(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708619
(24)【登録日】2020年5月25日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】モジュラ可搬キャスク移送設備
(51)【国際特許分類】
G21C 19/32 20060101AFI20200601BHJP
G21F 9/36 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
G21C19/32 040
G21F9/36 531Z
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-238830(P2017-238830)
(22)【出願日】2017年12月13日
(65)【公開番号】特開2018-96991(P2018-96991A)
(43)【公開日】2018年6月21日
【審査請求日】2018年1月11日
(31)【優先権主張番号】62/433,471
(32)【優先日】2016年12月13日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/690,765
(32)【優先日】2017年8月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506121386
【氏名又は名称】エヌエーシー インターナショナル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】カーヴァー, ジョージ シー.
(72)【発明者】
【氏名】シィトルマン, ヴァディム ゼット.
(72)【発明者】
【氏名】ウェルウッド, ジェイ ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ヤクシュ, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】バブ, スレッシュ
(72)【発明者】
【氏名】リン, シン ギー
【審査官】
大門 清
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−101994(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0125244(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0123255(US,A1)
【文献】
特表2016−533512(JP,A)
【文献】
特開平08−113074(JP,A)
【文献】
特開昭50−095953(JP,A)
【文献】
特開2010−228827(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0170766(US,A1)
【文献】
特開2016−088669(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0092904(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21C 19/32
G21F 9/36
G21F 5/14
B66C 19/00
B66C 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用済み核燃料を含むキャニスタを輸送キャスクから貯蔵オーバパックへと、または貯蔵オーバパックから輸送キャスクへと、移送キャスクを用いることで移送するためのモジュラ可搬キャスク移送設備であって、
複数の平行長尺伸縮自在レッグアセンブリであって、各レッグアセンブリが可動ドリーに取り付けられた長尺伸縮自在レッグを有し、各伸縮自在レッグが上端から下端まで延びる長手体を有し、該下端が前記可動伸縮自在レッグドリーに取り付けられ、前記上端が前記下端に対して垂直に移動可能である、複数の平行長尺伸縮自在レッグアセンブリと、
複数の平行長尺リフトビームであって、前記リフトビームのそれぞれが第一端から第二端まで延びる長手体を有し、前記リフトビームのそれぞれが前記伸縮自在レッグの前記上端において支持されかつ前記伸縮自在レッグに対して垂直な方向に設けられる、複数の平行長尺リフトビームと、
可動トロリービームドリーに取り付けられた可動長尺トロリービームを含むトロリービームアセンブリであって、前記トロリービームが第一端と第二端との間に延びる長手体を有し、前記トロリービームが前記リフトビームの前記長手体によって支持されかつ前記リフトビームに対して垂直な方向に設けられる、トロリービームアセンブリと、
前記伸縮自在レッグの前記上端が垂直方向に動かされるときに前記移送キャスクが垂直方向に移動可能となるように、前記移送キャスクを前記トロリービームに接続するための手段と、
前記トロリービームに関連付けられたホイストであって、前記ホイストは前記キャニスタに接続されるためのものであり、前記ホイストは前記キャニスタを垂直方向に動かすためのものであり、前記ホイストは前記キャニスタを前記貯蔵オーバパックから前記移送キャスクへと、または前記移送キャスクから前記貯蔵オーバパックへと動かすためのものである、ホイストと、を備え、
別個の前記伸縮自在レッグと前記ホイストとに基づいて、前記移送キャスクおよび前記キャニスタは互いに独立に垂直方向に移動可能であり、
前記移送キャスクはその下端部に二つの摺動金属扉を有し、
前記移送キャスクと前記貯蔵オーバパックとが会合するときにそれらの間に、前記移送キャスクの支持を補助するための移送アダプタが置かれ、
前記移送アダプタは前記二つの摺動金属扉を開閉するための油圧式または空気圧式のシリンダを有し、
前記移送アダプタは、前記移送キャスクの位置決めを補助し、かつ、前記二つの摺動金属扉をガイドするためのインデクスレールを有するモジュラ可搬キャスク移送設備。
【請求項2】
複数のリフトプレートをその側面に有する前記移送キャスクをさらに備え、
前記接続手段は、前記トロリービームに取り付けられた複数のリフトリンクと、前記リフトリンクを前記リフトプレートに接続する複数の長尺コネクタと、を含む請求項1に記載の設備。
【請求項3】
前記長尺コネクタはスリングである請求項2に記載の設備。
【請求項4】
前記長尺コネクタは固定リンクである請求項2に記載の設備。
【請求項5】
前記移送キャスクは前記使用済み核燃料を含むキャニスタを含む請求項2から4のいずれか一項に記載の設備。
【請求項6】
前記可動伸縮自在レッグドリーおよび前記可動トロリービームドリーは自走式ドリーである請求項1から5のいずれか一項に記載の設備。
【請求項7】
前記伸縮自在レッグの前記上端を前記下端に対して垂直に動かすよう設計された油圧システムをさらに備える請求項1から6のいずれか一項に記載の設備。
【請求項8】
前記伸縮自在レッグアセンブリは四つ含み、前記リフトビームは二つ含む請求項1から7のいずれか一項に記載の設備。
【請求項9】
前記ホイストは空気圧式チェーンホイストである請求項1から8のいずれか一項に記載の設備。
【請求項10】
各伸縮自在レッグの各長手体は静止内側部材の周りに設けられかつそれによってガイドされる長尺可動外側部材を含み、各長手体はさらに複数の長尺耐震ロッドを含み、各耐震ロッドは、ある伸縮自在レッグのある可動外側部材の上端と隣のレッグの別の隣の可動外側部材の下端とを接続するか、またはある伸縮自在レッグのある可動外側部材の下端と隣のレッグの別の隣の可動外側部材の上端とを接続する請求項1から9のいずれか一項に記載の設備。
【請求項11】
使用済み核燃料を含むキャニスタを輸送キャスクから貯蔵オーバパックへと、または貯蔵オーバパックから輸送キャスクへと、移送するためのモジュラ可搬キャスク移送設備であって、
複数の平行長尺伸縮自在レッグアセンブリであって、各レッグアセンブリが可動ドリーに取り付けられた長尺伸縮自在レッグを有し、各伸縮自在レッグが上端から下端まで延びる長手体を有し、該下端が前記可動伸縮自在レッグドリーに取り付けられ、前記上端が前記下端に対して上下に移動可能である、複数の平行長尺伸縮自在レッグアセンブリと、
複数の平行長尺リフトビームであって、前記リフトビームのそれぞれが第一端から第二端まで延びる長手体を有し、前記リフトビームのそれぞれが前記伸縮自在レッグの前記上端において支持されかつ前記伸縮自在レッグに対して垂直な方向に設けられる、複数の平行長尺リフトビームと、
可動トロリービームドリーに取り付けられた可動長尺トロリービームを含むトロリービームアセンブリであって、前記トロリービームが第一端と第二端との間に延びる長手体を有し、前記トロリービームが前記リフトビームの前記長手体によって支持されかつ前記リフトビームに対して垂直な方向に設けられる、トロリービームアセンブリと、
前記トロリービームに取り付けられた複数のリフトリンクと、
前記キャニスタを含む移送キャスクであって、前記伸縮自在レッグの前記上端が垂直方向に動かされるときに垂直方向に移動可能となる、移送キャスクと、
前記移送キャスクに取り付けられた複数のリフトプレートと、
リフトリンクを前記リフトプレートに接続する複数の長尺コネクタと、
キャニスタリフトアダプタに接続されたホイストであって、前記キャニスタリフトアダプタが前記キャニスタに取り付けられかつ前記移送キャスクとは独立して前記キャニスタを垂直方向で前記貯蔵オーバパックに入れるかそこから出すよう設計される、ホイストと、を備え、
前記移送キャスクはその下端部に二つの摺動金属扉を有し、
前記移送キャスクと前記貯蔵オーバパックとが会合するときにそれらの間に、前記移送キャスクの支持を補助するための移送アダプタが置かれ、
前記移送アダプタは前記二つの摺動金属扉を開閉するための油圧式または空気圧式のシリンダを有し、
前記移送アダプタは、前記移送キャスクの位置決めを補助し、かつ、前記二つの摺動金属扉をガイドするためのインデクスレールを有するモジュラ可搬キャスク移送設備。
【請求項12】
前記可動伸縮自在レッグドリーおよび前記可動トロリービームドリーは自走式ドリーである請求項11に記載の設備。
【請求項13】
前記伸縮自在レッグの前記上端を前記下端に対して垂直に動かすよう設計された油圧システムをさらに備える請求項11または12に記載の設備。
【請求項14】
前記伸縮自在レッグアセンブリは四つ含み、前記リフトビームは二つ含む請求項11から13のいずれか一項に記載の設備。
【請求項15】
前記ホイストは空気圧式チェーンホイストである請求項11から14のいずれか一項に記載の設備。
【請求項16】
各伸縮自在レッグの各長手体は静止内側部材の周りに設けられかつそれによってガイドされる長尺可動外側部材を含み、各長手体はさらに複数の長尺耐震ロッドを含み、各耐震ロッドは、ある伸縮自在レッグのある可動外側部材の上端と隣のレッグの別の隣の可動外側部材の下端とを接続するか、またはある伸縮自在レッグのある可動外側部材の下端と隣のレッグの別の隣の可動外側部材の上端とを接続する請求項11から15のいずれか一項に記載の設備。
【請求項17】
前記長尺コネクタはスリングである請求項11から16のいずれか一項に記載の設備。
【請求項18】
前記長尺コネクタは固定リンクである請求項11から16のいずれか一項に記載の設備。
【請求項19】
使用済み核燃料を含むキャニスタを輸送キャスクから貯蔵オーバパックへと、または貯蔵オーバパックから輸送キャスクへと、移送キャスクを用いることで移送するためのモジュラ可搬キャスク移送設備であって、
移送キャスクに取り付けられかつ前記移送キャスクを垂直方向および水平方向に動かすためのガントリー手段と、
前記ガントリー手段に関連付けられたホイスト手段であって、前記ホイスト手段は前記移送キャスクが前記垂直方向および水平方向に動かされるときに動かされる、ホイスト手段と、を備え、
前記ホイスト手段は前記キャニスタに接続されるためのものであり、前記ホイスト手段は前記移送キャスクの前記動きとは独立して前記キャニスタを垂直方向に動かすためのものであり、前記ホイスト手段は前記キャニスタを前記貯蔵オーバパックから前記移送キャスクへと、または前記移送キャスクから前記貯蔵オーバパックへと動かすためのものであり、前記ホイスト手段は前記キャニスタを前記輸送キャスクから前記移送キャスクへと、または前記移送キャスクから前記輸送キャスクへと動かすためのものであり、
前記移送キャスクはその下端部に二つの摺動金属扉を有し、
前記移送キャスクと前記貯蔵オーバパックとが会合するときにそれらの間に、前記移送キャスクの支持を補助するための移送アダプタが置かれ、
前記移送アダプタは前記二つの摺動金属扉を開閉するための油圧式または空気圧式のシリンダを有し、
前記移送アダプタは、前記移送キャスクの位置決めを補助し、かつ、前記二つの摺動金属扉をガイドするためのインデクスレールを有するモジュラ可搬キャスク移送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権主張
本願は、2016年12月13日に出願された米国特許仮出願第62/433,471号の優先権の利益を享受する。その出願は、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は主に使用済み核燃料を原子力発電所において取り扱い貯蔵するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
原子炉を有する原子力発電所では、使用済み核燃料は「使用済み燃料プール」と呼ばれる深い水槽の中で貯蔵される。使用済み燃料プールがその使用済み燃料容量限界に達した場合、または原子力発電所が設備の寿命が終わって使用済み燃料プールからの使用済み燃料の完全除去を行う場合、燃料は最終閉鎖蓋を有する金属キャニスタの中へ移送され、該蓋は発電所において使用済み燃料を搭載した後、溶接閉鎖されるか、または機械的手段で封止される。封止されたキャニスタは次いでコンクリート製の貯蔵オーバパックの中に置かれる。この貯蔵オーバパックは、放射性物質を閉じ込める内側の金属キャニスタに機械的保護、熱除去特性、および放射シールドを提供する囲いとして機能する。コンクリート製のオーバパックはキャニスタを含み、該キャニスタの中には放射性物質が貯蔵されており、オーバパックは次いで原子力発電所構造の外ではあるが所有者管理下の土地の指定安全区域に置かれ、この場合、金属キャニスタを含むコンクリート製の貯蔵オーバパックの適切な管理および監視をより確実に行うことができる。
【0004】
使用済み燃料貯蔵プールから使用済み燃料を取り出し、金属キャニスタの中へ使用済み燃料を入れ、コンクリート製の貯蔵オーバパックの中へ金属キャニスタを入れるプロセスは、天井クレーンおよびそれに伴うつり上げシステムの使用を含み、それらのクレーンやシステムは、地震発生の可能性を含む全ての通常シナリオおよび想定シナリオの間に、扱われているコンポーネントのポジティブで安全な制御が保証されることを確かなものとするために、使用前に徹底的に評価、検証される。これらのコンポーネントが原子力発電施設において安全に取り扱われることを確かなものとするために用いられる評価、プロセスおよび管理は規制調査および認可の対象となる。さらに、その中に金属キャニスタが貯蔵されるコンクリート製の貯蔵オーバパックが貯蔵についてのものではあるがキャニスタのオフサイト輸送についてのものではない規制要件だけを満たすことを注意しておくことは重要である。オフサイト輸送に関連付けられている規制は特別に設計されたオフサイト輸送キャスクの使用を要求する。該キャスクはコンクリート製の貯蔵オーバパックとは設計も材質もかなり異なり、コンクリート製の貯蔵オーバパックを認証するために用いられる法規とは異なる法規の下で監督機関による使用のためにライセンスされる。
【0005】
原子力発電所の寿命の終わりが近づくと、上述の通り、多くの所有者は使用済み燃料貯蔵プールから使用済み燃料を完全に取り除き、それをドライ貯蔵コンクリートオーバパックの中に入れることを選択し、設備運営に伴う出費を最小化するよう努力する。使用済み燃料が再配置されてしまうと、既存の設備は取り壊され、所有者の土地から除去されてもよい。これが達成されると、コンクリート製またはコンクリート/金属製の貯蔵オーバパックのみが残され、このオーバパックは金属キャニスタを含み、金属キャニスタの中には使用済み核燃料および放射性物質がある。サイトから金属キャニスタを取り除く必要性が生じると、金属キャニスタはコンクリート製の貯蔵オーバパックからオフサイト輸送キャスクへと移送される。しかしながら、天井クレーンを含む構成は取り壊されサイトから取り除かれてしまっているので、コンクリート製の貯蔵オーバパックからオフサイト輸送キャスクへの金属キャニスタの移送を促進するための手段は何ら備えられていない。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、モジュラ可搬キャスク移送(MPCT)設備の種々の実施の形態を提供する。MPCT設備は、使用済み核燃料を含むキャニスタを輸送キャスクから貯蔵オーバパックへと、または貯蔵オーバパックから輸送キャスクへと、移送することができる。伸縮自在レッグは、キャニスタとは独立した移送キャスクの運動を可能とし、キャニスタはホイストを用いて動かされる。そのモジュラ構成により、MPCT設備は組み立て、分解可能であり、ある原子力発電所から別のそれへと移動可能である。
【0007】
とりわけある実施の形態は、複数の平行長尺伸縮自在レッグアセンブリを有するMPCT設備である。各レッグアセンブリは可動ドリーに取り付けられた長尺伸縮自在レッグを有する。各伸縮自在レッグは上端から下端まで延びる長手体を有し、該下端は可動伸縮自在レッグドリーに取り付けられる。上端は下端に対して上下に移動可能である。
【0008】
MPCT設備は複数の平行長尺リフトビームを含む。リフトビームのそれぞれは第一端から第二端まで延びる長手体を有する。リフトビームのそれぞれは伸縮自在レッグの上端において支持されかつ伸縮自在レッグに対して垂直な方向に設けられる。
【0009】
MPCT設備は、可動トロリービームドリーに取り付けられた可動長尺トロリービームを含むトロリービームアセンブリを含む。トロリービームは第一端と第二端との間に延びる長手体を有する。トロリービームはリフトビームの長手体によって支持されかつリフトビームに対して垂直な方向に設けられる。
【0010】
MPCT設備は、伸縮自在レッグの上端が垂直方向に動かされるときに移送キャスクが垂直方向に移動可能となるように、移送キャスクをトロリービームに接続するための手段を含む。
【0011】
最後に、MPCT設備は、トロリービームに関連付けられたホイストを含む。ホイストはキャニスタに接続されるためのものであり、ホイストはキャニスタを垂直方向に動かすためのものである。ホイストはキャニスタを貯蔵オーバパックから移送キャスクへと、または移送キャスクから貯蔵オーバパックへと動かすためのものであってもよい。別個の伸縮自在レッグとホイストとに基づいて、移送キャスクおよびキャニスタは互いに独立に垂直方向に移動可能であってもよい。
【0012】
とりわけMPCT設備の他の実施の形態は、移送キャスクに取り付けられかつ移送キャスクを垂直方向および水平方向に動かすためのガントリー手段を有する。さらに、MPCT設備はガントリー手段に関連付けられたホイスト手段を有し、ホイスト手段は移送キャスクが垂直方向および水平方向に動かされるとき動かされる。ホイスト手段はキャニスタに接続されてもよく、ホイスト手段は移送キャスクの動きとは独立してキャニスタを垂直方向に動かしてもよい。ホイスト手段はキャニスタを貯蔵オーバパックから移送キャスクへと、または移送キャスクから貯蔵オーバパックへと動かしてもよい。それは、キャニスタを輸送キャスクから移送キャスクへと、または移送キャスクから輸送キャスクへと動かしてもよい。
【0013】
以下の図面および詳細な説明を調べると、本発明の他の実施の形態、方法、装置、特徴および利点は当業者には明らかであるか、明らかになるであろう。そのような追加的な実施の形態、方法、装置、特徴および利点の全てが本明細書の中に含まれ、本開示の範囲内にあり、かつ添付の請求の範囲によって保護されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
以下の図面を参照することにより、本発明の多くの態様をより良く理解することができる。図面内のコンポーネントは必ずしも実寸通りではなく、むしろ本発明の原理を明確に説明するために強調がなされている。さらに、図面において、いくつかの図面を通じて、同様の参照符号は対応する部材を示す。
【0015】
【
図1】本開示に係るモジュラ可搬キャスク移送(MPCT)設備の斜視図である。
図1は、貯蔵オーバパックへキャニスタを渡す目的で、または貯蔵オーバパックからキャニスタを受け取る目的で、移送キャスクがその下側で貯蔵オーバパックと会合しようとしている様子を示す。
【0016】
【0017】
【0018】
【
図4】
図1のMPCT設備の正面図であって、貯蔵オーバパックと会合した移送キャスクおよび移送キャスクの中にあって貯蔵オーバパックの上に位置するキャニスタを示す部分断面図を伴う。
【0019】
【
図5】
図1のMPCT設備の正面図であって、貯蔵オーバパックと会合した移送キャスクおよび貯蔵オーバパックの中にあって移送キャスクの下に位置するキャニスタを示す部分断面図を伴う。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、モジュラ可搬キャスク移送(MPCT)設備10の種々の実施の形態を提供する。
図1から5に、MPCT設備10の一例を示す。MPCT設備10は、燃料棒などの使用済み核燃料を含むキャニスタを輸送キャスクから貯蔵オーバパックへと、または貯蔵オーバパックから輸送キャスクへと、移送キャスクを用いて移送するために使用されてもよく、また、移送作業中のキャニスタおよび移送キャスクの独立した保護、管理のために使用されてもよく、これは移送作業中に地震事象が生じた場合に重要である。そのモジュラ構成により、MPCT設備10の解体、移動および再度の組み立ては容易であり、その結果、それは複数の原子力発電所において用いられうる。
【0021】
構造および組み立て
従来のガントリークレーンとは違い、MPCT設備10は複数の平行長尺伸縮自在レッグアセンブリ12を有し、該アセンブリ12はMPCT設備10が移送キャスクを動かせるようにする。本実施の形態では、少なくとも四つの伸縮自在レッグアセンブリがある。設備のニーズに依存して、より多くの伸縮自在レッグアセンブリが組み入れられてもよい。各レッグアセンブリ12は可動ドリー16に取り付けられた長尺伸縮自在レッグ14を有する。可動ドリー16は好ましくはモータ駆動で自走型で移動可能なサイドシフトドリーであって少なくとも四つの車輪を伴い、適切なコントローラによって制御されるものである。ドリー16は、既存の貯蔵パッド19の上面に沿って設けられたトラック17にまたはその中に乗る。各伸縮自在レッグ14は上端14aから下端14bまで延びる長手体を有し、該下端は可動伸縮自在レッグドリー16に取り付けられる。各伸縮自在レッグ14の各長手体は静止下方内側部材の周りに設けられかつそれによってガイドされる長尺可動上方外側部材を有し、この場合、上端14aは下端14bに対して上下に移動可能である。本例では、上方部材および下方部材は正方形の断面を有する。しかしながら、アセンブリの断面は円形であってもよい。さらに、好適な実施の形態では、油圧システムは、伸縮自在レッグ14の上端14aを下端14bに対して上下に動かすよう設計される。他の実施の形態では、油圧システムの代わりに空気圧システムが用いられてもよい。
【0022】
複数の平行長尺リフトビーム22、本例では二つ、は伸縮自在レッグ14の上端14aに設けられる。リフトビーム22のそれぞれは第一端22aから第二端22bまで延びる長手体を有する。リフトビーム22のそれぞれは伸縮自在レッグ14の上端14aにおいて支持されかつ伸縮自在レッグ14に対して垂直な方向に設けられる。
【0023】
トロリービームアセンブリ24は可動長尺トロリービーム26を備え、可動トロリービームドリー28に取り付けられる。該可動トロリービームドリー28は好ましくはモータ駆動で自走型で移動可能なサイドシフトドリーであって少なくとも四つの車輪を伴い、適切なコントローラによって制御されるものである。トロリービーム26は第一端26aと第二端26bとの間に延びる長手体を有する。トロリービーム26はリフトビーム22の長手体によって支持されかつリフトビーム22に対して垂直な方向に設けられる。
【0024】
複数のリフトリンク32はトロリービーム26を移送キャスク34に取り付けるために用いられうる。移送キャスク34は、貯蔵パッド19の上に保持される(例えば、コンクリート製またはコンクリートおよび金属製の)円柱形貯蔵オーバパック37から(例えば、金属製の)円柱形キャニスタ35を取り出すか、または円柱形貯蔵オーバパック37へ円柱形キャニスタ35を挿入するために用いられうる。貯蔵オーバパック37の一例は、2014年1月22日に出願され同時係属中の出願番号14/160,833に記載されており、その出願は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。移送キャスク34は例えば金属および他の適切な材料により形成されることで有害な放射からの保護を提供し、かつ、移送キャスク34に取り付けられた複数のリフトプレート36を有することで、伸縮自在レッグ14が持ち上げられたり降ろされたりするにつれて移送キャスク34が持ち上げられたり降ろされたりすることを可能にする。本実施の形態は移送キャスクの対向する側面に設けられた二つのリフトプレート36を有する。
図4および5に示されるように、移送キャスク34は、その上端部に開口またはアパーチャを画定するリング37と、その下端部に二つの摺動金属扉39aおよび39bと、を有する。移送キャスク34の本実施の形態は、2014年1月22日に出願され同時係属中の出願番号14/160,833により詳細に記載されており、その出願は参照により本明細書に組み入れられる。
【0025】
摺動扉39aおよび39bは油圧駆動または空気圧駆動であり、移送キャスク34から外向き側方にスライドする。移送キャスク34の下側において二つの対向する側面に二つの「C」形状のチャネルを溶接することで、扉39aおよび39bのそれぞれのサイドエッジを捉え、それらをその位置に保持し、摺動面を提供することができる。
【0026】
複数の長尺コネクタ38は、リフトリンク32を移送キャスク34のリフトプレート36に接続する。長尺コネクタ38は例えばスリング(図示される通り)や固定ロッドや固定リンクや他の装置であってもよく、種々の材料から製造されてもよいが、金属であることが好ましい。
【0027】
MPCT設備10はさらに従来のホイスト41を含み、このホイスト41は好適にはチェーンホイストであり、フック43を伴う。フック43はキャニスタリフトアダプタ42に接続されるよう設計され、キャニスタリフトアダプタ42はキャニスタ35に取り付けられる。フック43はキャニスタ35を、移送キャスク34とは独立に上下に動かすよう設計され、移送キャスク34は伸縮自在レッグ14を介して上下に動かされる。フック43はキャニスタリフトアダプタ42と会合し、二つの会合ピン45aおよび45bを用いて拘束され、それらのピンはフック43をアダプタ42に基本的にピン留めする。移送キャスク34の上部の穴のサイズは、ホイスト41に伴うフック43が移送キャスク34を通過するのに十分である。
【0028】
単一のホイストの代わりに、二重ホイストが用いられてもよい。さらに、好適な実施の形態では、チェーンホイストは空気圧式である。しかしながら、他の実施の形態では、ホイストは電動ワイヤロープホイストや、電気的または空気圧式チェーンまたはワイヤロープホイストシステムの任意の組み合わせであってもよい。
【0029】
複数の長尺耐震ロッド44を用いることで、MPCT設備10を堅牢にすることを補助することができる。これは、構造をより堅固とし、リスティング構成を転倒させうる地震誘起横運動に対する抵抗性を構造に与えることによる。この例では、交差配置において各サイドに二つあり、各耐震ロッド44は、ある伸縮自在レッグ14のある可動外側上方部材の上端と隣のレッグ14の別の隣の可動外側上方部材の下端とを接続するか、またはある伸縮自在レッグ14のある可動外側上方部材の下端と隣のレッグ14の別の隣の可動外側上方部材の上端とを接続する。
【0030】
移送キャスク34に関するさらなる地震安定性のために、MPCT設備10はオプションで、
図1に示される通り、移送キャスク34を囲むリング48を備えてもよく、リング48はリング48とレッグ14のそれぞれとの間に取り付けられるケーブル52によってその場に支持、保持される。要するに、ケーブル52を伴うリング48は移送キャスク34が水平方向に揺動するのを防ぐ。
【0031】
図1を参照すると、移送アダプタ54は移送キャスク34と貯蔵オーバパック37との間にそれらが会合するときに一時的に置かれ、これにより移送キャスク34の支持が補助され、移送キャスク34の下側の扉39aおよび39bの開閉が補助される。移送アダプタ54は総じて平坦な矩形金属プレートを含み、該プレートはその中をキャニスタ35が通る中央孔を有する。移送アダプタ54は、プレート上にそのサイドに沿ってインデクスレール56aおよび56bを有し、これにより移送キャスク34の位置決めが補助され、扉39aおよび39bのためのガイドとして機能する。移送アダプタ54は、対応するロッド62aおよび62bを伴う油圧式または空気圧式シリンダ58aおよび58bを有し、それらのシリンダはそれぞれ移送キャスク34の扉39aおよび39bを操作する(すなわち、押したり引いたりする)。
【0032】
利用および動作
MPCT設備10は、燃料棒などの使用済み核燃料を含むキャニスタ35を輸送キャスク(不図示)から貯蔵オーバパック37へと、または貯蔵オーバパック37から輸送キャスクへと、移送キャスク34を用いて移送するために使用されてもよく、また、移送作業中のキャニスタ35および移送キャスク34の独立した保護、管理のために使用されてもよく、これは移送作業中に地震事象が生じた場合に重要である。
【0033】
キャニスタ35が貯蔵オーバパック37から取り出されて輸送キャスクへと移される場合、オーバパック37の上部の蓋46が取り除かれる。移送アダプタ54は貯蔵オーバパック37の上に置かれる。移送キャスク34は次いで貯蔵オーバパック37の上で位置決めされる。移送キャスク34の扉39aおよび39bを移送アダプタ54で開ける。ホイスト41のフック42を輸送キャスク34を通して下げ、会合ピン45aおよび45bを用いてキャニスタリフトアダプタ42と会合させる。キャニスタ35は貯蔵オーバパックから垂直に持ち上げられ、移送キャスク34の中に入る。移送キャスク34の扉39aおよび39bを移送アダプタ54で閉じる。伸縮自在レッグ14を上げることで移送キャスク34を上げる。
【0034】
移送アダプタ54(または他の同様のアダプタ)を輸送キャスクの上に置く。輸送キャスクは、キャニスタ35を受けるためにその上部において開いている。移送アダプタ54は輸送キャスクの上に置かれる。ドリー16および28を用いることで、キャニスタ35を伴う移送キャスク34を、輸送キャスクの上にある移送アダプタの上の位置へと動かす。移送キャスク34の扉39aおよび39bを移送アダプタ54で開ける。ホイスト41はキャニスタ35を下ろし、輸送キャスクの中へ入れる。会合ピン45aおよび45bを後退させることで移送アダプタ54からフック43を外す。ホイスト41はそのフック43を上げる。移送キャスク34の扉を移送アダプタ54で閉じる。ドリー16および28を用いて移送キャスク34を輸送キャスクから離れるように動かす。移送アダプタ54を取り除く。
【0035】
輸送キャスクから貯蔵オーバパック37へとキャニスタ35を動かす場合、上記の手順を単純に逆にする。さらに、ある貯蔵オーバパックから別の貯蔵オーバパックへ、または同じ貯蔵パッド19上に設けられた検査ステーションへキャニスタを移送するためにプロセスを用いることができる。
【0036】
変形および変更
本発明の上述の実施の形態、特に「好適な」実施の形態、が単なる可能性のある実装例であり、単に本発明の原理の明確な理解のために設けられたものであることは強調されるべきである。本発明の精神および原理から実質的に逸脱することなく、本発明の上述の実施の形態に対する多くの変形や変更がなされうる。本明細書において、そのような変形や変更の全てが本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【0037】
変形の一例として、伸縮自在レッグ14は二つより多い入れ子部材、すなわち、上方部材および下方部材より多くの部材、を有してもよい。
【0038】
変形の他の例として、移送キャスク34、キャニスタ35および/または貯蔵キャスク37は、例えば正方形、矩形、八角形などの円形ではない他の断面形状を有してもよく、本開示の設備10はこれらとの関連で用いられてもよい。