(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
[透湿耐水層]
本発明の防藻シートは、透湿耐水層を含み、適度な透湿防性を有するため、培地や土壌を被覆しても、培地や土壌の温度を適度に調整でき、例えば、夏場における気化潜熱による地温の上昇も抑制できる。
【0017】
透湿耐水層は、JIS K7129(A法)に準拠した方法において、透湿度500g/(m
2・24時間)以上[特に1000g/(m
2・24時間)以上]であればよく、例えば1000〜10000g/(m
2・24時間)、好ましくは2000〜8000g/(m
2・24時間)、さらに好ましくは3000〜6000g/(m
2・24時間)[特に3500〜5000g/(m
2・24時間)]程度である。透湿度が低すぎると、通気性が低下し、培地や土壌の温度の管理が困難となる虞がある。
【0018】
透湿耐水層は、耐水性も高く、JIS L1092の耐水度試験に準拠した方法において、耐水圧が1kPa以上であってもよく、例えば5〜200kPa、好ましくは10〜150kPa、さらに好ましくは15〜100kPa程度である。耐水圧が低すぎると、防藻性が低下する虞がある上に、外部から病原菌なども混入し易くなる。
【0019】
透湿耐水層の通気性は低く、ISO5636−5に準拠したISO透気度は2.5μm/(Pa・s)未満であり、特に2.0μm/(Pa・s)以下程度であってもよい。
【0020】
透湿耐水層は、前記透湿度及び耐水圧を有していれば、材質や構造は特に限定されないが、柔軟性や取り扱い性、耐水性などの点から、疎水性樹脂を含む不織布(疎水性繊維で形成された不織布)や多孔質プラスチックシートが好ましく、薄肉性や柔軟性などにも優れる点から、疎水性樹脂を含む多孔質層(疎水性多孔質層又は疎水性多孔質プラスチックシート)が特に好ましい。
【0021】
疎水性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂など)、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体など)、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレンなど)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)などが挙げられる。これらの疎水性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの疎水性樹脂のうち、柔軟性や耐水性(疎水性)などの点から、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂やポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂)が好ましく、軽量性や施工性などの点から、ポリエチレン系樹脂が特に好ましい。
【0022】
ポリエチレン系樹脂は、エチレン単独重合体であってもよく、エチレン系共重合体であってもよい。共重合性単量体としては、エチレン以外のα−オレフィン[例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−へプテン、1−オクテンなどのα−C
3−10オレフィン(特にα−C
3−6オレフィン)など]などが例示できる。これらの共重合性単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用してもよい。
【0023】
エチレン系共重合体において、エチレンと共重合性単量体(例えば、エチレン以外のα−オレフィン)との割合(モル比)は、前者/後者=50/50〜99.9/0.1、好ましくは60/40〜99.5/0.5、さらに好ましくは70/30〜99/1程度である。
【0024】
ポリエチレン系樹脂は、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン(例えば、直鎖状低密度ポリエチレンなど)、分岐鎖状ポリエチレン、アイオノマー、塩素化ポリエチレンなどであってもよい。
【0025】
透湿耐水層は、添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、安定剤(耐光安定剤、耐熱安定剤など)、充填剤、発泡剤、難燃剤、帯電防止剤、界面活性剤、防虫剤(防蟻剤など)、防腐剤(防カビ剤など)などが例示できる。これらの添加剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。添加剤の割合は、透湿耐水層全体に対して50質量%以下、好ましくは0.01〜30質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%程度である。
【0026】
透湿耐水層は一軸又は二軸延伸シートであってもよい。また、透湿耐水層は、単層シートであってもよく、二層以上の積層シートであってもよい。
【0027】
透湿耐水層は、慣用の方法、例えば、疎水性樹脂と粉粒状充填剤(炭酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウムなど)とを含む疎水性樹脂組成物をシート状に成形し、延伸する方法、疎水性樹脂組成物をシート状に成形し、レーザー光又はパンチングにより細孔を形成する方法、疎水性樹脂組成物をシート状に発泡成形する方法などにより作製できる。
【0028】
透湿耐水層は、微多孔質層であるのが好ましく、微多孔質層の細孔の平均径は0.01〜100μm(例えば0.05〜50μm)程度の範囲から選択でき、例えば0.1〜15μm、好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは1〜5μm程度である。細孔径が小さすぎると、透湿性及び通気性が低下する虞があり、細孔径が大きすぎると、耐水性が低下する虞がある。
【0029】
なお、透湿耐水層の表面の一部を、樹脂成分(例えば、(メタ)アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂などのバインダー樹脂又は樹脂エマルジョンなど)で被覆して一部の多孔部を塞ぐことにより、透湿耐水層の透湿度を調整してもよい。
【0030】
透湿耐水層の厚み(平均厚み)は、例えば10〜100μm、好ましくは20〜80μm、さらに好ましくは25〜50μm(特に30〜40μm)程度である。透湿耐水層の厚みが薄すぎると、耐水性や防水性が低下する虞があり、逆に厚すぎると、通気性、柔軟性や施工性などが低下する虞がある。
【0031】
[不織繊維層]
不織繊維層は、疎水性不織布を含むことにより、培地や土壌からの水分が積極的に透湿耐水層まで達しないため、藻の発生が抑制され、防藻シートの反射率の低下を抑制できる。特に、本発明では、養液を用いた栽培において、防藻性が大きく、その原因は明らかではないが、本発明では、特定の不織繊維層と前記透湿耐水層とを組み合わせることにより、水分の上昇に伴って養液に含まれる養分の上昇も抑制できると推定できる。
【0032】
疎水性不織布は、通常、表面が疎水性である繊維で形成されていればよく、例えば、撥水加工された親水性繊維や、鞘部が疎水性樹脂で形成され、かつ芯部が親水性樹脂で形成された芯鞘型複合繊維などであってもよいが、耐久性などの点から、疎水性繊維が汎用される。
【0033】
疎水性繊維としては、例えば、ポリオレフィン系繊維(ポリエチレン系繊維、ポリプロピレン系繊維など)、スチレン系繊維(ポリスチレン繊維、スチレン−アクリロニトリル共重合体繊維など)、フッ素樹脂繊維(テトラフルオロエチレン系繊維など)、(メタ)アクリル系繊維などの有機繊維;炭素繊維やガラス繊維などの無機繊維などが挙げられる。これらの疎水性繊維は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの疎水性繊維のうち、柔軟性や耐水性(疎水性)などの点から、ポリオレフィン系繊維(例えば、ポリエチレン繊維などのポリエチレン系繊維やポリプロピレン繊維などのポリプロピレン系繊維)が好ましい。特に、透湿耐水層がポリエチレン系樹脂で形成されている場合、ヒートシールなどで熱融着しても、ヒートシールによるダメージが少なく、ハンドリング中に破損することが抑制できる点から、ポリエチレン系樹脂よりも融点の高いポリプロピレン系繊維が特に好ましい。
【0034】
ポリプロピレン系繊維を構成するポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体であってもよく、プロピレン系共重合体であってもよい。共重合性単量体としては、プロピレン以外のα−オレフィン類[例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチルペンテン、4−メチルペンテン、4−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセンなどのα−C
2−16オレフィン(特にエチレンやブテンなどのα−C
2−6オレフィン)など]などが例示できる。これらの共重合性単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0035】
プロピレン系共重合体において、プロピレンと共重合性単量体(例えば、エチレンなどのα−オレフィン)との割合(モル比)は、前者/後者=70/30〜99.9/0.1、好ましくは80/20〜99.5/0.5、さらに好ましくは90/10〜99/1程度であってもよい。
【0036】
さらに、ポリプロピレン系樹脂は、結晶性ポリプロピレン系樹脂であってもよく、非結晶性ポリプロピレン系樹脂であってもよい。
【0037】
ポリプロピレン系樹脂は、例えば、プロピレンホモポリマー、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム三元共重合体などが挙げられる。
【0038】
これらのポリプロピレン系樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、剛性や耐熱性などの点から、結晶性ポリプロピレン系樹脂、特に、ポリプロピレンホモポリマー(結晶性ポリプロピレンホモポリマー)が好ましい。
【0039】
ポリプロピレン系樹脂は、アタクチック重合体であってもよく、アイソタクチック、シンジオタクチック、メタロセン触媒を用いて得られるポリプロピレン系樹脂などの立体規則性を有する構造であってもよい。これらのうち、結晶性や簡便性などの点から、アイソタクチック構造を有するポリプロピレン系樹脂が好ましい。
【0040】
疎水性繊維の平均繊度は、例えば0.1〜5デニール、好ましくは0.2〜4デニール、さらに好ましくは0.5〜3デニール程度であってもよい。繊度が大きすぎると、防藻シートの柔軟性が低下する虞があり、逆に小さすぎると、防藻シートの透湿耐水性が低下する虞がある。
【0041】
疎水性繊維の平均繊維長は、例えば10〜150mm、好ましくは20〜80mm、さらに好ましくは30〜60mm程度であってもよく、スパンボンド、メルトブロー、フラッシュ紡糸法などの直接紡糸法では、無限長であってもよい。強度などの点から、疎水性不織布としては、長繊維不織布が好ましい。
【0042】
疎水性不織布は、防藻シートの遮光性を向上させるために、慣用の着色剤を含んでいてもよい。特に、防藻シートの遮光性の向上により防草性を向上させる点から、黒色染顔料などの暗色の着色剤を含むのが好ましい。黒色染顔料としては、例えば、カーボンブラック、グラファイトなどの無機黒色顔料;アゾ系染顔料、アニリンブラック、硫化染料等の有機黒色染顔料などが挙げられる。これらの黒色染顔料は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、発色性や経済性などの点から、カーボンブラックが好ましい。
【0043】
これらの着色剤は、疎水性不織布を構成する繊維が着色剤を含んでいてもよく、繊維の表面に着色剤が付着していてもよい。着色剤を繊維表面に付着する方法としては、例えば、疎水性不織布(例えば、白色などの明色の疎水性不織布)を着色塗料(例えば、黒色などの暗色塗料)で印刷する方法などが挙げられる。着色塗料の塗布量は、例えば5〜30g/m
2、好ましくは7〜20g/m
2、さらに好ましくは9〜12g/m
2程度である。暗色塗料の場合、塗布量が少なすぎると、遮光性が低下する虞があり、多すぎると、繊維間に塗料が目詰まりして透湿性が低下する虞がある。
【0044】
疎水性不織布も、前記透湿耐水層と同様の添加剤を含んでいてもよい。添加剤の割合は、不織繊維層全体に対して50質量%以下、好ましくは0.01〜30質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%程度である。
【0045】
疎水性不織布は、慣用の方法、例えば、前記疎水性繊維を含むウェブの形成工程と、ウェブの接着工程とを経て調製でき、具体的には、スパンボンド、メルトブロー、フラッシュ紡糸、ケミカルボンド、サーマルボンド、スパンレース、ニードルパンチ、ステッチボンド法などにより調製できる。これらのうち、強度などの点から、スパンボンド法が好ましい。特に、疎水性不織布は、ポリプロピレンスパンボンド不織布であってもよい。
【0046】
不織繊維層の目付は10〜500g/m
2(例えば10〜200g/m
2)程度の範囲から選択でき、例えば12〜150g/m
2、好ましくは15〜100g/m
2、さらに好ましくは20〜80g/m
2(特に25〜70g/m
2)程度である。目付が大きすぎると、防藻シートの通気性や柔軟性が低下する虞があり、逆に小さすぎると、防藻性が小さくなる虞がある。
【0047】
不織繊維層の見掛密度は、例えば0.08〜0.5g/cm
3、好ましくは0.1〜0.4g/cm
3(例えば0.13〜0.38g/cm
3)、さらに好ましくは0.15〜0.35g/cm
3(特に0.18〜0.30g/cm
3)程度である。密度が大きすぎると、防藻シートの柔軟性が低下する虞があり、小さすぎると、繊維間の隙間が大きくなり、防藻性が低下する虞がある。
【0048】
不織繊維層の耐水圧は1kPa未満(特に0.1kPa以下)であってもよく、不織繊維層は、耐水圧を有してなくてもよい(0kPaであってもよい)。
【0049】
不織繊維層は、通気性を有しており、ISO透気度が2.5μm/(Pa・s)以上であり、特に2.8μm/(Pa・s)以上であってもよい。
【0050】
不織繊維層の水接触角は110°以上であってもよく、例えば110〜150°、好ましくは115〜140°、さらに好ましくは120〜130°程度であってもよい。水接触角が小さすぎると、防藻性が低下する虞がある。
【0051】
不織繊維層の遮光率は、防藻シートを貫通して雑草が生育するのを抑制する点から、高い方が好ましく、例えば90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上(特に100%)である。なお、本明細書及び特許請求の範囲では、遮光率は、JIS L1055に準拠した方法で測定できる。
【0052】
不織繊維層の平均厚みは、例えば1〜500μm、好ましくは5〜400μm、さらに好ましくは10〜300μm程度である。不織繊維層の平均厚みは、透湿耐水層の平均厚みに対して0.1〜100倍、好ましくは0.2〜50倍、さらに好ましくは0.5〜20倍程度である。不織繊維層の厚みが大きすぎると、施工性が低下する虞が、小さすぎると、防藻性が低下する虞がある。
【0053】
[接着層]
本発明の防藻シートは、施工性や取り扱い性などを向上させるために、前記透湿耐水層と前記不織繊維層との間に接着層がさらに介在していてもよい。特に、接着層は、防藻シートの通気性を確保するために、一部の領域に介在させるのが好ましい。透湿耐水層と不織繊維層との界面(透湿帯水層表面又は不織繊維層表面)に対する接着層の占有面積は、例えば95%以下(例えば5〜95%)、好ましくは10〜90%、さらに好ましくは20〜80%(特に30〜70%)程度である。接着層を介在させる領域の位置は、特に限定されず、例えば、防藻シートの外周部に形成してもよく、略等間隔で複数の箇所[例えば、ドット状、筋状、ウェブ状(線状で複数の箇所にランダムに塗布する形状)など]に形成してもよい。
【0054】
接着層は、慣用の接着剤や粘着剤を含んでいればよい。慣用の接着剤又は粘着剤としては、例えば、オレフィン系接着剤又は粘着剤、ビニル系接着剤又は粘着剤、スチレン系接着剤又は粘着剤、(メタ)アクリル系接着剤又は粘着剤、ポリエステル系接着剤又は粘着剤、ウレタン系接着剤又は粘着剤などが挙げられる。これらの接着剤は、ホットメルト性接着剤であってもよい。これらの接着剤及び粘着剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらの接着剤及び粘着剤のうち、透湿耐水層及び疎水性不織布の材質と同種の接着剤及び粘着剤が好ましく、例えば、透湿耐水層及び疎水性不織布がオレフィン系樹脂で形成されている場合、ポリエチレン系樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのオレフィン系ホットメルト接着剤が好ましい。
【0055】
接着層も、前記透湿耐水層と同様の添加剤を含んでいてもよい。添加剤の割合は、接着層全体に対して50質量%以下、好ましくは0.01〜30質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%程度である。
【0056】
接着層の塗布量は、例えば1〜10g/m
2、好ましくは2〜9g/m
2、さらに好ましくは3〜7g/m
2程度である。
【0057】
[防藻シートの特性並びに製造方法及び使用方法]
本発明の防藻シートは、防藻性を向上できる点から、低い保水力を有するのが好ましい。具体的には、防藻シートの保水率は40%以下であってもよく、例えば1〜40%、好ましくは3〜35%(例えば5〜30%)、さらに好ましくは10〜25%(特に15〜20%)程度である。保水率が大きすぎると、防藻性が低下する虞がある。なお、本明細書及び特許請求の範囲では、JIS L1913の吸水性試験法に準拠して測定でき、詳細には、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
【0058】
本発明の防藻シートは、日光に対する反射率が高いため、光合成による植物の生育を促進できる。具体的には、本発明の防藻シートは、透湿耐水層側から入射した可視光の反射率が30%以上(例えば30〜100%)であってもよく、例えば40%以上(例えば40〜90%)、好ましくは50%以上(例えば50〜80%)、さらに好ましくは55%以上(例えば55〜70%)であってもよい。反射率が低すぎると、日光の反射による植物生育の促進効果が小さくなる虞がある。本発明では、防藻性が高いため、植物を栽培後でも、このような反射率を維持できる。
【0059】
本発明の防藻シートは、遮光率を向上させて防草性を付与してもよい。具体的には、本発明の防藻シートは、透湿耐水層側から入射した可視光の透過率が20%以下(例えば0〜20%)であってもよく、例えば15%以下(例えば0.1〜15%)、好ましくは10%以下(例えば0.5〜10%)、さらに好ましくは5%以下(例えば1〜5%)であってもよい。透過率が高すぎると、防草性が低下する虞がある。
【0060】
なお、本明細書及び特許請求の範囲では、透湿耐水層側から入射した可視光の反射率及び透過率は、波長380〜750nmの範囲で1nmの間隔で反射率及び透過率を測定した値を算術平均で求める方法で測定でき、詳しくは、後述する実施例に記載の方法で測定できる。
【0061】
本発明の防藻シートは、透湿性などの本発明の効果を損なわない限り、他の機能層、例えば、反射率や耐候性などを向上させるために、透過性を有する金属薄膜(例えば、透過性を有するアルミニウム薄膜)、他の透湿耐水層などと組み合わせてもよい。他の機能層は、コーティングにより透湿耐水層の上に積層してもよく、例えば、透湿耐水層の上に部分的にコーティングしてもよく、相分離を利用して多孔質層を形成してもよい。
【0062】
本発明の防藻シートは、慣用の方法で製造でき、透湿耐水層と不織繊維層とを一体化することなく、積層してもよいが、シートの取り扱い性などの点から、両層を一体化するのが好ましい。両層を一体化する場合、前述のように、両層の間の一部の領域に接着層を介在させる方法であってもよく、固定具を用いて各層の端部同士などを一体化する方法であってもよい。これらの方法のうち、形態安定性などの点から、接着層を介在させる方法が好ましい。接着層を介在させる方法としては、慣用の方法を利用でき、例えば、スプレーやコーティングなどにより、透湿耐水層と不織繊維層との界面(透湿耐水層又は不織繊維層の表面)の一部の領域に接着剤を塗布して両層を接着する方法などが挙げられる。この方法においては、接着剤の種類に応じて、必要であれば、加熱してもよい。
【0063】
本発明の防藻シートは、培地又は土壌を被覆して、植物を栽培するための農業用シートとして適している。本発明の植物の栽培方法では、前記防藻シートの不織繊維層を培地又は土壌と接触させる側に配設し、両層の組み合わせにより地温の調整ができ、さらに表面側の透湿耐水層によって日光を反射させて植物の生育を促進できるとともに、培地又は土壌側の不織繊維層によって防藻性を向上できる。培地としては、水耕栽培における養液や、養液を用いる固形培地(養液栽培用ベットなどの固形培地耕における培土など)などが挙げられる。これらのうち、養液に起因する藻が発生し易く、防藻性が顕著に発現する点からは、養液を用いた培地に適用するのが好ましい。一方、土壌栽培においても、防藻性と地温管理とを同時に実現でき、特に、屋外で雑草が生育し易い点から、防藻性と地温管理と防草性とを同時に実現できるため有用である。
【実施例】
【0064】
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。実施例で用いた材料、実施例における各試験の測定方法を以下に示す。
【0065】
[用いた材料]
微多孔質ポリエチレンフィルム:平均孔径1.78μm、平均厚み27μm、透湿度6,500g/(m
2・24時間)
黒色ポリプロピレンスパンボンド不織布:目付30g/m
2、見掛密度0.25g/cm
3、平均厚み0.12mm、遮光率14%
白色ポリエステルスパンボンド不織布:目付40g/m
2、見掛密度0.33g/cm
3、平均厚み0.12mm、遮光率43%
接着剤:エチレン酢酸ビニル系ホットメルト接着剤。
【0066】
[防藻シートの反射率及び透過率]
自記分光光度計((株)日立製作所製「U−4000」)を用いて、防藻シートの微多孔質ポリエチレンフィルム側から波長380nm〜750nmの可視光を入射して1nm毎の反射率(%)又は透過率(%)を測定し、それらの算術平均を反射率又は透過率とした。
【0067】
[防藻シートの保水率]
防藻シートについて、JIS L1913の吸水性試験法に準拠して保水率を測定した。保水率を測定するための水としては、肥料水溶液[有効成分として、窒素15重量%、水溶性リン酸15重量%及び水溶性加里15重量%を含む固形肥料(OATアグリオ(株)製「養液土耕3号」)を地下水で1000倍希釈した水溶液]を用いた。保水率が小さいほど、防藻シートが水を保持し難いことを示す。
【0068】
[防藻シートの浸水性]
図1に示すように、防藻シート1の不織布側に、呼び径50の塩化ビニル樹脂管2を載置し、塩化ビニル樹脂管2の外周と防藻シート1との接点をシリコーンシーリング3で封止した。さらに、塩化ビニル樹脂管2の中空部に、肥料水溶液(OATアグリオ(株)製「養液土耕3号」を地下水で1000倍希釈した水溶液)4を水頭30mmになるよう注水し、各10個の試験体について、1週間後に肥料水溶液のシートへの浸潤状態を確認し、以下の基準で評価した。
【0069】
○:裏面への浸水が3個未満
×:裏面への浸水が3個以上。
【0070】
[カーネーション圃場での反射率(栽培後の反射率)]
香川県農業試験場のカーネーション圃場(鉄骨ハウス、被覆資材:フッ素系フィルム)において、2015年7月7日に、栽培用隔離床の土壌表面を実施例1及び比較例1で得られた防藻シートで被覆し、7月9日にカーネーション(品種:フェミニンミナミ)を定植、栽培した。栽培形態は、隔離床栽培(幅90cm、長さ8m、高さ20cm、底面:モルタル張り、側面:米松板)とした。定植間隔は、条間10cm×株間10cmとし、4条並木植えとした。施肥については、基肥は施用せず、肥料水溶液[固形肥料(OATアグリオ(株)製「養液土耕3号」)を地下水で1000倍希釈した水溶液]を用いて、かん水施肥栽培で管理した。給液は点滴チューブ(給液孔10cm間隔、給液孔は上面になるよう設置)で行った。室温管理については、日中は25℃で側窓が開閉するように調整し、夜間は11月29日までは無加温で管理し、それ以降は最低気温が12℃となるよう設定して温風暖房機器にて加温した。2015年1月14日に点滴チューブ(養液チューブ)上のシートをランダムに3か所切り取り、自記分光光度計((株)日立製作所製「U−4000」)を用い、防藻シートの微多孔質ポリエチレンフィルム側から波長380nm〜750nmの可視光を入射して1nm間隔の反射率(%)を測定し、その算術平均を反射率とした。
【0071】
[ハウス内:カーネーション圃場での地温抑制結果]
香川県農業試験場のカーネーション圃場(鉄骨ハウス、被覆資材:フッ素系フィルム)において、2015年7月7日に、栽培用培地を施工し、実施例1及び比較例1で得られた防藻シートで培地の表面を被覆した。なお、地温抑制効果を確認するためシートなし(無被覆)の区間も設けた。7月9日にカーネーション(品種:フェミニンミナミ)を定植、栽培した。栽培形態は、隔離床栽培(幅90cm、長さ8m、高さ20cm、底面:モルタル張り、側面:米松板)とした。定植間隔は、条間10cm×株間10cmとし、4条並木植えとした。施肥については、基肥は施用せず、肥料水溶液[固形肥料(OATアグリオ(株)製「養液土耕3号」)を地下水で1000倍希釈した水溶液]を用いてかん水施肥栽培で管理した。給液は点滴チューブ(給液孔10cm間隔、給液孔は上面になるよう設置)で行った。室温管理については、日中は25℃で側窓が開閉するように調整し、夜間は無加温で管理した。地温測定は、深さ10cmの位置とし、温度データロガー((株)ティアンドデイ製「TR−71U」、ステンレス保護管センサTR−1220)を用いて、2015年9月20日の0時〜翌0時までの温度を測定した。
【0072】
[土耕での地温抑制結果]
香川県農業試験場の屋外圃場において、2015年8月11日に畝幅100cm、トップ45cmの畝を立て、実施例1及び比較例1で得られた防藻シートを幅100cm、長さ3mに亘って土壌の表面を被覆した。なお、地温抑制効果を確認するためシートなし(無被覆)の区間も設けた。地温測定は、畝中央部で深さ5cmの位置とし、温度データロガー((株)ティアンドデイ製「TR−71wf」、ステンレス保護管センサTR−1220)を用い、2015年8月12日から9月17日まで10分間隔で測定した。結果は、1日の無被覆部の最高地温を基準としたときの温度差について評価した。
【0073】
[土耕での防草性]
香川県農業試験場の屋外圃場において、2015年8月11日に畝幅100cm、トップ45cmの畝を立て、実施例1及び比較例1で得られた防藻シートを幅100cm、長さ3mに亘って土壌の表面を被覆した。雑草発生調査は、2015年10月9日に1区当たり50cm×50cmを2か所抜き取り、個体数と生重量測定を実施した。
【0074】
実施例1
微多孔質ポリエチレンフィルムと黒色ポリプロピレンスパンボンド不織布とを、接着剤を用いて、塗布量5g/m
2でウェブ状にスプレーラミして接着し、防藻シートを得た。
【0075】
比較例1
微多孔質ポリエチレンフィルムと白色ポリエステルスパンボンド不織布とを、接着剤を用いて、塗布量5g/m
2でウェブ状にスプレーラミして接着し、防藻シートを得た。
【0076】
実施例1及び比較例1で得られた防藻シートについて、反射率及び透過率、保水率、浸水性、栽培後の反射率を評価した結果を表1に示す。
【0077】
【表1】
【0078】
表1の結果より、実施例1の防藻シートは、保水率が低く、栽培後も藻の発生は抑制され、反射率が高かった。一方、比較例1の防藻シートは、保水率が高く、栽培後には藻が発生し、反射率が低下した。
【0079】
また、カーネーション圃場(ハウス内)での地温抑制結果を
図2に示す。
図2の結果より、実施例1は比較例1より最高で0.7℃の温度抑制効果が確認できた。
【0080】
また、土耕での地温抑制結果について、横軸に無被覆部の最高地温、縦軸に無被覆部との地温差としたグラフを
図3に示す。
図3の結果より、無被覆部が35℃以上になると、実施例1では4〜8℃の地温抑制効果が認められた。これに対して、比較例1では、無被覆部が35℃以上になると、2〜4℃の地温抑制効果しかなかった。
【0081】
さらに、土耕での防草性を評価した結果を
図4に示す。
図4の結果から、実施例1は、比較例と比較して発生した個体数も少なく、さらに遮光率が高いため、雑草の生育が阻害され、生重量も測定できない結果となり、雑草抑制効果が確認できた。