特許第6708733号(P6708733)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708733
(24)【登録日】2020年5月25日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】粉体塗料及び粉体塗料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09D 201/00 20060101AFI20200601BHJP
   C09D 5/03 20060101ALI20200601BHJP
   C09D 7/80 20180101ALI20200601BHJP
   C09D 7/62 20180101ALI20200601BHJP
【FI】
   C09D201/00
   C09D5/03
   C09D7/80
   C09D7/62
【請求項の数】13
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2018-514373(P2018-514373)
(86)(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公表番号】特表2018-532012(P2018-532012A)
(43)【公表日】2018年11月1日
(86)【国際出願番号】EP2016071919
(87)【国際公開番号】WO2017046296
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2018年6月28日
(31)【優先権主張番号】15185834.7
(32)【優先日】2015年9月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】517032060
【氏名又は名称】タイガー コーティングス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100128495
【弁理士】
【氏名又は名称】出野 知
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ルッツ
(72)【発明者】
【氏名】カルステン ヘルツホフ
【審査官】 上條 のぶよ
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−008641(JP,A)
【文献】 特開2001−329226(JP,A)
【文献】 特開昭50−026837(JP,A)
【文献】 特開昭53−078235(JP,A)
【文献】 特開昭52−076341(JP,A)
【文献】 特開2015−145456(JP,A)
【文献】 特開2004−353728(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/129445(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00−10/00
C09D 101/00−201/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の不透明なベース粉体塗料Bと効果顔料を含む少なくとも1種の摩砕された効果粉体塗料Aとを含む粉体塗料であって、前記効果粉体塗料Aに含まれる効果顔料が、透明に硬化する粉体塗料マトリックスにより少なくとも部分的に被覆されていることを特徴とする、粉体塗料。
【請求項2】
前記粉体塗料が、前記効果粉体塗料Aを、前記ベース粉体塗料Bとの混合物で、効果粉体塗料1〜50質量%及びベース粉体塗料50〜99質量%の質量比で含むことを特徴とする、請求項1に記載の粉体塗料。
【請求項3】
前記効果顔料がメタリック効果顔料であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の粉体塗料。
【請求項4】
前記効果顔料が真珠光沢及び/又は干渉顔料であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の粉体塗料。
【請求項5】
前記粉体塗料中に分散された前記効果顔料粒子の平均直径が元の効果顔料粒子の平均直径の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粉体塗料。
【請求項6】
透明な粉体塗料を溶融させ、溶融物中に少なくとも1種の効果顔料を混ぜ入れ、冷却及びその後の粉砕により得られた前記摩砕された効果粉体塗料Aが、前記不透明なベース粉体塗料Bとその後ブレンドされることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粉体塗料の製造方法。
【請求項7】
少なくとも1種の効果顔料が、押出プロセスの間に、少なくとも1つのサイドフィーダーを介して、透明に硬化する粉体塗料溶融物に添加されることを特徴とする、請求項6に記載の粉体塗料の製造方法。
【請求項8】
コーティング中に含まれる顔料粒子が透明なマトリックスにより少なくとも部分的に被覆されており、前記透明なマトリックスから形成された少なくとも1つのチャネルが少なくとも1種の効果顔料粒子からコーティングの表面に延びており、前記チャネルは、少なくとも5μm、好ましくは少なくとも10μm、特に好ましくは少なくとも20μmの深さを有することを特徴とする、効果粉体コーティング。
【請求項9】
前記透明なマトリックスが透明に硬化する粉体塗料であることを特徴とする、請求項8に記載の効果粉体コーティング。
【請求項10】
前記透明に硬化する粉体塗料の前記透明なマトリックス又は層が、前記硬化した膜の層厚が15μmである場合に、下にあるコーティング層又は基材を目視可能に保つのに十分な透明性を有することを特徴とする、請求項8又は9に記載の効果粉体コーティング。
【請求項11】
3つの測定角度において前記コーティングで測定された光輝強度が最大値と最大30%異なることを特徴とする、請求項8〜10のいずれか一項に記載の効果粉体コーティング。
【請求項12】
前記粉体コーティング層内に埋め込まれた効果顔料粒子が目に見えることを特徴とする、請求項8〜11のいずれか一項に記載の効果粉体コーティング。
【請求項13】
前記コーティング層内に最大で深さ60μmまで埋め込まれた効果顔料粒子が目に見えることを特徴とする、請求項12に記載の効果粉体コーティング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のベース粉体塗料Bと、効果顔料を含む少なくとも1種の効果粉体塗料Aとを含む粉体塗料、例えば穏やかな押出による透明粉体塗料の溶融物中への効果顔料の効果顔料保護分散によるかかる粉体塗料の製造、及び本発明に従う粉体塗料によって提供することのできる効果粉体コーティングに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の技術水準によれば、効果粉体塗料とも呼ばれるメタリック粉体塗料、特にRAL 9006、RAL 9007、DB塗料又は鉄雲母塗料は、いわゆる結合(bonding)又はドライブレンディング法を使用して製造される。この方法では、粉末形態で存在する粉体塗料を、効果顔料及び添加剤とともに、正確な比で秤量し、そして、その後の混合プロセスで均質化する。特に、粉体塗料として、樹脂、ポリエステル/Primid(登録商標)、ポリエステル/エポキシ混合物、純粋なエポキシ又はポリウレタン樹脂に基づく効果ベース粉体塗料が使用される。特に、アルミニウムフレーク、又は天然もしくは合成雲母、あるいはガラスに基づく顔料を、効果因子として使用することができる。それぞれの要求に応じて、これらの顔料は、単層又は多層にコーティングされており、それによって、それらは耐候性及び/又は耐薬品性にされる。非網羅的な概要を以下に示す:
− アルミニウム顔料
− 雲母顔料(真珠光沢又は干渉顔料)
− メタリック効果顔料
− 発光顔料
− ステンレス鋼顔料
− 金青銅顔料
− 銅顔料
− ガラスフレーク
− 中空ガラス球
【0003】
混合プロセスは、低周速及び短い滞留時間でミキサーにおいて単純な混合プロセスとして行うことができ、結合剤、添加剤などと、メタリック顔料粒子とがドライブレンドされる。ここでの欠点は、他の要因の中でも、比重及び静電気帯電挙動の違いによって、かかるドライブレンドが、粉体コーティングプロセスの間のメタリック顔料及び結合剤の偏析をもたらすことである。従って、メタリック顔料を含むかかる粉体塗料のリサイクル性は、この方法に従って製造された粉体塗料には付与されない。
【0004】
代わりに、いわゆる結合法では、メタリック顔料粒子の粉体塗料粒子への物理的結合は、粉体塗料のガラス転移温度が達成されるまで粉体塗料とメタリック顔料との混合物を加熱することによって達成することができる。したがって、この結合法は、例えば外部熱源又は高剪断力によってエネルギーを導入し、その結果もたらされるガラス転移点以上への粉体塗料の加熱により粉体塗料粒子の表面にメタリック顔料粒子を付着させる。
【0005】
特に屋内用途のためのいわゆるハンマー効果コーティングを得るための別の製造プロセスは、粉体塗料原料、特に樹脂、硬化剤、顔料、添加剤及び増量剤をダストフリーの又は除塵されたアルミニウム効果顔料と混合し、その後、押出、冷間圧延、粉砕及び摩砕して最終的に粉体塗料を得ることによって行われる。一般的に、この方法は、ハンマー効果及び粗い構造を有する塗料を製造するためにのみ使用され、必要とされる化学的抵抗性、例えばファサードや高耐候性システムの場合には天候の影響に対して必要とされる化学的抵抗性も、たった1つの層だけでは保証できない。そのため、かかる効果は、装飾的内装用途だけに用いられる。
【0006】
例えば、CN 101 955 720 Aに説明されているように、粉体塗料及びアルミニウム効果顔料の均質化を達成するために、無色の粉体塗料を得るための原材料の混合物が最初に秤量される。さらに、粗大なアルミニウム顔料粒子及び微細なアルミニウム顔料粒子を含む遮光性粉体塗料が調製され、すべて一緒に5〜10分間混合され、次いで押出される。この場合、顔料はプレミックス中にすでに含まれており、押出工程にかけられる。続いて、押出物は、ロール圧延により平坦にされ、冷却され、粉砕され、最後に摩砕される。
【0007】
CN 103 756 525 Aには、熱硬化性粉体塗料の製造が記載されている。この方法では、ポリエステル樹脂、硬化剤、添加剤及び雲母顔料粒子からなる原材料が高速ステンレススチールミキサーで混合され、続いて二軸スクリュー押出機で押出される。その後、このようにして得られた生成物が、冷間圧延され、粉砕され、摩砕される。この場合にも、顔料がすでに秤量されてプレミックス中に入れられており、押出プロセスの開始時に導入される。
【0008】
EP 2 896 661 A1は、効果顔料を含む粒状で硬化した形態の粉体塗料並びに効果顔料を含む粉体塗料の調製方法に関する。この方法では、特に結合剤、添加剤、着色剤及び/又は増量剤を含む出発材料から、フィルム形成性の均質な熱可塑性塗料塊が押出機により製造され、得られた塗料塊は、押出機を出た後に摩砕され、効果顔料は押出機のエンド領域で加えられ、粘性塗料塊中に分散される。効果顔料は、それにより、効果顔料粒子の表面の少なくとも50%、特に少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%が塗料塊で濡れ被覆される。最終的な粉体塗料の組成は、効果顔料粒子をコーティングするために使用される組成物と同一である。
【0009】
DE 10 200 7006 820 A1は、均一な合成樹脂層を有するメタリック効果顔料に関し、前記合成樹脂コーティングは、ポリアクリレート及び/又はポリメタクリレート並びに有機官能性シランを含む。合成樹脂層は、現場重合によってメタリック効果顔料粒子上に適用され、層を形成する。
【0010】
WO 2005/063897 A2には、化学的に、及び/又は、例えば紫外線又は赤外線の影響下で架橋可能なオリゴマー及び/又はポリマー結合剤で被覆された化学的及び機械的に耐性のメタリック効果顔料が開示されている。このようにして、メタリック効果顔料をポリマーフィルム中に埋め込むことができる。メタリック顔料の被覆の後、結合剤は依然として硬化性又は重合性であり、そのため、前記メタリック顔料は粉体塗料に使用される。コーティングプロセス又は溶媒の蒸発の間、結合剤は僅かにグラフトされ得るが、それらは硬化しない。メタリック顔料は、同じ結合剤系で被覆することができ、後で、例えば粉体塗料中に埋め込まれ、処理される。メタリック効果顔料は、有機溶媒中のオリゴマー及び/又はポリマー結合剤の溶液又は分散液中にメタリック顔料粒子を分散させ、続いてオリゴマー及び/又はポリマー結合剤の溶液又は分散液を噴霧するか、あるいは、有機溶媒中のオリゴマー及び/又はポリマー結合剤の溶液又は分散液をガス流で運ばれるメタリック顔料粒子上に噴霧し、その後、前記結合剤で被覆されたメタリック顔料粒子を移動ガス流中で乾燥させることにより製造される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
発明の要件:
粉体塗料効果、例えばファサード又は窓をコーティングするための粉体塗料効果は、暗い基本シェードで特に著しい特有の効果(いわゆる光輝効果)を提供する。より明るくてブリリアントな効果顔料と暗い基本色との間の高いコントラストのために、効果濃度の僅かな差異は、特に完成品において、特に複数の塗装されたコンポーネントを互いに直接隣接して端から端まで整列させた場合に、容易に識別できる。大きなコンポーネントの場合、従来技術のコーティングでは、望ましくない曇り又はバンディングがしばしば示されている(局所的に増加した顔料濃度のために)。さらに、異なるコーティングシステムで、又は、異なるシステム設定及び部品の幾何学的配置で行われるコーティングは、往々にして、異なるコーティング結果及びシェード/効果の形成をもたらすことがある。これらのシェードの変化は望ましくなく、単に光学的欠陥を示し、粉体塗料の保護効果を損なわないにもかかわらず、請負業者又は建築家によって不平を言われる可能性が最も高い。
【0012】
さらに、リサイクル粉末の割合は、効果粉体塗料において非常に重要である。コーティングプロセスの間、対象物に付着しない粉末は吸引濾過され、サイクロンに送られる。前記サイクロンでは、微細な画分が残りの部分から分離され、回転及び重力によって吸引される。その後、残りは計量システムで回収され、及び/又は、規定量でフレッシュな粉末にリサイクルされ、コーティングプロセスに再導入される。ドライブレンディング法により製造された効果粉体塗料では、微細メタリック効果顔料粒子が分離されてサイクロンを通じて吸引されるおそれがある。これは、いわゆる効果ドリフトに反映され、効果粉体塗料のシェードは、経時的にますます低メタリックになる。従って、リサイクルされる粉末の割合は非常に限られている。結合法によって調製された粉末では、この効果ドリフトは、顔料がプロセスによって粉末顆粒に実質的に「接着」され、したがってサイクロン空気流中で分離されないので僅かに顕著である。それにもかかわらず、適用中に再循環粉末の約30%を超えない割合を使用することが一般的である。
【0013】
発明の背後にある課題:
本発明の背後にある問題は、外観又は効果の特性が、ガンの種類、装置の設定、リサイクル粉末の割合及び部品の幾何学的配置によってほんの僅かしか影響を受けないユニークでブリリアントな効果粉体塗料の製造である。これらの絶対的にプロセスセーフで顕著なメタリック効果は、特別な奥行き効果を有し、高度に耐候性のシステムでの使用に適している。その効果は、ウェットペイントの効果と全く同等である。さらに、本発明は、ミリングされたプレミックス中に本発明に従って製造された効果顔料を含む粉体塗料に関する。
【0014】
驚くべきことに、少なくとも1種の透明な粉体塗料の溶融物中に分散された効果顔料粒子を含むミリングされたプレミックスと、効果塗料の基礎を成す粉体塗料との組み合わせが、効果顔料に作用する剪断力を、効果顔料のほとんどが粒子サイズの実質的な減少を受けないというような低レベルに保つことが見出された。かかる効果粉体塗料は、以下により特徴づけられる。
・多種多様なアプリケーションパラメータに対する高いプロセス安定性。
・特に強い奥行き効果、ブリリアント効果により特徴づけられる顕著なメタリック効果、特に、観察角に関係なく前記効果を特徴とする顕著なメタリック効果。さらに、本発明に従うメタリック粉体塗料で被覆された基材も、規定領域内で著しく少ない色の変化も示す。これらの特性は、従来技術によるメタリック粉体塗料では実現することが依然として不可能である。
・コーティング用に再利用することができるリサイクル粉末の割合の増加による粉体塗料のリサイクル性の改善、また、それによる廃棄される廃棄物の割合の削減。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の根底にある上記の問題は、少なくとも1種のベース粉体塗料Bと、効果顔料を含む少なくとも1種の効果粉体塗料Aとを含む粉体塗料であって、効果粉体塗料A中に存在する効果顔料粒子が透明な硬化性粉体塗料マトリックスにより少なくとも部分的に被覆されている粉体塗料を提供することによって解決される。効果顔料粒子を、透明で通常は無色の効果粉体塗料の溶融物中に分散させることができる。透明で通常は無色の粉体塗料として、ほとんどの場合に樹脂/硬化剤と必要な添加剤(例えば塗膜脱気用)のみからなる粉体塗料組成物が一般的に使用される。硬化した粉体塗料膜は、高い透明性(半透明性)を有する。本発明によれば、硬化した膜の層厚が15μmである場合、依然として下にあるコーティング層又は基材を目視可能に保つのに十分な透明性を有する透明粉体塗料が好ましく使用される。
【0016】
当該技術分野において知られているように、このようにして製造された粉体塗料に含まれる効果顔料粒子の分散(混合又は押出し)プロセスにおける過度の剪断応力の発生は、通常、効果顔料粒子が損傷し、所望の効果をもはや全く達成することができないか、あるいは、著しく低減された様式でのみ達成することができることを意味する。前述のリサイクル性の欠如などの多くのさらなる欠点がある。驚くべきことに、低剪断力で行われる溶融した透明な粉体塗料中への効果顔料粒子の導入は、透明な粉体塗料のポリマーマトリックス中への効果顔料粒子の非常に良好な分散/均質化を可能にするが、同時に、結合又はドライブレンディング(乾式混合)プロセスによって、粉体塗料顆粒に表面的に結合された効果顔料で得られるものに匹敵する光学的特性が得られる。この文脈において特に驚くべきことは、少なくとも2種の粉体塗料A及びBを含む粉体塗料であって、粉体塗料Aが透明な粉体塗料マトリックスによって少なくとも部分的に被覆された効果顔料粒子を含み、粉体塗料Bが本発明の意味において透明でない着色ベース粉体塗料である粉体塗料が、全ての期待に反して、例えば被覆された基材の均一な色及び効果外観(いわゆる曇り形成なし)や、とりわけ、それぞれの観察角から実質的に独立した効果画像などの顕著な効果特性を生じる。この観察角の独立性は、視覚的にだけでなく、測定によっても決定することができる。試料は、BYK(ドイツ国)製の比色計「BYKmac」を使用して分析した。この文脈で関連するものは、3つの異なる測定角度で決定される値SI(光輝強度)及びSA(光輝領域)である。測定は、結合粉体塗料により作製されたコーティングと、本発明の粉体塗料により作製されたコーティングに対して行った。類似する効果イメージにもかかわらず、表1に見られるように、有意な差がある。
【0017】
測定値は、本発明に従う粉体塗料により作製されたコーティングで測定された光輝強度が3つの測定角度全てにおいて非常に高いことを示す。測定角度間での差異はほんの僅かにすぎない(最大値より最大30%下回る)。結合粉体塗料を使用した場合には、光輝強度は、ある1つの角度でのみ高く、他の2つの角度では著しく低い。この場合、最も低い値は、同じシートに対して測定された最高値よりも、異なる測定角度で、最大90%下回る。
【0018】
この効果は、図1図9に示されているように、視覚的に確認可能でもある。ここでは、結合効果塗料でコーティングされた1つの金属シート(左側)と、本発明に従う粉体塗料でコーティングされた別の金属シート(右側)とを、互いに隣接して平行に配置し、ライトボックス内で様々な角度で撮影した。
【0019】
特定の理論に縛られることなく、本発明者らの見解によれば、観察され、測定された効果は、本発明に従う粉体塗料で得られたコーティング層において透明な粉体塗料からなるチャネルが形成されるという事実により説明することができる。このように、粉体コーティングの表面に位置する顔料粒子だけでなく、粉体コーティングの内部の深い位置にある粒子も観察者に見えるようにすることができる。この効果は、一方では、上記の視角の独立性を生じ、他方では、本発明による粉体塗料の視覚的に知覚可能な三次元(3D)又は奥行き効果を生じる。最初に又はサイドフィーダーを介して、押出プロセスの間に、効果顔料を、粉体塗料溶融物にドライブレンディング、結合又は導入することによって調製された従来技術の粉体塗料は、この効果を示さない。
【0020】
本発明の粉体塗料により作製された粉体コーティング層の断面の顕微鏡写真は、透明な粉体塗料マトリックスによるチャネル形成の上記理論を実証する。実施例で分かるように、本発明に従う粉体塗料の適切な基材への適用によって効果粉体コーティングが得られ、効果顔料粒子とコーティングの表面との間の透明マトリックスから形成されたチャネルは、少なくとも5μm、好ましくは少なくとも10μm、特に好ましくは少なくとも20μmの深さを有する。図10〜13と図14〜16との比較から明らかなように、従来技術のコーティング(図14〜16)では、コーティングマトリックスの表面に直接埋め込まれた効果顔料粒子のみが見え、一方、本発明に従う粉体塗料により得られたコーティング(図10〜13)では、透明粉体コーティングマトリックス中に埋め込まれた効果顔料粒子は、たとえそれらが本発明の粉体コーティングの表面下深くに位置していても、全て目に見える(かかる断面研磨の画像が、すでに説明した図10〜16に示されている)。目に見える粒子(増量剤又は着色顔料など)のない暗い領域は、上記の透明粉体コーティングマトリックスからなる。これらのチャネルは、粉体コーティング層中に最大で深さ60μmまで延び、粉体コーティング層内の深くに埋め込まれた顔料粒子でさえも目に見えるようにする(これらの写真では、効果顔料粒子は照明のために明るい領域として見える)。
【0021】
本発明に従う粉体塗料において、製造中に効果粉体塗料A中の効果顔料粒子に作用する剪断力は非常に低いので、ほとんどの効果顔料粒子は粒子サイズの実質的な減少を受けない。技術的な観点から、これは、例えば加熱された攪拌反応器中で、透明な粉体塗料を溶融し、溶融物中に少なくとも1種の効果顔料を混ぜ入れることによって達成することができる。その、冷却及びその後の摩砕により得られた効果粉体塗料Aは、次に、不透明な着色ベース粉体塗料Bとブレンドされる。他の技術的実施形態も本発明の範囲内で考えられる。好ましい一実施形態では、少なくとも1種の効果顔料が、押出プロセスの間に少なくとも1つのサイドフィーダーを介して透明な粉体塗料の溶融物に添加される。ここで、冷却及びその後の摩砕により前記粉体塗料溶融物から得られた効果粉体塗料Aは、その後、ベース粉体塗料Bと混合される。「サイドフィーダー」という用語は、押出機の最初のセクション(バレル1におけるプレミックスフィーダー)以外の押出機プロセスセクションにおける位置での物質(先行技術によれば、通常、添加剤又は効果顔料、例えば、押出成形業者の製造元Leistritz Extrusionstechnik GmbH(ドイツ国)“Master_V_07_GB/17.09.13マスターバッチ参照))の添加を意味する。サイドフィーダーを介して、効果顔料は横方向に強制的に搬送され押出機中に入り、透明粉体塗料プレミックスに対して一定の割合で溶融物中に組み込まれる。プロセスセクションに沿うサイドフィーダーの配置及び実装されたスクリュー構成によって、押出機中の顔料粒子に作用する剪断力に影響を及ぼすことが可能である。押出機中で作用する低い剪断力は、効果顔料粒子に最小限の損傷をもたらす。押出機溶融物を混合又は搬送する目的のみに役立つスクリュー要素の使用は、同時に十分な均質化/分散を提供しながら、本発明に従う意図されたレベルまで剪断力を減少させる。サイドフィーダーによる押出機の後部、好ましくは最後の3分の1(例えば最後から2番目のハウジング)に添加を行うことが特に有利であることが判明した。1又は2種以上の顔料に最小限のみの損傷(又は破壊)を引き起こすために、顔料の添加点から始まって、剪断力は、特別なスクリュー構成、例えば、搬送要素の排他的な使用によって可能な限り低く維持される。
【0022】
既に述べたように、本発明に従う粉体塗料では、透明効果粉体塗料Aは、押出プロセスの間に少なくとも1種の効果顔料を少なくとも1つのサイドフィーダーを介して、後で透明に硬化する粉体塗料の溶融物に添加し、冷却された溶融物を摩砕することにより調製され、効果粉体塗料Aは、次に、少なくとも1種のさらなる粉体塗料B、いわゆるベース粉体塗料と混合される。また、本発明に従う効果粉体塗料Aの押出物チップを、他の粉体塗料Bの押出物チップとともに共摩砕プロセスで共摩砕することも可能である。ベース粉体塗料Bは、効果顔料を含まない単色の粉体塗料、又は、効果顔料を含む粉体塗料であることができ、ドライブレンディング、結合又は押出によって調製される。
【0023】
既に述べたように、効果粉体塗料Aは、サイドフィーダーを介して透明な粉体塗料溶融物に効果顔料を添加することによって、押出機中で調製することができる。サイドフィーダー自体は、プロセスセクションの最後の3分の1に配置される。サイドフィーダーを通じた添加点から下流側では、押出機シャフトによって低い剪断力しか作用しない。押出プロセスに続いて、効果粉体塗料を冷間圧延し、粉砕し、摩砕する。次いで、本発明に従う粉体塗料は、透明効果粉体塗料A及びベース粉体塗料Bを含む原料を調製し秤量し、続いて予備混合、押出又は混合、冷間圧延、粉砕及び摩砕することにより製造することができる。本発明に従う粉体塗料は、次に、さらなる処理工程において、効果顔料でさらに改良することができ、当該さらなる処理工程は、特に結合法によって行うことができる。
【0024】
本発明の好ましい実施形態では、本発明に従う粉体塗料は、1〜50%の効果粉体塗料Aと50〜99質量%のベース粉体塗料Bの質量比で、特に好ましくは5〜30%の効果粉体塗料Aと70〜95%のベース粉体塗料Bの質量比で、効果粉体塗料Aを、ベース粉体塗料Bとの混合物で含む。本発明に従う粉体塗料は、いわゆるドライブレンディング又は結合法により製造できる。本発明の範囲内では、溶融相の間に、効果粉体塗料A粉末をベース粉体塗料Bと混合することも可能である。
【0025】
本発明の範囲内では、押出機がサイドフィーダーを有する限り、基本的に、市販されているいかなるタイプの押出機、例えばシングル又はマルチスクリュー押出機などを使用することができる。調整すべきパラメータ、例えばスクリュー構成、トルク及びスループットなどは、使用される粉体塗料系及び調整される粉体塗料特性に応じて柔軟に選択できるが、ただし、サイドフィーダーを通じた効果顔料粒子の添加点から下流側に作用する剪断力がそれに対応して低く保たれることを条件とする。試験した市販の押出機タイプに関して、効果顔料の添加のためのサイドフィーダーを押出機の後部3分の1に配置することが有利であることが判明した。明確さの理由から、もちろん、効果顔料以外の物質(例えば、添加剤)を1つ又は2つ以上のサイドフィーダーを介して供給することも可能であることに留意すべきである。
【0026】
有意な剪断力なしに溶融相への導入を可能にする他の実施形態も、もちろん、本発明において考えられる。
【0027】
本発明に従う粉体塗料を製造する方法は、OFI(オーストリア化学技術研究協会)指示書第44号に従ってカテゴリーCに分類される従来技術の粉体塗料の代替として特に有利であることが判明した。特に、これらは、はっきりと目に見える光輝効果を示す粉体塗料である。特に、かかる効果は、暗い基本色を有するいわゆる銀ドルの形態の35μm以上のD50を有するアルミニウム効果顔料を混合することによって達成することができる。銀ドル顔料は、特別なアルミニウムグリットから製造され、各粒径区分に従ってミリングされる。このようにして、丸い形乃至オーバル形と滑らかな表面によって特徴付けられる顔料が得られる。これらの顔料は、一般的に、非常に高い光輝度を有する。すなわち、顔料は低散乱性を示すが、光の強い反射を示す。効果顔料(明るい、銀色)と基本色との間のコントラストがより高いほど、これらの効果塗料は、製造及びエンドユーザによる取り扱いの点でより難しくなる。
【0028】
コーティングを作製するために使用される場合、本発明に従う粉体塗料は、単色粉体塗料と同様に挙動する。例えば曇りやバンディングなどの大きなコンポーネントに共通する現象は発生しないし、効果顔料がエッジに蓄積することによって生じる、様々なプロファイル及びサイズでのエッジの典型的なブライトニングも生じない。これは、先行技術の効果粉体塗料より顕著な改善を構成する。
【0029】
本発明に従う粉体塗料で被覆される特定の基材は、特に、前処理及び/又は清浄化/脱脂されたアルミニウム合金又は鋼及びその合金である。
【0030】
本発明に従う粉体塗料は、それらの化学組成にかかわらず、剪断力により顔料粒子に大きな損傷を与えずに、1又は2種以上の効果顔料が溶融相に添加されることを特徴とする。しかしながら、より詳細な説明については、典型的な粉体塗料系をここで説明する。さらなる情報は、例えばPowder Coatings-Chemistry and Technology、第3版、Emmanouil Spyrouに見ることができる。
【0031】
粉体塗料:
本発明による粉体塗料用の潜在的結合剤としては、飽和系及び不飽和系が挙げられる。後者は、とりわけUV照射により及び/又は例えば過酸化物などの熱開始剤によりラジカル的に架橋することができる。量的には、前者が現在最も一般的に使用されている。これらの結合剤の中でも、飽和ポリエステルが最も重要な役割を果たしている。例として、2または3つ以上の官能価を有するカルボキシル官能性ポリエステル樹脂をここに挙げる。これらは、ポリエステルのカルボキシル基と反応して共有結合を生成することができる有機化合物により架橋結合されることができ、必要に応じて従来の顔料、増量剤及び添加剤と混合され得る。
【0032】
1970年代から、カルボキシル官能性ポリエステル樹脂及び多官能性エポキシ化合物トリグリシジルイソシアヌレート(=TGIC)に基づく粉体塗料は、ファサード構造、自動車付属品及び一般工業用途用の耐候性コーティングの製造の業界標準として認識されている。
【0033】
とりわけ、カルボキシル官能性ポリエステル樹脂のための硬化剤としてのTGICの可能な代替物は、β−ヒドロキシアルキルアミド、例えば、両方ともスイスのEMS Chemieから入手可能なPrimid(登録商標)XL−552(=ビス[N,N’−ジ(β−ヒドロキシエチル)]アジパミド)又はPrimid(登録商標)QM−1260(=ビス[N,N’−ジ−(β−ヒドロキシプロピル)]アジパミド)などにより代表される。これらの硬化剤の特別な特徴は、現在の知見によれば、毒物学的な無害であることである。
【0034】
カルボキシル官能性ポリエステル樹脂用の硬化剤としてのTGICのさらに可能な代替物は、例えば、芳香族又は脂環式ジカルボン酸のグリシジルエステルであり、類似の化学構造を有する好適な市販の硬化剤は、ドイツ国のCIBA Spezialitatenchemie GmbHから入手可能なAraldit(登録商標)PT 910(テレフタル酸トリグリシジルエステル/トリメリット酸トリグリシジルエステル、約75:25)である。Araldit(登録商標)PT 910中の三官能性トリメリット酸エステルの存在は、焼付けコーティングの架橋密度に関して純粋なジグリシジルエステルと比較して有利であると考えられる。
【0035】
上記の製品は全て、カルボキシル官能性ポリエステル樹脂から製造された粉体塗料の配合においてますます重要となっているが、TGICは依然として多くの市場で普及可能である。ポリエポキシド及び/又はβ−ヒドロキシアルキルアミドにより硬化される耐候性粉体塗料を製造するためのポリエステル樹脂は、一般的に、ポリエステル1g当たり15〜70mg KOHの範囲内の酸価及びポリエステル1g当たり10mg KOH以下のヒドロキシル価を有する。それらは、基本的に、例えばテレフタル酸及びイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸の単位から成り、これに加えて、少量の、例えばアジピン酸及び/又はシクロヘキサンジカルボン酸などの脂肪族及び/又は脂環式ジカルボン酸が任意に使用され、脂肪族ジオールの中でも、特に好ましくは分岐したもの、例えばネオペンチルグリコールであり、さらに線状及び/又は脂環式ジオールが使用される。ヒドロキシカルボン酸又はその官能性誘導体、例えばそれらの内部エステル(=ラクトン)などの併用も可能である。また、二量体及び三量体脂肪酸の使用によるかかる樹脂の改質も知られている。それに加えて、より少量の三官能性又はより高官能性の化合物、場合によっては一官能性の化合物を使用してもよい。
【0036】
当業者に知られている他の粉体塗料、例えばエポキシ、ハイブリッド、ウレタン及びアクリレート塗料は、本発明に従う効果粉体塗料のさらなる実施形態として、例示のためにここで言及する。
【0037】
粉体塗料用の効果顔料:
本発明に従う効果顔料としては、主に2つのタイプの顔料、すなわちアルミニウム顔料及び雲母顔料が使用される。真鍮及び銅顔料も使用できる。
【0038】
効果顔料は、メタリック効果顔料及び特殊効果顔料に細分される。
【0039】
メタリック効果顔料は、金属、特にアルミニウム製の小板状体に基づく。光はメタリック表面によって反射され、これはメタリック効果として観察者によって知覚される。
【0040】
重要なメタリック効果顔料は、アルミニウム、真鍮及び銅の小板状体である。
【0041】
真珠光沢顔料及び干渉顔料は、特殊効果顔料という用語の下にまとめられる。真珠光沢顔料は、高屈折率を有する透明な小板状体からなる効果顔料である。真珠光沢顔料は、多重反射によって真珠様効果を生じる。干渉顔料は、着色効果が完全に又は主に干渉に基づく効果顔料である。干渉顔料は、透明又は不透明な小板状体に基づくことができる。業界で最も一般的に使用されているものは、金属酸化物で被覆された雲母顔料であり、コーティングのタイプ及び厚さに応じて真珠光沢顔料又は干渉顔料として分類される。最も重要な干渉顔料は小板状の二酸化チタン、小板状の有機顔料、金属酸化物雲母顔料、酸化アルミニウムフレーク、Ca/Alホウケイ酸フレーク、シリカフレーク、金属酸化物で被覆された金属フレーク又は多層顔料である。これらの顔料の多くは、金属酸化物(例えば、二酸化チタン)でさらに被覆されている。色効果は、酸化物被膜の厚さによって影響され得る。例示的な商品名は、Iriodin(登録商標)、Miraval(登録商標)又はColorstream(登録商標)である。
【0042】
天然雲母に基づく顔料は、一般的に、摩砕、分別、洗浄及び再被覆、乾燥及び焼成により、天然の白雲母から製造される。
【0043】
顔料の効果は、メタリック効果顔料の場合には規則的な反射の原理に基づき、真珠光沢顔料の場合には規則的な反射及び干渉に基づく。
【0044】
全ての効果顔料は、それらの効果が観察角に大きく依存する点で共通する。視覚的な比較では、これは観察する試料を傾けることによってシミュレートされる。したがって、色測定は多角度測定装置を用いる場合だけ妥当である。
【0045】
本発明の好ましい一実施形態では、本発明に従う粉体塗料中に分散された効果顔料粒子の平均直径は、元の効果顔料粒子の平均直径の少なくとも90%に相当する。タイプに応じて、効果顔料(通常、顔料小板状体の形態で存在する)は、通常、約3〜100μmの直径を有し、各小板の厚さは1μm未満である。小板状体は、1つ又は2つ以上の層から構成されてもよい。担体材料は、結晶性(例えば、雲母)又は非晶質(ガラス又はシリカの小板状体)であることができる。良好な効果の画像を得るためには、粒子は可能な限り高い表面平滑性を有していなければならず、各用途で整列すると考えられる。
【0046】
メタリック効果顔料は、さらに、リーフィング顔料又は非リーフィング顔料に細分される。
【0047】
特殊な表面処理の結果、リーフィング顔料は、硬化したフィルム中の表面に配向し、それによって強いメタリック光沢を生じる。しかし、この効果は、耐引っかき傷性又は耐汚れ性ではなく、ほとんどの場合、保護クリアコーティングを有するオーバーコートを必要とする。
【0048】
非リーフィング顔料は、適用時にフィルムマトリックス中に均一に分布し、顔料の一部のみが表面に配向され、摩耗及び化学的攻撃に対する保護を構成する。しかし、それらの効果は、リーフィング顔料で得られる効果よりも低ブリリアント及び低メタリックである。
【0049】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1図1:効果色の見積もり、RAL 9007、光沢あり、傾斜角約0°。
図2図2:効果色の見積もり、RAL 9007、光沢あり、傾斜角約45°。
図3図3:効果色の見積もり、RAL 9007、光沢あり、傾斜角約75°。
図4図4:グレーのマットメタリック、傾斜角約0°。
図5図5:グレーのマットメタリック、傾斜角約45°。
図6図6:グレーのマットメタリック、傾斜角約75°。
図7図7:ダークグレーのマットメタリック、傾斜角約0°。
図8図8:ダークグレーのマットメタリック、傾斜角約45°。
図9図9:ダークグレーのマットメタリック、傾斜角約75°。
図10図10:本発明に従う粉体塗料を用いて作製されたコーティング層の断面。顔料粒子(明るい棒状部)は、透明、半透明粉体塗料のチャネル内に位置しており、そのため、不透明な着色粉体塗料が目に見える。基板(明るいアルミニウムシート)は当該コーティング層の右側に見え、一方、緻密な暗色の埋封材料は左側に見える。
図11図11:透明コーティングのチャネルは、コーティング層中に約60μmの深さまで延びており、そのため、その中に埋め込まれた顔料は、表面を見たときに目に見える。
図12図12:顔料は、表面より約10μm下方に位置し、透明粉体塗料中に埋め込まれており、そのため目に見える。
図13図13:顔料は透明コーティング中に最大25μmの深さまで埋め込まれている。全面にわたって、不透明な着色コーティングが見える。
図14図14:押出プロセスの間に着色不透明コーティング中に顔料が導入された、粉体塗料で作製された試料の断面。顔料はコーティングマトリックス中に深く埋め込まれており、目に見えない。
図15図15:顔料が結合によって着色不透明コーティングに混合された粉体塗料により作製された試料の断面。顔料はコーティングマトリックス中に深く埋め込まれており、目に見えない。
図16図16:顔料が結合によって着色不透明コーティング中に混合された粉体塗料により作製された試料の断面。顔料粒子の一部は表面に存在し、目に見え(効果因子)、一方、残りの顔料粒子はコーティングマトリックス中に位置し、そのため目に見えない。
図17図17:混合要素を備えた押出機スクリュー。
図18図18:結合した顔料、倍率200倍;顔料はほんの僅かに損傷しただけである(結合ミキサー内で作用する剪断力のために)。
図19図19:アルミニウム顔料、押出プロセスに導入、プレミックスとともに直接添加;顔料粒子の大部分が破壊されている。
図20図20:アルミニウム顔料、押出プロセスの間に導入、サイドフィーダーを介して添加、図17に示したとおりの混合要素を有するスクリュー構成、顔料粒子はほんの僅かに剪断されただけである。
図21図21:ドライブレンディング法により混合されたアルミニウム顔料。
図22図22:アルミニウム顔料、サイドフィーダーを介して押出プロセスの間に導入、低剪断力、押出機の後部3分の1に配置されたサイドフィーダー、サイドフィーダー入口から下流側に搬送エレメントを有するスクリュー構成。
図23図23図22との比較のため、顔料ドライブレンド、混合(剪断力なし)、倍率100倍;顔料粒子は丸い形又はオーバル形であり、小さな顔料断片はほんの僅かである。
図24図24:サイドフィーダーを介して押出プロセスの間に組み込まれた顔料、倍率100倍、顔料の大部分はまだ丸い形/オーバル形であり、断片はほんの僅かである。
図25図25:押出プロセスの始めに導入された顔料、倍率100倍、顔料粒子の不規則な形状、多数の小さな断片。
図26図26:粉体塗料チップの画像、サイドフィーダーを介して導入された顔料、倍率200倍(押出機及び冷却ロールを出た直後に評価された粉体塗料チップ(圧延してウェハとし、冷却し、機械的に粉砕)。
図27図27:粉体塗料チップ、押出プロセスの始めに導入された顔料、倍率200倍(押出機及び冷却ロールを出た直後に評価された粉体塗料チップ(圧延してウェハとし、冷却し、機械的に粉砕)。
図28図28:顔料マスターバッチ(無色顔料)、サイドフィーダーを介して添加、倍率200倍(顔料を透明な粉体塗料に押し出し、摩砕し、アルミニウムシート上にコーティングし、焼き付けた)。
図29図29:顔料マスターバッチ、押出プロセスの始めに添加、倍率200倍(顔料を透明な粉体塗料に押出し、摩砕し、アルミニウムシート上にコーティングし、焼き付けた)。
【実施例】
【0051】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0052】
本発明による粉体塗料は、例えば、2つの成分からなり、一方の成分は透明効果粉体塗料Aであり、他方の成分は不透明な着色ベース粉体塗料Bである。
【0053】
実施例1:
900部のCrylcoat(登録商標)4642−3又は同等のポリエステル、47部のPrimid(登録商標)XL−552、5部のRichfos(登録商標)626、3部のベンゾイン、5部のWorlee(登録商標)Add 902、5部のLicowax C Micropowder PM及び2部のTinuvin(登録商標)から透明で無色の粉体塗料を調製した。重量測定供給により、このプレミックスを二軸スクリュー押出機(例えばZSK 27)に計量供給し、粉体塗料製造に適したスクリュー構成で溶融し、次いで分散させた。かかる構成は、当業者に知られている。押出機のプロセスセクションの最後の3分の1において、5部のアルミニウム粉末PCU5000を、二軸サイドフィーダー及び重量測定供給装置によって添加した。サイドフィーダーから下流側のスクリュー構成は、図17に例示的に示されている。押出機内の温度は、好ましくは120℃未満に保たれる。次に、摩砕粉体塗料(80μm未満のD50)を得るために、液状押出物を冷間圧延し、衝撃ピンミルで粉砕した。
【0054】
顔料のサイズ(D50又は平均値)は、所望の効果に依存し、3μm〜130μm、好ましくは35μm〜90μmの間で変わり得る。透明マスターバッチ中に存在する全量に対する効果顔料の重量割合は、1重量%〜40重量%、特に2重量%〜10重量%であることができる。
【0055】
不透明な着色ベース粉体塗料Bは、上記と同様にして調製され、上記の原料に加えて、着色顔料及び増量剤も含有するが、メタリック/効果顔料は含有しない。
【0056】
以下の混合物は、ベース粉体塗料Bのための例示的配合物とみなすことができる:680部のCRYLCOAT(登録商標)4655−2、36部のPrimid(登録商標)XL−552、5部のWorlee(登録商標)Add 902、8部のLanco Wax TF 1890、18部のPowder Add 9083、2部のPigment Red 101、10部のPigment Brown 24、7部のPigment Black 7、24部のチタンTS−6200、及び210部のPortaryte B15を混合した。
【0057】
続いて、2種のミリングされた成分(効果粉体塗料A及び着色不透明ベース粉体塗料B)をドライブレンディングによって20〜80の比率で混合した。混合は、ドライブレンドミキサー又は結合ミキサーのいずれかで行われる。
【0058】
図17は、サイドフィーダーを介しての添加点から下流側の混合要素に備えられた押出機スクリューを示す。
【0059】
本発明に従う粉体塗料中の顔料小板状体は、ほんの僅かに剪断、曲げ又は切断されただけであり、それらの元の効果(光の反射及び光輝効果)は維持された。このようにして、例えば、押出機冷却溶融物(分散されたメタリック顔料を含有する透明粉体塗料溶融物)の顕微鏡写真に基づいて、添加の時間及び使用されるスクリュー構成の影響を決定することが可能である。
【0060】
図2図6の顕微鏡写真は、高剪断力及び低剪断力による種々の分散プロセスの効果を示す。この目的のために、約55μmのD50を有するアルミニウム顔料を、結合、ドライブレンディング又は押出により暗色粉体塗料(より良好な視覚的表現のために)に導入した。
【0061】
図18は、結合によって本発明に従う粉体塗料に顔料が導入された、硬化した粉体塗料膜の倍率200倍での入射光顕微鏡画像を示す。結合ミキサー内で作用する低い剪断力のために、顔料はほんの僅かしか損傷しない。
【0062】
図19は、比較として、押出によって粉体塗料に顔料が導入された、硬化した粉体塗料膜の倍率200倍での入射光学顕微鏡画像を示す。顔料は、プレミックスで、押出機に直接供給した。顔料の大部分が損傷した(ハンマー効果)。
【0063】
図20も、同様に押出によって粉体塗料に顔料が導入された、硬化した粉体塗料膜の倍率200倍での入射光学顕微鏡画像を示すが、顔料は、サイドフィーダーを介して添加された。スクリュー構成及び混合要素を図1に示すように配置した。顔料がほんの僅かに剪断されただけであることがはっきりと分かる。
【0064】
図21も、硬化した粉体塗料膜の倍率200倍での入射光顕微鏡画像を示すが、この場合には、アルミニウム顔料がドライブレンディング法によって混合された。顔料がほんの僅かに剪断されただけであることもはっきりと分かる。
【0065】
最後に、図22は、押出機の後部3分の1に配置されたサイドフィーダーを介して押出プロセスの間にアルミニウム顔料が導入された、硬化した粉体塗料膜の倍率200倍での入射光顕微鏡画像を示す。スクリュー構成は、サイドフィーダー入口から下流側の搬送要素を特徴とする。ここでもまた、顔料がほんの僅かに剪断されただけであることがはっきりと分かる。
【0066】
本発明の範囲内では、押出機のプロセスセクションのエンド部に配置された少なくとも1つのサイドフィーダーを介して少なくとも1種の顔料を添加することによって、かかる顔料がほんの僅かに剪断され粉砕される程度に剪断力を減少させることができることが見出された。アルミニウム銀ドル顔料(Eckart、PCU 5000、約55μmのD50)を用いて行った実験は、効果顔料の平均直径が元の顔料(ドライブレンドとして混合)の平均直径と比較してほんの僅かに変化しただけであることを示している。効果の程度を決定するために、いくつかの顕微鏡写真を撮影し、粒子を測定した。粉体塗料の最終的効果に対する剪断力の影響の比較及び容易な視覚的評価のために、黒色の高光沢粉体塗料で試験を行った。これらの試験において、押出プロセスの始めから顔料が押し出されるか、又は、押出プロセスの間にサイドフィーダーにより顔料が押し出されたら、溶融物を冷却し、摩砕し、粉体塗料の形態で金属シートに適用し、最後に焼き付けた。比較のために、得られた結果を視覚的に、また入射光学顕微鏡法によって評価した。さらに、少なくとも部分的に本発明の目的を達成する、押出による透明塗料への導入に関する試験を行った。粒径に関する測定は、冷間圧延された粉体塗料チップで行い、その一方で、前記摩砕された塗料で被覆された試料シートで行った。
【0067】
図25から、多くの顔料がもはや元の丸い形状を有さず、その断片のみが認識できることは明らかである。顕微鏡による評価から、押出機の入口で他の全ての原料と共に添加すると、効果顔料又はその断片は、出来上がった押出物又は硬化コーティング中にそれらの元の直径の約50%しか保持しないことが示された。顔料がサイドフィーダーを介して計量供給され、続いて低い剪断力に曝された場合(図17のスクリュー構成を参照)、平均直径はほんの僅かに変化しただけであった。測定結果は、次の表に記載されている。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
いくつかの記録及び測定値を図23〜29に示す。これらの図から、顔料粒子は、押出プロセスの始めに導入された場合に著しく損傷されることも明らかである。図23〜25は、完成したミルド粉末(milled powder)で被覆された金属シートを示す。
【0071】
図23は、効果顔料がドライブレンディング(剪断力なし)により混合された粉体塗料により作製されたコーティングの倍率100倍での顕微鏡写真を示す。効果顔料粒子は元の丸い形又はオーバル形を保った。
【0072】
図24は、押出プロセスの間にサイドフィーダーを介して透明粉体塗料中に効果顔料が導入された本発明に従う粉体塗料により作製されたコーティングの倍率100倍での顕微鏡写真を示す図である。顔料粒子の大部分はまだ丸い形/オーバル形であり、ほんの僅かな断片しか存在しない。
【0073】
図25は、効果顔料がプロセスの始めに押出機に供給され、共押出された比較用粉体塗料により作製されたコーティングの倍率100倍での顕微鏡写真を示す。粒子の形状は不規則的であり、多くの小さな断片が存在する。
【0074】
図26〜29の写真は、押出機及び冷却ロールから出た直後に評価された粉体塗料チップを示す(圧延してウェハとし、冷却し、機械的に粉砕)。
【0075】
図26は、効果顔料がサイドフィーダーを介して押出機に供給されることにより混合された、本発明で使用した粉体塗料チップの倍率200倍での顕微鏡写真を示す。
【0076】
図27は、効果顔料がプロセスの始めに押出機に供給され、共押出された、比較用の粉体塗料チップの倍率200倍での顕微鏡写真を示す。
【0077】
図28は、効果顔料がサイドフィーダーを介して押出機に供給されることにより混合された、本発明に従うマスターバッチ効果粉体塗料A(透明粉体塗料中の顔料)の倍率200倍での顕微鏡写真を示す。
【0078】
図29は、比較として、効果顔料がプロセスの始めに押出機に供給され、共押出された、比較用マスターバッチ(透明粉体塗料中の顔料)の倍率200倍での顕微鏡写真を示す。
実施例:
【0079】
【表1】
本発明に関連する発明の実施態様の一部を以下に示す。
[態様1]
少なくとも1種のベース粉体塗料Bと効果顔料を含む少なくとも1種の効果粉体塗料Aとを含む粉体塗料であって、前記効果粉体塗料Aに含まれる効果顔料が、透明に硬化する粉体塗料マトリックスにより少なくとも部分的に被覆されている、粉体塗料。
[態様2]
前記粉体塗料が、前記効果粉体塗料Aを、前記ベース粉体塗料Bとの混合物で、効果粉体塗料1〜50質量%及びベース粉体塗料50〜99質量%の質量比で含むことを特徴とする、態様1に記載の粉体塗料。
[態様3]
前記効果顔料がメタリック効果顔料であることを特徴とする、態様1又は2に記載の粉体塗料。
[態様4]
前記効果顔料が真珠光沢及び/又は干渉顔料であることを特徴とする、態様1又は2に記載の粉体塗料。
[態様5]
前記粉体塗料中に分散された前記効果顔料粒子の平均直径が元の効果顔料粒子の平均直径の少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%であることを特徴とする、態様1〜4のいずれか一項に記載の粉体塗料。
[態様6]
透明な粉体塗料を溶融させ、溶融物中に少なくとも1種の効果顔料を混ぜ入れ、冷却及びその後の粉砕により得られた前記粉体塗料Aが、ベース粉体塗料Bとその後ブレンドされることを特徴とする、態様1〜5のいずれか一項に記載の粉体塗料の製造方法。
[態様7]
少なくとも1種の効果顔料が、押出プロセスの間に、少なくとも1つのサイドフィーダーを介して、透明に硬化する粉体塗料溶融物に添加されることを特徴とする、態様6に記載の粉体塗料の製造方法。
[態様8]
コーティング中に含まれる顔料粒子が透明なマトリックスにより少なくとも部分的に被覆されており、前記透明なマトリックスから形成された少なくとも1つのチャネルが少なくとも1種の効果顔料粒子からコーティングの表面に延びており、前記チャネルは、少なくとも5μm、好ましくは少なくとも10μm、特に好ましくは少なくとも20μmの深さを有することを特徴とする、効果粉体コーティング。
図1
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