(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記隙間は、前記給気部よりも前記第1空間側の第1隙間と、前記給気部よりも前記第2空間側の第2隙間とを含む請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の位置決め装置。
前記シール部材と前記ステージとの間に前記第1隙間が設けられ、前記突出部と前記ステージとの間に前記第2隙間が設けられる請求項9又は請求項10に記載の位置決め装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、蒸着装置等のガス置換環境でワークの位置決めを行う場合や、アディティブマニュファクチャリングに代表される粉塵が舞う環境内でワークの位置決めを行う場合がある。このような位置決め装置において、ワークの位置決めを行う空間の気体が外部に流出すると、ワークの位置決めを行うための駆動機構に不具合が生じる可能性がある。特許文献1は、隙間に供給された気体を排出する排気通路が設けられているが、構成が煩雑になり、また、ワークの位置決めを行う空間が異物環境である場合は、排気通路で目詰まりする可能性がある。
【0005】
本発明は、簡便な構成で、ワークの位置決めや検査を行う空間の気体が外部に流出することを抑制可能な位置決め装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る位置決め装置は、筐体に囲まれた第1空間と、前記第1空間と異なる第2空間とを区切る板状部材と、前記第1空間に配置され、前記板状部材に設けられた孔部を覆うとともに、前記板状部材の前記第1空間側の面と隙間を有して対向し、前記板状部材の前記第1空間側の面と平行な面内に移動可能に設けられたステージと、前記第2空間に配置される駆動機構と、前記板状部材の前記孔部に挿通され、前記ステージと前記駆動機構とを連結する連結軸と、前記板状部材の前記孔部よりも外側において前記隙間に開口して、前記隙間に気体を供給することにより、前記第2空間から前記第1空間に向かう方向に前記気体を前記第1空間側に流入させる給気部と、を有する。
【0007】
本発明の一態様に係る位置決め装置は、板状部材と、前記板状部材の第1空間側に設けられ、前記板状部材と隙間を有して対向するとともに、前記板状部材の前記第1空間側の面と平行な面内に移動可能に設けられたステージと、前記ステージに対し前記板状部材と反対側に設けられる駆動機構と、前記隙間に開口して、前記隙間に気体を供給することにより、前記板状部材と前記ステージとの間の前記第1空間と、前記第1空間の外側の第2空間との間を封止するとともに、前記第2空間から前記第1空間に向かう方向に前記気体を前記第1空間側に流入させる給気部と、を有する。
【0008】
この構成によれば、板状部材とステージとの隙間に、給気部から気体が供給されることにより、第1空間と、第2空間とがシールされる。この給気部の気体の供給により、第2空間から第1空間に向かう方向に気体が流れる。このため、第1空間の気体が外部に流出することを抑制できる。また、隙間の気体を排出するための配管や通路等を設ける必要がない。したがって、簡便な構成で、ワークの位置決めや検査を行うための第1空間の気体が外部に流出することを抑制できる。
【0009】
本発明の一態様に係る位置決め装置において、前記給気部は、前記孔部の周りにスリット状に設けられている。この構成によれば、孔部の周方向に沿った全周において、第2空間から第1空間に向かう方向の気体の流れが発生するため、確実に第1空間の気体が外部に流出することを抑制できる。
【0010】
本発明の一態様に係る位置決め装置において、前記隙間は、前記給気部よりも前記第1空間側の第1隙間と、前記給気部よりも前記第2空間側の第2隙間とを含む。これによれば、第1隙間の間隔と第2隙間の間隔とを調整することにより、第1隙間と第2隙間とを通る気体の方向を調整できる。
【0011】
本発明の一態様に係る位置決め装置において、前記気体は、前記第1隙間を通って前記第1空間に流入するとともに、前記第2隙間を通って前記第2空間に流入する。これによれば、隙間に供給された気体の一部が第1隙間を通って第1空間に流入するので、第1空間の気体が外部に流出することを抑制できる。
【0012】
本発明の一態様に係る位置決め装置において、前記第1隙間の間隔は、前記第2隙間の間隔よりも大きい。これによれば、いわゆるエゼクタ効果により、第2隙間において、第2空間の気体が、第1空間側に流入する負圧が発生する。このため、第1空間の気体が外部に流出することを抑制できる。
【0013】
本発明の一態様に係る位置決め装置において、前記板状部材は、前記ステージ側に突出する突出部が設けられている。これによれば、板状部材とステージとの隙間の調整が容易である。また、板状部材の強度が向上するため、隙間の大きさの変動を抑制できる。
【0014】
本発明の一態様に係る位置決め装置において、前記突出部は、環状に設けられる。これによれば、第2空間の気体が隙間を通って第1空間側に流入する負圧が、孔部の周方向に沿って全周に発生するため、確実に第1空間の気体が第2空間に流出することを抑制できる。
【0015】
本発明の一態様に係る位置決め装置において、前記突出部の径方向外側の面と第3隙間を有して対向するシール部材が設けられ、前記給気部は、前記第3隙間を含む。これによれば、気体は第3隙間を通って第1隙間及び第2隙間に供給される。そして、シール部材と板状部材との間に隙間が形成される。第3隙間から供給される気体が、シール部材と板状部材との間の隙間を通って第1空間側に流入する。又は、第2空間の気体が第1空間側に流入する。また、シール部材を設けることにより、ステージとシール部材との隙間の間隔の調整が容易であり、第3隙間の調整も容易である。
【0016】
本発明の一態様に係る位置決め装置において、前記第3隙間の間隔は、前記第1隙間の間隔よりも小さく、かつ、前記第2隙間の間隔よりも小さい。これによれば、第3隙間を通る気体の流速が大きくなるので、確実に第2空間の気体が第1隙間及び第2隙間を通って第1空間側に流入する負圧を発生させることができる。
【0017】
本発明の一態様に係る位置決め装置において、前記シール部材と前記ステージとの間に前記第1隙間が設けられ、前記突出部と前記ステージとの間に前記第2隙間が設けられる。すなわち、シール部材が第1空間側に配置され、突出部がシール部材よりも第2空間側に配置される構成であっても、簡便な構成で、第1空間へ気体が流入することを抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、簡便な構成で、ワークの位置決めや検査を行う空間の気体が外部に流出することを抑制可能な位置決め装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、図面は、実施形態の説明のため、実際の寸法、形状と適宜変更して示している。
【0021】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る位置決め装置を模式的に示す断面図である。
図2は、第1の実施形態に係る位置決め装置のシール構造を示す断面図である。
図1は、連結軸32の中心軸を含み、かつ中心軸と平行な平面で位置決め装置10を切った断面を示している。位置決め装置10は、密閉空間内に配置されたワークを直線移動、又は回転移動させるための装置であり、工作機械、搬送装置、半導体製造装置、又は、減圧空間内でモールド加工を行うナノインプリント装置などに適用可能である。本実施形態の位置決め装置10は、例えば、蒸着装置等のガス置換環境でワークの位置決めを行う装置や、アディティブマニュファクチャリング(積層造形)に代表される粉塵が舞う環境内でワークの位置決めを行う装置等に適用可能である。
【0022】
ここで、アディティブマニュファクチャリングは、樹脂や金属粉末などの素材を積層して物体を形成する積層加工技術である。アディティブマニュファクチャリングは、例えば、レーザを照射して粉状の素材を溶かしながら積層するパウダースプレー式や、加工台に金属粉を敷き詰めてレーザを照射して、レーザが照射された部分の金属粉が溶融、固化されることで成形を行うパウダーベッド式がある。
【0023】
図1では、説明を分かりやすくするために、左右方向の1軸移動可能な例を示しているものの、これに限定されない。例えば、左右方向の移動に加え、
図1の前後方向に移動可能な2軸移動や、回転移動が可能な構成であってもよい。
【0024】
図1に示すように、本実施形態の位置決め装置10は、筐体20と、支持部28と、板状部材20aと、ステージ30と、駆動ステージ34と、連結軸32とを備える。筐体20に囲まれた第1空間Pは、特定の環境を維持し、ワークの位置決めや、加工、検査等を行うための密閉空間である。なお、密閉空間とは、外部から完全に密閉されている場合に限定されず、作業に適した特定の環境を維持できる空間であればよい。第1空間Pは、真空、減圧、ガス置換(減圧又は陽圧)、温度の異なる空間、クリーン環境、異物環境等の様々な環境に適用可能である。
【0025】
支持部28は、定盤55の上に配置されて、筐体20を支持する。支持部28に囲まれた第2空間Rは、ステージ30を移動させるための駆動機構等が設けられる。第2空間Rは、第1空間Pと区分けされ、第1空間Pと異なる環境となっている。支持部28は、筐体20を支持することが可能な枠状であってもよく、若しくは、駆動機構等を内部に収納可能な底部を備えてもよい。
【0026】
本実施形態において、第1空間Pは、板状部材20aを含む筐体20とステージ30とで囲まれた空間である。第2空間Rは、支持部28と、板状部材20aと、ステージ30と、定盤55とで囲まれた空間である。
【0027】
ステージ30は、第1空間Pに配置される。ステージ30は、板状部材20aの孔部20cを覆うとともに、板状部材20aの上面と隙間24を有して対向する。ステージ30は、第1面30aと、第1面30aの反対側の第2面30bとを有する板状の部材である。ステージ30は、上面から見たときに、円形状であってもよく、長円状、正方形状、矩形状等、他の形状であってもよい。ステージ30は、第1面30aに連結軸32の一方の端部が接続されており、連結軸32の移動に伴って、
図1の左右方向に1軸移動可能となっている。なお、上述のように、ステージ30は、
図1の前後方向にも移動可能な2軸移動可能であってもよく、回転移動可能であってもよい。ステージ30の第2面30bにワーク(図示しない)等が載置又は固定され、ワーク等の位置決め等が行われる。
【0028】
駆動ステージ34は、第2空間Rに配置される。駆動ステージ34は、板状部材20aよりも下方に配置され、連結軸32の他方の端部と接続される。駆動ステージ34は、図示しない外部の駆動部から駆動力が伝達され、
図1の左右方向に移動可能となっている。駆動部は、例えば、リニアモータが用いられる。また、駆動部は、駆動モータとボールねじとを組み合わせた機構であってもよい。この場合、駆動モータが回転駆動力を発生し、ボールねじがこの回転駆動力を1軸方向の駆動力に変換して駆動ステージ34に伝達する。
図1に示すように、連結軸32は、少なくとも
図1の左右方向において、板状部材20aと間隔を有して配置される。つまり、孔部20cの径は、連結軸32の移動を許容するように、連結軸32の径よりも大きくなっている。これにより、駆動ステージ34の移動に伴って、連結軸32を介して、ステージ30が面内方向に移動可能となっている。
【0029】
リニアベアリング35、35は、駆動ステージ34の下面に配置され、駆動ステージ34の移動とともに一体に移動する。リニアベアリング35、35は、駆動ステージ34の左右方向の中心位置に対して、右側の領域と、左側の領域とにそれぞれ配置される。定盤55の上にベース部材37が固定され、ベース部材37の上にガイド部材36が設けられる。2つのリニアベアリング35、35は、ガイド部材36に連結されて、ガイド部材36の延在方向に沿って円滑に移動可能になっている。このような構成により、駆動ステージ34は、リニアモータ等の駆動部から駆動力を受けたときに、1軸方向に円滑に移動可能になっている。
図1では省略して示すが、駆動ステージ34は上面から見たときに、略矩形状である。ガイド部材36及びリニアベアリング35、35は、駆動ステージ34の1辺に沿って配置され、かつ、対向する2辺にそれぞれ配置される。
【0030】
次に、第1空間Pのシール構造について説明する。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の位置決め装置10において、板状部材20aとステージ30との間に隙間24が設けられる。隙間24に給気ポンプ50から気体が供給されることで、板状部材20aとステージ30との間が封止(シール)される。
【0031】
隙間24は、第1隙間24Aと第2隙間24Bとを含む。板状部材20aは、ステージ30に向かい突出する突出部20bが設けられている。突出部20bは、板状部材20aと一体に形成されている。これに限られず、突出部20bは、板状部材20aと別部材で設けてもよい。また、板状部材20aの上面において、突出部20bよりも径方向外側にシール部材22が配置される。シール部材22の上面22cと、ステージ30の第1面30aとが第1隙間24Aを有して対向する。後述するように、突出部20b及びシール部材22は、孔部20cを囲む環状の部材である。
【0032】
突出部20bは、板状部材20aの上面に設けられ、板状部材20aの孔部20c側の端部に設けられる。突出部20bの側面20dは、板状部材20aの端面と連続している。これに限られず、突出部20bはステージ30の第1面30aと対向する位置に配置されていればよく、突出部20bの側面20dが、板状部材20aの端面よりも径方向外側に位置してもよい。突出部20bの上面20eと、ステージ30の第1面30aとが第2隙間24Bを有して対向する。このように、突出部20bとシール部材22とを設けているため、第1隙間24A及び第2隙間24Bの寸法の管理を容易に行うことができる。本実施形態では、第1隙間24Aの間隔t1は、第2隙間24Bの間隔t2と等しい大きさになっている。第1隙間24Aの間隔t1及び第2隙間24Bの間隔t2は、例えば、数百μm以上、数mm以下程度である。第1隙間24Aの間隔t1及び第2隙間24Bの間隔t2は、より狭い方が好ましい。こうすれば、第1隙間24A及び第2隙間24Bを通る気体の流速が高められるので、少ない気体の流量で異物の侵入を抑制することができる。また、板状部材20aは、突出部20bが設けられているので、強度が向上する。したがって、板状部材20aの変形が抑制され、第1隙間24A及び第2隙間24Bの寸法の変動を抑制することができる。
【0033】
図2に示すように、シール部材22は、第1側面22dと第2側面22eとを有している。第1側面22d及び第2側面22eは、突出部20bの外側面20fと隙間を有して対向する。第1側面22dは板状部材20a側に配置され、第2側面22eはステージ30側に配置される。第1側面22dは、第2側面22eよりも突出部20bから離れた位置に設けられ、第1側面22dと第2側面22eとで段差が形成される。
【0034】
シール部材22の第1側面22dと、突出部20bの外側面20fとで、給気溝22aが構成される。シール部材22の第2側面22eと、突出部20bの外側面20fとの隙間によりスリット状の給気部22b(第3隙間)が構成される。給気部22bは、給気溝22aと連続して、給気溝22aからステージ30に向かう方向に延びて、隙間24に開口する。第1隙間24Aは、給気部22bよりも第1空間P側に配置される。第2隙間24Bは、給気部22bよりも第2空間R側に配置される。
【0035】
給気部22bは、第2側面22eと外側面20fとの間の第3隙間の間隔t3が小さい絞り部であり、第3隙間の間隔t3は、給気溝22aの幅(第1側面22dと外側面20fとの間隔)よりも小さくなっている。給気部22bの第3隙間の間隔t3は、例えば、数μm以上、数十μm以下程度である。給気部22bは、突出部20bとシール部材22との2つの部材を対向させて設けられるため、一つの部材に絞り部を形成する場合に比べて、第3隙間の間隔t3の管理が比較的容易である。また、シール部材22に段差を形成することで給気溝22aが形成されるため、給気部22b及び給気溝22aを容易に形成することができる。
【0036】
図1に示すように、給気ポンプ50から給気溝22aに気体が供給される。気体は、給気溝22aから給気部22bを通って隙間24に供給される。給気部22bの第3隙間の間隔t3は、第1隙間24Aの間隔t1よりも小さく、かつ、第2隙間24Bの間隔t2よりも小さくなっている。
【0037】
ここで、給気部22bの第3隙間の間隔t3は、シール部材22の第2側面22eと垂直な方向における、シール部材22の第2側面22eと突出部20bの外側面20fとの距離である。また、第1隙間24Aの間隔t1は、シール部材22の上面22cと垂直な方向における、シール部材22の上面22cと、ステージ30の第1面30aとの距離である。また、第2隙間24Bの間隔t2は、突出部20bの上面20eと垂直な方向における、突出部20bの上面20eと、ステージ30の第1面30aとの距離である。
【0038】
本実施形態において、第1隙間24Aの間隔t1は、第2隙間24Bの間隔t2と等しい大きさとなっている。このため、第1隙間24Aを通る気体の抵抗と、第2隙間24Bを通る気体の抵抗とがほぼ等しくなる。よって、給気部22bから供給された気体は、第1隙間24Aと第2隙間24Bとに分岐して流れる。給気部22bから供給された気体は、第1隙間24Aにおいて、矢印F1に示す方向に流れて第1空間Pに流入するとともに、第2隙間24Bにおいて、矢印F2に示す方向に流れて第2空間Rに流入する。
【0039】
以上のように、給気部22bから供給された気体の一部は、第1隙間24Aを通って第1空間Pに流入するので、第1空間Pの気体が第2空間R側に流出することが抑制される。したがって、第1空間Pがガス置換環境や粉塵が舞う環境である場合であっても、第1空間Pのガスや粉塵が第2空間Rに流出し、リニアベアリング35、35や駆動ステージ34等が汚染されることを抑制できる。
【0040】
また、本実施形態の位置決め装置10は、ステージ30、突出部20b及びシール部材22により、第1隙間24A、第2隙間24B及び給気部22bを設け、給気部22bに陽圧の気体を供給することで第1空間Pのシール構造が実現できる。このため、第1空間Pが減圧空間等の環境や粉塵が舞う環境であっても、排気式シールや、磁気シールなどを設けることなく、給気部22bに気体を供給するのみで第1空間Pのシールが可能である。すなわち、位置決め装置10の小型化を図ることが可能である。
【0041】
さらに、突出部20b、シール部材22及び板状部材20aには、排気するための配管や溝部を設ける必要がない。したがって、簡便な構成で、第1空間Pの気体が第2空間R側に流出することを抑制できる。
【0042】
図3は、
図1のIII−III’線に沿う断面図である。
図3に示すように、突出部20b及びシール部材22は、連結軸32の中心軸Zrを中心とした環状の部材である。本実施形態において、突出部20b及びシール部材22は、平面視において、略矩形状である。ただし、これに限定されず、突出部20b及びシール部材22は、円形、正方形等、他の形状であってもよい。シール部材22は、突出部20bよりも径方向の外側に配置される。上述したように、シール部材22の第2側面22eと、突出部20bの外側面20fとの隙間により給気部22bが構成される。給気部22bは、スリット状であり、突出部20b及びシール部材22の周方向に沿って、環状に連続して設けられる。
【0043】
なお、
図3では図示を省略するが、
図1及び
図2に示す、給気溝22a、第1隙間24A及び第2隙間24Bも、突出部20b及びシール部材22の周方向に沿って、連続して設けられる。
【0044】
このような構成により、給気部22bに気体が供給されることで、第1隙間24Aを通って第1空間Pに流入する気体の流れと、第2隙間24Bを通って第2空間Rに流入する気体の流れとが、給気部22bの周方向に沿って全周に発生する。第1隙間24Aを通って第1空間Pに流入する気体の流れは、給気部22bから径方向の外側に放射状に発生する。また、第2隙間24Bを通って第2空間Rに流入する気体の流れは、給気部22bから径方向の内側に、連結軸32の中心軸Zrに向かう方向に発生する。
【0045】
また、給気部22bの第3隙間の間隔t3(
図2参照)を周方向に沿って等しい大きさとなるようにすることで、気体の流れが、給気部22bの周方向に沿って均等になる。したがって、第1隙間24Aの周方向に沿った全周において、第1空間Pの気体が第2空間R側に流出することを抑制することができる。
【0046】
また、給気溝22aは給気部22bに沿って全周に設けられている。上述したように、給気溝22aの隙間の間隔、すなわち、
図2に示すシール部材22の第1側面22dと、突出部20bの外側面20fとの間隔は、給気部22bの第3隙間の間隔t3よりも大きくなっている。給気溝22aを通る気体の抵抗が小さくなっているため、給気部22bの周方向に沿って均等に気体が供給される。したがって、給気ポンプ50からの気体は、給気溝22aの1か所、又は複数箇所に供給されればよく、筐体20に設けられる気体供給用の通路の数を少なくして、構成を簡便にすることができる。
【0047】
(変形例)
図4は、第1の実施形態の変形例に係る位置決め装置のシール構造を示す断面図である。本変形例の位置決め装置10Aは、第1隙間24Aの間隔t1が、第2隙間24Bの間隔t2よりも大きくなっている。第1隙間24Aの間隔t1は、例えば、数百μm以上、数mm以下程度である。第2隙間24Bの間隔t2は、例えば、数十μm以上、1.0mm以下程度である。また、給気部22bの第3隙間の間隔t3は、第1隙間24Aの間隔t1よりも小さく、かつ、第2隙間24Bの間隔t2よりも小さくなっている。
【0048】
給気部22bの隙間が小さくなっているので、給気ポンプ50から供給された気体は、給気部22bを通過する際に流速が大きくなる。このため、エゼクタ効果により、給気部22bの近傍の第1隙間24A及び第2隙間24Bで、第2空間Rから給気部22bに向かう負圧が発生する。この負圧により、
図4に示すように、第2隙間24Bにおいて、第2空間Rの気体が矢印F2に示す方向に流れる。
【0049】
上述のように、第2隙間24Bの間隔t2は、第1隙間24Aの間隔t1よりも小さくなっている。このため、第2隙間24Bを通る気体の抵抗が、第1隙間24Aを通る気体の抵抗よりも大きくなる。したがって、給気部22bから供給された気体は、抵抗が小さい第1隙間24Aを通って矢印F1に示す方向に流れる。
【0050】
以上のように、給気部22bから供給された気体は、第1隙間24Aを通って第1空間Pに流入する。また、エゼクタ効果により発生した負圧により、第2空間Rの気体が第1隙間24A及び第2隙間24Bを通って第1空間Pに流入する。これにより、本変形例の位置決め装置10Aによれば、ワークの位置決めや検査を行う第1空間Pの気体が第2空間Rに流出することを抑制できる。
【0051】
また、エゼクタ効果により発生した負圧により、第1空間Pの気体が第1隙間24A及び第2隙間24Bを通って第2空間Rに流入する。これにより、本実施形態の位置決め装置10によれば、ワークの位置決めや検査を行う第1空間Pへの気体の流入が抑制される。したがって、第1空間Pにおける気流の乱れが抑制され、第1空間P内の圧力分布の発生や温度分布の発生を抑制することができる。したがって、第1空間Pがガス置換環境や粉塵が舞う環境である場合であっても、第1空間Pのガスや粉塵が第2空間Rに流出し、リニアベアリング35、35や駆動ステージ34等が汚染されることを確実に抑制できる。
【0052】
さらに、第1隙間24A、第2隙間24B及び給気部22bを設け、給気部22bに陽圧の気体を供給することで、第2空間Rの気体を、第1隙間24A、第2隙間24Bを通って第1空間P側に流入させる負圧を発生させることができる。つまり、第1隙間24A、第2隙間24B及び給気部22bが負圧発生機構として機能するので、負圧を発生させるポンプや、第1空間Pの気体を吸気するための配管や溝部を設ける必要がない。したがって、簡便な構成で負圧発生機構を実現することができる。
【0053】
なお、本変形例において、第2隙間24Bの間隔t2が、第1隙間24Aの間隔t1よりも小さくなっている。これに限られず、第2隙間24Bの間隔t2が、第1隙間24Aの間隔t1よりも大きい場合であってもよい。この場合、第2隙間24Bの径方向の長さを第1隙間24Aの径方向の長さよりも長くすることで、第2隙間24Bを通る気体の抵抗を大きくすることができる。
【0054】
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る位置決め装置のシール構造を示す断面図である。なお、上述した実施形態と同様の構成については、同じ符号を付して説明を省略する場合がある。本実施形態の位置決め装置10Bは、給気溝22h及び給気部22iがシール部材22と板状部材20aとの間に設けられている点が異なる。なお、
図5では、第2隙間24Bの間隔t2が、第1隙間24Aの間隔t1と等しい構成を示しているが、第2隙間24Bの間隔t2が、第1隙間24Aの間隔t1よりも小さい構成であってもよい。
【0055】
本実施形態において、シール部材22は、下面22fと、下面22fよりも上方に凹む凹部22gとを有する。下面22fは、板状部材20aの上面20gと第4隙間を有して対向しており、シール部材22の下面22fと、板状部材20aの上面20gとの間に給気部22iが構成される。また、シール部材22の凹部22gと、板状部材20aの上面20gとの間に給気溝22hが構成される。給気部22iは、給気溝22hと連続して設けられており、給気溝22hに対して、径方向内側に向かって延びている。給気部22iは、給気溝22hよりも、板状部材20aの上面20gとの隙間が小さい絞り部となっている。
【0056】
給気部22iの第4隙間の間隔t4は、シール部材22の第2側面22eと突出部20bの外側面20fとの間に形成される第3隙間の間隔t3よりも小さくなっている。すなわち、シール部材22と突出部20bとの間の第3隙間の間隔t3は、第4隙間の間隔t4よりも大きくすることができ、第3隙間の間隔t3の寸法管理が容易である。したがって、本実施形態の位置決め装置10Bは、容易に製造することができる。第3隙間の間隔t3は、例えば、数百μm以上、1.0mm以下程度である。第4隙間の間隔t4は、例えば、数μm以上、数十μm以下程度である。
【0057】
給気溝22hは、給気ポンプ50(
図1参照)からの気体が供給される。給気部22iの隙間が小さくなっているので、給気ポンプ50から供給された気体は、給気部22iを通過する際に流速が大きくなる。給気部22iを通過した気体は、シール部材22と突出部20bとの間の第3隙間を通って、隙間24に供給される。これにより、給気部22bから供給された気体は、第1隙間24Aと第2隙間24Bとに分岐して流れる。給気部22bから供給された気体の一部は、第1隙間24Aを通って第1空間Pに流入するので、第1空間Pの気体が第2空間R側に流出することが抑制される。
【0058】
また、第2隙間24Bの間隔t2が、第1隙間24Aの間隔t1よりも小さい構成とした場合は、上述したエゼクタ効果により負圧が発生し、第2空間Rの気体が第1隙間24A及び第2隙間24Bを通って第1空間Pに流入する。また、給気部22iから供給された気体は、第1隙間24Aを通って第1空間Pに流入する。これにより、ワークの位置決めや検査を行う第1空間Pの気体が第2空間に周出することが抑制される。
【0059】
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態に係る位置決め装置を模式的に示す断面図である。本実施形態の位置決め装置10Cは、板状部材40とステージ30Aとの間に第1空間Pが設けられており、また、ステージ30Aの下に、リニアベアリング35、35が連結されている点が異なる。つまり、本実施形態の位置決め装置10Cは、第1の実施形態で示した、筐体20、連結軸32、駆動テーブル34等を有していない。
【0060】
図6に示すように、本実施形態の位置決め装置10Cは、定盤55の上に設けられた支持部28Aと、支持部28Aの上に設けられた板状部材40と、ステージ30Aと、リニアベアリング35、35と、ガイド部材36と、ベース部材37とを含む。板状部材40は、第1面40aと、第1面40aの反対側の第2面40bとを有する平板状の部材である。板状部材40は、支持部28Aの開口を覆って設けられる。板状部材40と支持部28Aと定盤55とで囲まれた空間に、ステージ30Aと、リニアベアリング35、35等の駆動機構が配置される。
【0061】
定盤55の上にリニアベアリング35、35、ガイド部材36及びベース部材37を含む駆動機構が設けられる。リニアベアリング35、35の上にステージ30Aが連結される。ステージ30Aは、板状部材40と所定の隙間25を有して対向する。本実施形態において、ステージ30Aと板状部材40とで囲まれた空間が、ワークWの位置決め等を行う第1空間Pである。第1空間Pの外側の空間、すなわち、板状部材40とステージ30Aと支持部28Aと定盤55とで囲まれた空間が、第2空間Rである。第2空間Rに、ステージ30Aを1軸方向又は2軸方向に移動可能に支持するリニアベアリング35、35等が配置される。
【0062】
ステージ30Aは、平板状の載置部30Aaと、載置部30Aaの外周側に設けられた側部30Abとを有する。載置部30Aaの上にワークWが載置される。側部30Abは、載置部30Aaの板状部材40と対向する面に設けられる。側部30Abは、環状の部材であり、載置部30Aaの周方向に沿って連続して設けられる。ステージ30Aは、断面視で、載置部30Aaと側部30Abとで凹状になっている。板状部材40は、側部30Abよりも径方向の外側まで延びており、側部30Abよりも径方向の外側において支持部28Aに固定される。
【0063】
側部30Abの上面30Aeは、板状部材40の第1面40aと第1隙間25Aを有して対向する。側部30Abの上部において、上面30Aeよりも径方向の外側に段差が設けられており、この段差にシール部材22Aが設けられる。シール部材22Aは、側部30Abの上部の外側面30Adと対向する。また、シール部材22Aの上面22Acは、板状部材40の第1面40aと第2隙間25Bを有して対向する。
【0064】
シール部材22Aの第1側面22Adと、側部30Abの外側面30Adとで、給気溝22Aaが構成される。シール部材22Aの第2側面22Aeと、側部30Abの外側面30Adとの隙間によりスリット状の給気部22Ab(第3隙間)が構成される。給気部22Abは、給気溝22Aaと連続して、給気溝22Aaから板状部材40に向かう方向に延びて、隙間25に開口する。第1隙間25Aは、給気部22Abよりも第1空間P側に配置される。第2隙間25Bは、給気部22Abよりも第2空間R側に配置される。
【0065】
図6に示すように、給気ポンプ50から給気溝22Aaに気体が供給される。気体は、給気溝22Aaから給気部22Abを通って隙間25に供給される。給気部22Abの第3隙間の間隔は、第1隙間25Aの間隔ta1よりも小さく、かつ、第2隙間25Bの間隔ta2よりも小さくなっている。
【0066】
また、第1隙間25Aの間隔ta1は、第2隙間25Bの間隔ta2と等しい大きさとなっている。このため、第1隙間25Aを通る気体の抵抗と、第2隙間25Bを通る気体の抵抗とがほぼ等しくなる。よって、給気部22Abから供給された気体は、第1隙間25Aと第2隙間25Bとに分岐して流れる。給気部22Abから供給された気体は、第1隙間25Aを通って第1空間Pに流入するとともに、第2隙間25Bを通って第2空間Rに流入する。
【0067】
以上のように、ステージ30Aと板状部材40との間の隙間25によりシール構造を実現することができる。給気部22Abから供給された気体の一部は、第1隙間25Aを通って第1空間Pに流入するので、第1空間Pの気体が第2空間R側に流出することが抑制される。したがって、第1空間Pがガス置換環境や粉塵が舞う環境である場合であっても、第1空間Pのガスや粉塵が第2空間Rに流出し、リニアベアリング35、35等が汚染されることを抑制できる。また、本実施形態の位置決め装置10Cは、ステージ30Aにリニアベアリング35、35が直接、連結されているので、構成を簡略化して小型化を図ることが可能である。
【0068】
図6では第1隙間25Aの間隔ta1が、第2隙間25Bの間隔ta2と等しい構成を示したが、上述したように、第1隙間25Aの間隔ta1が、第2隙間25Bの間隔ta2よりも大きい構成であってもよい。この場合、いわゆるエゼクタ効果により、第2空間Rの気体が第1隙間25A及び第2隙間25Bを通って第1空間Pに流入する。これにより、第1空間Pの気体が第2空間R側に流出することが確実に抑制される。
【0069】
(第4の実施形態)
図7は、第4の実施形態に係る位置決め装置を模式的に示す断面図である。
図7に示す位置決め装置10Dは、ステージ30Bが、第1面30Baと、第1面30Baの反対側の第2面30Bbとを有する板状の部材である。ステージ30Bの第1面30BaにワークWが載置され、ワークWの位置決め等が行われる。ステージ30Bの第2面30Bbにリニアベアリング35、35が連結される。
【0070】
ステージ30Bの第1面30Baは、板状部材40Aの第1面40Aaと対向する。板状部材40Aの第1面40Aaには、ステージ30Bに向かって突出する突出部41が設けられている。突出部41は、板状部材40Aとステージ30Bとの間に設けられ、ステージ30Bの外周に沿って設けられた環状の部材である。本実施形態では、板状部材40Aとステージ30Bと突出部41とで囲まれた空間が第1空間Pである。第1空間Pの外側、すなわち、定盤55、支持部28A、板状部材40A、突出部41及びステージ30Bで囲まれた空間が第2空間Rである。
【0071】
突出部41はステージ30Bと所定の隙間26を有して対向する。突出部41の下面41aは、ステージ30Bの第1面30Baと第1隙間26Aを有して対向する。突出部41の下部において、下面41aよりも径方向の外側において、下面41aよりもステージ30Bから離れた位置に下面41bが設けられている。下面41aと下面41bとで段差が形成されている。この下面41bにシール部材22Bが設けられる。シール部材22Bは、突出部41の下部の外側面41cと対向する。また、シール部材22Bの下面22Bcは、ステージ30Bの第1面30Baと第2隙間26Bを有して対向する。
【0072】
シール部材22Bの第1側面22Bdと、突出部41の外側面41cとで、給気溝22Baが構成される。シール部材22Bの第2側面22Beと、突出部41の外側面41cとの隙間によりスリット状の給気部22Bb(第3隙間)が構成される。給気部22Bbは、給気溝22Baと連続して、給気溝22Baからステージ30Bに向かう方向に延びて、隙間26に開口する。第1隙間26Aは、給気部22Bbよりも第1空間P側に配置される。第2隙間26Bは、給気部22Bbよりも第2空間R側に配置される。
【0073】
図7に示すように、給気ポンプ50から給気溝22Baに気体が供給される。気体は、給気溝22Baから給気部22Bbを通って隙間26に供給される。給気部22Bbの第3隙間の間隔は、第1隙間26Aの間隔tb1よりも小さく、かつ、第2隙間26Bの間隔tb2よりも小さくなっている。
【0074】
また、第1隙間26Aの間隔tb1は、第2隙間26Bの間隔tb2と等しい大きさとなっている。このため、第1隙間26Aを通る気体の抵抗と、第2隙間26Bを通る気体の抵抗とがほぼ等しくなる。給気部22Bbから供給された気体は、第1隙間26Aと第2隙間26Bとに分岐して流れる。給気部22Bbから供給された気体は、第1隙間26Aを通って第1空間Pに流入するとともに、第2隙間26Bを通って第2空間Rに流入する。
【0075】
以上のように、本実施形態では、板状部材40Aに突出部41及びシール部材22Bを設けて、ステージ30Bと板状部材40Aとの間の隙間26によりシール構造を実現することができる。このような態様であっても、給気部22Bbから供給された気体の一部は、第1隙間26Aを通って第1空間Pに流入するので、第1空間Pの気体が第2空間R側に流出することが抑制される。また、本実施形態においても、ステージ30Bの第2面30Bbにリニアベアリング35、35が直接、連結されるので、位置決め装置10Dの構成を簡略化して、小型化を図ることができる。
【0076】
図7では第1隙間26Aの間隔tb1が、第2隙間26Bの間隔tb2と等しい構成を示したが、上述したように、第1隙間26Aの間隔tb1が、第2隙間26Bの間隔tb2よりも大きい構成であってもよい。この場合、いわゆるエゼクタ効果により、第2空間Rの気体が第1隙間26A及び第2隙間26Bを通って第1空間Pに流入する負圧が発生する。これにより、第1空間Pの気体が第2空間R側に流出することが確実に抑制される。
【0077】
(第5の実施形態)
図8は、第5の実施形態に係る位置決め装置を模式的に示す断面図である。本実施形態の位置決め装置10Eは、第1の実施形態の位置決め装置10と同様に、ステージ30と板状部材20Aaとの間の隙間24に気体を供給することによりシール構造を実現している。本実施形態の位置決め装置10Eにおいて、筐体20Aは、ステージ30の第2面30bと対向する板状部材20Adを含む。この板状部材20Adに孔部20Agが設けられている。孔部20Agはステージ30と対向する位置に設けられている。孔部20Agに操作軸52が挿通されている。操作軸52は、ステージ30に載置されたワークWの加工や検査を行うための部材であり、矢印Sに示すように上下方向に移動可能となっている。
【0078】
筐体20Aの板状部材20Adは、操作軸52の径方向において、操作軸52の外周面と第1隙間27Aを有して対向する。板状部材20Adの上面には、孔部20Agの径方向の外側にシール部材29が設けられている。シール部材29は、操作軸52の外周面と第2隙間27Bを有して対向する。第1隙間27Aと第2隙間27Bとは、操作軸52の軸方向に沿った方向に連続して設けられる。
【0079】
筐体20Aの板状部材20Adの上面には、シール部材29と重なる位置に溝が設けられている。これにより板状部材20Adとシール部材29との間に、給気溝20Aeと、給気部20Af(第3隙間)とが設けられる。本実施形態において、シール部材29、給気溝20Ae及び給気部20Afは、それぞれ、孔部20Agの周囲に環状に設けられている。給気部20Afはスリット状の絞り部である。給気部20Afは、給気溝20Aeと連続して、給気溝20Aeから軸部材52に向かう方向に延びて、隙間27に開口する。第1隙間27Aは、給気部20Afよりも第1空間P側に配置される。第2隙間27Bは、給気部20Afよりも筐体20Aの外側の外部空間側に配置される。
【0080】
図8に示すように、給気ポンプ50は、給気溝22a及び給気溝20Aeに気体を供給する。給気溝20Aeに供給された気体は、給気溝20Aeから給気部20Afを通って隙間27に供給される。給気部20Afの第3隙間の間隔は、第1隙間27Aの間隔tc1よりも小さく、かつ、第2隙間27Bの間隔tc2よりも小さくなっている。
【0081】
また、第1隙間27Aの間隔tc1は、第2隙間27Bの間隔tc2と等しい大きさとなっている。このため、第1隙間27Aを通る気体の抵抗と、第2隙間27Bを通る気体の抵抗とがほぼ等しくなる。給気部20Afから供給された気体は、第1隙間27Aと第2隙間27Bとに分岐して流れる。給気部20Afから供給された気体は、第1隙間27Aを通って第1空間Pに流入するとともに、第2隙間27Bを通って外部空間に流入する。
【0082】
以上のように、本実施形態では、操作軸52と板状部材20Adとの間に隙間27を設け、この隙間27に気体を供給することによりシール構造を実現することができる。このような態様であっても、給気部20Afから供給された気体の一部は、第1隙間27Aを通って第1空間Pに流入するので、第1空間Pの気体が外部空間に流出することが抑制される。したがって、第1空間Pがガス置換環境や粉塵が舞う環境である場合であっても、第1空間Pのガスや粉塵が外部空間に流出することを抑制できる。
【0083】
図8では第1隙間27Aの間隔tc1が、第2隙間27Bの間隔tc2と等しい構成を示したが、上述したように、第1隙間27Aの間隔tc1が、第2隙間27Bの間隔tc2よりも大きい構成であってもよい。この場合、いわゆるエゼクタ効果により、外部空間の気体が第1隙間27A及び第2隙間27Bを通って第1空間Pに流入する。これにより、第1空間Pの気体が第2空間R側に流出することを確実に抑制することができる。また、本実施形態では、シール部材29を設けることで、シール部材29と操作軸52との第2隙間27Bが形成されるので、第2隙間27Bの間隔tc2の寸法管理を容易に行うことができる。
【0084】
以上、実施形態1から実施形態5を説明したが、前述した内容により実施形態1から実施形態5が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、実施形態1から実施形態5の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換及び変更のうち少なくとも1つを行うことができる。