特許第6708130号(P6708130)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708130
(24)【登録日】2020年5月25日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】キノリン誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 401/14 20060101AFI20200601BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200601BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20200601BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20200601BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20200601BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20200601BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20200601BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20200601BHJP
   C07D 471/04 20060101ALI20200601BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20200601BHJP
   A61K 31/4725 20060101ALI20200601BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   C07D401/14CSP
   A61P43/00 111
   A61P35/00
   A61P13/12
   A61P37/02
   A61P35/02
   A61P35/04
   A61P9/00
   C07D471/04 113
   C07D471/04 121
   A61K31/4709
   A61K31/4725
   A61K31/55
【請求項の数】12
【全頁数】55
(21)【出願番号】特願2016-566451(P2016-566451)
(86)(22)【出願日】2015年12月24日
(86)【国際出願番号】JP2015086050
(87)【国際公開番号】WO2016104617
(87)【国際公開日】20160630
【審査請求日】2018年12月14日
(31)【優先権主張番号】特願2014-262146(P2014-262146)
(32)【優先日】2014年12月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000185983
【氏名又は名称】小野薬品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100077517
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 敬
(74)【代理人】
【識別番号】100087871
【弁理士】
【氏名又は名称】福本 積
(74)【代理人】
【識別番号】100087413
【弁理士】
【氏名又は名称】古賀 哲次
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100164563
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 貴英
(72)【発明者】
【氏名】犬飼 隆之
(72)【発明者】
【氏名】竹内 淳
(72)【発明者】
【氏名】康廣 とも子
【審査官】 三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2009−537632(JP,A)
【文献】 特表2009−539878(JP,A)
【文献】 国際公開第2007/033196(WO,A1)
【文献】 特表2008−539275(JP,A)
【文献】 特開2010−178651(JP,A)
【文献】 ZHANG,W. et al,Discovery of novel type II c-Met inhibitors based on BMS-777607,European Journal of Medicinal Chemistry,2014年 6月,Vol.80,pp.254-266
【文献】 LOVERING,F. et al,Identification of type-II inhibitors using kinase structures,Chemical Biology & Drug Design,2012年,Vol.80, No.5,pp.657-664
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D201/00−521/00
A61K 31/33− 33/44
A61P 1/00− 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
【化1】
[式中
3は(1)C1〜4アルキル基、(2)ハロゲン原子、(3)C1〜4ハロアルキル基、または(4)−OR31基を表し、
4は(1)C1〜4アルコキシ基、(2)C1〜4ハロアルキル基、(3)−OR41基、(4)C1〜4アルキル基、(5)C2〜4アルケニルオキシ基、または(6)C2〜4アルキニルオキシ基を表し、
31は(1)水素原子、(2)C1〜4アルキル基、または(3)C1〜4ハロアルキル基を表し、
41は、(1)水素原子、(2)(a)(i)C1〜4アルキル基、(ii)C1〜4ハロアルキル基、および(iii)ハロゲン原子からなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい5〜7員の環状基、(b)NR401402、(c)水酸基、および(d)SO2403基からなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されたC1〜8アルキル基、(3)(a)(i)C1〜4アルキル基、(ii)C1〜4ハロアルキル基、および(iii)ハロゲン原子からなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい5〜7員の環状基、(b)NR401402、(c)水酸基、および(d)SO2403基からなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されたC2〜8アルケニル基、または(4)(a)(i)C1〜4アルキル基、(ii)C1〜4ハロアルキル基、および(iii)ハロゲン原子からなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい5〜7員の環状基、(b)NR401402、(c)水酸基、および(d)SO2403基からなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されたC2〜8アルキニル基を表し、
401およびR402はそれぞれ独立して、(1)水素原子、または(2)C1〜4アルキル基を表し、
403は(1)水素原子、または(2)C1〜4アルキル基を表し、

【化2】
で示される環は、式
【化3】
を表し、
1は(1)1〜5個のR11で置換されていてもよいC1〜8アルキル基、(2)1〜5個のR12で置換されていてもよいC3〜7の炭素環、または(3)1〜5個のR13で置換されていてもよい4〜7員のヘテロ環を表し、
ここで、R1で表されるC1〜8アルキル基が分枝鎖アルキル基の場合、同一の炭素原子から分枝したC1〜3アルキル基は一緒になってC3〜7の飽和炭素環を形成してもよく、
11は(1)−OR101基、(2)SO2102基、(3)NR103104基、または(4)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC3〜7の炭素環を表し、
12は(1)アミノ基で置換されていてもよいC1〜4アルキル基、(2)C1〜4ハロアルキル基、(3)ハロゲン原子を表し、
13は(1)アミノ基で置換されていてもよいC1〜4アルキル基、(2)C1〜4ハロアルキル基、(3)ハロゲン原子を表し、
101は(1)水素原子、または(2)C1〜4アルキル基を表し、
102は(1)水素原子、または(2)C1〜4アルキル基を表し、
103およびR104はそれぞれ独立して、(1)水素原子、または(2)C1〜4アルキル基を表し、
20は(1)C1〜4アルキル基、(2)ハロゲン原子、(3)C1〜4ハロアルキル基、(4)オキソ基、(5)−OR201基、(6)COOR205基、(7)NR206207基、または(8)COR208基を表し、ここで、2個のR20がC1〜3アルキル基を表し、かつ同一の炭素原子上にあるとき、当該R20は一緒になってC3〜7の飽和炭素環を形成してもよく、
pは0〜3の整数を表し、pが2以上のとき、複数のR20は同じでも異なっていてもよく、窒素原子にR20が置換しないときは−NH−を表し、
201は(1)水素原子、または(2)C1〜4アルキル基を表し
205は(1)水素原子、または(2)C1〜4アルキル基を表し、
206およびR207はそれぞれ独立して、(1)水素原子、または(2)C1〜4アルキル基を表し、
208は(1)水素原子、(2)C1〜4アルキル基、(3)C2〜4アルケニル基、または(4)C2〜4アルキニル基を表し
は(1)CH、または(2)窒素原子を表し、
Lは(1)−O−、(2)−NH−、(3)−C(O)−、(4)−CR67−、(5)−S−、(6)−S(O)−、または(7)−S(O)2−を表し、
6およびR7はそれぞれ独立して、(1)水素原子、(2)ハロゲン原子、(3)C1〜4アルキル基、(4)水酸基、または(5)NH2を表し、
ring1は5〜7員の環状基を表し、
11、R12、R13または20、いずれも複数のとき、同じでも異なっていてもよく
は0〜3の整数を表し、
qは0〜4の整数を表し
が2以上のとき、複数のR3は同じでも異なっていてもよく、
qが2以上のとき、複数のR4は同じでも異なっていてもよい。]
で示される化合物、その塩、その溶媒和物、またはそのN−オキシド体。
【請求項2】
ring1がベンゼン、またはピリジンである請求項記載の化合物。
【請求項3】
Lが(1)−O−、(2)−NH−、または(3)−C(O)−である請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
2)N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−3,8−ジオキソ−2−フェニル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−4−イソキノリンカルボキサミド、(3)N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−2,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[3,2−c]アゼピン−3−カルボキサミド、(4)7−アミノ−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−キノリンカルボキサミド、(5)N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−1,7−ナフチリジン−3−カルボキサミド、または(6)7−(2−ブチノイル)−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,7−ナフチリジン−3−カルボキサミドである請求項1記載の化合物。
【請求項5】
5−アセチル−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−6−メチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド、その塩、その溶媒和物、またはそのN−オキシド体。
【請求項6】
請求項1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、またはそのN−オキシド体を含有してなる医薬組成物。
【請求項7】
Axl阻害剤である請求項記載の医薬組成物。
【請求項8】
癌、腎臓疾患、免疫系疾患、および循環器系疾患からなる群から選択されるAxl関連疾患の予防および/または治療剤である請求項記載の医薬組成物。
【請求項9】
癌が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、メラノーマ、乳癌、膵臓癌、神経膠腫、食道腺癌、大腸癌、腎細胞癌、甲状腺癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、胃癌、肝癌、ブドウ膜悪性黒色腫、卵巣癌、子宮内膜癌、リンパ腫、頭頸部癌、または肉腫である請求項記載の医薬組成物。
【請求項10】
癌細胞の転移抑制剤である請求項記載の医薬組成物。
【請求項11】
癌、腎臓疾患、免疫系疾患、および循環器系疾患からなる群から選択されるAxl関連疾患の予防および/または治療のための請求項1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、またはそのN−オキシド。
【請求項12】
癌、腎臓疾患、免疫系疾患、および循環器系疾患からなる群から選択されるAxl関連疾患の予防および/または治療剤を製造するための請求項1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、またはそのN−オキシドの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般式(I)
【化1】
(式中、すべての記号は後記と同じ意味を表す。)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体、またはそれらのプロドラッグ(以下、本発明化合物と略記することがある。)に関する。
【背景技術】
【0002】
Axl(別名:UFO、ARK、Tyro7)は、腫瘍細胞からクローニングされたTAMファミリー(Axl、MerおよびTyro3)に属する受容体型チロシンキナーゼである。細胞増殖停止時に特異的に発現する遺伝子としてクローニングされたGas6(growth-arrest-specific protein 6)が、Axlのリガンドとして知られている。Gas6の結合により活性化されたAxlは、リン酸化を介してシグナルを伝達する。そのシグナルは、Erk1/2経路やPI3K/Akt経路を活性化するため、Axlの活性化は、癌、免疫系疾患、循環器系疾患等の病態に関与することが知られている(非特許文献1参照)。
【0003】
特に、Axlと各種癌との関連はよく知られており、例えば、Axlの発現が、乳癌の転移や予後に関与していること(非特許文献2参照)、Axlが急性骨髄性白血病(AML; acute myeloid leukemia)の病態に関与していること(非特許文献3参照)等が知られている。したがって、Axlの活性化を阻害する化合物は、各種癌、免疫系疾患、循環器系疾患の治療に有用であると考えられる。
【0004】
ところで、本発明化合物の先行技術として、一般式(A)
【化2】
(式中、XAは−CR12AまたはNを表し;BAはO、S、−SO等を表し;AAは−CRdAまたはNを表し;DAは−CReAまたはNを表し;各R1Aは、独立して水素原子、ハロゲン、シアノ等を表し;R3aAは水素原子、アルキル、アリール等を表し;R6AおよびR7Aは独立して、水素原子、ハロゲン、−OR13A等を表し;R13Aは水素原子、アルキル等を表す(但し、各基の定義は抜粋した。)。)で示される化合物が、c−Met阻害剤であることが知られている(特許文献1参照)。
【0005】
また、一般式(B)
【化3】
(式中、XBは酸素原子または硫黄原子;YBおよびZBは独立してCHまたはNを表し;R1Bは水素原子、ハロゲン原子、シアノ等を表し;R2Bは水素原子、ハロゲン原子等を表し、R3BおよびR4Bは独立して水素原子、ハロゲン原子、OR11B等を表し、R5Bは水素原子、OR11B等を表し、R6Bは水素原子、ハロゲン原子等で置換されていてもよい直鎖、分岐鎖、または環状C1−6アルキル基等を表し、R11Bは直鎖、分岐鎖、または環状C1−6アルキル基等を表す(但し、各基の定義は抜粋した。)。)で示される化合物が、c−Met阻害剤であることが知られている(特許文献2参照)。
【0006】
一方、キノリン骨格を有する、式(C)
【化4】
で示される化合物が、ASK1阻害活性を有し、筋委縮性側索硬化症(ALS)の予防および/または治療剤として知られている(特許文献3参照)。
【0007】
さらに、一般式(D)
【化5】
(式中、RD
【化6】
等を表し;TDはフェニル等を表し;ZDはNまたはCR7Dを表し;WDは置換または非置換のフェニル、置換または非置換の6員の窒素含有ヘテロアリール等を表し;XDはO、S、S(=O)等を表し;YDは−NRaDC(=O)−(CR3D4Dp−等を表し;RaDは、水素原子、アルキル基等を表し;R1D
【化7】
等を表し;J2DはOまたはCR4aD4aDを表し;QDは1〜5員の飽和された、または部分的に不飽和なアルキル鎖等を表し;R1Dは置換されていてもよいフェニルまたは置換されていてもよい5〜6員のヘテロ環と縮合してもよい;R3DおよびR4Dはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル、アリール基等を表し;R4aDは存在しないか、水素原子、ハロゲン原子等を表す(但し、各基の定義は抜粋した。)。)で示される化合物が、c−Met阻害剤であることが知られている(特許文献4参照)。
【0008】
また、一般式(E)
【化8】
(式中、R1E、R2EおよびR4Eは、独立してH、F、Cl、Br、I、CN、OR10E、C1−C12アルキル等を表し;LEはC3−C12炭素環、C6−C20アリール等を表し;R5Eは、−C(=YE)R13E、−C(=YE)R10E13E、−NR10EC(=YE)R13E等を表し;R10Eは、H、C1−C12アルキル、C3−C12炭素環、C2−C20ヘテロ環等を表し;R13Eは、H、C1−C6アルキル等を表し;YEはOまたはSを表す(但し、各基の定義は抜粋した。)。)で示される化合物が、c−Met阻害剤であることが知られている(特許文献5参照)。
【0009】
一般式(I)で示される本発明化合物がAxl阻害活性を有することは、いずれの先行技術文献にも記載も示唆もされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2007/033196号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2008/048375号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2012/011548号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2006/116713号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2007/146824号パンフレット
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】クリニカル・サイエンス(Clinical Science)、第122巻、361−368ページ、2012年
【非特許文献2】プロシーディングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシズ・オブ・ザ・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ(Proceedings of the national academy of sciences of the United States of America)、第107巻、第3号、1124−1129ページ、2010年
【非特許文献3】ブラッド(Blood)、第121巻、2064−2073ページ、2013年
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の課題は、AML等の癌の治療に有用な、Axl阻害活性を有する化合物を見出し、医薬品として提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、前記課題を解決するため、Axlを強く阻害する化合物を見出すべく鋭意検討した結果、驚くべきことに、本発明化合物が、強力なAxl阻害活性を有することを見出し、本発明を完成させた。
【0014】
すなわち、本発明は、
[1] 一般式(I)
【化9】
[式中、R1は(1)1〜5個のR11で置換されていてもよいC1〜8アルキル基、(2)1〜5個のR12で置換されていてもよいC3〜7の炭素環、または(3)1〜5個のR13で置換されていてもよい4〜7員のヘテロ環を表し、
ここで、R1で表されるC1〜8アルキル基が分枝鎖アルキル基の場合、同一の炭素原子から分枝したC1〜3アルキル基は一緒になってC3〜7の飽和炭素環を形成してもよく、
2は(1)1〜5個のR21で置換されていてもよいC1〜8アルキル基、(2)1〜5個のR22で置換されていてもよいC2〜8アルケニル基、(3)1〜5個のR23で置換されていてもよいC2〜8アルキニル基、(4)−OR24基、(5)1〜5個のR25で置換されていてもよいC3〜7の炭素環、(6)1〜5個のR26で置換されていてもよい4〜7員のヘテロ環、(7)ハロゲン原子、(8)C(O)R27基、または(9)C(O)NR2829基を表し、
ここで、mが2以上であり、R2が隣り合う炭素原子上にあり、かつR2がアミノ基で置換されていてもよいC1〜3アルキル基、またはアミノ基で置換されていてもよいC2〜3アルケニル基を表すとき、隣り合う炭素原子に結合するR2は当該炭素原子と一緒になって、1〜3個のR20で置換されていてもよい5〜7員の環状基を形成してもよく、このとき、R1がC1〜3アルキル基を表すとき、当該複数のR2によって形成された5〜7員の環状基上の原子と一緒になって、さらに5〜7員の環状基を形成してもよく、
3は(1)C1〜4アルキル基、(2)ハロゲン原子、(3)C1〜4ハロアルキル基、または(4)−OR31基を表し、
4は(1)C1〜4アルコキシ基、(2)C1〜4ハロアルキル基、(3)−OR41基、(4)C1〜4アルキル基、(5)C2〜4アルケニルオキシ基、または(6)C2〜4アルキニルオキシ基を表し、
11は(1)−OR101基、(2)SO2102基、(3)NR103104基、または(4)1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよいC3〜7の炭素環を表し、
12は(1)アミノ基で置換されていてもよいC1〜4アルキル基、(2)C1〜4ハロアルキル基、(3)ハロゲン原子を表し、
13は(1)アミノ基で置換されていてもよいC1〜4アルキル基、(2)C1〜4ハロアルキル基、(3)ハロゲン原子を表し、
101は(1)水素原子、または(2)C1〜4アルキル基を表し、
102は(1)水素原子、または(2)C1〜4アルキル基を表し、
103およびR104はそれぞれ独立して、(1)水素原子、または(2)C1〜4アルキル基を表し、
20は(1)C1〜4アルキル基、(2)ハロゲン原子、(3)C1〜4ハロアルキル基、(4)オキソ基、(5)−OR201基、(6)COOR205基、(7)NR206207基、または(8)COR208基を表し、ここで、2個のR20がC1〜3アルキル基を表し、かつ同一の炭素原子上にあるとき、当該R20は一緒になってC3〜7の飽和炭素環を形成してもよく、
21、R22、およびR23はそれぞれ独立して、(1)ハロゲン原子、(2)−OR202基、または(3)NR203204基を表し、
24は(1)水素原子、(2)C1〜4アルキル基、または(3)4〜10員のヘテロ環を表し、
25およびR26はそれぞれ独立して、(1)C1〜4アルキル基、または(2)ハロゲン原子を表し、
27は(1)水素原子、(2)C1〜4アルキル基、または(3)C3〜7の炭素環を表し、
28およびR29はそれぞれ独立して、(1)水素原子、(2)C1〜4アルキル基、または(3)C3〜7の炭素環を表し、
201は(1)水素原子、または(2)C1〜4アルキル基を表し、
202は(1)水素原子、または(2)C1〜4アルキル基を表し、
203およびR204はそれぞれ独立して、(1)水素原子、(2)C1〜4アルキル基、(3)C(O)R210基、または(4)COOR217基を表し、
205は(1)水素原子、または(2)C1〜4アルキル基を表し、
206およびR207はそれぞれ独立して、(1)水素原子、または(2)C1〜4アルキル基を表し、
208は(1)水素原子、(2)C1〜4アルキル基、(3)C2〜4アルケニル基、または(4)C2〜4アルキニル基を表し、
210は(1)NR211212またはシアノ基で置換されていてもよいC1〜4アルキル基、(2)NR213214またはシアノ基で置換されていてもよいC2〜4アルケニル基、または(3)NR215216またはシアノ基で置換されていてもよいC2〜4アルキニル基を表し、
211、R212、R213、R214、R215、R216およびR217はそれぞれ独立して、(1)水素原子、または(2)C1〜4アルキル基を表し、
31は(1)水素原子、(2)C1〜4アルキル基、または(3)C1〜4ハロアルキル基を表し、
41は、(1)水素原子、(2)(a)(i)C1〜4アルキル基、(ii)C1〜4ハロアルキル基、および(iii)ハロゲン原子からなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい5〜7員の環状基、(b)NR401402、(c)水酸基、および(d)SO2403基からなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されたC1〜8アルキル基、(3)(a)(i)C1〜4アルキル基、(ii)C1〜4ハロアルキル基、および(iii)ハロゲン原子からなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい5〜7員の環状基、(b)NR401402、(c)水酸基、および(d)SO2403基からなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されたC2〜8アルケニル基、または(4)(a)(i)C1〜4アルキル基、(ii)C1〜4ハロアルキル基、および(iii)ハロゲン原子からなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよい5〜7員の環状基、(b)NR401402、(c)水酸基、および(d)SO2403基からなる群から選択される1〜2個の置換基で置換されたC2〜8アルキニル基を表し、
401およびR402はそれぞれ独立して、(1)水素原子、または(2)C1〜4アルキル基を表し、
403は(1)水素原子、または(2)C1〜4アルキル基を表し、
Aは(1)CH、または(2)窒素原子を表し、
Lは(1)−O−、(2)−NH−、(3)−C(O)−、(4)−CR67−、(5)−S−、(6)−S(O)−、または(7)−S(O)2−を表し、
6およびR7はそれぞれ独立して、(1)水素原子、(2)ハロゲン原子、(3)C1〜4アルキル基、(4)水酸基、または(5)NH2を表し、
ring1は5〜7員の環状基を表し、
11、R12、R13、R20、R21、R22、R23、R25、またはR26は、いずれも複数のとき、同じでも異なっていてもよく、
mは0〜3の整数を表し、
nは0〜3の整数を表し、
qは0〜4の整数を表し、
mが2以上のとき、複数のR2は同じでも異なっていてもよく、
nが2以上のとき、複数のR3は同じでも異なっていてもよく、
qが2以上のとき、複数のR4は同じでも異なっていてもよく、
ただし、式
【化10】
で示される環は、式
【化11】
(式中、
【化12】
は一重結合または二重結合を表し、R5は(1)水素原子、(2)C1〜4アルキル基、(3)ハロゲン原子、(4)C1〜4ハロアルキル基、または(5)−OR51基を表し、R51は(1)水素原子、または(2)C1〜4アルキル基を表し、pは0〜3の整数を表し、pが2以上のとき、複数のR20は同じでも異なっていてもよく、rは0〜2の整数を表す。)で示される環を表さない。]で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体、またはそれらのプロドラッグ、
[2] R2が(1)1〜5個のR21で置換されていてもよいC1〜8アルキル基、(2)1〜5個のR22で置換されていてもよいC2〜8アルケニル基、(3)1〜5個のR23で置換されていてもよいC2〜8アルキニル基、(4)ハロゲン原子、または(5)C(O)R27基である前記[1]記載の化合物、
[3] 一般式(I)中、式
【化13】
で示される環が、式
【化14】
[式中、pは0〜3の整数を表し、pが2以上のとき、複数のR20は同じでも異なっていてもよく、窒素原子にR20が置換しないときは−NH−を表し、その他の記号は前記[1]記載と同じ意味を表す。]で示される環である前記[1]記載の化合物、
[4] ring1がベンゼン、またはピリジンである前記[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物、
[5] Lが(1)−O−、(2)−NH−、または(3)−C(O)−である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の化合物、
[6] (1)5−アセチル−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−6−メチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド、(2)N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−3,8−ジオキソ−2−フェニル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−4−イソキノリンカルボキサミド、(3)N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−2,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[3,2−c]アゼピン−3−カルボキサミド、(4)7−アミノ−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−キノリンカルボキサミド、(5)N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−1,7−ナフチリジン−3−カルボキサミド、または(6)7−(2−ブチノイル)−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,7−ナフチリジン−3−カルボキサミドである前記[1]記載の化合物、
[7] 前記[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド体、またはそれらのプロドラッグを含有してなる医薬組成物、
[8] Axl阻害剤である前記[7]記載の医薬組成物、
[9] Axl関連疾患の予防および/または治療剤である前記[7]記載の医薬組成物、
[10] Axl関連疾患が、癌、腎臓疾患、免疫系疾患、または循環器系疾患である前記[9]記載の医薬組成物、
[11] 癌が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、メラノーマ、乳癌、膵臓癌、神経膠腫、食道腺癌、大腸癌、腎細胞癌、甲状腺癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、胃癌、肝癌、ブドウ膜悪性黒色腫、卵巣癌、子宮内膜癌、リンパ腫、頭頸部癌、または肉腫である前記[10]記載の医薬組成物、
[12] 癌細胞の転移抑制剤である前記[7]記載の医薬組成物、
[13] 前記[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド、またはそれらのプロドラッグの有効量を哺乳動物に投与することを特徴とする、Axl関連疾患の予防および/または治療方法、
[14] Axl関連疾患の予防および/または治療のための前記[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド、またはそれらのプロドラッグ、および
[15] Axl関連疾患の予防および/または治療剤を製造するための前記[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、そのN−オキシド、またはそれらのプロドラッグの使用等に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明化合物は、強力なAxl阻害活性を有し、かつ特定のキナーゼに対するAxl選択的な阻害活性を有することに加え、CYP阻害作用も低下していることから、副作用が少なく、薬物相互作用の懸念が小さい急性骨髄性白血病等の治療薬として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明において、ハロゲン原子とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を意味する。
【0018】
本発明において、C1〜8アルキル基とは、直鎖状または分枝鎖状のC1〜8アルキル基が含まれ、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、およびそれらの異性体が挙げられる。
【0019】
本発明において、C1〜4アルキル基とは、直鎖状または分枝鎖状のC1〜4アルキル基が含まれ、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル基が挙げられる。
【0020】
本発明において、C1〜3アルキル基とは、直鎖状または分枝鎖状のC1〜3アルキル基が含まれ、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル基が挙げられる。
【0021】
本発明において、C1〜4ハロアルキル基とは、例えば、フルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、ヨードメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1−フルオロエチル基、2−フルオロエチル基、2−クロロエチル基、ペンタフルオロエチル基、1−フルオロプロピル基、2−クロロプロピル基、3−フルオロプロピル基、3−クロロプロピル基、4,4,4−トリフルオロブチル基、4−ブロモブチル基を意味する。
【0022】
本発明において、C2〜8アルケニル基とは、例えば、ビニル、プロぺニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル基、およびそれらの異性体等を意味する。
【0023】
本発明において、C2〜4アルケニル基とは、直鎖状または分枝鎖状のC2〜4アルケニル基が含まれ、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、およびそれらの異性体が挙げられる。
【0024】
本発明において、C2〜3アルケニル基とは、直鎖状または分枝鎖状のC2〜3アルケニル基が含まれ、例えば、エテニル、プロペニル、およびそれらの異性体が挙げられる。
【0025】
本発明において、C2〜8のアルキニル基とは、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、ヘプチニル、オクチニル基、およびそれらの異性体等を意味する。
【0026】
本発明において、C2〜4アルキニル基とは、直鎖状または分枝鎖状のC2〜4アルキニル基が含まれ、例えば、エチニル、プロピニル、ブチニル、およびそれらの異性体が挙げられる。
【0027】
本発明において、C1〜8アルキレン基とは、直鎖状または分枝鎖状のC2〜8アルキレン基が含まれ、例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、ヘキサレン、ヘプタレン、オクタレン、およびそれらの異性体等を意味する。
【0028】
本発明において、C2〜8アルケニレン基とは、エチニレン、プロピニレン、ブテニレン、ペンテニレン、ヘキセニレン、ヘブテニレン、オクテニレン、およびそれらの異性体等を意味する。
【0029】
本発明において、C1〜4アルコキシ基とは、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、またはtert−ブトキシ基が挙げられる。
【0030】
本発明において、C2〜4アルケニルオキシ基とは、例えば、ビニルオキシ、プロペニルオキシ、ブテニルオキシ、およびそれらの異性体等を意味する。
【0031】
本発明において、C2〜4アルキニルオキシ基とは、例えば、エチニルオキシ、プロピニルオキシ、ブチニルオキシ、およびそれらの異性体等を意味する。
【0032】
本発明において、C3〜7の炭素環とは、C3〜7の単環式炭素環、その一部または全部が飽和されていてもよい炭素環を意味し、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロブタジエン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、またはベンゼン環が挙げられる。
【0033】
本発明において、C5〜7の炭素環とは、C5〜7の単環式炭素環、その一部または全部が飽和されていてもよい炭素環を意味し、例えば、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、またはベンゼン環が挙げられる。
【0034】
本発明において、C3〜7の飽和炭素環とは、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンが挙げられる。
【0035】
本発明において、4〜10員のヘテロ環とは、酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む、一部または全部飽和された4〜10員の単環または二環ヘテロ環をいう。例えば、アゼチジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリン、テトラゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピペラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、パーヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、パーヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、パーヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、パーヒドロジアゼピン、オキセタン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、パーヒドロオキセピン、チエタン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、パーヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、ジヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、ジヒドロイソチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、ジヒドロフラザン、テトラヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、テトラヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、ジヒドロチアジン、テトラヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、ジチアン、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アゼピン、ジアゼピン、フラン、ピラン、オキセピン、チオフェン、チオピラン、チエピン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアジアゾール、チアジン、チアジアジン、チアゼピン、チアジアゼピン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、インダゾール、プリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、インドリン、イソインドリン、ジヒドロベンゾフラン、パーヒドロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラン、パーヒドロイソベンゾフラン、ジヒドロベンゾチオフェン、パーヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイソベンゾチオフェン、パーヒドロイソベンゾチオフェン、ジヒドロインダゾール、パーヒドロインダゾール、ジヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、ジオキサインダン、ベンゾジチオラン、ジチアナフタレン、キノリン、イソキノリン、キノリジン、フタラジン、プテリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、クロメン、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、パーヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、パーヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、パーヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、パーヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、パーヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、パーヒドロキナゾリン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、パーヒドロシンノリン、ベンゾオキサチアン、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ベンゾジオキサン、クロマン、またはベンゾジチアン環が挙げられる。
【0036】
本発明において、4〜7員のヘテロ環とは、酸素原子、窒素原子および硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む、一部または全部飽和された4〜7員の単環ヘテロ環をいう。例えば、アゼチジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリン、テトラゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピペラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、パーヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、パーヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、パーヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、パーヒドロジアゼピン、オキセタン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、パーヒドロオキセピン、チエタン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、パーヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、ジヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、ジヒドロイソチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、ジヒドロフラザン、テトラヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、テトラヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、ジヒドロチアジン、テトラヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、ジチアン、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アゼピン、ジアゼピン、フラン、ピラン、オキセピン、チオフェン、チオピラン、チエピン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアジアゾール、チアジン、チアジアジン、チアゼピン、またはチアジアゼピン環が挙げられる。
【0037】
本発明において、5〜7員の環状基とは、C5〜7の炭素環および5〜7員のヘテロ環を意味する。ここで、C5〜7の炭素環は前記と同じ意味を表し、5〜7員のヘテロ環とは、5〜7員の不飽和ヘテロ環および5〜7員の飽和ヘテロ環を含む。5〜7員のヘテロ環としては、例えば、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリン、テトラゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピペラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、パーヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、パーヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、パーヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、パーヒドロジアゼピン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、パーヒドロオキセピン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、パーヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、ジヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、ジヒドロイソチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、ジヒドロフラザン、テトラヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、テトラヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、ジヒドロチアジン、テトラヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、ジチアン、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アゼピン、ジアゼピン、フラン、ピラン、オキセピン、チオフェン、チオピラン、チエピン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアジアゾール、チアジン、チアジアジン、チアゼピン、またはチアジアゼピン環が挙げられる。
【0038】
本発明において、「R1で表されるC1〜8アルキル基が分枝鎖アルキル基の場合、同一の炭素原子から分枝したC1〜3アルキル基は一緒になってC3〜7の飽和炭素環を形成してもよく」とは、下記一般式(I)の部分構造
【化15】
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表す。)において、例えば、R1が上記式で示されるような分枝アルキル鎖であるとき、同一の炭素原子から当該分枝したアルキル基が、下記式
【化16】
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表す。)で示されるように、結合する炭素原子と一緒になって飽和炭素環を形成することを意味する。
【0039】
本発明において、「R2が隣り合う炭素原子上にあり、かつR2がアミノ基で置換されていてもよいC1〜3アルキル基、またはアミノ基で置換されていてもよいC2〜3アルケニル基を表すとき、隣り合う炭素原子に結合するR2は当該炭素原子と一緒になって、1〜3個のR20で置換されていてもよい5〜7員の環状基を形成してもよく」とは、下記一般式(I)の部分構造
【化17】
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表す。)において、例えば、複数のR2が上記式で示されるようなアルキル基であるとき、隣り合う炭素原子と一緒になって、下記式
【化18】
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表す。)で示されるように、シクロヘキサン環等の5〜7員の環状基を形成することを意味する。
【0040】
本発明において、R1としては、(1)1〜5個のR11で置換されていてもよいC1〜8アルキル基、または(2)1〜5個のR12で置換されていてもよいC3〜7の炭素環が好ましく、ここでC3〜7の炭素環としてはベンゼンが好ましい。
【0041】
本発明において、R2としては、1〜5個のR21で置換されていてもよいC1〜8アルキル基、1〜5個のR22で置換されていてもよいC2〜8アルケニル基、1〜5個のR23で置換されていてもよいC2〜8アルキニル基、ハロゲン原子、またはC(O)R27基が好ましい。
【0042】
本発明において、下記一般式(I)の部分構造である式
【化19】
で示される環として好ましくは、
【化20】
[式中、pは0〜3の整数を表し、pが2以上のとき、複数のR20は同じでも異なっていてもよく、窒素原子にR20が置換しないときは−NH−を表し、その他の記号は前記と同じ意味を表す。]で示される環が挙げられる。
【0043】
本発明において、Lとしては、−O−、−NH−、または−C(O)−であることが好ましく、−O−がより好ましい。
【0044】
本発明において、ring1としては、ベンゼン、またはピリジンが好ましい。
【0045】
本発明において、ring1における2本の結合手は、パラ位に結合することが好ましい。
【0046】
本発明において、好ましい化合物としては、実施例に記載された化合物が好ましく、(1)5−アセチル−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−6−メチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド、(2)N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−3,8−ジオキソ−2−フェニル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−4−イソキノリンカルボキサミド、(3)N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−2,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[3,2−c]アゼピン−3−カルボキサミド、(4)7−アミノ−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−キノリンカルボキサミド、(5)N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−1,7−ナフチリジン−3−カルボキサミド、(6)7−(2−ブチノイル)−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,7−ナフチリジン−3−カルボキサミドがより好ましい。
【0047】
[異性体]
本発明においては、特に指示しない限り異性体はこれをすべて包含する。例えば、アルキル基には直鎖のものおよび分枝鎖のものが含まれる。さらに、二重結合、環、縮合環における幾何異性体(E体、Z体、シス体、トランス体)、不斉炭素原子の存在等による光学異性体(R、S体、α、β配置、エナンチオマー、ジアステレオマー)、旋光性を有する光学活性体(D、L、d、l体)、クロマトグラフ分離による極性体(高極性体、低極性体)、平衡化合物、回転異性体、これらの任意の割合の混合物、ラセミ混合物は、すべて本発明に含まれる。また、本発明においては、互変異性体による異性体をもすべて包含する。
【0048】
また、本発明における光学異性体は、100%純粋なものだけでなく、50%未満のその他の光学異性体が含まれていてもよい。
【0049】
本発明においては、特に断わらない限り、当業者にとって明らかなように記号
【化21】
は紙面の向こう側(すなわちα配置)に結合していることを表し、
【化22】
は紙面の手前側(すなわちβ配置)に結合していることを表し、
【化23】
はα配置、β配置またはそれらの任意の比率の混合物であることを表す。
【0050】
一般式(I)で示される化合物は、公知の方法で相当する塩に変換される。塩は、水溶性のものが好ましい。また、塩は薬学的に許容される塩が好ましい。適当な塩としては、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩、薬学的に許容される有機アミン(テトラメチルアンモニウム、トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩、酸付加物塩(無機酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等)、有機酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩等)等)等が挙げられる。
【0051】
一般式(I)で示される化合物およびその塩は、溶媒和物に変換することもできる。溶媒和物は低毒性かつ水溶性であることが好ましい。適当な溶媒和物としては、例えば、水、アルコール系の溶媒(例えば、エタノール等)との溶媒和物が挙げられる。
【0052】
一般式(I)で示される化合物のN−オキシド体とは、一般式(I)で示される化合物の窒素原子が、酸化されたものを表す。また、一般式(I)で示される化合物のN―オキシド体は、さらに上記のアルカリ(土類)金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、酸付加物塩となっていてもよい。
【0053】
また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは、生体内において酵素や胃酸等による反応により、一般式(I)で示される化合物に変換する化合物をいう。一般式(I)で示される化合物のプロドラッグとしては、一般式(I)で示される化合物が水酸基を有する場合、該水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例えば、本発明化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物等);一般式(I)で示される化合物のカルボキシル基がエステル化、アミド化された化合物(例、一般式(I)で示される化合物のカルボキシル基がエチルエステル化、イソプロピルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物など);等が挙げられる。これらの化合物は公知の方法によって製造することができる。また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは水和物および非水和物のいずれであってもよい。また、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグは、廣川書店1990年刊「医薬品の開発」第7巻「分子設計」163〜198頁に記載されているような、生理的条件で一般式(I)で示される化合物に変化するものであってもよい。さらに、一般式(I)で示される化合物は同位元素(例えば、2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、35S、18F、36Cl、123I、125I等)等で標識されていてもよい。
【0054】
[本発明化合物の製造方法]
本発明化合物は、公知の方法、例えば、Comprehensive Organic Transformations : A Guide to Functional Group Preparations, 2nd Edition (Richard C. Larock, John Wiley & Sons Inc, 1999)に記載された方法、または実施例に示す方法等を適宜改良し、組み合わせて用いることで製造することができる。
【0055】
一般式(I)のうち、Lが酸素原子を表す化合物、すなわち、一般式(I−A)
【化24】
(式中、すべての記号は前記と同じ意味を表す。)で示される化合物は、下記で示される反応工程式1および反応工程式2によって製造することができる。
【化25】
(式中、X1およびX2はそれぞれ独立してハロゲン原子を表し、X1およびX2は同じでも異なっていてもよく、その他の記号は前記と同じ意味を表す。)
【0056】
反応工程式1中、反応1は、一般式(a)で示される化合物と、一般式(II)で示される化合物を用いて、芳香族求核置換反応に付すことにより行うことができる。この芳香族求核置換反応は公知であり、例えば有機溶媒(クロロベンゼン、N,N−ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチル t−ブチル エーテル等)中、触媒(4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)等)の存在下、塩基(水素化ナトリウム等)の存在下または非存在下、0〜200℃で反応させることにより行なわれる。
【0057】
反応工程式1中、反応2は、一般式(b)で示される化合物を用いて、有機溶媒(テトラヒドロフラン等)中、パラジウム触媒(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム錯体等)の存在下、塩基(リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LHMDS)、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド(KHMDS)、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド(NaHMDS)等)の存在下、ホスフィン化合物(2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(S−Phos)、トリ−tert−ブチルホスフィン(P(t−Bu)3)等)の存在下、0〜100℃で反応させ、次に無機酸(塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、リン酸、硝酸等)を加えて、0〜150℃で反応させることにより行なわれる。または、Organic Letters、第3巻、第17号、2729−2732ページ、2001年に記載されたアリールアミンの製法に準じて製造することもできる。
【0058】
反応工程式1中、反応3は、一般式(c)で示される化合物と、一般式(d)で示される化合物を用いて、アミド化反応に付すことにより行うことができる。このアミド化反応は公知であり、例えば、
(1)酸ハライドを用いる方法、
(2)混合酸無水物を用いる方法、
(3)縮合剤を用いる方法等が挙げられる。
【0059】
これらの方法を具体的に説明すると、
(1)酸ハライドを用いる方法は、例えば、カルボン酸を有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中または無溶媒で、酸ハライド化剤(オキザリルクロライド、チオニルクロライド等)と−20℃〜還流温度で反応させ、得られた酸ハライドを塩基(ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等)の存在下、アミンと有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中、0〜40℃の温度で反応させることにより行なわれる。また、得られた酸ハライドを有機溶媒(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)中、アルカリ水溶液(重曹水または水酸化ナトリウム溶液等)を用いて、アミンと0〜40℃で反応させることにより行なうこともできる。
【0060】
(2)混合酸無水物を用いる方法は、例えば、カルボン酸を有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中または無溶媒で、塩基(ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルエチルアミン等)の存在下、酸ハライド(ピバロイルクロライド、トシルクロライド、メシルクロライド等)、または酸誘導体(クロロギ酸エチル、クロロギ酸イソブチル等)と、0〜40℃で反応させ、得られた混合酸無水物を有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中、アミンと0〜40℃で反応させることにより行なわれる。
【0061】
(3)縮合剤を用いる方法は、例えば、カルボン酸とアミンを、有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等)中、または無溶媒で、塩基(ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、ピリジン、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ジメチルアミノピリジン等)の存在下または非存在下、縮合剤(O−(7−アザ−1−ベンゾトリアゾリル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HATU)、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]カルボジイミド(EDC)、1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、2−クロロ−1−メチルピリジニウムヨウ素、1−プロピルホスホン酸環状無水物(PPA)等)を用い、1−ヒドロキシベンズトリアゾール(HOBt)を用いるか用いないで、0〜40℃で反応させることにより行なわれる。
【0062】
これら(1)、(2)および(3)の反応は、いずれも不活性ガス(アルゴン、窒素等)雰囲気下、無水条件で行なうことが望ましい。
【0063】
反応工程式1中、各一般式で示される化合物に保護基が存在する場合、必要に応じて、脱保護反応を行うことができる。この保護基の脱保護反応は公知であり、以下の方法で行うことができる。例えば、(1)アルカリ加水分解による脱保護反応、(2)酸性条件下における脱保護反応、(3)加水素分解による脱保護反応、(4)シリル基の脱保護反応、(5)金属を用いる脱保護反応、(6)金属錯体を用いる脱保護反応等が挙げられる。
【0064】
これらの方法を具体的に説明すると、
(1)アルカリ加水分解による脱保護反応は、例えば有機溶媒(例えば、メタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)中、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物(例えば、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等)または炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)あるいはその水溶液もしくはこれらの混合物を用いて、0〜40℃で行なわれる。
【0065】
(2)酸条件下での脱保護反応は、例えば有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサン、酢酸エチル、メタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、アニソール等)中、有機酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トシル酸等)、または無機酸(例えば、塩酸、硫酸等)もしくはこれらの混合物(例えば、臭化水素/酢酸等)中、2,2,2−トリフルオロエタノールの存在下または非存在下、0〜100℃で行なわれる。
【0066】
(3)加水素分解による脱保護反応は、例えば溶媒(例えば、エーテル系(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等)、アルコール系(例えば、メタノール、エタノール等)、ベンゼン系(例えば、ベンゼン、トルエン等)、ケトン系(例えば、アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系(例えば、アセトニトリル等)、アミド系(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド等)、水、酢酸エチル、酢酸またはそれらの2以上の混合溶媒等)中、触媒(例えば、パラジウム−炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム−炭素、酸化白金、ラネーニッケル等)の存在下、常圧または加圧下の水素雰囲気下またはギ酸アンモニウム存在下、0〜200℃で行なわれる。
【0067】
(4)シリル基の脱保護反応は、例えば水と混和しうる有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等)中、テトラブチルアンモニウムフルオライドを用いて、0〜40℃で行なわれる。また、例えば、有機酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トシル酸等)、または無機酸(例えば、塩酸、硫酸等)もしくはこれらの混合物(例えば、臭化水素/酢酸等)中、−10〜100℃で行なわれる。
【0068】
(5)金属を用いる脱保護反応は、例えば酸性溶媒(例えば、酢酸、pH4.2〜7.2の緩衝液またはそれらの溶液とテトラヒドロフラン等の有機溶媒との混合液)中、粉末亜鉛の存在下、必要であれば超音波をかけながら、0〜40℃で行なわれる。
【0069】
(6)金属錯体を用いる脱保護反応は、例えば有機溶媒(例えば、ジクロロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジオキサン、エタノール等)、水またはそれらの混合溶媒中、トラップ試薬(例えば、水素化トリブチルスズ、トリエチルシラン、ジメドン、モルホリン、ジエチルアミン、ピロリジン等)、有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、2−エチルヘキサン酸等)および/または有機酸塩(例えば、2−エチルヘキサン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等)の存在下、ホスフィン系試薬(例えば、トリフェニルホスフィン等)の存在下または非存在下、金属錯体(例えば、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)等)を用いて、0−40℃で行なわれる。
【0070】
また、上記以外にも、例えばT. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley, New York, 1999に記載された方法によって、脱保護反応を行なうことができる。
【0071】
水酸基の保護基としては、例えば、メチル基、トリチル基、メトキシメチル(MOM)基、1−エトキシエチル(EE)基、メトキシエトキシメチル(MEM)基、2−テトラヒドロピラニル(THP)基、トリメチルシリル(TMS)基、トリエチルシリル(TES)基、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、アセチル(Ac)基、ピバロイル基、ベンゾイル基、ベンジル(Bn)基、p−メトキシベンジル基、アリルオキシカルボニル(Alloc)基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(Troc)基等が挙げられる。
【0072】
アミノ基の保護基としては、例えばベンジルオキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル(Alloc)基、1−メチル−1−(4−ビフェニル)エトキシカルボニル(Bpoc)基、トリフルオロアセチル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基、ベンジル(Bn)基、p−メトキシベンジル基、ベンジルオキシメチル(BOM)基、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル(SEM)基等が挙げられる。
【0073】
水酸基、アミノ基の保護基としては、上記した以外にも容易にかつ選択的に脱離できる基であれば特に限定されない。例えば、T. W. Greene, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley, New York, 1999に記載されたものが用いられる。
【0074】
本明細書中の各反応において、出発原料として用いた化合物、例えば、一般式(a)、(d)、または(II)で示される化合物は公知であるか、あるいは公知の方法により容易に製造することができる。
【0075】
本明細書中の各反応において、加熱を伴う反応は、当業者にとって明らかなように、水浴、油浴、砂浴またはマイクロウェーブを用いて行なうことができる。
【0076】
本明細書中の各反応において、適宜、高分子ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール等)に担持させた固相担持試薬を用いてもよい。
【0077】
本明細書中の各反応において、反応生成物は通常の精製手段、例えば、常圧下または減圧下における蒸留、シリカゲルまたはケイ酸マグネシウムを用いた高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、イオン交換樹脂、スカベンジャー樹脂あるいはカラムクロマトグラフィーまたは洗浄、再結晶などの方法により精製することができる。精製は反応ごとに行なってもよいし、いくつかの反応終了後に行なってもよい。
【0078】
[毒性]
本発明化合物の毒性は十分に低いものであり、医薬品として安全に使用することができる。
【0079】
[医薬品への適用]
本発明化合物は、Axl阻害活性を有するので、哺乳動物、特にヒトにおいて、Axl関連疾患の予防および/または治療剤として使用することができる。
【0080】
本発明において、Axl関連疾患としては、例えば、癌、腎臓疾患、免疫系疾患、循環器系疾患が挙げられる。
【0081】
本発明において、癌としては、例えば、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、メラノーマ、乳癌、膵臓癌、神経膠腫、食道腺癌、大腸癌、腎細胞癌、甲状腺癌、非小細胞肺癌、前立腺癌、胃癌、ブドウ膜悪性黒色腫、卵巣癌、子宮内膜癌、リンパ腫、頭頸部癌、肝癌、肉腫が挙げられる。
【0082】
本発明において、腎臓疾患としては、例えば、糸球体腎炎、慢性腎炎、IgA腎炎、続発性(二次性)腎炎、ネフローゼ腎炎、急性腎不全、慢性腎不全、糖尿病性腎症、痛風腎、間質性腎炎、腎盂腎炎が挙げられる。
【0083】
本発明において、免疫系疾患としては、例えば、乾癬、関節リウマチが挙げられる。
【0084】
本発明において、循環器系疾患としては、例えば、アテローム性動脈硬化症、血栓症が挙げられる。
【0085】
また、本発明化合物は、Axl阻害活性を有するので、腫瘍細胞の転移抑制剤としても使用することができる。
【0086】
本発明化合物は、
1)その化合物の予防および/または治療効果の補完および/または増強、
2)その化合物の動態・吸収改善、投与量の低減、および/または
3)その化合物の副作用の軽減のために他の薬物と組み合わせて、併用薬として投与してもよい。
【0087】
本発明化合物と他の薬物の併用薬は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、本発明化合物を先に投与し、他の薬物を後に投与してもよいし、他の薬物を先に投与し、本発明化合物を後に投与してもよい。それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
【0088】
上記併用薬により、予防および/または治療効果を奏する疾患は特に限定されず、本発明化合物の予防および/または治療効果を補完および/または増強する疾患であればよい。
【0089】
本発明化合物の癌に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬物としては、例えば、アルキル化薬、代謝拮抗薬、抗癌性抗生物質、植物性アルカロイド薬、ホルモン薬、白金化合物、抗CD20抗体、抗CD52抗体、G−CSF製剤、急性前骨髄性白血病分化誘導薬、キナーゼ阻害薬、トポイソメラーゼ阻害薬、アロマターゼ阻害薬、その他の抗癌剤が挙げられる。
【0090】
本発明化合物の腎臓疾患に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬物としては、例えば、ステロイド、免疫抑制薬、アンジオテンシンII拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、抗血小板薬、抗凝固薬が挙げられる。
【0091】
本発明化合物の免疫系疾患に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬物としては、例えば、免疫抑制薬、ステロイド、疾患修飾型抗リウマチ薬、プロスタグランジン、プロスタグランジン合成酵素阻害薬、ホスホジエステラーゼ阻害薬、メタロプロテアーゼ阻害薬、抗TNF−α製剤、抗IL−1製剤、抗IL−6製剤等の抗サイトカインタンパク製剤、サイトカイン阻害薬、非ステロイド性抗炎症薬が挙げられる。
【0092】
本発明化合物の循環器系疾患に対する予防および/または治療効果の補完および/または増強のための他の薬物としては、抗血小板薬、アンジオテンシンII拮抗薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、HMG−CoA還元酵素阻害薬、チアゾリジン誘導体が挙げられる。
【0093】
アルキル化薬の例としては、例えば、塩酸ナイトロジェンマスタード−N−オキシド、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン、チオテパ、カルボコン、ブスルファン、塩酸ニムスチン、ダカルバジン、ラニムスチン、カルムスチン、クロラムブシル、ベンダムスチン、メクロエタナミンが挙げられる。
【0094】
代謝拮抗薬の例としては、例えば、メトトレキサート、メルカプトプリン、6−メルカプトプリンリボシド、フルオロウラシル、テガフール、テガフール・ウラシル、カルモフール、ドキシフルリジン、シタラビン、エノシタビン、テガフール・ギメスタット・オタスタットカリウム、塩酸ゲムシタビン、シタラビンオクホスファート、塩酸プロカルバジン、ヒドロキシカルバミド等が挙げられる。
【0095】
抗癌性抗生物質の例としては、例えば、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、塩酸アクラルビシン、ネオカルチノスタチン、塩酸ピラルビシン、(塩酸)エピルビシン、塩酸イダルビシン、クロモマイシンA3、(塩酸)ブレオマイシン、硫酸ペプロマイシン、テラルビシン、ジノスタチン・スチマラマー、ゲムツズマブオゾガマイシン等が挙げられる。
【0096】
植物性製剤の例としては、例えば、硫酸ビンブラスチン、硫酸ビンクリスチン、硫酸ビンデシン、塩酸イリノテカン、エトポシド、フルタミド、酒石酸ビノレルビン、ドセタキセル水和物、パクリタキセル等が挙げられる。
【0097】
ホルモン剤の例としては、例えば、リン酸エストラムスチンナトリウム、メピチオスタン、エピチオスタノール、酢酸ゴセレリン、ホスフェストロール(リン酸ジエチルスチルベストロール)、クエン酸タモキシフェン、クエン酸トレミフェン、塩酸ファドロゾール水和物、酢酸メドロキシプロゲステロン、ビカルタミド、酢酸リュープロレリン、アナストロゾール、アミノグルテチミド、アンドロゲンビカルタミド、フルベストラント等が挙げられる。
【0098】
白金化合物の例としては、例えば、カルボプラチン、シスプラチン、ネダプラチン、オキサリプラチン等が挙げられる。
【0099】
抗CD20抗体の例としては、例えば、リツキシマブ、イブリツモマブ、イブリツモマブチウキセタン、オクレリズマブが挙げられる。
【0100】
抗CD52抗体の例としては、例えば、アレムツズマブが挙げられる。
【0101】
G−CSF製剤の例としては、例えば、ペグフィルグラスチム、フィルグラスチム、レノグラスチム、ナルトグラスチムが挙げられる。
【0102】
急性前骨髄性白血病分化誘導薬としては、例えば、タミバロテン、トレチノイン、三酸化ヒ素製剤が挙げられる。
【0103】
キナーゼ阻害薬の例としては、例えば、EGFR阻害薬であるエルロチニブ塩酸塩、ゲフィチニブ、セツキシマブ、パニツムマブ、HER2阻害薬であるラパチニブ、トラスツズマブ、BCR−ABL阻害薬であるイマチニブ、ダサチニブ、ニロチニブ、マルチキナーゼ阻害薬であるスニチニブ、バンデタニブ、クリゾチニブ、ソラフェニブが挙げられる。
【0104】
トポイソメラーゼ阻害薬の例としては、例えば、トポテカン、テニポシド、イリノテカン、ソブゾキサンが挙げられる。
【0105】
アロマターゼ阻害薬の例としては、例えば、エキセメスタンが挙げられる。
【0106】
その他の抗癌剤の例としては、例えば、L−アスパラギナーゼ、酢酸オクトレオチド、ポルフィマーナトリウム、ミトキサントロン酢酸、アセグラトン、ウベニメクス、エリブリンメシル酸、クラドリビン、クレスチン、ベキサロテン、デニロイキン・ジフチトクス、テモゾロミド、ネララビン、フルダラビン、ベバシズマブ、ペメトレキサド、ペントスタチン、ボルテゾミブ、レナリドミド、ホリナートカルシウムが挙げられる。
【0107】
免疫抑制薬の例としては、例えば、アザチオプリン、アスコマイシン、エベロリムス、サラゾスルファピリジン、シクロスポリン、シクロホスファミド、シロリムス、タクロリムス、ブシラミン、メトトレキサート、レフルノミドが挙げられる。
【0108】
ステロイドの例としては、例えば、アムシノニド、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸プレドニゾロンナトリウム、メチルコハク酸プレドニゾロンナトリウム、シクレソニド、ジフルプレドナート、プロピオン酸ベタメタゾン、デキサメタゾン、デフラザコート、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、ハルシノニド、パルミチン酸デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、ブチル酢酸プレドニゾロン、ブデソニド、硫酸プラステロン、フロ酸モメタゾン、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、フルドロキシコルチド、フルニソリド、プレドニゾロン、プロピロン酸アルクロメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、プロピオン酸デキサメタゾン、プロピオン酸デプロドン、プロピオン酸フルチカゾン、プロピオン酸ベクロメタゾン、ベタメタゾン、メチルプレドニゾロン、メチルプレドニゾロンスレプタネート、メチルプレドニゾロンナトリウムスクシネート、リン酸デキサメタゾンナトリウム、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、リン酸プレドニゾロンナトリウム、吉草酸ジフルコルトロン、吉草酸デキサメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、吉草酸酢酸プレドニゾロン、酢酸コルチゾン、酢酸ジフロラゾン、酢酸デキサメタゾン、酢酸トリアムシノロン、酢酸パラメサゾン、酢酸ハロプレドン、酢酸フルドロコルチゾン、酢酸プレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、酪酸クロベタゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ヒドロコルチゾン、酪酸プロピオン酸ベタメタゾンが挙げられる。
【0109】
アンジオテンシンII拮抗薬としては、例えばロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、イルベサルタン、オルメサルタン、テルミサルタン等が挙げられる。
【0110】
アンジオテンシン変換酵素阻害薬としては、例えばアラセプリル、塩酸イミダプリル、塩酸キナプリル、塩酸テモカプリル、塩酸デラプリル、塩酸ベナゼプリル、カプトプリル、トランドラプリル、ペリンドプリルエルブミン、マレイン酸エナラプリル、リシノプリル等が挙げられる。
【0111】
抗血小板薬の例としては、例えば、ジピリダモール、ジラゼプ塩酸塩水和物が挙げられる。
【0112】
抗凝固薬の例としては、例えば、ワーファリン、ヘパリンが挙げられる。
【0113】
疾患修飾型抗リウマチ薬の例としては、例えば、D−ペニシラミン、アクタリット、オーラノフィン、サラゾスルファピリジン、ヒドロキシクロロキン、ブシラミン、メトトレキサート、レフルノミド、ロベンザリットナトリウム、オーロチオグルコース、マレイン酸オーロチオナトリウムが挙げられる。
【0114】
プロスタグランジン類(以下、PGと略記する。)としては、例えば、PGE1製剤(例:アルプロスタジルアルファデクス、アルプロスタジル等)、PGI2製剤(例:ベラプロストナトリウム等)、PG受容体アゴニスト、PG受容体アンタゴニスト等が挙げられる。PG受容体としては、PGE受容体(EP1、EP2、EP3、EP4)、PGD受容体(DP、CRTH2)、PGF受容体(FP)、PGI2受容体(IP)、TX受容体(TP)等が挙げられる。
【0115】
プロスタグランジン合成酵素阻害薬の例としては、例えば、サラゾスルファピリジン、メサラジン、オルサラジン、4−アミノサリチル酸、JTE−522、オーラノフィン、カルプロフェン、ジフェンピラミド、フルノキサプロフェン、フルビプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ロルノキシカム、ロキソプロフェン、メロキシカム、オキサプロジン、パルサルミド、ピプロキセン、ピロキシカム、ピロキシカムシンナメート、ザルトプロフェン、プラノプロフェンが挙げられる。
【0116】
ホスホジエステラーゼ阻害薬の例としては、例えば、ロリプラム、シロミラスト、Bay19−8004、NIK−616、ロフルミラスト(BY−217)、シパムフィリン(BRL−61063)、アチゾラム(CP−80633)、ONO−6126、SCH−351591、YM−976、V−11294A、PD−168787、D−4396、IC−485が挙げられる。
【0117】
抗TNF−α製剤の例としては、例えば、抗TNF−α抗体、可溶性TNF−α受容体、抗TNF−α受容体抗体、可溶性TNF−α結合タンパク質が挙げられ、特に、インフリマキシブ、エタネルセプトが挙げられる。
【0118】
抗IL−1製剤の例としては、抗IL−1抗体、可溶性IL−1受容体、抗IL−1Raおよび/またはIL−1受容体抗体が挙げられ、特に、アナキンラが挙げられる。
【0119】
抗IL−6製剤の例としては、抗IL−6抗体、可溶性IL−6受容体、抗IL−6受容体抗体が挙げられ、特に、トシリズマブが挙げられる。
【0120】
サイトカイン阻害薬の例としては、例えば、トシル酸スプラタスト、T−614、SR−31747、ソナチモドが挙げられる。
【0121】
HMG−CoA還元酵素阻害薬としては、アトルバスタチン、フルバスタチン、ロバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン等が挙げられる。
【0122】
チアゾリジン誘導体としては、例えば、ピオグリタゾン、シグリタゾン、ロシグリタゾン、トログリタゾンが挙げられる。
【0123】
また、本発明化合物と組み合わせる併用薬としては、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
【0124】
本発明化合物は、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。経口剤としては、例えば、内服用液剤(例えば、エリキシル剤、シロップ剤、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤)、内服用固形剤(例えば、錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、丸剤、カプセル剤(ハードカプセル、ソフトカプセル、ゼラチンカプセル、マイクロカプセルを含む)、散剤、顆粒剤、トローチ剤)等が挙げられる。非経口剤としては、例えば、液剤(例えば、注射剤(皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤、点滴剤等)、点眼剤(例えば、水性点眼剤(水性点眼液、水性懸濁点眼液、粘性点眼液、可溶化点眼液等)、非水性点眼剤(非水性点眼液、非水性懸濁点眼液等))等)、外用剤(例えば、軟膏(眼軟膏等))、点耳剤等が挙げられる。これらの製剤は、速放性製剤、徐放性製剤などの放出制御剤であってもよい。これらの製剤は公知の方法、例えば、日本薬局方に記載の方法等により製造することができる。
【0125】
経口剤としての内服用液剤は、例えば、有効成分を一般的に用いられる希釈剤(例えば、精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化されることにより製造される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
【0126】
経口剤としての内服用固形剤は、例えば、有効成分を賦形剤(例えば、ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(例えば、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合し、常法に従って製剤化される。また、必要によりコーティング剤(例えば、白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。
【0127】
非経口剤としての外用剤は公知の方法または通常使用されている処方により製造される。例えば、軟膏剤は有効成分を基剤に研和、または溶融させて製造される。軟膏基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル(例えば、アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(例えば、ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(例えば、セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(例えば、ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(例えば、親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(例えば、ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(例えば、ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
【0128】
非経口剤としての注射剤には溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含される。注射剤は、例えば有効成分を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
【0129】
本発明化合物、または本発明化合物と他の薬剤の併用剤を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口の形で投与される。投与量は、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、通常、成人一人当たり、一回につき、1ngから1000mgの範囲で一日一回から数回経口投与されるか、または成人一人当たり、一回につき、0.1ngから100mgの範囲で一日一回から数回非経口投与されるか、または一日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。もちろん前記したように、投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて投与の必要な場合もある。
【実施例】
【0130】
以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0131】
クロマトグラフィーによる分離の箇所およびTLCに示されている括弧内の溶媒は、使用した溶出溶媒または展開溶媒を示し、割合は体積比を表す。また、NHシリカの記載は、富士シリシア製CHROMATOREX NH TLC PLATE(カタログ番号;3800003)を使用した旨を表し、DNHシリカの記載は、富士シリシア製CHROMATOREX NH TLC PLATE(カタログ番号;3800403)を使用した旨を表す。
【0132】
LC−MS/ELSDは、下記条件:
{カラム:Waters ACQUITY C18(粒子径:1.7 x 10-6 m;カラム長:30 x 2.1 mm I.D.);流速:1.0mL/min;カラム温度:40℃;移動相(A):0.1%ギ酸水溶液;移動相(B):0.1%ギ酸−アセトニトリル溶液;グラジエント(移動相(A):移動相(B)の比率を記載):[0分]95:5;[0.1分]95:5;[1.2分]5:95;[1.4分]5:95;[1.41分]95:5;[1.5分]95:5;検出器:UV(PDA)、ELSD、MS}
で行った。
【0133】
NMRの箇所に示されているカッコ内は測定に使用した溶媒を示す。
【0134】
本明細書中に用いた化合物名は、一般的にIUPACの規則に準じて命名を行なうコンピュータプログラム、Advanced Chemistry Development社のACD/Name(登録商標)を用いるか、または、IUPAC命名法に準じて命名したものである。
【0135】
実施例1:4−[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]−6,7−ジメトキシキノリン
窒素気流下、2Lの4つ口フラスコに、4−クロロ−6,7−ジメトキシキノリン(39g)(CAS登録番号:35654-56-9)のクロロベンゼン(400mL)溶液、6−クロロピリジン−3−オール(25g)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)(64g)を加え、バス温(140℃)で42時間撹拌した。室温まで放冷した後、水(700mL)、酢酸エチル(1L)を加えて、分液した。水層を酢酸エチル(1L)で再度抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水(500mL)で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:8)で精製し、下記物性値を有する標題化合物(28g)を得た。
TLC:Rf 0.22 (ヘキサン:酢酸エチル=1:3);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 8.52, 8.48, 7.87 - 7.85, 7.66, 7.49, 7.43, 6.65, 3.95, 3.93。
【0136】
実施例2:5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジナミン
窒素気流下、2Lの4つ口フラスコに、実施例1で製造した化合物(28g)のテトラヒドロフラン(THF)(500mL)溶液、1.3mol/Lのリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(LHDMS)(100mL)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム錯体(4.6g)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(4.4g)を加え、バス温(80℃)で2時間撹拌した。さらに6mol/Lの塩酸(250mL)を加え、バス温(80℃)で2時間撹拌した。室温まで放冷後、セライトろ過(酢酸エチル2Lで洗浄)し、飽和重炭酸水素ナトリウム水溶液(2L)を加えて分液した。水層を酢酸エチル(1L)で再度抽出し、合わせた有機層を飽和食塩水 (500mL)で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル→酢酸エチル:メタノール=9:1)で精製し、下記物性値を有する標題化合物(22g)を得た。
TLC:Rf 0.51 (酢酸エチル:メタノール=4:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 8.45, 7.89, 7.51, 7.38 - 7.36, 6.56, 6.42, 6.05, 3.94。
【0137】
実施例3:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
室温において2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(CAS登録番号:868171-81-7)(1.9g)、O−(7−アザ−1−ベンゾトリアゾリル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロホスフェート(HATU)(4.1g)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(50mL)に溶解し、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(2.3g)、実施例2で製造した化合物(2.7g)を加え、21時間撹拌した。反応溶液に水を加え、固体を析出させた。ろ過によって得られた固体をエタノールで洗浄し、減圧乾燥することで、下記物性値を有する標題化合物(3.6g)を得た。
TLC:Rf 0.54 (酢酸エチル:メタノール=9:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 4.05, 6.46, 6.59, 7.41-7.44, 7.51-7.57, 7.68, 8.26, 8.48, 8.51, 8.74, 12.40。
【0138】
実施例3(1)〜3(2)
実施例2で製造した化合物、および2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸の代わりに相当するカルボン酸誘導体を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記の実施例化合物を得た。
実施例3(1):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−5−オキソ−2,3−ジヒドロ−1H,5H−ピリド[3,2,1−ij]キノリン−6−カルボキサミド
TLC:Rf 0.66 (酢酸エチル:メタノール=5:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 2.11, 3.00, 3.94, 4.23, 6.56, 7.32, 7.41, 7.54, 7.60, 7.87-7.94, 8.41-8.50, 9.04, 12.76。
【0139】
実施例3(2):N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−4,6−ジメチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
TLC:Rf 0.64 (酢酸エチル:メタノール=19:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 2.05, 2.81, 4.05, 6.26, 6.43, 7.22, 7.42, 7.49-7.59, 8.21, 8.41, 8.49, 12.50。
【0140】
実施例4:メチル 5−アセチル−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキシラート
5−アセチル−6−メチル−2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸(CAS登録番号:88302-06-1)(450mg)をメタノール(20mL)に溶解させ、0℃で塩化オキサリル(0.43mL)を滴下し、室温で3時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、得られた残渣に飽和炭酸水素ナトリウムを加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮することにより、下記物性値を有する標題化合物(400mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 2.54, 2.79, 3.94, 8.72, 12.34。
【0141】
実施例5:5−アセチル−6−メチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
ジクロロメタン(10mL)に、実施例4で製造した化合物(500mg)、フェニルホウ酸(580mg)、ジアセトキシ銅(II)(870mg)、ピリジン(5.0mL)および4Åモレキュラーシーブス(1.0g)を加えて、酸素雰囲気下、室温で48時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し不溶固体を除去した後、ジクロロメタン(200mL)を加えて希釈し、有機層を水洗した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮により溶媒を留去した。得られた残渣に、THF(20mL)、メタノール(1mL)、(1mL)および水酸化リチウム一水和物(91mg)を加えて室温で16時間撹拌させた。反応液に1mol/L塩酸を加え、有機層をジクロロメタンで抽出し(3×50mL)、硫酸マグネシウムで乾燥させてろ過した後、減圧濃縮することで下記物性値を有する標題化合物(46mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 2.45, 2.64, 7.17-7.20, 7.57-7.64, 8.98, 13.44。
【0142】
実施例6:5−アセチル−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−6−メチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
【化26】
実施例5で製造した化合物(20mg)および実施例2で製造した化合物(20mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(12mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.81分);
1H-NMR (CDCl3):δ 2.45, 2.67, 4.04, 4.05, 6.46, 7.21, 7.42, 7.53-7.64, 8.24, 8.46, 8.51, 9.12, 12.04。
【0143】
実施例7:4−[(6−クロロ−3−ピリジニル)オキシ]−6,7−ジメトキシキナゾリン
アルゴン雰囲気下、4−クロロ−6,7ジメトキシキナゾリン(CAS登録番号: 13790-39-1)(8.0g)、6−クロロピリジン−3−オール(4.6g)のDMSO懸濁液(20mL)にDMAP(4.4g)を加えてバス温(80℃)にて2時間加熱撹拌した。室温まで放冷後、酢酸エチルで反応液を希釈し、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、濃縮し、得られた残渣をヘキサン−酢酸エチル(3:1)で洗浄し、下記物性値を有する標題化合物(9.1g)を得た。
TLC:Rf 0.16 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 3.97, 3.99, 7.41, 7.58, 7.69, 7.97, 8.50, 8.57。
【0144】
実施例8:5−[(6,7−ジメトキシ−4−キナゾリニル)オキシ]−2−ピリジナミン 塩酸塩
アルゴン雰囲気下、実施例7で製造した化合物(1.0g)のTHF溶液(15mL)に1.0mol/LのLHDMS(4.7mL)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)クロロホルム錯体(140mg)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,6’−ジメトキシビフェニル(170mg)を加え、バス温(70℃)で4時間撹拌した。反応液を室温まで放冷後、氷水にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮した。得られた残渣をアセトニトリル(30mL)に懸濁し、2.0mol/Lの塩酸(10mL)を加えて室温で30分撹拌した。反応液中に生じた析出物をろ取し、下記物性値を有する標題化合物(1590mg)を得た。
TLC:Rf 0.16 (酢酸エチル:メタノール=10:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 3.96, 3.99, 4.24, 7.10, 7.42, 7.53, 8.00-8.20, 8.07, 8.20, 8.61。
【0145】
実施例9:5−アセチル−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キナゾリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−6−メチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
【化27】
実施例5で製造した化合物(25mg)および実施例8で製造した化合物(28mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(14mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.95分);
1H-NMR (CDCl3):δ 2.45, 2.68, 4.07, 7.19-7.23, 7.33, 7.54, 7.55-7.65, 7.68, 8.28, 8.48, 8.61, 9.12, 12.02。
【0146】
実施例10:2,2−ジメチルプロピル 5−ブロモ−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキシラート
ジクロロメタン(60mL)に、2,2−ジメチルプロピル 5−ブロモ−2−ヒドロキシピリジン−3−カルボキシラート(2.0g)を用いて、フェニルホウ酸(1.7g)、ジアセトキシ銅(II)(5.2g)、およびピリジン(15mL)を加えて、酸素雰囲気下、室温で16時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し不溶固体を除去した後、ジクロロメタンを加えて希釈し、有機層を水および1mol/L塩酸で洗浄した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮により溶媒を留去し、下記物性値を有する標題化合物(1.5g)を得た。
MS (M+H):364。
【0147】
実施例11:2,2−ジメチルプロピル 5−(3−ヒドロキシ−3−メチルブタ−1−イン−1−イル)−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキシラート
実施例10で製造した化合物(100mg)をアセトニトリル(10mL)に溶解させ、2−メチル−3−ブチン−2−オール(51mg)、トリス(tert−ブチル)ホスフィン(1.0mL)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(32mg)、ヨウ化銅(I)(3.0mg)およびトリエチルアミン(0.2mL)を加えて、70℃で16時間撹拌した。反応溶液を氷水にあけ、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→30:70)によって精製することにより、下記物性値を有する標題化合物(55mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 1.02, 1.58, 4.01, 7.26-7.38, 7.44-7.49, 7.71, 8.14。
【0148】
実施例12:5−(3−ヒドロキシ−3−メチルブタ−1−イン−1−イル)−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
実施例11で製造した化合物(50mg)をメタノール/水の混合溶媒(4:1、3.5mL)、に溶解させ、水酸化リチウム一水和物(4.0mg)を加えて室温で16時間撹拌させた。反応液に1N塩酸を加え、有機層をジクロロメタンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させてろ過した後、減圧濃縮することで下記物性値を有する標題化合物(32mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 1.59, 7.38-7.41, 7.54-7.59, 7.83, 8.60, 13.74。
【0149】
実施例13:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−5−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン−1−イル)−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド トリフルオロ酢酸塩
実施例12で製造した化合物(25mg)および実施例2で製造した化合物(25mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(10mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.77分);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.47, 4.00, 4.02, 6.88, 7.54, 7.55-7.60, 7.70, 7.96, 8.34, 8.45-8.48, 8.72, 12.31。
【0150】
実施例13(1)〜13(2)
実施例2で製造した化合物の代わりに相当するキノリン誘導体、および実施例12で製造した化合物を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記の実施例化合物を得た。
【0151】
実施例13(1):5−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン−1−イル)−N−{5−[(7−メトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.86分);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.60, 2.00, 3.97, 6.43, 7.23, 7.38-7.44, 7.51-7.59, 7.81, 8.20-8.26, 8.46, 8.61, 8.71, 12.24。
【0152】
実施例13(2):5−(3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン−1−イル)−N−{5−[(6−メトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.80分);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.61, 2.02, 3.97, 6.54, 7.39-7.43, 7.51-7.59, 7.81, 8.00, 8.26, 8.47, 8.55, 8.71, 12.25。
【0153】
実施例14:3−ブロモ−1−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−2(1H)−ピリジノン
3−ブロモ−5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2(1H)−オン(1.0g)を用いて、実施例10と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(1.1g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 7.36-7.39, 7.48-7.53, 7.75-7.77, 7.94。
【0154】
実施例15:メチル 2−オキソ−1−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキシラート
実施例14で製造した化合物(250mg)をDMF(8.0mL)及びメタノール(8.0mL)の混合溶媒に溶解させ、反応容器内を窒素雰囲気下、10分間脱気した。酢酸パラジウム(II)(36mg)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(88mg)およびトリエチルアミン(0.33mL)を加えて、一酸化炭素雰囲気下(100psi)、90℃で16時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し不溶固体を除去した後、ジクロロメタンを加えて希釈した。得られた溶液を10%クエン酸水溶液で洗浄し、得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮により溶媒を留去し、下記物性値を有する標題化合物(140mg)を得た。得られた化合物は精製することなく、次の反応に用いた。
1H-NMR (CDCl3):δ 3.93, 7.33-7.41, 7.45-7.58, 7.93-7.97, 8.35。
【0155】
実施例16:2−オキソ−1−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボン酸
実施例15で製造した化合物(100mg)をTHF(2mL)に溶解させ、ナトリウムトリメチルシラノラート(38mg)を加えて、室温で3時間撹拌した。反応溶液をろ過し、得られた沈殿物をTHFで洗浄し、下記物性値を有する標題化合物(45mg)を得た。得られた化合物は精製することなく、次の反応に用いた。
MS (M+H):284。
【0156】
実施例17:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
実施例16で製造した化合物(60mg)および実施例2で製造した化合物(62mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(43mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.84分);
1H-NMR (CDCl3):δ 4.05, 4.06, 6.47, 7.37-7.48, 7.50-7.65, 8.02-8.06, 8.27, 8.47, 8.51, 8.90, 12.08。
【0157】
実施例17(1)〜17(2)
実施例2で製造した化合物の代わりに相当するキノリン誘導体、および実施例16で製造した化合物を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記の実施例化合物を得た。
【0158】
実施例17(1):N−{5−[(7−メトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.93分);
1H-NMR (CD3OD):δ 3.97, 6.44, 7.19-7.25, 7.38-7.50, 7.53-7.67, 8.02-8.06, 8.22, 8.26, 8.47, 8.61, 8.90, 12.08。
【0159】
実施例17(2):N−{5−[(6−メトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−5−(トリフルオロメチル)−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.88分);
1H-NMR (CDCl3):δ 3.96, 6.54, 7.39-7.44, 7.56-7.60, 8.00, 8.02-8.04, 8.27, 8.47, 8.56, 8.89, 12.07。
【0160】
実施例18:メチル 5−(1−エトキシエテニル)−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキシラート
メチル 5−ブロモ−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキシラート(CAS登録番号:381248-02-8)(100mg)、およびトリブチル(1−エトキシビニル)スズ(0.11mL)を1,4−ジオキサン(2mL)に溶解させ、パラジウム(0)テトラキス(トリフェニルホスフィン)(8mg)を加えて、封管中100℃で16時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過した後、ろ液に水を加えて、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を水、次いで飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮することで、下記物性値を有する標題化合物(270mg)を得た。
MS (M+H):300。
【0161】
実施例19:メチル 5−アセチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキシラート
実施例18で製造した化合物(270mg)をTHF(5mL)に溶解させ、2mol/L塩酸(2mL)を加えて、室温で1時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、得られた残渣に水を加えて、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧濃縮することで、下記物性値を有する標題化合物(80mg)を得た。
MS (M+H):272。
【0162】
実施例20:5−アセチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
実施例19で製造した化合物(80mg)をTHF/水の混合溶媒(4:1、5mL)に溶解させ、水酸化リチウム一水和物(62mg)を加えて室温で16時間撹拌させた。反応液に1N塩酸を加え、有機層をジクロロメタンで抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥させてろ過した後、減圧濃縮することで下記物性値を有する標題化合物(50mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 2.59, 7.39-7.42, 7.58-7.62, 8.47, 9.07。
【0163】
実施例21:5−アセチル−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
実施例20で製造した化合物(50mg)および実施例2で製造した化合物(50mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(17.5mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.73分);
1H-NMR (CDCl3):δ 2.60, 4.05, 6.47, 7.53-7.60, 8.27, 8.46, 8.47, 8.49, 8.52, 9.20, 12.00。
【0164】
実施例22:エチル 6−(tert−ブトキシカルボニル)−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキシラート
室温において、tert−ブチル 2,4−ジオキソピペリジン−1−カルボキシラート(CAS登録番号:845267-78-9)(3.0g)をDMFに溶解し、tert−ブトキシカリウム(13g)、エチル (2E)−2−シアノ−3−エトキシプロパ−2−エノアート(CAS登録番号:94-05-3)(2.4g)を加え、21時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、2Nの塩酸水溶液を加え撹拌した。さらに酢酸エチル、水を加え有機層を抽出した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、下記物性値を有する標題化合物(3.5g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 1.19, 1.43, 2.27, 3.62, 4.09, 8.19。
【0165】
実施例23:6−(tert−ブトキシカルボニル)−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボン酸
室温において、実施例22で製造した化合物(66mg)をエタノール(1mL)に溶解し、アニリン(36mg)を加え、50℃で30分撹拌した。反応液中から析出した固体を桐山ロートでろ取、エタノールで洗浄し、得られた残渣を減圧乾燥することで、下記物性値を有する標題化合物(84mg)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.46, 2.62, 3.82, 7.43, 7.56-7.62, 8.74, 13.33。
【0166】
実施例24:2−メチル−2−プロパニル 3−({5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}カルバモイル)−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,5,7,8−テトラヒドロ−1,6−ナフチリジン−6(2H)−カルボキシラート
実施例23で製造した化合物(80mg)、および実施例2で製造した化合物(68mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(46mg)を得た。
TLC:Rf 0.40 (ヘキサン:酢酸エチル=1:2);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.56, 2.67, 3.96, 4.04, 6.43, 7.24-7.27, 7.41, 7.52-7.62, 8.20, 8.46, 8.48, 9.39, 11.90。
【0167】
実施例25:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,6−ナフチリジン−3−カルボキサミド
【化28】
実施例24で製造した化合物(40mg)をジクロロメタン(3mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(1mL)を加えて、室温で20分撹拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和し、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮し、得られた残渣を酢酸エチルで洗浄することで、下記物性値を有する標題化合物(26mg)を得た。
TLC:Rf 0.35 (酢酸エチル,NHシリカ);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 2.25, 2.71, 3.93, 3.94, 6.58, 7.40-7.62, 7.85, 7.96, 8.34, 8.42, 8.50, 8.97, 12.10。
【0168】
実施例26:エチル 3−アニリノ−3−オキソプロパノアート
300mLの3径ナスフラスコにアニリン(3.1g)、DMAP(0.61g)、トリエチルアミン(5.1mL)、ジクロロメタン(25mL)を加えた後、氷浴下においてエチルマロニルクロライド(5.0g)のジクロロメタン(25mL)溶液を20分かけて滴下した。そのまま30分間撹拌した後、水を加え、ジクロロメタンを減圧留去した。残渣を酢酸エチルで抽出した後、1N塩酸、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:3→1:1)で精製し、下記物性値を有する標題化合物(5.8g)を得た。
TLC:Rf 0.50 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.32, 3.47, 4.26, 7.13, 7.35, 7.55, 9.22。
【0169】
実施例27:エチル 2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−1,7−ナフチリジン−3−カルボキシラート
実施例26で製造した化合物(560mg)をトルエン(10mL)に溶解させ、3−ブロモピリジン−4−カルボアルデヒド(500mg)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(120mg)、4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(160mg)および炭酸セシウム(1800mg)を加えて、150℃で1時間撹拌した。反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル)にて精製することにより、下記物性値を有する標題化合物(250mg)を得た。
TLC:Rf 0.23 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.41, 4.43, 7.29-7.33, 7.52-7.65, 8.13, 8.41, 8.47。
【0170】
実施例28:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−1,7−ナフチリジン−3−カルボキサミド
【化29】
実施例27で製造した化合物を実施例12と同様の目的の操作に付すことにより製造した化合物(50mg)、および実施例2で製造した化合物(56mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(84mg)を得た。
TLC:Rf 0.75 (ジクロロメタン:メタノール=9:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 3.98, 3.99, 6.61, 7.45, 7.57, 7.59-7.79, 7.95, 8.03, 8.16, 8.44, 8.50, 8.54, 8.61, 9.26, 12.34。
【0171】
実施例29:7−ベンジル−5,6,7,8−テトラヒドロ−1,7−ナフチリジン−2(1H)−オン
1,7−ナフチリジン−2(1H)−オン(CAS登録番号:54920-82-0)(900mg)にエタノール(20mL)、ベンジルブロマイド(0.8mL)を加え、80℃で18時間加熱撹拌した。0℃に冷却後、水素化ホウ素ナトリウム(1100mg)を加え、10分間0℃にて撹拌後、塩酸を加え90分室温にて撹拌した。水酸化ナトリウムで中和後、酢酸エチルを加え、有機層を抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。その後、得られた固体を酢酸エチルで洗浄することにより、下記物性値を有する標題化合物(900mg)を得た。
1H-NMR (CD3OD):δ 2.66, 2.80, 3.45, 3.75, 6.40, 7.29-7.44。
【0172】
実施例30:5,6,7,8−テトラヒドロ−1,7−ナフチリジン−2(1H)−オン トリフルオロ酢酸塩
実施例29で製造した化合物(800mg)をメタノール(10mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(0.27mL)、パラジウムカーボン(160mg)を加え、水素ガス雰囲気下、室温にて5時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過後、溶媒を減圧留去することにより、下記物性値を有する標題化合物(800mg)を得た。
1H-NMR (CD3OD):δ 2.89, 3.51, 4.21, 6.53, 7.48。
【0173】
実施例31:tert−ブチル 2−オキソ−2,5,6,8−テトラヒドロ−1,7−ナフチリジン−7(1H)−カルボキシラート
実施例30で製造した化合物(800mg)をTHF(10mL)に溶解し、トリエチルアミン(1.3mL)、二炭酸ジ−tert−ブチル(0.85mL)を加え室温にて3時間撹拌した。反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。その後、得られた固体をメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)溶媒で洗浄することにより、下記物性値を有する標題化合物(760mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.70分);
1H-NMR (CD3OD):δ 1.52, 2.61, 3.66, 4.43, 6.42, 7.43。
【0174】
実施例32:tert−ブチル 3−ブロモ−2−オキソ−2,5,6,8−テトラヒドロ−1,7−ナフチリジン−7(1H)−カルボキシラート
実施例31で製造した化合物(490mg)をDMF(5mL)に溶解し、N−ブロモスクシンイミド(360mg)を加え室温にて2時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、水を加え有機層を抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去することにより、下記物性値を有する標題化合物(560mg)を得た。
TLC:Rf 0.17(酢酸エチル:メタノール=10:1);
1H-NMR (CD3OD):δ 1.52, 2.61, 3.65, 4.39, 7.83。
【0175】
実施例33:7−tert−ブチル 3−メチル 2−オキソ−1−フェニル−2,5,6,8−テトラヒドロ−1,7−ナフチリジン−3,7(1H)−ジカルボキシラート
実施例32で製造した化合物(1400mg)を用いて、実施例10→実施例14と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(96mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:1.01分);
TLC:Rf 0.54(ヘキサン:酢酸エチル=1:1)。
【0176】
実施例34:tert−ブチル 3−({5−[(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)オキシ]ピリジン−2−イル}カルバモイル)−2−オキソ−1−フェニル−2,5,6,8−テトラヒドロ−1,7−ナフチリジン−7(1H)−カルボキシラート
実施例33で製造した化合物を実施例12と同様の目的の操作に付すことにより製造した化合物(30mg)および実施例2で製造した化合物(17mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(29mg)を得た。
TLC:Rf 0.83(酢酸エチル:メタノール=10:1,NHシリカ);
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.95分)。
【0177】
実施例35:N−{5−[(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)オキシ]ピリジン−2−イル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,7−ナフチリジン−3−カルボキサミド トリフルオロ酢酸塩
実施例34で製造した化合物(25mg)を用いて、ジクロロメタン(1mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(0.03mL)を加えて、室温で3時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮することで、下記物性値を有する標題化合物(28mg)を得た。
TLC:Rf 0.56(ジクロロメタン:メタノール:28%アンモニア水=9:1:0.1);
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.69分)。
【0178】
実施例36:7−(2−ブチノイル)−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1,7−ナフチリジン−3−カルボキサミド
【化30】
実施例35で製造した化合物(25mg)および2−ブチン酸(3.6mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(8.0mg)を得た。
TLC:Rf 0.42 (酢酸エチル:メタノール=10:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.89 (2.05), 2.82 (2.88), 3.85 (3.99), 4.05, 4.23 (4.37), 6.44, 7.24-7.33, 7.42, 7.52-7.66, 8.23, 8.42-8.54, 12.33 (12.34)(回転異性体の混合物として観測された)。
【0179】
実施例37:3−クロロシクロヘキサ−2−エン−1−オン
氷浴下、シクロヘキサン−1,3−ジオン(CAS登録番号:504−02−9)(5.0g)のジクロロメタン(230mL)溶液に、メタンスルホニルクロリド(3.5mL)および炭酸カリウム(19g)を加え、4時間撹拌した。反応混合物を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶液が150mL程度になるまで減圧濃縮した。得られた溶液に、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド(14g)およびボロントリフルオリド−エチルエーテルコンプレックス(1.1mL)を加え、30分間撹拌した。反応混合物に水を注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=100:0→80:20)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(5.2g)を得た。
TLC:Rf 0.50 (ヘキサン:酢酸エチル=4:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 2.05-2.13, 2.38-2.43, 2.67-2.71, 6.22-6.23。
【0180】
実施例38:2−シアノ−2−(3−オキソシクロヘキサ−1−エン−1−イル)アセタミド
水素化ナトリウム(550mg)のジエチレングリコールジメチルエーテル(5.0mL)溶液に、2−シアノアセトアミド(1.2g)のジエチレングリコールジメチルエーテル(7.0mL)溶液を加え、20分間撹拌した。実施例37で製造した化合物(1.2g)のジエチレングリコールジメチルエーテル(13mL)溶液を加え、反応混合物を8時間撹拌した。反応混合物を塩酸水溶液中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮することにより、以下の物性値を有する標題化合物(900mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.49分)。
【0181】
実施例39:3,8−ジオキソ−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソキノリン−4−カルボニトリル
実施例38で製造した化合物(830mg)のN,N−ジメチルホルムアミド(16mL)溶液に、N,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(740μL)を加え、4時間撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルで洗浄し、ろ取することで、以下の物性値を有する標題化合物(350mg)を得た。
TLC:Rf 0.52(酢酸エチル);
1H-NMR (CD3OD):δ 2.10-2.20, 2.62, 3.08, 8.35。
【0182】
実施例40:3,8−ジオキソ−2−フェニル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソキノリン−4−カルボニトリル
実施例39で製造した化合物(300mg)のジクロロメタン溶液(12mL)に、フェニルボロン酸(780mg)、4Åモレキュラーシーブ(300mg)、酢酸銅(II)(580mg)、ピリジン(520μL)を加え、一晩撹拌した。反応混合物に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=50:50→30:70)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(280mg)を得た。
TLC:Rf 0.76(ヘキサン:酢酸エチル=1:9);
1H-NMR (CDCl3):δ 2.15-2.25, 2.66, 3.14, 7.33-7.39, 7.50-7.56, 8.47。
【0183】
実施例41:3,8−ジオキソ−2−フェニル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロイソキノリン−4−カルボン酸
実施例40で製造した化合物(20mg)に、水(0.1mL)および濃硫酸(0.1mL)を加えた。反応混合物を100℃で一晩撹拌した。反応混合物を水酸化ナトリウム水溶液中に注ぎ入れ、酢酸エチルで洗浄した。水層に塩酸水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムにて乾燥後、減圧濃縮することで、以下の物性値を有する標題化合物(6.3mg)を得た。
TLC:Rf 0.68(1−ブタノール:酢酸:水=4:2:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 2.10-2.17, 2.66, 3.69, 7.30-7.44, 7.50-7.68, 8.55。
【0184】
実施例42:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−3,8−ジオキソ−2−フェニル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−4−イソキノリンカルボキサミド
【化31】
実施例41で製造した化合物(6.3mg)および実施例2で製造した化合物(6.6mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(4.0mg)を得た。
TLC:Rf 0.62 (酢酸エチル:メタノール=19:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 2.10-2.20, 2.67, 3.59, 4.06, 6.45, 7.38-7.45, 7.60-7.52, 8.26, 8.42, 8.51, 8.54, 11.53。
【0185】
実施例42(1):N−{4−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−3−フルオロフェニル}−3,8−ジオキソ−2−フェニル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−4−イソキノリンカルボキサミド
実施例41で製造した化合物および実施例2で製造した化合物の代わりに相当するキノリン誘導体を用いて、実施例42と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物を得た。
TLC:Rf 0.30 (酢酸エチル);
1H-NMR (CDCl3):δ 2.05-2.25, 2.67, 3.66, 4.05, 4.06, 6.37-6.47, 7.14-7.24, 7.29-7.36, 7.37-7.44, 7.52-7.66, 7.91, 8.49, 8.52, 11.51。
【0186】
実施例43:メチル 2−オキソ−1−[(1S)−1−フェニルエチル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキシラート
メチル 2−オキソピラン−3−カルボキシラート(CAS登録番号:25991-27-9)(8.4g)および(1S)−1−フェニルエチルアミン(7.9g)をDMF(100mL)に溶解させ、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド 塩酸塩(14g)およびN,N−ジメチルピリジン−4−アミン(0.67g)を加えて、室温で16時間撹拌した。反応溶液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮することで、下記物性値を有する標題化合物を含む粗生成物(14g)を得た。
TLC:Rf 0.20 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.73, 3.93, 6.18, 6.53, 7.22-7.41, 8.11。
【0187】
実施例44:2−オキソ−1−[(1S)−1−フェニルエチル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
実施例43で製造した化合物(14g)を用いて、実施例12と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(13g)を得た。
TLC:Rf 0.05 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.78, 6.24, 6.74, 7.26-7.46, 8.24, 8.38, 14.56。
【0188】
実施例45:5−ヨード−2−オキソ−1−[(1S)−1−フェニルエチル]−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボン酸
実施例44で製造した化合物(3.0g)をジクロロメタン(12mL)に溶解させ、トリフルオロ酢酸(12mL)およびN−ヨードコハク酸イミド(3.3g)を加えて、室温で12時間撹拌した。反応溶液に水を加えて、ジクロロメタンで抽出し、得られた有機層をチオ硫酸ナトリウムで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=70:30→50:50)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(3.5mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.94分);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.80, 6.40, 7.32, 7.37-7.47, 7.62, 8.60, 14.14。
【0189】
実施例46:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−5−ヨード−2−オキソ−1−[(1S)−1−フェニルエチル]−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
実施例45で製造した化合物(2.0g)および実施例2で製造した化合物(1.6mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(3.5g)を得た。
TLC:Rf 0.67 (酢酸エチル);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.80, 4.06, 6.47, 6.50, 7.33-7.46, 7.58, 8.32, 8.47, 8.52, 8.70, 12.55。
【0190】
実施例47:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−[(1S)−1−フェニルエチル]−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
実施例46で製造した化合物(100mg)をエタノール(4mL)に溶解させ、10%パラジウム−炭素(20mg)を加えて、水素雰囲気下、室温で3時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=70:30→0:100)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(30mg)を得た。
TLC:Rf 0.42 (酢酸エチル);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.81, 4.07, 6.44, 6.48, 6.59, 7.34-7.47, 7.57, 7.58, 8.33, 8.50, 8.52, 8.59, 12.77。
【0191】
実施例48:エチル 3−アニリノ−3−オキソプロパノアート
300mLの3径ナスフラスコにアニリン(3.1g)、4−ジメチルアミノピリジン(0.61g)、トリエチルアミン(5.1mL)、ジクロロメタン(25mL)を加えた後、氷浴下においてエチルマロニルクロライド(5.0g)のジクロロメタン(25mL)溶液を20分かけて滴下した。そのまま30分間撹拌した後、水を加え、ジクロロメタンを減圧留去した。残渣を酢酸エチルで抽出した後、1N塩酸、飽和食塩水の順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:3→1:1)で精製し、下記物性値を有する標題化合物(5.8g)を得た。
TLC:Rf 0.50 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.32, 3.47, 4.26, 7.13, 7.35, 7.55, 9.22。
【0192】
実施例49:6−メチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボン酸
200mLのナスフラスコに実施例48で製造した化合物(5.8g)、(E)−4−メトキシ−3−ブテン−2−オン(3.1g)、20% ナトリウムエトキサイドのエタノール溶液(11.4g)、メタノール(30mL)を加えた。16時間加熱還流した後、室温まで放冷し、溶媒を減圧留去した。続いて得られた残渣に2N水酸化ナトリウム水溶液(30mL)、メタノール(30mL)を加えて室温で23時間撹拌させた。反応液に水を加え、酢酸エチルで洗浄した後、5N塩酸で水層をpH=3〜4とした。析出した粉末をろ取、乾燥することで下記物性値を有する標題化合物(3.0g)を得た。
TLC:Rf 0.60 (酢酸エチル:メタノール=9:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 2.15, 6.54, 7.24, 7.63, 8.51, 14.0。
【0193】
実施例50:メチル 6−メチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキシラート
200mLのナスフラスコに実施例49で製造した化合物(2.9g)、メタノール(29mL)、酢酸エチル(29mL)、トリメチルシリルジアゾメタンを加えた。溶媒を減圧留去することで下記物性値を有する標題化合物(2.9g)を得た。
TLC:Rf 0.34 (酢酸エチル);
1H-NMR (CDCl3):δ 2.04, 3.88, 6.22, 7.18, 7.50, 8.20。
【0194】
実施例51:メチル 5−ブロモ−6−(ブロモメチル)−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキシラート
100mLのナスフラスコに実施例50で製造した化合物(2g)、N−ブロモスクシンイミド(3.1g)、過酸化ベンゾイル(40mg)、四塩化炭素(36mL)を加えて80℃で6時間加熱した。室温に戻した後、反応液から沈殿物を除去し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣を少量の酢酸エチル、ヘキサンで洗浄することで下記物性値を有する標題化合物(2.9g)を得た。
TLC:Rf 0.29 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 3.89, 4.14, 7.29, 7.54, 8.33。
【0195】
実施例52:メチル 6−[(ビス{[(2−メチル−2−プロパニル)オキシ]カルボニル}アミノ)メチル]−5−ブロモ−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキシラート
100mLのナスフラスコに実施例51で製造した化合物(2.5g)、ジ−tert−ブチル イミドジカルボナート(Boc2NH)(1.6g)、炭酸カリウム(1.7g)、DMF(30mL)を加えた。室温で4時間撹拌した後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、水、飽和食塩水の順で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=7:3→1:1)で精製し、下記物性値を有する標題化合物(2.9g)を得た。
TLC:Rf 0.40 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.40, 3.88, 4.67, 7.20, 7.47, 8.34。
【0196】
実施例53:6−[(ビス{[(2−メチル−2−プロパニル)オキシ]カルボニル}アミノ)メチル]−5−ブロモ−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボン酸
100mLのナスフラスコに実施例52で製造した化合物(2.9g)、2N水酸化ナトリウム水溶液(14mL)、メタノール(14mL)を加えて30分間撹拌させた。反応液に1N塩酸を加え析出した粉末をろ取、乾燥することで下記物性値を有する標題化合物(2.3g)を得た。
TLC:Rf 0.57 (酢酸エチル);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.42, 4.69, 7.26, 7.59, 8.67 ,13.77。
【0197】
実施例54:ビス(2−メチル−2−プロパニル) {[3−ブロモ−5−({5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}カルバモイル)−6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロ−2−ピリジニル]メチル}イミドジカーボナート
実施例53で製造した化合物(530mg)および実施例2で製造した化合物(300mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(770mg)を得た。
TLC:Rf 0.54 (酢酸エチル);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.43, 4.07, 4.73, 6.51, 7.28, 7.48, 7.50-7.60, 8.23, 8.47, 8.50, 8.78, 12.25。
【0198】
実施例55:6−(アミノメチル)−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
実施例54で製造した化合物(100mg)をエタノール(2mL)に溶解させ、10%パラジウム−炭素(100mg)および1mol/L塩酸(0.6mL)を加えて、水素雰囲気下、60℃で3時間撹拌した。原料の消失を確認後、反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をメタノール(2mL)に溶解させ、1mol/L塩酸−ジオキサン(0.6mL)を加えて、さらに1時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、得られた残渣をプレパラティブ精製(シリカゲルMerck 5744、ジクロロメタン:メタノール:28%アンモニア水=15:1:0.1)することで、下記の物性値を有する標題化合物(47mg)を得た。
TLC:Rf 0.56 (ジクロロメタン:メタノール:アンモニア水=9:1:0.1);
1H-NMR (CDCl3):δ 3.51, 4.05, 6.45, 6.82, 7.25, 7.43, 7.52-7.63, 8.22, 8.47, 8.50, 8.74, 12.36。
【0199】
実施例56:6−[(2−ブチノイルアミノ)メチル]−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
実施例55で製造した化合物(45mg)を用いて、実施例36と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(38mg)を得た。
TLC:Rf 0.62 (酢酸エチル:メタノール=9:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.98, 4.05, 4.08, 6.06, 6.45, 6.60, 7.30, 7.42, 7.52-7.65, 8.22, 8.44, 8.49, 8.68, 12.27。
【0200】
実施例57:N−{5−[(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)オキシ]ピリジン−2−イル}−5−ヨード−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロピリジン−3−カルボキサミド
実施例3で製造した化合物(1.4g)を用いて、実施例45と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(1.3g)を得た。
TLC:Rf 0.50(ヘキサン:酢酸エチル=4:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 3.90-3.95, 6.54, 7.40、7.51-7.56, 7.85, 8.36, 8.39, 8.44, 8.48, 8.63, 12.30。
【0201】
実施例58:2−メチル−2−プロパニル {3−[5−({5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}カルバモイル)−6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロ−3−ピリジニル]−2−プロピン−1−イル}カーバマート
実施例57で製造した化合物(500mg)のN,N−ジメチルホルムアミド(5.0mL)溶液に、N−Boc−プロパルギルアミン(220mg)、ヨウ化銅(I)(13mg)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(81mg)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(360μL)を加え、アルゴン雰囲気下で一晩撹拌した。反応混合物に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=40:60→20:80)によって精製することにより、以下の物性値を有する標題化合物(430mg)を得た。
TLC:Rf 0.32 (ヘキサン:酢酸エチル=1:4);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.47, 4.05, 4.10-4.16, 4.71-4.83, 6.45, 7.37-7.44, 7.50-7.59, 7.81, 8.25, 8.50, 8.70, 12.25。
【0202】
実施例59:2−メチル−2−プロパニル {3−[5−({5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}カルバモイル)−6−オキソ−1−フェニル−1,6−ジヒドロ−3−ピリジニル]プロピル}カーバマート
実施例58で製造した化合物(200mg)を用いて、実施例47と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(200mg)を得た。
TLC:Rf 0.11 (ヘキサン:酢酸エチル=1:4);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.44, 1.68-1.93, 2.57, 3.20, 4.06, 4.54-4.65, 6.49, 7.41-7.60, 8.26, 8.47-8.52, 8.63, 12.58。
【0203】
実施例60:5−(3−アミノプロピル)−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
実施例59で製造した化合物(200mg)を用いて、実施例25と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(150mg)を得た。
TLC:Rf 0.11 (酢酸エチル,NHシリカ);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.75-1.88, 2.67, 2.77-2.85, 4.05, 6.46, 7.38-7.59, 8.25, 8.46, 8.50, 8.64, 12.57。
【0204】
実施例61:5−[3−(2−ブチノイルアミノ)プロピル]−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−ピリジンカルボキサミド
実施例60で製造した化合物(89mg)を用いて、実施例36と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(44mg)を得た。
TLC:Rf 0.68 (酢酸エチル:メタノール=9:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.85-2.0, 2.50-2.65, 3.34-3.42, 4.05, 5.75-5.87, 6.46, 7.42-7.61, 8.25, 8.46, 8.50, 8.62, 12.56。
【0205】
実施例62:エチル 2,5−ジオキソ−5,6,7,8−テトラヒドロ−2H−クロメン−3−カルボキシラート
室温において1,3−シクロヘキサンジオン(CAS登録番号:504-02-9)(13g)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(200mL)に溶解し、tert−ブトキシカリウム(13g)、エチル (E)−2−シアノ−3−エトキシ−2−プロペノエート(CAS登録番号:94-05-3)(20g)を加え、21時間撹拌した。反応溶液を酢酸エチルで希釈し、2Nの塩酸水溶液を加え撹拌した。さらに酢酸エチル、水を加え有機層を抽出した。飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去し、下記物性値を有する標題化合物(24g)を得た。
TLC:Rf 0.35 (ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.37, 2.19, 2.61, 2.92, 4.36, 8.63。
【0206】
実施例63:2,5−ジオキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボン酸
室温において実施例62で製造した化合物(10.00g)をエタノール(200mL)に溶解し、アニリン(3.94g)を加え、6時間撹拌した。反応液中から析出した固体を桐山ロートでろ取、エタノールで洗浄し、得られた残渣を60℃で減圧乾燥した。下記物性値を有する標題化合物(4.01g)を得た。
TLC:Rf 0.37 (ジクロロメタン:メタノール=9:1);
1H-NMR (CDCl3):δ 2.11, 2.60, 7.25, 7.63, 9.21。
【0207】
実施例64:(5E)−5−(ヒドロキシイミノ)−4−メチル−2−オキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボン酸
実施例63で製造した化合物(140mg)と、ヒドロキシルアミン塩酸塩(210mg)のピリジン溶液(1.0mL)を1時間加熱還流した。室温に冷却後、反応液を酢酸エチルで希釈し、1mol/L塩酸で洗浄した。得られた有機層を濃縮し、下記物性値を有する標題化合物(150mg)を得た。
TLC:Rf 0.42 (ジクロロメタン:メタノール=9:1);
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.63-1.81, 2.26-2.36, 2.60, 7.38-7.46, 7.51-7.68, 8.90, 11.30, 14.03。
【0208】
実施例65:N−{(5E)−5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−5−(ヒドロキシイミノ)−2−オキソ−1−フェニル−1,2,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−3−キノリンカルボキサミド
実施例64で製造した化合物(65mg)と、実施例2で製造した化合物(50mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(59mg)を得た。
TLC: 0.15 (酢酸エチル、NHシリカ);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.77-1.94, 2.38, 2.77, 4.05, 6.46, 7.20-7.25, 7.43, 7.50-7.65, 7.99-8.07, 8.22, 8.48, 8.52, 9.33, 12.23。
【0209】
実施例66:N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2,5−ジオキソ−1−フェニル−2,5,6,7,8,9−ヘキサヒドロ−1H−ピリド[3,2−c]アゼピン−3−カルボキサミド
【化32】
実施例65で製造した化合物(30mg)のジクロロメタン溶液(1.0mL)にトリエチルアミン(9μL)、ジメチルアミノピリジン(0.6mg)およびパラトルエンスルホニルクロライド(13mg)を加えて室温で3時間撹拌した。反応液をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥して、溶媒を留去した。得られた残渣に50%トリフルオロ酢酸−ジクロロメタン溶液(2mL)を加えて70℃のオイルバスで16時間加熱撹拌した。反応液を濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロマトレックスDNH,酢酸エチル:メタノール 1:0→20:1)で精製し、下記物性値を有する標題化合物(12mg)を得た。
TLC:Rf 0.45 (酢酸エチル:メタノール=10:1,DNHシリカ);
1H-NMR (CDCl3):δ 1.85-2.02, 2.68, 3.23-3.43, 6.23-6.34, 6.44, 7.20-7.25, 7.42, 7.53, 7.55-7.69, 8.21, 8.43-8.52, 9.01, 12.06。
【0210】
実施例67:ジエチル(4−ブロモ−2−ニトロベンジリデン)プロパンジオアート
4−ブロモ−2−ニトロベンズアルデヒド(CAS登録番号:5551-12-2)(2.0mg)を無水酢酸(40mL)に溶解させ、マロン酸ジエチル(1.4g)および炭酸カリウム(1.8g)を加えて、80℃で4時間撹拌した。反応溶液を室温まで放冷し、氷冷水にあけ、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮することで、標題化合物を含む粗生成物(3.2g)を得、精製することなく次の反応に用いた。
【0211】
実施例68:エチル 7−ブロモ−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボキシラート
実施例67で製造した粗生成物(2.8g)を酢酸(24mL)に溶解させ、鉄粉(4.2g)を加えて、80℃で4時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和し、ジクロロメタンで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮した。得られた残渣をtert−ブチルメチルエーテルで洗浄することで、下記物性値を有する標題化合物(1.2g)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 1.45, 4.45, 7.34-7.41, 7.48-7.56, 8.50, 10.94。
【0212】
実施例69:エチル 7−ブロモ−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボキシラート
ジクロロメタン(200mL)に実施例68で製造した化合物(1.2g)、フェニルホウ酸(1.0g)、ジアセトキシ銅(II)(1.5g)、ピリジン(4.0mL)および4Åモレキュラーシーブスを加えて、酸素雰囲気下、室温で64時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し不溶固体を除去した後、ジクロロメタン(200mL)を加えて希釈し、有機層を水洗した。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過した後、減圧濃縮により溶媒を留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル 70:30)で精製し、下記物性値を有する標題化合物(0.88g)を得た.
1H-NMR (CDCl3):δ 1.40, 4.41, 6.79-6.82, 7.24-7.25, 7.27-7.29, 7.32-7.38, 7.51-7.66, 8.48。
【0213】
実施例70:エチル 7−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボキシラート
1,4−ジオキサン(30mL)に実施例69で製造した化合物(800mg)、tert−ブチルカーバメート(380mg)、炭酸セシウム(2.1g)および4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(150mg)を加えて、窒素置換後、酢酸パラジウム(19mg)を加えて、封管中100℃で3時間撹拌した。反応溶液をセライトろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、減圧濃縮で溶媒を留去することで、下記物性値を有する標題化合物(880mg)を得た。
1H-NMR (CDCl3):δ 1.38, 1.43, 4.39, 6.38, 6.66, 7.22-7.25, 7.45-7.65, 8.50。
【0214】
実施例71:7−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸
実施例70で製造した化合物(880mg)を用いて、実施例12と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(650mg)を得た。
1H-NMR (DMSO-d6):δ 1.39, 6.96, 7.38-7.45, 7.52-7.72, 8.00-8.05, 8.94, 9.89, 14.24。
【0215】
実施例72:ジ−tert−ブチル [3−({5−[(6,7−ジメトキシキノリン−4−イル)オキシ]ピリジン−2−イル}カルバモイル)−2−オキソ−1−フェニル−1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−7−イル]イミドジカーボナート
実施例71で製造した化合物(100mg)と、実施例2で製造した化合物(140mg)を用いて、実施例3と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(190mg)を得た。
MS (M+H):660
【0216】
実施例73:7−アミノ−N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−キノリンカルボキサミド
【化33】
実施例72で製造した化合物(190mg)を用いて、実施例25と同様の目的の操作に付すことにより、下記物性値を有する標題化合物(150mg)を得た。
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.75分);
1H-NMR (CDCl3):δ 4.05, 4.26, 5.80, 6.46, 6.63, 7.30-7.42, 7.54, 7.54-7.66, 8.23, 8.48-8.50, 8.95, 12.44。
【0217】
実施例73(1)〜73(2)
実施例2で製造した化合物の代わりに相当するキノリン誘導体、および実施例71で製造した化合物を用いて、実施例3→実施例73と同様の目的の操作に付すことにより、下記の実施例化合物を得た。
実施例73(1):7−アミノ−N−{5−[(7−メトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−2−オキソ−1−フェニル−1,2−ジヒドロ−3−キノリンカルボキサミド
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.78分);
1H-NMR (CDCl3):δ 4.01, 4.23, 5.80, 6.54, 6.62, 7.53-7.67, 7.54-7.67, 8.22, 8.29, 8.54, 8.69, 8.95, 12.50。
実施例73(2):7−アミノ−2−オキソ−1−フェニル−N−[5−(4−キノリニルオキシ)−2−ピリジニル]−1,2−ジヒドロ−3−キノリンカルボキサミド
(LC-MS/ELSD):(保持時間:0.76分);
1H-NMR (CDCl3):δ 4.23, 5.80, 6.55, 6.63, 7.30-7.34, 7.53-7.68, 7.74-7.80, 8.10, 8.23, 8.36, 8.51, 8.69, 8.96, 12.45。
【0218】
[実験例]
以下に生物学的実験例を示し、これらの実験方法に基づいて、本発明化合物の効果を確認した。
【0219】
生物学的実験例1:Axl阻害活性の測定(in vitro試験)
Axl酵素阻害活性の測定は、LanthaScreen(登録商標)system(Invitrogen社)により、添付の説明書に準じて実施した。使用した試薬を以下に示した。
反応緩衝液:50mmol/L HEPES(pH7.5)、0.01%Brij35、10mmol/L MgCl2及び1mmol/L EGTAを含む溶液を、精製水を用いて調製した。
被験物質溶液:各濃度の被験化合物のDMSO溶液を反応緩衝液にて20倍希釈し、最終濃度の5倍濃度の被験化合物を含む溶液を調製した。
酵素液:400ng/mL Axl酵素を含む溶液を、反応緩衝液を用いて調製した。
基質液:45μmmol/L ATP及び500nmmol/L Fluorescein−Poly GT(Invitrogen社)を含む溶液を、反応緩衝液を用いて調製した。
検出液:20mM EDTA及び4nM PY20(Invitrogen社)を含む溶液をDilution B(Invitrogen社)を用いて調製した。
【0220】
96ウェルプレート(Nunc社)に10mmol/Lの被験化合物のDMSO溶液を分注し、さらにDMSOで3倍公比の希釈系列を調製した。測定用の96ウェルプレートの各ウェルに、Blank群及び媒体群にはDMSOを含む反応緩衝液を、被験物質群には被験物質溶液を5μLずつ添加した。次に、Blank群には反応緩衝液を、媒体群及び被験化合物群には酵素液を各ウェル10μLずつ添加後、室温にて10分間撹拌した。撹拌終了後、基質液を各ウェルに10μLずつ添加し、室温・遮光下にて1時間撹拌した。反応終了後、各ウェルに検出液を25μLずつ添加し、室温・遮光下にて30分間静置した。静置後、Analyst GT(Molecular Devices社)を用いて励起光340nmを照射した時の520nm及び495nmの蛍光強度を測定し、人工基質のリン酸化を時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR−FRET)により定量化した。ウェル毎に520nm蛍光シグナルを495nm蛍光シグナルで除算してTR−FRET比を算出し、以下の式により被験化合物群での阻害率(%)を算出した。
【数1】
【0221】
被験化合物の50%阻害率の値(IC50値)は、被験化合物の各濃度における阻害率に基づく阻害曲線から算出した。
【0222】
その結果、本発明化合物において、例えば、実施例21、実施例42、実施例66、実施例73、実施例28および実施例36の化合物のIC50値は、それぞれ0.0015μM、0.0035μM、0.0015μM、0.004μM、0.0013μMおよび0.0015μMであった。
【0223】
一方、比較化合物として、下記構造を有する特許文献3記載の化合物2(比較化合物A)のAxl阻害活性を測定したところ、そのIC50値は10μMより大きかった。
【化34】
【0224】
比較化合物A
生物学的実施例2:Axlを安定発現したマウスプロB細胞株(Ba/F3 Axl)を
用いた増殖抑制率の測定
96ウェルプレートに0.1mmol/Lの被験化合物のDMSO溶液を分注し、さらにDMSOで3倍公比の希釈系列を調製した。各濃度の被験化合物のDMSO溶液をRPMI1640培地(10%HI−FBS、1%ペニシリン含有)でさらに500倍希釈して最終濃度の500倍濃度の被験化合物を含む被験化合物希釈溶液を調製した。測定用の96ウェルプレート(BD Bioscience社)の各ウェルに、Blank群にはRPMI培地を、媒体群には0.2%DMSOを含むRPMI培地を、被験化合物群には被験化合物希釈溶液をそれぞれ50μLずつ添加した。Ba/F3 Axlを、2×105細胞数/mLの密度になるよう培地で希釈し、細胞懸濁液を調製した。測定用の96ウェルプレートの各ウェルに、Blank群にはRPMI培地を、媒体群及び被験化合物群には細胞懸濁液をそれぞれ50μLずつ添加し、37℃、5%CO2で48時間静置した。静置終了後、CELLTITER−GLO(登録商標)LUMINESCENT CELL VIABILITY ASSAY(Promega社)を使用して相対発光単位(RLU;Relative Light Unit)を測定した。測定は添付の説明書に準じて実施した。各ウェルに100μLの発光液を添加し室温にて3分間プレートを撹拌後、室温・遮光下にて10分間静置し、マイクロプレートリーダー(SpectraMax M5e、Molecular Devices社)を用いてRLUを測定した。Blank群及び媒体群のRLUの平均値を算出し、以下の式で被験化合物群の増殖抑制率を算出した。
【数2】
【0225】
被験化合物の50%阻害率の値(IC50値)は、被験化合物の各濃度における阻害率に基づく阻害曲線から算出した。
【0226】
その結果、本発明化合物において、例えば、実施例21、実施例42、実施例66、実施例73、実施例28および実施例36の化合物のIC50値は、それぞれ0.00096μM、0.0042μM、0.0057μM、0.00076μM、0.00099μMおよび0.00047μMであった。
【0227】
一方、比較化合物AのIC50値は、>10μMであった。
【0228】
生物学的実施例3:キナーゼ選択性の評価(in vitro試験)
生物学的実施例1と同様に、被験化合物のKDRキナーゼに対する50%阻害率の値(IC50値)を測定した。被験化合物のKDRに対するAxl選択的な阻害活性は、上記IC50値の比に基づいて算出し、以下の表1に示す通りであった。被験化合物として、本発明化合物は実施例21、実施例42、実施例66、および実施例28を用い、比較化合物は下記構造を有する特許文献5記載の実施例74の化合物(比較化合物B)、および実施例92(比較化合物C)の化合物を用いた。
【化35】
【化36】
【表1】
【0229】
その結果、本発明化合物は、比較化合物と比較してKDRに対するAxl選択的な阻害作用を有することがわかった。KDRは、血管内皮増殖因子受容体2型(VEGF Receptor 2)とも呼ばれるキナーゼであり、KDRを阻害すると血圧が上昇する副作用が生じる可能性があることが知られている(Hypertension、第39巻、1095−1100ページ、2002年)。したがって、本発明化合物は、比較化合物で懸念される副作用、例えば、高血圧を回避できる優れた化合物であることが示唆された。
【0230】
生物学的実施例4:薬物代謝酵素の阻害活性測定(ヒトCYP2C8阻害作用)
反応は384ウェルプレート上にて行った。陽性対照物質(CYP2C8:クェルセチン)は最終濃度の300倍の濃度にDMSOで調整し(CYP2C8:22.5および225μmol/L)、2.7%のアセトニトリルを含む精製水で75倍希釈した溶液を準備した(CYP2C8:0.3および3μmol/L)。被験化合物はDMSOで0.3および3mmol/Lに調製後、2.7%アセトニトリルを含む精製水で75倍希釈し、4および40μmol/Lに調製した。次にリン酸カリウム緩衝液(pH7.4)、塩化マグネシウム(5mol/L)、基質(CYP2C8:Luciferin−ME、150μmol/L)および大腸菌発現系肝ミクロソームのCYP2C8(Cypex、30pmol/L)を加えた反応混合液を調製した(数値は最終濃度)。この反応混合液8μLと前述で準備した被験化合物および陽性対照物質溶液を各ウェルに4μL、NADPH産生系溶液(5.2mM NADP、13.2mM グルコース6リン酸、1.6 U/mL グルコース6リン酸デヒドロゲナーゼ)を4μL加えて反応を開始し、37℃で30分間インキュベーションを行った。その後、ルシフェラーゼ溶液 16μLを添加して反応停止とともにルシフェリンを発光させ、反応液の発光強度を測定した。阻害率は被験化合物溶液の代わりにDMSOを添加して反応をおこなったコントロールと比較した時の発光強度の減少率(阻害率)とし、以下の式により算出した。
【数3】
IC50値は、1μmol/Lで阻害率が50%以上の時は<1μM、10μmol/Lで阻害率が50%以下の場合は>10μMとし、その間(1μmol/Lで50%以下かつ10μmol/Lで50%以上の場合)については以下の式により算出した。
【数4】
【0231】
ただし、a、bは、1μmol/Lの濃度と阻害率および10μmol/Lの濃度と阻害率の2点を通る線形回帰直線y=ax+bの傾きと切片とした。
【0232】
上記の測定方法で、本発明化合物のIC50値を測定した。
【0233】
その結果、本発明化合物では、例えば、実施例21、実施例42の化合物は、CYP2C8のIC50値がいずれも>10μMであった。したがって、本発明化合物はCYP阻害作用が低いことがわかった。
【0234】
[製剤例]
製剤例1
以下の各成分を常法により混合した後打錠して、一錠中に10mgの活性成分を含有する錠剤1万錠を得た。
・N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−3,8−ジオキソ−2−フェニル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−4−イソキノリンカルボキサミド…100g
・カルボキシメチルセルロースカルシウム(崩壊剤) … 20g
・ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤) … 10g
・微結晶セルロース … 870g
【0235】
製剤例2
以下の各成分を常法により混合した後、除塵フィルターでろ過し、5mlずつアンプルに充填し、オートクレーブで加熱滅菌して、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル1万本を得た。
・N−{5−[(6,7−ジメトキシ−4−キノリニル)オキシ]−2−ピリジニル}−3,8−ジオキソ−2−フェニル−2,3,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−4−イソキノリンカルボキサミド…200g
・マンニトール … 20g
・蒸留水 … 50L
【産業上の利用可能性】
【0236】
本発明化合物は、強力なAxl阻害活性を有するため、Axl関連疾患、例えば、癌、腎臓疾患、免疫系疾患、循環器系疾患の治療に有用である。