(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態及び変形例は、いずれも本発明の一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造方法における各工程、各工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態及び変形例における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0035】
また、添付の図面における各図は、模式的な図であり、必ずしも厳密に図示されたものでない。さらに、各図において、同一または同様な構成要素については同じ符号を付している。また、以下の実施の形態の説明において、略半分、略水平のような「略」を伴った表現が、用いられる場合がある。例えば、略水平とは、完全に水平であることを意味するだけでなく、実質的に水平である、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。他の「略」を伴った表現についても同様である。
【0036】
(実施の形態)
まず、実施の形態に係る蓄電装置1の構成について、説明する。
【0037】
図1は、実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。
図2は、実施の形態に係る蓄電装置1を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0038】
なお、これらの図では、Z軸方向を上下方向として示しており、以下ではZ軸方向を上下方向として説明するが、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるため、Z軸方向は上下方向となることには限定されない。以下の図においても、同様である。
【0039】
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置である。例えば、蓄電装置1は、電力貯蔵用途や電源用途などに使用される電池モジュールである。具体的には、蓄電装置1は、例えば自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、スノーモービル、農業機械、建設機械などの移動体のエンジン始動用バッテリーとして用いられる。また、蓄電装置1は、単独(単体)で外部負荷に給電可能、または、単独(単体)で外部電源から充電可能なものである。つまり、電気自動車やプラグインハイブリッド電気自動車などの動力用電源として複数の電池モジュール(蓄電装置)を接続してケースに収容し電池パックとする構成もあるが、本実施の形態における蓄電装置1は、このような構成とは異なるものである。なお、外部負荷または外部電源に応じて、複数の蓄電装置1を電気的に連結して電池パックを構成することにしてもよい。
【0040】
本実施の形態に係る蓄電装置1は、
図1及び
図2に示すように、蓋11と容器12と有する外装体10、外装体10内方に収容される蓄電ユニット20、保持部材30、及び、バスバー41、42等を備えている。
【0041】
外装体10は、蓄電装置1の外装体を構成する矩形状(箱状)の構造物である。つまり、外装体10は、蓄電ユニット20、保持部材30、及びバスバー41、42の外方に配置され、この蓄電ユニット20等を所定の位置に配置し、蓄電ユニット20等を衝撃などから保護する。また、外装体10は、例えばポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)またはABS樹脂等の絶縁性の樹脂材料により構成されている。外装体10は、これにより、蓄電ユニット20等が外部の金属部材などに接触することを回避する。
【0042】
外装体10が有する蓋11は、容器12の開口12aを閉塞する扁平な矩形状のカバー部材であり、正極外部端子13と負極外部端子14とが設けられている。蓄電装置1は、この正極外部端子13と負極外部端子14とを介して、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する。また、容器12は、開口が形成された有底矩形筒状のハウジングであり、蓄電ユニット20、保持部材30、及びバスバー41、42等を収容する。
【0043】
なお、蓋11と容器12とは、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていてもかまわない。また、蓋11の内方には、回路基板やリレーなどの電気機器が配置されているが、当該電気機器の図示及び説明は省略する。
【0044】
ここで、本実施の形態に係る外装体10は、内部と外部との間の気体の移動を許容し、かつ、外部から内部への水の流入を防止するための構造を有している。つまり、外装体10は、外装体10の内部と外部とを連通する構造を有している。これにより、外装体10の内部の気体を、外装体10の外部に排出することができる。また、外装体10の外部の気体を、外装体10の内部に取り込むことができる。この通気のための構造については、
図4〜
図8を用いて後述する。
【0045】
蓄電ユニット20は、複数の蓄電素子100(本実施の形態では、12個の蓄電素子100)と複数のバスバー200とを有しており、蓋11に設けられた正極外部端子13と負極外部端子14とに電気的に接続される。つまり、複数の蓄電素子100のうちのいずれかの蓄電素子100の正極端子が、バスバー200を介して、正極外部端子13と電気的に接続される。また、複数の蓄電素子100のうちのいずれかの蓄電素子100の負極端子が、バスバー200を介して、負極外部端子14と電気的に接続される。
【0046】
また、蓄電ユニット20は、複数の蓄電素子100が縦置きになった状態でX軸方向に並べられて、容器12内に配置される。そして、蓄電ユニット20は、上方から蓋11が被せられて、外装体10の内方に収容される。なお、蓄電ユニット20の詳細な構成の説明については、後述する。
【0047】
保持部材30は、バスバー41、42、並びに、その他リレーなどの電装部品及び配線類等(図示せず)を保持し、当該バスバー41、42等と他の部材との絶縁、及び、当該バスバー41、42等の位置規制を行うことができる電装品トレーである。特に、保持部材30は、バスバー41、42を、蓄電ユニット20内のバスバー200、正極外部端子13及び負極外部端子14に対して位置決めする。
【0048】
具体的には、保持部材30は、蓄電ユニット20の上方(Z軸方向プラス側)に載置され、蓄電ユニット20に対して位置決めされる。また、保持部材30上に、バスバー41、42が載置されて位置決めされる。また、保持部材30上に、蓋11が配置される。これにより、バスバー41、42は、蓄電ユニット20内のバスバー200と、蓋11に設けられた正極外部端子13及び負極外部端子14とに対して位置決めされる。
【0049】
なお、保持部材30は、例えばPC、PP、PE、PPS、PBTまたはABS樹脂等の絶縁性の樹脂材料により形成されているが、絶縁性を有する部材であればどのような材質で形成されていてもかまわない。
【0050】
バスバー41、42は、蓄電ユニット20内のバスバー200と、蓋11に設けられた正極外部端子13及び負極外部端子14とを電気的に接続する。つまり、バスバー41は、蓄電ユニット20内の一端に配置されたバスバー200と正極外部端子13とを電気的に接続する導電性の部材である。バスバー42は、蓄電ユニット20内の他端に配置されたバスバー200と負極外部端子14とを電気的に接続する導電性の部材である。
【0051】
なお、バスバー41、42は、導電性の部材として、例えば銅で形成されているが、バスバー41、42の材質は特に限定されない。また、バスバー41、42は、同じ材質の部材で形成されていてもよいし、異なる材質の部材で形成されていてもかまわない。
【0052】
次に、蓄電ユニット20の構成について、詳細に説明する。
【0053】
図3は、実施の形態に係る蓄電ユニット20を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
【0054】
同図に示すように、蓄電ユニット20は、複数の蓄電素子100と、複数のバスバー200と、複数のスペーサ300と、一対の挟持部材400と、複数の拘束部材500と、バスバーフレーム600と、遮熱プレート700とを備えている。
【0055】
蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子100は、扁平な矩形状を有しており、スペーサ300に隣接して配置されている。つまり、複数の蓄電素子100のそれぞれが、複数のスペーサ300のそれぞれと交互に配置され、X軸方向に並べられている。本実施の形態では、12個の蓄電素子100が11個のスペーサ300と交互に隣接して配置されている。なお、蓄電素子100は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。
【0056】
また、同図に示すように、蓄電素子100は、ケース110、正極端子120及び負極端子130を備えている。なお、ケース110内方には、電極体(発電要素)及び集電体(正極集電体及び負極集電体)等が配置され、また、電解液(非水電解質)などが封入されているが、詳細な説明は省略する。
【0057】
ケース110は、金属からなる矩形筒状で底を備えるケース本体と、当該容器本体の開口を閉塞する金属製の蓋板とで構成されている。また、ケース110は、電極体等を内部に収容後、蓋板と容器本体とが溶接等されることにより、内部を密封する構造を有している。このように、ケース110は、同図のZ軸方向プラス側に蓋板、X軸方向両側の側面に長側面、Y軸方向両側の側面に短側面、Z軸方向マイナス側に底面を有する直方体形状の容器である。なお、ケース110の材質は、特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金など溶接可能な金属であるのが好ましい。
【0058】
また、ケース110の蓋板には、安全弁105が設けられている。安全弁105は、ケース110の内圧が上昇した場合に開放し、ケース110の内部のガスを放出する安全機構として、各蓄電素子100に備えられている。なお、蓄電装置1が備える複数の蓄電素子100の全てが安全弁105を備えていることには限定されず、少なくとも1つの蓄電素子100が安全弁105を備えていればよい。
【0059】
正極端子120は、正極集電体を介して、電極体の正極に電気的に接続された電極端子であり、負極端子130は、負極集電体を介して、電極体の負極に電気的に接続された電極端子であり、いずれもケース110の蓋板に取り付けられている。つまり、正極端子120及び負極端子130は、電極体に蓄えられている電気を蓄電素子100の外部空間に導出し、また、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子100の内部空間に電気を導入するための金属製の電極端子である。本実施の形態では、蓄電素子100は、正極端子120及び負極端子130を上方に向けた状態で配置されている。
【0060】
バスバー200は、蓄電ユニット20内の複数の蓄電素子100のそれぞれと電気的に接続される導電部材である。つまり、バスバー200は、複数の蓄電素子100が有するそれぞれの電極端子と電気的に接続される導電部材であり、当該複数の蓄電素子100が有するいずれかの電極端子同士を電気的に接続する。具体的には、バスバー200は、複数の蓄電素子100が有するそれぞれの電極端子の表面上に配置され、当該電極端子に接続(接合)される。
【0061】
本実施の形態では、5枚のバスバー200が配置されており、12個の蓄電素子100は、当該5枚のバスバー200によって、並列に接続された3つずつの蓄電素子100の組が、4組直列に接続された構成となっている。また、端部に配置されるバスバー200は、上述のバスバー41、42と接続され、これによって、正極外部端子13及び負極外部端子14と電気的に接続される。
【0062】
なお、バスバー200は、導電性の部材として、例えばアルミニウムで形成されているが、バスバー200の材質は特に限定されない。また、バスバー200は、全てが同じ材質の部材で形成されていてもよいし、いずれかのバスバーが異なる材質の部材で形成されていてもかまわない。また、バスバー200の数や、並列に接続される蓄電素子100の数、直列に接続される蓄電素子100の組数などは、上記に限定されない。
【0063】
スペーサ300は、蓄電素子100の側方(X軸方向プラス側またはマイナス側)に配置される、当該蓄電素子100と他の部材とを絶縁する板状部材である。例えば、スペーサ300は、PC、PP、PE、PPS、PBTまたはABS樹脂等の絶縁性の樹脂により形成されている。つまり、スペーサ300は、隣り合う2つの蓄電素子100の間に配置され、当該2つの蓄電素子100間を絶縁する。本実施の形態では、12個の蓄電素子100のそれぞれの蓄電素子100の間に、11枚のスペーサ300が配置されている。なお、スペーサ300は、絶縁性を有する部材であればどのような材質で形成されていてもよく、また、全てが同じ材質の部材で形成されていてもよいし、いずれかのスペーサが異なる材質の部材で形成されていてもかまわない。
【0064】
また、スペーサ300は、蓄電素子100の正面側または背面側の略半分(X軸方向に2つに分けた場合の略半分)を覆うように、形成されている。つまり、スペーサ300の正面側または背面側の両面(X軸方向の両面)には凹部が形成されており、当該凹部に上記の蓄電素子100の略半分が挿入される。このような構成により、蓄電素子100の側方のスペーサ300が、蓄電素子100のほとんどの部分を覆うこととなるので、スペーサ300によって、蓄電素子100と他の導電性部材との間の絶縁性を向上させることができている。
【0065】
また、スペーサ300は、上方に突出し、保持部材30と係合するスペーサ突出部310を有している。これにより、保持部材30が上方へ移動しようとしても、スペーサ300のスペーサ突出部310によって、保持部材30の上方への移動が抑制される。
【0066】
挟持部材400及び拘束部材500は、蓄電素子100の電極体の積層方向において、蓄電素子100を外方から圧迫する部材である。つまり、挟持部材400及び拘束部材500は、複数の蓄電素子100を当該積層方向の両側から挟み込むことで、複数の蓄電素子100に含まれるそれぞれの蓄電素子100を両側から圧迫する。なお、蓄電素子100の電極体の積層方向とは、電極体の正極、負極及びセパレータが積層される方向であり、複数の蓄電素子100の並び方向(X軸方向)と同じ方向である。つまり、複数の蓄電素子100は、当該積層方向に配列されている。
【0067】
具体的には、挟持部材400は、複数の蓄電素子100のX軸方向両側に配置された平板状部材(エンドプレート)であり、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ300を、当該複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ300の並び方向(X軸方向)の両側から挟み込んで保持する。挟持部材400は、強度の観点等から、例えば鋼やステンレス等の金属製(導電性)の部材で形成されているが、これに限定されず、例えば強度の高い絶縁性の部材で形成されていてもよい。なお、挟持部材400が導電性の部材で形成されている場合には、挟持部材400と蓄電素子100との間の絶縁性を確保するために、挟持部材400と蓄電素子100との間に、スペーサ300と同様の絶縁性の部材が配置される。
【0068】
拘束部材500は、両端が挟持部材400に取り付けられて、複数の蓄電素子100を拘束する長尺状かつ平板状の部材(拘束バー)である。つまり、拘束部材500は、当該複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ300を跨ぐように配置され、当該複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ300に対してこれらの並び方向(X軸方向)における拘束力を付与する。
【0069】
本実施の形態では、複数の蓄電素子100の両側方(Y軸方向両側)に2つの拘束部材500が配置されており、当該2つの拘束部材500で当該複数の蓄電素子100を当該両側方から挟み込んで拘束する。なお、拘束部材500は、挟持部材400と同様に、例えば鋼やステンレス等の金属製の部材で形成されているのが好ましいが、金属以外の部材で形成されていてもかまわない。
【0070】
バスバーフレーム600は、バスバー200と他の部材との絶縁、及び、バスバー200の位置規制を行うことができる部材である。特に、バスバーフレーム600は、バスバー200を、蓄電ユニット20内の複数の蓄電素子100に対して位置決めする。
【0071】
具体的には、バスバーフレーム600は、複数の蓄電素子100の上方(Z軸方向プラス側)に載置され、複数の蓄電素子100に対して位置決めされる。また、バスバーフレーム600上には、バスバー200が載置されて位置決めされる。これにより、バスバー200は、複数の蓄電素子100に対して位置決めされ、そして、バスバーフレーム600に形成された貫通孔であるバスバー用開口部610を介して、当該複数の蓄電素子100が有するそれぞれの電極端子に接合される。
【0072】
なお、バスバーフレーム600は、例えばPC、PP、PE、PPS、PBTまたはABS樹脂等の絶縁性の樹脂材料により形成されているが、絶縁性を有する部材であればどのような材質で形成されていてもかまわない。ただし、本実施の形態においては、バスバーフレーム600は、保持部材30を蓄電素子100に対して固定する機能を確保するために、比較的剛性の高い材質(保持部材30よりも剛性の高い材質)で形成されているのが好ましい。
【0073】
遮熱プレート700は、各蓄電素子100の安全弁105の排気の流路の内方に配置される断熱性を有する板状の部材である。具体的には、遮熱プレート700は、各蓄電素子100の安全弁の上方に位置するように、バスバーフレーム600の上方に配置される。本実施の形態では、複数の蓄電素子100それぞれの安全弁105は、X軸方向に沿う直線上に並んでおり、遮熱プレート700は、各安全弁105の上方に位置し、かつ、X軸方向に長尺状の形状を有している。
【0074】
遮熱プレート700は、例えば異常時等に蓄電素子100の安全弁からガスが排出された場合に、蓄電ユニット20の上方に配置される回路基板等の電気機器を当該ガスの熱から保護する。また、外装体10には、外装体10の内部と外部とを連通する貫通孔(
図5等を用いて後述)が設けられており、遮熱プレート700に衝突したガスは、貫通孔から外装体10の外部に導かれる。
【0075】
なお、遮熱プレート700は、本実施の形態では、熱伝導性の低いステンレスなどの金属材料で形成されているが、これに限定されず、耐熱性が高く熱伝導性の低い材料であればよく、例えばガラス繊維で強化されたPPSやPBT等の樹脂、あるいはセラミック等で形成されていてもかまわない。
【0076】
以上のように構成された蓄電装置1において、1以上の蓄電素子100から放出されたガスを外装体10の外部に排出するための構造について、
図4〜
図8を用いて説明する。
【0077】
図4は、実施の形態に係る外装体10の構成概要を示す分解斜視図である。具体的には、
図4では、外装体10を、蓋11と容器12とに分離し、さらに、蓋11を、下蓋11aと上蓋11bとに分離して図示している。また、外装体10の内部に収容される複数の蓄電素子100等の、他の要素の図示は省略されている。
【0078】
図5は、実施の形態に係る外装体10が有する通気室60の構成概要を示す部分拡大斜視図であり、
図6は、
図5に対応する平面図である。なお、
図5及び
図6では、上蓋11bの図示は省略されており、かつ、第一部材91及び第二部材92は、通気室60から分離して図示されている。また、
図6では、下蓋11aを貫通している領域については、他の要素と識別しやすいようにドットを付して示している。
【0079】
図4〜
図6に示すように、本実施の形態に係る外装体10には、外装体10の内部と外部とを連通する通気室60が備えられている。通気室60は、外部と連通する貫通孔70が形成された前壁63と、前壁63と対向する位置に配置された奥壁64と、貫通孔70及び奥壁64の間に配置された第一壁65と、前壁63に交差する第一方向に沿って延設され、第一壁65との間に隙間67をあけて配置された側壁68bとを有する。
【0080】
なお、本実施の形態では、前壁63は、Y軸方向に平行な姿勢で配置されており、第一方向は、X軸方向と一致する。また、本実施の形態では、例えば
図6に示されるように、隙間67(
図6では太線の点線で表されている)は第一方向に沿って前壁63から奥壁64に渡って形成されている。隙間67は、流体が通過可能な、全体として直線的な空間であり、流体の通路または流体の直進路等と言い換えることができる。
【0081】
また、本実施の形態では、
図5及び
図6に示すように、通気室60には、X軸方向に延設され、かつ、Y軸方向に並ぶ3つの側壁(側壁68a、68b、68c)が設けられており、Y軸方向の両端の側壁68a及び68cが、通気室60のY軸方向の両端の壁である。また、底面69(下蓋11aの一部)及び上蓋11bが、通気室60のZ軸方向(上下方向)の壁である。つまり、通気室60は、側壁68a及び68c、前壁63、奥壁64、底面69、及び上蓋11bによって囲まれた、通気のための空間(通気空間)である。
【0082】
なお、前壁63及び奥壁64のそれぞれは、通気室60におけるX軸方向の側方の壁(つまり側壁)である、ということもできる。
【0083】
このような構成において、通気室60には、外装体10の外部と連通する開口部が設けられている。具体的には、通気室60には、第一開口部81及び第二開口部82が設けられており、第一開口部81及び第二開口部82のそれぞれは、貫通孔70を介して、外装体10の外部と連通する。
【0084】
すなわち、本実施の形態に係る蓄電装置1は、それぞれが外部と連通する第一開口部81及び第二開口部82を有する外装体10を備えている。蓄電装置1はさらに、第一開口部を覆い、防水性及び通気性を有する第一部材91と、第二開口部82を覆い、外装体10の内部の圧力が所定の圧力を超えた場合に、当該内部の圧力を開放する第二部材92とを備えている。
【0085】
また、蓄電装置1は、以下のように表現することもできる。蓋11及び容器12を有する外装体10を備える蓄電装置1であって、蓋11は、容器12の開口12aを覆う下蓋11aと、下蓋11a上に設けられる上蓋11bと、下蓋11a及び上蓋11bを接続する側壁68a等の側壁とを有する。下蓋11a、上蓋11b、及び側壁68a等の側壁により通気室60が形成されており、1つの側壁には、外部と通気室60とを連通する貫通孔70が形成されている。下蓋11aは、容器12内の空間と60通気室60とを連通する第一開口部81及び第二開口部82と、第一開口部81を覆い、防水性及び通気性を有する第一部材91と、第二開口部82を覆い、外装体10の内部の圧力が所定の圧力を超えた場合に、当該内部の圧力を開放する第二部材92と、を有する。
【0086】
このように、外装体10が、2つの開口部(第一開口部81及び第二開口部82)を有し、かつ、それぞれの開口部に、互いに機能が異なる部材(第一部材91及び第二部材92)を配置することで、それぞれの開口部に互いに異なる機能を持たせることができる。本実施の形態では、簡単に言うと、第一開口部81により、通常時における外装体10からのガス抜きがなされ、第二開口部82により、非常時(緊急時)における外装体10からのガス抜きがなされる。また、第一開口部81は、外装体10の内部から外部への排気だけでなく、外装体10の外部から内部への気体の取り込み(吸気)のための開口部としても機能する。つまり、第一開口部81は、通常時において外装体10の内外の圧力差を低減する機能(圧力平衡機能)を有する。
【0087】
また、1つの開口部に、互いに異なる機能を持つ2つの部材を並べて配置する場合、例えば、2つの部材間に隙間を生じさせないために、構造または製造工程が複雑化する可能性がある。しかしながら、本実施の形態では、第一開口部81及び第二開口部82のそれぞれに、各々を塞ぐ部材を配置するため、上記の通常時のガス抜き機能、圧力平衡機能、及び非常時(緊急時)のガス抜き機能(内圧制御機能)が、比較的に簡易な構造または製造工程で、蓄電装置1に備えられる。
【0088】
具体的には、本実施の形態において、第一部材91は、シート状の部材であり、より詳細には、気体を通過させ、かつ、液体を通過させない機能を有する膜(通気防水膜)である。第一部材91は、例えばゴアテックス(Gore−Tex)(登録商標)、TEMISH(登録商標)などの防水性および通気性(透湿性)を有する防水透湿性素材からなる膜である。
【0089】
また、本実施の形態において、第二部材92は、シート状の部材であり、より詳細には、気体および液体を通過させない機能を有する膜である。第二部材92は、外装体10の内部の圧力が所定の圧力を超えた場合に、当該圧力を開放する(減圧する)部材である。第二部材92の素材としては、例えば樹脂製のフィルム、金属箔などが採用される。
【0090】
なお、シート状の第一部材91は、第一開口部81の周縁と接合されており、シート状の第二部材92は、第二開口部82の周縁と接合されている。この接合には、例えば接着剤、粘着剤、両面粘着テープ等を用いることができる。また、この接合が溶着によって行われてもよい。従って、第一部材91及び第二部材92のそれぞれを、比較的に容易に配置することができる。
【0091】
このように、本実施の形態に係る蓄電装置1では、通常時における外装体10の内外の圧力差は、第一開口部81及び貫通孔70(本実施の形態では複数の貫通孔70)を介した気体の出入りによって低減される。また、例えばいずれかの蓄電素子100の安全弁105からガスが噴出した場合など、外装体10の内圧が急激に上昇した場合は、第二部材92が第二開口部82を開放するようにはがれることで、上昇した外装体10の内圧は低減される。その結果、例えば、外装体10の内圧が過度に上昇することによる、外装体10の破壊等が防止される。
【0092】
また、本実施の形態において、第二部材92は、
図6に示されるように、第二開口部82の周縁と接合された開放弁部92aと、開放弁部92aと接続され、当該周縁の外側の部分に固定された固定部92bとを有する。
【0093】
つまり、開放弁部92aは、外装体10の内圧を直接的に受ける部分であり、外装体10の内圧が所定の内圧を超えた場合に、開放弁部92aが第二開口部82の周縁からはがれ、その結果、外装体10の内圧が低減される。また、この場合、開放弁部92aに対し、開放弁部92aをはがす方向に働いていた圧力がほぼなくなるため、固定部92bの、当該周縁の外側の部分に固定された状態は維持される。
【0094】
従って、例えば外装体10の内圧の急激な上昇により、開放弁部92aが、第二開口部82を開放するようにはがれた場合であっても、第二部材92は、固定部92bによっての所定の位置にとどめられる。これにより、第二部材92が、例えば、外装体10の内部から外部への気体の放出の妨げとなる可能性が低減される。
【0095】
なお、第二部材92の、第二開口部82への取付強度は、第一部材91の第一開口部81への取付強度よりも低い、としてもよい。この場合、第二部材92は、取付強度が低いため第二開口部82から外れやすい。そのため、外装体10の内圧が急激に上昇した場合において、当該内圧を開放する機能を有する第二部材92の実効性が向上する。
【0096】
なお、第一部材91及び第二部材92それぞれの取付強度は、例えば、外装体10と接合する接着剤の量、種類、平面視(Z軸方向プラス側から見た場合、以下同じ)における塗布面積または塗布位置等を変更することで調整することができる。例えば、第一部材91の、第一開口部81の周縁への接合(第一接合)と、第二部材92の、第二開口部82の周縁への接合(第二接合)とを同一種類の接着剤を用いて行う場合を想定する。この場合、第二接合に用いる接着剤の量を、第一接合に用いる接着剤の量よりも少なくする。これにより、第二部材92の第二開口部82への取付強度は、第一部材91の第一開口部81への取付強度よりも低くなる。
【0097】
また、例えば、溶着により第一部材91及び第二部材92それぞれを外装体10と接合する場合、平面視における溶着面積または溶着位置等を変更することで、第一部材91及び第二部材92それぞれの取付強度を調整することも可能である。
【0098】
また、取付強度の比較の手法としては、例えば、第一部材91及び第二部材92に対する引っ張り試験が例示される。つまり、第一部材91及び第二部材92に接着または吸着等の手法によって接続された部材を、第一部材91及び第二部材92が接合された側(本実施の形態ではZ軸方向プラス側)に引っ張る。その結果、第一部材91及び第二部材92のうちの、最初に外装体10から取り外れた方が、取付強度が低いと判断できる。また、第一部材91及び第二部材92それぞれの取り外れに必要な張り力を測定して比較することで、第一部材91及び第二部材92間の取付強度の比較を行うこともできる。
【0099】
ここで、蓄電装置1が、例えば自動車等の、屋外で使用される機械または装置に搭載された場合、雨水等の水が、通気室60に設けられた貫通孔70に到達する可能性がある。つまり、通気室60に雨水等の水が流入する可能性がある。特に、蓄電装置1が搭載された機械または装置が、激しい風雨にさらされた場合などでは、通気室60の内部に向けて、激しい勢いで水が流入する可能性も考えられる。
【0100】
しかしながら、本実施の形態に係る通気室60では、貫通孔70の奥側(通気室60の内側)に第一壁65が配置されていることで、貫通孔70から速い速度で水が流入した場合であっても、その勢いが第一壁65によって弱められる。その結果、通気室60を介した外装体10の内部(蓄電素子100等が収容された空間)への水の流入が抑制される。
【0101】
また、仮に、通気室60に流入した水が、第一開口部81及び第二開口部82の位置まで到達した場合であっても、第一部材91及び第二部材92はともに水を通さない機能を有しているため、第一開口部81及び第二開口部82から外装体10の内部への水の流入は防止される。
【0102】
ここで、例えば第一部材91の上に、外部から通気室60に流入した水が貯留した場合、第一部材91の、通気防水膜としての機能が損なわれるおそれがある。また、例えば第二部材92が水に浸る事態が生じた場合、第二部材92の動作(外装体10の内圧上昇時の開放)に不備が生じるおそれもある。
【0103】
しかしながら、本実施の形態では、第一壁65と側壁68bとの間に、前壁63から奥壁64に渡って形成された隙間67が存在し、この隙間67によって、第一方向(X軸方向)に沿った流体の通路が形成される。これにより、仮に通気室60に水が流入した場合であっても、通気室60からの排水が促される。その結果、通気室60内に水が貯留することに起因する不具合の発生の可能性が低減される。
【0104】
また、通気室60は、基本的には複数の壁で構成された単純な構造により、流入する水に対する抵抗を高め、かつ、流入した水の排出を促すことができる。つまり、通気室60は、外装体10の内部から外部への排気を可能とするが故に、外部から通気室60の内部への水の流入を許容する一方で、比較的な単純な構造により、流入した水の通気室60からの排出を促している。
【0105】
また、本実施の形態において、貫通孔70の軸線(孔または開口の中央を通り、かつ、貫通方向に平行な仮想的な直線、以下同じ)と、第一開口部81及び第二開口部82の軸線とに着目すると、以下のことが言える。
【0106】
外装体10には、第一開口部81及び第二開口部82と、外部に連通する貫通孔70とが配置された通気室60が設けられている。第一開口部81及び第二開口部82は、貫通孔70を介して外部と連通する位置に配置されている。このような構造において、第一開口部81の軸線の方向を第一軸方向とし、第二開口部82の軸線の方向を第二軸方向とし、貫通孔70の軸線の方向を第三軸方向とする。この場合、第一軸方向及び第二軸方向は、第三軸方向と交差する。
【0107】
具体的には、本実施の形態では、第一軸方向及び第二軸方向はともにZ軸方向であり、第三軸方向はX軸方向である。つまり、第一軸方向及び第二軸方向は、第三軸方向と交差する関係にある。
【0108】
従って、貫通孔70から、仮に速い速度で水が流入した場合であっても、貫通孔70の軸線の方向と、通気室60に配置された開口部(本実施の形態では、第一開口部81及び第二開口部82)の軸線の方向とが交差するため、構造上、当該開口部(本実施の形態では、第一開口部81及び第二開口部82)に、当該開口部の軸方向から水が向かってくる可能性が低減される。つまり、当該開口部に対して、当該開口部を通過しやすい方向から水が向かってくる可能性が低減される。
【0109】
なお、第一軸方向及び第二軸方向の少なくとも一方が、第三軸方向と交差する関係にあればよい。これにより、当該少なくとも一方に対応する第一開口部81及び第二開口部82の少なくとも一方については、通気室60に流入した水が軸方向から向かってくる可能性が低減される。
【0110】
また、通気室60に、第一開口部81及び第二開口部82の両方が配置されている必要はなく、第一開口部81及び第二開口部82の一方が、外装体10の通気室60とは異なる部分に配置されていてもよい。この場合であっても、通気室60に配置された開口部の軸線の方向(第一軸方向または第二軸方向)が、貫通孔70の軸線の方向(第三軸方向)と交差していることで、当該開口部に、当該開口部の軸方向から水が向かってくる可能性が低減される。なお、第一開口部81及び第二開口部82の一方が通気室60以外に配置された構造の一例については、変形例4として後述する。
【0111】
また、本実施の形態では、通気室60はさらに、第一壁65と奥壁64との間に配置され、側壁68bとの間に隙間67を形成する第二壁66を有する。
【0112】
このように、通気室60内にさらに第二壁66が設けられていることで、貫通孔70から流入した水の勢いがさらに弱められる。また、側壁68bと第二壁66との間にも、流体の通路となる隙間67が存在するため、排水性の良さも損なわれない。
【0113】
より詳細には、通気室60には、複数の第二壁66が第一方向(X軸方向)に並んで配置されている。本実施の形態では、2つの第二壁66が、第一壁65と奥壁64との間においてX軸方向に並んで配置されている。さらに、第一壁65および複数の第二壁66のそれぞれは、第一方向(X軸方向)と交差する方向にシフトして配置されている。具体的には、3つの壁(第一壁65と2つの第二壁66)は、Y軸方向のプラス側及びマイナス側に交互にシフトして配置されている。つまり、平面視において、第一壁65及び2つの第二壁66はジグザグに配置されており、かつ、流体の直進路(隙間67)が確保されている。
【0114】
すなわち、本実施の形態では、外部から通気室60に流入する水に対する抵抗となる壁が3つ配置され、X軸方向に並ぶ3つの壁のそれぞれは、例えば、側壁68bとの間の距離が互い違いになるように並べられる。つまり、貫通孔70側から奥壁64の方向を見た場合、例えば、前後方向(X軸方向)で隣り合う2つの壁のうちの一方の壁の右の端部は、他方の壁の右の端部よりも、右側にせり出している。また、例えば側壁と各壁との位置関係で説明すると、X軸方向で隣り合う複数の壁それぞれの、側壁までのY軸方向の距離には大小がある。本実施の形態では、第一壁65及び2つの第二壁66は、側壁68cとの距離が、大、小、大の順となるように配置されている。
【0115】
従って、貫通孔70から流入した水の挙動は、例えば以下のように説明される。貫通孔70から流入して第一壁65に衝突した水のうち大半の水は、第一壁65の左右の隙間うちの幅が大きい方の隙間(本実施の形態では、貫通孔70から見て左側の隙間)に流れるが、衝突の時点で水の勢いは相当小さくなる。なお、幅が小さい方の隙間(本実施の形態では、貫通孔70から見て右側の隙間)に流れた水の勢いはさらに小さくなっている。
【0116】
第一壁65の左側の隙間へ流れた水は、その進行経路上に第二壁66が存在することで、第二壁66に衝突しその勢いがさらに弱められる。また、第二壁66に衝突した水の大半が、第二壁66の左右の隙間うちの幅が大きい方の隙間(本実施の形態では、貫通孔70から見て右側の隙間)側に導かれる。このように、貫通孔70から流入した水は、大まかにいうと、壁への衝突、壁の左右の隙間のうちの大きい方の隙間への進行、進行経路上に位置する壁への衝突、という動作を伴いながら左右に蛇行する。
【0117】
すなわち、通気室60は、ジグザグ状の水の流路を形成する迷路構造を有しており、その結果、通気室60に流入した水の勢いの効率よく低下させる効果(ラビリンス効果)が奏される。
【0118】
なお、通気室60内の複数の壁が、第一方向(X軸方向)と交差する方向にシフトして配置されていることは必須ではない。つまり、例えばこれら複数の壁のY軸方向の中心軸が一致していてもよい。この場合において、例えば、第一壁65の奥に位置する第二壁66が、貫通孔70の側から見た場合に、第一壁65によって全体に隠れる位置および大きさに形成されていてもよい。この場合であっても、第一壁65に衝突した後に、第一壁65の左または右から裏側(第二壁66の側)に回り込んだ水の少なくとも一部は、第二壁66によって、奥壁64の方向への移動が妨げられる。これにより、第二壁66が配置されていない場合と比較すると、通気室60に流入した水の勢いを、より低下させることができる。
【0119】
また、通気室60を介した外装体10の内部への水の浸入の抑制という観点からは、第一壁65の奥に位置する第二壁66が、貫通孔70の側から見た場合に、第一壁65の左右両方からはみ出す位置及び大きさに形成されていることが好ましい。この場合、第一壁65に衝突した後に、第一壁65の左右それぞれの隙間に導かれた水は、その進行経路上に第二壁66が存在するため、奥壁64の方向への移動が妨げられる。これにより、第一壁65の左右両側を通過して進行する水の勢いを効率よく低下させることができる。
【0120】
また、本実施の形態に係る通気室60では、例えば、
図6に示されるように、3つの壁と、左右両方の側壁(側壁68b及び側壁68c)との間に、隙間が形成されているため、通気室60に流入した水の排水性が向上する。
【0121】
また、本実施の形態において、通気室60は、
図5及び
図6に示すように、第一開口部81及び第二開口部82が配置された第一通気室61と、貫通孔70が配置された第二通気室62とを有する。具体的には、通気室60は、側壁68bによって第一通気室61及び第二通気室62に区画されており、側壁68bは、第二通気室62から第一通気室61へ向かう水の流れを阻害する部材として機能する。従って、第一開口部81及び第二開口部82への、貫通孔70から流入した水の到達可能性が低減される。つまり、第一開口部81または第二開口部82を介した水の浸入の可能性が低減される。
【0122】
また、
図5及び
図6に示されるように、側壁68bと前壁63との間には隙間が存在する。そのため、例えば、貫通孔70から速い速度で流入した水が、側壁68bと第一壁65との間の隙間67を介して第一通気室61に到達した場合であっても、側壁68bと前壁63との間の隙間が、排水のための短絡路として機能する。つまり、第一通気室61からの排水が効率よく行われる。
【0123】
なお、第一開口部81及び第二開口部82は、両方が第一通気室61に配置されている必要はなく、例えば、第一開口部81及び第二開口部82のいずれか一方が、第二通気室62、または、外装体10の、通気室60以外の位置に配置されていてもよい。いずれの場合であっても、第一通気室61に配置された第一開口部81及び第二開口部82の少なくとも一方への、貫通孔70から流入した水の到達可能性が低減される。
【0124】
また、本実施の形態では、例えば
図5及び
図6に示されるように、外装体10はさらに、前壁63の外側に配置され、貫通孔70と連通する通気管15を有する。
【0125】
この構成によれば、外装体10からの排気の方向が通気管15の軸方向に規制されるため、例えば、蓄電装置1が搭載される機械または装置等についての、排気の処理を考慮した設計が容易となる。
【0126】
また、外装体10の外部から貫通孔70に向かう水の流れが通気管15の軸方向に規制されるため、貫通孔70から流入する水が、第一壁65と側壁68bとの間に形成された隙間67に向かう可能性を低減させることができる。つまり、第一壁65の、外部から流入する水の流れを阻害する部材としての実効性が高められる。
【0127】
また、例えば
図5に示すように、通気室60が有する前壁63には、複数の貫通孔70を形成するメッシュ部75が設けられている。すなわち、メッシュ部75が有する比較的に開口面積の小さな複数の孔のそれぞれが、通気のための貫通孔70として機能する。そのため、貫通孔70を介した、比較的大きな異物の進入が抑制される。
【0128】
なお、メッシュ部75は、例えば、前壁63を成形する工程において、前壁63と一体に成形されてもよく、また、前壁63が有する比較的大きな1つの貫通孔に、前壁63とは別体のメッシュ部75が配置されることで、前壁63に複数の貫通孔が形成されてもよい。
【0129】
ここで、本実施の形態において、通気室60は、外装体10の内部に連通する2つの開口部(第一開口部81及び第二開口部82)を備えているが、いずれの開口部も、平面視において、隙間67と重ならない位置に配置されている。
【0130】
そのため、通気室60の内部に流入した水が、第一開口部81及び第二開口部82を介して、外装体10の内部における蓄電素子100等が配置された空間に流入する可能性が低減される。
【0131】
また、本実施の形態では、通気室60は、第一開口部81及び第二開口部82の両方を有し、通気室60において、第一部材91は、第二部材92よりも、貫通孔70から遠い位置に配置されている。より詳細には、流体の経路長において、複数の貫通孔70のうち、第一部材91及び第二部材92のいずれか一方に最も近い位置にある貫通孔70から、第一部材91までの距離が、その貫通孔70から第二部材92までの距離よりも長い。
【0132】
そのため、例えば、貫通孔70を介して外部から通気室60に流入した水が、第一部材91に到達し難くなる。その結果、第一開口部81から、外装体10の内部への水の流入の可能性が低減される。具体的には、例えば、第一部材91が水につかることによる、第一部材91を介した水漏れ等の発生の可能性が低減される。
【0133】
また、本実施の形態に係る通気室60の底面69は、少なくとも一部に高低差を有しており、これにより、通気室60に流入した水を効率よく排出することができる。このことを、
図7及び
図8を用いて説明する。
【0134】
図7は、実施の形態に係る通気室60の内部構造を示す第1の断面斜視図であり、
図8は、実施の形態に係る通気室60の内部構造を示す第2の断面斜視図である。具体的には、
図7は、通気室60を、YZ平面に平行な面で切断して示す図であり、
図8は、通気室60を、XZ平面に平行な面で切断して示す図である。また、
図7及び
図8では、ともに、外装体10の容器12の図示は省略されている。
【0135】
本実施の形態では、
図7及び
図8に示すように、通気室60の底面69の少なくとも一部は、貫通孔70側が低くなるように高低差を有している。これにより、例えば、通気室60に流入した水の、貫通孔70からの排出(通気室60からの排水)がより効率よく行われる。
【0136】
具体的には、
図7に示すように、第一開口部81及び第二開口部82が形成されている第一通気室61の底面69は、貫通孔70が形成されている第二通気室62に向けて低くなるように傾斜している。そのため、第一通気室61に流入した水は、第二通気室62に戻されやすく、その結果、第二通気室62に形成されている貫通孔70を介した排水が促される。
【0137】
また、
図8に示すように、貫通孔70が形成されている第二通気室62の一部は、貫通孔70が形成されている前壁63に向けて低くなるように傾斜している。そのため、貫通孔70から第二通気室62に流入した水、及び、第一通気室61から戻ってきた水は、前壁63に到達しやすく、その結果、前壁63に形成されている貫通孔70を介した排水が促される。
【0138】
なお、本実施の形態において、複数の貫通孔70を形成するメッシュ部75は、
図8に示すように、底面69の高さの位置にも貫通孔70を有しており、これにより、例えば、通気室60に流入した水のほとんどを排出することが可能である。
【0139】
また、第一部材91及び第二部材92の高さ位置に着目すると、以下の特徴を有している。すなわち、通気室60は、第一開口部81及び第二開口部82の両方を有し、かつ、外装体10の底面よりも上方に位置しており、通気室60において、第一部材91は、第二部材92よりも上方に位置している。具体的には、
図7に示されるように、第一開口部81は、第二開口部82よりも高い位置(Z軸方向のプラス側)にあり、そのため、第一開口部81を塞ぐ第一部材91は、第二開口部82を塞ぐ第二部材92よりも高い位置に配置される。
【0140】
従って、蓄電装置1の一般的な使用時の姿勢において、第二部材92よりも通気性が高い第一部材91は、比較的に高い位置に存在する。そのため、例えば通気室60に外部の水が流入した場合であっても、第一部材91が水につかることによる、第一部材91を介した水漏れ等の発生の可能性が低減される。
【0141】
また、蓄電装置1は、外装体10の内部及び外部の一方から他方への通気のための構造(通気構造)として、
図4〜
図8に示す通気室60とは異なる通気構造を有してもよい。そこで、以下に、実施の形態に係る外装体10の通気構造に関する変形例を、上記実施の形態との差分を中心に説明する。
【0142】
(変形例1)
図9は、実施の形態の変形例1に係る蓄電装置1aの通気構造の概要を示す断面図である。なお、
図9では、蓄電装置1aが備える外装体10aを、第一開口部81及び第二開口部82等を含む通気構造の位置において、XY平面に平行な面で切断した状態を示している。また、外装体10aの形状は、その特徴が現れるように簡素化して図示しており、保持部材30及びバスバー41等の図示は省略されている。
図9についてのこれらの補足事項は、後述する
図10〜
図13についても適用される。
【0143】
図9に示す蓄電装置1aは、それぞれが外部と連通する第一開口部81及び第二開口部82を有する外装体10aを備えている。蓄電装置1aはさらに、第一開口部を覆い、防水性及び通気性を有する第一部材91と、第二開口部82を覆い、外装体10aの内部の圧力が所定の圧力を超えた場合に、当該内部の圧力を開放する第二部材92とを備えている。つまり、本変形例に係る蓄電装置1aは、上記構造については、実施の形態に係る蓄電装置1と共通している。
【0144】
しかし、本変形例に係る蓄電装置1aは、通気室(通気空間)と呼べるような、他の部分と明確に区別できる構成要素を有していない。
【0145】
この場合であっても、外装体10aが有する第一開口部81に、通気防水膜である第一部材91を配置し、かつ、外装体10aが有する第二開口部82に、気体および液体を通過させない第二部材92を配置することで、それぞれの開口部に互いに異なる機能を持たせることができる。具体的には、第一開口部81により、通常時における外装体10aからのガス抜き及び外装体10aの内外の圧力平衡がなされ、第二開口部82により、非常時(緊急時)における外装体10aからのガス抜きがなされる。
【0146】
また、1つの開口部に、互いに異なる機能を持つ2つの部材を並べて配置する場合と比較すると、上記の通常時及び非常時(緊急時)における内圧制御機能が、比較的に簡易な構造または製造工程で、蓄電装置1aに備えられる。
【0147】
(変形例2)
図10は、実施の形態の変形例2に係る蓄電装置1bの通気構造の概要を示す断面図である。
図10に示す蓄電装置1bにおいて、外装体10bには、第一開口部81及び第二開口部82と、外部に連通する貫通孔70とが配置された通気室60aが設けられている。第一開口部81及び第二開口部82は、貫通孔70を介して外部と連通する位置に配置されている。この構造において、第一開口部81の軸線(第一軸線81a)の方向を第一軸方向とし、第二開口部82の軸線(第二軸線82a)の方向を第二軸方向とし、貫通孔70の軸線(第三軸線70a)の方向を第三軸方向とする。本変形例では、第一軸方向及び第二軸方向はともにZ軸方向であり、第三軸方向はX軸方向である。この場合、第一軸方向及び第二軸方向は、第三軸方向と交差する。つまり、本変形例に係る蓄電装置1bは、上記構造については、実施の形態に係る蓄電装置1と共通している。
【0148】
しかし、本変形例に係る蓄電装置1bは、通気室60aに、第一壁65及び第二壁66のような壁は、配置されていない。この場合であっても、貫通孔70の軸線の方向と、通気室60aに配置された開口部(本変形例では、第一開口部81及び第二開口部82)の軸線の方向とが交差するため、貫通孔70から、仮に速い速度で水が流入したとしても、構造上、当該開口部に、当該開口部の軸方向から水が向かってくる可能性が低減される。
【0149】
なお、本変形例では、第一軸方向及び第二軸方向のそれぞれは、第三軸方向とのなす角が90°となる関係にあるが、このことは必須ではない。例えば、第一軸方向と第三軸方向とが平行ではなく、かつ、第一軸方向と第三軸方向とのなす角が90°ではない場合を想定する。この場合であっても、第一軸方向と第三軸方向が交差するため、貫通孔70から、仮に速い速度で水が流入したとしても、第一開口部81に、第一軸方向から水が向かってくる可能性が低減される。
【0150】
(変形例3)
図11は、実施の形態の変形例3に係る蓄電装置1cの通気構造の概要を示す断面図である。
図11に示す蓄電装置1cにおいて、外装体10cには、第一開口部81及び第二開口部82と、外部に連通する貫通孔70とが配置された通気室60bが設けられている。また、第一開口部81及び第二開口部82は、貫通孔70を介して外部と連通する位置に配置されている。つまり、本変形例に係る蓄電装置1cは、上記構造については、上記実施の形態に係る蓄電装置1と共通している。
【0151】
しかし、本変形例に係る蓄電装置1cでは、第一開口部81及び第二開口部82の軸線である第一軸線81a及び第二軸線82aは、貫通孔70の軸線である第三軸線70aと平行である。つまり、
図11に示すように、第一軸線81a及び第二軸線82aのそれぞれは、第三軸線70aと同じくX軸方向に平行であり、かつ、第一軸線81a及び第二軸線82aのそれぞれと、第三軸線70aとは3次元空間において重ならない。この点において、上記実施の形態に係る蓄電装置1とは異なる。
【0152】
この構成によれば、貫通孔70から速い速度で水が流入した場合であっても、第三軸線70aと軸線と第一軸線81a及び第二軸線82aとが重なっていないため、構造上、第一開口部81及び第二開口部82に、当該開口部の軸方向から水が向かってくる可能性が低減される。
【0153】
なお、第一軸線81a及び第二軸線82aの少なくとも一方が、第三軸線70aと平行な関係にあればよい。これにより、当該少なくとも一方に対応する、第一開口部81及び第二開口部82の少なくとも一方については、貫通孔70から流入した水が軸方向から向かってくる可能性が低減される。
【0154】
また、第一開口部81及び第二開口部82の一方が、外装体10cの通気室60bとは異なる位置に配置されていてもよい。この場合であっても、通気室60bに配置された開口部の軸線(第一軸線81aまたは第二軸線82a)が、貫通孔70の第三軸線70aと平行であることで、当該開口部に軸方向から水が向かってくる可能性が低減される。
【0155】
なお、
図11において、第一開口部81及び第二開口部82が配置された奥壁64が、X軸方向プラス側またはマイナス側に凸の形状であってもよい。この場合、第一軸線81a及び第二軸線82aが、例えばXY平面内で傾くことで、第一軸線81aの方向(第一軸方向)及び第二軸線82aの方向(第二軸方向)は、第三軸線70aの方向(第三軸方向)と交差する。そのため、上記変形例2で説明したように、貫通孔70から、仮に速い速度で水が流入したとしても、構造上、第一開口部81及び第二開口部82のそれぞれに、当該開口部の軸方向から水が向かってくる可能性が低減される。
【0156】
(変形例4)
図12は、実施の形態の変形例4に係る蓄電装置1dの通気構造の概要を示す断面図である。
図12に示す蓄電装置1dにおいて、外装体10dには、第一開口部81及び第二開口部82と、外部に連通する貫通孔70とが設けられている。また、第一開口部81及び貫通孔70は、外装体10dが有する通気室60cに配置されている。つまり、本変形例に係る蓄電装置1dは、上記構造については、上記実施の形態に係る蓄電装置1と共通している。
【0157】
しかし、本変形例に係る蓄電装置1dでは、第二開口部82は、通気室60cに配置されておらず、外装体10dの1つの側壁部に配置されている。この場合であっても、貫通孔70の第三軸線70aの方向(第三軸方向)と、通気室60cに配置された第一開口部81の第一軸線81aの方向(第一軸方向)とが交差するため、貫通孔70から、仮に速い速度で水が流入したとしても、構造上、第一開口部81に、第一軸方向から水が向かってくる可能性が低減される。
【0158】
なお、上記変形例3のように、第一軸線81aが、第三軸線70aと平行となるように、通気室60cに第一開口部81を配置してもよい。この場合であっても、第一開口部81に、第一軸方向から水が向かってくる可能性は低減される。
【0159】
また、第二開口部82を通気室60cに配置し、第一開口部81を外装体10dの通気室60c以外の部分に配置してもよい。この場合、第二開口部82を、第二軸線82aの方向(第二軸方向)と、第三軸方向とが交差するように配置することで、貫通孔70から流入した水が、第二開口部82に第二軸方向から向かってくる可能性は低減される。また、上記変形例3のように、第二軸線82aが、第三軸線70aと平行となるように、通気室60cに第二開口部82を配置することで、第二開口部82に第二軸方向から水が向かってくる可能性は低減される。
【0160】
ここで、例えば、第一部材91が通気性を有する通気防水膜であり、第二部材92が通気性を有しない(または、第一部材91よりも通気性が低い)部材であることを考慮すると、第一開口部81(及び第一部材91)を、通気室60cに配置する方が、外部の水の外装体10dへの浸入可能性の低減という観点から有利であると言える。
【0161】
その一方で、例えば、第二開口部82から高熱のガスが排出されることを考慮すると、高熱のガスの勢い及び熱を低下させるという観点からは、第二開口部82(及び第二部材92)を、通気室60cに配置する方が有利であると言える。
【0162】
また、本変形例では、貫通孔70と第二開口部82とを、外装体10dの同じ側壁部に配置しているが、貫通孔70と第二開口部82とは、互いに異なる側壁部に配置してもよい。例えば、第二開口部82から噴出する高熱のガスを処理するための部品または構造物が配置される位置に応じて、外装体10dにおける第二開口部82の配置位置を決定してもよい。
【0163】
(変形例5)
図13は、実施の形態の変形例5に係る蓄電装置1eの通気構造の概要を示す断面図である。
【0164】
図13に示す蓄電装置1eにおいて、外装体10eには、第一開口部81及び第二開口部82と、外部に連通する貫通孔70とが配置された通気室60dが設けられている。第一開口部81及び第二開口部82は、貫通孔70を介して外部と連通する位置に配置されている。つまり、本変形例に係る蓄電装置1eは、上記構造については、実施の形態に係る蓄電装置1と共通している。
【0165】
しかし、本変形例に係る蓄電装置1eでは、貫通孔70と奥壁64との間には、第一壁65のみが設けられている。つまり、第一壁65と奥壁64との間には、第二壁66のような壁は配置されていない。また、本変形例では、外装体10eには、複数の貫通孔70を形成するメッシュ部75は備えられておらず、貫通孔70が1つのみ形成されている。この場合であっても、貫通孔70より奥側(外装体10eの内部側)に第一壁65が配置されているため、貫通孔70から流入した水は、第一壁65に衝突することで勢いが弱められる。その結果、貫通孔70から流入した水が、通気室60dに配置された開口部(本変形例では、第一開口部81及び第二開口部82)に到達する可能性は低減される。
【0166】
また、本変形例において、外装体10eは、前壁68に交差する第一方向(X軸方向)に沿って延設された側壁68bを有する。側壁68bと第一壁65との間には、第一方向(X軸方向)に沿って前壁63から奥壁64に渡って隙間67(
図13では太線の点線で表されている)が形成されており、この隙間67によって、第一方向(X軸方向)に沿った流体の通路が形成される。これにより、仮に通気室60dに水が流入した場合であっても、通気室60dからの排水が促される。その結果、通気室60d内に水が貯留することに起因する不具合の発生の可能性が低減される。
【0167】
(他の実施の形態)
以上、本発明の実施の形態及びその変形例に係る蓄電装置について説明したが、本発明は、上記実施の形態及びその変形例に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態及びその変形例は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。また、上記実施の形態及びその変形例が備える各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【0168】
例えば、上記実施の形態に係る通気室60において、第一方向(X軸方向)に沿って前壁63から奥壁64に渡って形成されている隙間67は、第一壁65と、XZ平面に平行な姿勢で底面69に立設された側壁68bとの間に形成されている。しかし、流体の通路を形成する隙間67は、第一壁65と他の側壁との間に形成されてもよい。
【0169】
例えば、通気室60の底面69を形成する、下蓋11aの一部は、第一壁65のZ軸方向マイナス側に位置する壁(側壁)であると言える。つまり、第一壁65と、通気室60の底面69を形成する側壁との間に、第一方向に沿って前壁63から奥壁64に渡って形成されている隙間67が存在してもよい。つまり、第一壁65の下方(Z軸方向マイナス側)に、隙間67が形成されていてもよい。この場合、例えば、第一壁65の一部のみが底面69と接続されている、もしくは、第一壁65が、側壁68bまたは上蓋11bと接続されていることで、第一壁65を通気室60内の所定の位置に固定することができる。
【0170】
また、本実施の形態では、例えば
図6に示すように、複数の壁(1つの第一壁65及び2つの第二壁66)の、第一通気室61とは反対側の側壁68cとの間にも、第一方向に沿って前壁63から奥壁64に渡って形成されている隙間が存在しているが、この隙間は必須ではない。例えば、1つの第一壁65及び2つの第二壁66のうちの少なくとも1つが、側壁68cと接続されていてもよい。つまり、第一壁65と、第一壁65の下、左、右の側壁のうちの、少なくとも1つの側壁との間に、第一方向に沿って前壁63から奥壁64に渡って隙間が形成されていれば、当該隙間によって、通気室60からの排水が促されるという効果を得ることができる。
【0171】
また、第一壁65の側壁は平面ではなく曲面を形成していてもよい。例えば、通気室60の内部の形状が、例えば、第一方向に平行な管軸を有する管形状であってもよい。この場合、第一壁65と、曲面を形成する側壁との間に、第一方向に沿って前壁63から奥壁64に渡って隙間が形成されていることで、通気室60からの排水が促されるという効果を得ることができる。
【0172】
また、隙間67は、全体として、第一方向に沿った直進路を形成していれば、隙間67を通過する流体を効率よく排出することができる。そのため、例えば、側壁68bに、流体の移動の妨げとなる突出部が存在する場合であっても、第一方向から見た場合に、突出部と第一壁65とがオーバーラップしない部分があれば、第一壁65と側壁68bとの間の少なくとも一部に、前壁63から奥壁64に渡って形成された流体の直進路が存在する。
【0173】
また、第一壁65は、例えば、1つの貫通孔70に対向して配置される場合、貫通孔70の中心を遮る位置に配置されていれば、貫通孔70から流入する水等の異物の勢いを効率よく低下させることができる。また、上記実施の形態のように、複数の貫通孔70が形成されている通気室60に第一壁65が配置される場合、複数の貫通孔70の分布領域の中心を遮る位置に第一壁65が配置されていればよい。これにより、複数の貫通孔70から流入する水等の異物の勢いを効率よく低下させることができる。
【0174】
なお、第一方向から見た場合に、通気室60が有する1以上の貫通孔70の全てを覆う範囲に第一壁65が存在するように、第一壁65を配置することで、1以上の貫通孔70から流入する水等の異物の勢いを低下させる効果がさらに向上される。
【0175】
また、第二部材92は、第二開口部82の周縁から剥がれることで、第二開口部82を開放し、これにより、外装体10の内圧の上昇を抑えるとした。しかし、第二部材92は、外装体10の内圧が急激に上昇した場合に、例えば、破断すること、または、破壊されることで、第二開口部82を開放し、これにより、外装体10の内圧の上昇を抑えてもよい。
【0176】
また、上記実施の形態では、第一部材91は、第一開口部81を、蓄電素子100とは反対側から覆う状態で配置されており、第二部材92は、第二開口部82の、蓄電素子100とは反対側から覆う状態で配置されている。これにより、外装体10の外圧が内圧よりも高い状況において、その差圧は、第一部材91を第一開口部81の周縁に押し付け、かつ、第二部材92を第二開口部82の周縁に押し付ける方向に働く。そのため、例えば、外装体10の外圧が内圧よりも高い場合、その差圧に起因して、第一部材91及び第二部材92が外れるような事態の発生が起こり難いという効果が奏される。
【0177】
しかし、第一部材91及び第二部材92の配置位置はこれに限られない。例えば、上述のように、第二部材92が、外装体10の内圧の急激な上昇時に破断または破壊されるよう設計されている場合、第二部材92は、第二開口部82を、蓄電素子100が配置されている側から覆う状態で配置されてもよい。
【0178】
また、本発明は、このような蓄電装置として実現することができるだけでなく、当該蓄電装置が備える外装体として実現することもできる。