特許第6708695号(P6708695)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708695
(24)【登録日】2020年5月25日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/84 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
   G01N21/84 Z
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-81717(P2018-81717)
(22)【出願日】2018年4月20日
(65)【公開番号】特開2019-190911(P2019-190911A)
(43)【公開日】2019年10月31日
【審査請求日】2019年9月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】太田 悠介
(72)【発明者】
【氏名】滝澤 象太
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−142558(JP,A)
【文献】 特開2010−159979(JP,A)
【文献】 特開2014−032122(JP,A)
【文献】 特開2009−103508(JP,A)
【文献】 特開2011−007553(JP,A)
【文献】 特開2018−005500(JP,A)
【文献】 特開2015−197396(JP,A)
【文献】 特開2006−105777(JP,A)
【文献】 特開2012−159491(JP,A)
【文献】 特開2013−195368(JP,A)
【文献】 特開2014−006613(JP,A)
【文献】 特開2014−174003(JP,A)
【文献】 特開2015−184143(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
H01L 21/00−21/98
G06T 7/00− 7/90
G01B 11/00−11/30
G01N 23/00−23/2276
A61B 6/00− 6/14
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
J−STAGE
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの検査対象を撮像して得られた複数の画像を使用して該検査対象に係る外観検査を行う検査装置であって、
予め定義された前記画像と検査結果との関係を予め定めた学習モデルに基づいて、複数の前記画像それぞれにかかる検査結果を推定し、
複数の前記画像にかかる前記検査結果それぞれの信頼度に基づいて、総合的な検査結果を算出する総合判定部を有することを特徴とする
検査装置。
【請求項2】
前記総合判定部は、前記総合的な検査結果の信頼度が一定の条件を満たしていない場合、前記画像を再撮像する指令を出力し、再撮像された前記画像を使用して再度前記総合的な検査結果を算出することを特徴とする
請求項1記載の検査装置。
【請求項3】
前記総合判定部は、前記総合的な検査結果の信頼度が一定の条件を満たしていない場合、前記画像を再撮像する指令を出力し、再撮像された前記画像と、前回までに撮像された前記画像と、を使用して再度前記総合的な検査結果を算出することを特徴とする
請求項1記載の検査装置。
【請求項4】
前記画像の撮像条件を決定する撮像条件決定部をさらに有し、
前記撮像条件決定部は、前記再撮像時の撮像条件を、前回の撮像時の撮像条件から変更することを特徴とする
請求項2又は3記載の検査装置。
【請求項5】
前記撮像条件決定部は、前記検査結果の信頼度が一定の条件を満たしていない検査部位について、前記再撮像時の撮像枚数を、前回の撮像時の撮像枚数から増加させることを特徴とする
請求項4記載の検査装置。
【請求項6】
前記撮像条件決定部は、前記検査結果が不良であった検査部位について、前記再撮像時の撮像枚数を、前回の撮像時の撮像枚数から増加させることを特徴とする
請求項4記載の検査装置。
【請求項7】
数の前記学習モデルを有し、複数の前記画像により異なる前記学習モデルを使用して前記検査結果を推定することを特徴とする
請求項1記載の検査装置。
【請求項8】
数の前記学習モデルを有し、前記再撮像時の前記画像について、前回の撮像時の前記画像とは異なる前記学習モデルを使用して前記検査結果を推定することを特徴とする
請求項2又は3記載の検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検査装置に関し、特に人手によらない自動的な外観検査結果の妥当性確認機能を有する検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象(加工後のワーク等)の外観検査工程においては、従来、人の目視による検査が行われていた。近年では、カメラで検査対象の画像を撮像し、当該画像を処理することで検査を行うことが広く行われている。
【0003】
最近では機械学習、例えば深層学習が外観検査に用いられるようになってきている。機械学習を使用することで、キズや凹みの判定など人が判定基準を細かく数値で規定できないような検査を的確に行うことができる。
【0004】
特許文献1には、欠陥種別毎に光学条件を変え、複数の検出部によりそれぞれ異なる散乱光を検出し、検出した光を学習データに照らして異常検知することが記載されている。その際、複数の識別器の結果をORや多数決で統合判定しうることも開示されている。
【0005】
特許文献2には、複数の検出器がそれぞれ異なる角度で散乱光を検出し、学習で獲得しておいた分類器に照らして、1箇所でもしきい値を超えた検出器があれば欠陥判定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−007553号公報
【特許文献2】特開2009−103508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、機械学習を用いた検査結果が正しいかどうかについては、現在は人手でチェックを行う必要がある。例えば機械学習による検査結果と、従来の人の目視による検査結果とを照合し、機械学習による検査結果をチェックしていた。機械学習による検査結果は撮影条件等によって左右されることがある。よって、試行錯誤により何度も撮影条件等を変えながら、機械学習による検査結果の信頼性を人手で評価する必要があった。
【0008】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、人手によらない自動的な外観検査結果の妥当性確認機能を有する検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一実施形態にかかる検査装置は、1つの検査対象を撮像して得られた複数の画像を使用して該検査対象に係る外観検査を行う検査装置であって、予め定義された前記画像と検査結果との関係を予め定めた学習モデルに基づいて、複数の前記画像それぞれにかかる検査結果を推定し、複数の前記画像にかかる前記検査結果それぞれの信頼度に基づいて、総合的な検査結果を算出する総合判定部を有することを特徴とする。
本発明の一実施形態にかかる検査装置は、前記総合判定部は、前記総合的な検査結果の信頼度が一定の条件を満たしていない場合、前記画像を再撮像する指令を出力し、再撮像された前記画像を使用して再度前記総合的な検査結果を算出することを特徴とする。
本発明の一実施形態にかかる検査装置は、前記総合判定部は、前記総合的な検査結果の信頼度が一定の条件を満たしていない場合、前記画像を再撮像する指令を出力し、再撮像された前記画像と、前回までに撮像された前記画像と、を使用して再度前記総合的な検査結果を算出することを特徴とする。
本発明の一実施形態にかかる検査装置は、前記画像の撮像条件を決定する撮像条件決定部をさらに有し、前記撮像条件決定部は、前記再撮像時の撮像条件を、前回の撮像時の撮像条件から変更することを特徴とする。
本発明の一実施形態にかかる検査装置は、前記撮像条件決定部は、前記検査結果の信頼度が一定の条件を満たしていない検査部位について、前記再撮像時の撮像枚数を、前回の撮像時の撮像枚数から増加させることを特徴とする。
本発明の一実施形態にかかる検査装置は、前記撮像条件決定部は、前記検査結果が不良であった検査部位について、前記再撮像時の撮像枚数を、前回の撮像時の撮像枚数から増加させることを特徴とする。
本発明の一実施形態にかかる検査装置は、複数の前記学習モデルを有し、複数の前記画像により異なる前記学習モデルを使用して前記検査結果を推定することを特徴とする。
本発明の一実施形態にかかる検査装置は、複数の前記学習モデルを有し、前記再撮像時の前記画像について、前回の撮像時の前記画像とは異なる前記学習モデルを使用して前記検査結果を推定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、人手によらない自動的な外観検査結果の妥当性確認機能を有する検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】検査装置1のハードウェア構成を示す図である。
図2】検査装置1の機能構成の一態様を示す図である。
図3】検査装置1の機能構成の一態様を示す図である。
図4】検査装置1の機能構成の一態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の一実施形態による検査装置1の要部を示す概略的なハードウェア構成図である。検査装置1は、例えば加工済みワークの外観検査を行う装置である。検査装置1は、CPU11、ROM12、RAM13、不揮発性メモリ14、インタフェース18、インタフェース19、バス10、入出力装置60、撮像装置70を有する。
【0013】
CPU11は、検査装置1を全体的に制御するプロセッサである。CPU11は、ROM12に格納されたシステム・プログラムをバス10を介して読み出し、システム・プログラムに従って検査装置1全体を制御する。
【0014】
ROM12は、機械の各種制御等を実行するためのシステム・プログラムを予め格納している。
【0015】
RAM13は、計算データや入出力データ等を一時的に格納する。
【0016】
不揮発性メモリ14は、例えば図示しないバッテリでバックアップされており、検査装置1の電源が遮断されても記憶状態を保持する。不揮発性メモリ14は、入出力装置60から入力されるデータや、インタフェース19を介して撮像装置70から入力された画像データ等を格納する。不揮発性メモリ14に記憶されたプログラムやデータは、実行時及び利用時にはRAM13に展開されても良い。
【0017】
入出力装置60は、ディスプレイやキーボード等を含むデータ入出力装置である。入出力装置60は、インタフェース18を介してCPU11から受けた情報をディスプレイに表示する。入出力装置60は、キーボード等から入力された指令やデータ等をインタフェース18を介してCPU11に渡す。
【0018】
撮像装置70は、検査対象の外観を撮像して画像データを生成する装置である。撮像装置70は、例えば検査対象に対し光を照射する光源、検査対象を所定の撮像条件で撮像するカメラ、カメラによる撮像結果を画像データとして出力する出力部等を含む。撮像装置70は、複数の光源及びカメラを有していてもよい。撮像装置70は、インタフェース19を介してCPU11から受けた指令に応じて撮像を行う。撮像装置70は、画像データをインタフェース19を介してCPU11に渡す。
【0019】
図2は、第1の実施形態における検査装置1の概略的な機能ブロック図である。検査装置1は、撮像条件決定部101、撮像部102、判定部103を有する。撮像条件決定部101、撮像部102、判定部103の各種機能は、例えばCPU11の一機能として実現されても良く、例えばROM12、RAM13、不揮発性メモリ14に格納されたプログラムをCPU11が実行することにより実現されても良い。
【0020】
撮像条件決定部101は、検査対象の外観の撮像条件を決定する。撮像条件は、例えば検査対象に対する光源又はカメラの角度、カメラと光源との位置関係、光源の種類(色温度や明るさ等)、カメラの画素数、光学フィルタ又はソフトウェアによるフィルタ処理を使用する場合はその種類、露光時間、ダイナミックレンジ、撮像に使用するカメラの台数、撮像枚数、検査対象のどの部位を撮像するか等を含む。
【0021】
撮像部102は、撮像条件決定部101が決定した撮像条件に従って検査対象の外観を撮像し、1以上の画像データを生成、出力する。
【0022】
判定部103は、学習部1031、総合判定部1032を有する。学習部1031は、撮像部102が出力した画像データを入力として使用し、機械学習により外観検査、すなわち良不良の判定を行う。機械学習による外観検査には種々の公知技術を採用できる。総合判定部1032は、機械学習による検査結果の信頼度を判定する。総合判定部1032は、信頼度の判定結果に応じて再撮像等を実施する。
【0023】
以下、実施例として、検査装置1の動作の一例について説明する。
<検査対象の初回撮像>
撮像部102は、撮像条件決定部101により予め定められた撮像条件を用いて、検査対象の撮像を行う。本実施例では、撮像部102は撮像条件を変えて複数回の撮像を行うことができる。例えば光源の明るさ、検査対象に対する光源又はカメラの角度を撮像毎に変更することができる(120度ずつ角度を変えて3枚撮像するなど)。撮像部102は、こうして得られた撮像条件の異なる複数の画像データを出力する。
【0024】
<機械学習による検査と総合判定>
判定部103は、撮像部102が出力した撮像条件の異なる複数の画像データを、学習部1031に入力する。
【0025】
学習部1031は、公知の機械学習手法(代表的には教師あり学習、教師なし学習等)により構築された学習モデルを有する。学習モデルは、画像データ(又は画像データに基づく何らかの特徴量)と、検査結果(良否の判定結果を示す値)と、の相関関係をある程度信頼できる水準まで学習しているものとする。すなわち学習モデルは、画像データを入力として、当該画像データと相関性が高いと推定される検査結果を出力することができる。
【0026】
本実施例では、学習部1031は、公知技術である深層学習により、画像データから適切な特徴量を自動的に抽出し、当該特徴量と高い相関を有する検査結果を出力する。学習部1031は、検査結果として不合格らしさを示す数値(以下、NG度と称する)を出力するものとする。NG度は、例えば検査対象が完全に合格(良品)であるといえる場合を0、完全に不合格(不良品)であるといえる場合を100とし、0乃至100の間の数値で不合格らしさを表現する指標である。NG度が0又は100に近いほど合格又は不合格である蓋然性が高く、0及び100から遠いほど合格又は不合格のいずれかである蓋然性が低い。つまり合格又は不合格のいずれであるかをはっきりと判定できない。すなわちNG度は、検査結果の信頼性を表す指標といえる。NG度が0又は100に近いほど検査結果の信頼度が高く、0及び100から遠いほど検査結果の信頼度が低い。
【0027】
NG度の算出方法の一例を示す。例えば学習モデルの構築フェーズにおいて、検査不合格である画像データの特徴量のクラスタが形成されているものとする。このとき、入力ノード(検査対象の画像データの特徴量)とクラスタ重心との距離Dが0である場合のNG度を100とする。入力ノードとクラスタ重心との距離Dが十分離れている場合、具体的にはD≧所定のしきい値Dthである場合のNG度を0とする。入力ノードとクラスタ重心との距離Dが0<D<Dthである場合、NG度は(1−(D/(クラスタ重心とDthとの距離)))*100により算出できる。
【0028】
学習部1031は、撮像部102が出力した撮像条件の異なる複数の画像データをそれぞれ学習モデルに入力し、各画像データに対応する検査結果を得る。複数の画像データはそれぞれ撮像条件が異なるので、例えばキズの映りかた等が異なることがある。そのため、複数の画像データに基づく検査結果として、それぞれ異なるNG度が出力される可能性がある。
【0029】
ここで学習部1031は、複数の画像データを全て同じ学習モデルに入力しても良いし、図3に示すように、それぞれ異なる学習モデルに入力しても良い。例えば特定の撮像条件に最適化された学習モデルを複数構築している場合には、入力する画像データの撮像条件に適した学習モデルを使用して検査を行うことができる。
【0030】
総合判定部1032は、学習部1031が出力する複数の検査結果(同じ検査対象に関するものであるが、撮像条件の異なる複数の画像データに基づく)を取得し、その内容に基づいて最終的な検査結果を判定する。例えば総合判定部1032は、検査結果をNG度により「不良」(NG度が81から100)、「不明」(NG度が21から80)、「良」(NG度が0から20)の3つに分類する。そして学習部1031が出力する複数の検査結果の中に1つでも「不良」(NG度が81から100)が含まれていれば、総合的な検査結果を「不良」と判定する。又は、学習部1031が出力する複数の検査結果について多数決を採り、「不良」「不明」「良」のうち最も多数のものを総合的な検査結果とする。又は、学習部1031が出力する複数の検査結果の中で最も信頼度の高いもの、すなわちNG度が0又は100に最も近いものを総合的な検査結果として採用する。又は、学習部1031が出力する複数の検査結果の統計量(例えば平均値、中央値、最頻値等)を計算し、当該統計量について「不良」「不明」「良」を判定して最終的な検査結果とする。又は、学習部1031が出力する複数の検査結果を入力とし、総合的な検査結果を出力することができる学習モデルを使用して、総合的な検査結果を推定することもできる。この学習モデルは、これまでに種々の方法で決定された総合的な検査結果と、その基となった学習部1031が出力する複数の検査結果と、の相関関係を公知の機械学習手法により予め学習させたものである。
【0031】
総合判定部1032が総合的な検査結果として「不良」「良」を出力する場合、ユーザはこれを最終的な検査結果として受容できる。この最終的な検査結果は、撮像条件の異なる複数の画像データに基づく検査結果を総合的に衡量した結果、「不良」又は「良」である蓋然性が相当程度高いと評価されたものであるから、信頼度が高い。
【0032】
一方、総合判定部1032が総合的な検査結果として「不明」を出力する場合、この度の撮像においては信頼度の高い検査結果が総合的に得られなかったことを意味する。よって総合判定部1032は、撮像条件を変えて撮像を再試行するよう撮像条件決定部101及び撮像部102に指令する。
【0033】
<再撮像>
撮像条件決定部101は、再撮像の指令を受けた場合、前回の撮像で用いた上述の種々の撮像条件を変更し、変更後の撮像条件を撮像部102に通知する。撮像条件決定部101は、撮像条件をランダムに変更できる。又は、所定の撮像条件を所定のルールに従って変更できる。例えば再撮影の度に検査対象、カメラ、光源の相対位置を変更する。カメラ又は光源を検査対象の周囲に回転させ、検査対象に対するカメラの角度又は光源の角度を、前回の撮影時から所定角度(例えば60度)ずらすよう変更できる。検査対象をテーブル上で回転させることで、カメラ又は光源に対する角度を変更しても良い。又は、初回の撮像時の撮像枚数(例えば1枚)に比べ、再撮像時の撮像枚数(例えば3枚)を増加させても良い。
【0034】
また撮像条件決定部101は、検査対象の撮影部位毎にNG度を評価し(上述の総合的な検査結果の評価方法を応用できる)、NG度に応じて撮像部位毎に撮像条件を変化させても良い。例えば信頼度の低い(NG度が21乃至80であるなど)撮像部位については撮像枚数を増加するなどして、検査結果の判断材料を増やすよう調整することができる。「不良」と判断された撮像部位について撮像枚数を増加するなどして、より精度の高い検査結果を追求することもできる。
【0035】
再撮像後、学習部1031は、再撮像された画像データを使用し、上述の手順により再び総合的な検査結果を評価する。こうして検査装置1は、信頼度の高い総合的な検査結果が得られるまで、再撮像及び総合的な検査結果の再評価を繰り返し実行する。
【0036】
ここで学習部1031は、1回目の評価と2回目以降の評価とで同じ学習モデルを使用してもよく、図4に示すように、異なる学習モデルを使用しても良い。例えば再撮影用に最適化された学習モデルが構築されていれば、2回目以降の評価においては再撮影用に最適化された学習モデルを使用することが好適である。
【0037】
或いは検査装置1は、信頼度の高い総合的な検査結果が得られるまで、再撮像により画像データを追加して、総合的な検査結果の再評価を繰り返し実行することとしても良い。この場合、学習部1031は、再撮像で得られた画像データを使用して検査結果を出力する。総合判定部1032は、前回までの撮像で得られた画像データから推定される検査結果と、再撮像で新たに得られた画像データから推定される検査結果と、の両方を使用して総合的な検査結果を算出する。これにより最終判断に用いる画像データの母数を増やし、精度の高い検査結果を出力できる。
【0038】
本実施の形態によれば、従来は人手で行っていた検査結果の妥当性の判断を自動化できるので、人手によらない自動的な外観検査(例えば機械学習による外観検査)の導入をより容易なものとすることができる。
【0039】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態の例のみに限定されることなく、適宜の変更を加えることにより様々な態様で実施することができる。
【0040】
例えば、上述の実施の形態では学習部1031は機械学習により構築された学習モデルを用いて外観検査を行うこととしたが、本発明はこれに限定されるものでなく、例えばルールベースで構築されたエキスパートシステムのような他の任意の自動化手法により外観検査を行うものであっても良い。
【0041】
また、上述の実施の形態では検査装置1は撮像部102を有するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものでなく、撮像部102に相当する機能は検査装置1の外部に設けられても良い。例えば、検査装置1の撮像条件決定部101が、カメラや光源を備えたロボットを制御することにより、検査対象の画像データを取得することとしても良い。又は、検査装置1の撮像条件決定部101が、カメラや光源を備え情報処理機能を有する外付けの撮像ユニットを制御することにより、検査対象の画像データを取得することとしても良い。
【0042】
上述の実施の形態で示した検査装置1は、種々の情報処理装置として実装され得る。例えば検査装置1は、検査機、ロボットコントローラ、工作機械の数値制御装置、カメラや光源が接続されたPC等であって良い。
【符号の説明】
【0043】
1 検査装置
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 不揮発性メモリ
18,19 インタフェース
10 バス
60 入出力装置
70 撮像装置
101 撮像条件決定部
102 撮像部
103 判定部
1031 学習部
1032 総合判定部
図1
図2
図3
図4