特許第6708465号(P6708465)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708465
(24)【登録日】2020年5月25日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E04F 10/02 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
   E04F10/02
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2016-76645(P2016-76645)
(22)【出願日】2016年4月6日
(65)【公開番号】特開2017-186800(P2017-186800A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2019年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 崇人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 瑶平
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−317464(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3007954(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 10/00−10/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根フレームに対して前後に移動可能に支持され、ロープ体により前後に牽引されることで日除け体を開閉するための可動フレームと、
前記可動フレームに対して前記ロープ体を繋ぐための繋ぎ部材と、を備え、
前記繋ぎ部材は、前記ロープ体を挟み込むことにより前記ロープ体を保持する保持状態と、前記ロープ体の保持を解除する解除状態とを切り替え可能であり、
記ロープ体は、
前記可動フレームの左右の両端部に繋がれ、前記可動フレームの一端部を前方牽引可能であるとともに前記可動フレームの他端部を後方牽引可能となるように、屋根フレームに取り付けられる掛け具を経由して引き回される第1張力伝達部と、
前記可動フレームの左右の両端部に繋がれ、前記可動フレームの一端部が前方移動したときに前記可動フレームの他端部を前方牽引可能となるように、屋根フレームに取り付けられる掛け具を経由して引き回される第2張力伝達部と、を有し、
前記繋ぎ部材には、前記第1張力伝達部及び前記第2張力伝達部のそれぞれを前記可動フレームの一端部に繋ぐための第1繋ぎ部材が含まれ
前記ロープ体の両端部は、共通する前記第1繋ぎ部材によって前記可動フレームの一端部に繋がれることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記第1張力伝達部及び前記第2張力伝達部は単一のロープ体により構成され、
前記繋ぎ部材には、
前記ロープ体の両端部を前記可動フレームの一端部に繋ぐための前記第1繋ぎ部材と、
前記ロープ体の中間部を前記可動フレームの他端部に繋ぐための第2繋ぎ部材とが含まれる請求項に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記繋ぎ部材は、
前記ロープ体を間に挟んで配置される一対の板状部材と、
前記一対の板状部材を共締めする締結具と、を有する請求項1からのいずれかに記載の開閉装置。
【請求項4】
前記可動フレームは、前記繋ぎ部材を内部に収容する中空構造である請求項1からのいずれかに記載の開閉装置。
【請求項5】
屋根フレームに対して前後に移動可能に支持され、ロープ体により前後に牽引されることで日除け体を開閉するための可動フレームと、
前記可動フレームに対して前記ロープ体を繋ぐための繋ぎ部材と、を備え、
前記繋ぎ部材は、前記ロープ体を挟み込むことにより前記ロープ体を保持する保持状態と、前記ロープ体の保持を解除する解除状態とを切り替え可能であり、
記可動フレームは、前記繋ぎ部材を内部に収容する中空構造であり、
記可動フレームは、
前記中空構造を持つとともに左右方向の端部に開口部が形成される枠部材と、
前記枠部材の開口部を塞ぐ蓋部材と、を有し、
前記蓋部材は、前記繋ぎ部材との接触により前記繋ぎ部材の位置を保持するための位置保持部を有することを特徴とする開閉装置。
【請求項6】
前記枠部材には、貫通孔が形成され、
前記蓋部材は、弾性的に撓み変形可能な腕部と、前記腕部から突出して前記貫通孔に差し込まれ、その内側に前記ロープ体を挿通するための挿通孔が形成される差込部とを有する請求項に記載の開閉装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーニング装置に用いられる日除け体を開閉させるための開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、日よけや雨よけとして機能するオーニング装置が知られている。特許文献1には、この種のオーニング装置として、パーゴラ式オーニング装置(自立式オーニング装置)が開示されている。このオーニング装置は、前後左右の屋根フレームと、左右の屋根フレームに対して移動可能に支持された日除け体と、日除け体を開閉させるための開閉装置とを備えている。
【0003】
開閉装置は、屋根フレームに対して前後に移動可能に支持され、ロープ体により前後に牽引されることで日除け体を開閉させるための可動フレームを備えている。特許文献1では、この可動フレームに対するロープ体の繋ぎ方として、可動フレームに金具を取り付けたうえで、その金具にロープ体を結び付ける手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−169564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ロープ体が弛んだ状態で可動フレームに繋がれていると、可動フレームを円滑に牽引できないケースもある。よって、ロープ体が弛まないように、ロープ体の張力伝達に寄与する張力伝達部の長さを調整したうえで、可動フレームにロープ体を繋ぐ必要がある。
【0006】
従来のように、ロープ体を金具に結び付けることで可動フレームにロープ体を繋ぐ場合、ロープ体の結び方の調整によりロープ体の張力伝達部の長さを調整することになる。このロープ体の結び方は作業者の感覚に依るところがあり、作業者の熟練度合いによっては作業効率の低下を招くため、その改善が望まれる。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされ、その目的の1つは、ロープ体の弛みを抑えた状態で可動フレームにロープ体を繋ぎ易くできる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明のある態様は開閉装置である。
第1態様の開閉装置は、屋根フレームに対して前後に移動可能に支持され、ロープ体により前後に牽引されることで日除け体を開閉するための可動フレームと、前記可動フレームに対して前記ロープ体を繋ぐための繋ぎ部材と、を備え、前記繋ぎ部材は、前記ロープ体を挟み込むことにより前記ロープ体を保持する保持状態と、前記ロープ体の保持を解除する解除状態とを切り替え可能であることを特徴とする。
【0009】
この態様によれば、可動フレームにロープ体を繋ぐ作業をするうえで、ロープ体の端部を引いた状態で、繋ぎ部材を解除状態から保持状態に切り替えるだけで、ロープ体の弛みを抑えた状態でロープ体を繋げるようになる。よって、ロープ体の結び方を調整するような高度の熟練を要する工程をせずとも、ロープ体の弛みを抑えた状態で可動フレームにロープ体を繋ぎ易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態のオーニング装置の側面図である。
図2】第1実施形態のオーニング装置の平面図である。
図3】第1実施形態のオーニング装置の他の側面図である。
図4】第1実施形態のオーニング装置の他の平面図である。
図5図1の矢視Vp1からオーニング装置の一部を見た背面断面図である。
図6図5の矢視Vp2からオーニング装置の一部を見た側面断面図である。
図7】第1実施形態の可動フレームの内部構造を示す平面図である。
図8】第1実施形態のロープ体の引き回し方を模式的に示す平面図である。
図9】第1実施形態のロープ体の一部を牽引したときの動作の説明図である。
図10】第1実施形態のロープ体の一部を牽引したときの他の動作の説明図である。
図11図11(a)は、図7のA−A線断面図であり、図11(b)は、図7のB−B線断面図である。
図12】可動フレームの平行度を説明するための図である。
図13図13(a)は、第1実施形態の可動フレームの平行度を調整する方法の工程S12を説明するための図であり、図13(b)は、同工程S12を説明するための他の図である。
図14図14(a)は、第1実施形態の可動フレームの平行度を調整する方法の工程S14を説明するための図であり、図14(b)は、工程S16を説明するための図である。
図15図7の視点から見た可動フレームの一部の分解図である。
図16】第1実施形態の蓋部材の斜視図である。
図17】第2実施形態のオーニング装置の背面図である。
図18】第2実施形態のオーニング装置の一部を図5と同じ視点から見た断面図である。
図19】第3実施形態のロープ体の引き回し方を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施形態、変形例では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略したり、構成要素の寸法を適宜拡大、縮小して示す。共通点の多い別々の構成要素を区別するときは、構成要素の名称の冒頭に「第1」、「第2」等と付し、その符号の末尾に「(A)」、「(B)」等と付す。これら共通する構成要素を区別せずに総称するときは、これら表記を省略する。
【0012】
(第1の実施の形態)
図1は、第1実施形態の開閉装置(不図示)が用いられるオーニング装置10の側面図である。図2は、オーニング装置10の平面図である。図3は、オーニング装置10の他の側面図である。図4は、オーニング装置10の他の平面図である。図1図2では日除け体14が開いた状態を示し、図3図4では日除け体14が閉じた状態を示す。
【0013】
本実施形態のオーニング装置10はパーゴラ式オーニング装置である。オーニング装置10は、主に、フレームユニット12と、日除け体14と、開閉装置16とを備える。フレームユニット12は、日除け体14や開閉装置16を支持する骨組構造体である。図1図2に示すように、日除け体14は、開いた状態にあるとき、屋外空間の一部を上側から覆うことで日除けや雨除けとして機能する。一方、図3図4に示すように、日除け体14は、閉じた状態にあるとき、その屋外空間の一部を覆う範囲が小さくなる。開閉装置16は、日除け体14を開閉させるためのものである。本実施形態は開閉装置16に主な特徴の一つがあるが、先に周辺構造から説明する。
【0014】
図1図2に示すように、日除け体14は、水平な一方向(図中左右方向)の一端縁部14aが他端縁部14bに対して離れることで広げられて開いた状態となる。一方、図3図4に示すように、日除け体14は、その一端縁部14aが他端縁部14bに対して近づくことで畳まれて閉じた状態となる。以下、この一方向を前後方向Xとし、前後方向Xと直交する水平な方向を左右方向Yとする。また、日除け体14の一端縁部14aがある側を前後方向Xの前側Fとし、日除け体14の他端縁部14bがある側を前後方向Xの後側Rとする。
【0015】
(フレームユニット)
図1図2に示すように、フレームユニット12は、矩形の四辺に対応する位置に配置された四つ一組の屋根フレーム18と、矩形の四辺の角部に対応する位置に配置される四つの支柱フレーム20と、左右の屋根フレーム18の内側面に取り付けられる一対の左右のガイドレール22とを有する。屋根フレーム18の両端部は別々の支柱フレーム20に接続され、一組の屋根フレーム18は四つの支柱フレーム20により支持される。
【0016】
(日除け体)
図5は、図1の矢視Vp1からオーニング装置10の一部を見た背面断面図である。
図1図2図5に示すように、本実施形態の日除け体14は折り畳み式の天幕である。日除け体14は、左右の屋根フレーム18により支持される複数の支持フレーム24と、複数の支持フレーム24間に張られるシート部材26とを有する。図2ではシート部材26にダブルハッチングを付して示す。
【0017】
支持フレーム24は、左右方向Yに延びる長尺部材である。複数の支持フレーム24のうち、最も後側Rにある末尾側支持フレーム24は、左右の屋根フレーム18にビス等により固定される。複数の支持フレーム24のうち、末尾側支持フレーム24以外の支持フレーム24のそれぞれは、左右の屋根フレーム18に対してガイドレール22及びスライダ28を介して前後に移動可能に支持される。スライダ28は、ガイドレール22に対してスライド可能に設けられる。
【0018】
図6は、図5の矢視Vp2からオーニング装置10の一部を見た側面断面図である。
図5図6に示すように、スライダ28は、ガイドレール22上を転動するローラ30と、ローラ30が回転自在に取り付けられる一対の左右のステー32と、一対のステー32のうちの左右方向Y内側のステー32に取り付けられる吊り具34とを有する。本実施形態のスライダ28には前後に並べた二つ一組のローラ30が組み込まれている。吊り具34には、支持フレーム24の上部がビス等により取り付けられる。複数のスライダ28のうち、最も前側Fにある先頭側スライダ28(図5図6のスライダ28)は、一対のステー32のうちの左右方向Y内側のステー32にビス等により取り付けられるブラケット36を有する。ブラケット36には後述する開閉装置16の可動フレーム38がビス等により取り付けられる。
【0019】
本実施形態のシート部材26はキャンバス等の可とう性を持つ布材である。シート部材26の前後両側の縁部には心棒26aを通すループ部26bが設けられる。シート部材26は、支持フレーム24の下部に設けられる溝状のシート装着部24aに対してループ部26bとともに心棒26aを通すことで、支持フレーム24に装着される。
【0020】
(開閉装置)
開閉装置16は、主に、可動フレーム38と、ロープ体40と、繋ぎ部材42(図6等では不図示)と、を備える。可動フレーム38は、前述の通り、先頭側スライダ28のブラケット36に取り付けられる。可動フレーム38は、左右の屋根フレーム18に対してガイドレール22及び先頭側スライダ28を介して前後に移動可能に支持される。
【0021】
図7は、可動フレーム38の内部構造を示す平面図である。
可動フレーム38には、詳細は後述するが、ロープ体40を繋ぐための繋ぎ部材42が組み込まれている。繋ぎ部材42には、可動フレーム38の左右方向Yの一端部となる右端部38Rに組み込まれる右側繋ぎ部材42(A)(第1繋ぎ部材)と、可動フレーム38の左右方向の他端部となる左端部38Lに組み込まれる左側繋ぎ部材42(B)(第2繋ぎ部材)とが含まれる。可動フレーム38や繋ぎ部材42の詳細は後述する。
【0022】
(ロープ体)
図8は、ロープ体40の引き回し方を模式的に示す平面図である。
ロープ体40は、その一端部40aと他端部40bとが可動フレーム38の右端部38Rに右側繋ぎ部材42(A)により繋がれ、その中間部40cが可動フレーム38の左端部38Lに左側繋ぎ部材42(B)により繋がれる。ロープ体40は、第1張力伝達部44と、第2張力伝達部46とを有する。第1張力伝達部44は、ロープ体40の一端部40a側で右側繋ぎ部材42(A)に繋がれる箇所から左側繋ぎ部材42(B)に繋がれる箇所までの部分である。第2張力伝達部46は、左側繋ぎ部材42(B)に繋がれる箇所からロープ体40の他端部40b側で右側繋ぎ部材42(A)に繋がれる箇所までの部分である。本図では第1張力伝達部44を黒塗りして示し、第2張力伝達部46にハッチングを付して示す。第1張力伝達部44及び第2張力伝達部46のそれぞれは可動フレーム38の右端部38Rに右側繋ぎ部材42(A)により繋がれ、可動フレーム38の左端部38Lに左側繋ぎ部材42(B)により繋がれる。本実施形態の第1張力伝達部44及び第2張力伝達部46は単一のロープ体40により構成される。
【0023】
ロープ体40の途中位置には、第4シーブ50(D)(後述する)からフレームユニット12の左後側の支柱フレーム20の近傍に垂下する無端状の操作部40dが設けられる(図1も参照)。ロープ体40の操作部40dは、その支柱フレーム20に取り付けられるクリート48に絡めることで留められる。このロープ体40の操作部40dを操作することにより、可動フレーム38を牽引して日除け体14を開閉させることができる。
【0024】
ロープ体40は、屋根フレーム18に取り付けられる複数の掛け具としての複数のシーブ50を経由して引き回される。シーブ50には、一組の屋根フレーム18の右前側の隅角部に配置される第1シーブ50(A)と、左前側の隅角部に配置される第2シーブ50(B)と、左後側Rの隅角部に配置される第3シーブ50(C)と、が含まれる。また、シーブ50には、第3シーブ50(C)に近接する位置に配置される第4シーブ50(D)と、一組の屋根フレーム18の右後側Rの隅角部に配置される第5シーブ50(E)とが含まれる。
【0025】
第1シーブ50(A)〜第3シーブ50(C)のそれぞれは、上下方向に二つ並べられ、第4シーブ50(D)は、前後方向Xに二つ並べられる。本図では、説明の便宜のため、実際とは異なる位置に別々の第1シーブ50(A)〜第3シーブ50(C)を示す。第1シーブ〜第3シーブ50(C)、第5シーブ50(E)は、自らの回転軸を上下方向に向けた状態で配置される。第4シーブ50(D)は、自らの回転軸を前後方向に向けた状態で配置される。第1シーブ50(A)及び第2シーブ50(B)は、前側Fの屋根フレーム18の左右両端部に取り付けられる。第3シーブ50(C)及び第5シーブ50(E)は、後側Rの屋根フレーム18の左右両端部に取り付けられる。第4シーブ50(D)は、後側Rの屋根フレーム18に取り付けられる。
【0026】
ロープ体40の一端部40aは、前述のように、右側繋ぎ部材42(A)により可動フレーム38の右端部38Rに繋がれる。ロープ体40は、その一端部40aから他端部40b側に向かって、以下の順で各シーブ50を経由するように引き回される。以下、説明の便宜のため、ロープ体40の一端部から操作部40dにかけての範囲にあるロープ体40の一部やシーブ50は「往路側」にあるとし、ロープ体40の操作部40dから他端部40bにかけての範囲にあるロープ体40の一部やシーブ50は「復路側」にあるとする。往路側(out-bound side)にあるものは符号に「out」を付し、復路側(in-bound side)にあるものは符号の末尾に「in」を付して区別することがある。
右側繋ぎ部材42(A)→往路側の第1シーブ50(A)−out→往路側の第2シーブ50(B)−out→往路側の第3シーブ50(C)−out→往路側の第4シーブ50(D)−out→復路側の第4シーブ50(D)−in→復路側の第3シーブ50(C)−in→左側繋ぎ部材42(B)→復路側の第2シーブ50(B)−in→復路側の第1シーブ50(A)−in→第5シーブ50(E)→右側繋ぎ部材42(A)
【0027】
以上のようにロープ体40を引き回すことにより、以下のように可動フレーム38を牽引できる。
【0028】
図9は、ロープ体40の操作部40dの往路側部分40d−outを牽引したときの動作の説明図である。
ロープ体40の操作部40dの往路側部分40d−outを方向Pa1に牽引したとき、ロープ体40の第1張力伝達部44の往路側部分44−outは、可動フレーム38の右端部38Rを前方に向かう方向Pa2に牽引する。これにより、可動フレーム38の右端部38Rが前方に移動しようとする。このとき、ロープ体40の第2張力伝達部46は、可動フレーム38の右端部38Rにより牽引されることで、可動フレーム38の左端部38Lを前方に向かう方向Pa3に牽引する。これにより、可動フレーム38の右端部38Rと左端部38Lとのそれぞれに前方牽引力が付与され、可動フレーム38が前方に牽引される。なお、このとき、ロープ体40の第1張力伝達部44の復路側部分44−inは可動フレーム38の左端部38Lにより牽引され、ロープ体40全体が方向Pa1〜Pa3に循環するように移動する。
【0029】
図10は、ロープ体40の操作部40dの復路側部分40d−inを牽引したときの動作の説明図である。
ロープ体40の操作部40dの復路側部分40d−inを方向Pb1に牽引したとき、ロープ体40の第1張力伝達部44の復路側部分44−inは、可動フレーム38の左端部38Lを後方に向かう方向Pb2に牽引する。これにより、可動フレーム38の左端部38Lが後方に移動しようとする。このとき、ロープ体40の第2張力伝達部46は、可動フレーム38の左端部38Lにより牽引されることで、可動フレーム38の右端部38Rを後方に向かう方向Pb3に牽引する。これにより、可動フレーム38の右端部38Rと左端部38Lとのそれぞれに後方牽引力が付与され、可動フレーム38が後方に牽引される。なお、このとき、ロープ体40の第1張力伝達部44の往路側部分44−outは可動フレーム38の右端部38Rにより牽引され、ロープ体40全体が方向Pb1〜Pb3に循環するように移動する。
【0030】
このように、第1張力伝達部44は、可動フレーム38の右端部38Rを前方牽引可能であるとともに可動フレーム38の左端部38Lを後方牽引可能となるように、複数のシーブ50を経由して引き回される。また、第2張力伝達部46は、図9を用いて説明したように、可動フレーム38の右端部38Rが前方移動したときに、可動フレーム38の左端部38Lを前方牽引可能となるように、複数のシーブ50を経由して引き回される。別の観点から見ると、第2張力伝達部46は、図10を用いて説明したように、可動フレーム38の左端部38Lが後方移動したときに、可動フレーム38の右端部38Rを後方牽引可能となるように、複数のシーブ50を経由して引き回されるともいえる。
【0031】
(可動フレーム)
図11(a)は、図7のA−A線断面図であり、図11(b)は、図7のB−B線断面図である。
図7図11に示すように、可動フレーム38は、左右方向Yに長尺であり、繋ぎ部材42を内部に収容する中空構造を持っている。可動フレーム38は、繋ぎ部材42との接触により繋ぎ部材42の位置を保持するための位置保持部39を有する。可動フレーム38の詳細は後述する。
【0032】
(繋ぎ部材)
右側繋ぎ部材42(A)と左側繋ぎ部材42(B)とは多くの点で構成が共通するため、以下では右側繋ぎ部材42(A)を主に説明する。右側繋ぎ部材42(A)は、ロープ体40を間に挟んで配置される一対の板状部材52と、一対の板状部材52を共締めする締結具54とを有する。
【0033】
一対の板状部材52は上下に並べて配置される。一対の板状部材52には下側に配置される下側板状部材52(A)(第1板状部材)と、上側に配置される上側板状部材52(B)(第2板状部材)とが含まれる。
【0034】
本実施形態の締結具54はビスである。締結具54は、上側板状部材52(B)に形成される通し孔52aに挿通されるとともに、下側板状部材52(A)に形成される雌ねじ孔52bにねじ込まれる。締結具54は、下側板状部材52(A)の雌ねじ孔52bに対するねじ込みにより、下側板状部材52(A)と上側板状部材52(B)とを共締めする。締結具54は、頭部54aが上向きに突出するように配置される。締結具54の頭部54aにはドライバー等の工具を係合させるための工具穴が形成される。
【0035】
締結具54は、一対の板状部材52の並び方向(上下方向)と直交する方向(左右方向Y)の両側からロープ体40を挟むような位置に二つ一組で設けられる。このような二箇所一組の締結具54は、前後方向Xに間隔を空けて合計二組設けられる。これにより、締結具54を緩めたときでも、一対の板状部材52の間からロープ体40が抜け出ないように、締結具54によりロープ体40を仮保持できる。
【0036】
上側板状部材52(B)にはロープ体40の両端部のそれぞれを挿通させるためのロープ孔52cが形成される。ロープ体40の両端部40a、40bのそれぞれは、一対の板状部材52の間を経由してロープ孔52cから外部に引き出される。ロープ体40の両端部40a、40bには、ロープ孔52cから引き出された箇所に、前述の仮保持時の抜け止めを図るための結び目40eが形成される。
【0037】
以上の繋ぎ部材42では、締結具54により一対の板状部材52を共締めすると、一対の板状部材52の間のロープ体40が一対の板状部材52により強固に挟み込まれる。これにより、一対の板状部材52に対してロープ体40が相対変位しようとしたとき、ロープ体40に摩擦力が付与されることでロープ体40が保持される。このように、繋ぎ部材42は、ロープ体40を挟み込むことによりロープ体40を保持する保持状態となる。このとき、ロープ体40から繋ぎ部材42を介して可動フレーム38に荷重が伝達される。
【0038】
一方、締結具54による一対の板状部材52の締結状態を緩めると、一対の板状部材52による挟み込みが解除され、一対の板状部材52に対してロープ体40が自由に相対変位できるようになる。このとき、繋ぎ部材42は、ロープ体40の保持を解除する解除状態となる。このように、繋ぎ部材42は、保持状態と解除状態とに切り替え可能に構成される。前述の締結具54は、繋ぎ部材42の保持状態と解除状態とに切り替えるために操作される操作部材として機能する。
【0039】
次に、開閉装置16を用いたオーニング装置10の動作を説明する。
図9を参照にして日除け体14を開く場合を考える。この場合、ロープ体40の操作部40dの往路側部分40d−outを引き下げる。これにより、前述の通り、ロープ体40は、可動フレーム38の左端部38L及び右端部38Rのそれぞれを方向Pa2、Pa3に前方牽引する。これに伴い、図4図6に示すように、可動フレーム38は、自らに取り付けられている先頭側スライダ28及びガイドレール22を介して左右の屋根フレーム18に対して前方(方向Pc1)に移動する。このとき、先頭側スライダ28に取り付けられている先頭側支持フレーム24も、可動フレーム38に追従して前方移動する。これに続いて他の支持フレーム24が順々に前方に引き寄せられるように前方に移動することで、日除け体14が開かれる。
【0040】
次に、図10を参照にして日除け体14を閉じる場合を考える。この場合、ロープ体40の操作部40dの復路側部分40d−inを引き下げる。これにより、前述の通り、ロープ体40は、可動フレーム38の左端部38L及び右端部38Rのそれぞれを方向Pb2、Pb3に後方牽引する。これに伴い、図2図6に示すように、可動フレーム38は、自らに取り付けられている先頭側スライダ28及びガイドレール22を介して左右の屋根フレーム18に対して後方(方向Pc2)に移動する。このとき、先頭側スライダ28に取り付けられている先頭側支持フレーム24も、可動フレーム38に追従して後方移動する。これに続いて他の支持フレーム24が順々に後方に押し戻されるように後方に移動することで、日除け体14が閉じられる。このように、可動フレーム38は、ロープ体40により前後に牽引されることで日除け体14を開閉する。
【0041】
以上の開閉装置16の作用効果を説明する。
本実施形態の繋ぎ部材42は、ロープ体40を挟み込むことによりロープ体40を保持する保持状態と、ロープ体40の保持を解除する解除状態とを切り替え可能である。よって、ロープ体40の端部を方向Pd1(図8参照)に引いた状態で、右側繋ぎ部材42(A)を解除状態から保持状態に切り替えるだけで、ロープ体40の弛みを抑えた状態で可動フレーム38にロープ体40を繋げるようになる。このため、ロープ体40の結び方を調整するような高度の熟練を要する工程をせずとも、ロープ体40の弛みを抑えた状態で可動フレーム38にロープ体40を繋ぎ易くなる。
【0042】
また、本実施形態の開閉装置16では次の利点もある。特許文献1のような、可動フレーム38の左右の中央部にロープ体40を繋ぐ方式を一点牽引方式といい、本実施形態のような、可動フレーム38の左右の両端部38a、38bにロープ体40を繋ぐ方式を二点牽引方式という。二点牽引方式では、日除け体14が閉じた状態にあるとき、ロープ体40が目立つ位置に現れ難く、一点牽引方式より良好な意匠性を得られる利点がある。一方、二点牽引方式では、次の問題がある。
【0043】
図12に示すように、可動フレーム38の移動方向(前後方向X)に直交する基準面Scに対する可動フレーム38の長手方向軸Axのずれ度合いを可動フレーム38の平行度という。二点牽引方式では、可動フレーム38の平行度が大きくなると、可動フレーム38を円滑に移動させることが困難になるという問題がある。これは、この平行度が大きい場合、可動フレーム38の両端部38L、38Rのそれぞれにロープ体40から付与される牽引力に大きな差が生じることで、ガイドレール22に沿ってスライダ28がスライド不能になること等に起因する。
【0044】
よって、二点牽引方式を用いる場合、ロープ体40の弛みを抑えつつ、可動フレーム38の平行度を小さくした状態で、可動フレーム38にロープ体40を繋ぐ必要がある。これを実現するため、本実施形態の開閉装置16では、図8に示すように、ロープ体40の両端部40L、40Rが右側繋ぎ部材42(A)により可動フレーム38の右端部38Rに繋がれ、ロープ体40の中間部40cが左側繋ぎ部材42(B)により可動フレーム38の左端部38Lに繋がれている。この構造のもとでは、次のような手順で可動フレーム38の平行度を調整する。以下、この可動フレーム38の平行度を調整する方法を図13図14を用いて説明する。各図では、保持状態にある繋ぎ部材42にはダブルハッチングを付して示す。
【0045】
まず、ロープ体40を複数のシーブ50を経由して引き回すように配置する(S10)。この工程では、ロープ体40の操作部40dは前述の支柱フレーム20のクリート48(図1参照)に掛けておく。また、左側繋ぎ部材42(B)及び右側繋ぎ部材42(A)は、締結具54を緩めて解除状態に切り替えておく。
【0046】
次に、図13(a)に示すように、ロープ体40の両端部40a、40bを方向Pe1に引いた状態で右側繋ぎ部材42(A)の締結具54を締め付ける(S12)。これにより、右側繋ぎ部材42(A)を解除状態から保持状態に切り替え、右側繋ぎ部材42(A)によりロープ体40の両端部40a、40bを保持する。これによれば、図13(b)に示すように、ロープ体40の弛みを抑えた状態のもと、可動フレーム38の右端部38Rが右側繋ぎ部材42(A)によりロープ体40に繋がれ、かつ、可動フレーム38の左端部38Lがロープ体40から分離した状況を作り出せる。
【0047】
この状況のもとでは、可動フレーム38の右端部38Rに対して、左端部38Lを容易に前後に沿った方向Pe2に相対移動可能になる。この状況のもと、可動フレーム38の右端部38Rに対して左端部38Lを前後に相対移動させることで、可動フレーム38の平行度を調整する。この後、図14(a)に示すように、可動フレーム38の平行度が調整された状況のもと、左側繋ぎ部材42(B)の締結具54を締め付けることで、左側繋ぎ部材42(B)を解除状態から保持状態に切り替え、左側繋ぎ部材42(B)によりロープ体40の中間部40cを保持する(S14)。
【0048】
このように、本実施形態によれば、左側繋ぎ部材42(B)及び右側繋ぎ部材42(A)を解除状態にした状況のもと、ロープ体40の両端部40a、40bを引いた状態で右側繋ぎ部材42(A)を保持状態に切り替えるような前述の工程S12をできる。この工程S12を経ることで、ロープ体40の弛みを抑えた状態のもと、可動フレーム38の右端部38Rに対して左端部38Lを容易に前後に相対移動可能な状況を作り出せる。この状況のもと、可動フレーム38の右端部38Rに対して左端部38Lを前後に相対移動させることで、ロープ体40に張力を付与した状態を手動で保持することなく、可動フレーム38の平行度を調整できる。よって、ロープ体40の弛みを抑えつつ可動フレーム38の平行度を小さくした状態で、可動フレーム38にロープ体40を繋ぎ易くなる。
【0049】
なお、工程S14の後、ロープ体40の張力伝達部44、46の長さの微調整が必要な場合、右側繋ぎ部材42(A)を保持状態から解除状態に切り替え、前述の工程S12と同じ作業をしてもよい。
【0050】
また、このとき、可動フレーム38の平行度の微調整をしてもよい(S16)。このタイミングで可動フレーム38の平行度を調整する場合、図14(b)に示すように、左側繋ぎ部材42(B)は保持状態にし、右側繋ぎ部材42(A)は解除状態にしたうえで、ロープ体40の両端部40a、40bを方向Pe3に引いた状況のもとで作業する。この状況のもとでは、可動フレーム38の左端部38Lに対して右端部38Rが容易に前後に沿った方向Pe4に相対移動可能になる。この状況のもと、可動フレーム38の可動フレーム38の左端部38Lに対して右端部38Rを前後に相対移動させることで、可動フレーム38の平行度を調整する。この後、可動フレーム38の平行度が調整された状況のもと、右側繋ぎ部材42(A)を解除状態から保持状態に切り替え、右側繋ぎ部材42(A)によりロープ体40の両端部40a、40bを保持する。
【0051】
(A)このように、本実施形態の開閉装置16では、ロープ体40の第1張力伝達部44と第2張力伝達部46とが右側繋ぎ部材42(A)により可動フレーム38の右端部38Rに繋がれている。これによれば、右側繋ぎ部材42(A)を解除状態にした状況のもと、ロープ体40の両端部40a、40bを引いた状態で可動フレーム38の両端部38L、38Rを前後に相対移動させることで、可動フレーム38の平行度を調整できる。また、可動フレーム38の平行度を調整した状況のもと、ロープ体40の両端部40a、40bを引いた状態のまま、右側繋ぎ部材42(A)を解除状態から保持状態に切り替えるだけで、ロープ体40の弛みを抑えた状態で可動フレーム38にロープ体40を繋げるようになる。よって、ロープ体40の結び方を調整するような工程をせずとも、ロープ体40の弛みを抑えつつ可動フレーム38の平行度を小さくした状態で、可動フレーム38にロープ体40を繋ぎ易くなる。
【0052】
次に、本実施形態の開閉装置16の他の特徴を説明する。図15は、可動フレーム38の右端部38Rの分解断面図である。
図7図15に示すように、可動フレーム38は、左右両端部に第1開口部56aが形成される枠部材56と、枠部材56の第1開口部56aを塞ぐ蓋部材58とを有する。枠部材56の左右両端部の構成は共通するため、ここでは枠部材56の左右一方の右端部の構成を説明する。
【0053】
図11図15に示すように、枠部材56は、前後の前壁部56b及び後壁部56cと、上下の上壁部56d及び下壁部56eとにより形成される中空矩形断面、つまり、中空構造を持っている。この中空構造の枠部材56の内部には繋ぎ部材42が収容される。
【0054】
枠部材56は、前壁部56b、後壁部56c及び下壁部56eを形成する長尺部材60と、上壁部56dを形成するカバー部材62とを組み合わせて構成される。長尺部材60及びカバー部材62のそれぞれは押出成形品である。長尺部材60は、上方に開放する第2開口部60aが形成された溝状断面を持っている。カバー部材62は、長尺部材60の第2開口部60aを覆うように長尺部材60に取り付けられる。本実施形態のカバー部材62は、弾性爪62aを用いたスナップフィット方式により着脱可能に長尺部材60に取り付けられる。
【0055】
枠部材56には、前後に対向する前壁部56b及び後壁部56cのそれぞれに切欠孔56fと貫通孔56gとが形成される(図5も参照)。切欠孔56fは、枠部材56の左右方向Yの端面56hから左右方向Yに窪むように切り欠いた形状をなす。貫通孔56gは、切欠孔56fに対して枠部材56の端面56hとは左右方向Yの反対側に離れた位置に形成される。
【0056】
図16は、蓋部材58の斜視図である。
図15図16に示すように、蓋部材58は、ベース部58aと、一対の腕部58bと、差込部58cと、位置保持部39とを有する。ベース部58aは、可動フレーム38の外内を隔てる壁部となり、前後方向X及び上下方向に延びる板状をなす。一対の腕部58bは、ベース部58aの前後方向Xの両端部から枠部材56の内側に向けて突き出ている。腕部58bは、根元側の第1部分58baと、先端側の第2部分58bbとを有する。図7に示すように、腕部58bの第1部分58baは、枠部材56の切欠孔56f内に嵌め込まれる。腕部58bの第2部分58bbは、枠部材56の前壁部56b及び後壁部56cの内側に位置するように配置される。
【0057】
差込部58cは、腕部58bの第2部分58bbから前後方向Xの外側に向かう方向に突出している。差込部58cは、枠部材56の貫通孔56gに前後方向の内側から差し込まれる。蓋部材58は、枠部材56の貫通孔56gに対する差込部58cの差し込みにより、枠部材56に対して固定される。
【0058】
図15図16に示すように、位置保持部39は、繋ぎ部材42との接触により繋ぎ部材42の位置を保持するためのものである。位置保持部39は、受け部39aと、二つの第1位置決め部39bと、第2位置決め部39cとを有する。受け部39aは、腕部58bの第2部分58bbの内側面から突き出る板状をなし、繋ぎ部材42を下側から受ける役割をもつ。第1位置決め部39bは、腕部58bの第2部分58bbの内側面から突き出る板状をなし、左右方向Yに間隔を空けて設けられる。第1位置決め部39bは、受け部39a上の繋ぎ部材42との接触により、繋ぎ部材42を左右方向Yに位置決めする役割をもつ。第2位置決め部39cは、腕部58bの第2部分58bbの内側面により構成される。第2位置決め部39cは、受け部39a上の繋ぎ部材42との接触により、繋ぎ部材42を前後方向Xに位置決めする役割をもつ。位置保持部39は、自らの各部位と繋ぎ部材42との接触により、繋ぎ部材42の位置を保持する。このとき、位置保持部39は、可動フレーム38に対して前後方向Xの両側、左右方向Yの両側、上下方向の片側(下側)に繋ぎ部材42が相対変位しようとしたとき、その相対変位を拘束するように繋ぎ部材42の位置を保持する。
【0059】
図7図15に示すように、蓋部材58の一対の腕部58bの第1部分58baにはロープ体40を挿通するための第1挿通孔58dが形成される。可動フレーム38の右端部38Rでは、ロープ体40の第2張力伝達部46が第1挿通孔58dに挿通される。ロープ体40の第2張力伝達部46は、可動フレーム38の右端部38Rに繋がれず、可動フレーム38の右端部38Rを前後に貫通するように配置されることになる。可動フレーム38の左端部38Lでは、ロープ体40の第1張力伝達部44の往路側部分44−outが第1挿通孔58dに挿通される。ロープ体40の第1張力伝達部44の往路側部分44−outは、可動フレーム38の左端部38Lに繋がれず、可動フレーム38の左端部38Lを前後に貫通するように配置されることになる。
【0060】
蓋部材58の一対の腕部58bの第2部分58bbや差込部58cの内側にはロープ体40を挿通するための第2挿通孔58eが形成される。可動フレーム38の右端部38Rでは、ロープ体40の第1張力伝達部44の往路側部分44−outや、ロープ体40の第2張力伝達部46が蓋部材58の第2挿通孔58eに挿通される。可動フレーム38の左端部38Lでは、ロープ体40の第1張力伝達部44の復路側部分44−inや、ロープ体40の第2張力伝達部46が蓋部材58の第2挿通孔58eに挿通される。
【0061】
図15に示すように、蓋部材58の一対の腕部58bは前後方向Xの内側に向かう方向Pfに弾性的に撓み変形可能に構成される。このような蓋部材58は、一対の腕部58bを用いたスナップフィット方式により枠部材56に着脱可能に取り付けられる。詳しくは、蓋部材58を枠部材56に取り付けるとき、蓋部材58の一対の腕部58bを枠部材56の第1開口部56aから奥側に差し込む。このとき、一対の腕部58bを前後方向Xの内側に弾性的に撓み変形させた状態で、枠部材56の前壁部56bと後壁部56cとの間を一対の腕部58bが通るように移動させる。蓋部材58の差込部58cが枠部材56の貫通孔56gに差込可能な位置にまで蓋部材58を移動させると、一対の腕部58bの弾性反発力により差込部58cが復元することで、差込部58cが貫通孔56gに差し込まれる。これにより、蓋部材58は枠部材56に取り付けられる。蓋部材58を枠部材56から取り外すときは、一対の腕部58bを前後方向Xの内側に撓み変形させた状態で、一対の腕部58bを枠部材56の第1開口部56aから抜き出せばよい。
【0062】
以上の開閉装置16の作用効果を説明する。
可動フレーム38は、繋ぎ部材42を内部に収容する中空構造である。よって、繋ぎ部材42に対するロープ体40の繋ぎ目を覆い隠すことができ、良好な意匠性を得られる。
【0063】
可動フレーム38の蓋部材58は繋ぎ部材42の位置を保持するための位置保持部39を有する。よって、蓋部材58に枠部材56の第1開口部56aを塞ぐ機能の他に、繋ぎ部材42を保持する機能を持たせることができ、後者の機能をもつ専用部品を他に用いるよりも部品点数を抑えられる。
【0064】
蓋部材58は、弾性的に撓み変形可能な腕部58bから突出する差込部58cを有し、その差込部58cにはロープ体40を挿通するための第2挿通孔58eが形成されている。よって、蓋部材58にロープ体40を通す位置を用いて枠部材56に蓋部材58を取り付けられるようになり、蓋部材58を取り付けるためのタッピングホール等を枠部材56に設けずともよくなる。このため、枠部材56の形状を簡素化でき、これに伴い可動フレーム38の製品コストや重量を低減できる。
【0065】
なお、オーニング装置10のスライダ28は次の特徴もある。図5図6に示すように、スライダ28の吊り具34は、一対の挟持片34aにより構成される。挟持片34aは、ステー32に上側から係合されるとともにビス等により固定される上側爪部34bと、支持フレーム24に設けられるくびれ部24bに下側から係合される下側爪部34cと、上側爪部34bと下側爪部34cとの間の部分となる中間部34dとを有する。一対の挟持片34aそれぞれの中間部34dはビス等の締結具34eにより共締めされる。これにより、一対の挟持片34aが支持フレーム24の上部を挟持することで、吊り具34に対して支持フレーム24が取り付けられる。
【0066】
(第2の実施の形態)
図17は、第2実施形態のオーニング装置10の背面図である。
第1実施形態では、日除け体14が開いた状態にあるとき、日除け体14が水平面に沿うように配置される例を説明した。本実施形態では、日除け体14が開いた状態にあるとき、日除け体14が水平面に対して傾斜するように配置される。詳しくは、日除け体14は左右方向の一端部となる左端部14Lから他端部となる右端部14Rに向かって下り勾配で傾斜するように配置される。
【0067】
図18は、第2実施形態のオーニング装置10の一部を図5と同じ視点から見た断面図である。
本実施形態では、日除け体14に下り勾配をつけるため、日除け体14を吊り下げる左右の吊り具34の上下方向での長さを異ならせている。詳しくは、日除け体14は、左側吊り具34(A)により左端部14Lが吊り下げられ、右側吊り具34(B)により右端部14Rが吊り下げられる。右側吊り具34(B)の中間部34dは、左側吊り具34(A)の中間部34dよりも上下方向での長さが長くなるように設定される。これにより、日除け体14は、左端部14Lから右端部14Rに向かって下り勾配で傾斜するように配置できる。これによれば、日除け体14の勾配により水滴を低位置に案内でき、日除け体14上に水が溜まるのを防止できる。
【0068】
(第3の実施の形態)
図19は、第3実施形態のロープ体40の引き回し方を模式的に示す平面図である。
第1実施形態では、可動フレーム38の右端部38Rと左端部38Lとのそれぞれに繋ぎ部材42が組み込まれる例を説明した。本実施形態では、可動フレーム38の右端部38Rにのみ繋ぎ部材42が組み込まれ、可動フレーム38の左端部38Lにはロープ体40を結び付けるための金具64が組み込まれる。
【0069】
第1実施形態では、第1張力伝達部44と第2張力伝達部46とが単一のロープ体40により構成される例を説明した。本実施形態では、第1張力伝達部44と第2張力伝達部46とが別々のロープ体40により構成される。詳しくは、第1張力伝達部44は第1ロープ体40(A)により構成され、第2張力伝達部46は第2ロープ体40(B)により構成される。第1ロープ体40(A)は、可動フレーム38の右端部38Rに右側繋ぎ部材42(A)により繋がれ、可動フレーム38の左端部38Lに金具64に結び付けることで繋がれる。第2ロープ体40(B)は、可動フレーム38の右端部38Rに右側繋ぎ部材42(A)により繋がれ、可動フレーム38の左端部38Lに金具64に結び付けることで繋がれる。
【0070】
本実施形態の開閉装置16によっても、前述した(A)と同様の作用効果を得られる。詳しくは、右側繋ぎ部材42(A)を解除状態にした状況のもと、第1ロープ体40(A)の端部40a、第2ロープ体40(B)の端部40bを方向Pe3に引いた状態にする。この状態で、可動フレーム38の右端部38Rを左端部38Lに対して前後に沿った方向Pe4に相対移動させることで、可動フレーム38の平行度を調整できる。また、可動フレーム38の平行度を調整した状況のもと、第1ロープ体40(A)の端部40a、第2ロープ体40(B)の端部40bを引いた状態のまま、右側繋ぎ部材42(A)を解除状態から保持状態に切り替えるだけで、各ロープ体40(A)、40(B)の弛みを抑えた状態で可動フレーム38に各ロープ体40(A)、40(B)を繋げるようになる。よって、各ロープ体40の結び方を調整するような工程をせずとも、各ロープ体40の弛みを抑えつつ可動フレーム38の平行度が小さくした状態で、可動フレーム38に各ロープ体40(A)、40(B)を繋ぎ易くなる。
【0071】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変更が可能である。また、図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0072】
本実施形態の日除け体14は、折り畳み式の天幕を例に説明したが、これに限られない。たとえば、複数のパネルを伸縮可能に連結したパネル体により日除け体14を構成してもよい。
【0073】
本実施形態では、二点牽引方式の開閉装置16を例に説明したが、これに限られない。たとえば、一点牽引方式の開閉装置16に適用されてもよいし、他の牽引方式の開閉装置16に適用されてもよい。
【0074】
二点牽引方式の開閉装置16に適用する場合、ロープ体40は、前述の第1張力伝達部44、第2張力伝達部46が設けられるように引き回せていればよく、その具体的な引き回し方は前述の例に限られない。
【0075】
可動フレーム38の具体的構造は前述の例に限られない。たとえば、繋ぎ部材42の位置を保持するための専用部品を蓋部材58とは別に組み込んでいてもよい。
【0076】
繋ぎ部材42は、ロープ体40を挟み込むことによりロープ体40を保持する保持状態と解除状態とを切り替え可能であればよく、その具体的構造は前述の例に限られない。
【0077】
繋ぎ部材42の締結具54はビスを例に説明したが、ボルトとナットの組み合わせにより構成されてもよい。
【0078】
以上の実施形態、変形例により具体化される発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。以下、発明が解決しようとする課題に記載の態様を用いて説明する。
【0079】
第2の態様の開閉装置は、第1の態様において、前記ロープ体は、前記可動フレームの左右の両端部に繋がれ、前記可動フレームの一端部を前方牽引可能であるとともに前記可動フレームの他端部を後方牽引可能となるように、屋根フレームに取り付けられる掛け具を経由して引き回される第1張力伝達部と、前記可動フレームの両端部に繋がれ、前記可動フレームの一端部が前方移動したときに前記可動フレームの他端部を前方牽引可能となるように、屋根フレームに取り付けられる掛け具を経由して引き回される第2張力伝達部と、を有し、前記繋ぎ部材には、前記第1張力伝達部及び前記第2張力伝達部のそれぞれを前記可動フレームの一端部に繋ぐための第1繋ぎ部材が含まれてもよい。
この態様によれば、可動フレームの平行度を調整した状況のもと、ロープ体の端部を引いた状態のまま、第1繋ぎ部材を解除状態から保持状態に切り替えるだけで、ロープ体の弛みを抑えた状態で可動フレームにロープ体を繋げるようになる。よって、ロープ体の結び方を調整するような工程をせずとも、ロープ体の弛みを抑えつつ可動フレームの平行度を小さくした状態で、可動フレームにロープ体を繋ぎ易くなる。
【0080】
第3の態様の開閉装置は、第2の態様において、前記第1張力伝達部及び前記第2張力伝達部は単一のロープ体により構成され、前記繋ぎ部材には、前記ロープの両端部を前記可動フレームの一端部に繋ぐための前記第1繋ぎ部材と、前記ロープ体の中間部を前記可動フレームの他端部に繋ぐための第2繋ぎ部材とが含まれてもよい。
この態様によれば、ロープ体の弛みを抑えた状態のもと、可動フレームの他端部が一端部に対して容易に相対移動可能な状況を作り出せる。この状況のもと、可動フレームの一端部に対して他端部を前後に相対移動させることで、ロープ体に張力を付与した状態を手動で保持することなく、可動フレームの平行度を調整できる。よって、ロープ体の弛みを抑えつつ可動フレームの平行度を小さくした状態で、可動フレームにロープ体を繋ぎ易くなる。
【0081】
第4の態様の開閉装置は、第1の態様から第3の態様のいずれかにおいて、前記繋ぎ部材は、前記ロープ体を間に挟んで配置される一対の板状部材と、前記一対の板状部材を共締めする締結具と、を有してもよい。
【0082】
第5の態様の開閉装置は、第1の態様から第4の態様のいずれかにおいて、前記可動フレームは、前記繋ぎ部材を内部に収容する中空構造であってもよい。
この態様によれば、繋ぎ部材に対するロープ体の繋ぎ目を覆い隠すことができ、良好な意匠性を得られる。
【0083】
第6の態様の開閉装置は、第5の態様において、前記可動フレームは、前記中空構造を持つとともに左右両端部に開口部が形成される枠部材と、前記枠部材の開口部を塞ぐ蓋部材と、を有し、前記蓋部材は、前記繋ぎ部材との接触により前記繋ぎ部材の位置を保持するための位置保持部を有してもよい。
この態様によれば、蓋部材に枠部材の開口部を塞ぐ機能の他に、繋ぎ部材を保持する機能を持たせることができ、後者の機能をもつ専用部品を他に用いるよりも部品点数を抑えられる。
【0084】
第7の態様の開閉装置は、前記枠部材には、貫通孔が形成され、前記蓋部材は、弾性的に撓み変形可能な腕部と、前記腕部から突出して前記貫通孔に差し込まれ、その内側に前記ロープ体を挿通するための挿通孔が形成される差込部とを有してもよい。
この態様によれば、蓋部材にロープ体を通す位置を用いて枠部材に蓋部材を取り付けられるようになり、枠部材に対して蓋部材を取り付けるためのタッピングホール等が不要となり、枠部材の形状を簡素化できる。
【符号の説明】
【0085】
14…日除け体、16…開閉装置、18…屋根フレーム、38…可動フレーム、39…位置保持部、40…ロープ体、40a…一端部、40b…他端部、40c…中間部、42…繋ぎ部材、44…第1張力伝達部、46…第2張力伝達部、50…シーブ(掛け具)、52…板状部材、54…締結具、56…枠部材、58…蓋部材、58b…腕部、58c…差込部。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
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図12
図13(a)】
図13(b)】
図14(a)】
図14(b)】
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図19