【実施例】
【0130】
以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0131】
クロマトグラフィーによる分離の箇所およびTLCに示されている括弧内の溶媒は、使用した溶出溶媒または展開溶媒を示し、割合は体積比を表す。また、NHシリカの記載は、富士シリシア製CHROMATOREX NH TLC PLATE(カタログ番号;3800003)を使用した旨を表し、DNHシリカの記載は、富士シリシア製CHROMATOREX NH TLC PLATE(カタログ番号;3800403)を使用した旨を表す。
【0132】
LC−MS/ELSDは、下記条件:
{カラム:Waters ACQUITY C
18(粒子径:1.7 x 10
-6 m;カラム長:30 x 2.1 mm I.D.);流速:1.0mL/min;カラム温度:40℃;移動相(A):0.1%ギ酸水溶液;移動相(B):0.1%ギ酸−アセトニトリル溶液;グラジエント(移動相(A):移動相(B)の比率を記載):[0分]95:5;[0.1分]95:5;[1.2分]5:95;[1.4分]5:95;[1.41分]95:5;[1.5分]95:5;検出器:UV(PDA)、ELSD、MS}
で行った。
【0133】
NMRの箇所に示されているカッコ内は測定に使用した溶媒を示す。
【0134】
本明細書中に用いた化合物名は、一般的にIUPACの規則に準じて命名を行なうコンピュータプログラム、Advanced Chemistry Development社のACD/Name(登録商標)を用いるか、または、IUPAC命名法に準じて命名したものである。
【0135】
実施例1:4−[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]−6,7−ジメトキシキノリン
窒素気流下、2Lの4つ口フラスコに、4−クロロ−6,7−ジメトキシキノリン(39g)(CAS登録番号:35654-56-9)のクロロベンゼン(400mL)溶液、6−クロロピリジン−3−オール(25g)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(64g)を加え、バス温(140℃)で42時間撹拌した。室温まで放冷した後、水(700mL)、酢酸エチル(1L)を加えて、分液した。水層を酢酸エチル(1L)で再度抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水(500mL)で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:8)で精製し、下記物性値を有する標題化合物(28g)を得た。
TLC:Rf 0.22 (ヘキサン:酢酸エチル=1:3);
1H-NMR (DMSO-d
6):δ 8.52, 8.48, 7.87 - 7.85, 7.66, 7.49, 7.43, 6.65, 3.95, 3.93。
【0136】
実施例2:5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジナミン
窒素気流下、2Lの4つ口フラスコに、実施例1で製造した化合物(28g)のテトラヒドロフラン(THF)(500mL)溶液、1.3mol/Lのリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LHDMS)(100mL)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム錯体(4.6g)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(4.4g)を加え、バス温(80℃)で2時間撹拌した。さらに6mol/Lの塩酸(250mL)を加え、バス温(80℃)で2時間撹拌した。室温まで放冷後、セライトろ過(酢酸エチル2Lで洗浄)し、飽和重炭酸水素ナトリウム水溶液(2L)を加えて分液した。水層を酢酸エチル(1L)で再度抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水 (500mL)で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル→酢酸エチル:メタノール=9:1)で精製し、下記物性値を有する標題化合物(22g)を得た。
TLC:Rf 0.51 (酢酸エチル:メタノール=4:1);
1H-NMR (DMSO-d
6):δ 8.45, 7.89, 7.51, 7.38 - 7.36, 6.56, 6.42, 6.05, 3.94。
【0137】
実施例3:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
室温において2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(CAS登録番号:868171-81-7)(1.9g)、O−(7−アザ−1−ベンゾトリアゾリル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HATU)(4.1g)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(50mL)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(2.3g)、実施例2で製造した化合物(2.7g)を加え、21時間撹拌した。反応溶液に水を加え、固体を析出させた。ろ過によって得られた固体をエタノールで洗浄し、減圧乾燥することで、下記物性値を有する標題化合物(3.6g)を得た。
TLC:Rf 0.54 (酢酸エチル:メタノール=9:1);
1H-NMR (CDCl
3):δ 4.05, 6.46, 6.59, 7.41-7.44, 7.51-7.57, 7.68, 8.26, 8.48, 8.51, 8.74, 12.40。
【0138】
実施例3(1)〜3(2)
実施例2で製造した化合物、および2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸の代わりに相当するカルボン酸誘導体を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記の実施例化合物を得た。
実施例3(1):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−5−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−6−カルボキサミド
TLC:Rf 0.66 (酢酸エチル:メタノール=5:1);
1H-NMR (CDCl
3):δ 2.11, 3.00, 3.94, 4.23, 6.56, 7.32, 7.41, 7.54, 7.60, 7.87-7.94, 8.41-8.50, 9.04, 12.76。
【0139】
実施例3(2):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−4,6−ジメチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
TLC:Rf 0.64 (酢酸エチル:メタノール=19:1);
1H-NMR (CDCl
3):δ 2.05, 2.81, 4.05, 6.26, 6.43, 7.22, 7.42, 7.49-7.59, 8.21, 8.41, 8.49, 12.50。
【0140】
実施例4:メチル 5−アセチル−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキシラート
5−アセチル−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(CAS登録番号:88302-06-1)(450mg)をメタノール(20mL)に溶解させ、0℃で塩化オキサリル(0.43mL)を滴下し、室温で3時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウムを加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮することにより、下記物性値を有する標題化合物(400mg)を得た。
1H-NMR (CDCl
3):δ 2.54, 2.79, 3.94, 8.72, 12.34。
【0141】
実施例5:5−アセチル−6−メチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
ジクロロメタン(10mL)に、実施例4で製造した化合物(500mg)、フェニルホウ酸(580mg)、ジアセトキシ銅(II)(870mg)、ピリジン(5.0mL)および4Åモレキュラーシーブス(1.0g)を加えて、酸素雰囲気下、室温で48時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し不溶固体を除去した後、ジクロロメタン(200mL)を加えて希釈し、有機層を水洗した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮により溶媒を留去した。得られた残渣に、THF(20mL)、メタノール(1mL)、(1mL)および水酸化リチウム一水和物(91mg)を加えて室温で16時間撹拌させた。反応液に1mol/L塩酸を加え、有機層をジクロロメタンで抽出し(3×50mL)、硫酸マグネシウムで乾燥させてろ過した後、減圧濃縮することで下記物性値を有する標題化合物(46mg)を得た。
1H-NMR (CDCl
3):δ 2.45, 2.64, 7.17-7.20, 7.57-7.64, 8.98, 13.44。
【0142】
実施例6:5−アセチル−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−6−メチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
【化26】
実施例5で製造した化合物(20mg)および実施例2で製造した化合物(20mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(12mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.81分);
1H-NMR (CDCl
3):δ 2.45, 2.67, 4.04, 4.05, 6.46, 7.21, 7.42, 7.53-7.64, 8.24, 8.46, 8.51, 9.12, 12.04。
【0143】
実施例7:4−[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]−6,7−ジメトキシキナゾリン
アルゴン雰囲気下、4−クロロ−6,7ジメトキシキナゾリン(CAS登録番号: 13790-39-1)(8.0g)、6−クロロピリジン−3−オール(4.6g)のDMSO懸濁液(20mL)にDMAP(4.4g)を加えてバス温(80℃)にて2時間加熱撹拌した。室温まで放冷後、酢酸エチルで反応液を希釈し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、得られた残渣をヘキサン−酢酸エチル(3:1)で洗浄し、下記物性値を有する標題化合物(9.1g)を得た。
TLC:Rf 0.16 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H-NMR (DMSO-d
6):δ 3.97, 3.99, 7.41, 7.58, 7.69, 7.97, 8.50, 8.57。
【0144】
実施例8:5−[(6,7−ジメトキシ−4−キナゾリニル)オキシ]−2−ピリジナミン 塩酸塩
アルゴン雰囲気下、実施例7で製造した化合物(1.0g)のTHF溶液(15mL)に1.0mol/LのLHDMS(4.7mL)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム錯体(140mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(170mg)を加え、バス温(70℃)で4時間撹拌した。反応液を室温まで放冷後、氷水にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。得られた残渣をアセトニトリル(30mL)に懸濁し、2.0mol/Lの塩酸(10mL)を加えて室温で30分撹拌した。反応液中に生じた析出物をろ取し、下記物性値を有する標題化合物(1590mg)を得た。
TLC:Rf 0.16 (酢酸エチル:メタノール=10:1);
1H-NMR (DMSO-d
6):δ 3.96, 3.99, 4.24, 7.10, 7.42, 7.53, 8.00-8.20, 8.07, 8.20, 8.61。
【0145】
実施例9:5−アセチル−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キナゾリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−6−メチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
【化27】
実施例5で製造した化合物(25mg)および実施例8で製造した化合物(28mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(14mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.95分);
1H-NMR (CDCl
3):δ 2.45, 2.68, 4.07, 7.19-7.23, 7.33, 7.54, 7.55-7.65, 7.68, 8.28, 8.48, 8.61, 9.12, 12.02。
【0146】
実施例10:2,2−ジメチルプロピル 5−ブロモ−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキシラート
ジクロロメタン(60mL)に、2,2−ジメチルプロピル 5−ブロモ−2−ヒドロキシピリジン−3−カルボキシラート(2.0g)を用いて、フェニルホウ酸(1.7g)、ジアセトキシ銅(II)(5.2g)、およびピリジン(15mL)を加えて、酸素雰囲気下、室温で16時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し不溶固体を除去した後、ジクロロメタンを加えて希釈し、有機層を水および1mol/L塩酸で洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮により溶媒を留去し、下記物性値を有する標題化合物(1.5g)を得た。
MS (M+H):364。
【0147】
実施例11:2,2−ジメチルプロピル 5−(3−ヒドロキシ−3−メチルブタ−1−イン−1−イル)−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキシラート
実施例10で製造した化合物(100mg)をアセトニトリル(10mL)に溶解させ、2−メチル−3−ブチン−2−オール(51mg)、トリス(tert−ブチル)ホスフィン(1.0mL)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(32mg)、ヨウ化銅(I)(3.0mg)およびトリエチルアミン(0.2mL)を加えて、70℃で16時間撹拌した。反応溶液を氷水にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→30:70)によって精製することにより、下記物性値を有する標題化合物(55mg)を得た。
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.02, 1.58, 4.01, 7.26-7.38, 7.44-7.49, 7.71, 8.14。
【0148】
実施例12:5−(3−ヒドロキシ−3−メチルブタ−1−イン−1−イル)−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
実施例11で製造した化合物(50mg)をメタノール/水の混合溶媒(4:1、3.5mL)、に溶解させ、水酸化リチウム一水和物(4.0mg)を加えて室温で16時間撹拌させた。反応液に1N塩酸を加え、有機層をジクロロメタンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させてろ過した後、減圧濃縮することで下記物性値を有する標題化合物(32mg)を得た。
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.59, 7.38-7.41, 7.54-7.59, 7.83, 8.60, 13.74。
【0149】
実施例13:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−5−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン−1−イル)−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド トリフルオロ酢酸塩
実施例12で製造した化合物(25mg)および実施例2で製造した化合物(25mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(10mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.77分);
1H-NMR (DMSO-d
6):δ 1.47, 4.00, 4.02, 6.88, 7.54, 7.55-7.60, 7.70, 7.96, 8.34, 8.45-8.48, 8.72, 12.31。
【0150】
実施例13(1)〜13(2)
実施例2で製造した化合物の代わりに相当するキノリン誘導体、および実施例12で製造した化合物を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記の実施例化合物を得た。
【0151】
実施例13(1):5−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン−1−イル)−N−{5−[(7−メトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.86分);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.60, 2.00, 3.97, 6.43, 7.23, 7.38-7.44, 7.51-7.59, 7.81, 8.20-8.26, 8.46, 8.61, 8.71, 12.24。
【0152】
実施例13(2):5−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン−1−イル)−N−{5−[(6−メトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.80分);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.61, 2.02, 3.97, 6.54, 7.39-7.43, 7.51-7.59, 7.81, 8.00, 8.26, 8.47, 8.55, 8.71, 12.25。
【0153】
実施例14:3−ブロモ−1−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−2(1H)−ピリジノン
3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2(1H)−オン(1.0g)を用いて、実施例10と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(1.1g)を得た。
1H-NMR (CDCl
3):δ 7.36-7.39, 7.48-7.53, 7.75-7.77, 7.94。
【0154】
実施例15:メチル 2−オキソ−1−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキシラート
実施例14で製造した化合物(250mg)をDMF(8.0mL)及びメタノール(8.0mL)の混合溶媒に溶解させ、反応容器内を窒素雰囲気下、10分間脱気した。酢酸パラジウム(II)(36mg)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(88mg)およびトリエチルアミン(0.33mL)を加えて、一酸化炭素雰囲気下(100psi)、90℃で16時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し不溶固体を除去した後、ジクロロメタンを加えて希釈した。得られた溶液を10%クエン酸水溶液で洗浄し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮により溶媒を留去し、下記物性値を有する標題化合物(140mg)を得た。得られた化合物は精製することなく、次の反応に用いた。
1H-NMR (CDCl
3):δ 3.93, 7.33-7.41, 7.45-7.58, 7.93-7.97, 8.35。
【0155】
実施例16:2−オキソ−1−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボン酸
実施例15で製造した化合物(100mg)をTHF(2mL)に溶解させ、ナトリウムトリメチルシラノラート(38mg)を加えて、室温で3時間撹拌した。反応溶液をろ過し、得られた沈殿物をTHFで洗浄し、下記物性値を有する標題化合物(45mg)を得た。得られた化合物は精製することなく、次の反応に用いた。
MS (M+H):284。
【0156】
実施例17:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
実施例16で製造した化合物(60mg)および実施例2で製造した化合物(62mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(43mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.84分);
1H-NMR (CDCl
3):δ 4.05, 4.06, 6.47, 7.37-7.48, 7.50-7.65, 8.02-8.06, 8.27, 8.47, 8.51, 8.90, 12.08。
【0157】
実施例17(1)〜17(2)
実施例2で製造した化合物の代わりに相当するキノリン誘導体、および実施例16で製造した化合物を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記の実施例化合物を得た。
【0158】
実施例17(1):N−{5−[(7−メトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.93分);
1H-NMR (CD
3OD):δ 3.97, 6.44, 7.19-7.25, 7.38-7.50, 7.53-7.67, 8.02-8.06, 8.22, 8.26, 8.47, 8.61, 8.90, 12.08。
【0159】
実施例17(2):N−{5−[(6−メトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.88分);
1H-NMR (CDCl
3):δ 3.96, 6.54, 7.39-7.44, 7.56-7.60, 8.00, 8.02-8.04, 8.27, 8.47, 8.56, 8.89, 12.07。
【0160】
実施例18:メチル 5−(1−エトキシエテニル)−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキシラート
メチル 5−ブロモ−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキシラート(CAS登録番号:381248-02-8)(100mg)、およびトリブチル(1−エトキシビニル)スズ(0.11mL)を1,4−ジオキサン(2mL)に溶解させ、パラジウム(0)テトラキス(トリフェニルホスフィン)(8mg)を加えて、封管中100℃で16時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過した後、ろ液に水を加えて、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮することで、下記物性値を有する標題化合物(270mg)を得た。
MS (M+H):300。
【0161】
実施例19:メチル 5−アセチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキシラート
実施例18で製造した化合物(270mg)をTHF(5mL)に溶解させ、2mol/L塩酸(2mL)を加えて、室温で1時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、得られた残渣に水を加えて、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮することで、下記物性値を有する標題化合物(80mg)を得た。
MS (M+H):272。
【0162】
実施例20:5−アセチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
実施例19で製造した化合物(80mg)をTHF/水の混合溶媒(4:1、5mL)に溶解させ、水酸化リチウム一水和物(62mg)を加えて室温で16時間撹拌させた。反応液に1N塩酸を加え、有機層をジクロロメタンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させてろ過した後、減圧濃縮することで下記物性値を有する標題化合物(50mg)を得た。
1H-NMR (CDCl
3):δ 2.59, 7.39-7.42, 7.58-7.62, 8.47, 9.07。
【0163】
実施例21:5−アセチル−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
実施例20で製造した化合物(50mg)および実施例2で製造した化合物(50mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(17.5mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.73分);
1H-NMR (CDCl
3):δ 2.60, 4.05, 6.47, 7.53-7.60, 8.27, 8.46, 8.47, 8.49, 8.52, 9.20, 12.00。
【0164】
実施例22:エチル 6−(tert−ブトキシカルボニル)−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシラート
室温において、tert−ブチル 2,4−ジオキソピペリジン−1−カルボキシラート(CAS登録番号:845267-78-9)(3.0g)をDMFに溶解し、tert−ブトキシカリウム(13g)、エチル (2E)−2−シアノ−3−エトキシプロパ−2−エノアート(CAS登録番号:94-05-3)(2.4g)を加え、21時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、2Nの塩酸水溶液を加え撹拌した。さらに酢酸エチル、水を加え有機層を抽出した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、下記物性値を有する標題化合物(3.5g)を得た。
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.19, 1.43, 2.27, 3.62, 4.09, 8.19。
【0165】
実施例23:6−(tert−ブトキシカルボニル)−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸
室温において、実施例22で製造した化合物(66mg)をエタノール(1mL)に溶解し、アニリン(36mg)を加え、50℃で30分撹拌した。反応液中から析出した固体を桐山ロートでろ取、エタノールで洗浄し、得られた残渣を減圧乾燥することで、下記物性値を有する標題化合物(84mg)を得た。
1H-NMR (DMSO-d
6):δ 1.46, 2.62, 3.82, 7.43, 7.56-7.62, 8.74, 13.33。
【0166】
実施例24:2−メチル−2−プロパニル 3−({5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}カルバモイル)−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,5,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(2H)−カルボキシラート
実施例23で製造した化合物(80mg)、および実施例2で製造した化合物(68mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(46mg)を得た。
TLC:Rf 0.40 (ヘキサン:酢酸エチル=1:2);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.56, 2.67, 3.96, 4.04, 6.43, 7.24-7.27, 7.41, 7.52-7.62, 8.20, 8.46, 8.48, 9.39, 11.90。
【0167】
実施例25:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド
【化28】
実施例24で製造した化合物(40mg)をジクロロメタン(3mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(1mL)を加えて、室温で20分撹拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和し、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮し、得られた残渣を酢酸エチルで洗浄することで、下記物性値を有する標題化合物(26mg)を得た。
TLC:Rf 0.35 (酢酸エチル,NHシリカ);
1H-NMR (DMSO-d
6):δ 2.25, 2.71, 3.93, 3.94, 6.58, 7.40-7.62, 7.85, 7.96, 8.34, 8.42, 8.50, 8.97, 12.10。
【0168】
実施例26:エチル 3−アニリノ−3−オキソプロパノアート
300mLの3径ナスフラスコにアニリン(3.1g)、DMAP(0.61g)、トリエチルアミン(5.1mL)、ジクロロメタン(25mL)を加えた後、氷浴下においてエチルマロニルクロライド(5.0g)のジクロロメタン(25mL)溶液を20分かけて滴下した。そのまま30分間撹拌した後、水を加え、ジクロロメタンを減圧留去した。残渣を酢酸エチルで抽出した後、1N塩酸、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:3→1:1)で精製し、下記物性値を有する標題化合物(5.8g)を得た。
TLC:Rf 0.50 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.32, 3.47, 4.26, 7.13, 7.35, 7.55, 9.22。
【0169】
実施例27:エチル 2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−1,7−ナフチリジン−3−カルボキシラート
実施例26で製造した化合物(560mg)をトルエン(10mL)に溶解させ、3−ブロモピリジン−4−カルボアルデヒド(500mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(120mg)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(160mg)および炭酸セシウム(1800mg)を加えて、150℃で1時間撹拌した。反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル)にて精製することにより、下記物性値を有する標題化合物(250mg)を得た。
TLC:Rf 0.23 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.41, 4.43, 7.29-7.33, 7.52-7.65, 8.13, 8.41, 8.47。
【0170】
実施例28:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−1,7−ナフチリジン−3−カルボキサミド
【化29】
実施例27で製造した化合物を実施例12と同様の目的の操作に付すことにより製造した化合物(50mg)、および実施例2で製造した化合物(56mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(84mg)を得た。
TLC:Rf 0.75 (ジクロロメタン:メタノール=9:1);
1H-NMR (DMSO-d
6):δ 3.98, 3.99, 6.61, 7.45, 7.57, 7.59-7.79, 7.95, 8.03, 8.16, 8.44, 8.50, 8.54, 8.61, 9.26, 12.34。
【0171】
実施例29:7−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,7−ナフチリジン−2(1H)−オン
1,7−ナフチリジン−2(1H)−オン(CAS登録番号:54920-82-0)(900mg)にエタノール(20mL)、ベンジルブロマイド(0.8mL)を加え、80℃で18時間加熱撹拌した。0℃に冷却後、水素化ホウ素ナトリウム(1100mg)を加え、10分間0℃にて撹拌後、塩酸を加え90分室温にて撹拌した。水酸化ナトリウムで中和後、酢酸エチルを加え、有機層を抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。その後、得られた固体を酢酸エチルで洗浄することにより、下記物性値を有する標題化合物(900mg)を得た。
1H-NMR (CD
3OD):δ 2.66, 2.80, 3.45, 3.75, 6.40, 7.29-7.44。
【0172】
実施例30:5,6,7,8−テトラヒドロ−1,7−ナフチリジン−2(1H)−オン トリフルオロ酢酸塩
実施例29で製造した化合物(800mg)をメタノール(10mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(0.27mL)、パラジウムカーボン(160mg)を加え、水素ガス雰囲気下、室温にて5時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過後、溶媒を減圧留去することにより、下記物性値を有する標題化合物(800mg)を得た。
1H-NMR (CD
3OD):δ 2.89, 3.51, 4.21, 6.53, 7.48。
【0173】
実施例31:tert−ブチル 2−オキソ−2,5,6,8−テトラヒドロ−1,7−ナフチリジン−7(1H)−カルボキシラート
実施例30で製造した化合物(800mg)をTHF(10mL)に溶解し、トリエチルアミン(1.3mL)、二炭酸ジ−tert−ブチル(0.85mL)を加え室温にて3時間撹拌した。反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。その後、得られた固体をメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)溶媒で洗浄することにより、下記物性値を有する標題化合物(760mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.70分);
1H-NMR (CD
3OD):δ 1.52, 2.61, 3.66, 4.43, 6.42, 7.43。
【0174】
実施例32:tert−ブチル 3−ブロモ−2−オキソ−2,5,6,8−テトラヒドロ−1,7−ナフチリジン−7(1H)−カルボキシラート
実施例31で製造した化合物(490mg)をDMF(5mL)に溶解し、N−ブロモスクシンイミド(360mg)を加え室温にて2時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、水を加え有機層を抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去することにより、下記物性値を有する標題化合物(560mg)を得た。
TLC:Rf 0.17(酢酸エチル:メタノール=10:1);
1H-NMR (CD
3OD):δ 1.52, 2.61, 3.65, 4.39, 7.83。
【0175】
実施例33:7−tert−ブチル 3−メチル 2−オキソ−1−フェニル−2,5,6,8−テトラヒドロ−1,7−ナフチリジン−3,7(1H)−ジカルボキシラート
実施例32で製造した化合物(1400mg)を用いて、実施例10→実施例14と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(96mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:1.01分);
TLC:Rf 0.54(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)。
【0176】
実施例34:tert−ブチル 3−({5−[(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)オキシ]ピリジン−2−イル}カルバモイル)−2−オキソ−1−フェニル−2,5,6,8−テトラヒドロ−1,7−ナフチリジン−7(1H)−カルボキシラート
実施例33で製造した化合物を実施例12と同様の目的の操作に付すことにより製造した化合物(30mg)および実施例2で製造した化合物(17mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(29mg)を得た。
TLC:Rf 0.83(酢酸エチル:メタノール=10:1,NHシリカ);
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.95分)。
【0177】
実施例35:N−{5−[(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)オキシ]ピリジン−2−イル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,7−ナフチリジン−3−カルボキサミド トリフルオロ酢酸塩
実施例34で製造した化合物(25mg)を用いて、ジクロロメタン(1mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(0.03mL)を加えて、室温で3時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮することで、下記物性値を有する標題化合物(28mg)を得た。
TLC:Rf 0.56(ジクロロメタン:メタノール:28%アンモニア水=9:1:0.1);
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.69分)。
【0178】
実施例36:7−(2−ブチノイル)−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,7−ナフチリジン−3−カルボキサミド
【化30】
実施例35で製造した化合物(25mg)および2−ブチン酸(3.6mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(8.0mg)を得た。
TLC:Rf 0.42 (酢酸エチル:メタノール=10:1);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.89 (2.05), 2.82 (2.88), 3.85 (3.99), 4.05, 4.23 (4.37), 6.44, 7.24-7.33, 7.42, 7.52-7.66, 8.23, 8.42-8.54, 12.33 (12.34)(回転異性体の混合物として観測された)。
【0179】
実施例37:3−クロロシクロヘキサ−2−エン−1−オン
氷浴下、シクロヘキサン−1,3−ジオン(CAS登録番号:504−02−9)(5.0g)のジクロロメタン(230mL)溶液に、メタンスルホニルクロリド(3.5mL)および炭酸カリウム(19g)を加え、4時間撹拌した。反応混合物を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶液が150mL程度になるまで減圧濃縮した。得られた溶液に、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(14g)およびボロントリフルオリド−エチルエーテルコンプレックス(1.1mL)を加え、30分間撹拌した。反応混合物に水を注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→80:20)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(5.2g)を得た。
TLC:Rf 0.50 (ヘキサン:酢酸エチル=4:1);
1H-NMR (CDCl
3):δ 2.05-2.13, 2.38-2.43, 2.67-2.71, 6.22-6.23。
【0180】
実施例38:2−シアノ−2−(3−オキソシクロヘキサ−1−エン−1−イル)アセタミド
水素化ナトリウム(550mg)のジエチレングリコールジメチルエーテル(5.0mL)溶液に、2−シアノアセトアミド(1.2g)のジエチレングリコールジメチルエーテル(7.0mL)溶液を加え、20分間撹拌した。実施例37で製造した化合物(1.2g)のジエチレングリコールジメチルエーテル(13mL)溶液を加え、反応混合物を8時間撹拌した。反応混合物を塩酸水溶液中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮することにより、以下の物性値を有する標題化合物(900mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.49分)。
【0181】
実施例39:3,8−ジオキソ−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソキノリン−4−カルボニトリル
実施例38で製造した化合物(830mg)のN,N−ジメチルホルムアミド(16mL)溶液に、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(740μL)を加え、4時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルで洗浄し、ろ取することで、以下の物性値を有する標題化合物(350mg)を得た。
TLC:Rf 0.52(酢酸エチル);
1H-NMR (CD
3OD):δ 2.10-2.20, 2.62, 3.08, 8.35。
【0182】
実施例40:3,8−ジオキソ−2−フェニル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソキノリン−4−カルボニトリル
実施例39で製造した化合物(300mg)のジクロロメタン溶液(12mL)に、フェニルボロン酸(780mg)、4Åモレキュラーシーブ(300mg)、酢酸銅(II)(580mg)、ピリジン(520μL)を加え、一晩撹拌した。反応混合物に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:50→30:70)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(280mg)を得た。
TLC:Rf 0.76(ヘキサン:酢酸エチル=1:9);
1H-NMR (CDCl
3):δ 2.15-2.25, 2.66, 3.14, 7.33-7.39, 7.50-7.56, 8.47。
【0183】
実施例41:3,8−ジオキソ−2−フェニル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソキノリン−4−カルボン酸
実施例40で製造した化合物(20mg)に、水(0.1mL)および濃硫酸(0.1mL)を加えた。反応混合物を100℃で一晩撹拌した。反応混合物を水酸化ナトリウム水溶液中に注ぎ入れ、酢酸エチルで洗浄した。水層に塩酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮することで、以下の物性値を有する標題化合物(6.3mg)を得た。
TLC:Rf 0.68(1−ブタノール:酢酸:水=4:2:1);
1H-NMR (CDCl
3):δ 2.10-2.17, 2.66, 3.69, 7.30-7.44, 7.50-7.68, 8.55。
【0184】
実施例42:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−3,8−ジオキソ−2−フェニル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−4−イソキノリンカルボキサミド
【化31】
実施例41で製造した化合物(6.3mg)および実施例2で製造した化合物(6.6mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(4.0mg)を得た。
TLC:Rf 0.62 (酢酸エチル:メタノール=19:1);
1H-NMR (CDCl
3):δ 2.10-2.20, 2.67, 3.59, 4.06, 6.45, 7.38-7.45, 7.60-7.52, 8.26, 8.42, 8.51, 8.54, 11.53。
【0185】
実施例42(1):N−{4−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−3−フルオロフェニル}−3,8−ジオキソ−2−フェニル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−4−イソキノリンカルボキサミド
実施例41で製造した化合物および実施例2で製造した化合物の代わりに相当するキノリン誘導体を用いて、実施例42と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物を得た。
TLC:Rf 0.30 (酢酸エチル);
1H-NMR (CDCl
3):δ 2.05-2.25, 2.67, 3.66, 4.05, 4.06, 6.37-6.47, 7.14-7.24, 7.29-7.36, 7.37-7.44, 7.52-7.66, 7.91, 8.49, 8.52, 11.51。
【0186】
実施例43:メチル 2−オキソ−1−[(1S)−1−フェニルエチル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキシラート
メチル 2−オキソピラン−3−カルボキシラート(CAS登録番号:25991-27-9)(8.4g)および(1S)−1−フェニルエチルアミン(7.9g)をDMF(100mL)に溶解させ、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド 塩酸塩(14g)およびN,N−ジメチルピリジン−4−アミン(0.67g)を加えて、室温で16時間撹拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮することで、下記物性値を有する標題化合物を含む粗生成物(14g)を得た。
TLC:Rf 0.20 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.73, 3.93, 6.18, 6.53, 7.22-7.41, 8.11。
【0187】
実施例44:2−オキソ−1−[(1S)−1−フェニルエチル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
実施例43で製造した化合物(14g)を用いて、実施例12と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(13g)を得た。
TLC:Rf 0.05 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H-NMR (DMSO-d
6):δ 1.78, 6.24, 6.74, 7.26-7.46, 8.24, 8.38, 14.56。
【0188】
実施例45:5−ヨード−2−オキソ−1−[(1S)−1−フェニルエチル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
実施例44で製造した化合物(3.0g)をジクロロメタン(12mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(12mL)およびN−ヨードコハク酸イミド(3.3g)を加えて、室温で12時間撹拌した。反応溶液に水を加えて、ジクロロメタンで抽出し、得られた有機層をチオ硫酸ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=70:30→50:50)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(3.5mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.94分);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.80, 6.40, 7.32, 7.37-7.47, 7.62, 8.60, 14.14。
【0189】
実施例46:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−5−ヨード−2−オキソ−1−[(1S)−1−フェニルエチル]−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
実施例45で製造した化合物(2.0g)および実施例2で製造した化合物(1.6mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(3.5g)を得た。
TLC:Rf 0.67 (酢酸エチル);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.80, 4.06, 6.47, 6.50, 7.33-7.46, 7.58, 8.32, 8.47, 8.52, 8.70, 12.55。
【0190】
実施例47:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−[(1S)−1−フェニルエチル]−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
実施例46で製造した化合物(100mg)をエタノール(4mL)に溶解させ、10%パラジウム−炭素(20mg)を加えて、水素雰囲気下、室温で3時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=70:30→0:100)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(30mg)を得た。
TLC:Rf 0.42 (酢酸エチル);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.81, 4.07, 6.44, 6.48, 6.59, 7.34-7.47, 7.57, 7.58, 8.33, 8.50, 8.52, 8.59, 12.77。
【0191】
実施例48:エチル 3−アニリノ−3−オキソプロパノアート
300mLの3径ナスフラスコにアニリン(3.1g)、4−ジメチルアミノピリジン(0.61g)、トリエチルアミン(5.1mL)、ジクロロメタン(25mL)を加えた後、氷浴下においてエチルマロニルクロライド(5.0g)のジクロロメタン(25mL)溶液を20分かけて滴下した。そのまま30分間撹拌した後、水を加え、ジクロロメタンを減圧留去した。残渣を酢酸エチルで抽出した後、1N塩酸、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:3→1:1)で精製し、下記物性値を有する標題化合物(5.8g)を得た。
TLC:Rf 0.50 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.32, 3.47, 4.26, 7.13, 7.35, 7.55, 9.22。
【0192】
実施例49:6−メチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボン酸
200mLのナスフラスコに実施例48で製造した化合物(5.8g)、(E)−4−メトキシ−3−ブテン−2−オン(3.1g)、20% ナトリウムエトキサイドのエタノール溶液(11.4g)、メタノール(30mL)を加えた。16時間加熱還流した後、室温まで放冷し、溶媒を減圧留去した。続いて得られた残渣に2N水酸化ナトリウム水溶液(30mL)、メタノール(30mL)を加えて室温で23時間撹拌させた。反応液に水を加え、酢酸エチルで洗浄した後、5N塩酸で水層をpH=3〜4とした。析出した粉末をろ取、乾燥することで下記物性値を有する標題化合物(3.0g)を得た。
TLC:Rf 0.60 (酢酸エチル:メタノール=9:1);
1H-NMR (DMSO-d
6):δ 2.15, 6.54, 7.24, 7.63, 8.51, 14.0。
【0193】
実施例50:メチル 6−メチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキシラート
200mLのナスフラスコに実施例49で製造した化合物(2.9g)、メタノール(29mL)、酢酸エチル(29mL)、トリメチルシリルジアゾメタンを加えた。溶媒を減圧留去することで下記物性値を有する標題化合物(2.9g)を得た。
TLC:Rf 0.34 (酢酸エチル);
1H-NMR (CDCl
3):δ 2.04, 3.88, 6.22, 7.18, 7.50, 8.20。
【0194】
実施例51:メチル 5−ブロモ−6−(ブロモメチル)−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキシラート
100mLのナスフラスコに実施例50で製造した化合物(2g)、N−ブロモスクシンイミド(3.1g)、過酸化ベンゾイル(40mg)、四塩化炭素(36mL)を加えて80℃で6時間加熱した。室温に戻した後、反応液から沈殿物を除去し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を少量の酢酸エチル、ヘキサンで洗浄することで下記物性値を有する標題化合物(2.9g)を得た。
TLC:Rf 0.29 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H-NMR (CDCl
3):δ 3.89, 4.14, 7.29, 7.54, 8.33。
【0195】
実施例52:メチル 6−[(ビス{[(2−メチル−2−プロパニル)オキシ]カルボニル}アミノ)メチル]−5−ブロモ−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキシラート
100mLのナスフラスコに実施例51で製造した化合物(2.5g)、ジ−tert−ブチル イミドジカルボナート(Boc
2NH)(1.6g)、炭酸カリウム(1.7g)、DMF(30mL)を加えた。室温で4時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水の順で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:3→1:1)で精製し、下記物性値を有する標題化合物(2.9g)を得た。
TLC:Rf 0.40 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.40, 3.88, 4.67, 7.20, 7.47, 8.34。
【0196】
実施例53:6−[(ビス{[(2−メチル−2−プロパニル)オキシ]カルボニル}アミノ)メチル]−5−ブロモ−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボン酸
100mLのナスフラスコに実施例52で製造した化合物(2.9g)、2N水酸化ナトリウム水溶液(14mL)、メタノール(14mL)を加えて30分間撹拌させた。反応液に1N塩酸を加え析出した粉末をろ取、乾燥することで下記物性値を有する標題化合物(2.3g)を得た。
TLC:Rf 0.57 (酢酸エチル);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.42, 4.69, 7.26, 7.59, 8.67 ,13.77。
【0197】
実施例54:ビス(2−メチル−2−プロパニル) {[3−ブロモ−5−({5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}カルバモイル)−6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロ−2−ピリジニル]メチル}イミドジカーボナート
実施例53で製造した化合物(530mg)および実施例2で製造した化合物(300mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(770mg)を得た。
TLC:Rf 0.54 (酢酸エチル);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.43, 4.07, 4.73, 6.51, 7.28, 7.48, 7.50-7.60, 8.23, 8.47, 8.50, 8.78, 12.25。
【0198】
実施例55:6−(アミノメチル)−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
実施例54で製造した化合物(100mg)をエタノール(2mL)に溶解させ、10%パラジウム−炭素(100mg)および1mol/L塩酸(0.6mL)を加えて、水素雰囲気下、60℃で3時間撹拌した。原料の消失を確認後、反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をメタノール(2mL)に溶解させ、1mol/L塩酸−ジオキサン(0.6mL)を加えて、さらに1時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、得られた残渣をプレパラティブ精製(シリカゲルMerck 5744、ジクロロメタン:メタノール:28%アンモニア水=15:1:0.1)することで、下記の物性値を有する標題化合物(47mg)を得た。
TLC:Rf 0.56 (ジクロロメタン:メタノール:アンモニア水=9:1:0.1);
1H-NMR (CDCl
3):δ 3.51, 4.05, 6.45, 6.82, 7.25, 7.43, 7.52-7.63, 8.22, 8.47, 8.50, 8.74, 12.36。
【0199】
実施例56:6−[(2−ブチノイルアミノ)メチル]−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
実施例55で製造した化合物(45mg)を用いて、実施例36と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(38mg)を得た。
TLC:Rf 0.62 (酢酸エチル:メタノール=9:1);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.98, 4.05, 4.08, 6.06, 6.45, 6.60, 7.30, 7.42, 7.52-7.65, 8.22, 8.44, 8.49, 8.68, 12.27。
【0200】
実施例57:N−{5−[(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)オキシ]ピリジン−2−イル}−5−ヨード−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド
実施例3で製造した化合物(1.4g)を用いて、実施例45と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(1.3g)を得た。
TLC:Rf 0.50(ヘキサン:酢酸エチル=4:1);
1H-NMR (DMSO-d
6):δ 3.90-3.95, 6.54, 7.40、7.51-7.56, 7.85, 8.36, 8.39, 8.44, 8.48, 8.63, 12.30。
【0201】
実施例58:2−メチル−2−プロパニル {3−[5−({5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}カルバモイル)−6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロ−3−ピリジニル]−2−プロピン−1−イル}カーバマート
実施例57で製造した化合物(500mg)のN,N−ジメチルホルムアミド(5.0mL)溶液に、N−Boc−プロパルギルアミン(220mg)、ヨウ化銅(I)(13mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(81mg)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(360μL)を加え、アルゴン雰囲気下で一晩撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=40:60→20:80)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(430mg)を得た。
TLC:Rf 0.32 (ヘキサン:酢酸エチル=1:4);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.47, 4.05, 4.10-4.16, 4.71-4.83, 6.45, 7.37-7.44, 7.50-7.59, 7.81, 8.25, 8.50, 8.70, 12.25。
【0202】
実施例59:2−メチル−2−プロパニル {3−[5−({5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}カルバモイル)−6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロ−3−ピリジニル]プロピル}カーバマート
実施例58で製造した化合物(200mg)を用いて、実施例47と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(200mg)を得た。
TLC:Rf 0.11 (ヘキサン:酢酸エチル=1:4);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.44, 1.68-1.93, 2.57, 3.20, 4.06, 4.54-4.65, 6.49, 7.41-7.60, 8.26, 8.47-8.52, 8.63, 12.58。
【0203】
実施例60:5−(3−アミノプロピル)−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
実施例59で製造した化合物(200mg)を用いて、実施例25と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(150mg)を得た。
TLC:Rf 0.11 (酢酸エチル,NHシリカ);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.75-1.88, 2.67, 2.77-2.85, 4.05, 6.46, 7.38-7.59, 8.25, 8.46, 8.50, 8.64, 12.57。
【0204】
実施例61:5−[3−(2−ブチノイルアミノ)プロピル]−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
実施例60で製造した化合物(89mg)を用いて、実施例36と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(44mg)を得た。
TLC:Rf 0.68 (酢酸エチル:メタノール=9:1);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.85-2.0, 2.50-2.65, 3.34-3.42, 4.05, 5.75-5.87, 6.46, 7.42-7.61, 8.25, 8.46, 8.50, 8.62, 12.56。
【0205】
実施例62:エチル 2,5−ジオキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−クロメン−3−カルボキシラート
室温において1,3−シクロヘキサンジオン(CAS登録番号:504-02-9)(13g)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(200mL)に溶解し、tert−ブトキシカリウム(13g)、エチル (E)−2−シアノ−3−エトキシ−2−プロペノエート(CAS登録番号:94-05-3)(20g)を加え、21時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、2Nの塩酸水溶液を加え撹拌した。さらに酢酸エチル、水を加え有機層を抽出した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、下記物性値を有する標題化合物(24g)を得た。
TLC:Rf 0.35 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.37, 2.19, 2.61, 2.92, 4.36, 8.63。
【0206】
実施例63:2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボン酸
室温において実施例62で製造した化合物(10.00g)をエタノール(200mL)に溶解し、アニリン(3.94g)を加え、6時間撹拌した。反応液中から析出した固体を桐山ロートでろ取、エタノールで洗浄し、得られた残渣を60℃で減圧乾燥した。下記物性値を有する標題化合物(4.01g)を得た。
TLC:Rf 0.37 (ジクロロメタン:メタノール=9:1);
1H-NMR (CDCl
3):δ 2.11, 2.60, 7.25, 7.63, 9.21。
【0207】
実施例64:(5E)−5−(ヒドロキシイミノ)−4−メチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボン酸
実施例63で製造した化合物(140mg)と、ヒドロキシルアミン塩酸塩(210mg)のピリジン溶液(1.0mL)を1時間加熱還流した。室温に冷却後、反応液を酢酸エチルで希釈し、1mol/L塩酸で洗浄した。得られた有機層を濃縮し、下記物性値を有する標題化合物(150mg)を得た。
TLC:Rf 0.42 (ジクロロメタン:メタノール=9:1);
1H-NMR (DMSO-d
6):δ 1.63-1.81, 2.26-2.36, 2.60, 7.38-7.46, 7.51-7.68, 8.90, 11.30, 14.03。
【0208】
実施例65:N−{(5E)−5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−5−(ヒドロキシイミノ)−2−オキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド
実施例64で製造した化合物(65mg)と、実施例2で製造した化合物(50mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(59mg)を得た。
TLC: 0.15 (酢酸エチル、NHシリカ);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.77-1.94, 2.38, 2.77, 4.05, 6.46, 7.20-7.25, 7.43, 7.50-7.65, 7.99-8.07, 8.22, 8.48, 8.52, 9.33, 12.23。
【0209】
実施例66:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−2,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[3,2−c]アゼピン−3−カルボキサミド
【化32】
実施例65で製造した化合物(30mg)のジクロロメタン溶液(1.0mL)にトリエチルアミン(9μL)、ジメチルアミノピリジン(0.6mg)およびパラトルエンスルホニルクロライド(13mg)を加えて室温で3時間撹拌した。反応液をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、溶媒を留去した。得られた残渣に50%トリフルオロ酢酸−ジクロロメタン溶液(2mL)を加えて70℃のオイルバスで16時間加熱撹拌した。反応液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロマトレックスDNH,酢酸エチル:メタノール 1:0→20:1)で精製し、下記物性値を有する標題化合物(12mg)を得た。
TLC:Rf 0.45 (酢酸エチル:メタノール=10:1,DNHシリカ);
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.85-2.02, 2.68, 3.23-3.43, 6.23-6.34, 6.44, 7.20-7.25, 7.42, 7.53, 7.55-7.69, 8.21, 8.43-8.52, 9.01, 12.06。
【0210】
実施例67:ジエチル(4−ブロモ−2−ニトロベンジリデン)プロパンジオアート
4−ブロモ−2−ニトロベンズアルデヒド(CAS登録番号:5551-12-2)(2.0mg)を無水酢酸(40mL)に溶解させ、マロン酸ジエチル(1.4g)および炭酸カリウム(1.8g)を加えて、80℃で4時間撹拌した。反応溶液を室温まで放冷し、氷冷水にあけ、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮することで、標題化合物を含む粗生成物(3.2g)を得、精製することなく次の反応に用いた。
【0211】
実施例68:エチル 7−ブロモ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボキシラート
実施例67で製造した粗生成物(2.8g)を酢酸(24mL)に溶解させ、鉄粉(4.2g)を加えて、80℃で4時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をtert−ブチルメチルエーテルで洗浄することで、下記物性値を有する標題化合物(1.2g)を得た。
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.45, 4.45, 7.34-7.41, 7.48-7.56, 8.50, 10.94。
【0212】
実施例69:エチル 7−ブロモ−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボキシラート
ジクロロメタン(200mL)に実施例68で製造した化合物(1.2g)、フェニルホウ酸(1.0g)、ジアセトキシ銅(II)(1.5g)、ピリジン(4.0mL)および4Åモレキュラーシーブスを加えて、酸素雰囲気下、室温で64時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し不溶固体を除去した後、ジクロロメタン(200mL)を加えて希釈し、有機層を水洗した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮により溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 70:30)で精製し、下記物性値を有する標題化合物(0.88g)を得た.
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.40, 4.41, 6.79-6.82, 7.24-7.25, 7.27-7.29, 7.32-7.38, 7.51-7.66, 8.48。
【0213】
実施例70:エチル 7−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボキシラート
1,4−ジオキサン(30mL)に実施例69で製造した化合物(800mg)、tert−ブチルカーバメート(380mg)、炭酸セシウム(2.1g)および4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(150mg)を加えて、窒素置換後、酢酸パラジウム(19mg)を加えて、封管中100℃で3時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、減圧濃縮で溶媒を留去することで、下記物性値を有する標題化合物(880mg)を得た。
1H-NMR (CDCl
3):δ 1.38, 1.43, 4.39, 6.38, 6.66, 7.22-7.25, 7.45-7.65, 8.50。
【0214】
実施例71:7−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸
実施例70で製造した化合物(880mg)を用いて、実施例12と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(650mg)を得た。
1H-NMR (DMSO-d
6):δ 1.39, 6.96, 7.38-7.45, 7.52-7.72, 8.00-8.05, 8.94, 9.89, 14.24。
【0215】
実施例72:ジ−tert−ブチル [3−({5−[(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)オキシ]ピリジン−2−イル}カルバモイル)−2−オキソ−1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−7−イル]イミドジカーボナート
実施例71で製造した化合物(100mg)と、実施例2で製造した化合物(140mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(190mg)を得た。
MS (M+H):660
【0216】
実施例73:7−アミノ−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−キノリンカルボキサミド
【化33】
実施例72で製造した化合物(190mg)を用いて、実施例25と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(150mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.75分);
1H-NMR (CDCl
3):δ 4.05, 4.26, 5.80, 6.46, 6.63, 7.30-7.42, 7.54, 7.54-7.66, 8.23, 8.48-8.50, 8.95, 12.44。
【0217】
実施例73(1)〜73(2)
実施例2で製造した化合物の代わりに相当するキノリン誘導体、および実施例71で製造した化合物を用いて、実施例3→実施例73と同様の目的の操作に付すことにより、下記の実施例化合物を得た。
実施例73(1):7−アミノ−N−{5−[(7−メトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−キノリンカルボキサミド
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.78分);
1H-NMR (CDCl
3):δ 4.01, 4.23, 5.80, 6.54, 6.62, 7.53-7.67, 7.54-7.67, 8.22, 8.29, 8.54, 8.69, 8.95, 12.50。
実施例73(2):7−アミノ−2−オキソ−1−フェニル−N−[5−(4−キノリニルオキシ)−2−ピリジニル]−1,2−ジヒドロ−3−キノリンカルボキサミド
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.76分);
1H-NMR (CDCl
3):δ 4.23, 5.80, 6.55, 6.63, 7.30-7.34, 7.53-7.68, 7.74-7.80, 8.10, 8.23, 8.36, 8.51, 8.69, 8.96, 12.45。
【0218】
[実験例]
以下に生物学的実験例を示し、これらの実験方法に基づいて、本発明化合物の効果を確認した。
【0219】
生物学的実験例1:Axl阻害活性の測定(in vitro試験)
Axl酵素阻害活性の測定は、LanthaScreen(登録商標)system(Invitrogen社)により、添付の説明書に準じて実施した。使用した試薬を以下に示した。
反応緩衝液:50mmol/L HEPES(pH7.5)、0.01%Brij35、10mmol/L MgCl
2及び1mmol/L EGTAを含む溶液を、精製水を用いて調製した。
被験物質溶液:各濃度の被験化合物のDMSO溶液を反応緩衝液にて20倍希釈し、最終濃度の5倍濃度の被験化合物を含む溶液を調製した。
酵素液:400ng/mL Axl酵素を含む溶液を、反応緩衝液を用いて調製した。
基質液:45μmmol/L ATP及び500nmmol/L Fluorescein−Poly GT(Invitrogen社)を含む溶液を、反応緩衝液を用いて調製した。
検出液:20mM EDTA及び4nM PY20(Invitrogen社)を含む溶液をDilution B(Invitrogen社)を用いて調製した。
【0220】
96ウェルプレート(Nunc社)に10mmol/Lの被験化合物のDMSO溶液を分注し、さらにDMSOで3倍公比の希釈系列を調製した。測定用の96ウェルプレートの各ウェルに、Blank群及び媒体群にはDMSOを含む反応緩衝液を、被験物質群には被験物質溶液を5μLずつ添加した。次に、Blank群には反応緩衝液を、媒体群及び被験化合物群には酵素液を各ウェル10μLずつ添加後、室温にて10分間撹拌した。撹拌終了後、基質液を各ウェルに10μLずつ添加し、室温・遮光下にて1時間撹拌した。反応終了後、各ウェルに検出液を25μLずつ添加し、室温・遮光下にて30分間静置した。静置後、Analyst GT(Molecular Devices社)を用いて励起光340nmを照射した時の520nm及び495nmの蛍光強度を測定し、人工基質のリン酸化を時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR−FRET)により定量化した。ウェル毎に520nm蛍光シグナルを495nm蛍光シグナルで除算してTR−FRET比を算出し、以下の式により被験化合物群での阻害率(%)を算出した。
【数1】
【0221】
被験化合物の50%阻害率の値(IC50値)は、被験化合物の各濃度における阻害率に基づく阻害曲線から算出した。
【0222】
その結果、本発明化合物において、例えば、実施例21、実施例42、実施例66、実施例73、実施例28および実施例36の化合物のIC50値は、それぞれ0.0015μM、0.0035μM、0.0015μM、0.004μM、0.0013μMおよび0.0015μMであった。
【0223】
一方、比較化合物として、下記構造を有する特許文献3記載の化合物2(比較化合物A)のAxl阻害活性を測定したところ、そのIC50値は10μMより大きかった。
【化34】
【0224】
比較化合物A
生物学的実施例2:Axlを安定発現したマウスプロB細胞株(Ba/F3 Axl)を
用いた増殖抑制率の測定
96ウェルプレートに0.1mmol/Lの被験化合物のDMSO溶液を分注し、さらにDMSOで3倍公比の希釈系列を調製した。各濃度の被験化合物のDMSO溶液をRPMI1640培地(10%HI−FBS、1%ペニシリン含有)でさらに500倍希釈して最終濃度の500倍濃度の被験化合物を含む被験化合物希釈溶液を調製した。測定用の96ウェルプレート(BD Bioscience社)の各ウェルに、Blank群にはRPMI培地を、媒体群には0.2%DMSOを含むRPMI培地を、被験化合物群には被験化合物希釈溶液をそれぞれ50μLずつ添加した。Ba/F3 Axlを、2×10
5細胞数/mLの密度になるよう培地で希釈し、細胞懸濁液を調製した。測定用の96ウェルプレートの各ウェルに、Blank群にはRPMI培地を、媒体群及び被験化合物群には細胞懸濁液をそれぞれ50μLずつ添加し、37℃、5%CO
2で48時間静置した。静置終了後、CELLTITER−GLO(登録商標)LUMINESCENT CELL VIABILITY ASSAY(Promega社)を使用して相対発光単位(RLU;Relative Light Unit)を測定した。測定は添付の説明書に準じて実施した。各ウェルに100μLの発光液を添加し室温にて3分間プレートを撹拌後、室温・遮光下にて10分間静置し、マイクロプレートリーダー(SpectraMax M5e、Molecular Devices社)を用いてRLUを測定した。Blank群及び媒体群のRLUの平均値を算出し、以下の式で被験化合物群の増殖抑制率を算出した。
【数2】
【0225】
被験化合物の50%阻害率の値(IC50値)は、被験化合物の各濃度における阻害率に基づく阻害曲線から算出した。
【0226】
その結果、本発明化合物において、例えば、実施例21、実施例42、実施例66、実施例73、実施例28および実施例36の化合物のIC50値は、それぞれ0.00096μM、0.0042μM、0.0057μM、0.00076μM、0.00099μMおよび0.00047μMであった。
【0227】
一方、比較化合物AのIC50値は、>10μMであった。
【0228】
生物学的実施例3:キナーゼ選択性の評価(in vitro試験)
生物学的実施例1と同様に、被験化合物のKDRキナーゼに対する50%阻害率の値(IC50値)を測定した。被験化合物のKDRに対するAxl選択的な阻害活性は、上記IC50値の比に基づいて算出し、以下の表1に示す通りであった。被験化合物として、本発明化合物は実施例21、実施例42、実施例66、および実施例28を用い、比較化合物は下記構造を有する特許文献5記載の実施例74の化合物(比較化合物B)、および実施例92(比較化合物C)の化合物を用いた。
【化35】
【化36】
【表1】
【0229】
その結果、本発明化合物は、比較化合物と比較してKDRに対するAxl選択的な阻害作用を有することがわかった。KDRは、血管内皮増殖因子受容体2型(VEGF Receptor 2)とも呼ばれるキナーゼであり、KDRを阻害すると血圧が上昇する副作用が生じる可能性があることが知られている(Hypertension、第39巻、1095−1100ページ、2002年)。したがって、本発明化合物は、比較化合物で懸念される副作用、例えば、高血圧を回避できる優れた化合物であることが示唆された。
【0230】
生物学的実施例4:薬物代謝酵素の阻害活性測定(ヒトCYP2C8阻害作用)
反応は384ウェルプレート上にて行った。陽性対照物質(CYP2C8:クェルセチン)は最終濃度の300倍の濃度にDMSOで調整し(CYP2C8:22.5および225μmol/L)、2.7%のアセトニトリルを含む精製水で75倍希釈した溶液を準備した(CYP2C8:0.3および3μmol/L)。被験化合物はDMSOで0.3および3mmol/Lに調製後、2.7%アセトニトリルを含む精製水で75倍希釈し、4および40μmol/Lに調製した。次にリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)、塩化マグネシウム(5mol/L)、基質(CYP2C8:Luciferin−ME、150μmol/L)および大腸菌発現系肝ミクロソームのCYP2C8(Cypex、30pmol/L)を加えた反応混合液を調製した(数値は最終濃度)。この反応混合液8μLと前述で準備した被験化合物および陽性対照物質溶液を各ウェルに4μL、NADPH産生系溶液(5.2mM NADP、13.2mM グルコース6リン酸、1.6 U/mL グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ)を4μL加えて反応を開始し、37℃で30分間インキュベーションを行った。その後、ルシフェラーゼ溶液 16μLを添加して反応停止とともにルシフェリンを発光させ、反応液の発光強度を測定した。阻害率は被験化合物溶液の代わりにDMSOを添加して反応をおこなったコントロールと比較した時の発光強度の減少率(阻害率)とし、以下の式により算出した。
【数3】
IC50値は、1μmol/Lで阻害率が50%以上の時は<1μM、10μmol/Lで阻害率が50%以下の場合は>10μMとし、その間(1μmol/Lで50%以下かつ10μmol/Lで50%以上の場合)については以下の式により算出した。
【数4】
【0231】
ただし、a、bは、1μmol/Lの濃度と阻害率および10μmol/Lの濃度と阻害率の2点を通る線形回帰直線y=ax+bの傾きと切片とした。
【0232】
上記の測定方法で、本発明化合物のIC50値を測定した。
【0233】
その結果、本発明化合物では、例えば、実施例21、実施例42の化合物は、CYP2C8のIC50値がいずれも>10μMであった。したがって、本発明化合物はCYP阻害作用が低いことがわかった。
【0234】
[製剤例]
製剤例1
以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中に10mgの活性成分を含有する錠剤1万錠を得た。
・N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−3,8−ジオキソ−2−フェニル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−4−イソキノリンカルボキサミド…100g
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) … 20g
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) … 10g
・微結晶セルロース … 870g
【0235】
製剤例2
以下の各成分を常法により混合した後、除塵フィルターでろ過し、5mlずつアンプルに充填し、オートクレーブで加熱滅菌して、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル1万本を得た。
・N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−3,8−ジオキソ−2−フェニル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−4−イソキノリンカルボキサミド…200g
・マンニトール … 20g
・蒸留水 … 50L