特許第6708519号(P6708519)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708519
(24)【登録日】2020年5月25日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】ラベル付樹脂コートガラス瓶の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65C 9/26 20060101AFI20200601BHJP
   C03C 17/42 20060101ALI20200601BHJP
   C09J 103/02 20060101ALI20200601BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20200601BHJP
   B32B 37/06 20060101ALI20200601BHJP
   B65D 23/08 20060101ALI20200601BHJP
   G09F 3/10 20060101ALI20200601BHJP
   C09J 5/02 20060101ALI20200601BHJP
   B65C 9/20 20060101ALI20200601BHJP
   B05D 3/08 20060101ALN20200601BHJP
   B05D 7/00 20060101ALN20200601BHJP
【FI】
   B65C9/26
   C03C17/42
   C09J103/02
   B32B17/10
   B32B37/06
   B65D23/08 A
   G09F3/10 A
   C09J5/02
   B65C9/20
   !B05D3/08
   !B05D7/00 E
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-158342(P2016-158342)
(22)【出願日】2016年8月12日
(65)【公開番号】特開2018-24462(P2018-24462A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2019年3月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000222222
【氏名又は名称】東洋ガラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149799
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 政彦
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−302284(JP,A)
【文献】 特開2008−119675(JP,A)
【文献】 特開2013−000644(JP,A)
【文献】 特開2001−031095(JP,A)
【文献】 特開2005−162603(JP,A)
【文献】 特開2012−224824(JP,A)
【文献】 特開2012−225593(JP,A)
【文献】 特開2003−238710(JP,A)
【文献】 特開2005−153430(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0011254(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65C 9/20
B65C 9/26
B65D 23/08
G09F 3/10
C08J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラベル付樹脂コートガラス瓶の製造方法であって、
ガラス瓶本体の外表面の少なくとも一部に、樹脂層を形成し、樹脂コートガラス瓶を製造する工程と、
前記樹脂コートガラス瓶の前記樹脂層の表面を、炭化水素と、酸素と、珪素含有化合物とを含む混合ガスを燃焼させた火炎により火炎処理し、前記樹脂層の表面に珪酸塩層を形成する工程と、
ラベルを、前記珪酸塩層上にデンプン成分を40重量%以上含む接着剤を用いて接着させる工程とを含み、
前記珪酸塩層の形成により、前記珪酸塩層を形成しない場合に比べ、前記樹脂コートガラス瓶と前記ラベルとの接着力を長期に維持できる、製造方法。
【請求項2】
前記混合ガスにおける珪素含有化合物の割合が、0.01体積%以上、5体積%以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項3】
前記珪素含有化合物が、有機珪素化合物である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記炭化水素が、メタンを80体積%以上含有する炭化水素ガスである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項5】
前記火炎を出すバーナーの火炎射出部と、前記ガラス瓶に形成した樹脂層との距離が、20mm以上100mm以下である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記火炎の温度が、800℃以上1450℃以下である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラベル付樹脂コートガラス瓶の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス瓶は、外表面にウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレン系樹脂、又はアクリル系樹脂等の樹脂層を形成する(樹脂でコートする)ことにより、ガラス瓶の表面に傷が入りにくくなり、ガラス瓶の強度が向上することが従来から知られている。そのため、ガラス瓶外表面に樹脂でコーティングした樹脂コートガラス瓶が、広く利用されている。
【0003】
しかし、樹脂コートガラス瓶の表面に商品表示等の目的でラベルを貼付すると、ラベルが剥がれやすいという問題があった。この問題を解決するために、接着力の強い化学糊を使用すれば、ラベルは剥がれにくくなるが、糊に使用する有機溶剤によって作業環境が悪化してしまう、という別の問題が生じてしまう。
【0004】
したがって、化学糊ではなく、有機溶剤を用いない天然由来のデンプン糊の使用が望まれているが、このような糊は、一般的に化学糊に比べて接着力が弱く、樹脂コートガラス瓶に対して十分な接着力を有しているとは言い難い。
【0005】
このような問題を解決する方法として、特許文献1は、特定の酸価の乳化した状態のポリエチレンワックスと、アミノ基を有するシランカップリング剤とを含有する水性組成物が開示されており、この水性組成物をガラス瓶に塗布した場合、デンプン糊を用いたラベルやシールの貼り付けが可能となることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−162603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来のラベル貼り付け技術とは異なり、従来から用いられている樹脂層の表面を改質することにより、接着力が比較的弱い糊を用いても、ガラス表面から剥がれにくくし、ラベル接着性を長期化する方法を提供する。すなわち、本発明は、長期のラベル接着性を有するラベル付樹脂コートガラス瓶の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意研究の結果、炭化水素と、酸素と、珪素含有化合物とを含む混合ガスによる火炎により樹脂コートガラス瓶の樹脂層の表面を処理すると、樹脂コートガラス瓶とラベルとの接着力が高められ、接着力を長期に維持できることが判明し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明の1つは、ラベル付樹脂コートガラス瓶の製造方法であって、ガラス瓶本体の外表面の少なくとも一部に、樹脂層を形成し、樹脂コートガラス瓶を製造する工程と、前記樹脂コートガラス瓶の前記樹脂層の表面を、炭化水素と、酸素と、珪素含有化合物とを含む混合ガスを燃焼させた火炎により火炎処理し、前記樹脂層の表面に珪酸塩層を形成する工程と、ラベルを、前記珪酸塩層上に接着剤を用いて接着させる工程とを含む、製造方法である。
【0010】
前記製造方法において、前記接着剤が、デンプン糊を含む接着剤であることが好ましい。
【0011】
前記製造方法において、前記混合ガスにおける珪素含有化合物の割合が、0.01体積%以上、5体積%以下である、ことが好ましい。
【0012】
前記製造方法において、前記珪素含有化合物が、有機珪素化合物であることが好ましい。
【0013】
前記製造方法において、前記炭化水素が、メタンを80体積%以上含有する炭化水素ガスであることが好ましい。
【0014】
前記製造方法において、前記火炎を出すバーナーの火炎射出部と、前記ガラス瓶に形成した樹脂層との距離が、20mm以上100mm以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の製造方法によって得られたラベル付樹脂コートガラス瓶は、樹脂コートガラス瓶からラベルが剥がれにくく、しかも長期にわたって接着力を有する。したがって、天然素材で作業環境に優しいデンプン糊等の天然由来の接着剤を使用しても、十分な接着力があり、また、その接着力は長期にわたり維持される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施例のおける樹脂表面を処理する際の模式図である。
図2図2は、連続火炎処理法の一例を示す図である。当該図は、瓶の上方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の好ましい実施形態を示すが、本発明は下記する実施形態に限定されるものではない。
【0018】
[ラベル付樹脂コートガラス瓶の製造方法]
(1)樹脂層の形成
まず、所望の形状を有する新しいガラス瓶本体の外表面に、樹脂層を形成する。樹脂層の形成方法は、特に限定されるものではなく、従来の形成方法によって行うことができる。例えば、樹脂のコーティング液を塗布し、それを硬化させることによって、樹脂層を形成することができる。なお、本明細書では、ガラス瓶本体に樹脂層を形成した状態のガラス瓶を、樹脂コートガラス瓶とする。
【0019】
樹脂コートガラス瓶の樹脂層の種類は、本発明の目的を阻害しない範囲で適宜選択することができる。使用できる樹脂としては、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アクリル樹脂、エポキシ系樹脂、ラテックス系樹脂、ポリエチレン系樹脂が好適に用いられる。なかでも、ウレタン樹脂は、ウレタン樹脂の弾力性により緩衝作用が生じ、瓶に加わる衝撃が緩和されるため好ましい。また、ウレタン樹脂にメラミン樹脂を適量加えることで、耐アルカリ性が向上する。
【0020】
樹脂層を形成する方法として、樹脂のコーティング液を塗布する方法、樹脂フィルムを貼付する方法が挙げられるが、コーティング液を塗布する方法が好ましい。コーティング液を使用する場合は、必要に応じて、ラテックス、着色剤、レベリング剤、シランカップリング剤などの添加剤を加えることができる。また、水などの溶媒の添加量により粘度を調整できる。
【0021】
樹脂層の厚さは、特に限定されないが、通常20μm以上100μm以下である。
【0022】
樹脂層は、滑材を含む樹脂層にしてもよい。使用できる滑材は、固体滑剤としては、他にポリエチレンワックス、変性ポリエチレンワックス、カルバウナワックスなどの微粒子を用いることができる。
【0023】
(2)酸化炎処理
樹脂コートガラス瓶の樹脂層の表面には、酸化炎処理を行うことができる。酸化炎処理は、本発明において、必須の工程ではないが、行うことが好ましい。酸化炎処理を行うことで、樹脂層の表面の湿気を減少させて、均一な表面を得ることができる。
【0024】
ここで、酸化炎とは、引火性ガス、混合ガス、エアゾール又はスプレーのいずれかを基にした火炎であり、これらは過剰酸素を含み、及び/又は酸化作用を有する。
【0025】
(3)火炎処理工程
次に、樹脂コートガラス瓶の樹脂層の表面を火炎処理する工程について説明する。
火炎処理は、酸化炎処理の後、又は酸化炎処理せずに、樹脂層が形成されたガラス瓶に対して、炭化水素と、酸素と、珪素含有化合物とを含む混合ガスによる火炎を射出することにより、行うことができる。
【0026】
混合ガスに含まれる炭化水素は、特に限定されないが、通常、炭素数1以上6以下の炭化水素のガスを用いる。好ましくは、炭素数1及び2の炭化水素を主成分として含む混合ガスであり、さらに好ましくは、80体積%以上がメタンである炭化水素混合ガスである。なお、炭化水素混合ガスには、本発明の目的を阻害しない範囲で炭化水素以外の成分を含んでもよい。
【0027】
具体的には、80体積%以上がメタンである炭化水素混合ガスとして、都市ガスを用いることができる。都市ガスであれば、設備の簡素化がはかれ、通常のプロパンガスに比べて設備が簡素化される。
【0028】
また、本発明で用いられる混合ガスには、酸素が含まれる。酸素は、純度の高い酸素(例えば、酸素ガス)を使用してもよいし、空気を酸素源として使用してもよい。
【0029】
本発明で用いられる混合ガスは、珪素含有化合物を含む。珪素含有化合物を含むことにより、火炎処理によって樹脂層の表面に珪酸塩層を形成することができる。珪酸塩層を形成することにより、ラベルとの長期に接着力が維持される。なお、本明細書において、珪酸塩層の「珪酸塩」には、酸化珪素(シリカ)も含まれるものとする。また、本明細書では、樹脂コートガラス瓶の表面処理することの態様の1つとして、樹脂層の上に珪酸塩層を形成することが挙げられ、珪酸塩層の厚さは、特に制限はないが、上限としては50nm以下であることが好ましく、45nm以下であることが更に好ましい。また、珪酸塩層の厚さの下限としては、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがさらに好ましい。
【0030】
珪素含有化合物としては、有機珪素化合物が好ましく、例えば、テトラメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、テトラメチルシラン等のアルキルシラン化合物が挙げられる。アルコキシシラン化合物、アルキルシラン化合物は、ガスの相溶性等を考慮して、複数種を混合して用いることもできる。
【0031】
珪素含有化合物と、前述の炭化水素及び酸素とを混合させる場合は、珪素含有化合物を気化させてから混合させてもよい。珪素含有化合物を気化させた上で混合させる場合は、適切な沸点(例えば10℃以上100℃以下程度の沸点)の珪素含有化合物を選択することが好ましい。また、気化した珪素含有化合物は、空気等のキャリアーガスを用いて、炭化水素及び酸素のガスと混合させることもできる。また、混合ガスには本発明を阻害しない範囲でその他の気体成分を含むことができる。
【0032】
炭化水素ガスと、珪素含有化合物との体積流量比(炭化水素:珪素含有化合物)は、10:1〜50:1程度であることが好ましく、炭化水素と酸素との体積流量比は、1:0.5〜1:5であることが好ましい。なお、酸素原料として、空気を使用する場合(即ち、今後ガスに窒素が含まれる場合)は、珪素含有化合物(気体)の混合ガス全体に対する割合は、0.01体積%以上、5体積%以下であることが好ましい。
【0033】
樹脂層が接する炎の温度は、通常、800℃以上1450℃以下であり、好ましくは1000℃以上、1400℃以下である。800℃未満だと、珪酸塩層が十分に形成することができず、また、1450℃を超えてしまうと、ガラスが柔らかくなってしまい、形状が維持できなくなってしまう恐れがある。
【0034】
樹脂コートガラス瓶に火炎の照射時間は、0.1秒以上10秒以下とすることが好ましい。0.1秒未満では、十分な効果が得られず、10秒を超えると、珪酸塩層又は樹脂層が熱により分解変質する可能性があるからである。また、後述する図1のように、ガラス瓶を配置したろくろを回転させながら、火炎をあてることができる。
【0035】
具体的な火炎処理について、図面を使って説明する。図1は、樹脂層を形成した未使用のガラス瓶の樹脂層表面を火炎処理する工程を示す斜視図である。図中、矢印1で示す方向に混合ガスを導入する。導入された混合ガスを、バーナー2にて燃焼させる。バーナー2の火炎射出部6からは、燃焼する火炎3が出ている。火炎3は、樹脂コートガラス瓶4に向かって放出される。ガラス瓶4は、ろくろ5により、回転され、ガラス瓶外側面全体が、火炎処理される。なお、火炎射出部6は、バーナー2のガラス瓶4にもっとも近い部分である。
【0036】
バーナーの火炎射出部6(火炎放出先端部)からガラス瓶4までの距離は、通常10mm以上120mm以下であり、好ましくは20mm以上100mm以下である。火炎射出部6からガラス瓶4までの距離が離れすぎてしまうと、十分に珪酸塩層を形成することができないため、好ましくない。
【0037】
[樹脂コートガラス瓶の表面処理装置]
上記の例ではガラス瓶を1本ずつ回転させながら火炎を照射したが、連続して樹脂コートガラス瓶を火炎処理することもできる。連続して樹脂コートガラス瓶を火炎処理する表面処理装置について説明する。
【0038】
図2は、当該装置の火炎連続処理工程の部分に関する具体例を示す。表面処理装置は、火炎を放出させる連続処理バーナー9,9と、樹脂コートガラス瓶4,4,・・・の底面を下にした状態(ガラス瓶を立たせた状態)で、樹脂コートガラス瓶の底面の中心を通る垂直な軸を中心にして回転させるためのミニコンベア7と、連続処理バーナー9,9から放出される火炎10,10,・・・と、ガラス瓶4,4,・・・を搬送させるためのコンベア8と、ガラス瓶4をミニコンベア7と接するようにするためのガイド13から構成されている。
【0039】
図2のコンベア8の上流から矢印11の方向にガイド13に沿ってガラス瓶4,4,・・・が運ばれる。連続処理バーナー9,9により火炎10,10,・・・が放出され、ガスバーナーの近傍にあるガラス瓶4,4,・・・は、火炎処理される。このときの火炎10にガラス瓶4が最も近づいた時の、連続処理バーナー9,9の火炎射出部とガラス瓶4の距離は、通常10mm以上120mm以下であるが適宜選択される。好ましくは20mm以上100mm以下である。なお、ガイド13は、空冷、油冷、水冷等による冷却を行うことが好ましい。
【0040】
コンベア8の連続処理バーナー9,9側には、ミニコンベア7が配置されている。ガラス瓶4,4,・・・は、ミニコンベア7及びコンベア8の両方の上に位置している。すなわち、ミニコンベア7の上面は、ガラス瓶4,4,・・・の底面の一部と接触している。そして、ミニコンベア7は、コンベア8の進行方向11と同じ方向に進むが、ミニコンベア7のガラス瓶4,4,・・・の底面と接触する面の高さは、ガラス瓶4,4,・・・の底面と接触するコンベア8の面よりも2mm高い。したがって、火炎処理の際は、ミニコンベア7及びコンベア8の両方の上に位置している状態であるが、ミニコンベア7及びコンベア8の高さが異なるため、ガラス瓶4,4,・・・は直立状態から若干、コンベア8側に傾いている。なお、ミニコンベア7と、コンベア8の高さの差は、特に限定されるものではないが、1mm以上、5mm以下の範囲に設定することが好ましい。そして、ミニコンベア8は、進行速度がコンベア7の速度よりも早いため、ガラス瓶4,4,・・・は、ガラス瓶の回転方向12の方向に回転する(ガラス瓶の底面の中心を通る垂直な軸を中心にして回転させる)。2つの連続処理バーナー9,9一対でガラス瓶が一回転するように、ミニコンベア7の速度を調整するが、必ずしも全周にわたって処理をする必要はなく、必要な部分に火炎10,10,・・・があたればよい。すなわち、火炎10,10,・・・により、ガラス瓶4,4,・・・の外表面を火炎処理ができるように調整する。他の実施形態として、3本のバーナーを用いて、1本あたりのバーナーにおいてガラス瓶を120°回転させて、360°全周火炎処理をすることもできる。
ミニコンベア7の速度を調整し、連続処理バーナー9,9のうち1つのバーナーでガラス瓶を一回転以上回転させ、1本のガラス瓶に火炎処理を複数回施すこともできる。
【0041】
図2の装置では、連続処理バーナー9,9を2つ設けてある。2つの連続処理バーナー9,9は、コンベアと平行に横に並べる。2つの連続処理バーナー9,9のバーナーの高さをずらすことにより、ガラス瓶4,4,・・・の高さ方向に広範囲に火炎処理を行うことができる。なお、連続処理バーナーの数は、ガラス瓶4,4,・・・の大きさに応じて、適宜変更することができる。また、連続処理バーナー9,9は、ガラス瓶4,4,・・・の高さ方向に複数個配置することもできる。
【0042】
また、火炎処理を実施するにあたり、混合ガスの圧力変化を連続的に又は断続的にモニターしながら、樹脂層表面に対して火炎を射出することもできる。
【0043】
(4)ラベルの貼り付け工程
火炎処理工程の終了後、火炎処理済ガラスにラベルを貼り付ける。ラベルと、火炎処理済樹脂コートガラス瓶とは、通常接着剤を用いて接着させる。接着剤は、ラベル側に塗布してもよいし、ガラス瓶側に塗布してもよいが、ラベル側に塗布した方が適切に塗布できるため、好ましい。ラベルに塗布する場合は、バーコータ及び自動のラベラーを用いて、接着剤を均一にすることができる。
【0044】
ラベルの種類は特に限定されるものではないが、一般的には、紙製ラベル、合成樹脂ラベルなどが挙げられるが、紙製ラベルが好ましい。
【0045】
ラベルの貼り付けで使用される接着剤は、ラベルをガラス瓶に接着できるものであれば、特に限定されるものではない。本発明で用いられる接着剤としては、化学糊や天然由来成分の糊等が挙げられる。なお、本発明における火炎処理により、ガラス瓶の外表面と、ラベルとの接着力が高まるため、接着力が比較的低い天然由来成分の糊でも十分に接着できる。天然由来成分は、人体への悪影響が低く、また、有機溶媒も必要がないため、環境を配慮するという観点で好ましい。
【0046】
天然由来成分の糊としては、接着性成分として、デンプンのみを用いたデンプン糊や、主成分がデンプンである糊(例えば、40重量%〜99重量%がデンプン成分である糊)が挙げられる。他には、デンプンを主要構成成分とし、その他の成分、及び45〜65%程度の水を含有するものを用いることができる。デンプン糊に混合できる他の接着性成分としては、アクリル系合成糊等が挙げられ、デンプン糊と、アクリル系合成糊との混合接着剤を使用する場合は、デンプン糊対アクリル糊の比は、1:99〜99:1にすることができ、好ましくは30:70〜70:30以下にすることができる。
【実施例】
【0047】
次に、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。なお、本発明は実施例によって限定して解釈されるものではない。
【0048】
(実施例1)
図1のように、ガラス瓶本体(商品名MILK180 東洋ガラス株式会社製)の側面の表面(外表面)にウレタン樹脂層(ポリエーテル系水性ウレタン樹脂及びメチロールメラミン樹脂の混合材料による樹脂)を形成した樹脂コートガラス瓶を、ろくろの上に配置した。図1のように直方体形状のバーナーに混合ガス(都市ガスLNG(15L/分)、空気(150L/分)、テトラメトキシシラン(0.4L/分)を導入し、燃焼させて、ガラス瓶に射出しながら、ろくろをゆっくり回転させた。この時、バーナーの火炎射出部(出口)と瓶との距離は、50mmであった。テトラメトキシシランを含む混合ガスで得られた火炎処理済樹脂コートガラス瓶1とする。なお、このときの珪酸塩層の厚さは、40nmであった。
【0049】
火炎処理済樹脂コートガラス瓶1に、デンプン糊でラベルを貼った。デンプン糊は、常磐化学工業株式会社製デンプン糊(AS−600)を用いて、バーコータによりラベル面にデンプン糊を塗布した。ラベルには、標準紙(日本製紙製上質紙、70kg/連、50mm×100mm)を用いた。そして、ラベルの貼り付けは、ゴムシートの上にデンプン糊の塗られたラベルを、糊面を上にして敷き、空気を巻き込まないように、ラベルの上で火炎処理済樹脂コートガラス瓶1を押し転がすようにしてラベルを巻き付けた。得られたラベル付樹脂コートガラス瓶を実施例1とする。
【0050】
(比較例1)
テトラメトキシシランを混合ガスに含めないとしたこと以外は、火炎処理済樹脂コートガラス瓶1の製造と同様に、火炎処理済樹脂コートガラス瓶を製造した。この火炎処理済樹脂コートガラス瓶を火炎処理済ガラス瓶2とする
【0051】
得られた火炎処理済樹脂コートガラス瓶2に、デンプン糊でラベルを貼った。得られたラベル付樹脂コートガラス瓶を比較例1とする。なお、デンプン糊は、実施例1と同様、常磐化学工業株式会社製デンプン糊(AS−600)を用いて、バーコータによりラベル面に糊を塗布した。ラベルには、標準紙(日本製紙製上質紙、70kg/連、50mm×100mm)を用いた。
【0052】
(比較例2)
ガラス瓶本体(商品名MILK180 東洋ガラス株式会社製)の外表面にウレタン樹脂層(ポリエーテル系水性ウレタン樹脂及びメチロールメラミン樹脂の混合材料による樹脂)を形成した樹脂コートガラス瓶に、デンプン糊でラベルを貼った。デンプン糊は実施例1と同じものを用い、ラベルの貼り方などは実施例1と同様に行った。得られたラベル付樹脂コートガラス瓶を比較例2とする。
【0053】
(実施例2)
接着剤をデンプン糊からインパーボTV915(デンプン糊とアクリル系合成糊の混合糊、ヘンケル社製)に変更した以外は、実施例1と同様の手順により、ラベル付樹脂コートガラス瓶3(実施例2)を得た。
【0054】
(材破率測定)
得られた実施例1及び2、比較例1及び2について、材破率を求めた。材破率は、以下のように求めた。ラベル貼り付け1日経過後、4日経過後、7日経過後にカッターでラベルに約1cm×1cmに切り目を入れ、次に、ラベル面を完全に覆うようにクラフトテープを貼りつけた。張り付けたクラフトテープを消しゴムでこすって完全にテープを付着させた。そして、テープを付着させてから、約1〜2分後にテープの端を持って、ラベル面に対し、直角を保ちながら剥離し、ラベルが残っている面積比から求めた。
【0055】
すなわち、材破率は高ければ高いほど、接着力が高いということを意味する。
【0056】
実施例1及び2、比較例1及び2の材破率は以下の通りである。
【表1】
【0057】
表1からわかるように、珪素含有化合物を含む混合ガスにより火炎処理をおこなった実施例1及び実施例2では、長期にわたり高い接着性を有することがわかった。なお、実施例1及び2では、長期(9か月)保管した後に材破率を測定しても、材破率は90%以上を保持したが、比較例1では、同期間では50%未満の材破率であった。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明のラベル付樹脂コートガラス瓶の製造方法は、ガラス瓶及びその製造の技術分野において、好適に用いられる。
【0059】
(符号の説明)
1 混合ガス
2 バーナー
3 火炎
4 ガラス瓶(樹脂被覆済)
5 ろくろ
6 火炎射出部
7 ミニコンベア
8 コンベア
9 連続処理バーナー
10 連続処理バーナーから出る火炎
11 コンベア(ガラス瓶)の進行方向
12 ガラス瓶の回転方向
13 ガイド

図1
図2