特許第6708076号(P6708076)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708076
(24)【登録日】2020年5月25日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】コードレス電話
(51)【国際特許分類】
   H04M 1/725 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
   H04M1/725
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-180974(P2016-180974)
(22)【出願日】2016年9月15日
(65)【公開番号】特開2018-46469(P2018-46469A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】横田 憲
【審査官】 永田 義仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−354559(JP,A)
【文献】 特開平03−210838(JP,A)
【文献】 特開2002−051381(JP,A)
【文献】 特開2008−167208(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04M 1/00
H04M 1/24− 1/82
H04M 99/00
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機と、
前記親機とペアリングされる子機と、を備え、
前記親機及び前記子機がそれぞれ自動登録制御部を有し、
前記親機及び前記子機の自動登録制御部が実行され自動登録モードに設定されたとき、
前記親機及び前記子機の通常識別コードが自動登録用識別コードに変更されて、前記自動登録用識別コードに基づき仮ペアリングとして接続され、
前記子機が本登録用識別コードを保持した旨を前記親機へ通知し、
前記親機及び前記子機が切断され、各々において前記自動登録用識別コードが前記本登録用識別コードへ変更され、
前記親機及び前記子機が前記本登録用識別コードに基づき本ペアリングとして接続されることを特徴とするコードレス電話であって、
前記親機が、前記子機が仮ペアリング状態において、自動登録を実行した子機か否かを確認し、前記子機が自動登録を実行した子機である旨を応答してきた場合、本ペアリングするための前記本登録用識別コードを前記子機に通知することを特徴とするコードレス電話。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コードレス電話、特に、親機と子機の間のペアリングに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、無線機器間での通信を可能とするため、例えばBluetooth(登録商標)無線方式において、ユーザの操作によって接続させたい機器を選択することでペアリングする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、スレーブ側の通信機器から出力される1または複数の接続サービスの情報に係る信号を、マスター側の通信機器に送出する際に、その信号のオン/オフを所定周期で繰り返すようにし、マスター側の通信機器では、探索により検出した1または複数のスレーブ側の通信機器の情報が、その接続サービスの情報と共に、ディスプレイ上にリスト表示され、この際、ペアリングするスレーブ側の通信機器からのサービス情報に係る信号はオン/オフ制御されているので、リスト上の対応表示は点滅することとなり、これによってユーザはペアリングしようとしている目的の通信機器を、他の通信機器と容易に識別できる。
【0004】
これに対し、近年、コードレス電話に採用されることが多いDECT(Digital Enhanced Cordless Telecommunications)方式では、特許文献1のようなBluetooth(登録商標)方式とは異なり、出荷時に、親機と子機に同じpin(personal identification number)コードを設定することでペアリングされる。
【0005】
しかしながら、pinコードはユーザに公開されていないため、ユーザ自身によって設定することができなかった。これにより、コードレス電話の親機が正常であって子機だけが故障したとき、親機と子機をセットで交換した場合には、ユーザは、修理費用を多額に要するという問題があった。一方、子機のみを新たなものに交換した場合には、ユーザは、ペアリングの設定を一から入力する必要が生じるが、修理店においても、pinコードを手動で入力するため煩雑となるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−126092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、親機と子機のセットが変更された場合であっても、両機器のペアリングを容易に設定できるコードレス電話を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る1つの観点は、親機と、前記親機とペアリングされる子機と、を備え、前記親機及び前記子機がそれぞれ自動登録制御部を有し、前記親機及び前記子機の自動登録制御部が実行され自動登録モードに設定されたとき、前記親機及び前記子機の通常識別コードが自動登録用識別コードに変更されて、前記自動登録用識別コードに基づき仮ペアリングとして接続され、前記子機が本登録用識別コードを保持した旨を前記親機へ通知し、前記親機及び前記子機が切断され、各々において前記自動登録用識別コードが前記本登録用識別コードへ変更され、前記親機及び前記子機が前記本登録用識別コードに基づき本ペアリングとして接続されるコードレス電話であって、前記親機が、前記子機が仮ペアリング状態において、自動登録を実行した子機か否かを確認し、前記子機が自動登録を実行した子機である旨を応答してきた場合、本ペアリングするための前記本登録用識別コードを前記子機に通知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、親機と子機のセットが変更された場合であっても、両機器のペアリングを容易に設定できるコードレス電話を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係るコードレス電話の親機の構造を説明する図である。
図2】本発明の実施形態に係るコードレス電話の子機の構造を説明する図である。
図3】本発明の実施形態に係るコードレス電話において、ペアリングに関する基本シーケンスを示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るコードレス電話において、子機が自動登録していない場合のシーケンスを示す図である。
図5】本発明の実施形態に係るコードレス電話において、親機が他の子機の固有情報をもつ場合のシーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明するが、各図において、同一符号は同一又は対応する部分を示す。また、本発明は、以下の説明からも明らかなようにこれらの実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内において当業者であれば種々の変形が可能である。
【0016】
(コードレス電話の構成)
まず、図1及び図2を参照して、コードレス電話1を構成する親機10と子機20について、説明する。
【0017】
(親機)
親機10は、メイン制御部110と、無線モジュール160(ドライバ)を備えている。メイン制御部110は、自動登録制御部120と、PBX(Private Branch eXchange:構内交換機)向け制御部130と、共通メモリ140と、無線モジュール制御部150を備えている。
【0018】
自動登録制御部120は、自動登録モードを制御するものであり、PBX向け制御部130は、通常モードを制御する(通常運用)ものである。自動登録制御部120は、電波強度の制御、自動登録用pinコード(識別コード)の設定、自動登録データの送受信を行い、これらの情報は、無線モジュール制御部150を介して、無線モジュール160から子機20へ通信される。一方、PBX向け制御部130は、通常運用のデータの送受信、通常運用のpinコードの設定を行い、これらの情報は、やはり、無線モジュール制御部150を介して、無線モジュール160から子機20へ通信される。
【0019】
自動登録制御部120は、自動登録状態管理部121と、これによって制御指示される、電波強度管理部122、pinコード管理部123、送受信解析部124を備える。電波強度管理部122は、親機10と子機20の間の通信において電波強度を管理し、自動登録モードになった際の電波強度を弱く調整することにより、誤登録や不正登録を防止する。pinコード管理部123は、自動登録用pinコードの設定を行う。送受信解析部124は、自動登録データの送受信を解析し、複数の子機20から自動登録用pinコードを同時に受信したときは、電波強度の強い子機20との間で仮ペアリングを実行する。
【0020】
PBX向け制御部130は、メニュー制御部131を備えており、メニュー制御部131には、自動登録メニュー、子機情報削除メニューが設定されている。ユーザの操作によって、PBX向け制御部130のメニュー制御部131において自動登録メニューが実行されると、PBX向け制御部130から自動登録制御部120の自動登録状態管理部121へ、動作の制御が移管される。そして、自動登録が完了(成功又は失敗)すると、自動登録状態管理部121からPBX向け制御部130へ、動作の制御が移管される。
【0021】
子機20が仮ペアリング状態において、親機10は、自動登録を実行した子機か否かを確認し、子機20が自動登録を実行した子機である旨を応答してきた場合、本ペアリングするための本登録用識別コードを子機20に通知する。
【0022】
また、ユーザの操作によって、PBX向け制御部130のメニュー制御部131において子機情報削除メニューが実行されると、子機20についての固有情報が共通メモリ140から削除される。この子機情報削除メニューにより、自動登録の対象としない子機20についての固有情報を削除することができる。
【0023】
共通メモリ140には、新たに本ペアリングを実行した子機20の固有情報を新たに保存することもでき、保存された固有情報により、親機10は、その後において、自動登録の操作が可能な子機20であるかどうかを判定することが可能となる。
【0024】
(子機)
子機20は、メイン制御部210と、無線モジュール260(ドライバ)を備えている。メイン制御部210は、自動登録制御部220と、PBX(Private Branch eXchange:構内交換機)向け制御部230と、無線モジュール制御部250を備えている。
【0025】
自動登録制御部220は、自動登録モードを制御するものであり、PBX向け制御部230は、通常モードを制御する(通常運用)ものである。自動登録制御部220は、電波強度の制御、自動登録用pinコードの設定、自動登録データの送受信を行い、これらの情報は、無線モジュール制御部250を介して、無線モジュール260から親機10へ通信される。一方、PBX向け制御部230は、通常運用のデータの送受信、通常運用のpinコードの設定を行い、これらの情報は、やはり、無線モジュール制御部250を介して、無線モジュール260から親機10へ通信される。
【0026】
自動登録制御部220は、自動登録状態管理部221と、これによって制御指示される、電波強度管理部222、pinコード管理部223、送受信解析部224を備える。電波強度管理部222は、親機10と子機20の間の通信において電波強度を管理し、自動登録モードになった際の電波強度を弱く調整することにより、誤登録や不正登録を防止する。pinコード管理部223は、自動登録用pinコードの設定を行い、送受信解析部224は、自動登録データの送受信を解析する。
【0027】
PBX向け制御部230は、メニュー制御部231を備えており、メニュー制御部231には、自動登録メニューが設定されている。ユーザの操作によって、PBX向け制御部230のメニュー制御部231において自動登録メニューが実行されると、PBX向け制御部230から自動登録制御部220の自動登録状態管理部221へ、動作の制御が移管される。そして、自動登録が完了(成功又は失敗)すると、自動登録状態管理部221からPBX向け制御部230へ、動作の制御が移管される。
【0028】
子機20は、親機10に対して1対1である必要はなく、1台の親機10に対して複数の子機20を接続することができる。本実施形態では、上記のような構成を有する子機20をユーザが許容台数分の子機20を容易に増設することができる。
【0029】
(コードレス電話の動作)
次に、図3から図5を参照して、コードレス電話1の動作として、親機10と子機20のペアリングに関するシーケンスを説明する。
【0030】
(基本シーケンス)
図3は、ペアリングに関する基本シーケンスを示している。まず、ユーザの操作により、親機10について、通常モードから自動登録モードへの変更を実行する(S10)とともに、子機20についても、同様に自動登録モードを実行する(S11)。親機10は、まず、他の子機20の固有情報を有しているか否かを確認する(S12)。他の子機20の固有情報を有している場合は自動登録が失敗することとなるが、その場合のシーケンスは、後述する図5のシーケンスに引き継がれる。
【0031】
他の子機20の固有情報を有していない場合、親機10は、自らのpinコード(通常コード)を自動登録用pinコードに変更する(S13)。他方、自動登録をしようとする子機20は、自動登録モードの実行により、自らのpinコードを自動登録用pinコードに変更する(S14)。
【0032】
この状態で、親機10と子機20は、公知の接続シーケンスによって仮ペアリングとして接続される(S15)。そして、親機10は、子機20に対し、自動登録すべき、かつ、自動登録可能な端末であるかどうかを確認し(S16)、子機20は、親機10に対し、自動登録すべき、かつ、自動登録可能な端末であることを通知する(S17)。
【0033】
子機20が自動登録の対象である端末であることを確認した親機10は、子機20に対し、本登録用pinコードを通知する(S18)。子機20は、通知された本登録用pinコードを保持するとともに(S19)、親機10に対し、子機20に本登録用pinコードが追加された旨を通知する(S20)。
【0034】
ここで、親機10と子機20は、公知の切断シーケンスによって切断される(S21)。そして、親機10は自らの自動登録用pinコードを本登録用pinコードに変更し(S22)、子機20は同様に自らの自動登録用pinコードを本登録用pinコードに変更する(S23)。両機器の変更が行われた後、親機10と子機20は、公知の接続シーケンスによって本ペアリングとして接続される(S24)。これにより、接続が完了する(S25)。
【0035】
接続完了後、子機20は、親機10に対し、自らの固有情報を親機10に通知し(S26)、親機10は、自動登録の操作が可能か否かを判定するための情報として、子機20を登録した時に、子機20の固有情報を保持する(S27)。
【0036】
(子機が自動登録していない場合のシーケンス)
図4は、親機10が自動登録モードを有し、子機20が自動登録モードを有しない場合のシーケンスを示す図である。まず、ユーザが、親機10について自動登録モードを実行する(S30)。親機10は、自らのpinコード(通常コード)を自動登録用pinコードに変更する(S31)。他方、子機20は、自らのpinコードを自動登録用pinコードに指定する(S32)。ここで、子機20における自動登録用pinコードの指定とは、意図的又は偶発的にpinコードが自動登録用pinコードと一致した場合を意味している。
【0037】
この状態で、親機10と子機20は、公知の接続シーケンスによって仮ペアリングとして接続される(S33)。そして、親機10は、子機20に対し、自動登録すべき、かつ、自動登録可能な端末であるかどうかを確認する(S34)。
【0038】
この場合、子機20から親機10への応答がなされないことから、親機10は、子機20が自動登録の対象である端末ではないと判断し、子機20に対し、本登録用pinコードを通知しない(S35)。
【0039】
ここで、親機10と子機20は、公知の切断シーケンスによって切断される(S36)。そして、親機10は自らの自動登録用pinコードを本登録用pinコードに変更する(S37)。これにより、親機10と子機20は、公知の接続シーケンスによって接続しようとしても、pinコードが親機10と子機20の間で不一致であることから、接続は失敗することとなる(S38)。
【0040】
(親機が他の子機の固有情報を有している場合のシーケンス)
図5は、親機10が他の子機20の固有情報を有している場合のシーケンスを示している。前述したとおり、ユーザの操作により、親機10について自動登録モードを実行する(S40)とともに、子機20について自動登録モードを実行した(S41)とき、親機10は、まず、他の子機20の固有情報を有しているか否かを確認し(S42)、他の子機20の固有情報を有している場合は自動登録が失敗することとなる(S43)。
【0041】
このとき、親機10に、他の子機20の固有情報を削除するか否かの選択情報がユーザに対して通知され、ユーザがその選択により削除の操作を行う(S45)。そうすると、親機10に記録されていた他の子機20の固有情報が削除される(S46)。
【0042】
この状態で、あらためて、ユーザの操作により、親機10について自動登録モードを実行する(S47)。その後、さらに他の子機20の固有情報があるかないかを確認し(S48)、固有情報がなければ、図3に示した基本シーケンスが実行される(S49)。なお、さらに他の子機20の固有情報があれば、シーケンスS43からS47を繰り返す。
【0043】
(実施形態の効果)
本実施形態は、上記のような構成及び動作を有していることから、親機10と子機20のセットが変更された場合であっても、両機器のペアリングを容易に設定できるコードレス電話1を提供できる。より詳しくは、次のような効果を奏する。すなわち、本実施形態に係るコードレス電話1は、一時的な共通の接続情報(自動登録用pinコード)を用いて親機10と子機20の間の接続情報設定の簡略化を図るため、例えば、無線暗号化設定の簡略化を図る場合には必要となる親機10の固有情報が不知でも、ペアリングを実行することができる。また、無線暗号化設定の簡略化を図る場合には必要となるSSID(Service Set Identifier)やACL(Access Control List)の解除などの手順を踏まなくても、ペアリングを実行することができる。
【0044】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、具体的な実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を行ったものも含まれるものであり、そのことは、当業者にとって特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0045】
1…コードレス電話
10…親機
110…メイン制御部
120…自動登録制御部
121…自動登録状態管理部
122…電波強度管理部
123…pinコード管理部
124…送受信解析部
130…PBX向け制御部
131…メニュー制御部
140…共通メモリ
150…無線モジュール制御部
160…無線モジュール
20…子機
210…メイン制御部
220…自動登録制御部
221…自動登録状態管理部
222…電波強度管理部
223…pinコード管理部
224…送受信解析部
230…PBX向け制御部
231…メニュー制御部
250…無線モジュール制御部
260…無線モジュール
図1
図2
図3
図4
図5