【実施例】
【0038】
以下の実施例は、本発明の実例である。
実施例1
【0039】
【化9】
【0040】
1: 3−アザ−17β−ヒドロキシ−A−ホモ−4α−アンドロステン−4−オンを、テストステロン17−β−アセテートからの三つの工程を一部修正した(Camoutsis C and Catsoulacos P, J Heterocycl Chem, 1983, 20(4):1093-4)手順により合成した。テストステロン17−β−アセテート(914mg、2.77mmol)を10mlの乾燥ピリジンに溶解した。ヒドロキシルアミン塩酸塩(461mg、6.64mmol)を加え、溶液を還流下で6時間撹拌した。溶液を水に注ぎ、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。有機層を乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮して、粗生成物を得て、これをさらにSiO
2クロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン−酢酸エチル=4/1)により精製して、675mgのシン型およびアンチ型オキシム(74%)を白色固体として得た。
【0041】
2: シン型およびアンチ型テストステロン−17−アセテートオキシム(100mg、0.145mmol)を3.5mLの乾燥ジオキサンに溶解した。混合物を0℃に冷却し、塩化チオニル(0.6mL)を滴下した。混合物を室温になるまで放置し、3時間撹拌した。反応をNaHCO
3で停止し、混合物を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。有機層を乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得て、これをさらにSiO
2クロマトグラフィー(酢酸エチル)により精製して、63mgの3−アザ−17β−アセトキシ−A−ホモ−4α−アンドロステン−4−オン(63%)を白色固体として得た。
【0042】
3−アザ−17β−アセトキシ−A−ホモ−4α−アンドロステン−4−オン、1を4.9mLのMeOHに溶解し、LiOH(1N、2mL)を滴下した。混合物を室温で2時間撹拌した。反応をNH
4Clで停止し、混合物をジクロロメタン(3×10mL)で抽出した。有機層を乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮して、87mgの3−アザ−17β−ヒドロキシ−A−ホモ−4α−アンドロステン−4−オン2を収率74%で得た。
【0043】
3: 3−アザ−17β−ヒドロキシ−A−ホモ−4α−アンドロステン−4−オン2を28mLの乾燥ジクロロメタンに溶解した。次いで、3−(4−(ビス(2−クロロエチル)アミノ)フェノキシ)プロパン酸(106mg、0.573mmol)、DCC(119mg、0.574mmol)および触媒量のDMAPを添加した。得られた溶液を室温で24時間撹拌した後に、溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン−酢酸エチル=1/2)により精製して、共役体3(191mg、99%)を得た。3:融点=53〜56℃;[α]
D23+10.5(c=0.91 CHCl
3);
1H NMR(500MHz、cdcl
3)δ6.92(s、1H)、6.83(d、J=8.8Hz、2H)、6.66(d、J=8.6Hz、2H)、5.72(s、1H)、4.66(t、J=8.4Hz、1H)、4.17(t、J=6.0Hz、2H)、3.63(m、4H)、3.59(m、4H)、3.32〜3.04(m、2H)、2.75(t、J=6.1Hz、2H)、2.48(m、1H)、2.27(m、1H)、2.15(m、2H)、1.50〜1.98(m、10H)、1.33(m、2H)、1.14(s、3H)、1.05(m、1H)、0.80(s、3H);
13C NMR(126MHz、cdcl
3)δ171.0、170.4、161.3、151.3、140.8、118.8、116.3、114.4、82.7、64.4、54.2、53.2、50.2、44.5、42.7、41.9、40.7、36.7、36.2、35.3、33.8、33.1、27.5、25.6、24.9、23.4、21.3、12.1;FT−IR:3450、2925、1731、1651、1607、1512、1469、1353、1238、1181、1041、869、813。
【0044】
実施例2
【0045】
【化10】
【0046】
4: エストロンオキシムを、過去に記載された手順(Ivanenko TI et al, Pharm Chem J, 1982, 16(10):751-6)に従って合成した。エストロン(100mg、0.37mmol)の2.2mLの無水エタノール溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(62mg、0.88mmol)およびピリジン(1.2mL)を添加した。混合物を6時間還流した。次に水を加え、混合物を酢酸エチル(3×10mL)で抽出した。有機層を乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得て、これをさらにSiO
2クロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル=3:1)により精製して、105mgのエストロンオキシム(100%)を白色固体として得た。
【0047】
5: ラクタム5を、過去に記載された手順(Regan BM and Newton Hayes F, J Am Chem Soc, 1956, 78(3): 639-43)に従って合成した。エストロンオキシム(108mg、0.376mmol)を6.3mLの乾燥ジオキサンに溶解した。混合物を0℃に冷却し、塩化チオニル(0.7mL)を滴下した。混合物を室温になるまで放置し、24時間撹拌した。反応をNaHCO
3で停止し、混合物をジクロロメタン(3×20mL)で抽出した。有機層を乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮して、粗生成物を得て、これをさらにSiO
2クロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル=2:1)により精製して、回収した出発物質[32mgの出発物質(0.112mmol)]を伴って42mgのラクタム5(回収された出発物質に基づいて56%)を得た。
【0048】
6: ラクタム5を14mLの乾燥DMFに溶解した。次いで、3−(4−(ビス(2−クロロエチル)アミノ)フェノキシ)プロパン酸(90mg、0.293mmol)、DCC(61mg、0.293mmol)および触媒量のDMAPを添加した。得られた溶液を室温で24時間撹拌した後に、溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出液;ジクロロメタン/アセトン=2/1)で精製して、共役体6(56mg、68%)を得た。共役体6:[α]
D23+73.5(c=0.90 CHCl
3);
1H NMR(500MHz、CDCl
3)δ7.25(d、J=6.0Hz、1H)、6.89(d、J=8.8Hz、2H)、6.82(s、1H)、6.68(d、J=8.8Hz、2H)、6.31(s、1H)、4.30(t、J=6.1Hz、2H)、3.62(dt、J=29.2,6.6Hz、8H)、2.97(dd、J=15.1、9.0Hz、2H)、2.88(m、2H)、2.58〜2.36(m、4H)、2.23〜2.00(m、2H)、1.92〜1.66(m、3H)、1.60〜1.29(m、4H)、1.19(s、3H);
13C NMR(126MHz、CDCl
3)δ171.7、169.8、151.3、148.5、141.0、137.8、137.2、126.1、121.3、118.7、116.5、114.5、64.4、54.4、54.2、46.6、43.4、40.7、39.9、38.9、34.9、30.5、29.5、26.5、25.9、22.1、19.8;FTIR:3329、2927、2850、1757、1626、1577、1512、1437、1311、1244、1157、1088、1045、892。
【0049】
実施例3
【0050】
【化11】
【0051】
7: 17−ヒドロキシアンドロスト−4−エン−3,11−ジオン(484mg、1.59mmol)を2.2mLの無水酢酸に溶解した。次いで、4mg(0.037mmol)のDMAPおよび0.25mLの乾燥ピリジンを添加した。混合物を室温で24時間撹拌した。反応を水で停止し、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。有機層を乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮して、粗生成物を得て、これをさらにSiO
2クロマトグラフィー(溶出液;ヘキサン:酢酸エチル=6:1)により精製して、472mgの17−アセトキシアンドロスト−4−エン−3,11−ジオンを収率86%で得た。7:融点=162〜164℃[α]
D23+148.0(c1.68 CHCl
3)。
1H NMR(500MHz、cdcl
3)δ5.69(s、1H)、4.76(t、J=8.6Hz、1H)、2.83〜2.69(m、1H)、2.54〜2.20(m、6H)、2.01(d、J=1.2Hz、3H)、1.92(m、3H)、1.85〜1.55(m、4H)、1.51〜1.41(m、1H)、1.44〜1.34(m、3H)、1.32〜1.10(m、2H)、0.85〜0.69(m、3H);
13C NMR(126MHz、cdcl
3)δ208.3、199.5、170.8、168.3、124.6、80.2、62.6、54.8、49.4、46.2、38.2、37.0、34.7、33.7、32.1、31.7、27.6、22.9、20.9、17.2、12.8;FT−IR:3443、2958、2935、2850、1732、1702、1677、1618、1426、1373、1360、1343、1271、1238、1224、1045、1027。
【0052】
8: 7mLの無水エタノール中の17−アセトキシアンドロスト−4−エン−3,11−ジオン(465mg、1.35mmol)の溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(100mg、1.44mmol)および乾燥ピリジン(4.2mL)を添加した。混合物を室温で24時間撹拌した。次いで、水を加え、混合物を酢酸エチル(3×40mL)で抽出した。有機層を乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得て、これをSiO
2クロマトグラフィー(溶出液;ジクロロメタン:酢酸エチル=20:1)でさらに精製して、461mgのオキシム8(95%)を得た。
【0053】
9: オキシム8(264mg、0.74mmol)を13mLの乾燥ジオキサンに溶解した。混合物を0℃に冷却し、塩化チオニル(1.4mL)を滴下した。混合物を室温になるまで放置し、24時間撹拌した。反応をNaHCO
3で停止し、混合物を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。有機層を乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮して、粗生成物を得て、これをSiO
2クロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:メタノール=1:0.03)によりさらに精製して、163mgのラクタム9を収率62%で得た。9:
1H NMR(500MHz、cdcl
3)δ6.39(s、1H)、5.75(s、1H)、4.78(t、J=8.6Hz、1H)、3.35〜3.18(m、1H)、3.09(dt、J=14.7、7.2Hz、1H)、2.67(dd、J=14.9、8.2Hz、1H)、2.48(td、J=13.6、3.9Hz、1H)、2.34〜2.20(m、3H)、2.14(dd、J=9.3、6.5Hz、1H)、2.03(s、3H)、2.01〜1.86(m、2H)、1.83〜1.53(m、5H)、1.48〜1.37(m、1H)、1.38(s、3H)、1.28〜1.08(m、1H)、0.76(s、3H);
13C NMR(126MHz、cdcl
3)δ209.0、170.8、169.5、158.4、120.1、80.1、62.4、55.1、49.9、46.7、43.6、40.4、36.8、36.8、35.5、33.2、27.6、22.8、21.1、20.9、12.8;FT−IR:3428、2971、2920、2878、2364、2341、1736、1701、1664、1639、1599、1444、1375、1339、1245、1127、1089、1046。
【0054】
10: 76mg(0.21mmol)のラクタム9を3mLのMeOHに溶解し、LiOH(1N、1.2mL)を滴下した。混合物を室温で1時間撹拌した。反応をNH
4Clで停止し、混合物をジクロロメタン(3×5mL)で抽出した。有機層を乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮して67mgのラクタム10を得た。10:
1H NMR(500MHz、dmso)δ7.72(s、1H)、5.51(s、1H)、4.66(d、J=4.7Hz、1H)、3.66(dd、J=13.4、8.4Hz、1H)、3.08〜2.90(m、2H)、2.47〜2.32(m、2H)、2.29(d、J=11.5Hz、1H)、2.21(d、J=11.2Hz、1H)、2.14〜2.01(m、2H)、2.01〜1.78(m、3H)、1.74〜1.50(m、3H)、1.40(m、1H)、1.28(s、3H)、1.23(s、1H)、1.15〜1.02(m、1H)、0.55(s、3H);
13C NMR(126MHz、dmso)δ210.2、167.8、157.3、120.3、78.1、61.0、54.5、48.8、47.1、43.1、40.4、36.8、35.5、34.9、33.1、29.9、22.3、20.9、11.8;FT−IR:3423、3262、2952、2923、2853、1693、1647、1609、1458、1407、1375、1353、1261、1062。
【0055】
11: ラクタム10を8.2mLの乾燥DCMに溶解した。次いで、3−(4−(ビス(2−クロロエチル)アミノ)フェノキシ)プロパン酸(51mg、0.17mmol)、DCC(51mg、0.25mmol)および触媒量のDMAPを添加した。得られた溶液を室温で24時間撹拌した後に、溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル)により精製して、共役体11(48.5mg、96%)を得た。共役体11:
1H NMR(500MHz、cdcl
3)δ6.83(d、J=9.0Hz、2H)、6.67(d、J=9.0Hz、2H)、6.11(s、1H)、5.76(s、1H)、4.86(t、J=8.6Hz、1H)、4.17(t、J=6.2Hz、2H)、3.61(m、8H)、3.25(m、1H)、3.18〜3.01(m、1H)、2.84〜2.59(m、2H)、2.59〜2.38(m、1H)、2.37〜2.25(m、3H)、2.16(m、1H)、2.10〜1.89(m、3H)、1.87〜1.55(m、4H)、1.39(s、3H)、1.26(m、2H)、1.12(m、1H)、0.76(s、3H);
13C NMR(126MHz、cdcl
3)δ208.9、170.9、169.5、158.7、151.3、140.9、119.9、116.2、114.5、80.4、64.2、62.4、55.1、54.3、49.9、46.8、43.6、40.7、36.8、35.5、34.9、33.9、27.6、25.6、24.9、22.8、21.2、12.8;FT−IR:3432、3328、2927、2850、1733、1701、1664、1626、1599、1513、1444、1389、1369、1310、1273、1243、1179、1087、1041、999。
【0056】
実施例4
【0057】
【化12】
【0058】
13: 密封管中の化合物12(100mg、0.28mmol)の1.5mL無水エタノール溶液に、ヒドロキシルアミン塩酸塩(21mg、0.31mmol)および乾燥ピリジン(0.9mL)を加えた。混合物を140℃で7日間加熱した。次いで、水を加え、混合物を酢酸エチル(3×5mL)で抽出した。有機層を乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮して粗生成物を得て、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。
【0059】
14: 前記の粗オキシム13(0.28mmol)を4.9mLの乾燥ジオキサンに溶解した。混合物を0℃に冷却し、塩化チオニル(0.54mL)を滴下した。混合物を室温になるまで放置し、24時間撹拌した。反応をNaHCO
3で停止し、混合物を酢酸エチル(3×20mL)で抽出した。有機層を乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮して、粗生成物を得て、これをSiO
2クロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:メタノール=1:0.1)によりさらに精製して52mgのラクタムを収率50%で得た。14:
1H NMR(500MHz、cdcl
3)δ7.00(s、1H)、5.77(s、1H)、5.59(s、1H)、4.61(t、J=8.3Hz、1H)、3.20(m、2H)、3.02(dd、J=9.6、5.0Hz、1H)、2.48〜2.40(m、2H)、2.31(d、J=13.7Hz、1H)、2.16(m、2H)、2.09〜2.0〜1.97(m、5H)、1.74〜1.84(m、2H)、1.51〜1.40(m、2H)、1.35〜1.30(m、1H)、1.24(s、3H)、1.23(m、1H)、1.08(m、1H)、0.95(s、3H);
13C NMR(126MHz、cdcl
3)δ175.1、170.9、169.4、156.3、120.4、80.1、64.2、55.5、45.2、44.6、41.0、40.8、38.0、36.3、34.4、31.0、25.4、25.2、21.9、21.0、11.7。
【0060】
15: 28mg(0.084mmol)のラクタム14を1.2mLのMeOHに溶解し、LiOH(1N、0.5mL)を滴下した。混合物を室温で1時間撹拌した。反応をNH
4Clで停止し、混合物を酢酸エチル(3×5mL)で抽出した。有機層を乾燥し(Na
2SO
4)、減圧下で濃縮した。粗生成物をSiO
2クロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:メタノール=1:0.1)によりさらに精製して、28mgのラクタム15を収率100%で得た。15:
1H NMR(500MHz、dmso)δ7.75(s、1H)、6.13(d、J=3.9Hz、1H)、5.53(s、1H)、4.66(d、J=5.3Hz、1H)、3.40(m、2H)、3.11〜2.93(m、2H)、2.44〜2.34(m、1H)、2.29(s、2H)、2.04〜1.72(m、5H)、1.65(m、2H)、1.24(m、3H)、1.20(s、3H)、0.89(m、1H)、0.66(s、3H);
13C NMR(126MHz、dmso)δ174.6、167.7、156.1、120.1、78.1、69.8、63.4、44.9、44.2、41.2、40.4、37.7、35.3、33.7、31.3、27.7、24.4、20.9、10.7。
【0061】
16: ラクタム15(30mg、0.09mmol)を9mLの乾燥DCMに溶解した。次いで、3−(4−(ビス(2−クロロエチル)アミノ)フェノキシ)プロパン酸(67mg、0.22mmol)、DCC(60mg、0.29mmol)および触媒量のDMAPを添加した。得られた溶液を室温で24時間撹拌した後に、溶媒を蒸発させ、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル/MeOH=10/1)で精製して、共役体16(39mg、70%)を得た。
1H NMR(500MHz、cdcl
3)δ6.85(d、J=9.0Hz、2H)、6.76(s、1H)、6.65(d、J=9.0Hz、2H)、5.79(s、1H)、5.46(s、1H)、4.68(t、J=8.3Hz、1H)、4.17(t、J=6.2Hz、2H)、3.60(m、4H)、3.51〜3.42(m、1H)、3.18(m、2H)、3.02(dd、J=9.5、5.0Hz、1H)、2.85〜2.67(m、2H)、2.51(d、J=13.8Hz、1H)、2.44(dd、J=13.6、10.1Hz、1H)、2.33(d、J=13.8Hz、1H)、2.25〜2.06(m、2H)、2.07〜1.73(m、5H)、1.73〜1.28(m、5H)、1.25(s、3H)、1.17〜1.03(m、2H)、0.96(s、3H);
13C NMR(126MHz、cdcl
3)δ174.7、170.9、169.1、155.6、151.3、140.9、120.7、116.3、114.4、80.5、64.2、64.1、55.5、54.2、45.3、44.5、41.1、40.7、38.1、36.3、34.8、34.4、33.9、31.0、25.6、25.5、25.2、24.9、21.9、11.8。FT−IR:3410、3330、2926、2850、1734、1654、1627、1577、1513、1445、1349、1273、1243、1180、1133、1110、1087、1044、890。
【0062】
実施例5
【0063】
【化13】
【0064】
ラクタム17は、Koutsourea et al (Steroids, 2003, 68(7-8):659-66)に従って合成した。
18: 丸底フラスコ中で、48mg(0.157mmol)の酸を0.5mlの乾燥ベンゼンで希釈した。2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリド(30μl、0.189mmol)およびトリエチルアミン(53μl、0.378mmol)を加え、混合物をAr下で1時間還流した。この混合物に、0.5mlの乾燥ベンゼン中のステロイド系アルコール50mg(0.157mmol)および触媒量の4−ジメチルアミノピリジンの溶液を添加した。還流を3時間継続した。真空中で蒸発することによりベンゼンを完全に除去し、残った残渣をCH
2Cl
2で希釈した。得られた混合物を5%HCl水溶液で抽出し、有機層を7%NaHCO
3水溶液で洗浄し、最後に水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。残渣にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル/MeOH=100/1)を実施して、46mgの共役体18を収率48%で得た。共役体18:
1H NMR(500MHz、cdcl
3)δ6.84(d、J=8.5Hz、2H)、6.67(d、J=8.5Hz、2H)、5.90(s、1H)、5.86(s、1H)、4.78(m、1H)、4.19(m、2H)、3.58〜3.59(m、8H)、3.48(m、1H)、2.61〜1.25(18H)、1.29(s、3H)、0.88(s、3H);[M+H]
+=605。
【0065】
実施例6
【0066】
【化14】
【0067】
ラクタム19は、Koutsourea et al (Steroids, 2003, 68(7-8):659-66)に従って合成した。
20: 丸底フラスコ中で、46mg(0.15mmol)の酸を0.5mlの乾燥ベンゼンに希釈した。2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリド(28μl、0.18mmol)およびトリエチルアミン(50μl、0.36mmol)を加え、混合物をAr下で1時間還流した。この混合物に、0.5mlの乾燥ベンゼン中のステロイド系アルコール50mg(0.150mmol)および触媒量の4−ジメチルアミノピリジンの溶液を添加した。還流を3時間継続した。真空中で蒸発することによりベンゼンを完全に除去し、残った残渣をCH
2Cl
2で希釈した。得られた混合物を5%HCl水溶液で抽出し、有機層を7%NaHCO
3水溶液で洗浄し、最後に水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。残渣にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル/MeOH=100/2)を実施し、19mgの共役体20を収率20%で得た。20:
1H NMR(500MHz、cdcl
3)δ7.18(s、1H)、6.84(d、J=8.5Hz、2H)、6.65(d、J=8.5Hz、2H)、6.60(s、1H)、5.82(s、1H)、4.80(1H、m)、4.21(2H、m)、3.50(m、8H)、3.20(1H、m)、2.80〜1.30(19H)、1.20(s、3H)、0.9(s、3H);[M+H]
+=621。
【0068】
実施例7
【0069】
【化15】
【0070】
ラクタム21は、Koutsourea et al (Steroids, 2003, 68(7-8):659-66)に従って合成した。
22: 丸底フラスコ中で、37mg(0.12mmol)の酸を0.4mlの乾燥ベンゼンに希釈した。2,4,6−トリクロロベンゾイルクロリド(22μl、0.144mmol)およびトリエチルアミン(40μl、0.288mmol)を加え、混合物をAr下で1時間還流した。この混合物に、0.4mlの乾燥ベンゼン中のステロイド系アルコール50mg(0.120mmol)および触媒量の4−ジメチルアミノピリジンの溶液を添加した。還流を3時間継続した。真空中で蒸発することによりベンゼンを完全に除去し、残った残渣をCH
2Cl
2で希釈した。得られた混合物を5%HCl水溶液で抽出し、有機層を7%NaHCO
3水溶液で洗浄し、最後に水で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥し、溶媒を減圧下で除去した。残渣にシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:酢酸エチル)を実施し、34mgの共役体22を収率40%で得た。22:
1H NMR(500MHz、cdcl
3)δ6.84(d、J=8.5Hz、2H)、6.60(d、J=8.5Hz、2H)、5.90(s、1H)、5.79(s、1H)、4.80(m、1H)、4.15(m、2H)、3.5(m、8H)、3.25(m、1H)、2.8〜0.8(22H);[M+H]
+=605。
【0071】
実施例8
生体外および生体内における抗癌活性の生物学的試験
A)生体外における抗癌活性
9種の十分に確立されたヒト癌細胞株(表1)を、新たに合成した化合物により生じる細胞増殖抑制活性および細胞傷害活性を試験するために処理した。該細胞株を、米国培養細胞系統保存機関(ATCC)から入手し、指示に従って異なる培養培地で増殖した。MTT((3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)アッセイは、薬物および化学物質の細胞増殖抑制活性および細胞傷害活性の評価のために十分に確立された標準的な方法である(Trafalis DT et al, J BUON, 2003, 8:333-9; Trafalis DT et al, J BUON, 2004, 9(3):275-82; Trafalis DT et al, J BUON, 2005; 10:227-34; Trafalis DT et al, Breast Cancer Res Treat, 2006, 97:17-31)。簡潔に説明すると、細胞を96ウェルプレートにウェル当り3×10
4細胞/mlの密度で播種し、5%CO
2のインキュベーター内に37℃で72時間維持し、単層または懸濁液として増殖した。24時間後に、細胞を0.1〜100μmol/lの該化合物で48時間処理した。培養細胞の生存率を、前記のMTT(Sigma, St Louis, Missouri, USA)代謝アッセイで評価した。ELISA読取器(Versamax, Orleans, USA)を用いて、変換された色素の吸光度を540nmの波長で測定した。50%または全量(100%)での細胞増殖阻害性を生じた各薬物の平均濃度(それぞれGI50およびTGI)、ならびに培養細胞の50%に対して細胞傷害性を生じた薬物濃度[最大細胞傷害濃度の半分(IC50)]を線形回帰法により計算した。7種の吸光度測定値[24時間(Ct24)、対照成長の72時間(Ct72)、および5種の濃度レベルの薬物の存在下での試験増殖(Tt72x)]を用いて、増殖の百分率を薬物濃度の各レベルで計算した。国立癌研究所(NCI)に従って、増殖阻害の百分率を、Tt72x>Ct24の濃度については(Tt72x)−(Ct24)/(Ct72)−(Ct24)]×100として、Tt72x<Ct24の濃度については[(Tt72x)−(Ct24)]/Ct24]×100として計算した。GI50は、[(Tt72x)−(Ct24)/(Ct72)−(Ct24)]×100=50から計算し、TGIは、[(Tt72x)−(Ct24)/(Ct72)−(Ct24)]×100=0から計算し、IC50は、[(Tt72x)−(Ct24)/(Ct24)]×100=50から計算した。全ての実験を3回実施した。
【0072】
【表1】
【0073】
ヒト癌細胞株に対する試験化合物によって誘発された生体外での細胞増殖阻害性(GI50、TGI)および細胞傷害性(IC50)効果の結果を表2、3、4に示す。
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】
B)生体内における急性毒性
腹腔内(i.p.)処理のために、試験化合物の保存溶液を使用直前に調製した。 10%ジメチルスルホキシド(DMSO)中に最初に溶解した後に、それらを所望の濃度のトウモロコシ油に懸濁させた。この濃度だけでは観察可能な毒性効果は生じなかった。
【0078】
C57Bl/6雌マウスを毒性試験に用いた。マウスはヘレニック・パスツール研究所の実験部から取得した。
簡潔に説明すると、過去に非常に詳細に記載されてきたように(Catsoulacos P et al, Cancer Chemother Pharmacol, 1979, 3(1):67-70; Catsoulacos P et al, J Pharm Sci, 1978, 67(9):1342-3; Catsoulacos P et al, Anticancer Res, 1995; 15:827-30)、4種の異なる用量で10匹のC57Bl/6マウスの群への単回腹腔内(i.p.)注射後に、試験化合物によって誘導された急性毒性を評価し、すなわちマウスを30日間観察して、通常LD10(10%の動物に対する致死量)ならびにLD50(50%の動物に対する致死量)として規定される化合物の治療用量を、図式的に推定(30日の曲線)した後に決定した。試験化合物の毒性を、C57Bl/6マウスの致死率から評価した。LD50値およびLD10値を図式的にで推定し、ここで、各用量の毒性による死亡率を縦座標に示し、投与量を横座標に示した(表5)。
【0079】
C)生体内における抗腫瘍活性
実験は、米国国立癌研究所(NCI)の実験計画に従って、P388リンパ球性白血病の10
6個の腹水細胞を腹腔内(i.p.)に移植することを0日目として開始した。i.p.処置に向けて、試験化合物の保存溶液を使用直前に調製した。抗腫瘍活性は、薬物処置した動物(T)の生理食塩水処置した対照(C)に対する生存時間中央値(MST)を意味する腫瘍化パラメータT/C%により評価した。NCI(米国)によると、活性の最低基準はT/Cが125%より高いことである。さらに、抗腫瘍活性は、長期生存数から評価された(治癒は、腫瘍接種後90日間生きているマウスとして定義される)(Golidim A et al, Nat Cancer Inst Monogr, 1980, 55: 25-26; NCI Monograph, NIH publication 1986, 55:80-193)。
【0080】
BALB/c scid雌マウスを抗腫瘍性の評価に用いた。これらの動物は、BALB/cの素性に重篤な複合免疫不全突然変異(scid)を保有し、国立デモクリトス科学研究センター生物学研究所から取得した。マウスは、一定の温湿度条件下で、無菌ケージ中で、水および食物とともに維持した。6匹のマウスを各処置群中に、かつ8匹のマウスを対照群中に含めた。
【0081】
試験した化合物の治療用量は、それぞれのLD10(mg/kgr)で定義した。
【0082】
【表5】
【0083】
【表6】
【0084】
BALB/c scid雌マウスを、ヒト卵巣癌SCOV−3に対する試験化合物の生体内抗腫瘍性評価のために使用した。3×10
6個のSCOV−3癌細胞/0.2ml/マウスの懸濁液を、各動物の右側腹部または左側腹部に皮下接種した。マウスを一定の温湿度条件下で、滅菌ケージ中で、水および食物とともに維持した。10匹のマウスを処置および対照の各群に含めた。試験は、十分に確立された実験計画に従って実施した。薬物の有効性は、対照(C)に対する処置動物(T)の腫瘍体積の平均変化(T/C%=TI、腫瘍阻害)および腫瘍細胞動力学および生物学的特性に従う生存時間中央値の増加によって決定した。腫瘍体積または重量は、0.52×a
2×bとして計算され、ここでaおよびbは、腫瘍の短軸および長軸であり、データは、平均腫瘍体積±平均標準誤差(±SEM)対処置後の時間の半対数グラフ上にプロットされる。腫瘍が0.085〜0.1mm
3の体積に達したときに、マウスを対照群および薬物処置群(10匹のマウス/群)に分割し、このとき各群の平均腫瘍体積は類似している。試験化合物は、1日目、5日目および9日目にそれぞれLD10/4の用量で腹腔内投与された。
【0085】
抗腫瘍性効果の評価のために、(a)週毎に平均腫瘍重量変化または平均腫瘍体積変化を測定し、腫瘍阻害(TI)を式:TI(%)=[1)(TWT)TWZ)/(TWC)TWZ)]×100により計算し、ここでTWTは、評価時の処置動物における腫瘍重量(mg)または腫瘍体積(mm
3)として測定され、TWZは、処置開始時(ゼロ時間または1日目)の腫瘍重量(mg)または腫瘍体積(mm
3)として測定され、TWCは、評価時の未処置動物(対照)における腫瘍重量(mg)または腫瘍体積(mm
3)として測定され、さらに(b)70日目の生存マウスの百分率(OS%)、(c)70日目の腫瘍進行のない生存マウスの百分率(PFS%)を測定する。これらの結果を表7に示す。
【0086】
【表7】
【0087】
D)薬理学的効果
新しいラクタムステロイド系アルキル化剤は、ポリ(ADP−リボース)ポリメラーゼ(PARP1/2)活性に対して顕著な阻害効果を誘導し、かつ周知のPARP1/2阻害剤である3−アミノベンズアミド(3−AB)よりも優れた1.7μM未満の最大阻害濃度の半値(IC50)を示す。さらに、新しいラクタムステロイド系アルキル化剤は、生体外および生体内において用量依存および時間依存的にPARP1およびPARP2の転写およびmRNA発現に顕著な変化を生じる。初回用量または低用量では、それらはPARP1およびPARP2のmRNA発現の増加を誘発することができ、この発現は、対照値より5〜400倍高い値に達し、細胞内NAD+濃度および細胞性ATP枯渇に変化を生じさせ、その後の用量またはより高用量では、それらはPARP1およびPARP2のmRNA発現の低減を誘発し、該発現を100%に近づけることが可能となる。姉妹染色体交換(SCE’s)アッセイにより生体外で評価し、かつ血清または尿中の8−ヒドロキシ−2’−デオキシグアノシン(8−OHdG)付加物を生成することにより生体内で評価したように、新しいラクタムステロイド系アルキル化剤は、それらのアルキル化成分単独によって誘発されたものに匹敵する顕著なDNA損傷を生じ、それらは著しく高い抗腫瘍活性を生じる。さらに、新しいラクタムステロイド系アルキル化剤は、ERK1/2およびAKT1/2のリン酸化反応、および結果としてPI3K分子およびMAPK分子のシグナル伝達経路の活性化を顕著に(>60%)阻害する。初めてラクタムステロイド系アルキル化剤の分子薬理学的効果を深く研究した。