部分Bに接触可能である。より詳細には、
図3に示すように、第1腕部湾曲部14、第2腕部湾曲部24の上側の外面は、PPキャップ2の筒状部の下端において、
図2においてBで示す範囲で当接している。
【0026】
また、第1腕部湾曲部14、第2腕部湾曲部24の下側の外面は、ボトル3の開口部においてボトル3の雄ネジ部に関して開口部の開口端とは反対の側(ボトル3の底に近い側)に形成されたフランジ部301(
図3参照)に当接している。即ち、第1腕部湾曲部14は、第1開口周縁接触面141及び第2開口周縁接触面241がPPキャップ2の開口周縁に接触して、第1腕部10と第2腕部20とでPPキャップ2を挟んでいるときに、フランジ部301に当接可能な第1フランジ当接面142を有している。同様に、第2腕部湾曲部24は、第1開口周縁接触面141及び第2開口周縁接触面241がPPキャップ2の開口周縁に接触して、第1腕部10と第2腕部20とでPPキャップ2を挟んでいるときに、フランジ部301に当接可能な第2フランジ当接面242を有している。
【0027】
このときの、第1把持部121と第2把持部221との間の距離A(
図2参照)は、35mm〜45mmである。
【0028】
更に、このときには、
図2に示すように角度Cが形成される。角度Cは、第1開口周縁接触面141及び第2開口周縁接触面241がPPキャップ2の開口周縁に接触しているときの、
図2における平面視で、第1開口周縁接触面141とPPキャップ2の中心とを結ぶ直線(
図2中の二点鎖線)と、第2開口周縁接触面241とPPキャップ2の中心とを結ぶ直線(
図2中の二点鎖線)と、のなす角であって、PPキャップ2の中心に関して第1腕部接続部13及び第2腕部接続部23の側のなす角である。角度Cは、180°以下が好ましく、本実施形態では、略150°程度である。
【0029】
上記構成のピルファープルーフキャップかしめ具1を用いて、PPキャップ2をかしめる際の動作は以下の通りである。
【0030】
先ず、ボトル3の開口部を塞ぐようにPPキャップ2をボトル3の開口部に被せ、ボトル3に対してねじ締めをするように回転させて、ボトル3の開口部を締める。次に、
図2に示すように、第1開口周縁接触面141及び第2開口周縁接触面241をPPキャップ2の開口周縁に当接させると共に、第1フランジ当接面142及び第2フランジ当接面242をフランジ部301に当接させる。そして、ピルファープルーフキャップかしめ具1の第1把持部121と第2把持部221とを、使用者が片手で把持して、第1把持部121と第2把持部221とが互いに近づくように、ピルファープルーフキャップかしめ具1でPPキャップ2の開口周縁を締め付ける。
【0031】
次に、この状態を維持したまま、PPキャップ2をボトル3(
図3参照)の開口部に対して相対的に回転させてPPキャップ2をボトル3の開口部に締め付けるように、ピルファープルーフキャップかしめ具1をボトル3の開口部に対して、相対的に1回転させる。この際、角度Cは180°以下の値である150°であるため、第1開口周縁接触面141と第2開口周縁接触面241とによりPPキャップ2が挟まれることにより、
図2に示す平面視でPPキャップ2を後方向D12へ移動させる力がPPキャップ2に作用する。これにより、PPキャップ2は、第1開口周縁接触面141及び第2開口周縁接触面241に対して摺動し、ピルファープルーフキャップかしめ具1に対して後方向D12へ移動する。これにより、PPバンド203の下端部、即ち、PPキャップ2の開口周縁の部分が、PPバンド203の直径が小さくなるように変形して、かしめられ、PPキャップ2は、ボトル3の開口部に固定される。
【0032】
次に、第1実施形態に係るピルファープルーフキャップかしめ具1を用いて、本発明の効果を試す試験を行った。試験においては、
図2における距離Aの値が40mmであり、
図2における角度Cが150°であり、
図3における直径Dが7mmであり、
図2における部分Bの長さが3mm、5mm、6mmである第1実施形態に係るピルファープルーフキャップかしめ具1をそれぞれ本発明品1、本発明品2、本発明品3とした。また、
図2における部分Bの長さが5mmであり、
図2における角度Cが150°であり、
図3における直径Dが7mmであり、
図2における距離Aの値が35mm、40mm、45mmである第1実施形態に係るピルファープルーフキャップかしめ具1を、それぞれ本発明品4、本発明品5、本発明品6とした。また、
図2における距離Aの値が40mmであり、
図2における部分Bの長さが5mmであり、
図3における直径Dが7mmであり、
図2における角度Cが150°、170°である第1実施形態に係るピルファープルーフキャップかしめ具1を、それぞれ本発明品7、本発明品8とした。また、
図2における距離Aの値が40mmであり、
図2における部分Bの長さが5mmであり、
図2における角度Cが150°であり、
図3における直径Dが5.5mm、7mm、8.0mmである第1実施形態に係るピルファープルーフキャップかしめ具1を、それぞれ本発明品9、本発明品10、本発明品11とした。
【0033】
また、
図2における距離Aの値が40mmであり、
図2における角度Cが150°であり、
図3における直径Dが7mmであり、
図2における部分Bの長さが2.5mm、6.5mmであるピルファープルーフキャップかしめ具をそれぞれ比較品1、比較品2とした。また、
図2における部分Bの長さが5mmであり、
図2における角度Cが150°であり、
図3における直径Dが7mmであり、
図2における距離Aの値が30mm、50mmであるピルファープルーフキャップかしめ具を、それぞれ比較品3、比較品4とした。また、
図2における距離Aの値が40mmであり、
図2における部分Bの長さが5mmであり、
図3における直径Dが7mmであり、
図2における角度Cが185°であるピルファープルーフキャップかしめ具を、比較品5とした。また、
図2における距離Aの値が40mmであり、
図2における部分Bの長さが5mmであり、
図2における角度Cが150°であり、
図3における直径Dが5.0mm、8.5mmであるピルファープルーフキャップかしめ具を、比較品6、比較品7とした。
【0034】
そして、ボトル3の開口部を塞ぐようにPPキャップ2を回転させて締めた後に、実際に、8人の女性に本発明品1〜11、比較品1〜7を使用してもらい、かしめの作業を行った。試験結果は、表1〜表4に示すとおりである。
【0036】
表1に示すように、本発明品1〜3のいずれにおいても、PPキャップ2に目立ったキズが付くこともなく、また、ピルファープルーフキャップかしめ具をボトル3の開口部に対して、相対的に1回転させることによりかしめを確実に行うことができ、かしめ不良が生ずることもなかった。これに対して比較品1では、8人中7人がPPキャップ2にキズを付けてしまっており、かしめた後のボトル3を商品として扱うことは困難である。また、比較品2では、8人中6人が、ピルファープルーフキャップかしめ具をボトル3の開口部に対して、相対的に1回転させるだけでは、かしめを確実に行うことができず、更に1〜2回転させなければ、かしめを確実に完了することはできなかった。
【0037】
以上より、本発明品1〜3のように、部分Bの長さを3mm〜6mmとすることにより、PPキャップ2にキズが付くことは無く、且つ、ピルファープルーフキャップかしめ具1をボトル3の開口部に対して、相対的に1回転させることにより、かしめが確実に行われることが分かる。
【0039】
また、表2に示すように、本発明品4〜6のいずれにおいても、使用者である女性が片手で、ピルファープルーフキャップかしめ具の第1把持部121と第2把持部221とを把持したときに、第1把持部121と第2把持部221との間が広すぎるとも狭すぎるとも感じられるものはなかった。これに対して比較品3では、8人中6人が第1把持部121と第2把持部221との間が狭すぎると感じている。また、比較品4では、8人中6人が第1把持部121と第2把持部221との間が広すぎると感じている。そして、このように狭すぎる、又は、広すぎる、と感じた人は、いずれも比較品3又は比較品4を長時間使用してかしめ作業を続けることは困難であると感じている。以上より、本発明品4〜6のように距離Aの値を35mm〜45mmとすることにより、第1把持部121と第2把持部221との間が適度な距離を有することとなり、長時間にわたるピルファープルーフキャップかしめ具1の使用を可能とすることが分かる。
【0041】
また、表3に示すように、本発明品7、8のいずれにおいても、PPキャップ2は、第1開口周縁接触面141及び第2開口周縁接触面241に対して摺動し、ピルファープルーフキャップかしめ具1に対して後方向D12へ移動する。これに対して比較品5では、8人中一人も、PPキャップ2が、ピルファープルーフキャップかしめ具に対して後方向D12へ移動していない。以上より、角度Cを150°、170°等として180°以下とすることにより、PPキャップ2は、確実に後方向D12へ移動し、第1開口周縁接触面141及び第2開口周縁接触面241において広い部分でPPキャップ2に当接することができることが分かる。この結果、本発明品7、8では、第1開口周縁接触面141及び第2開口周縁接触面241の早期磨耗を極力抑えることができることが分かる。
【0043】
また、表4に示すように、本発明品9、10、11のいずれにおいても、かしめた後のPPキャップ2に、鱗状の模様が生じたり、クラックが生じたりすることはなく、仕上げは良好であった。また、かしめ後のPPバンド203の部分は、上下方向D2に対して45°程度にまで折り曲げられてかしめることができている。また、このように折り曲げられた部分は、上下方向D2においてPPバンド203の最下端から、1mm〜2mm程度になっている。このため、この部分により手を切ってしまう恐れは極めて低く、安全性についても良好である。
【0044】
これに対して比較品6では、8人中一人のみが、鱗状の模様が生じたり、クラックが生じたりすることはない、仕上げの良好な状態とすることができているに留まっている。このことから、断面の直径Dを5.5mm以上とすることにより、仕上げ状態を良くできることが分かる。
【0045】
また、比較品7では、8人中一人も、かしめ後のPPバンド203の部分を、上下方向D2に対して45°程度にまで折り曲げることはできなかった。また、比較品7では、8人中一人も、かしめにより折り曲げられた部分を、上下方向D2においてPPバンド203の最下端から、1mm〜2mm程度とすることはできなかった。即ち、安全性を良好とすることはできなかった。このことから、断面の直径Dを8.0mm以下とすることにより、安全性を良好にできることが分かる。
【0046】
上述した第1実施形態のピルファープルーフキャップかしめ具1によれば、以下のような効果を奏する。前述のように、ピルファープルーフキャップかしめ具1は、一端部11と、他端部12と、を有し、一端部11から他端部12に向かって延びる第1腕部10と、一端部21と他端部22とを有し、一端部21から他端部22に向かって延びる第2腕部20と、を備え、第1腕部10の一端部11は、第1腕部接続部13を有し、第2腕部20の一端部21は、第1腕部10に対して回動可能に第1腕部10の第1腕部接続部13に接続される第2腕部接続部23を有し、第1腕部10は、第1腕部10の一端部11と他端部12との間の部分において第2腕部20から離れるように湾曲する第1腕部湾曲部14と、第1腕部湾曲部14よりも第1腕部10の他端部12寄りに位置して人の手によって把持される第1把持部121とを有し、第2腕部20は、第2腕部20の一端部21と他端部22との間の第1腕部湾曲部14に対向する部分において第1腕部10から離れるように湾曲する第2腕部湾曲部24と、第2腕部湾曲部24よりも第2腕部20の他端部22寄りに位置して人の手によって把持される第2把持部221とを有する。
【0047】
そして、第1腕部湾曲部14は、PPキャップ2の開口周縁の部分であって開口周縁の周方向の3mm〜6mmの長さの部分Bに接触可能な第1開口周縁接触面141を有し、第2腕部湾曲部24は、PPキャップ2の開口周縁の部分であって開口周縁の周方向の3mm〜6mmの長さの部分Bに接触可能な第2開口周縁接触面241を有する。第1開口周縁接触面141及び第2開口周縁接触面241が開口周縁に接触して、第1腕部10と第2腕部20とでピルファープルーフキャップを挟んでいるときの、第1把持部121と第2把持部221との間の距離Aは、35mm〜45mmである。
【0048】
この構成により、握力が比較的弱い女性が、ピルファープルーフキャップかしめ具1を長時間使用した場合であっても、手の疲労を極力軽減した状態で、かしめの作業を続けることができる。また、かしめの作業を行う際に、PPキャップ2にキズを付けることを極力抑えることができる。更に、PPキャップ2を、瓶型の容器であるボトル3の開口部に対して相対的に回転させて、PPキャップ2をボトル3の開口部に締め付けるように、ピルファープルーフキャップかしめ具1を瓶の開口部に対して、相対的に1回転させるのみで、確実にかしめの作業を完了することができる。従って、従来のようにピルファープルーフキャップかしめ装置によりかしめていた場合と比較して、比較的弱い力によりかしめることができるため、瓶型容器の開口部の周面の雄ネジ部が、かしめの力により割れてしまうことを、極力抑えることが可能である。
【0049】
また、第1開口周縁接触面141及び第2開口周縁接触面241が開口周縁に接触しているときの、第1開口周縁接触面141とPPキャップの中心とを結ぶ直線と、第2開口周縁接触面241とPPキャップの中心とを結ぶ直線と、のなす角であって、PPキャップの中心に関して第1腕部接続部13の側のなす角は、180°以下である。
【0050】
この構成により、かしめの作業を行っているときに、PPキャップ2を、第1開口周縁接触面141及び第2開口周縁接触面241に対して容易に摺動させることができ、容易にピルファープルーフキャップかしめ具1に対して後方向D12へ移動させることができる。
【0051】
また、第1腕部10及び第2腕部20の長手方向に直交する断面は、円形を有し、断面の直径は、5.5mm〜8.0mmである。この構成により、かしめられたPPバンド203に鱗状の模様が生じたり、クラックが生じたりすることを極力抑え、且つ、かしめられた後のPPバンド203で手を切ってしまう危険性を、極めて低くすることができる。
【0052】
また、第1腕部湾曲部14は、第1開口周縁接触面141及び第2開口周縁接触面241がPPキャップ2の開口周縁に接触して、第1腕部10と第2腕部20とでPPキャップ2を挟んでいるときに、フランジ部301に当接可能な第1フランジ当接面142を有する。第2腕部湾曲部24は、第1開口周縁接触面141及び第2開口周縁接触面241がPPキャップの開口周縁に接触して、第1腕部10と第2腕部20とでPPキャップを挟んでいるときに、フランジ部301に当接可能な第2フランジ当接面242を有する。
【0053】
この構成により、第1フランジ当接面142、第2フランジ当接面242がフランジ部301に当接することによって、安定して第1開口周縁接触面141及び第2開口周縁接触面241を、PPキャップ2の開口周縁に接触させることができる。
【0054】
以下、本発明の第2実施形態によるピルファープルーフキャップかしめ具について、図面を参照しながら説明する。
図4は、本発明の第2実施形態によるピルファープルーフキャップかしめ具1Aを示す下方斜視図である。
図5は、本発明の第2実施形態によるピルファープルーフキャップかしめ具1AによってPPキャップ2をかしめている様子を示す斜視図である。
図6は、本発明の第2実施形態によるピルファープルーフキャップかしめ具1AによってPPキャップ2をかしめている様子を示す部分断面図である。
【0055】
第2実施形態によるピルファープルーフキャップかしめ具1Aは、天板当接部を有する点において第1実施形態によるピルファープルーフキャップかしめ具1とは異なる。また、第1腕部10A及び第2腕部20Aの形状、第1腕部接続部13A及び第2腕部接続部23Aの構成が、第1実施形態におけるこれらの構成とは異なる。これ以外の構成については、第1実施形態によるピルファープルーフキャップかしめ具1の構成と同様であるため、第1実施形態における各構成と同様の構成については、同様の符号を付して説明を省略する。
【0056】
図4等に示すように、第1腕部10A、第2腕部20Aの他端部12、22近傍の部分は、それぞれ第1把持部121、第2把持部221の部分から第1腕部10A、第2腕部20Aの他端に近づくにつれて、互いに離れるように、折れ曲がった形状を有している。第1腕部接続部13A及び第2腕部接続部23Aは、第1腕部接続部13A及び第2腕部接続部23A以外の第1腕部10A、第2腕部20Aの部分の上下方向D2における厚さと同一の厚さを有している。
【0057】
また、ピルファープルーフキャップかしめ具1Aは、平面視で略台形状を有する箱状部30Aを有している。箱状部30Aは、当該略台形の底面に相当する部分は、開口部により構成されており、開口部には、第1腕部10Aの一端部11A、第2腕部20Aの一端部21Aがそれぞれ挿入されている。箱状部30Aの上壁及び下壁には、左右方向D3に貫通孔(図示せず)が2つ並んで形成されている。上壁の貫通孔と第1腕部接続部13Aの貫通孔と下壁の貫通孔とを貫通するようにして、ネジ31A(
図5参照)が挿入されている。ネジ31Aの先端部には、ナットが螺合している。同様に、上壁の貫通孔と第2腕部接続部23Aの貫通孔と下壁の貫通孔とを貫通するようにして、ネジ31Aが挿入されている。ネジ31Aの先端部には、ナット32Aが螺合している。
【0058】
この構成により、第2腕部20Aの一端部21Aの第2腕部接続部23Aは、第1腕部10Aに対して回動可能に第1腕部10Aの第1腕部接続部13Aに接続されている。より詳細には、第1腕部10Aの第1腕部接続部13Aと、第2腕部20Aの一端部21Aの第2腕部接続部23Aとは、それぞれ箱状部30Aに対して回動可能であるため、第2腕部20Aの一端部21Aの第2腕部接続部23Aは、第1腕部10Aの一端部11Aの第1腕部接続部13Aに対して回動可能である。第1腕部接続部13A、第2腕部接続部23Aは、互いに離れる方向へ回動してゆくと、箱状部30Aに当接して、それ以上回動できないように規制される。箱状部30Aは、ストッパーの効果を発揮する。
【0059】
天板当接部は、第1天板当接部143Aと第2天板当接部243Aとを有している。第1天板当接部143Aと第2天板当接部243Aは、それぞれ、長方形の板状部材がL字状に折り曲げられ、それぞれ長方形状を有する上下方向壁部145A、245Aと水平方向壁部146A、246Aとを有している。第1天板当接部143Aの下部の前後方向D1における両端部近傍の部分には、貫通孔が形成されている。また、第1腕部湾曲部14にも2つの貫通孔が形成されている。第1天板当接部143Aの両端部近傍の部分の貫通孔と、第1腕部湾曲部14の貫通孔とを貫通するように、固定ネジ144Aが貫通孔に螺合している。この構成により、第1天板当接部143Aは、第1腕部湾曲部14に固定されている。
【0060】
同様に、第2天板当接部243Aの下部の前後方向D1における両端部近傍の部分には、貫通孔が形成されている。また、第2腕部湾曲部24にも2つの貫通孔が形成されている。第2天板当接部243Aの両端部近傍の部分の貫通孔と、第2腕部湾曲部24の貫通孔とを貫通するように、固定ネジ244Aが貫通孔に螺合している。この構成により、第2天板当接部243Aは、第2腕部湾曲部24に固定されている。第2天板当接部243Aの水平方向壁部246Aの下面には、フェルト布249Aが全面に貼付けられている。
【0061】
上記構成のピルファープルーフキャップかしめ具1Aを用いて、PPキャップ2をかしめる際の動作は以下の通りである。
【0062】
先ず、瓶3Aの開口部を塞ぐようにPPキャップ2を瓶3Aの開口部に被せ、瓶3Aに対してねじ締めをするように回転させて、瓶3Aの開口部を締める。次に、
図6に示すように、第1開口周縁接触面141及び第2開口周縁接触面241をPPキャップ2の開口周縁に当接させ、
図5に示すように、ピルファープルーフキャップかしめ具1Aの第1把持部121と第2把持部221とを、使用者が片手で把持して、第1把持部121と第2把持部221とが互いに近づくように、ピルファープルーフキャップかしめ具1AでPPキャップ2の開口周縁を締め付ける。
【0063】
このとき、第2天板当接部243Aの水平方向壁部246Aの下面は、フェルト布249Aを介してPPキャップ2の天板201に当接する。日本酒の四合瓶等の瓶3Aには、ワインボトル3に形成されていたようなフランジ部301は形成されていない。しかし、第2天板当接部243Aの水平方向壁部246Aの下面の、フェルト布249Aを介してのPPキャップ2の天板201への当接により、第1開口周縁接触面141及び第2開口周縁接触面241の、PPキャップ2の開口周縁への、安定した当接状態が維持される。
【0064】
次に、この状態を維持したまま、PPキャップ2を日本酒の瓶3Aの開口部に対して相対的に回転させてPPキャップ2を瓶3Aの開口部に締め付けるように、ピルファープルーフキャップかしめ具1Aを瓶3Aの開口部に対して、相対的に1回転させる。この動作以降は、第1実施形態と同様である。
【0065】
上述した第2実施形態のピルファープルーフキャップかしめ具1Aによれば、以下のような効果を奏する。前述のように、第2腕部20Aは、第1開口周縁接触面141と第2開口周縁接触面241との少なくとも一方がPPキャップ2の開口周縁に接触しているときに、PPキャップ2の天板201に当接可能な第2天板当接部243Aを有する。
【0066】
この構成により、ワインボトルに形成されていたようなフランジ部301が形成されていない日本酒の四合瓶等の瓶3Aの開口部にPPキャップ2をかしめて固定する場合であっても、天板当接部を構成する第2天板当接部243Aの水平方向壁部246Aの下面の、フェルト布249Aを介してのPPキャップ2の天板201への当接により、第1開口周縁接触面141及び第2開口周縁接触面241の、PPキャップ2の開口周縁への、安定した当接状態を維持することができる。
【0067】
本発明は、上述した実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲に記載された技術的範囲において変形が可能である。例えば、天板当接部においては、第2天板当接部243AがPPキャップ2の天板201に当接したが、これに限定されない。例えば、第1天板当接部143A及び第2天板当接部243Aが、PPキャップ2の天板201に当接してもよい。
【0068】
また、第1腕部10、第2腕部20は、それぞれ真鍮製であったが、真鍮製に限定されない。例えば、殺菌加工等を施すことを考慮するのであれば、ステンレス製であっても良い。
【0069】
また、ピルファープルーフキャップかしめ具の各部の構成や形状は、本実施形態の構成や形状に限定されない。例えば、第1実施形態において、第1腕部10の他端部12近傍の形状、第2腕部20の他端部22近傍の形状に代えて、第2実施形態における第1腕部10Aの他端部12近傍の形状、第2腕部20Aの他端部22近傍の形状としてもよい。