(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の実施形態に係る建設機械としてのクローラクレーンの全体的な構成を示す図である。同図において、カウンタウエイト装置としてのカウンタウエイト着脱装置を備えたクローラクレーン100は、下部走行体(クローラ)1、上部旋回体3、ブーム5、マスト7、バックストップ9及びカウンタウエイト11から基本的に構成されている。上部旋回体3は旋回輪を介して下部走行体1に旋回可能に設けられている。ブーム5は上部旋回体3に起伏可能に軸支されている。上部旋回体3のカウンタウエイト11設置側とは逆側の端部にはキャブ(運転室)13が設置され、キャブ13とカウンタウエイト11との間にはハウス(機械室)15が設けられている。
【0015】
旋回フレーム17には巻き上げ用のウインチドラムである巻上ドラムと、起伏用のウインチドラムである起伏ドラムが搭載されている。巻上ドラムには巻上ロープが巻回され、巻上ドラムの駆動により巻上ロープが巻き取りまたは繰り出され、ブーム5の先端に吊り下げられたフックが昇降する。起伏ドラムには起伏ロープが巻回され、起伏ドラムの駆動により起伏ロープが起伏ドラムに巻き取り又は繰り出される。これによりブーム5が起伏する。
【0016】
旋回フレーム17内には巻上用油圧モータ及び起伏用油圧モータが設置されている。巻上ドラムは巻上用油圧モータによって駆動され、起伏ドラムは起伏用油圧モータによって駆動される。また、巻上用油圧モータ及び起伏用油圧モータをそれぞれ制動するブレーキ装置が設置され、巻上用油圧モータ及び起伏用油圧モータの駆動と制動が制御される。
【0017】
図2はクローラクレーン100の下部走行体1、旋回フレーム17、カウンタウエイト着脱装置19、及びカウンタウエイト11を示す三面図で、同図(a)は平面図、同図(b)は同図(a)を左側から見た側面図、同図(c)は正面図である。
図2では、旋回輪、キャブ13、マスト7、ブーム5等は省略している。また、旋回フレーム17は上部旋回体3の一部を構成している。
【0018】
下部走行体1は、クローラサイドフレーム22,駆動輪23、従動輪25、上部ローラ27、下部ローラ29及びシュー31を備えている。駆動輪23及び従動輪25はクローラサイドフレーム22の前後に設けられ、駆動輪23は走行装置によって駆動される。下部ローラ29はクローラサイドフレーム22の下部に設置され、上部ローラ27はクローラサイドフレーム22の上部に設置されている。シュー31は、駆動輪23,下部ローラ29,従動輪25及び上部ローラ27に巻き掛けられ、無限軌道を構成する。なお、符号33はカウンタウエイト11を載置するベースプレートである。
【0019】
図3はカウンタウエイト着脱装置19とカウンタウエイト11のベースプレート33の構成を示す斜視図、
図4は
図3の側面図である。
【0020】
同図において、カウンタウエイト装置としてのカウンタウエイト着脱装置19は、ウエイト昇降ユニット35と、カウンタウエイト11を載置するベースプレート33とを備えている。ウエイト昇降ユニット35は左右対称に一対ずつ設けられている。カウンタウエイト11はウエイト部材11A,11B,11C,11D,11E,11Fを積層してなり、各ウエイト部材11A〜11F同士及びベースプレート33はリンクにより一体に締結され、ベースプレート33上に対称に設置されている(
図2)。各ウエイト部材11A〜11Fは上面視略L字状に形成されている。左右一対のカウンタウエイト11は、所定の間隔をあけて配置され、一対のカウンタウエイト11間の空間に、前記左右一対のウエイト昇降ユニット35が配置されている。
【0021】
ウエイト昇降ユニット35は、ベースプレート33に取り付けられている。ベースプレート33の上面には一対の接続プレート37がそれぞれ左右対称に立設されている。2つの接続プレート37は、外形は同じ形状であり、それぞれ前後方向に対して直交する平面に平行に配置されている。ベースプレート33には、上面視矩形状の一対の開口部34(
図7)が形成され、開口部34の一方の縁部に一方の接続プレート37が固定され、開口部34の他方の縁部に他方の接続プレート37が固定されている。
【0022】
図4にも示すように、ウエイト昇降ユニット35は、シリンダロッド39Aを上下方向に伸縮させる油圧シリンダ39と、一対の接続プレート37と、この接続プレート37に溶接により一体化された一対の支持ブラケット41を備えている。支持ブラケット41は、左右一対のプレートからなる。左右一対のプレートは、所定の間隔があけられており、対となるプレート間に油圧シリンダ39が配置され、当該プレート間で油圧シリンダ39が支持される。
【0023】
また、後述の旋回フレーム17の後端部17Aを固定するための固定ピン45がピン挿脱機構46によって挿脱可能に設けられている。さらに、支持ブラケット41には、後述の着脱フレーム53の自由端側(下部)に設けられた第2のピン61を案内する案内溝52が形成されている。案内溝52は上方が開放され、上方の開放部から第2のピン61を案内し、下底部に第2のピン61を位置させる機能を備えている。
図3に示すようにウエイト昇降ユニット35は
図4に示す構成の昇降機構が一対対称に備えられている。そのため、同一の構成要素には同一の参照符号を付し、両者を特に区別しないで説明する。なお、
図3では、手前側のウエイト昇降ユニット35は例えば表側が、奥側のウエイト昇降ユニット35は裏側が、それぞれ図示されている。また、着脱フレーム53の自由端側とは、第1のピン57を回動支軸としたときの自由端側である着脱フレーム53の第2のピン61の設置側の端部を意味する。
【0024】
前記したように油圧シリンダ39は接続プレート37と一体の支持ブラケット41によりベースプレート33上で支持される。その際、油圧シリンダ39のシリンダチューブ39Bは、左右一対の接続プレート37と一体の支持ブラケット41間に位置し、当該支持ブラケット41により支持されている。油圧シリンダ39のシリンダロッド39Aはシリンダチューブ39Bに対し上方に伸長し、下方に収縮する。シリンダチューブ39Bには旋回フレーム17から油圧ホースを介して圧油が供給され、シリンダロッド39Aの伸長及び収縮動作が行われる。
【0025】
油圧シリンダ39のシリンダチューブ39Bの上部側にはトラニオン47が支持ブラケット41に対して垂直な方向に突設されている。支持ブラケット41の上端部には、略三角形状の取付プレート49が取付ピン51を介して取り付けられている。取付プレート49の中央には取付孔が設けられている。シリンダチューブ39Bのトラニオン47は当該取付孔に挿通されることにより、油圧シリンダ39が前後方向に回動自在に支持ブラケット41に接続される。
【0026】
シリンダロッド39Aの先端のシリンダトップ39Cには、着脱フレーム53のロッド端結合部55に回動可能にピン結合するための第1のピン57が取り付けられている。第1のピン57は、
図5の着脱フレーム53の斜視図に示すように、着脱フレーム53の左右の板部材59の上部に設けられた貫通孔60を貫通するように設けられ、抜け止めピン58で着脱フレーム53から離脱しないようになっている。なお、第1のピン57は着脱フレーム53のシリンダロッド39Aに対する回動支軸として機能し、着脱フレーム53は第1のピン57回りに回動可能である。また、着脱フレーム53の回動方向はトラニオン47の搖動方向と平行である。
【0027】
図5に示すように、着脱フレーム53は、左右の同形状の一対の板部材59を部材59Aを挟んで平行に上端側の支軸として機能する第1のピン57と下端側の第2のピン61で結合し、一体としたものである。また、一対の板部材59の間には、上から順に第1、第2及び第3のガイドローラ63,65,67が設けられている。第3のガイドローラ67は下端部に、第2のガイドローラ65は中央部に、第1のガイドローラ63は第1のピン57と第2のガイドローラ65とのほぼ中央部に、さらに、第2のガイドローラ65と第2のピン61との間には、ピン挿入孔68が、それぞれ設けられている。なお、
図5(a)は着脱フレーム53を
図4の右前側から見た斜視図、
図5(b)は左後側から見た斜視図である。
【0028】
着脱フレーム53は
図4及び
図5から分かるように第1ないし第3のガイドローラ63,65,67、第1及び第2のピン57,61及びピン挿入孔68の配置に基づいて大略三日月状に形成されている。着脱フレーム53の形状は、第1ないし第3のガイドローラ63,65,67、第1及び第2のピン57,61及びピン挿入孔68の配置と、後述の旋回フレーム17の後端部17Aの端面形状に基づいて決定される。そのため、着脱フレーム53の形状は、クローラクレーン100の機械的能力や旋回フレーム17の形状などに応じて設計される。そのため、着脱フレーム53の形状が本実施形態における形状と異なってもよいことはいうまでもない。
【0029】
図4に示すように油圧シリンダ39とシリンダトップ39Cで連結された着脱フレーム53は一体となってトラニオン47を介して支持ブラケット41に当該支持ブラケット41に対して平行な方向に揺動可能に支持されている。したがって、トラニオン47は支持ブラケット41に対する油圧シリンダ39の揺動支軸として機能する。一体となった油圧シリンダ39と着脱フレーム53の重心は、トラニオン47を通る鉛直線に対して図示右側、旋回フレーム17を基準にすると、前側に位置する。言い換えれば、一体となった油圧シリンダ39と着脱フレーム53には、時計回り方向にモーメントが生じている。この状態が、前側重心の状態である。この状態で、油圧シリンダ39のシリンダロッド39Aを伸長すると、さらにモーメントが大きくなり、着脱フレーム53が振れて着脱フレーム53の下端に設けられた第3のガイドローラ67がシリンダロッド39Aに激突することがある。
【0030】
この激突を防止するため、本実施形態では、レール71が油圧シリンダ39のシリンダチューブ39Bの旋回フレーム17の取付側に設置されている。レール71の設置長さは、シリンダロッド39Aが最大限伸長した場合でも、着脱フレーム53がレール71との接触が維持される長さである。具体的には、第3のガイドローラ67がレール71を転動して移動するが、第3のガイドローラ67がレール71から外れない長さである。
【0031】
図6はカウンタウエイト着脱装置19の自力装着の動作を示す動作説明図である。
図6(b)において右上に見える部分は、クローラクレーン100の旋回フレーム17の後端部17Aである。この後端部17Aには、上部に第1のガイド溝17B、下部に第2のガイド溝17C、第1のガイド溝17Bの上方であって後述の第2の転動面17Fの上端17Hよりも下方の第1のガイド溝17Bとの間にピン挿通孔17Dが、それぞれ形成されている。また、第1及び第2のガイド溝17B,17Cの間で、着脱フレーム53と対向する部分は、着脱フレーム53の第1及び第2のガイドローラ63,65が接触し、転動する第1の転動面17Eとなっている。さらに、第1のガイド溝17Bの外縁から後端部17Aの最上部に至る部分は、着脱フレーム53の第1及び第2のガイドローラ63,65が接触し、転動する第2の転動面17Fとなっている。旋回フレーム17の後端部17Aはこのように構成されている。
【0032】
後端部17Aにカウンタウエイト着脱装置19によってカウンタウエイト11を装着する場合、まず、
図6(a)に示すようにカウンタウエイト着脱装置19と旋回フレーム17の後端部17Aとの位置合わせを行う。位置合わせは、クローラクレーン100を後退させ、旋回フレーム17の後端部17Aを着脱フレーム53に対向する位置に位置させる。
図6(b)は、位置合わせを行うときの後端部17Aとカウンタウエイト着脱装置19との関係を示す図で、カウンタウエイト11は図示を省略している。
図6(c)及び(d)も同様である。
【0033】
図6(b)で後端部17Aとカウンタウエイト着脱装置19との間の位置関係の調整が終了すると、
図6(c)に示すように油圧シリンダ39のシリンダロッド39Aを伸長し、着脱フレーム53を旋回フレーム17の後端部17Aにピン結合する。ピン結合は、着脱フレーム53のピン挿入孔68と後端部17Aのピン挿通孔17Dを合致させ、結合ピン73をピン挿入孔68から挿入することにより行われる。このピン結合により、着脱フレーム53と旋回フレーム17の後端部17Aを結合し、着脱フレーム53を旋回フレーム17側に取り付ける。
【0034】
その後、
図6(d)に示すように油圧シリンダ39のシリンダロッド39Aを縮小させ、ベースプレート33とその上に固定されたカウンタウエイト11を引き上げる。所定位置まで引き上げると、支持ブラケット41の固定ピン挿入孔44から後端部17Aの固定ピン挿通孔17Gへプッシュプルケーブル16によって固定ピン45を挿入し、固定ピン45によってカウンタウエイト11を旋回フレーム17の後端部17Aに固定する(
図6(e))。
【0035】
図7ないし
図10は着脱フレーム53の後端部17Aに対する着脱動作を示す説明図である。
図7は着脱動作の初期段階を示す。
図7(a)に示すように、初期状態では、ウエイト昇降ユニット35は、油圧シリンダ39のシリンダロッド39Aが最も縮んだ状態となっている。このとき、着脱フレーム53は、下部に設けた第2のピン61が案内溝52の下底部に入り込んだ状態となっている。また、油圧シリンダ39のシリンダチューブ39Bの下端の鍔39Eが、ベースプレート33に設けられた開口部34の図示右側の内壁34Aに当接している。そのため、トラニオン47の中心位置と、鍔39Eが開口部34の内壁34Aと当接した位置で規定される角度だけ傾いて停止している。この傾きは本実施形態では、トラニオン47を通る鉛直線から5°程度後側に向いた傾きである。なお、この状態では、旋回フレーム17の後端部17Aは着脱フレーム53とは離れている。
【0036】
前記後側とは、本明細書では、シリンダロッド39Aの先端部側の第1のピン57がトラニオン47を通る鉛直線に対して旋回フレーム17から遠ざかる方向、若しくは遠ざかった位置のことをいう。また、
図7(a)において、矢印12の先端はカウンタウエイト11を設置したときのカウンタウエイト11の旋回フレーム17側の最前部及び最上部を示している。なお、
図8〜
図10における矢印12も同様であり、カウンタウエイト11の図示は省略した。
【0037】
この状態から
図7(b)に示すように、油圧シリンダ39のシリンダロッド39Aが伸長すると、第2のピン61が案内溝52から離脱し、ウエイト昇降ユニット35がトラニオン47を中心に図示時計回り方向に回転し、前側重心となる。その際、油圧シリンダ39の回転量はベースプレート33の開口部34の
図7(a)とは逆側の図示左側の内壁34Bに鍔39Eが当接することにより規制される。着脱フレーム53の回転量は、支持ブラケット41に設けられたストッパ75に第3のガイドローラ67が当接することにより規制される。本実施形態では、例えば時計回り方向の回転により、前記鉛直線から例えば3.5°程度着脱ユニット53が前側に向いて傾いている。この
図7(b)に示す傾きが最も前側に傾いた傾きである。なお、前記前側とは、本明細書では、シリンダロッド39Aの先端部側の第1のピン57がトラニオン47を通る鉛直線に対して旋回フレーム17に近づく方向、若しくは近づいた位置のこという。
【0038】
図8は
図7(b)の状態から、さらに油圧シリンダ39のシリンダロッド39Aが伸長した状態を示す。また、
図9は
図8(b)の状態からさらに油圧シリンダ39のシリンダロッド39Aが伸長した状態を示す。
【0039】
シリンダロッド39Aがさらに伸長すると、第1及び第2のガイドローラ63,65が順に旋回フレーム17の後端部17Aの第1の転動面17Eに接触していく。そして、第1及び第2のガイドローラ63,65が第1及び第2の転動面17E,17Fに沿って転動することに伴って着脱フレーム53が押し上げられ、油圧シリンダ39の傾きが変動する。また、シリンダロッド39Aの伸長に伴って、第3のガイドローラ67はレール71の下端部に当接し、レール71上を転動し、着脱フレーム53の下端の位置を規制する。
【0040】
旋回フレーム17の後端部17Aには、上方に移動する際に、第2のピン61が収まっていくための第1のガイド溝17Bが設けられているが、第1及び第2のガイドローラ63,65が、第1及び第2の転動面17E,17Fを転動しながら、交互に着脱フレーム53を支え合うことにより、第1及び第2のガイドローラ63,65の第1のガイド溝17Bへの引っ掛かりを防いでいる(
図8(b)、
図9(a)、
図9(b))。なお、
図8(a)は第2のガイドローラ65が第1の転動面17Eに接触したときの状態を示す。
図8(b)は第1のガイドローラ63が第1のガイド溝17Bを越えて第2の転動面17F上に移行する状態、言い換えれば第1のガイドローラ63の谷越えの状態を示す。
【0041】
シリンダロッド39Aがさらに伸長すると、
図9(a)の状態となる。
図9(a)は第2のガイドローラ65が第1のガイド溝17Bを越える状態である。この状態は、言い換えれば第2のガイドローラ65の谷越えの状態である。この状態では、第1及び第2のガイドローラ63,65が第2の転動面17Fに移行して転動し、第3のガイドローラ67はレール71上を転動している。
図9(b)は油圧シリンダ39が伸長する過程で最も後傾した状態を示す。このとき、第2のガイドローラ65は第2の転動面17Fの最も突出した(後端側に張り出した)部分を超えて転動している。言い換えれば、この状態は、第2のガイドローラ65の山越えの状態である。また、
図9(b)は、油圧シリンダ39が最も後傾した状態である。
図9(b)では、油圧シリンダ39と着脱フレーム53の重心はトラニオン47を通る鉛直線を越えて後側まで傾かない角度を保持している。
【0042】
図10は
図9(b)の状態から、さらに油圧シリンダ39のシリンダロッド39Aが伸長した状態を示す。
図9(b)の状態からさらに油圧シリンダ39のシリンダロッド39Aが伸長すると、第1及び第2のガイドローラ63,65が第2の転動面17Fを越え、旋回フレーム17の後端部17Aの上端17Hに至る。このタイミングで第2のピン61が、第1のガイド溝17Bの入口に達する(
図10(a))。
【0043】
そして、さらにシリンダロッド39Aが伸長すると、第2のピン61は第1のガイド溝17Bに案内され、第1のガイド溝17B内を移動する。その際、第2のピン61は着脱フレーム53に引き上げられる形で第1のガイド溝17Bの最深部に収まっていく(
図10(b))。そして、最後は、第2のピン61を支点に着脱フレーム53が回転し、取り付け位置に納まる。このように
図10(a)では、第2のピン61を第1のガイド溝17Bにガイドし、
図10(b)で第2のピン61が旋回フレーム17の後端部17Aを引っ掛けるような動作となる。
【0044】
着脱フレーム53が取り付け位置に納まると、ピン挿入孔68が旋回フレーム17の後端部17Aに形成されたピン挿通孔17Dと重なる。この状態で、ピン挿入孔68とピン挿通孔17Dが一致するので、結合ピン73をピン挿入孔68から挿入して着脱フレーム53を旋回フレーム17の後端部17Aと結合し、固定する。本実施形態では、この結合までに至る過程で、第1及び第2のガイド溝17B,17Cと係合する第1及び第2のピン57,61以外の接続構造体要素との当該第1及び第2のガイド溝17B,17Cとの係合を回避するように構成されている。
【0045】
これが
図6(c)に示した状態であり、この状態から
図6(d)及び
図6(e)の状態に移行することにより、旋回フレーム17の後端部17Aにカウンタウエイト11を搭載することができる。カウンタウエイト11を取り外す際は、これまでに説明した搭載動作を逆にたどればよい。
【0046】
図11は油圧シリンダ39のシリンダロッド39Aの収縮時にシリンダロッド39Aがシリンダロッド軸回りに回転することを防止する構成を示す図である。シリンダロッド39Aのロッド長が短く、着脱フレーム53が旋回フレーム17の後端部17Aを挟み込んでいない状態では、レール71はシリンダロッド39Aの回り止めとして使用される。すなわち、シリンダロッド39Aの先端に着脱フレーム53の重量が加わるので、
図7(a)からシリンダロッド39Aが少しだけ伸びた状態においては、着脱フレーム53がシリンダロッド軸回りに回転しようとする。規制部材53Aがレール71を挟み込んで規制することで、着脱フレーム53がシリンダロッド軸回りに回転することを防止する。このような場合、レール71がなければ、着脱フレーム53の向きが回転することで変わってしまい、旋回フレーム17から外れてしまうおそれがある。
【0047】
本実施形態の特徴は、カウンタウエイト着脱装置19を前側重心とした状態でカウンタウエイト11を取り付け、及び取り外し可能としたことにある。これにより、カウンタウエイト着脱装置19を大幅に軽量化することが可能となった。特許文献1におけるカウンタウエイト着脱装置を前側重心としたまま旋回フレームに取り付ける際の問題点は、旋回フレーム又は着脱フレームが保持するガイドピンと、このガイドピンに対向する着脱フレームがガイドすべきポイントよりも手前の段階で干渉してしまうことであった。
【0048】
本実施形態では、この干渉を防止するために第1及び第2のガイドローラ63,65を使用して旋回フレーム17の後端部17Aの端面における第1及び第2の転動面17E,17Fのラインに沿って着脱フレーム53を持ち上げことができるようにした。また、ガイドピンである第2のピン61を着脱フレーム53側に設置したので、旋回フレーム17の更なる軽量化を図ることができる。その際、旋回フレーム17側にガイドを設けると、ガイドローラの引っ掛かりが懸念されるが、これに対しては、ガイドローラを2つ(第1及び第2のガイドローラ63,65)としたことにより、この問題を解消した。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。なお、以下の説明では、特許請求の範囲における各構成要素と本実施形態の各部について対応を取り、両者の用語が異なる場合には前者をかっこ書きで示し、また、対応する参照符号を付して両者の対応関係を明確にした。
【0050】
(1) 本実施形態では、クローラクレーン(建設機械)1の旋回フレーム(機体フレーム)17に取り付けられるカウンタウエイト11を載置するベースプレート(載置台)33と、旋回フレーム17の後端部17Aに支持され、ベースプレート33に載置されたカウンタウエイト11をベースプレート33とともに昇降させる油圧シリンダ39と、
旋回フレーム(機体フレーム)17と油圧シリンダ39のシリンダロッド39Aとを接続する着脱フレーム(接続構造体)53と、を有するカウンタウエイト着脱装置(カウンタウエイト装置)19において、着脱フレーム53をシリンダロッド39Aに対して回動可能に軸支する第1のピン(回動支軸)57と、着脱フレーム53の自由端(第2のピン61設置)側をシリンダロッド39Aの伸縮状態に応じて旋回フレーム17の後端部17A側で案内し、当該後端部17Aの上端17Hより下方で旋回フレーム17と結合される案内結合部と、旋回フレーム17の自由端側
の第1のピン(回動支軸)57周りへの回動を規制するレール(案内部材)71と、を備えた構成とした。
【0051】
このように構成すると、案内結合部が旋回フレーム17の後端部17Aに一体に設けられ、着脱フレーム53の上端17Hより下方で着脱フレーム53と結合するので、従来から使用されてきたブラケットの取り外しは不要となる。また、従来のように接続するためのフレームを後側重心にする必要がないので、後側重心にするためのウエイトが不要となり、フレームである着脱フレーム53の重量は軽量化される。そのため、着脱フレーム53を前側重心とした状態でカウンタウエイト11の取り付け、及び取り外しが可能となる。
【0052】
(2) 本実施形態では、前記案内結合部が、前記着脱フレーム53と結合するための位置決めを行う第1のガイド溝(ガイド溝)17B、当該第1のガイド溝17Bを含み、当該第1のガイド溝17Bと係合する第2のピン(係合部材)61以外の接続構造体要素と当該第1のガイド溝17Bとの係合を阻止して着脱フレーム53を導く第1及び第2の転動面(ガイド面)17E,17F、及び第1のガイド溝17Bへ第2のピン61が係合して位置決めされた状態で、着脱フレーム53と旋回フレーム17とを結合する結合部材を装着するピン挿通孔(結合部材装着部)17Dを備えた構成とした。
【0053】
このように構成すると、第2のピン61が第1のガイド溝17Bに嵌入する以外は、当該第1のガイド溝17Bへの接続構造体要素の嵌入が阻止される。そのため、第2のピン61以外の接続構造体要素の第1のガイド溝17Bへの嵌入による着脱フレーム53と旋回フレーム17との係合を防止することができ、カウンタウエイト着脱装置19の誤作動の防止が可能となる。
【0054】
(3) 本実施形態では、前記結合部材が結合ピン73であり、前記結合部材装着部が、位置決め時に着脱フレーム53に形成されたピン挿入孔68と合致し、旋回フレーム17の後端部(案内結合部)17Aに形成されたピン挿通孔17Dである構成とした。
【0055】
このように構成すると、位置決め時に着脱フレーム53に形成されたピン挿入孔68と旋回フレーム17の後端部17Aの上端17Hより下方に形成されたピン挿通孔17Dが合致するので、ピン挿入孔68からピン挿通孔17Dに結合ピン73を挿通させ、ピン挿入孔68とピン挿通孔17D内に保持させるだけで、着脱フレーム53と旋回フレーム17の後端部17Aを結合することができる。
【0056】
(4) 本実施形態では、前記第1及び第2の転動面17E,17Fにガイドされる前記接続構造体要素が、予め設定された間隔で配置された第1及び第2の2個のガイドローラ63,65を含み、一方のガイドローラ63(65)の前記第1のガイド溝17Bへの嵌入を他方のガイドローラ65(63)が前記第1及び/又は第2の転動面17E,17F上を転動することにより阻止する構成とした。
【0057】
このように構成すると、旋回フレーム17の後端部17Aの端面形状と第1及び第2のガイドローラ63,65の位置設定だけで、第2のピン61だけを第1のガイド溝17Bに嵌入させ、着脱フレーム53に形成されたピン挿入孔68と旋回フレーム17の後端部17Aに形成されたピン挿通孔17Dを合致させることができる。
【0058】
(5) 本実施形態では、油圧シリンダ39がトラニオン(搖動支軸)47に関し軸方向で回転可能に支持され、着脱フレーム53及び油圧シリンダ39を含むウエイト昇降ユニット35の重心位置がトラニオン47を通る鉛直線よりも前記旋回フレーム17側に位置する前側重心となる構成とした。
【0059】
このように構成すると、ウエイト昇降ユニット35の重心位置を、トラニオン47を通る鉛直線よりも旋回フレーム17側から離れた後側重心にする必要がないので、後側重心にするための余分なウエイトが不要となり、コストの低減を図ることができるとともに、取り扱いが容易となり操作性の向上を図ることができる。
【0060】
(6) 本実施形態に係るカウンタウエイト装置を備えたクローラクレーン(建設機械)100によれば、前記(1)ないし(5)で述べた効果を奏することができる。
【0061】
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。