(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記基板カセットの底面を摺動することなく前記基板カセットを搬送して前記載置部に載置するとともに前記載置部から取り外すことができる非摺動式の搬送装置を更に備えている、
請求項1又は2に記載の基板カセット洗浄装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、複数の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各実施形態で実質的に同一の要素には同一の符号を付し、説明を省略する。また、以下の説明において、「垂直」及び「水平」との語句は、方向の概念を示すものであり、地面等に対して厳密に「垂直」又は「水平」を意味するものではない。
【0008】
(第1実施形態)
第1実施形態について
図1〜
図4を参照して説明する。
図1に示す基板カセット洗浄装置10(以下、単に洗浄装置10と称する)は、投入部11、排出部12、洗浄室20、及び乾燥室30を備えている。洗浄装置10の洗浄対象となる基板カセット90は、詳細は図示しないが、一面が開口した立方体形状に構成されており、複数枚の基板を収納可能である。
【0009】
洗浄室20及び乾燥室30は、相互に連通している。洗浄対象となる基板カセット90は、
図1の白抜き矢印で示すように、投入部11から、洗浄室20、乾燥室30を経て、排出部12に至る。すなわち、基板カセット90は、まず、図示しない作業者又は搬送ロボット等によって前の工程から搬送されて、投入部11に投入される。次に、基板カセット90は、投入部11のコンベア111によって、洗浄室20内に搬送される。コンベア111は、例えばローラー式のコンベアである。洗浄室20は、洗浄液を噴射するための複数の洗浄液噴射部40を備えている。洗浄室20内では、洗浄液噴射部40から噴射された洗浄液を基板カセット90に吹き付けることにより基板カセット90を洗浄する洗浄工程が実行される。
【0010】
洗浄工程が終了すると、基板カセット90は、洗浄室20内に設けられたコンベア21によって乾燥室30へ搬送される。コンベア21は、例えばローラー式のコンベアである。乾燥室30は、乾燥風を噴射するための複数の送風部31を備えている。乾燥室30内では、送風部31から噴射された乾燥風が基板カセット90に吹き付けることにより基板カセット90に付着した洗浄液を乾燥させる乾燥工程が実行される。
【0011】
乾燥工程が終了すると、基板カセット90は、乾燥室30に設けられたコンベア32によって排出部12に搬送される。コンベア32は例えばローラー式のコンベアである。その後、基板カセット90は、排出部12のコンベア121を経て、図示しない作業者又は搬送ロボット等に渡された後、次の工程へ搬送される。
【0012】
洗浄装置10は、
図2及び
図3に示すように、洗浄室20内に、コンベア21、回転軸22、支持部23、及び洗浄液噴射部40を備えている。本実施形態の場合、コンベア21は、例えばローラーコンベアでる。この場合、コンベア21は、図複数のローラー211と、駆動軸212と、伝達軸213と、伝達ベルト214と、を有している。
【0013】
駆動軸212は、垂直方向へ向かって延びる軸部材であり、中空軸で構成されている。駆動軸212は、図示しないモータ等の駆動源に接続されている。伝達軸213は、水平方向へ向かって延びる軸部材である。駆動軸212と伝達軸213とは、駆動軸212の回転が伝達軸213に伝達可能に接続されている。伝達ベルト214は、伝達軸213の回転を各ローラー211に伝達するためのものである。
【0014】
駆動軸212の回転は、伝達軸213及び伝達ベルト214を介して、各ローラー211に伝達される。基板カセット90は、洗浄室20内においてコンベア21の上面に載置されている。そのため、本実施形態の場合、コンベア21のローラー211は、基板カセット90を載置される載置部として機能する。そして、各ローラー211が回転すると、ローラー211上に載置された基板カセット90が、そのローラー211の回転方向へ搬送される。
【0015】
回転軸22は、垂直方向へ向かって延びる軸部材であり、図示しないモータ等の駆動源に接続されている。回転軸22は、中空軸で構成されており、その内部に駆動軸212を通している。支持部23は、回転軸22に設けられており、コンベア21のローラー211を回転可能に支持している。すなわち、各ローラー211は、支持部23を介して回転軸22に接続されている。そのため、回転軸22が回転すると、その回転に伴って回転軸22の回転方向に沿って各ローラー211も移動する。つまり、回転軸22が回転すると、
図4の矢印Aに示す方向へ、コンベア21全体が水平面方向に回転する。
【0016】
洗浄液噴射部40は、底面側噴射部41と、側面側噴射部42と、天面側噴射部43と、から構成されている。底面側噴射部41は、基板カセット90がコンベア21のローラー211に載置された状態において、
図3の二点鎖線で示すように基板カセット90の底面91へ向かって洗浄液を噴射する。
【0017】
すなわち、底面側噴射部41は、
図3に示すように、ローラー211に基板カセット90が載置された状態において、基板カセット90の底面91よりも下方に設けられている。この場合、底面側噴射部41は、ローラー211の載置面よりも下方に設けられている。また、底面側噴射部41は、
図2に示すように、コンベア21の水平方向の内側つまり対向するローラー211間に設けられている。
【0018】
底面側噴射部41は、第1管部411、第2管部412、ベアリング413、及び複数のノズル414を有している。第1管部411は、垂直方向へ向かって延びる管部材である。第1管部411は、駆動軸212の内部に通されており、図示しない洗浄液供給装置に接続されている。第2管部412は、水平方向へ向かって延びる管部材である。本実施形態では、第2管部412は、
図2に示すように、矩形の枠状に構成されている。
【0019】
ベアリング413は、第1管部411と第2管部412とを、相対的に回転可能に接続している。すなわち、ベアリング413は、第1管部411の上端部と、第2管部412の矩形枠状の中心部分における第1管部411側に設けられている。このため、第2管部412は、第2管部412の矩形枠状の中心部つまりベアリング413を中心に、第1管部411に対して相対的に回転可能となっている。本実施形態の場合、第2管部412は、回転軸22の回転及びコンベア21全体の回転と共に、回転可能となっている。
【0020】
複数のノズル414は、第2管部412に所定間隔を空けて設けられており、上側すなわち基板カセット90の底面91側を向いている。この構成において、図示しない洗浄液供給装置から第1管部411に供給された洗浄液は、第2管部412を通って各ノズル414から基板カセット90の底面91に向かって噴射される。これにより、基板カセット90の底面91が洗浄される。
【0021】
側面側噴射部42は、基板カセット90がコンベア21のローラー211に載置された状態において、
図3の二点鎖線で示すように基板カセット90の側面92へ向かって洗浄液を噴射する。側面側噴射部42は、コンベア21のローラー211に対して水平方向の周囲に設けられている。すなわち、側面側噴射部42は、コンベア21のローラー211に基板カセット90が載置された状態において、基板カセット90の水平方向の周囲に設けられている。具体的には、側面側噴射部42は、
図2に示すように、コンベア21の周囲にあって矩形の洗浄室20の四つの角部近傍に設けられている。
【0022】
側面側噴射部42は、
図3に示すように、垂直方向に延びる垂直管部421と、複数のノズル422と、を有している。垂直管部421は、図示しない洗浄液供給装置に接続されている。複数のノズル422は、垂直管部421に所定間隔を空けて設けられており、基板カセット90の側面92側を向いている。この構成において、図示しない洗浄液供給装置から垂直管部421に供給された洗浄液は、各ノズル422から基板カセット90の側面に向かって噴射される。これにより、基板カセット90の側面92が洗浄される。
【0023】
天面側噴射部43は、基板カセット90がコンベア21のローラー211に載置された状態において、
図3の二点鎖線で示すように基板カセット90の天面93へ向かって洗浄液を噴射する。天面側噴射部43は、コンベア21のローラー211に対し上方に設けられている。すなわち、天面側噴射部43は、コンベア21のローラー211に基板カセット90が載置された状態において、基板カセット90の上方に設けられている。
【0024】
天面側噴射部43は、水平方向に延びる水平管部431と、複数のノズル432と、を有している。水平管部431は、図示しない洗浄液供給装置に接続されている。複数のノズル432は、水平管部431に所定間隔を空けて設けられており、基板カセット90の天面93側を向いている。この構成において、図示しない洗浄液供給装置から水平管部431に供給された洗浄液は、各ノズル432から基板カセット90の天面93に向かって噴射される。これにより、基板カセット90の天面93が洗浄される。
【0025】
この構成において、洗浄工程が開始されると、図示しない洗浄液供給装置から、各噴射部41、42、43へ洗浄液が供給される。そして、各噴射部41、42、43から、基板カセット90の底面91、側面92、及び天面93に向かって、洗浄液が噴射される。その際、
図4の矢印Aに示すように回転軸22が回転することで、コンベア21全体と共にローラー211に載置された基板カセット90も回転する。これにより、側面側噴射部42及び天面側噴射部43から噴射された洗浄液が、基板カセット90の側面92及び天面93に満遍なく吹き付けられて、側面92及び天面93が効率良く洗浄される。
【0026】
なお、回転軸22の回転方向は、時計回り又は反時計回りのいずれか一方向でも良いし、両方向でも良い。また、本実施形態の場合、底面側噴射部41の第2管部412は、回転軸22の回転と共に回転するが、回転軸22の回転と共に回転しないようにしても良い。
【0027】
以上説明した実施形態によれば、洗浄装置10は、底面側噴射部41を備えている。底面側噴射部41は、洗浄工程の際に、基板カセット90の底面91側へ向けて洗浄液を噴射する。これによれば、基板カセット90の底面91に対しても洗浄液を吹き付けて洗浄することができる。その結果、基板カセット90の底面91に極力パーティクルが残らないように洗浄することができる。
【0028】
また、洗浄装置10は、側面側噴射部42と、天面側噴射部43と、を備えている。側面側噴射部42は、基板カセット90の側面92へ向けて洗浄液を噴射する。天面側噴射部43は、基板カセット90の天面93へ向けて洗浄液を噴射する。そして、載置部としてのコンベア21は、基板カセット90を載置した状態で水平方向に回転可能に構成されている。これによれば、洗浄工程の際に、側面側噴射部42及び天面側噴射部43から基板カセット90の側面92及び天面93に洗浄液を吹き付けながら基板カセット90を回転させることで、基板カセット90の側面92及び天面93の全体に満遍なく洗浄液を吹き付けることができる。これにより、側面92及び天面93をより効率良く洗浄することができる。
【0029】
なお、基板カセット90と底面側噴射部41の第2管部412とを相対的に回転可能に構成しても良い。すなわち、回転軸22を回転させて基板カセット90を回転させる際に第2管部412を回転しない構成、又は、回転軸22を停止させて基板カセット90を回転させていない状態で第2管部412を回転させる構成、としても良い。これによれば、底面側噴射部41から噴射された洗浄液を、基板カセット90の底面91の全体に満遍なく吹き付けることができる。その結果、底面91を更に効率良く洗浄することができる。
【0030】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について
図5〜
図10を参照して説明する。
第2実施形態の洗浄装置10は、コンベア111、121、21、32に換えて、非摺動式の搬送装置50を備えている。搬送装置50は、基板カセット90の底面91を摺動することなく基板カセット90を搬送することができる。本実施形態の場合、2台の搬送装置50は同一の構成である。この場合、2台の搬送装置50を区別する場合には、投入部11側の搬送装置50を投入部側搬送装置501と称し、排出部12側の搬送装置50を排出部側搬送装置502と称する。
【0031】
本実施形態において、洗浄室20と乾燥室30とは相互に連通しておらず、独立している。投入部側搬送装置501は、投入部11と洗浄室20との間に設けられており、投入部11と洗浄室20との間で基板カセット90の受け渡しを行う。すなわち、投入部側搬送装置501は、投入部11に投入された基板カセット90を、洗浄室20内へ搬送する。また、投入部側搬送装置501は、洗浄室20内で洗浄工程を終了した基板カセット90を、洗浄室20から取り出す。
【0032】
排出部側搬送装置502は、乾燥室30と排出部12との間に設けられている。排出部側搬送装置502は、投入部側搬送装置501と乾燥室30との間、及び乾燥室30と排出部12との間で、基板カセット90の受け渡しを行う。すなわち、排出部側搬送装置502は、洗浄工程が終了し投入部側搬送装置501によって洗浄室20から取り出された基板カセット90を、投入部側搬送装置501から受け取って乾燥室30内へ搬送する。また、排出部側搬送装置502は、乾燥室30で乾燥工程が終了した基板カセット90を、乾燥室30から取り出して排出部12側へ搬送する。
【0033】
各搬送装置50は、
図9にも示すように、水平方向に回転可能な回転テーブル13上に設けられている。また、搬送装置50は、多段式のスライダ51と、
図9に示す上下動部52と、受け部53と、を有している。多段式のスライダ51は、
図5、
図6、及び
図8に示すように、水平方向に伸縮可能に構成されている。上下動部52及び受け部53は、スライダ51の先端部側に設けられている。受け部53は、上下動部52を介してスライダに接続されている。上下動部52は、
図9に示すように、受け部53を上下方向に移動させる。
【0034】
また、本実施形態において、洗浄装置10は、洗浄室20内に載置部24を備えている。載置部24には、基板カセット90が載置される。載置部24は、回転軸22の上端部側に設けられており、回転軸22と共に回転する。また、洗浄装置10は、乾燥室30内に載置部33を備えている。乾燥室30内に設けられた載置部33は、洗浄室20内に設けられた載置部24と同様の構成である。
【0035】
搬送装置50は、次のようにして、基板カセット90を搬送する。ここでは、搬送装置50の搬送の一例として、投入部11から洗浄室20への基板カセット90の搬送について説明する。
まず、搬送装置50は、受け部53を、基板カセット90の底面91よりも下方に位置させた状態で、
図6に示すようにスライダ51を投入部11側へ延ばして受け部53を基板カセット90の底面91の下方へ潜り込ませる。その後、搬送装置50は、上下動部52により受け部53を上昇させ、これにより受け部53で基板カセット90を受ける。
【0036】
次に、搬送装置50は、受け部53を上昇させたままスライダ51を縮める。その後、
図7に示すように回転テーブル13が回転し、搬送装置50の向きが180°回転すなわち反転する。次に、搬送装置50は、
図8に示すように、受け部53を上昇させたままスライダ51を洗浄室20側へ延ばして、基板カセット90を載置部24の上方に位置させる。そして、搬送装置50は、上下動部52により受け部53を下降させ、これにより基板カセット90を載置部24に受け渡す。その後、搬送装置50は、スライダ51を縮めて基板カセット90の下方から受け部53を抜く。
【0037】
なお、乾燥室30から排出部12への搬送も、上述したものと同様に行われる。また、投入部側搬送装置501と排出部側搬送装置502との間における基板カセット90の受け渡しは、
図7に矢印Bで示すように、各搬送装置501、502を
図5の状態から90°回転させた状態で、上述したものと同様の動作が行われる。
【0038】
このような構成によれば、基板カセット90は、洗浄装置10の各工程において、基板カセット90の底面91を摺動することなく非摺動式で搬送される。すなわち、搬送装置50は、基板カセット90の底面91を摺動することなく基板カセット90を搬送して載置部24に載置するとともに載置部24から取り外すことができる。
【0039】
したがって、本実施形態によれば、基板カセット90の搬送時に底面91が摺動しないため、摺動によって底面91にパーティクルが発生することを防止することができる。そのため、基板カセット90の底面91にパーティクルが発生すること自体を抑制することができるため、底面91からより効果的にパーティクルを除去することができる。
【0040】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な拡張、変更が可能である。
例えば各実施形態において、各工程を搬送する機構は、コンベア111、121、21,32や、スライダ式の搬送装置50に限らず、例えば多関節ロボット等であっても良い。
また、洗浄装置10は、必ずしも投入部11や排出部12、及び乾燥室30を備えている必要はない。すなわち、洗浄室20単体でも、洗浄装置10は機能する。この場合、洗浄室20内への基板カセット90の投入及び洗浄室20からの基板カセット90の取り出しは、例えば作業者等が直接行う構成としても良い。