(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
画像形成装置における定着温度の制御は、適合トナーの熱特性や帯電特性に合わせて設定されているので、適合トナーと性能が異なる非適合トナーが使用されると、トナーの熱特性や帯電特性の違いから、定着部にオフセット(記録紙に形成されていたトナー画像の一部が定着ローラーに付着して取り去られる現象)が発生する場合がある。例えば、非適合トナーについて、トナー溶融による熱量が足りない場合には、いわゆるコールドオフセットが発生し、逆に熱量過多の場合には、いわゆるホットオフセットが発生する。
【0007】
オフセットが継続すると、定着ローラーに付着したトナー(オフセットトナー)が、定着ローラーに固着してしまい、定着ローラーの離型性(非粘着性)が低下する。そのため、トナー固着が冗長される。また、定着ローラーと対を成す加圧ローラーにも、オフセットトナーが接触するので、オフセットトナーは定着ローラーから加圧ローラーへ転移し、そして加圧ローラーでも固着する。
【0008】
定着ローラーや加圧ローラーへのトナー固着が進行すると、オフセットの程度が悪化し、これらローラーへ固着したトナーが脱落して記録紙に付着し、トナー汚れによる画像不良が発生する場合がある。また、定着ローラーの周囲に設けられている記録紙分離爪や温度サーミスターにトナーが固着すると、これら記録紙分離爪や温度サーミスターによって、定着ローラーの表面が過度に削られることになり、定着ローラーの耐久寿命を著しく短くしてしまう。
【0009】
また、定着ローラーにトナーが一旦固着してしまうと、トナーを適合品に戻したとしても、正常な状態に復帰せず画像形成装置の故障に至ってしまうケースもある。
【0010】
上記の特許文献1には、表示パネルに非適合のトナーコンテナが装着された旨をユーザーに伝える警告メッセージを表示させる技術について記載されているが、ユーザーが警告メッセージを無視して、非適合のトナーコンテナを使用し続けた場合には、画像不良が発生するだけでなく、画像形成装置の故障の原因にもなり得る。
【0011】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、非適合のトナーコンテナが使用されたとしても、定着部の回転体(定着ローラー等)におけるトナー固着を防ぐことによって、安定した画像形成を実現し、画像形成装置の故障を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一局面に係る画像形成装置は、記録紙を搬送する搬送部と、像担持体を有し、前記像担持体の表面にトナー像を形成
し、形成された前記トナー像を前記記録紙に転写する画像形成部と、前記画像形成部でトナー像が
転写された前記記録紙を2つの回転体の間の定着ニップ部において挟んで加熱及び加圧することでトナー像を前記記録紙に定着させる定着部と、前記定着部によりトナー像が定着された前記記録紙が排出される排出トレイと、装置本体に着脱自在とされ、前記画像形成部でトナー像の形成に用いられるトナーを収容したトナーコンテナと、前記装置本体に装着されているトナーコンテナが適合品であるか否かを判定する適合品判定部と、前記搬送部、前記画像形成部、及び前記定着部の動作を制御する制御部と、
ユーザーからの前記定着部の回転体の表面のクリーニング指示を受け付けるクリーニング受付部と、を備え、前記画像形成部は、前記トナーコンテナから補給されたトナーを前記像担持体へ供給し、当該像担持体にトナー像を形成する現像装置を備え、前記制御部は、前記適合品判定部により前記装置本体に装着されているトナーコンテナが適合品でないと判定された場合、予め定められた枚数の画像形成
毎又は予め定められた期間経過毎に、前記搬送部、前記画像形成部、及び前記定着部の動作を制御して、
予め定められた第1濃度の第1画像が転写された前記記録紙を前記定着ニップ部に通すことによって前記第1画像を前記記録紙に定着させ、前記第1画像が定着された前記記録紙を前記排出トレイに排出させる第1処理を実行する。
【0013】
前記制御部は
また、前記クリーニング受付部が、ユーザーからの前記クリーニング指示を受け付けると、前記搬送部、前記画像形成部、及び前記定着部の動作を制御して、
予め定められた長さであり、かつ、前記第1濃度よりも高い予め定められた第2濃度の第2画像が転写された前記記録紙を前記定着ニップ部に通すことによって
前記第2画像を前記記録紙に定着させる第2処理を実行し、
前記第1濃度は、前記定着部の回転体の表面に付着しているトナーを検出可能な濃度として予め定められた濃度であり、前記第2濃度は、前記定着ニップ部における熱によって、前記定着部の回転体の表面に付着している汚れを除去可能な粘性を発現可能な濃度として予め定められた濃度であり、前記予め定められた長さは、前記
第2画像と接触する前記回転体の周長以上に設定され
ている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、
クリーニング受付部が、ユーザーからのクリーニング指示を受け付けると、定着部の回転体の表面がクリーニングされるので
、当該回転体の表面にトナーが固着するのを防ぐことができ、安定した画像形成を実現し、画像形成装置の故障を防止できる。
【0015】
また
、装置本体に非適合のトナーコンテナが装着された場合、予め定められた枚数(例えば、1000枚)の画像形成
毎又は予め定められた期間経過(例えば、1週間)毎に、
第1画像が定着された記録紙であるチェックシートがユーザーに提示される。当該チェックシートには、例えば、定着部の回転体の表面の状態をユーザーが視覚的に確認できる画像が形成される。従って、装置本体に非適合のトナーコンテナが装着された場合には、当該回転体の表面の状態の確認がユーザーに定期的に促されるので、当該回転体の表面にトナーが付着しているのに、当該回転体の表面のクリーニングが長期間行われないのを防ぐことができる。これにより、非適合のトナーコンテナが使用されたとしても、当該回転体の表面にトナーが固着するのを防ぐことができ、安定した画像形成を実現し、画像形成装置の故障を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る画像形成装置について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の構造を示した概略的な側面断面図である。画像形成装置1は、例えば、プリンターであり、装置本体11に、給紙部14、画像形成部12、トナーコンテナ17、定着部13、及び排出トレイ151を含んで構成されている。また、画像形成装置1は、給紙部14から画像形成部12及び定着部13を経由して、排出トレイ151まで記録紙Pを搬送する搬送部19を備える。
【0018】
搬送部19は、給紙部14と排出トレイ151とを繋ぐ搬送路191と、反転搬送路1911と、搬送路191及び反転搬送路1911の適所に設けられた複数の搬送ローラー対192と、レジストローラー対193と、搬送ドラム194と、排出ローラー対195とを備える。
【0019】
給紙部14は、装置本体11の底部に設けられ、複数の記録紙Pを収容する給紙カセット141と、給紙カセット141に収容された記録紙Pを1枚ずつ取り出すための第1ピックアップローラー142と、第1ピックアップローラー142で取り出された記録紙Pを搬送路191へ送り出す給紙ローラー対143とを備える。
【0020】
給紙ローラー対143によって給紙された記録紙Pは、搬送ドラム194を介して搬送路191へ送り出される。搬送路191へ送り出された記録紙Pは、レジストローラー対193によって画像形成部12へ供給される。
【0021】
画像形成部12は、給紙カセット141の上方に設けられ、感光体ドラム121と、帯電装置122と、露光装置123と、現像装置124と、転写ユニット120と、クリーニング装置60と、除電装置51とを備える。
【0022】
感光体ドラム121は、像担持体であり、回転軸を中心にして回転可能に構成され、表面にトナー像を担持する。帯電装置122は、感光体ドラム121の表面を帯電させる。露光装置123は、外部装置(例えば、パーソナルコンピューター)から伝送されてきた画像データに基づいて、レーザー光Lを照射することによって、感光体ドラム121の表面に潜像を形成する。
【0023】
現像装置124は、現像ローラー1241を有し、感光体ドラム121の表面に形成された潜像をトナーで可視化する。
【0024】
転写ユニット120は、記録紙Pを搬送する搬送ベルト125、駆動ローラー125A、従動ローラー125B、及び転写ローラー126を含んで構成されている。
【0025】
搬送ベルト125は、駆動ローラー125Aと従動ローラー125Bとの間に張架され、感光体ドラム121の表面に当接した状態で駆動ローラー125Aによって駆動され、感光体ドラム121と同期しながら、無端走行する。また、感光体ドラム121の表面からトナー像が記録紙Pへ転写する位置に、搬送ベルト125を挟んで、転写ローラー126が設けられ、感光体ドラム121との間で転写ニップ部N1が形成されている。
【0026】
クリーニング装置60は、クリーニングローラー61とクリーニングブレード62とを備える。クリーニングローラー61及びクリーニングブレード62は、感光体ドラム121の表面に接触して、感光体ドラム121の表面に残留したトナーや付着物を除去して、感光体ドラム121の表面を清掃する。
【0027】
除電装置51は、感光体ドラム121の表面に残存する電荷を除去するためのものであり、画像形成部12による画像形成後に、感光体ドラム121の表面に除電光を照射するものである。
【0028】
トナーコンテナ17は、装置本体11に着脱自在であり、画像形成部12の消耗品であるトナーを収容し、現像装置124へトナーを供給する。
【0029】
定着部13は、熱圧着によりトナー像を記録紙Pに定着させるものであり、熱源であるヒートランプ132を内蔵する、定着ローラーとしての加熱ローラー131と、加圧ローラー133とを備える。加熱ローラー131と加圧ローラー133とは対を成し、記録紙Pが加熱ローラー131及び加圧ローラー133による定着ニップ部N2を挟持搬送される際に、未定着のトナー像がヒートランプ132の熱で溶融し、加熱ローラー131及び加圧ローラー133の圧力で記録紙Pに定着される。なお、加熱ローラー131及び加圧ローラー133は、特許請求の範囲における回転体の一例である。
【0030】
定着処理が施された記録紙Pは、搬送路191を通って上方に搬送され、排出ローラー対195を介して、装置本体11の上部に設けられた排出トレイ151に排出される。
【0031】
画像形成装置1で両面印刷が行われる場合について説明する。画像形成部12により一方の面に画像が形成された記録紙Pは、排出ローラー対195に挟まれた状態とされた後、排出ローラー対195によりスイッチバックされて反転搬送路1911に送られ、搬送ドラム194によって搬送路191へ搬送され、そして、レジストローラー対193によって画像形成部12へ再度供給される。これにより、記録紙Pのもう一方の面にも画像を形成することができる。
【0032】
図2は、画像形成装置1の主要内部構成を概略的に示した機能ブロック図である。画像形成装置1は、制御ユニット10、画像形成部12、画像メモリー32、HDD(Hard Disk Drive)92、定着部13、給紙部14、搬送部19、RFID通信部21、トナーコンテナ17、操作部47、ネットワークインターフェイス部91、及び着脱センサー22を含んで構成されている。なお、
図1に示した画像形成装置1と同様の構成部分については同符号を付し、ここではその詳しい説明を省略する。
【0033】
画像メモリー32は、外部装置20(例えば、パーソナルコンピューター)から伝送されてきた画像データを一時的に記憶したり、画像形成部12のプリント対象となる画像データを一時的に保存したりするための領域である。HDD92は、画像データ等を記憶する大容量の記憶装置である。
【0034】
RFID通信部21は、装置本体11に着脱自在に構成されているトナーコンテナ17に取り付けられたRFタグ171と通信を行う。RFタグ171は、トナーコンテナ17の製品情報等を記憶するメモリーを備え、RFID通信部21は、RFタグ171から発信された信号を受信することによって、トナーコンテナ17の製品情報等を取得する。
【0035】
操作部47は、画像形成装置1が実行可能な各種動作及び処理について操作者から画像形成動作実行指示等の指示を受け付ける。操作部47は、操作者への操作案内等を表示する表示部473を備えている。表示部473はタッチパネルになっており、操作者は画面表示されるボタンやキーに触れて画像形成装置1を操作することができる。
【0036】
ネットワークインターフェイス部91は、ローカルエリア内、又はインターネット上の電子機器やサーバー等の外部装置20と種々のデータの送受信を行うものである。着脱センサー22は、トナーコンテナ17の装置本体11への取り付けや取り外しを検知する。
【0037】
制御ユニット10は、プロセッサー、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び専用のハードウェア回路を含んで構成される。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、又はMPU(Micro Processing Unit)等である。制御ユニット10は、制御部100と、操作受付部101と、適合品判定部103とを備えている。
【0038】
制御ユニット10は、HDD92に記憶されている制御プログラムに従った上記プロセッサーによる動作により、制御部100、操作受付部101、及び適合品判定部103として機能するものである。但し、制御部100等は、制御ユニット10による制御プログラムに従った動作によらず、ハードウェア回路により構成することも可能である。以下、特に触れない限り、各実施形態について同様である。
【0039】
制御部100は、画像形成装置1の全体的な動作制御を司る。制御部100は、画像形成部12、画像メモリー32、HDD92、定着部13、給紙部14、搬送部19、RFID通信部21、操作部47、ネットワークインターフェイス部91、及び着脱センサー22と接続され、これら各部の駆動制御等を行う。
【0040】
操作受付部101は、操作部47を介してユーザーから指示の入力を受け付ける。また、操作受付部101は、定着部13の回転体(加熱ローラー131及び加圧ローラー133)の表面のクリーニング指示を受け付けるクリーニング受付部102を備える。
【0041】
クリーニング受付部102が、ユーザーからの定着部13の回転体の表面のクリーニング指示を受け付けると、制御部100が、搬送部19、画像形成部12、及び定着部13等の動作を制御して、記録紙Pに予め定められた長さのベタ画像を形成させ、当該ベタ画像が形成された記録紙P(すなわち、トナー像が形成された記録紙P)を定着ニップ部N2に通すことによって、当該回転体の表面に付着した汚れを除去するクリーニング動作を行う。当該トナー像は定着ニップ部N2における熱によって粘着性が現れ、当該粘着性により回転体に付着しているトナーを回収することで、回転体上のトナー等の汚れを除去する。
【0042】
次に、第1実施形態に係る画像形成装置1による、非適合品であるトナーコンテナ17が装着されている場合にクリーニング動作を行わせる処理を説明する。
図3は、当該クリーニング動作を行わせる処理を示すフローチャートである。
【0043】
まず、制御部100が、初期設定として、装置本体11に装着されているトナーコンテナ17が適合品であるか否かを示すフラグFを0(0:適合品、1:非適合品)に設定する(S1)。制御部100は、製品出荷時には、適合品のトナーコンテナ17が装着されているため、フラグFを0に設定する。
【0044】
続いて、制御部100が、着脱センサー22から得られる情報に基づいて、トナーコンテナ17の交換が行われたか否かを判断する(S2)。制御部100によってトナーコンテナ17の交換が行われたと判断された場合(S2でYES)、適合品判定部103は、RFID通信部21から得られる情報に基づいて、装置本体11に装着されているトナーコンテナ17が非適合品であるか否かを判断する(S3)。
【0045】
適合品判定部103が、装置本体11に装着されているトナーコンテナ17が非適合品であると判断した場合(S3でYES)、制御部100は、フラグFが0であるか否かを判断する(S4)。
【0046】
制御部100は、フラグFが0であると判断した場合(S4でYES)、印刷枚数をカウントするためのカウンターCを0にリセットする(S5)と共に、内蔵するタイマーTを0にリセットし(S6)、装置本体11に装着されているトナーコンテナ17が適合品から非適合品に交換されているため、制御部100は、更にフラグFを1に設定する(S7)。その後、S8へ進む。
【0047】
一方、制御部100は、フラグFが0でない(フラグFは1である)と判断した場合(S4でNO)、装置本体11に装着されているトナーコンテナ17は非適合品から非適合品に交換されたことになるので、カウンターCやタイマーTを0にリセットせず、フラグFも既に1に設定されているので、処理はそのままS8へ進む。
【0048】
S8において、制御部100は、画像形成処理が実行され、記録紙Pが排出トレイ151に排出されたと判断した場合(S8でYES)、カウンターCに1を加算し(S9)、続いて、カウンターCが予め定められた枚数CA(例えば、1000枚)以上であるか否かを判断する(S10)。
【0049】
制御部100が、カウンターCが予め定められた枚数CA以上である(例えば、印刷枚数が予め定められた枚数CAとしての1000枚に到達した)と判断した場合(S10でYES)、制御部100は、搬送部19、画像形成部12、及び定着部13の動作を制御して、定着部13の回転体(加熱ローラー131及び加圧ローラー133)の表面のクリーニング動作を行わせる(S12)。
【0050】
一方、S8において、制御部100は、画像形成処理は実行されておらず、記録紙Pは排出トレイ151に排出されていないと判断した場合(S8でNO)、更に、タイマーTが予め定められた期間TA(例えば、1週間)を経過しているか否かを判断する(S11)。制御部100は、タイマーTが予め定められた期間TAを経過している(例えば、予め定められた期間TAとしての1週間を経過している)と判断した場合(S11でYES)、上記クリーニング動作を行わせるためにS12の処理を行う。
【0051】
ここで、制御部100による上記クリーニング動作を、
図4に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0052】
制御部100は、給紙部14及び搬送部19の駆動源であるモーター等の動作を制御することによって、給紙カセット141に収容されている記録紙Pを画像形成部12へ供給させ(S21)、画像形成部12の動作を制御することによって、記録紙Pの搬送方向前端側に予め定められたメッセージM1(
図5を参照)を形成させ、記録紙Pの搬送方向後端側に予め定められた長さL1(
図5を参照)であり、なおかつ予め定められた濃度からなる高濃度(例えば、濃度100%)のベタ画像G1(
図5を参照)を形成させる(S22)。なお、ベタ画像G1を高濃度にするのは、粘着力を大きくするためである。
【0053】
クリーニング動作に使用される記録紙Pは、その後、排出トレイ151より排出される。制御部100は、画像形成部12に、当該予め定められたメッセージM1として、当該記録紙Pが排出トレイ151より排出された理由を示す画像を形成させる。
【0054】
図5は、クリーニング動作に使用された記録紙P1の一例を示した図である。例えば、メッセージM1には「非適合のトナーコンテナが装着されています。画像品質の維持および故障防止のため、定着ローラー
のクリーニング動作を実行しました。」という内容が記されている。また、ベタ画像G1は高濃度のベタ塗り黒画像であり、ベタ画像G1の長さL1は、加熱ローラー131及び加圧ローラー133のうち、周長が長い方の周長以上である。また、ベタ画像G1の幅は、記録紙P1に対して印字可能な最大幅に設定するのが望ましい。
【0055】
続いて、制御部100は、搬送部19及び定着部13の動作を制御することで、メッセージM1及びベタ画像G1のトナー像が形成された記録紙Pを定着ニップ部N2に通過させ(S23)、加熱ローラー131の表面に付着したトナーをベタ画像G1に接触させることによって、当該トナーを除去させる。
【0056】
その後、制御部100は、搬送部19の動作を制御することによって、記録紙Pを排出ローラー対195まで搬送し、記録紙Pを排出ローラー対195で反転させて反転搬送路1911に送る(S24)。
【0057】
そして、制御部100は、搬送部19の動作を制御することによって、搬送ドラム194で搬送路191へ搬送し、反転させた記録紙Pを、レジストローラー対193を使って画像形成部12へ再度供給する(S25)。続いて、制御部100は、搬送部19及び定着部13の動作を制御することによって、当該記録紙Pを定着ニップ部N2に再度通過させ(S26)、ここでは加熱ローラー131ではなく、加圧ローラー133の表面に付着したトナーをベタ画像G1に接触させることによって、当該トナーを除去させる。この後、制御部100は、搬送部19に、当該記録紙Pを排出トレイ151に排出させる(S27)。
【0058】
なお、当該記録紙Pを定着ニップ部N2に通過させる時の速度は、制御部100による制御の下、通常の印刷動作時よりも低速で行い、当該記録紙Pに形成されたベタ画像G1と加熱ローラー131や加圧ローラー133の表面とが接触する時間を長くするのが望ましい。
【0059】
また、ここではベタ画像G1のトナー像が形成された記録紙Pを反転させて、定着ニップ部N2に両面を通過させる場合について説明しているが、両面ではなく、片面だけを通過させる場合には、ベタ画像G1の長さL1は、ベタ画像G1と接触する加熱ローラー131の周長以上に設定すればよい。
【0060】
制御部100は、
図3のS12(
図4のS21〜S27)において、定着部13の回転体(加熱ローラー131及び加圧ローラー133)の表面のクリーニング動作を行った後、カウンターCを0にリセットする(S13)と共に、タイマーTを0にリセットし(S14)、その後、S2へ戻る。また、S11において、制御部100が、タイマーTが予め定められた期間TAを経過していないと判断した場合(S11でNO)にも、処理はS2へ戻り、制御部100が、着脱センサー22から得られる情報に基づいて、トナーコンテナ17の交換が行われたか否かを判断する(S2)。
【0061】
また、S2において、制御部100が、トナーコンテナ17の交換が行われていないと判断した場合(S2でNO)、制御部100が、フラグFが1であるか否かを判断する(S15)。
【0062】
制御部100が、フラグFが1であると判断した場合(S15でYES)、装置本体11に装着されているトナーコンテナ17は非適合品であるので、処理はS8に移り、制御部100が、クリーニング動作を行うタイミングであると判断したときに(S10でYES、又はS11でYES)、クリーニング動作を行う(S12)。
【0063】
一方、制御部100が、フラグFが1でない(フラグFは0である)と判断した場合(S15でNO)、装置本体11に装着されているトナーコンテナ17は適合品であり、クリーニング動作を行う必要がないので、S8へ進まず、処理はS2へ戻る。
【0064】
また、S3において、適合品判定部103が、装置本体11に装着されているトナーコンテナ17が非適合品でない(適合品である)と判断した場合(S3でNO)、制御部100は、このときのフラグFが1であるか否かを判断する(S16)。
【0065】
制御部100が、フラグFが1であると判断した場合(S16でYES)、制御部100が、フラグFを0に設定する(S17)。この後、処理はS2へ戻る。一方、制御部100は、フラグFが1でない(フラグFは0である)と判断した場合(S16でNO)、フラグFを改めて0に設定する必要はないので、そのままS2へ戻る。
【0066】
上記第1実施形態によれば、装置本体11に非適合のトナーコンテナ17が装着された場合、予め定められた枚数CAの画像形成、及び予め定められた期間TA経過毎に、定着部13の回転体(加熱ローラー131及び加圧ローラー133)の表面がクリーニングされるので、非適合のトナーコンテナ17が使用されたとしても、当該回転体の表面にトナーが固着するのを防ぐことができ、安定した画像形成を実現し、画像形成装置1の故障を防止することができる。
【0067】
なお、上記第1実施形態では、制御部100が、印刷枚数のカウント、及び時間の計測の両方を行い、予め定められた枚数CAの画像形成毎、及び予め定められた期間TA経過毎のうちのいずれか早い方のタイミングで、クリーニング動作を行う場合について説明しているが、別の実施形態では、制御部100が、印刷枚数のカウント、時間の計測のいずれか一方だけを行い、予め定められた枚数CAの画像形成、又は予め定められた期間TA経過毎に、クリーニング動作を行うようにしてもよい。
【0068】
また、更なる別の実施形態では、制御部100は、電源投入後に、当該クリーニング動作を行うようにしてもよい。電源投入後は、加圧ローラー133の温度が低いので、当該回転体に付着したトナーが記録紙Pに転移しやすく、トナーを除去しやすくなるからである。
【0069】
次に、第2実施形態に係る画像形成装置1による、非適合品であるトナーコンテナ17が装着されている場合にクリーニング動作を行わせる処理を説明する。
図6は、当該クリーニング動作を行わせる処理を示すフローチャートである。なお、
図3のS12をS31へ置き換えた部分を除いて、第1実施形態と同様の処理であるので、第1実施形態と同様の処理については説明を省略する。
【0070】
S10において、制御部100が、カウンターCが予め定められた枚数CA以上である(すなわち、印刷枚数が1000枚に到達した)と判断した場合(S10でYES)、制御部100は、定着部13の回転体の表面状態を確認するためのチェックシートをユーザーに提示する処理を行う(S31)。
【0071】
また、S11において、制御部100が、タイマーTが予め定められた期間TAを経過している(すなわち、1週間経過している)と判断した場合も(S11でYES)、制御部100は、S31の処理を行う。
【0072】
制御部100による上記チェックシートの作成処理(S31)を
図7に示す。制御部100は、給紙部14及び搬送部19の動作を制御することによって、給紙カセット141に収容されている記録紙Pを画像形成部12へ供給させ(S41)、画像形成部12の動作を制御することによって、予め定められた第2メッセージ及び予め定められた画像パターンを記録紙Pに形成させる(S42)。
【0073】
なお、当該予め定められた画像パターンは、定着部13の回転体の表面の状態をユーザーが視覚的に確認できる画像(例えば、ベタ画像)であり、当該予め定められた第2メッセージには、定着部13の回転体の表面の状態が悪い場合に、当該回転体のクリーニング動作をユーザーに促す内容が記されている。
【0074】
図8は、チェックシートである記録紙P2の一例を示した図である。チェックシートである記録紙P2には、定着部13の回転体(ここでは、加熱ローラー131)の表面の状態をユーザーが視覚的に確認できるベタ画像G2と、メッセージM2とが形成され、例えば、メッセージM2には「非適合のトナーコンテナが装着されています。画像品質の維持および故障防止のため、定着ローラーの表面の状態を示した画像を出力しました。トナー汚れが見られる場合には、定着ローラーのクリーニング動作を実行してください。」という内容が記されている。
【0075】
ベタ画像G2は、例えば、予め定められた濃度からなる低濃度(クリーニング動作時に形成する上記ベタ画像G1よりも濃度が低い、例えば、濃度50%)のベタ塗りグレー画像であり、ベタ画像G2の長さL2は、加熱ローラー131の周長以上である。なお、ベタ画像G2を低濃度にするのは、トナーの除去が目的ではなく、定着部13の回転体の表面に付着しているトナーの検出が目的だからである。
【0076】
当該第2実施形態によれば、装置本体11に非適合のトナーコンテナ17が装着された場合、予め定められた枚数CAの画像形成毎、及び予め定められた期間TA経過毎のうちのいずれか早い方のタイミングで、当該チェックシートがユーザーに提示される。
【0077】
従って、装置本体11に非適合のトナーコンテナ17が装着された場合には、当該回転体の表面の状態の確認がユーザーに定期的に促されるので、当該回転体の表面にトナーが付着しているのに、当該回転体の表面のクリーニングが長期間行われないのを防ぐことができる。これにより、非適合のトナーコンテナ17が使用されたとしても、当該回転体の表面にトナーが固着するのを防ぐことができ、安定した画像形成を実現し、画像形成装置1の故障を防止することができる。
【0078】
なお、上記第2実施形態では、制御部100が、印刷枚数のカウント、及び時間の計測の両方を行い、予め定められた枚数CAの画像形成毎、及び予め定められた期間TA経過毎のうちのいずれか早い方のタイミングで、チェックシートをユーザーに提示する処理を行う場合について説明しているが、別の実施形態としては、制御部100が、印刷枚数のカウント、時間の計測のいずれか一方だけを行い、予め定められた枚数CAの画像形成、又は予め定められた期間TA経過毎に、チェックシートをユーザーに提示する処理を行うようにしてもよい。
【0079】
また、上記第2実施形態では、記録紙Pを定着ニップ部N2に一度通過させる場合について説明しているが、別の実施形態としては、記録紙Pを定着ニップ部N2に一度通過させた後、制御部100が、搬送部19の動作を制御して、記録紙Pを反転させて、画像形成部12へ再度供給し、そして定着ニップ部N2に再度通過させるようにしてもよい。また、その場合には、制御部100による制御の下、ベタ画像G2の長さL2を、加熱ローラー131及び加圧ローラー133のうち、周長が長い方の周長以上にするのが望ましい。また、ベタ画像G2については、記録紙Pの両面に形成するようにしてもよい。
【0080】
なお、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、定着部13を構成する2つの回転体は、加熱ローラー131及び加圧ローラー133に限定されず、例えば、一方の回転体が、無端状ベルトからなる定着ベルトであり、もう一方の回転体が、加圧ローラーのものであってもよい。当該定着ベルトを有する構成であり、なおかつ、ベタ画像G1(ベタ画像G2)が形成された記録紙Pを定着ニップ部N2に両面通過させる場合には、ベタ画像G1の長さL1(ベタ画像G2の長さL2)は、当該定着ベルト及び当該加圧ローラーの周長の長い方の周長以上に設定するのがよい。
【0081】
また、上記実施形態において、トナーコンテナ17を非適合品から適合品に交換したとしても、その直後においては、現像装置124内のトナーは非適合品のままである。現像装置124内のトナーは徐々に非適合トナーから適合トナーに入れ替わっていく。非適合トナーから適合トナーに完全に入れ替わるまでの期間は、現像装置124の大きさに依存するが、一般的な磁性一成分を扱う現像装置124では、20000枚から30000枚程度の印刷を必要とする等、一定の期間経過を必要とする。
【0082】
従って、更なる別の実施形態としては、制御部100が、適合品判定部103による判定結果に基づいて、装置本体11に装着されているトナーコンテナ17が非適合品から適合品に交換されたと判断した場合、予め定められた時間が経過するまでは、制御部100が、定着部13の回転体に対するクリーニング動作を定期的に実行するようにしてもよい。
【0083】
また、その場合、制御部100は、画像形成部12により、
図5に示したメッセージM1の代わりに、「非適合トナーが過去に使用されていました。現像装置内には非適合トナーが含まれております。画像品質の維持および故障防止のため、定着ローラーのクリーニング動作を実行しました。」といったメッセージを記録紙Pに形成させるようにする。
【0084】
また、上記予め定められた時間が経過するまでは、上記クリーニング動作を定期的に実行するのではなく、制御部100が、画像不良が発生した場合の処置方法を知らせるメッセージ(例えば、定着ローラーのクリーニング動作の実行を促す内容)を、適合のトナーコンテナ17への交換直後、又は定期的に、表示部473に表示させるようにしてもよい。
【0085】
なお、上記予め定められた時間は、非適合トナーから適合トナーに完全に入れ替わるまでの期間であり、例えば、現像装置124のトナーが入れ替わる20000枚から30000枚程度が挙げられる。
【0086】
また、本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。また、上記実施形態では、本発明に係る画像形成装置の一実施形態としてプリンターを用いて説明しているが、これは一例に過ぎず、例えば、コピー機能、プリンター機能、スキャナー機能、及びファクシミリ機能のような複数の機能を兼ね備えた複合機や、コピー機、ファクシミリ等の他の画像形成装置でもよい。
【0087】
また、上記実施形態では、
図1乃至
図8を用いて上記実施形態により示した構成及び処理は、本発明の一実施形態に過ぎず、本発明を当該構成及び処理に限定する趣旨ではない。