(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記1)ステップの有機溶媒は、アセトン、エタノール、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
前記1)ステップで、アセトンに伝熱管を入れて3〜7分間1次超音波処理した後、エタノールに伝熱管を入れて3〜7分間2次超音波処理する、請求項1または2に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
前記2)ステップで、超音波処理した伝熱管を水で洗浄し、窒素ガスを用いて残留する水気を除去する、請求項1から3の何れか一項に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
前記5)ステップの後、6)伝熱管をシラン系コーティング液に浸漬して、撥水コーティング層を形成するステップをさらに含む、請求項1から7の何れか一項に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
前記シラン系コーティング液は、HDFS(Heptadeca‐fluoro‐1,1,2,2,2 tetrahydrodecyl trichlorosilane)、TFTS(Trichloro(1H,1H,2H,2H‐perfluorooctyl)silane)、OTS(Trichloro(octyl)silane)、およびDCDMS(Dichlorodimethylsilane)からなる群から選択されるシラン系化合物を含む、請求項8に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
前記シラン系コーティング液は、揮発性溶媒100重量部を基準として、シラン系化合物0.1重量部以上を含む、請求項10に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所や火力発電所では、ウラン、石油、石炭などを燃料として熱を発生させ、その熱によって、システムを循環する水を加熱して蒸気を形成する。形成された蒸気は、タービンを回して電気を生産し、タービンを通過した蒸気は凝縮器で冷却され、再び水に変わる。特に、蒸気循環発電方式において、凝縮過程を水で冷却する水冷方式で行う場合、多量の冷却水が必要であるため、凝縮器に用いる冷却水として海水を用いている。したがって、冷却水として用いられる海水を円滑に供給および排出するために、海岸に近く設置されることが一般的である。
【0003】
凝縮器は、他の表現で復水器ともよばれるが、復水器という用語の漢字を解析すると、蒸気を水に再び復元させる容器であるという意味であって、海水を凝縮器の伝熱管に持続的に流し、凝縮器の内壁の温度を持続的に下げる。そうすると、弁を介して出てタービンを回した水蒸気が直ちに凝縮器の内壁にぶつかり、その瞬間に水蒸気が冷却されて水に復元する復水となる。その復水がさらにボイラ管に戻って500℃内外の水が生成され、弁を介してタービンを通過する。
【0004】
ボイラでは、持続的に湯が過飽和蒸気となって弁を介してタービンに噴き出され、復水器の内部では、蒸気が急冷されて水に復元される過程が持続的に繰り返される。
【0005】
この際、凝縮器の外壁を冷却させる冷却水は、機械摩擦熱を冷却させる冷却水とは比較不可能な程度に多い水量が必要であり、発電機が稼動される間には持続的に海水を供給しなければならない。
【0006】
タービンを回した水蒸気は、凝縮器の内壁と接触することで、冷却されて水に復元される。この際、凝縮器の内壁と接触する量を増やすために、多数の伝熱管で構成することで接触面積を増やす。
【0007】
凝縮器は、管の外部における凝縮による腐食、凝縮された流体の表面残留により発生する腐食などが生じるという問題がある。同様に、発電所で用いられる熱交換器(heat exchanger)の場合にも、伝熱板を交差して通過する流路の間における熱交換時に、管の外部における凝縮による腐食、凝縮された流体の表面残留により発生する腐食などが生じるという問題があり得る。
【0008】
かかる問題を防止するために、韓国特許出願公開第10‐2014‐0033084号では、架橋撥水性被膜を形成しており、前記架橋撥水性被膜は、フッ素原子含有基を有する樹脂;4級アンモニウム塩基含有変性エポキシ樹脂およびアミノ樹脂を含有することを特徴とするが、前記撥水性被膜は、表面と水滴の接触角が150度以上である超撥水被膜を形成することが困難であり、高温の環境で撥水コーティングを維持することが困難であるという問題がある。
【0009】
また、上記のような超撥水被膜を形成するためには、ロールコータ方式などを用いてコーティング液を塗布してコーティングを行っていたが、凝縮器に含まれる伝熱管は多数の伝熱管が組み立てられた形態であって、既存の撥水性コーティング層を形成するためには、伝熱管をコーティングし、コーティングされた伝熱管を組み立てなければならなかった。
【0010】
上記のように、伝熱管をコーティングし、コーティングされた伝熱管を組み立てる場合、コーティングされた伝熱管を組み立てる過程で撥水コーティング層が剥離してしまうという問題が発生する恐れがあり、多数の伝熱管に個別的にコーティング液を塗布してコーティングしなければならないという煩わしさが存在した。
【0011】
そこで、高温の環境でも伝熱管の表面に初発水性を示すことができ、製造過程を単純化することができる方法の開発が緊急な状況である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、超撥水表面が実現された伝熱管およびその製造方法に関する。
【0013】
本発明は、伝熱管の表面にナノ構造物を形成することで、高温の環境でも超撥水表面が実現可能な伝熱管を提供することを目的とする。
【0014】
本発明は、組み立てられた多数の伝熱管を浸漬させてナノ構造物を形成し、撥水コーティング層を形成することで、伝熱管の表面にナノ構造物を形成した後に伝熱管を組み立てる過程で発生し得る損傷を防止することができる製造方法を提供することを他の目的とする。
【0015】
本発明は、表面にナノ構造物が形成された伝熱管に撥水コーティング層をさらに形成することで、撥水力を向上させた伝熱管を提供することをさらに他の目的とする。
【0016】
本発明の他の目的および利点は、下記の発明の詳細な説明および請求範囲によってより明確になる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の実施形態は、当該技術分野において通常の知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものであって、下記実施形態は様々な他の形態に変形可能であり、本発明の範囲が下記実施形態に限定されるものではない。むしろ、これら実施形態は、本開示をより充実かつ完全になるようにし、当業者に本発明の思想を完全に伝達するために提供されるものである。
【0018】
また、図面において、各層の厚さや大きさは説明の便宜および明確性のために誇張されたものであり、図面上において同一の符号は同一の要素を示す。本明細書で用いられたように、「および/または」という用語は、該当記載された項目のうち何れか一つおよび一つ以上の全ての組み合わせを含む。
【0019】
本明細書で用いられた用語は、特定実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限するためのものではない。本明細書で用いられたように、単数形は文脈上異なる場合を明白に指摘するものでない限り、複数形を含むことができる。また、本明細書で用いられる「含む(comprise)」および/または「含んでいる(comprising)」は、言及された形状、数字、ステップ、動作、部材、要素、および/またはこれらの組み合わせの存在を特定するものであって、一つ以上の他の形状、数字、動作、部材、要素、および/または組み合わせの存在または付加を排除するものではない。
【0020】
本発明の伝熱管は、凝縮器を構成する伝熱管だけでなく、熱交換器の流路のように、発電所、淡水技術、水採取(water harvesting)などのような分野で凝縮関連装置に含まれ得る伝熱管を意味する。
【0021】
本発明の一実施形態において、本発明は、1)伝熱管を有機溶媒を用いて超音波処理するステップと、2)前記1)ステップの超音波処理した伝熱管を洗浄するステップと、3)前記2)ステップの洗浄した伝熱管を酸性溶液に浸漬して伝熱管表面の金属酸化物を除去するステップと、4)ナノ構造物形成用浸漬液を製造するステップと、5)前記3)ステップの金属酸化物を除去した
、組み立てられた多数の伝熱管を、前記4)ステップのナノ構造物形成用浸漬液に浸漬するステップと、を含む超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法に関する。
【0022】
本発明の一実施形態において、本発明のナノ構造物形成用浸漬液は、水と、NaClO
2と、NaOHと、Na
3PO
4と、を含むことができる。
【0023】
本発明の一実施形態において、本発明のナノ構造物形成用浸漬液は、水100重量部に対して、1〜4重量部のNaClO
2と、3.5〜10重量部のNaOHと、5〜11重量部のNa
3PO
4と、を含むことができる。
【0024】
本発明の一実施形態において、本発明の5)ステップで、ナノ構造物形成用浸漬液に伝熱管を10分以上浸漬することができる。
【0025】
本発明の一実施形態において、本発明の1)ステップで、有機溶媒は、アセトン、エタノール、およびこれらの混合物からなる群から選択されることができる。
【0026】
本発明の一実施形態において、本発明の3)ステップで、酸性溶液は2Mの塩酸(HCl)であることができる。
【0027】
本発明の一実施形態において、本発明の伝熱管は
Al、Zn、およびCuを構成成分として含むことができる
【0028】
本発明の一実施形態において、本発明の伝熱管は、多数の伝熱管が組み立てられた形態であることができる。
【0029】
本発明の一実施形態において、本発明の5)ステップの後、6)伝熱管をシラン系コーティング液に浸漬して、撥水コーティング層を形成するステップをさらに含むことができる。
【0030】
本発明の一実施形態において、本発明のシラン系コーティング液は、HDFS(Heptadeca‐fluoro‐1,1,2,2,2 tetrahydrodecyl trichlorosilane)、TFTS(Trichloro(1H,1H,2H,2H‐perfluorooctyl)silane)、OTS(Trichloro(octyl)silane)、およびDCDMS(Dichlorodimethylsilane)からなる群から選択されるシラン系化合物を含むことができる。
【0031】
本発明の一実施形態において、本発明のシラン系コーティング液は、HDFS(Heptadeca‐fluoro‐1,1,2,2,2 tetrahydrodecyl trichlorosilane)、TFTS(Trichloro(1H,1H,2H,2H‐perfluorooctyl)silane)、OTS(Trichloro(octyl)silane)、およびDCDMS(Dichlorodimethylsilane)からなる群から選択されるシラン系化合物および揮発性溶媒を含むことができる。
【0032】
本発明の一実施形態において、本発明のシラン系コーティング液は、揮発性溶媒100重量部を基準として、シラン系化合物を0.1重量部以上含むことができる。
【0033】
本発明の一実施形態において、本発明は、
Al、Zn、およびCuを構成成分として含み、および表面にナノ構造物
を備える、超撥水表面が実現された伝熱管に関する。
【0034】
本発明の一実施形態において、本発明のナノ構造物は、Cu
2OおよびCuOを含むことができる。
【0035】
本発明の一実施形態において、本発明の伝熱管はシラン系化合物を含むことができる。
【0036】
本発明の一実施形態において、本発明の伝熱管は表面接触角が145度以上であることができる。
【発明の効果】
【0037】
本発明は、表面にナノ構造物が形成された伝熱管およびその製造方法により、伝熱管の表面にナノ構造物が形成されることで、高温の環境でも超撥水表面が実現可能である。また、ナノ構造物が形成された伝熱管の表面にさらに撥水コーティング層を形成することで、超撥水性を向上させることができる。伝熱管の表面を浸漬(dipping)させてナノ構造物を形成する方式により、複雑な形状に対するコーティングが可能であって、組み立てられた多数の伝熱管をコーティングすることができるため、コーティング後に伝熱管を組み立てる過程で発生する損傷を防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の超撥水表面が実現された伝熱管およびその製造方法を図面を参照して説明すると、次のとおりである。
【0040】
図1は本発明の一実施形態による超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法を示すフローチャートであり、より具体的に、1)伝熱管を洗浄するステップ(S100)と、2)ナノ構造物形成用浸漬液を製造するステップ(S200)と、3)洗浄した伝熱管をナノ構造物形成用浸漬液に浸漬するステップ(S300)と、を含む。
【0041】
本発明における伝熱管は、アルブラス(Al‐bras)で構成されるものであって、ナノ構造物を形成するための伝熱管は、凝縮器に用いるために、それぞれの伝熱管に個別的にナノ構造物を形成してから組み立ててもよいが、生産工程の単純化のために、凝縮器に用いるための形態で多数の伝熱管を組み立て、組み立てられた伝熱管の表面に上記の製造方法によりナノ構造物を形成してもよい。
図12は、アルブラスで構成された伝熱管の凝縮挙動の様子、および本発明の一実施形態による超撥水表面が実現されたアルブラスで構成された伝熱管の凝縮挙動の様子を示す比較写真であって、アルブラスで構成された伝熱管は、撥水表面が形成されていないため、伝熱管と接触する空気中に含まれた水蒸気が容易に凝縮されないが、本発明の一実施形態による伝熱管は、超撥水表面が実現されているため、伝熱管の表面で凝縮する様子を確認することができる。
【0042】
前記1)ステップ(S100)は、伝熱管を洗浄するステップであって、より具体的に、1‐1)伝熱管を有機溶媒中で超音波処理するステップと、1‐2)超音波処理した伝熱管を水を用いて洗浄した後、窒素ガスを用いて残留する水気を除去するステップと、1‐3)水気を除去した伝熱管を酸性溶液に浸漬し、水を用いて洗浄した後、窒素ガスを用いて残留する水気を除去するステップと、を含む。
【0043】
1‐1)ステップは、伝熱管を有機溶媒中で超音波処理するステップであって、前記有機溶媒は、アセトン、エタノール、およびこれらの混合物からなる群から選択されることができる。より具体的に、アセトンに伝熱管を入れて3〜7分間1次超音波処理し、1次超音波処理が終わった伝熱管をエタノールに入れて3〜7分間2次超音波処理することができる。伝熱管を超音波処理する時に、前記有機溶媒を浸漬液として用い、前記浸漬液に伝熱管を入れ、浸漬液に超音波振動を与えることで、表面に付いている異物などを除去することができる。
【0044】
超音波処理の後、水を用いて洗浄し、窒素ガスを用いて残留する水気を除去した後、水気を除去した伝熱管を酸性溶液に浸漬させる。伝熱管は金属で構成されており、自然に発生する金属酸化物層を含むことになる。このような金属伝熱管の表面に自然に形成されている酸化物層を除去するために、酸性溶液に浸漬させて酸化物層を除去することができる。前記酸性溶液としては、2Mの塩酸(HCl)溶液を用いることができるが、前記塩酸溶液の他にも、伝熱管の表面に生成された酸化物層を除去することができるものであれば、制限されずに使用可能である。但し、酸性溶液に伝熱管を浸漬させることは、表面に生成されている金属酸化物層を除去するためのことであるため、短時間浸漬させて金属酸化物層のみを除去しなければならない。したがって、浸漬時間は20〜40秒であり、20秒未満で浸漬させる場合には、金属酸化物が除去されずに残存する恐れがあり、40秒を超えて浸漬させる場合には、金属酸化物層以外に伝熱管の金属まで除去される恐れがある。
【0045】
前記2)ステップ(S200)は、ナノ構造物形成用浸漬液を製造するステップである。前記ナノ構造物形成用浸漬液は、水と、NaClO
2と、NaOHと、Na
3PO
4と、を含み、より具体的に、水100重量部に対して、1〜4重量部のNaClO
2と、3.5〜10重量部のNaOHと、5〜11重量部のNa
3PO
4と、を含むことができるが、この例示に限定されない。
【0046】
前記ナノ構造物形成用浸漬液のNaClO
2は、酸素原子を提供するためのものであって、1重量部未満および4重量部超過で含まれる場合、伝熱管の表面にナノ構造物が形成されないという問題がある。
【0047】
前記NaOHは、強い酸化剤であって、伝熱管の表面にナノ構造物を形成する主物質であり、4重量部未満で含まれる場合には、ナノ構造物が形成されない部分が生じる恐れがある。前記Na
3PO
4は、Cu
2O層上にCuO層を形成させ、且つ2つの層の間の接着を容易にする物質である。
図3は表面にナノ構造物が形成された伝熱管のSEM写真であり、
図4は表面にナノ構造物が形成された伝熱管のFIB写真である。前記
図4を参照すると、伝熱管の表面にCu
2O層およびCuO層が生成されていることを確認することができる。すなわち、伝熱管の表面に形成されるナノ構造物はCu
2O層およびCuO層であって、前記Na
3PO
4は伝熱管の表面に接して形成されるCu
2O層の上部面にCuO層を形成させ、且つ2つの層の接着を容易にすることができる。また、前記ナノ構造物形成用浸漬液にNa
3PO
4を5重量部未満、11重量部超過で含ませる場合、伝熱管の表面にナノ構造物が形成されない部分が発見される。すなわち、均一にナノ構造物が形成されないという問題が発生し得る。
【0048】
前記3)ステップ(S300)は、洗浄した伝熱管をナノ構造物形成用浸漬液に浸漬するステップであって、10分以上浸漬することができる。10分未満で浸漬させる場合には、伝熱管の表面にナノ構造物が形成されない部分が生じる恐れがある。但し、10分以上浸漬する場合には、伝熱管の表面に均一なナノ構造物が形成された。
【0049】
図2は本発明の一実施形態による超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法を示すフローチャートであり、より具体的に、1)伝熱管を洗浄するステップ(S100)と、2)ナノ構造物形成用浸漬液を製造するステップ(S200)と、3)洗浄した伝熱管をナノ構造物形成用浸漬液に浸漬するステップ(S300)と、4)伝熱管をシラン系コーティング液に浸漬してコーティングするステップ(S400)と、を含むことができる。
【0050】
前記
図1と同様に、伝熱管の表面にナノ構造物を形成し、前記4)ステップ(S400)により、伝熱管の表面に形成されたナノ構造物の上部面に撥水コーティング層をさらに含むことができる。すなわち、ナノ構造物が形成された伝熱管をシラン系コーティング液に浸漬することで、撥水コーティング層を形成することができる。前記撥水コーティング層は、超撥水性を示すことにより、ナノ構造物を形成した伝熱管の撥水力を向上させることができる。
【0051】
前記4)ステップ(S400)では、表面にナノ構造物を形成した伝熱管をシラン系コーティング液に浸漬させることでコーティング層を形成することができる。前記シラン系コーティング液は、HDFS(Heptadeca‐fluoro‐1,1,2,2,2 tetrahydrodecyl trichlorosilane)、TFTS(Trichloro(1H,1H,2H,2H‐perfluorooctyl)silane)、OTS(Trichloro(octyl)silane)、およびDCDMS(Dichlorodimethylsilane)からなる群から選択されるシラン系化合物を含むことができ、前記シラン系化合物のみからなるコーティング液を用いてもよいが、シラン系化合物に揮発性溶媒を混合して製造したコーティング液を用いてもよい。すなわち、HDFS(Heptadeca‐fluoro‐1,1,2,2,2 tetrahydrodecyl trichlorosilane)、TFTS(Trichloro(1H,1H,2H,2H‐perfluorooctyl)silane)、OTS(Trichloro(octyl)silane)、およびDCDMS(Dichlorodimethylsilane)からなる群から選択されるシラン系化合物のみでシラン系コーティング液を製造してもよいが、揮発性溶媒に前記シラン系化合物を混合してシラン系コーティング液を製造してもよい。揮発性溶媒にシラン系化合物を混合する場合、揮発性溶媒100重量部を基準として、シラン系化合物0.1重量部以上を含む。シラン系化合物を0.1重量部未満で含む場合、伝熱管の表面に撥水コーティング層が均一にコーティングされないという問題があるが、シラン系化合物を0.1重量部以上で含む場合には、伝熱管の表面に均一な撥水コーティング層が形成されることができる。前記揮発性溶媒はヘキサン(C
6H
14)であるが、この例示に限定されず、当業者が選択できる揮発性溶媒であれば何れも使用可能である。
【0052】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。これら実施例は、本発明をより実施的に説明するためのものにすぎず、本発明の要旨による本発明の範囲がこれら実施例によって制限されないということは、当業界で通常の知識を有する者にとって明らかである。
【0054】
表面にナノ構造物が形成された伝熱管の製造
【0055】
(1)洗浄
準備された伝熱管をアセトン(CH
3COCH
3)に入れて3〜7分間超音波処理して後、エタノール(C
2H
5OH)に入れて3〜7分間超音波処理した。超音波処理の後、脱イオン水(DI water)を用いて洗浄し、窒素ガスを用いて表面に残留する水気を除去した。金属酸化物を除去するために、2Mの塩酸(HCl)溶液に20〜40秒間浸漬させた。塩酸溶液に浸漬させた後、脱イオン水を用いて洗浄し、窒素ガスを用いて表面に残留する水気を除去した。
【0056】
(2)ナノ構造物の形成
ナノ構造物を形成するために、脱イオン水100重量部を基準として、3.75重量部のNaClO
2、5重量部のNaOH、および10重量部のNa
3PO
4を混合することでナノ構造物形成用浸漬液を製造し、前記ナノ構造物形成用浸漬液を沸騰させた。洗浄された伝熱管を、沸騰させたナノ構造物形成用浸漬液に10分間浸漬した後、脱イオン水を用いて洗浄し、窒素ガスを用いて表面に残留する水気を除去した。
【0057】
製造例2
ナノ構造物形成用浸漬液のNaClO
2を1.5重量部入れたことを除き、製造例1と同様に製造した。
【0058】
製造例3
ナノ構造物形成用浸漬液のNaOHを4重量部入れたことを除き、製造例1と同様に製造した。
【0059】
製造例4
ナノ構造物形成用浸漬液のNa
3PO
4を6重量部入れたことを除き、製造例1と同様に製造した。
【0060】
製造例5
伝熱管をナノ構造物形成用浸漬液に20分間浸漬させたことを除き、製造例1と同様に製造した。
【0062】
撥水コーティング層が形成された伝熱管の製造
【0063】
撥水コーティングのために、ヘキサン(C
6H
14)溶液100mLを基準として、HDFS(Heptadeca‐fluoro‐1,1,2,2,2 tetrahydrodecyl trichlorosilane)0.1重量部を混合して、撥水コーティング液を製造した。
【0064】
前記製造例1のナノ構造物を形成した伝熱管を前記撥水コーティング液に90秒間浸漬させ、脱イオン水を用いて洗浄し、窒素ガスを用いて表面に残留する水気を除去した。その後、50℃のオーブンで乾燥させて製造した。
【0066】
HDFS(Heptadeca‐fluoro‐1,1,2,2,2 tetrahydrodecyl trichlorosilane)100重量%の撥水コーティング液を使用したことを除き、製造例6と同様に製造した。
【0068】
撥水コーティング液中に伝熱管を120秒間浸漬させたことを除き、製造例6と同様に製造した。
【0070】
ナノ構造物形成用浸漬液のNaClO
2を0.75重量部入れたことを除き、製造例1と同様に製造した。
【0072】
ナノ構造物形成用浸漬液のNaClO
2を4.5重量部入れたことを除き、製造例1と同様に製造した。
【0074】
ナノ構造物形成用浸漬液のNaOHを3重量部入れたことを除き、製造例1と同様に製造した。
【0076】
ナノ構造物形成用浸漬液のNa
3PO
4を4重量部入れたことを除き、製造例1と同様に製造した。
【0078】
ナノ構造物形成用浸漬液のNa
3PO
4を12重量部入れたことを除き、製造例1と同様に製造した。
【0080】
伝熱管をナノ構造物形成用浸漬液に5分間浸漬させたことを除き、製造例1と同様に製造した。
【0082】
ヘキサン100重量部を基準としてHDFS0.05重量部を入れて撥水コーティング液を製造したことを除き、製造例6と同様に製造した。
【0084】
撥水コーティング液に伝熱管を60秒間のみ浸漬させたことを除き、製造例6と同様に製造した。
【0086】
表面にナノ構造物が形成された伝熱管の成分分析の結果
【0087】
製造例1のように製造した伝熱管の表面に形成されたナノ構造物の成分分析を行った。
【0089】
成分分析の結果、ナノ構造物はCuOおよびCu
2Oで構成されているため、CuおよびOが最も多く含まれていることを確認することができる。その他の構成成分の場合、Al、Zn、およびCuはアルブラスを構成する成分である。但し、Cの場合、伝熱管の表面にナノ構造物を生成した後、EDS測定過程で自然に発生する汚染によって含まれた不純物に該当する。
【0091】
ナノ構造物形成用浸漬液中のNaClO
2の含量による、伝熱管の表面に形成されたナノ構造物の比較
【0092】
製造例1、製造例2、比較例1、および比較例2によってナノ構造物を製造した伝熱管の表面のSEM写真を撮影し、伝熱管の表面に形成されたナノ構造物の均一程度を観察した。
【0093】
図5は、製造例1、製造例2、比較例1、および比較例2の伝熱管のSEM写真である。比較例1および2の場合、部分的にナノ構造物が形成されていない部分が発見されたが、製造例1および2の場合は、ナノ構造物が均一に形成されていることを確認することができる。
【0094】
結果として、本発明の一実施形態による、ナノ構造物形成用浸漬液中のNaClO
2の含量範囲値未満であるか、含量範囲値を超える場合には、伝熱管の表面にナノ構造物が均一に形成されないため、撥水力が低下するという問題が発生し得る。これに対し、本発明のNaClO
2の含量範囲内である製造例1および2の場合、ナノ構造物が均一に形成されていることが確認されたため、伝熱管に超撥水表面が実現されたことを確認することができた。
【0096】
ナノ構造物形成用浸漬液中のNaOHの含量による、伝熱管の表面に形成されたナノ構造物の比較
【0097】
製造例1、製造例3、および比較例3によってナノ構造物を製造した伝熱管の表面のSEM写真を撮影し、伝熱管の表面に形成されたナノ構造物の均一程度を観察した。
【0098】
図6は製造例1、製造例3、および比較例3の伝熱管のSEM写真である。比較例3の場合、部分的にナノ構造物が形成されていない部分が発見されたが、製造例1および3の場合は、ナノ構造物が均一に形成されていることを確認することができる。
【0099】
結果として、本発明の一実施形態による、ナノ構造物形成用浸漬液中のNaOHの含量範囲値未満である場合には、伝熱管の表面にナノ構造物が均一に形成されないため、撥水力が低下するという問題が発生し得る。これに対し、本発明のNaOHの含量範囲内である製造例1および3の場合、ナノ構造物が均一に形成されていることが確認されたため、伝熱管に超撥水表面が実現されたことを確認することができた。
【0101】
ナノ構造物形成用浸漬液中のNa
3PO
4の含量による、伝熱管の表面に形成されたナノ構造物の比較
【0102】
製造例1、製造例4、比較例4、および比較例5によってナノ構造物を製造した伝熱管表面のSEM写真を撮影し、伝熱管の表面に形成されたナノ構造物の均一程度を観察した。
【0103】
図7は製造例1、製造例4、比較例4、および比較例5の伝熱管のSEM写真である。比較例4および5の場合、部分的にナノ構造物が形成されていない部分が発見されたが、製造例1および4の場合は、ナノ構造物が均一に形成されていることを確認することができる。
【0104】
結果として、本発明の一実施形態による、ナノ構造物形成用浸漬液中のNa
3PO
4の含量範囲値未満であるか、含量範囲値を超える場合には、伝熱管の表面にナノ構造物が均一に形成されないため、撥水力が低下するという問題が発生し得る。これに対し、本発明のNa
3PO
4の含量範囲内である製造例1および4の場合は、ナノ構造物が均一に形成されていることが確認されたため、伝熱管に超撥水表面が実現されたことを確認することができた。
【0106】
ナノ構造物形成用浸漬液に伝熱管を浸漬させる時間の差による、形成されたナノ構造物の比較
【0107】
製造例1、製造例5、および比較例6のように、伝熱管をナノ構造物形成用浸漬液に浸漬させる時間を変化させ、製造した伝熱管のSEM写真を撮影し、伝熱管の表面に形成されたナノ構造物の均一程度を観察した。
【0108】
図8は製造例1、製造例5、および比較例6の伝熱管のSEM写真である。ナノ構造物形成用浸漬液に5分程度浸漬させた比較例6の場合、部分的にナノ構造物が形成されていない部分が発見されたが、10分以上浸漬させた製造例1および5の場合は、ナノ構造物が均一に形成されていることを確認することができる。
【0109】
結果として、本発明の一実施形態による、ナノ構造物形成用浸漬液中に伝熱管を浸漬させる時に、10分未満で浸漬させる場合、伝熱管の表面にナノ構造物が均一に形成されないため、撥水力が低下するという問題が発生し得る。これに対し、本発明の浸漬時間が10分以上である製造例1および5の場合は、ナノ構造物が均一に形成されていることが確認されたため、伝熱管に超撥水表面が実現されたことを確認することができた。
【0111】
撥水コーティング液中のシラン系化合物の含量による接触角結果の比較
【0112】
製造例6、製造例7、および比較例5のように、撥水コーティング液中のシラン系化合物の含量を変化させて撥水コーティング液を製造し、ナノ構造物が形成された伝熱管を浸漬させて撥水コーティング層を形成した後、接触角を測定した。
【0113】
図9は、製造例6、製造例7、および比較例7の前進接触角、静止接触角、および後進接触角を測定したものである。撥水コーティング液に0.05重量部のシラン系化合物を含ませた比較例5の場合、後進接触角が104度程度と測定され、これは、コーティング層が不均一に形成されていることを意味するといえる。製造例6および7の場合、全ての接触角が145度以上と測定された点から、超撥水性を示すことを確認した。
【0115】
伝熱管を撥水コーティング液に浸漬させる時の浸漬時間による接触角結果の比較
【0116】
製造例6、製造例8、および比較例8のように、撥水コーティング液に伝熱管を浸漬させる時間を変化させて撥水コーティング層を形成し、接触角を測定した。
【0117】
図10は、製造例6、製造例8、および比較例8によって撥水コーティング層が形成された伝熱管の接触角を測定した結果である。比較例8のように、撥水コーティング液に伝熱管を60秒間のみ浸漬させる場合、静止接触角および後進接触角が130度程度と測定され、これは、撥水コーティング層が不均一に形成されていることを意味する。上記の比較例6のように、撥水コーティング層が不均一に形成される場合、撥水力が低下するという問題がある。
【0118】
これに対し、製造例6および8のように、伝熱管を撥水コーティング液に90秒以上浸漬させて撥水コーティング層を形成する場合、全ての接触角が145度以上であって撥水コーティング層が均一に形成され、伝熱管の表面が超撥水力を示すといえる。
【0120】
超撥水表面が実現された伝熱管の凝縮熱伝逹の測定
【0121】
製造例6によって表面にナノ構造物および撥水コーティング層が形成された伝熱管、および表面改質していないアルブラスで構成された伝熱管に対して、凝縮熱伝逹実験を行った。
【0122】
凝縮熱伝逹試験は、
図11のような凝縮熱伝逹実験装備を用いて測定した。ステンレス製の四角の真空チャンバーがあり、内部に伝熱管が連結される。凝縮熱伝逹係数を高精度に測定するためには、凝縮を妨害する不凝縮ガス(Non‐condensable gas)を必ず除去すべきであるため、真空ポンプを用いてチャンバーの内部を0.5Pa以下とする。該真空度は、真空チャンバーの左側に連結された真空圧力計(Pressure sensor)を用いて確認する。真空チャンバーの右側に連結された別のステンレス円形筒を用いて、0.5Pa以下の真空度環境が造成された真空チャンバーの内部に熱いスチームを供給する。該ステンレス円形筒にはきれいな水を入れ、ヒーターを用いて水を100℃に沸騰させて上記のようなスチームを供給した。その後、真空チャンバーの内部に熱いスチーム環境が造成されると、真空チャンバーの右側に連結された恒温水槽(Thermal bath)を用いて、設定された冷たい水(25℃)を真空チャンバーの内部に連結されている伝熱管に供給した。該伝熱管は、伝熱管の連結部位に不要な凝縮が発生することを防ぐために断熱材で包まれており、伝熱管の入/出口の部分に温度測定センサ(Thermocouple probe)を連結して、恒温水槽から供給された水が伝熱管を通過する時の温度変化を測定した。真空チャンバーの左側に位置したカメラ(CCD camera)を用いて伝熱管の外壁の凝縮挙動を観察し、温度センサから測定された温度値をコンピュータを用いて受信し、凝縮熱伝逹係数を最終測定した。
【0123】
凝縮熱伝逹係数は、次のように計算される。先ず、温度測定センサを用いて伝熱管の入/出口の温度を測定し、その値を用いて、伝熱管に供給された全エネルギー量を計算する。
【0124】
【数1】
ここで、Qは全熱伝逹量、
【数2】
は伝熱管の内部に流れる水の流量、C
πは水の定圧比熱、T
εvσは伝熱管の出口側の水の温度、そしてT
ιvは伝熱管の入口側の水の温度を意味する。
【0125】
計算した全熱伝逹量を用いて、全熱伝逹係数値(Overall heat transfer coefficient)を計算する。
【0126】
【数3】
ここで、Uは全熱伝逹係数値、Aは伝熱管の総面積、そしてT
LMTDは対数平均温度差を意味する。T
LMTDは次のように計算される。
【0128】
このように計算した全熱伝逹係数は、凝縮熱伝逹係数(Condensation heat transfer coefficient)とは異なる。全熱伝逹係数は、伝熱管の内部を流れる水と外部のスチームとの間の熱伝逹係数値である。この値から、伝熱管の内部を流れる水による強制対流熱伝達係数値および伝熱管の厚さによる温度降下の影響を引いた時に、凝縮熱伝逹係数を得ることができる。したがって、凝縮熱伝逹係数は次のように計算される。
【0129】
【数5】
ここで、h
εは凝縮熱伝逹係数、A
ιは伝熱管の内部面積、h
ιは伝熱管の内部の水の流動による強制対流熱伝達係数、d
ΟΔは伝熱管の外径、d
IΔは伝熱管の内径、Lは伝熱管の長さ、そしてk
Aλ−βpαδδはアルブラス伝熱管の熱伝逹係数を意味する。h
ιは次のように計算される。
【0130】
【数6】
ここで、fは管の摩擦係数、Reは伝熱管の内部を流れる水のレイノズル数、そしてPrはプラントル数である。
【0132】
凝縮熱伝逹試験の結果、表面改質していないアルブラスで構成された伝熱管に比べて、製造例6によって表面にナノ構造物および撥水コーティング層が形成された伝熱管は、凝縮熱伝逹性能が4.1倍程度上昇することが確認された。
【0133】
図12に示すように、表面改質していないアルブラス表面では、液膜形態の凝縮が進行されるが、本発明の製造例6のように、表面にナノ構造物および撥水コーティングが形成されたアルブラス表面の場合、水滴凝縮が現われ、液滴が容易に表面から除去された。このような水滴凝縮の挙動は、フィルム凝縮の挙動に比べて凝縮熱伝逹性能に優れるといえる。
【0134】
図13は、表面改質していないアルブラス表面と、製造例6のアルブラス表面に対して、多様な凝縮レベルで凝縮熱伝逹性能を意味する熱伝逹係数(Supersaturation level、S)を測定した結果、製造例6のアルブラスが、熱伝逹係数(Condensation heat transfer coefficient、h
X)が約3倍程度大きいことが確認された。これは、本発明の一実施形態による超撥水表面が実現された伝熱管の凝縮熱伝逹性能が、表面改質していない純粋アルブラスで構成された伝熱管に比べて著しく優れることを意味するといえる。
本願によれば、以下の各項目もまた開示される。
[項目1]
1)伝熱管を有機溶媒を用いて超音波処理するステップと、
2)上記1)ステップの超音波処理した伝熱管を洗浄するステップと、
3)上記2)ステップの洗浄した伝熱管を酸性溶液に浸漬して、伝熱管表面の金属酸化物を除去するステップと、
4)ナノ構造物形成用浸漬液を製造するステップと、
5)上記3)ステップの金属酸化物を除去した伝熱管を、上記4)ステップのナノ構造物形成用浸漬液に浸漬するステップと、を含む、超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
[項目2]
上記1)ステップの有機溶媒は、アセトン、エタノール、およびこれらの混合物からなる群から選択される、項目1に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
[項目3]
上記1)ステップで、アセトンに伝熱管を入れて3〜7分間1次超音波処理した後、エタノールに伝熱管を入れて3〜7分間2次超音波処理する、項目1または2に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
[項目4]
上記2)ステップで、超音波処理した伝熱管を水で洗浄し、窒素ガスを用いて残留する水気を除去する、項目1から3の何れか一項に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
[項目5]
上記3)ステップの酸性溶液が2Mの塩酸(HCl)である、項目1から4の何れか一項に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
[項目6]
上記ナノ構造物形成用浸漬液は、水と、NaClO2と、NaOHと、Na3PO4と、を含む、項目1から5の何れか一項に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
[項目7]
上記ナノ構造物形成用浸漬液は、水100重量部に対して、1〜4重量部のNaClO2と、3.5〜10重量部のNaOHと、5〜11重量部のNa3PO4と、を含む、項目6に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
[項目8]
上記5)ステップで、ナノ構造物形成用浸漬液に伝熱管を10分以上浸漬する、項目1から7の何れか一項に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
[項目9]
上記伝熱管の表面に形成されたナノ構造物がCu2OおよびCuOを含む、項目1から8の何れか一項に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
[項目10]
上記伝熱管がアルブラス(Al‐bras)で構成される、項目1から9の何れか一項に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
[項目11]
上記伝熱管は多数の伝熱管が組み立てられた形態である、項目1から10の何れか一項に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
[項目12]
上記5)ステップの後、6)伝熱管をシラン系コーティング液に浸漬して、撥水コーティング層を形成するステップをさらに含む、項目1から11の何れか一項に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
[項目13]
上記シラン系コーティング液は、HDFS(Heptadeca‐fluoro‐1,1,2,2,2 tetrahydrodecyl trichlorosilane)、TFTS(Trichloro(1H,1H,2H,2H‐perfluorooctyl)silane)、OTS(Trichloro(octyl)silane)、およびDCDMS(Dichlorodimethylsilane)からなる群から選択されるシラン系化合物を含む、項目12に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
[項目14]
上記シラン系コーティング液は、揮発性溶媒をさらに含む、項目13に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
[項目15]
上記揮発性溶媒がヘキサン(C6H14)である、項目14に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
[項目16]
上記シラン系コーティング液は、揮発性溶媒100重量部を基準として、シラン系化合物0.1重量部以上を含む、項目14に記載の超撥水表面が実現された伝熱管の製造方法。
[項目17]
項目1から16の何れか一項に記載の製造方法により表面にナノ構造物が形成された、超撥水表面が実現された伝熱管。
[項目18]
上記ナノ構造物がCu−2OおよびCuOを含む、項目17に記載の超撥水表面が実現された伝熱管。
[項目19]
シラン系化合物を含む撥水コーティング層をさらに含む、項目17または18に記載の超撥水表面が実現された伝熱管。
[項目20]
表面接触角が145度以上である、項目19に記載の超撥水表面が実現された伝熱管。