(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記遮蔽部材は、その主要部を構成する底板から屹立する屹立部を、前記表示制御回路を取り囲む位置に備える、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。
前記遮蔽部材と前記回路基板の接地部とが前記回路基板に実装した複数の導電部材によって接続されている、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された構成では、グラフィックコントローラ等が配置された回路基板がシールドケースによって包囲され、さらに、回路基板の背面にフレーム体が配置されている。即ち、回路基板は、周囲が囲まれた構造になっている。
【0006】
近時の表示装置は、そのグラフィックコントローラの処理負荷は増大しており、発熱量が大きい。しかしながら、特許文献1に記載された構造では、発生した熱が、回路基板が配置された空間内に籠ってしまい、外部に逃げることができない。このため、グラフィックコントローラ等の電子部品が加熱するおそれがある。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、内部温度の上昇を抑えつつ電磁シールドに優れた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の表示装置は、
表示画面を有する表示器と、
前記表示器の前記表示画面側とは反対側に位置し、前記表示器の制御を行う表示制御回路が配置された回路基板と、
前記表示制御回路を覆うように配置された、熱伝導性と電気伝導性を有する遮蔽部材と、
前記表示制御回路と前記遮蔽部材とに当接し熱伝導性と弾性を有する熱伝導部と、
前記遮蔽部材の前記熱伝導部に当接する部位を含む所定部位に対向する開口部が設けられ、前記回路基板と前記遮蔽部材と前記熱伝導部とを収容する収容部と、を備え、
前記回路基板は、前記表示器と前記遮蔽部材との間に介在するように設けられ、
前記回路基板の外形形状は、前記表示器の外形形状及び前記遮蔽部材の外形形状よりも大きい。
【0009】
前記遮蔽部材は、例えば、前記開口部を塞ぐように前記収容部に固定される。
【0010】
前記遮蔽部材は、前記開口部から突出する放熱用のフィンを備えてもよい。
また、前記遮蔽部材は、例えば、その主要部を構成する底板から屹立する屹立部を、前記表示制御回路を取り囲む位置に備える。
【0012】
前記遮蔽部材と前記回路基板の接地部とは、例えば、前記回路基板に実装された複数の導電部材によって接続される。
【発明の効果】
【0014】
開示した表示装置によれば、表示装置の制御回路で発生した熱が遮蔽部材に伝達され、遮蔽部材から開口を介して放熱される。従って、熱が内部に籠らず、表示制御回路が高温になるのを防止できる。また、遮蔽部材が電磁シールドとして機能し、電磁輻射を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係る表示装置を、図面を参照して説明する。なお、以下の実施の形態では、車載用の表示装置を例に挙げて説明するが、本開示はこれに限定されず、他の機器に搭載され、あるいは組み込まれて使用される表示装置にも適用できる。
【0017】
図1(a)は、本実施の形態に係る表示装置10の平面図、
図1(b)は、
図1(a)に示す表示装置10を矢視A−Aで切断したときの断面図、
図2と
図3とは、
図1に示す表示装置を異なる方向から見た分解組立図である。
【0018】
図示するように、表示装置10は、ケース部(収容部)20と、ケース部20に収容されたシールドケース30と、シールドケース30上に配置された回路基板40と、回路基板40に配置され、シールドケース30に収容され
た電子部品50と、回路基板40に配置された表示器60とを備える。
【0019】
ケース部20は、合成樹脂等から形成され、平面視したときの形状が横長矩形の底面部20aと、底面部20aの周縁部に沿って屹立して形成されている立設部20bとを備え、断面が凹形状に形成されている。
【0020】
ケース部20の底面部20aのほぼ中央には、
図2、
図3に拡大して示すように、放熱用の矩形状の開口部21が形成されている。また、開口部21の上方には、コネクタ装着用の開口部27が形成されている。
【0021】
開口部21の周縁部には、屹立し、シールドケース30を支持するリブ22が形成されている。リブ22の4つの角部には、ボス部23(23a〜23d)が形成されている。各ボス部23a〜23dには、シールドケース30を固定するためのネジ螺合部24a〜24dが形成されている。さらに、リブ22には、シールドケース30との位置合わせを容易にするための位置合わせ用突起25a〜25cが形成されている。
【0022】
ケース部20の底面部20aには、回路基板40を固定するためのボス部28a、28b、28cが配置されている。
また、ケース部20の立設部20bには、表示装置10を他の機器等に固定するために、立設部20bの端部を延出して形成された支持部26a,26bが配置されている。
【0023】
シールドケース30は、電磁シールドとして機能すると共に放熱板(ヒートシンク)として機能する電磁遮蔽部材であり、電子部品50を覆うように配置される。シールドケース30は、ケース部20の開口部21より大きい矩形状の底板(遮蔽部)31と、このシールドケース30の主要部(本体部)を構成する底板31を囲むように屹立して設けられた屹立部としてのリブ(側壁)32とを有し、その断面が凹形状に構成される。シールドケース30は、高い熱伝導性、高い電気伝導性、および剛性を有する材料、例えば鉄、ステンレス、銅等の金属から形成され、リブ32を、電子部品50を取り囲む位置に備える。シールドケース30は、回路基板40に実装された電子部品50を包囲し、覆うことのできる大きさと容積を有している。
【0024】
シールドケース30は、
図2、
図3に拡大して示すように、底板31の4隅に、ネジ穴33a〜33dが形成されている。ネジ穴33a〜33dは、ケース部20に形成された固定部としてのネジ螺合部24a〜24dに対向する位置に形成されている。また、シールドケース30には、ケース部20の位置合わせ用の突起25a〜25cが挿入される位置合わせ用の貫通穴34a〜34cが形成されている。
【0025】
シールドケース30は、ケース部20の位置合わせ用の突起25a〜25cを位置合わせ用の貫通穴34a〜34cに挿入しておおよそ位置合わせし、続いて、ネジ36a〜36dを、ネジ穴33a〜33dを介して、ネジ螺合部24a〜24dに螺止めすることにより、開口部21を塞ぐように、ケース部20に固定される。
【0026】
回路基板40は、両面にプリント配線が形成された剛性のプリント配線基板から構成され、電子部品50が配置される。ケース部20の底面部20aにほぼ平行となるように、複数のスペーサ35(
図2では3個のみ図示する)によりシールドケース30の底板31に固定されている。スペーサ(導電部材)35は、金属等の導体の円柱部材、球体等から構成され、回路基板40の図示省略したグランド配線(接地部)に固定(実装)され、グランド配線とシールドケース30とを電気的及び熱的に接続すると共に回路基板40をシールドケース30から離間しつつ支持する。
【0027】
回路基板40には、表示器60をネジ止めするためのネジ穴41a〜41dが形成され、さらに、ケース部20のボス部28a〜28cにネジ止めするためのネジ穴42a〜42cが形成されている。図示せぬネジを、ネジ穴42a〜42cを通してケース部20のボス部28a〜28cにネジ止めすることにより、回路基板40をケース部20に固定する。
【0028】
また、回路基板40の開口部27と対向する位置には、コネクタが固定されている。このコネクタは、開口部27に挿入されたコネクタと接続され、外部と電子部品とを電気的に接続する。
【0029】
電子部品50は、表示器60を駆動及び制御するための表示制御回路に相当し、回路基板40に実装されている。電子部品50は、表示器60に画像信号、制御信号等を出力するとともに、所定の機能を実現するアプリケーションに必要な各種インタフェースを備えたグラフィック・ディスプレイ・コントローラ(GDC)を含む。なお、電子部品50は、GDCに限定されず、他の電子部品、例えば、マイクロプロセッサ、RAM(Random Access Memory)等の記憶素子、通信用の集積回路等でもよい。
なお、図面を見やすくするための、電子部品50を1個のみ図示している。
電子部品50は、表示器60を駆動して様々な情報を表示すると共にその動作に伴って電力を消費し、発熱する。
【0030】
電子部品50は、樹脂等から構成されるパッケージで封止された半導体素子(集積回路)から構成されている。パッケージの上面部には、電子部品50全体を覆う大きさを有し、ゴム、シリコンゴム等の熱伝導率の高い弾性体からなる熱伝導体層(熱伝導部)51が取りつけられている。このように熱伝導性と弾性を有する熱伝導体層51は、
図1(b)に示すように、回路基板40がケース部20に収容されたときに、電子部品50とシールドケース30とに当接する厚さを有する。熱伝導体層51は、電子部品50で発生した熱をシールドケース30に伝導する。
【0031】
表示器60は、速度、残燃料の量等、車両の搭乗者に様々な情報を表示画面61に表示する液晶表示素子、EL(Electro Luminescence)表示素子等の表示器から構成されている。
図3に示すように、表示器60の背面には、ネジ止め用のボス62a〜62dが形成されている。図示せぬネジを、回路基板40のネジ穴41a〜41dに通して、ボス62a〜62dにネジ止めすることにより、表示器60を回路基板40に固定する。なお、図示は省略するが、ケース部20は、表示器60の表示画面61に対応する貫通孔形状からなる表示窓部を有する樹脂製の前面側筐体と適宜固定手段を用いて固定されている。
【0032】
この構成において、GDC等を含む電子部品50は、外部から供給される高周波数の映像データ等を処理し、表示器60を駆動及び制御して、表示器60の表示画面61に画像を表示させる。
動作に伴って電子部品50で発生した熱は、熱伝導体層51を介してシールドケース30に伝播する。シールドケース30の底板31のうち、周縁部を除くほぼ全面が、ケース部20の開口部21から表示装置10の外部に露出している。このため、シールドケース30に伝達した熱は、ケース部20の底面部20aに形成された開口部21を通って、外気に放出される。このため、電子部品50で発生した熱が、ケース部20内の空間に籠ることがなく、表示装置10内部の温度上昇を抑制できる。
【0033】
また、電子部品50がシールドケース30(側壁32)で覆われ、且つ、シールドケース30が回路基板40のグランド配線にスペーサ35により電気的に接続されている。このため、シールドケース30は、グランド電位(接地電位)に維持されている。このため、高周波信号処理する電子部品50より輻射ノイズが発せられても、シールドケース30の電磁シールド機能により、表示装置10の外部に漏出する不要電磁波を抑えることができる。その結果、表示装置10の近傍に設置された他の機器の動作が輻射ノイズにより影響を受けたり、車両に搭載したオーディオシステム等にノイズが混入するのを回避できる。さらに、シールドケース30の縁部にリブ32が形成されているので、電子部品50がシールドケース30に収容される形態となる。このため、電磁遮蔽機能がより向上する。
【0034】
さらには、他の電子機器から発せられた外来ノイズが表示装置10に到来してもシールドケース30により遮断される。このため、電子部品50が外来ノイズによる電磁的な影響を受けて誤動作することを防止できる。
【0035】
また、シールドケース30を回路基板40に直接実装せず、任意の配置が可能なスペーサ35を介してシールドケース30と回路基板40のグランド配線とを電気的に接続している。これにより、シールドケース30を取り付けるための回路基板40への穴開けが不要となり、回路基板40の設計レイアウトの自由度が向上する。
【0036】
次に、表示装置10の組み立て方法について説明する。
まず、ケース部20にシールドケース30を固定する。このため、シールドケース30に形成された位置合わせ用の貫通穴34a〜34cに位置合わせ用の突起25a〜25cを挿入するように、シールドケース30をリブ22上に配置する。これにより、シールドケース30が位置合わせされる。
続いて、シールドケース30のネジ穴33a〜33dを通してセルフタップネジ等のネジ36a〜36dをネジ螺合部24a〜24dにねじ込むことで、シールドケース30がケース部20に固定される。
【0037】
上記のように、ケース部20の底面部20aに形成したネジ螺合部24a〜24dにシールドケース30をネジで取付け、固定する構成とすることで、開口部21を設けたことによるケース部20の機械的強度の低下が補強され、収容ケースとしての強度を確保できる。
【0038】
一方、別工程で、回路基板40に電子部品50を配置接続し、電子部品50の上に熱伝導体層51を取りつける。また、グランド配線上に複数のスペーサ35を固定する。さらに、ネジ止めにより、回路基板40に表示器60を固定し、フレキシブル配線板(図示せず)等で回路基板40と表示器60とを接続する。
続いて、回路基板40のネジ穴42a〜42cにネジを通して、回路基板40をボス部28a〜28cにネジ止めする。
これにより、
図1(a)、(b)に示す表示装置10が完成する。
【0039】
なお、上述した位置合わせ用の突起25a〜25cの垂直方向の高さは特に限定されないが、回路基板40等の取り付けの障害とならないよう、シールドケース30のリブ32の高さを越えない程度が望ましい。
【0040】
本願発明は、上記の実施の形態に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上述した実施の形態においてシールドケース30はヒートシンクとして機能するが、その底板31は平板状である。より一層の放熱効果を得るため、シールドケースの底壁に放熱用のフィンを設けてもよい。
【0041】
図4は、底壁にフィン71を設けたシールドケース30をケース部20の底面部に固定した表示装置11を背面側から見たときの外観である。
図4に示すように、表示装置11のケース部20の開口部21からは複数の板状の金属板よりなるフィン71が露出(突出)している。このため、底板31の表面積が増えることから、シールドケース30と外気との熱交換効率が向上し、電子部品50等で発生した熱を効率的に外部に逃がすことができる。
【0042】
放熱用のフィン71を、シールドケース30の寸法に合わせて別ユニットとして製造し、それをシールドケース30の底板31に接合する等、外付けにより設けてもよいし、あるいは、シールドケース30の底板31そのものをフィン形状に加工し、フィンをシールドケース30と一体化してもよい。また、フィンの形状、フィンの数、配置位置等は、
図4に示す例に限定されない。
【0043】
上記実施の形態においては、導電性のスペーサ35により、シールドケース30と回路基板40との間隔を保持すると共にシールドケース30を回路基板40のグランド配線に電気的に接続した。これに限られず、他の保持手段と接続手段を使用してもよい。例えば、他の保持手段として非導電性のスペーサ35を使用してシールドケース30を回路基板40との間隔を保持し、接続手段として非導電性のスペーサ35とは別個の導電材、例えば、電気配線を使用して、シールドケース30と回路基板40のグランド配線を接続してもよい。スペーサとして導電性ゴムなどを用いてもよい。また、シールドケース30に印加する電圧は、グランド電圧に限定されず、電源電圧等、任意の基準電圧でかまわない。
【0044】
上記実施の形態において、シールドケース30は、回路基板40に対向する板状の底板31と、底板31の縁部から屹立したリブ32とを備え、電子部品50をその背面及び側面からシールドした。この構成に限定されず、例えば、シールドケース30を底板31のみで構成し、電子部品50の後方のみを覆うように構成してもよい。この場合でも、電子部品50の開口部21側への輻射をシールドすることができる。また、放熱には大きな影響を与えない。
【0045】
また、開口部21を塞ぐ形態で、シールドケース30をケース部20に固定したが、開口部21の一部を通気可能な状態としてもよい。また、シールドケース30に開口部を形成する等して、シールドケース30を介した空気の流通を可能としてもよい。
【0046】
シールドケース30をケース部20に固定する手法は任意であり、例えば、接着剤で固定してもよい。
【0047】
ケース部20の形状は任意である。ただし、発熱する電子部品50とシールドケース30との一面をカバーし、シールドケース30の熱伝導体層51に当接する部位を含む所定部位に対向する開口部21が設けられている必要がある。電子部品50が配置された回路基板40とシールドケース30とを単体で収容する必要はなく、少なくとも他の部材との組み合わせでこれらの少なくとも一部を収容できればよい。平板状の形状でもよい。
【0048】
開口部21の周囲には、その強度を高めるため、リブ22を配置することが望ましいが、必須のものではない。
【0049】
上記実施の形態においては、表示器60を備える表示装置10、11を例示したが、自らは表示器を備えず、外部の表示器に映像信号と制御信号を供給する表示装置にもこの発明を適用可能である。