(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708543
(24)【登録日】2020年5月25日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】デュアルチップ血液透析カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61M 25/14 20060101AFI20200601BHJP
A61M 25/00 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
A61M25/14 512
A61M25/00 534
A61M25/00 502
A61M25/00 540
【請求項の数】19
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2016-517968(P2016-517968)
(86)(22)【出願日】2014年6月4日
(65)【公表番号】特表2016-523134(P2016-523134A)
(43)【公表日】2016年8月8日
(86)【国際出願番号】US2014040935
(87)【国際公開番号】WO2014197614
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2017年6月1日
(31)【優先権主張番号】61/831,024
(32)【優先日】2013年6月4日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/939,158
(32)【優先日】2014年2月12日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518019776
【氏名又は名称】プリスティーン アクセス テクノロジーズ エルティーディー
【氏名又は名称原語表記】PRISTINE ACCESS TECHNOLOGIES LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】タル、マイケル、ガブリエル
【審査官】
岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0209940(US,A1)
【文献】
特許第2959841(JP,B2)
【文献】
特開平10−118191(JP,A)
【文献】
特表2009−542414(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0330249(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0327477(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/14
A61M 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液透析カテーテルであって、
縦軸に沿って延在する細長部材を有し、
前記細長部材は、平面状の接合面を有し、前記接合面により第1ルーメン及び第2ルーメンに分割されるものであり、前記第1ルーメンは第1縦ルーメン軸及び第1ルーメン壁を有し、前記第2ルーメンは、第2縦ルーメン軸及び第2ルーメン壁を有し、
前記細長部材の縦軸に垂直な断面視で、前記接合面のすべてを含む平面を正中面、及び前記正中面に垂直であり、前記正中面と交差し、前記細長部材の縦軸のすべてを含む平面を横断面、とそれぞれ定義し、
前記細長部材は、前記接合面で形成された接合部において前記正中面に対して縦方向に第1遠位端領域及び第2遠位端領域に分割し、
前記第1遠位端領域は、第1チップで終了する領域であり、前記第2遠位端領域は、第2チップで終了する領域であり、
前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域が、弛緩状態から互いに整列するように強制されているときに、前記第1ルーメン壁及び第2ルーメン壁は、前記正中面に沿って延在し、前記横断面は、前記第1縦ルーメン軸及び前記第2縦ルーメン軸を含み、
前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域は、互いに整列した状態から解放されたときに、前記正中面に沿って互いに自発的に分離し、その結果、前記第1縦ルーメン軸及び前記第2縦ルーメン軸が前記横断面から分岐するように構成され、
取り外し可能な整列手段を使用して、前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域が互いに整列されて提供され、前記取り外し可能な整列手段を取り外すと、前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域が分離でき、
前記細長部材の非分割長さ方向に沿って前記第1ルーメン及び前記第2ルーメンが隔壁によって隔てられている、
血液透析カテーテル。
【請求項2】
血液透析カテーテルであって、
縦軸に沿って延在する細長部材を有し、
前記細長部材は、平面状の接合面を有し、前記接合面により第1ルーメン及び第2ルーメンに分割されるものであり、前記第1ルーメンは第1縦ルーメン軸及び第1ルーメン壁を有し、前記第2ルーメンは、第2縦ルーメン軸及び第2ルーメン壁を有し、
前記細長部材の縦軸に垂直な断面視で、前記接合面のすべてを含む平面を正中面、及び前記正中面に垂直であり、前記正中面と交差し、前記細長部材の縦軸のすべてを含む平面を横断面、とそれぞれ定義し、
前記細長部材は、前記接合面で形成された接合部において前記正中面に対して縦方向に第1遠位端領域及び第2遠位端領域に分割し、
前記第1遠位端領域は、第1チップで終了する領域であり、前記第2遠位端領域は、第2チップで終了する領域であり、
前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域が、弛緩状態から互いに整列するように強制されているときに、前記第1ルーメン壁及び第2ルーメン壁は、前記正中面に沿って延在し、前記横断面は、前記第1縦ルーメン軸及び前記第2縦ルーメン軸を含み、
前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域は、互いに整列した状態から解放されたときに、前記正中面に沿って互いに自発的に分離し、その結果、前記第1縦ルーメン軸及び前記第2縦ルーメン軸が前記横断面から分岐するように構成され、
取り外し可能な整列手段を使用して、前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域が互いに整列されて提供され、前記取り外し可能な整列手段を取り外すと、前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域が分離できる、
血液透析カテーテル。
【請求項3】
血液透析カテーテルであって、
縦軸に沿って延在する細長部材を有し、
前記細長部材は、平面状の接合面を有し、前記接合面により第1ルーメン及び第2ルーメンに分割されるものであり、前記第1ルーメンは第1縦ルーメン軸及び第1ルーメン壁を有し、前記第2ルーメンは、第2縦ルーメン軸及び第2ルーメン壁を有し、
前記細長部材の縦軸に垂直な断面視で、前記接合面のすべてを含む平面を正中面、及び前記正中面に垂直であり、前記正中面と交差し、前記細長部材の縦軸のすべてを含む平面を横断面、とそれぞれ定義し、
前記細長部材は、前記接合面で形成された接合部において前記正中面に対して縦方向に第1遠位端領域及び第2遠位端領域に分割し、
前記第1遠位端領域は、第1チップで終了する領域であり、前記第2遠位端領域は、第2チップで終了する領域であり、
前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域が、弛緩状態から互いに整列するように強制されているときに、前記第1ルーメン壁及び第2ルーメン壁は、前記正中面に沿って延在し、前記横断面は、前記第1縦ルーメン軸及び前記第2縦ルーメン軸を含み、
前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域は、互いに整列した状態から解放されたときに、前記正中面に沿って互いに自発的に分離し、その結果、前記第1縦ルーメン軸及び前記第2縦ルーメン軸が前記横断面から分岐するように構成され、
前記細長部材の非分割長さ方向に沿って前記第1ルーメン及び前記第2ルーメンが隔壁によって隔てられている、
血液透析カテーテル。
【請求項4】
接合部部分における隙間距離が0.5mm未満であり、前記隙間距離は、前記横断面における、前記第1ルーメン壁と第2ルーメン壁との間の、前記正中面に対して垂直方向の距離として定義され、前記接合部部分は、前記接合部から少なくとも5mm遠位に延在する前記カテーテルの部分である、
請求項1〜3のいずれかに記載の血液透析カテーテル。
【請求項5】
前記細長部材は、前記接合部の近傍に弾性部を備え、
前記弾性部は、前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域が整列しているときには、応力を受けた状態にあり、前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域が互いに分離し、前記第1縦ルーメン軸及び前記第2縦ルーメン軸が前記横断面から分岐しているときには、応力を受けていない状態にある、
請求項1〜3のいずれかに記載の血液透析カテーテル。
【請求項6】
前記細長部材は、対向する平面ルーメン壁を備え、
前記対向する平面ルーメン壁により定義される平面の交差により形成される二面角が10度、5度又は1度未満である、
請求項1〜3のいずれかに記載の血液透析カテーテル。
【請求項7】
前記第1縦ルーメン軸及び前記第2縦ルーメン軸が互いに分岐しているときに、前記第1縦ルーメン軸及び前記第2縦ルーメン軸のそれぞれについて、前記正中面からの垂直距離が略同じとなる、
請求項1〜3のいずれかに記載の血液透析カテーテル。
【請求項8】
前記第1縦ルーメン軸及び前記第2縦ルーメン軸の少なくとも1つが、前記分岐するルーメンの先端において、前記横断面から少なくとも1cm離れて分岐するように構成される、
請求項1〜3のいずれかに記載の血液透析カテーテル。
【請求項9】
前記第1縦ルーメン軸及び前記第2縦ルーメン軸が、前記分岐するルーメンのそれぞれの先端において、前記正中面から5mm未満離れて分岐するように構成される、
請求項1〜3のいずれかに記載の血液透析カテーテル。
【請求項10】
前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域は、はさみのような動きで、前記正中面に沿って互いに自発的にスライドするように構成される、
請求項1〜3のいずれかに記載の血液透析カテーテル。
【請求項11】
前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域が整列しているときに、前記第2チップが前記第1チップと並列となる、
請求項1〜3のいずれかに記載の血液透析カテーテル。
【請求項12】
前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域は、前記縦軸に関して互いに回転対称となるように形成され、前記回転対称に従って分散し且つ前記回転対称に従った形状の複数の開口部を有する、
請求項1〜3のいずれかに記載の血液透析カテーテル。
【請求項13】
前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域のそれぞれは、少なくとも2つの開口部を有し、前記少なくとも2つの開口部は、前記開口部において異なる方向に流れが生じるように形成される、
請求項1〜3のいずれかに記載の血液透析カテーテル。
【請求項14】
前記第1遠位端領域は、前記第1チップに隣接して配置される第1前方開口部を有し、
前記第2遠位端領域は、前記第2チップに隣接して配置される第2前方開口部を有し、
前記第1前方開口部は、前記第1前方開口部において第1方向を向く第1コースに流れが生じるように形成され、
前記第2前方開口部は、前記第2前方開口部において前記第1コースと交差しない第2コースに流れが生じるように形成される、
請求項1〜3のいずれかに記載の血液透析カテーテル。
【請求項15】
前記第1遠位端領域は、前記第1前方開口部の近位側に位置する第1横方向開口部を有し、
前記第2遠位端領域は、前記第2前方開口部の近位側に位置する第2横方向開口部を有する、
請求項14に記載の血液透析カテーテル。
【請求項16】
前記細長部材は、前記第1ルーメン及び前記第2ルーメンを囲み、前記第1ルーメンは第1近位ポート及び前記第1チップの間に延在し、前記第2ルーメンは第2近位ポート及び前記第2チップの間に延在し、前記第1ルーメン及び前記第2ルーメンは互いに独立しており、これにより逆方向の流れを同時に生じさせることを容易にする、
請求項1〜3のいずれかに記載の血液透析カテーテル。
【請求項17】
請求項1〜3のいずれかに記載の血液透析カテーテルを形成する方法であって、
提供工程と、挿入工程と、処理工程と、除去工程と、を備え、
前記提供工程では、前記第1ルーメン及び前記第2ルーメンを囲む前記細長部材を含む、前記血液透析カテーテルの部分を提供し、
前記挿入工程では、前記第1遠位端領域が第1輪郭に保持されるように、前記第1ルーメンに第1輪郭マンドレルを挿入し、且つ、前記第2遠位端領域が第2輪郭に保持されるように、前記第2ルーメンに第2輪郭マンドレルを挿入し、
前記第1輪郭は、前記第1輪郭マンドレルによって規定されるものであり、
前記第2輪郭は、前記第2輪郭マンドレルによって規定されるものであり、
前記処理工程では、前記細長部材の内部応力を緩和するように前記細長部材を処理し、
前記除去工程では、前記第1ルーメンから前記第1輪郭マンドレルを除去し、且つ、前記第2ルーメンから前記第2輪郭マンドレルを除去し、
前記第1輪郭マンドレル及び前記第2輪郭マンドレルのそれぞれが、自身の長さ方向に沿って、固定された角度を有する又は固定された湾曲形状を有する、
方法。
【請求項18】
前記第1輪郭マンドレルは、前記第2輪郭マンドレルと合同である、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記第1輪郭に保持される前記第1遠位端領域と、前記第2輪郭に保持される前記第2遠位端領域とが、前記縦軸に対して互いに回転対称となるように形成される、
請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いくつかの実施形態において、医療用カテーテル装置に関連し、特にデュアルチップ又はスプリットチップを有する透析カテーテルに関する。
【0002】
スプリットチップ透析カテーテルは現在、患者と血液透析機の間における血液交換の慢性的な使用に多く用いられている。例えば、血液透析手順の間、マルチプルルーメンカテーテルが体内に挿入され、カテーテルの動脈ルーメンを通って血液が取り出される。この血液は、血液透析機に供給される。血液透析機は、血液を透析又は洗浄し、老廃物や余分な水分を除去する。透析された血液は、カテーテルの静脈ルーメンを通って患者に戻される。上述のように、血液が動脈ルーメンと静脈ルーメンで逆方向に流れるように、カテーテル内の流れは適時反転される必要があり得る。
【0003】
いくつかの合併症は、スプリットチップカテーテルで発生することがある。まず、血流の循環とは、カテーテルルーメンを出る透析された血液は周囲に効率的に影響を与えることなく直接他のルーメンに戻されるという既知の現象である。血液透析カテーテルの別の合併症は、流れの閉塞である。流れの閉塞は、主に動脈ルーメンの閉塞により引き起こされる。閉塞の一般的な原因は、フィブリンシースの形成、血栓形成及び位置閉塞である。カテーテルの位置閉塞により、患者から血液を除去することが困難となる場合がある。例えば、カテーテルの先端は、患者の体内においてある程度自由に動くことができるので、カテーテルの先端や側孔が血管や心臓壁に対して吸い寄せられることにより、閉塞を引き起こすことがある。
【0004】
さらに、スプリットチップ又はデュアルチップ透析カテーテルは、現在のデザインにおいて、凝固合併症が発生しやすいという特徴を有する。2つのルーメンの分離ゾーンのすぐ下(すなわち、結合部のすぐ遠位)の領域は、問題の原因である。現在の公知のデザイン(2つのルーメンが互いに直接離れているデザイン)では、遅い乱流が発生するデッドスペースが存在する。遅い乱流は、かかるデッドスペースにおいて凝血塊を引き起こす可能性が非常に高い。これらの血塊はスプリットチップ透析カテーテルの主要な合併症であり、罹患率の増加と関連付けられる。
【0005】
以下の特許文献は、当該技術分野の現在の状態を表していると考えられる:US5,800,414、US5,947,953、US7,108,674、US7,182,746、US7,776,005、US8,066,660及びUS8,092,415。
【発明の概要】
【0006】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、カテーテルアセンブリが提供される。このカテーテルアセンブリは、第1縦軸を有する第1ルーメン(前記第1縦軸は、前記第1ルーメンの中心に沿って延在する)と、第2縦軸を有する第2ルーメン(前記第2縦軸は、前記第2ルーメンの中心に沿って延在する)と、を有する。いくつかの実施形態では、カテーテルが弛緩した構成であるとき、前記ルーメンの前記第1縦軸及び前記第2縦軸は、前記カテーテルの近位部分上において平行となり、前記カテーテルの遠位部分において分岐する。
【0007】
いくつかの実施形態では、前記第1縦軸及び前記第2縦軸は横断面を定義する。横断面は、前記カテーテルの近位部分内の前記第1縦軸及び前記第2縦軸を含む。任意に、前記第1縦軸及び前記第2縦軸はさらに、正中面を定義する。正中面は、前記カテーテルの近位部分内の前記第1縦軸及び前記第2縦軸の間に平行である。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記カテーテルが弛緩した構成であるとき、前記第1縦軸及び前記第2縦軸が分岐する前記カテーテルの遠位部分上において、前記第1縦軸及び前記第2縦軸の少なくとも1つが前記横断面から分岐する。任意に、追加的又は代替的に、前記第1縦軸及び前記第2縦軸が互いに分岐する前記カテーテルの遠位部分上において、前記第1縦軸及び前記第2縦軸のそれぞれについて、前記正中面からの垂直距離が略同じとなる。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記カテーテルが弛緩した構成であるとき、前記第1ルーメン及び前記第2ルーメンの少なくとも1つの前記縦軸が、前記分岐するルーメンの先端において、前記横断面から少なくとも1cm分岐する。任意に、前記カテーテルが弛緩した構成であるとき、前記第1ルーメンの前記第1縦軸及び前記第2ルーメンの前記第2縦軸が、前記分岐する第1ルーメン及び前記分岐する第2ルーメンの先端において、前記正中面から5mm未満分岐する。
【0010】
本発明に係るいくつかの実施形態の態様では、1ルーメン壁により定義される第1ルーメンと、第2ルーメン壁により定義される第2ルーメンと、を有するカテーテルが提供される。いくつかの実施形態では、カテーテルは、前記第1ルーメン壁及び前記第2ルーメン壁が互いに平行に延在するように接続される近位部分と、前記カテーテルが弛緩した構成であるとき、記第1ルーメン壁及び前記第2ルーメン壁が互いに平行にならない遠位部分と、前記第1ルーメン壁及び前記第2ルーメン壁が接触し、前記第1ルーメン壁及び前記第2ルーメン壁が互いに平行にならない接合部部分と、を有する。
【0011】
本発明に係るいくつかの実施形態の態様では、スプリットチップ透析カテーテルであって、分割されていない近位部分と、分割された遠位部分と、前記分割されていない近位部分が分割して前記分割された遠位部分を形成する接合部と、を有するスプリットチップ透析カテーテルが提供される。カテーテルはまた、前記遠位部分内且つ前記接合部の遠位に位置し、対向する平面ルーメン壁を備える透析カテーテルの部分を有する接合部部分と、を有する。いくつかの実施形態では、前記カテーテルが弛緩した構成であるとき、前記対向する平面ルーメン壁により定義される平面の交差により形成される二面角が10度未満である。いくつかの実施形態では、二面角が5度未満であり、任意に1度未満とすることもできる。また、前記接合部部分に0.5mm以上の隙間又は割れ目が存在しないこととしてもよい。また、記接合部部分は、分割点の5mm遠位に延在する前記カテーテルの部分であり、10mm、20mmとしてもよい。
【0012】
本発明に係るいくつかの実施形態の態様では、縦軸に沿って延長可能な細長部材を有し、接合部における分割面に対して縦方向に、第1チップで終了する第1遠位端領域及び第2チップで終了する第2遠位端領域を分割する血液透析カテーテルが提供される。いくつかの実施形態では、前記細長部材は、第1ルーメン及び第2ルーメンを囲む。前記第1ルーメンは第1近位ポート及び前記第1チップの間に延在し、前記第2ルーメンは第2近位ポート及び前記第2チップの間に延在する。いくつかの実施形態では、前記細長部材は、前記接合部に弾性部又は弾性部材を備える。前記弾性部又は前記弾性部は、前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領が前記分割面に沿って、隣接する前記接合部の間と隙間なく互いに分離された状態で圧力がかからない形状となる。いくつかの実施形態では、前記第1ルーメン及び前記第2ルーメンは互いに独立しており、これにより逆方向の流れを同時に生じさせることを容易にする。
【0013】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、前記縦軸に沿って前記第2遠位端領域とともに前記第1遠位端領域を整列させる取り外し可能な整列手段を有し、前記取り外し可能な整列手段を取り外す際に、前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域は、はさみのような動きで、前記弾性部又は前記弾性部材が前記圧力がかからない形状となるまで分割面に沿って互いに自発的にスライドする。また、前記取り外し可能な整列手段は、剥がせるシースのような取り外し可能なカバーを含んでもよい。また、隔壁が前記細長部材の非分割長さ方向に沿って前記第1ルーメン及び前記第2ルーメンを分割することとしてもよい。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域が整列しているときに、前記第2チップが前記第1チップと並列となる。また、前記第1遠位端領域及び前記第2端部領域は、前記縦軸に関して互いに回転対称となるように形成され、前記回転対称に従って分散し且つ前記回転対称に従った形状の複数の開口部を有することとしてもよい。また、前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域のそれぞれは、少なくとも2つの開口部を有し、前記少なくとも2つの開口部は、前記開口部において異なる方向に流れが生じるように形成されることとしてもよい。
【0015】
いくつかの実施形態では、前記第1遠位端領域は、前記第1チップに隣接して配置される第1前方開口部を有し、前記第2遠位端領域は、前記第2チップに隣接して配置される第2前方開口部を有する。また、第1前方開口部は、前記第1前方開口部において第1方向を向く第1コースに流れが生じるように形成され、前記第2前方開口部は、前記第2前方開口部において前記第1コースと交差しない第2コースに流れが生じるように形成されることとしてもよい。また、前記第1遠位端領域は、前記第1前方開口部の近位側に位置する第1横方向開口部を有し、前記第2遠位端領域は、前記第2前方開口部の近位側に位置する第2横方向開口部を有することとしてもよい。また、前記第1横方向開口部は、前記第1横方向開口部において前記第1方向から離れて流れが生じるように形成されることとしてもよい。また、前記第2横方向開口部は、前記第2横方向開口部において前記第1方向に又は前記第1方向に向かって流れが生じるように形成されることとしてもよい。また、前記第1横方向開口部は、前記第1横方向開口部において前記第1方向から垂直に流れが生じるように形成されることとしてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記第1コースは、前記分割面に平行な直交射影を有する。また、分割面は血液透析カテーテルの正中面であってもよい。また、前記第1コースは、同じデカルト座標系において、横断面と平行であり且つ前記分割面に直交する直交射影を有することとしてもよい。また、前記第1コースは、同じデカルト座標系において、前頭面と平行な直交射影を有し、前記前頭面は、前記分割面に直交することとしてもよい。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、アセンブリ縦軸方向に沿って接合された第1カテーテル及び第2カテーテルを有するカテーテルアセンブリが提供される。いくつかの実施形態では、前記第1カテーテルは、第1近位端領域、第1遠位端領域及び第1壁を有し、前記第1近位端領域は第1ポートを備え、前記第1遠位端領域は第1チップで終了し、前記第1壁は第1ルーメンを定義し、前記第1ルーメンは前記第1ポート及び前記第1チップの間に延在する。任意に及び追加的に、前記第2カテーテルは、第2近位端領域、第2遠位端領域及び第2壁を有し、前記第2近位端領域は第2ポートを備え、前記第2遠位端領域は第1チップと並列となる第2チップで終了し、前記第2壁は第2ルーメンを定義し、前記第2ルーメンは前記第2ポート及び前記第2チップの間に延在してもよい。いくつかの実施形態では、前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域の近位側に位置する接合部において、前記第1壁及び前記第2壁が縦方向に分割される。また、前記第1遠位端領域及び前記第2端部領域は、前記アセンブリ縦軸に関して互いに回転対称となるように形成されてもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1カテーテルは、前記第1チップに隣接して配置される第1前方開口部を有し、前記第2カテーテルは、前記第2チップに隣接して配置される第2前方開口部を有する。前記第1前方開口部は、前記第1前方開口部において第1方向に流れが向かうように形成され、前記第2前方開口部は、前記第2前方開口部において前記第1方向と交差しない第2方向に流れが向かうように形成される。いくつかの実施形態では、前記第1カテーテルは、第1前方開口部の近位側であり且つ前記第1遠位端領域に位置する第1横方向開口部を供え、前記第2カテーテルは、第2前方開口部の近位側であり且つ前記第2遠位端領域に位置する第2横方向開口部を供える。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記第1カテーテル及び/又は前記第2カテーテルは、前記接合部に弾性部又は弾性部材を備え、前記弾性部又は前記弾性部は、前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領が前記分割面に沿って、隣接する前記接合部の間と隙間なく互いに分離された状態で圧力がかからない形状となる。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記カテーテルアセンブリは、縦軸に沿って前記第2遠位端領域とともに前記第1遠位端領域を整列させる取り外し可能な整列手段を有し、前記取り外し可能な整列手段を取り外す際に、前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域は、はさみのような動きで、前記弾性部又は前記弾性部材が前記圧力がかからない形状となるまで分割面に沿って互いに自発的にスライドする。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態の態様によれば、血液透析カテーテルであって、第1チップで終了する第1遠位端領域及び第2チップで終了する第2遠位端領域の接合部において縦方向に分割し、縦軸に沿って延長可能な細長部材を有する血液透析カテーテルが提供される。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記細長部材は、第1ルーメン及び第2ルーメンを囲む。前記第1ルーメンは第1近位ポート及び前記第1チップの間に延在し、前記第2ルーメンは第2近位ポート及び前記第2チップの間に延在する。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記第1遠位端領域及び前記第2端部領域は、前記縦軸に関して互いに回転対称となるように形成され、前記回転対称に従って分散し且つ前記回転対称に従った形状の複数の開口部を有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記細長部材は、前記接合部に弾性部又は弾性部材を備え、前記弾性部又は前記弾性部は、前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領が前記分割面に沿って、隣接する前記接合部の間と隙間なく互いに分離された状態で圧力がかからない形状となる。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記血液透析カテーテルは、縦軸に沿って前記第2遠位端領域とともに前記第1遠位端領域を整列させる取り外し可能な整列手段を有し、前記取り外し可能な整列手段を取り外す際に、前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域は、はさみのような動きで、前記弾性部又は前記弾性部材が前記圧力がかからない形状となるまで分割面に沿って互いに自発的にスライドする。
【0026】
本発明に係るいくつかの実施形態の態様では、デュアルチップカテーテルの形成方法であって、少なくとも1つの以下のステップを有する方法が提供される(必ずしもステップが同じ順番でなくともよい)。
a.細長部材を有し、縦軸に沿って延長可能であり、接合部における分割面に対して縦方向に、第1チップで終了する第1遠位端領域及び第2チップで終了する第2遠位端領域を分割し、前記細長部材は、前記縦軸に沿って延在し且つ前記第1チップにおいて開口する第1通路と、前記縦軸に沿って延在し且つ前記第2チップにおいて開口する第2通路と、を囲むカテーテルの予め形成された部分を提供し、
b.前記第1遠位端領域が第1輪郭マンドレルによって課される第1輪郭内に保持されるように、前記第1通路に前記第1輪郭マンドレルを挿入し、前記第2遠位端領域が第2輪郭マンドレルによって課される第2輪郭内に保持されるように、前記第2通路に前記第2輪郭マンドレルを挿入し、
c.前記細長部材の内部応力を緩和するように前記細長部材を処理し、
d.前記第1通路から前記第1輪郭マンドレルを除去し、前記第2通路から前記第2輪郭マンドレルを除去し、前記細長部材が圧力がかからない形状となるときに、前記分割面に沿って隣接する前記接合部の間と隙間なく互いに分離される前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領を有する、
デュアルチップカテーテルの形成方法。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記第1輪郭マンドレル及び前記第2輪郭マンドレルのそれぞれが、自身の長さ方向に沿って固定された角度を有する又は湾曲している。また、前記第1輪郭マンドレルは、角度又は曲率が前記第2輪郭マンドレルと合同又は幾何学的に類似することとしてもよい。
【0028】
いくつかの実施形態では、前記細長部材は、圧力がかからない形状において、前記第1チップが第1方向を向き、前記第1チップが第2方向を向き、前記第2方向は、前記分割面に対して前記第1方向と傾斜する。また、前記第1方向及び前記第2方向のそれぞれが直線を形成し、前記直線は、前記接合部とともに前記分割面内で平面角を形成することとしてもよい。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記第1輪郭内に保持される前記第1遠位端領域と、前記第2輪郭内に保持される前記第2遠位端領域とが、前記縦軸に対して互いに回転対称となるように形成される。また、前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域は、前記回転対称に従って分散し且つ前記回転対称に従った形状の複数の開口部を有することとしてもよい。また、前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域のそれぞれは、少なくとも2つの開口部を有し、前記少なくとも2つの開口部は、前記開口部において異なる方向に流れが生じるように形成されることとしてもよい。また、前記第1遠位端領域は、前記第1チップに隣接して配置される第1前方開口部を有し、前記第2遠位端領域は、前記第2チップに隣接して配置される第2前方開口部を有することとしてもよい。前記第1前方開口部は、前記第1前方開口部において第1コースに流れが生じるように形成される。ここで、第1コースは、第2前方開口部により導入される第2コースと交差しない。また、前記第1遠位端領域は、前記第1前方開口部の近位側に位置する第1横方向開口部を有し、前記第2遠位端領域は、前記第2前方開口部の近位側に位置する第2横方向開口部を有することとしてもよい。
【0030】
いくつかの実施形態では、カテーテルの形成方法はさらに、前記第1輪郭マンドレルの外周に沿って前記第1通路が形成され、前記第2輪郭マンドレルの外周に沿って前記第2通路が形成されるように、前記細長部材を加熱するステップを含む。
【0031】
いくつかの実施形態では、前記接合部を横断する弾性部又は弾性部材を有する。また、前記カテーテルの形成方法は、前記縦軸に沿って前記第2遠位端領域とともに前記第1遠位端領域を整列させる取り外し可能な整列手段を有してもよい。いくつかの実施形態では、前記取り外し可能な整列手段を取り外す際に、前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域は、はさみのような動きで、圧力がかからない形状となるまで分割面に沿って互いに自発的にスライドする。また、前記取り外し可能な整列手段は、剥がせるシースのような取り外し可能なカバーを含んでもよい。
【0032】
いくつかの実施形態では、前記第1遠位端領域及び前記第2遠位端領域が整列しているときに、前記第2チップが前記第1チップと並列となる。
【0033】
いくつかの実施形態では、前記細長部材は、流体封止された材料で形成される。そして、前記第1通路が第1ルーメンを形成し、前記第2通路が第2ルーメンを形成する。第2ルーメンは、第1ルーメンにより封止される。また、隔壁が前記細長部材の非分割長さ方向に沿って前記第1ルーメン及び前記第2ルーメンを分割することとしてもよい。また、前記流体封止された材料は、シリコンゴム、ポリウレタン、ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタン及びカルボセイン(登録商標)のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記予め形成された部分は、少なくとも1つの以下のステップにより形成される(必ずしもステップが同じ順番でなくともよい)。
I.第1の予め形成された部材、第2の予め形成された部材及び第3の予め形成された部材を集め、前記第1の予め形成された部材は複数のルーメンを囲み、前記第2の予め形成された部材は1つのルーメンを囲み、前記第3の予め形成された部材は1つのルーメンを囲み、前記ルーメンは自身の長さ方向に沿って延在し且つ自身の両端で開口し、
II.前記第2の予め形成された部材及び前記第3の予め形成された部材を前記第1の予め形成された部材に溶接して前記細長部材を形成し、前記第1の予め形成された部材の1つのルーメンと、前記第2の予め形成された部材の1つのルーメンと、が第1通路を形成し、前記第1の予め形成された部材の他のルーメンと、前記第3の予め形成された部材の1つのルーメンと、が第2通路を形成し、
III.前記第1の予め形成された部材の1つのルーメン及び前記第2の予め形成された部材の1つのルーメンを通って第1ストレートマンドレルを挿入し、前記第1の予め形成された部材の他のルーメン及び前記第3の予め形成された部材の1つのルーメンを通って第2ストレートマンドレルを挿入し、
IV.前記第1、第2及び第3の予め形成された部材を、前記第1及び第2ストレートマンドレル上に整列及び/又は近接させ、
V.前記第1、第2及び第3の予め形成された部材又は前記溶接された細長部材を加熱し、前記第1ストレートマンドレルの外周に沿って前記第1通路が形成され、前記第2ストレートマンドレルの外周に沿って前記第2通路が形成する。
【0035】
いくつかの実施形態では、前記予め形成された部分は、メッシュ構造となるように形成される。また、前記メッシュ構造は、少なくとも1つの螺旋状に巻かれたフィラメントを有することとしてもよい。また、前記フィラメントは、金属、ポリマー、炭素及び/又はガラスからなる。いくつかの実施形態では、前記方法は、ポリマー溶液を用いて前記予め形成された部分を含浸及び/又はコーティングすることを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、前記細長部材の処理は、熱処理、化学処理、焼入れ及び塑性変形の少なくとも1つを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、前記細長部材を処理することにより、圧力がかからない形状から生じる偏向に対する弾性抵抗が生まれる。
【0038】
特に定義しない限り、本明細書中で使用される全ての技術的及び/又は科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと類似又は同等の方法及び材料を本発明の実施形態の実施又は試験において使用することができるが、以下に例示的な方法及び/又は材料を記す。矛盾する場合、定義を含む本明細書が優先する。さらに、材料、方法及び実施例は単なる例示であり、不用意に限定されることを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書に添付の図面を参照して、例としてのみ記載する。図面を詳細に参照するにあたって、図示される詳細は例示であり、本発明の実施形態の例示的な議論を目的とするものであることに留意されたい。この観点において、図面とともになされる説明により、本発明の実施形態を実施する方法が当業者に明らかになる。
【
図1】
図1A〜
図1Cは、本発明の実施形態に係る例示的なデュアルチップ血液透析カテーテルアセンブリの模式図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る例示的なデュアルチップ血液透析カテーテルアセンブリの遠位開口部を向けた一部を表す模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る例示的なデュアルチップ血液透析カテーテルアセンブリの分岐する遠位端領域を表す模式図である。
【
図4】
図4A〜
図4Bは、血管内に配備された本発明の実施形態に係る例示的なデュアルチップ血液透析カテーテルを表す模式図である。
【
図5】
図5は、患者の体内から引き抜かれた後まもなくの市販の血液透析スプリットチップカテーテルの様子を表す図である。
【
図6】
図6A〜
図6Cは、本発明の実施形態に係る、アセンブリ縦軸方向に沿って接合された第1カテーテル及び第2カテーテルを有するカテーテルアセンブリを表す模式図である。
【
図7】
図7A〜
図7Dは、本発明の実施形態に係る、アセンブリ縦軸に沿って延在し且つ縦方向に分割される細長部材を有する血液透析カテーテルを表す模式図である。
【
図8】
図8A〜
図8Eは、いくつかの実施形態に係る、シースの内外における血液透析カテーテルの斜視図である。
【
図9】
図9A〜
図9Bは、いくつかの実施形態における他の実施形態に係る血液透析カテーテルの斜視図である。
【
図10】
図10A〜
図10Gは、本発明の実施形態に係るデュアルチップカテーテルの形成方法において、利用可能な例示的ステップを表す他のシナリオを表す模式図である。
【
図12】
図12A〜
図12Dは、本発明の実施形態に係るデュアルチップカテーテルの他の形成方法において、利用可能な例示的ステップを表す他のシナリオを表す模式図である。
【0040】
以下の好ましい実施形態は、説明及び理解を容易にするために、例示的な透析手順の文脈で説明することができる。しかし、本発明は具体的に説明される装置及び方法に限定されず、本発明の全体的な範囲から逸脱することなく様々な臨床応用に適合させることができる。
【0041】
本発明は、いくつかの実施形態において、医療用カテーテル装置に関連し、特にデュアルチップを有する透析カテーテルに関する。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態の態様は、第1カテーテル及び第2カテーテルを有するカテーテルアセンブリに関する。いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリは、血液透析プロセスを対象としており、血液透析機に接続可能である。そして、1つのカテーテルは、心臓血管系に酸素を豊富に含んだ血液を供給するように設定されている。また、他のカテーテルは、血液を心臓血管系から引き出すように設定されている。さらに、任意に必要に応じて、これら2つのカテーテルの間の血液の循環を逆にする。いくつかの実施形態では、第1カテーテル及び第2カテーテルは、アセンブリ縦軸に沿って(必要であれば遠位分岐点/線まで及び/又は遠位分岐点/線及び近位分岐点/線の間で)接合される。
【0043】
いくつかの実施形態では、第1カテーテルは、第1近位端領域、第1遠位端領域及び第1壁を有する。そして、第1近位端領域は第1ポートを備え、第1遠位端領域は第1チップで終了し、第1壁は第1ルーメンを定義する。また、第1ルーメンは第1ポート及び第1チップの間に延在する。任意に及び追加的に、第2カテーテルは、第2近位端領域、第2遠位端領域及び第2壁を有する。そして、第2近位端領域は第2ポートを備え、第2遠位端領域は第2チップで終了し、第2壁は第2ルーメンを定義する。また、第2ルーメンは第2ポート及び第2チップの間に延在する。いくつかの実施形態では、第1ルーメン及び第2ルーメンは互いに独立しており、これにより逆方向の流れを同時に生じさせることを容易にする。いくつかの実施形態では、(必要に応じて、分割線の正中面又は第1遠位端領域及び第2遠位端領域の近位側に位置する接合部に対して)第1壁及び第2壁が縦方向に分割される。また第1カテーテルの第1遠位端領域及び第2カテーテルの第2遠位端領域は、分割線又は接合部から実質的に同様に延在し、第2チップが第1チップと並列となることとしてもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリは、第1縦軸を有する第1ルーメン(第1縦軸は、第1ルーメンの中心に沿って延在する)と、第2縦軸を有する第2ルーメン(第2縦軸は、第2ルーメンの中心に沿って延在する)と、を有する。カテーテルアセンブリが弛緩した構成であるとき、ルーメンの第1縦軸及び第2縦軸は、カテーテルの近位部分上において平行となり、カテーテルの遠位部分において分岐する。前記第1縦軸及び前記第2縦軸は横断面を定義する。横断面は、カテーテルの近位部分内の第1縦軸及び第2縦軸を含む。第1縦軸及び第2縦軸はさらに、正中面を定義する。正中面は、カテーテルの中間部分内の第1縦軸及び第2縦軸の間に平行である。カテーテルが弛緩した構成であるとき、第1縦軸及び第2縦軸が分岐するカテーテルの遠位部分上において、第1縦軸及び第2縦軸の少なくとも1つが横断面から分岐する。
【0045】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、第1ルーメン壁により定義される第1ルーメンと、第2ルーメン壁により定義される第2ルーメンと、前記第1ルーメン壁及び前記第2ルーメン壁が互いに平行に延在するように接続される近位部分と、カテーテルが弛緩した構成であるときに第1ルーメン及び第2ルーメンが互いに分散するように、第1ルーメン壁及び第2ルーメン壁が互いに接触しない遠位部分と、近位部分と遠位部分の間の中間部分であって、第1ルーメン壁及び第2ルーメン壁が接触し、第1ルーメン壁及び第2ルーメン壁が互いに平行にならない中間部分と、を有する。
【0046】
いくつかの実施形態では、スプリットチップ透析カテーテルは、分割された遠位部分と、分割されていない近位部分と、分割された遠位部分及び分割されていない近位部分の間の接合部であって、カテーテルが弛緩した構成であるときに割れ目がない接合部と、を有する。
【0047】
第1遠位端領域及び第2端部領域は、ホスティング血管ルーメンの境界に並列に一致するように、実質的に柔軟であってもよい。必要に応じて又は代替的に、第1遠位端領域及び第2端部領域は、実質的に弾性又は剛性である。これにより、第1遠位チップ及び第2遠位チップが所定の間隔で、及び/又は、展開時に相対的な位置を保って提供される。いくつかの実施形態では、第1遠位端領域及び第2端部領域は、アセンブリ縦軸に対して互いに回転対称となるように形成される。第1遠位端領域及び第2端部領域は、必要に応じて、横断面から(正中面に対して)同様に離れ、及び/又は、正中面から(横断面に対して)同様に離れる。回転対称は、あくまで一般的な形状を含むことができる。必要に応じて、端部領域の輪郭としてもよい。さらに、開口部の数、大きさ、形状及び/又は回転対称内の端部領域の間における分布について回転対称としてもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、第1カテーテルは、第1遠位チップに配置される第1前方開口部と、第2遠位チップに配置される第2前方開口部と、を有する。必要に応じて、第1前方開口部は、正中面に対して平行なデカルト成分を有する第1方向に直接流れを生じさせるような形状であってもよい。また、第2前方開口部は、第2方向に直接流れを生じさせるような形状であってもよい。ここで、第2方向は、第1方向とは逆向きである。
【0049】
いくつかの実施形態では、第1カテーテルは、第1前方開口部の近位にある第1遠位端領域に位置する第1横方向開口部と、第2前方開口部の近位にある第2遠位端領域に位置する第2横方向開口部と、を有する。
【0050】
いくつかの実施形態では、第1横方向開口部は、第1方向とは逆向きに直接流れを生じさせるような形状であり、及び/又は、第2横方向開口部は、第2方向とは逆向きに直接流れを生じさせるような形状である。必要に応じて又は代替的に、第1横方向開口部は、第1方向に向けて直接流れを生じさせるような形状であり、及び/又は、第2横方向開口部は、第2方向に向けて直接流れを生じさせるような形状である。必要に応じて又は代替的に、第1横方向開口部は、第1方向と垂直に直線流れを生じさせるような形状であり、及び/又は、第2横方向開口部は、第2方向と垂直に直線流れを生じさせるような形状である。
【0051】
ここで、図面を参照されたい。
図1A〜
図1Cは、本発明の実施形態に係る例示的なデュアルチップ血液透析カテーテルアセンブリ100の模式図である。以下の記載は、カテーテルの遠位部分における幾何学的な構成に関する種々の説明である。カテーテルは、可撓性材料で形成されているので、様々な態様で押し込み、引っ張り、伸ばすことが当然に可能である。特に指定しない限り、このようなシースに入っているカテーテルは、その幾何学的な構成が、以下のようになる。つまり、カテーテルの遠位部分が「弛緩」又は「圧力がかかっていない」状態となるとき、対称カテーテルはその固有の構造と材料特性となる。
図1A及び
図1Bは、「弛緩」又は「圧力がかかっていない」状態のカテーテルを示す。
図1Aに示されるように、下向きに吊り下げられて「弛緩」又は「圧力がかかっていない」状態となったときに、(領域159のような)近位領域と遠位部分とで保持又は支持される。ここで、遠位部分は、外力を受けることなくその先端が自由に下方に向いている。
図1に示されるように、スプリット又はデュアルチップカテーテルは一般的に、弛緩状態において、カテーテルアセンブリの遠位領域においてルーメンを構成する壁が互いに分岐する。
【0052】
カテーテルアセンブリ100は、第1カテーテル111及び第2カテーテル113を接合する細長部材細長部材110を有する。第1カテーテル111は、第1ルーメン115を囲む壁を形成し、第2カテーテル113は、第2ルーメン117を囲む壁を形成する。ここで、第1ルーメン115と第2ルーメン117はそれぞれ独立している。ルーメン115、117はそれぞれ縦軸137を定義する。縦軸137は、それぞれのルーメンの中央に位置し、ルーメンの長さ方向に沿って延在する。カテーテルアセンブリ100はさらに、細長部材の中央に位置するアセンブリ縦軸135を定義する。ここで、「中央に位置」するとの用語は、疑義が生じることなく当業者にとって明らかであるが、特に以下の意味を有する。各ルーメンにとって、かかる用語は、「各ルーメンを形成する壁の内部表面で定義されるルーメンの延在方向(
図1Cを参照)に直交する断面形状の重心」を意味する。そして、カテーテルアセンブリにとっては、「細長部材110の外側表面で定義されるルーメンの延在方向(
図1Cを参照)に直交する断面形状の重心」を意味する。必要に応じて及び模式的に図示されるように、各カテーテルは、縦軸135に沿って分割点又は分割線120まで接合される。以下、分割点又は分割線120を接合部とも言う。この箇所は、接合部120における前頭面152の位置を定義する。前頭面152は、接合部120において細長部材110の延在方向と直交する。分割線が縦方向(長手方向)となる場合、接合部120の位置(つまり、前頭面152の位置)は、分割の近位側開始点とみなすことができる。
【0053】
前頭面152の近位且つ2cm以内のカテーテルアセンブリの部分を、カテーテルアセンブリの接続又は接合部分と呼ぶ(
図1Aにおいて159で示される部分)。接続又は接合部分では、各ルーメンは互いに平行に延在する。一方、前頭面152の遠位且つカテーテルアセンブリの最も遠位の端部までのカテーテルアセンブリの部分を、カテーテルアセンブリのデュアル又はスプリット部分と呼ぶ。このスプリット部分では、各ルーメンの縦軸は互いに分岐する。
【0054】
また、本明細書に記載のいくつかの実施形態の構造の説明を容易にするために、接合部120における前頭面152と平行であり且つ接合部120の遠位に位置する前頭面154が
図1で定義される。そして、カテーテルアセンブリ100のうち、接合部120における前頭面152と接合部120の遠位に位置する前頭面154の間の部分(
図1Aにおいて156で示される部分)を、カテーテルアセンブリの「接合部部分」と呼ぶ。「接合部部分」は、既に定義したカテーテルアセンブリのデュアル又はスプリット部分内に位置する。接合部部分は、接合部の遠位付近のカテーテルアセンブリの部分であるとみなされ、種々の異なる距離を用いて定義可能である。いくつかの実施形態では、接合部部分156は、分割点から5mm遠位の分割箇所の一部として定義することが可能である。また、いくつかの実施形態では、接合部部分156は、分割点から10mm遠位の分割箇所の一部として定義することが可能である。さらに、いくつかの実施形態では、接合部部分156は、分割点から20mm遠位の分割箇所の一部として定義することが可能である。以下にさらに説明するように、カテーテルに沿って分割点から特定の距離遠位であるとさらに定義されることに加えて、距離ではなく、接合部部分156は、分割点の遠位に危険領域を形成する凝血塊として機能的に定義することができる。また、接合部部分156は、分割点の遠位のカテーテルの間に重なる又は接触する領域として他の構造的な定義をすることもできる。
【0055】
また、
図1において隙間距離162が定義される。かかる隙間距離は、分割壁の内側表面の間の横断面での垂直距離として定義される。かかる分割壁は、前頭面154に位置する接合部120の遠位において互いに対向する。前頭面154は、接合部156の遠位範囲を定義する。かかる隙間距離は、接合部120の遠位の2つのルーメンが分離する角度の変化に応じて変化する。
【0056】
図1Cは、カテーテルの細長部材110が接合された部分における断面を示す。本実施形態では、細長部材110は、単一のダブルルーメンカテーテル部分として形成される。これは、ルーメン115及び117が当接し、単一の分離壁を共有するものである。しかし、かかる態様は、多くの他の例示的な構成の1つとして考慮されるべきである。他の例示的な構成としては、異なる複数のルーメン形状や、表面、線及び/又は第1カテーテル111及び第2カテーテル113の接触点に沿った接続又は付加(例:溶接、接着その他の付加)が挙げられる。必要に応じて又は代替的に、2つのカテーテルは接合されていなくてもよく、及び/又は、その長さに沿って着脱可能に接続されてもよい。
図1Cに示されるように、
図1の実施形態は、「ダブルD」タイプのカテーテルアセンブリとして知られる。スプリット又はデュアルチップダブルDタイプカテーテルアセンブリは、2つの略半円形ルーメンと、中央に位置する実質的に直線状の壁によって定義される隣接する平坦な側面と、によって特徴づけられる。一般的に、接合された部分のカテーテルアセンブリの外周は、略円形の断面である。
図1に示されるように、スプリット又はデュアルチップに形成されるときは、2つのルーメンは、中央に位置する実質的に直線状の壁に沿って切断することにより分離される。従って、分割線の方向は、カテーテルアセンブリの接合部部分内の中央壁の延在方向と同じである。ダブルDタイプカテーテルでは、2つのルーメンの分離角は、接合部又は分割線120における二面角であり得る。かかる二面角は、接合部156における2つのルーメンの内側の平坦面によって定義される平面の交点で表される。ダブルDタイプスプリット又はデュアルチップカテーテルは、本明細書に記載される実施形態の特に有利な適用である。
【0057】
第1カテーテル111は、第1近位ハブ又はポート114を含む1近位端領域域112と、第1チップ124で終了し且つ第1前方開口部132を含む第1遠位端領域122を有する。そして、第1ルーメン115は、第1近位ポート114と第1前方開口部132の間に延在する。同様に、第2カテーテル113は、第2近位ハブ又はポート118を含む1近位端領域域116と、第2チップ128で終了し且つ第2前方開口部136を含む第2遠位端領域126を有する。そして、第2ルーメン117は、第2近位ポート118と第2前方開口部136の間に延在する。カテーテルアセンブリ100は、クランプ(第1カテーテル111のクランプ172on及び第2カテーテル113のクランプ174)を有する接続チューブを含んでもよい。また、内部成長のために、ダクロン又は他の材料製のカフ160を有してもよい。
【0058】
カテーテルアセンブリ100は、血液透析機と接続できるように構成される。かかる接続は、ポート114及び118を介して容易にすることができる。これにより、1つのカテーテルが、心臓血管系に酸素を豊富に含んだ血液を供給するように設定することができる。また、他のカテーテルが、血液を心臓血管系から引き出すように設定することができる。必要に応じて、これら2つのカテーテルの間の血液の循環を逆にしてもよい。逆方向の流れを同時に生じさせることを容易にするために、第1ルーメン115及び第2ルーメン117は互いに独立している。
【0059】
第1カテーテル111及び第2カテーテル113は、それらの壁がデカルト座標系における正中面に対して互いに縦方向に分割されるように、分割線120における単一の細長部材110から分割される。ここで、必要に応じて、正中面は、縦軸135を含む及び/又は縦軸135から延在する。必要に応じて又は代替的に、2つの壁は、正中面に対してではなく縦軸135に対して分割される。第1遠位端領域122及び第2遠位端領域126は、第2チップ128が第1チップ124と並列となるように、分割線120に対して実質的に同一となるように延在してもよい。異なる長さの遠位端領域を有する非対称スプリットチップ透析カテーテルとは異なり、カテーテルアセンブリ100のような対称血液透析カテーテルは、望ましくない透析血液の再循環の程度を減少させると考えられている。なお、透析血液の再循環は、上流側のルーメンと下流側のルーメンの間で発生し得る。
【0060】
第1遠位端領域122及び第2遠位端領域126は、ホスティング血管ルーメンの境界に(必要に応じて並列に)一致するように、実質的に柔軟であってもよい。必要に応じて又は代替的に、第1遠位端領域122及び第2遠位端領域126は、実質的に弾性又は剛性であってもよい。これにより、第1チップ124及び第2チップ128が所定の間隔で、及び/又は、展開時に相対的な位置を保って提供される。いくつかの実施形態では、第1遠位端領域122及び第2遠位端領域126は、全体の大きさ、形状、及び/又は、開口部の大きさ、形状及び/又は分布について、縦軸135に対して互いに回転対称となるように形成される。任意に及び追加的に、第1遠位端領域122及び第2遠位端領域126は、(同じデカルト座標系において正中面と直交する)横断面についても同様に離れている。また、必要に応じて、正中面130についても同様に離れている。
【0061】
カテーテルアセンブリ100は、局所血液分散及び局所血液収集するための遠位開口部を含む。全ての開口部は、縦軸135の周りに回転対称を維持しながら、遠位端領域122及び126上に形成され分布している。図示されるように、好ましくは、第1遠位端領域122及び第2遠位端領域126は非対称であるが回転対称である(すなわち、ミラーリングされていない)。そして、本実施形態では、必要に応じて、正中面に関して反転されてもよい。これは、隣接する開口部間における、望まれない潜在的な透析血液の再循環を最小化するためである。第1前方開口部132は、第1方向142を向く第1コースに流れを生じさせるように形成される。なお、
図1Bにおいて、流出として示しているが、逆に流入する場合もある。同様に、第2前方開口部136は、第2方向146を向く第2コースに流れを生じさせるように形成される。ここで、第2コースは、第1コースと交差せず、必要に応じて平行である。また、第2方向146は、第1方向142と逆方向である。これは、第1方向142を向く第1前方開口部132から流出する流れは、第2前方開口部136から最も離れて移動することを意味する。逆に、第2方向146を向く第2前方開口部136から流出する流れは、第1前方開口部132から最も離れて移動することを意味する。2つのコースは、空間内の任意の方向に投影することができる。任意の方向は、例えば、正中面、横断面及び前頭面を含むデカルト座標系で表すことができる。さらに、これらの面の少なくとも1つと直交する(すなわち、0ではない)ように投影することができる。いくつかの実施形態では、第1方向142及び第2方向146は、隣接する血管壁組織の吸着を避けるために、正中面130から横方向に向けられない。
【0062】
それにも関わらず、前方開口部が詰まった場合に潜在的に生じ得る流れの閉塞を回避するために、前方開口部の遠位側に横方向開口部が設けられる。すなわち、第1カテーテル111は、第1前方開口部132の近位の第1遠位端領域122に位置する第1横方向開口部134を含む。また、第2カテーテル113は、第2前方開口部128の近位の第2遠位端領域126に位置する第2横方向開口部138を含む。第1横方向開口部134は、第3方向144に流れを生じさせるように形成される。ここで、第3方向144は、第1方向142と逆向きである。同様に、第2横方向開口部138は、第4方向148に流れを生じさせるように形成される。ここで、第4方向148は、第2方向146と逆向きである。
【0063】
図2は、本発明の実施形態に係る例示的なデュアルチップ血液透析カテーテルアセンブリ200の遠位開口部を向けた一部を表す模式図である。カテーテルアセンブリ200は、カテーテルの正中面に、少なくとも部分的に、流れが流入又は流出する点を除いて、カテーテルアセンブリ100と類似する。カテーテルアセンブリ200は、部分的に結合された2つのカテーテルを含む。第1カテーテルは、第1前方開口部232を含む第1チップで終了する第1遠位端領域222を備える。また、第2カテーテルは、第2前方開口部236を含む第2チップで終了する第2遠位端領域226を備える。第1遠位端領域222及び第2遠位端領域226は、分割線から実質的に同様に延在する。これにより、第2チップ228が第1チップ224と並列する。また、全体の大きさ、形状、及び/又は、開口部の大きさ、形状及び/又は分布について、縦軸235に対して互いに回転対称となるように形成される。任意に及び追加的に、第1遠位端領域222及び第2遠位端領域226は、(同じデカルト座標系において正中面と直交する)横断面についても同様に離れている。また、必要に応じて、正中面についても同様に離れている。
【0064】
カテーテルアセンブリ200は、局所血液分散及び局所血液収集するための遠位開口部を含む。全ての開口部は、縦軸235の周りに回転対称を維持しながら、遠位端領域222及び226上に形成され分布している。第1前方開口部232は、第1方向242に流れが生じるように形成される。なお、
図2において、流出として示しているが、逆に流入する場合もある。図示されるように、第1方向242は、正中面に向き且つ横断面から離れる方向を向く。また、正中面230に直交射影242
xを有する。直交射影242
xは、同じデカルト座標系において横断面と前頭面の両方に直交する。同様に、第2前方開口部236は、第2方向246に流れが生じるように形成される。第2方向246は、コースに平行であるが、第1方向242と逆向きである。第1カテーテルは、第1前方開口部232の近位の第1遠位端領域222に位置する第1横方向開口部234を含む。また、第2カテーテルは、第2前方開口部228の近位の第2遠位端領域226に位置する第2横方向開口部238を含む。第1横方向開口部234は、第3方向244に流れが生じるように形成される。第3方向244は、第1方向242と同様に、正中面に向き且つ横断面から離れる方向を向く。同様に、第2横方向開口部238は、第4方向248に流れが生じるように形成される。第4方向248の向きは、正中面及び横断面に関して、第2方向246と同様である。
【0065】
図3は、本発明の実施形態に係る例示的なデュアルチップ血液透析カテーテルアセンブリ300の分岐する遠位端領域を表す模式図である。カテーテルアセンブリ300は、同じデカルト座標系において、横断面に関してその遠位端領域が反対向きとなり、必要に応じて、少なくとも部分的に、縦軸335の周りでねじれている点を除いて、カテーテルアセンブリ100と類似する。カテーテルアセンブリ300は、部分的に結合された2つのカテーテルを含む。第1カテーテルは、第1前方開口部332を含む第1チップで終了する第1遠位端領域322を備える。また、第2カテーテルは、第2前方開口部336を含む第2チップで終了する第2遠位端領域326を備える。第1遠位端領域322及び第2遠位端領域326は、分割線から実質的に同様に延在する。これにより、第2チップ328が第1チップ324と並列する。また、全体の大きさ、形状、及び/又は、開口部の大きさ、形状及び/又は分布について、縦軸335に対して互いに回転対称となるように形成される。任意に及び追加的に、第1遠位端領域322及び第2遠位端領域326は、横断面及び/又は正中面についても同様に離れている。
【0066】
カテーテルアセンブリ300は、局所血液分散及び局所血液収集するための遠位開口部を含む。全ての開口部は、縦軸335の周りに回転対称を維持しながら、遠位端領域322及び326上に形成され分布している。第1前方開口部332は、第1方向342に流れが生じるように形成される。なお、
図3において、流出として示しているが、逆に流入する場合もある。図示されるように、第1方向342は、平面330と平行の向きである。同様に、第2前方開口部336は、第2方向346に流れが生じるように形成される。第2方向346は、第1方向342と逆向きである。第1カテーテルは、第1前方開口部332の近位の第1遠位端領域322に位置する第1横方向開口部334を含む。また、第2カテーテルは、第2前方開口部328の近位の第2遠位端領域326に位置する第2横方向開口部338を含む。第1横方向開口部334は、第3方向344に流れが生じるように形成される。第3方向344は、第1方向342と逆向きである。同様に、第2横方向開口部338は、第4方向348に流れが生じるように形成される。第4方向348の向きは、第2方向346と逆向きである。
【0067】
次に、
図4A〜
図4Bを参照されたい。
図4A〜
図4Bは、血管BV内に配備された本発明の実施形態に係る例示的なデュアルチップ血液透析カテーテル400を表す模式図である。血管Bは、大静脈、必要に応じて、上大静脈又は右心房とすることができる。カテーテル400は、細長部材410を有する。細長部材410は、単一の楕円断面を有する箇所から縦軸435に沿って延在する。そして、第1チップ422で終了する第1遠位端領域420と、第2チップ432で終了する第2遠位端領域430と、に存在する接合部440において分割される。細長部材410は、第1ルーメン450及び第2ルーメン460を囲む。第1ルーメン450は、第1近位ポート(図示せず)と第1チップ422の間に延在する。また、第2ルーメン460は、第2近位ポート(図示せず)と第2チップ432の間に延在する。ルーメン450及び460は、一方のルーメン内の流れと、他方のルーメン内の流れが接触しないように、互いに独立している。これらのルーメンは、ダブルD形状と似た形状としてもよい。つまり、細長部材の長さ方向に沿って、隔壁が第1ルーメン450及び第2ルーメン460を分割する形状である。
【0068】
いくつかの実施形態では、カテーテル400は、シース(必要に応じて剥がせるシース)に覆われた状態で血管BV内に導入される。かかるシースは、カテーテル400及び/又は血管BVから全て又は部分的に引き出される。そして、縦軸435に沿って、予め定められた形状まで第1遠位端領域420及び第2遠位端領域430が互いに分離し、横方向にシフトすることを可能にする。好ましくは、第1遠位端領域420及び第2遠位端領域430は、縦軸435に対して互いに回転対称となるように形成される。必要に応じて第1遠位端領域420及び第2遠位端領域430は、少なくともいくらかの弾性特性を維持する。それにより、少なくとも他の形状に変形させる負荷がかかっていないときには、回転対称となるようにシフトしようとする。
【0069】
好ましくは、第1遠位端領域420及び第2遠位端領域430は、回転対称に従って分散し且つ回転対称に従った形状の複数の開口部を有する。複数の開口部は、ルーメン又はカテーテルの2つのルーメンに相関して開放され、ルーメンと血管VBの外部との間での血流の流通を可能にする。第1遠位端領域420及び第2遠位端領域430のそれぞれは、異なる方向に流れを生じさせる形状の少なくとも2つの開口部を有する。
【0070】
第1遠位端領域420は、第1チップ422に位置する第1前方開口部424を有する。そして、第2遠位端領域430は、第2チップ432に位置する第2前方開口部434を有する。第1前方開口部424は、第1方向を向く第1コース452に流れを生じさせるように形成される。そして、第2前方開口部434は、第1コース452と交差しない第2コース462に流れを生じさせるように形成される。第1遠位端領域420はまた、第1前方開口部424の近位に位置する第1横方向開口部426を含む。そして、第1方向から離れる第3コース454に流れを生じさせるように形成される。第2遠位端領域430は、第2前方開口部434の近位に位置する第2横方向開口部436を含む。そして、第4コース464に流れを生じさせるように形成される。第4コース464は、必要に応じて、第1方向に向かい、又は、第1方向と垂直であってもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、カテーテルは、デカルト座標系において正中面に対して分割する。かかる分割は、必要に応じて縦軸435と平行であってもよい。いくつかの実施形態では、第1コース452、第2コース462、第3コース454及び第4コース464の少なくとも1つは、正中面と平行な直交射影を有する。任意に、追加的又は代替的に、第1コース452、第2コース462、第3コース454及び第4コース464の少なくとも1つは、デカルト座標系において横断面と平行であり且つ正中面と直交する直交射影を有する。任意に、追加的又は代替的に、第1コース452、第2コース462、第3コース454及び第4コース464の少なくとも1つは、デカルト座標系において前頭面と平行である且つ正中面と直交する直交射影を有する。
【0072】
スプリットチップカテーテルにおけるカテーテル凝固という既知の問題が生じる理由の1つとして、遠位端領域の間の接合部部分(すなわち、分割点/線/領域)で凝血塊が生じることが挙げられる。この分割点では、低速又は少ない血流が観察される。そして、「Virchov'striad」によると、血栓形成に対応する可能性が高い。いくつかの実施形態では、本開示に係るデュアルチップ透析カテーテルは、ルーメンを適切に展開した状態において、接合部部分に実質的に隙間が生じないように形成される。さらに、本発明に係るデュアルチップカテーテルは、整列(閉)した状態から展開(開)状態に、はさみのような動きで変形するように構成されてもよい。また、かかるカテーテル又はその一部は、弾性であってもよい。そして、負荷がかかる状態(ストレス状態)で整列し、負荷がない状態(非ストレス状態)で展開する。カテーテルの整列は、種々の方法で達成される。例えば、外部カバー(例えば、剥がせるシース)や内部マンドレル(例えば、ガイドワイヤー又はスタイレット)を用いることができる。これらはともに、カテーテルの展開時において取り外し可能であることが好ましい。
【0073】
次に、
図5を参照されたい。
図5は、患者の体内から引き抜かれた後まもなくの市販の血液透析スプリットチップカテーテルの様子を表す図である。
図5に示されるカテーテルは、ダブルDタイプスプリットチップカテーテルである。かかるカテーテルは、二面角又は「亀裂」を形成する。「亀裂」は、接合部領域に位置する2つの先端の内側の平面壁の間に形成される。そして、かかるカテーテルは、分割線と一致する交線を備える。従来のカテーテルでは、分離する内側の平面壁によって形成される二面角は、10〜30度となり、カテーテルの接合部領域に亀裂を生じさせる。かかる亀裂は、カテーテルの2つの対向する表面の間の領域である。かかる領域では、血液が流れて表面を超えることを妨げるのに十分なほど2つの対向する表面が分離している。そして、これにより、亀裂に血液が無又は低血流状態で溜められ、凝血塊のリスクを生じさせる。ルーメンの対向する部分を、ルーメンの延在方向に対して横向きに計測したときの2つの表面の間の距離(
図1Aにおける距離162)が、1mm〜3mmであり、縦方向に少なくとも3mmの場合に、かかる凝血塊のリスクが大きくなる。本発明者は、接合領域にこのような亀裂が生じないデュアル又はスプリットチップカテーテルを考案した。以下にさらに説明される一実施形態では、従来のスプリットチップカテーテルに存在する二面角を減少又は排除することにより、かかる問題が解決される。したがって、かかる「亀裂なし」カテーテルは、
図5に示されるような従来のカテーテルアセンブリとくらべて、凝血塊のリスクが減少する。
【0074】
次に、
図6A〜
図6Cを参照されたい。
図6A〜
図6Cは、本発明の実施形態に係る、長さ501に沿って接合された第1カテーテル510及び第2カテーテル530を有するカテーテルアセンブリ500を表す模式図である。長さ501は、縦軸502を有する及び/又は縦軸502の方向を向く。第1カテーテル510は、第1近位端領域域512、第1遠位端領域516及び第1壁520を有する。第1近位端領域域512は、第1ポート514を備える。第1遠位端領域516は、第1チップ518で終了する。第1壁520は、第1ルーメン522を定義する。第1ルーメン522は、第1ポート514及び第1チップ518の間に長手方向に延在する。第2カテーテル530は、第2近位端領域域532、第2遠位端領域536及び第2壁540を有する。第2近位端領域域532は、第2ポート534を備える。第2近位端領域域532は、第2チップ538で終了する。第2壁540は、第2ルーメン542を定義する。第2ルーメン542は、第2ポート534及び第2チップ538の間に長手方向に延在する。
【0075】
カテーテルアセンブリ500は、血液透析機と接続できるように構成される。かかる接続は、ポート514及び524を介して容易にすることができる。これにより、1つのカテーテルが、心臓血管系に酸素を豊富に含んだ血液を供給するように設定することができる。また、他のカテーテルが、血液を心臓血管系から引き出すように設定することができる。必要に応じて、これら2つのカテーテルの間の血液の循環を逆にしてもよい。いくつかの実施形態では、逆方向の流れを同時に生じさせることを容易にするために、第1ルーメン522及び第2ルーメン542は互いに独立している。
【0076】
いくつかの実施形態では、第1壁520及び第2壁540は、第1遠位端領域516及び第2遠位端領域536の近位の接合部504に位置する分割面503に対して、縦方向に分割される。分割面503は、カテーテルアセンブリ500の正中面であってもよい。
【0077】
いくつかの実施形態では、第1カテーテル510及び/又は第2カテーテル530は、接合部504に弾性部材560(又は弾性部)を有する。かかる弾性部材560は、第1遠位端領域516及び第2遠位端領域536が分割面503に沿って、隣接する接合部504の間と隙間なく互いに分離された状態で圧力がかからない形状となる。隙間なく分割することにより、流れが接合部で停滞することをなくし、及び/又は、血栓の形成を減少又は回避することを意図している。
【0078】
いくつかの実施形態では、カテーテルアセンブリ500は、縦軸502(
図6Aを参照)に沿って第2遠位端領域536とともに第1遠位端領域516を整列させるために、取り外し可能な整列手段を有する。かかる整列手段としては、例えば、取り外し可能なカバー570(例:剥がせるシース)を用いることができる。いくつかの実施形態では、取り外し可能な整列手段を取り外す際に、第1遠位端領域516及び第2遠位端領域536は、はさみのような動きで、弾性部材560が圧力がかからない形状となるまで分割面503に沿って互いに自発的にスライドすることとしてもよい(
図6Cを参照)。
【0079】
カテーテルアセンブリ500は、2つの遠位端領域及び/又は2つの遠位端領域に分散する開口部に関して、対称又は類似の形状及び/又は大きさ、非対象又は非類似の形状及び/又は大きさであるいかなる形状のスプリット又はデュアルチップカテーテルであってもよい。ここで、説明のために、以下、類似且つ対称形状である2つの遠位端部分について記述するが、上述のごとく、これは必ずしも必須の構成ではないということに留意すべきである。いくつかの実施形態では、第2チップ538及び第1チップ518は、接合部504から実質的に同じ長さで延在する。必要に応じて、第1遠位端領域516と第2遠位端領域536が整列したときに、第2チップ538が第1チップ518と並列となる。必要に応じて、弾性部材560が応力を受けていないときに、第2チップ538が第1チップ518から最も遠くなることとしてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、第1遠位端領域516及び第2端部領域536は、縦軸502に関して互いに回転対称となるように形成され、回転対称に従って分散し且つ回転対称に従った形状の複数の開口部を有する。いくつかの実施形態では、第1遠位端領域516及び第2遠位端領域536のそれぞれは、少なくとも2つの開口部を有する。少なくとも2つの開口部は、開口部において異なる方向に流れが生じるように形成される。いくつかの実施形態では、第1遠位端領域516は、第1チップ518に隣接して配置される第1前方開口部524を有する。また、第2遠位端領域536は、第2チップ538に隣接して配置される第2前方開口部544を有する。いくつかの実施形態では、第1前方開口部524は、第1方向を向く第1コース526に流れが生じるように形成される。いくつかの実施形態では、第2前方開口部544は、第2コース546に流れが生じるように形成される。いくつかの実施形態では、前方開口部524及び544は、第2コース546が第1コース524と交差しないようにデザインされる。
【0081】
いくつかの実施形態では、第1遠位端領域516は、第1前方開口部524の近位に位置する第1横方向開口部528を有する。また、第2遠位端領域536は、第2前方開口部544の近位に位置する第2横方向開口部548を有する。いくつかの実施形態では、第1横方向開口部528は、(第1コース526の)第1方向から離れる方向を向く第3コース529に流れが生じるように形成される。いくつかの実施形態では、第2横方向開口部548は、(第1コース526の)第1方向に向く第4コース549に流れが生じるように形成される。任意に、追加的又は代替的に、第1横方向開口部528は、第1コース526の第1方向と垂直に流れが生じるように形成される。
【0082】
いくつかの実施形態では、第1コース526は、分割面503と平行な直交射影を有する。任意に、追加的又は代替的に、第1コース526は、同じデカルト座標系において、横断面と平行で且つ分割面503(正中面)と直交する直交射影を有する。任意に、追加的又は代替的に、第1コース526は、同じデカルト座標系において、前頭面と平行で且つ分割面503(正中面)と直交する直交射影を有する。
【0083】
図7A〜
図7Dは、発明の実施形態に係る、アセンブリ縦軸602に沿って延在する細長部材610を有する血液透析カテーテル600を表す模式図である。いくつかの実施形態では、細長部材610は、分割点604にて、分割面603に対して縦方向に第1遠位端領域612及び第2遠位端領域616を分割する。第1遠位端領域612は、縦軸637を備え、第1チップ614で終了する。また、第2遠位端領域616は、縦軸639を備え、第2チップ618で終了する。いくつかの実施形態では、細長部材610は、第1ルーメン624及び第2ルーメン624を囲む。第1ルーメン624は、第1近位ポート622と第1チップ614の間に延在する。また、第2ルーメン624は、第2近位ポート626と第2チップ618の間に延在する。
【0084】
接合部部分656は、分割点604における前頭面652及び分割点604の近位の前頭面654の間である。本実施形態では、内部平坦表面は開き、はさみのような動きで基本的に割面(例えば、
図1の正中面)と平行に分岐する。従って、接合部領域628において、2つのルーメンの内部平坦表面は、2つのルーメン壁が互いに平行に延在しないときでも、接触を保つ。
図1A〜
図1Cに示される実施形態とは異なり、
図7A〜
図7Dは、亀裂が生じない接合部628を有するカテーテル600を表す。例えば、
図1Bは、上述の隙間距離162が存在するが、
図7Cでは、亀裂のない接合部部分656が図示される。これは、側面から見たときに、略三角形となる。亀裂のない接合部部分656が、弛緩形状における隙間距離が、隙間距離162(
図1B)よりも十分に小さくなる。従来のカテーテルでは、分割点から5mm〜20mmのところにおける隙間距離162が、1mm〜3mmである。一方、
図7に示されるカテーテルアセンブリでは、接合部領域における隙間距離は、常に1mm未満となる。好ましくは、0.5mm未満、より好ましくは、0.1mm未満、さらに好ましくは、領域628において表面が対向しているときは、常に2つのルーメンの内側平坦表面が直線接触していることである。
【0085】
また、
図7Cにおいて、従来のカテーテルの二面角が大幅に低減又は排除されたことが分かる。好ましくは、
図7Cに示されるカテーテルの二面角は、10度未満、より好ましくは、5度未満、さらに好ましくは、1度未満、最も好ましくは、ルーメンの内部平坦表面が分岐しても二面角が形成されないことである。
【0086】
カテーテル600は、血液透析機と接続できるように構成される。かかる接続は、ポート622及び626を介して容易にすることができる。これにより、1つのカテーテルが、心臓血管系に酸素を豊富に含んだ血液を供給するように設定することができる。また、他のカテーテルが、血液を心臓血管系から引き出すように設定することができる。必要に応じて、これら2つのカテーテルの間の血液の循環を逆にしてもよい。いくつかの実施形態では、逆方向の流れを同時に生じさせることを容易にするために、第1ルーメン620及び第2ルーメン624は互いに独立している。いくつかの実施形態では、隔壁632が、細長部材610の非分割長さ方向に沿って第1ルーメン620及び第2ルーメン624を分割する。
【0087】
いくつかの実施形態では、細長部材610は、分割点604に(例えば弾性部材である)接合部部分628を備える。接合部部分628は、第1遠位端領域612及び第2遠位端領域614が分割面603に沿って、隣接する接合部部分656の間と隙間なく互いに分離された状態で圧力がかからない形状となる(
図7Cを参照)。隙間なく分割することにより、流れが接合部で停滞することをなくし、及び/又は、血栓の形成を減少又は回避することを意図している。
【0088】
いくつかの実施形態では、血液透析カテーテル600は、アセンブリ縦軸602に沿って第2遠位端領域616とともに第1遠位端領域612を整列させるために、取り外し可能な整列手段を有する。かかる整列手段としては、例えば、取り外し可能なカバー630(例:剥がせるシース)を用いることができる(
図7Aを参照)。いくつかの実施形態では、取り外し可能な整列手段を取り外す際に、第1遠位端領域612及び第2遠位端領域616は、はさみのような動きで、亀裂なしの接合部628が圧力がかからない形状となるまで分割面603に沿って互いに自発的にスライドすることとしてもよい。
【0089】
カテーテル600は、2つの遠位端領域及び/又は2つの遠位端領域に分散する開口部に関して、対称又は類似の形状及び/又は大きさ、非対象又は非類似の形状及び/又は大きさであるいかなる形状のスプリット又はデュアルチップカテーテルであってもよい。ここで、説明のために、以下、類似且つ対称形状である2つの遠位端部分について記述するが、上述のごとく、これは必ずしも必須の構成ではないということに留意すべきである。いくつかの実施形態では、第2チップ618及び第1チップ614は、分割点604から実質的に同じ長さで延在する。必要に応じて、第1遠位端領域612と第2遠位端領域616が整列したときに、第2チップ618が第1チップ614と並列となる。必要に応じて、弾性部材638が応力を受けていないときに、第2チップ618が第1チップ614から最も遠くなることとしてもよい。
【0090】
いくつかの実施形態では、第1遠位端領域612及び第2遠位端領域616は、アセンブリ縦軸602に関して互いに回転対称となるように形成され、回転対称に従って分散し且つ回転対称に従った形状の複数の開口部を有する。いくつかの実施形態では、第1遠位端領域612及び第2遠位端領域616のそれぞれは、少なくとも2つの開口部を有する。少なくとも2つの開口部は、開口部において異なる方向に流れが生じるように形成される。いくつかの実施形態では、第1遠位端領域612は、第1チップ614に隣接して配置される第1前方開口部636を有する。また、第2遠位端領域616は、第2チップ618に隣接して配置される第2前方開口部638を有する。いくつかの実施形態では、第1前方開口部636は、第1方向を向く第1コース640に流れが生じるように形成される。いくつかの実施形態では、第2前方開口部638は、第1コース640と交差しない第2コース642に流れが生じるように形成される。
【0091】
いくつかの実施形態では、第1遠位端領域612は、第1前方開口部636の近位に位置する第1横方向開口部644を有する。また、第2遠位端領域616は、第2前方開口部638の近位に位置する第2横方向開口部646を有する。いくつかの実施形態では、第1横方向開口部644は、必要に応じて第1方向から離れる方向を向く第3コース648に流れが生じるように形成される。いくつかの実施形態では、第2横方向開口部646は、必要に応じて(第1コース640の)第1方向に向く第4コース650に流れが生じるように形成される。いくつかの実施形態では、第1横方向開口部644は、(第1コース640の)第1方向と垂直に流れが生じるように形成される。いくつかの実施形態では、第1コース640は、分割面603と平行な直交射影を有する。必要に応じて、分割面603は、血液透析カテーテルの正中面である。いくつかの実施形態では、第1コース640は、同じデカルト座標系において、横断面と平行で且つ分割面603(正中面)と直交する直交射影を有する。任意に追加的又は代替的に、第1コース640は、同じデカルト座標系において、前頭面と平行で且つ分割面603(正中面)と直交する直交射影を有する。
【0092】
次に、
図8A〜
図8Eを参照されたい。
図8A〜
図8Eは、いくつかの実施形態に係る、シースの内外における血液透析カテーテルの斜視図である。
図8A〜
図8Bは、第1ルーメン及び第2ルーメンを有するカテーテルアセンブリを示す。第1ルーメンは、縦軸837及び第1ルーメン壁864を備える。また、第2ルーメンは、縦軸839及び第2ルーメン壁866を備える。ここで図示される実施形態は、亀裂が生じない接合部835を有する。かかる接合部835は、
図7Cに示される亀裂が生じない接合部628と実質的に類似である。例えば、第1ルーメン壁864及び第2ルーメン壁866は、弛緩状態において、ほとんど同じ面(正中面858)上に位置する。正中面858は、
図7A〜
図7Dに示される分割面603と実質的に類似である。ルーメンの前記第1縦軸837及び前記第2縦軸839が(
図1B及び
図1Cにて定義される)横断面から分岐しても、接合部領域における正中面又は分割面からの距離は略一定のままである。本実施形態では、
図1の構成とは対照的に、ルーメンは、(
図1B及び
図1Cにて定義される)横断面からほとんど又は完全に分岐するのであり、(
図1B及び
図1Cにて定義される)正中面からほとんど又は完全に分岐するのではない。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのルーメンは、その先端が横断面から少なくとも1cm離れるように、横断面から分岐する。いくつかの実施形態では、2つのルーメンが、その先端が正中面から5mmを超えない範囲で、正中面から分岐する。ここで、第1ルーメン壁864及び第2ルーメン壁866が接合部部分656における同じ正中面858上で接触したとしても(
図7C参照)、接合部部分656を遠位側に超える第1ルーメン壁864及び第2ルーメン壁866(
図7C参照)は、正中面858又は分割面603から自由に逸脱できることとしてもよいことに留意されたい。
【0093】
図8C〜
図8Eは、取り外し可能なカバー(例えば、剥がせるシース)を有するカテーテルアセンブリを示す。かかる取り外し可能なカバーは、
図7A及び
図7Bに示される取り外し可能なカバー630と実質的に類似である。
図8Cは、取り外し可能なカバーが2つの遠位部分を保持することにより、互いに略整列したカテーテルアセンブリの2つの遠位部分を示す。
図8D及び
図8Eに示すされるように、2つの遠位部分が取り外し可能なカバーの外部にスライドし、2つの遠位部分の先端が、はさみのような動きで、互いに離れるように移動して、弛緩状態となる。
【0094】
次に、
図9A〜
図9Bを参照されたい。
図9A〜
図9Bは、いくつかの実施形態における他の実施形態に係る血液透析カテーテルの斜視図である。
図9Aは、
図7A〜
図8Eに示すされるものと実質的に類似の亀裂が生じない接合部を有するカテーテルを示す。
図8A及び
図8Bに示すされるルーメン壁864及び866に関して説明したように、接合部部分656(
図7Cを参照)を超える2つの遠位部分は、同じ壁面を持たない場合がある。さらに、
図9Bに示されるように、接合部部分656(
図7Cを参照)を超える2つの遠位部分は、接合部部分652(
図7Cを参照)から延在する直線状の縦軸(837、839等)を有さない場合がある。
図9に示される接合部部分656(
図7Cを参照)を超える2つの遠位部分は、弛緩状態においてカーブしている。これにより、2つの遠位部分は、(
図7Cの602と類似する)アセンブリ縦軸に関して縦方向に対称でありながらねじれた状態となる。他の実施形態では、2つの遠位部分は、正中面からさらに離れることで、
図9Bに示されるものよりもねじれの少ないカテーテルアセンブリを提供する。
【0095】
次に、
図10A〜
図10Gを参照されたい。
図10A〜
図10Gは、本発明の実施形態に係るデュアルチップカテーテル1000の形成方法において、利用可能な例示的ステップを表す他のシナリオを表す模式図である。
【0096】
図10Cは、カテーテル1000を形成するための予め形成された部分1010を示す。
図10A及び
図10Bは、予め形成された部分1010の形成方法における2つの利用可能なシナリオを示す。
図10Aに示されるように、第1の予め形成された部材1001、第2の予め形成された部材1002及び第3の予め形成された部材1003が集められる。第1の予め形成された部材1001は、複数のルーメン(この例では、ルーメン1004及び1005)を囲む。かかるルーメンは、端部1006及び1007の間に延在し、端部1006及び1007にて開口する。第2の予め形成された部材1002は、ルーメン1008を囲む。ルーメン1008は、端部1009及び1011の間に延在し、端部1009及び1011にて開口する。第3の予め形成された部材1003は、ルーメン1012を囲む。ルーメン1012は、端部1013及び1014の間に延在し、端部1013及び1014にて開口する。
【0097】
図10Bに示されるように、第1ストレートマンドレル1015がルーメン1004及びルーメン1008に挿入され、第2ストレートマンドレル1016がルーメン1005及びルーメン1012に挿入される。そして、3つの予め形成された部分が整列され、及び/又は、必要に応じて、第1ストレートマンドレル1015及び第2ストレートマンドレル1016上に近接する。第2の予め形成された部材1002及び第3の予め形成された部材1003はその後、第1の予め形成された部材1001に溶接され、細長部材を形成する。いくつかの実施形態では、第1の予め形成された部材1001のルーメン1004及び第2の予め形成された部材1002ルーメン1008が第1通路1017を形成する。いくつかの実施形態では、第1の予め形成された部材1001のルーメン1005及び第3の予め形成された部材1003のルーメン1012が第2通路1018を形成する。
【0098】
図10Cは、カテーテル1000を形成するために提供される予め形成された部分1010の最終版を示す。予め形成された部分1010は、細長部材1019を供え、縦軸1020に沿って延在する。そして、接合部1022における分割面1021に対して縦方向に、第1遠位端領域1023及び第2遠位端領域1025を分割する。第1遠位端領域1023は第1チップ1024で終了する。また、第2遠位端領域1025は第2チップ1026で終了する。細長部材1019は第1通路1017及び第2通路1018を囲む。第1通路1017は、縦軸1020に沿って延在し、第1チップ1024において開口する。また、第2通路1018は、縦軸1020に沿って延在し、第2チップ1026において開口する。いくつかの実施形態では、細長部材1019は、接合部を超えて弾性部(又は弾性部材)を有する。必要に応じて、細長部材1019は、その長さに沿ってほとんど又は全て弾性であってもよい。また、径方向及び/又は軸方向に弾性であってもよい。
【0099】
いくつかの実施形態では、細長部材1019は、流体封止された材料で形成される。そして、第1通路1017が第1ルーメンを形成し、第2通路1018が第2ルーメンを形成する。第2ルーメンは、第1ルーメンにより封止される。必要に応じて、隔壁が細長部材1019の非分割長さ方向に沿って第1ルーメン及び第2ルーメンを分割することとしてもよい。流体封止された材料は、ポリマー材料を含んでもよい。ポリマー材料としては、シリコンゴム、ポリウレタン、ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタン(例:カルボセイン(登録商標))等が挙げられる。
【0100】
いくつかの実施形態では、予め形成された部分は、最終的な断面において、ルーメンとともに容易に提供される。他の実施形態では、予め形成された部分のルーメンは、ストレートマンドレルを用いて最終的な断面に形成される。他の実施形態では、第1、第2及び/又は第3の予め形成された部材1001、1002及び1003又は溶接された細長部材1019は、第1ストレートマンドレル1015の外周に沿って第1通路1017が形成され、第2ストレートマンドレル1016の外周に沿って第2通路が形成されるように加熱される。
【0101】
次に、輪郭マンドレルは、カテーテル1000を最終形状に仕上げるために用いられる。ここで、
図10Dを参照されたい。
図10Dに示されるように、第1輪郭マンドレル1027によって課される第1輪郭内に第1端部領域1023が保持され(
図10Dを参照)、第2輪郭マンドレル1028によって課される第2輪郭内に第2端部領域1025が保持される(
図10を参照)ように、第1輪郭マンドレル1027が第1通路1017に挿入され、第2輪郭マンドレル1028が第2通路1018に挿入される。その後、細長部材1019は、内部応力を緩和するために処理される(
図10Eを参照)。必要に応じて、かかる処理は、熱処理、化学処理、焼入れ及び塑性変形の少なくとも1つを含む。必要に応じて、圧力がかからない形状から生じる偏向に対する弾性抵抗を生じさせてもよい。いくつかの実施形態では、細長部材1019は、第1輪郭マンドレル1027の外周に沿って第1通路1017が形成され、第2輪郭マンドレル1028の外周に沿って第2通路1012が形成されるように加熱される。
【0102】
いくつかの実施形態では、第1輪郭マンドレル1027及び第2輪郭マンドレル1028はそれぞれ、自身の長さ方向に沿って固定された角度を有する又は湾曲している。
図11A〜
図11Cは、本発明の実施形態に係る例示的な輪郭マンドレルの側面を表す模式図である。
図11Aは、部分1041において固定された角度で折り曲げられ、それにより、角度1042が形成される角度のついたマンドレル1040を示す。
図11Bは、長さに沿って一部1051で固定した湾曲形状が形成され、曲率半径1052を有する湾曲したマンドレル1050が示される。1063
図11Cは、長さに沿って第1部分1061で固定した湾曲形状が形成され、曲率半径1062を有し、第1部分1061の遠位の第2部分1063において、第2曲率半径1064を有する第2の湾曲したマンドレル1060が示される。いくつかの実施形態では、第1輪郭マンドレル1027は、角度又は曲率が第2輪郭マンドレル1028と合同又は幾何学的に類似する。
【0103】
ここで、再び
図10A 〜
図10Gを参照されたい。続いて、第1輪郭マンドレル1027が第1通路1017から取り除かれ、第2輪郭マンドレル1028が第2通路1018から取り除かれる。
図10Fに示すように、輪郭マンドレルを取り除くと、細長部材1019は、第1端部領域1023及び第2端部領域1025が分割面1021に沿って、隣接する接合部1022の間と隙間なく互いに分離された状態で圧力がかからない形状となる。圧力がかからない形状における細長部材1019は、分割面1021に対して、先端が第1方向1029を向く第1チップ1024と、先端が第1方向1029に対して傾斜する第2方向1030を向く第2チップ1026を有する。必要に応じて、分割面1021の接合部1022の間に角度1031を形成する。角度1031は、少なくとも15度、必要に応じて少なくとも30度、必要に応じて、少なくとも45°、必要に応じて45度〜90度とすることができる。
【0104】
いくつかの実施形態では、第1輪郭内に保持される1端部領域1023と、第2輪郭内に保持される第2端部領域1025と、が縦軸1020に対して互いに回転対称となる。また、
図10Fには、端部領域の少なくとも1つが開形態及び/又は形状である状態が示される。必要に応じて、第1遠位端領域1023及び第2遠位端領域1025はそれぞれ、回転対称に従って分散し且つ回転対称に従った形状の少なくとも1つの開口部を有する。必要に応じて、少なくとも2つの開口部は、開口部において異なる方向に流れが生じるように形成されることとしてもよい。図示されるように、第1遠位端領域1023は、第1チップ1024に隣接して配置される第1前方開口部1032と、第1前方開口部1032の近位に位置する第1横方向開口部(図示せず)と、を有する。また、第2遠位端領域1025は、第2チップ1026に隣接して配置される第2前方開口部1033と、第2前方開口部1033の近位に位置する第2横方向開口部1035と、を有する。必要に応じて、第1前方開口部1032は、第1コースに流れが生じるように形成される。第1コースは、第2前方開口部1033により導かれる第2コースの流れと交差しない。
【0105】
図10Gに示されるように、カテーテル1000は、必要に応じて、取り外し可能なカバーとともにユーザーに提供されてもよい。図示されるように、取り外し可能な整列手段1036は、縦軸1020に沿って第2遠位端領域1025とともに第1遠位端領域1023を整列させるために、カテーテル1000に取り付けられる。必要に応じて、第1遠位端領域1023及び第2遠位端領域1025が整列しているときに、第2チップ1026が第1チップ1024と並列する。カテーテル1000は弾性特性を有するので、取り外し可能な整列手段1036を取り外す際に、第1遠位端領域1023及び第2遠位端領域1025は、はさみのような動きで、圧力がかからない形状となるまで分割面1021に沿って互いに自発的にスライドする(
図10Fを参照)。必要に応じて、取り外し可能な整列手段1036は、剥がせるシースのような取り外し可能なカバーを含んでもよい。
【0106】
次に、
図12A〜
図12Dを参照されたい。12A〜
図12Dは、本発明の実施形態に係るデュアルチップカテーテル1100の他の形成方法において、利用可能な例示的ステップを表す他のシナリオを表す模式図である。
図12Aは、カテーテル1100を形成するための予め形成された部分1110を示す。予め形成された部分1110は、メッシュ構造となるように形成される。また、かかるメッシュ構造は、少なくとも1つの螺旋状に巻かれたフィラメントを有する。フィラメントは、必要に応じて、柔軟及び/又は弾性であり、金属、ポリマー、炭素及び/又はガラス又はその他の材料から作られてもよい。予め形成された部分1110は、メッシュ構造と部分的に硬化した状態ですでに存在するポリマーマトリックスを有するプリプレグ(すなわち、予備含浸)成分として提供することもできる。代替的に、予め形成された部分1110は、裸の状態で提供され、後工程にて含浸及び/又はコーティングしてもよい。
【0107】
予め形成された部分1110は、細長部材1119を有し、縦軸1120に沿って延在し、接合部1122における分割面1121に対して縦方向に、第1チップ1124で終了する第1遠位端領域1123及び第2チップ1126で終了する第2遠位端領域1125を分割する。細長部材1119は、第1通路1117及び第2通路1118を囲む。第1通路1117は、縦軸1120に沿って延在し、第1チップ1124において開口する。また、第2通路1118は、縦軸1120に沿って延在し、第2チップ1126において開口する。いくつかの実施形態では、細長部材1119は、接合部を横断する弾性部を有する。必要に応じて、細長部材1119は、その長さに沿ってほとんど又は全て弾性であってもよい。また、径方向及び/又は軸方向に弾性であってもよい。必要に応じて、装置全体の弾性特性は、フィラメントの弾性及び/又はメッシュデザインに応じて決定される。
【0108】
必要に応じて、輪郭マンドレルは、カテーテル1100を最終形状に仕上げるために用いられる(マンドレルは図示しない。また、採取形状は
図12Bに示される)。第1輪郭マンドレルによって課される第1輪郭内に第1端部領域1123が保持され、第2輪郭マンドレルによって課される第2輪郭内に第2端部領域1125が保持されるように、第1輪郭マンドレルが第1通路1117に挿入され、第2輪郭マンドレルが第2通路1118に挿入される。その後、細長部材1119は、内部応力を緩和するために処理される。必要に応じて、かかる処理は、熱処理、化学処理、焼入れ及び塑性変形の少なくとも1つを含む。必要に応じて、圧力がかからない形状から生じる偏向に対する弾性抵抗を生じさせてもよい。いくつかの実施形態では、細長部材1119は、第1輪郭マンドレルの外周に沿って第1通路1117が形成され、第2輪郭マンドレルの外周に沿って第2通路1118が形成されるように加熱される。
【0109】
次に、予め形成された部分1110は、流体封止された材料で形成され、これにより、第1通路1117が1ルーメンを形成し、第2通路1118が第1ルーメンに封止される第2ルーメンを形成するように、ポリマー溶液を用いて含浸及び/又はコーティングされてもよい。必要に応じて、隔壁が、細長部材1119の非分割長さ方向に沿って第1ルーメン及び第2ルーメンを分割する。流体封止された材料は、ポリマー材料を含んでもよい。ポリマー材料としては、シリコンゴム、ポリウレタン、ポリカーボネート系熱可塑性ポリウレタン(例:カルボセイン(登録商標))等が挙げられる。
【0110】
続いて、2つの輪郭マンドレルが第1通路1117及び第2通路1118から取り除かれる。
図12Cに示されるように、輪郭マンドレルを取り除くと、細長部材1119は、第1端部領域1123及び第2端部領域1125が分割面1121に沿って、隣接する接合部1122の間と隙間なく互いに分離された状態で圧力がかからない形状となる。圧力がかからない形状における細長部材1119は、分割面1121に対して、先端が第1方向1129を向く第第1チップ1124と、先端が第1方向1129に対して傾斜する第2方向1130を向く第2チップ1126を有する。必要に応じて、分割面1121の接合部1122の間に角度1131を形成する。角度1131は、少なくとも15度、必要に応じて少なくとも30度、必要に応じて、少なくとも45°、必要に応じて45度〜90度とすることができる。
【0111】
いくつかの実施形態では、第1輪郭内に保持される第1端部領域1123と、第2輪郭内に保持される第2端部領域1125と、が縦軸1120に対して互いに回転対称となる。
図12Cには、端部領域の少なくとも1つが開形態及び/又は形状である状態が示される。必要に応じて、第1遠位端領域1123及び第2遠位端領域1125はそれぞれ、回転対称に従って分散し且つ回転対称に従った形状の少なくとも1つの開口部を有する。必要に応じて、少なくとも2つの開口部は、開口部において異なる方向に流れが生じるように形成されることとしてもよい。図示されるように、第1遠位端領域1123は、第1チップ1124に隣接して配置される第1前方開口部1132と、第1前方開口部1132の近位に位置する第1横方向開口部(図示せず)と、を有する。また、第2遠位端領域1125は、第2チップ1126に隣接して配置される第2前方開口部1133と、第2前方開口部1133の近位に位置する第2横方向開口部1135と、を有する。必要に応じて、第1前方開口部1132は、第1コースに流れが生じるように形成される。第1コースは、第2前方開口部1133により導かれる第2コースの流れと交差しない。
【0112】
図12Dに示されるように、カテーテル1100は、必要に応じて、取り外し可能なカバー(例:剥がせるシース)とともにユーザーに提供されてもよい。図示されるように、取り外し可能な整列手段1136は、縦軸1120に沿って第2遠位端領域1125とともに第1遠位端領域1123を整列させるために、カテーテル1100に取り付けられる。必要に応じて、第1遠位端領域1123及び第2遠位端領域1125が整列しているときに、第2チップ1126が第1チップ1124と並列する。カテーテル110は弾性特性を有するので、取り外し可能な整列手段1136を取り外す際に、第1遠位端領域1123及び第2遠位端領域1125は、はさみのような動きで、圧力がかからない形状となるまで分割面1121に沿って互いに自発的にスライドする(
図12Cを参照)。必要に応じて、取り外し可能な整列手段1136は、剥がせるシースのような取り外し可能なカバーを含んでもよい。
【0113】
以上、本発明は、特定の実施形態に関連して説明してきたが、多くの代替、変更及び変形が当業者には明らかであろう。したがって、本発明は、特許請求の範囲の精神及び広い範囲内に含まれるあらゆる代替、修正及び変形を包含することが意図される。
【0114】
明細書において言及された全ての刊行物、特許及び特許出願は、参照によりその全てが本明細書に組み込まれる。それは、全ての刊行物、特許及び特許出願が具体的且つ詳細に示された場合と同程度の効力を有する。さらに、本明細書において引用又は特定したあらゆる参照は、かかる参考が本発明に対する先行技術として利用可能であることを認めるものと解釈されてはならない。節の見出しについてまでも、それらが不要な限定であると解釈されるべきではあない。