(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708740
(24)【登録日】2020年5月25日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】堆積物形成の監視および制御のための方法および装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/64 20060101AFI20200601BHJP
G01N 21/78 20060101ALI20200601BHJP
B01D 65/10 20060101ALI20200601BHJP
B01D 65/06 20060101ALI20200601BHJP
C02F 1/44 20060101ALI20200601BHJP
B01D 61/02 20060101ALI20200601BHJP
B01D 61/12 20060101ALI20200601BHJP
B01D 61/14 20060101ALI20200601BHJP
B01D 61/22 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
G01N21/64 Z
G01N21/78 C
B01D65/10
B01D65/06
C02F1/44 D
B01D61/02 500
B01D61/12
B01D61/14 500
B01D61/22
【請求項の数】28
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-532678(P2018-532678)
(86)(22)【出願日】2016年12月21日
(65)【公表番号】特表2019-505779(P2019-505779A)
(43)【公表日】2019年2月28日
(86)【国際出願番号】FI2016050907
(87)【国際公開番号】WO2017109287
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2018年8月21日
(31)【優先権主張番号】20156009
(32)【優先日】2015年12月23日
(33)【優先権主張国】FI
(73)【特許権者】
【識別番号】508078835
【氏名又は名称】ケミラ オサケュスティオユルキネン
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピーロネン、マリヤッタ
(72)【発明者】
【氏名】ヨエンスー、イーリス
(72)【発明者】
【氏名】ヘサムプール、メールダッド
(72)【発明者】
【氏名】エクマン、ヤーッコ
【審査官】
嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−223835(JP,A)
【文献】
特表2009−524521(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0291993(US,A1)
【文献】
特開2015−009174(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00−21/83
B01D 61/00−61/58
B01D 65/00−65/10
C02F 1/44
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性流を含むプロセスにおける堆積物形成の監視のための方法であって、前記方法が監視対象受容面に水性液体の供給流を提供する方法であって、前記監視が、
前記受容面の少なくとも一部を少なくとも1つの光源で照明するステップと、
前記受容面を横切る複数の撮像位置で視覚データを、撮像装置の中に、収集するステップであって、前記撮像装置が、前記受容面を横切って移動し、前記視覚データを、前記受容面を横切る複数の撮像位置で収集する、ステップと、
前記視覚データを分析するステップと、
前記分析された視覚データから得られた情報と記憶された視覚基準データとの比較に基づいて、前記受容面に付着した堆積物の質およびタイプを分類するステップと、
前記分類に基づいて前記受容面の定量的スケーリングおよび/またはファウリング表示を計算するステップと
を含み、
前記受容面上の前記堆積物の質およびタイプの分類が、画像化された前記堆積物の、アスペクト比などの形状因子、サイズ分布または平均サイズなどのサイズ因子、平均色、色分布および明るさなどの色因子の前記記憶された視覚基準データと前記得られた視覚データを比較することによってコンピュータで行われ、
基準として使用される清浄な表面と比較して、前記受容面上の前記堆積物の前記定量的表示が、前記供給流への1つ以上の化学薬品の前記添加の自動制御のための入力パラメータとして使用される、
方法。
【請求項2】
前記方法が、
水性液体の前記供給流に、少なくとも1つのタイプの微生物を染色することができる少なくとも1つの蛍光色素を添加するステップと、
少なくとも2つの光源で前記受容面の少なくとも一部を照明するステップであって、光源の少なくとも1つが前記少なくとも1つの蛍光色素によって染色されたバイオファウリング堆積物を励起する選択波長の光を使用するステップと、
前記分析された視覚データ内の前記堆積物からの蛍光発光に基づいて、前記受容面上のバイオファウリング堆積物の前記質およびタイプを分類するステップと
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記光源の少なくとも1つが紫外線を放射している、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記受容面の前記定量的スケーリングおよび/またはファウリング表示が以下の、前記受容面の総ファウリング、ファウリング率、ファウリングのカラーマップ、および/または各ファウリングタイプの配分または割合の1つ以上に基づく、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
監視対象の前記受容面が、水性液体の前記供給流のための少なくとも1つの入口と、監視槽からの排出流のための少なくとも1つの出口とを有する少なくとも1つの監視槽に配置される、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
水性液体の前記供給流が、前記受容面上に適用されたスペーサーの少なくとも1つの層を含む前記監視槽の受容面上に導入される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記視覚データが、前記スペーサーおよび前記受容面から収集される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記監視槽が、不浸透性である受容面を有する、請求項5から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記監視槽が、半浸透性膜である受容面を有する、請求項5から7のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記半浸透性膜が、前記供給流から前記半浸透性膜を通過する浸透部分と、前記排出流を形成する濃縮部分とを生成する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記半浸透性膜が、逆浸透膜、ナノ濾過膜、限外濾過膜または精密濾過半浸透性膜を含む、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
監視対象の少なくとも2つの監視槽を提供するステップと、
前記監視槽を前記供給流および排出流に関して並列に接続するステップと、
前記少なくとも2つの監視槽の前記受容面の視覚データを収集するステップと
を含む、請求項5から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記プロセスが濾過プロセスであり、以下の生理食塩水、汽水、循環水、廃水、または工業用プロセス水のうちの少なくとも1つを処理するための逆浸透、ナノ濾過、限外濾過または精密濾過プロセスである、請求項1から12のいずれかに一項に記載の方法。
【請求項14】
前記化学薬品が、抗スケール剤、殺生物剤、凝固剤化学薬品、酸化剤、洗浄剤、ポリマーおよび/またはそれらの任意の組み合わせの群から選択される、請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
水性流を含むプロセスにおける堆積物形成を監視するための装置であって、
監視対象の受容面上への前記水性流のための少なくとも1つの供給入口と、
前記受容面の少なくとも一部を照明するのに適した少なくとも1つの光源と、
前記受容面を横切る複数の撮像位置で視覚データを収集するためにステッパモータによって前記受容面を横切って移動するように構成され、且つリニアガイドに取り付けられた撮像装置と、
前記収集された視覚データを分析するのに適したデータ処理ユニットと、
前記分析された視覚データから得られた情報と記憶された視覚基準データとの比較に基づいて、前記受容面に付着した堆積物の質およびタイプを分類するための分類アルゴリズムと、
前記分類に基づいて前記受容面の定量的スケーリングおよび/またはファウリング表示を計算するためのコンピュータルーチンとを含み、
前記データ処理ユニットが、前記受容面上の前記堆積物の質およびタイプの分類を実行できるように、前記得られた視覚データを、画像化された前記堆積物の、アスペクト比などの形状因子、サイズ分布または平均サイズなどのサイズ因子、平均色、色分布および明るさなどの色因子を含む前記記憶された視覚基準データと比較する手段を含み、
基準として使用される清浄な表面と比較して、前記受容面上の前記堆積物の前記定量的表示が、前記供給流への1つ以上の化学薬品の前記添加の自動制御のための入力パラメータとして使用される、
装置。
【請求項16】
水性液体の前記供給流に、少なくとも1つの蛍光色素を添加する手段と、
少なくとも2つの光源であって、その少なくとも1つが前記少なくとも1つの蛍光色素によって染色されたバイオファウリング堆積物を励起する選択波長の光を使用する光源と、
前記分析された視覚データ内の前記堆積物からの蛍光発光に基づいて、前記受容面上のバイオファウリング堆積物の前記質およびタイプを分類するように構成された前記分類アルゴリズムと
を含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記光源の少なくとも1つが紫外線光源である、請求項15または16に記載の装置。
【請求項18】
前記データ処理ユニットが以下の、前記受容面の総ファウリング、ファウリング率、ファウリングのカラーマップ、および/または各ファウリングタイプの配分または割合の1つ以上に基づく前記受容面の前記定量的スケーリングおよび/またはファウリング表示を計算する手段を含む、請求項15から17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
監視対象の前記受容面が、水性液体の前記供給流のための少なくとも1つの入口と、監視槽からの排出流のための少なくとも1つの出口とを有する少なくとも1つの監視槽に配置される、請求項15から18のいずれかに記載の装置。
【請求項20】
前記監視槽が、前記受容面上に適用された少なくとも1つのスペーサー層を含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記撮像装置が、前記スペーサーおよび前記受容面の両方から視覚データを収集するのに適した、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記監視槽が、不浸透性である受容面を有する、請求項17から21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
前記監視槽が、半浸透性膜である受容面を有する、請求項17から21のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
前記監視槽が、前記半浸透性膜を通過する浸透部分のための出口流と、前記半浸透膜を通過しない濃縮部分のための排出出口とを有する、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
その供給流および排出流に関して並列に接続された少なくとも2つの監視槽を含み、前記撮像装置が前記少なくとも2つの監視槽の前記受容面の視覚データを収集するのに適した、請求項17から24のいずれかに記載の装置。
【請求項26】
前記化学薬品の注入が、抗スケール剤、殺生物剤、凝固剤化学薬品、洗浄剤、ポリマーおよび/またはそれらの任意の組み合わせの群から選択される化学薬品の注入を含む、請求項15から25のいずれかに記載の装置。
【請求項27】
プラントの受容面上の不純物の凝集を、プラントにおいて、評価することを含む、請求項1から4、13から14のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
プラントの監視槽の不純物の凝集を、濾過プロセスプラントにおいて、評価することを含む、請求項5から14のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、濡れた表面上の堆積物の形成を検出し、監視し、制御するための方法および装置に関する。より具体的には、本発明は、プロセスプラントまたは専用の監視槽の表面から収集された視覚データに基づく、水集約型プロセスにおけるスケーリングおよびファウリングの検出および分類に関する。
【背景技術】
【0002】
水および廃水処理の世界的なニーズの高まりは、大規模な膜濾過プロセスの開発を推進している。特に、逆浸透(RO)技術による水の淡水化は、世界の水不足問題の解決策を提供し、1日当たり数百万立方メートルの淡水を海水から提供している。フィルター膜を供給するだけでなく、高品質化することによって、環境要求とともに微量濾過(MF)、限外濾過(UF)、ナノ濾過(NF)膜および逆浸透(RO)のような膜プロセスを魅力的なプロセスとして、これらは粒子、有機物および溶解塩を除去する従来のシステムおよび沈降プロセスを補完または置換するものである。
【0003】
膜フィルターは、例えば活性汚泥沈降プロセスを置換するような排水処理や、従来の造粒または砂濾過の代替物として、MFおよびUF前処理による逆浸透が水から塩を除去するために適用される低塩/高塩分水の両方に使用されている。
【0004】
しかし、膜および逆浸透技術の成功はファウリングの課題に直面している。ファウリングは、膜を通る浸透流を減少させ、これは膜濾過技術の適用における主な課題として認識される。無機ファウリングまたはスケーリング、コロイドファウリング、有機ファウリング、およびバイオファウリングといったいくつかのタイプの膜ファウリングがある。
【0005】
特に問題なのは、生物学的物質が発達して膜表面上に粘着性層を形成するバイオファウリングである。バイオファウリングは、膜上の細菌細胞またはフロックの堆積、成長および代謝を指す。バイオファウリングは、バイオフィルムの抵抗性および浸透圧の増加による、より高いエネルギー投入要件や、膜表面上の溶質蓄積の増加による生成水の質の低下につながるので、操作およびメンテナンスコストが大幅に増加する。
【0006】
製紙工場は、表面上の堆積物形成の問題も抱える。ファウリングは、給水管、水タンク、抄紙機の濡れた端の飛沫領域、または抄紙機の濡れた部分の金属表面に発生する可能性がある。製紙工場の堆積物はしばしば有機物であり、ピッチ、白いピッチ、または粘着物を含んでいてもよく、あるいは堆積物は無機物であってもよく、またはバイオファウリングを含んでいてもよい。
【0007】
そのような堆積物は、成長が可能になると、製紙プロセスに望ましくない有機物、無機物、およびバイオファウリング堆積物の粒子を放出し、最終製品の欠陥またはペーパーウェブの破損を招く可能性がある。
【0008】
水が流れや運搬媒体として多く使用される鉱業では、金属表面上で堆積が発生し、このプロセスで使用されるふるい、フィルターおよび膜に問題を引き起こす可能性がある。
【0009】
当分野では、影響を受けた表面および膜を洗浄および監視するための様々な手段が知られている。スケーリングおよびファウリングを低減または排除するために、供給水に化学薬品を添加することはよく知られており、例えば、大規模な濾過の重要な側面は、装置上のスケーリングおよびファウリングの蓄積を監視することである。例えば、欧州特許第2609990号を参照されたい。サービスや清掃活動の正しいタイミングおよび最適化は重要なコスト要因であり、優れた監視システムは、様々な物質の堆積および凝集を引き起こす現象について調査するための基礎でもあり、給水への化学薬品のタイミングおよび添加のような制御目的で使用される。
【0010】
定義:
逆浸透(RO)プロセス
逆浸透は、異なる溶解塩濃度を有する2つの溶液のうち、低濃度溶液から半浸透性膜を通って高濃度溶液へと水が流れる、浸透として知られる自然プロセスの改変である。逆浸透では、浸透圧より高い圧力によって、流れの方向が濃縮溶液から低濃度の溶液へと逆転する。逆浸透膜は、小さな分子サイズおよびより高い水拡散のために、水および小さな非イオン化(または非荷電)分子を容易に通過させるが、多くの他の汚染物質を止める。
【0011】
膜
逆浸透システムで使用される半浸透膜であり、高分子材料の薄膜、通常はポリアミドが布支持体上にキャストされている。膜は高い水浸透性およびイオン排除性を有していなければならない。水の移動率は、溶存イオンの移動率よりもはるかに高くなければならない。膜は、広範囲のpHおよび温度にわたって安定していなければならず、良好な機械的完全性を有していなければならない。
【0012】
スペーサー
表面から一定の距離を置いて、表面上に、本質的に表面に対して平行に配置されたメッシュ状の層。スペーサーは、金属、繊維、または他の可撓性/延性材料の撚られたストランドで作ることができる。
【0013】
堆積物の形成
堆積物の形成はスケーリングを含むことがあり、これは本書では通常無機物による無機ファウリングを意味する。堆積物はさらに有機ファウリングを含んでもよく、これは類似しているが、堆積物は主に有機物でできている。バイオファウリング、微生物学的ファウリングまたは生物学的ファウリングは、濡れた表面上に微生物、植物、藻類または動物が蓄積することによって生じる堆積物である。複数の汚染物質または複数のファウリング機構を含むファウリング(https://en.wikipedia.org/wiki/Fouling−cite_note−11)が同時に作用することを複合ファウリングと称する。複数の汚染物質または機構は相互作用してもよく、それにより相乗的なファウリングが生じるが、これは個々の成分の単純な算術的合計ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許第2609990号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明の目的は、濾過プロセスにおいてスケーリングおよび/またはファウリングを監視および制御するための改良された方法および装置を提供することである。
【0016】
水性流を含むプロセスにおける堆積物の形成を監視するための本発明による方法では、水性液体の供給流が受容面上に提供されて監視される。監視方法は、以下の、
前記受容面の少なくとも一部を少なくとも1つの光源で照明するステップと、
前記受容面をまたがる多数の位置で視覚データを収集するステップと、
前記視覚データを分析するステップと、
前記分析された視覚データから得られた情報に基づいて、前記受容面に付着した堆積物の質およびタイプを分類するステップと、
前記分類に基づいて前記受容面の定量的スケーリングおよび/またはファウリング表示を計算するステップとを含む。
【0017】
要するに、水性流は測定槽に導かれ、測定槽は、槽の適切な照明と同時に自動的に撮像される。撮像データを処理してファウリングタイプの分類を行い、各ファウリングタイプのファウリングレベルやファウリング率などのファウリングのキー変数を計算する。計算された変数は、堆積物に対して行ってもよい適切な措置を決定するために使用されてもよく、具体的には、添加する抗堆積化学薬品の種類および注入量、そのような化学薬品の組み合わせ(配合表)、もしあるなら注入点の選択などのパラメータを含む、化学処理プログラムを最適化するために使用されてもよい。
【0018】
多数の位置から収集された視覚データは、設計選択の問題として、分析ステップの前に前記受容面を表す画像と組み合わされてもよく、または画像を個別に分析し、画像に含まれる情報を組み合わせて受容面全体の堆積の理解を得てもよい。堆積物の質およびタイプの分類は、画像化された堆積物のアスペクト比などの形状因子、サイズ分布または平均サイズなどのサイズ因子、平均色、色分布および明るさなどの色因子を使用することによってコンピュータで行うことができる。
【0019】
受容面の定量的スケーリングおよび/またはファウリング表示は以下の、前記表面の総ファウリング、ファウリング率、ファウリングのカラーマップ、総ファウリング値中の各ファウリングタイプの配分または割合の1つ以上に基づいていてもよい。ファウリング変数は、例えば、局所ファウリング値、受容面上のファウリングマップ、または累積総ファウリング値に基づいていてもよい。
【0020】
一部の実施形態では、堆積の定量的表示の計算は前記分類に基づいており、供給流への化学薬品の添加を自動的に制御するための入力パラメータとして使用される。化学薬品は、抗スケール剤、殺生物剤、凝固剤化学薬品、酸化剤、またはポリマーの群から選択することができる。
【0021】
一部の実施形態では、光源の少なくとも1つは、紫外線光源および/または照明されたターゲットに蛍光発色性を生成する選択波長を含む光源である。一部の実施形態では、水性液体の供給流に微生物を染色することができる蛍光色素を添加し、次いで、一方は白色光を使用し、他方は蛍光色素を励起する選択波長の光を使用する2つの光源で表面の堆積物を交互に照明することによって、微生物を含むバイオファウリング堆積物の質およびタイプを分類することが可能である。紫外光はまた、色素を全く添加することなく、堆積物中に固有の蛍光(自己蛍光)を引き起こすことがある。
【0022】
一部の実施形態では、監視対象の受容面は、水性液体の前記供給流のための少なくとも1つの入口と、前記監視槽からの排出流のための少なくとも1つの出口とを有する少なくとも1つの監視槽内に配置される。水性液体の供給流は、監視槽の受容面上に導入され、監視槽は一部の実施形態では、前記表面上に適用されたスペーサーの少なくとも1つの層を含むことができる。その後、視覚データは、スペーサーおよび受容面の両方から収集することができる。スペーサーは、当該技術分野において周知であり、膜上に液体を分配し、調節するために使用される。
【0023】
一部の実施形態では、受容面は不浸透性であってもよい。不浸透性受容面は、鋼/金属またはプラスチックのシミュレーション工業プロセスのような固体表面であり得る。
【0024】
一部の実施形態では、受容面は半浸透性膜であってもよい。半浸透性膜は、前記半浸透性膜を通過する浸透部分と、排出流を形成する濃縮部分とを生成する。半浸透性膜は、逆浸透、ナノ濾過、限外濾過または精密濾過の半浸透性膜であってもよい。
【0025】
本発明の方法の1つの態様によれば、少なくとも2つの監視槽が設けられ、それらを供給流および排出流に関して並列に接続することによって監視し、すべての監視槽の表面から視覚データを収集する。
【0026】
本発明の様々な実施形態は、任意の水集約型プロセスで使用することができる。例えば、このプロセスは濾過プロセスであってもよく、それは海水または汽水などの塩水を処理するための逆浸透、ナノ濾過、限外濾過または精密濾過プロセスであってもよく、あるいは循環水または廃水のための濾過プロセス、あるいは製紙工程水などの工業工程水の濾過プロセスが含まれる。これは、内部水循環および生/廃水処理、パルプ・製紙工場または油および鉱業でのような水流システム、ならびに冷却水循環システムなどの他の水集約型プロセスでも使用することができる。
【0027】
本発明の1つの態様によって、水性流を含むプロセスにおける堆積物の形成を監視するための装置が提供される。本発明の装置は、
監視対象の受容面上への前記水性流のための少なくとも1つの供給入口と、
前記受容面の少なくとも一部を照明するのに適した少なくとも1つの光源と、
前記表面をまたがる多数の位置で視覚データを収集するために前記受容面をまたがって移動するように構成された撮像装置と、
前記収集された視覚データを分析するのに適したデータ処理ユニットと、
前記分析された視覚データから得られた情報に基づいて、前記受容面に付着した堆積物の質およびタイプを分類するための分類アルゴリズムと、
前記分類に基づいて前記受容面の定量的スケーリングおよび/またはファウリング表示を計算するためのコンピュータルーチンとを含む。
【0028】
一部の実施形態では、本発明の装置は、水性液体の供給流に少なくとも1種の蛍光色素を添加する手段を含む。照明には少なくとも2つの光源が使用され、そのうちの1つは使用された蛍光色素を励起する選択波長の光を使用する。分類アルゴリズムは、分析された視覚データ内の堆積物からの蛍光発光に基づいて、前記受容面上のバイオファウリング堆積物の質およびタイプを分類するように構成する必要がある。しかし、上述のように、紫外光はまた、色素を全く添加することなく、堆積物中に固有の蛍光(自己蛍光)を引き起こすことがある。
【0029】
一部の実施形態によれば、受容面上の堆積物の定量的表示の計算は、監視基準として使用される対応する清浄表面と比較した分類に基づいており、供給流への化学薬品注入の自動制御のための入力パラメータとして使用される。化学薬品注入には、抗スケール剤、殺生物剤、凝固剤化学薬品、酸化剤、またはポリマーの群から選択される化学薬品の注入が含まれ得る。
【0030】
本発明は、商業的な膜槽を含む膜プロセスにおけるファウリングまたはスケーリングの早期検出を含む多数の利点を提供する。これは1D/2Dスキャンによる画像分析システムに基づいており、監視槽の表面全体、および一度に複数の槽の監視を可能にする。これにより、描写データの量が増加するので、膜または表面の一部上の「選択的な」スケーリングおよびファウリングの誤った解釈に対するシステムの脆弱性が低下する。より多くの画像データを処理および分析することで、エラー、照明状況のわずかな変化などを選別することも容易になる。監視槽内で均一な膜表面およびスペーサーの両方を用いると、接触表面および局部乱流がより多く提供されて微生物が増殖するので、バイオファウリングを早期に検出できる。
【0031】
本発明はまた、殺生物剤または化学的処理の前後に、あるシステムで複数の水線または同じ水線を監視することを可能にする。本発明の方法および装置によって、無機物、有機物およびバイオファウリングを含むファウリングまたはスケーリングの分類が提供される。化学薬品の自動または手動注入は、測定されたファウリング値/レベル、率およびそのタイプの情報に基づいて確実に行うことができる。正確な注入にとって、化学薬品注入の前(ファウリングの早期検出)と後(化学応答の検出)の2つの線の監視が役立つ。スケーリングおよびファウリングの質の分類は、好ましくは、形状因子、色、明るさおよび/またはサイズを使用することによってコンピュータで行われる。形状因子は、粒子の粗さ、真円度および/またはアスペクト比であり得る。この分類は、スケーリングおよびファウリングのモデル画像を含む所定の基準ライブラリと収集された画像データとの比較、および/または完全に清浄な監視槽との比較を含み得る。
【0032】
計算された分類は、供給流に対する抗スケーリングおよび/または抗ファウリング化学薬品の添加の自動制御のための入力パラメータとして使用されてもよい。そのような化学薬品には、微生物細胞を破壊することができる蟻酸の過酸化物誘導体である過蟻酸(PFA)と、ハイポとも呼ばれる次亜塩素酸ナトリウム(NaOCl)とが含まれる。
【0033】
ファウリング値/レベル[%]は、全表面積当たりのファウリング表面積を指す。ファウリング率[%/時間]は、ファウリング値の変化を指してもよい。値は、測定槽内で局所的に測定することができ、または値は、例えば、測定槽全体の平均値を表す平均値であり得る。
【0034】
測定槽(膜または任意の他の表面)における総ファウリングの計算値は以下を含み得る。
総ファウリング値、総ファウリング率、ファウリングのカラーマップ、測定槽の総ファウリングマップ(合計は総ファウリングタイプの合計パラメータである)
膜表面の総ファウリング値および総ファウリング率、スペーサーの総ファウリング値および総ファウリング率(膜およびスペーサーが測定槽に含まれる場合)
【0035】
測定槽内の様々な種類のファウリングの計算値には以下が含まれ得る。
平均色、アスペクト比、サイズ分布、色分布、ファウリング値、ファウリング率、平均サイズ、ファウリング物体の数、総ファウリング値に対するファウリング値の割合、ファウリングマップ、各ファウリングタイプの割合
膜表面のファウリング値およびファウリング率、スペーサーのファウリング値(膜およびスペーサーが測定槽に含まれる場合)
【0036】
広範囲のスケーリングおよびファウリング検出を提供するために、本発明の方法およびプロセスは、任意の検出されたスケーリングおよびファウリングの形状、色またはグレースケール強度および/またはサイズを評価することによる、監視槽上のスケーリングおよびファウリングの質のコンピュータ分類を有利に含む。監視槽上のスケーリングおよびファウリングの量は、得られた視覚情報を、清浄な監視槽を表す視覚情報と比較することによって決定される。有利には、計算されたスケーリングおよび/またはファウリング表示は、主要な濾過プロセスにおけるスケーリング洗浄および/または抗ファウリング化学薬品の注入量制御のための入力パラメータとして使用することができる。
【0037】
本発明の使用は、逆浸透、ナノ濾過、精密濾過および限外濾過のような膜プロセスにおいて様々な用途に使用できるので、汎用性がある。例えば、本発明の概念は、廃水または循環水を浄化するプロセスにおいて、海水または汽水の脱塩に使用することができる。パルプ・製紙工場や鉱業界の水流システムや他の水集約型プロセスにおいて、工場自体の適切な表面や監視槽における不純物の凝集を評価するために使用できる。
【0038】
本発明の様々な有利な実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載されていることを特徴とする。
【0039】
本発明を、添付の図面を参照してさらに詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】バイオファウリング堆積物を有する膜上のスペーサーの詳細を示す。
【
図2】バイオファウリングを有するスペーサーのさらなる例を示す。
【
図3】無機および有機の両方のファウリングを有するスペーサーを示す。
【
図4】無機ファウリングを有する膜およびスペーサーを示す。
【
図5】無機ファウリングを有する膜およびスペーサーを示す。
【
図6a】本発明の装置で検出されたファウリングの特性変数を示す。
【
図6b】本発明の装置で検出されたファウリングの特性変数を示す。
【
図6c】本発明の装置で検出されたファウリングの特性変数を示す。
【
図10】本発明による監視ユニットのデータ処理ユニットの概略図を示す。
【
図11】本発明による方法のフローチャートを示す。
【
図12】本発明による監視槽のファウリングマップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「ファウリング表示」または「スケーリング表示」は、いくつかの形態をとり得る。これは、汚染された表面積を、全表面積に対するパーセンテージとして指すことができる。これは、以前の観察と比較したファウリングの変化またはファウリングの変化率を、例えば、パーセンテージ/時間単位などで指すことができる。さらに、総ファウリング値およびファウリング率は、表面の組み合わせのファウリング表示として計算することができ、表面は、両方とも監視されている場合、例えば、膜およびスペーサーである。さらに、ファウリング表示は、異なるファウリングタイプに対して個別に測定されたファウリング表示を含むファウリング表示を組み合わせたものであってもよい。最後に、ファウリング表示は、平均色、アスペクト比、サイズ分布、および/または堆積物の色分布、ファウリング値、ファウリング率、平均サイズ、表面上のファウリング物体の数などのいくつかの因子の複合物の1つをとるかその1つである。
【0042】
図1〜
図5には、膜上のスペーサーが示されており、各スペーサーは様々な種類のファウリング堆積物を有する。スペーサーは、流入する供給流を分配して制御するために膜の上部に配置されたメッシュ状の網である。スペーサーは、スケーリングやファウリングの蓄積といった堆積物のために増加する、膜全体の圧力を降下するのに役立つ。ファウリングの各タイプを、
図1〜
図5を参照してより詳細に説明する。スペーサーは本発明の本質的な部分ではなく、堆積物が発生する可能性がある膜または任意の表面も、本発明の方法および装置で監視できることに留意されたい。しかし、監視目的のために、監視装置の画像フィールドに表示される接触面が多いほど、堆積物の蓄積がより早く発見されて診断され、適切な対策が計画され実行される。
【0043】
図1は、フィラメント12がスペーサー11に取り付けられている膜表面10の詳細な画像を示す。フィラメントの輪郭を認識することは困難であるが、フィラメントははっきりと視認できる。しかし、デジタルカメラなどの撮像装置および適切な画像処理ソフトウェアでは、例えば局所的な画像の勾配に依存し、各フィラメントの長手方向を重み付けすることによって、細長いフィラメントの輪郭を自動的に構築することが可能である。このようなフィラメントはこのように識別し分類することができる。
【0044】
図2は、膜20およびスペーサー21上のバイオファウリングのさらなる例を示す。フィラメント22および黒色土23の粒子が示されている。
【0045】
図3は、主にスペーサー31上に堆積した灰色の無機ファウリング31と、主に膜30上に見られる褐色の有機ファウリング33とを示す。有機ファウリングは茶色と緑色の色合いを有し、これはカラーカメラによって容易に認識されるので、無機ファウリングとは切り離して分類することができる。
【0046】
図4および
図5は、無機ファウリング42および52が付着した膜40および50ならびにスペーサー41および51をそれぞれ示す。塩や粒子などの無機ファウリングや気泡は、グレーの色合いで無色に見える。
【0047】
堆積分類スキームは、物体のサイズ、形状、質感および色に基づいている。フィラメントは、細長く薄いウェブである。繊維状物体は一定の幅と大きな長さ/幅比を有する。微小気泡は球形であり、その画像は明るい中点を有する。砂と岩は完全に黒い。結晶は明るく、直線的な要素と鋭いエッジを有する。
【0048】
カラフルな種を灰色や無色の種と区別するために、色に基づく分類スキームを使用することができる。各物体の主な色は報告されてもよく、カラフルな種は、色クラスでさらに区別されてもよく、例えば、緑色で円形の物体は、藻類として分類することができる。分類方法とアルゴリズムについては後で詳しく説明する。
【0049】
フィードチャネルスペーサー上のバイオフィルム蓄積が速度分布プロファイルに影響を及ぼすため、バイオファウリングがフィードスペーサーの主な問題である。したがって、バイオファウリング制御は、低いファウリングフィードスペーサーと、バイオマス蓄積がフィードチャネル圧力降下に及ぼす影響を制限する流体力学的条件とを必要とする。
【0050】
したがって、一部の実施形態では、所望のタイプの微生物を染色することができる蛍光色素を水性液体の供給流に添加してもよい。一方が蛍光色素を励起する選択波長の光を少なくとも使用する2つの異なる光源を用いてバイオファウリング堆積物を照明すると、バイオファウリング堆積物の分類および識別を高めることが可能である。これは、堆積物からの蛍光発光に基づいている。微生物染色化学薬品は、例えば微生物の代謝や状態(生存可能、非生存可能または死んでいる)によって、微生物に応じて異なる機構で機能し得る。例えば、CTC(テトラゾリウム塩5−シアノ−2,3−ジトリルテトラゾリウムクロライドおよびDAPI(4’、6−ジアミジノ−2−フェニルインドール)は、微生物染色能力を有する周知の組成物である。
【0051】
本発明は、
図1および
図2に示すバイオファウリング堆積物ならびに
図3〜
図5に示す有機および無機ファウリング両方の問題に対処する。バイオファウリングは、しばしば他の堆積物よりも困難な問題であり、以下でより詳細に検討する。バイオファウリングは、
図1および2で視覚的に明らかに分かるように、それが糸状になる可能性がある点で他の堆積物とは視覚的に異なる。また、平滑な非多孔質表面と比較して、膜のバイオファウリングは複雑なプロセスであり、せん断および圧力などの操作条件、細菌自体の特性、膜表面、そしてpH、イオン強度、イオン種などの環境要因といった多くの要因に影響を受ける。最後に、微生物群集は適応性がある。したがって、環境的圧力(化学的または物理的ストレスなど)は、最終的には、表面をコロニー化するための条件に耐えることができる生物を選択することになる。
【0052】
初期の細菌堆積およびバイオフィルムの発達は膜上で開始し、より多くの領域を覆うために時間の経過とともにバイオフィルムとして発達し、スペーサー上で増殖を開始する。微生物は、可逆的および不可逆的な付着(主に界面動電的および疎水性相互作用)、可逆的に付着した細胞の表面での移動、およびミクロコロニーの形成開始、成熟、分化、および最終的にはバイオフィルムの溶解および分散開始を含む一連の定義された段階に分類することができる広範な挙動を用いて、膜全体上で活発にコロニー化する。
【0053】
一旦、膜表面が汚染物質層に被覆されると、その後のファウリングの蓄積は、汚染された表面とそれに付着した汚染物質との相互作用に大きく依存する。懸濁液が熱力学的に安定している場合、それ以上の吸収は起こらず、安定した流れの減少は相対的に少ない。一方、懸濁液が不安定である場合、さらなるファウリング層が形成され、流れの持続的な減少が観察される。
【0054】
図6a〜
図6cは、本発明によるフロースルー槽のリアルタイム監視による膜およびスペーサー上のファウリングのための特性変数を示す。測定期間はすべての場合で16日である。
【0055】
図6aは、HYPO(次亜塩素酸ナトリウム)、PFA(蟻酸の過酸化物誘導体)を使用し、抗ファウリング添加剤を使用しない(BLANK)という、3つの異なる物質の場合の槽全体の圧力降下を示す。見られるように、添加剤を使用しない場合、圧力降下は着実に増加する。
【0056】
図6bは、それぞれの場合の膜ファウリング率(%)を示し、BLANK曲線は、膜が比較的短時間で容易に完全に覆われる(100%ファウリング)ことを示している。
【0057】
図6cは、スペーサーファウリング率(%)を示し、BLANK曲線と比較して添加された化学薬品の有効性を再び明確に示している。
【0058】
図7に、本発明の装置の概略図を示す。カメラ70は、この実施形態では逆浸透槽71の上部表面72から視覚情報を収集している。槽71には、入力供給流F、非濾過濃縮流のための出力C、および濾過された浸透流のための別の出力Pが提供される。スケーリングおよびファウリング堆積物は、不浸透性または半浸透性の表面72の両方で監視および分析され得るので、浸透物の出力Pは任意であることに留意されたい。いずれにしても、
図1〜
図5に示すような表面およびスペーサー上のスケーリングおよびファウリングが生じる。
【0059】
少なくとも1つのスペーサー層を受容面上に適用すると、視覚データをスペーサーおよび受容面の両方から収集することができる。これは、2つの画像化された監視槽にレンズを順番に合焦することによって、または両方を同時に鮮明にするのに十分なレンズの被写界深度を有することのいずれかによって容易に達成できる。
【0060】
カメラ70は、
図2および3に関連して説明したように、表面72から情報を収集し、ランプ77によって必要な照明が提供される。照明器具77は、例えば、LEDランプまたはアレイ、レーザー、キセノンライトまたはハロゲンランプを含むことができる。光は、一定であってもよく、または間欠的に点滅してもよい(ストロボ光)。使用される光はまた、形態および特徴を最もよくカメラに写すために、任意の所望の波長であってもよい。白色光を使用することにより、ファウリングの色、明るさ、形状およびサイズの情報を得ることが可能である。一部の実施形態では、複数の光源を使用してもよく、そのうちの少なくとも1つは紫外線(UV)光を使用してもよく、および/または少なくとも1つは照明されたターゲットで蛍光発光を生成する光を使用してもよい。
【0061】
一部の実施形態では、本発明の方法およびシステムは、イメージング分析技術と、例えば白色光および紫外光のような照明のための異なる光源の使用とに基づいていてもよい。紫外光を用いることにより、ファウリングのタイプ分類をさらに高めることが可能であり得る。少なくともいくつかの有機ファウリングは紫外光を吸収するので、紫外光で撮影された画像では暗い物体として現れる。さらにバイオファウリングは、紫外または適切な波長の他の光によって励起されたときに蛍光を生成する成分を含み得る。このような堆積物は、画像において明るい物体として見えることがある。
【0062】
一実施形態では、グリッドありまたはグリッドなしの受容面は、白色光および/または紫外光による照明のために異なる光源の手段によって照明される。紫外光を用いることにより、バイオファウリングを識別し、測定することができる。白色光を用いることにより、特に他のファウリングタイプを識別し、測定することができる。
【0063】
データ処理ユニット76は、受容面72から収集された視覚データを分析する。また、視覚データから得られた情報に基づいて受容面上のスケーリングおよびファウリングの質を分類し、デジタルライブラリ73に記憶されている情報と比較する。このようなライブラリは、異なるスケーリングタイプおよびファウリングタイプの画像またはグラフィック表現の選択を含むことができ、所定の分類規則/基準を使用してこれらの画像と視覚データとが比較され、分類が行われる。当然、ライブラリは問題の特定のプロセスや状況を網羅することを目標にしている。
【0064】
最後に、ディスプレイ75上に表示される、または評価のために任意の他の出力手段に送られるスケーリングおよび/またはファウリングの表示またはインデックスを計算し、オプションとして主濾過または他のプロセスの化学薬品注入装置74に制御信号を送る。本発明の方法およびシステムは、主プロセス(図示せず)から任意の手段によって取り出された別個の供給流に作用できることを理解されたい。
【0065】
本発明の方法および装置によって監視することができるプロセスは、例えば、海水または汽水、廃水および循環水の脱塩プロセスを含む。濾過ユニットは、逆浸透膜、ナノ濾過膜、および超濾過膜または精密濾過膜であってもよい。したがって、本発明の有用性は、濾過される液体、またはフィルターの品質もしくはグレードに依存しない。本発明の方法は、監視および比較に基づいており、すなわち、起こり得るファウリングおよびスケーリング、そしてそれが表面上にどのように構築されるかについて何らかの知識が仮定されることを意味する。この知識が確立されると、本発明の方法および装置を首尾よく使用することができる。
【0066】
図8に、プロセスにおいてスケーリングおよびファウリングを監視するための、本発明による例示的な監視ユニット81を示す。これは、監視対象の3つの槽80a、80bおよび80cと、フレームワーク83に取り付けられた撮像装置82とを示す。フレームワークは、監視対象槽80a〜80cを横切ってその照明装置と共に撮像装置82を移動させて、それらの表面全体からの画像を収集するように構成される。撮像装置82、好ましくは高倍率レンズを備えたデジタルCCDカメラは、矢印AおよびBによって示すように移動することができる。あるいは、カメラは、槽80a〜80c上の固定位置にあってもよいが、走査によって槽の上面を撮影することが可能である。好ましくは、カメラ82は、複数の撮像位置の間でカメラを動かすステッパモータによって動力を供給されるリニアガイドに取り付けられる。
【0067】
この例では、3つの同一で別個の測定槽80a、80bおよび80cのスケーリングおよびファウリングを測定するためにカメラが使用される。カメラからの画像は、工業用PC104(
図10参照)上で実行される分析ソフトウェアによって分析され、分析結果はPLC101のデータブロックに転送され、HMIパネル102上でデータが取得され視覚化される。
【0068】
槽80a〜80cは、並列に接続され、濾過プラントにおける同じプロセスステップのより大きなサンプルを提供するが、異なる流れに接続されて、濾過プロセスの異なるステップにおける状況を示すために使用されてもよい。これは、例えば、添加された抗ファウリング化学薬品または変更されたプロセスパラメータなどの効果を調査するのに有用である。
【0069】
1つの例示的な構成では、
図7および
図8を全体的に参照すると、測定槽は、例えば、白色光およびUV波長が395nmであるUV LED光で照明される。CCDカメラおよび撮像データを処理するユニットも設けられている。
【0070】
第1のステップでは、少なくとも1つの蛍光色素を含む一部の実施形態では、測定槽に水性流が伝導される。測定槽は、白色光と、UVまたは蛍光励起のLED光とで交互に照明される。視覚データは測定槽から収集される。撮像および照明は、必要に応じて、カメラの各走査によって画像を生成するために同期される。次いで、画像データが前処理され、ファウリングタイプが識別され分類される。黒色の物体は有機ファウリングとして分類され、蛍光発光性の物体はバイオファウリングとして分類される。次いで、各タイプについてファウリングレベルおよびファウリング率といったファウリングの重要な変数が計算される。次いで、計算された変数は、パルプおよび製紙工場などの工業プロセスにおける膜プロセス、水の流れといった水集約型処理におけるファウリングの監視および制御に使用される。本発明のシステムは、化学薬品の注入量を計算し、化学薬品の配合表、それらの組み合わせおよび注入点のような調整可能なパラメータを含む、化学プログラムを最適化するために使用することができる。
【0071】
図9に、
図7の監視槽71および
図8の槽80a〜80cの例示的な配管および計測(PI)図を示す。サンプルは、電気的に作動されるボール制御弁90を通ってサンプルタンク92に入る。制御された供給装置(図示せず)を備えたアッセイまたは容器から、1つまたはいくつかの蛍光色素を99でサンプル投入流に添加できる。ボール制御弁は、超音波タンク液面センサ93からのフィードバックを有する比例積分微分コントローラ(PIDコントローラ)91によって制御される。超音波流量計96からのフィードバックを取るPIDコントローラ95によって制御されるダイヤフラムポンプ94は、監視槽97を介してサンプルを汲み上げ、バックプレッシャー弁98を介して装置の外に送り出す。
【0072】
図10に、本発明の装置で使用され得るデータ処理ユニットの一例の概略図を示す。例えば、Siemens S7−1200 PLCのようなプログラマブルロジックコントローラ(PLC)101が、分析装置の動作を制御するために使用される。産業用または汎用コンピュータ104は、視覚データ処理および画像レンダリングに必要な分析ソフトウェアを実行する。さらなる主な構成要素は、例えばヒューマンマシンインターフェースパネルなどのタッチスクリーンインターフェース102、通信ソフトウェアライブラリ103およびインターネット105である。
【0073】
通信ライブラリ103は、コンピュータ104上で動作する分析ソフトウェアにPLC101メモリへの同期読み出しおよび書き込みアクセスを提供するオープンデータ通信データアクセス(OPC DA)クライアントであってもよい。分析ソフトウェアは通信ライブラリからの接続を要求し、通信ライブラリはPLC101への接続を確立しようとする。この接続は、分析ソフトウェアが終了するまで有効であり、多数の機能を介して分析ソフトウェアのための様々なPLCメモリ変数へのアクセスを提供する。
【0074】
PLCプログラムは、
図7〜
図9に示す例示的なシステムの動作を制御するために使用される。PLCプログラムは、インターネット105上のサーバにデータを送信するルータを介したオンラインデータ取得のために使用されるデータブロック106を有する。ハードウェアコントローラ107は、例えば、2つの制御弁、2つのポンプ、ステッパモータで駆動される1つのリニアガイド、カメラおよび照明用のLEDリングライトを制御する。
図7の化学薬品注入装置74への制御信号は、主プロセスへの化学薬品の注入量を実際に制御するために、ネットワーク105または専用線(図示せず)を介して弁に送られてもよい。
【0075】
PLC101はまた、記号的にアクセスすることができ、かつカメラおよび照明制御のために設計されたソフトウェアモジュールを含むデータブロック108を有する。
【0076】
タッチスクリーンユーザインターフェース102は、本発明の装置を制御し、接続設定を構成し、分析パラメータを設定し、分析器の現在の状態を視覚化するために使用される。
【0077】
図11は、本発明の方法のフローチャートを示す。第1のステップ110で、少なくとも1つの蛍光色素を含む一部の実施形態では、例えば逆浸透(RO)膜を取り付けた少なくとも1つの受容槽に水供給流が供給される。第2のステップ111で、少なくとも1つのRO槽80a〜80cの表面を覆うようにカメラ82を移動させるために、
図8のフレームワーク81と同様のカメラ支持体が使用される。カメラは、槽の上面の所定の場所において、またはそこから写真を撮影、すなわち視覚データを収集している。ステップ111で監視すべき全領域をカバーした後、ステップ112で収集した視覚データが分析される。ここでデータ分析とは、スケーリングおよびファウリングに関して予め記憶された視覚情報と比較するためにデータを処理し、デジタルライブラリ内の予め記憶された視覚コンテンツとデータを比較することを意味する。
【0078】
ステップ112の分析に基づいて、ステップ113で、ファウリングおよびスケーリングのタイプおよび量が識別され得る。ステップ114で、RO槽上の堆積物の定量的および/または定性的測定結果である表示、インデックスまたは任意の所定のパラメータが計算される。
【0079】
図12に、本発明による監視槽の受容面から収集された視覚データを実際に示す。写真aおよびbは、同じ監視槽の受容表面積をカバーし、「ファウリングマップ」と呼ばれる。画像aには汚れがなく、ファウリングマップは深い青色(ここでは濃い灰色)を有する。写真bは、監視槽を水性流が通過するようになってから1週間後に撮影されたもので、色ははっきりと異なっており青緑色(ここでは薄い灰色)である。明確にファウリングが開始した。したがって、上述のようにファウリング値およびファウリング率を計算することができる。
【0080】
堆積分類の例として、ベイズ−ラプラスの確率的分類手法が用いられ、これは強固であり、互いに異なる堆積種を区別するのに適している。原則として、すべての物体は、フィラメント、結晶体の堆積、スケール、およびその他のファウリング物体のような1つの特定の物体または粒子クラスに分類する必要がある。分類は、ハイパーキューブ手法に依存することもあり、粒子のすべての特性がクラスに指定された離散的最小値と最大値との間に留まる場合、粒子が粒子クラスに分類されることを意味する。
【0081】
物体の分類
以下において、物体、すなわち受容面で撮像された堆積物を分類するための例示的な一連のステップについて説明する。分類スキームは、以下のフェーズ1〜3を含んでもよい。
【0082】
1)画像フィルタリング
画像フィルタリングは、ノイズを除去し、不均質な背景をフェードアウトさせ、焦点を合わせた物体を強調表示し、例えば、局所グレースケール勾配値およびその方向を計算するのに使用される。次に、フィルタリングされた画像は、例えば多重解像度分析(例えば、ガウシアン多重解像度ピラミッドを使用する)によって等化され得る。次いでラプラシアン画像(画像グレースケールの第2の派生物)が等化画像から計算され、最大のグレースケール分散の領域を強調表示することができる。
【0083】
2)画像のセグメント化
画像のセグメント化ステップの目的は、画像内の焦点を合わせた物体を認識し、物体の投影領域および輪郭を計算し、そのような画像内の異なるタイプの物体を認識することである。
【0084】
暗領域は、等化画像の累積グレースケールヒストグラムにグレースケールパーセンタイル閾値を適用することによって認識される。画像の背景は、前の10枚の画像の平均画像として計算することができる。したがって、スペーサーのような監視対象領域の構造的構成要素は、画像のセグメント化分析の初期段階でデジタル的にマスキングすることができる。
【0085】
堆積物、すなわちゆっくりと蓄積している沈滞物は、上述のグレースケールパーセンタイル閾値を用いて画像から識別される。総画像面積当たりの堆積物の総面積x100%が、現在のファウリング値の指標として使用されてもよい。
【0086】
ラプラシアン画像上の焦点判定は、物体を検証するために使用され得る。総面積に対して焦点が合った画素がユーザ指定の焦点比(例えば、7%)よりも多い投影面積の物体は、有効であると認識される。ラプラシアン、勾配およびハイパスフィルタリングされた画像を組み合わせることによって、高グレースケール分散の領域を強調表示することができる。物体のバイナリ画像は、合成画像にユーザ指定のコントラスト閾値を適用し、画像に暗領域を重ね合わせることによって得られる。
【0087】
3)物体の形態
物体のバイナリ画像は、形態学的操作で処理することができる。各物体の投影領域がカメラによって画像化されるとき、物体直径dは、物体の投影領域Aに基づいて以下のように定義される。
【数1】
【0088】
物体の形態は、アスペクト比、真円度、および粗さを含むそれらの形状特性を定義することによってさらに調査され得る。
【0089】
物体が細長い物体として認識されると、その物体の長さおよび幅を得るために分析が実行されてもよい。分析アルゴリズムを使用することができ、物体の長さは、輪郭(周囲)の長さを2で割ったものとして計算することができる。幅計算は、各輪郭画素のx、y座標およびグレースケール勾配方向値[−π、π]を含む輪郭ベクトルに基づいていてもよい。対向する輪郭画素の方向値と、マッチング画素間に描かれた線の方向値とを比較することによって、画像輪郭の対向側のマッチング点が探索される。対向する画素間の距離は、物体の局所的な幅に対応し、その全体の幅は、すべての局所的な幅の平均として計算され得る。
【0090】
堆積物の主軸およびアスペクト比は、主成分分析(PCA)アルゴリズムを使用して物体から計算することができる。このアルゴリズムは、物体の主軸と副軸、およびそれらの方位角を返す。アスペクト比は、単に物体の主軸と副軸の比として計算することができる。
【0091】
真円度は、物体がどのくらい円に近いかを表す。完全な円は100%の真円度を有する。真円度のパーセンテージは、粒子形状の複雑さが増すにつれて減少する。真円度Rは次のように計算される。
【数2】
ここで、rは物体の半径であり、
【数3】
は、輪郭画素(x
i、y
i)から物体の中心点(x
c、y
c)までの距離である。N=周囲の長さ。
【0092】
標準化は、半径の標準偏差を物体半径で割ることによって得られる。
【0093】
物体の粗さは、輪郭の長さで割った物体の輪郭に沿った離散的な曲率の合計として計算することができる。曲率値は、隣接する輪郭画素のグレースケール勾配方向角間の差として計算することができる。曲率の急な変化のみが粗さの計算でカウントされる。粗度値は、物体を横切る最大距離と同じ直径を有する円の周囲値で標準化することができる。尖度は、グレースケール強度の四次モーメントを用いて計算することができる。これは、ファウリングタイプの分類に使用することができる。
【0094】
受容面内のすべての検出された物体は、所定の分類基準に従って1つの特定のファウリングタイプ(例えば、バイオファウリング、有機ファウリングおよび無機ファウリングまたはそれらの組み合わせ)に分類される。分類基準はまた、白色、紫外線または蛍光励起光を単独または組み合わせて使用することによって堆積物から検出可能な色を含むことができる。
【0095】
物体の質感は認知認識にとって重要である。質感分析は、物体の中心点からその輪郭までの輝度(すなわちグレースケール強度)プロファイルを調べることによる物体質感のモデル化によって行うことができる。平均輝度値は、粒子の中心、粒子の輪郭および粒子の表面全体で計算される。粒子の輝度値の標準偏差も計算される。平均輝度値は、粒子を明るいクラスと暗いクラスに区別し、明るくて薄い物体を分類するために利用することができる。
【0096】
適用範囲
適用分野の重要な例は、製紙産業およびその水流である。他の例は、油、鉱業または水処理プロセス、特に脱塩プロセス、膜プロセス、冷却水処理、および水の再利用である。具体的には、製紙産業において、監視労力の対象は、有機、無機およびバイオファウリング、ならびにそれらの組み合わせである。
【0097】
本発明は、関与する水集約型プロセスの監視および制御の両方に使用することができ、したがって1つ以上のプロセス化学薬品の添加率の制御に使用することができる。制御は、本発明によって実施されるスケーリング/ファウリング分析に基づいて手動、半自動または自動で行うことができる。
【0098】
この方法では、受容面をまたがる多数の位置で視覚データを収集してもよく、視覚データを分析し分類して、受容面に付着した堆積物の質およびタイプを決定する。この方法では、異なるファウリングタイプを認識し、分類することが可能である。ファウリングタイプは、無機、有機またはバイオファウリングであってもよい。使用される堆積分類スキームは、物体のサイズ、形状、質感および色に基づいていてもよい。この方法は、いくつかのファウリング堆積物の特性の測定を可能にする。方法は、いくつかの異なるファウリング堆積物を識別して分類する方法を開示し、複数の汚染物質を検出し、同じ受容面に付着した汚染物質の分類を可能にする。この方法では、すべての種類の実際の堆積物を監視し、分類し、報告することができる。これらの堆積物は、有機、無機、および/またはバイオファウリングを含み得る。
【0099】
開示された本発明の実施形態は、本明細書で開示される特定の構造、プロセスステップ、または材料に限定されず、関連技術分野の当業者によって認識されるように、それらの等価物まで拡張されることを理解されたい。また、本明細書で用いられる用語は、特定の実施形態を説明するためだけに使用され、限定を意図しないことも理解されるべきである。
【0100】
本明細書を通じて、「一実施形態」または「実施形態」への言及は、実施形態に関連して説明される特定の特徴、構造、または特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書の様々な箇所における「一実施形態では」または「実施形態で」という表現の出現は、すべて同じ実施形態を指しているとは限らない。
【0101】
本明細書で使用されるように、複数の項目、構造要素、構成要素、および/または材料は、便宜上共通のリストに提示されてもよい。しかし、これらのリストは、リストの各メンバーが別個の一意のメンバーとして個々に識別されると解釈すべきである。したがって、そのようなリストの個々のメンバーは、反対への表示のない共通のグループでのそれらの提示にのみ基づいて、同じリストの他のメンバーと事実上の等価物であると解釈すべきではない。さらに、本発明の様々な実施形態および実施例は、本明細書において、その様々な構成要素の代替物と共に言及されてもよい。そのような実施形態、実施例、および代替物は、互いの事実上の等価物であると解釈すべきではなく、本発明の別個の自律的な表現とみなされるべきであることを理解されたい。
【0102】
さらに、記載された特徴、構造、または特性は、1つ以上の実施形態において任意の適切な方法で組み合わせることができる。以下の説明では、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、長さ、幅、形状、その他の例などの、多くの具体的な詳細が提供される。しかしながら、関連技術分野の当業者は、本発明が、特定の詳細の1つ以上を用いずに、または他の方法、構成要素、材料などを用いて実施され得ることを認識するであろう。他の例では、本発明の態様を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造、材料、または動作は詳細には示されていないか、または記載されていない。
【0103】
上記の例は、1つ以上の特定の用途における本発明の原理を例示するものであるが、本発明の実施形態を実施することなく、本発明の原理および概念から逸脱することなく、形態、使用および実施の詳細に多くの変更を加えることができることは当業者には明らかであろう。したがって、以下に示す特許請求の範囲による場合を除いて、本発明を限定することは意図していない。