【実施例】
【0057】
以下、本発明の具体的な実施例を説明する。なお、これらの実施例によって、本発明の範囲は限定して解釈されない。
【0058】
[材料]
実施例および比較例では、以下の材料を用いた。
【0059】
(酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子)
酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子A:合成例1で調製した粒子
酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子B:合成例2で調製した粒子
酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子C:合成例3で調製した粒子
酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子D:合成例4で調製した粒子
酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子E:合成例5で調製した粒子
酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子F:合成例6で調製した粒子
【0060】
(着色顔料)
着色顔料a:Fastogen Blue AE−8(DIC社製、フタロシアニンブルー、平均粒子径80nm)
着色顔料b:Ultramarine Blue AL32177(Torrecid社製:酸化ビスマスバナジウム、平均粒子径1.1μm)
着色顔料c:TTO−55D(石原産業社製、微粒子酸化チタン、平均粒子径0.03〜0.05μm)
【0061】
(熱可塑性樹脂)
ポリプロピレン樹脂:Wintec WMG03UX(日本ポリプロ社製、高透明メタロセン系ポリプロピレン樹脂)
ポリメタクリル酸メチル樹脂:アクリペット VH−001(三菱ケミカル社製)
ポリカーボネート樹脂:ユーピロンH?3000(三菱エンジニアリングプラスチックス社製、芳香族ポリカーボネート樹脂)
ABS樹脂:トヨラック920−555(東レ社製)
【0062】
(その他)
アルミニウムペースト:6360NS(東洋アルミニウム社製、平均粒子径10μm、平均厚み250nm、アスペクト比:40、固形分69質量%)
着色アルミニウム顔料:FriendColor D111 RE(東洋アルミニウム社製、ミネラルスピリット分散体、平均粒子径23μm、平均厚み:140nm、アスペクト比:13.1、固形分55質量%)
【0063】
[合成例]
以下の合成例において、酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子の平均粒径、酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子の平均厚み、ならびに酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子中のアルミニウム元素の量および鉄元素の量は以下の方法で特定した。
【0064】
(酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子の平均粒子径)
酸化被覆アルミニウム扁平状粒子の平均粒子径(一次粒径)は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察により特定した。具体的には、ランダムに選んだ50個の酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子の表面を走査型電子顕微鏡で観察し、その最大径を酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子の粒子径とした。なお、酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子は、一部が溶融又は粉末粒子同士が繋がった状態となっている場合がある。この場合、溶融または結合前の粒子に相当する部分を特定し、これを近似的に粒子とみなして粒子径を測定した。そして、これらの平均値を平均粒子径とした。また、上記最大径は、SEM画像から最大径を測定して求めた。具体的には、SEM画像における扁平状粒子の外周上の任意の2点を結ぶ直線を引き、その直線の長さが最大となる箇所を特定した。そして、当該箇所の直線の長さを測定し、これを扁平状粒子の最大径とした。
【0065】
(酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子の平均厚み)
酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子の平均厚みは、透過型電子顕微鏡(TEM)にて20個の酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子の平均厚みを測定し、これらの平均値を平均厚みとした。
【0066】
(酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子中のアルミニウム元素および鉄元素の含有量の測定)
酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子中のアルミニウム元素(Al)と鉄元素(Fe)との含有量の比率は、エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX−720 島津製作所社製)を用いて算出した。具体的には、C(炭素)をバランス元素(成分)として設定し、ファンダメンタル・パラメータ法(FP法)による定量分析にて、アルミニウム元素および鉄元素の含有量を定量した。
【0067】
(合成例1)
図1に示す流動床式反応器10を用い、アルミニウムフレークおよびペンタカルボニル鉄(Fe(CO)
5)を反応させた。具体的には、流動床式反応器10の反応容器11内に、反応容器11の上部に設置されたアルミニウム供給部12から、平均粒子径15μmのアルミフレーク21を1500g投入した。そして、反応容器11の下部に設置されたガス供給部14から窒素ガスを1000L/時間で供給し、アルミニウムフレーク21を反応容器11内で流動させながら、200℃に加熱した。その後、反応容器11中の酸素濃度が2.5体積%となるように、ガス供給部14から窒素および空気を供給した。
【0068】
その後、反応容器11の高さ方向の中央部付近に設けられた原料ガス供給部13から、ペンタカルボニル鉄(Fe(CO)
5)1665mlを予め加熱して気化させ、窒素ガスとともに200L/時間で35時間連続的に反応容器11内に供給した。その結果、反応容器11内でペンタカルボニル鉄(Fe(CO)
5)が分解し、アルミニウムフレーク21の表面に酸化鉄(III)が析出した。得られた酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子Aの色は、赤色であった。また、酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子Aの平均粒子径は16μmであり、平均厚みは300nmであった。そして、平均粒子径/平均厚みで表されるアスペクト比は、53であった。また、当該酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子Aが含む鉄元素の量は、当該酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子Aが含むアルミニウム元素の量100質量部に対して、160質量部であった。
【0069】
(合成例2)
平均粒径18μmのアルミニウムフレークを使用し、さらにペンタカルボニル鉄(Fe(CO)
5)450mlを予め気化させて、窒素ガスとともに200L/時間で5時間連続的に反応容器11に供給した以外は、合成例1と同様に行い、橙色の酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子Bを得た。
【0070】
得られた酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子Bは、平均粒子径が19μmであり、平均厚みが170nmであり、平均粒子径/平均厚みで表されるアスペクト比が112であった。また、当該酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子Bにおける、鉄元素の量は、アルミニウム元素の量100質量部に対して24質量部であった。
【0071】
(合成例3)
ペンタカルボニル鉄(Fe(CO)
5)300mlを予め加熱して気化させ、窒素ガスとともに200L/時間で5時間連続的に反応容器11に供給した以外は、合成例1と同様に行い、黄色の酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子Cを得た。
【0072】
得られた酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子Cは、平均粒子径が16μmであり、平均厚みが150nmであり、平均粒子径/平均厚みで表されるアスペクト比が107であった。また、当該酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子Cにおける、鉄元素の量は、アルミニウム元素の量100質量部に対して19質量部であった。
【0073】
(合成例4)
ペンタカルボニル鉄(Fe(CO)
5)4000mlを予め加熱して気化させ、窒素ガスとともに200L/時間で35時間連続的に反応容器11に供給した以外は、合成例1と同様に行い、濃赤色の酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子Dを得た。
【0074】
得られた酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子Dは、平均粒子径が16μmであり、平均厚みが320nmであり、平均粒子径/平均厚みで表されるアスペクト比が50であった。また、当該酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子Dにおける、鉄元素の量は、アルミニウム元素の量100質量部に対して357質量部であった。
【0075】
(合成例5)
ペンタカルボニル鉄(Fe(CO)
5)180mlを予め加熱して気化させ、窒素ガスとともに200L/時間で5時間連続的に反応容器11に供給した以外は、合成例1と同様に行い、薄黄色の酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子Eを得た。
【0076】
得られた酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子Eは、平均粒子径が16μmであり、平均厚みが140nmであり、平均粒子径/平均厚みで表されるアスペクト比が114であった。また、当該酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子Eにおける、鉄元素の量は、アルミニウム元素の量100質量部に対して10質量部であった。
【0077】
(合成例6)
ペンタカルボニル鉄(Fe(CO)
5)4500mlを予め加熱して気化させ、窒素ガスとともに200L/時間で38時間連続的に反応容器11に供給した以外は、合成例1と同様に行い、赤褐色の酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子Fを得た。
【0078】
得られた酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子Fは、平均粒子径が17μmであり、平均厚みが350nmであり、平均粒子径/平均厚みで表されるアスペクト比が49であった。また、当該酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子Fにおける、鉄元素の量は、アルミニウム元素の量100質量部に対して413質量部であった。
【0079】
[実施例1]
(マスターバッチ組成物の調製)
着色顔料a 4質量部と、酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子A 32質量部と、ポリプロピレン樹脂(Wintec WMG03UX)の冷凍粉砕品 64質量部と、をドライブレンドした。直径2mmのストランドダイを備えた二軸押出機(東洋精機社製ラボプラストミル、型式:4C−150)にドライブレンドした混合物を投入した。そして、シリンダ温度180℃、スクリュー回転数60rpmの条件で溶融混練し、二軸押出機から押し出してストランド状とし、水冷した。水冷後の組成物をペレタイザーでカットし、除湿型乾燥機を用いて100℃で3時間乾燥処理を行った。そして、直径約5mm程度の、ペレット状のマスターバッチ組成物MB−01を得た。
【0080】
(樹脂成形体の調製)
マスターバッチ組成物MB−01 1質量部と、ポリプロピレン樹脂(Wintec WMG03UX)のペレット 99質量部とをドライブレンドした。当該混合物を射出成形機(住友重機械工業社製、SE18S)に投入して射出成形を行い、1.5mm×50mm×55mmの樹脂成形体(以下、「試験板」とも称する)を得た。なお、射出成形は、シリンダ温度200℃、金型温度30℃、冷却時間15秒の条件で行った。
【0081】
[実施例2〜4]
樹脂成形体調製時の、マスターバッチ組成物MB−01とポリプロピレン樹脂との比率を、表1に示すように変更した以外は、実施例1と同様に樹脂成形体を得た。なお、表1に記載の組成は質量比である。
【0082】
[実施例5〜12]
マスターバッチ組成物MB−01を、表1および表2に示す組成のマスターバッチ組成物MB−02〜MB−09に変更した以外は、実施例2と同様に樹脂成形体を得た。なお、表1および表2に記載の組成は質量比である。
【0083】
[実施例13]
(マスターバッチ組成物の調製)
着色顔料a 4質量部と、酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子A 32質量部と、ポリメタクリル酸メチル樹脂(アクリペット VH−001)の冷凍粉砕品 64質量部と、をドライブレンドした。直径2mmのストランドダイを備えた二軸押出機(東洋精機社製ラボプラストミル、型式:4C−150)にドライブレンドした混合物を投入した。そして、シリンダ温度230℃、スクリュー回転数60rpmの条件で溶融混練し、二軸押出機から押し出してストランド状とし、水冷した。水冷後の組成物をペレタイザーでカットし、除湿型乾燥機を用いて90℃で5時間乾燥処理を行った。そして、直径約5mm程度の、ペレット状のマスターバッチ組成物MB−10を得た。
【0084】
(樹脂成形体の調製)
マスターバッチ組成物MB−10 2質量部とポリメタクリル酸メチル樹脂(アクリペット VH−001) 98質量部とをドライブレンドした。当該混合物を射出成形機(住友重機械工業社製、SE18S)に投入して射出成形を行い、1.5mm×50mm×55mmの樹脂成形体を得た。なお、射出成形は、シリンダ温度240℃、金型温度70℃、冷却時間15秒の条件で行った。
【0085】
[実施例14]
(マスターバッチ組成物の調製)
着色顔料a 4質量部と、酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子A 32質量部と、ポリカーボネート樹脂(ユーピロンH−3000)の冷凍粉砕品 64質量部と、をドライブレンドした。直径2mmのストランドダイを備えた二軸押出機(東洋精機社製ラボプラストミル、型式:4C−150)にドライブレンドした混合物を投入した。そして、シリンダ温度280℃、スクリュー回転数60rpmの条件で溶融混練し、二軸押出機から押し出してストランド状とし、水冷した。水冷後の組成物をペレタイザーでカットし、除湿型乾燥機を用いて120℃で6時間乾燥処理を行った。そして、直径約5mm程度の、ペレット状のマスターバッチ組成物MB−11を得た。
【0086】
(樹脂成形体の調製)
マスターバッチ組成物MB−11 2質量部とポリカーボネート樹脂(ユーピロンH−3000) 98質量部とをドライブレンドした。当該混合物を射出成形機(住友重機械工業社製、SE18S)に投入して射出成形を行い、1.5mm×50mm×55mmの樹脂成形体を得た。なお、射出成形は、シリンダ温度280℃、金型温度80℃、冷却時間15秒の条件で行った。
【0087】
[実施例15]
(マスターバッチ組成物の調製)
着色顔料a 4質量部と、酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子A 32質量部と、ABS樹脂(トヨラック920−555)の冷凍粉砕品 64質量部と、をドライブレンドした。直径2mmのストランドダイを備えた二軸押出機(東洋精機社製ラボプラストミル、型式:4C−150)にドライブレンドした混合物を投入した。そして、シリンダ温度230℃、スクリュー回転数60rpmの条件で溶融混練し、二軸押出機から押し出してストランド状とし、水冷した。水冷後の組成物をペレタイザーでカットし、除湿型乾燥機を用いて90℃で4時間乾燥処理を行った。そして、直径約5mm程度の、ペレット状のマスターバッチ組成物MB−12を得た。
【0088】
(樹脂成形体の調製)
マスターバッチ組成物MB−12 2質量部とABS樹脂(トヨラック920−555) 98質量部とをドライブレンドした。当該混合物を射出成形機(住友重機械工業社製、SE18S)に投入して射出成形を行い、1.5mm×50mm×55mmの樹脂成形体を得た。なお、射出成形は、シリンダ温度230℃、金型温度60℃、冷却時間15秒の条件で行った。
【0089】
[比較例1〜5]
マスターバッチ組成物MB−01を、表3に示す組成のマスターバッチ組成物MB−13〜MB−17に変更した以外は、実施例2と同様に樹脂成形体を得た。なお、表3に記載の組成は質量比である。また、表3に記載のアルミニウムペーストおよび着色アルミニウム顔料の量は、いずれも固形分量(換算値)である。
【0090】
[評価]
実施例および比較例で得られた試験板(樹脂成形体)について、それぞれ目視評価(色相・輝度変化判定)および多角度測色計による評価を行った。結果を表1〜表3に示す。
【0091】
(目視評価(色相・輝度変化判定))
実施例および比較例で作製した各試験板について、標準光源(X−rite社製SpectraLightQC D65)の環境下で目視にて、色相および輝度が変化するか否かの判定を行った。色相・輝度変化判定に際しては、試験板を、照明に対して平行に固定し、試験板を光源のある正面方向(ハイライト)から観察し、その後、観察する角度を変え、試験板を斜め方向(シェード)から観察した。その時のハイライトからシェードにかけての色相(カラーシフトの度合)および輝度の変化を、以下の基準に従って評価した。
4:ハイライトからシェードにかけて、色相・輝度共に顕著な変化が認められる
3:ハイライトからシェードにかけて、色相・輝度共に変化が認められる
2:ハイライトからシェードにかけて、色相・輝度変化に極めて小さい変化が認められる
1:ハイライトからシェードにかけて、色相・輝度変化がない
なお、評価は色彩開発に3年以上従事するデザイナー5名と技術者の計4名がそれぞれ各自評価を行い、9名の多数決により評価を決定した。評価が2以上であれば、実用上問題のないレベルである。
【0092】
(多角度測色計による評価)
実施例および比較例で作製した各試験板を、白色ポリカーボネート板(三菱ガス化学社製 ポリカーボネート・シート NF−2000C)の上に載置した。そして、BYK−mac(BYKガードナー社製多角度測色機)により、入射角度45°、正反射角を0°としたときの受光角−15°、15°、25°、75°でのa*を測定し、各試験板のa*−15°、a*15°、a*25°、a*75°をそれぞれ求めた。この操作を試験板上の場所を変えながら9回繰り返し、各角度での平均値(−15、15、25、75)を求めた。さらに、得られた各場所での下記式(1)、および下記式(2)に代入して、得られた値の絶対値に基づき、試験板の色相の変化度合いを以下の基準で評価した。
【0093】
カラーシフト(1)=(a*−15°)−(a*15°) ・・・(式1)
カラーシフト(2)=(a*25°)−(a*75°) ・・・(式2)
上記式(1)はハイライト(低角度−15°、15°)から観察して、30°程度、小さく視認角度を変えた場合の色相変化(彩度変化)の度合の指標とした。上記式(2)は、ハイライト(低角度:25°)から、シェード(高角度:75°)まで、50°程度、大きく視認角度を変えた場合の色相変化(彩度変化)の度合の指標とした。
【0094】
・評価指標1
×:カラーシフト(1)の絶対値が0.4未満(ほぼ色相変化しない)
△:カラーシフト(1)の絶対値が0.4以上0.7未満(色相変化する)
○:カラーシフト(1)の絶対値が0.7以上(大きく色相変化する)
【0095】
・評価指標2
×:カラーシフト(2)の絶対値が1.0未満(ほぼ色相変化しない)
△:カラーシフト(2)の絶対値が1.0以上6.0未満(色相変化する)
○:カラーシフト(2)の絶対値が6.0以上(大きく色相変化する)
【0096】
なお、上記評価指標1および評価指標2が、ともに△以上であれば、ハイライトで小さく角度を変えて視認した場合も、ハイライトからシェードにかけて大きく角度を変えて視認した場合も、色相変化し、実用上問題のないレベルである。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】
【表3】
【0100】
表1および表2に示すように、酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子と、着色顔料と、熱可塑性樹脂と、を含み、かつ酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子中のアルミニウム元素の量100質量部に対する鉄元素の量が5〜400質量部である樹脂組成物では、目視評価および多角度測色計による評価において、良好な結果が得られた(実施例1〜15)。
【0101】
これに対し、着色顔料を含まない樹脂組成物においては、ハイライトで小さく角度を変えて視認した場合も、ハイライトからシェードにかけて大きく角度を変えて視認した場合も、色相変化した。しかしながら、色相・輝度判定の評価は低かった(比較例1)。これは、樹脂成形体の作製時に酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子が割れ難く、酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子が一方向に配向したものの、着色顔料を用いなかったため、目的の色相変化と輝度変化を得ることができなかったためである。
【0102】
樹脂成形体の作製時に酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子が割れ難く、酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子が一方向に配向したためであると考えられる。一方、酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子や光輝性の顔料を含まない場合には、色相および輝度共に変化し難かった(比較例2)。
【0103】
一方、着色顔料および光輝性の顔料を含んでいたとしても、光輝性の顔料が酸化鉄によって被覆されていない場合には、色相変化および輝度変化が生じ難かった(比較例3および4)。通常のアルミニウムペーストやアルミニウム顔料は、樹脂成形体中で一方向に配向しないため、このような結果になったと考えられる。またさらに、樹脂組成物が、酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子を含んでいたとしても、その酸化鉄の量が過剰であると、色相変化や色相変化が生じ難かった(比較例5)。酸化鉄の量が多くなると、酸化鉄被覆アルミニウム扁平状粒子が扁平でなくなり、色相変化や輝度変化が生じ難くなったと考えられる。