(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、アナログクォーツ式の時計を一例として説明する。
[第1実施形態]
(時計)
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、指針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。
時計の基盤を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側、すなわち、文字板のある方の側をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側、すなわち、文字板と反対の側をムーブメントの「表側」と称する。
【0018】
図1は、第1実施形態に係る時計を示す外観図である。
図1に示すように、時計1のコンプリートは、ケース裏蓋(不図示)およびガラス2を有する時計ケース3の内部に、ムーブメント10、文字板11および指針12〜14を備える。
文字板11は、少なくとも時に関する情報を示す目盛り等を有する。指針12〜14は、時を示す時針12、分を示す分針13および秒を示す秒針14を含む。
【0019】
(ムーブメント、輪列機構)
図2は、第1実施形態に係るムーブメント10の一部を示す図であって、(a)は平面図であり、(b)は断面図である。
図3は、ムーブメント10の一部を拡大して示す平面図である。
図2および
図3に示すように、ムーブメント10は、地板20と輪列受29とを備える。
地板20は、ムーブメント10の基盤を構成する。
図1に示すように、ムーブメント10には、地板20に形成された巻真案内穴(不図示)を通して巻真24が回転可能に組み込まれる。巻真24は、分針13および時針12を回転させて、時刻表示(時および分の表示)を修正する時刻合わせに用いられる。巻真24の先端には、時計ケース3の側方に位置するりゅうず53が取付けられる。
【0020】
地板20の裏側には、文字板11がガラス2を通じて視認可能に配置される。
地板20の表側には、電池(不図示)、水晶ユニット(不図示)、回路基板(不図示)、ステップモータ35(動力源)、輪列機構23等が配設される。
【0021】
図2に示すように、ステップモータ35は、コイルブロック(不図示)と、このコイルブロックの磁心の両端部分と接触するように配置されたステータ31と、このステータ31のロータ穴31aに配置されたロータ32と、を有する。
【0022】
ロータ32は、地板20および輪列受29に対して回転可能に支持されている。すなわち、ロータ32の上軸部が輪列受29の軸受部に軸支され、ロータ32の下軸部が地板20の軸受部に軸支される。
ロータ32は、1秒ごとに1ステップ回転するようになっており、ロータかな32dを介して五番車40に回転力を付与する。
【0023】
輪列機構23は、ロータ32の回転に基づいて回転する五番車40と、五番車40の回転に基づいて回転する四番車41と、四番車41の回転に基づいて回転する三番車(不図示)と、前記三番車の回転に基づいて回転する二番車43と、二番車43の回転に基づいて回転する日の裏車(不図示)と、前記日の裏車の回転に基づいて回転する筒車44と、を備える。
輪列機構23は、本発明の輪列機構の第1実施形態である。
なお、以下の説明では、四番車41の軸心O1の方向を軸方向とし、軸方向に沿う輪列受29側(表側)を上方、地板20側(裏側)を下方という場合がある。また、軸心O1に直交する方向を径方向とする。四番車41の軸心O1は車軸60の軸心に一致する。
【0024】
五番車40は、五番歯車40aおよび五番上かな40bを有しており、地板20および輪列受29に対して回転可能に支持されている。即ち、五番車40の上軸部40cが輪列受29の軸受部に軸支され、五番車40の下軸部40dが地板20の軸受部に軸支されている。五番歯車40aは、ロータ32のロータかな32dに噛み合っている。これにより、五番車40はロータ32の回転に伴って回転する。
【0025】
二番車43は、四番車41の軸心O1と同軸に配置されており、地板20に一体的に形成されている円筒部52に対して回転可能に取り付けられている。二番車43は、前記三番車に噛み合う二番歯車43aを有している。これにより、二番車43は、前記三番車の回転に伴って回転する。
【0026】
二番車43は、地板20に一体的に形成されている円筒部52の内部に配置されていると共に、円筒部52の上方開口端上に回転可能に載置されている。これにより、二番車43は、安定した回転が可能とされている。
二番車43は1時間に1回転するように構成され、下端部には分針13が取り付けられている(
図1参照)。
【0027】
筒車44は、四番車41の軸心O1と同軸に配置されており、円筒部材52に対して回転可能に取付けられて、円筒部材52よりも裏側に位置している。筒車44は、前記日の裏車等を介して二番車43に噛み合う筒歯車44aを有している。これにより、筒車44は、前記日の裏車に基づいて回転する。
なお、筒車44は12時間に1回転するように構成されていると共に時針12が取付けられている(
図1参照)。
【0028】
巻真24は、分針13および時針12を回転させて、時刻表示(時および分の表示)を修正する時刻合わせに用いられる時計部品であり、その一端部には時計ケース3の側方に位置するりゅうず53が取付けられている(
図1参照)。
巻真24は、前述のように、地板20に形成された巻真案内穴によって回転可能に支持されていると共に、軸方向に引出操作可能とされている。巻真24は、地板20の表側に配置された、おしどり、かんぬき、かんぬきばね等の図示しない切替装置により、軸方向の位置が決められている。
【0029】
地板20の表側には、巻真24を引き出した状態で回転させたときに、つづみ車(不図示)等を介して回転する前記日の裏車が配置されている。前記日の裏車が回転することにより、二番車43および筒車44が回転する。これにより、時刻合わせが可能となる。
【0030】
(四番車)
次に、四番車41について、
図2〜
図10を参照して説明する。四番車41は、本発明の歯車体の第1実施形態である。
図2および
図3に示すように、四番車41は、五番車40と前記三番車との間に配置された車であり、軸心O1回りに回転可能とされた車軸60に固定された第1四番歯車61と、第1四番歯車61に対して回転可能に取付けられた第2四番歯車62と、を備えている。
第1四番歯車61は本発明に係る第1歯車の一例である。第2四番歯車62は本発明に係る第2歯車の一例である。図示の例では、第2四番歯車62は、第1四番歯車61に対して上側に位置する。
【0031】
図2に示すように、車軸60は、二番車43の内部の挿通孔に挿通されている。また、車軸60の上軸部60aは、輪列受29の軸受部に軸支されている。これにより、四番車41は安定した回転が可能とされている。車軸60の下軸部60bは、二番車43よりもガラス2側に突出しており、この突出した部分に秒針14が取り付けられている(
図1参照)。
【0032】
図4は、四番車41を示す斜視図である。
図5は、四番車41を示す平面図である。
図6は、四番車41を示す分解斜視図である。
図7は、四番車41の第1四番歯車61を示す平面図である。
図8は、第2四番歯車62を示す平面図である。
図9は、第2四番歯車62を内面側から見た斜視図である。
【0033】
図6および
図7に示すように、第1四番歯車61は、第1基体63と、第1基体63と一体に形成された第1弾性腕部64と、第1基体63の対向面63a(上面)から突出する支持軸部65とを有する。
第1基体63の外周縁には、五番車40の五番上かな40bに噛み合う複数の歯部61aが全周にわたって形成されている。図示の例では、歯部61aの歯数は30とされている。対向面63aは第2四番歯車62側の面である。
【0034】
第1基体63には、軸心O1を含む中央位置に中央穴部66が形成され、軸心O1から離れた位置に、第1長穴部67(第1穴部)と、第1係止穴部68(一方側係止受け部)とが形成されている。
中央穴部66は、第1基体63の厚さ方向に貫通して形成されており、平面視形状は例えば円形である。
【0035】
第1長穴部67は、厚さ方向に貫通して形成されており、平面視形状は、例えば軸心O1回り方向(第1基体63の周方向)に沿う円弧状とされている。第1長穴部67と軸心O1とで形成される扇形を想定すると、その中心角は、例えば90〜300°である。図示の例では、前記中心角は約270°である。第1長穴部67の幅(第1基体63の径方向の寸法)は、全長にわたってほぼ一定とするのが好ましい。第1長穴部67の幅は、第2移動規制凸部79の外径より大きい。
第1長穴部67の一端部67aは、平面視において、湾曲凹状、例えば半円形状とするのが好ましい。一端部67aの曲率半径は、第2移動規制凸部79の平面視における外周縁の曲率半径より大きいことが好ましい。
【0036】
第1係止穴部68は、後述する第2係止凸部74dが係止する穴部であって、厚さ方向に貫通して形成されており、平面視形状は例えば円形である。第1係止穴部68は、第1長穴部67とは第1基体63の周方向に位置を違えて形成されている。
第1係止穴部68には、第2弾性腕部74の第2係止凸部74dが挿入され、係止する。これによって、第2弾性腕部74は第1四番歯車61に接続される。
【0037】
第1基体63の対向面63aには、第1移動規制凸部69が形成されている。第1移動規制凸部69は、例えば平面視円形であり、対向面63aから上方に突出して形成されている。第1移動規制凸部69は、後述する第2長穴部77に挿入可能に形成されている。第1移動規制凸部69は、第1長穴部67および第1係止穴部68とは第1基体63の周方向に位置を違えて形成されている。
【0038】
第1弾性腕部64は、第1長穴部67の内部空間に、第1長穴部67の他端部67bから一端部67aに向けて延出している。
第1弾性腕部64は、他端部67bから第1長穴部67の長さ方向に沿って延出する延出部64aと、延出部64aの先端に形成された先端部64bとを有する。
延出部64aの平面視形状は、例えば軸心O1回り方向(第1基体63の周方向)に沿う円弧状とされている。延出部64aの幅は、例えば長さ方向に一定とされる。
延出部64aの対向面64c(第2四番歯車62側の面)は、第1基体63の対向面63aと面一(仮想同一平面上)とされている。延出部64aの厚さは第1基体63の厚さと同じであることが好ましい。
【0039】
先端部64bは、例えば円筒形とされ、その上部は、延出部64aの対向面64cに対して上方に突出して形成された第1係止凸部64d(第1係止部)である。先端部64bの外径は延出部64aの幅より大きいことが好ましい。
【0040】
図6に示すように、支持軸部65は、複数のラッチ部70と、複数の保持壁部71とを有する。
ラッチ部70は、板状のラッチ本体70aと、係止爪部70bとを有する。
ラッチ本体70aの平面視形状は、例えば軸心O1回り方向(第1基体63の周方向)に沿う円弧状とされている。ラッチ本体70aは、対向面63aに対して上方に突出して形成されている。ラッチ本体70aは、係止爪部70bが軸心O1に対して接近および離間するように弾性的に曲げ変形可能である。ラッチ本体70aは、第2四番歯車62の中央穴部76に挿入可能である。
【0041】
係止爪部70bは、ラッチ本体70aの先端部の外面から径方向外方に突出して形成されている。係止爪部70bは、対向面63aよりも高い位置に形成されている。係止爪部70bは、第1四番歯車61から離れる方向(上方)の第2四番歯車62の移動を規制できるように形成される。
【0042】
複数のラッチ部70は、軸心O1回り方向(第1基体63の周方向)に間隔をおいて形成されている。図示の例では、ラッチ部70の数は3であり、これらのラッチ部70は互いに等間隔に設けられている。
【0043】
保持壁部71は、対向面63aに対して上方に突出して形成されている。保持壁部71の平面視形状は、例えば軸心O1回り方向(第1基体63の周方向)に沿う円弧状とされている。保持壁部71の外径は、例えばラッチ本体70aの外径とほぼ同じである。
保持壁部71は、隣り合うラッチ部70の間に形成されている。図示の例では、保持壁部71の数は3であり、これらの保持壁部71は互いに等間隔に設けられている。
保持壁部71は、第2四番歯車62の中央穴部76に挿入可能である。
【0044】
支持軸部65は、第2四番歯車62の中央穴部76に挿通し、第2四番歯車62を軸心O1回りに回転自在に支持することができる。
第1基体63には、ラッチ本体70aの径方向外方側に隣接して、第1基体63を貫通する貫通穴72が形成されている。貫通穴72によって、ラッチ本体70aは径方向外方に変形しやすくなる。
【0045】
図4〜
図6、
図8および
図9に示すように、第2四番歯車62は、第2基体73と、第2基体73と一体に形成された第2弾性腕部74と、を有する。
第2四番歯車62は、第1四番歯車61の上側に重なった状態で第1四番歯車61に対して回転可能に取付けられている。そのため、第2四番歯車62は、第1四番歯車61とは独立して軸心O1回りに回転可能とされている。
【0046】
第2四番歯車62の外径は、第1四番歯車61の外径と同じであることが好ましい。
第2基体73の外周縁には、五番車40の五番上かな40bに噛み合う複数の歯部62aが全周にわたって形成されている。第2四番歯車62の歯部62aの数は、第1四番歯車61の歯部61aの数と同じであることが好ましい。図示の例では、歯部62aの歯数は30とされている。歯部62aのピッチ(隣り合う歯部62aの周方向距離)は、第1四番歯車61の歯部61aのピッチと同じであることが好ましい。
第2基体73の対向面73a(下面)(
図9参照)は第1四番歯車61側の面である。対向面73aは第1四番歯車61の対向面63aに当接していてもよい。
【0047】
第2基体73には、軸心O1を含む中央位置に中央穴部76が形成され、軸心O1から離れた位置に、第2長穴部77(第2穴部)と、第2係止穴部78(他方側係止受け部)とが形成されている。
中央穴部76は、第2基体73の厚さ方向に貫通して形成されており、平面視形状は例えば円形である。中央穴部76は、第1四番歯車61の支持軸部65(ラッチ本体70aおよび保持壁部71)が挿通可能とされている。
中央穴部76の内径は、第1四番歯車61に対して第2四番歯車62がスムーズに回転するように、ラッチ本体70aおよび保持壁部71の外径とほぼ同じか、またはラッチ本体70aおよび保持壁部71の外径よりやや大きくされることが好ましい。
【0048】
第2長穴部77は、厚さ方向に貫通して形成されており、平面視形状は、例えば軸心O1回り方向(第2基体73の周方向)に沿う円弧状とされている。第2長穴部77と軸心O1とで形成される扇形を想定すると、その中心角は、例えば90〜300°である。図示の例では、前記中心角は約270°である。第2長穴部77の幅(第2基体73の径方向の寸法)は、全長にわたってほぼ一定とするのが好ましい。第2長穴部77の幅は、第1移動規制凸部69の外径より大きい。
第2長穴部77の一端部77aは、平面視において、湾曲凹状、例えば半円形状とするのが好ましい。一端部77aの曲率半径は、第1移動規制凸部69の平面視における外周縁の曲率半径より大きいことが好ましい。
【0049】
第2係止穴部78は、第1係止凸部64dが係止する穴部であって、厚さ方向に貫通して形成されており、平面視形状は例えば円形である。第2係止穴部78は、第2長穴部77とは第2基体73の周方向に位置を違えて形成されている。
第2係止穴部78には、第1弾性腕部64の第1係止凸部64dが挿入され、係止する。これによって、第1弾性腕部64は第2四番歯車62に接続される。
【0050】
第2基体73の対向面73aには、第2移動規制凸部79が形成されている。第2移動規制凸部79は、例えば平面視円形であり、対向面73aから下方に突出して形成されている。第2移動規制凸部79は、第1四番歯車61の第1長穴部67に挿入可能に形成されている。第2移動規制凸部79は、第2長穴部77および第2係止穴部78とは第2基体73の周方向に位置を違えて形成されている。
【0051】
第2弾性腕部74は、第2長穴部77の内部空間に、第2長穴部77の他端部77bから一端部77aに向けて延出している。
第2弾性腕部74は、他端部77bから第2長穴部77の長さ方向に沿って延出する延出部74aと、延出部74aの先端に形成された先端部74bとを有する。
延出部74aの平面視形状は、例えば軸心O1回り方向(第2基体73の周方向)に沿う円弧状とされている。延出部74aの幅は、例えば長さ方向に一定とされる。
延出部74aの対向面74c(第1四番歯車61側の面)は、第2基体73の対向面73aと面一(仮想同一平面上)とされている。延出部74aの厚さは第2基体73の厚さと同じであることが好ましい。
【0052】
先端部74bは、例えば円筒形とされ、その下部は延出部74aの対向面74cに対して下方に突出して形成された第2係止凸部74d(第2係止部)である。先端部74bの外径は延出部74aの幅より大きいことが好ましい。
【0053】
図6に示すように、第2弾性腕部74の延出方向は、第1四番歯車61の第1弾性腕部64の延出方向とは反対の方向である。図示の例では、上方から見て、第1弾性腕部64の延出方向は軸心O1に対して右回りの方向であるのに対して、第2弾性腕部74の延出方向は、軸心O1に対して左回りの方向である。
【0054】
図10に示すように、第1弾性腕部64および第2弾性腕部74が弾性変形していない状態で第1四番歯車61と第2四番歯車62とを重ねると、第1弾性腕部64の先端部64bの第1係止凸部64dは、第2四番歯車62の第2係止穴部78とは周方向位置が一致しない。図示の例では、第1係止凸部64dは、第2係止穴部78に対して右回り方向にずれた位置にある。
第2弾性腕部74の先端部74bの第2係止凸部74dは、第1四番歯車61の第1係止穴部68とは周方向位置が一致しない。図示の例では、第2係止凸部74dは、第1係止穴部68に対して左回り方向にずれた位置にある。
【0055】
図4〜
図6に示すように、四番車41は、第1係止凸部64dが第2係止穴部78に挿入され、第2係止凸部74dが第1係止穴部68に挿入された状態で、第1四番歯車61と第2四番歯車62とが組み合わされている。この状態では、第1弾性腕部64および第2弾性腕部74は、湾曲半径が小さくなる方向に弾性的に曲げ変形されている。
【0056】
第1弾性腕部64および第2弾性腕部74は、弾性変形された状態となるため、第1四番歯車61と第2四番歯車62とは、第1弾性腕部64および第2弾性腕部74の弾性力によって互いに反対の方向に付勢される。図示の例では、第1四番歯車61は第2弾性腕部74によって左回り方向に付勢され、第2四番歯車62は第1弾性腕部64によって右回り方向に付勢されている。第1弾性腕部64および第2弾性腕部74は、その弾性力によって歯車61,62を互いに反対の方向に付勢する機能を有する。
【0057】
なお、図示の例では、第1弾性腕部64および第2弾性腕部74は、湾曲半径が小さくなる方向に弾性的に曲げ変形されているが、湾曲半径が大きくなる方向に弾性的に曲げ変形させることによって第1四番歯車61および第2四番歯車62に付勢力を与えてもよい。
【0058】
第1四番歯車61の第1移動規制凸部69は、第2四番歯車62の第2長穴部77に挿入されている。第1四番歯車61は、第1移動規制凸部69が第2長穴部77の一端部77aに係止することによって、第2弾性腕部74による付勢方向の移動が規制される。図示の例では、第1移動規制凸部69が第2長穴部77の一端部77aに係止することによって、第1四番歯車61の左回り方向の移動が規制される。
【0059】
第2四番歯車62の第2移動規制凸部79は、第1四番歯車61の第1長穴部67に挿入されている。第2四番歯車62は、第2移動規制凸部79が第1長穴部67の一端部67aに係止することによって、第1弾性腕部64による付勢方向の移動が規制される。図示の例では、第2移動規制凸部79が第1長穴部67の一端部67aに係止することによって、第2四番歯車62の右回り方向の移動が規制される。
【0060】
第1四番歯車61と第2四番歯車62とは互いに独立に回転可能であるため、第2移動規制凸部79が第1長穴部67の一端部67aから離れ、かつ第1移動規制凸部69が第2長穴部77の一端部77aから離れた状態となるように、第1四番歯車61と第2四番歯車62とを配置することができる。この状態では、第1四番歯車61と第2四番歯車62とは、第1弾性腕部64および第2弾性腕部74の弾性力によって互いに反対の方向に付勢された状態で、周方向のいずれにも移動可能となる。
【0061】
第1四番歯車61と第2四番歯車62との相対的な回動幅は、歯部61a,62aのピッチの半分以上(好ましくは歯部61a,62aの1ピッチ以上)であることが好ましい。例えば、第1四番歯車61と第2四番歯車62とは、歯部61a,62aの周方向位置が一致した状態から、歯部61a,62aの周方向位置が半ピッチ以上ずれた状態まで互いに移動可能とすることができる。
【0062】
第1四番歯車61の支持軸部65は第2四番歯車62の中央穴部76に挿入されている。第2四番歯車62は、支持軸部65によって第1四番歯車61に対して回転自在に支持される。
第2四番歯車62は、係止爪部70bによって、第1四番歯車61から離れる方向(上方)の移動が規制される。
【0063】
(時計の作用)
次に、上述のように構成された時計1の作用について説明する。
図2に示すように、ムーブメント10において、水晶ユニットにおける水晶振動子が所定周波数で発振すると、この水晶振動子の振動に基づいて、集積回路に内蔵されている発振部が基準信号を出力すると共に、分周部が発振部からの出力信号を分周する。
これによって、駆動部が分周部の出力信号に基づいて、ステップモータ35を駆動するモータ駆動信号を出力する。コイルブロックにこのモータ駆動信号が入力されると、ステータ31が磁化してロータ32を回転させる。このとき、ロータ32は、例えば1秒ごとに180度回転しながら、連続的に回転を継続する。
【0064】
ロータ32の回転力は五番車40を介して四番車41に伝達され、四番車41が1分間に1回転する。これにより、秒針14を1分間に1回転させることができる。また、四番車41に伝達された回転力は、三番車、二番車43および筒車44に伝達され、これら各車が回転する。このとき、二番車43が1時間に1回転し、筒車44が12時間に1回転する。これにより、分針13を1時間に1回転させ、時針12を12時間に1回転させることができる。
【0065】
五番車40から四番車41への回転力の伝達について詳細に説明する。
図3に示すように、第1四番歯車61および第2四番歯車62の歯部61a,62aは周方向に位相がずれた状態とすることができる。第1四番歯車61の歯部61aと第2四番歯車62の歯部62aとの周方向の隙間を「H1」という。第1四番歯車61および第2四番歯車62は、第1弾性腕部64および第2弾性腕部74の弾性力によって、隙間H1が小さくなる方向に付勢される。
【0066】
五番車40における五番上かな40bの歯部40b1は、歯部61a,62aの隙間H1に入り込んだ状態で四番車41の歯部(歯部61aと歯部62aのうち少なくとも一方)に噛み合う。そのため、ロータ32の回転に基づいて五番上かな40bが例えばCCW方向(反時計方向)に回転すると、四番車41の歯部(歯部61aまたは歯部62a)に回転力が伝達される。
第1四番歯車61および第2四番歯車62は互いに付勢されているため、第1四番歯車61および第2四番歯車62は共に一体的にCW方向(時計方向)に回転する。これにより、四番車41の全体をCW方向に回転させることができる。
【0067】
第1四番歯車61および第2四番歯車62は、第1弾性腕部64および第2弾性腕部74によって、隙間H1が小さくなる方向に付勢されるため、五番車40と四番車41との間でバックラッシュとして設定された隙間における四番車41の不要な回動(がたつき)を抑制できる。
図3に示す例では、五番上かな40bの歯部40b1は、第1四番歯車61の歯部61aと第2四番歯車62の歯部62aとによって挟み込まれた状態となっている。
なお、五番上かな40bの歯部40b1は、歯部61a,62aによって挟み込まれていなくてもよく、例えば歯部61aまたは歯部62aから離れていてもよい。
【0068】
隙間H1に五番上かな40bの歯部40b1が入り込んだ状態で、五番上かな40bおよび四番車41が回転する過程では、五番上かな40bの歯部40b1が、四番車41の歯部61a,62aの少なくともいずれか一方に、隙間H1を広げようとする力を加えることがある。
四番車41では、第1四番歯車61と第2四番歯車62は独立に回転可能であるため、第1弾性腕部64および第2弾性腕部74の付勢力に抗して、隙間H1が広がる方向に回転できる。
図示の例では、CCW方向(反時計方向)に回転する五番上かな40bの歯部40b1によって、第1四番歯車61の歯部61aにCW方向(時計方向)の力が加えられると、第2四番歯車62は全体的にはCW方向に回転しながらも、第1四番歯車61に対して相対的に逆方向(CCW方向)に回転することができる(矢印F1方向)。
そのため、四番車41の歯部61a,62aの間には、五番上かな40bの歯部40b1が入り込むことができる隙間H1を確実に確保することができる。
【0069】
このように、四番車41は、バックラッシュとして設定された隙間における不要な回動(がたつき)を抑制しつつ五番車40と噛み合せることができる。よって、バックラッシュに起因する作動のズレ等の悪影響を低減しつつ秒針14を進ませることができる。
四番車41は、押さえばねを利用していた従来品とは異なり、四番車41の外に別部材を設置する必要がないため、省スペース化を図ることができる。よって、時計1の小型化を図ることができる。また、前記別部材としての専用部品が不要であるため低コスト化が可能である。
【0070】
四番車41は、第1弾性腕部64が第1基体63と一体に形成されているため部品点数が少ない。そのため、製造を容易にするとともに、製造コストを抑えることができる。
さらに、四番車41では、第1四番歯車61と第2四番歯車62とが互いに反対の方向に付勢されるため、例えば製造上の理由により歯部61a,62aの形状やピッチが不均一となったり、四番車41と五番車40との距離が変動した場合などにおいても、バックラッシュとして設定された隙間における不要な回動(がたつき)を抑制することができる。よって、五番車40との間で一定の回転力を伝達することができる。
【0071】
四番車41では、押さえばねを利用していた従来品に比べて、四番車41に与えられる回転負荷を低減させることができる。そのため、四番車41を回転させるための回転トルクの上昇を抑制することができ、ステップモータ35の消費電力の低減が可能である。
さらに、四番車41は、回転トルクの上昇を抑制できるため、五番上かな40bの歯部40b1と、第1四番歯車61の歯部61aおよび第2四番歯車62の歯部62aと、の接触面の摩耗を防止し、耐久性を高めることができる。よって、五番車40および四番車41の長寿命化を図ることができる。
【0072】
四番車41では、第1四番歯車61の第1弾性腕部64によって歯車61,62を互いに反対の方向に付勢するだけでなく、第2四番歯車62の第2弾性腕部74によって歯車61,62を互いに反対の方向に付勢するので、歯車61,62に作用する付勢力を高めることができる。そのため、バックラッシュに起因する作動のズレ等の悪影響を確実に低減することができる。
【0073】
第1四番歯車61には、第2四番歯車62を回転自在に支持する支持軸部65が設けられている。
この構成によれば、支持軸部65を第2四番歯車62の中央穴部76に挿通させる操作によって、容易に第1四番歯車61と第2四番歯車62とを組み立てることができる。また、第1四番歯車61と第2四番歯車62との軸心合わせを容易かつ正確に行うことができる。
【0074】
四番車41では、第1弾性腕部64の第1係止凸部64dが第2四番歯車62の第2係止穴部78に係止することによって、第1弾性腕部64が第2四番歯車62に接続される。そのため、第1弾性腕部64を容易な操作で第2四番歯車62に接続することができる。
同様に、第2弾性腕部74の第2係止凸部74dが第1四番歯車61の第1係止穴部68に係止することによって、第2弾性腕部74が第1四番歯車61に接続されるため、第2弾性腕部74を容易な操作で第1四番歯車61に接続することができる。
【0075】
四番車41では、第1弾性腕部64が第1四番歯車61の第1長穴部67の内部空間に延出して形成されているため、第1四番歯車61を薄く形成することができる。また、第2弾性腕部74が第2四番歯車62の第2長穴部77の内部空間に延出して形成されているため、第2四番歯車62を薄く形成することができる。よって、四番車41を薄型化することができる。
【0076】
第1弾性腕部64および第2弾性腕部74は、軸心O1回り方向(第1基体63の周方向)に沿う形状とされているため、湾曲半径が変化するように弾性的に曲げ変形させることによって、第1四番歯車61および第2四番歯車62に大きな付勢力を作用させることができる。
【0077】
図11は、四番車41と同じ構造を有する歯車体81の使用状態の一例を示す図である。
図11に示すように、歯車体81は、歯車82と噛み合わせて用いることができる。歯車82は、弾性腕部などの構造をもたない汎用の構造の歯車である。歯車82は、歯部82aの数が歯部61a,62aの数と同じである。
【0078】
図12は、歯車体81の使用状態の他の例を示す図である。
図12に示すように、歯車体81は、同じ構造の歯車体81と噛み合わせて用いることができる。
【0079】
[第2実施形態]
(歯車体)
図13は、本発明の第2実施形態に係る歯車体91を示す平面図である。
図14は、歯車体91を示す分解斜視図である。
図13および
図14に示すように、歯車体91は、第1四番歯車61Aと、第2四番歯車92と、を備えている。
なお、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0080】
第1四番歯車61Aは、第1係止穴部68がないこと以外は
図6および
図7に示す第1四番歯車61と同じ構成である。
第2四番歯車92は、外周縁に複数の歯部92aが全周にわたって形成された第2基体93を備えている。
第2四番歯車92は、第1四番歯車61Aの上側に重なった状態で第1四番歯車61Aに対して回転可能に取付けられている。そのため、第2四番歯車92は、第1四番歯車61Aとは独立して軸心O1回りに回転可能とされている。
【0081】
第2四番歯車92の外径は、第1四番歯車61Aの外径と同じであることが好ましい。
第2四番歯車92の歯部92aの数は、第1四番歯車61Aの歯部61aの数と同じであることが好ましい。図示の例では、歯部92aの歯数は30とされている。歯部92aのピッチは、歯部61aのピッチと同じであることが好ましい。
【0082】
第2基体93には、軸心O1を含む中央位置に中央穴96が形成され、軸心O1から離れた位置に、第2移動規制穴部97と、第2係止穴部98(他方側係止受け部)とが形成されている。
中央穴部96は、第2基体93の厚さ方向に貫通して形成されており、平面視形状は例えば円形である。中央穴部96には、第1四番歯車61Aの支持軸部65が挿通可能である。
【0083】
第2移動規制穴部97は、厚さ方向に貫通して形成されており、平面視形状は例えば円形である。第2移動規制穴部97の内径は、第1移動規制凸部69の外径に比べて十分に大きくされている。これによって、第2移動規制穴部97に挿入された第1移動規制凸部69が、第2移動規制穴部97内で軸心O1回り方向(第2基体93の周方向)に移動可能となる。
【0084】
第2係止穴部98は、第1係止凸部64dが係止する穴部であって、厚さ方向に貫通して形成されており、平面視形状は例えば円形である。第2係止穴部98は、第2移動規制穴部97とは第2基体93の周方向に位置を違えて形成されている。
第2係止穴部98には、第1弾性腕部64の第1係止凸部64dが挿入され、係止する。これによって、第1弾性腕部64は第2四番歯車92に接続される。
【0085】
歯車体91は、第1係止凸部64dが第2係止穴部98に挿入された状態で、第1四番歯車61Aと第2四番歯車92とが組み合わされている。第1弾性腕部64は、湾曲半径が小さくなる方向に弾性的に曲げ変形されている。
第1四番歯車61Aと第2四番歯車92とは、第1弾性腕部64の弾性力によって互いに反対の方向に付勢される。
【0086】
第1四番歯車61Aの第1移動規制凸部69は、第2四番歯車92の第2移動規制穴部97に挿入されている。第1四番歯車61Aは、第1移動規制凸部69が第2移動規制穴部97の周縁部97aに係止することによって、第1弾性腕部64による付勢方向の移動が規制される。
第1四番歯車61Aと第2四番歯車92との相対的な回動幅は、歯部61a,92aのピッチの半分以上であることが好ましい。
【0087】
第1四番歯車61Aの支持軸部65は第2四番歯車92の中央穴部96に挿入されている。第2四番歯車92は、支持軸部65によって第1四番歯車61Aに対して回転自在に支持される。
第2四番歯車92は、係止爪部70bによって、第1四番歯車61Aから離れる方向(上方)の移動が規制される。
【0088】
歯車体91は、第1四番歯車61Aと第2四番歯車92とが、第1弾性腕部64の弾性力によって歯部61a,92aの隙間が小さくなる方向に付勢されるため、バックラッシュとして設定された隙間における不要な回動(がたつき)を抑制しつつ他の歯車と噛み合せることができる。よって、バックラッシュに起因する作動のズレ等の悪影響を低減することができる。
歯車体91は、押さえばねを利用していた従来品に比べて省スペース化を図ることができる。よって、時計1の小型化を図ることができる。また、別部材が不要であるため低コスト化が可能である。
歯車体91は、第1弾性腕部64が第1基体63と一体に形成されているため部品点数が少ない。そのため、製造を容易にするとともに、製造コストを抑えることができる。
歯車体91は、第1四番歯車61Aと第2四番歯車92とが互いに反対の方向に付勢されるため、歯部61a,92aの形状やピッチが不均一となったり他の歯車との距離が変動した場合などにおいても、バックラッシュとして設定された隙間における不要な回動(がたつき)を抑制することができる。よって、他の歯車との間で一定の回転力を伝達することができる。
【0089】
歯車体91では、回転負荷を低減させることができるため、ステップモータ35の消費電力の低減が可能である。
さらに、歯車体91は、回転トルクの上昇を抑制できるため、歯部の接触面の摩耗を防止できる。そのため、耐久性を高め、長寿命化を図ることができる。
【0090】
[第3実施形態]
(歯車体)
図15は、本発明の第3実施形態に係る歯車体101を示す平面図である。
図16は、歯車体101を示す分解斜視図である。
図15および
図16に示すように、歯車体101は、第1四番歯車111と、第1四番歯車111に対して回転可能に取付けられた第2四番歯車112と、を備えている。
なお、第1実施形態または第2実施形態と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0091】
第1四番歯車111は、第1基体113と、第1基体113の対向面113a(上面)から突出する支持軸部65とを有する。
第1基体113の外周縁には、複数の歯部111aが全周にわたって形成されている。第1四番歯車111の歯部111aの数は、第2四番歯車112の歯部62aの数と同じであることが好ましい。図示の例では、歯部111aの歯数は30とされている。対向面113aは第2四番歯車112側の面である。
第1四番歯車111の外径は、第2四番歯車112の外径と同じであることが好ましい。歯部111aのピッチは、歯部62aのピッチと同じであることが好ましい。
【0092】
第1基体113には、軸心O1を含む中央位置に中央穴部66が形成され、軸心O1から離れた位置に第1係止穴部68が形成されている。第1基体113の対向面113aには、第1移動規制凸部69が形成されている。
第2四番歯車112は、第2係止穴部78および第2移動規制凸部79がないこと以外は
図8および
図9に示す第2四番歯車62と同じ構成である。
【0093】
図15に示すように、歯車体101は、第2係止凸部74dが第1係止穴部68に挿入された状態で、第1四番歯車111と第2四番歯車112とが組み合わされている。第2弾性腕部74は、湾曲半径が小さくなる方向に弾性的に曲げ変形されている。
第1四番歯車111と第2四番歯車112とは、第2弾性腕部74の弾性力によって互いに反対の方向に付勢される。
【0094】
第1四番歯車111の第1移動規制凸部69は、第2四番歯車112の第2長穴部77に挿入されている。第1四番歯車111は、第1移動規制凸部69が第2長穴部77の一端部77aに係止することによって、第2弾性腕部74による付勢方向の移動が規制される。図示の例では、第1移動規制凸部69が第2長穴部77の一端部77aに係止することによって、第1四番歯車111の左回り方向の移動が規制される。
第1四番歯車111と第2四番歯車112との相対的な回動幅は、歯部111a,62aのピッチの半分以上であることが好ましい。
【0095】
歯車体101は、第1四番歯車111と第2四番歯車112とが、第2弾性腕部74の弾性力によって歯部111a,62aの隙間が小さくなる方向に付勢されるため、バックラッシュとして設定された隙間による不要な回動(がたつき)を抑制しつつ他の歯車と噛み合せることができる。よって、バックラッシュに起因する作動のズレ等の悪影響を低減することができる。
歯車体101は、押さえばねを利用していた従来品に比べて省スペース化を図ることができる。よって、時計1の小型化を図ることができる。また、別部材が不要であるため低コスト化が可能である。
歯車体101は、第2弾性腕部74が第2基体73と一体に形成されているため部品点数が少ない。そのため、製造を容易にするとともに、製造コストを抑えることができる。
歯車体101は、第1四番歯車111と第2四番歯車112とが互いに反対の方向に付勢されるため、歯部111a,62aの形状やピッチが不均一となったり他の歯車との距離が変動した場合などにおいても、バックラッシュとして設定された隙間における不要な回動(がたつき)を抑制することができる。よって、他の歯車との間で一定の回転力を伝達することができる。
【0096】
[第2実施形態の変形例]
(歯車体)
図17は、本発明の第2実施形態の変形例に係る歯車体121を示す平面図である。
図18は、歯車体121を示す分解斜視図である。
図17および
図18に示すように、歯車体121は、第1四番歯車61Aと、第2四番歯車122と、を備えている。
なお、第1実施形態、第2実施形態、または第3実施形態と同様の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0097】
第2四番歯車122は、第2移動規制穴部127の平面視形状が長円形であること以外は
図13および
図14に示す第2四番歯車92と同じ構成である。
第2移動規制穴部127は、例えば、平面視において、内周側の側周縁部127aと、外周側の側周縁部127bと、側周縁部127a,127bの一端側の端周縁部127cと、側周縁部127a,127bの他端側の端周縁部127dとからなる長円形である。側周縁部127a,127bは、例えば軸心O1回り方向(第2基体93の周方向)に沿う円弧である。端周縁部127c,127dは例えば湾曲凸状(例えば半円形)である。
【0098】
第1四番歯車61Aの第1移動規制凸部69は、第2四番歯車122の第2移動規制穴部127に挿入されている。第1四番歯車61Aは、第1移動規制凸部69が第2移動規制穴部127の端周縁部127cに係止することによって、第1弾性腕部64による付勢方向の移動が規制される。
【0099】
歯車体121は、第1四番歯車61Aと第2四番歯車122とが、第1弾性腕部64の弾性力によって歯部61a,92aの隙間が小さくなる方向に付勢されるため、バックラッシュとして設定された隙間における不要な回動(がたつき)を抑制しつつ他の歯車と噛み合せることができる。よって、バックラッシュに起因する作動のズレ等の悪影響を低減することができる。
歯車体121は、第2四番歯車122の第2移動規制穴部127が軸心O1回り方向(第2基体93の周方向)に沿う長円形であるため、第1四番歯車61Aと第2四番歯車122との周方向の回動幅を大きく確保できる。
【0100】
図19は、四番車41と同じ構造を有する歯車体を用いたムーブメントの他の例の一部を示す構成図である。
図19に示す構造は、りゅうず(不図示)の回転に基づいて回転する巻真24と、巻真24の回転に基づいて回転する第1中間車131と、第1中間車131の回転に基づいて回転する第2中間車132と、第2中間車132の回転に基づいて回転する第3中間車133と、第3中間車133の回転に基づいて回転する表示歯車134と、表示歯車134の回転に基づいて回転する表示車135と、表示車135の側面を押圧する躍制ばね136とを備えている。
この構造では、第2中間車132として、四番車41と同じ構造を有する歯車体が用いられている。
【0101】
この構造によれば、第2中間車132は、第1四番歯車61と第2四番歯車62とが、第1弾性腕部64および第2弾性腕部74の弾性力によって歯部61a,62aの隙間が小さくなる方向に付勢される。そのため、バックラッシュとして設定された隙間における不要な回動(がたつき)を抑制しつつ他の歯車(第1中間車131および第3中間車133)と噛み合せることができる。
そのため、りゅうずの回転による巻真24の動作と、表示車135による表示手段の動作との間のずれを小さくすることができる。従って、バックラッシュに起因する作動のズレ等の悪影響を低減し、操作性を向上させることができる。
【0102】
図20は、四番車41と同じ構造を有する歯車体を用いたムーブメントのさらに他の例の一部を示す構成図である。
図20に示す構造は、第3中間車133に代えて、四番車41と同じ構造を有する歯車体からなる第3中間車137が用いられていること以外は、
図19に示す構造と同じである。
【0103】
この構造によれば、第2中間車132および第3中間車137に、四番車41と同じ構造を有する歯車体が用いられているため、第1中間車131と第2中間車132との間、第2中間車132と第3中間車137との間、および、第3中間車137と表示歯車134との間において、バックラッシュに起因する作動のズレ等の悪影響を低減することができる。
多数の歯車を直列的に並べた構造においては、バックラッシュに起因する作動のズレが大きくなりやすいが、
図20に示す構造では、四番車41と同じ構造を有する歯車体(第2中間車132および第3中間車137)を複数使用することによって、歯車間の不要な回動(がたつき)を抑制できるため、バックラッシュの悪影響を低減することができる。
【0104】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
図4等に示す四番車41は、2つの歯車(第1四番歯車61および第2四番歯車62)からなるが、本発明の歯車体は、3以上の歯車から構成されていてもよい。その場合、3以上の歯車のうち少なくとも軸方向に隣り合う2つの歯車は、互いに独立して軸心回りに回転可能とされる。例えば、本発明の歯車体は、
図4等に示す第1四番歯車61および第2四番歯車62に加え、第2四番歯車62の上に第3の歯車が重ねられた構成であってもよい。本発明の歯車体を構成する歯車の数は2以上の任意の数としてよい。
【0105】
四番車41では、第1四番歯車61に第1長穴部67(第1穴部)が形成されており、第1弾性腕部64は第1長穴部67の内部空間に延出して形成されているが、第1四番歯車には第1長穴部(第1穴部)がなくてもよい。その場合には、第1弾性腕部は第1四番歯車の外部に延出して形成される。
また、四番車41では、第2四番歯車62に第2長穴部77(第2穴部)が形成されており、第2弾性腕部74は第2長穴部77の内部空間に延出して形成されているが、第2四番歯車には第2長穴部(第2穴部)がなくてもよい。その場合には、第2弾性腕部は第2四番歯車の外部に延出して形成される。
【0106】
四番車41では、第1四番歯車61の第1長穴部67は、第1基体63を厚さ方向に貫通して形成されているが、第1長穴部(第1穴部)は第1基体の表面に形成された溝部であってもよい。第2四番歯車62の第2長穴部77は、第2基体73を厚さ方向に貫通して形成されているが、第2長穴部(第2穴部)は第2基体の表面に形成された溝部であってもよい。
【0107】
四番車41では、第1弾性腕部64および第2弾性腕部74は円弧状に形成されているが、第1弾性腕部64および第2弾性腕部74の形状はこれに限らない。第1弾性腕部および第2弾性腕部の形状は、例えば、平面視において複数の直線部を組み合わせた折れ線形状であってもよい。
【0108】
四番車41では、第1弾性腕部64の第1係止凸部64dは第2四番歯車62の第2係止穴部78に挿入されて係止するが、逆に、第1弾性腕部に形成された係止穴部に、第2四番歯車の係止凸部が挿入されて係止する構造を採用してもよい。同様に、四番車41では、第2弾性腕部74の第2係止凸部74dは第1四番歯車61の第1係止穴部68に挿入されて係止するが、逆に、第2弾性腕部に形成された係止穴部に、第1四番歯車の係止凸部が挿入されて係止する構造を採用してもよい。
【0109】
四番車41では、第1四番歯車61に支持軸部65に設けられているが、第1四番歯車61は支持軸部65がない構成も可能である。この場合には、例えば、第2四番歯車は車軸60に取り付け可能としてよい。
【0110】
四番車41では、本発明に係る歯車体を秒針14が取り付けられる四番車41に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明に係る歯車体は、例えば四番車41に噛み合う三番車に適用してもよい。この場合であっても、バックラッシュの悪影響を低減することが可能である。
【0111】
本発明に係る歯車体は、クォーツ式の時計1ではなく、機械式時計に本発明に係る歯車体を適用してもよい。この場合、例えば、運針ムラが目立ち易いクロノグラフ秒が取り付けられる歯車に好適に採用できる。
四番車41では、第1四番歯車61の上側に第2四番歯車62を配置したが、第1四番歯車61と第2四番歯車62との上下関係は、図示例とは逆であってもよい。