特許第6708660号(P6708660)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アリババ グループ ホウルディング リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許6708660-絵の合成方法及び合成装置 図000005
  • 特許6708660-絵の合成方法及び合成装置 図000006
  • 特許6708660-絵の合成方法及び合成装置 図000007
  • 特許6708660-絵の合成方法及び合成装置 図000008
  • 特許6708660-絵の合成方法及び合成装置 図000009
  • 特許6708660-絵の合成方法及び合成装置 図000010
  • 特許6708660-絵の合成方法及び合成装置 図000011
  • 特許6708660-絵の合成方法及び合成装置 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708660
(24)【登録日】2020年5月25日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】絵の合成方法及び合成装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20200601BHJP
   G06T 11/80 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   G06F13/00 550C
   G06T11/80 D
【請求項の数】10
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-551146(P2017-551146)
(86)(22)【出願日】2016年3月22日
(65)【公表番号】特表2018-517198(P2018-517198A)
(43)【公表日】2018年6月28日
(86)【国際出願番号】CN2016076949
(87)【国際公開番号】WO2016155535
(87)【国際公開日】20161006
【審査請求日】2019年3月7日
(31)【優先権主張番号】201510145112.0
(32)【優先日】2015年3月30日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505032849
【氏名又は名称】アリババ グループ ホウルディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097320
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 貞二
(74)【代理人】
【識別番号】100155192
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 美代子
(74)【代理人】
【識別番号】100131820
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 俊幸
(74)【代理人】
【識別番号】100100398
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 茂夫
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ,ヂージュン
(72)【発明者】
【氏名】リー,サンピン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ナン
(72)【発明者】
【氏名】ファ,チアン
(72)【発明者】
【氏名】ヂャオ,ヤンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ラオ,ヂェンチアン
(72)【発明者】
【氏名】シー,ジエ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ウェイシン
【審査官】 北川 純次
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−163102(JP,A)
【文献】 特開2009−211636(JP,A)
【文献】 特開2012−252726(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
G06T 11/80
G06F 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバに適用される絵の合成方法であって:
クライアントを介してユーザからの合成された絵の要求を受信するステップと;
絵の共用画像と、前記合成された絵を生成するための前記クライアント用の専用画像を生成するための原素材と、前記絵の共用画像と共に受信される設定ファイルと、を前記クライアントに配信するステップであって、当該ステップは、前記クライアント用の前記原素材と、配信された前記絵の前記共用画像とを用い、前記クライアントが前記合成された絵を生成し表示するために前記設定ファイルが備える操作情報に従って、前記合成された絵を生成するためのものであり、前記共用画像は、前記合成された絵を生成するための前記クライアント専用の前記専用画像を生成するための前記原素材のいくつかにより生成される、ステップと;を備え、
前記設定ファイルは、配信された前記絵の前記共用画像と、前記クライアント専用の前記専用画像を生成するための前記原素材と、から前記合成された絵をどのように生成するかを前記クライアントに通知するための前記操作情報を有する、
絵の合成方法。
【請求項2】
前記要求に応じて前記ユーザに対応するテキスト情報を生成するステップと;
前記テキスト情報を前記クライアントへ配信するステップと;を更に備え、
前記テキスト情報は、前記クライアントが前記テキスト情報に対応する原素材と共用画像とを用いて、前記設定ファイルに従って前記合成された絵を生成するために用いられる、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
サーバに適用される絵の合成方法であって:
クライアントを介してユーザからの絵の要求を受信するステップと;
前記クライアントが、受信した原素材と共用画像とを用いて、設定ファイルに従って前記絵を生成するために、前記絵の前記共用画像と、前記絵の専用画像を生成するための前記原素材と、前記設定ファイルとを前記クライアントへ配信するステップであって、前記共用画像は、前記絵が適用されるサービスタイプに応じて、原素材のいくつかを用いて生成され、前記サービスタイプに対応する共用画像を備える、ステップと;
前記サービスタイプに対応する前記共用画像と、前記サービスタイプに適用される専用画像を生成するために必要な前記原素材の全てと、前記設定ファイルとを、リソースファイルパッケージにパッケージするステップと;を備え、
前記クライアントへ、共用画像と、前記絵の専用画像を生成するための原素材と、設定ファイルとを配信する前記ステップは、前記サービスタイプを要求するクライアントへ前記リソースファイルパッケージを配信するステップを備える、
絵の合成方法。
【請求項4】
クライアントを介してユーザからの合成された絵の要求を受信する前に、前記絵の前記原素材のいくつかを用いて予め前記共用画像を生成するステップ;又は、
クライアントを介してユーザからの合成された絵の要求を受信した後に、前記要求に応じて前記原素材のいくつかを用いて前記共用画像を生成するステップ;を更に備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記設定ファイルは、前記合成された絵を生成するために前記原素材を書き込むための位置、サイズ、及び/若しくは回転角、又は、前記位置、前記サイズ、及び/若しくは前記回転角を決定するための計算方法を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
サーバに適用される絵の合成装置であって:
クライアントを介してユーザからの合成された絵の要求を受信するよう構成された要求受信部と;
絵の共用画像と、前記合成された絵を生成するための前記クライアント用の専用画像を生成するための原素材と、前記絵の共用画像と共に受信される設定ファイルと、を前記クライアントに配信するように構成された素材応答部であって、当該素材応答部は、前記クライアント用の前記原素材と、配信された前記絵の前記共用画像とを用い、前記クライアントが前記合成された絵を生成し表示するために前記設定ファイルが備える操作情報に従って、前記合成された絵を生成するためのものであり、前記共用画像は、前記合成された絵を生成するための前記クライアント専用の前記専用画像を生成するための前記原素材のいくつかにより生成される、前記素材応答部と;を備え、
前記設定ファイルは、配信された前記絵の前記共用画像と、前記クライアント専用の前記専用画像を生成するための前記原素材と、から前記合成された絵をどのように生成するかを前記クライアントに通知するための前記操作情報を有する、
絵の合成装置。
【請求項7】
前記要求に応じて前記ユーザに対応するテキスト情報を生成し、前記クライアントへ配信するよう構成されたテキスト応答部;を更に備え、
前記テキスト情報は、前記クライアントが前記テキスト情報に対応する原素材と共用画像とを用いて、前記設定ファイルに従って前記合成された絵を生成するために用いられる、
請求項6に記載の装置。
【請求項8】
サーバに適用される絵の合成装置であって:
クライアントを介してユーザからの絵の要求を受信するよう構成された要求受信部と;
前記クライアントが、受信した原素材と共用画像とを用いて、設定ファイルに従って前記絵を生成するために、前記絵の前記共用画像と、前記絵の専用画像を生成するための前記原素材と、前記設定ファイルとを前記クライアントへ配信するように構成された素材応答部であって、前記共用画像は、前記絵が適用されるサービスタイプに応じて、原素材のいくつかを用いて生成され、前記サービスタイプに対応する共用画像を備える、前記素材応答部と;
前記サービスタイプに対応する前記共用画像と、前記サービスタイプに適用される専用画像を生成するために必要な前記原素材の全てと、前記設定ファイルとを、リソースファイルパッケージにパッケージするように構成されたリソースファイルパッケージ生成部と;を備え、
前記素材応答部は、前記サービスタイプを要求するクライアントへ前記リソースファイルパッケージを配信するように構成されている、
絵の合成装置。
【請求項9】
クライアントを介してユーザからの合成された絵の要求を受信する前に、前記絵の前記原素材のいくつかを用いて予め前記共用画像を生成するよう構成された第1の共用画像部;又は、
クライアントを介してユーザからの合成された絵の要求を受信した後に、前記要求に応じて専用画像を生成するための前記原素材のいくつかを用いて前記共用画像を生成するよう構成された第2の共用画像部;を更に備える、
請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記設定ファイルは、前記合成された絵を生成するために、前記原素材を書き込むための位置、サイズ、及び/若しくは回転角のうちの少なくとも1つ、又は、前記位置、前記サイズ、及び/若しくは前記回転角のうちの少なくとも1つを決定するための計算方法を含む、
請求項6に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2015年3月30日に提出され中国特許出願第201510145112.0号「絵の合成方法及び合成装置」の優先権を主張し、上記中国特許出願は参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願はインターネットの技術分野に関し、特に絵(picture、ピクチャー)の合成方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
インターネットベースのプロモーション活動は、ウェブページやソーシャルメディアプラットフォーム上で絵を拡散させる形態をとることが多い。活動によっては、多数のユーザに対して複数の異なる絵を短時間で生成する必要がある。これらの絵は、通常、原素材を組み合わせて生成される。例えば、背景画像、前景画像、前景テキストから成る原素材については、前景画像と前景テキストが背景画像の指定された位置に書き込まれ、これにより絵の合成を完成させることができる。
【0004】
従来技術において、クライアント/サーバ構造のアプリケーションは、絵の合成に2つの方法を用いるのが普通である。その一つは、サーバが、原素材を組み合わせて絵を得た後、その絵をクライアントへ配信する。もう一つは、サーバが、原素材と、どのように原素材を組み合わせて絵を得るかを示すガイダンスファイルとをクライアントへ配信し、クライアントはガイダンスファイルに従って原素材を組み合わせ、これにより絵を生成する。
【0005】
多数の異なる絵を短時間で生成しなければならないアプリケーションシナリオ(application scenario)では、原素材を組み合わせて絵を得るには一定の処理時間を要するので、先の一つの方法によればサーバ側に過度の負荷がかかるおそれがある。サーバ側のこの過剰な負荷はサーバの処理性能及びサーバ数について難題となる。また、絵の合成に必要な原素材の総バイト数は絵のバイト数をはるかに超えるので、もう一つの方法では比較的高いユーザトラフィックを消費するおそれがあり、その結果、更に、ネットワーク帯域が制限されたユーザにとっては応答速度が遅くなりすぎ、不快な体験となる可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
そこで本願は、サーバに適用される絵の合成方法を提供し、当該方法は:
クライアントを介してユーザからの絵の要求を受信するステップと;
クライアントが、受信した原素材と共用画像とを用いて設定ファイルに従って絵を生成するために、絵の共用画像と、絵の専用画像を生成するための原素材と、設定ファイルとを、クライアントへ配信するステップと;を備え、
共用画像は、絵の原素材のいくつかにより生成される。
【0007】
本願は、さらにサーバに適用される絵の合成装置を提供し、当該装置は;
クライアントを介してユーザからの絵の要求を受信するように構成された要求受信部と;
クライアントが、受信した原素材と共用画像とを用いて設定ファイルに従って絵を生成するために、絵の共用画像と、絵の専用画像を生成するための原素材と、設定ファイルとを、クライアントへ配信するように構成された素材応答部と;を備え、
共用画像は、絵の原素材のいくつかにより生成される。
【0008】
上記の技術的解決策から分かることは、サーバ上で絵の共用画像が合成され、クライアント上で絵の専用画像が合成されることにより、本願の各実施の形態は、サーバの負荷を大幅に軽減することで、占用するサーバリソースの数が少ないという条件の下で高い並行性で絵の合成を実現できるということだけでなく、クライアントへ転送する必要がある原素材のサイズを制限することにより、クライアントのトラフィック消費量が削減されるということである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】一の実施例においてプロモーション活動で用いられる2つの絵を示す。
図2】本願の実施の形態における絵の合成方法のフローチャートである。
図3図1の実施例における絵の共用画像である。
図4図1の実施例におけるリソースファイルパッケージの構成の概略図である。
図5】本願のアプリケーション例において合成される絵が生成される際のクライアント及びサーバの処理手順の概略図である。
図6図1の実施例においてクライアント上で合成される絵の例示図である。
図7】本願の実施の形態を適用するサーバのハードウェア構造の図である。
図8】本願の実施の形態における絵の合成装置の論理構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
プロモーション活動において、短時間で生成する必要のある多数の異なる絵は、通常、多くの共通要素、例えば同一の背景画像、企業ロゴ、アクティビティ名等、を有する一方で、それら絵の間の相違点は少ない。例えば、図1には、パスワードを入力し、アリペイ(AliPay)が発行する紅包を獲得するアクティビティに用いられる2つのパスワード絵が示されているが、ここでは、2つの絵の、背景絵要素と、プロンプト(動作をするよう促す)コピーライティングとの両方が同一であり、パスワード及び情報量のみが変わっている。
【0011】
絵の上記特徴に応じて、本願の実施の形態においては、生成する必要がある絵は、複数のユーザに対し共通に用いることのできる共用画像と、ユーザに対応する専用画像との2つの部分に分けられており、これら2つの部分を組み合わせることによって絵が形成される。具体的な組み合わせ方法は多様である。例えば、専用画像を共用画像の背景上に表示したり、専用画像を共用画像の或る境界に接続したりする等である。共用画像をサービスタイプに対応させてもよく、或るタイプの複数のサービスは少なくとも一つの共用画像を含んでおり、異なるタイプのサービスによって、適用される共用画像は互いに異なる。共用画像をユーザタイプに対応させてもよく、或るタイプの複数のユーザは少なくとも一つの共用画像を含んでおり、異なるタイプのユーザによって、適用される共用画像は互いに異なる。共用画像をサービスタイプ及びユーザタイプに対応させてもよく、専用画像を一つ以上のユーザに対応させてもよい。このことは本願の実施の形態において限定されない。
【0012】
本願の実施の形態は絵の新規な合成方法を提案し、係る方法において、共用画像はサーバ側で生成され、共用画像と、専用画像を生成するためのいくつかの原素材とがクライアントにて絵に合成され、これによりサーバの絵の合成動作を軽減できるとともにクライアントに原素材を配信するために必要な帯域を削減でき、よって従来技術における課題を解決できる。この実施の形態におけるこの方法はサーバに適用され、その手順は図2に示す通りである。
【0013】
ステップ210:クライアントを介してユーザからの絵の要求を受信する。
【0014】
ステップ220:クライアントが、受信した原素材と共用画像とを用い設定ファイルに従って、要求された絵を生成するために、絵の共用画像と、要求された絵の専用画像を生成するための原素材と、設定ファイルとを絵を要求するクライアントへ配信する。
【0015】
要求された絵の原素材のいくつかにより生成されている共用画像。クライアントでユーザに提示される必要のある多数の絵に関して、それらの絵から共通の部分が抽出され、これらの共通の部分は共用画像に分類される。留意すべきは、共用画像は全てのユーザに適用可能な共通の部分であってもよいし、一部のユーザに適用可能な共通の部分であってもよい。共用画像を除き、絵における構成部分はユーザの専用画像に相当する。
【0016】
共用画像と専用画像を分ける場合、絵を生成する際に原素材を組み合わせる便利さの度合い、及び、生成される絵の美しさの度合いも考慮してよく、これにより、複数のユーザに共通して用いることのできるいくつかの絵の要素を専用画像に分類できる。そのまま図1におけるパスワード絵を例にとれば、言葉「紅包金額(amount of red envelope)」及び「元(ユアン、yuan)」は両方の絵に存在するが、その金額の変化に伴いその言葉の行のスペースを変更すればより整頓され美しくなるであろうことを考慮すると、言葉の全体行を専用画像に分類できる。これに対応する共用画像を図3に示す。
【0017】
共用画像を合成するための原素材のいくつかは、絵を合成するために必要な全ての原素材の中から選択され、サーバは原素材のこのパーツを用いて共用画像を生成する。クライアントを介してユーザからの絵の要求を受信する前に、サーバは予め絵の原素材のいくつかを用いて共用画像を生成してもよい。このような方法は、ユーザによって要求される特定のコンテンツに共用画像が関連しない状況に適用可能である。また、クライアントを介してユーザからの絵の要求を受信した後に、サーバは、受信した要求に応じて絵の原素材のいくつかを用いて共用画像を生成してもよい。このような方法は、ユーザによって要求される特定のコンテンツにより共用画像が異なり得る状況に適用可能である。
【0018】
クライアントから絵の要求を受信した後、サーバは、共用画像と、要求された絵の専用画像を生成するために必要な原素材と、設定ファイルとをクライアントに配信する。この設定ファイルは、共用画像と配信された原素材とを絵に合成するために必要な操作情報を含む。すなわち、この設定ファイルは、どのようにして共用画像と他の配信された原素材とを組み合わせて絵を得るかをクライアントに通知するために用いられる。例えば、設定ファイルには、原素材及び共用画像の書き込み方法及び書き込み位置、そして原素材又は共用画像に対して実行される特定の処理等が記載され得る。別の例として、設定ファイルは、共用画像上に専用画像を生成するために原素材を書き込むステップ、並びに原素材の書き込み位置、サイズ、及び/若しくは回転角を含んでもよく、又は、書き込み位置、サイズ、及び/又は回転角を決定するための計算方法を含んでもよい。
【0019】
サーバによって配信された上記コンテンツを受信した後、クライアントは設定ファイルに従って、共用画像と受信した原素材とを合成して絵を得てもよい。クライアントの観点からは、共用画像も絵を合成するための原素材の一つであり、よってクライアントはこのような工程を実行するために従来技術の絵の合成方法を用いることができるが、これに関しては説明しない。それに加え、絵を描く際、クライアントはユーザがクライアントを介して入力したコンテンツを合成してもよい、すなわち、指定された画像(image)、及び/又は他の素材を一緒に絵中に合成してもよい。また、ユーザは、上記素材を、共用画像及び受信した原素材と共に絵に合成する方法をカスタマイズしてもよい。
【0020】
複数の異なる実用的なアプリケーションシナリオに応じて、サーバは、設定ファイルと要求された絵の専用画像を生成するための原素材とを配信する異なる複数の方法を用いてもよい。
【0021】
例えば、各ユーザに向けて、サーバはユーザが用いる設定ファイルを生成してもよく、ユーザ用に絵の専用画像を生成するために必要な原素材を生成してもよい。
【0022】
別の例として、同じ共用画像を含む複数の絵について、サーバは、これらの絵の専用画像を生成するために必要な全ての原素材と、全ての原素材に対応する複数の設定ファイルとをクライアントに配信してもよい。すなわち、サーバは同じ共用画像、原素材、設定ファイルを、異なる複数のユーザに配信する。クライアントを介してユーザからの絵の要求を受信した後、サーバはクライアントの要求に応じてユーザに対応するテキスト情報を生成し、生成したテキスト情報をクライアントに配信する。配信されたテキスト情報はユーザの専用画像を生成するのに用いられる原素材であることを示し、クライアントは設定ファイルに従ってテキスト情報に対応する原素材と共用画像とを用い、これによりユーザの絵を生成できる。テキスト情報を処理するために占用されるハードウェアリソースは画像処理のためのリソースよりも大幅に少ないので、このような方法はサーバの負荷を更に軽減する。
【0023】
いくつかのアプリケーションシナリオにおいては、クライアントにて提示される、異なるタイプのサービスの、絵の共通の特徴は互いに異なる。これらのシナリオにおいて、サーバは絵が適用されるサービスタイプに応じてサービスタイプに対応する共用画像を生成してもよく、サービスタイプに対応する共用画像と、サービスタイプに適用される絵の専用画像を生成するために必要な全ての原素材と、設定ファイルとを、サービスタイプに対応するリソースファイルパッケージにパッケージする。サービスタイプの絵の要求をクライアントから受信した後、サーバは受信した要求に応じて、サービスタイプに関するテキスト情報を生成し、生成したテキスト情報とサービスタイプに対応するリソースファイルパッケージとを、サービスタイプを要求したクライアントに配信する。設定ファイルとテキスト情報とを組み合わせ、クライアントはリソースファイルパッケージ内の共用画像と原素材のいくつかとを絵に合成する。
【0024】
本願の実施の形態において見て取れることは、本願の実施の形態において、共用画像はサーバ側で生成され、クライアントにて共用画像と原素材のいくつかとが絵に合成されるということである。よってサーバは、全てのユーザの要求を満たすにあたって少ない数の絵を生成するだけでよく、これによりサーバの負荷は著しく軽減される。また、クライアントも、絵を生成するにあたって少ない数の原素材を受信するだけでよく、これによりクライアントのトラフィック消費量が削減される。
【0025】
なお、本実施の形態におけるサーバは論理サーバであっても物理サーバであってもよく、また二つ以上の論理サーバであっても物理サーバであってもよく、これらのサーバは協働して上記方法における様々なステップを実行する。
【0026】
本願の一のアプリケーション例において、サーバ側は、2つの論理サーバ、すなわちサービスサーバ及び絵サーバを含み、サービスサーバはクライアントのサービス要求を受信及び応答するために用いられ、絵サーバは要求されたサービスタイプに対応するリソースファイルパッケージを生成及びクライアントに配信するために用いられる。
【0027】
絵サーバ上では、各サービスタイプにより用いられる絵について、絵の共用画像と専用画像とが分けられており、サービスタイプに対応する共用画像が予め生成される。そして、絵サーバは、或るサービスタイプの絵の専用画像を生成するために必要な全ての原素材と、サービスタイプに対応する共用画像と、これらの原素材及び共用画像に関する設定ファイルとを、そのサービスタイプに対応するリソースファイルパッケージにパッケージし、そこに格納する。
【0028】
アリペイ(AliPay)紅包のサービスタイプのパスワード絵を例にとれば、絵サーバ上でサービスタイプに対して生成されるリソースファイルパッケージの構成は図4に示す通りであり、ここでbg.jpgは全てのユーザパスワード絵の共用画像であり、configは設定ファイルであり、その他のファイルはパスワード絵の専用画像を生成するために必要な全ての原素材であり、専用画像で用いることのできる各漢字及び記号は画像形式の一つの原素材である。
【0029】
図5は、合成された絵が生成される際のクライアントとサーバとの処理手順を示し、ここでユーザは、クライアントを介してサービスサーバに対する或るサービスタイプの絵の要求を開始し、サービスサーバは、クライアントから送信された要求を受信した後、リソースファイルパッケージを配信する指示を絵サーバに送信し、指示はリソースファイルパッケージのサービスタイプと配信のためのクライアントのアドレスとを含み、サービスサーバは、クライアントの要求に応じて、ユーザに対応するテキスト情報を生成し、これをクライアントに返送する。絵サーバはサービスサーバの指示を受信し、指示内のサービスタイプに対応するリソースファイルパッケージを指示内のクライアントに配信する。クライアントは、サービスサーバからテキスト情報を受信し絵サーバからリソースファイルパッケージを受信した後、完成絵を生成しこれをユーザに提示する。
【0030】
一の実施例において、クライアントを介してユーザがアリペイ紅包のパスワード絵をサービスサーバに要求したと想定した場合、サービスサーバは「紅包金額0-9元」及び「password=85599」を含むテキスト情報を生成し、これをクライアントへ配信する。絵サーバからクライアントへ配信されるリソースファイルパッケージでは、configファイルは以下のコンテンツを含む:
“width”:640,
“height”:1136,
“fonts”:{
“0”:{
“path”:”0.png” //数字”0”に対応する原素材は0.pngである
},
“紅”:{
“path”:”10.png” //漢字”紅”に対応する原素材は10.pngである
},
},
“variables”:{
“password”:{
“type”:”text”,
“x”:110, //”password”の行の始点x座標
“y”:740, //”password”の行の始点y座標
“angle”:0, //”password”の行の文字列の傾斜角
“length”:420, //”password”の文字列の長さ
“rotate”:0, //”password”の行の単一の文字がランダムに回転し得る最大角度
“fongColor”:“oxff59493f” //”password”の行の文字列の色
},
}
【0031】
クライアントは、テキスト情報中の「紅包金額0-9元」に応じて、設定ファイル内の各文字、数字、又は記号に対応する原素材を見つけ、設定ファイル内の指定された位置及びサイズに応じて原素材を共用画像上に書き込む。テキスト情報中の「password=85599」について、パスワードに関する設定ファイル内の指定された位置及び書き込みフォーマットに応じて「85599」が共用画像上に書き込まれる。図6に、クライアントにて合成された絵を示す。
【0032】
設定ファイルにおいては、原素材を書き込むための位置、サイズ、回転角等の因子の計算方法が更に指定されていてもよい。例えば、(x,y)を始点とし、長さをlengthとし、傾斜角(X軸との挟角)をangleとして直線上にN個の文字を含む文字列を書き込む、i番目の文字に対応する原素材画像の中央位置は、設定ファイルにおいて:
として指定でき、各文字が書き込まれる際の原素材画像のサイズは:
として指定でき、各文字がランダムに或る角度だけ回転することが望ましいのであれば、各文字が書き込まれる際の原素材画像の回転角は:
として指定でき、式中rotateは直線の傾斜角に基づいて各文字の原素材画像がランダムに回転し得る最大角度である。
【0033】
上記手順に対応して、本願の実施の形態は絵合成装置を更に提供する。この装置はソフトウェアを用いて実装でき、ハードウェアまたはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせを用いても実装できる。論理的な意味での装置として、ソフトウェアによる実装を例にとれば、それはコンピューティングデバイスのCPU(Central Processing Unit)によって構成され、対応するコンピュータプログラムの指示をメモリに読み出し実行するために設けられる。ハードウェアのレベルからは、合成絵を生成するための装置を備えるデバイスは、通常、図7に示すCPUとメモリと非揮発性メモリとに加え、ネットワーク通信機能を実装するためのボードカード等、他のハードウェアを更に含む。
【0034】
図8は、本願の実施の形態により提供され、サーバに適用される絵合成装置を示す。この装置を機能面で分けると、要求受信部と素材応答部とを含むことになり、要求受信部はクライアントを介してユーザからの絵の要求を受信するように構成されており、素材応答部は、絵の共用画像と、絵の専用画像を生成するための原素材と、設定ファイルとを、クライアントが受信した原素材と、絵の原素材のいくつかにより生成された共用画像とを用いて設定ファイルに基づき絵を生成するために、クライアントに配信するように構成されている。
【0035】
必要に応じて、装置は、要求に応じてユーザに対応するテキスト情報を生成しクライアントに配信するよう構成されたテキスト応答部を更に含み、テキスト情報は、クライアントがテキスト情報に対応する原素材と共用画像とを用いて設定ファイルに従って絵を生成するのに用いられる。
【0036】
必要に応じて、共用画像には、絵が適用されるサービスタイプに応じて原素材のいくつかを用いて生成された、且つサービスタイプに対応する共用画像を含み;装置は、サービスタイプに対応する共用画像と、サービスタイプに適用される専用画像を生成するために必要な全ての原素材と、設定ファイルとを、リソースファイルパッケージにパッケージするよう構成されたリソースファイルパッケージ生成部を更に含み;素材応答部は、具体的には、サービスタイプを要求するクライアントへリソースファイルパッケージを配信するように構成されている。
【0037】
必要に応じて、装置は第1の共用画像部又は第2の共用画像部を更に備え、第1の共用画像部は、クライアントを介してユーザからの絵の要求を受信する前に、絵の原素材のいくつかを用いて予め共用画像を生成するよう構成されており、第2の共用画像部は、クライアントを介してユーザからの絵の要求を受信した後に、要求に応じて絵の原素材のいくつかを用いて共用画像を生成するよう構成されている。
【0038】
必要に応じて、設定ファイルは、共用画像上に専用画像を生成するための原素材を書き込むための位置、サイズ、及び/若しくは回転角、又は、位置、サイズ、及び/若しくは回転角を決定するための計算方法を含む。
【0039】
以上の記載は本願の好適な実施の形態にすぎず、本願を限定することを意図するものではない。本願の趣旨及び原理の範囲内の変形例、均等物交換、改良は全て本願の保護の範囲に包含される。
【0040】
典型的な構成では、コンピューティングデバイスは一つ以上のプロセッサ(CPU)、入/出力インターフェース、ネットワークインターフェース及びメモリを含む。
【0041】
メモリは、非永久的メモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び/又は、コンピュータで読取可能な媒体内の不揮発性メモリ(例えば、読取り専用メモリ(ROM)又はフラッシュメモリ(フラッシュRAM))などを含んでよい。メモリはコンピュータ可読媒体の一例である。
【0042】
コンピュータで読取り可能な媒体は、永久的又は非永久的なリムーバブル及び非リムーバブル媒体を備え、また、任意の方法あるいは技術によって情報記憶装置を実現することができる。情報はコンピュータで読取り可能な命令、データ構造、プログラムモジュール又はその他のデータであってよい。
【0043】
コンピュータの記憶媒体の例は、例えば、相変化メモリ(PRAM)、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、その他のタイプのランダムアクセスメモリ(RAM)、読出し専用メモリ(ROM)、電気的消去再書込可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ又はその他のメモリ技術、コンパクトディスク読取り専用メモリ(CD−ROM)、デジタル多目的ディスク又はその他の光学記憶装置、磁気カセットテープ、磁気テープ及び磁気ディスク記憶デバイス又はその他の磁気記憶デバイス、あるいは任意のその他の非伝送媒体を非限定的に含み、これらはコンピューティングデバイスによってアクセス可能な情報を保存するために使用できる。本明細書での定義によれば、コンピュータ可読媒体は、変調データ信号及び搬送波のような一時的な媒体を含まない。
【0044】
さらに、用語「含む」、「備える」又はこれらのその他のあらゆる適用形は、非排他的な包含をカバーするものであるため、一連の要素を含む工程、方法、商品、デバイスは、このような要素を含むだけでなく、明記されていないその他の要素をも含むか、あるいは、その工程、方法、商品、デバイスに固有のすべての要素をさらに含むことができる点にも留意する必要がある。さらなる限定がなければ、表現「を備える〜(comprising a/an…)」によって限定される要素は、その要素含む工程、方法、商品、デバイスに存在しているその他の同一の要素を除外するものではない。
【0045】
本願の実施の形態は方法、システム、コンピュータプログラム製品としての提供が可能であることを、当業者は理解するだろう。したがって、本願は、完全なハードウェアの実施の形態、完全なソフトウェアの実施の形態、又はソフトウェアとハードウェアを組み合わせた実施の形態を採用できる。さらに、本願は、一つ以上のコンピュータで使用可能な記憶媒体(ディスクメモリ、CD−ROM、光学メモリなどを非限定的に含む)上で実施できるコンピュータプログラム製品(コンピュータ使用可能プログラムコードを含む)の形態を採用することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8