特許第6708350号(P6708350)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708350
(24)【登録日】2020年5月25日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】圧力監視装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 7/04 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
   G01L7/04
【請求項の数】3
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-147084(P2018-147084)
(22)【出願日】2018年8月3日
(65)【公開番号】特開2020-20764(P2020-20764A)
(43)【公開日】2020年2月6日
【審査請求日】2019年9月30日
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】302069930
【氏名又は名称】NECエンベデッドプロダクツ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】392034609
【氏名又は名称】株式会社山陽計器製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】奥山 湧介
(72)【発明者】
【氏名】黒田 博之
(72)【発明者】
【氏名】住原 和博
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 実公平1−9068(JP,Y2)
【文献】 特許第2647127(JP,B2)
【文献】 特許第5314645(JP,B2)
【文献】 米国特許第4502334(US,A)
【文献】 米国特許第5481921(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定流体に接続された中空部を有し、所定の曲率の曲がり部を有して1周以上巻かれた測定管と、
この測定管の変形を検出する検出部と、
を有し、
前記検出部は、前記測定管の一部と接触することによって接点が移動するマイクロスイッチであって、前記1周以上巻かれた測定管がなす円の内側に配置され、
このマイクロスイッチの常開接点と接地端子との間に警報装置と電源とを接続し、前記測定管が伸張することによって前記マイクロスイッチを操作して警報装置を作動させ、
前記測定管の先端部は、前記測定管に所定の設定最低圧力を与えて変形させた状態で前記検出部がONとなる位置に配置され、
前記検出部と前記測定管の先端部との間には、検出部の検出方向に対して傾斜することによって、前記先端部の移動を前記検出部の動作方向への移動に変換する傾斜面が設けられたことを特徴とする圧力監視装置。
【請求項2】
前記検出部は、前記測定管の一部と接触することによってその接触圧力を電気信号に変換する圧電素子である、
請求項1に記載の圧力監視装置。
【請求項3】
前記測定管と検出部との間の相対位置を調整する調整部を有する請求項1または2のいずれか1項に記載の圧力監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力測定装置および圧力監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流体の圧力を測定するための関連技術として、ブルドン管を利用するものがある。
ブルドン管は、所定の曲率で曲がった中空状の金属管が内圧を受けることによって曲率が小さくなる(伸張する)ように変形する性質を利用するもので、この変形に伴って、ブルドン管に機械的に連結された指針等の部材を動かし、その移動量を目盛りにより読み取るよう構成されている。
【0003】
前記ブルドン管は、全長が長いほど変形量を大きくすることができるから、高圧の流体を測定しようとする場合、あるいは高い分解能の測定を行おうとする場合には、スパイラル状(渦巻状)、ヘリカル状(コイルばね状)など、全長が長く、かつコンパクトにまとまることができるとともに、変形が容易な形状を採用することによって、高圧、高分解能の要求を満たすことが必要となる。
【0004】
このブルドン管に関連する技術として特許文献1、および特許文献2がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−032266号公報
【特許文献2】実開平2−14048号公報
【0006】
この特許文献1に記載された圧力計は、限られた長さのブルドン管において、ギア機構を用いることによってブルドン管の変形を拡大することにより、圧力変化に対する目盛りの移動量を大きく確保することにより、見やすさ、読み取り誤りの防止という効果を得ることを主眼とするため、小型化に適したものではない。また特許文献2に記載された圧力計は、ブルドン管の変形をレバー等により検出用板の移動に変換し、この移動を近接センサにより検出するもので、ブルドン管の変形を近接センサに検出させるための回路を別途必要とする。
【0007】
ところで、酸素の補給を受けながら日常生活を送ることが必要な患者(以下利用者という)のため、携帯用の酸素ボンベが使われることがある。この酸素ボンベは、利用者の携帯の便を考慮して、できるだけ、小型、軽量化が求められる。また、この酸素ボンベは、安全性が担保される限り、高圧化すればするほど、必要量の酸素を貯蔵するための容積が小さくて済むため、小型化の面で有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
また酸素ボンベには、構造状の安全性の見地、および、提供者や利用者が残量を的確に把握する目的から、内部の圧力を測定する圧力計が必要とされる。このような高圧ガスのボンベには、一般に、前述のブルドン管を利用した圧力計が採用されるが、この圧力計についても、利用者が携帯する際の便を考慮して、小型化、軽量化するとともに、利用者に圧力の低下(残量の減少)を的確に報知することが求められる。
【0009】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、圧力検出装置を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本願の第1の態様にかかる圧力検出装置は、被測定流体に接続された中空部を有し、所定の曲率の曲がり部を有する測定管と、この測定管の変形を検出する検出部とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、測定管の変形を検出することによって圧力検出装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の最少構成の説明図である。
図2】本発明の第1実施形態の平面図である。
図3】本発明の第1実施形態の動作説明図である。
図4】第1実施形態の作動圧力調整の説明図である。
図5】第1実施形態の第1変形例の説明図である。
図6】第1実施形態の第2変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の最少構成にかかる第1実施形態について図1を参照して説明する。
符号1は所定曲率で湾曲した中空状の測定管である。この測定管1は、先端が閉じられ、基端が被測定流体(図示略)の貯蔵タンク、あるいは管路等に連通されて被測定流体の圧力を受けるようになっている。また前記測定管1は、常圧(例えば大気圧下)では、図中実線で示すような屈曲状態にあり、被測定流体の圧力が高くなることによって図中破線で示すように伸張(曲率が小さくなり)する。また、この曲率の変化は、前記測定管1の伸張がその弾性変形の限界内である限り、可逆的に発生する現象であるから、前記測定管1は、圧力の上昇、低下により、図中破線で示す状態と実線で示す状態との間で繰り返し変形することができる。
前記測定管1の先端(閉塞側の端部)の近傍には、検出部2が設けられており、この検出部2は、前記測定管1の曲率の変化(伸張および屈曲)に伴って、図中破線で示す位置と実線で示す位置との間で移動するよう、例えば、支点Oを中心として回転可能に構成されている。
【0014】
図1の圧力測定装置にあっては、測定管1に加わる圧力が高くなることにより、測定管1が図中実線の状態から破線の状態へ曲率が小さくなるように変形し、この変形により検出部2が図中実線の位置から破線の位置に支点Oを中心に矢印Aと反対の方向へ回転する。このとき、検出部2は、測定管1の先端の位置に追従して、上昇位置(図中破線で示す)となる。また、圧力が低くなることによって、測定管1が曲率を大きくするように変形して検出部2を押し下げ、検出部2が支点Oを中心に矢印A方向へ回転して破線の位置から実線の位置に回転移動し、圧力の低下を検出することができる。例えば、測定管1が変形して検出部2を押し下げ、その先端を電気接点に接触させることなどにより、圧力の低下を検出することができる。
【0015】
図2、3は本発明の第1実施形態を示すものである。
符号10はほぼ1回転半にわたって巻かれた測定管である。この測定管10は、その外周とほぼ同一の曲率を有する円筒状の筐体11に収容され、この筐体11の裏側(図2の紙面の裏側)へ向かって屈曲した位置で開放され、この開放個所を測定対象(例えば、ガスボンベや配管)に連通させることによって、被測定流体の圧力を受けるようになっている。
符号20は測定管10の先端部12の移動によって操作される検出部であって、例えば、一方向への移動動作によってON〜OFFに切り替えられる機械式のマイクロスイッチが使用される。図示例では、上部から突出する操作子21が、その上部に設けられた板ばね22を介して測定管10の先端部12に押されることにより、ON〜OFFに切替操作される。
【0016】
前記測定管10は、基端部において筐体11の底板13に取付ボルト14により固定され、先端が前記板ばね22に接触している。この板ばね22は、前記測定管10の先端部12が内圧変化によって移動する変位(通常は、直交座標系の2方向への変位)を前記操作子21の往復動(図2の上下方向への一方向への移動)に変換し、ON〜OFFに切替操作する。
【0017】
前記検出部20の裏側の底板13には、上下に長穴状をなす取付穴23が設けられ、この取付穴23にねじ込まれる取付ボルト24によって検出部20が筐体11に固定されている。また前記取付ボルト24の位置を取付穴23の長さ方向へ移動させることによって、検出部20の板ばね22と測定管10の先端部12の位置とを相対的に移動させることができる。すなわち、検出部20の取付位置を上下に移動させることによって、検出部20の操作子21が切替操作される圧力を調整することができるようになっている。
第1実施形態にあっては、前記測定管10の一部(圧力変化によって変位する先端部以外のいずれかの個所)が取付ボルト14によって筐体11の底板13に固定され、また、検出部20の本体(測定管10の先端部12により操作される操作子21および板ばね22以外の部分)が底板13に固定されており、この構造により、圧力変化に伴う測定管10の先端部12の移動を検出部20の操作子21に伝達して、検出部20を切替操作することができる。
【0018】
さらに、前記検出部20を構成するマイクロスイッチは、図4(a)に示すように、接地端子G、操作子21が操作されない位置(上昇位置)で回路を開く常開接点NO、操作子21が操作された位置(下降位置)で回路を開く常閉接点NCとを有し、常開接点NOと接地端子Gとの間に電源Vcと負荷Rとが直列に接続されている。ここで、負荷となる装置は、例えば、通電により点灯するLED等の光源、音を発するブザー、振動する振動装置である。
【0019】
第1実施形態の圧力測定装置は、例えば常用圧力3Mpaの携帯用酸素ボンベに接続して測定管10に圧力を供給した状態で使用される。
この携帯用酸素ボンベに使用される場合の設計諸元は、例えば下記の通りである。
耐圧力……30Mpa
測定管10の長さ……130mm
測定管10の巻き外径……φ30mm
巻き高さ……15mm
巻き数……螺旋状に1.5巻
巻き線断面……0.3mm×3mmの長円状
材質……ステンレス鋼
マイクロスイッチの作動力……0.3N
切替に要する移動ストローク……1mm
【0020】
図3(a)(b)を参照して圧力測定装置の作用を説明する。
図3(a)は、検出すべき最低圧力以上の圧力が加わった状態を示し、測定管10は、(a)の左向きの矢印方向へ伸びて曲率が大きな状態に弾性変形している。
この状態では、板ばね22が上昇して検出部20がOFFの状態であり、常開接点NOと接地端子Gとの間の負荷Rが通電されないため、負荷である光源が消灯している。
【0021】
携帯用酸素ボンベの酸素が消費されて圧力が低下し、所定の残量以下に相当する圧力(常用圧力より低い所定の最低圧力)を下回ると、図3(b)に示すように、測定管10の内圧が下がることにより、自身の弾性力により、(b)の右向きの矢印方向へ曲率が小さくなるように復元する。このとき、測定管10は、円筒状の筐体11の内周に沿って全体の曲率が小さくなるように変形する。このような測定管10の矢印方向への復元により、先端が板ばね22を押し下げて検出部20がON状態に切り替えられ、常開接点NOが閉じられて負荷R、電源Vc、接地端子Gの回路が閉じられ、負荷Rの光源が点灯して、圧力低下を報知することができる。
【0022】
この切替に際し、板ばね22が検出部20の動作方向(図3(a)の上下方向)に対して傾斜しているので、測定管10の曲率の変化に伴う複数の方向(図3の平面のx,y軸方向)への変位を板ばね22により上下方向(x軸方向)の変位に変換して検出部20を作動させることができる。
この第1実施形態の圧力検出装置は、圧力により変形する測定管10と、機械的に作動するマイクロスイッチとを用いて、圧力低下(残量低下)の場合にのみ負荷Rに通電して報知するから、電源Vcの供給は最小限で済み、携帯用酸素ボンベ等の小型、軽量化に特に有効である。
【0023】
ここで、検出部20が切り替えられる圧力の調整は、図4に示すように、検出部20の取付位置を取付穴23の範囲で上下動作させることにより行うことができる。
例えば、測定管10に既知の圧力(例えば検出すべき最低圧力……設定最低圧力)を与えて曲率が大きくなる方向へ変形させた状態で検出部20がON(常開接点NOが閉じる)となる位置に位置合わせし、取付ボルト24を締め込むことによって固定すれば、設定最低圧力より高い状態で曲率が大きく伸張して板ばね22から離れていた(あるいは接していても検出部20を作動させるに足るほどのストロークだけ移動させていなかった)測定管10が、板ばね22を介して操作子21を押し下げ、検出部20をONに切り替えることができる。
【0024】
なお、測定管10の巻き数(長さ)は、図2に示すような1回転半程度に限られるものではなく、図1に示す程度の、すなわち、僅かに曲がった部分を有する程度の1回転(1巻き)未満とし、その僅かに曲がった部分の曲率の変化に伴う変位を、切替動作に要するストロークの小さなマイクロスイッチで検出するようにしても良い。すなわち、測定管10を短くし、外径を小さくすることによって、より小型化を図ることができる。
【0025】
図5は圧力調整機構の第1変形例を示すものである。
図5に示すように、検出部20の取付個所を左右へ移動させることにより、板ばね22と測定管10の先端との接触位置を移動させることにより、検出部20の切替に必要なストロークと実際の測定管10の先端の移動との関係を調整することができる。すなわち、板ばね22の基端寄りの位置に測定管10を接触させることにより、小さな変位によって検出部20を切替装置することができる。この作動圧力の調整は、前述の検出部20を上下動させる場合と同様に、例えば、測定管10に既知の常用圧力を加えた状態とし、この状態と、検出すべき所定の圧力を加えた状態とで検出部20が切替られるよう、検出部20の取付位置を横方向へ移動させることにより行われる。
【0026】
図6は圧力調整機構の第2変形例を示すものである。
図6に示すように、検出部20の操作子21の突出量を上下に変化させることにより、所定の検出圧力に達した測定管10の先端が検出部20を切替操作することができる位置に調整することができる。
【0027】
なお前述のように、負荷Rには、光源に代えて、あるいは光源と併用して、ブザー、振動器を用いて利用者に圧力低下を報知するようにしても良い。
【0028】
また前記第1実施形態では、常開接点NOと接地端子Gとの間に負荷と電源とを接続して圧力低下を点灯により報知したが、常閉接点NCと接地端子Gとの間に負荷と電源とを接続して、常時光源を点灯させ、圧力低下を消灯により報知するようにしても良い。
さらに、負荷Rに加わる電圧信号を検出して、携帯型通信機等により病院、消防等の機関へ圧力低下、すなわち酸素ボンベ交換や補充の必要性を通知するようにしても良い。なお、圧力測定装置の小型化および軽量化の見地から、警報に必要な電源(電池)も小型にする必要があるから、第1実施形態の如く接地端子Gと常開接点NOとの間に負荷Rと電源Vcとを接続して、圧力低下時のみ通電される(電力が消費される)ような回路構成を採用して、消費電力を節減することが望ましい。
【0029】
また、上記第1実施形態のマイクロスイッチに変えて、測定管の変形を電気信号に変換する圧電素子やストレインゲージ等の他の検出機器を採用しても良い。
また、電源Vcには乾電池、二次電池、蓄電素子、太陽電池等を適用することができる。
【0030】
また、上記実施形態の圧力検出装置を複数準備し、互いの検出圧力(切替圧力)を異なる設定とすることにより、所定圧力に達する毎に光源を点灯させれば、複数の圧力を検出することができる。すなわち、圧力が変化する毎に点灯表示が変わる圧力計として利用することもできる。
【0031】
また、本発明の圧力検出装置、あるいは圧力監視装置は、携帯用酸素ボンベのみならず、流体を貯蔵するタンク、流体が流れる管路の圧力検出、監視にも適用することができる。
【0032】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能であり、それらも本発明の範囲内に含まれるものであることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、圧力容器や配管、特に携帯用の酸素ボンベ等の圧力容器の圧力検出、あるいは、残量検出に利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1……測定管
2……検出部
10……測定管
11……筐体
12……先端部
13……底板
20……検出部
21……操作子
22……板ばね
23……取付穴
24……取付ボルト
G……接地端子
NO……常開接点
NC……常閉接点
図1
図2
図3
図4
図5
図6