特許第6708729号(P6708729)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708729
(24)【登録日】2020年5月25日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41F 17/22 20060101AFI20200601BHJP
   B41F 33/00 20060101ALI20200601BHJP
   B41M 1/02 20060101ALI20200601BHJP
   B41M 3/00 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   B41F17/22
   B41F33/00 290
   B41M1/02
   B41M3/00 Z
【請求項の数】13
【外国語出願】
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-248241(P2018-248241)
(22)【出願日】2018年12月28日
(62)【分割の表示】特願2017-530183(P2017-530183)の分割
【原出願日】2015年12月4日
(65)【公開番号】特開2019-69618(P2019-69618A)
(43)【公開日】2019年5月9日
【審査請求日】2019年1月15日
(31)【優先権主張番号】14196388.4
(32)【優先日】2014年12月4日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517193280
【氏名又は名称】ボール ビバレッジ パッケージング ヨーロッパ リミティド
(73)【特許権者】
【識別番号】515005275
【氏名又は名称】ボール ビバレッジ カン サウス アメリカ ソシエダッド アノニマ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100174942
【弁理士】
【氏名又は名称】平方 伸治
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】ヘンレク キルデ
(72)【発明者】
【氏名】ミケール ボ ハンスン
(72)【発明者】
【氏名】ブルーノ レオナルド ジュブリン
(72)【発明者】
【氏名】レアンドロ アウグスト ギリエルメ
【審査官】 長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2013/0087059(US,A1)
【文献】 特開2002−086690(JP,A)
【文献】 特表2013−544675(JP,A)
【文献】 特開平05−055798(JP,A)
【文献】 特開昭58−049256(JP,A)
【文献】 特開平09−295396(JP,A)
【文献】 特表2005−531428(JP,A)
【文献】 特開2008−230252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41F 17/00−17/38
B41F 31/00−33/18
B41M 1/00−3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒構造物上に印刷するための装置であって、
印刷シリンダと、印刷シリンダの位置又は方向を調節可能に制御するための1つ又は複数のサーボモータと、を各々が含む、複数のインクローラ装置と、
複数の印刷ブランケットを含むブランケット装置であって、前記印刷シリンダから前記印刷ブランケットにインクを転写するために各印刷ブランケットを前記印刷シリンダに接触させるように、及び、円筒構造物上への印刷を達成するために各印刷ブランケットを円筒構造物に接触させるように、構成された、ブランケット装置と、
前記円筒構造物を、前記印刷ブランケットに接触させるように及び前記印刷ブランケットとの接触から抜け出すように、搬送するための搬送装置と、
1つ又は複数の印刷シリンダから印刷ブランケット上に転写されたインクの位置合わせずれを検出するための印刷検査装置であって、位置合わせずれを検出するために前記印刷ブランケット上の前記インクを検査する、印刷検査装置と、前記印刷検査装置から受信したデータに応じて位置合わせずれを補正するために前記印刷シリンダの前記サーボモータを制御するための制御装置と、を含む、自動印刷補正システムと、
を備える、装置。
【請求項2】
前記印刷検査装置が、カメラを含む、請求項に記載の装置。
【請求項3】
前記印刷シリンダの各々が、各々のシリンダの長さ方向位置を調節可能に制御する長さ方向調節サーボモータを有し、前記長さ方向調節サーボモータが、前記制御装置によって制御される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記印刷シリンダの各々が、印刷シャフトを介して各々の長さ方向調節サーボモータに接続され、前記印刷シャフトの少なくとも一部が、各々の印刷シリンダの前記長さ方向位置を調節可能に制御するように、前記長さ方向調節サーボモータによって移動可能である、請求項に記載の装置。
【請求項5】
前記印刷シャフトの各々が、外側シャフト部材と、前記外側シャフト部材内で往復動可能な内側シャフト部材と、を含み、前記内側シャフト部材が、前記長さ方向調節サーボモータが前記内側シャフト部材を移動させることによって前記印刷シリンダの前記長さ方向位置を調節できるように、各々の長さ方向調節サーボモータ及び印刷シリンダに接続されている、請求項に記載の装置。
【請求項6】
前記印刷シリンダの各々が、回転軸周りの各々の印刷シリンダの角度方向を調節可能に制御する角度調節サーボモータを有し、前記角度調節サーボモータが、前記制御装置によって制御される、請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
駆動機構を更に備え、前記駆動機構では、前記印刷シリンダの各々が、歯車を保持する印刷シャフトに接続され、前記歯車が、前記印刷シリンダを前記回転軸周りに回転させるために前記駆動機構によって駆動され、前記角度調節サーボモータが、各々の印刷シリンダの角度方向を調節可能に制御するように、前記歯車の動作を変更するように構成されている、請求項に記載の装置。
【請求項8】
各歯車が、前記角度調節サーボモータの制御下で前記印刷シャフトに沿って摺動可能である、請求項に記載の装置。
【請求項9】
各角度調節サーボモータが、カムにしたがう1つ又は複数のカムフォロアに接続され、前記カムが、前記印刷シャフト上に配置されており、前記印刷シャフトに沿って摺動可能でありかつ前記歯車が取り付けられたハブの一部を形成する又は前記ハブに連結されている、請求項に記載の装置。
【請求項10】
前記搬送装置が、缶を、前記印刷ブランケットに接触させるように及び前記印刷ブランケットとの接触から抜け出すように、搬送するように構成されている、缶上に印刷するための請求項1〜のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記搬送装置が、前記缶を保持するための複数のマンドレルを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
円筒構造物上に印刷する方法であって、
複数の印刷シリンダにインクを塗布するために複数のインクローラ装置を動作させるステップであって、各インクローラ装置が、印刷シリンダの位置又は方向を調節可能に制御するための1つ又は複数のサーボモータを有する、ステップと、
円筒構造物上への印刷を達成するために印刷ブランケットから円筒構造物にインクを転写するステップと、
位置合わせずれを検出するために前記印刷ブランケット上のインクを検査することによって1つ又は複数の前記印刷シリンダから前記印刷ブランケット上に転写されたインクの位置合わせずれを自動的に検出し、位置合わせずれの検出に応じて位置合わせずれを補正するために前記印刷シリンダの前記サーボモータを自動的に制御するステップと、
を備える、方法。
【請求項13】
各印刷シリンダに接続された印刷シャフトと、各印刷シリンダの位置を調節可能に制御するためのリニアサーボモータと、
を更に備え、
各インクローラ装置において、前記印刷シャフトは、外側シャフト部材と、前記外側シャフト部材内で往復動可能な内側シャフト部材と、を含み、前記内側シャフト部材が、前記リニアサーボモータに直接に接続されている、円筒構造物上に印刷するための請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒構造物上に印刷するための装置、及び、円筒構造物上に印刷する関連する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
産業缶製造の分野では、完成した製品は、印刷されたしるしの形で何らかの形の装飾を必要とすることが典型的である。専門的な印刷機は、連続的な大量印刷を缶に高スループットで提供することが知られている。これらの印刷機は、当業界では一般的に「デコレータ」として知られている。現時点では、一般的な商業用として使用されている2つの主要なデコレータデザインが存在するが、小規模なさらなる製造者もある。2つの主要なデザインは、一般的に「コンコード(Concord)」機、及び「ラザフォード(Rutherford)」機として知られている。コンコード機及びラザフォード機の正確な構造の細部は異なるが、本質的には、それらは、缶に印刷するのと同じアプローチを採用している。このアプローチは、オフセット印刷の変形である。より具体的には、デコレータは複数のインクローラを備える。各インクローラは、異なる色に関連付けられており、その色のための印刷版を有している。各インクローラは、正しい色のインクを印刷版上に分配するように構成されている。印刷版は、対象になっている特定の色のための所望の画像に対応する隆起された部分を有する。例えば、6つのインクローラデコレータマシンが6色を印刷することができ、8つのインクローラデコレータマシンが8色を印刷することができることが、明らかであろう。各インクローラの印刷版からのインクは、多数のブランケットのうちの1つの表面上に転写される。その意図は、すべてのインクローラのブランケット及び印刷シリンダが、異なる色のインクが適切に位置合わせされるように、相互に位置決めされ方向付けられることである。適切な位置合わせが達成されるとき、ブランケット上の複数色のインクのパターンは、所望のしるしに対応する。デコレータマシンは、回転ブランケットホイール上に配置された複数のブランケットを備える。ホイールが回転するにつれて、所望のパターンでブランケットに転写された全てのインクを有するブランケットは、マンドレルホイール上の多数のマンドレルを典型的に使用する適切なコンベヤシステムと接触する。デコレータマシンは、各缶をブランケットと接触させて、完全な多色のしるしが缶の表面に転写されるように構成されている。
【0003】
連続的な缶印刷プロセスの間に、1つ又は複数の色のいくつかの位置合わせずれが生じることが避けられない。伝統的に、位置合わせずれの問題は、手動で修正されてきた。 より具体的には、印刷された缶の手動検査によって、いかなる位置合わせずれも検出される。位置合わせずれが特定された場合には、インクローラの手動による調節が実施されている間に、印刷を一定期間停止する必要があった。これは、少なくとも2つの理由から非効率的なプロセスである。第1に、位置合わせずれが特定されるまでに時間遅れがあり、これにより刷り損ないをもたらす可能性がある。第2に、いかなる期間にわたって連続プロセスを停止することも非効率的かつ望ましくない。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、その実施形態の少なくともいくつかにおいて、上記の問題に対処する。さらに、本発明は、印刷シリンダの位置を制御するための改良された構成を提供する。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、円筒構造物上に印刷するための装置であって、
印刷シリンダと、印刷シリンダの位置又は方向を調節可能に制御するための1つ又は複数のサーボモータと、を各々が含む、複数のインクローラ装置と、
複数の印刷ブランケットを含むブランケット装置であって、印刷シリンダから印刷ブランケットにインクを転写するために各印刷ブランケットを印刷シリンダに接触させるように、及び、円筒構造物への印刷を達成するために各印刷ブランケットを円筒構造物に接触させるように、構成された、ブランケット装置と、
円筒構造物を、印刷ブランケットに接触させるように及び印刷ブランケットとの接触から抜け出すように、搬送するための搬送装置と、
1つ又は複数の印刷シリンダから印刷ブランケット上に転写されたインクの位置合わせずれを検出するための印刷検査装置と、印刷検査装置から受信したデータに応じて位置合わせずれを補正するために印刷シリンダのサーボモータを制御するための制御装置と、を含む、自動印刷補正システムと、
を備える、装置が提供される。
【0006】
このようにして、上記の問題を解決することができる。特に、位置合わせずれの検出を迅速に行うことができる。また、印刷プロセスを中断することなく位置合わせずれを補正することができる。
【0007】
印刷検出装置は、位置合わせずれを検出するために印刷ブランケットを検査してもよい。
【0008】
代替的に、印刷検出装置は、位置合わせずれを検出するために印刷された円筒構造物を検査してもよい。さらに代替的には、印刷検出装置は、位置合わせずれを検出するために印刷シリンダを検査してもよい。
【0009】
印刷検出装置は、カメラを含んでもよい。印刷検出装置は、単一のカメラ又は複数のカメラを含んでもよい。
【0010】
印刷シリンダの各々は、長さ方向調節サーボモータを有してもよい。長さ方向調節サーボモータは、その各々の印刷シリンダの長さ方向位置を調節可能に制御してもよい。長さ方向調節サーボモータは、制御装置によって制御されてもよい。印刷シリンダの各々は、印刷シャフトを介して各々の長さ方向調節サーボモータに接続されてもよい。印刷シャフトの少なくとも一部は、各々の印刷シリンダの長さ方向位置を調節可能に制御するように、長さ方向調節サーボモータによって移動可能であってもよい。印刷シャフトの各々は、外側シャフト部材及び内側シャフト部材を含んでもよい。内側シャフト部材は、外側シャフト部材内で往復動可能であってもよい。内側シャフト部材は、長さ方向調節サーボモータが内側シャフト部材を移動させることによって印刷シリンダの長さ方向位置を調節できるように、各々の長さ方向調節サーボモータ及び印刷シリンダに接続されてもよい。実際には、商業的デコレータ装置は、長さ方向が垂直であり長さ方向調節が印刷シリンダの垂直位置を変えるように、構成されている。
【0011】
印刷シリンダの各々は、角度調節サーボモータを有してもよい。角度調節サーボモータは、回転軸周りの各々の印刷シリンダの角度方向を調節可能に制御してもよい。角度調節サーボモータは、制御装置によって制御されてもよい。
【0012】
装置は、駆動機構をさらに備えていてもよい。印刷シリンダの各々は、印刷シリンダを回転軸周りで回転させるために、駆動機構によって駆動される歯車を保持する印刷シャフトに接続されてもよい。角度調節サーボモータは、その各々の印刷シリンダの角度方向を調節可能に制御するように、歯車の動作を変更するように構成されていてもよい。歯車は、バックスラッシュ歯車(backslash gear)であってもよい。バックスラッシュ歯車は、印刷シャフトの長さ方向軸に対して所定の角度で傾斜していてもよい歯車歯を保持している。角度調節サーボモータは、バックスラッシュ歯車の長さ方向位置を調節してもよく、これは、印刷シリンダのその回転軸周りの回転調節をもたらす。このようにして、印刷シリンダの角度方向を制御することができる。
【0013】
歯車は、角度調節サーボモータの制御下で印刷シャフトに沿って摺動可能であってもよい。各角度調節サーボモータは、カムにしたがう1つ又は複数のカムフォロアに接続されてもよい。カムは、印刷シャフト上に配置されてもよく、ハブの一部を形成する又はハブに接続されてもよい。ハブは、印刷シャフトに沿って摺動可能であってもよい。歯車は、ハブに取り付けられてもよい。実際には、回転軸は、印刷シリンダの長さ方向軸に対応する。商業デコレータ装置は、回転軸が垂直軸であるように構成されている。
【0014】
装置は、缶上に印刷してもよい。搬送装置は、缶を、印刷ブランケットに接触させるように及び印刷ブランケットとの接触から抜け出すように、搬送するように構成することができる。搬送装置は、缶を保持するための複数のマンドレルを含んでもよい。缶は、アルミニウムのような金属缶でもよいし、別の材料から形成されてもよい。缶は飲料缶であってもよい。
【0015】
典型的には、制御装置は、マイクロプロセッサを使用するコンピュータ又は他のデバイス若しくはシステムを含む。制御装置は、グラフィカルインタフェースを含んでもよい。
【0016】
印刷シリンダは、主部分と、主部分に取り外し可能に取り付けられ得る印刷版と、を含んでもよい。印刷版は、磁気的な取り付けによって主部分に取外し可能に取り付けられてもよい。印刷版は、所望の印刷パターンに対応する隆起された特徴部を含んでもよい。
【0017】
任意の所望の種類のしるしが缶に印刷されてもよい。しるしは、画像、デザイン、ロゴ又は単語のうちの1つ又は複数を含むことができる。
【0018】
印刷シリンダの各々は、印刷ブランケット上に1つ又は複数の位置合わせのしるしを印刷してもよい。印刷ブランケットの各々は、1つ又は複数の対応する位置合わせの特徴部を含んでもよい。印刷ブランケット上に転写されたインクの位置合わせずれは、印刷シリンダによって印刷された位置合わせのしるしと、印刷ブランケット上の対応する位置合わせの特徴部と、の間の位置合わせずれを検出することによって検出されてもよい。位置合わせずれは、印刷された位置合せのしるし及びその対応する位置合わせの特徴部が重なる、好ましくは完全に重なるように修正されてもよい。位置合わせのしるし及び位置合わせの特徴部は、任意の都合のよい形状又は記号であってもよい。例えば、点、線又は十字を使用することができる。位置合わせの特徴部は、印刷ブランケットの縁部に向けて配置されてもよい。印刷検出装置は、位置合わせのしるし及び位置合わせの特徴部を検出するようにのみ、又は、印刷領域全体のサブセットのみを少なくとも監視するように、構成されてもよい。これにより、印刷検査システムの複雑さを軽減することができる。
【0019】
本発明の第2の態様によれば、円筒構造物上に印刷する方法であって、
複数の印刷シリンダにインクを塗布するために複数のインクローラ装置を動作させるステップであって、各インクローラ装置が、印刷シリンダの位置又は方向を調節可能に制御するための1つ又は複数のサーボモータを有する、ステップと、
印刷シリンダから印刷ブランケットにインクを転写するステップと、
円筒構造物への印刷を達成するために印刷ブランケットから円筒構造物にインクを転写するステップと、
印刷シリンダの1つ又は複数から印刷ブランケット上に転写されたインクの位置合わせずれを自動的に検出し、位置合わせずれの検出に応じて位置合わせずれを補正するために印刷シリンダのサーボモータを自動的に制御するステップと、
を備える、方法が提供される。
【0020】
位置合わせずれの自動検出と、位置合わせずれを補正するためのサーボモータの自動制御と、の両方を、連続的な印刷プロセスの一部として実行することができることは有利である。換言すれば、位置合わせずれを補正するためにプロセスを停止する必要はない。
【0021】
本発明の第3の態様によれば、円筒構造物上に印刷するための装置であって、
印刷シリンダと、印刷シリンダに接続された印刷シャフトと、印刷シリンダの位置を調節可能に制御するためのサーボモータと、を各々が含む、複数のインクローラ装置と、
複数の印刷ブランケットを含むブランケット装置であって、印刷シリンダから印刷ブランケットにインクを転写するために各印刷ブランケットを印刷シリンダに接触させるように、及び、円筒構造物上に印刷を達成するために各印刷ブランケットを円筒構造物に接触させるように、構成された、ブランケット装置と、
円筒構造物を、印刷ブランケットに接触させるように及び印刷ブランケットとの接触から抜け出すように、搬送するための搬送装置と、
を備え、
各インクローラ装置において、印刷シャフトは、外側シャフト部材と、外側シャフト部材内で往復動可能な内側シャフト部材と、を備え、内側シャフト部材は、サーボモータに接続されている、
装置が提供される。
【0022】
このようにして、印刷シリンダの位置を調節して制御するための非常に便利で正確な手段が提供される。この配置は省スペースであり、簡単なメンテナンスを許容する。さらに、既存のデコレータ装置に後付けを提供することが便利である。本発明の第3の態様は、ラザフォードタイプのデコレータに便利に組み込むことができる。しかしながら、本発明はこれに限定されず、本発明のこの態様は、他のデコレータ設計に組み込むことができる。
【0023】
以上、本発明について説明されたが、本発明は、上記の、又は、以下の説明、図面若しくは特許請求の範囲で示される特徴の任意の発明的な組み合わせにまで及ぶ。例えば、本発明の1つの態様に関連して説明された任意の特徴は、本発明の他の態様に関しても開示されていると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明による装置及び方法の実施形態は、添付の図面を参照して以下に説明される。
【0025】
図1】本発明のデコレータ装置の平面図である。
図2a】本発明の印刷シリンダ及び印刷シャフトの側面図である。
図2b】本発明の印刷シリンダ及び印刷シャフトの側断面図である。
図3】ユーザによる使用のためのグラフィカルインタフェースを示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、全体的に10で示された本発明のデコレータ装置を示す。デコレータ装置10は、複数のインクローラ12a、12b、12c、12d、12e、12fと、複数のブランケット14a、14b、14c、14d、14e、14f、14g、14hと、を備えている。ブランケットは、ブランケットホイール16上に配置される。ブランケットホイール16は、ブランケット上にインクを転写するためにブランケットをインクローラに接触させるように、回転する。ブランケットホイール16の回転はまた、缶の表面上にインクを転写するように、各ブランケットを缶18と接触させる。缶18は、コンベアシステム20によって、ブランケットに接触するように及びブランケットとの接触から抜け出すように、搬送される。図1に示される実施形態では、最大6つの異なる色のインクを使用して缶18上に印刷される完成したしるしを形成することができる6つのインクローラ12が存在する。図1に示される実施形態ではまた、デコレータ装置10は、8つのブランケット14を含む。本発明はこれに限定されず、原理的には任意の適切な数のインクローラ及びブランケットが利用され得ることが、正しく理解されるであろう。
【0027】
ブランケット、ブランケットホイール及びコンベヤの設計及び操作は、性質において本質的に従来のものであることができる。したがって、デコレータ装置10のこれらの部分について、さらに詳細な説明を提供する必要はない。インクローラは、印刷シャフトによって回転させられる印刷シリンダを含む。これらのインクローラの態様は、以下でより詳細に説明される。印刷シリンダにインクを塗布するための構成のような、インクローラの他の特徴は、性質において本質的に従来のものである。したがって、これらのインクローラの部分について、より詳細な議論は必要ない。デコレータ装置10は、カメラ22と、制御装置24と、をさらに備える。
【0028】
図2は、インクローラ12の印刷シリンダ200及び印刷シャフト202を示す。印刷シリンダ200は、その上に配置された印刷版204を有する。印刷シリンダ200は磁気的であり、印刷版204は金属から形成され、したがって、印刷版204は所定の位置に保持される。印刷版204は、印刷シリンダ200が関連付けられている特定のインクローラによって塗布されるインクの色のための印刷パターンに対応する隆起された特徴部を有する。印刷シャフト202は、外側印刷シャフト202a及び内側印刷シャフト202bを含む。外側印刷シャフト202bは、印刷シャフト202の一端に向かって形成された印刷シリンダ接触部206a、206bを有する。印刷シリンダ接触部206aは、外側印刷シャフト202aの直径よりも大きな直径の円筒状であることができる。印刷シリンダ接触部206aを有する端部と反対側の印刷シャフトの端部に向かって、外側印刷シャフト202aは、軸受座208,210を含む。軸受座208,210は、内側印刷シャフト202bを囲む軸受(図示せず)を収容する。
【0029】
印刷シリンダ200から遠位の内側印刷シャフト202bの端部は、第1のサーボモータ212に接続されている。第1のサーボモータ212はリニアサーボモータであり、このようにして内側印刷シャフト202bの長さ方向位置を調節することができる。図2bに示されるように、内側印刷シャフト202bの他端は、印刷シリンダ200に接続されている。印刷シリンダ200は、印刷シリンダ接触部206aの表面上を摺動可能なサイズにされている。当業者であれば、このようにして、第1のサーボモータ212は、印刷シリンダ200の長さ方向位置を調節することができることを理解するであろう。長さ方向軸は印刷シリンダの回転軸に対応し、実際に印刷シリンダは長さ方向に延びている。印刷シリンダ接触部206bも、印刷シリンダ200の一部に接触する。
【0030】
印刷シャフトは、ハブ216によって保持されるバックスラッシュ歯車214をさらに備える。バックスラッシュ歯車214は、従来のデコレータ装置駆動機構の一部を形成するブル歯車(図示せず)によって駆動される。カムフォロワ218,220は、カム222にしたがう。カム222は、接続部材224によってハブ216に接続されている。ハブ216は、外側印刷シャフト202aに沿って長さ方向に移動することができる。ハブ216の裏側のキー(図示せず)は、外側印刷シャフト202aに対するこの長さ方向の移動を可能にする。カムフォロワ218,220は、取付け片226に取り付けられている。取付け片226は、第2のサーボモータ228に接続されている。第2のサーボモータ228は、リニアサーボモータである。第2のサーボモータ228は、取付け片226を移動させるように制御することができ、これは、カムフォロワ218,220を移動させる。この制御された移動の効果は、ハブ216の長さ方向位置を外側印刷シャフト202aに対して調節するためのものであることが正しく理解されるであろう。これは、バックスラッシュ歯車214の長さ方向位置も調節する。バックスラッシュ歯車214は、印刷シャフト202の長さ方向軸に対して所定の角度で傾斜された歯車歯を保持する。これにより、バックスラッシュ歯車216の位置の長さ方向の調節は、印刷シリンダ200の回転方向の調節をもたらすことが正しく理解されるであろう。このようにして、印刷シリンダ200の角度方向を制御することができる。
【0031】
図1を再び参照して、カメラ22は、インクがインクローラ12からブランケットに転写された後であるが缶18への印刷が実行される前に、ブランケット14を監視するように配置されている。カメラは、ブランケットに塗布される異なる色のインクの1つ又は複数の任意の位置合わせずれを検出するために使用される。カメラ22によって得られた画像又は関連するデータは、制御装置24に入力される。単一のカメラの代わりに複数のカメラを使用することができ、これによって、より良好な3次元画像を得ることができる。制御装置24は、1つの可能な動作モードでユーザが手動で補正を行うことを可能にするグラフィカルインタフェース24aを有する。しかしながら、他の動作モードでは、本発明は、1つ又は複数のインクローラ12によって塗布されるインクの任意の位置合わせずれの自動補正を提供する。制御装置24は、カメラ22によって得られた画像を検査し任意の位置合わせずれを認識する適切なコンピュータプログラムを利用する。制御装置24及びそのコンピュータプログラムは、検出された位置合わせずれを補正するために、インクローラ12の第1及び第2のサーボモータの一方又は両方に適切な制御信号を提供するようにも適合されている。例えば、位置合わせずれが検出され、その原因がインクローラ12aによってブランケットに塗布された画像が高すぎたということが確認された場合、インクローラ12aに使用される印刷シリンダの長さ方向位置が、この位置合わせずれを補正するために低くされる。これは、内側印刷シャフトを外側印刷シャフト内で収縮させるように、インクローラ12aの印刷シリンダに関連付けられた第1サーボモータを制御することによって、実施される。これは、印刷シリンダを低くする効果を有する。他のタイプの位置合わせずれは、インクの色のうちの1つが、ブランケットの左側又は右側に対して、過度に遠くに塗布されるときに生じる。この場合、制御装置24は、どのインクローラ12が位置合わせずれの原因であるかを識別し、このインクローラ装置に関連付けられた第2のサーボモータを制御して、印刷シャフトの長さ方向軸に対するカムフォロアの位置を調節する。このようにして、必要に応じて、印刷シリンダを時計方向又は反時計方向に移動させるようにバックスラッシュ歯車の位置が調節される。このようにして、印刷シリンダの角度方向は、位置合わせずれを補正するように調節される。多数のインクが合わされる位置の外側に塗布されていることを制御装置が検出した場合、複数のインクローラの適切な補正が行われることが正しく理解されるであろう。位置合わせずれの検出及び位置合わせずれを補正するための1つ又は複数のサーボモータの適切な調節は、多くの方法で行うことができる。例えば、ルックアップテーブル又はアルゴリズムを使用することができる。他の選択肢は、人工知能を利用することである。
【0032】
図1の構成ではカメラ22がブランケットを監視するが、他の変形も可能である。例えば、カメラは、印刷が行われた後に缶の画像を撮ることができる。他の可能性は、カメラが印刷版上のマークを検査することである。この場合、印刷版の各々は、点、線又は十字等の適切な位置合わせマークを含むことができる。ブランケットは、対応する位置合わせの特徴部を有する。例えば、ブランケットが6つの異なるインクローラから6つの異なる色を受け取り、各インクローラの印刷版が位置合わせマークとしての点を有する場合、ブランケットは、各色に対して1つずつの、6つの離間した点を有する。有利には、点はブランケットの外側領域に、例えば縁部の近くに配置されることができる。色のうちの1つの印刷に位置合わせずれがある場合、これは、印刷ブランケット上の位置合わせマークと、関連する印刷版に印刷された対応するマークと、の間の位置合わせずれとして視認できる。これは容易に検出することができ、適切な補正は、関連する印刷シリンダの長さ方向位置及び/又は角度方向を調節することによって行うことができる。
【0033】
図3は、本発明と関連して使用され得るグラフィカルインタフェース300を示す。グラフィカルインタフェース300は、タッチスクリーンの形態である。タッチスクリーンは、位置合わせずれに対する調節がユーザによって実施される、手動調節モードで使用することができる。ユーザによって実施された調節は、1つ又は複数のインクローラのサーボモータの適切な制御をもたらす。
【0034】
本発明によって提供される位置合わせずれの補正は、多くの利点を有する。デコレータ装置を停止することなく、迅速に位置合わせずれを補正することが可能である。いかなる位置合わせずれをもの迅速な検出は、缶への誤印刷によって引き起こされる刷り損ないを減少させる。ブランケット(又は印刷シリンダ)上の位置合わせずれを検出するようにカメラが設定されている場合、缶に印刷されることなく位置合わせずれを検出することができるので、いかなる刷り損ないも無く位置合わせずれを検出することが可能である。 このモードは、起動ルーチンの一部として使用され得る、又は、手動修正モードの一部として位置合わせ時に抜き取り検査を実施するために使用され得る。
【0035】
印刷シリンダのサーボモータ制御の他の形態を使用することができる。例えば、参照によりその内容の全体が本明細書に組み込まれる米国特許第523591号明細書に開示されたアクチュエータシステムは、本発明によって提供される位置合わせずれ補正方法論の一部として使用され得る又は使用のために適合され得る。しかし、図1及び図2に関連して説明されたサーボモータ制御システムは、多くの利点を提供すると考えられる。これは特にラザフォードタイプのデコレータに適用でき、実際に既存のラザフォードインクローラに非常に簡単に後付けすることができる。内側印刷シャフトは、標準のラザフォード印刷シャフトの中心を通る孔を穿孔し、内側印刷シャフトを挿入することによって、提供され得る。このサーボモータは、少ない数の摩耗部品を有し、スペース効率がよい。全ての調節構成要素は、インクローラシリンダに対して内部であり、このことは、メンテナンスを容易にする。また、メンテナンスの目的でインクローラを取り外す必要がある場合には、インクローラを使用して、缶に印刷を続けることが可能である。作動は、1色少なく使用することによって実行できる、又は、代替インクローラを挿入することができる。このようにして、デコレータ装置の動作を停止させる必要無く、メンテナンスを行うことができる。
図1
図2a
図2b
図3