(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
後述する明細書及び図面の記載から、上記の主たる発明の他、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0013】
すなわち、前記利用者が所持する携帯音楽プレイヤーとカラオケ装置とが接続されている場合、前記選曲した楽曲が前記携帯音楽プレイヤーに登録されているかを確認する登録確認部と、前記選曲した楽曲が前記携帯音楽プレイヤーに登録されている場合、前記携帯音楽プレイヤーから当該選曲した楽曲の再生回数を取得する再生回数取得部と、を有し、前記予想採点値算出部は、前記予想採点値を算出する際に、前記再生回数に応じた重み付けを行うカラオケシステムが明らかとなる。このようなカラオケシステムによれば、選曲した楽曲の再生回数に応じて、より適切な情報を提示することができる。
【0014】
また、前記予想情報は、前記予想採点値が示す数値であり、前記提示部が、前記数値を表示部に表示させるカラオケシステムが明らかとなる。或いは、前記予想情報は、前記予想採点値に対応する文字または図形の少なくとも一方であり、前記提示部が、前記文字または図形の少なくとも一方を表示部に表示させるカラオケシステムが明らかとなる。このようなカラオケシステムによれば、利用者は参考となる情報を視覚的に把握することができる。
【0015】
<第1実施形態>
図1〜
図5を参照して、第1実施形態に係るカラオケ装置1について説明する。カラオケ装置1は、「カラオケシステム」の一例である。
【0016】
==カラオケ装置==
カラオケ装置1は、カラオケ演奏及び利用者がカラオケ歌唱を行うための装置である。カラオケ装置1は、カラオケ店舗の各部屋に設置される。
図1に示すように、カラオケ装置1は、カラオケ本体10、スピーカ20、表示装置30、マイク40、及びリモコン装置50を備える。
【0017】
スピーカ20はカラオケ本体10からの放音信号に基づいて放音するための構成である。表示装置30はカラオケ本体10からの信号に基づいて映像や画像を画面に表示するための構成である。マイク40は利用者の歌唱音声をアナログの音声信号に変換してカラオケ本体10に入力するための構成である。リモコン装置50は、カラオケ本体10に対する各種操作をおこなうための装置である。利用者はリモコン装置50を用いてカラオケ歌唱を希望する楽曲の選曲(予約)等を行うことができる。リモコン装置50の表示画面には各種操作の指示入力を行うためのアイコン等が表示される。
【0018】
カラオケ本体10は、選択されたカラオケ楽曲の演奏制御、歌詞や背景映像等の表示制御、マイク40を通じて入力された音声信号の処理といった、カラオケ歌唱に関する各種の制御を行う。
図1に示すように、カラオケ本体10は、制御部11、通信部12、記憶部13、音響処理部14、表示処理部15及び操作部16を備える。各構成はインターフェース(図示なし)を介してバスBに接続されている。
【0019】
制御部11は、CPU11aおよびメモリ11bを備える。CPU11aは、メモリ11bに記憶された動作プログラムを実行することにより各種の制御機能を実現する。メモリ11bは、CPU11aに実行されるプログラムを記憶したり、プログラムの実行時に各種情報を一時的に記憶したりする記憶装置である。
【0020】
通信部12は、ルーター(図示なし)を介してカラオケ本体10を通信回線に接続するためのインターフェースを提供する。
【0021】
記憶部13は、各種のデータを記憶する大容量の記憶装置であり、たとえばハードディスクドライブなどである。記憶部13は、カラオケ装置1によりカラオケ演奏を行うための複数の楽曲データを記憶する。
【0022】
楽曲データは、個々の楽曲を特定するための楽曲IDが付与されている。楽曲データは、伴奏データ、リファレンスデータ等を含む。伴奏データは、カラオケ演奏音の元となるデータである。リファレンスデータは、楽曲の主旋律等を示すデータである。リファレンスデータは、たとえば、歌唱者によるカラオケ歌唱を採点する際の基準として用いられる。伴奏データ及びリファレンスデータは、たとえばMIDI形式で構成される。また、記憶部13は、カラオケ楽曲に対応する歌詞テロップを表示装置30等に表示させるための歌詞テロップデータ、カラオケ演奏時に表示装置30等に表示される背景画像等の背景画像データ、及び楽曲の属性情報(歌手名、作詞・作曲者名、ジャンル等の当該楽曲に関する情報)を記憶する。
【0023】
また、本実施形態において、個々の楽曲には難易度が設定されている。難易度は、ある楽曲をカラオケ歌唱する際の難しさを示す指標である。一般に、高い難易度が設定されている楽曲ほどカラオケ歌唱が困難であるといえる。
【0024】
難易度の設定は、様々な手法で行うことができる。たとえば、主旋律に含まれる音符のうち短い音符の数に応じて難易度を設定すること(短い音符が多い楽曲ほど難易度が高い)や、音高の変動に応じて難易度を設定すること(音高の変動が大きい楽曲ほど難易度が高い)等が可能である(詳細な手法については特開2005−1073333号公報参照)。或いは、全ての楽曲の採点平均値と標準偏差、及び個々の楽曲の採点平均値により算出された偏差値を用いて難易度を設定することも可能である(詳細な手法については特開平10−282978号公報)。
【0025】
難易度は、いくつかの段階に分類することが可能である。たとえば、「ランクA(超難関)、ランクB(少し難しい)、ランクC(普通)、ランクD(少し簡単)、ランクE(超簡単)」のように数段階の簡易な分類が可能である。或いは、予想採点値(後述)の精度を高めるためには、十数〜数十段階に渡って細かく分類することも可能である。
【0026】
音響処理部14は、制御部11の制御に基づき、カラオケ楽曲に対する演奏の制御およびマイク40を通じて入力された歌唱音声信号の処理を行う。音響処理部14は、たとえばMIDI音源、ミキサ、アンプ(いずれも図示なし)を含む。MIDI音源は、楽曲データに基づいて楽音信号を生成する。ミキサは、当該音楽信号およびマイク40から出力される歌唱音声信号を適当な比率でミキシングしてアンプに出力する。アンプは、ミキサからのミキシング信号を増幅し、放音信号としてスピーカ20へ出力する。これにより、スピーカ20からは放音信号に基づくカラオケ演奏音およびマイク40からの歌唱音声が放音される。
【0027】
表示処理部15は、制御部11の制御に基づき、表示装置30やリモコン装置50における各種表示に関する処理を行う。たとえば、表示処理部15は、カラオケ演奏時における背景映像に歌詞テロップや各種アイコンが重ねられた映像を表示装置30に表示させる制御を行う。
【0028】
操作部16は、パネルスイッチおよびリモコン受信回路などからなり、利用者によるカラオケ装置1のパネルスイッチあるいはリモコン装置50の操作に応じて選曲信号、演奏中止信号などの操作信号を制御部11に対して出力する。制御部11は、操作部16からの操作信号を検出し、対応する処理を実行する。
【0029】
(ソフトウェア構成)
図2はカラオケ本体10のソフトウェア構成例を示す図である。カラオケ本体10は、歌唱履歴記憶部100、歌唱判断部200、採点値抽出部300、予想採点値算出部400及び提示部500を備える。歌唱履歴記憶部100は、記憶部13の記憶領域の一部として実現される。歌唱判断部200、採点値抽出部300、予想採点値算出部400、提示部500は、CPU11aがメモリ11bに記憶されるプログラムを実行することにより実現される。
【0030】
[歌唱履歴記憶部]
歌唱履歴記憶部100は、利用者毎の歌唱履歴を記憶する。
【0031】
たとえば、利用者Xがカラオケ装置1に自己の利用者IDを入力してログインした場合、カラオケ装置1は、サーバ(図示なし)に対して利用者Xの歌唱履歴を要求する。サーバは、自己の記憶領域にある利用者Xの歌唱履歴を特定し、カラオケ装置1に送信する。歌唱履歴記憶部100は、サーバから受信した利用者Xの歌唱履歴を記憶する。
【0032】
図3は、利用者Xの歌唱履歴の一例である。歌唱履歴には、たとえば、歌唱した楽曲名、楽曲ID,歌唱した日付、採点結果(採点値)と併せて楽曲の難易度が含まれる。なお、
図3における各楽曲の難易度は、ランクA(超難関)〜ランクE(超簡単)の5段階で設定されている。
【0033】
[歌唱判断部]
歌唱判断部200は、利用者が選曲した楽曲について、当該利用者が過去にカラオケ歌唱を行ったことがあるかを判断する。
【0034】
たとえば、利用者Xがリモコン装置50を介して楽曲mを選曲したとする。この場合、歌唱判断部200は、楽曲mが歌唱履歴記憶部100に記憶された利用者Xの歌唱履歴に含まれるかどうかを判断する。楽曲mが利用者Xの歌唱履歴に含まれる場合、利用者Xは過去に楽曲mのカラオケ歌唱を行ったことがあるということになる。一方、楽曲mが利用者Xの歌唱履歴に含まれない場合、利用者Xは過去に楽曲mのカラオケ歌唱を行ったことがないことになる。
【0035】
利用者Xが過去に楽曲mのカラオケ歌唱を行ったことがない場合、歌唱判断部200は、所定の信号を採点値抽出部300に出力する。一方、利用者Xが過去に楽曲mのカラオケ歌唱を行ったことがある場合、歌唱判断部200は特段の処理を行わない。
【0036】
[採点値抽出部]
採点値抽出部300は、選曲した楽曲についてカラオケ歌唱を行ったことが無い場合、利用者の歌唱履歴から、選曲した楽曲の難易度と同一または近似する難易度が設定されている楽曲の採点値を抽出する。
【0037】
たとえば、上記例において、利用者Xが選曲した楽曲mの難易度が「ランクB」であるとする。この場合、採点値抽出部300は、利用者Xの歌唱履歴から、選曲した楽曲mの難易度「ランクB」と同じ難易度が設定されている楽曲があるかどうかを検索する。
図3に示すように、利用者Xの歌唱履歴には、難易度「ランクB」の楽曲として楽曲a及び楽曲eがある。この場合、採点値抽出部300は、歌唱履歴から楽曲aの採点値「85点」と、楽曲eの採点値「75点」を抽出する。採点値抽出部300は、抽出した採点値を予想採点値算出部400に出力する。
【0038】
なお、上述の通り、予想採点値(後述)の精度を高めるためには、難易度は細かく分類されていることが好ましい。一方で、難易度を細かく分類した場合、歌唱履歴の中に、選曲した楽曲の難易度と同一の難易度が設定されている楽曲が無い可能性が高くなる。そこで、採点値抽出部300は、選曲した楽曲の難易度に近似する難易度が設定されている楽曲の採点値を抽出することでもよい。
【0039】
たとえば、難易度が「ランクA」〜「ランクG」の7段階に分類されている場合であって、選曲した楽曲の難易度「ランクD」と同じ難易度が設定されている楽曲が歌唱履歴に含まれていなかったとする。この場合、採点値抽出部300は、難易度「ランクD」に近い難易度「ランクC」または難易度「ランクE」が設定されている楽曲があるかどうかを検索する。歌唱履歴に難易度「ランクC」または難易度「ランクE」が設定されている楽曲がある場合、採点値抽出部300は、当該楽曲の採点値を抽出する。難易度「ランクC」または難易度「ランクE」は、難易度「ランクD」に「近似する難易度」の一例である。
【0040】
或いは、難易度を予めいくつかのグループ分けしておき、同じグループに含まれる楽曲の採点値を抽出することも可能である。たとえば、難易度が「ランクA」〜「ランクI」の9段階に分類されており、且つそれらが難易度「ランクA」〜「ランクC」の第1グループ、難易度「ランクD」〜「ランクF」の第2グループ、及び難易度「ランクG」〜「ランクI」の第3グループに分けられているとする。ここで、選曲した楽曲の難易度「ランクD」と同じ難易度が設定されている楽曲が歌唱履歴に含まれていなかったとする。この場合、採点値抽出部300は、難易度「ランクD」が含まれる第2グループの他の難易度(難易度「ランクE」または難易度「ランクF」)が設定されている楽曲があるかどうかを検索する。歌唱履歴に難易度「ランクE」または難易度「ランクF」が設定されている楽曲がある場合、採点値抽出部300は、当該楽曲の採点値を抽出する。難易度「ランクE」または難易度「ランクF」は、難易度「ランクD」に「近似する難易度」の一例である。
【0041】
[予想採点値算出部]
予想採点値算出部400は、抽出した採点値に基づいて、選曲した楽曲をカラオケ歌唱した際に得られる可能性のある予想採点値を算出する。
【0042】
たとえば、上記例において、採点値抽出部300から楽曲aの採点値「85点」及び楽曲eの採点値「75点」の入力を受けると、予想採点値算出部400は、それらの値の平均値「80点」を算出する。予想採点値算出部400は、算出した値を提示部500に出力する。なお、複数の採点値がある場合、予想採点値は平均値でなく、分散値や中央値、最頻値、或いは標準偏差等であってもよい。逆に、採点値抽出部300から入力された採点値が1つしかない場合、予想採点値算出部400は、その値を予想採点値として提示部500に出力する。
【0043】
[提示部]
提示部500は、算出された予想採点値に基づく予想情報を提示する。予想情報は、ある楽曲をカラオケ歌唱した場合に得られるであろう採点値等、楽曲を選曲する際に参考となる情報である。
【0044】
予想情報は、たとえば、予想採点値が示す数値(予想採点値そのもの)である。上記例において、予想採点値算出部400から予想採点値「80点」の入力を受けると、提示部500は、予想採点値が示す数値である「80点」を予想情報として利用者に提示する。予想情報の提示方法は様々な手法が可能である。
【0045】
たとえば、利用者が楽曲mを選曲した場合、提示部500は、リモコン装置50の表示部に、楽曲mに関する情報と併せて予想情報「80点」を表示させることができる(
図4参照)。このように予想情報を表示部に表示させることは「予想情報を提示する」ことの一例である。提示部500は、予想情報を表示装置30に表示させてもよい。
【0046】
また、提示部500は、スピーカ20を介し、予想情報を音声として利用者に提示することも可能である。このように予想情報をスピーカ20から放音させることも「予想情報を提示する」ことの一例である。
【0047】
なお、予想情報は、具体的な数値でなくともよい。予想情報は、たとえば「かなり難しいかも?」、「あなたなら簡単に歌えるはず!」といった文字で提示されてもよいし、予想採点値が低いほど険しい顔となるキャラクター(図形の一例)や予想採点値が高い場合には「◎」、低い場合には「×」といった図形として提示することも可能である。これらの文字や図形は、たとえば、予想採点値が80点以上の場合には「◎」の図形、予想採点値が60点以下の場合には「かなり難しいかも?」の文字といったように、予め予想採点値に対応する文字や図形が設定されている。これらの文字や図形のデータは、記憶部13に記憶される。
【0048】
==カラオケ装置1の動作について==
次に、
図5を参照して本実施形態におけるカラオケ装置1の動作の具体例について述べる。
図5は、カラオケ装置1の動作例を示すフローチャートである。
【0049】
利用者Xは、リモコン装置50を介して楽曲mを選曲する(楽曲mの選曲。ステップ10)。
【0050】
歌唱判断部200は、利用者Xが選曲した楽曲mについて、利用者Xが過去にカラオケ歌唱を行ったことがあるかを判断する。
【0051】
利用者Xが楽曲mのカラオケ歌唱を行ったことが無い場合(ステップ11でNの場合)、採点値抽出部300は、利用者Xの歌唱履歴から、楽曲mの難易度と同一の難易度が設定されている楽曲の採点値を抽出する(難易度が同じ楽曲の採点値を抽出。ステップ12)。採点値抽出部300は、抽出した採点値を予想採点値算出部400に出力する。
【0052】
予想採点値算出部400は、ステップ12で抽出した採点値に基づいて、選曲した楽曲mをカラオケ歌唱した際に得られる可能性のある予想採点値を算出する(予想採点値の算出。ステップ13)。予想採点値算出部400は、算出した予想採点値を提示部500に出力する。
【0053】
提示部500は、ステップ13で算出された予想採点値に基づく予想情報を利用者Xに対して提示する(予想情報の提示。ステップ14)。
【0054】
このように、本実施形態に係るカラオケ装置1によれば、過去にカラオケ歌唱を行ったことが無い楽曲の難易度と同一または近似する難易度の楽曲を歌唱履歴から特定し、その楽曲の採点値を抽出することにより、過去にカラオケ歌唱を行ったことが無い楽曲を選曲する際に参考となる情報(予想情報)を提示することができる。利用者は予想情報を参照することで、過去にカラオケ歌唱を行ったことが無い楽曲について、実際に歌唱を行うかどうかを判断し易くなる。そして、予想情報を参照した利用者は、たとえば、カラオケ歌唱が難しいと感じた場合にはガイドボーカルの設定を行う等、実際にカラオケ歌唱を行う前に様々な対応が可能となる。
【0055】
<第2実施形態>
次に、
図6〜
図9を参照して、第2実施形態に係るカラオケ装置1について説明する。第1実施形態と同様の構成については詳細な説明を省略する。
【0056】
カラオケ装置の利用者の中には、自己が所有する携帯用音楽プレイヤー(スマートフォンや音楽専用プレイヤー等)でよく聴いている楽曲を歌唱したいと考える者もいる。このような要望に対し、たとえば、特開2006−317804号公報には、音楽プレイヤーとリモコン装置とをUSBインターフェースを介して接続し、音楽プレイヤーに記憶された音楽データに含まれる曲特定情報を読み出し、この曲特定情報に基づいて対応する演奏曲を選択可能に画面表示させることにより、音楽プレイヤーに記憶されている楽曲を選曲の対象とする技術が開示されている。或いは、特開2008−286841号公報には、音楽プレイヤーに記憶された楽曲毎に曲名、アーティスト名および再生回数からなる演奏情報をカラオケリモコンが取得し、この演奏情報の再生回数が所定割合以上の各楽曲における演奏情報の曲名及びアーティスト名に基づいて、楽曲索引テーブルを参照してカラオケ楽曲の楽曲IDをそれぞれ対応付けて再生割合順に選曲可能に表示させることにより、特に利用者の試聴回数が多い楽曲を選曲の対象にすることができる技術が開示されている。
【0057】
上記文献の技術を利用することにより、利用者は、携帯用音楽プレイヤーでよく聴いている楽曲をカラオケ装置で選曲することができるようになる。しかしながら、よく聴いている楽曲であってもカラオケ歌唱が上手くできるとは限らないことから、過去にカラオケ歌唱を行ったことが無い楽曲を選曲することに対して躊躇いを感じる利用者も多い。本実施形態では、このような場合に、携帯用音楽プレイヤーでの楽曲の再生回数を考慮することで、楽曲を選曲する際に参考となる情報を提示可能なカラオケ装置について説明を行う。
【0058】
==カラオケ装置==
図6は、本実施形態に係るカラオケ装置1を示す図である。カラオケ装置1は、携帯音楽プレイヤーMと接続可能となっている。
【0059】
本実施形態における通信部12は、利用者が所有する携帯音楽プレイヤーMとカラオケ装置1との接続を確立するためのインターフェースとしても機能する。携帯音楽プレイヤーMとカラオケ装置1との接続は、たとえば、USB接続であってもよいし、無線接続(たとえば、Bluetooth(登録商標)や赤外線)であってもよい。なお、図示しないが、携帯音楽プレイヤーM側も当然に接続用のインターフェースを有する。
【0060】
(ソフトウェア構成)
図7はカラオケ本体10のソフトウェア構成例を示す図である。本実施形態に係るカラオケ本体10は、歌唱履歴記憶部100、歌唱判断部200、採点値抽出部300、予想採点値算出部400、提示部500、登録確認部600、及び再生回数取得部700を備える。歌唱履歴記憶部100は、記憶部13の記憶領域の一部として実現される。歌唱判断部200、採点値抽出部300、予想採点値算出部400、提示部500、登録確認部600、再生回数取得部700は、CPU11aがメモリ11bに記憶されるプログラムを実行することにより実現される。
【0061】
[登録確認部]
登録確認部600は、利用者が所持する携帯音楽プレイヤーMとカラオケ装置1とが接続されている場合、選曲した楽曲が携帯音楽プレイヤーMに登録されているかを確認する。
【0062】
たとえば、利用者Xが所持する携帯音楽プレイヤーMをカラオケ装置1に接続した状態で、楽曲nの選曲を行ったとする。
【0063】
この場合、登録確認部600は、選曲した楽曲nが携帯音楽プレイヤーMに登録されているかどうかを確認する。たとえば、登録確認部600は、楽曲nの楽曲名及び歌手名を示す情報を携帯音楽プレイヤーMに送信する。携帯音楽プレイヤーMは、受信した楽曲名及び歌手名に相当する楽曲が登録されているかどうかを確認する。この例において選曲した楽曲nは、携帯音楽プレイヤーMに登録されているとする。その場合、携帯音楽プレイヤーMは、登録されている旨を示す登録済み信号を登録確認部600に送信する。登録確認部600は、登録済み信号を再生回数取得部700に出力する。なお、携帯音楽プレイヤーとカラオケ装置との接続がなされていない場合や、携帯音楽プレイヤーに選曲した楽曲が登録されていない場合には以降の処理は実施されない。
【0064】
[再生回数取得部]
再生回数取得部700は、選曲した楽曲が携帯音楽プレイヤーMに登録されている場合、携帯音楽プレイヤーMから当該選曲した楽曲の再生回数を取得する。
【0065】
携帯音楽プレイヤーMは、登録されている楽曲が再生された回数(再生回数)を楽曲毎に記憶する機能を有している。従って、再生回数取得部700は、選曲した楽曲の再生回数を携帯音楽プレイヤーMから取得することができる。
【0066】
上述の例において、登録確認部600からの登録済み信号を受けた再生回数取得部700は、楽曲nの再生回数を携帯音楽プレイヤーMに要求する。携帯音楽プレイヤーMは、楽曲nの再生回数を記憶領域から読み出し、カラオケ装置1(再生回収取得部700)に送信する。再生回数取得部700は、受信した再生回数を予想採点値算出部400に出力する。なお、携帯音楽プレイヤーMは、登録確認部600に送信する登録済み信号と併せて、再生回数取得部700に対して対応する再生回数を送信してもよい。
【0067】
[予想採点値算出部]
本実施形態に係る予想採点値算出部400は、予想採点値を算出する際に、再生回数に応じた重み付けを行う。
【0068】
一般的に、よく聴いている楽曲(すなわち、再生回数の多い楽曲)については、歌詞やメロディを十分に把握できている可能性が高いため、初めてカラオケ歌唱を行う場合であってもある程度上手く歌唱できる可能性が高い。逆に、余り聴いたことがない楽曲については、上手く歌唱できる可能性は低くなる。そこで、再生回数に応じて予想採点値に重み付けをすることにより、より正確な予想情報を得ることが可能となる。
【0069】
再生回数と重み付けに関して、たとえば、記憶部13は、
図8に示すようなテーブルデータを記憶している。このテーブルデータを参照することで、再生回数に応じた重み付けの値を決定することができる。なお、
図8の例では、重み付けの最大値が1以下となっている。これは、楽曲を聴くことと実際にカラオケ歌唱することは別であるため、同じ難易度であっても、初めて歌唱する楽曲については、採点値が低くなる可能性が高いという前提に基づいている。すなわち、このような前提はあくまでも一例であるため、重み付けの値を1以上とすることも当然可能である。
【0070】
採点値抽出部300から楽曲nの難易度と同一の難易度が設定されている楽曲の採点値として「70点」及び「80点」の入力を受けたとする。本実施形態に係る予想採点値算出部400は、それらの値の平均値「75点」を算出し、その値に対して楽曲nの再生回数に応じた重み付けを行う。この例では、楽曲nの再生回数が82回であったとする。この場合、予想採点値算出部400は、「75点」に対し、
図8に示した重み付けの値「0.93」を乗じた値「69.75」を予想採点値として算出する。なお、予想採点値をそのまま提示する場合には、小数点以下を切り捨て(或いは繰り上げ)た値を用いてもよい。
【0071】
==カラオケ装置1の動作について==
次に、
図9を参照して本実施形態におけるカラオケ装置1の動作の具体例について述べる。
図9は、カラオケ装置1の動作例を示すフローチャートである。
【0072】
利用者Xは、自己の所持する携帯音楽プレイヤーMをカラオケ装置1に接続する(携帯音楽プレイヤーの接続。ステップ20)。
【0073】
利用者Xは、リモコン装置50を介して楽曲nを選曲する(楽曲nの選曲。ステップ21)。
【0074】
歌唱判断部200は、利用者Xが選曲した楽曲nについて、利用者Xが過去にカラオケ歌唱を行ったことがあるかを判断する。
【0075】
利用者Xが楽曲nのカラオケ歌唱を行ったことが無い場合(ステップ22でNの場合)、採点値抽出部300は、利用者Xの歌唱履歴から、楽曲nの難易度と同一の難易度が設定されている楽曲の採点値を抽出する(難易度が同じ楽曲の採点値を抽出。ステップ23)。採点値抽出部300は、抽出した採点値を予想採点値算出部400に出力する。
【0076】
一方、登録確認部600は、選曲した楽曲nが携帯音楽プレイヤーMに登録されているかを確認する。選曲した楽曲nが携帯音楽プレイヤーMに登録されている場合(ステップ24でYの場合)、再生回数取得部700は、携帯音楽プレイヤーMから当該選曲した楽曲の再生回数を取得する(再生回数の取得。ステップ25)。再生回数取得部700は、取得した再生回数の値を予想採点値算出部400に出力する。なお、ステップ23の処理とステップ24〜25の処理とは同時に行われてもよいし、逆の順番で行われてもよい。
【0077】
予想採点値算出部400は、ステップ23で抽出した採点値に対し、ステップ25で取得された再生回数に応じた重み付けを行う(再生回数に応じた重み付け。ステップ26)。そして、予想採点値算出部400は、ステップ26による重み付けを行った値を予想採点値として算出する(予想採点値の算出。ステップ27)。予想採点値算出部400は、算出した予想採点値を提示部500に出力する。
【0078】
提示部500は、ステップ27で算出された予想採点値に基づく予想情報を利用者Xに対して提示する(予想情報の提示。ステップ28)。
【0079】
このように、本実施形態に係るカラオケ装置1によれば、利用者が所持する携帯音楽プレイヤーにおける再生回数に応じて選曲された楽曲の予想採点値に重み付けを行うことができる。よって、より適切な予想情報を提示することが可能となる。
【0080】
<その他>
上記実施形態では、カラオケ装置1において全ての処理を実施する例について述べたが、一部の処理を他の装置(たとえば、カラオケ装置1と通信可能に接続されたサーバ)で行うことでもよい。
【0081】
たとえば、第1実施形態において、歌唱判断部200、採点値抽出部300及び予想採点値算出部400が行う処理をサーバ側で行うことも可能である。この場合、カラオケ装置1は、利用者が選曲した楽曲に関する情報(たとえば、楽曲ID)をサーバに送信する。サーバは、サーバ側の記憶部に記憶されている歌唱履歴を参照し、利用者が過去に当該楽曲を歌唱したことがあるかどうかを判断する。更に、サーバ側で採点値抽出部300及び予想採点値算出部400と同様の処理を実行することで予想採点値を得ることができる。そして、カラオケ装置1の提示部500は、サーバから受信した予想採点値に基づいて予想情報を提示する。この場合、カラオケ装置1及びサーバが「カラオケシステム」に相当する。
【0082】
或いは、第1実施形態において、歌唱判断部200、採点値抽出部300、予想採点値算出部400、及び提示部500が行う処理をリモコン装置50で行うことも可能である。この場合、リモコン装置50自体が「カラオケシステム」に相当する。
【0083】
また、第1実施形態において、選曲した楽曲mを利用者Xが過去にカラオケ歌唱を行ったことがある場合、歌唱判断部200は特段の処理を行わない例について述べたが、これに限られない。たとえば、利用者Xが過去に楽曲mのカラオケ歌唱を行ったことがある場合、歌唱判断部200は、所定の信号を提示部500に出力する。提示部500は、利用者Xの楽曲mの採点結果を歌唱履歴記憶部100から読み出し、その採点結果を予想情報として提示することでもよい。
【0084】
また、第2実施形態において、携帯音楽プレイヤーMがカラオケ本体10と接続される例について述べたが、携帯音楽プレイヤーMはリモコン装置50と接続されることでもよい。この場合、楽曲の再生回数等は、リモコン装置50を介してカラオケ本体10に送信される。
【0085】
また、携帯音楽プレイヤーMをリモコン装置として利用する際に上記実施形態の構成を応用することも可能である。この場合、携帯音楽プレイヤーM(スマートフォン)には、カラオケ装置1に対してリモコン装置50と同様の入力操作を可能とするアプリケーションソフトウェアがインストールされている。
【0086】
ここで、たとえば、利用者Xが当該アプリケーションソフトウェアを介して、カラオケ歌唱を希望する楽曲の選曲を行ったとする。携帯音楽プレイヤーMは、カラオケ装置1(或いはサーバ)に対し、利用者Xが過去に当該楽曲のカラオケ歌唱を行ったことがあるかの問い合わせを行う。問い合わせを受けたカラオケ装置1は、当該楽曲のカラオケ歌唱の有無を利用者Xの歌唱履歴から判断する。利用者Xが過去に当該楽曲のカラオケ歌唱を行ったことが無い場合、カラオケ装置1は、第1実施形態と同様の処理を実行して予想採点値を算出し、その値を携帯音楽プレイヤーMに送信する。
【0087】
一方、携帯音楽プレイヤーMは、選曲した楽曲が自己の記憶部に登録されているかを確認する。選曲した楽曲が登録されている場合、携帯音楽プレイヤーMは、その楽曲の再生回数を取得する。そして、携帯音楽プレイヤーMは、カラオケ装置1から受信した予想採点値に対して取得した再生回数に応じた重み付けを行って予想情報を求め、自己の表示画面に表示させる。
【0088】
上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定するものではない。上記の構成は、適宜組み合わせて実施することが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。