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特許6708106情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708106
(24)【登録日】2020年5月25日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/50 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
   G06F9/50 150B
   G06F9/50 150C
【請求項の数】5
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2016-233052(P2016-233052)
(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公開番号】特開2018-92251(P2018-92251A)
(43)【公開日】2018年6月14日
【審査請求日】2018年9月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(74)【代理人】
【識別番号】100194146
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100194283
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 大勇
(74)【代理人】
【識別番号】100141324
【弁理士】
【氏名又は名称】小河 卓
(72)【発明者】
【氏名】小熊 嵩志
(72)【発明者】
【氏名】保井 徹
(72)【発明者】
【氏名】マニュエル マナロ
(72)【発明者】
【氏名】結城 力
【審査官】 田中 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−350529(JP,A)
【文献】 特開2016−126603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドキュメント読取装置と接続可能な情報処理装置であって、
複数の前記ドキュメント読取装置の性能情報と、IDと、ネットワーク上の位置とを格納する装置情報記憶部と、
特定の前記ドキュメント読取装置により読み取られたドキュメントのデータについての一連のタスクのそれぞれを、前記装置情報記憶部に格納された複数の前記ドキュメント読取装置の前記ID及び前記性能情報に対応して、同じ前記ネットワーク内に接続された装置で実行させるよう判断して分担させるタスク分担部とを備え、
前記タスク分担部は、
複数の前記ドキュメント読取装置のうち、搭載された機能に対応する前記タスクを実行可能であることが前記性能情報に示され、前のタスクの実行を分担した前記ドキュメント読取装置から、前記一連のタスクを実行する際の合計の実行時間短く、データを転送可能な装置に次のタスクを実行させるよう判断する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記タスク分担部は、
前記ドキュメント読取装置から少ない負担でデータを転送可能な前記ネットワークの域内に存在する域内情報処理装置にも前記タスクを実行させるよう判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記IDは、対応する前記ドキュメント読取装置のシリアルナンバーである
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
ドキュメント読取装置と、該ドキュメント読取装置と接続可能な情報処理装置とを含む情報処理システムであって、
前記ドキュメント読取装置は、
前記情報処理装置からの要求に対応して、前記ドキュメント読取装置の性能情報と、IDと、ネットワーク上の位置とを含む装置情報を送信する装置情報送信部を備え、
前記情報処理装置は、
複数の前記ドキュメント読取装置から、前記装置情報を取得する装置情報取得部と、
前記装置情報取得部により取得された、複数の前記装置情報を格納する装置情報記憶部と、
特定の前記ドキュメント読取装置により読み取られたドキュメントのデータについての一連のタスクのそれぞれを、前記装置情報記憶部に格納された複数の前記ドキュメント読取装置の前記ID及び前記性能情報に対応して、同じ前記ネットワーク内に接続された装置で実行させるよう判断して分担させるタスク分担部とを備え、
前記タスク分担部は、
複数の前記ドキュメント読取装置のうち、搭載された機能に対応する前記タスクを実行可能であることが前記性能情報に示され、前のタスクの実行を分担した前記ドキュメント読取装置から、前記一連のタスクを実行する際の合計の実行時間短く、データを転送可能な装置に次のタスクを実行させるよう判断する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
ドキュメント読取装置と接続可能な情報処理装置により実行される情報処理方法であって、前記情報処理装置に、
複数の前記ドキュメント読取装置の性能情報と、IDと、ネットワーク上の位置とを格納させ、
特定の前記ドキュメント読取装置により読み取られたドキュメントのデータについての一連のタスクのそれぞれを、格納された複数の前記ドキュメント読取装置の前記ID及び前記性能情報に対応して、同じ前記ネットワーク内に接続された装置で実行させるよう判断して分担させ、
前記判断は、複数の前記ドキュメント読取装置のうち、搭載された機能に対応する前記タスクを実行可能であることが前記性能情報に示され、前のタスクの実行を分担した前記ドキュメント読取装置から、前記一連のタスクを実行する際の合計の実行時間短く、データを転送可能な装置に次のタスクを実行させるよう判断する
ことを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理方法に係り、特にドキュメント読み取りの処理を実行する情報処理装置、情報処理システム、及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、文書や画像を印刷可能な複合機(Multifunctional Peripheral, MFP)等の画像形成装置が存在する。
【0003】
一方、特許文献1を参照すると、コンピュータネットワークに接続された、省電力モードを有する複数のプリンターによる分散処理を管理するサーバーのダイナミックジョブスケジューラ(DJS)により、それらプリンターの機器情報及び動作状況を取得し、機器情報および動作状況に基づき、分散処理の対象機器を選択して、分散処理の要求元であるクライアントPCのタスクマネージャ(TM)に通知するシステムが記載されている。
特許文献1の技術は、機器の省電力モードおよび省電力モードへの移行を考慮した分散処理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−343955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、ジョブの分散処理を行う技術であった。
このため、ドキュメント読取装置により読み取られたドキュメントのデータについての一連のタスクであるワークフローの実行においては、効率的に分散処理させることができなかった。このため、ワークフローのタスクの実行完了までの待ち時間が長くなっていた。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、上述の問題点を解消する画像形成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の情報処理装置は、ドキュメント読取装置と接続可能な情報処理装置であって、複数の前記ドキュメント読取装置の性能情報と、IDと、ネットワーク上の位置とを格納する装置情報記憶部と、特定の前記ドキュメント読取装置により読み取られたドキュメントのデータについての一連のタスクのそれぞれを、前記装置情報記憶部に格納された複数の前記ドキュメント読取装置の前記ID及び前記性能情報に対応して、同じ前記ネットワーク内に接続された装置で実行させるよう判断して分担させるタスク分担部とを備え、前記タスク分担部は、複数の前記ドキュメント読取装置のうち、搭載された機能に対応する前記タスクを実行可能であることが前記性能情報に示され、前のタスクの実行を分担した前記ドキュメント読取装置から、前記一連のタスクを実行する際の合計の実行時間短く、データを転送可能な装置に次のタスクを実行させるよう判断することを特徴とする。
本発明の情報処理装置は、前記タスク分担部は、前記ドキュメント読取装置から少ない負担でデータを転送可能な前記ネットワークの域内に存在する域内情報処理装置にも前記タスクを実行させるよう判断することを特徴とする。
本発明の情報処理装置は、前記IDは、対応する前記ドキュメント読取装置のシリアルナンバーであることを特徴とする。
本発明の情報処理システムは、ドキュメント読取装置と、該ドキュメント読取装置と接続可能な情報処理装置とを含む情報処理システムであって、前記ドキュメント読取装置は、前記情報処理装置からの要求に対応して、前記ドキュメント読取装置の性能情報と、IDと、ネットワーク上の位置とを含む装置情報を送信する装置情報送信部を備え、前記情報処理装置は、複数の前記ドキュメント読取装置から、前記装置情報を取得する装置情報取得部と、前記装置情報取得部により取得された、複数の前記装置情報を格納する装置情報記憶部と、特定の前記ドキュメント読取装置により読み取られたドキュメントのデータについての一連のタスクのそれぞれを、前記装置情報記憶部に格納された複数の前記ドキュメント読取装置の前記ID及び前記性能情報に対応して、同じ前記ネットワーク内に接続された装置で実行させるよう判断して分担させるタスク分担部とを備え、前記タスク分担部は、複数の前記ドキュメント読取装置のうち、搭載された機能に対応する前記タスクを実行可能であることが前記性能情報に示され、前のタスクの実行を分担した前記ドキュメント読取装置から、前記一連のタスクを実行する際の合計の実行時間短く、データを転送可能な装置に次のタスクを実行させるよう判断することを特徴とする。
本発明の情報処理方法は、ドキュメント読取装置と接続可能な情報処理装置により実行される情報処理方法であって、前記情報処理装置に、複数の前記ドキュメント読取装置の性能情報と、IDと、ネットワーク上の位置とを格納させ、特定の前記ドキュメント読取装置により読み取られたドキュメントのデータについての一連のタスクのそれぞれを、格納された複数の前記ドキュメント読取装置の前記ID及び前記性能情報に対応して、同じ前記ネットワーク内に接続された装置で実行させるよう判断して分担させ、前記判断は、複数の前記ドキュメント読取装置のうち、搭載された機能に対応する前記タスクを実行可能であることが前記性能情報に示され、前のタスクの実行を分担した前記ドキュメント読取装置から、前記一連のタスクを実行する際の合計の実行時間短く、データを転送可能な装置に次のタスクを実行させるよう判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、性能情報に対応して、一連のタスクを最適なドキュメント読取装置に分担して実行させることで、一連のタスクの実行を効率化し、待ち時間を少なくする情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の画像形成装置の実施の形態に係る情報処理システムのシステム構成図である。
図2図1に示すサーバーの制御構成を示すブロック図である。
図3図1に示す画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
図4図1に示す情報処理システムの機能構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施の形態に係るタスク分担実行処理のフローチャートである。
図6図5に示すタスク分担実行処理の実行例の概念図である。
図7図5に示すタスク分担実行処理の実行例の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態>
〔情報処理システムXのシステム構成〕
まず、図1図3を参照して、情報処理システムXのシステム構成について説明する。
本発明の実施の形態に係る情報処理システムXは、上位サーバー1、画像形成装置2−1、……、2−n、域内サーバー3、及びこれらを接続するネットワーク5a、5b、5c、……等から構成される。
図1に示す本実施形態の情報処理システムXの構成例では、画像形成装置2−1、2−2、及び域内サーバー3が、「ブランチ(枝)A」として、イントラネット(域内ネットワーク)であるネットワーク5aに接続される。また、画像形成装置2−3、2−4が「ブランチB」として、別のイントラネットであるネットワーク5bに接続される。これら、ネットワーク5aとネットワーク5bとは、特定のポートのパケット等を特定のルールが設定され透過させるファイアーウォール6を含むルーター(Router)やゲートウェイ(Gateway)等を介して、WAN(Wide Area Network、広域ネットワーク)である、ネットワーク5cに接続されている。また、ネットワーク5cには、上位サーバー1が接続されている。すなわち、上位サーバー1は、いわゆる「クラウド」上のサーバーである。また、ネットワーク5aとネットワーク5bとの間は、VPN(Virtual Private Network)を構成している。
【0011】
なお、以下において、画像形成装置2−1、……、2−nのいずれかを示す場合、単に「画像形成装置2」と称する。また、ネットワーク5a、5b、5c、……のいずれかを示す場合も、単に「ネットワーク5」と称する。これは、後述する制御部10(図2図4)、記憶部19(図3図4)についても同様である。
【0012】
上位サーバー1は、各画像形成装置2、及び域内サーバー3等の主に課金やサービスの対応を行うためのサーバーである。本実施形態において、上位サーバー1は、汎用機やPC(Personal Computer)等で構成されていてもよい。
また、本実施形態においては、上位サーバー1は、原稿(文書、ドキュメント)の読み取り(キャプチャー)の機能を統合する。具体的には、各画像形成装置2から装置情報400(図4)を取得して、主に画像形成装置2からキャプチャーされた原稿の画像データを、後述するワークフローとして設定された処理の流れに従い、各画像形成装置2と、域内サーバー3とに分担して実行させる。このワークフローは、後述するように、例えば、画像処理、OCR(Optical Character Recognition)処理、分類処理、及び、Eメールや共有フォルダー(文書ボックス、保存フォルダー)や業務若しくは事務用のDMS(Document Management System)等への送信処理を含んでいてもよい。
【0013】
画像形成装置2は、MFP、ネットワークスキャナー、ドキュメントスキャナー、ネットワークFAX、スキャナー機能付きのプリンター等のドキュメント読取装置である。画像形成装置2は、上位サーバー1と接続するためのアプリケーションソフトウェア(Application Software、以下、単に「アプリ」という。)を実行してもよい。
【0014】
域内サーバー3は、域内にある画像形成装置2との間で、各種データを送受信可能な情報処理装置である。すなわち、域内サーバー3は、画像形成装置2から少ない負担でデータを転送可能なネットワーク5のイントラネットの域内に存在する。本実施形態においては、域内サーバー3は、汎用機やPC(Personal Computer)等で構成されていてもよい。
また、本実施形態においては、域内サーバー3は、上述のイントラネットであるネットワーク5aのブランチAに存在する。また、域内サーバー3は、ネットワーク5aに接続された画像形成装置2−1、2−2から各種データを送受信して、分担された処理を実行する。
また、域内サーバー3は、上位サーバー1との間でもデータを送受信して、上位サーバー1からのデータを同じブランチAの画像形成装置2−1、2−2に送受信することも可能である。このため、域内サーバー3がルーター等の機能を備えていてもよい。
【0015】
ネットワーク5は、本実施形態においては、高速に各種データが送受信可能なイントラネット(Intranet)等であり、LAN(Local Area Network)、専用線等により構成される。また、ネットワーク5は、インターネット(登録商標)や携帯電話網等のWAN等に接続し、
【0016】
次に、図2により、上位サーバー1及び域内サーバー3の構成について説明する。本実施形態においては、上位サーバー1及び域内サーバー3は、同様の構成を備える例について説明する。
上位サーバー1及び域内サーバー3は、制御部10、ネットワーク送受信部15、及び記憶部19を含んでいる。
【0017】
制御部10は、GPP(General Purpose Processor)、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Processor、特定用途向けプロセッサー)等の情報処理手段である。
制御部10は、記憶部19のROMやSSDやHDDに記憶されている制御プログラムを読み出して、この制御プログラムをRAMに展開させて実行することで、後述する機能ブロックの各手段として動作させられる。
【0018】
ネットワーク送受信部15は、ネットワーク5に接続するためのLANボードや無線送受信機等を含むネットワーク接続手段である。
【0019】
記憶部19は、一時的でない記録媒体を用いた記憶手段である。記憶部19は、主記憶部として、RAM(Random Access Memory)等を含んでいてもよい。また、記憶部19は、補助記憶部として、ROM(Read Only Memory)、eMMC(embedded Multi Media Card)、SSD(Solid State Drive)等のフラッシュメモリー、及びHDD(Hard Disk Drive)等含んでいてもよい。この場合、記憶部19の補助記憶部には画像形成装置2の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。
なお、後述するように記憶部19には、上位サーバー1及び域内サーバー3でそれぞれのデータが格納されている。
【0020】
また、制御部10は、RAMやROMやフラッシュメモリー等を内蔵していてもよい。
【0021】
次に、図3により、画像形成装置2の構成について説明する。
画像形成装置2は、画像処理部21、原稿読取部22、原稿給送部23、給紙部24、ネットワーク送受信部25、操作パネル部26、画像形成部27(画像形成手段)、FAX送受信部28、及び記憶部29等を含んでいる。各部は、制御部20に接続され、制御部20によって動作制御される。
【0022】
制御部20は、GPP、CPU、MPU、DSP、GPU、ASIC等の情報処理手段である。
制御部20は、記憶部29の補助記憶部に記憶されている制御プログラムを読み出して、この制御プログラムを主記憶部に展開させて実行することで、後述する機能ブロックの各手段として動作させられる。また、制御部20は、図示しない外部の端末や操作パネル部26から入力された所定の指示情報に応じて、装置全体の制御を行う。
【0023】
画像処理部21は、DSP(Digital Signal Processor)やGPU(Graphics Processing Unit)等の制御演算手段である。画像処理部21は、画像データに対して所定の画像処理を行う手段であり、例えば、白紙ページ検出、拡大縮小回転、濃度調整、階調調整、ノイズ除去、シャープネス、その他の画質改善等の各種画像処理を行う。
画像処理部21は、原稿読取部22で読み取られた画像を、記憶部29に印刷データとして記憶する。この際、画像処理部21は、印刷データをPDFやTIFF等のフォーマットのファイル単位に変換することも可能である。
また、画像処理部21は、OCR機能、OCRの高速化機能等を備えていてもよい。また、画像処理部21は、バーコードやドット画像等を読み取る機能を備えていてもよい。この場合、画像処理部21は、読み取った文字や図形や表やバーコードやドット画像等を、ファイル単位で出力することも可能である。
【0024】
原稿読取部22は、セットされた原稿を読み取る(スキャン)手段である。また、原稿読取部22は、画像形成装置2の本体部の上部に配設される。
原稿読取部22は、スキャナーと、プラテンガラスと、原稿読取スリットとを備えている。原稿読取部22は、プラテンガラスに載置された原稿を読み取る場合には、スキャナーをプラテンガラスに対向する位置に移動させ、プラテンガラスに載置された原稿を走査しながら読み取って画像データを取得し、取得した画像データを制御部20に出力する。
【0025】
また、原稿読取部22は、原稿給送部23から給送された原稿を読み取る場合には、スキャナーを、原稿読取スリットと対向する位置に移動させる。そして、原稿読取部22は、原稿読取スリットを介し、原稿給送部23による原稿の搬送動作と同期して原稿を読み取って、画像データを取得する。原稿読取部22は、取得した画像データを、制御部20に出力する。
【0026】
原稿給送部23は、原稿読取部22で読み取られる原稿を搬送する手段である。原稿給送部23は、原稿読取部22の上部に配設されている。
原稿給送部23は、原稿載置部と、原稿搬送機構とを備えている。原稿給送部23は、原稿載置部に載置された原稿を、原稿搬送機構によって1枚ずつ順に繰り出して、原稿読取部22に給送する。
【0027】
給紙部24は、記録紙を1枚ずつ画像形成部27に向けて繰り出す手段である。給紙部24は、本体部に備えられている。
【0028】
ネットワーク送受信部25は、ネットワーク5に接続するためのLANボードや無線送受信機等を含むネットワーク接続手段である。
ネットワーク送受信部25は、データ通信用の回線ではデータを送受信し、音声電話回線では音声信号を送受信する。
【0029】
操作パネル部26は、ボタンやタッチパネル等の入力部と、LCD(Liquid Crystal Display)や有機ELディスプレイ等の表示部とを備えている。また、操作パネル部26は、画像形成装置2のフロント側に配設されている。
操作パネル部26の入力部のボタンは、テンキー、スタート、キャンセル、動作モードの切り換え、ジョブの実行に係る指示を行うボタン等である。この動作モードは、複写、FAX送信、スキャナー、ネットワークスキャナー等の種類のモードを備えていてもよい。また、ジョブは、選択された文書の印刷、送信、保存、及び記録等の種類であってもよい。操作パネル部26の入力部は、ユーザーによる画像形成装置2の各種ジョブの指示を取得する。また、操作パネル部26から取得したユーザーの指示により、各ユーザーの情報を入力、変更することも可能である。
【0030】
画像形成部27は、ユーザーの出力指示により、記憶部29に記憶され、原稿読取部22で読み取られ、又は外部の端末から取得されたデータから記録紙への画像形成を行わせる手段である。
画像形成部27は、感光体ドラム、露光部、現像部、転写部、及び定着部等を備えている。画像形成部27は、帯電、露光、現像、転写、定着からなる画像形成プロセスを実行することで記録紙にトナー像を記録する。
【0031】
FAX送受信部28は、ファクシミリの送受信を行う手段である。FAX送受信部28は、音声回線により、他のFAX装置(図示せず)からファクシミリ受信して、記憶部29に保存し、画像形成部27で画像形成させることが可能である。また、FAX送受信部28は、原稿読取部22で読み取られた原稿や外部の端末から送信されたネットワークFAXのデータを画像データに変換して、他のFAX装置へ音声回線でファクシミリ送信することが可能である。
【0032】
記憶部29は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリーやHDD(Hard Disk Drive)等の一時的でない記録媒体を用いた記憶手段である。
記憶部29のRAMは、省電力状態であっても、セルフリフレッシュ等の機能により、記憶内容が保持されてもよい。
記憶部29のROMやHDDには画像形成装置2の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。これに加えて、記憶部29は、ユーザーのアカウント設定も記憶してもよい。また、記憶部29には、ユーザー毎の文書ボックス(保存フォルダー、共有フォルダー)の領域が含まれていてもよい。
【0033】
なお、画像形成装置2において、制御部20及び画像処理部21は、GPU内蔵CPU等やチップ・オン・モジュールパッケージのように、一体的に形成されていてもよい。
また、制御部20及び画像処理部21は、RAMやROMやフラッシュメモリー等を内蔵していてもよい。
【0034】
〔情報処理システムXの制御構成〕
ここで、図4を参照し、本発明の実施の形態に係る情報処理システムXの制御構成について説明する。
以下では、情報処理サーバーである上位サーバー1が、画像形成装置2(ドキュメント読取装置)及び域内サーバー3(域内情報処理装置)に、一連のタスクであるワークフローの処理を分担して行わせる例について説明する。図4においては、画像形成装置2の代表例として、画像形成装置2−1の構成を示す。
【0035】
上位サーバー1の制御部10cは、装置情報取得部101及びタスク分担部110を備えている。
上位サーバー1の記憶部19c(装置情報記憶部)は、装置情報400及びワークフロー情報310を格納する。
域内サーバー3の制御部10aは、タスク実行部130を備えている。
域内サーバー3の記憶部19aは、ドキュメントデータ330(ドキュメントのデータ)を格納する。
画像形成装置2の制御部20及び画像処理部21は、装置情報送信部201及びタスク実行部240を備えている。
画像形成装置2の記憶部29は、装置情報400及びドキュメントデータ330(ドキュメントのデータ)を格納している。
【0036】
装置情報取得部101は、複数の画像形成装置2の装置情報400を取得し、記憶部19cに格納する。本実施形態においては、図1の例では、画像形成装置2−1〜2−4から、それぞれ、装置情報400を取得可能である。
この際、装置情報取得部101は、各画像形成装置2について、図示しない課金やサービスのデータベースに、ID301を基に結びつけて格納する。
【0037】
タスク分担部110は、特定の画像形成装置2により読み取られたドキュメントのデータについての一連のタスクについての情報であるワークフロー情報310の設定により、それぞれのタスクを、ネットワーク5内の位置が近い画像形成装置2で実行させるよう判断して分担させる。この際、タスク分担部110は、記憶部19cに格納された複数の画像形成装置2のID301及び性能情報300を参照して、判断を行う。
この際、タスク分担部110は、複数の先記画像形成装置2のうち、搭載された機能に対応するタスクを実行可能であることが性能情報300に示され、前のタスクの実行を分担した画像形成装置2から最も少ない負担でデータを転送可能な画像形成装置2に次のタスクを実行させるよう判断してもよい。
また、タスク分担部110は、前のタスクの実行を分担した画像形成装置2から少ない負担でデータを転送可能なネットワーク5のイントラネットの域内に存在する域内サーバー3にもタスクを実行させるよう判断してもよい。
【0038】
タスク実行部130は、タスク分担部110にて域内サーバー3で実行すると判断されたタスクを実行する実行ユニットである。
また、タスク実行部130は、画像形成装置2で実行された各タスクの出力データを取得して、次のタスクの入力データとして受け渡すことも可能である。
また、本実施形態においては、タスク実行部130は、画像形成装置2からドキュメントデータ330を取得して、一時的に記憶部19aに格納することも可能である。
また、タスク実行部130は、画像形成装置2から、ワークフローの各タスクの出力データ等を取得して、一時的に記憶部19に格納することも可能である。
【0039】
装置情報送信部201は、上位サーバー1からの要求に対応して、装置情報400を送信する。
また、装置情報送信部201は、記憶部29に格納されたドキュメントデータ330、タスクの入力データや出力データを、タスクを実行する他の画像形成装置2及び域内サーバー3に送信することも可能である。
【0040】
タスク実行部240は、タスク分担部110にて画像形成装置2で実行すると判断されたタスクを実行する実行ユニットである。
【0041】
装置情報400は、画像形成装置2の性能情報300と、ID301と、位置情報302とを含んでいる。
【0042】
性能情報300は、画像形成装置2の性能や機能に関する情報である。性能情報300として、例えば、画像処理、OCR処理、分類処理、送信処理の各処理に対応する性能や機能に関する情報が設定される。性能情報300は、画像処理について、例えば、白紙ページのスキップ、ページの分担、デスキュー(deskew、自動傾き補正)、ボーダー消去、コントラスト調整、ノイズ軽減等の処理を実行可能な機能を備えているか否か、その処理能力の性能等の情報を含んでいる。また、性能情報300は、OCR処理について、例えば、文字認識が可能な言語、解像度、手書き文字認識の有無、表や図が認識できるか否か、認識エンジンのバージョン、認識スピード等の情報を含んでいる。また、性能情報300は、OCR処理として、例えば、一次元、二次元、及び/又はカラーのバーコード、ドット画像等が認識できるか否かの情報を含んでいる。また、性能情報300は、分類処理について、例えば、インボイス(invoice)、伝票、請求書等の分類、項目(アイテム)の取得、メタデータの抽出等が可能か否か、可能な場合のその種類等の情報を含んでいる。このうち、メタデータとしては、顧客のID301(identification)、企業名、名前、各アイテムの金額、税金等についての情報を取得可能か否か、可能の場合のその種類等の情報を含んでいる。また、性能情報300は、送信処理について、例えば、ユーザーやグループのEメールのアドレス、文書ボックス(保存フォルダー、共有フォルダー)のアドレス、又はDMSのアプリ名やアドレスやアカウントのID301等の情報を含んでいる。
なお、性能情報300として、上述の各処理に関して、ハードウェアの状態、ファームウェアのバージョンの違い、アプリのインストールの有無、ライセンス認証等の状態等により、使用可能であるか否かについての情報を含ませることが可能である。すなわち、当該機能をその画像形成装置2の機種自体が備えていても使用可能でない場合には、性能情報300に、その旨の情報を含ませることが可能である。
また、性能情報300として、画像形成装置2の言語設定、顧客情報、その他の情報を含んでいてもよい。
【0043】
ID301は、各画像形成装置2を識別するための固有の符号である。本実施形態のおいては、ID301として、画像形成装置2の製造番号(シリアルナンバー)、機種名等を用いてもよい。
【0044】
位置情報302は、画像形成装置2の位置を示す情報である。位置情報302は、例えば、ネットワーク5内の位置を示す情報であってもよい。具体的には、位置情報302として、図1の例に示す「ブランチA」「ブランチB」等の各イントラネットの位置、IPアドレス上の位置、サブネットマスク等を用いることが可能である。また、位置情報302として、実際の画像形成装置2の設置場所の緯度経度等の座標、建物のフロア、部屋等の情報を用いてもよい。また、位置情報302として、ネットワーク5上の他の画像形成装置2との間のデータの転送速度を含んでいてもよい。また、位置情報302として、ネットワーク5のトポロジー(構造)を基にした距離のマップ上の相対的な位置の情報を用いてもよい。また、位置情報302として、当該画像形成装置2のユーザーやグループの種類により決定される位置の情報を用いてもよい。
【0045】
ワークフロー情報310は、ユーザーが実行を指示する一連のタスクである「ワークフロー」についての処理の流れの設定を含む情報である。このワークフローは、例えば、原稿のキャプチャーに関するスキャンワークフローの場合、画像処理、OCR処理、分類処理、送信処理のタスクの処理の順番、各タスクのパラメーター等の設定を含んでいる。ワークフロー情報310は、例えば、「マクロ」(macro)やスクリプトのような形式で、これらの設定の記載を含んでいてもよい。
また、ワークフロー情報310は、画像形成装置2にインストールされたアプリにより、又は域内サーバー3若しくは上位サーバー1から、画像形成装置2の管理者、域内サーバー3、又は上位サーバー1の管理者等が設定可能である。
【0046】
ドキュメントデータ330は、ワークフローにおける各種処理の対象となるデータである。本実施形態においては、ドキュメントデータ330は、特定の画像形成装置2の原稿読取部22により読み取られた原稿(ドキュメント)の画像データである例について記載する。この画像データは、例えば、BMP等のビットマップデータ(bitmap data)、TIFFやjpg等の圧縮されたビットマップデータ、PDF(Portable Document Format)データ等であってもよい。また、ドキュメントデータ330は、ページ単位の画像データの集合であってもよく、上述の各タスクの処理の進行程度に対応して、各種文字データや中間データが付加されてもよい。なお、ドキュメントデータ330は、単独のファイルではなく、複数のファイルの集合であってもよい。また、ドキュメントデータ330は、画像形成装置2又は上位サーバー1のユーザーの文書ボックス内に、以前に保存されたり、図示しない端末等から取得されたりしたPDFデータ等であってもよい。
【0047】
なお、域内サーバー3の記憶部19aには、ユーザー毎の文書ボックス(保存フォルダー、共有フォルダー)の領域が含まれていてもよい。
また、記憶部19aは、上位サーバー1の性能や機能に関する情報を格納していてもよい。
なお、記憶部19aは、各種フラッシュメモリーや光学記録媒体等の外部記憶媒体を含んでいてもよい。
【0048】
ここで、上位サーバー1の制御部10cは、記憶部19cに記憶された制御プログラムを実行することで、装置情報取得部101及びタスク分担部110として機能させられる。
また、画像形成装置2の制御部20は、記憶部29に記憶された制御プログラムを実行することで、装置情報送信部201及びタスク実行部240として機能させられる。
また、域内サーバー3の制御部10aは、記憶部19aに記憶された制御プログラムを実行することで、タスク実行部130として機能させられる。
また、上述の上位サーバー1、画像形成装置2、及び域内サーバー3の各部は、本発明の画像形成方法を実行するハードウェア資源となる。
【0049】
〔情報処理システムXによるタスク分担実行処理〕
次に、図5を参照して、本発明の実施の形態に係る情報処理システムXによるタスク分担実行処理の説明を行う。
本実施形態のタスク分担実行処理では、まず、上位サーバー1に、複数の画像形成装置2の装置情報400を記憶部19cに格納させる。この上で、特定の画像形成装置2により読み取られたドキュメントのデータについての一連のタスクのそれぞれを、格納された複数の画像形成装置2のID301及び性能情報に対応して、ネットワーク5内の位置が近い画像形成装置2又は域内サーバー3で実行させるよう判断して分担させる。
本実施形態のタスク分担実行処理は、主に上位サーバー1の制御部10cが記憶部19cに記憶されたプログラムを、域内サーバー3の制御部10aが記憶部19aに記憶されたプログラムを、画像形成装置2の制御部20及び画像処理部21が記憶部29に記憶されたプログラムを、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行する。
以下で、図5のフローチャートを参照して、タスク分担実行処理の詳細をステップ毎に説明する。
【0050】
(ステップS100)
まず、上位サーバー1の装置情報取得部101、及び画像形成装置2の装置情報送信部201が、性能情報取得処理を行う。
上位サーバー1の装置情報取得部101は、複数の画像形成装置2のそれぞれの装置情報送信部201に、装置情報400の送信を指示する。
画像形成装置2の装置情報送信部201は、この指示を取得すると、記憶部29に格納された装置情報400を、上位サーバー1に送信する。
上位サーバー1の装置情報取得部101は、画像形成装置2の装置情報送信部201から送信された装置情報400を取得して、記憶部19cに格納する。この際に、装置情報取得部101は、各画像形成装置2について、図示しない課金やサービスのデータベースに、ID301を基に結びつけて装置情報400を格納する。
【0051】
(ステップS101)
次に、上位サーバー1のタスク分担部110は、スピードテスト処理を行う。
タスク分担部110は、装置情報400を取得した各画像形成装置2間で、データをテスト転送して、データの転送速度を測定する。この際、タスク分担部110は、図1の例では、ブランチA、ブランチB等の各イントラネット間のデータ転送速度についても測定してもよい。また、タスク分担部110は、各イントラネット又は域内サーバーから上位サーバー1への転送速度についても測定してもよい。また、タスク分担部110は、装置情報400の位置情報302を基に、近辺の画像形成装置2同士を選んでデータ転送の速度を測定してもよい。タスク分担部110は、これらの測定されたデータの転送速度を記憶部19cに格納する。この際、タスク分担部110は、各画像形成装置2の装置情報400の位置情報302に、この転送速度を設定して含めてもよい。
【0052】
(ステップS102)
次に、特定の画像形成装置2の装置情報送信部201が、ワークフロー開始処理を行う。
ここでは、特定の画像形成装置2の操作パネル部26又は図示しない端末から、ユーザーによるワークフローの実行の指示を取得した場合、上位サーバー1に、ワークフローの実行コマンドを送信する。
また、画像形成装置2でキャプチャーを行う場合、原稿読取部22にて、原稿(ドキュメント)のキャプチャーが行われ、ドキュメントデータ330として、一旦、記憶部29に格納される。この時点でのドキュメントデータ330は、ビットマップデータであってもよい。
なお、このキャプチャーは、下記で説明するタスクの実行と平行して行われてもよい。
【0053】
(ステップS103)
次に、上位サーバー1のタスク分担部110が、タスク分担処理を行う。
具体的には、タスク分担部110は、まず、特定の画像形成装置2により読み取られたドキュメントデータ330について、ワークフロー情報310と取得された装置情報400のID301と性能情報300とを参照して、各タスクについて、どの画像形成装置2のワークフロー上の各タスクの実行が可能であると示されているか否かについて判断する。すなわち、タスク分担部110は、搭載された機能に対応するタスクを実行可能であることが性能情報300に示された画像形成装置2を検索する。
【0054】
また、この際、タスク分担部110は、記憶部19cに格納された複数の画像形成装置2のID301及び性能情報300に対応して、ネットワーク5内の位置が近い画像形成装置2及び/又は域内サーバー3にタスクを分担する。この分担の際、タスク分担部110は、画像形成装置2及び域内サーバー3の性能、ネットワーク5を介したデータの送受信スピード等を考慮してもよい。
より具体的には、タスク分担部110は、タスクの実行が可能な画像形成装置2又は域内サーバー3について、位置情報302により、前のタスクの実行を分担した画像形成装置2又は域内サーバー3から最も少ない負担でデータを転送可能な画像形成装置2又は域内サーバー3に、次のタスクの実行を分担させる。タスク分担部110は、この「もっとも少ない負担」として、当該タスクの実行時間や規模や種類の程度、データの転送速度等を基に判断する。このため、タスク分担部110は、同じイントラネット内の画像形成装置2及び域内サーバー3を優先して、各タスクを分担させてもよい。
図1の例でいえば、画像形成装置2−1又は画像形成装置2−2を特定の画像形成装置2としてワークフローの開始が指示された場合、「ブランチA」のネットワーク5aに接続された画像形成装置2−1、画像形成装置2−2、及び域内サーバー3の自装置以外の装置に対してタスクを分担してもよい。また、画像形成装置2−3又は画像形成装置2−3を特定の画像形成装置2としてワークフローの開始が指示された場合、「ブランチB」のネットワーク5bに接続された画像形成装置2−3及び画像形成装置2−4の自装置以外の装置に対してタスクを分担してもよい。
【0055】
また、タスク分担部110は、ネットワーク5上の距離が近くてもデータ転送の速度が遅かったり、データ転送の負担が大きい画像形成装置2又は域内サーバー3は選択しなくてもよい。逆に、タスク分担部110は、ネットワーク5上の距離が遠くても、高速にデータ転送が可能であれば、当該タスクを分担させてもよい。また、タスク分担部110は、データ転送のスピードが速くても、別のユーザーやグループに所属する画像形成装置2又は域内サーバーであった場合には、当該タスクを分担させないようにしてもよい。
【0056】
また、タスク分担部110は、性能情報300により、画像形成装置2に搭載されていない又は実行スピードが域内サーバー3より遅いタスクを域内サーバー3で実行させるよう判断してもよい。具体的には、タスク分担部110は、例えば、画像処理、OCR処理、及び送信処理に関するタスクについて、画像形成装置2が当該タスクを実行可能な機能を備えておらず、又は、その機能を備えていても使用不可能である場合に、域内サーバー3に実行させるよう判断する。また、タスク分担部110は、処理性能やデータの送受信スピードや域内サーバー3の性能等の程度により、当該タスクを域内サーバー3で実行する方が、合計の処理時間や処理効率が高くなる場合には、域内サーバー3で実行すると判断してもよい。
また、タスク分担部110は、画像形成装置2に搭載された機能に対応するタスクを画像形成装置2に実行させるよう判断してもよい。具体的には、タスク分担部110は、例えば、画像処理、OCR処理、及び送信処理に関するタスクについて、画像形成装置2が当該タスクを実行可能な機能を備えており、使用可能である場合に、画像形成装置2で実行すると判断する。
【0057】
なお、タスク分担部110は、当該タスクを実行可能な機能を画像形成装置2が備えているものの、その機能が使用不可能である場合、一時的に使用可能にした上で、画像形成装置2で実行すると判断してもよい。すなわち、タスク分担部110は、当該機能に対応する画像形成装置2のアプリに一時的なライセンスを与えたり、アプリ自体を一時的にインストールしたりして、使用可能にしてもよい。この上で、タスク分担部110は、当該機能が使用可能になった場合には、画像形成装置2で実行すると判断する。
【0058】
また、タスク分担部110は、域内サーバー3で実行するよう判断して分担させたタスクについて、域内サーバー3のタスク実行部130に対して、当該タスクを実行するよう指示する。具体的には、例えば、タスク分担部110は、当該タスクを域内サーバー3で実行するためのタスクのコマンドのマクロやスクリプト等を設定する。この際、タスク分担部110は、ワークフロー情報310に含まれる各種パラメーターに対応した入力データ及び出力データの設定、自装置で実行する旨の設定を含めた上で、このマクロやスクリプトを設定してもよい。また、この際、タスク分担部110は、マクロやスクリプトの設定として、ワークフローに対応して、入力データと出力データとが順番に入出力されるような「パイプ」を設定してもよい。
【0059】
また、タスク分担部110は、画像形成装置2で実行させると判断されたタスクの場合、タスク分担部110は、当該画像形成装置2のタスク実行部240に対して、当該タスクを実行するよう指示する。この処理においても、ワークフロー情報310に含まれる各種パラメーターに対応した入力データ及び出力データの設定、当該画像形成装置2で実行する旨の設定を含めた上で、マクロやスクリプトやパイプを設定してもよい。
【0060】
(ステップS104)
ここで、タスク実行部240及び/又はタスク実行部130が、タスク実行制御処理を行う。
タスク分担部110にて実行すると判断されたそれぞれのタスクについて、各画像形成装置2のタスク実行部240及び/又は域内サーバー3のタスク実行部130は、上述のマクロやスクリプトのコマンドを、ワークフロー情報310の設定の順番に発行して実行する。たとえば、タスク実行部240は、タスク分担部110にて当該画像形成装置2で実行すると判断されたタスクのコマンドを発行して実行する。また、例えば、タスク実行部130は、タスク分担部110にて域内サーバー3で実行すると判断されたタスクのコマンドを発行して実行する。
【0061】
これにより、ドキュメントデータ330が加工されたり、各画像形成装置2及び/又は域内サーバー3の間で、入力データ及び出力データとしてやりとりされたりする。この際、タスク実行部240及び/又はタスク実行部130は、上述のパイプに対応して、各タスクの実行の結果となる出力データを取得して、次のタスクの入力データとして受け渡してもよい。結果として、タスク実行部240及び/又はタスク実行部130は、各タスクを、一連のタスクであるワークフローとして処理させる。なお、タスク実行部240及び/又はタスク実行部130は、この入力データ及び出力データとして一時ファイルを作成して送受信したり、ドキュメントデータ330のページ等の特定単位でデータを送受信したりしてもよい。
以上により、本発明の実施の形態に係るタスク分担実行処理を終了する。
【0062】
〔タスク分担実行処理の例〕
ここで、図6図7を参照して、本発明の実施の形態に係るタスク分担実行処理の具体例について説明する。
【0063】
図6は、ワークフロー情報310に含まれる各タスクT1〜タスクT5について、上位サーバー1が、画像形成装置2−1及び域内サーバー3について、ワークフロー情報310の一連のタスクを分担して実行させた例を示している。
この例では、画像形成装置2−1は、画像処理とOCR処理の各機能が使用可能である、高機能の装置である。このため、画像処理に関する白紙ページスキップのタスクT1、OCR処理に関するバーコード読み取りのタスクT2、OCRのタスクT3が、順に画像形成装置2−1のタスク実行部240で実行される。なお、この場合、タスクT2とタスクT3とは、マルチタスク等にて、同時に実行されてもよい。
画像形成装置2−1でのタスクT1〜タスクT3の実行が完了すると、この結果の出力ファイルが域内サーバー3のタスク実行部130に受け渡される。そして、分類処理に関するメタデータ抽出のタスクT4、共有フォルダ送信のタスクT5が、順に、域内サーバー3のタスク実行部130で実行される。
これにより、一覧のワークフローが、域内サーバー3と、高機能な画像形成装置2−1とを用いて、それぞれ単独で実行するよりも、処理スピードや効率を高めて実行可能となる。
【0064】
図7は、図6と同様のワークフロー情報310に含まれる各タスクT1〜T5について、上位サーバー1が、画像形成装置2−1、画像形成装置2−2、及び域内サーバー3で、ワークフロー情報310の一連のタスクを分担して実行した例を示している。
この例では、画像形成装置2−2は、画像処理とOCR処理の各機能を備えていない、画像形成装置2−1より低機能の装置である。このため、画像処理に関する白紙ページスキップのタスクT1のみが画像形成装置2−2のタスク実行部240で実行された後、出力された画像データ等が画像形成装置2−1に受け渡される。そして、タスクT2〜タスクT3が、順に、画像形成装置2−1のタスク実行部240で実行され、出力された画像データ及び文字データ等が域内サーバー3のタスク実行部130に受け渡される。そして、残りのタスクT4〜タスクT5が、順に、域内サーバー3のタスク実行部130で実行される。
【0065】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
特許文献1に記載されたような典型的な技術では、省電力用の分散処理を行っていただけなので、実行の待ち時間が長くなっていた。
これに対して、本発明の実施の形態に係る情報処理システムXは、ドキュメント読取装置である複数の画像形成装置2と、画像形成装置2と接続可能な情報処理装置である上位サーバー1を含む。画像形成装置2は、上位サーバー1からの要求に対応して、装置情報400を送信する装置情報送信部201を備える。上位サーバー1は、複数の画像形成装置2の装置情報400を取得する装置情報取得部101と、装置情報取得部101により取得された装置情報400に含まれる、複数の画像形成装置2のID301と、ネットワーク5内の位置を示す位置情報302と、性能情報300とを格納する装置情報記憶部である記憶部19cと、特定の画像形成装置2により読み取られたドキュメントデータ330についての一連のタスクのそれぞれを、記憶部19cに格納された複数の画像形成装置2のID301及び性能情報300に対応して、ネットワーク5内の位置が近い画像形成装置2で実行させるよう判断して分担させるタスク分担部110とを備える。
このように構成することで、一連のタスクの実行を効率化し、待ち時間を少なくすることができる。具体的には、ワークフローの全タスクの実行時間を、画像形成装置2単独で実行するより速くしたり、画像形成装置2の処理負荷を軽減したりすることができる。
すなわち、各ブランチの画像形成装置2及び域内サーバー3は、性能情報300をID301に関連付けて上位サーバー1に送信する。全装置の各ブランチへの配置状況を把握しているクラウド上の上位サーバー1は、域内サーバー3に対して特定の画像形成装置2と同じブランチにある他の画像形成装置2の一覧の性能情報300を問い合わせ、最適なタスク処理の分散を行うことが可能となる。
【0066】
また、本発明の実施の形態に係る上位サーバー1は、タスク分担部110は、複数の先記画像形成装置2のうち、搭載された機能に対応するタスクを実行可能であることが性能情報300に示され、前のタスクの実行を分担した画像形成装置2から最も少ない負担でデータを転送可能な画像形成装置2に次のタスクを実行させるよう判断することを特徴とする。
このように構成することで、一連のタスクの実行をデータの送受信のスピードや効率等の負担に基づいて分担させることができる。これにより、ワークフローについて、画像形成装置2単独で実行させるより速くし、処理負荷を軽減することができる。
【0067】
また、本発明の実施の形態に係る上位サーバー1は、タスク分担部110は、画像形成装置2から少ない負担でデータを転送可能なネットワーク5のイントラネットの域内に存在する域内サーバー3にもタスクを実行させるよう判断することを特徴とする。
このように構成することで、一連のタスクの実行を域内サーバー3にも分担して実行させることができ、合計の実行時間を短くして処理負荷を軽減することができる。
【0068】
また、本発明の実施の形態に係る上位サーバー1は、ID301は、対応する画像形成装置2のシリアルナンバーであることを特徴とする。
このように構成することで、課金やサービスと同様に、ワークフローのタスクの分担を行うことが可能となり、上位サーバー1でワークフローの実行についての課金を行うことも可能となる。
【0069】
〔他の実施の形態〕
なお、本発明の実施の形態においては、画像形成装置2と域内サーバー3とで一連のタスクを分担するように記載したものの、性能等によっては、いずれかの装置で一連のタスクの全てを実行してもよい。すなわち、画像処理に関する機能として、白紙ページスキップ等の機能も備えていないような低機能の画像形成装置やネットワークスキャナー等では、域内サーバー3で一連のタスクの全てを実行してもよい。また、画像処理、OCR処理、分類処理、送信処理のすべての機能が実行可能であり、高速に実行可能であるような高機能の画像形成装置2では、この画像形成装置2で一連のタスクを全て実行してもよい。また、上位サーバー1にも、タスクの実行を分担させてもよい。
このように構成することで、設置環境に対応して、一連のタスクを最適な効率と速度とで実行することができる。
【0070】
また、上述の実施の形態では、図1において、域内サーバー3を一つのみ備える例について説明した。しかしながら、域内サーバー3は、複数存在してもよい。また、この際に、域内サーバー3は、イントラネット毎に存在してもよい。この上で、各域内サーバー3及び画像形成装置2へ、タスクを分担してもよい。また、上位サーバー1自体も複数存在してもよい。
このように構成することで、各装置に柔軟にタスクを分担して効率的に処理することが可能となる。
【0071】
また、上述の実施の形態では、性能情報取得処理の際の装置情報400の取得を、ワークフローの実行前に全体の装置に対して行うように記載した。
しかしながら、上位サーバー1による性能情報取得処理は、分担させるイントラネットが決定した後で、そのイントラネット内の画像形成装置2及び域内サーバー3に対して、行われててもよい。
このように構成することで、ワークフローの実行時の装置の状態に則した装置情報400を取得することができ、効率的に各タスクの処理を実行させる可能性が高まる。
【0072】
また、本発明は、画像形成装置2以外のドキュメント読取装置にも適用できる。また、ネットワーク5を用いずに、ドキュメント読取装置と情報処理装置とが直接接続されたような構成であってもよい。すなわち、ネットワークスキャナー、スキャナーをUSB等で別途接続したサーバー等を用いる構成であってもよい。
このように構成することで、画像形成装置以外のドキュメント読取装置においても、タスクを分担して高速で効率的に処理させることが可能となる。
【0073】
また、上述の実施の形態では、原稿のキャプチャーに関するスキャンワークフローの各タスクの分担について記載したものの、これ以外の種類のワークフローにも対応可能である。また、画像処理、OCR処理、分類処理、送信処理以外のタスクも分担可能である。
このように構成することで、柔軟にタスクを分担して、高速化、効率化して実行可能となる。
【0074】
また、域内サーバー3は、制御部10の他にも、OCR処理や分類処理等を高速に実行するための制御演算手段を備えていてもよい。この制御演算手段は、人工ニューラルネットワーク等の特定の演算を高速に実行するためのASICやDSPや外付けのアクセレレーター等であってもよい。
【0075】
また、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0076】
1 上位サーバー
3 域内サーバー
2、2−1、2−2、2−3、2−4 画像形成装置
5、5a、5b、5c ネットワーク
6 ファイアーウォール
10、10a、10c、20 制御部
19、19a、19c、29 記憶部
15、25 ネットワーク送受信部
21 画像処理部
22 原稿読取部
23 原稿給送部
24 給紙部
26 操作パネル部
27 画像形成部
28 FAX送受信部
101 装置情報取得部
110 タスク分担部
130、240 タスク実行部
201 装置情報送信部
300 性能情報
301 ID
302 位置情報
310 ワークフロー情報
330 ドキュメントデータ
400 装置情報
T1、T2、T3、T4、T5 タスク
X 情報処理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7