特許第6707893号(P6707893)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6707893
(24)【登録日】2020年5月25日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】分注装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 35/10 20060101AFI20200601BHJP
   G01N 35/04 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   G01N35/10 A
   G01N35/04 H
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-31227(P2016-31227)
(22)【出願日】2016年2月22日
(65)【公開番号】特開2017-150844(P2017-150844A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2018年12月18日
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成27年度、国立研究開発法人日本医療研究開発機構、再生医療の産業化に向けた評価基盤技術開発事業(再生医療の産業化に向けた細胞製造・加工システムの開発)、「再生医療の産業化に向けた細胞製造・加工システムの開発」委託研究開発、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000253019
【氏名又は名称】澁谷工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100086852
【弁理士】
【氏名又は名称】相川 守
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 隆
(72)【発明者】
【氏名】寺田 満洋
(72)【発明者】
【氏名】丸川 紘生
【審査官】 川瀬 正巳
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−049479(JP,U)
【文献】 特開2009−180607(JP,A)
【文献】 特開2005−003426(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/10
G01N 35/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップが装着された複数の容器を第1の方向に整列した状態で保持する移動テーブルと、
前記移動テーブルを前記第1の方向に沿って、施栓位置と前記施栓位置から所定距離離れた充填位置の間において往復移動させるテーブル駆動手段と、
前記施栓位置に設けられ、容器に対するデキャッピングおよびキャッピングを実行可能な施栓手段と、
前記充填位置に設けられ、容器に内容物を充填する充填手段とを備え、
前記テーブル駆動手段が前記移動テーブルを前記施栓位置と前記充填位置の間を往復移動させる間に、前記施栓手段と前記充填手段が前記複数の容器に対して、デキャッピングと充填とキャッピングを順次行うことを特徴とする分注装置。
【請求項2】
前記テーブル駆動手段は、所定の容器に対して、前記施栓手段によってデキャッピングした後、前記充填手段によって内容物を充填し、前記施栓手段によってキャッピングするように、前記移動テーブルを往復移動させることを特徴とする請求項1に記載の分注装置。
【請求項3】
前記テーブル駆動手段は、前記所定の容器に対して前記施栓手段がキャッピングを行った後、前記所定の容器とは異なる容器に対してデキャッピングを行なうように、前記移動テーブルを移動させることを特徴とする請求項2に記載の分注装置。
【請求項4】
前記移動テーブルが、前記第1の方向に直交する第2の方向に沿って、複数の容器列を保持することを特徴とする請求項1に記載の分注装置。
【請求項5】
前記第2の方向における前記移動テーブルの位置を定めるテーブル位置決め手段をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の分注装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親検体容器に貯留された細胞等の懸濁液を、複数の冷凍保存容器等の子検体容器に分注する分注装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、分注装置として特許文献1に開示された構成が知られている。この分注装置は、分注ヘッドが親検体容器から親検体を採取して子検体ラックまで搬送し、子検体ラックに収容された子検体容器に子検体として分注するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−323965号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、細胞等の懸濁液を冷凍保存容器に分注する作業は、無菌操作室内において人手によって行われるため、周囲環境や作業者による汚染のリスクが懸念されるという問題がある。しかし特許文献1の装置は、分注を自動的に実施するように構成されているが、分注に先立って子検体容器のキャップを取外す作業、および分注後に子検体容器にキャップを取付ける作業については、人手によって行わなければならず、迅速かつ安定した品質で分注作業を行うことは困難であった。
【0005】
本発明は、複数の容器に対するデキャッピング、充填、キャッピングを連続的に行うように構成することにより、迅速かつ安定した品質で分注作業を行うことができる分注装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、キャップが装着された複数の容器を第1の方向に整列した状態で保持する移動テーブルと、移動テーブルを第1の方向に沿って、施栓位置と施栓位置から所定距離離れた充填位置の間において往復移動させるテーブル駆動手段と、施栓位置に設けられ、容器に対するデキャッピングおよびキャッピングを実行可能な施栓手段と、充填位置に設けられ、容器に内容物を充填する充填手段とを備え、テーブル駆動手段が移動テーブルを施栓位置と充填位置の間を往復移動させる間に、施栓手段と充填手段が複数の容器に対して、デキャッピングと充填とキャッピングを順次行うことを特徴としている。
【0007】
テーブル駆動手段は例えば、所定の容器に対して、施栓手段によってデキャッピングした後、充填手段によって内容物を充填し、施栓手段によってキャッピングするように、移動テーブルを往復移動させる。この場合、テーブル駆動手段は、所定の容器に対して施栓手段がキャッピングを行った後、所定の容器とは異なる容器に対してデキャッピングを行なうように、移動テーブルを移動させることが好ましい。
【0008】
移動テーブルは、第1の方向に直交する第2の方向に沿って、複数の容器列を保持するように構成されてもよい。この場合分注装置は、第2の方向における移動テーブルの位置を定めるテーブル位置決め手段をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の容器に対するデキャッピング、充填、キャッピングを連続的に行うように構成することにより、迅速かつ安定した品質で分注作業を行うことができる分注装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態を適用した分注装置を示す側面図である。
図2図1に示す分注装置の平面図である。
図3】施栓装置を示す正面図である。
図4】容器保持部材を示す平面図である。
図5】施栓装置によるデキャッピングを示す図である。
図6】分注装置の動作を示す平面図である。
図7】移動テーブルをY方向へ移動させる動作を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図示された実施形態を参照して本発明を説明する。
図1、2において、左端は冷凍保存容器(セラムチューブ)Aに対するデキャッピングとキャッピングを行うための施栓位置であり、施栓装置(施栓手段)10が設けられる。施栓位置の右側は容器Aに対する内容物(例えば細胞の混濁液)を充填するための充填位置であり、充填装置(充填手段)20が設けられる。移動テーブル30が施栓位置と充填位置の間を往復移動する間に、1列の容器Aに対する分注が行われる。この移動方向すなわち図1、2の左右方向をX方向(第1の方向)と定義する。また図1、2において、右端は充填処理等を行う対象の容器Aの列を切替える作業を行うための切替え位置であり、移動テーブル30は、切替え位置に定められている間に、X方向に直交するY方向(第2の方向)に移動可能である。
【0012】
移動テーブル30はテーブル支持部材31の上に固定され、移動テーブル30の上には、複数の容器Aを保持する容器スタンド32が取付けられる。本実施形態では、容器スタンド32には容器Aが6×5の配列で直立整列される。すなわち容器Aは容器スタンド32において、X方向に6個整列され、Y方向に5列整列される。テーブル支持部材31はY方向に延びるYレール33の上に移動自在に支持され、Yレール33はX方向に延びる一対のXレール34の上に移動自在に支持される。
【0013】
一方のXレール34の端部近傍には、Yレール33をXレール34に沿って移動させるためのサーボモータ(テーブル駆動手段)35が設けられる。Xレール34の施栓位置側にはプーリ36が設けられ、このプーリ36とサーボモータ35の出力軸37とには無端状ベルト38が掛け回され、無端状ベルト38はYレール33に連結される。したがってサーボモータ35が駆動されることにより、Yレール33とテーブル支持部材31と移動テーブル30がX方向に沿って、施栓位置と充填位置の間において往復移動し、また切替え位置に移動される。
【0014】
図2に示されるように、Yレール33の左側には位置決めプレート40が設けられ、右側には被押圧部材41が設けられる。位置決めプレート40と被押圧部材41はYレール33に平行に延び、連結部材42、43によって一体的に連結される。連結部材42、43は図示しない固定部材を介してYレール33に連結されており、したがって移動テーブル30、テーブル支持部材31、Yレール33、位置決めプレート40、被押圧部材41は、Xレール34に沿って一体的に移動する。
【0015】
位置決めプレート40には、Y方向に沿って一定間隔毎に、位置決め穴44が穿設される。位置決め穴44には、テーブル支持部材31の前方壁面から突出するポジショナー45が嵌合可能であり、この嵌合によってテーブル支持部材31と移動テーブル30のY方向の位置が定められる。すなわち位置決めプレート40はテーブル位置決め手段を構成する。
【0016】
切替え位置にはテーブル支持部材31をYレール33に沿って移動させるためのサーボモータ46が設けられる。サーボモータ46の出力軸にはアーム47が水平面内に揺動自在に連結され、アーム47の揺動端に設けられたローラ48は、テーブル支持部材31の後方壁面から突出する一対の係合プレート49の間に係合可能である。すなわち、アーム47が揺動することにより、ローラ48を介して、テーブル支持部材31と移動テーブル30がY方向に変位する。
【0017】
また切替え位置には、被押圧部材41を充填位置側(図2の左方向)に押圧するプッシャ50が設けられる。プッシャ50は移動テーブル30が切替え位置に定められているとき、被押圧部材41を押圧して、位置決めプレート40の位置決め穴44をポジショナー45から解放する。すなわち、移動テーブル30が施栓位置と充填位置の間において往復移動する間、ポジショナー45が位置決め穴44に挿入されて、移動テーブル30のY方向の位置決めがされているが、切替え位置に移送されて被押圧部材41がプッシャ50に当接すると、プッシャ50が被押圧部材41を所定量だけ押し、これにより連結部材42、43を介して位置決めプレート40が施栓位置側に変位し、位置決め穴44がポジショナー45から外れる。これによりテーブル支持部材31はY方向に移動可能になる。
【0018】
図3を参照して施栓装置10の構成を説明する。施栓装置10の本体11には外側筒状部材12が設けられる。外側筒状部材12は本体11の下面から鉛直方向に延び、その中に設けられた内側筒状部材13は外側筒状部材12から下方に突出する。内側筒状部材13の下端には、容器Aの開口部に対してデキャッピングおよびキャッピングを行うためのチャック14が設けられる。チャック14はバキュームとゴムの摩擦力によってキャップCを保持するように構成されており、バキュームは、図示しない負圧源から、内側筒状部材13の軸心部分に形成されたバキューム通路15を介してチャック14内に導かれる。
【0019】
内側筒状部材13は外側筒状部材12に対して、軸心周りに回転自在であり、内側筒状部材13の上端は、本体11内に設けられたサーボモータ16の出力軸に連結される。また内側筒状部材13は外側筒状部材12に対して昇降可能である。この昇降可能な量は、上側筒状部材12と内側筒状部材13の間に設けられたバネ(図示せず)が撓む範囲である。例えばキャッピング時、チャック14がキャップCを保持して容器Aの開口部に被せた状態で、サーボモータ16がキャップCを容器Aに対して回転させると、内側筒状部材13とチャック14はバネによって下方へ付勢され、キャップCとともに徐々に下降する。なおデキャッピング時の動作については後述する。
【0020】
本体11はエアシリンダ17によって昇降駆動され、施栓装置10の非作動時、チャック14が容器Aに干渉しないよう、上昇位置に定められる。これに対してデキャッピングあるいはキャッピングを行うとき、本体11は下降し、チャック14は容器Aの上端部に近接する。
【0021】
容器Aは上述したように、例えば6×5の配列で容器スタンド32に直立状態で支持される。図3、4に示すように、容器スタンド32には容器Aを保持する板状の第1および第2の容器保持部材51a、51bが設けられる。第1の容器保持部材51aは容器Aが嵌合される保持穴52を有し、保持穴52には凹部53が形成される。凹部53には、容器Aの外周面に形成されて軸心方向に延びる複数の突起Bが係合する。したがって容器Aは容器保持部材51aにより、軸心周りに回転しない状態で昇降可能に保持される。一方、第2の容器保持部材51bは第1の容器保持部材51aの上方に設けられ、容器Aが嵌合される支持穴(図示せず)が形成されるが、この支持穴には、凹部53のような突起Bが係合する凹部は形成されない。
【0022】
図5は施栓装置10によるデキャッピングを示している。容器Aにおいて、突起Bは下部の外周面に形成されており、周方向に沿って等間隔に設けられ、図4から理解されるように本実施形態では8本である。突起Bは、容器Aが容器スタンド32に置かれた状態(図5(a))において、少なくとも容器保持部材51aに係合する位置から容器Aの底部まで延びている。したがって容器Aがチャック14によって所定量だけ持ち上げられた状態において、突起Bは保持穴52の凹部53に係合している(図5(b))。
【0023】
デキャッピングは次のようにして行われる。
容器Aは空の状態でキャップCによって閉鎖され、容器保持部材51aの各保持穴52に嵌合装着されて容器スタンド32にセットされる。容器スタンド32が移動テーブル30により施栓位置へ搬送されてくると、施栓装置10のチャック14がエアシリンダ17の作用によって下降し、容器スタンド32上の1つのキャップCに係合する(図5(a))。次にチャック14がエアシリンダ17によって、容器保持部材51aに対して上昇させられ、これにより容器Aは、突起Bの下端部が保持穴52の凹部53から離脱しない程度に持ち上げられる(図5(b))。
【0024】
このように容器Aが容器保持部材51aに対して所定量上昇され、容器スタンド32の底板上面39と容器Aの下端とを隔離して間隙を形成した状態で、サーボモータ16がチャック14を回転させると、キャップCが容器Aに対して回転し、容器Aは突起Bと凹部53の係合によって、供回りすることなく、キャップCが取外されるのに伴い、自重により軸心に沿って相対的に下降する。間隙GはキャップCを容器Aから離脱させたときの容器移動量よりも大きな量に設定され、キャップCが取外された容器Aは再び容器スタンド32に載置される(図5(c))。なお取外されたキャップCは、チャック14によって保持された状態のまま待機する。
【0025】
再び図1を参照して充填装置20の構成を説明する。充填装置20の本体21には充填ノズル22が設けられる。充填ノズル22は本体21の下面から鉛直方向に延び、充填ノズル22と施栓装置10のチャック14とを結んだ線はX方向に一致する(図2参照)。充填ノズル22には、タンク23に貯留された細胞等の懸濁液がチューブポンプ24を介して供給される。タンク23は支持台25に設けられたタンク揺動機構26に取付けられ、一定の揺動速度で揺動される。これは細胞等がタンク23の底部に溜まるのを防止するためである
【0026】
図6を参照して、本実施形態の分注装置の作用を説明する。
上述したように、容器Aは空の状態でキャップCによって閉鎖され、容器スタンド32に載置されて移動テーブル30により施栓位置まで搬送される。まず、X方向に並ぶ容器Aの列において最も施栓位置に近い側にある第1の容器A1に施栓装置10のチャック14が下降して接近し、第1の容器A1に対するデキャッピングが行われる(符号(a))。次いで移動テーブル30はX方向に移動し、第1の容器A1が充填装置20の充填ノズル22の直下に来た位置で停止する(符号(b))。第1の容器A2に対する内容物(細胞の懸濁液)の充填が完了すると、移動テーブル30は施栓位置へ向かって移動し、第1の容器A1がチャック14の直下に来た位置で停止する(符号(c))。この位置において第1の容器A1に対するキャッピングが行われる。すなわち、符号(a)で示す工程において取外されてチャック14に保持されたキャップCが再び第1の容器A1に装着される。
【0027】
次に移動テーブル30は、第1の容器A1に対してX方向に隣接する第2の容器A2がチャック14の直下に来るように移動し、その位置において停止する(符号(d))。この状態で、第2の容器A2に対してチャック14が下降して接近し、第2の容器A2に対するデキャッピングが行われる(符号(d))。そして、第1の容器A1の場合と同様に、移動テーブル30がX方向に移動し、充填位置において第2の容器A2に対して充填処理が行われ(符号(e))、その後、施栓位置において第2の容器A2に対するデキャッピングが行われる(符号(f))。
【0028】
このようにして移動テーブル30が施栓位置と充填位置の間を往復移動する間に、X方向に1列に並ぶ6個の容器A1〜A6に対する分注が行われると、移動テーブル30は切替え位置まで移送され、切替え位置においてY方向に移動される。切替え位置では、図7を参照して後述するように、テーブル支持部材31と移動テーブル30が容器の1列分だけY方向に変位する(符号(g))。そして移動テーブル30は再び施栓位置へ移送され、2列目の容器A7に対するデキャッピングが行われる(符号(h))。以下同様にして2列目の全ての容器に対する充填処理等が行われた後、他の列の容器に対する充填処理が行われ、容器スタンド32は次の工程に搬送される。
【0029】
図7を参照して、切替え位置における移動テーブル30のY方向への移動について説明する。図7(a)は、図中最も上に位置する容器列D1に対する充填処理が完了して、移動テーブル30が切替え位置に定められた状態を示す。移動テーブル30が切替え位置まで移動されるのに先立ち、アーム47のローラ48は一対の係合プレート49の間に対応した位置に定められている。したがって移動テーブル30は切換え位置において、被押圧部材41がプッシャ50に当接し、かつ一対の係合プレート49の間にローラ48が係合した状態で停止する。この状態で、プッシャ50が被押圧部材41を所定量だけ押し、これにより位置決めプレート40が施栓位置側に変位して位置決め穴44がポジショナー45から外れる。
【0030】
次いでサーボモータ46が駆動され、アーム47が揺動する。これにより移動テーブル30は、図の上方に移動し、容器列D1に隣り合う容器列D2がチャック14と充填ノズル22を結んだ線上に位置するような位置に定められる。次いでサーボモータ35が駆動されることにより、Yレール33とテーブル支持部材31と移動テーブル30がX方向に沿って施栓位置の方向へ移動し始め、これによりポジショナー45が位置決めプレート40の位置決め穴44内に挿入され、位置決めプレート40と被押圧部材41も移動テーブル30と共に施栓位置の方向へ移動する。また、これにより一対の係合プレート49がローラ48から外れる。
【0031】
以上のように本実施形態では、移動テーブル30はキャップCを装着された複数の容器AをX方向およびY方向に沿って整列した状態で保持する。そして、サーボモータ35は、所定の列の容器に対して、施栓装置10によってデキャッピングされた後、充填装置20によって内容物が充填され、施栓装置10によってキャッピングされるように、移動テーブル30を施栓位置と充填位置の間において往復移動させる。この往復移動において、サーボモータ35は所定の容器(例えば容器A1)に対して施栓装置10がキャッピングを行った後、その容器とは異なる容器(例えば容器A2)に対してデキャッピングを行なうように、移動テーブル30を移動させる。
【0032】
したがって本実施形態によれば、移動テーブル30に供給される複数の容器に対して、デキャッピング、充填、キャッピングを連続的に行うことができ、迅速かつ安定した品質で分注作業を行うことができる。またデキャッピングにおいて、容器を持ち上げた状態でキャップを回転させるように構成したことにより、容器はキャップの回転に伴って自然に下降するので、容器またはキャップのネジに過大な力が作用することはなく、ネジが損傷するおそれはない。
【0033】
なお上記実施形態では、デキャッピング、充填、キャッピングから成る分注動作を1本の容器毎に行っているが、複数本の容器に対して同時に分注動作を行うように構成することもできる。
【0034】
また移動テーブル30については、従来公知のXYテーブルを採用してもよい。
【0035】
さらに、上記実施形態では、容器を持ち上げた状態でデキャッピングしているが、容器スタンド32または移動テーブル30を下降させた状態でデキャッピングすることも可能である。また上記実施形態では、デキャッピングの開始時に、チャック14が下降してキャップCに係合するが、これに替えて、容器を上昇させることによりキャップCをチャック14に係合させてもよい。
【符号の説明】
【0036】
10 施栓装置(施栓手段)
20 充填装置(充填手段)
30 移動テーブル
35 サーボモータ(テーブル駆動手段)
A 容器
C キャップ


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7