【実施例】
【0026】
図1から
図3に示す本発明の一実施例に係る農産物計量装置10は、長尺野菜等の農産物を水平状態で搬送しながら計量作業を連続的に行うものである。具体的には、基台12に軸着された駆動スプロケット14及び従動スプロケット16に架け渡される左右一対のコンベアチェーン18、18の搬送方向(
図1中、X方向)に、所定間隔を空けて複数のバケット20が取付部材19(
図3参照)を介して配設されている。農産物計量装置10に係る搬送方向の上流側(
図1中左側)に位置する供給部において、このバケット20に係る受皿22に長尺野菜が載置され、X方向に搬送される過程で後述する重量計測手段30によって長尺野菜の重量が計測される。なお、図中符号11は農産物計量装置10の制御装置である。
【0027】
本実施例の農産物計量装置10に係るバケット20は、
図3及び
図4に示すように、長尺野菜(農産物)が載置される受皿22と、受皿22の下部に所定間隔を空けて相対する状態で固着され、受皿22と共に搬送X方向に対して垂直方向に上下動する一対の受皿取付部材26、27と、一対の受皿取付部材26、27が各々備える開口部24、25同士に挿通され、コンベアチェーン18、18に取付部材19を介して固着される係合部材28とを含んで構成されている。
【0028】
一対の受皿取付部材26、27が各々備える開口部24、25同士に挿通される係合部材28は、相対する一対のスラット部材28a、28bと、一対のスラット部材28a、28b間に配設される連結部材28cとから構成され、連結部材28cを横方向から挟むようにして一対のスラット部材28a、28bが相対してボルト29により固定され、連結部材28cの両端が取付部材19、19によってコンベアチェーン18、18に固定されている。つまり、受皿22は一対の受皿取付部材26、27と共に、開口部24、25に沿って垂直方向に上下移動が可能な構成となっている。
【0029】
ここで、ボルト29による一対のスラット部材28a、28bの連結部材28cへの固定位置は特に限定されないが、本実施例では一対の受皿取付部材26、27の各外側の位置で固定されると共に、開口部24、25よりボルト29が突出した状態で固定されている。当該構成とすることによって、バケット20の搬送時にボルト29が一対の受皿取付部材26、27に係合するため、搬送方向に対して横方向への移動が規制され、バケット20の安定的な搬送が可能となる。つまり、開口部24、25よりボルト29を突出させ、ボルト29によって搬送方向に対して横方向への移動を規制することができれば、ボルト29による一対のスラット部材28a、28bの連結部材28cへの固定位置を一対の受皿取付部材26、27の各内側の位置としてもよい。また、固定手段はボルト29に限定されず、ビスやピンなどで固定すると共に、これらの一部を開口部24、25から突出するように構成してもよい。更には、ボルト29やピン、ビスなど以外に別途、搬送方向に対して横方向への移動を規制するための突出部を一対のスラット部材28a、28bに設けてもよい。
【0030】
なお、一対の受皿取付部材26、27に切り欠き部35を形成しておくことによって、一対のスラット部材28a、28bを連結部材28cへ固定すると共に、搬送方向に対して横方向への移動を規制するためのボルト29やビス、ピンなどを外すことなく、受皿22及び一対の受皿取付部材26、27を係合部材28から取り外すことができ、メンテナンス性の向上が図られる。
【0031】
そして、本実施形態に係る一対の受皿取付部材26、27が各々備える開口部24、25の少なくとも上側(受皿22の取付側)が略八の字形状に形成されている。それと共に、係合部材28の上側(受皿22の取付側)、即ち一対のスラット部材28a、28bの上側(受皿22の取付側)も側面視が略八の字形状をなすように構成されている。つまり、受皿22及び一対の受皿取付部材26、27が下方へ移動した場合、略八の字形状に形成された開口部24、25の上側に、同じく略八の字形状をなすように構成された係合部材28に係る一対のスラット部材28a、28bの上側がピッタリと安定的に係合することとなる。
【0032】
なお、本実施形態に係る受皿22は支持部材44を備えており、受皿22によって長尺野菜を搬送する際に、長尺野菜の根元部を安定的に支持することができる。また、後述する結束機や切断機によって根元部の出荷処理を行う際にも根元部を安定的に支持することができるため、出荷処理を効率的且つ綺麗に行うことができる。
【0033】
そして、本実施例の農産物計量装置10の搬送経路中に備える重量計測手段30は、計量板31、ロードセル32、ロッド33、エアシリンダ34及び表示部35から構成されている。ロッド33の上下動に伴ってロードセル32を備える計量板31が上下動し、計量板31が上方へ移動した際に一対の受皿取付部材26、27を介して受皿22を持ち上げることによって、受皿22に載置されている長尺野菜の重量をロードセル32によって計測することが可能となっている。
【0034】
以上の構成から成る本実施例の農産物計量装置10によると、以下のような流れで長尺野菜の計量作業を行うことができる。農産物計量装置10の搬送X方向の上流側に位置する農産物供給部においてバケット20に係る受皿22から支持部材44に渡って、所定量の長尺野菜が根元部を支持部材44側として載置される。この載置作業は作業者による手動の場合もあれば、別装置によって自動供給される場合もある。なお、ここで載置される長尺野菜の所定量とは、出荷時に要求される出荷重量に近似した量であればよく、正確な出荷重量が要求されるものではない。
【0035】
受皿22から支持部材44に渡って長尺野菜が載置されたバケット20は、コンベアチェーン18を間欠駆動することによってX方向に間欠的に搬送される。コンベアチェーン18が駆動されバケット20が搬送されている状態では、
図4(a)に示すように、受皿22、一対の受皿取付部材26、27及び長尺野菜の重さで下方向に移動し、係合部材28に係る略八の字形状に形成された一対のスラット部材28a、28bの上側(受皿22の取付側)が、一対の受皿取付部材26、27に係る略八の字形状に形成された開口部25、25の上側(受皿22の取付側)に安定的に係合した状態となっている。つまり、開口部24、25の上側が略八の字形状をなすと共に、一対のスラット部材28a、28bの上側も略八の字形状をなしているため、受皿22及び一対の受皿取付部材26、27が下方向へ移動する際、換言すれば係合部材28が開口部24、25内を上方向へ移動する際、開口部24、25によって一対のスラット部材28a、28bが案内されて、係合部材28が開口部24、25の短手方向(幅方向)中央部に位置決めされることとなる。なお、重量計測手段30に係る計量板31は下方に待避した状態となっている。
【0036】
そして、長尺野菜が載置されたバケット20が重量計測手段30の位置に到達すると、
図4(b)に示すように、コンベアチェーン18が停止すると同時にロッド33の上昇に伴ってロードセル32を備える計量板31が上昇し、バケット20が備える一対の受皿取付部材26、27を介して受皿22を持ち上げる。すると、係合部材28に係る一対のスラット部材28a、28bと、一対の受皿取付部材26、27に係る開口部24、25の係合状態が解除され、長尺野菜が載置された受皿22(支持部材44を含む)及び一対の受皿取付部材26、27のみが計量板31に載った状態となる。従って、予め受皿22及び一対の受皿取付部材26、27の重量を把握しておくことによって、受皿22に載置された長尺野菜の重量を計測することができる。
【0037】
ここで、ロードセル32による計測値は表示部35に表示されると共に、所定の出荷重量に達しているか否かが判断される。所定の出荷重量の許容範囲に入っていれば、計量板31は下降して、再びX方向へ搬送される。一方、所定の出荷重量に達していない場合や許容範囲を超えている場合は、作業者による長尺野菜の補充或いは除去作業が行われ、許容範囲に収まれば計量板31が下降して、再びX方向へ搬送されることとなる。
【0038】
重量計測手段30によって計量された長尺野菜は、重量計測手段30の下流側に設けられている結束機50によって結束され、更にその下流側に設けられている切断機52によって長尺野菜の根元部における不要な箇所が切断された後、最終の出荷工程へと送られることとなる。
【0039】
そして、長尺野菜が取り除かれたバケット20は搬送経路の最下流側で搬送面の反対側(下側)へと移動し、搬送経路の上流側へ戻っていく。この反対側へ移動した際、受皿22及び一対の受皿取付部材26、27は自重で下方向に移動する。ここで、本実施例の一対の受皿取付部材26、27に係る開口部24、25の下側(受皿22の取付側と反対側)も略八の字形状に形成されている。それと共に、係合部材28の下側(受皿22の取付側と反対側)、即ち一対のスラット部材28a、28bの下側(受皿22の取付側と反対側)も側面視が略八の字形状をなすように構成されている。従って、
図5に示すように、バケット20が搬送面の反対側へ移動した際に受皿22及び一対の受皿取付部材26、27が下方へ移動したとき、略八の字形状に形成された開口部24、25の下側に、同じく略八の字形状をなすように構成された係合部材28に係る一対のスラット部材28a、28bの下側がピッタリと安定的に係合することとなる。
【0040】
以上、本発明の一実施例に係る農産物計量装置10について詳述したが、本実施例の農産物計量装置10によると、農産物である長尺野菜を搬送しながら、その搬送経路中において連続的に長尺野菜の計量作業を行うことが可能である。特に、一対の受皿取付部材26、27が備える開口部24、25の上側(受皿22の取付側)が略八の字形状に形成されると共に、係合部材28に係る一対のスラット部材28a、28bの上側(受皿22の取付側)も略八の字形状をなすように構成されることによって、バケット20の移動中は、一対の受皿取付部材26、27と係合部材28とが安定的に係合し、農産物の安定した搬送が可能になると共に、バケット20の移動時に発生する音の静音化を図ることができる。
【0041】
そして、バケットを停止して一対の受皿取付部材26、27と係合部材28との係合状態を解除することによって、農産物が載置された受皿22及び一対の受皿取付部材26、27の重量を重量計測手段30によって正確に計測することができる。つまり、開口部24、25の上側が略八の字形状をなすと共に、一対のスラット部材28a、28bの上側も略八の字形状をなしているため、開口部24、25によって一対のスラット部材28a、28bが案内されて、係合部材28が開口部24、25の短手方向(幅方向)中央部に位置決めされることとなる。従って、重量計測手段30に係る計量板31が一対の受皿取付部材26、27を持ち上げた際、確実に係合部材28を開口部24、25の短手方向(幅方向)中央部に位置させることが可能となり、一対の受皿取付部材26、27と係合部材28との接触を回避して、正確な重量計測が可能となる。
【0042】
また、装置自体の構成が簡素化されると共に、一対の受皿取付部材26、27や係合部材28といった構成部材の加工そのものも容易となるため、メンテナンス性の向上及び農産物計量装置10の更なる低コスト化が図られる。
【0043】
更に、本実施例に係る農産物計量装置10において、開口部24、25の下側(受皿22の取付側と反対側)も略八の字形状に形成すると共に、係合部材28に係る一対のスラット部材28a、28bの下側(受皿22の取付側と反対側)も、開口部24、25の下側に係合するように略八の字形状をなすように構成することによって、バケット20の反転時における移動安定性の向上、及び静音性の向上が図られる。
【0044】
また、本実施例の農産物計量装置10に係るバケット20が支持部材44を含んで構成されているため、長尺野菜などであっても安定的に搬送することが可能である。
【0045】
また、本実施例の農産物計量装置10において、搬送方向における重量計測手段30の下流側に結束機50や切断機52を設けることによって、計量された長尺野菜を搬送しながら結束し、更には不要な部分を切断することが可能となり、出荷作業の更なる効率化が図られる。
【0046】
以上に例示した本発明の一実施例に係る農産物計量装置10は、本発明の技術的思想を実質的に限定するものと解してはならない。例えば、本実施例の農産物計量装置10に係る開口部24、25は、上側(受皿22の取付側)及び下側(受皿22の取付側の反対側)の両方を略八の字形状とし、係合部材28に係る一対のスラット部材28a、28bも上側及び下側の両方を略八の字形状に構成したが、少なくとも開口部24、25の上側及び一対のスラット部材28a、28bを略八の字形状とすればよい。なお、両者の下側も略八の字形状とすることによって、バケット20を搬送経路の上流側へ戻す際もバケット20を安定的に戻すことができると共に静音性の向上を図ることができる。
【0047】
また、本実施例の農産物計量装置10に係る一方の受皿取付部材26の下端両側に各々突起36、36を備え、他方の受皿取付部材27の下端中心部に一の突起37を備えることが好ましい。一対の受皿取付部材26、27の下端にそれぞれ突起36、37を設けることによって、重量計測手段30に係る計量板31上において、受皿22及び一対の受皿取付部材26、27を三点で支持することができる。従って、重量計測手段30に係る計量板31や一対の受皿取付部材26、27などに多少のひずみや傾きがあっても、計量板31上において受皿22及び一対の受皿取付部材26、27を三点支持によって安定させることができると共に、測定値も速やかに安定するため、より正確な重量計測を迅速に行うことが可能となる。
【0048】
更に、本実施例の農産物計量装置10に係る係合部材28は、一対のスラット部材28a、28bがボルト29によって連結部材28cを左右両側から挟むようにして固定されているが、一対のスラット部材28a、28bを連結部材28cの上下両側から挟むようにしてボルト29で固定してもよい。この場合、略八の字形状に形成された開口部24、25の上側に係合するように、少なくとも上側(受皿22の取付側)に位置する一方のスラット部材28aの側面視を略八の字形状に構成することによって、バケット20の安定的な搬送、静音性の向上、正確な重量計測が可能となる。
【0049】
更に、本実施例の農産物計量装置10に係る支持部材44も、計量する農産物によっては取り外すことも可能である。また、本実施例の農産物計量装置10に係る重量計測手段30は一つのみに限らず複数配設されてもよく、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、当業者の創意と工夫により、適宜に改良、変更又は追加をしながら実施できる。