特許第6708728号(P6708728)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6708728充電スタンド用のパワーエレクトロニクスモジュールならびに対応する充電スタンドおよび電力充電スタンド
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708728
(24)【登録日】2020年5月25日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】充電スタンド用のパワーエレクトロニクスモジュールならびに対応する充電スタンドおよび電力充電スタンド
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/12 20060101AFI20200601BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20200601BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20200601BHJP
【FI】
   H02M7/12 601D
   H02M7/12 P
   H02M3/155 W
   H02J7/02 A
【請求項の数】10
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2018-235254(P2018-235254)
(22)【出願日】2018年12月17日
(65)【公開番号】特開2019-110746(P2019-110746A)
(43)【公開日】2019年7月4日
【審査請求日】2018年12月18日
(31)【優先権主張番号】10 2017 130 498.3
(32)【優先日】2017年12月19日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100098914
【弁理士】
【氏名又は名称】岡島 伸行
(72)【発明者】
【氏名】カルステン ヘーレ
(72)【発明者】
【氏名】ラウル ハイネ
(72)【発明者】
【氏名】マリヤ ジャンコビック
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン メッガー
【審査官】 栗栖 正和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−036117(JP,A)
【文献】 特開2012−222999(JP,A)
【文献】 特開2004−104909(JP,A)
【文献】 特開2013−118758(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0134935(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/12
H02M 3/155
H02J 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電スタンド用のパワーエレクトロニクスモジュール(10)であって、以下の特徴、すなわち、
パワーエレクトロニクスモジュール(10)が、入力側の力率補正回路、電圧リンクおよび出力側のDCチョッパを備えることと、
前記力率補正回路が、三相電流の三相(11)設計のものであることと、
各相(11)が、少なくとも1つの高電圧側スイッチおよび1つの低電圧側スイッチを有することと、
電流の逆流を防ぐダイオードが設置されることと
パワーエレクトロニクスモジュールが、三相の各相に対して完全に等価な設計のものであることと、
この目的のため、アクティブフロントエンドとしての入力側の力率補正回路および降圧変換器として出力側のDCチョッパが、共通の中性導体を有することと、
前記共通の中性導体が、前記入力側の力率補正回路から前記出力側のDCチョッパまで連続して延在することと、
によって特徴付けられる、パワーエレクトロニクスモジュール(10)。
【請求項2】
以下の特徴、すなわち、
前記DCチョッパが、各電流経路に追加のダイオードを備えることであって、前記追加のダイオードが、電流の逆流を防ぎ、パワーエレクトロニクスモジュールの並列接続を可能にする、備えることと、
前記DCチョッパが、共通の逆方向を有する対応する数のスイッチおよびダイオードをさらに備えることと、
前記スイッチの各々が、回路において、前記ダイオードのうちの1つに割り当てられることと
によって特徴付けられる、請求項1に記載のパワーエレクトロニクスモジュール(10)。
【請求項3】
以下の特徴、すなわち、
前記降圧変換器が、多相設計のものであること
によって特徴付けられる、請求項1または2に記載のパワーエレクトロニクスモジュール(10)。
【請求項4】
以下の特徴、すなわち、
前記スイッチが、半導体コンポーネントであること
によって特徴付けられる、請求項2または3に記載のパワーエレクトロニクスモジュール(10)。
【請求項5】
以下の特徴、すなわち、
前記半導体コンポーネントが、トランジスタであること
によって特徴付けられる、請求項に記載のパワーエレクトロニクスモジュール(10)。
【請求項6】
以下の特徴、すなわち、
前記トランジスタが、電界効果トランジスタであること
によって特徴付けられる、請求項に記載のパワーエレクトロニクスモジュール(10)。
【請求項7】
以下の特徴、すなわち、
前記トランジスタが、絶縁ゲートバイポーラトランジスタであること
によって特徴付けられる、請求項に記載のパワーエレクトロニクスモジュール(10)。
【請求項8】
以下の特徴、すなわち、
前記トランジスタの材料が、炭化ケイ素からなること
によって特徴付けられる、請求項に記載のパワーエレクトロニクスモジュール(10)。
【請求項9】
以下の特徴、すなわち、
請求項1から8までのいずれか一項に記載の1つまたは複数のパワーエレクトロニクスモジュール(10)を備えることと、
ガルバニック絶縁された低電圧グリッドによって供給されることと
によって特徴付けられる、充電スタンド。
【請求項10】
以下の特徴、すなわち、
請求項に記載の1つまたは複数の充電スタンドを含むこと
によって特徴付けられる、電力充電スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電スタンド用のパワーエレクトロニクスモジュールに関する。さらに、本発明は、対応する充電スタンドおよびそのような充電スタンドを含む電力充電スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
電気工学分野では、充電スタンドという用語は、エネルギー貯蔵部(例えば、電気自動車の牽引用電池)を必ずしも取り除く必要なく、単に配置するかまたはプラグインすることによって、移動式の充電可能な電池式デバイス、マシンまたは自動車にエネルギーを供給する上で役立ついかなる据置型装置または電気設備も含む。電気自動車用の充電スタンドは、「電力充電スタンド」と呼ばれる場合もあり、多数の充電ポイントを含み得る。
【0003】
ここでは、公知のシステムは、具体的には、ヨーロッパで広く使用されているいわゆるコンボ充電システム(CCS)などのDC急速充電システム(高性能充電、HPC)を含む。一般的なタイプのDC充電では、直流電流は、充電カラムから車両に直接供給され、この目的のため、直流電流は、強力な整流器によって電力グリッドから提供されるか、または、例えば、大容量の充電可能な緩衝電池によって太陽光充電スタンドにおいて提供される。車両には電池管理システムがあり、電池管理システムは、電流強度を適応させるために、または、容量限界に到達次第、プロセスを終了するために、充電カラムと直接または間接的に通信する。
【0004】
この事例では、パワーエレクトロニクスは、通常、充電カラムに位置する。充電カラムのDC接続は牽引用電池の対応する接続に直接接続されるため、低損失で高充電電流を伝送することができ、それにより、充電時間を短縮することができる。
【0005】
世界中で使用される様々な充電スタンドでは、パワーエレクトロニクスの多種多様なトポロジが使用されている。また、電池の形態のエネルギー貯蔵部を追加で使用する充電スタンドも既に知られている。最も市販されている充電スタンドは内部ガルバニック絶縁を有し、その結果、パワーエレクトロニクスの電気回路もそのような絶縁を提供しなければならない。この事例では、従来の充電カラムは、B6またはB12ブリッジを有する標準回路を使用し、従来のIGBT技術によって実現される。
【0006】
(特許文献1)、(特許文献2)、(特許文献3)、(特許文献4)、(特許文献5)および(特許文献6)は、DCチョッパ(DC/DC変換器)および力率補正(PFC)((特許文献5)を除いて)に基づく対応するパワーエレクトロニクスを有する電気またはハイブリッド車両用の充電スタンドに関する。(特許文献1)、(特許文献2)および(特許文献3)によるパワーエレクトロニクスはそれぞれ、力率補正に割り当てられた金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)を備え、(特許文献1)の事例では、それに加えて、パルス幅変調整流器を備える。(特許文献6)によるDC/DC変換器では、高電圧側と低電圧側の両方ともMOSFETに割り当てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2013088196A号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102012203612A1号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2013334879A号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2012049794A号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2012199409A号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2015042159A号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、独立請求項に記載の充電スタンド用のパワーエレクトロニクスモジュール、対応する充電スタンドおよび対応する電力充電スタンドを提供する。
【0009】
本発明による手法は、充電スタンドの変換器回路または変換器設計を実装するための非常に多くの異なる方法が存在するという見識に基づく。多くの回路は、通常、ガルバニック絶縁を含む。電気回路はこの点で特に重要であるが、その理由は、電気回路が電流の逆流および内部ループを防がなければならないためである。多くの解決法は、非常に異なる効率を有する。
【0010】
対照的には、本発明は、ガルバニック絶縁なしでパワーエレクトロニクスモジュールの電気回路を実現するという目的に基づく。
【0011】
この解決法の利点の1つは、本発明による充電スタンドができる限り道路交通における視界を妨げないようにするというそのコンパクト性にある。このコンパクト性は、高いスイッチング周波数を有する超高速変換器トポロジを使用することによって可能になる。この事例では、提案されるパワーエレクトロニクスの効率は、96%を超えるもので、比較的高い。
【0012】
このように、単一のモジュールは、40kg未満の質量を有し得る。この質量は、たった1人(保守要員)で持ち上げることができるものであり、それにより、提示される解決法に対する保守が特に容易になる。
【0013】
本発明のさらなる有利な構成は、従属特許請求項において指定される。この関連で、炭化ケイ素(SiC)に基づくMOSFETを使用することにより、例えば、対応する絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)に基づく実施形態と比べて、質量、効率および構造空間に関して、装置をさらに強化することができる。
【0014】
本発明のさらなる有利な構成は、モジュールの完全に対称的な設計を含み、AFCおよび降圧変換器が同じ中性導体を有するという事実によって提供される。
【0015】
その上、DC/DC降圧変換器が二重にインタリーブされた設計のものであることは非常に好都合である。
【0016】
本発明の例示的な一実施形態は、図面に示され、以下でさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】パワーエレクトロニクスモジュールの変換器設計を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
電気回路図は、本発明によるパワーエレクトロニクスモジュール(10)の可能な構成を示し、アクティブPFCは、前記パワーエレクトロニクスモジュールの入力側で提供される。前記PFCは、欧州特許第0660498B1号明細書によるいわゆるVienna整流器と同様であるが、2つのMOSFET(一方は、高電圧側に対し、もう一方は、低電圧側に対する)があるという違いがある。
【0019】
力率制御(PFC)を有するアクティブフロントエンドは、電流の逆流を防ぐ経路(11)に追加のダイオードを有する。前記ダイオードは、ガルバニック絶縁の欠如のため必要であり、その結果、効率がより高くなる。そのような要件に対して、個別に使用される回路のみが好都合であるため、その個別に使用される回路を使用しなければならなかった。
【0020】
リンク回路の下流には、電流が間違った方向に流れないように、各電流経路の出力側にダイオードを有するDC/DC変換器がある。パワーエレクトロニクスモジュール(10)はガルバニック絶縁を有さないため、これらのダイオードは有利である。
【符号の説明】
【0021】
10 パワーエレクトロニクスモジュール
11 相
図1