(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708735
(24)【登録日】2020年5月25日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】プロセス変数トランスミッタ
(51)【国際特許分類】
G01N 27/12 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
G01N27/12 G
【請求項の数】26
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-516442(P2018-516442)
(86)(22)【出願日】2016年9月19日
(65)【公表番号】特表2018-533004(P2018-533004A)
(43)【公表日】2018年11月8日
(86)【国際出願番号】US2016052438
(87)【国際公開番号】WO2017058545
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2018年4月9日
(31)【優先権主張番号】14/871,884
(32)【優先日】2015年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092772
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 清孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119688
【弁理士】
【氏名又は名称】田邉 壽二
(72)【発明者】
【氏名】マッコイ,スティーヴン,ジョン
【審査官】
北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】
特表2003−508742(JP,A)
【文献】
特開2005−265746(JP,A)
【文献】
特開昭56−112637(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/191619(WO,A1)
【文献】
実開昭58−186461(JP,U)
【文献】
特表2013−521496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00 −27/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業プロセスで使用されるプロセス変数トランスミッタであって、
内部にキャビティが形成され、前記キャビティを第1および第2キャビティに分割するバリアを含むハウジングと、
産業プロセスのプロセス変数を測定するように構成された第1キャビティ内の測定回路と、
プロセス制御ループに接続するように構成された、第2キャビティ内の端子ブロックアセンブリと、
前記ハウジングの第2キャビティ内に配置され、当該第2キャビティ内の導電性水分の存在を検知するように構成され、前記第1および第2キャビティの少なくとも一方の中の導電性水分に基づいて変化する電気的特性を有するモイスチャーセンサとを具備し、
前記モイスチャーセンサは、第2キャビティ内の導電性水分が、端子ブロックの電気端子に到達するよりも前にモイスチャーセンサに接触するように配置されたプロセス変数トランスミッタ。
【請求項2】
前記第2キャビティ内では、水位が水分量に応じたレベルに堆積し、
前記モイスチャーセンサは、前記第2キャビティ内で水位が電気端子に到達する前にモイスチャーセンサに到達するように配置されたことを特徴とする請求項1に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項3】
モイスチャーセンサが前記第1キャビティ内に更に配置されたことを特徴とする請求項1または2のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項4】
前記モイスチャーセンサが前記第2キャビティ内の前記端子ブロックに取り付けられた請求項1に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項5】
前記モイスチャーセンサが導体とリターンパスとの間のインピーダンスを測定するように構成された請求項1に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項6】
前記リターンパスが前記ハウジングを介して提供される請求項5に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項7】
前記モイスチャーセンサが、第1および第2のモイスチャーセンサ電極を備え、そのインピーダンスが導電性水分の存在に基づいて変化する請求項1に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項8】
前記モイスチャーセンサの前記電気的特性を監視するように構成された電気回路を含む請求項1に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項9】
前記電気的特性がインピーダンスを含む請求項8に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項10】
前記電気回路がトグル出力を提供する請求項8に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項11】
トグル数が前記第1および第2キャビティの少なくとも1つに存在する導電性水分の量に関連する請求項10に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項12】
前記トグル出力に基づいて導電性水分を検出するように構成されたマイクロプロセッサを含む請求項10に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項13】
前記モイスチャーセンサの前記電気的特性を閾値と比較するように構成された電気回路を含む請求項1に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項14】
複数のモイスチャーセンサを含む請求項1に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項15】
前記複数のモイスチャーセンサが相互に角度をオフセットして配置された請求項14に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項16】
前記角度のオフセットが90度を含む請求項15に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項17】
前記ハウジングの前記バリアを通って前記モイスチャーセンサまで延在する電気導体を含む請求項1に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項18】
警告出力を提供するように構成された出力回路を含む請求項1に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項19】
前記警告出力が2線式プロセス制御ループ上に提供される請求項18に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項20】
前記端子ブロックが2線式プロセス制御ループに結合するように構成された請求項1に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項21】
前記警告出力は、検出された導電性水分による差し迫った故障を示す請求項18に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項22】
前記モイスチャーセンサが、第1の位置にある導電性水分の存在を検知するように構成され、第2の位置に導電性水分が存在することを検知するように構成された第2のモイスチャーセンサをさらに含む請求項1に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項23】
前記モイスチャーセンサが、回路基板上に担持された電気トレースを含む請求項1に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項24】
前記モイスチャーセンサが、前記端子ブロックアセンブリ上のネジに近接して配置された請求項1に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項25】
前記モイスチャーセンサを介して受信した干渉から前記測定回路を分離する絶縁回路を含む請求項1に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【請求項26】
前記絶縁回路がキャパシタを含む請求項25に記載のプロセス変数トランスミッタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業/工業プロセスの制御または監視システムに関し、特に、そのようなシステムにおいてプロセス変数を検出するように構成されたプロセス変数トランスミッタに関する。
【背景技術】
【0002】
プロセス変数トランスミッタは、産業プロセスの制御環境においてプロセス変数を監視するために使用される。このようなトランスミッタはプロセス流体に結合し、プロセスに関連する測定値を提供する。プロセス変数トランスミッタは、化学プラント、パルプ、石油、ガス、医薬品、食品および他の流体処理プラント内のスラリー、液体、蒸気およびガスなどのプロセスプラント内の流体に関連する1つまたは複数のプロセス変数を監視するように構成することができる。監視されるプロセス変数の例には、圧力、温度、流量、レベル、pH、導電率、濁度、密度、化学組成または流体の他の特性が含まれる。典型的には、プロセス変数トランスミッタは遠隔地の通常はフィールド内に配置され、制御室などの中央位置に情報を送信する。プロセス変数トランスミッタは、石油・ガス精製、化学ストレージタンクファーム、化学処理プラントなど、さまざまな分野でプロセス変数を検出する。多くの場合、プロセス変数トランスミッタは過酷な環境に設置されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第2011/0010120号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
いくつかのタイプのプロセス変数トランスミッタは、2つの別個の区画に分割されたハウジングを含む。1つの区画は電気回路を含み、他の区画はプロセス制御ループに結合するために使用される端子ブロックを含む。そのような構成の1つが、米国特許第5,546,804号に示されている。このような構成では、端子ブロックを含む区画には、結露、漏れ、または他の原因によって水分が集まる可能性がある。このような水分は、プロセス変数トランスミッタによって送信されるデータにエラーを引き起こし、デバイスを最終的な故障に至らしうる。そのような水分を検出するための1つの既知の技術は、プロセス制御ループの電気的特性の変化を監視することによるものである。このような技術は、例えば、Wehrsらの米国特許出願第2011/0010120号に「2ワイヤプロセス制御ループ診断を伴うプロセス変数トランスミッタ」の名称で示されており、これはRosemount社に譲渡されている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
産業プロセスで使用されるプロセス変数トランスミッタは、その中にキャビティが形成されたハウジングを含む。ハウジングは、キャビティを第1および第2キャビティに分割するバリアを有する。第1キャビティ内の測定回路は、産業プロセスのプロセス変数を測定するように構成される。端子ブロックアッセンブリは、第2キャビティ内に配置される。モイスチャーセンサは、第1および第2キャビティの少なくとも一方内の水分の存在に応じて変化する電気特性を有する。
【0006】
この要約および概要は、以下の「詳細な説明」でさらに説明する概念の選択を簡略化した形で紹介するために提供される。要約および概要は、主張された主題の重要な特徴または必須の特徴を特定することを意図するものではなく、主張される主題の範囲を決定する助けとして使用されることも意図していない。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】産業プロセスのプロセス変数を検知するように構成されたプロセス変数トランスミッタを含む産業プロセス制御システムの簡略図である。
【
図2】
図1のプロセス変数トランスミッタの簡略化した電気ブロック図である。
【
図3A】
図1に示したプロセス変数トランスミッタに使用される端子ブロックアセンブリの一構成例の正面図である。
【
図3B】
図1に示したプロセス変数トランスミッタに使用される端子ブロックアセンブリの一構成例の横断面図である。
【
図4】
図3A,3Bの端子ブロックアセンブリに近接して水分を検出するモイスチャーセンサ回路の簡略化された電気回路図である。
【
図5A】
図4に示したモイスチャーセンサ回路の出力が水分量に応じて示す電圧対時間のグラフ表示である。
【
図5B】
図4に示したモイスチャーセンサ回路の出力が水分量に応じて示す電圧対時間のグラフ表示である。
【
図6】
図1に示したプロセス変数トランスミッタの別の構成を示した斜視断面図である。
【
図7】端子ブロックアセンブリの他の構成例を示した背面斜視図である。
【
図8A】
図7に示した端子ブロックアッセンブリに電気的に接続するために使用される電気コネクタアッセンブリの分解図である。
【
図8B】
図7に示した端子ブロックアッセンブリに電気的に接続するために使用される電気コネクタアッセンブリの組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
第1キャビティと第2キャビティとに分割された内部キャビティを含むハウジングを有するプロセス変数トランスミッタが提供される。第1キャビティ内に位置する測定回路はプロセス変数を測定するように構成され、端子ブロックは第2キャビティ内に配置される。端子ブロックは、2プロセス制御ループなどの外部コンポーネントに接続するために使用される。モイスチャーセンサは第2キャビティ内に設けられ、第2キャビティ内の水分の存在を検知するように構成される。この情報を使用して、障害が発生したこと、または差し迫った障害があることを示す警告などの診断出力をオペレーターに提供できる。診断出力は、プロセス制御ループを介して送信することも、他の出力手法によって提供することもできる。
【0009】
図1は、産業プロセス制御または監視システム10の簡略図である。システム10は、プロセス流体のプロセス変数を検出するように構成されたプロセス変数センサ26を有するプロセス変数トランスミッタ12を含む。この例では、プロセス流体はプロセス配管16内に含まれるものとして示されている。プロセス変数は、流量、温度、圧力、pHなどのプロセス流体に関連する任意の特性とすることができる。プロセス変数トランスミッタ12は、ループ電流Iを流す2線
式プロセス制御ループ18に結合する。例示的な設置では、プロセス変数トランスミッタは、産業プロセスの「フィールド」内の離れた場所に配置され、例えば2線
式プロセス制御ループ18を介して中央の場所にある制御室20に結合する。この例では、制御室20が検出抵抗22および電圧源24として示されている。トランスミッタ12は、ループ電流Iが検出されたプロセス変数を表すように当該ループ電流Iを制御する。例えば、ループ電流は4mAから20mAの範囲であり得る。
【0010】
図2は、プロセス変数トランスミッタ12の一実施形態の単純化されたブロック図であり、バリア50によってシールされた第1(エレクトロニクス)キャビティ104およびシールされていな第2(端子ブロック)キャビティ106に分割されたキャビティが形成されたハウジング102を有する。端子ブロック108はキャビティ106内に配置されている。
図2は、端子ブロック108と2線式プロセス制御ループ18との間の接続を示す。2線式プロセス制御ループ18は、業界標準に従うことができ、検知されたプロセス変数に関する情報をプロセス変数トランスミッタ12によって送信するとともに、プロセス変数トランスミッタ12の電力回路に電力を供給するために使用される。このような通信規格の1つに、プロセス変数をアナログ電流レベルで代表する4-20mA通信規格がある。デジタル信号をアナログ電流レベルに変調して、HART(登録商標)プロトコルに従って追加の情報を送信することもできる。2線式プロセス制御ループは、プロセス変数トランスミッタ12に情報を送信するためにも使用できる。他のタイプのプロセス制御ループ、例えばフィールドバス規格に準拠したものを使用することもできる。さらに、プロセス制御ループ18は、情報が無線で通信される無線プロセス制御ループであってもよい。このような無線通信プロトコルの1つは、IEC 62591によるWirelessHART(登録商標)通信プロトコルである。端子ブロック108は、これらのタイプの接続に限定されず、他のタイプの電気的接続または構成要素を含むことができる。例としては、MODBUS(登録商標)シリアルプロトコル接続またはアナログおよびデジタル形式で電力および通信を提供するための他のタイプの接続が挙げられる。
【0011】
図2に示すように、第1エンクロージャ104は、測定回路62を介してプロセス変数センサ26に結合されたマイクロプロセッサ60を含む。マイクロプロセッサ60は、メモリ64に記憶された命令に従って動作し、構成情報などの他の情報を記憶するために使用することもできる。マイクロプロセッサ60は、クロック66によって決定されるクロックレートに基づいて動作し、I/O回路68を介して端子ブロック108の接続端子132に接続し、プロセス制御ループ18を介して通信する。I/O回路68は、オプションとして、プロセス変数トランスミッタ12の回路に電力を供給するために使用される電力出力を含むことができる。そのような構成の1つでは、2線式プロセス制御ループ18からの電力は、装置に完全に電力を供給するために使用される。
【0012】
また、
図2には第2の筐体106内に保持されたモイスチャーセンサ70が示されている。
図2に示す構成では、モイスチャーセンサは端子ブロック108に搭載されている。しかし、他の構成を採用することもできる。モイスチャーセンサ70は、マイクロプロセッサ60に出力を提供するように構成されたモイスチャーセンサ回路72に結合する。動作中、モイスチャーセンサ70は湿度を検知し、モイスチャーセンサ回路72に電気出力を供給する。モイスチャーセンサ回路は、出力を例えば閾値レベルと比較し、それに応答して水分の存在の表示を提供するための出力をマイクロプロセッサ60に供給する。同様に、そのような決定は、マイクロプロセッサ60によって実行されてもよい。モイスチャーセンサ70としては任意の技術を適宜に適用することができ、いくつかの技術を以下で論じる。
【0013】
典型的には、水分は比較的遅い速度で端子ブロックアセンブリ108の近くに蓄積し、水分レベルは、最終的に端子ブロック108の電気部品および端子に接触するまで時間の経過とともに上昇する。これにより、端子132間および/またはハウジング102との間に低インピーダンスパス(典型的には10kオーム未満)が生じる。一方、乾燥している端子ブロック108は、典型的には100Mオームを超える漏れ抵抗を有する。1つの構成では、湿気センサ70は、第2区画106内の水分が端子ブロックアセンブリ108の端子132に接触する前に湿気センサ70に到達するように配置される。これにより、トランスミッタ12は、差し迫った故障を示す警告出力を提供することができる。更に水または他の水分が蓄積したという指示を提供するために第2のモイスチャーセンサを使用することができる。これは、障害が差し迫っているという出力を提供するために使用できる。これにより、ループ18が損なわれて警報信号を確実に送信することができなくなるよりも前に、警報を警報信号の形で送信できるようになるようになる。センサは水分を定期的に自動的でチェックしたり、連続的にチェックしたりすることができる。モイスチャーセンサ70は、必要に応じて構成することができる。例えば、湿気インピーダンスを通る漏れ電流のリターンパスがデバイスの筐体(ハウジング)を介して提供されるシングルエンド構成を採用することができる。別個のリターンパスを提供するために2つの接続をセンサ70に適用するデュアルエンド構成も採用され得る。
【0014】
図3Aは、一実施形態に係る端子ブロックアセンブリ108の正面図であり、
図3Bは、その側面断面図である。
図3Aに示すように、モイスチャーセンサ70は、端子ブロックアセンブリ108の外縁の周りに配置される。
図3Aの構成では、端子ブロックアッセンブリは円盤形状であり、円筒形のハウジング102内に嵌合するように構成されている。センサ70の位置は、監視されるべき所望の場所における水分の存在に基づいて警告を得るために適宜選択されるべきである。
【0015】
図3Aおよび3Bの例では、センサ70はアセンブリ108の外縁の周りに配置され、端子132を取り囲むように構成される。設置構成に応じてトランスミッタ12を90度回転させることができる。
図3Aに示すように、4つの異なるセンサ70がアセンブリ108の外周の周りに90度で配置される。
図3Bの構成例では、センサ70は、より長い警告センサ70Aおよびより短い警告センサ70Bを含む。センサ70Aは、蓄積された少量の水分にも接触し、それによって水分が第2キャビティ106内に蓄積しているという早期の警告を提供するように構成される。センサ70Aは、端子132に水分が接触することを直前に検知するように配置される。センサ70A,70Bは、細長い電極などを備えることができる。センサ70A,70Bが離間した個々の構成要素として示されているが、一方の構成では、電極は端子ブロック108の外周にまたがるように構成されている。例えば、電極は端子ブロックアセンブリ108の外周に円形を完成させることができる。
【0016】
モイスチャーセンサ電極70A,70Bは、
図2に示すモイスチャーセンサ回路72に結合する。モイスチャーセンサ回路は、水分の存在によるインピーダンス変化を検出するための任意の適切な技術に従って動作することができる。
【0017】
インピーダンス測定は、好ましくは多数の前提の下で行うことができる。シャーシ接地は+/-600VDCまたは+/-600VDCの電位で行うことができる。さらに、回路とシャーシグランドとの間に50 Hzまたは60Hzのノイズが存在することがある。所望の任意の適切な測定技術を実施することができる。
図4にモイスチャーセンサ回路72の一構成例を示す。モイスチャーセンサ回路72は、単一のモイスチャーセンサで動作し、第2の電気回路は、70A、70Bのような2つのセンサに対して使用されるべきである。
図4に示すように、電界効果トランジスタM1、M2、M3は、
図2に示すマイクロプロセッサ60の制御下で動作するように構成することができる。最初に、トランジスタM1およびM2はオフであり、トランジスタM3はオンである。これは蓄積コンデンサC4を電気的に短絡し、それによって電荷を消散させる。次に、トランジスタM3およびM2がオフになり、トランジスタM1がオンになる。これにより、コンデンサC2はリターンパス102およびコンデンサC1を通って、さらに湿気センサ70の電極と接触する湿気によるインピーダンスを通して充電される。
【0018】
システムに水分が存在するとC2には大きな電荷が蓄積されるが、乾燥しているとわずかな電荷しか蓄積されない。次いで、トランジスタM3およびM1はオフにされ、トランジスタM2はオンにされる。これにより、コンデンサC2からの電荷が抵抗R7を介してC4に転送される。次いで、トランジスタM3およびM2がオフにされ、トランジスタM1が再びオンにされ、これによってキャパシタC2が再び充電される。
【0019】
トランジスタM1がオンのとき、コンパレータの入力はハイになり、コンパレータの出力はロウにドライブされる。M2がオンのとき、C4が十分な電荷を蓄積するまでコンパレータの入力はスレッショルドVtを下回る。コンパレータの出力は、その入力がVtを上回るまではハイとロウを切り替え続ける。トランジスタM1、M2のシーケンスが繰り返されるためC4は充電される。このプロセスが繰り返され、コンパレータU1に印加される電圧はサイクルごとに増加する。この電圧が基準電圧VTよりも大きいとき、コンパレータU1の出力は低レベルのままである。コンパレータ信号は、M1がオンするとハイに駆動される。これにより、カウンタへのTo_Counter信号がロウになる。M1がオフ、M2がオンになると、コンパレータ信号は最初はほぼ接地電位に駆動される。これにより、To_Counter信号がハイに切り替わる。C4が(M1、M2シーケンスの反復により)充電を続けると、コンパレータの電圧は電圧スレッショルド(約1.25ボルト)で遷移し、それによってTo_Counter信号がトグルする。To_Counterのトグル回数をカウントすることにより、充電サイクルの数が存在する水分の量を示す。トグル回数が多ければ低い漏れまたは乾燥状態を示し、トグル回数が少数(サイクル)であれば高い漏れまたは湿潤状態を表す。閾値カウントは、選択されたウェット回路条件とドライ回路条件との間を線引きするために、実験によって調整することができる。これらのステップは、水分を検出するために必要に応じて繰り返すことができる。例えば、毎分1回であり、マイクロプロセッサ60によって他のバックグラウンドタスクと共に実行されてもよい。
図5Aは、10Mオームのインピーダンスが回路72に結合されたときのコンパレータU1の出力例である。この回路では約125ミリ秒になるまでトリップしないので「ドライ」状態を示す。
図5Bのグラフにおいて、回路は20ミリ秒未満でトリップするので「ウェット」状態を示す。特に、タイミング閾値は、試験または他の何らかの手段に基づいて判定することができる。コンデンサC1およびC2は、充電パスを提供するとともに、内部測定回路をデバイスのシャーシに存在するDC電圧から分離する。この絶縁により、回路の損傷や測定ミスを防止できる。
【0020】
抵抗R7は静電気放電(ESD)または他の過渡電流源による回路の損傷を測定するために使用できる。シャーシ接地またはコンデンサC1を通る他のリターン電子回路を通るリターンパス102が示されている。金属ハウジングの場合、水分はデバイスのシャーシとセンサとの間で短絡し、導電パスにはデバイスハウジングが含まる。しかし、例えばプラスチックハウジングのような非導電性構成の場合、第2の電極を設けて、充電サイクルのための緩衝的に結合されたパスを提供することができる。
【0021】
水分警告または警報状態が検出されると、マイクロプロセッサ70は、例えばプロセス制御ループ18上に警告電流レベルを設定することによって、またはHART Communicationsなどのデジタルプロトコルを使用して状態情報を提供することによって警告出力を提供することができる。
【0022】
図6は、端子ブロックアセンブリ108の別の構成例を含むプロセス変数トランスミッタ12の部分断面図である。端子ブロックアセンブリ108は、コネクタ132をその上部に担持する端子ブロックシュラウド130を含む。シュラウド130は、バリア50に形成された凹部に取り付けられる。バリア50はまた、電気コネクタアセンブリ150を担持する。モイスチャーセンサ70は、端子ブロックアセンブリ108のハウジング130上の所望の位置に配置され、電気コネクタアセンブリ150の電気導体に電気的に接続される。図示のように、電気コネクタアッセンブリ150はバリア50を通って延び、第1キャビティ104と第2キャビティ106との間に電気的接続を提供する。さらに、この構成例では、端子ブロックアセンブリ108は、トランスミッタ12のハウジング102内に第3のキャビティを設けるように構成された内部キャビティ152を含む。
【0023】
図7は、端子ブロックアッセンブリ108の後方斜視図である。シュラウド130内の回路基板138は、電気コネクタアッセンブリ150に電気的に接続するための雌の電気コネクタ164を担持している。
図8Aは、電気コネクタアッセンブリ150の分解斜視図であり、
図8Bは、その斜視図である。コネクタアッセンブリ150は2つの半体160A、160Bにより形成され、導電ピン162がその内部で保持されている。導体ピン162は支持部164によって定位置に保持される。タブストッパ165は、電気コネクタアセンブリ150をバリア50の所定の位置に固定するように配置される。
【0024】
一実施形態によれば、端子ブロックのウェット状態を検知する検知システムは、2点間のインピーダンスを測定することによって動作する。センサ70は、空間によって分離された2つの回路基板トレースにより製造できる。湿度レベルが変化するとインピーダンスが変化する。一般的なアプリケーションでは、警告ポイントは明確に定義し、水(凝縮)がセンサを通ると警告が発生するように設定する必要がある。通常の高湿度では警告が発生しないことが好ましい。1つの構成では、センサ70は、バリア50を介してモイスチャーセンサ回路72に電気的に接続された単一の接続点を提供する。トランスミッタハウジング102が金属または他の導体で形成されている構成では、電気信号のリターンパスがハウジング102を介して提供されてもよい。電気コネクタアセンブリ150の任意の数の導体ピン162を使用して複数のセンサを提供することができる。
【0025】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明したが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、形態および詳細に変更を加えることができることを認識するであろう。本明細書で使用される用語「水分」は、性質上導電性であり、電気的構成要素を電気的に短絡することができる任意の液体または気体を含む。ここでは、2線式プロセス制御ループ18が具体的に示されているが、この構成は、無線技術を含む他の通信技術によく適している。このような構成では、I / O回路68は無線通信用に構成されている。モイスチャーセンサは、端子ブロックアセンブリ上に保持されてもよく、ハウジング102の内壁に取り付けられてもよく、または第2キャビティ106内の他の場所に配置されてもよく、第1キャビティ104内に配置されてもよい。例えば、カバーが第1キャビティ104上で十分に締め付けられていない場合、水分が第1キャビティに入る可能性がある。本実施形態の回路は、このような水分を検出するために使用することができる。
【0026】
受動的なセンサ構成がセンサ70として図示されているが、センサ70として能動的な構成要素を使用することもできる。さらに、モイスチャーセンサ回路72は、例えば端子ブロックアセンブリ108上の第2キャビティ106内に保持されてもよい。インピーダンス測定は、ハウジング102によって提供されるものなどの単一の電気接点と電気的接地との間で行うことができ、または2つの個別の電気接点の間で行うことができる。モイスチャーセンサは、水分の異なるレベルを検知し、それによって、早期警報を最終的な警報にするように配置されるか、さもなければ較正されてもよい。さらに、2つの固定レベルの警報しか具体的に論じられていないが、キャビティ106内に存在する水分の量に関連して存在する水分の量を示す任意の数の個別出力と同様に、連続出力を提供することもできる。1つの構成では、モイスチャーセンサは、端子ブロックを導線に接続するために使用される端子ブロックに取り付けられたネジに近接して配置される。1つの態様では、外部からの干渉のために他の送信器電子回路を妨害しない水分検出回路が提供される。このような干渉は、DCオフセット電圧または50または60Hzノイズなどの低周波ノイズに起因する可能性があります。分離は、この干渉を阻止するために提供されます。1つの特定の構成では、この絶縁を提供するためにコンデンサが使用される。
【符号の説明】
【0027】
10…監視システム,12…プロセス変数トランスミッタ,16…プロセス配管,18…2線
式プロセス制御ループ,20…制御室,26…プロセス変数センサ,50…バリア,62…測定回路,70,70A,70B…モイスチャーセンサ,72…モイスチャーセンサ回路,102…ハウジング,104…第1キャビティ,106…第2キャビティ,108…端子ブロック