(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定子に対する前記可動子の移動方向を第一方向とし、前記スロットの深さ方向を第二方向とし、前記第一方向および前記第二方向のいずれの方向に対しても直交する方向を第三方向とするとき、
前記固定子コイルに含まれる前記複数の単位コイルの前記一対のコイルエンドは、前記第三方向の両端部において、前記第二方向または前記第三方向に前記相コイル毎にそれぞれ配設されており、多層に形成されている請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の回転電機。
前記固定子に対する前記可動子の移動方向を第一方向とし、前記スロットの深さ方向を第二方向とし、前記第一方向および前記第二方向のいずれの方向に対しても直交する方向を第三方向とするとき、
前記固定子コイルに含まれる前記複数の単位コイルの前記一対のコイルエンドは、前記第三方向の両端部において、前記第二方向または前記第三方向に前記相コイル毎にそれぞれ配設されており、多層に形成されている請求項8〜請求項10のいずれか一項に記載の回転電機。
前記ハーフコイルの前記一対のコイルサイドのうちの一方のコイルサイドであって前記スロット底部側に配設される前記コイルサイドが占有するスロットの半分に相当する部位を第一ハーフスロット部位とし、当該一対のコイルサイドのうちの他方のコイルサイドであって前記スロット開口部側に配設される前記コイルサイドが占有するスロットの半分に相当する部位を第二ハーフスロット部位とし、前記第一ハーフスロット部位および前記第二ハーフスロット部位の両方を備える前記ハーフコイルを両側占有ハーフコイルとし、
各前記極対コイルを構成する前記複数の単位コイル間をそれぞれ接続する各渡り線の一端側の端部であって前記スロット底部側に配設される端部を第一渡り線端部とし、当該渡り線の他端側の端部であって前記スロット開口部側に配設される端部を第二渡り線端部とするとき、
前記両側占有ハーフコイルの前記第一ハーフスロット部位内の一点を始点とし前記第二ハーフスロット部位内の一点を終点とする第一ベクトルと、各前記渡り線の前記第一渡り線端部を始点とし前記第二渡り線端部を終点とする第二ベクトルとのなす角が、いずれも機械角90°より小さい鋭角である請求項5〜請求項7、請求項12〜請求項14のうちのいずれか一項に記載の回転電機。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】第一実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)に垂直な平面で、回転電機100を切断した端面の一部を示す切断部端面図である。
【
図2】第一実施形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図3】第一実施形態に係り、U相コイル33uの構成例を模式的に示す図である。
【
図4】第一実施形態に係り、三相の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)の構成例を模式的に示す図である。
【
図5】第一変形形態に係り、U相コイル33uの他の構成例を模式的に示す図である。
【
図6A】第一実施形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視たU相コイル33uの結線の一例を示す結線図である。
【
図6B】第一実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図6Aに示すU相コイル33uが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図7A】第一実施形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た三相の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)の結線の一例を示す結線図である。
【
図7B】第一実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図7Aに示す三相の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)が複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図8】第一実施形態に係り、三相の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)のうちの一の相コイル33が、コイル挿入機3Iによって、複数のスロット11に装着される様子を模式的に示す模式図である。
【
図9】第一実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図2に示す極対コイル32が複数(6つ)のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図10】第二変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図11A】第二変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図10に示す極対コイル32が複数(6つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図11B】第二変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図10に示す極対コイル32が複数(6つ)のスロット11に装着された状態の他の一例を模式的に示す図である。
【
図12】第三変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図13A】第三変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図12に示す極対コイル32が複数(6つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図13B】第三変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図12に示す極対コイル32が複数(6つ)のスロット11に装着された状態の他の一例を模式的に示す図である。
【
図14】第四変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図15A】第四変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図14に示す極対コイル32が複数(6つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図15B】第四変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図14に示す極対コイル32が複数(6つ)のスロット11に装着された状態の他の一例を模式的に示す図である。
【
図16】第五変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図17】第五変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図16に示す極対コイル32が複数(8つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図18】第六変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図19A】第六変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図18に示す極対コイル32が複数(8つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図19B】第六変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図18に示す極対コイル32が複数(8つ)のスロット11に装着された状態の他の一例を模式的に示す図である。
【
図20】第七変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図21A】第一実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たU相コイル33uが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図21B】第一実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たW相コイル33wが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図21C】第一実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たV相コイル33vが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図21D】第一実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た三相の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)の各ハーフコイル23hが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図21E】第一実施形態に係り、第一ベクトル35aと、第二ベクトル35b,35bとのなす角φa1,φa2を模式的に示す図である。
【
図22A】第八変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たU相コイル33uが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図22B】第八変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たV相コイル33vが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図22C】第八変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たW相コイル33wが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図22D】第八変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た三相の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)の各ハーフコイル23hが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図22E】第八変形形態に係り、第一ベクトル35aと、第二ベクトル35b,35bとのなす角φb1,φb2を模式的に示す図である。
【
図23】第一実施形態に係り、複数のスロット11の相配置の一例を示す図である。
【
図24】第一参考形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部832f,832s側から視た二層重巻の極対コイル832を模式的に示す図である。
【
図25】第一参考形態に係り、
図24に示す二層重巻における複数のスロット11の相配置の一例を示す図である。
【
図26】第二参考形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た集約形の極コイル931の構成例を模式的に示す図である。
【
図27】第三参考形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た集約形の極コイル931の他の構成例を模式的に示す図である。
【
図28】第九変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図29】第九変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図28に示す極対コイル32が複数(6つ)のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図30A】第一実施形態に係り、第二方向(矢印Y方向)に沿って固定子40を切断して、相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)毎に各単位コイル20の一対のコイルエンド22,22が配設された状態の一例を模式的に示す切断部端面図である。
【
図30B】第一実施形態に係り、第二方向(矢印Y方向)に沿って固定子40を切断して、相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)毎に各単位コイル20の一対のコイルエンド22,22が配設された状態の他の一例を模式的に示す切断部端面図である。
【
図31】第二実施形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図32】第二実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図31に示す極対コイル32が複数(4つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図33】第十変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図34】第十変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図33に示す極対コイル32が複数(4つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図35】第十一変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図36】第十一変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図35に示す極対コイル32が複数(4つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図37】第十二変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図38】第十二変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図37に示す極対コイル32が複数(4つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図39A】第二実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たU相コイル33uが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図39B】第二実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たW相コイル33wが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図39C】第二実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たV相コイル33vが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図39D】第二実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た三相の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)の各ハーフコイル23hが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図40A】第十三変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たU相コイル33uが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図40B】第十三変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たV相コイル33vが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図40C】第十三変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たW相コイル33wが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図40D】第十三変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た三相の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)の各ハーフコイル23hが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図41A】第十一変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たU相コイル33uが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図41B】第十一変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たW相コイル33wが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図41C】第十一変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たV相コイル33vが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図41D】第十一変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た三相の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)の各ハーフコイル23hが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図42】第三実施形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図43】第三実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図42に示す極対コイル32が複数(6つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図44】第十四変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図45】第十四変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図44に示す極対コイル32が複数(6つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図46】第十五変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図47】第十五変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図46に示す極対コイル32が複数(6つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図48】第十六変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図49】第十六変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図48に示す極対コイル32が複数(6つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図50A】第三実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たU相コイル33uが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図50B】第三実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たV相コイル33vが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図50C】第三実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たW相コイル33wが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図50D】第三実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た三相の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)の各ハーフコイル23hが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図51A】第十七変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たU相コイル33uが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図51B】第十七変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たW相コイル33wが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図51C】第十七変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たV相コイル33vが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図51D】第十七変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た三相の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)の各ハーフコイル23hが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図52】第四実施形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図53】第四実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図52に示す極対コイル32が複数(4つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図54】第十八変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図55】第十八変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図54に示す極対コイル32が複数(4つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図56】第十九変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図57】第十九変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図56に示す極対コイル32が複数(4つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図58】第二十変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図59】第二十変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図58に示す極対コイル32が複数(4つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図60A】第四実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たU相コイル33uが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図60B】第四実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たV相コイル33vが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図60C】第四実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たW相コイル33wが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図60D】第四実施形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た三相の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)の各ハーフコイル23hが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図61A】第二十一変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たU相コイル33uが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図61B】第二十一変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たW相コイル33wが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図61C】第二十一変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たV相コイル33vが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図61D】第二十一変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た三相の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)の各ハーフコイル23hが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図62A】第十九変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たU相コイル33uが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図62B】第十九変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たV相コイル33vが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図62C】第十九変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視たW相コイル33wが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図62D】第十九変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た三相の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)の各ハーフコイル23hが複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図である。
【
図63】第二十二変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット底部11a側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図64】第二十二変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図63に示す極対コイル32が複数(6つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図65】第二十三変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット底部11a側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図66】第二十三変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図65に示す極対コイル32が複数(6つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図67】第二十四変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図68】第二十四変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図67に示す極対コイル32が複数(6つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【
図69】第二十五変形形態に係り、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。
【
図70】第二十五変形形態に係り、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図69に示す極対コイル32が複数(6つ)のスロット11に装着された状態の一例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、図面は、各実施形態および各変形形態について、共通する箇所には共通の符号が付されており、本明細書では、重複する説明が省略されている。また、一の実施形態で既述されていることは、他の実施形態および各変形形態についても適宜適用することができる。なお、図面は、概念図であり、細部構造の寸法まで規定するものではない。
【0012】
<第一実施形態>
(回転電機100の概要)
図1に示すように、本実施形態の回転電機100は、固定子40と可動子70とを具備している。固定子40は、複数のスロット11が形成されている固定子鉄心10と、複数の単位コイル20を含む固定子コイル30とを備えている。可動子70は、固定子40に対して移動可能に支持されている可動子鉄心50と、可動子鉄心50に設けられている少なくとも一対の可動子磁極61,62とを備えている。
【0013】
本実施形態では、固定子鉄心10には、60個のスロット11が形成されており、固定子コイル30は、三相の各相12個、合計36個の単位コイル20を含んでいる。また、本実施形態では、可動子鉄心50には、四組の一対の可動子磁極61,62を備えている。このように、本実施形態の回転電機100は、8極60スロット構成の三相回転電機(可動子70の磁極数が2極、固定子40のスロット数が15スロットを基本構成とする三相回転電機)であり、毎極毎相スロット数は2.5である。つまり、本実施形態の回転電機100は、毎極毎相スロット数の小数点以下が0.5となる分数スロット構成の回転電機100である。また、本実施形態の回転電機100は、固定子40および可動子70が同軸に配設されるラジアル空隙型の円筒状回転電機である。さらに、可動子70は、固定子40の内方(回転電機100の軸心側)に設けられている。
【0014】
ここで、固定子40に対する可動子70の移動方向を第一方向(矢印X方向)とする。また、スロット11の深さ方向を第二方向(矢印Y方向)とする。さらに、第一方向(矢印X方向)および第二方向(矢印Y方向)のいずれの方向に対しても直交する方向を第三方向(矢印Z方向)とする。円筒状回転電機では、第一方向(矢印X方向)は、回転電機100の周方向に沿った方向に相当し、可動子70の回転方向に相当する。第二方向(矢印Y方向)は、回転電機100の径方向に沿った方向に相当し、第三方向(矢印Z方向)は、回転電機100の軸線方向に沿った方向に相当する。
【0015】
固定子鉄心10は、薄板状の電磁鋼板(例えば、ケイ素鋼板)が第三方向(矢印Z方向)に、複数積層されて形成されている。固定子鉄心10は、バックヨーク部10aと、バックヨーク部10aと一体に形成される複数(本実施形態では、60個)の固定子磁極部10bとを備えている。バックヨーク部10aは、第一方向(矢印X方向)に沿って形成されており、各固定子磁極部10bは、バックヨーク部10aから第二方向(矢印Y方向)(回転電機100の軸心方向)に突出するように形成されている。
【0016】
第一方向(矢印X方向)に隣接する固定子磁極部10b,10bの間には、スロット11が形成されており、固定子鉄心10には、複数(60個)のスロット11が形成されている。複数(60個)のスロット11のうちの一対のスロット11,11には、単位コイル20が巻装されている。後述するように、複数(三相の各相12個、合計36個)の単位コイル20の各々が巻装される一対のスロット11,11の組み合わせは、それぞれ異なっている。なお、各固定子磁極部10bの先端部10cは、第一方向(矢印X方向)に幅広に形成されている。
【0017】
図1に示すように、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側からスロット底部11a側に向かう方向を第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)とする。また、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット底部11a側からスロット開口部11b側に向かう方向を第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)とする。さらに、スロット11のうち、固定子コイル30が装着される部位のスロット面積を第二方向(矢印Y方向)に略二等分するように、第一方向(矢印X方向)に沿って延びる部位をスロット中央部11cとする。
【0018】
可動子70は、可動子鉄心50を備えている。可動子鉄心50は、薄板状の電磁鋼板(例えば、ケイ素鋼板)が第三方向(矢印Z方向)に、複数積層されて円柱状に形成されている。可動子鉄心50には、シャフト(図示略)が設けられており、シャフトは、可動子鉄心50の軸心を第三方向(矢印Z方向)に貫通している。シャフトの第三方向(矢印Z方向)両端部は、軸受部材(図示略)によって、回転可能に支持されている。これにより、可動子鉄心50は、固定子40に対して移動可能(回転可能)になっている。
【0019】
可動子鉄心50には、四組の一対の可動子磁極61,62が埋設されている。具体的には、可動子鉄心50には、第一方向(矢印X方向)に等間隔で、複数の磁石収容部(図示略)が設けられている。複数の磁石収容部には、所定磁極対分(本実施形態では四磁極対分)の永久磁石が埋設されている。可動子70は、永久磁石と、固定子40に発生する回転磁界とによって、固定子40に対して移動可能(回転可能)になっている。
【0020】
永久磁石は、例えば、公知のフェライト系磁石や希土類系磁石を用いることができる。また、永久磁石の製法は、限定されない。永久磁石は、例えば、樹脂ボンド磁石や焼結磁石を用いることができる。樹脂ボンド磁石は、例えば、フェライト系の原料磁石粉末と樹脂などを混合して、射出成形などによって可動子鉄心50に鋳込めて形成される。焼結磁石は、例えば、希土類系の原料磁石粉末を磁界中で加圧成形して、高温で焼き固めて形成される。なお、一対の可動子磁極61,62は、各固定子磁極部10bの先端部10cと対向する可動子鉄心50の表面(外周表面)に永久磁石を設ける表面磁石形とすることもできる。また、本明細書では、一対の可動子磁極61,62のうち、一方の極性(例えば、N極)を備える可動子磁極を可動子磁極61で示し、他方の極性(例えば、S極)を備える可動子磁極を可動子磁極62で示している。
【0021】
固定子コイル30は、複数(三相の各相12個、合計36個)の単位コイル20を含んでいる。各単位コイル20は、銅などの導体(コイル)が巻き回されて形成されており、導体表面がエナメルなどの絶縁層で被覆されている。各単位コイル20の断面形状は、限定されるものではなく、任意の断面形状とすることができる。例えば、各単位コイル20は、断面円形状の丸線、断面多角形状の角線などの種々の断面形状の導体(コイル)を用いることができる。また、各単位コイル20は、複数のより細いコイル素線を組み合わせた並列細線を用いることもできる。並列細線を用いる場合、単線の場合と比べて各単位コイル20に発生する渦電流損が低減され、回転電機100の効率が向上する。また、コイル成形に要する力を低減することができるので、コイルの成形性が向上してコイル製作が容易になる。
【0022】
図2に示すように、各単位コイル20は、一対のコイルサイド21,21と、一対のコイルエンド22,22とを有している。各単位コイル20は、複数(60個)のスロット11のうちの一対のスロット11,11間で巻装されており、一対のコイルサイド21,21と、一対のコイルエンド22,22とは、一体に形成されている。一対のコイルサイド21,21は、一の単位コイル20のうちの一対のスロット11,11に収容される部位をいう。また、一対のコイルエンド22,22は、一の単位コイル20のうちの当該一対のコイルサイド21,21の同一側端部をそれぞれ接続する部位をいう。なお、同図では、3つの単位コイル20が図示されており、一対の可動子磁極61,62が併せて図示されている。
【0023】
固定子コイル30に含まれる複数(三相の各相12個、合計36個)の単位コイル20は、一対の可動子磁極61,62に対向するスロット単位で、第一極コイル31fと第二極コイル31sとに振り分けられている。本実施形態の回転電機100は、8極60スロット構成の三相回転電機であるので、15スロット単位で、複数(三相の各相12個、合計36個)の単位コイル20が第一極コイル31fと第二極コイル31sとに振り分けられている。
【0024】
具体的には、第一極コイル31fは、一つの単位コイル20を備えており、当該単位コイル20を第一単位コイル20aとする。第一単位コイル20aの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチCP1は、6スロットピッチ(6sp)に設定されている。第一単位コイル20aは、同心状に巻装されており、第一極コイル31fが形成されている。
【0025】
第二極コイル31sは、複数(2つ)の単位コイル20,20を備えており、当該二つの単位コイル20,20を第二単位コイル20b、第三単位コイル20cとする。第二単位コイル20bの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチCP2は、7スロットピッチ(7sp)に設定されており、第三単位コイル20cの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチCP3は、5スロットピッチ(5sp)に設定されている。このように、コイルピッチCP1〜CP3は、それぞれ異なっている。第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20cは、同心状に巻装されて、単位コイル間接続部31cによって直列接続されており、第二極コイル31sが形成されている。第二極コイル31sは、第一極コイル31fが一対の可動子磁極61,62のうちの一方の極性(同図では、N極)の可動子磁極61に対向するときに、当該一対の可動子磁極61,62のうちの他方の極性(同図では、S極)の可動子磁極62に対向する。
【0026】
一対の可動子磁極61,62に対向する隣接する第一極コイル31fおよび第二極コイル31sは、電気的に直列接続されて、極対コイル32が構成されている。極対コイル32は、巻始め側の第一極コイル31fから巻終り側の第二極コイル31sへ引き回す極コイル間接続部32cを介して連続して巻進められていると好適である。これにより、第一極コイル31fを構成する一つの単位コイル20(第一単位コイル20a)と、第二極コイル31sを構成する複数(2つ)の単位コイル20,20(第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)とを容易に直列接続することができる。本実施形態では、第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20cは、この順に、直列接続されている。
【0027】
また、各極対コイル32は、第一コイル引出部32fと第二コイル引出部32sとからなる一対のコイル引出部32f,32sを備えていると好適である。第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する一の単位コイル20であって、巻始めの単位コイル20(本実施形態では、第一単位コイル20a)の一のコイルサイド21から引き出される。当該コイルサイド21を第一コイルサイド21aとする。第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する一の単位コイル20であって、巻終りの単位コイル20(本実施形態では、第三単位コイル20c)の一のコイルサイド21から引き出される。当該コイルサイド21を第二コイルサイド21bとする。
【0028】
なお、極コイル間接続部32cによって接続される第一極コイル31f側のコイルサイド21を第三コイルサイド21cとする。また、極コイル間接続部32cによって接続される第二極コイル31s側のコイルサイド21を第四コイルサイド21dとする。同図では、極対コイル32の巻始め部32aから巻終り部32bまでの巻順を数字
*で示している。第一極コイル31fおよび第二極コイル31sは、それぞれ同心状に巻装されるので、各単位コイル20の一対のコイルサイド21,21には、同一の数字
*が付されている。
【0029】
図3に示すように、複数(4つ)の極対コイル32は、各一対のコイル引出部32f,32sを介して電気的に並列接続されており、U相コイル33uが形成されている。具体的には、各極対コイル32の巻始め部32a同士が電気的に接続され、第一相端子3T1に接続されている。また、各極対コイル32の巻終り部32b同士が電気的に接続され、第二相端子3T2に接続されている。V相コイル33vおよびW相コイル33wは、U相コイル33uと同様に形成することができる。
【0030】
固定子コイル30は、複数(3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)を備えている。つまり、本実施形態の回転電機100は、三相回転電機であり、U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33wは、電気角で120°ずつ位相がずれている。本明細書では、U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33wは、この順に位相が遅れているものとする。
【0031】
図2に示すように、第一方向(矢印X方向)のうちの第二極コイル31s側から第一極コイル31f側に向かう方向を第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)とする。また、第一方向(矢印X方向)のうちの第一極コイル31f側から第二極コイル31s側に向かう方向を第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)とする。三相の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)の相順方向は、第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)とする。
【0032】
図4に示すように、三相の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)は、Y結線で電気的に接続することができる。同図では、U相の相端子は、U相端子3TUで示され、V相の相端子は、V相端子3TVで示され、W相の相端子は、W相端子3TWで示されている。相端子(U相端子3TU、V相端子3TVおよびW相端子3TW)は、第一相端子3T1および第二相端子3T2のうちの一方に相当し、中性点3Nは、第一相端子3T1および第二相端子3T2のうちの他方に相当する。本明細書の実施形態および変形形態では、後述するハーフコイル23hが相端子(U相端子3TU、V相端子3TVおよびW相端子3TW)側に配設されるように、三相の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)が、電気的に接続されている。なお、三相の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)は、Δ結線で電気的に接続することもできる。
【0033】
各相コイル33は、直列接続されている複数(4つ)の極対コイル32によって形成することもできる。また、
図5に示すように、U相コイル33uは、複数(4つ)の極対コイル32のうちの第一方向(矢印X方向)に隣接または一磁極対分おきに存在する複数(2つ)の極対コイル32,32を直列接続し、残りの第一方向(矢印X方向)に隣接または一磁極対分おきに存在する複数(2つ)の極対コイル32,32を直列接続して、これらを並列接続することもできる(第一変形形態)。これらのことは、V相コイル33vおよびW相コイル33wについても同様である。つまり、各相コイル33は、直列接続および並列接続の両方によって電気的に接続されている複数(4つ)の極対コイル32を備えることもできる。
【0034】
このように、三相の各相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)は、直列接続および並列接続のうちの少なくとも一方により電気的に接続されている複数(4つ)の極対コイル22によって構成することができる。各相コイル33の極対コイル22の数は、可動子70の極対数に対応している。本実施形態の可動子70は、磁極数が8極であり、極対数は4である。そのため、各相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)は、4つの極対コイル22によって構成されている。なお、可動子70の磁極数が2極の回転電機の場合は、各相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)は、1つの極対コイル22によって構成される。
【0035】
本実施形態の回転電機100によれば、各極対コイル32は、巻始め側の第一極コイル31fから巻終り側の第二極コイル31sへ引き回す極コイル間接続部32cを介して連続して巻進められて、第一極コイル31fを構成する一つ単位コイル20(第一単位コイル20a)および第二極コイル31sを構成する複数(2つ)の単位コイル20(第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)が直列接続されている。そのため、第一極コイル31fおよび第二極コイル31sをそれぞれ同心状に巻装した後に、別途、第一極コイル31fと第二極コイル31sとの間を接続する場合と比べて、固定子コイル30の巻装作業の作業性が向上する。なお、各相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)を構成する複数(4つ)の極対コイル32を直列接続する場合は、複数(4つ)の極対コイル32を連続して巻進めて、各相コイル33を形成することもできる。
【0036】
また、本実施形態の回転電機100によれば、各極対コイル32は、第一コイル引出部32fと、第二コイル引出部32sとからなる一対のコイル引出部32f,32sを備えている。さらに、各相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)は、各一対のコイル引出部32f,32sを介して、当該相コイル33を構成する複数(4つ)の極対コイル32が電気的に接続されている。そのため、本実施形態の回転電機100は、各極対コイル32間の接続(特に、並列接続や直列接続と並列接続との混在)が容易である。
【0037】
(単位コイル20の種類)
次に、単位コイル20の種類について説明する。
図6Aおよび
図6Bは、U相コイル33uを構成する各極対コイル32が複数のスロット11に装着された状態を示しており、各極対コイル32は、電気的に並列接続されている。
図6Aおよび
図6Bでは、U相コイル33uの四磁極分(二磁極対分)の極対コイル32,32が示されている。また、
図6Aでは、第一極コイル31fおよび第二極コイル31sは、説明の便宜上、<U8>、<U1>〜<U3>の符号が付されている。
【0038】
なお、
図6Bでは、単位コイル間接続部31c、極コイル間接続部32cおよび一対のコイル引出部32f,32s(第一コイル引出部32fおよび第二コイル引出部32s)の記載が省略されている。また、
図6Bでは、各単位コイル20の巻方向が「丸印にクロス」および「丸印にドット」で示されている。「丸印にクロス」は、コイル(コイルサイド21)が第三方向(矢印Z方向)のうちの紙面手前側から紙面奥側に向かって巻き回されていることを示している。「丸印にドット」は、コイル(コイルサイド21)が第三方向(矢印Z方向)のうちの紙面奥側から紙面手前側に向かって巻き回されていることを示している。
図6Aおよび
図6Bについて既述したことは、後述する
図7Aおよび
図7Bについても同様である。また、各単位コイル20の巻方向の図示の方法は、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た極対コイル32が複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図において同様である。
【0039】
例えば、
図6Aに示す<U1>の単位コイル20(第一単位コイル20a)は、第一コイル引出部32fが引き出されるスロット番号3のスロット開口部11b側から巻始められる。そして、第一単位コイル20aは、一対のスロット11,11(スロット番号3および9)間で巻き回され、極コイル間接続部32cの一端側のスロット番号9のスロット底部11a側で巻終わる。このときの第一単位コイル20aの巻進行方向W1は、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)であり、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、反時計回りになる。極コイル間接続部32cは、スロット番号9のスロット底部11a側からスロット番号17のスロット開口部11b側に引き回されている。
【0040】
<U2>の単位コイル20(第二単位コイル20b)は、極コイル間接続部32cの他端側のスロット番号17のスロット開口部11b側から巻始められる。そして、第二単位コイル20bは、一対のスロット11,11(スロット番号10および17)間で巻き回され、単位コイル間接続部31cの一端側のスロット番号10のスロット底部11a側で巻終わる。このときの第二単位コイル20bの巻進行方向W2は、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)であり、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、時計回りになる。単位コイル間接続部31cは、スロット番号10のスロット底部11a側からスロット番号16のスロット中央部11cに引き回されている。
【0041】
<U2>の単位コイル20(第三単位コイル20c)は、単位コイル間接続部31cの他端側のスロット番号16のスロット中央部11cから巻始められる。そして、第三単位コイル20cは、一対のスロット11,11(スロット番号11および16)間で巻き回され、第二コイル引出部32sが引き出されるスロット番号11のスロット底部11a側で巻終わる。このときの第三単位コイル20cの巻進行方向W3は、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)であり、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、時計回りになる。なお、これらの巻順は、
図2の数字
*で示す巻順と一致している。
【0042】
U相コイル33uを構成する各極対コイル32は、複数のスロット11の占有状態に関して、フルコイル23fとハーフコイル23hとの二種類の単位コイル20を備えている。第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20bは、フルコイル23fであり、第三単位コイル20cは、ハーフコイル23hである。
図6Aでは、フルコイル23fは、実線の六角形で示され、ハーフコイル23hは、細破線の六角形で示されている。
【0043】
フルコイル23fは、一の単位コイル20(例えば、第一単位コイル20a)の一対のコイルサイド21,21が一対のスロット11,11(例えば、スロット番号3および9)に収容されたときに、当該一対のコイルサイド21,21が当該一対のスロット11,11(スロット番号3および9)の全体を占有する単位コイル20をいう。このことは、第一単位コイル20aが一対のスロット11,11(スロット番号18および24)に収容されたときについても同様であり、図示されていない残りの四磁極分(二磁極対分)の極対コイル32,32についても同様である。
【0044】
また、第二単位コイル20bについても同様であり、第二単位コイル20bは、一対のスロット11,11(スロット番号10および17)の全体を占有する。このことは、第二単位コイル20bが一対のスロット11,11(スロット番号55および2)に収容されたときについても同様であり、図示されていない残りの四磁極分(二磁極対分)の極対コイル32,32についても同様である。
【0045】
一方、ハーフコイル23hは、一の単位コイル20(本実施形態では、第三単位コイル20c)の一対のコイルサイド21,21が一対のスロット11,11(例えば、スロット番号11および16)に収容されたときに、当該一対のコイルサイド21,21のうちの一方のコイルサイド21が当該一対のスロット11,11(スロット番号11および16)のうちの一方のスロット11(スロット番号11)の半分を占有する。また、当該一対のコイルサイド21,21のうちの他方のコイルサイド21が当該一対のスロット11,11(スロット番号11および16)のうちの他方のスロット11(スロット番号16)の半分を占有する。このことは、第三単位コイル20cが一対のスロット11,11(スロット番号56および1)に収容されたときについても同様であり、図示されていない残りの四磁極分(二磁極対分)の極対コイル32,32についても同様である。
【0046】
なお、
図6Bでは、スロット11の占有状態が長方形の大きさで示されている。大きい長方形は、フルコイル23fのコイルサイド21が当該スロット11の全体を占有していることを示している。一方、小さい長方形は、ハーフコイル23hのコイルサイド21が当該スロット11の半分を占有していることを示している。これらの図示の方法は、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た極対コイル32が複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図において同様である。
【0047】
図7Aおよび
図7Bに示すように、U相コイル33uを構成する各極対コイル32について既述したことは、V相コイル33vおよびW相コイル33wについても同様に言える。
図7Aは、
図6Aと同様に図示されており、
図7Bは、
図6Bと同様に図示されている。このように、複数(3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)を構成する各極対コイル32は、複数のスロット11の占有状態に関して、フルコイル23fとハーフコイル23hとの二種類の単位コイル20を備えている。
【0048】
ここで、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21のうちの一方のコイルサイド21であってスロット底部11a側に配設されるコイルサイド21が占有するスロット11の半分に相当する部位を第一ハーフスロット部位11dとする。また、当該一対のコイルサイド21,21のうちの他方のコイルサイド21であってスロット開口部11b側に配設されるコイルサイド21が占有するスロット11の半分に相当する部位を第二ハーフスロット部位11eとする。W相コイル33wのハーフコイル23hは、第一ハーフスロット部位11dおよび第二ハーフスロット部位11eの両方を備えている。このように、第一ハーフスロット部位11dおよび第二ハーフスロット部位11eの両方を備えるハーフコイル23hを両側占有ハーフコイル23h1とする。
【0049】
一方、U相コイル33uは、第一ハーフスロット部位11dを備えているが、第二ハーフスロット部位11eを備えていない。V相コイル33vは、第二ハーフスロット部位11eを備えているが、第一ハーフスロット部位11dを備えていない。このように、第一ハーフスロット部位11dおよび第二ハーフスロット部位11eのうちの一方を備えるハーフコイル23hを片側占有ハーフコイル23h2とする。
【0050】
なお、
図7Aでは、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21および一対のコイルエンド22,22のうち、スロット底部11a側に配設される部位を細破線で示している。また、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21および一対のコイルエンド22,22のうち、スロット開口部11b側に配設される部位を細実線で示している。つまり、W相コイル33wのハーフコイル23hは、細実線および細破線の両方で示される六角形で表されている。また、U相コイル33uのハーフコイル23hは、すべて細破線で示される六角形で表されている。さらに、V相コイル33vのハーフコイル23hは、すべて細実線で示される六角形で表されている。
【0051】
(各単位コイル20の巻進行方向)
まず、本実施形態の固定子コイル30の組み付け方法について説明し、次に、本実施形態の各単位コイル20の巻進行方向について説明する。
図8に示すように、固定子コイル30の組み付け(スロット11への装着)は、公知のコイル挿入機(インサータ治具)を用いることができる。コイル挿入機3Iは、相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)単位で、複数(本実施形態では、4つ)の極対コイル32を複数(本実施形態では、24個)のスロット11に装着することができる。
【0052】
まず、巻枠(図示略)を用いて、U相コイル33uを構成する複数(4つ)の極対コイル32を構成する各単位コイル20(第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)を巻装する。巻枠の巻ピッチは、各単位コイル20のコイルピッチCP1〜CP3に相当する巻ピッチに設定する。各単位コイル20のコイルピッチCP1〜CP3は、それぞれ異なるので、巻枠は、三種類必要になる。巻ピッチが異なる複数の巻枠を同軸に配設した巻枠を用いることもできる。
【0053】
図8に示すように、巻枠から取り外された第一極コイル31fは、第一コイル引出部32fが引き出される第一コイルサイド21aが紙面奥側(下側)になり、極コイル間接続部32cの一端側の第三コイルサイド21cが紙面手前側(上側)になるように配設されている。このとき、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、反時計回りになっている。また、巻枠から取り外された第二極コイル31sは、極コイル間接続部32cの他端側の第四コイルサイド21dが紙面奥側(下側)になり、第二コイル引出部32sが引き出される第二コイルサイド21bが紙面手前側(上側)になるように配設されている。このとき、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、時計回りになっている。同様に、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、時計回りになっている。
【0054】
同図に示すように、コイル挿入機3Iは、固定子コイル30を把持するインサータブレード3Bを備えている。インサータブレード3Bは、スロット11,11間のスロットピッチが反映されたクシ歯状の複数の支持部3B1を備えている。U相コイル33uを構成する(4つ)の極対コイル32は、インサータブレード3Bの支持部3B1に落とし込まれて、U相コイル33uを構成する(4つ)の極対コイル32が把持される。そして、インサータブレード3Bが固定子鉄心10の内方に挿入されて、U相コイル33uを構成する(4つ)の極対コイル32は、一度に各スロット11内に挿入される。
【0055】
各極対コイル32の第一単位コイル20aがスロット11,11に装着されたときに、第一単位コイル20aの巻進行方向W1は、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)になる。このとき、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、反時計回りになる。また、各極対コイル32の第二単位コイル20bがスロット11,11に装着されたときに、第二単位コイル20bの巻進行方向W2は、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)になる。このとき、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、時計回りになる。同様に、第三単位コイル20cの巻進行方向W3は、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)になる。このとき、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、時計回りになる。なお、各極対コイル32の巻始め部32aは、スロット開口部11b側に設けられ、各極対コイル32の巻終り部32bは、スロット底部11a側に設けられる。
【0056】
以上のことは、V相コイル33vを構成する複数(4つ)の極対コイル32についても同様であり、W相コイル33wを構成する複数(4つ)の極対コイル32についても同様である。このように、本実施形態では、各極対コイル32を構成する複数(3つ)の単位コイル20(第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)の各巻進行方向(矢印W1方向、矢印W2方向および矢印W3方向)は、いずれも第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)になる。
【0057】
なお、本実施形態では、後述するように、固定子コイル30は、U相コイル33u、W相コイル33w、V相コイル33vの順に、組み付けられる。そして、極対コイル32間の接続が行われ、相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)が形成される。この際、各相端子(3TU,3TV,3TW)および中性点3Nの接続なども行われる。また、各単位コイル20の一対のコイルエンド22,22、単位コイル間接続部31c、極コイル間接続部32cおよび一対のコイル引出部32f,32s(第一コイル引出部32fおよび第二コイル引出部32s)のレーシング結束が行われた後、ワニスの含浸、樹脂モールド等によって固定子コイル30が固定子鉄心10に固定される。
【0058】
本実施形態の回転電機100によれば、各極対コイル32を構成する複数(3つ)の単位コイル20(第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)の各巻進行方向(矢印W1方向、矢印W2方向および矢印W3方向)は、いずれも第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)である。よって、本実施形態の回転電機100は、コイル挿入機3I(インサータ治具)を用いて、相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)単位で、複数(4つ)の極対コイル32を複数(24個)のスロット11に装着することができる。具体的には、相コイル33を構成する複数(4つ)の極対コイル32を、インサータブレード3Bの支持部3B1に落とし込んで、当該複数(4つ)の極対コイル32を把持して、当該複数(4つ)の極対コイル32を一度に各スロット11内に挿入し、装着することができる。つまり、本実施形態の回転電機100は、上記装着方法が難しい二層重巻と比べて、固定子コイル30の組み付けに要する作業工数を短縮することができる。
【0059】
(ハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置)
次に、各極対コイル32におけるハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの好適な配置について説明する。各極対コイル32は、第二極コイル31sにハーフコイル23hを備えていると好適である。このとき、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する一つまたは複数の単位コイル20のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21から引き出されていると好適である。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する一つまたは複数の単位コイル20のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21から引き出されていると好適である。
【0060】
図9は、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た
図2に示す極対コイル32が複数(6つ)のスロット11に装着された状態を示している。
図9は、
図6Bおよび
図7Bと同様に図示されている。ただし、
図9では、単位コイル間接続部31c、極コイル間接続部32cおよび一対のコイル引出部32f,32s(第一コイル引出部32fおよび第二コイル引出部32s)が図示されている。
【0061】
図2および
図9に示すように、本実施形態では、各極対コイル32は、第二極コイル31sにハーフコイル23hを備えている。また、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する一つの単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。さらに、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する複数(2つ)の単位コイル20(第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20(第三単位コイル20c)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。なお、
図9では、第一コイル引出部32fは、最もスロット開口部11b側から引き出されており、第二コイル引出部32sは、最もスロット底部11a側から引き出されている。
【0062】
図9に示すように、本実施形態では、極コイル間接続部32cおよび単位コイル間接続部31cは、いずれも一対のコイル引出部32f,32sと交差していない。従って、近接部位の干渉回避が容易である。具体的には、これらの部位は、所要距離を確保して引き回せばよい。所要距離は、例えば、これらの部位における近接部位間の印加電圧から導出することができ、近接部位間の電気的な絶縁を確保できるように設定される。以上のことは、極対コイル32の各渡り線と一対のコイル引出部32f,32sとが交差していない形態において同様に言える。なお、極コイル間接続部32cは、第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を渡らせることができる。また、単位コイル間接続部31cは、第二単位コイル20bと第三単位コイル20cとの間のコイルエンド22,22間に収容することができる。
【0063】
一方、
図10並びに
図11Aおよび
図11Bに示すように、第二変形形態では、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する一つの単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する複数(2つ)の単位コイル20(第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20(第三単位コイル20c)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。なお、これらの図では、第一コイル引出部32fは、最もスロット開口部11b側から引き出されており、第二コイル引出部32sは、最もスロット底部11a側から引き出されている。
【0064】
本変形形態においても、各極対コイル32は、第二極コイル31sにハーフコイル23hを備えている。また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1、第二単位コイル20bの巻進行方向W2および第三単位コイル20cの巻進行方向W3は、いずれも第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)である。しかしながら、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、時計回りである。また、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、反時計回りであり、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、反時計回りである。
【0065】
本変形形態では、極コイル間接続部32cと第一コイル引出部32fとが接触して交差する。そこで、
図11Aでは、第一コイル引出部32fは、極コイル間接続部32cおよび第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回されている。この場合、各極対コイル32は、本実施形態と比べて、第三方向(矢印Z方向)に大型化する。
【0066】
一方、
図11Bでは、第一コイル引出部32fは、上述した交差を回避するために、極コイル間接続部32cの配策方向に沿って引き回されて、隣接する他の極対コイル32の第二コイル引出部32sが引き出されるスロット底部11a側の部位近傍から引き出されている。そのため、第一コイル引出部32fと第二コイル引出部32sとが近接し、これらの配策作業および極対コイル32間の接続作業等の作業性が低下する可能性がある。
【0067】
各極対コイル32におけるハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置は、第三変形形態の配置にすることもできる。
図12並びに
図13Aおよび
図13Bに示すように、第三変形形態では、各極対コイル32は、第一極コイル31fにハーフコイル23hを備えている。第一極コイル31fは、複数(本変形形態では、2つ)の単位コイル20を備えており、当該二つの単位コイル20,20を第一単位コイル20a、第二単位コイル20bとする。第一単位コイル20aの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、5スロットピッチに設定されており、第二単位コイル20bの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、7スロットピッチに設定されている。第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20bは、同心状に巻装されて、単位コイル間接続部31cによって直列接続されており、第一極コイル31fが形成されている。
【0068】
第二極コイル31sは、一つの単位コイル20を備えており、当該単位コイル20を第三単位コイル20cとする。第三単位コイル20cの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、6スロットピッチに設定されている。第三単位コイル20cは、同心状に巻装されており、第二極コイル31sが形成されている。本変形形態では、第一単位コイル20aは、ハーフコイル23hであり、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20cは、フルコイル23fである。
【0069】
また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1、第二単位コイル20bの巻進行方向W2および第三単位コイル20cの巻進行方向W3は、いずれも第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)である。さらに、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、反時計回りであり、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、反時計回りである。また、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、時計回りである。
【0070】
第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する複数(2つ)の単位コイル20(第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20b)のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する一つの単位コイル20(第三単位コイル20c)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。なお、これらの図では、第一コイル引出部32fは、スロット中央部11cから引き出されており、第二コイル引出部32sは、最もスロット底部11a側から引き出されている。
【0071】
本変形形態では、第一極コイル31fにおいて、最も内側に第一単位コイル20aが配設され、第一単位コイル20aの外側に第二単位コイル20bが配設される。第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20bが、この順に連続して巻進められて、コイル挿入機3I(インサータ治具)を用いて固定子鉄心10の複数のスロット11に組み付けられると、第一コイル引出部32fは、スロット開口部11b側に引き出される。そのため、単位コイル間接続部31cと第一コイル引出部32fとが接触して交差する。
図13Aでは、第一コイル引出部32fは、一旦、スロット開口部11bまで第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)に引き回された後、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。第一コイル引出部32fは、単位コイル間接続部31cの第三方向(矢印Z方向)の固定子鉄心10側(紙面奥側)を一度通り、単位コイル間接続部31c並びに第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回されている。この場合、各極対コイル32は、本実施形態と比べて、第三方向(矢印Z方向)の外側に大型化する。
【0072】
一方、
図13Bでは、第一コイル引出部32fは、第三方向(矢印Z方向)に垂直な略同一平面内で、第二単位コイル20bのコイルエンド22の立ち部を迂回するように引き回されている。
図13Bに示す形態は、
図13Aに示す形態と比べて、第三方向(矢印Z方向)への大型化が抑制される。しかしながら、
図13Bに示す形態は、第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)へのはみ出し回避等の配策作業が必要であり、また、極対コイル32間の接続作業等の作業性が低下する可能性もある。
【0073】
また、各極対コイル32におけるハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置は、第四変形形態の配置にすることもできる。
図14並びに
図15Aおよび
図15Bに示すように、第四変形形態では、第三変形形態と比べて、一対のコイル引出部32f,32sの配置が異なる。
【0074】
第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する複数(2つ)の単位コイル20(第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20b)のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する一つの単位コイル20(第三単位コイル20c)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。これらの図では、第一コイル引出部32fは、スロット中央部11cから引き出されており、第二コイル引出部32sは、最もスロット底部11a側から引き出されている。
【0075】
なお、各極対コイル32は、第一極コイル31fにハーフコイル23hを備えている。また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1、第二単位コイル20bの巻進行方向W2および第三単位コイル20cの巻進行方向W3は、いずれも第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)である。さらに、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、時計回りであり、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、時計回りである。また、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、反時計回りである。
【0076】
本変形形態では、極コイル間接続部32cと第一コイル引出部32fとが接触して交差し、単位コイル間接続部31cと第一コイル引出部32fとが接触して交差する。
図15Aでは、第一コイル引出部32fは、一旦、スロット開口部11bまで第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)に引き回された後、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。第一コイル引出部32fは、単位コイル間接続部31cの第三方向(矢印Z方向)の固定子鉄心10側(紙面奥側)を一度通り、単位コイル間接続部31cおよび極コイル間接続部32c並びに第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回されている。この場合、各極対コイル32は、本実施形態と比べて、第三方向(矢印Z方向)の外側に大型化する。
【0077】
一方、
図15Bでは、第一コイル引出部32fは、上述した交差を回避するために、極コイル間接続部32cおよび単位コイル間接続部31cの配策方向に沿って引き回されて、隣接する他の極対コイル32の第二コイル引出部32sが引き出されるスロット底部11a側の部位近傍から引き出されている。そのため、第一コイル引出部32fと第二コイル引出部32sとが近接し、これらの配策作業および極対コイル32間の接続作業等の作業性が低下する可能性がある。
【0078】
本実施形態の回転電機100によれば、各極対コイル32は、第二極コイル31sにハーフコイル23hを備えている。また、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する一つの単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。さらに、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する複数(2つ)の単位コイル20(第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20(第三単位コイル20c)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。
【0079】
これらにより、極コイル間接続部32cおよび単位コイル間接続部31cは、いずれも一対のコイル引出部32f,32sと交差していない。その結果、各極対コイル32におけるハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sのうちの少なくとも一方の配置が本実施形態と異なる形態(第二変形形態〜第四変形形態)と比べて、本実施形態の各極対コイル32は、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側のコイルエンド22が小型化され、その配策が簡素化される。以上の作用効果は、各極対コイル32を構成する複数の単位コイル20の各巻進行方向が、いずれも第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)である後述する形態と比べても、同様に言える。
【0080】
各極対コイル32におけるハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置については、毎極毎相スロット数が3.5の場合も同様の傾向が見られる。第五変形形態の回転電機100は、8極84スロット構成の三相回転電機であり、毎極毎相スロット数は3.5である。
図16および
図17に示すように、第一極コイル31fは、複数(本変形形態では、2つ)の単位コイル20を備えており、当該二つの単位コイル20,20を第一単位コイル20a、第二単位コイル20bとする。第一単位コイル20aの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、8スロットピッチ(8sp)に設定されており、第二単位コイル20bの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、10スロットピッチ(10sp)に設定されている。第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20bは、同心状に巻装されて、単位コイル間接続部31cによって直列接続されており、第一極コイル31fが形成されている。
【0081】
第二極コイル31sは、複数(本変形形態では、2つ)の単位コイル20を備えており、当該二つの単位コイル20,20を第三単位コイル20c、第四単位コイル20dとする。第三単位コイル20cの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、9スロットピッチ(9sp)に設定されており、第四単位コイル20dの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、7スロットピッチ(7sp)に設定されている。第三単位コイル20cおよび第四単位コイル20dは、同心状に巻装されて、単位コイル間接続部31cによって直列接続されており、第二極コイル31sが形成されている。
【0082】
本変形形態では、第四単位コイル20dは、ハーフコイル23hであり、第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20cは、フルコイル23fである。つまり、本変形形態では、各極対コイル32は、第二極コイル31sにハーフコイル23hを備えている。
【0083】
また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1、第二単位コイル20bの巻進行方向W2、第三単位コイル20cの巻進行方向W3および第四単位コイル20dの巻進行方向W4は、いずれも第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)である。さらに、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、反時計回りであり、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、反時計回りである。また、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、時計回りであり、第四単位コイル20dの巻進行方向W4から視た第四単位コイル20dの巻方向は、時計回りである。
【0084】
第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する複数(2つ)の単位コイル20(第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20b)のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する複数(2つ)の単位コイル20(第三単位コイル20cおよび第四単位コイル20d)のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20(第四単位コイル20d)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。なお、
図17では、第一コイル引出部32fは、最もスロット開口部11b側から引き出されており、第二コイル引出部32sは、最もスロット底部11a側から引き出されている。
【0085】
図17に示すように、本変形形態では、第一コイル引出部32fは、第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)に、若干、はみ出している。第一コイル引出部32fは、単位コイル間接続部31c並びに第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に向かって引き回されている。
【0086】
なお、第一極コイル31fの単位コイル間接続部31cは、第一単位コイル20aと第二単位コイル20bとの間のコイルエンド22,22間に収容することができる。また、第二極コイル31sの単位コイル間接続部31cは、第三単位コイル20cと第四単位コイル20dとの間のコイルエンド22,22間に収容することができる。さらに、極コイル間接続部32cは、第三単位コイル20cのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を渡らせることができる。
【0087】
各極対コイル32における一対のコイル引出部32f,32sの配置は、第六変形形態の配置にすることもできる。
図18並びに
図19Aおよび
図19Bに示すように、第六変形形態では、第五変形形態と比べて、一対のコイル引出部32f,32sの配置が異なる。各極対コイル32におけるハーフコイル23hの配置は、第五変形形態と同じ(第二極コイル31sにハーフコイル23hを備える)である。
【0088】
第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する複数(2つ)の単位コイル20(第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20b)のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する複数(2つ)の単位コイル20(第三単位コイル20cおよび第四単位コイル20d)のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20(第四単位コイル20d)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。これらの図では、第一コイル引出部32fは、最もスロット開口部11b側から引き出されており、第二コイル引出部32sは、最もスロット底部11a側から引き出されている。
【0089】
なお、第一単位コイル20aの巻進行方向W1、第二単位コイル20bの巻進行方向W2、第三単位コイル20cの巻進行方向W3および第四単位コイル20dの巻進行方向W4は、いずれも第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)であり、第五変形形態と同様である。しかしながら、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、時計回りであり、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、時計回りである。また、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、反時計回りであり、第四単位コイル20dの巻進行方向W4から視た第四単位コイル20dの巻方向は、反時計回りである。
【0090】
本変形形態では、極コイル間接続部32cと第一コイル引出部32fとが接触して交差し、単位コイル間接続部31cと第一コイル引出部32fとが接触して交差する。
図19Aでは、第一コイル引出部32fは、極コイル間接続部32cおよび単位コイル間接続部31c並びに第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に向かって引き回されている。そのため、各極対コイル32は、第五変形形態と比べて、第三方向(矢印Z方向)の外側に大型化する。
【0091】
一方、
図19Bでは、第一コイル引出部32fは、上述した交差を回避するために、極コイル間接続部32cの配策方向に沿って引き回されて、隣接する他の極対コイル32の第二コイル引出部32sが引き出されるスロット底部11a側の部位近傍から引き出されている。そのため、第一コイル引出部32fと第二コイル引出部32sとが近接し、これらの配策作業および極対コイル32間の接続作業等の作業性が低下する可能性がある。
【0092】
このように、第五変形形態の極対コイル32は、第六変形形態の極対コイル32と比べて、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側のコイルエンド22が小型化され、その配策が簡素化される。これらの作用効果は、各極対コイル32におけるハーフコイル23hの配置を変更した形態(第一極コイル31fにハーフコイル23hを備える形態)に対しても、同様に言える。また、各極対コイル32におけるハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置については、毎極毎相スロット数が4.5以上の場合も同様の傾向が見られる。
【0093】
本実施形態では、毎極毎相スロット数は、2.5であり、各極対コイル32は、3つの単位コイル20(第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)を備えている。第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20bは、フルコイル23fであり、第三単位コイル20cは、ハーフコイル23hである。よって、各極対コイル32は、第一極コイル31fおよび第二極コイル31sのうちの一方にハーフコイル23hのみを備え、第一極コイル31fおよび第二極コイル31sのうちの他方にフルコイル23fのみを備える形態を考えることもできる。
【0094】
図20に示すように、第七変形形態では、各極対コイル32は、第一極コイル31fにハーフコイル23hのみを備え、第二極コイル31sにフルコイル23fのみを備えている。具体的には、第一極コイル31fは、一つの単位コイル20を備えており、当該単位コイル20を第一単位コイル20aとする。第一単位コイル20aの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、5スロットピッチ(5sp)に設定されている。第一単位コイル20aは、同心状に巻装されており、第一極コイル31fが形成されている。第一単位コイル20aは、ハーフコイル23hである。
【0095】
第二極コイル31sは、複数(本変形形態では、2つ)の単位コイル20を備えており、当該二つの単位コイル20,20を第二単位コイル20b、第三単位コイル20cとする。第二単位コイル20bの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、8スロットピッチ(8sp)に設定されており、第三単位コイル20cの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、6スロットピッチ(6sp)に設定されている。第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20cは、同心状に巻装されて、単位コイル間接続部31cによって直列接続されており、第二極コイル31sが形成されている。第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20cは、フルコイル23fである。
【0096】
フルコイル23fのコイルの巻数を1とすると、ハーフコイル23hのコイルの巻数は、1/2(巻数比1/2)になる。ここで、フルコイル23fの単位巻数あたりのスロットピッチ単位のコイルエンド長さ(一対のコイルエンド22,22の片側分)で、極対コイル32のコイルエンド長さ比を考える。本変形形態では、極対コイル32のコイルエンド長さ比(スロットピッチ単位)は、16.5(=5×1/2+6+8)になる。一方、本実施形態では、極対コイル32のコイルエンド長さ比(スロットピッチ単位)は、15.5(=5×1/2+7+6)になる。このように、本実施形態の極対コイル32のコイルエンド長さ比は、第七変形形態の極対コイル32のコイルエンド長さ比と比べて、小さくなっている。
【0097】
本実施形態の回転電機100によれば、毎極毎相スロット数は、2.5である。また、ハーフコイル23h(第三単位コイル20c)は、他の一つのフルコイル23f(第二単位コイル20b)と共に同心状に巻装されて、第二極コイル31sが形成されている。そのため、本実施形態の回転電機100は、第一極コイル31fまたは第二極コイル31sがハーフコイル23hのみで構成される場合と比べて、コイルエンド長が短縮され、各単位コイル20の一対のコイルエンド22,22が小型化される。
【0098】
これらのことは、第一極コイル31fにハーフコイル23hを備える場合についても同様であり、毎極毎相スロット数が3.5以上の場合についても同様に言える。また、以上のことは、後述する他の実施形態や他の変形形態についても同様に言える。つまり、毎極毎相スロット数が2.5以上の場合、ハーフコイル23hは、他の一つまたは複数のフルコイル23fと共に同心状に巻装されて、第一極コイル31fまたは第二極コイル31sが形成されていると好適である。
【0099】
(相コイル33の配置)
複数(本実施形態では、3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)は、第一装着工程と、第二進相装着工程と、第三進相装着工程とを備える回転電機100の製造方法によって、複数(60個)のスロット11に装着されると好適である。これにより、本実施形態では、複数(3つ)の相コイル33は、U相コイル33u、W相コイル33w、V相コイル33vの順に組み付けられる。なお、既述のとおり、複数(3つ)の相コイル33は、U相コイル33u、V相コイル33v、W相コイル33wの順に位相が遅れているものとする。また、複数(3つ)の相コイル33は、第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)に、U相コイル33u、V相コイル33v、W相コイル33wの相順に配設するものとする。
【0100】
図21Aに示すように、第一装着工程は、複数(3つ)の相コイル33のうちの一の相コイル33(本実施形態では、U相コイル33u)を複数(24個)のスロット11に装着する工程である。同図は、U相コイル33uを構成する四磁極分(二磁極対分)の極対コイル32を示しており、残りの四磁極分(二磁極対分)の極対コイル32の記載が省略されている。このことは、
図21B〜
図21Dについても同様である。また、このことは、後述する第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た相コイル33が複数のスロット11に装着された状態を模式的に示す図についても同様である。
【0101】
図21Aに示すように、U相コイル33uの第一コイル引出部32fは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。U相コイル33uの第一コイル引出部32fは、U相コイル33uの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。なお、U相コイル33uの第二コイル引出部32sは、スロット底部11a側から引き出されている。
【0102】
このように、U相コイル33uは、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の各渡り線(単位コイル間接続部31cおよび極コイル間接続部32c)とが交差していない。また、U相コイル33uは、最初に装着されるので、他の相コイル33(V相コイル33vおよびW相コイル33w)の影響を受けることなく、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21は、いずれもスロット底部11a側に配設される。つまり、U相のハーフコイル23hは、片側占有ハーフコイル23h2である。
【0103】
第二進相装着工程は、複数(3つ)の相コイル33のうちの残りの一の相コイル33を、第一装着工程で装着された相コイル33(U相コイル33u)に対して、相間最小位相差分、第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)にずらして、複数(24個)のスロット11に装着する工程である。ここで、相間最小位相差とは、電気角360°を相数(本実施形態では、3)で除した相間の最小位相差(電気角120°)をいう。また、残りの一の相コイル33は、第一装着工程で装着された相コイル33(U相コイル33u)と比べて、相間最小位相差(電気角120°)分、位相が進む相コイル33(本実施形態では、W相コイル33w)をいう。なお、本実施形態の回転電機100は、8極60スロット構成の回転電機であり、相間最小位相差(電気角120°)は、5スロットピッチ分に相当する。
【0104】
図21Bに示すように、W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、W相コイル33wの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。なお、W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、スロット底部11a側から引き出されている。
【0105】
このように、W相コイル33wは、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の各渡り線(単位コイル間接続部31cおよび極コイル間接続部32c)とが交差していない。なお、W相コイル33wは、U相コイル33uの後に装着されるので、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21のうちの一方のコイルサイド21がスロット底部11a側に配設され、当該一対のコイルサイド21,21のうちの他方のコイルサイド21がスロット開口部11b側に配設される。つまり、W相のハーフコイル23hは、両側占有ハーフコイル23h1である。
【0106】
第三進相装着工程は、複数(3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)がすべて複数(60個)のスロット11に装着されるまで、直近で装着した相コイル33と比べて相間最小位相差(電気角120°)分、位相が進む相コイル33を、直近で装着した相コイル33に対して、相間最小位相差(電気角120°)分、第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)にずらして、複数(24個)のスロット11に装着する工程である。本実施形態では、第二進相装着工程の終了時に、V相コイル33vが装着されていない。そのため、第三進相装着工程では、V相コイル33vを直近で装着した相コイル33(W相コイル33w)に対して、相間最小位相差(電気角120°)分、第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)にずらして、複数(24個)のスロット11に装着する。これにより、複数(3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)がすべて複数(60個)のスロット11に装着されるので、第三進相装着工程は、終了する。
【0107】
図21Cに示すように、V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、V相コイル33vの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。
【0108】
V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、スロット中央部11cから引き出されている。V相コイル33vは、第二コイル引出部32sと、極対コイル32内の渡り線(単位コイル間接続部31c)とが接触して交差する。そのため、交差部位において、電気的な絶縁を確保するための対処が必要である。なお、極コイル間接続部32cは、第二コイル引出部32sと接触して交差しないので、電気的な絶縁を確保するための対処は、不要である。コイル挿入機3I(インサータ治具)を用いた組み付けの結果、V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、V相コイル33vの極対コイル32内の各渡り線(単位コイル間接続部31cおよび極コイル間接続部32c)の第三方向(矢印Z方向)の固定子鉄心10側(紙面奥側)を通過する。また、V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、U相コイル33uの第三単位コイル20cのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を通過する。なお、V相コイル33vは、最後に装着されるので、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21は、いずれもスロット開口部11b側に配設される。つまり、V相のハーフコイル23hは、片側占有ハーフコイル23h2である。
【0109】
図22A〜
図22Dに示すように、複数(3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)は、U相コイル33u、V相コイル33v、W相コイル33wの順(相順と同じ順序)に、複数(60個)のスロット11に装着することもできる(第八変形形態)。第八変形形態では、V相コイル33vは、U相コイル33uに対して、相間最小位相差(電気角120°)分、第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)にずらして、複数(24個)のスロット11に装着する。W相コイル33wは、V相コイル33vに対して、相間最小位相差(電気角120°)分、第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)にずらして、複数(24個)のスロット11に装着する。この方法は、第三実施形態で説明する第一装着工程と、第二遅相装着工程と、第三遅相装着工程とを備える回転電機100の製造方法と同様の方法である。
【0110】
図22Aに示すように、第八変形形態のU相コイル33uを装着した後の状態は、
図21Aに示す本実施形態のU相コイル33uを装着した後の状態と同じである。
図22Bに示すように、V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、V相コイル33vの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。
【0111】
V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、スロット中央部11cから引き出されている。V相コイル33vは、第二コイル引出部32sと、極対コイル32内の渡り線(単位コイル間接続部31c)とが接触して交差する。そのため、交差部位において、電気的な絶縁を確保するための対処が必要である。なお、極コイル間接続部32cは、第二コイル引出部32sと接触して交差しないので、電気的な絶縁を確保するための対処は、不要である。コイル挿入機3I(インサータ治具)を用いた組み付けの結果、V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、V相コイル33vの極対コイル32内の各渡り線(単位コイル間接続部31cおよび極コイル間接続部32c)の第三方向(矢印Z方向)の固定子鉄心10側(紙面奥側)を通過する。また、V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、U相コイル33uの第三単位コイル20cのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を通過する。なお、V相コイル33vは、U相コイル33uの後に装着されるので、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21のうちの一方のコイルサイド21がスロット底部11a側に配設され、当該一対のコイルサイド21,21のうちの他方のコイルサイド21がスロット開口部11b側に配設される。つまり、V相のハーフコイル23hは、両側占有ハーフコイル23h1である。
【0112】
図22Cに示すように、W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、W相コイル33wの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。
【0113】
W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、スロット中央部11cから引き出されている。W相コイル33wは、第二コイル引出部32sと、極対コイル32内の渡り線(単位コイル間接続部31c)とが接触して交差する。そのため、交差部位において、電気的な絶縁を確保するための対処が必要である。なお、極コイル間接続部32cは、第二コイル引出部32sと接触して交差しないので、電気的な絶縁を確保するための対処は、不要である。コイル挿入機3I(インサータ治具)を用いた組み付けの結果、W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、W相コイル33wの極対コイル32内の各渡り線(単位コイル間接続部31cおよび極コイル間接続部32c)の第三方向(矢印Z方向)の固定子鉄心10側(紙面奥側)を通過する。また、W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、V相コイル33vの第三単位コイル20cのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を通過する。なお、W相コイル33wは、最後に装着されるので、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21は、いずれもスロット開口部11b側に配設される。つまり、W相のハーフコイル23hは、片側占有ハーフコイル23h2である。
【0114】
第八変形形態では、V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、スロット中央部11cから引き出されている。V相コイル33vは、第二コイル引出部32sと、極対コイル32内の渡り線(単位コイル間接続部31c)とが接触して交差する。以上のことは、W相コイル33wについても同様である。このように、第八変形形態では、複数(3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)のうちの二相(V相およびW相)において、第二コイル引出部32sと、極対コイル32内の渡り線(単位コイル間接続部31c)とが接触して交差する。
【0115】
一方、本実施形態では、複数(3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)のうちの一相(V相)において、第二コイル引出部32sと、極対コイル32内の渡り線(単位コイル間接続部31c)とが接触して交差する。このように、本実施形態の回転電機100は、第八変形形態の回転電機100と比べて、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(単位コイル間接続部31c)とが接触して交差する相数が少ない。よって、本実施形態の極対コイル32は、第八変形形態の極対コイル32と比べて、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側のコイルエンド22が小型化され、その配策が簡素化される。また、本実施形態の極対コイル32は、第八変形形態の極対コイル32と比べて、交差部位における電気的な絶縁を確保するための対処箇所が減少する。
【0116】
ここで、各極対コイル32を構成する複数(3つ)の単位コイル20間をそれぞれ接続する各渡り線(単位コイル間接続部31cおよび極コイル間接続部32c)の一端側の端部であってスロット底部11a側に配設される端部を第一渡り線端部34aとする。また、当該渡り線の他端側の端部であってスロット開口部11b側に配設される端部を第二渡り線端部34bとする。さらに、両側占有ハーフコイル23h1の第一ハーフスロット部位11d内の一点を始点とし第二ハーフスロット部位11e内の一点を終点とするベクトルを第一ベクトル35aとする。また、極対コイル32の各渡り線(単位コイル間接続部31cおよび極コイル間接続部32c)の第一渡り線端部34aを始点とし第二渡り線端部34bを終点とするベクトルを第二ベクトル35bとする。
【0117】
図22Eに示すように、第八変形形態では、第一ベクトル35aと、極コイル間接続部32cの第二ベクトル35bとのなす角φb1は、機械角90°より大きい鈍角になっている。第一ベクトル35aと、単位コイル間接続部31cの第二ベクトル35bとのなす角φb2についても同様である。つまり、第八変形形態では、第一ベクトル35aと、第二ベクトル35b,35bとのなす角φb1,φb2が、いずれも機械角90°より大きい鈍角になっている。なお、同図では、第三方向(矢印Z方向)に垂直な同一平面(同図の紙面上)において、第一ベクトル35aと、第二ベクトル35b,35bとが配設されている。また、同図は、
図22Aに示すU相コイル33uの極対コイル32の各渡り線(単位コイル間接続部31cおよび極コイル間接続部32c)について図示されているが、V相コイル33vおよびW相コイル33wについても同様に言える。
【0118】
一方、
図21Eに示すように、本実施形態では、第一ベクトル35aと、極コイル間接続部32cの第二ベクトル35bとのなす角φa1は、機械角90°より小さい鋭角になっている。第一ベクトル35aと、単位コイル間接続部31cの第二ベクトル35bとのなす角φa2についても同様である。つまり、本実施形態では、第一ベクトル35aと、第二ベクトル35b,35bとのなす角φa1,φa2が、いずれも機械角90°より小さい鋭角になっている。なお、同図では、第三方向(矢印Z方向)に垂直な同一平面(同図の紙面上)において、第一ベクトル35aと、第二ベクトル35b,35bとが配設されている。また、同図は、
図21Aに示すU相コイル33uの極対コイル32の各渡り線(単位コイル間接続部31cおよび極コイル間接続部32c)について図示されているが、V相コイル33vおよびW相コイル33wについても同様に言える。
【0119】
本実施形態の回転電機100によれば、第一ベクトル35aと、第二ベクトル35b,35bとのなす角φa1,φa2が、いずれも機械角90°より小さい鋭角である。そのため、本実施形態の回転電機100は、両側占有ハーフコイル23h1のコイルエンド22、極対コイル32内の各渡り線(単位コイル間接続部31cおよび極コイル間接続部32c)および一対のコイル引出部32f,32sの間の干渉交差(接触して交差する状況)を低減することができ、他相横断引き出し線の数を低減することができる。よって、本実施形態の極対コイル32は、第八変形形態の極対コイル32と比べて、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側のコイルエンド22が小型化され、その配策が簡素化される。
【0120】
(同心巻と二層重巻との関係)
次に、同心状に巻装された極対コイル32と二層重巻の極対コイル832との関係について説明する。
図23は、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た本実施形態の回転電機100の相配置を示している。同図は、
図7Aおよび
図7Bに示す複数のスロット11のうちの概ね二磁極分(一磁極対分)のスロット11の相配置を示している。
【0121】
図23では、
図2および
図6Aと同様に、U相の極対コイル32内の接続状態が併せて図示されている。また、
図23では、U相の各単位コイル20(第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)の一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチCP1〜CP3が図示されている。さらに、
図23では、U相の領域が実線で囲まれて図示されている。また、「相
*」は、「相」で示すコイルサイド21の通電方向に対して、コイルサイド21の通電方向が逆方向であることを示している。U相は、「U」で示される通電方向が順方向の領域(連続する2.5スロット分の領域)と、「U
*」で示される通電方向が逆方向の領域(連続する2.5スロット分の領域)とが交互に繰り返されている。このことは、V相およびW相についても同様である。
【0122】
ここで、第一参考形態として、二層重巻の固定子コイルについて考える。
図24および
図25に示すように、第一参考形態では、本実施形態で既述した部材に対応する部材は、符号番号の先頭に「8」を付して図示されている。これにより、重複する説明を省略する。例えば、本参考形態の一対のコイルサイドは、本実施形態の一対のコイルサイド21,21に対応し、本参考形態では、一対のコイルサイド821,821と表記する。なお、これらの「対応」は、電磁気的な等価対応を意味するものではなく、構成上の対応を意味している。
【0123】
図24に示すように、二層重巻の極対コイル832は、コイルの巻方向およびコイルピッチが同一の複数(本参考形態では、5つ)の単位コイル820によって構成されている。各単位コイル820は、スロット底部811a側の半分のスロット811と、スロット開口部811b側の半分のスロット811との間で巻き回される。また、第一方向(矢印X方向)に隣接する複数(本参考形態では、3つ)の単位コイル820が単位コイル間接続部831cによって直列接続されており、第一極コイル831fが構成されている。
【0124】
さらに、第一方向(矢印X方向)に隣接する複数(本参考形態では、2つ)の単位コイル820が単位コイル間接続部831cによって直列接続されており、第二極コイル831sが構成されている。第二極コイル831sは、第一極コイル831fが一対の可動子磁極のうちの一方の極性の可動子磁極に対向するときに当該一対の可動子磁極のうちの他方の極性の可動子磁極に対向する。第一極コイル831fおよび第二極コイル831sは、極コイル間接続部832cによって直列接続されており、極対コイル832が構成されている。
【0125】
各極対コイル832は、巻始め側の第一極コイル831fから巻終り側の第二極コイル831sへ引き回す極コイル間接続部832cを介して連続して巻進められている。これにより、第一極コイル831fを構成する複数(3つ)の単位コイル820および第二極コイル831sを構成する複数(2つ)の単位コイル820が直列接続されている。なお、極対コイル832の巻始めを巻始め部832aとし、巻終りを巻終り部832bとする。
【0126】
また、各極対コイル832は、一対のコイル引出部832f,832sを備えている。一対のコイル引出部832f,832sは、第一コイル引出部832fと第二コイル引出部832sとからなる。第一コイル引出部832fは、第一極コイル831fを構成する一の単位コイル820であって巻始めの単位コイル820の一のコイルサイド821から引き出されている。第二コイル引出部832sは、第二極コイル831sを構成する一の単位コイル820であって巻終りの単位コイル820の一のコイルサイド821から引き出されている。
【0127】
固定子コイルは、複数(本参考形態では、4つ)の極対コイル832が電気的に並列接続された相コイルを複数(本参考形態では、3つ)備えている。各相コイルは、各一対のコイル引出部832f,832sを介して、当該相コイルを構成する複数(本参考形態では、4つ)の極対コイル832が電気的に接続されている。本参考形態の回転電機は、本実施形態の回転電機100と同様に、8極60スロット構成の三相回転電機である。
【0128】
図25は、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部832f,832s側から視た相配置を示している。
図25は、
図23と同様に図示されている。
図25に示すように、二層重巻の固定子コイルにおいても、U相は、「U」で示される通電方向が順方向の領域(連続する2.5スロット分の領域)と、「U
*」で示される通電方向が逆方向の領域(連続する2.5スロット分の領域)とが交互に繰り返されている。このことは、V相およびW相についても同様である。
【0129】
このように、本実施形態および第一参考形態のいずれにおいても、U相は、通電方向が順方向の連続する2.5スロット分の領域と、通電方向が逆方向の連続する2.5スロット分の領域とが交互に繰り返されている。このことは、V相およびW相についても同様である。よって、本実施形態の固定子コイル30の電流分布は、二層重巻の固定子コイルの電流分布と概ね等価になっている。
【0130】
また、第一参考形態の二層重巻の極対コイル832では、各極対コイル832を構成する単位コイル820の数は、5つである。これらの単位コイル820は、コイルピッチがすべて同じ(
図25に示すように、7スロットピッチ(7sp))である。つまり、コイルピッチの種類は、一種類であり、単位コイル820の種類は、一種類である。さらに、各単位コイル820は、スロット底部11a側の半分のスロット811と、スロット開口部11b側の半分のスロット811との間で巻き回される。そのため、本実施形態のフルコイル23fのコイルの巻数を1とすると、第一参考形態の各単位コイル820のコイルの巻数は、1/2(巻数比1/2)になっている。第一参考形態のコイルの巻数の種類は、一種類である。
【0131】
一方、本実施形態の同心状に巻装された極対コイル32では、各極対コイル32を構成する単位コイル20の数は、3つ(第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)である。これらの単位コイル20は、コイルピッチCP1〜CP3がすべて異なる。つまり、コイルピッチの種類は、三種類であり、単位コイル20の種類は、三種類である。また、ハーフコイル23hである第三単位コイル20cは、コイルピッチCP3が5スロットピッチ(5sp)であり、三種類の単位コイル20の中でコイルピッチが最小になっている。さらに、フルコイル23fである第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20bのコイルの巻数を1とすると、ハーフコイル23hである第三単位コイル20cのコイルの巻数は、1/2(巻数比1/2)になっている。本実施形態のコイルの巻数の種類は、二種類である。
【0132】
このように、同心状に巻装された極対コイル32は、二層重巻の極対コイル832と比べて、単位コイル20が統合され、単位コイル20の数が減少している。一方、同心状に巻装された極対コイル32は、二層重巻の極対コイル832と比べて、単位コイル20の種類が増加している。なお、同心状に巻装された極対コイル32では、極対コイル32の各単位コイル20は、スロット配置、コイルピッチ、コイルの巻数が異なる。そのため、極対コイル32を構成する複数(3つ)の単位コイル20は、直列接続によって電気的に接続される。
【0133】
本実施形態の回転電機100によれば、固定子コイル30に含まれる複数(三相の各相12個、合計36個)の単位コイル20が、一対の可動子磁極61,62に対向するスロット単位(15スロット単位)で、第一極コイル31fと第二極コイル31sとに振り分けられている。また、複数(3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)を構成する各極対コイル32は、複数のスロット11の占有状態に関して、フルコイル23fとハーフコイル23hとの二種類の単位コイル20を備えている。さらに、各極対コイル32は、当該極対コイル32を構成する複数(3つ)の単位コイル20(第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)の一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチCP1〜CP3がそれぞれ異なり、一つのハーフコイル23hを備えている。これらにより、本実施形態の回転電機100は、毎極毎相スロット数の小数点以下が0.5となる分数スロット構成の回転電機100において、同心状に巻装された固定子コイル30を備えることができる。そのため、本実施形態の回転電機100では、固定子コイル30を相コイル33単位で組み付けることが可能であり、二層重巻で巻装された固定子コイルを備える回転電機と比べて、固定子コイル30の組み付け作業の作業効率が向上する。
【0134】
(振り分け形の固定子コイルと集約形の固定子コイルとの対比)
同心状に巻装された固定子コイルとして、振り分け形の固定子コイルと集約形の固定子コイルとの二種類が考えられる。本実施形態の固定子コイル30は、振り分け形の固定子コイルである。具体的には、固定子コイル30に含まれる複数(各相12個、合計36個)の単位コイル20は、一対の可動子磁極61,62に対向するスロット単位(本実施形態では、15スロット単位)で、第一極コイル31fと第二極コイル31sとに振り分けられている。第二極コイル31sは、第一極コイル31fが一対の可動子磁極61,62のうちの一方の極性の可動子磁極61に対向するときに当該一対の可動子磁極61,62のうちの他方の極性の可動子磁極62に対向する。
【0135】
一方、
図26に示すように、第二参考形態の固定子コイルは、集約形の固定子コイルである。具体的には、固定子コイルに含まれる複数(各相12個、合計36個)の単位コイル920は、一対の可動子磁極961,962のうちの同一極性の可動子磁極(本参考形態では、可動子磁極961)に対向するように、一対の可動子磁極961,962に対向するスロット単位(本参考形態では、15スロット単位)で、集約されている。一対の可動子磁極961,962に対向するスロット単位で集約された複数の単位コイル920は、一対のコイルサイド921,921間のコイルピッチが異なる複数(本参考形態では、3つ)の単位コイル920が同心状に巻装され、電気的に直列接続されて極コイル931が構成されている。
【0136】
なお、第二参考形態では、本実施形態で既述した部材に対応する部材は、符号番号の先頭に「9」を付して図示されている。これにより、重複する説明を省略する。例えば、本参考形態の一対のコイルサイドは、本実施形態の一対のコイルサイド21,21に対応し、本参考形態では、一対のコイルサイド921,921と表記する。なお、これらの「対応」は、電磁気的な等価対応を意味するものではなく、構成上の対応を意味している。以上のことは、第三参考形態についても同様である。
【0137】
各極コイル931は、巻始め側の単位コイル920から巻終り側の単位コイル920へ連続して巻進められている。極コイル931の巻始めを巻始め部932aとし、巻終りを巻終り部932bとする。また、各極コイル931は、一対のコイル引出部932f,932sを備えている。一対のコイル引出部932f,932sは、第一コイル引出部932fと第二コイル引出部932sとからなる。第一コイル引出部932fは、巻始めの単位コイル920の一のコイルサイド921から引き出されている。第二コイル引出部932sは、巻終りの単位コイル920の一のコイルサイド921から引き出されている。また、固定子コイルは、複数(本参考形態では、4つ)の極コイル931が電気的に並列接続された相コイルを複数(本参考形態では、3つ)備えている。本参考形態の回転電機は、本実施形態の回転電機100と同様に、8極60スロット構成の三相回転電機である。
【0138】
複数(3つ)の相コイルを構成する各極コイル931は、本実施形態の極対コイル32と同様に、複数のスロットの占有状態に関して、フルコイル23fと、ハーフコイル23hとの二種類の単位コイル920を備えている。フルコイル23fの一対のコイルサイド921,921間のコイルピッチは、7スロットピッチ(7sp)および9スロットピッチ(9sp)であり、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド921,921間のコイルピッチは、5スロットピッチ(5sp)である。このように、本参考形態では、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド921,921間のコイルピッチ(5スロットピッチ(5sp))は、極コイル931を構成する複数(3つ)の単位コイル920の中で最小である。また、フルコイル23fのコイルの巻数を1とすると、ハーフコイル23hのコイルの巻数は、1/2(巻数比1/2)であるので、極コイル931のコイルエンド長さ比(スロットピッチ単位)は、18.5(=5×1/2+7+9)になる。
【0139】
図27に示すように、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド921,921間のコイルピッチは、極コイル931を構成する複数(3つ)の単位コイル920の中で最大にすることもできる。
図27は、第三参考形態の集約形の固定子コイルを構成する極コイル931を示している。本参考形態の極コイル931は、一対の可動子磁極961,962のうちの他方の極性の可動子磁極(第二参考形態と異なる可動子磁極962)に対向している。また、フルコイル23fの一対のコイルサイド921,921間のコイルピッチは、6スロットピッチ(6sp)および8スロットピッチ(8sp)であり、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド921,921間のコイルピッチは、10スロットピッチ(10sp)である。このとき、極コイル931のコイルエンド長さ比(スロットピッチ単位)は、19(=6+8+10×1/2)になる。
【0140】
一方、
図2および
図6Aに示すように、本実施形態では、フルコイル23fの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、6スロットピッチ(6sp)および7スロットピッチ(7sp)であり、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、5スロットピッチ(5sp)である。このように、振り分け形の固定子コイル30では、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチ(5スロットピッチ(5sp))は、極対コイル32を構成する複数(3つ)の単位コイル20の中で最小である。このとき、極対コイル32のコイルエンド長さ比(スロットピッチ単位)は、15.5(=5×1/2+7+6)になる。つまり、本実施形態の極対コイル32のコイルエンド長さ比は、第二参考形態および第三参考形態の極コイル931のコイルエンド長さ比と比べて、最も短縮化されている。
【0141】
本実施形態の回転電機100によれば、ハーフコイル23h(第三単位コイル20c)の一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチ(5スロットピッチ(5sp))は、極対コイル32を構成する複数(3つ)の単位コイル20(第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)の中で最小である。そのため、本実施形態の回転電機100は、可動子70の磁極数および固定子40のスロット数が同等のいわゆる集約形の固定子コイルを備える回転電機と比べて、コイルエンド長が短縮され、各単位コイル20の一対のコイルエンド22,22が小型化される。
【0142】
また、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21の各断面積は、フルコイル23fの一対のコイルサイド21,21の各断面積の約半分であり、ハーフコイル23hは、フルコイル23fと比べて、所要収容スペースが半分で済む。さらに、ハーフコイル23hの最小屈曲半径(曲げ半径)および曲げ変形操作力は、フルコイル23fと比べて、小さいので、ハーフコイル23hは、フルコイル23fと比べて、収容調整がし易い。そのため、ハーフコイル23hの一対のコイルエンド22,22をフルコイル23fの一対のコイルエンド22,22の内側に収容することにより、フルコイル23fの内側の空きスペース等を活用して、各単位コイル20の一対のコイルエンド22,22を小型化することができる。
【0143】
(極対コイル32における各単位コイル20の接続順序)
次に、各極対コイル32を構成する複数(本実施形態では、3つ)の単位コイル20(第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)の好適な接続順序について説明する。各極対コイル32を構成する複数(3つ)の単位コイル20(第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)は、最も近接する単位コイル20,20同士が電気的に接続されていると好適である。
【0144】
図2に示すように、本実施形態では、各極対コイル32を構成する複数(3つ)の単位コイル20(第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)は、第一単位コイル20a、第二単位コイル20b、第三単位コイル20cの順に接続されている。つまり、最も近接する第一単位コイル20aと第二単位コイル20bとが電気的に接続され、最も近接する第二単位コイル20bと第三単位コイル20cとが電気的に接続されている。
【0145】
図9に示すように、極コイル間接続部32cは、第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を渡らせることができる。そのため、極コイル間接続部32cの配策は、単位コイル間接続部31cや他の単位コイル20(第二単位コイル20b、第三単位コイル20c)を迂回する必要がない。なお、単位コイル間接続部31cは、第二単位コイル20bと第三単位コイル20cとの間のコイルエンド22,22間に収容することができる。
【0146】
一方、
図28に示すように、第九変形形態では、各極対コイル32を構成する複数(3つ)の単位コイル20(第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)が第一単位コイル20a、第三単位コイル20c、第二単位コイル20bの順に接続されている。そのため、極コイル間接続部32cの一端側は、第一単位コイル20aと接続されており、極コイル間接続部32cの他端側は、第三単位コイル20cと接続されている。また、単位コイル間接続部31cの一端側は、第三単位コイル20cと接続されており、単位コイル間接続部31cの他端側は、第二単位コイル20bと接続されている。
【0147】
図29に示すように、第二極コイル31sにおいて、最も内側に第三単位コイル20cが配設され、第三単位コイル20cの外側に第二単位コイル20bが配設される。第三単位コイル20cおよび第二単位コイル20bが、この順に連続して巻進められて、コイル挿入機3I(インサータ治具)を用いて固定子鉄心10の複数のスロット11に組み付けられると、極コイル間接続部32cは、スロット開口部11b側に引き出される。つまり、極コイル間接続部32cの配策は、単位コイル間接続部31cや他の単位コイル20(第二単位コイル20b、第三単位コイル20c)を迂回する必要があり、極コイル間接続部32cは、第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)に、はみ出している。なお、単位コイル間接続部31cは、本実施形態と同様に、第二単位コイル20bと第三単位コイル20cとの間のコイルエンド22,22間に収容することができる。また、極コイル間接続部32cおよび単位コイル間接続部31cは、一対のコイル引出部32f,32sと交差していない。
【0148】
本実施形態の回転電機100によれば、各極対コイル32を構成する複数(3つ)の単位コイル20(第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)は、最も近接する単位コイル20,20同士(第一単位コイル20aと第二単位コイル20bおよび第二単位コイル20bと第三単位コイル20c)が電気的に接続されている。そのため、本実施形態の回転電機100は、極コイル間接続部32cを迂回させることなく配策することができ、極コイル間接続部32cの配策を簡素化することができる。
【0149】
(各単位コイル20の一対のコイルエンド22,22の形態)
次に、各単位コイル20の一対のコイルエンド22,22の好適な形態について説明する。固定子コイル30に含まれる複数(三相の各相12個、合計36個)の単位コイル20の一対のコイルエンド22,22は、第三方向(矢印Z方向)の両端部において、第二方向(矢印Y方向)または第三方向(矢印Z方向)に、相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)毎にそれぞれ配設されて、多層に形成されていると好適である。
【0150】
図30Aに示すように、固定子コイル30に含まれる複数(三相の各相12個、合計36個)の単位コイル20の一対のコイルエンド22,22は、第三方向(矢印Z方向)の両端部において、第二方向(矢印Y方向)に、相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)毎にそれぞれ配設されている。具体的には、最初に取り付けられるU相コイル33uの各単位コイル20の一対のコイルエンド22,22は、最もスロット底部11a側に配設されている。次に取り付けられるW相コイル33wの各単位コイル20の一対のコイルエンド22,22は、U相コイル33uの各単位コイル20の一対のコイルエンド22,22と比べて、スロット開口部11b側に配設されている。最後に取り付けられるV相コイル33vの各単位コイル20の一対のコイルエンド22,22は、最もスロット開口部11b側に配設されている。
【0151】
また、
図30Bに示すように、固定子コイル30に含まれる複数(三相の各相12個、合計36個)の単位コイル20の一対のコイルエンド22,22は、第三方向(矢印Z方向)の両端部において、第三方向(矢印Z方向)に、相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)毎にそれぞれ配設することもできる。具体的には、最初に取り付けられるU相コイル33uの各単位コイル20の一対のコイルエンド22,22は、最も固定子鉄心10側に配設されている。次に取り付けられるW相コイル33wの各単位コイル20の一対のコイルエンド22,22は、U相コイル33uの各単位コイル20の一対のコイルエンド22,22と比べて、第三方向(矢印Z方向)の外側に配設されている。最後に取り付けられるV相コイル33vの各単位コイル20の一対のコイルエンド22,22は、最も第三方向(矢印Z方向)の外側に配設されている。これにより、
図30Aおよび
図30Bに示すいずれの形態においても、固定子コイル30に含まれる複数(三相の各相12個、合計36個)の単位コイル20の一対のコイルエンド22,22は、多層(本実施形態では、三層)に形成される。また、本実施形態の回転電機100は、円筒状回転電機なので、固定子コイル30の複数(36個)の単位コイル20の一対のコイルエンド22,22は、第三方向(矢印Z方向)視において、略同心状に形成される。
【0152】
本実施形態の回転電機100によれば、固定子コイル30に含まれる複数(三相の各相12個、合計36個)の単位コイル20の一対のコイルエンド22,22は、第三方向(矢印Z方向)の両端部において、第二方向(矢印Y方向)または第三方向(矢印Z方向)に、相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)毎にそれぞれ配設されて、多層に形成されている。そのため、本実施形態の回転電機100は、各単位コイル20の一対のコイルエンド22,22を簡素化および小型化することができる。また、本実施形態の回転電機100は、相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)間の電気的な絶縁を確保する絶縁部材の配設が容易である。絶縁部材は、相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)間を電気的に絶縁することができれば良く、限定されないが、例えば、シート状の相間絶縁紙などを用いることができる。
【0153】
<第二実施形態>
本実施形態は、第一実施形態と比べて、毎極毎相スロット数が異なる。また、本実施形態は、第一実施形態と比べて、ハーフコイル23hの配置が異なる。以下、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0154】
(ハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置)
本実施形態の回転電機100は、8極36スロット構成の三相回転電機(可動子70の磁極数が2極、固定子40のスロット数が9スロットを基本構成とする三相回転電機)であり、毎極毎相スロット数は1.5である。また、
図31および
図32に示すように、本実施形態では、各極対コイル32は、第一極コイル31fにハーフコイル23hを備えている。第一極コイル31fは、一つの単位コイル20を備えており、当該単位コイル20を第一単位コイル20aとする。第一単位コイル20aの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、3スロットピッチに設定されている。第一単位コイル20aは、同心状に巻装されており、第一極コイル31fが形成されている。
【0155】
第二極コイル31sは、一つの単位コイル20を備えており、当該単位コイル20を第二単位コイル20bとする。第二単位コイル20bの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、4スロットピッチに設定されている。第二単位コイル20bは、同心状に巻装されており、第二極コイル31sが形成されている。本実施形態では、第一単位コイル20aは、ハーフコイル23hであり、第二単位コイル20bは、フルコイル23fである。
【0156】
また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1および第二単位コイル20bの巻進行方向W2は、いずれも第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)である。さらに、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、反時計回りである。また、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、時計回りである。
【0157】
第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する一つの単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する一つの単位コイル20(第二単位コイル20b)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。なお、
図32では、第一コイル引出部32fは、スロット中央部11cから引き出されており、第二コイル引出部32sは、最もスロット底部11a側から引き出されている。
【0158】
図32に示すように、本実施形態では、極コイル間接続部32cは、一対のコイル引出部32f,32sと交差していない。また、極コイル間接続部32cは、第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を渡らせることができる。
【0159】
各極対コイル32におけるハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置は、第十変形形態の配置にすることもできる。
図33および
図34に示すように、第十変形形態では、第二実施形態と比べて、一対のコイル引出部32f,32sの配置が異なる。
【0160】
本変形形態では、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する一つの単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する一つの単位コイル20(第二単位コイル20b)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。
図34では、第一コイル引出部32fは、スロット中央部11cから引き出されており、第二コイル引出部32sは、最もスロット底部11a側から引き出されている。
【0161】
なお、各極対コイル32は、第一極コイル31fにハーフコイル23hを備えている。また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1および第二単位コイル20bの巻進行方向W2は、いずれも第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)である。さらに、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、時計回りである。また、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、反時計回りである。
【0162】
本変形形態では、極コイル間接続部32cと第一コイル引出部32fとが接触して交差する。
図34に示すように、第一コイル引出部32fは、一旦、スロット開口部11bまで第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)に引き回された後、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。第一コイル引出部32fは、極コイル間接続部32cの第三方向(矢印Z方向)の固定子鉄心10側(紙面奥側)を一度通り、第一単位コイル20aのコイルエンド22および極コイル間接続部32cの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回されている。この場合、各極対コイル32は、本実施形態と比べて、第三方向(矢印Z方向)の外側に大型化する。
【0163】
なお、第一コイル引出部32fは、上述した交差を回避するために、極コイル間接続部32cの配策方向に沿って引き回し、隣接する他の極対コイル32の第二コイル引出部32sが引き出されるスロット底部11a側の部位近傍から引き出すこともできる。この場合、第一コイル引出部32fと第二コイル引出部32sとが近接し、これらの配策作業および極対コイル32間の接続作業等の作業性が低下する可能性がある。
【0164】
また、各極対コイル32におけるハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置は、第十一変形形態の配置にすることもできる。
図35および
図36に示すように、第十一変形形態では、第二実施形態と比べて、ハーフコイル23hの配置が異なる。
【0165】
本変形形態では、各極対コイル32は、第二極コイル31sにハーフコイル23hを備えている。第一極コイル31fは、一つの単位コイル20を備えており、当該単位コイル20を第一単位コイル20aとする。第一単位コイル20aの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、4スロットピッチに設定されている。第一単位コイル20aは、同心状に巻装されており、第一極コイル31fが形成されている。
【0166】
第二極コイル31sは、一つの単位コイル20を備えており、当該単位コイル20を第二単位コイル20bとする。第二単位コイル20bの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、3スロットピッチに設定されている。第二単位コイル20bは、同心状に巻装されており、第二極コイル31sが形成されている。本実施形態では、第一単位コイル20aは、フルコイル23fであり、第二単位コイル20bは、ハーフコイル23hである。
【0167】
また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1および第二単位コイル20bの巻進行方向W2は、いずれも第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)である。さらに、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、反時計回りである。また、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、時計回りである。
【0168】
本変形形態では、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する一つの単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する一つの単位コイル20(第二単位コイル20b)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。なお、
図36では、第一コイル引出部32fは、最もスロット開口部11b側から引き出されており、第二コイル引出部32sは、最もスロット底部11a側から引き出されている。
【0169】
図36に示すように、本変形形態では、極コイル間接続部32cは、一対のコイル引出部32f,32sと交差していない。また、極コイル間接続部32cは、第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を渡らせることができる。
【0170】
各極対コイル32におけるハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置は、第十二変形形態の配置にすることもできる。
図37および
図38に示すように、第十二変形形態では、第十一変形形態と比べて、一対のコイル引出部32f,32sの配置が異なる。
【0171】
本変形形態では、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する一つの単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する一つの単位コイル20(第二単位コイル20b)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。
図38では、第一コイル引出部32fは、最もスロット開口部11b側から引き出されており、第二コイル引出部32sは、最もスロット底部11a側から引き出されている。
【0172】
なお、各極対コイル32は、第二極コイル31sにハーフコイル23hを備えている。また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1および第二単位コイル20bの巻進行方向W2は、いずれも第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)である。さらに、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、時計回りである。また、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、反時計回りである。
【0173】
本変形形態では、極コイル間接続部32cと第一コイル引出部32fとが接触して交差する。第一コイル引出部32fは、第一単位コイル20aのコイルエンド22および極コイル間接続部32cの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回されている。この場合、各極対コイル32は、本実施形態と比べて、第三方向(矢印Z方向)の外側に大型化する。
【0174】
なお、第一コイル引出部32fは、極コイル間接続部32cの引き回し先に向かって引き回し、隣接する他の極対コイル32の第二コイル引出部32sが引き出されるスロット底部11a側の部位近傍から引き出すこともできる。この場合、第一コイル引出部32fと第二コイル引出部32sとが近接し、これらの配策作業および極対コイル32間の接続作業等の作業性が低下する可能性がある。
【0175】
本実施形態の回転電機100によれば、毎極毎相スロット数は1.5である。また、各極対コイル32は、第一極コイル31fにハーフコイル23hを備えている。さらに、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する一つの単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する一つの単位コイル20(第二単位コイル20b)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。なお、第一単位コイル20aは、ハーフコイル23hであり、第二単位コイル20bは、フルコイル23fである。
【0176】
本実施形態では、極コイル間接続部32cは、一対のコイル引出部32f,32sと交差していない。このことは、各極対コイル32におけるハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sを第一実施形態と同様に配置した第十一変形形態についても同様に言える。このように、本実施形態および第十一変形形態の各極対コイル32は、第十変形形態および第十二変形形態の各極対コイル32と比べて、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側のコイルエンド22が小型化され、その配策が簡素化される。
【0177】
本実施形態の回転電機100は、毎極毎相スロット数が1.5であるので、各極対コイル32は、一つのフルコイル23fと、一つのハーフコイル23hとを備える。そのため、各極対コイル32は、単位コイル間接続部31cが不要であり、極対コイル32内の渡り線が簡素化される。よって、一対のコイル引出部32f,32sの配置が同じ場合には、本実施形態の回転電機100は、毎極毎相スロット数が2.5以上の場合と比べて、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)と、一対のコイル引出部32f,32sとの間の干渉交差(接触して交差する状況)が低減される。
【0178】
(相コイル33の配置)
複数(本実施形態では、3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)は、第一実施形態で既述の第一装着工程と、第二進相装着工程と、第三進相装着工程とを備える回転電機100の製造方法によって、複数(36個)のスロット11に装着されると好適である。これにより、
図39A〜
図39Dに示すように、複数(3つ)の相コイル33は、U相コイル33u、W相コイル33w、V相コイル33vの順に組み付けられる。
【0179】
図39Aに示すように、U相コイル33uの第一コイル引出部32fは、スロット中央部11cから引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。U相コイル33uの第一コイル引出部32fは、U相コイル33uの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。なお、U相コイル33uの第二コイル引出部32sは、スロット底部11a側から引き出されている。
【0180】
このように、U相コイル33uは、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。また、U相コイル33uは、最初に装着されるので、他の相コイル33(V相コイル33vおよびW相コイル33w)の影響を受けることなく、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21は、いずれもスロット底部11a側に配設される。つまり、U相のハーフコイル23hは、片側占有ハーフコイル23h2である。
【0181】
図39Bに示すように、W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、スロット中央部11cから引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、W相コイル33wの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。なお、W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、スロット底部11a側から引き出されている。
【0182】
このように、W相コイル33wは、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。なお、W相コイル33wは、U相コイル33uの後に装着されるので、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21のうちの一方のコイルサイド21がスロット底部11a側に配設され、当該一対のコイルサイド21,21のうちの他方のコイルサイド21がスロット開口部11b側に配設される。つまり、W相のハーフコイル23hは、両側占有ハーフコイル23h1である。
【0183】
図39Cに示すように、V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、V相コイル33vの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。なお、V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、スロット底部11a側から引き出されている。
【0184】
このように、V相コイル33vは、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。また、V相コイル33vは、最後に装着されるので、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21は、いずれもスロット開口部11b側に配設される。つまり、V相のハーフコイル23hは、片側占有ハーフコイル23h2である。
【0185】
以上のように、三相の相コイル33(U相コイル33u,V相コイル33v,W相コイル33w)は、いずれの相においても、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。なお、U相コイル33uの第一コイル引出部32fは、スロット中央部11cから引き出されるが、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)と干渉しない。このことは、W相コイル33wの第一コイル引出部32fについても同様に言える。
【0186】
また、コイル挿入機3I(インサータ治具)を用いた組み付けの結果、V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、U相コイル33uの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を通過する。つまり、他相の単位コイル20のコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を横断する引き出し線(一対のコイル引出部32f,32sのうちの少なくとも一方)は、一相分である。本明細書では、当該引き出し線を他相横断引き出し線という。本実施形態では、他相横断引き出し線は、V相コイル33vの第一コイル引出部32fである。
【0187】
図40A〜
図40Dに示すように、複数(3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)は、U相コイル33u、V相コイル33v、W相コイル33wの順(相順と同じ順序)に、複数(36個)のスロット11に装着することもできる(第十三変形形態)。第十三変形形態では、V相コイル33vは、U相コイル33uに対して、相間最小位相差(電気角120°)分、第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)にずらして、複数(16個)のスロット11に装着する。W相コイル33wは、V相コイル33vに対して、相間最小位相差(電気角120°)分、第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)にずらして、複数(16個)のスロット11に装着する。この方法は、第三実施形態で説明する第一装着工程と、第二遅相装着工程と、第三遅相装着工程とを備える回転電機100の製造方法と同様の方法である。
【0188】
図40Aに示すように、第十三変形形態のU相コイル33uを装着した後の状態は、
図39Aに示す本実施形態のU相コイル33uを装着した後の状態と同じである。
図40Bに示すように、V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、V相コイル33vの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。なお、V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、スロット底部11a側から引き出されている。
【0189】
このように、V相コイル33vは、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。また、V相コイル33vは、U相コイル33uの後に装着されるので、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21のうちの一方のコイルサイド21がスロット底部11a側に配設され、当該一対のコイルサイド21,21のうちの他方のコイルサイド21がスロット開口部11b側に配設される。つまり、V相のハーフコイル23hは、両側占有ハーフコイル23h1である。
【0190】
図40Cに示すように、W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、W相コイル33wの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。なお、W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、スロット底部11a側から引き出されている。
【0191】
このように、W相コイル33wは、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。また、W相コイル33wは、最後に装着されるので、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21は、いずれもスロット開口部11b側に配設される。つまり、W相のハーフコイル23hは、片側占有ハーフコイル23h2である。
【0192】
以上のように、三相の相コイル33(U相コイル33u,V相コイル33v,W相コイル33w)は、いずれの相においても、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。なお、U相コイル33uの第一コイル引出部32fは、スロット中央部11cから引き出されるが、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)と干渉しない。
【0193】
また、コイル挿入機3I(インサータ治具)を用いた組み付けの結果、V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、U相コイル33uの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を通過する。同様に、W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、V相コイル33vの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を通過する。つまり、第十三変形形態では、他相横断引き出し線は、二相分であり、V相コイル33vの第一コイル引出部32fおよびW相コイル33wの第一コイル引出部32fである。
【0194】
一方、本実施形態では、他相横断引き出し線は、一相分であり、V相コイル33vの第一コイル引出部32fである。このように、本実施形態の回転電機100は、第十三変形形態の回転電機100と比べて、他相横断引き出し線の相数が少ない。よって、本実施形態の回転電機100は、第十三変形形態の回転電機100と比べて、相コイル33間の電気的な絶縁が必要な絶縁部位を低減することができる。当該絶縁部位に用いる絶縁部材は、当該部位を電気的に絶縁することができれば良く、限定されないが、例えば、絶縁チューブなどを用いることができる。このことは、第四実施形態で説明する絶縁部材についても同様である。
【0195】
また、
図40Dに示すように、第十三変形形態では、両側占有ハーフコイル23h1の第一ハーフスロット部位11d内の一点を始点とし第二ハーフスロット部位11e内の一点を終点とするベクトル(第一ベクトル35aに相当)と、極コイル間接続部32cの第一渡り線端部34aを始点とし第二渡り線端部34bを終点とするベクトル(第二ベクトル35bに相当)とのなす角は、機械角90°より大きい鈍角になっている。
【0196】
一方、
図39Dに示すように、本実施形態では、両側占有ハーフコイル23h1の第一ハーフスロット部位11d内の一点を始点とし第二ハーフスロット部位11e内の一点を終点とするベクトル(第一ベクトル35aに相当)と、極コイル間接続部32cの第一渡り線端部34aを始点とし第二渡り線端部34bを終点とするベクトル(第二ベクトル35bに相当)とのなす角は、機械角90°より小さい鋭角になっている。
【0197】
本実施形態の回転電機100によれば、上記構成により、両側占有ハーフコイル23h1のコイルエンド22、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)および一対のコイル引出部32f,32sの間の干渉交差(接触して交差する状況)を低減することができ、他相横断引き出し線の数を低減することができる。よって、本実施形態の極対コイル32は、第十三変形形態の極対コイル32と比べて、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側のコイルエンド22が小型化され、その配策が簡素化される。
【0198】
相コイル33(U相コイル33u,V相コイル33v,W相コイル33w)の配置について既述したことは、第十一変形形態においても、本実施形態と同様に言える。具体的には、
図41A〜
図41Dに示すように、第十一変形形態においても、複数(3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)は、U相コイル33u、W相コイル33w、V相コイル33vの順に、複数(36個)のスロット11に装着すると好適である。
【0199】
図41Aに示すように、U相コイル33uの第一コイル引出部32fは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。U相コイル33uの第一コイル引出部32fは、U相コイル33uの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。なお、U相コイル33uの第二コイル引出部32sは、スロット底部11a側から引き出されている。このように、U相コイル33uは、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。また、U相のハーフコイル23hは、片側占有ハーフコイル23h2である。
【0200】
図41Bに示すように、W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、W相コイル33wの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。なお、W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、スロット底部11a側から引き出されている。このように、W相コイル33wは、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。また、W相のハーフコイル23hは、両側占有ハーフコイル23h1である。
【0201】
図41Cに示すように、V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、V相コイル33vの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。なお、V相のハーフコイル23hは、片側占有ハーフコイル23h2である。
【0202】
V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、スロット中央部11cから引き出されている。V相コイル33vは、第二コイル引出部32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが接触して交差している。そのため、交差部位において、電気的な絶縁を確保するための対処が必要である。コイル挿入機3I(インサータ治具)を用いた組み付けの結果、V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、U相コイル33uの第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を通過する。つまり、本変形形態では、他相横断引き出し線は、一相分であり、V相コイル33vの第二コイル引出部32sである。
【0203】
一方、本実施形態では、三相の相コイル33(U相コイル33u,V相コイル33v,W相コイル33w)は、いずれの相においても、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。また、本実施形態では、他相横断引き出し線は、一相分であり、V相コイル33vの第一コイル引出部32fである。
【0204】
既述したように、本実施形態および第十一変形形態の各極対コイル32は、第十変形形態および第十二変形形態の各極対コイル32と比べて、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側のコイルエンド22が小型化され、その配策が簡素化される。さらに、相コイル33(U相コイル33u,V相コイル33v,W相コイル33w)の配置を考慮すると、本実施形態の各極対コイル32は、第十一変形形態の各極対コイル32と比べて、好適であり、第十変形形態〜第十二変形形態までの各極対コイル32と比べて、最も好適であると言える。
【0205】
なお、第十一変形形態では、U相コイル33uの第一コイル引出部32fは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。つまり、U相コイル33uの第一コイル引出部32fは、スロット開口部11b側からスロット底部11a側まで、スロット11をスロット11の深さ方向(第二方向(矢印Y方向))に横断する。このときのスロット11の横断長をフル横断長(長さ比を1)とする。これらのことは、V相コイル33vの第一コイル引出部32fおよびW相コイル33wの第一コイル引出部32fについても同様である。
【0206】
また、V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、スロット中央部11cから引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。つまり、V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、スロット中央部11cからスロット底部11a側まで、スロット11をスロット11の深さ方向(第二方向(矢印Y方向))に横断する。このときのスロット11の横断長をハーフ横断長(長さ比を0.5)とする。なお、U相コイル33uの第二コイル引出部32sは、スロット底部11a側から引き出されており、スロット11を横断しない。このことは、W相コイル33wの第二コイル引出部32sについても同様である。以上から、三相分の一対のコイル引出部32f,32sのスロット11の横断長は、フル横断長が3つ分(長さ比は3)と、ハーフ横断長が一つ分(長さ比は0.5)とを合算して、長さ比が3.5になる。
【0207】
一方、本実施形態では、V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。つまり、V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、スロット11の横断長がフル横断長(長さ比は1)である。また、U相コイル33uの第一コイル引出部32fは、スロット中央部11cから引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。つまり、U相コイル33uの第一コイル引出部32fは、スロット11の横断長がハーフ横断長(長さ比は0.5)である。W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、U相コイル33uの第一コイル引出部32fと同様である。
【0208】
また、U相コイル33uの第二コイル引出部32sは、スロット底部11a側から引き出されており、スロット11を横断しない。このことは、V相コイル33vの第二コイル引出部32sについても同様であり、W相コイル33wの第二コイル引出部32sについても同様である。以上から、三相分の一対のコイル引出部32f,32sのスロット11の横断長は、フル横断長が一つ分(長さ比は1)と、ハーフ横断長が二つ分(長さ比は1)とを合算して、長さ比が2になる。このように、本実施形態の各極対コイル32は、第十一変形形態の各極対コイル32と比べて、スロット11の横断長が短縮化されている。
【0209】
<第三実施形態>
本実施形態は、第一実施形態と比べて、各極対コイル32における各単位コイル20の巻進行方向が異なる。また、本実施形態は、第一実施形態と比べて、ハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置が異なる。以下、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0210】
(各単位コイル20の巻進行方向)
図42および
図43に示すように、本実施形態では、第一極コイル31fは、複数(本実施形態では、2つ)の単位コイル20を備えており、当該二つの単位コイル20,20を第一単位コイル20a、第二単位コイル20bとする。第一単位コイル20aの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、5スロットピッチに設定されており、第二単位コイル20bの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、7スロットピッチに設定されている。第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20bは、同心状に巻装されて、単位コイル間接続部31cによって直列接続されており、第一極コイル31fが形成されている。
【0211】
第二極コイル31sは、一つの単位コイル20を備えており、当該単位コイル20を第三単位コイル20cとする。第三単位コイル20cの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、6スロットピッチに設定されている。第三単位コイル20cは、同心状に巻装されており、第二極コイル31sが形成されている。本実施形態では、第一単位コイル20aは、ハーフコイル23hであり、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20cは、フルコイル23fである。
【0212】
図43に示すように、第一単位コイル20aは、第一コイル引出部32fが引き出されるスロット番号SN1のスロット底部11a側から巻始められる。そして、第一単位コイル20aは、一対のスロット11,11(スロット番号SN1およびスロット番号SN2)間で巻き回され、単位コイル間接続部31cの一端側のスロット番号SN2のスロット中央部11cで巻終わる。このときの第一単位コイル20aの巻進行方向W1は、第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)であり、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、反時計回りになる。単位コイル間接続部31cは、スロット番号SN2のスロット中央部11cからスロット番号SN3のスロット底部11a側に引き回されている。
【0213】
第二単位コイル20bは、単位コイル間接続部31cの他端側のスロット番号SN3のスロット底部11a側から巻始められる。そして、第二単位コイル20bは、一対のスロット11,11(スロット番号SN3およびスロット番号SN4)間で巻き回され、極コイル間接続部32cの一端側のスロット番号SN4のスロット開口部11b側で巻終わる。このときの第二単位コイル20bの巻進行方向W2は、第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)であり、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、反時計回りになる。極コイル間接続部32cは、スロット番号SN4のスロット開口部11b側からスロット番号SN5のスロット底部11a側に引き回されている。
【0214】
第三単位コイル20cは、極コイル間接続部32cの他端側のスロット番号SN5のスロット底部11a側から巻始められる。そして、第三単位コイル20cは、一対のスロット11,11(スロット番号SN5およびスロット番号SN6)間で巻き回され、第二コイル引出部32sが引き出されるスロット番号SN6のスロット開口部11b側で巻終わる。このときの第三単位コイル20cの巻進行方向W3は、第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)であり、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、時計回りになる。
【0215】
このように、第一単位コイル20aの巻進行方向W1、第二単位コイル20bの巻進行方向W2および第三単位コイル20cの巻進行方向W3は、いずれも第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)である。また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、反時計回りであり、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、反時計回りである。さらに、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、時計回りである。
【0216】
本実施形態の回転電機100によれば、各極対コイル32を構成する複数(3つ)の単位コイル20(第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)の各巻進行方向(矢印W1方向、矢印W2方向および矢印W3方向)は、いずれも第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)である。よって、本実施形態の回転電機100は、相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)単位で、複数(4つ)の極対コイル32を複数(24個)のスロット11に順次装着することができる。本実施形態の回転電機100は、コイル挿入機(インサータ治具)を用いないで固定子コイル30の組み付け(例えば、直巻きなど)が可能であり、コイル挿入機(インサータ治具)を用いる場合と比べて、製造コストを低減することができる。本実施形態の回転電機100は、後述する可動子70が固定子40の外方に設けられる回転電機に適用すると好適である。
【0217】
(ハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置)
本実施形態では、各極対コイル32は、第一極コイル31fにハーフコイル23hを備えている。また、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する複数(2つ)の単位コイル20(第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20b)のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する一つの単位コイル20(第三単位コイル20c)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。なお、
図43では、第一コイル引出部32fは、最もスロット底部11a側から引き出されており、第二コイル引出部32sは、最もスロット開口部11b側から引き出されている。
【0218】
図43に示すように、本実施形態では、極コイル間接続部32cおよび単位コイル間接続部31cは、いずれも一対のコイル引出部32f,32sと交差していない。従って、第一実施形態と同様に、近接部位の干渉回避が容易である。なお、極コイル間接続部32cは、第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を渡らせることができる。また、単位コイル間接続部31cは、第一単位コイル20aと第二単位コイル20bとの間のコイルエンド22,22間に収容することができる。
【0219】
各極対コイル32におけるハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置は、第十四変形形態の配置にすることもできる。
図44および
図45に示すように、第十四変形形態では、第三実施形態と比べて、一対のコイル引出部32f,32sの配置が異なる。
【0220】
第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する複数(2つ)の単位コイル20(第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20b)のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する一つの単位コイル20(第三単位コイル20c)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。
図45では、第一コイル引出部32fは、最もスロット底部11a側から引き出されており、第二コイル引出部32sは、最もスロット開口部11b側から引き出されている。
【0221】
なお、各極対コイル32は、第一極コイル31fにハーフコイル23hを備えている。また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1、第二単位コイル20bの巻進行方向W2および第三単位コイル20cの巻進行方向W3は、いずれも第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)である。さらに、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、時計回りであり、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、時計回りである。また、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、反時計回りである。
【0222】
本変形形態では、極コイル間接続部32cと第二コイル引出部32sとが接触して交差する。
図45では、第二コイル引出部32sは、第三単位コイル20cのコイルエンド22および極コイル間接続部32cの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回されている。この場合、各極対コイル32は、本実施形態と比べて、第三方向(矢印Z方向)の外側に大型化する。
【0223】
なお、第二コイル引出部32sは、上述した交差を回避するために、極コイル間接続部32cの配策方向に沿って引き回し、隣接する他の極対コイル32の第一コイル引出部32fが引き出されるスロット底部11a側の部位近傍から引き出すこともできる。この場合、第一コイル引出部32fと第二コイル引出部32sとが近接し、これらの配策作業および極対コイル32間の接続作業等の作業性が低下する可能性がある。
【0224】
各極対コイル32におけるハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置は、第十五変形形態の配置にすることもできる。
図46および
図47に示すように、第十五変形形態では、第三実施形態と比べて、ハーフコイル23hの配置が異なり、一対のコイル引出部32f,32sの配置が異なる。
【0225】
本変形形態では、各極対コイル32は、第二極コイル31sにハーフコイル23hを備えている。第一極コイル31fは、一つの単位コイル20を備えており、当該単位コイル20を第一単位コイル20aとする。第一単位コイル20aの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、6スロットピッチに設定されている。第一単位コイル20aは、同心状に巻装されており、第一極コイル31fが形成されている。
【0226】
第二極コイル31sは、複数(本変形形態では、2つ)の単位コイル20を備えており、当該二つの単位コイル20,20を第二単位コイル20b、第三単位コイル20cとする。第二単位コイル20bの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、7スロットピッチに設定されており、第三単位コイル20cの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、5スロットピッチに設定されている。第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20cは、同心状に巻装されて、単位コイル間接続部31cによって直列接続されており、第二極コイル31sが形成されている。本変形形態では、第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20bは、フルコイル23fであり、第三単位コイル20cは、ハーフコイル23hである。
【0227】
また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1、第二単位コイル20bの巻進行方向W2および第三単位コイル20cの巻進行方向W3は、いずれも第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)である。さらに、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、時計回りである。また、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、反時計回りであり、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、反時計回りである。
【0228】
本変形形態では、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する一つの単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する複数(2つ)の単位コイル20(第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20(第三単位コイル20c)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。なお、
図47では、第一コイル引出部32fは、最もスロット底部11a側から引き出されており、第二コイル引出部32sは、スロット中央部11cから引き出されている。
【0229】
本変形形態では、極コイル間接続部32cと第二コイル引出部32sとが接触して交差し、単位コイル間接続部31cと第二コイル引出部32sとが接触して交差する。
図47に示すように、第二コイル引出部32sは、一旦、スロット開口部11bまで第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)に引き回された後、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。第二コイル引出部32sは、単位コイル間接続部31cの第三方向(矢印Z方向)の固定子鉄心10側(紙面奥側)を一度通り、第三単位コイル20cおよび第二単位コイル20bのコイルエンド22並びに単位コイル間接続部31cおよび極コイル間接続部32cの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回されている。この場合、各極対コイル32は、本実施形態と比べて、第三方向(矢印Z方向)の外側に大型化する。
【0230】
なお、第二コイル引出部32sは、上述した交差を回避するために、極コイル間接続部32cの配策方向に沿って引き回し、隣接する他の極対コイル32の第一コイル引出部32fが引き出されるスロット底部11a側の部位近傍から引き出すこともできる。この場合、第一コイル引出部32fと第二コイル引出部32sとが近接し、これらの配策作業および極対コイル32間の接続作業等の作業性が低下する可能性がある。
【0231】
各極対コイル32におけるハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置は、第十六変形形態の配置にすることもできる。
図48および
図49に示すように、第十六変形形態では、第十五変形形態と比べて、一対のコイル引出部32f,32sの配置が異なる。
【0232】
本変形形態では、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する一つの単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する複数(2つ)の単位コイル20(第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20(第三単位コイル20c)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。なお、
図49では、第一コイル引出部32fは、最もスロット底部11a側から引き出されており、第二コイル引出部32sは、スロット中央部11cから引き出されている。
【0233】
本変形形態では、単位コイル間接続部31cと第二コイル引出部32sとが接触して交差する。
図49に示すように、第二コイル引出部32sは、一旦、スロット開口部11bまで第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)に引き回された後、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。第二コイル引出部32sは、単位コイル間接続部31cの第三方向(矢印Z方向)の固定子鉄心10側(紙面奥側)を一度通り、単位コイル間接続部31c並びに第三単位コイル20cおよび第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回されている。この場合、各極対コイル32は、本実施形態と比べて、第三方向(矢印Z方向)の外側に大型化する。
【0234】
なお、
図13Bに示す第三変形形態と同様にして、第二コイル引出部32sは、第三方向(矢印Z方向)に垂直な略同一平面内で、第二単位コイル20bのコイルエンド22の立ち部を迂回するように引き回すこともできる。この形態は、
図49に示す形態と比べて、第三方向(矢印Z方向)への大型化が抑制される。しかしながら、この形態は、第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)へのはみ出し回避等の配策作業が必要であり、また、極対コイル32間の接続作業等の作業性が低下する可能性もある。
【0235】
本実施形態の回転電機100によれば、各極対コイル32は、第一極コイル31fにハーフコイル23hを備えている。また、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する複数(2つ)の単位コイル20(第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20b)のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。さらに、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する一つの単位コイル20(第三単位コイル20c)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。
【0236】
これらにより、極コイル間接続部32cおよび単位コイル間接続部31cは、いずれも一対のコイル引出部32f,32sと交差していない。その結果、各極対コイル32におけるハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sのうちの少なくとも一方の配置が本実施形態と異なる形態(第十四変形形態〜第十六変形形態)と比べて、本実施形態の各極対コイル32は、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側のコイルエンド22が小型化され、その配策が簡素化される。なお、各極対コイル32におけるハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置については、毎極毎相スロット数が3.5以上の場合も同様の傾向が見られる。
【0237】
(相コイル33の配置)
複数(本実施形態では、3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)は、第一装着工程と、第二遅相装着工程と、第三遅相装着工程とを備える回転電機100の製造方法によって、複数(60個)のスロット11に装着されると好適である。これにより、本実施形態では、複数(3つ)の相コイル33は、U相コイル33u、V相コイル33v、W相コイル33wの順に組み付けられる。なお、第一実施形態と同様に、複数(3つ)の相コイル33は、U相コイル33u、V相コイル33v、W相コイル33wの順に位相が遅れているものとする。また、複数(3つ)の相コイル33は、第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)に、U相コイル33u、V相コイル33v、W相コイル33wの相順に配設するものとする。
【0238】
図50Aに示すように、第一装着工程は、複数(3つ)の相コイル33のうちの一の相コイル33(本実施形態では、U相コイル33u)を複数(24個)のスロット11に装着する工程である。同図は、U相コイル33uを構成する四磁極分(二磁極対分)の極対コイル32を示しており、残りの四磁極分(二磁極対分)の極対コイル32の記載が省略されている。
【0239】
図50Aに示すように、U相コイル33uの第一コイル引出部32fは、スロット底部11a側から引き出されている。U相コイル33uの第二コイル引出部32sは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。U相コイル33uの第二コイル引出部32sは、U相コイル33uの第三単位コイル20cのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。
【0240】
このように、U相コイル33uは、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の各渡り線(単位コイル間接続部31cおよび極コイル間接続部32c)とが交差していない。また、U相コイル33uは、最初に装着されるので、他の相コイル33(V相コイル33vおよびW相コイル33w)の影響を受けることなく、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21は、いずれもスロット底部11a側に配設される。つまり、U相のハーフコイル23hは、片側占有ハーフコイル23h2である。
【0241】
第二遅相装着工程は、複数(3つ)の相コイル33のうちの残りの一の相コイル33を、第一装着工程で装着された相コイル33(U相コイル33u)に対して、相間最小位相差分、第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)にずらして、複数(24個)のスロット11に装着する工程である。残りの一の相コイル33は、第一装着工程で装着された相コイル33(U相コイル33u)と比べて、相間最小位相差分、位相が遅れる相コイル33(本実施形態では、V相コイル33v)をいう。相間最小位相差は、第一実施形態と同様であり、電気角で120°である。また、本実施形態の回転電機100は、第一実施形態と同様に、8極60スロット構成の回転電機であり、相間最小位相差(電気角120°)は、5スロットピッチ分に相当する。
【0242】
図50Bに示すように、V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、スロット底部11a側から引き出されている。V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、V相コイル33vの第三単位コイル20cのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。
【0243】
このように、V相コイル33vは、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の各渡り線(単位コイル間接続部31cおよび極コイル間接続部32c)とが交差していない。なお、V相コイル33vは、U相コイル33uの後に装着されるので、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21のうちの一方のコイルサイド21がスロット底部11a側に配設され、当該一対のコイルサイド21,21のうちの他方のコイルサイド21がスロット開口部11b側に配設される。つまり、V相のハーフコイル23hは、両側占有ハーフコイル23h1である。
【0244】
第三遅相装着工程は、複数(3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)がすべて複数(60個)のスロット11に装着されるまで、直近で装着した相コイル33と比べて相間最小位相差(電気角120°)分、位相が遅れる相コイル33を、直近で装着した相コイル33に対して、相間最小位相差(電気角120°)分、第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)にずらして、複数(24個)のスロット11に装着する工程である。本実施形態では、第二遅相装着工程の終了時に、W相コイル33wが装着されていない。そのため、第三遅相装着工程では、W相コイル33wを直近で装着した相コイル33(V相コイル33v)に対して、相間最小位相差(電気角120°)分、第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)にずらして、複数(24個)のスロット11に装着する。これにより、複数(3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)がすべて複数(60個)のスロット11に装着されるので、第三遅相装着工程は、終了する。
【0245】
図50Cに示すように、W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、スロット中央部11cから引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、W相コイル33wの第三単位コイル20cのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。
【0246】
W相コイル33wは、第一コイル引出部32fと、極対コイル32内の渡り線(単位コイル間接続部31c)とが接触して交差する。そのため、交差部位において、電気的な絶縁を確保するための対処が必要である。なお、極コイル間接続部32cは、第一コイル引出部32fと接触して交差しないので、電気的な絶縁を確保するための対処は、不要である。W相コイル33wの組み付けの結果、W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、W相コイル33wの極対コイル32内の各渡り線(単位コイル間接続部31cおよび極コイル間接続部32c)の第三方向(矢印Z方向)の固定子鉄心10側(紙面奥側)を通過する。また、W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、U相コイル33uの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を通過する。なお、W相コイル33vは、最後に装着されるので、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21は、いずれもスロット開口部11b側に配設される。つまり、W相のハーフコイル23hは、片側占有ハーフコイル23h2である。
【0247】
図51A〜
図51Dに示すように、複数(3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)は、U相コイル33u、W相コイル33w、V相コイル33vの順(相順と逆順序)に、複数(60個)のスロット11に装着することもできる(第十七変形形態)。この方法は、第一実施形態で既述の第一装着工程と、第二進相装着工程と、第三進相装着工程とを備える回転電機100の製造方法と同様の方法である。
【0248】
図51Aに示すように、第十七変形形態のU相コイル33uを装着した後の状態は、
図50Aに示す本実施形態のU相コイル33uを装着した後の状態と同じである。
図51Bに示すように、W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、スロット中央部11cから引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、W相コイル33wの第三単位コイル20cのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。
【0249】
W相コイル33wは、第一コイル引出部32fと、極対コイル32内の渡り線(単位コイル間接続部31c)とが接触して交差する。そのため、交差部位において、電気的な絶縁を確保するための対処が必要である。なお、極コイル間接続部32cは、第一コイル引出部32fと接触して交差しないので、電気的な絶縁を確保するための対処は、不要である。W相コイル33wの組み付けの結果、W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、W相コイル33wの極対コイル32内の各渡り線(単位コイル間接続部31cおよび極コイル間接続部32c)の第三方向(矢印Z方向)の固定子鉄心10側(紙面奥側)を通過する。また、W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、U相コイル33uの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を通過する。なお、W相コイル33wは、U相コイル33uの後に装着されるので、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21のうちの一方のコイルサイド21がスロット底部11a側に配設され、当該一対のコイルサイド21,21のうちの他方のコイルサイド21がスロット開口部11b側に配設される。つまり、W相のハーフコイル23hは、両側占有ハーフコイル23h1である。
【0250】
図51Cに示すように、V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、スロット中央部11cから引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、V相コイル33vの第三単位コイル20cのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。
【0251】
V相コイル33vは、第一コイル引出部32fと、極対コイル32内の渡り線(単位コイル間接続部31c)とが接触して交差する。そのため、交差部位において、電気的な絶縁を確保するための対処が必要である。なお、極コイル間接続部32cは、第一コイル引出部32fと接触して交差しないので、電気的な絶縁を確保するための対処は、不要である。V相コイル33vの組み付けの結果、V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、V相コイル33vの極対コイル32内の各渡り線(単位コイル間接続部31cおよび極コイル間接続部32c)の第三方向(矢印Z方向)の固定子鉄心10側(紙面奥側)を通過する。また、V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、W相コイル33wの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を通過する。なお、V相コイル33vは、最後に装着されるので、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21は、いずれもスロット開口部11b側に配設される。つまり、V相のハーフコイル23hは、片側占有ハーフコイル23h2である。
【0252】
第十七変形形態では、V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、スロット中央部11cから引き出されている。V相コイル33vは、第一コイル引出部32fと、極対コイル32内の渡り線(単位コイル間接続部31c)とが接触して交差する。以上のことは、W相コイル33wについても同様である。このように、第十七変形形態では、複数(3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)のうちの二相(V相およびW相)において、第一コイル引出部32fと、極対コイル32内の渡り線(単位コイル間接続部31c)とが接触して交差する。
【0253】
一方、本実施形態では、複数(3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)のうちの一相(W相)において、第一コイル引出部32fと、極対コイル32内の渡り線(単位コイル間接続部31c)とが接触して交差する。このように、本実施形態の回転電機100は、第十七変形形態の回転電機100と比べて、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(単位コイル間接続部31c)とが接触して交差する相数が少ない。よって、本実施形態の各極対コイル32は、第十七変形形態の各極対コイル32と比べて、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側のコイルエンド22が小型化され、その配策が簡素化される。
【0254】
また、
図51Dに示すように、第十七変形形態では、両側占有ハーフコイル23h1の第一ハーフスロット部位11d内の一点を始点とし第二ハーフスロット部位11e内の一点を終点とするベクトル(第一ベクトル35aに相当)と、極コイル間接続部32cの第一渡り線端部34aを始点とし第二渡り線端部34bを終点とするベクトル(第二ベクトル35bに相当)とのなす角は、機械角90°より大きい鈍角になっている。このことは、単位コイル間接続部31cについても同様に言える。
【0255】
一方、
図50Dに示すように、本実施形態では、両側占有ハーフコイル23h1の第一ハーフスロット部位11d内の一点を始点とし第二ハーフスロット部位11e内の一点を終点とするベクトル(第一ベクトル35aに相当)と、極コイル間接続部32cの第一渡り線端部34aを始点とし第二渡り線端部34bを終点とするベクトル(第二ベクトル35bに相当)とのなす角は、機械角90°より小さい鋭角になっている。このことは、単位コイル間接続部31cについても同様に言える。
【0256】
本実施形態の回転電機100によれば、上記構成により、両側占有ハーフコイル23h1のコイルエンド22、極対コイル32内の各渡り線(単位コイル間接続部31cおよび極コイル間接続部32c)および一対のコイル引出部32f,32sの間の干渉交差(接触して交差する状況)を低減することができ、他相横断引き出し線の数を低減することができる。よって、本実施形態の極対コイル32は、第十七変形形態の極対コイル32と比べて、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側のコイルエンド22が小型化され、その配策が簡素化される。
【0257】
<第四実施形態>
本実施形態は、第三実施形態と比べて、毎極毎相スロット数が異なる。また、本実施形態は、第三実施形態と比べて、ハーフコイル23hの配置が異なる。以下、第三実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0258】
(ハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置)
本実施形態の回転電機100は、8極36スロット構成の三相回転電機(可動子70の磁極数が2極、固定子40のスロット数が9スロットを基本構成とする三相回転電機)であり、毎極毎相スロット数は1.5である。また、
図52および
図53に示すように、本実施形態では、各極対コイル32は、第二極コイル31sにハーフコイル23hを備えている。第一極コイル31fは、一つの単位コイル20を備えており、当該単位コイル20を第一単位コイル20aとする。第一単位コイル20aの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、4スロットピッチに設定されている。第一単位コイル20aは、同心状に巻装されており、第一極コイル31fが形成されている。
【0259】
第二極コイル31sは、一つの単位コイル20を備えており、当該単位コイル20を第二単位コイル20bとする。第二単位コイル20bの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、3スロットピッチに設定されている。第二単位コイル20bは、同心状に巻装されており、第二極コイル31sが形成されている。本実施形態では、第一単位コイル20aは、フルコイル23fであり、第二単位コイル20bは、ハーフコイル23hである。
【0260】
また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1および第二単位コイル20bの巻進行方向W2は、いずれも第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)である。さらに、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、反時計回りである。また、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、時計回りである。
【0261】
第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する一つの単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する一つの単位コイル20(第二単位コイル20b)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。なお、
図53では、第一コイル引出部32fは、最もスロット底部11a側から引き出されており、第二コイル引出部32sは、スロット中央部11cから引き出されている。
【0262】
図53に示すように、本実施形態では、極コイル間接続部32cは、一対のコイル引出部32f,32sと交差していない。また、極コイル間接続部32cは、第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を渡らせることができる。
【0263】
各極対コイル32におけるハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置は、第十八変形形態の配置にすることもできる。
図54および
図55に示すように、第十八変形形態では、第四実施形態と比べて、一対のコイル引出部32f,32sの配置が異なる。
【0264】
本変形形態では、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する一つの単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する一つの単位コイル20(第二単位コイル20b)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。
図55では、第一コイル引出部32fは、最もスロット底部11a側から引き出されており、第二コイル引出部32sは、スロット中央部11cから引き出されている。
【0265】
なお、各極対コイル32は、第二極コイル31sにハーフコイル23hを備えている。また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1および第二単位コイル20bの巻進行方向W2は、いずれも第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)である。さらに、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、時計回りである。また、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、反時計回りである。
【0266】
本変形形態では、極コイル間接続部32cと第二コイル引出部32sとが接触して交差する。
図55に示すように、第二コイル引出部32sは、一旦、スロット開口部11bまで第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)に引き回された後、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。第二コイル引出部32sは、極コイル間接続部32cの第三方向(矢印Z方向)の固定子鉄心10側(紙面奥側)を一度通り、極コイル間接続部32cおよび第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回されている。この場合、各極対コイル32は、本実施形態と比べて、第三方向(矢印Z方向)の外側に大型化する。
【0267】
なお、第二コイル引出部32sは、上述した交差を回避するために、極コイル間接続部32cの配策方向に沿って引き回し、隣接する他の極対コイル32の第一コイル引出部32fが引き出されるスロット底部11a側の部位近傍から引き出すこともできる。この場合、第一コイル引出部32fと第二コイル引出部32sとが近接し、これらの配策作業および極対コイル32間の接続作業等の作業性が低下する可能性がある。
【0268】
また、各極対コイル32におけるハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置は、第十九変形形態の配置にすることもできる。
図56および
図57に示すように、第十九変形形態では、第四実施形態と比べて、ハーフコイル23hの配置が異なる。
【0269】
本変形形態では、各極対コイル32は、第一極コイル31fにハーフコイル23hを備えている。第一極コイル31fは、一つの単位コイル20を備えており、当該単位コイル20を第一単位コイル20aとする。第一単位コイル20aの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、3スロットピッチに設定されている。第一単位コイル20aは、同心状に巻装されており、第一極コイル31fが形成されている。
【0270】
第二極コイル31sは、一つの単位コイル20を備えており、当該単位コイル20を第二単位コイル20bとする。第二単位コイル20bの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチは、4スロットピッチに設定されている。第二単位コイル20bは、同心状に巻装されており、第二極コイル31sが形成されている。本実施形態では、第一単位コイル20aは、ハーフコイル23hであり、第二単位コイル20bは、フルコイル23fである。
【0271】
また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1および第二単位コイル20bの巻進行方向W2は、いずれも第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)である。さらに、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、反時計回りである。また、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、時計回りである。
【0272】
本変形形態では、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する一つの単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する一つの単位コイル20(第二単位コイル20b)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。なお、
図57では、第一コイル引出部32fは、最もスロット底部11a側から引き出されており、第二コイル引出部32sは、最もスロット開口部11b側から引き出されている。
【0273】
図57に示すように、本変形形態では、極コイル間接続部32cは、一対のコイル引出部32f,32sと交差していない。また、極コイル間接続部32cは、第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を渡らせることができる。
【0274】
各極対コイル32におけるハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置は、第二十変形形態の配置にすることもできる。
図58および
図59に示すように、第二十変形形態では、第十九変形形態と比べて、一対のコイル引出部32f,32sの配置が異なる。
【0275】
本変形形態では、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する一つの単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する一つの単位コイル20(第二単位コイル20b)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。
図59では、第一コイル引出部32fは、最もスロット底部11a側から引き出されており、第二コイル引出部32sは、最もスロット開口部11b側から引き出されている。
【0276】
なお、各極対コイル32は、第一極コイル31fにハーフコイル23hを備えている。また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1および第二単位コイル20bの巻進行方向W2は、いずれも第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)である。さらに、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、時計回りである。また、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、反時計回りである。
【0277】
本変形形態では、極コイル間接続部32cと第二コイル引出部32sとが接触して交差する。第二コイル引出部32sは、第二単位コイル20bのコイルエンド22および極コイル間接続部32cの第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回されている。この場合、各極対コイル32は、本実施形態と比べて、第三方向(矢印Z方向)の外側に大型化する。
【0278】
なお、第二コイル引出部32sは、上述した交差を回避するために、極コイル間接続部32cの引き回し先に向かって引き回し、隣接する他の極対コイル32の第一コイル引出部32fが引き出されるスロット底部11a側の部位近傍から引き出すこともできる。この場合、第一コイル引出部32fと第二コイル引出部32sとが近接し、これらの配策作業および極対コイル32間の接続作業等の作業性が低下する可能性がある。
【0279】
本実施形態の回転電機100によれば、毎極毎相スロット数は1.5である。また、各極対コイル32は、第二極コイル31sにハーフコイル23hを備えている。さらに、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する一つの単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する一つの単位コイル20(第二単位コイル20b)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。なお、第一単位コイル20aは、フルコイル23fであり、第二単位コイル20bは、ハーフコイル23hである。
【0280】
本実施形態では、極コイル間接続部32cは、一対のコイル引出部32f,32sと交差していない。このことは、各極対コイル32におけるハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sを第三実施形態と同様に配置した第十九変形形態についても同様に言える。このように、本実施形態および第十九変形形態の各極対コイル32は、第十八変形形態および第二十変形形態の各極対コイル32と比べて、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側のコイルエンド22が小型化され、その配策が簡素化される。
【0281】
本実施形態の回転電機100は、毎極毎相スロット数が1.5であるので、各極対コイル32は、一つのフルコイル23fと、一つのハーフコイル23hとを備える。そのため、各極対コイル32は、単位コイル間接続部31cが不要であり、極対コイル32内の渡り線が簡素化される。よって、本実施形態の回転電機100は、毎極毎相スロット数が2.5以上の場合と比べて、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)と、一対のコイル引出部32f,32sとの間の干渉交差(接触して交差する状況)が低減される。
【0282】
(相コイル33の配置)
複数(本実施形態では、3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)は、第三実施形態で既述の第一装着工程と、第二遅相装着工程と、第三遅相装着工程とを備える回転電機100の製造方法によって、複数(36個)のスロット11に装着されると好適である。これにより、
図60A〜
図60Dに示すように、複数(3つ)の相コイル33は、U相コイル33u、V相コイル33v、W相コイル33wの順に組み付けられる。
【0283】
図60Aに示すように、U相コイル33uの第一コイル引出部32fは、スロット底部11a側から引き出されている。U相コイル33uの第二コイル引出部32sは、スロット中央部11cから引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。U相コイル33uの第二コイル引出部32sは、U相コイル33uの第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。
【0284】
このように、U相コイル33uは、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。また、U相コイル33uは、最初に装着されるので、他の相コイル33(V相コイル33vおよびW相コイル33w)の影響を受けることなく、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21は、いずれもスロット底部11a側に配設される。つまり、U相のハーフコイル23hは、片側占有ハーフコイル23h2である。
【0285】
図60Bに示すように、V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、スロット底部11a側から引き出されている。V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、スロット中央部11cから引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、V相コイル33vの第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。
【0286】
このように、V相コイル33vは、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。なお、V相コイル33vは、U相コイル33uの後に装着されるので、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21のうちの一方のコイルサイド21がスロット底部11a側に配設され、当該一対のコイルサイド21,21のうちの他方のコイルサイド21がスロット開口部11b側に配設される。つまり、V相のハーフコイル23hは、両側占有ハーフコイル23h1である。
【0287】
図60Cに示すように、W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、スロット底部11a側から引き出されている。W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、W相コイル33wの第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。
【0288】
このように、W相コイル33wは、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。また、W相コイル33wは、最後に装着されるので、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21は、いずれもスロット開口部11b側に配設される。つまり、W相のハーフコイル23hは、片側占有ハーフコイル23h2である。
【0289】
以上のように、三相の相コイル33(U相コイル33u,V相コイル33v,W相コイル33w)は、いずれの相においても、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。なお、U相コイル33uの第二コイル引出部32sは、スロット中央部11cから引き出されるが、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)と干渉しない。このことは、V相コイル33vの第二コイル引出部32sについても同様に言える。
【0290】
また、W相コイル33wの組み付けの結果、W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、U相コイル33uの第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を通過する。つまり、本実施形態では、他相横断引き出し線は、一相分であり、W相コイル33wの第二コイル引出部32sである。
【0291】
図61A〜
図61Dに示すように、複数(3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)は、U相コイル33u、W相コイル33w、V相コイル33vの順(相順と逆順序)に、複数(36個)のスロット11に装着することもできる(第二十一変形形態)。この方法は、第一実施形態で既述の第一装着工程と、第二進相装着工程と、第三進相装着工程とを備える回転電機100の製造方法と同様の方法である。
【0292】
図61Aに示すように、第二十一変形形態のU相コイル33uを装着した後の状態は、
図60Aに示す本実施形態のU相コイル33uを装着した後の状態と同じである。
図61Bに示すように、W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、スロット底部11a側から引き出されている。W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、W相コイル33wの第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。
【0293】
このように、W相コイル33wは、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。なお、W相コイル33wは、U相コイル33uの後に装着されるので、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21のうちの一方のコイルサイド21がスロット底部11a側に配設され、当該一対のコイルサイド21,21のうちの他方のコイルサイド21がスロット開口部11b側に配設される。つまり、W相のハーフコイル23hは、両側占有ハーフコイル23h1である。
【0294】
図61Cに示すように、V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、スロット底部11a側から引き出されている。V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、V相コイル33vの第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。
【0295】
このように、V相コイル33vは、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。また、V相コイル33vは、最後に装着されるので、ハーフコイル23hの一対のコイルサイド21,21は、いずれもスロット開口部11b側に配設される。つまり、V相のハーフコイル23hは、片側占有ハーフコイル23h2である。
【0296】
以上のように、三相の相コイル33(U相コイル33u,V相コイル33v,W相コイル33w)は、いずれの相においても、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。なお、U相コイル33uの第二コイル引出部32sは、スロット中央部11cから引き出されるが、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)と干渉しない。
【0297】
また、V相コイル33vの組み付けの結果、V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、W相コイル33wの第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を通過する。同様に、W相コイル33wの組み付けの結果、W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、U相コイル33uの第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を通過する。つまり、第二十一変形形態では、他相横断引き出し線は、二相分であり、V相コイル33vの第二コイル引出部32sおよびW相コイル33wの第二コイル引出部32sである。
【0298】
一方、本実施形態では、他相横断引き出し線は、一相分であり、W相コイル33wの第二コイル引出部32sである。このように、本実施形態の回転電機100は、第二十一変形形態の回転電機100と比べて、他相横断引き出し線の相数が少ない。よって、本実施形態の回転電機100は、第二十一変形形態の回転電機100と比べて、相コイル33間の電気的な絶縁が必要な絶縁部位を低減することができる。
【0299】
また、
図61Dに示すように、第二十一変形形態では、両側占有ハーフコイル23h1の第一ハーフスロット部位11d内の一点を始点とし第二ハーフスロット部位11e内の一点を終点とするベクトル(第一ベクトル35aに相当)と、極コイル間接続部32cの第一渡り線端部34aを始点とし第二渡り線端部34bを終点とするベクトル(第二ベクトル35bに相当)とのなす角は、機械角90°より大きい鈍角になっている。
【0300】
一方、
図60Dに示すように、本実施形態では、両側占有ハーフコイル23h1の第一ハーフスロット部位11d内の一点を始点とし第二ハーフスロット部位11e内の一点を終点とするベクトル(第一ベクトル35aに相当)と、極コイル間接続部32cの第一渡り線端部34aを始点とし第二渡り線端部34bを終点とするベクトル(第二ベクトル35bに相当)とのなす角は、機械角90°より小さい鋭角になっている。
【0301】
本実施形態の回転電機100によれば、上記構成により、両側占有ハーフコイル23h1のコイルエンド22、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)および一対のコイル引出部32f,32sの間の干渉交差(接触して交差する状況)を低減することができ、他相横断引き出し線の数を低減することができる。よって、本実施形態の極対コイル32は、第二十一変形形態の極対コイル32と比べて、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側のコイルエンド22が小型化され、その配策が簡素化される。
【0302】
相コイル33(U相コイル33u,V相コイル33v,W相コイル33w)の配置について既述したことは、第十九変形形態においても、本実施形態と同様に言える。具体的には、
図62A〜
図62Dに示すように、第十九変形形態においても、複数(3つ)の相コイル33(U相コイル33u、V相コイル33vおよびW相コイル33w)は、U相コイル33u、V相コイル33v、W相コイル33wの順に、複数(36個)のスロット11に装着すると好適である。
【0303】
図62Aに示すように、U相コイル33uの第一コイル引出部32fは、スロット底部11a側から引き出されている。U相コイル33uの第二コイル引出部32sは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。U相コイル33uの第二コイル引出部32sは、U相コイル33uの第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。このように、U相コイル33uは、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。また、U相のハーフコイル23hは、片側占有ハーフコイル23h2である。
【0304】
図62Bに示すように、V相コイル33vの第一コイル引出部32fは、スロット底部11a側から引き出されている。V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、V相コイル33vの第二単位コイル20bのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を引き回すことができる。このように、V相コイル33vは、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。また、V相のハーフコイル23hは、両側占有ハーフコイル23h1である。
【0305】
図62Cに示すように、W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、スロット中央部11cから引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。W相コイル33wは、第一コイル引出部32fと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが接触して交差している。そのため、交差部位において、電気的な絶縁を確保するための対処が必要である。W相コイル33wの組み付けの結果、W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、U相コイル33uの第一単位コイル20aのコイルエンド22の第三方向(矢印Z方向)のさらに外側(紙面手前側)を通過する。つまり、本変形形態では、他相横断引き出し線は、一相分であり、W相コイル33wの第一コイル引出部32fである。なお、W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。また、W相のハーフコイル23hは、片側占有ハーフコイル23h2である。
【0306】
一方、本実施形態では、三相の相コイル33(U相コイル33u,V相コイル33v,W相コイル33w)は、いずれの相においても、一対のコイル引出部32f,32sと、極対コイル32内の渡り線(極コイル間接続部32c)とが交差していない。また、本実施形態では、他相横断引き出し線は、一相分であり、W相コイル33wの第二コイル引出部32sである。
【0307】
既述したように、本実施形態および第十九変形形態の各極対コイル32は、第十八変形形態および第二十変形形態の各極対コイル32と比べて、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側のコイルエンド22が小型化され、その配策が簡素化される。さらに、相コイル33(U相コイル33u,V相コイル33v,W相コイル33w)の配置を考慮すると、本実施形態の各極対コイル32は、第十九変形形態の各極対コイル32と比べて、好適であり、第十八変形形態〜第二十変形形態までの各極対コイル32と比べて、最も好適であると言える。
【0308】
なお、第十九変形形態では、W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、スロット中央部11cから引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。つまり、W相コイル33wの第一コイル引出部32fは、スロット11の横断長がハーフ横断長(長さ比は0.5)である。なお、U相コイル33uの第一コイル引出部32fは、スロット底部11a側から引き出されており、スロット11を横断しない。このことは、V相コイル33vの第一コイル引出部32fについても同様である。
【0309】
U相コイル33uの第二コイル引出部32sは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。つまり、U相コイル33uの第二コイル引出部32sは、スロット11の横断長がフル横断長(長さ比は1)である。このことは、V相コイル33vの第二コイル引出部32sについても同様であり、W相コイル33wの第二コイル引出部32sについても同様である。以上から、三相分の一対のコイル引出部32f,32sのスロット11の横断長は、フル横断長が3つ分(長さ比は3)と、ハーフ横断長が一つ分(長さ比は0.5)とを合算して、長さ比が3.5になる。
【0310】
一方、本実施形態では、U相コイル33uの第一コイル引出部32fは、スロット底部11a側から引き出されており、スロット11を横断しない。このことは、V相コイル33vの第一コイル引出部32fについても同様であり、W相コイル33wの第一コイル引出部32fについても同様である。
【0311】
U相コイル33uの第二コイル引出部32sは、スロット中央部11cから引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。つまり、U相コイル33uの第二コイル引出部32sは、スロット11の横断長がハーフ横断長(長さ比は0.5)である。V相コイル33vの第二コイル引出部32sは、U相コイル33uの第二コイル引出部32sと同様である。W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、スロット開口部11b側から引き出されて、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)に引き回されている。つまり、W相コイル33wの第二コイル引出部32sは、スロット11の横断長がフル横断長(長さ比は1)である。
【0312】
以上から、三相分の一対のコイル引出部32f,32sのスロット11の横断長は、フル横断長が一つ分(長さ比は1)と、ハーフ横断長が二つ分(長さ比は1)とを合算して、長さ比が2になる。このように、本実施形態の各極対コイル32は、第十九変形形態の各極対コイル32と比べて、スロット11の横断長が短縮化されている。
【0313】
<空隙面50gを境界面にした鏡面対称関係にある固定子コイル30>
上述の実施形態や変形形態では、可動子70が固定子40の内方に設けられる回転電機100を例に説明した。しかしながら、本発明に係る回転電機は、可動子70が固定子40の外方に設けられる回転電機についても同様に適用することができる。第二十二変形形態は、第一実施形態と比べて、可動子70が固定子40の外方に設けられている点で異なる。以下、
図63および
図64に基づいて、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0314】
ここで、
図1に示す固定子40と可動子70との間の空隙に形成される仮想の面であって、第一方向(矢印X方向)に沿って形成される面を空隙面50gとする。
図64に示す極対コイル32は、空隙面50gを境界面にして、
図9に示す極対コイル32を折り返した状態(鏡像)を示している。
図64では、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)は、紙面下方になり、第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)は、紙面上方になる。
【0315】
図63は、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット底部11a側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。第二十二変形形態の極対コイル32と第一実施形態の極対コイル32とは、上述した鏡像関係にあるので、
図63に示す第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット底部11a側から視た極対コイル32は、
図2に示す第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32に対応する。
【0316】
図63および
図64に示すように、各極対コイル32を構成する複数(3つ)の単位コイル20(第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)の各巻進行方向(矢印W1方向、矢印W2方向および矢印W3方向)は、いずれも第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)である。また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、時計回りである。さらに、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、反時計回りであり、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、反時計回りである。
【0317】
また、各極対コイル32は、第二極コイル31sにハーフコイル23hを備えている。さらに、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する一つの単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する複数(2つ)の単位コイル20(第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20(第三単位コイル20c)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。なお、
図64では、第一コイル引出部32fは、最もスロット開口部11b側から引き出されており、第二コイル引出部32sは、最もスロット底部11a側から引き出されている。
【0318】
このように、本変形形態では、各極対コイル32における各単位コイル20の巻進行方向が第一実施形態と同様の方向になっている。ハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置についても同様である。また、相コイル33(U相コイル33u,V相コイル33v,W相コイル33w)の配置についても同様である。しかしながら、各単位コイル20の巻進行方向から視た各単位コイル20の巻方向は、第一実施形態と異なっている。そのため、各単位コイル20に流れる電流の位相が第一実施形態と同じ場合、空隙面50gに発生する磁極配置(磁極の極性)が反転し、空隙面50gに発生する磁極配置の鏡面関係が維持できなくなる。そこで、本変形形態では、各単位コイル20の電流方向は、第一実施形態の電流方向に対して反転させる必要がある。上述したことは、第一実施形態で既述した変形形態、第二実施形態、第二実施形態で既述した変形形態についても同様に言える。
【0319】
上述したことは、第三実施形態についても同様に言える。以下、
図65および
図66に基づいて、第二十三変形形態について、第三実施形態と異なる点を中心に説明する。
図66に示す極対コイル32は、空隙面50gを境界面にして、
図43に示す極対コイル32を折り返した状態(鏡像)を示している。
図66では、第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)は、紙面下方になり、第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)は、紙面上方になる。
【0320】
図65は、第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット底部11a側から視た極対コイル32の構成例を模式的に示す図である。第二十三変形形態の極対コイル32と第三実施形態の極対コイル32とは、上述した鏡像関係にあるので、
図65に示す第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット底部11a側から視た極対コイル32は、
図42に示す第二方向(矢印Y方向)のうちのスロット開口部11b側から視た極対コイル32に対応する。
【0321】
図65および
図66に示すように、各極対コイル32を構成する複数(3つ)の単位コイル20(第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)の各巻進行方向(矢印W1方向、矢印W2方向および矢印W3方向)は、いずれも第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)である。また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、時計回りであり、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、時計回りである。第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、反時計回りである。
【0322】
また、各極対コイル32は、第一極コイル31fにハーフコイル23hを備えている。さらに、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する複数(2つ)の単位コイル20(第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20b)のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する一つの単位コイル20(第三単位コイル20c)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。なお、
図66では、第一コイル引出部32fは、最もスロット底部11a側から引き出されており、第二コイル引出部32sは、最もスロット開口部11b側から引き出されている。
【0323】
このように、本変形形態では、各極対コイル32における各単位コイル20の巻進行方向が第三実施形態と同様の方向になっている。ハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置についても同様である。また、相コイル33(U相コイル33u,V相コイル33v,W相コイル33w)の配置についても同様である。しかしながら、各単位コイル20の巻進行方向から視た各単位コイル20の巻方向は、第三実施形態と異なっている。よって、本変形形態では、各単位コイル20の電流方向は、第三実施形態の電流方向に対して反転させる必要がある。上述したことは、第三実施形態で既述した変形形態、第四実施形態、第四実施形態で既述した変形形態についても同様に言える。
【0324】
このように、各単位コイル20の電流方向を、既述した実施形態や変形形態の電流方向に対して反転させることにより、空隙面50gを境界面にした鏡面対称関係にある固定子コイル30に本発明を適用することができる。
【0325】
<スロット中央面40cを境界面にした鏡面対称関係にある固定子コイル30>
本発明は、スロット中央面40cを境界面にした鏡面対称関係にある固定子コイル30についても同様に適用することができる。第二十四変形形態は、第一実施形態と比べて、固定子コイル30がスロット中央面40cを境界面にした鏡面対称関係になっている点で異なる。以下、
図67および
図68に基づいて、第一実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0326】
ここで、
図1に示すように、第二方向(矢印Y方向)および第三方向(矢印Z方向)によって形成される仮想の平面であって、スロット11を二等分する平面をスロット中央面40cとする。
図68に示す極対コイル32は、スロット中央面40cを境界面にして、
図9に示す極対コイル32を折り返した状態(鏡像)を示している。
図68では、第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)は、紙面右方になり、第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)は、紙面左方になる。このことは、
図67に示す極対コイル32と、
図2に示す極対コイル32との間の関係についても同様に言える。
【0327】
図67および
図68に示すように、各極対コイル32を構成する複数(3つ)の単位コイル20(第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)の各巻進行方向(矢印W1方向、矢印W2方向および矢印W3方向)は、いずれも第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)である。また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、時計回りである。さらに、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、反時計回りであり、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、反時計回りである。
【0328】
また、各極対コイル32は、第二極コイル31sにハーフコイル23hを備えている。さらに、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する一つの単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する複数(2つ)の単位コイル20(第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20(第三単位コイル20c)の第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。なお、
図68では、第一コイル引出部32fは、最もスロット開口部11b側から引き出されており、第二コイル引出部32sは、最もスロット底部11a側から引き出されている。
【0329】
このように、本変形形態では、各極対コイル32における各単位コイル20の巻進行方向が第一実施形態と同様の方向になっている。ハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置についても同様である。また、相コイル33(U相コイル33u,V相コイル33v,W相コイル33w)の配置についても同様である。しかしながら、各単位コイル20の巻進行方向から視た各単位コイル20の巻方向は、第一実施形態と異なっている。よって、本変形形態では、各単位コイル20の電流方向は、第一実施形態の電流方向に対して反転させる必要がある。上述したことは、第一実施形態で既述した変形形態、第二実施形態、第二実施形態で既述した変形形態についても同様に言える。
【0330】
上述したことは、第三実施形態についても同様に言える。以下、
図69および
図70に基づいて、第二十五変形形態について、第三実施形態と異なる点を中心に説明する。
図70に示す極対コイル32は、スロット中央面40cを境界面にして、
図43に示す極対コイル32を折り返した状態(鏡像)を示している。
図70では、第一方向第一極コイル側(矢印X1方向)は、紙面右方になり、第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)は、紙面左方になる。このことは、
図69に示す極対コイル32と、
図42に示す極対コイル32との間の関係についても同様に言える。
【0331】
図69および
図70に示すように、各極対コイル32を構成する複数(3つ)の単位コイル20(第一単位コイル20a、第二単位コイル20bおよび第三単位コイル20c)の各巻進行方向(矢印W1方向、矢印W2方向および矢印W3方向)は、いずれも第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)である。また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、時計回りであり、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、時計回りである。第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、反時計回りである。
【0332】
また、各極対コイル32は、第一極コイル31fにハーフコイル23hを備えている。さらに、第一コイル引出部32fは、第一極コイル31fを構成する複数(2つ)の単位コイル20(第一単位コイル20aおよび第二単位コイル20b)のうちの一対のコイルサイド21,21間のコイルピッチが最小の単位コイル20(第一単位コイル20a)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第一コイルサイド21a)から引き出されている。また、第二コイル引出部32sは、第二極コイル31sを構成する一つの単位コイル20(第三単位コイル20c)の第一方向第二極コイル側(矢印X2方向)のコイルサイド21(第二コイルサイド21b)から引き出されている。なお、
図70では、第一コイル引出部32fは、最もスロット底部11a側から引き出されており、第二コイル引出部32sは、最もスロット開口部11b側から引き出されている。
【0333】
このように、本変形形態では、各極対コイル32における各単位コイル20の巻進行方向が第三実施形態と同様の方向になっている。ハーフコイル23hおよび一対のコイル引出部32f,32sの配置についても同様である。また、相コイル33(U相コイル33u,V相コイル33v,W相コイル33w)の配置についても同様である。しかしながら、各単位コイル20の巻進行方向から視た各単位コイル20の巻方向は、第三実施形態と異なっている。よって、本変形形態では、各単位コイル20の電流方向は、第三実施形態の電流方向に対して反転させる必要がある。上述したことは、第三実施形態で既述した変形形態、第四実施形態、第四実施形態で既述した変形形態についても同様に言える。
【0334】
このように、各単位コイル20の電流方向を、既述した実施形態や変形形態の電流方向に対して反転させることにより、スロット中央面40cを境界面にした鏡面対称関係にある固定子コイル30についても同様に本発明を適用することができる。
【0335】
<円筒状回転電機>
円筒状回転電機では、以下に示す関係がある。なお、第三方向(矢印Z方向)のうちの一対のコイル引出部32f,32s側から視た極コイル間接続部32cの渡り方向(第一極コイル31f側から第二極コイル31s側に向かう方向)を極コイル間接続部渡り方向とする。また、相コイル33(U相コイル33u,V相コイル33v,W相コイル33w)の組み付けにおいて、直近で装着した相コイル33に対して、相間最小位相差(電気角120°)分、ずらすときのずらし方向を相コイル組み付け方向とする。
【0336】
第一実施形態では、第一単位コイル20aの巻進行方向W1、第二単位コイル20bの巻進行方向W2および第三単位コイル20cの巻進行方向W3は、いずれも第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)である。また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、反時計回りである。さらに、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、時計回りであり、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、時計回りである。また、ハーフコイル23hは、第三単位コイル20cである。
【0337】
極コイル間接続部渡り方向は、時計回りになるので、極コイル間接続部渡り方向は、第一単位コイル20aの巻方向に対して逆方向であり、第二単位コイル20bの巻方向および第三単位コイル20cの巻方向に対して同じ方向である。相コイル組み付け方向は、反時計回りになるので、相コイル組み付け方向は、ハーフコイル23hの巻方向に対して逆方向である。
【0338】
第三実施形態では、第一単位コイル20aの巻進行方向W1、第二単位コイル20bの巻進行方向W2および第三単位コイル20cの巻進行方向W3は、いずれも第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)である。また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、反時計回りであり、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、反時計回りである。さらに、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、時計回りである。また、ハーフコイル23hは、第一単位コイル20aである。
【0339】
極コイル間接続部渡り方向は、時計回りになるので、極コイル間接続部渡り方向は、第一単位コイル20aの巻方向および第二単位コイル20bの巻方向に対して逆方向であり、第三単位コイル20cの巻方向に対して同じ方向である。相コイル組み付け方向は、時計回りになるので、相コイル組み付け方向は、ハーフコイル23hの巻方向に対して逆方向である。
【0340】
第二十二変形形態では、第一単位コイル20aの巻進行方向W1、第二単位コイル20bの巻進行方向W2および第三単位コイル20cの巻進行方向W3は、いずれも第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)である。また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、時計回りである。さらに、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、反時計回りであり、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、反時計回りである。また、ハーフコイル23hは、第三単位コイル20cである。
【0341】
極コイル間接続部渡り方向は、時計回りになるので、極コイル間接続部渡り方向は、第一単位コイル20aの巻方向に対して同じ方向であり、第二単位コイル20bの巻方向および第三単位コイル20cの巻方向に対して逆方向である。相コイル組み付け方向は、反時計回りになるので、相コイル組み付け方向は、ハーフコイル23hの巻方向に対して同じ方向である。
【0342】
第二十三変形形態では、第一単位コイル20aの巻進行方向W1、第二単位コイル20bの巻進行方向W2および第三単位コイル20cの巻進行方向W3は、いずれも第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)である。また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、時計回りであり、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、時計回りである。さらに、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、反時計回りである。また、ハーフコイル23hは、第一単位コイル20aである。
【0343】
極コイル間接続部渡り方向は、時計回りになるので、極コイル間接続部渡り方向は、第一単位コイル20aの巻方向および第二単位コイル20bの巻方向に対して同じ方向であり、第三単位コイル20cの巻方向に対して逆方向である。相コイル組み付け方向は、時計回りになるので、相コイル組み付け方向は、ハーフコイル23hの巻方向に対して同じ方向である。
【0344】
第二十四変形形態では、第一単位コイル20aの巻進行方向W1、第二単位コイル20bの巻進行方向W2および第三単位コイル20cの巻進行方向W3は、いずれも第二方向スロット底部側(矢印Y1方向)である。また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、時計回りである。さらに、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、反時計回りであり、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、反時計回りである。また、ハーフコイル23hは、第三単位コイル20cである。
【0345】
極コイル間接続部渡り方向は、反時計回りになるので、極コイル間接続部渡り方向は、第一単位コイル20aの巻方向に対して逆方向であり、第二単位コイル20bの巻方向および第三単位コイル20cの巻方向に対して同じ方向である。相コイル組み付け方向は、時計回りになるので、相コイル組み付け方向は、ハーフコイル23hの巻方向に対して逆方向である。
【0346】
第二十五変形形態では、第一単位コイル20aの巻進行方向W1、第二単位コイル20bの巻進行方向W2および第三単位コイル20cの巻進行方向W3は、いずれも第二方向スロット開口部側(矢印Y2方向)である。また、第一単位コイル20aの巻進行方向W1から視た第一単位コイル20aの巻方向は、時計回りであり、第二単位コイル20bの巻進行方向W2から視た第二単位コイル20bの巻方向は、時計回りである。さらに、第三単位コイル20cの巻進行方向W3から視た第三単位コイル20cの巻方向は、反時計回りである。また、ハーフコイル23hは、第一単位コイル20aである。
【0347】
極コイル間接続部渡り方向は、反時計回りになるので、極コイル間接続部渡り方向は、第一単位コイル20aの巻方向および第二単位コイル20bの巻方向に対して逆方向であり、第三単位コイル20cの巻方向に対して同じ方向である。相コイル組み付け方向は、反時計回りになるので、相コイル組み付け方向は、ハーフコイル23hの巻方向に対して逆方向である。
【0348】
なお、第二十四変形形態では、極対コイル32および相順方向(三相の相コイル33の配設方向)の両方が、第一実施形態に対して、スロット中央面40cを境界面にした鏡面対称関係にある。しかしながら、上述したことは、極対コイル32および相順方向(三相の相コイル33の配設方向)の一方のみが、第一実施形態に対して、スロット中央面40cを境界面にした鏡面対称関係にある形態についても同様に言える。また、以上のことは、第二十五変形形態についても同様に言える。つまり、いずれの場合も、相コイル組み付け方向は、ハーフコイル23hの巻方向に対して逆方向になる。
【0349】
<その他>
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施することができる。例えば、上記実施形態では、8極の回転電機を例に説明したが、極数およびスロット数は、実施形態で示す極数およびスロット数に限定されるものではない。また、本発明は、三相回転電機に限定されるものではなく、複数の相コイル33を備える多相回転電機に適用することができる。さらに、本発明は、固定子40および可動子70が同軸に配されるラジアル空隙型やアキシャル空隙型の円筒状回転電機に限定されるものではなく、固定子40および可動子70が直線上に配され、可動子70が固定子40に対して直線上に移動するリニア型電動機やリニア型発電機に適用することもできる。また、本発明の回転電機は、種々の回転電機に用いることができ、例えば、車両の駆動用電動機、発電機、産業用の電動機、発電機などに用いることができる。