(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、オフィスや公共施設などでは、各種作業を行うことのできる天板を備えたデスクやテーブル、作業台、実験台などの天板付什器が用いられている。天板付什器において、使用者の姿勢や体格、性別、好みなどによって、作業のしやすい天板の高さは個々に異なっている。天板の高さが一定である天板付什器ではこのような実情に対応できないため、天板の高さを上下方向に変更可能に構成された天板付什器が広く用いられている。こうした天板付什器を用いることによって、使用者に対して作業性の良い環境を提供することができ、作業効率を向上させるとともに、使用者の体への負担を低減することができる。
【0003】
また、複数の天板付什器を収納する場合に、例えば天板を折り畳んで複数の天板付什器を重ねて収納する、いわゆるスタッキングが広く行われている。スタッキングをすることで、限られた範囲内により多くの天板付什器を収納することができる。
【0004】
このような天板付什器として、例えば特許文献1には、天板の高さを調整可能であってスタッキング可能な昇降式テーブルが記載されている。この昇降式テーブルは、水平の支持脚に立設し、内部に伸縮機構を有する支柱と、支柱によって昇降可能に支持された天板と、を備えている。天板は、水平な使用位置とほぼ垂直な上向きの折り畳み位置との間を回動可能に設けられている。この昇降式テーブルでは、天板を折り畳み位置に回動させた状態で、複数の昇降式テーブルをスタッキングすることができる。しかしながら、天板を回動させるという構造上、天板を回動させる際に他の什器や壁などに天板をぶつけたり、天板と支柱との間に物を挟んだりする可能性が考えられる。
【0005】
そこで、天板を回動させない構造を有する天板付什器として、例えば特許文献2に記載されたスタッキングテーブルが知られている。このスタッキングテーブルは、天板と、天板に取り付けられ、長さを調整する機構を有する脚と、を備えている。脚は、天板に対する位置が固定された一対の固定脚と、天板に対する位置が変化する一対の可動脚と、から構成されている。可動脚は、天板との間に設けられた回転機構によって、天板の下方の位置と天板の短辺の側方の位置との間を移動することができる。可動脚が天板の短辺の側方に位置する状態では、可動脚同士の間隔は天板の長辺の長さ以上に離れている。スタッキング時には、可動脚をこの側方の位置に移動させるとともに、固定脚および可動脚の長さを調整して天板の高さが異なるようにした状態で、一方のスタッキングテーブルの天板の下に他方のスタッキングテーブルの天板を差し込んで天板同士が重なるようにして、これらのスタッキングテーブルをスタッキングする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載されたスタッキングテーブルでは、スタッキング時に相応の強度を有する天板同士が上下方向に重なるため、下方に配置された天板が上方に配置された天板と接触した場合に、下方に配置された天板の上面に傷や凹みなどが生じる可能性がある。
【0008】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、上下方向に天板を重ねる場合に下方に配置された天板に傷や凹みなどを生じにくくすることが可能な天板付什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様によれば、天板付什器は、天板と、前記天板の下方に配置され、上下方向に弾性変形可能なスペーサー部材と、設置面上に配置され、前記上下方向における前記天板の位置を調整可能に前記天板を支持する支持構造体と、を備える天板付什器において、前記支持構造体は、前記上下方向における前記天板の位置が互いに異なるように調整された前記天板と他の前記天板付什器の天板とが前記上下方向に重なるように、前記他の天板付什器の支持構造体に対して近接して配置可能に構成されており、前記スペーサー部材は、前記天板が前記他の天板付什器の天板の上から前記上下方向に重ねられた状態において、前記天板と前記他の天板付什器の天板との間に配置されるように構成され
、前記スペーサー部材は、前記設置面に平行な方向における前記天板の一端側から他端側に延びる板状に形成された板状部を有し、前記スペーサー部材は、前記板状部の延びる方向における前記板状部の一端部および他端部からそれぞれ上方に前記天板まで延びる一対の側部をさらに有し、前記板状部と前記一対の側部とによって、物品を収納可能な収納部が構成されている。
【0010】
このような天板付什器によれば、上下方向に弾性変形可能なスペーサー部材は、天板が他の天板付什器の天板の上から上下方向に重ねられた状態において、天板と他の天板付什器の天板との間に配置されている。このため、下方に配置された他の天板付什器の天板は、上方に配置された天板と接触する前にスペーサー部材と接触して、スペーサー部材が弾性変形するので、下方に配置された天板に傷や凹みなどが生じにくくすることができる。
また、このような天板付什器によれば、スペーサー部材は天板の一端側から他端側に延びる板状に形成された板状部を有している。このため、天板同士が上下方向に重ねられた状態において、スペーサー部材は、より広い範囲で下方に配置された天板と接触することができる。よって、下方に配置された天板に傷や凹みなどがさらに生じにくくすることができる。
さらに、このような天板付什器によれば、スペーサー部材の板状部と一対の側部とによって、物品を収納可能な収納部が構成されている。これにより、什器としての使い勝手を良好にすることができる。
【0011】
上記の天板付什器において、前記支持構造体は、前記設置面に平行な第一方向を向く側に設けられた被係合部と、前記第一方向を向く側の反対側に設けられ、前記被係合部の形状に対して係合可能な形状を有する係合受部と、を有していてもよい。前記係合受部
と前記設置面との間に形成された空間に前記他の天板付什器の支持構造体の被係合部
の一部が挿入されることによって、前記他の天板付什器を前記第一方向に重ねることが可能であってもよい。
【0012】
このような天板付什器によれば、第一方向を向く側の反対側に設けられた係合受部に、他の天板付什器の支持構造体において第一方向を向く側に設けられた被係合部を係合させることによって、他の天板付什器を第一方向に重ねることができる。このため、複数の天板付什器を第一方向に整列して重なるようにスタッキングすることができる。
【0017】
上記の天板付什器において、前記上下方向における前記天板の位置を調整するための操作部をさらに備えていてもよい。前記板状部の延びる方向は、前記第一方向に直交しかつ前記設置面に平行な前記第二方向であってもよい。前記操作部は、前記一対の側部の一方に対して前記第二方向に隣接する位置であって前記一対の側部の他方とともに前記一対の側部の一方を挟む位置に配置されていてもよい。
【0018】
このような天板付什器によれば、操作部は、スペーサー部材の一対の側部の一方に対して第一方向に直交する第二方向に隣接する位置であって一対の側部の他方とともに一対の側部の一方を挟む位置に配置されている。このため、複数の天板付什器を第一方向に重ねた状態でも、第一方向に直交する第二方向から容易に操作部にアクセスすることができる。よって、什器としての使い勝手を良好にすることができる。
【発明の効果】
【0019】
上記の天板付什器によれば、上下方向に天板を重ねる場合に下方に配置された天板に傷や凹みなどを生じにくくすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について、
図1から
図9を参照して説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態に係る天板付什器1を示す斜視図である。
図2は、天板付什器1の正面図である。
図3は、天板付什器1の右側面図である。
図4は、天板付什器1の支柱20が収縮した状態における天板付什器1の右側面図である。
図5は、
図2のV−V線における断面図である。なお、
図6において、支柱20の断面はその構成を簡略化して示している。
【0023】
図1から
図6に示すように、天板付什器1は、天板40と、スペーサー部材30と、支持構造体10と、を備えている。
【0024】
本実施形態では、天板40は、平面視で長方形の板状に形成されている。天板40は、天板付什器1を設置する設置面である床面Fに対して略平行な上面40tを有している。上面40tは、使用者が作業を行うために使用する作業面として機能するとともに、上面40t上に物品を載置することも可能である。天板40は、木製であり、例えばパーティクルボードで構成されている。天板40の厚さ(天板40の上面40tと下面40uとの間の距離)は、例えば20mmに設定されている。
【0025】
なお、以下の説明では、天板40の長辺方向を、幅方向Dhと適宜称する。天板40の短辺方向を、前後方向Dfと適宜称する。加えて、床面Fに垂直な方向を、上下方向Dvと適宜称する。幅方向Dhおよび前後方向Dfは、互いに直交するとともに、床面(設置面)Fにそれぞれ平行である。上下方向Dvは、幅方向Dhおよび前後方向Dfとそれぞれ直交する。
【0026】
スペーサー部材30は、天板40の下方に配置され、上下方向Dvに弾性変形可能に構成されている。本実施形態では、スペーサー部材30は、天板40の下面40uに設けられた収納トレー31である。
【0027】
収納トレー31は、底板部31aと、左側板部31bと、右側板部31cと、後板部31dと、仕切り板部31eと、を有している。底板部(板状部)31aは、幅方向Dhにおける天板40の一端側から他端側に延びる板状に形成されている。より具体的には、底板部31aは、幅方向Dhおよび前後方向Dfにそれぞれ延びる長方形の板状に形成されており、天板40の下面40uに対して下方に間隔をあけて略平行に配置されている。平面視における底板部31aの外形寸法は、平面視における天板40の外形寸法よりも小さく設定されている。
【0028】
左側板部(側部)31bは、底板部31aの幅方向Dhの一方(以下、この方向を幅方向Dhの左方、または単に左方と適宜称する。)の端部から前後方向Dfの全体に渡って上方に天板40の下面40uまで延びている。右側板部(側部)31cは、底板部31aの幅方向Dhの他方(以下、この方向を幅方向Dhの右方、または単に右方と適宜称する。)の端部から前後方向Dfの全体に渡って上方に天板40の下面40uまで延びている。後板部31dは、底板部31aの前後方向Dfの一方(以下、この方向を前後方向Dfの後方、または単に後方と適宜称し、その反対の方向を前後方向Dfの前方、または単に前方と適宜称する。)の端部から幅方向Dhの全体に渡って上方に天板40の下面40uまで延びている。仕切り板部31eは、後板部31dから前方に間隔をあけて配置され、底板部31aの前後方向Dfの中間部分から幅方向Dhの全体に渡って上方に天板40の下面40uまで延びる板状に形成されている。
【0029】
収納トレー31の底板部31a、左側板部31b、右側板部31c、および仕切り板部31eと、天板40の下面40uと、によって囲まれる空間によって収納部32が形成されている。収納部32は、前後方向Dfの前方が開口しており、この開口から文房具や書類、電子機器などの物品を収納部32に収納することができる。また、収納トレー31の後板部31dと仕切り板部31eとの間には、後方空間33が形成されている。後方空間33には、天板40を支持する支持構造体10の上部が配置されている。
【0030】
収納トレー31の後板部31dには、前後方向Dfの後方に突出するフック34が形成されている。フック34には、例えば、幕板として機能する板状の部材を掛けることができる。
【0031】
収納トレー31の底板部31a、左側板部31b、右側板部31c、後板部31d、および仕切り板部31eは、例えばポリプロピレンなどの弾性変形可能な樹脂によって一体的に形成されている。左側板部31b、右側板部31c、および後板部31dはそれぞれ、上端部が鍔状に形成されており、不図示のねじなどの固定具や接着材などによって天板40の下面40uに固定されている。これによって、収納トレー31は、天板40の下面40uに取り付けられている。
【0032】
支持構造体10は、床面F上に配置され、上下方向Dvにおける天板40の位置を調整可能に天板40を支持している。本実施形態では、支持構造体10は、天板40を支持する支柱20と、支柱20を支持するベース部50と、を有している。
【0033】
支柱20は、上下方向Dvに沿って延びており、上下方向Dvに伸縮可能に構成されている。具体的には、支柱20は、ベース部50に接続された外柱部21と、天板40に接続された内柱部22と、を有する。外柱部21は、上下方向Dvに延びる筒状に形成されている。内柱部22は、上下方向Dvに延びて形成され、外柱部21の内部に上下方向Dvに移動可能に収納されている。本実施形態では、外柱部21および内柱部22はともに、上下方向Dvに延びる円柱状の外形を有している。内柱部22は、支柱20が有する公知のガススプリングによる昇降機構(不図示)によって、外柱部21に対して上下方向Dvに移動することができる。これによって、支柱20を上下方向Dvに伸縮させることができる。支柱20を伸縮させることで、
図3に示すように支柱20が伸びており天板40が高い位置にある状態から、
図4に示すように支柱20が縮んでおり天板40が低い位置にある状態まで、上下方向Dvにおける天板40の位置を変化させることができる。
【0034】
収納トレー31の底板部31aには、仕切り板部31eと後板部31dとの間であって幅方向Dhの中央部分に底板部31aを貫通する孔部31hが形成されている。孔部31hは、支柱20が挿通可能な内径を有している。内柱部22の上部は、孔部31hを挿通して、収納トレー31の後方空間33内に配置されている。内柱部22の上端部は、フレーム23を介して天板40の下面40uに固定されている。内柱部22の上端部とフレーム23との固定、およびフレーム23と天板40の下面40uと固定はそれぞれ、不図示のねじなどの固定具によって行われている。このようにして、天板40は、支柱20に支持されている。
【0035】
支柱20の伸縮動作は、操作レバー(操作部)24によって制御することができる。すなわち、操作レバー24を操作することによって、上下方向Dvにおける天板40の位置を調整することができる。操作レバー24は、天板40の下面40uの下方であって収納トレー31の右側板部31cの右方に隣接する位置に配置されている。また、操作レバー24は、前後方向Dfに延びて形成されている。操作レバー24の後端側は、後方空間33内に配置された不図示の軸部に接続されている。この軸部は、後方空間33内の内柱部22の上端部に配置された昇降機構のピストンロッド(不図示)に当接している。操作レバー24の前端側は、前後方向Dfに天板40の前端部の近傍まで延びている。操作レバー24の前端側を
図4に示す状態から
図3に示す状態へ上方に移動させることで軸部を介してピストンロッドが操作され、これによって支柱20の昇降機構が動作する。
【0036】
ベース部50は、本体部51と、4つの脚杆52、53、54、55と、を有している。本体部51は、幅方向Dhに延びて設けられている。本体部51の幅方向Dhの中央部分に、外柱部21の下端部が不図示のねじなどの固定具によって固定されている。外柱部21は、本体部51において前後方向Dfの後方よりの位置に配置されている。また、前後方向Dfにおいて、本体部51の前端部51fは、天板40の前端部40fよりも後方に位置している。前後方向Dfにおいて、本体部51の後端部51rは、天板40の後端部40rよりも前方に位置している。
【0037】
脚杆52は、本体部51の幅方向Dhの左方の左端部51aから下方および左方に傾斜しつつ前後方向Dfの前方に延びている。脚杆52の前端部52fの下面には、公知のキャスター56が設けられている。また、脚杆53は、脚杆52の後方に配置されており、本体部51の幅方向Dhの左方の左端部51aから下方および左方に傾斜しつつ前後方向Dfの後方に延びている。脚杆53の後端部53rの下面には、公知のキャスター56が設けられている。
【0038】
脚杆54は、本体部51の幅方向Dhの右方の右端部51bから下方および右方に傾斜しつつ前後方向Dfの前方に延びている。脚杆54の前端部54fの下面には、公知のキャスター56が設けられている。また、脚杆55は、脚杆54の後方に配置されており、本体部51の幅方向Dhの右方の右端部51bから下方および右方に傾斜しつつ前後方向Dfの後方に延びている。脚杆55の後端部55rの下面には、公知のキャスター56が設けられている。
【0039】
このような構成により、本体部51は、脚杆52の前端部52f、脚杆53の後端部53r、脚杆54の前端部54f、および脚杆55の後端部55rよりも、上下方向Dvの位置が高くなっている。そして、本体部51と床面Fとの間に、他の天板付什器1の脚杆52の前端部52f、脚杆53の後端部53r、脚杆54の前端部54f、および脚杆55の後端部55rをそれぞれ挿入可能な空間が形成されている。
【0040】
また、本体部51の前端部51fの前後方向Dfの前方であって脚杆52と脚杆54との間には、スタッキング時に他の天板付什器1のベース部50を配置させるための空間が形成されている。同様に、本体部51の後端部51rの前後方向Dfの後方であって脚杆53と脚杆55との間には、スタッキング時に他の天板付什器1のベース部50を配置させるための空間が形成されている。
【0041】
各キャスター56が転動することにより、天板付什器1は床面F上を走行することができる。よって、スタッキングする際に、天板付什器1を容易に移動させることができる。また、各キャスター56には、公知のロック機構が適宜設けられている。
【0042】
次に、上述した本実施形態に係る天板付什器1のスタッキングについて、
図6から
図9を参照して説明する。
【0043】
図6は、天板付什器1をスタッキングした状態を示す正面図である。
図7は、天板付什器1をスタッキングした状態を示す右側面図である。
図8は、天板付什器1をスタッキングした状態を示す平面図である。
図9は、
図6のIX−IX線における断面図である。なお、
図9において、支柱20の断面はその構成を簡略化して示している。以下では、天板付什器1と同じ構成を有する4つの天板付什器1A、1B、1C、1Dのスタッキングについて説明する。
【0044】
まず、天板付什器1Aにおいて、操作レバー24を操作して、上下方向Dvにおける天板40の位置を最も低くする。次に、天板付什器1Bにおいて、天板40の位置を天板付什器1Aの天板40の位置よりも高くする。そして、
図6から
図8に示すように、天板付什器1Aの前後方向Dfの後方に、天板付什器1Bを前側から幅方向Dhの左方にずらして配置する。このとき、天板付什器1Bの支持構造体10の支柱20の近傍に天板付什器1Aの天板40の後端部40rが位置するように、天板付什器1Bを配置する。
【0045】
この状態では、天板付什器1Aの天板40の上に天板付什器1Bの天板40および収納トレー31が配置されており、天板付什器1Aの天板40の後側部分と天板付什器1Bの天板40および収納トレー31の前側部分とが上下方向Dvに重なっている。すなわち、天板付什器1Bの収納トレー31は、天板付什器1Bの天板40と天板付什器1Aの天板40との間に配置されている。
【0046】
また、上述の状態における支持構造体10については、
図9に示すように、天板付什器1Bのベース部50の本体部51の前端部51fは、平面視において天板付什器1Aのベース部50の脚杆53と脚杆54との間に配置されている。天板付什器1Bのベース部50の脚杆54は、天板付什器1Aのベース部50の本体部51の右端部51bと床面Fとの間に形成された空間に挿入されている。天板付什器1Bのベース部50の脚杆52は、天板付什器1Aのベース部50の本体部51の左端部51aの左方に近接して配置されている。さらに、天板付什器1Bのベース部50の本体部51の左端部51aと床面Fとの間に形成された空間に、天板付什器1Aのベース部50の脚杆53が挿入されている。天板付什器1Bのベース部50の本体部51の右端部51bの右方に、天板付什器1Aのベース部50の脚杆55が近接して配置されている。
【0047】
このようにして、天板付什器1Aの支持構造体10において前後方向(第一方向)Dfの後方側のベース部50の本体部51、脚杆53、および脚杆55によって構成される被係合部57の形状に対して係合可能な形状に、天板付什器1Bの支持構造体10において前後方向Dfの前方側のベース部50の本体部51、脚杆52、および脚杆54によって構成される係合受部58が形成されている。そして、天板付什器1Bの係合受部58に天板付什器1Aの被係合部57を係合させることによって、天板付什器1Aおよび天板付什器1Bを前後方向Dfに重ねることができる。
【0048】
すなわち、天板付什器1Aのベース部50および天板付什器1Bのベース部50が上述した位置関係となることによって、天板付什器1Bの支持構造体10は、天板付什器1Bの天板40と天板付什器1Aの天板40とが上下方向Dvに重なるように、天板付什器1Aの支持構造体10に対して近接して配置することができる。加えて、この際、天板付什器1Aの天板40の後端部40rに天板付什器1Bの支柱20の外周面20s、より具体的には内柱部22の外周面を当接させることによって、天板付什器1Aに対する天板付什器1Bの前後方向Dfの位置を定めることができる。
【0049】
続いて、上述した状態から、天板付什器1Bの収納トレー31が天板付什器1Aの天板40の上面40tに軽く接触する、または天板付什器1Bの収納トレー31と天板付什器1Aの天板40の上面40tとの間に若干の隙間が形成されるまで、上下方向Dvにおける天板付什器1Bの天板40の位置を下げる。
【0050】
このとき、天板付什器1Bの天板40と天板付什器1Aの天板40との間に、天板付什器1Bの収納トレー31が配置されている。天板40は上述したような所定の厚さを有する木製であるため、上述したような樹脂で形成された収納トレー31に対して剛性が高い。このため、天板付什器1Aの天板40に天板付什器1Bの収納トレー31が接触した場合には、収納トレー31が弾性変形するため、天板40に傷や凹みなどが生じにくい。このように、収納トレー31はスペーサー部材30として機能する。
【0051】
続いて、天板付什器1Cにおいて、天板40の位置を天板付什器1Bの天板40の位置よりも高くする。そして、上述した天板付什器1Aに対する天板付什器1Bと同様に、天板付什器1Cを天板付什器1Bの前後方向Dfの後方に配置し、天板付什器1Cの天板40の位置を天板付什器1Bの天板40の上面40t上まで下げる。
【0052】
さらに続いて、天板付什器1Dにおいて、天板40の位置を天板付什器1Cの天板40の位置よりも高くする。そして、上述した天板付什器1Aに対する天板付什器1Bと同様に、天板付什器1Dを天板付什器1Cの前後方向Dfの後方に配置し、天板付什器1Dの天板40の位置を天板付什器1Cの天板40の上面40t上まで下げる。
【0053】
以上のようにして、天板付什器1A、1B、1C、1Dをスタッキングすることができる。
【0054】
本実施形態によれば、天板付什器1は、天板40と、天板40の下方に配置され、上下方向Dvに弾性変形可能な収納トレー31と、床面F上に配置され、上下方向Dvにおける天板40の位置を調整可能に天板40を支持する支持構造体10と、を備える。支持構造体10は、上下方向Dvにおける天板40の位置が互いに異なるように調整された天板40と他の天板付什器1の天板40とが上下方向Dvに重なるように、他の天板付什器1の支持構造体10に対して近接して配置可能に構成されている。収納トレー31は、天板40が他の天板付什器1の天板40の上から上下方向Dvに重ねられた状態において、天板40と他の天板付什器1の天板40との間に配置されるように構成されている。
【0055】
上述した構成によれば、上下方向Dvに弾性変形可能な収納トレー31は、天板40が他の天板付什器1の天板40の上から上下方向Dvに重ねられた状態において、天板40と他の天板付什器1の天板40との間に配置されている。このため、下方に配置された他の天板付什器1の天板40は、上方に配置された天板40と接触する前に収納トレー31と接触して、収納トレー31が弾性変形するので、下方に配置された天板40に傷や凹みなどが生じにくくすることができる。
【0056】
また、支持構造体10は、床面Fに平行な前後方向Dfの後方側に設けられた被係合部57と、前後方向Dfの前方側に設けられ、被係合部57の形状に対して係合可能な形状を有する係合受部58と、を有している。係合受部58に他の天板付什器1の支持構造体10の被係合部57を係合させることによって、他の天板付什器1を前後方向Dfに重ねることが可能である。
【0057】
上述した構成によれば、前後方向Dfの前方側に設けられた係合受部58に、他の天板付什器1の支持構造体10において前後方向Dfの後方側に設けられた被係合部57を係合させることによって、他の天板付什器1を前後方向Dfに重ねることができる。このため、複数の天板付什器1を前後方向Dfに整列して重なるようにスタッキングすることができる。
【0058】
また、収納トレー31は、床面Fに平行な幅方向Dhにおける天板40の一端側から他端側に延びる板状に形成された底板部31aを有している。このため、天板40同士が上下方向に重ねられた状態において、収納トレー31は、より広い範囲で下方に配置された天板40と接触することができる。よって、下方に配置された天板40に傷や凹みなどがさらに生じにくくすることができる。
【0059】
また、天板付什器1は、上下方向Dvにおける天板40の位置を調整するための操作レバー24をさらに備えている。操作レバー24は、収納トレー31の右側板部31cに対して前後方向Dfに直交する幅方向Dhの右方に隣接する位置に配置されている。このため、複数の天板付什器1を前後方向Dfに重ねた状態でも、前後方向Dfに直交する幅方向Dhから容易に操作レバー24にアクセスすることができる。よって、什器としての使い勝手を良好にすることができる。
【0060】
なお、上述した本実施形態において、スペーサー部材30は収納トレー31であるとしたが、これに限らない。例えば、スペーサー部材30は、天板40の下面40uに設けられたゴムなどの弾性部材であってもよい。これにより、スペーサー部材30は、上下方向Dvに弾性変形可能に構成されていてもよい。さらに、スペーサー部材30は、上下方向Dvを厚さ方向として上下方向Dvに弾性変形可能なブロック状の軟質弾性体であってもよい。
【0061】
また、収納トレー31の底板部31a、左側板部31b、右側板部31c、および仕切り板部31eと、天板40の下面40uと、によって囲まれる空間によって収納部32が形成されているとしたが、これに限らない。収納トレー31は、底板部31aと、底板部31aの幅方向Dhの一端部および他端部からそれぞれ上方に天板40まで延びる一対の側部として左側板部31bおよび右側板部31cと、を有し、少なくとも底板部31aと左側板部31bおよび右側板部31cとによって、収納部32が構成されていればよい。
【0062】
また、スペーサー部材30として機能する収納トレー31の底板部31aは、左側板部31b、右側板部31c、および後板部31dを介して天板40の下面40uに取り付けられていたが、これに限らない。例えば、底板部31aは、公知のワイヤ部材や吊下げ金具などを用いて、天板40の下面40uから吊り下げられていてもよい。また、この場合には、左側板部31b、右側板部31c、および後板部31dは、設けられていなくてもよい。さらに、底板部31aは、幅方向Dhに限らず、床面Fに平行な一方向に延びる板状に形成されていればよい。
【0063】
また、支柱20は、ガススプリングによる昇降機構によって上下方向Dvに伸縮可能に構成されていたが、これに限らない。支柱20は、公知のラチェット機構を用いて伸縮可能に構成されていてもよいし、公知の電動式駆動ユニットを用いて伸縮可能に構成されていてもよい。また、支柱20は、ねじなどの固定具を用いて外柱部21に対する内柱部22の上下方向Dvの位置を段階的に変更可能に外柱部21と内柱部22とが連結されることによって、伸縮可能に構成されていてもよい。さらに、一つの支柱20によって、天板40が支持されていたが、複数の支柱20によって、天板40が支持されていてもよい。
【0064】
また、操作レバー24は、天板40の下面40uの下方であって収納トレー31の右側板部31cの右方に隣接する位置に配置されているとしたが、これに限らない。操作レバー24は、収納トレー31の左側板部31bの左方に隣接する位置に配置されていてもよい。すなわち、操作レバー24は、収納トレー31の左側板部31bおよび右側板部31cの一方に対して幅方向Dhに隣接する位置であって、左側板部31bおよび右側板部31cの他方とともに左側板部31bおよび右側板部31cの一方を挟む位置に配置されていればよい。
【0065】
また、天板付什器1をスタッキングする際に、天板付什器1を幅方向Dhの左方にずらして前後方向Dfの後方に重ねていたが、これに限らない。天板付什器1を幅方向Dhの右方にずらして前後方向Dfの後方に重ねていてもよい。この場合でも同様にスタッキングすることができる。
【0066】
また、支持構造体10において前後方向Dfの後方側に被係合部57が設けられ、前後方向Dfの前方側に係合受部58が設けられているとしたが、これに限らない。支持構造体10において前後方向Dfの前方側に被係合部57が設けられ、前後方向Dfの後方側に係合受部58が設けられていてもよい。さらに、被係合部57は前後方向Dfに限られず、支持構造体10において床面Fに水平な一方向を向く側に設けられていてもよく、この場合には、係合受部58は、支持構造体10においてこの一方向を向く側の反対側に設けられていればよい。これにより、床面Fに水平な任意の一方向に天板付什器1を重ねてスタッキングすることができる。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。