特許第6707762号(P6707762)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 山佐株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6707762-遊技機 図000002
  • 特許6707762-遊技機 図000003
  • 特許6707762-遊技機 図000004
  • 特許6707762-遊技機 図000005
  • 特許6707762-遊技機 図000006
  • 特許6707762-遊技機 図000007
  • 特許6707762-遊技機 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707762
(24)【登録日】2020年5月25日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
   A63F 5/04 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
   A63F5/04 611B
【請求項の数】3
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2017-246787(P2017-246787)
(22)【出願日】2017年12月22日
(65)【公開番号】特開2019-111113(P2019-111113A)
(43)【公開日】2019年7月11日
【審査請求日】2019年7月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390026620
【氏名又は名称】山佐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】日向 祐太
【審査官】 佐藤 海
(56)【参考文献】
【文献】 特開2017−077332(JP,A)
【文献】 特開2005−185781(JP,A)
【文献】 特開2014−094048(JP,A)
【文献】 特開2014−061130(JP,A)
【文献】 特開2010−201098(JP,A)
【文献】 特開2016−086863(JP,A)
【文献】 特開2017−144014(JP,A)
【文献】 特開2015−073812(JP,A)
【文献】 特開2006−034571(JP,A)
【文献】 特開2002−301194(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲に複数の図柄を有する複数の回転リールと、
前記回転リールの回転を操作により開始させるスタートスイッチと、
前記回転リールの回転を停止操作により停止させる複数のストップスイッチと、
予め定められた図柄の組み合わせが所定のライン上に揃うことにより入賞となるように形成され、
外部装置に接続され、複数種類の信号を当該外部装置に出力する外部集中端子板を備えると共に、
遊技進行における制御処理の順番の過程を予め記憶させたプログラムに従って遊技進行を制御するプログラム制御方式が用いられる遊技機であって、
遊技者にとって有利度の異なる複数の遊技状態を備え、
前記信号には、前記遊技状態が移行したことを通知する第1信号と、遊技媒体が払出又は投入されたことを通知する第2信号とが含まれ、
前記第2信号の周波数は前記第1信号よりも高く且つ1回の遊技における前記第2信号の状態遷移の最大回数は前記第1信号より多く設定されていると共に、前記第2信号は前記遊技媒体の払出又は投入のうち少なくとも払出があった時に即時に状態遷移を可能とし、
前記遊技状態の移行が決定された場合は、前記第1信号の状態遷移が決定された遊技の次の遊技の開始から前記回転リールの回転を前記複数のストップスイッチのうち第1番目に停止操作する第1停止操作のタイミングまでの間、又は、前記第1信号の状態遷移が決定される遊技の開始から前記第1停止操作のタイミングまでの間に、前記第1信号の状態遷移が実行され、当該状態遷移が実行される遊技の開始を契機として所定の演出を開始させ
前記第1信号の状態遷移の前後には、前記第2信号の状態遷移を禁止する状態遷移禁止期間が設けられ、
前記状態遷移禁止期間は、遊技開始から遊技を進行させるための前記第1停止操作が可能となるまでの最短時間より短くなるように設定されていることを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記外部集中端子板のうち、前記第1信号を出力する外部出力端子と、前記第2信号を出力する外部出力端子とは、隣接しないように前記第1信号を出力する外部出力端子及び前記第2信号を出力する外部出力端子の間に他の外部出力端子が配置され、
前記他の外部出力端子の信号は、前記第2信号と同時に状態遷移しないように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記回転リールの回転速度が定常回転速度に達するまでの定常回転速度待ち時間が設けられ、
前記第1信号の状態遷移の前に設けた前記状態遷移禁止期間が終了した後に前記定常回転速度待ち時間を終了させるための追加ウェイト時間を、前記スタートスイッチ操作から前記回転リールの回転開始までの間に設けたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットマシン等の遊技機に関し、特にホールコンピュータ等の外部装置へ所定の信号を出力するものに関する。
【背景技術】
【0002】
スロットマシン等の遊技機は、一般的に以下のようにして遊技が行われる。
遊技者は、先ず、メダルの投入操作を行う。メダルの投入には、メダル投入口からメダルを投入する方法と、内部貯留されたクレジットメダルをベットスイッチの操作で投入する方法とがあり、いずれかを任意に選択することができる。
【0003】
すなわち、メダルの直接投入、又は、ベットスイッチの操作によるクレジットメダルからのメダルの内部投入により、所定の枚数、いわゆる規定数としての賭け数が設定されることを条件として遊技が開始可能となる。
【0004】
そして、遊技者は、次に、遊技のスタート操作を行う。この操作は、スタートスイッチを押下することにより行われ、この押下操作に応じて遊技がスタートすると、全リールが回転を開始し、リール上の図柄が変動状態となる。また、スタートスイッチの押下操作のタイミングで、複数の役のいずれの役に当選するか否かの役抽選が行われる。
【0005】
次に遊技者がリールの停止操作を行う。この操作は、各リールに対応して設けられているストップスイッチを任意の順番で操作することにより行われる。
役抽選の結果、所定の役に当選し、且つ、当選した役に応じて予め定められた図柄の組み合わせが所定のライン、いわゆる有効ライン上に揃うことにより、入賞等となり、或いは図柄の組み合わせが有効ライン上に揃わないことによりハズレとなって1回の遊技が終了する。なお、入賞内容に応じて、メダルの払い出し等が行われる。
【0006】
以上の操作は、遊技者の操作手順であり、通常は、複数遊技に亘って遊技を行うため、これらの操作が何度も繰り返される。
ここで、遊技ホール等の遊技場に設置されている多数の遊技機は、メダルの払出及び投入や、所定の遊技状態であること等を監視するホールコンピュータ等の外部装置にそれぞれ接続されている。各遊技機は、メダルの払出及び投入や、所定の遊技状態であることを伝えるための所定の信号を外部装置へ送信するために外部集中端子板を備えている。外部集中端子板は、各遊技機の制御装置から受けた所定の信号をホールコンピュータ等の外部装置へ出力する。
具体的には、各遊技機は、外部集中端子板を介して、例えば入賞時のメダルの払出枚数に応じた払出信号や、メダルの投入枚数に応じた投入信号や、遊技状態として、いわゆるAT状態へ移行したことや終了したことを伝えるAT信号等を出力する。
【0007】
上述した払出信号や投入信号は、払出枚数や、投入枚数に対応する複数のパルス信号を有している。
1つのパルス信号は、1枚のメダルの払出や投入に対応するものであり、この1つのパルス信号を送信するのに、所定の時間を要する(後述する図3図4等参照)。
パルス信号は、一般的に、パルスを1つ又は複数含む信号のことであり、複数含む場合にはパルス列と呼ぶこともできるものであり、1つのパルスで1ビットの情報を伝送することができるものである。
【0008】
また、上述した所定の遊技状態であることを伝えるためのAT信号等は、遊技状態がAT状態へ移行する場合に、原則としてON状態となり、AT状態中はON状態が維持され、AT状態が終了する場合はON状態が終了してOFF状態になるように設定されている。
また、スタートスイッチ信号は、遊技者によりスタートスイッチが操作されたときに、所定のパルス幅のパルス信号が外部集中端子板から外部装置へ出力されるものである。
【0009】
図7(A)〜(D)は従来の遊技機の外部集中端子板からホールコンピュータ等の外部装置へ出力されるAT信号、払出信号、投入信号及びスタートスイッチ信号に関するタイミングチャートである。
【0010】
図7(A)は従来の遊技機の理想とするタイミングチャートである。
なお、この従来の遊技機は、AT状態が終了しAT信号がOFF状態になった後、AT状態の最後の遊技で獲得した払出信号が外部装置へ出力される仕様となっている。また、その後、AT信号がON状態になった後、AT状態へ移行する前の遊技で獲得したメダル払出の払出信号が出力される仕様となっている。このような従来の遊技においても、(A)に示すような理想的なタイミングチャートになると何も問題は生じずに、ホールコンピュータ等の外部装置は、AT状態の払出枚数等を正しく把握することができる。
【0011】
しかし、実際には、AT信号は払出信号の影響を受けて、図7(B)のAT信号のON状態からOFF状態への遷移部分に示すようにAT信号の立ち下がりに時間がかかるような現象が発生する場合がある。このようになると、8枚のメダル払出に相当する払出信号の発生期間の前半の期間xがAT状態の遊技によるものとなり、8枚のメダル払出に相当する払出信号の発生期間の後半の期間yがAT状態の次の遊技状態の遊技によるものとなって分割されてしまい、ホールコンピュータ等の外部装置はAT状態の払出枚数を正しく把握することができないという不具合が発生する。
【0012】
また、例えば、図7(B)のAT信号のOFF状態からON状態への遷移部分に示すように、AT信号のON状態への遷移後に払出信号の影響を受けてノイズとしての立ち下がり及び立ち上がりが発生するような現象が発生する。このAT信号の受け側である外部装置の仕様として、AT信号の状態遷移後、一定時間以上その状態をキープしていればその状態を認識して反映するようになっているため、払出信号の影響で一定時間経過前の期間zで状態遷移が再び起こってしまうと、AT状態の反映が後にずれ込み、このような場合でもホールコンピュータ等の外部装置はAT状態の払出枚数等を正確に把握することができないことになる。
【0013】
図7(B)に示すような現象は、払出信号の周波数がAT信号よりも高く且つ1回の遊技における払出信号の状態遷移の回数が例えば上述した8回のように、AT信号よりも多く設定されていることにより、その影響を受けて発生していると考えられる。
【0014】
図7(B)に示すような現象の発生を回避するため、AT信号の状態遷移を発生させる前後の所定期間では、払出信号や投入信号からの影響を受けないように、払出信号や投入信号を発生させない状態遷移禁止期間を設けるような方法が考えられる。具体的には、図7(C)に示すように、AT状態の最後の遊技が終了し、AT信号がON状態からOFF状態に状態遷移した後、払出信号や投入信号の状態遷移禁止期間h、具体的には、例えば500msの状態遷移禁止期間hを設けるような方法が考えられる。なお、図7(C)には図示していないがAT信号がON状態からOFF状態に状態遷移する前には払出信号や投入信号を発生させない状態遷移禁止期間(具体的には500ms)が設けられている。また、同様に図7(C)に示すようにAT信号がOFF状態からON状態に状態遷移する前に払出信号や投入信号の状態遷移禁止期間iを設け、AT信号がOFF状態からON状態に状態遷移した後に払出信号や投入信号の状態遷移禁止期間jを設けるような方法が考えられる。これにより、図7(B)に示すような現象の発生を抑えることができるが、例えば状態遷移禁止期間hを500msに設定すると、0.5秒間、払出を一時的に止めることで当該状態遷移禁止期間hを設けていない場合と比較して、メダル払出のタイミングが遅れることになり、遊技者によってはテンポよく遊技を進めることができない可能性がある。
【0015】
また、ここで、従来技術として、ボーナスが終了したときに、払出信号を送出中かどうかを示すフラグを調べ、当該フラグがセットされているとき、ボーナス信号の出力を維持し、フラグがセットされていないとき、ボーナス信号の出力を終了する遊技機が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2010−201098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
この特許文献1に示す技術では、払出信号の出力中にボーナス信号の出力は維持されボーナス信号の出力が終了することは無くなるため、払出信号とボーナス信号との両者が同時に出力されず処理は分散され処理負担は軽減されることになるが、両者のタイミングが近いと図7(B)と同様の現象が発生しないという保証はない。
【0018】
そこで、この従来技術に図7(C)に示すような対策を施すと、図7(D)に示すようなタイミングチャートになる。図7(D)に示すものでは、払出信号の終了後、所定期間を経て、AT信号の状態遷移を行うものであり、AT信号の状態遷移の前後には、投入信号や払出信号を発生させない例えば500msの状態遷移禁止期間kや、状態遷移禁止期間mが設定されている。このようにすると図7(B)に示すような現象の発生は抑えられる。
ここで、遊技機の制御方式として、遊技進行を確実なものにするために予め作業の処理順番等の過程が記憶されたプログラムに従って自動的に遊技機を制御する方式であるプログラム制御が用いられる場合がある。このプログラム制御を用いて、この2つの状態遷移禁止期間k、状態遷移禁止期間mの終了後にスタートスイッチ信号のON状態を実質的に受け付けるようなプログラムに組み込まれているような仕様の場合には、状態遷移禁止期間k、状態遷移禁止期間m中にはスタートスイッチを操作しても次の遊技に進めることができないことになる。なお、プログラム制御を用いずに、実際の遊技進行と、信号出力とをプログラムに組み込まずにそれぞれ独立して制御するようにすると、両者がリンクしないことになり、遊技進行の確実性に劣るものとなる。
【0019】
本発明は、ホールコンピュータ等の外部装置に対して、所定の遊技状態における払出枚数を正確に把握させることができると共に、払出や遊技の進行が遅れることなく遊技者に待ち時間を意識させないことが可能な遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明に係る遊技機10は、次の点を特徴とする。すなわち、周囲に複数の図柄を有する複数の回転リールと、前記回転リールの回転を操作により開始させるスタートスイッチと、前記回転リールの回転を停止操作により停止させる複数のストップスイッチと、予め定められた図柄の組み合わせが所定のライン上に揃うことにより入賞となるように形成され、外部装置に接続され、複数種類の信号を当該外部装置に出力する外部集中端子板18を備えると共に、遊技進行における制御処理の順番の過程を予め記憶させたプログラムに従って遊技進行を制御するプログラム制御方式が用いられる遊技機10であって、遊技者にとって有利度の異なる複数の遊技状態を備え、前記信号には、前記遊技状態が移行したことを通知する第1信号(具体的には例えばAT信号)と、遊技媒体が払出又は投入されたことを通知する第2信号(具体的には例えば払出信号や投入信号)とが含まれ、前記第2信号の周波数は前記第1信号よりも高く且つ1回の遊技における前記第2信号の状態遷移の最大回数は前記第1信号より多く設定されていると共に、前記第2信号は前記遊技媒体の払出又は投入のうち少なくとも払出があった時に即時に状態遷移を可能とし、前記遊技状態の移行が決定された場合は、前記第1信号の状態遷移が決定された遊技の次の遊技の開始から前記回転リールの回転を前記複数のストップスイッチのうち第1番目に停止操作する第1停止操作のタイミングまでの間、又は、前記第1信号の状態遷移が決定される遊技の開始から前記第1停止操作のタイミングまでの間に、前記第1信号の状態遷移が実行され、当該状態遷移が実行される遊技の開始を契機として所定の演出を開始させ
前記第1信号の状態遷移の前後には、前記第2信号の状態遷移を禁止する状態遷移禁止期間が設けられ、
前記状態遷移禁止期間は、遊技開始から遊技を進行させるための前記第1停止操作が可能となるまでの最短時間より短くなるように設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、ホールコンピュータ等の外部装置に対して、所定の遊技状態における払出枚数を正確に把握させることができると共に、払出や遊技の進行が遅れることなく遊技者に待ち時間を意識させないことができる。
【0021】
本発明によれば、遊技開始から遊技を進行させるための特定操作が可能となるまでの時間を利用して、状態遷移禁止期間を消化することができる。
【0022】
また、本発明に係る遊技機10は、さらに、前記外部集中端子板18のうち、前記第1信号を出力する外部出力端子と、前記第2信号を出力する外部出力端子とは、隣接しないように前記第1信号を出力する外部出力端子及び前記第2信号を出力する外部出力端子の間に他の外部出力端子が配置され、前記他の外部出力端子の信号は、前記第2信号と同時に状態遷移しないように設定されていることを特徴とする。
本発明によれば、第1信号を出力する外部出力端子と、第2信号を出力する外部出力端子とを隣接しないようにして物理的に離して第2信号が第1信号へ影響を及ぼすことを抑えることができる。
また、本発明に係る遊技機10は、さらに、前記回転リールの回転速度が定常回転速度に達するまでの定常回転速度待ち時間が設けられ、前記第1信号の状態遷移の前に設けた前記状態遷移禁止期間が終了した後に前記定常回転速度待ち時間を終了させるための追加ウェイト時間を、前記スタートスイッチ操作から前記回転リールの回転開始までの間に設けたことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態であって、遊技機を示す外観正面図である。
図2】本発明の実施の形態であって、外部集中端子板の外部出力端子の内容を示す説明図である。
図3】本発明の実施の形態であって、(A)は再遊技以外の投入信号のタイムチャート、(B)は再遊技の投入信号のタイムチャートを示す説明図である。
図4】本発明の実施の形態であって、(A)は再遊技以外の払出信号のタイムチャート、(B)は再遊技の払出信号のタイムチャートを示す説明図である。
図5】本発明の実施の形態であって、外部集中端子板からホールコンピュータ等の外部装置へ出力されるAT信号、払出信号、投入信号及びスタートスイッチ信号に関するタイミングチャートである。
図6】本発明の実施の形態であって、(A)は定常回転速度待ち時間の前に追加ウェイト時間を設けない場合のAT信号及び投入信号のタイムチャート、(B)は定常回転速度待ち時間の前に追加ウェイト時間を設けた場合のAT信号及び投入信号のタイムチャートである。
図7】(A)〜(D)は従来技術であって、外部集中端子板からホールコンピュータ等の外部装置へ出力されるAT信号、払出信号、投入信号及びスタートスイッチ信号に関するタイミングチャートであって、(A)は従来技術の理想とするタイミングチャート、(B)は払出信号がAT信号に影響を及ぼした場合のタイミングチャート、(C)は従来技術の対策の一つであり、払出信号の前に状態遷移禁止期間を設けたタイミングチャート、(D)は払出信号の後に状態遷移禁止期間を設けたタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書では、各説明箇所において、方向についての定義等が示されていない場合には、遊技機10の正面に向かって位置している遊技者、すなわち、当該遊技機10の前に設置してある椅子に座っている遊技者から見て、遊技機10から遊技者の手前側に向かう方向を「前」方向とし、その逆方向を「後」方向とする。また、同様に、「左」や「右」等の左右方向及び「上」や「下」等の上下方向も、遊技機10の前に座っている遊技者から見た場合の左方向や右方向、又は上方向や下方向を意味する。同様に、各部材の説明においても、方向についての定義等が示されていない場合には、各部材を、遊技機10の所定位置に固定した場合における遊技者から見た方向を意味する。
【0025】
本実施の形態に係る遊技機10としてのスロットマシンを、以下、図1を参照しながら説明する。本実施の形態に係る遊技機10としてのスロットマシンは、前方向に向かって開口する正面開口を有する四角箱状の筐体12と、この筐体12の正面開口を開閉自在に覆う前扉14とを備えている。
【0026】
前扉14の上部には、薄板樹脂からなる上パネル20を備えている。この上パネル20の略中央には、3個のリール62(正面から向かって左側の左リール64、中央の中リール66、右側の右リール68)の円周上の図柄61を見ることができる透過可能な図柄表示窓部16が形成されている。この図柄表示窓部16は、3個全てのリール62の回転が停止した際には、縦3列横3行に配置した合計9個の図柄61を遊技者に見せるように形成されている。この図柄表示窓部16は、リール62の正面側に設けられて、リール62の回転が停止した際、有効ライン86上に停止している複数の図柄61を視認するためのものである。リール62は、複数の図柄61を図柄表示窓部16を介して変動表示可能なものである。
【0027】
前記図柄表示窓部16の後方向(奥方向)には、3個のステッピングモータ(図示せず)と、この各ステッピングモータによってそれぞれ回転させられる合計3個の前記リール62と、前記ステッピングモータ及び前記リール62を保持するユニットホルダ(図示せず)とを有するリールユニット60が配置されている。また、リールユニット60には、リール62の回転位置が基準となる位置(基準位置)であることを検出するためのリール位置センサ(図示せず)が設けられている。このステッピングモータは、メイン制御手段(図示せず)から出力されるステッピングモータを駆動するための駆動信号に基づき駆動する。
【0028】
前記図柄表示窓部16の下方には、クレジットメダルの貯留枚数であるクレジットメダル枚数を表示するクレジット表示器87と、このクレジット表示器87の左側に配置され、遊技機10から払い出されたメダルの総数を表示する払出枚数表示器88とが設けられている。これらの表示器は、2個の7セグメントLED表示器で構成されている。7セグメントLED表示器は、10進法のアラビア数字等の1文字を表現するために、それぞれ個別に点灯・消灯が可能な7つのセグメント(LED)から構成されているものである。2個の7セグメントLED表示器を有することにより、クレジット表示器87は2桁の貯留枚数、払出枚数表示器88は2桁の払出枚数が表示可能になっている。
【0029】
前記前扉14の下部には下パネル22が設けられている。そして、前扉14には下パネル22の上部に位置して前扉14の前方向へ向けて突出する操作部30を備えている。
本実施の形態に係る遊技機10には、遊技開始の条件として投入するためのメダルを後述するメダル投入口38からあらかじめ投入して、最大50枚までクレジットメダルとして内部に貯留可能なクレジット機能(投入枚数を電子データとして電子的に記憶し管理する機能)を有している。なお、このクレジットメダルとして貯留可能な最大枚数である50枚を最大クレジットメダル枚数とする。
前記操作部30の上面右側には、遊技媒体としてのメダルを投入するためのメダル投入口38が設けられている。
【0030】
筐体12内部であって、前記メダル投入口38の近傍には、メダル投入口38に投入されたメダルが正規のものか否かを選別して、正規のメダルのみをホッパーユニット(図示せず)に導くメダルセレクタ(図示せず)が設けられている。このメダルセレクタには、メダル投入口38に投入されたメダルを1枚ずつ検出する投入センサ(図示せず)が設けられている。
【0031】
なお、筐体12内部には図示しないメダル通路が設けられており、メダルセレクタにおいて非正規のメダルとして排除されたメダルや、ホッパーユニットから払い出されたメダルが、このメダル通路を通過して後述するメダル払出口28から払い出される。
具体的には、メダルセレクタには、特に図示していないが、電磁石を用いたキャンセルコイルの作動により、メダル投入口38から投入されたメダルをホッパーユニット内に貯留させる通路と、メダル払出口28から後述するメダル受け皿26へ進ませる通路との切り換えが可能に形成されている。これにより、メダル投入口38から投入されたメダルをクレジットメダルとして貯留するか、メダル受け皿26へ払い出すかの切り換えをすることができる。
【0032】
メダル投入口38の下方には、クレジット機能によりクレジットしたメダルの全てを払い出すための精算スイッチ36が設けられている。
【0033】
前記操作部30の中央には、操作により対応するリール62の回転を停止させるため、3個のリール62のそれぞれに対応する3個のストップスイッチ50が設けられている。このストップスイッチ50は、左リール64を停止させるための左ストップスイッチ51と、中リール66を停止させるための中ストップスイッチ52と、右リール68を停止させるための右ストップスイッチ53とを有している。すなわち、これらのストップスイッチ50は、複数のリール62それぞれに対応して設けられ、複数のリール62の図柄61の変動表示の開始後、遊技者の操作によりリール62の図柄61の変動表示を個別に停止させるためのものである。
【0034】
このストップスイッチ50の左側には、メダルの投入又は後述するベットスイッチ32の操作を条件にリール62の回転を開始させるためのスタートスイッチ40が設けられている。すなわち、このスタートスイッチ40は、遊技者の操作によりリール62の図柄61の変動表示を開始させるためのものである。
【0035】
このスタートスイッチ40の上方には、遊技を開始するためのメダルの賭け数を設定するために予め貯留したメダルをベット可能なベットスイッチ32が設けられている。
このスタートスイッチ40の上方には、ベットスイッチ32として、貯留されたメダル枚数(クレジットされたメダル枚数)から最大投入枚数(具体的には3枚)に達するまでのメダル枚数を貯留されたクレジットメダル枚数から減じて最大投入枚数のメダル投入に代えるマックスベットスイッチ34と、クレジットメダル枚数から投入枚数1枚に達するまでのメダル枚数を貯留されたクレジットメダル枚数から減じて1枚のメダル投入に代える1ベットスイッチ35とが設けられている。
【0036】
このベットスイッチ32の操作により設定された賭け数が規定数に達している状態で、スタートスイッチ40が操作されることにより、当該賭け数が確定し、役抽選により、複数の役のいずれかに当選したか又はハズレかの抽選(役抽選)が行われる。また、役抽選とほぼ同時に、前回の遊技でのリール62の回転開始時から所定の時間(いわゆる4.1秒のウェイト時間)が経過しているか否かが判定され、当該所定の時間が経過するまではリール62が回転を開始せず、当該所定の時間が経過すると、3個全てのリール62が回転を開始することができるように形成されている。
マックスベットスイッチ34の右側には、所定の演出において遊技者が操作可能なチャンスボタン42が設けられている。
【0037】
また、本実施の形態では、演出装置70としての表示装置84、スピーカー72、演出用ランプ78を有している。
【0038】
特に図示していないが設定変更スイッチは、電源ユニットの設定キースイッチとともに設定変更を行うためのものである。なお、この設定変更スイッチは、前扉14の背面に設けられているが(特に図示せず)、リセットスイッチとしても兼用される。
【0039】
また、特に図示していないが設定表示器は、7セグメントの小型のLEDにより、当選確率の後述する設定値を設定する際に、当該設定値を表示するものである。設定表示器には、当該遊技機10の設定値が表示されるが、外部から視認できないようにすべく、筐体12の内部、詳しくは、前扉14の背面に設けられており、設定値の設定後、その表示は解除される。
【0040】
前記前扉14の下部に相当する筐体12の内部には、メダルを貯留することができるとともに、メダルを払い出すことができるホッパーユニット(図示せず)と、各部品に電力を供給するための電源ユニット(図示せず)とが配置されている。
この電源ユニットには、特に図示していないが、電源投入又は電源遮断のための操作が可能な電源スイッチと、設定変更処理のための設定キースイッチとが設けられている。
【0041】
前記前扉14の下部には、所定の場合にホッパーユニットからメダルが払い出されるメダル払出口28が形成されている。このメダル払出口28の下方には、メダル払出口28から払い出されたメダルを貯留するため、上方に向かって開口する皿状のメダル受け皿26が形成されている。なお、クレジットされているメダル枚数が最大クレジットメダル枚数である50枚未満の場合は、50枚に到達するまで、獲得したメダルはメダル払出口28から払い出されずにクレジットメダル枚数に加算される。
【0042】
本実施の形態に係る遊技機10は、ベットスイッチ32の操作又はメダル投入により所定枚数(具体的には、3枚)のメダルを投入することにより遊技の開始を可能とするものである。そして、スタートスイッチ40の押下操作により、リール62の回転を開始させて遊技が開始されるとともに、複数の役のいずれかに当選か又はハズレかの役抽選が行われる。そして、当該遊技機10は、各リール62に対応するストップスイッチ50の操作タイミング及び役抽選の結果に基づいて、リール62の回転を役抽選の結果に適合するように停止させる。当該遊技機10は、停止時の図柄61の組み合わせによって、当選した役を構成する図柄61の組み合わせが有効ライン86上に停止した場合に、入賞等となり、所定枚数のメダルを払い出す等の所定の利益を遊技者に付与する。これにより、1回の遊技が終了するものである。
【0043】
この有効ライン86は、具体的には3個のリール62にそれぞれ表示されている図柄61のうち図柄表示窓部16から視認可能な図柄61を各リール62につき1個ずつ繋いでできる、複数のリール62の全てを貫くラインのうち、入賞等するために有効となる図柄61の組み合わせの並びを規定したラインである。このラインは、規定の賭け数(予め定められた数であって本実施の形態では3)のメダルをベットすることにより有効ライン86になる。
【0044】
前扉14のうち、クレジット表示器87と払出枚数表示器88との間には、現在の演出状態が後述する「許可区間」であることを報知する区間報知ランプ79が設けられている。
【0045】
この区間報知ランプ79は、「許可区間」に移行したことを契機に点灯される。
この区間報知ランプ79は、押し順報知の状態が「許可区間」である間は常時点灯されており、「不許可区間」に移行したことを契機にメイン制御手段により消灯される。
【0046】
なお、区間報知ランプ79は、上述したものに限定されるものではなく、例えば、払出枚数表示器88や、クレジット表示器87の2桁の7セグメントが表示される領域内の一つのドットや点灯ランプ等により実施してもよい。
【0047】
前記前扉14には、遊技者に役抽選の当選等の種々の情報を音や光や映像等で報知させるための演出装置70が形成されている。この演出装置70は、後述するサブ制御手段に基づいて演出を行うものであって、スピーカー72と、演出用ランプ78と、表示装置84とを備えている。
【0048】
前記スピーカー72は、前扉14の上部左右に配置された上部スピーカー74と、前扉14の下部左右に配置された下部スピーカー76とを備えている。
【0049】
前記演出用ランプ78は、前扉14の上部に配置された上部ランプ80と、前扉14の下部の左右に配置された下部ランプ82とを備えている。
【0050】
前記表示装置84は、その画面に種々の映像を表示するための液晶表示装置84である。
【0051】
本実施の形態では、遊技機10の内部には、遊技機10の全体の動作を制御するための制御手段としての制御装置が形成されている。この制御装置は、遊技を進行させて遊技状態(遊技の進行)を制御するメイン制御手段(メイン制御基板や、メイン制御装置ともいう)と、このメイン制御手段から送信される情報(コマンド)を受けて、遊技の進行に応じた演出を制御し、主に遊技内容に関する情報を遊技者に報知する演出を行うための制御を行うサブ制御手段(サブ制御基板や、サブ制御装置ともいう)とを備えている。
なお、本実施の形態に係る制御装置の制御方式として、遊技進行を確実なものにするために予め作業の処理順番等の過程が記憶されたプログラムに従って自動的に遊技機を制御する方式であるプログラム制御が用いられている。
【0052】
本実施の形態に係る遊技機10では、ストップスイッチ50の押し順を報知させる演出を実行可能な「AT状態」の遊技が可能である。
【0053】
AT状態は、いわゆる「アシストタイム」ともよばれ、当該AT状態に移行すると、当選した小役の押し順が報知される遊技が開始され、報知された押し順に従ってストップスイッチ50を操作することで、当選した小役の図柄61の組み合わせを停止表示させることができる。これにより、成立した小役に対応する所定枚数のメダルが払い出される。
【0054】
また、AT状態の遊技は、本実施の形態では、初期ゲーム数として1セット30回の遊技が可能に設定されている。1セット30回のAT状態が終了する最後に数回(例えば1〜3回)の継続判定遊技が行われ、この数回の継続判定遊技中に継続抽選に当選すると、さらに1セット30回のAT状態の遊技が実行可能である。さらに、当該AT状態の終了する最後に同様に数回の継続判定遊技が実行され、同様に継続抽選が行われて、当該継続抽選に当選するとさらに1セット30回のAT状態の遊技を実行することができるように設定されている。この1セット30回のAT状態の繰り返しは、継続判定遊技における継続抽選に外れるか、或いは、所定の遊技回数経過することで終了するように設定されている。
すなわち、本実施の形態に係る遊技機10では、AT状態への開始と終了とを頻繁に繰り返すことになる。
なお、継続判定遊技は、上述したようにAT状態に分類しているが、特にこれに限定されるものではなく、例えば継続判定遊技はAT状態とは別の遊技状態として分類してもよいものであり、AT状態が終了して別の遊技状態としての継続判定遊技を実行するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、通常に行われる遊技よりも遊技者にとって有利な遊技状態である、いわゆるボーナス遊技(ボーナス1、ボーナス2)を有している。
【0055】
また、筐体12内部の正面から向かって右側には、外部集中端子板18が設けられている。
外部集中端子板18は、遊技データを遊技機10外部に出力させるものであり、メイン制御手段と配線される接続端子(コネクタ)や、外部機器(図示省略)と配線される外部出力端子A〜H(コネクタ)が設けられた端子板である。また、外部集中端子板18は、図示しないが、遊技島設備(例えばデータ機器)や遊技ホールのホール管理者が管理するホールコンピュータに接続されている。
図2に示すように、外部集中端子板18は、外部出力端子A〜Hの全部で8個設けられている。
外部集中端子板18の外部出力端子A〜Hは、次の情報に関する信号を出力しているものである。
外部出力端子A:前扉14開時の出力信号
外部出力端子B:エラー信号
外部出力端子C:AT信号
外部出力端子D:ボーナス1信号
外部出力端子E:ボーナス2信号
外部出力端子F:メダルの払出信号
外部出力端子G:メダルの投入信号
外部出力端子H:再遊技表示信号
【0056】
特に図示しないが、外部集中端子板18には、上述した外部出力端子A〜Hが縦方向に順番に並んで配置されている。
外部集中端子板18のうち、AT信号を出力する外部出力端子Cと、払出信号を出力する外部出力端子F及び投入信号を出力する外部出力端子Gとは、隣接しないようにAT信号を出力する外部出力端子Cと、払出信号を出力する外部出力端子F及び投入信号を出力する外部出力端子Gとの間に他の外部出力端子である外部出力端子D及び外部出力端子Eが配置されている。
【0057】
外部出力端子Dのボーナス1信号や外部出力端子Eのボーナス2信号はボーナス1遊技やボーナス2遊技へ移行したことを外部へ報知するための信号であって、投入信号や払出信号のような周波数の高いものではなく(後述する図3図4参照)、1回の遊技における状態遷移の最大回数も最大で1回である。このため、ボーナス1信号やボーナス2信号によって、外部出力端子Dに隣接する外部出力端子CのAT信号の状態遷移に影響を及ぼす可能性は少ない。
また、AT信号の外部出力端子Cと、払出信号の外部出力端子F及び投入信号の外部出力端子Gとの間に、ボーナス1信号の外部出力端子Dとボーナス2信号の外部出力端子Eとを配置したことで払出信号や投入信号の影響がAT信号に届かないようにしている。
また、外部出力端子Dのボーナス1信号及び外部出力端子Eのボーナス2信号もAT信号と同様に状態移行を表す信号であるため、外部出力端子Fの払出信号や外部出力端子Gの投入信号による影響を加味して、従来技術の図7(C)に示すような状態遷移禁止期間による対策を施してボーナス1信号及びボーナス2信号は払出信号や投入信号と同時に状態遷移しないように設定されている。これにより、ボーナス1信号及びボーナス2信号は投入信号や払出信号の影響を受けない。さらに、ボーナス遊技の役に入賞の場合は、入賞時にファンファーレ等の特別な演出が実施され、その間は遊技の進行がストップする。前述の信号出力はこの演出により遊技進行がストップしている間に行われているため、遊技者に状態遷移禁止期間による待ち時間を意識させずに遊技を進行することができる。
また、通常、ボーナス当選役に入賞しても払出は発生しない。これにより、ボーナス1信号やボーナス2信号の状態遷移時に払出信号による影響は無い。
【0058】
本実施の形態に係る遊技機10の外部集中端子板18からホールコンピュータ等の外部装置へ出力されるAT信号、払出信号、投入信号及びスタートスイッチ信号について簡単に説明する。
【0059】
AT信号は、AT状態に関連する情報をホールコンピュータ等の外部装置へ伝えるための信号であって、原則としてAT信号がON状態であるときがAT状態であり、OFF状態であるときが非AT状態であるが、AT状態を開始する場合と、AT状態を終了する場合には、上記原則とは異なる処理が実行される。なお、この詳細な内容は後述する図5を用いて後で説明する。
なお、AT信号は、1回の遊技回数で最大で1回発生するものであり、後述するような投入信号や払出信号のように1回の遊技回数中に何度も状態遷移するようなものではない。
【0060】
図3に示すように、投入信号は、メダルの投入枚数に応じたパルス信号を出力する信号である。図3(A)に示すように、再遊技以外の投入信号は、メダルの投入枚数1枚に対応して、パルス幅が60ms、パルス間隔が60ms、1周期が120msのパルス信号が外部集中端子板18からホールコンピュータ等の外部装置へ出力される。図3(A)に示すように、メダルの最大投入枚数である3枚が投入された場合には、3個のパルス信号が外部集中端子板18からホールコンピュータ等の外部装置へ出力される。
【0061】
また、図3(B)に示すように、再遊技の投入信号は、メダルの投入枚数1枚に対応して、パルス幅が120ms、パルス間隔が60ms、1周期が180msの1個のパルス信号が外部集中端子板18からホールコンピュータ等の外部装置へ出力される。図3(B)に示すように、3枚が投入された場合には、3個のパルス信号が外部集中端子板18からホールコンピュータ等の外部装置へ出力される。
【0062】
なお、投入信号におけるメダルの投入枚数は、メダル投入口38からのメダルの直接投入と、ベットスイッチ32の操作によるクレジットメダル枚数からのベット投入との両方が含まれる。また、前回遊技で再遊技に入賞している場合には、遊技者によるメダル投入が行われることなく、所定のメダル枚数が自動的に投入されることになる。
また、本実施の形態では、外部集中端子板18からホストコンピュータ等の外部装置へ出力される投入信号は、メダルをメダル投入口38から直接投入した時や、ベットスイッチ32を操作した時ではない。投入枚数はスタートスイッチ40の操作により確定するため、確定した投入枚数に対応する数のパルス信号が、スタートスイッチ40の操作後にホストコンピュータ等の外部装置へ出力されるものである。
なお、本実施の形態では、投入信号の出力タイミングは上述したように設定されているが、メダルの投入があったときに即時に出力することも可能である。
上述したように、投入信号の周波数はAT信号よりも高くなるように設定され、さらに、1回の遊技における投入信号の状態遷移の最大回数はAT信号より多くなるように設定されている。
【0063】
図4に示すように、払出信号は、メダルの払出枚数に応じたパルス信号を出力する信号である。図4(A)に示すように、再遊技以外の払出信号は、メダルの払出枚数1枚に対応して、パルス幅が60ms、パルス間隔が60ms、1周期が120msのパルス信号が外部集中端子板18からホールコンピュータ等の外部装置へ出力される。図4(A)に示すように、メダルの払出枚数がn枚である場合には、n個のパルス信号が外部集中端子板18からホールコンピュータ等の外部装置へ出力される。なお、ここで、nは1以上の整数であって、最大払出枚数が例えば9枚(n=9)の場合には、1〜9の数値が設定され、最大払出枚数が例えば15枚(n=15)の場合には、1〜15の数値が設定される。
【0064】
また、図4(B)に示すように、再遊技の払出信号は、メダルの払出枚数1枚に対応して、パルス幅が120ms、パルス間隔が60ms、1周期が180msの1個のパルス信号が外部集中端子板18からホールコンピュータ等の外部装置へ出力される。図4(B)に示すように、再遊技のときの最大払出枚数3枚を獲得した場合には、3個のパルス信号が外部集中端子板18からホールコンピュータ等の外部装置へ出力される。
スタートスイッチ信号は、遊技者によりスタートスイッチ40が操作されたときに、所定のパルス幅のパルス信号が外部集中端子板18からホールコンピュータ等の外部装置へ出力される(図5参照)。
上述したように、払出信号の周波数はAT信号よりも高くなるように設定され、さらに、1回の遊技における払出信号の状態遷移の最大回数はAT信号より多くなるように設定されていると共に、払出信号はメダルの払出があった時に即時に出力される。
【0065】
図5は、本実施の形態に係る遊技機10の外部集中端子板18からホールコンピュータへ出力されるAT信号、払出信号、投入信号及びスタートスイッチ信号に関するタイミングチャートである。
【0066】
本実施の形態では、AT状態の遊技状態の移行が決定された場合は、AT信号の状態遷移が決定された遊技の次の遊技の開始から所定のタイミングまでの間、又は、AT信号の状態遷移が決定される遊技の開始から所定のタイミングまでの間に、AT信号の状態遷移が実行され、当該状態遷移が実行される遊技の開始を契機として所定の演出を開始させるように形成されている。
【0067】
具体的には、図5に示すスタートスイッチ40の操作タイミングw1における遊技は、AT状態の最終遊技であると共に、継続判定遊技の最終遊技となる。スタートスイッチ40の操作タイミングw1における遊技の1つ前の遊技は継続判定遊技に入っており、操作タイミングw1における遊技でAT状態から非AT状態への移行が決定され、AT信号の状態遷移が決定されている。ここで非AT状態は、押し順報知等が実施されずAT状態とは有利度の異なる遊技状態である。
なお、操作タイミングw1の遊技で、AT状態を継続することが決定すると、AT状態のOFF状態からON状態への状態遷移は実行されるように設定される。そして、図5ではAT状態を継続することに決定している場合であるため、スタートスイッチ40の操作タイミングw1における遊技のいずれかのタイミングでAT状態の継続決定の演出が実施される。
すなわち、AT信号の状態遷移が決定される遊技であるスタートスイッチ40の操作タイミングw1による遊技において、当該遊技の開始から所定のタイミングまでの間に、AT信号のON状態からOFF状態への状態遷移が実行される。なお、AT信号の状態遷移が決定される操作タイミングw1の遊技は、AT状態の最終遊技であり継続判定遊技の最終遊技であって、遊技回数に基づいて行われるが、これに限定されずに遊技回数ではなく、役抽選の結果や、他の抽選結果等の所定の抽選結果により行うようにしてもよい。
また、当該スタートスイッチ40の操作タイミングw1による遊技の開始を契機として継続判定遊技における継続判定に関する演出が開始される。
AT信号のON状態からOFF状態への状態遷移の前には、投入信号や払出信号の状態遷移を禁止する状態遷移禁止期間tが設けられ、AT信号のON状態からOFF状態への状態遷移の後には、投入信号や払出信号の状態遷移を禁止する状態遷移禁止期間pが設けられている。この状態遷移禁止期間t,pは具体的には500msに設定されているが、もちろん当該数値に限定されるものではなく、他の数値に設定することもできる。
【0068】
また、AT信号の状態遷移が決定される遊技であるスタートスイッチ40の操作タイミングw1による遊技において、遊技状態が継続判定遊技の状態からAT状態への移行が決定された場合、AT信号の状態遷移が決定された遊技の次の遊技であるスタートスイッチ40の操作タイミングw2による遊技の開始から所定のタイミングまでの間に、AT信号のOFF状態からON状態への状態遷移が実行される。また、当該スタートスイッチ40の操作タイミングw2による遊技の開始を契機としてAT状態における演出を開始させる。
AT信号のOFF状態からON状態への状態遷移の前には、投入信号や払出信号の状態遷移を禁止する状態遷移禁止期間qが設けられ、AT信号のOFF状態からON状態への状態遷移の後には、投入信号や払出信号の状態遷移を禁止する状態遷移禁止期間sが設けられている。この状態遷移禁止期間q,sも具体的には500msに設定されているが、もちろん当該数値に限定されるものではなく、他の数値に設定することもできる。
なお、本実施の形態では、スタートスイッチ40の操作タイミングw1の遊技でAT信号のON状態からOFF状態への状態遷移を行い、その次の遊技であるスタートスイッチ40の操作タイミングw2の遊技でAT信号のOFF状態からON状態への状態遷移を行っているが、特にこれに限定されるものではなく、これらの操作タイミングw1の遊技と、操作タイミングw2の遊技との間に、AT信号がOFF状態である非AT状態の遊技を少なくとも1回挟みこむように実行してもよい。
また、本実施の形態では、スタートスイッチ40の操作タイミングw1の遊技は、1セット30回のAT状態の最後の遊技となり、スタートスイッチ40の操作タイミングw2の遊技は、AT状態の次の1セット30回の遊技に分類しているが、特にこれに限定されるものではなく、操作タイミングw2の遊技は、当該操作タイミングw2の時点では、AT状態がOFF状態となっているため、非AT状態に分類して、当該操作タイミングw2の遊技の次の遊技からAT状態として分類するようにしてもよい。
また、上述した図5に示す内容は、1セット30回のAT状態が終了するときAT状態を継続させるか否かのときの説明であるが、1セット30回が例えば複数セット実施される最初のセットの最初の遊技、いわゆる初当たりの場合、AT信号がOFF状態からON状態へ状態遷移するのは、役抽選の結果に基づいて決定される。そして、このAT信号の状態遷移が決定された遊技の開始から所定のタイミングまでの間にAT信号の状態遷移が実行され、当該状態遷移が実行される遊技の開始を契機としてAT状態における演出を開始させるように形成されている。
【0069】
次に図6を用いて上述した「所定のタイミング」について説明する。
本実施の形態では、「所定のタイミング」は、第1番目に停止操作するいわゆる第1停止操作のストップスイッチ50の操作タイミングに設定されている。
【0070】
本実施の形態では、AT信号の状態遷移が決定された遊技の次の遊技の開始から所定のタイミング(第1停止操作のタイミング)までの間、又は、AT信号の状態遷移が決定される遊技の開始から所定のタイミングまでの間にAT信号の状態遷移を可能としている。これにより、既に説明している4.1秒のウェイト時間が残っているような場合や、本実施の形態では用いていないが、スタートスイッチ40操作後に演出を見せるために遊技進行を一時的に停止する演出用ウェイト時間を有するような演出を発生させ、当該時間が残っているような場合には、このようなウェイト時間があることにより状態遷移禁止期間vを遊技者に意識させることはない。
【0071】
しかし、そのような4.1秒のウェイト時間や、演出用のウェイト時間が何も残ってないときに、図6(A)に示すように、スタートスイッチ40をON状態に操作して、略直ぐにリール62の回転を開始させると、リール62の回転速度が定常回転速度に達するまでの定常回転速度待ち時間が経過してストップスイッチ50を操作可能な定常回転速度に到達しても、状態遷移禁止期間vが終了するまでに不足する時間が発生する場合がある。
【0072】
そこで、本実施の形態では、そのような場合には、図6(B)に示すように、状態遷移禁止期間vの500msが終了した後に定常回転速度待ち時間が終了するような追加ウェイト時間をスタートスイッチ40の操作によるON状態からリール62の回転開始までの時間に設定している。
これにより、遊技開始から第1停止操作までの間にAT信号の状態遷移を実行することが担保される。
この追加ウェイト時間において、演出装置70による演出(いわゆるサブ制御手段による演出)は実施されていることで遊技者に違和感を持たせ難くすることができる。遊技者としてはリール62の回転開始が遅れても定常回転速度に到達するまでのウェイト(定常回転速度待ち時間)や、4.1秒のウェイトと勘違いすることになる。
なお、上述したような不足する時間を解消する方法としては、上述した追加ウェイト時間を設ける内容に限定されるものではなく、他の方法でもよい。具体的には、例えば、ストップスイッチ50が操作されても有効となるまでの時間を遅らせることでリール62の回転速度が定常回転速度に到達してもストップスイッチ50が少しの間だけ有効にならないのでまだ定常回転速度に到達していないかのような錯覚を遊技者に与えるようにしてもよく、また、リール62の回転加速度を小さくして定常回転速度までの時間を長くするようにして実現させてもよいものである。
【0073】
本実施の形態では、上述したような構成を有することにより、以下に示すような作用及び効果を奏する。
本実施の形態によれば、AT信号の状態遷移が決定された遊技の次の遊技の開始から所定のタイミング(具体的には、第1停止操作)までの間、又は、AT信号の状態遷移が決定される遊技の開始から所定のタイミングまでの間に、AT信号の状態遷移が実行される。遊技の開始から第1停止操作までの間に払出信号が出力されるようなことはなく、AT信号の状態遷移のタイミングと、払出信号のパルス信号の出力タイミングとが重複しないことで、払出信号がAT信号の状態遷移へ影響を及ぼすことを抑えることができ、1回の遊技の払出枚数の払出信号が前の遊技状態と後の遊技状態との間で分割されてしまう等の従来技術(図17(B)参照)で発生するような現象の発生を抑えることができる。
さらに、本実施の形態によれば、AT信号の状態遷移の前後には、払出信号や投入信号の状態遷移を禁止する状態遷移禁止期間t,p,q,sが設けられている。これにより、払出信号や投入信号がAT信号の状態遷移に悪影響を及ぼすことを確実に防止することができる。
結果として、ホールコンピュータ等の外部装置に対して、AT状態における払出枚数や投入枚数を正確に把握させることができる。
【0074】
本実施の形態によれば、払出信号は払出があった時に即時に状態遷移を実行することができる。これにより、図7(C)の従来技術のようにメダル払出の前に状態遷移禁止期間hを設けるようなものと比較して、メダル払出のタイミングが遅れることがなく、テンポよく遊技を進めることがでできる。
本実施の形態では、例えばスタートスイッチ40の操作タイミングw1による遊技の開始を契機として継続判定遊技における継続判定の演出を開始させることができることで遊技者に待ち時間を意識させずに違和感を持たせづらくすることができる。
また本実施の形態では、例えばスタートスイッチ40の操作タイミングw2による遊技の開始を契機としてAT状態における演出を開始させることができることで遊技者に待ち時間を意識させずに違和感を持たせづらくすることができる。
【0075】
本実施の形態では、状態遷移禁止期間t,qは、遊技開始から遊技を進行させるための第1停止操作が可能となるまでの最短時間より短くなるように設定されている。
これにより、遊技開始から遊技を進行させるための第1停止操作が可能となるまでの間を利用して、状態遷移禁止期間t,qを消化することができ、遊技者に対して、状態遷移禁止期間t,qを意識させないようにすることができる。
さらに、本実施の形態では、AT信号の状態遷移が決定された遊技の開始から第1停止操作までの間に、AT信号の状態遷移が実行されるようにするとともに、この状態遷移の前後に状態遷移禁止期間t,p,を設けている。また、本実施の形態では、AT信号の状態遷移が決定された遊技の次の遊技の開始から第1停止操作までの間に、AT信号の状態遷移が実行されるようにするとともに、この状態遷移の前後に状態遷移禁止期間q,sを設けている。従来技術(A)〜(D)のように遊技の終了側ではなく、遊技の開始側にAT信号の状態遷移や状態遷移禁止期間t,p,q,sを設けたことで、いわゆる4.1秒のウェイト時間を利用して、状態遷移禁止期間t,p,q,sを遊技者に意識させないようにすることができる。
【0076】
本実施の形態によれば、AT信号を出力する外部出力端子Cと、払出信号を出力する外部出力端子F及び投入信号を出力する外部出力端子Gとを隣接しないようにして物理的に離して払出信号や投入信号がAT信号へ影響を及ぼすことを抑えることができる。
【0077】
本実施の形態では、遊技状態を示す信号としてAT信号を用いているが、特にAT信号に限定されるものではなく、他の遊技状態を示す信号でもよく、例えば、RT状態を示すものや、ボーナス状態を示すものでもよい。
【0078】
本実施の形態では、遊技機10としてスロットマシンについて説明したが、特にスロットマシンに限定されるものではなく、外部装置へ所定の信号を出力するものであれば、パチンコ機等の他の遊技機10にも適用可能なものである。
【符号の説明】
【0079】
10 遊技機 12 筐体
14 前扉 16 図柄表示窓部
18 外部集中端子板 20 上パネル
22 下パネル 26 メダル受け皿
28 メダル払出口 30 操作部
32 ベットスイッチ 34 マックスベットスイッチ
35 1ベットスイッチ 36 精算スイッチ
38 メダル投入口 40 スタートスイッチ
42 チャンスボタン 50 ストップスイッチ
51 左ストップスイッチ 52 中ストップスイッチ
53 右ストップスイッチ 60 リールユニット
61 図柄 62 リール
64 左リール 66 中リール
68 右リール 70 演出装置
72 スピーカー 74 上部スピーカー
76 下部スピーカー 78 演出用ランプ
79 区間報知ランプ 80 上部ランプ
82 下部ランプ 84 表示装置
86 有効ライン 87 クレジット表示器
88 払出枚数表示器 h,i,j,k,m,t,p,q,s,v 状態遷移禁止期間
w1,w2 操作タイミング x,y,z 期間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7