(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記外側境界(12)が、不透過性の壁、開口部を備えた壁、メッシュロッド、シーブ、またはそれらの組合せで構成されている、請求項1に記載のヘマタイトを製造するための装置。
前記鉄のためのサポート(14)によって形成された領域が、ガス導入領域(GA)を表し、そして前記反応容器(11)の内側表面の周囲によって形成される領域が、反応器領域(RA)を表し、そしてガス導入領域(GA)対反応器領域(RA)の比率が、
・ 1時間あたり、ガス導入面積1m2あたり、8〜32m3の酸素含有ガスのガス導入体積が、1時間あたり、反応体積1m3あたり、0.5〜2m3の酸素含有ガスのガス導入体積で得られるか、または
・ 1時間あたり、ガス導入面積1m2あたり、8〜16m3の酸素含有ガスのガス導入体積が、1時間あたり、反応体積1m3あたり、0.5〜1m3の酸素含有ガスのガス導入体積で得られるか、または
・ 1時間あたり、ガス導入面積1m2あたり、16〜32m3の酸素含有ガスのガス導入体積が、1時間あたり、反応体積1m3あたり、1〜2m3の酸素含有ガスのガス導入体積で得られる、
ように設計されている、請求項1〜6のいずれかに記載のヘマタイトを製造するための装置。
少なくとも鉄、水含有ヘマタイト核懸濁液、硝酸鉄(II)溶液、および酸素含有ガスの前記反応が、追加の機械的混合なし、および/または追加の水力学的混合なしで実施される、請求項8に記載のヘマタイトを製造するための方法。
少なくとも鉄、水含有ヘマタイト核懸濁液、硝酸鉄(II)溶液、および酸素含有ガスの前記反応が、追加の機械的混合、および/または追加の水力学的混合を用いて実施される、請求項8に記載のヘマタイトを製造するための方法。
【背景技術】
【0002】
酸化鉄は多くの産業分野で採用されている。したがって、それらはたとえば、セラミックス、建築材料、プラスチックス、ペイント、表面コーティング、および紙における着色顔料として使用され、各種の触媒または担体物質のベースとして役だち、そして汚染物質を吸着または吸収することにも使用できる。磁性酸化鉄は、磁性記録媒体、トナー、磁性流体に採用されたり、あるいは、医療分野においては、たとえば磁気共鳴断層撮影法のための造影剤に採用されたりしている。
【0003】
酸化鉄は、鉄塩を水性で沈殿および加水分解反応させることによって得ることができる(非特許文献1)。沈殿プロセスによって得られる酸化鉄顔料は、空気の存在下、鉄塩溶液およびアルカリ性化合物から製造される。目標に合わせて反応を調節すると、この方法で、微粉状の(finely divided)ゲータイト、マグネタイト、およびマグヘマイトの粒子を調製することが可能である。しかしながら、このプロセスによって製造された赤色顔料は、彩度(colour saturation)が比較的に低く、そのため、主として建築材料産業において使用されている。
【0004】
しかしながら、微粉状のヘマタイト(これは、変態形の(modification)α−Fe
2O
3に相当する)を水系で製造するのは、かなり複雑である。核として、微粉状の酸化鉄である、マグヘマイト変態形のγ−Fe
2O
3、またはレピドクロサイト変態形のγ−FeOOHを添加することを使用した、熟成工程を使用することによって、直接水性沈殿法でヘマタイトを製造することが可能となる[(特許文献1);(特許文献2);(特許文献3)]。
【0005】
酸化鉄赤色顔料を製造するためのさらなる方法が、ペンニマンプロセスである((特許文献4);(特許文献5);(特許文献6);(特許文献7):(特許文献8))。この場合、酸化鉄顔料は、金属の鉄を溶解させ、鉄塩および核としての酸化鉄を添加して酸化させることによって製造される。したがって、(非特許文献2)、(非特許文献3)には、高温で鉄に希硝酸を作用させるプロセスが開示されている。これによって、ヘマタイト核懸濁液(haematite nucleus suspension)が生成する。自体公知の方法で、これを析出させる(built up)と、赤色顔料懸濁液が得られ、所望するならば、慣用される方法を用いてこの懸濁液から顔料を単離させる。しかしながら、このプロセスで製造された赤色顔料は、市販されている130標準(130 standard)の彩度と同程度の、比較的低い彩度しか有さず、そのため、主として建築産業で使用されている。130標準とは、酸化鉄顔料の色の測定で慣用的に使用されている、参照標準のバイフェロックス(Bayferrox)(登録商標)130に相当する。(特許文献7)には、ペンニマンプロセスの変法が開示されており、それには、高温で希硝酸を鉄に作用させて、核、すなわち100nm以下の粒径を有する微粉状の酸化鉄を作成させることが含まれている。鉄と硝酸との反応は、複雑な反応であって、その実験条件に依存して、鉄を不動態化させることにより反応を停止させるか、または鉄を溶解させて、溶解された硝酸鉄を形成させるかの、いずれかの反応を起こさせることができる。それらのいずれの反応経路も望ましいものではなく、特定の条件下でのみでしか、微粉状のヘマタイトの製造が成功しない。(特許文献7)には、微粉状のヘマタイトを製造するためのそのような条件が記載されている。その場合、90〜99℃の範囲の温度で鉄を希硝酸と反応させている。(特許文献9)には、酸化鉄赤色顔料を製造するためのプロセスが記載されているが、そこでは、核、すなわち100nm以下の粒径を有する微粉状のヘマタイトを製造するための反応工程が改良されていた。
【0006】
従来技術による、ペンニマンプロセスは、今日までのところ、単一の反応剤を使用して工業的スケールで実施されてきた。たとえば、顔料の析出(buildup)、すなわち、ヘマタイト核懸濁液と鉄との反応および空気の導入は、機械的混合または水力学的混合なしで実施される。この場合、空気を導入することによって、反応混合物を強力に混合している。工業的スケール(10m
3より大きいバッチサイズ)では、従来技術による、硝酸を使用したペンニマンプロセスは、典型的には、1時間あたり、反応混合物1m
3あたり7〜10m
3の体積の空気を導入しながら実施され、その結果、反応混合物の中に強い対流と、生成してくる反応混合物の表面に液体の沸騰に匹敵するような強い気泡の生成とが起きる。ペンニマンプロセスによって製造されたヘマタイト顔料は、通常、チキソトロピーとした長鎖のアルキド樹脂の中で酸化鉄顔料のために通常実施される表面コーティング試験において、25CIELAB単位よりも高い原色(full shade)のa
*値を有している(DIN EN ISO 11664−4:2011−07およびDIN EN ISO 787−25:2007をベースとする方法を使用)。
【0007】
しかしながら、自体効率的であり、極めて多様な色値(colour value)を有する高品質の赤色酸化鉄を直接製造することが可能なこれらのプロセスでも、以下のような欠点を有している:
1. 窒素酸化物の放出:窒素酸化物(たとえば、酸化窒素系(nitorous)ガスのNO、NO
2、およびN
2O
4、一般的に「NO
x」と呼ばれる)は、有毒であり、スモッグの原因となり、UV光の照射により大気中のオゾン層を破壊し、そして温室効果ガスである。一酸化二窒素は特に、二酸化炭素よりも約300倍も強い温室効果ガスである。それに加えて、一酸化二窒素は、最も強力なオゾン破壊ガスであると今や考えられている。硝酸を使用するペンニマンプロセスにおいては、酸化窒素系ガスのNOおよびNO
2、さらには一酸化二窒素も、かなりの量で生成する。
2. 硝酸を使用するペンニマンプロセスは、窒素含有廃水も生成するが、それには、顕著な量の硝酸塩、亜硝酸塩、およびアンモニウム化合物が含まれる。
3. 硝酸を使用するペンニマンプロセスは、エネルギーの消費も極めて高いが、その理由は、大容量の水溶液を外部エネルギーの導入により60℃〜120℃の温度に加熱しなければならないからである。それらに加えて、その反応混合物の中に酸化剤としての相対的に大量の酸素含有ガスを導入することによって(スチームストリッピング)、その反応混合物からエネルギーを除去するが、これは、外部から再び熱として導入しなければならない。
【0008】
本発明の目的においては、窒素酸化物は窒素−酸素化合物である。この群には、一般式NO
xの酸化窒素系ガスが含まれるが、その中で窒素は、+1〜+5の範囲の各種の酸化数を取ることができる。例は、NO(一酸化窒素、酸化数+2)、NO
2(二酸化窒素、酸化数+4)、N
2O
5(酸化数+5)である。NO
2は、その二量体であるN
2O
4(いずれも酸化数は+4)と温度依存および圧力依存の平衡状態にある。以下においては、「NO
2」という用語には、NO
2そのものと、その二量体であるN
2O
4の両方が含まれる。N
2O(一酸化二窒素、笑気ガス、酸化数+1)もまた、窒素酸化物の群には含まれるが、酸化窒素系ガスとはみなされない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的は、酸化鉄赤色顔料を製造するための、上述の欠点を有さない、効率的で、環境に優しい方法を提供することであったが、そこでは、第一には、幅広い色スペクトルを有する酸化鉄赤色顔料が、高収率で製造され、そして第二には、環境の中に放出される窒素酸化物および環境の中に放出されるエネルギーの割合が最小化されて、酸化鉄赤色顔料を製造するために必要なエネルギーが削減される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明は、この目的を達成する酸化鉄赤色顔料を製造するための方法、さらには、工業的スケールも含めて、その中でこの方法を実施することが可能な装置を提供するが、そこでは、70〜120℃、好ましくは70〜99℃の温度での、少なくとも:
・ 鉄、および
・ 100nm以下の粒径および40m
2/g〜150m
2/gのBET比表面積(DIN 66131に従って測定)を有するヘマタイト核を含む含水ヘマタイト核懸濁液、および
・ 硝酸鉄(II)溶液、および
・ 酸素含有ガス
の反応を含み、液状反応混合物を製造するが、それには、少なくとも1相の液相およびその中に懸濁されたヘマタイトが含まれ、ここで、その酸素含有ガスは、その液状反応混合物の中に、以下の量で導入する:
・ 1時間あたり、反応体積1m
3あたり0.5〜2m
3の酸素含有ガスのガス導入体積、および1時間あたり、ガス導入面積1m
2あたり、8〜32m
3、好ましくは8〜24m
3の酸素含有ガスのガス導入体積、または
・ 1時間あたり、反応体積1m
3あたり0.5〜1m
3の酸素含有ガスのガス導入体積、および1時間あたり、ガス導入面積1m
2あたり、8〜16m
3、好ましくは8〜12m
3の酸素含有ガスのガス導入体積、または
・ 1時間あたり、反応体積1m
3あたり1〜2m
3の酸素含有ガスのガス導入体積、および1時間あたり、ガス導入面積1m
2あたり、16〜32m
3、好ましくは24〜32m
3の酸素含有ガスのガス導入体積。
【0013】
本発明の方法を、追加の機械的混合なし、たとえばプロペラ攪拌機なし、ならびに/または追加の水力学的混合(hydraulic mixing)なし、たとえば液状反応混合物のポンプ循環なし、で実施するのが好ましい。さらなる好ましい実施態様においては、本発明の方法が、液状反応混合物の、たとえばプロペラ攪拌機の手段による追加の機械的混合を用いて実施するか、および/または液状反応混合物の、たとえば液状反応混合物のポンプ循環による追加の水力学的混合を用いて実施される。
【0014】
一つの実施態様においては、ヘマタイト顔料が所望の色合い(colour shade)になるまで、その反応を実施する。その所望の色合いは、酸化鉄赤色顔料の場合においては通常、チキソトロピー的性質を付与した長鎖のアルキド樹脂を使用した表面コーティング試験で求められる(DIN EN ISO 11664−4:2011−07およびDIN EN ISO 787−25:2007に基づいた方法を使用)。無機着色顔料の色値を試験するには、その顔料を、不乾性の長鎖のアルキド樹脂(L64)をベースとするバインダーペーストの中に分散させる。その顔料着色されたペーストで、ペーストプレートの中に着色し、次いで測色法を用いて、参照顔料と比較して評価する。この場合、ほぼ均質なCIELAB色空間における色座標および色差を、原色(full shade)と退色(reduction)で測定する。表面コーティング試験におけるa
*およびb
*の値は、顔料の色合いにおける最も好適なパラメーターである。そのような色値およびどのようにしてそれを達成するかについての例は、PCT/EP第2015/070745号明細書に開示されている。
【0015】
さらなる実施態様においては、本発明の方法には、慣用される方法による、ヘマタイト顔料のヘマタイト顔料懸濁液からの分離が含まれる。
【0016】
少なくとも1種の酸素含有ガスの存在下、70〜120℃、好ましくは70〜99℃の温度での、鉄、ヘマタイト核懸濁液、および硝酸鉄(II)溶液の反応は、顔料析出(pigment buildup)とも呼ばれている。
【0017】
本発明の目的においては、そのガス導入領域は、鉄のためのサポートによって形成されている領域と定義される。反応容器の中で使用される鉄は、典型的には、そのサポートの上に置かれる。このことは、鉄のためのサポートに対して直角の方向に外側境界(outer delimitation)が存在している場合、たとえば鉄のためのサポートと外側境界とで、頂部に円筒状の開口、または頂部に直方体状の開口部を形成しているような場合には、特にあてはまる。それに代わる実施態様においては、そのガス導入領域が、本発明においては、それより上に、鉄のためのサポートと外側境界とによって囲まれた体積の90%が存在しているような、外側境界の内部の水平領域として定義される。このことは、外側境界が、鉄のためのサポートに対して直角方向になっていない場合、たとえば鉄のためのサポートと外側境界とで、頂部にロート状の開口部を形成していたり、および/または鉄のためのサポートが平坦ではなく、たとえばアーチ状になっていたりした場合には、特にあてはまる。
【0018】
この場合、酸素含有ガスのガス導入体積は、適切な装置を介してその液状反応混合物の中に導入された体積と定義される。反応体積は、液状反応混合物の体積と鉄の体積とを合計したものと定義される。
【0019】
本発明の方法において使用される硝酸鉄(II)溶液は、従来技術から公知である。その主題に関しては、従来技術の記述を参照されたい。これらの硝酸鉄(II)溶液は、典型的には、(水を含まない場合を規準にしたFe(NO
3)
2)50〜150g/LのFe(NO
3)
2濃度を有している。Fe(NO
3)
2とは別に、硝酸鉄(II)溶液には、0〜50g/Lの量のFe(NO
3)
3を含むことも可能である。しかしながら、Fe(NO
3)
3が極めて少量であるのが有利である。
【0020】
本発明の方法において使用されるヘマタイト核水性懸濁液およびその中に存在しているヘマタイト核は、従来技術からも公知である。この目的のために、従来技術の説明を参照する。
【0021】
水含有ヘマタイト核懸濁液の中に存在しているヘマタイト核は、100nm以下の粒径および40m
2/g〜150m
2/gのBET比表面積(DIN 66131に従って測定)を有する核を含んでいる。そのヘマタイト核の少なくとも90%が、100nm以下、特に好ましくは30nm〜90nmの粒径を有している場合には、粒径の判定基準が満たされる。本発明の方法において使用されるヘマタイト核水性懸濁液は、典型的には、球形、卵形、または六方晶系の粒子形状を有するヘマタイト核を含んでいる。微粉状のヘマタイトは、典型的には高純度を有している。
【0022】
ヘマタイト核懸濁液を製造するために使用される鉄スクラップの中に存在している、異物金属(foreign metal)は、一般的には、各種の濃度の、マンガン、クロム、アルミニウム、銅、ニッケル、コバルトおよび/またはチタンであるが、酸化物またはオキシ水酸化物として沈殿させることも可能であり、そして硝酸との反応の際に微粉状のヘマタイトの中に取り込ませることも可能である。水含有ヘマタイト核懸濁液の中に存在しているヘマタイト核は、典型的には、0.1〜0.7重量%、好ましくは0.4〜0.6重量%のマンガン含量を有している。この品質の核を使用すれば、強く着色した赤色酸化鉄顔料を製造することができる。
【0023】
本発明の方法においては、通常、鉄として、線状、シート状、釘状、粒状、または粗い削り屑の形状の鉄が使用される。個々の鉄片は、どのような形状であってもよく、通常、(たとえば、線材の直径またはシートの厚みとして測定して)約0.1ミリメートル〜約10mmの厚みを有している。方法において使用される線材の束またはシートのサイズは、通常、その実用性に依存する。したがって、反応機は、何の困難も無く、この出発物質を充填することができなければならず、充填は、一般的には、マンホールを通して実行される。そのような鉄は、なかんずく、スクラップとして、または金属加工産業における副生物、たとえば打ち抜きシート片として得られる。
【0024】
本発明の方法において使用される鉄は、一般的には、90重量%より高い鉄含量を有している。この鉄の中に存在している夾雑物は、通常、たとえばマンガン、クロム、ケイ素、ニッケル、銅、およびその他の元素のような異物金属である。しかしながら、もっと高い純度を有する鉄も、何の問題もなく使用することができる。鉄は、典型的には、本発明における反応の開始時に、液体反応混合物の体積を基準にして、20〜150g/Lの量で使用される。さらに好ましい実施態様においては、好ましくは打ち抜きシートまたは線材の形態の鉄を、鉄サポートの上にその面積全体に分散させるが、その嵩密度は好ましくは2000kg/m
3未満、特に好ましくは1000kg/m
3未満である。その嵩密度は、たとえば、少なくとも1種の鉄グレードのシートを曲げるか、および/または目標を決めて鉄を積み重ねることによって、達成することができる。このことによって、典型的には、吹き込まれた酸素含有ガスの90体積パーセントを超えるものを、鉄サポートの下に酸素含有ガスが滞留することなく、鉄サポートを通過させることが可能となる。
【0025】
本発明の方法において使用される酸素含有ガスは、好ましくは酸素または空気であって、それらは単独で使用しても、あるいは他のガス、たとえば窒素および/または窒素酸化物と組み合わせて使用してもよい。酸素含有ガスのガス導入体積は、適切な装置の手段によってm
3の単位で測定し、標準条件下のガスの体積(1013mbar、0℃、標準立方メートルと呼ばれる)で割り算する。次いで、その標準立方メートルでのガス導入体積を、液状反応混合物、ガス導入面積および/または時間割り算する。本発明においては、「液状反応混合物の体積および時間をベースとした、酸素含有ガスのガス導入体積」というパラメーターは、「m
3の酸素含有ガス/m
3の液状反応混合物/時間」の単位で表され、そして「ガス導入面積および時間をベースとした、酸素含有ガスのガス導入体積」というパラメーターは、「m
3の酸素含有ガス/m
2のガス導入面積/時間」の単位で表される。液状反応混合物の中に2種以上のガスが別々にフィードされるような場合には、個々のガスのガス導入体積を合計し、他のパラメーターである「液状反応混合物の体積」、「ガス導入面積」、または「時間」で割り算する。
【0026】
本発明の方法においては、ヘマタイト顔料懸濁液および窒素酸化物含有ストリームが形成される。この窒素酸化物含有ストリームには、典型的には、1〜200g/m
3の酸化窒素系ガス(水を含まないガス規準、NO
2のg/m
3として計算)および/または0.5〜50g/m
3のN
2O(水を含まないガス規準)を含んでいる。これらのストリームにおいては、酸化窒素系ガスおよび一酸化二窒素の含量は、広い範囲で変動させることができる。この窒素酸化物含有ストリームは通常、所定の反応温度での飽和水蒸気に通常相当する、水含量を有している。たとえば、窒素酸化物含有ストリーム中の水の比率は、80℃の反応温度では、約50重量%である。その窒素酸化物含有ストリームは通常、70〜120℃、好ましくは70〜99℃の温度を有する水性反応混合物から放出されるので、その窒素酸化物含有ストリームは、残る水性反応混合物と同じ温度を有している。水性反応混合物から出た後で、その窒素酸化物含有ストリームは、異なった温度、一般的にはより低い温度を有する反応装置の一部と接触させられる。その結果として、その窒素酸化物含有ストリームの中にガス状または蒸気状いずれかの形態で存在していた水の凝縮が起きる可能性がある。このことが、その窒素酸化物含有ストリームの中の水含量、およびおそらくはさらに、その中に溶解しているNO
xおよび/またはN
2Oの含量に変化をもたらす。この理由から、本発明の目的においては、NO
xおよび/またはN
2Oの含量は、水を含まないガスを規準にした重量%の形で、測定および報告される。実際には、測定対象のガスのサンプルを最初に、冷却装置、たとえば氷水を用いて冷却されたガス洗浄ビンの中を通して、その乾燥されたガスが40℃以下の温度を有するようにする。この場合、その水含量は、典型的には、40〜50gの水蒸気/(m
3の空気)にまで低下する。次いで、成分NO
x、N
2OおよびO
2、ならびに場合によってはN
2に関するガス組成が測定される。個々のガスの重量比の測定については、「例および方法」の説明の項でさらに詳しく説明する。
【0027】
一つの実施態様においては、鉄のためのサポートの上に鉄を備えることによって、鉄と、100nm未満の粒径およびの40m
2/g〜150m
2/gのBET比表面積(DIN 66131に従って測定)を有するヘマタイト核を含むヘマタイト核懸濁液と、硝酸鉄(II)溶液との、少なくとも1種の酸素含有ガス存在下、70〜120℃、好ましくは70〜99℃の温度での本発明における反応を実施するが、その鉄は、2000kg/m
3未満、特に好ましくは1000kg/m
3未満の好適な嵩密度で、その鉄のためのサポートの上に、均質に分散される。その鉄のためのサポート上に分散された鉄は、鉄ベッド(iron bed)とも呼ばれる。その鉄ベッドの嵩密度は、たとえば、少なくとも1種の鉄グレードを曲げるか、および/または目標を決めて鉄を積み重ねることによって、達成することができる。この場合、その鉄は、その少なくとも1種の酸素含有ガスが、鉄片の間の隙間を流れて、鉄と接触することが可能となるように、鉄のためのサポートの上に積み重ねられる。鉄のためのサポートが、少なくとも、反応混合物と、開口部を通過し、サポートの中に存在している酸素含有ガスとの間の交換を可能とする。鉄のためのサポートの典型的な実施態様としては、シーブトレイ、パーフォレーテッド(perforated)トレイ、またはメッシュが挙げられる。開口部の累積面積の、鉄のためのサポートの全面積に対する比率は、典型的には、少なくとも0.1である。開口部の累積面積対全面積の比率の上限値は、鉄のためのサポート14の上に位置している鉄により定まる技術的境界条件、たとえば鉄片の形状およびサイズ、ならびに鉄ベッドの重量によって決まってくる。鉄のためのサポート14の、開口部の累積面積対全面積の比率が可能な限り大きいのが、好ましい。鉄のためのサポートの中を通過して反応混合物が流れるために必要となる開口部は、典型的には、その鉄原料物質の選択に適したものである。それによって、サポートを通過しての鉄の落下が、典型的には、ほとんど回避される。鉄のためのサポートは、反応器の内径に相当する直径とすることも可能であるし、あるいはもっと小さく作ることも可能である。鉄のためのサポートの直径が、反応器の内径よりも小さいことが好ましい。この場合においては、鉄が落下することを防止する外側境界は、鉄のためのサポート装置の上に設けられる。
【0028】
この外側境界は、たとえばメッシュで構成して懸濁液−透過性とすることもできるし、あるいは懸濁液−非透過性で、たとえば上部が開いた筒状または立方体形状に相当するようにすることもできる。外側境界の中で可能な開口部は、鉄が通過して落下するようなことがないように、設計される。少なくとも、たとえば境界の下部領域、高さの10〜50%までは、不透過性の壁とするのが好ましい。その上部領域、たとえば鉄のためのサポートから測って外側境界の高さの50%〜90%のところに、鉄の落下を防止し、懸濁液の交換を可能とする、たとえばメッシュや穴の形態にある水平な開口部を存在させることができる。こうすることによって、その反応器を、各種の反応体積(必然的に反応器を各種の充填レベルになる)で運転することが可能となるというメリットがある。その液状反応混合物の表面が、外側境界の上端よりも低い場合であっても、その外側境界の内側および外側の空間から、外側境界にある開口部を通して、液状反応混合物の交換を行わせることが可能である。
【0029】
境界は、典型的には、本発明の方法を実施したときに、その液状反応混合物の中に導入された酸素含有ガスの10体積%未満しか、境界の内側から、境界の開口部を通過して、境界の外側へ出ないようになっているのが望ましい。
【0030】
反応混合物の中への少なくとも1種の酸素含有ガスの導入は、鉄のためのサポートより下で、ガス導入ユニットの手段によって実施して、その少なくとも1種の酸素含有ガスが鉄ベッドの中を通過して流れるようにするのが好ましい。反応器の高さに対して、ガス導入ユニットを、反応器の下から1/2、好ましくは下から1/3のところに位置させるのが好ましい。本発明の方法によって製造される酸化鉄赤色顔料は、ヘマタイト(α−Fe
2O
3)変態形を有し、そのため、本発明に関しては、ヘマタイト顔料と呼ばれる。
【0031】
本発明にはさらに、本発明の方法を実施するのに好適な装置も包含される。それらについては、
図1〜7を使用して、以下でもっと詳しく説明する。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、従って、その中で本発明の方法が実施される、少なくとも一つの反応器1を含む装置を提供する。上述の実施態様を、反応器1に関連させて、さらに詳しく説明する。
【0034】
図の中の記号は、以下の意味合いを有している:
A:酸素含有ガス
Fe:鉄
AQ−Fe(NO
3)
2:硝酸鉄(II)溶液
S−Fe
2O
3:ヘマタイト核懸濁液
PAQ−Fe
2O
3:ヘマタイト顔料懸濁液
H
2O:水
NOX:窒素酸化物含有ストリーム(ヘマタイト顔料懸濁液の製造からのオフガス)
GA:ガス導入領域
DGA:ガス導入領域GAの直径
RA:反応容器11の内部領域
DRA:反応器の内径
1:ヘマタイト顔料懸濁液を製造するための反応機
11:反応容器
12:外側境界
13:12および14のためのホルダー
14:鉄のためのサポート
15:ガス導入ユニット
21:区画
111:硝酸鉄(II)溶液、ヘマタイト核懸濁液、および任意成分の水のための入口
112:NOXの出口
113:ヘマタイト顔料懸濁液のための出口
211:区画21から反応容器11へのフィード導管
212:区画21から反応容器11への排出導管
【0035】
反応機1には、典型的には、出発物質に対する抵抗性を有する材料で作成された1基または複数の反応容器が含まれている。個々の反応容器は、たとえば、鉱物質(let into the earth)のれんが張り(maasonry−lined)またはタイル張りの容器であってよい。反応器としてはさらに、たとえば以下のものから作製された容器が挙げられる:ガラス、耐硝酸のプラスチック、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチール、たとえば、ほうろう被覆スチール、プラスチックコーティングもしくはペインティングスチール、材料番号1.44.01を有するステンレススチール。それらの反応容器は、開放式であっても、密閉式であってよい。本発明の好ましい実施態様においては、それらの反応容器が密閉式である。それらの反応容器は、典型的には、0〜150℃の範囲の温度および0.05MPa(0.05メガパスカル、0.5barに相当)〜1.5MPa(1.5メガパスカル、15barに相当)の圧力に耐えられるように設計されている。
【0036】
反応器1の一つの実施態様を
図1に示す。反応器1には以下のものが含まれている:少なくとも一つの反応容器11、鉄のためのサポート14の外側境界12、12および14のためのホルダー13、少なくとも1種の酸素含有ガスAのためのガス導入ユニット15、硝酸鉄(II)溶液、ヘマタイト核懸濁液および場合によっては水のための入口111、窒素酸化物含有ストリームNOXのための出口112、ならびにヘマタイト顔料懸濁液のための出口113。
【0037】
一つの実施態様においては、その外側境界12が、典型的には、不透過性の壁、開口部を備えた壁、メッシュロッド(mesh rods)、シーブ(sieve)、またはこれらの要素を組み合わせたものとして形成される。境界壁面の中で可能な開口部は、鉄が通過して落下するようなことがないように、設計するべきである。少なくとも、境界12の高さの、鉄のためのサポート14から測って、たとえば10〜50%の高さの低い領域では、液状反応混合物に対して不透過性である壁とするのが好ましい。その上部領域、たとえば鉄14のためのサポートから測って境界12の高さの50%〜90%のところに、鉄の落下を防止し、懸濁液の交換を可能とする、たとえばメッシュや穴の形態にある水平な開口部を存在させることができる。その境界は、典型的には、本発明の方法を実施するときに、窒素酸化物含有ストリームの10体積%以下のものしか、外側境界12の内側から、外側境界12の開口部を通過して、外側境界12の反対側にまで行かないように設計される。しかしながら、このことは、一般的には、外側境界12によって形成される内側空間の中での上向きのガス流によってもたらされるエアリフトポンプ効果(air−lift pump effect)によって、防止される。
【0038】
外側境界12の上端が、特に、それが、物質移動のための、水平な開口部(メッシュ、穴、シーブ)を有していない場合には、反応混合物より上に位置するガス空間に隣接している反応混合物の表面より下にあるのが好ましい。外側境界12の上端が、反応混合物の上のガス空間に隣接する反応混合物の表面よりも上にあり、その外側境界12が懸濁液−透過性である場合には、その境界12の内側と外側の空間の間で液状反応混合物を交換させることは不可能である。そのようになると、外側境界の内側と外側に位置している液状反応混合物の部分は、鉄のためのサポートを介してのみ、相互に交換することが可能となり、それによって、時空収率(spece−time yield)、製品収量、および製品品質の低下がもたらされる可能性がある。本発明においては、「単位面積あたり、単位時間あたりのガス導入体積」を、鉄のためのサポート14により形成される領域をベースとする「1時間あたり、ガス導入面積1m
2あたりの酸素含有ガスのm
3」の単位で、測定する。
【0039】
反応器1の垂直断面の側面図を示している、
図1、5および6においては、記号aで表される観察方向が、矢印で表示されている。
図3は、
図1の反応容器11の水平断面を、鉄のためのサポート14の高さでの平面図として示している。
図1においては、その外側境界12は、その頂部および底部で開口を有する円筒の形状を有している。この場合、その鉄のためのサポート14は、直径DGAを有する領域GAを有している。領域GAによって、ガス導入面積が規定される。
【0040】
各種の実施態様において、鉄のためのサポート14、したがってさらには外側境界12が、たとえば以下のような各種の形状を有することが可能である:円状、長円状、三角形状、四辺形状、五辺形状、または多辺形状(それぞれの場合において、外側境界12の水辺断面規準)。したがって、ガス導入領域GAもまた、それらに相当する形状を有している。鉄のためのサポート14、外側境界12、従ってさらには、ガス導入領域GAは、円状または長円状であるのが好ましい。鉄のためのサポート14と外側境界12も同様に、好ましくは、相互に直交している。この場合、鉄のためのサポートの領域と、鉄のためのサポートおよび外側境界によって囲まれた空間の90%がそれより上に位置している外側境界の内部の水平領域とは、同一である。
【0041】
さらなる実施態様においては、外側境界12が、異なる高さでは異なる直径を有するようにすることもできる。たとえば、
図2においては、外側境界12が、上側に向かうにつれて円錐状に広がって、頂上ではロート状の開口になっている。これらの場合においては、鉄のためのサポート14および外側境界12は、直交していない。この場合、鉄のためのサポートと外側境界とによって囲まれた空間の90%がそれより上に位置している、外側境界12の中の水平領域を、パラメーターのガス導入領域と規定する。
【0042】
図4は、鉄のためのサポート14の高さでの
図1の反応容器11および外側境界12の水平断面の平面図を示しているが、これは、外側境界12の内側端部によって形成されている(観察方向a)。鉄のためのサポート14で形成されている領域が、ガス導入領域GAであって、それは、直径DGAを有し、
図4の上側部分の中で網掛けをした領域として示されている。反応容器11の内側表面で囲まれて形成されている領域が、反応器領域RAであって、それは、直径DRAを有し、
図4の下側部分の中で斜線をつけた領域として示されている。
【0043】
鉄のためのサポート14によって、少なくとも、液体の反応混合物と、サポートの中に存在する開口部を通過した酸素含有ガスとの間の交換が可能となる。鉄のためのサポート14の典型的な実施態様としては、シーブトレイ、パーフォレーテッドトレイ、またはメッシュが挙げられる。開口部の累積面積の、鉄のためのサポートの全面積に対する比率は、典型的には、少なくとも0.1である。開口部の累積面積対全面積の比率の上限値は、鉄のためのサポート14の上に存在している鉄によって決められる技術的境界条件、たとえば鉄部材の形状およびサイズ、ならびに鉄ベッドの重量によって決まってくる。鉄のためのサポート14の、開口部の累積面積対全面積の比率が可能な限り大きいのが、好ましい。鉄のためのサポートの中を通過して反応混合物が流れるために必要となる開口部は、典型的には、その鉄原料物質の選択に適したものである。それによって、典型的には、サポートを通過して鉄が落下することがほとんど回避される。ガス導入領域GAは、好ましくは、領域RAよりも狭い。
【0044】
ガス導入領域は、以下のようになるように、構成される:1時間あたり、ガス導入面積1m
2あたり、8〜32m
3、好ましくは8〜24m
3の酸素含有ガスのガス導入体積が、1時間あたり、反応体積1m
3あたり、0.5〜2m
3の酸素含有ガスのガス導入体積で達成されるか、または、1時間あたり、ガス導入面積1m
2あたり、8〜16m
3、好ましくは8〜12m
3の酸素含有ガスのガス導入体積が、1時間あたり、反応体積1m
3あたり、0.5〜1m
3の酸素含有ガスのガス導入体積で達成されるか、または、1時間あたり、ガス導入面積1m
2あたり、16〜32m
3、好ましくは24〜32m
3の酸素含有ガスのガス導入体積が、1時間あたり、反応体積1m
3あたり、1〜2m
3の酸素含有ガスのガス導入体積で達成される。反応器の寸法に依存して、ガス導入領域によって形成される反応器領域のパーセントは異なってくる。反応器の体積が小さいほど、反応器領域を規準としたガス導入領域のパーセントは、小さくならなければならない。反応器領域を規準としたガス導入領域のパーセントは、目的とする値「1時間あたり、ガス導入面積1m
2あたりの、酸素含有ガス(m
3)」、たとえば1時間あたり、ガス導入面積1m
2あたり8m
3の酸素含有ガスを、目的とする値「1時間あたり、反応体積1m
3あたりの、酸素含有ガス(m
3)」、たとえば1時間あたり、反応体積1m
3あたり1m
3の酸素含有ガスで割り算をすることにより、計算することが可能であり、この例の場合なら、8mの値が得られ、反応器の中の反応体積が、この数値で割り算される。一例として、1m
3の反応体積で、1.05mの反応体積の高さでは、その反応器領域を規準としたガス導入領域のパーセントは13%である(1.05m:8mから計算)。一例として、100m
3の反応体積で、5.09mの反応体積の高さでは、その反応器領域を規準としたガス導入領域のパーセントは64%である(5.09m:8mから計算)。
【0045】
ガス導入ユニット15は、鉄のためのサポート14より下に設置され、たとえば以下のものからなっている:1個または複数のスパージ・リング、パーフォレーテッドパイプ、環の形状のパイプ、星形の形状に組み合わされたパイプ、二流体スプレーヤー(インジェクター、エジェクター)、またはガス導入マット。ガス導入ユニット15はさらに、その鉄のためのサポート14の中に一体化させることもまた可能である。ガス導入ユニット15を鉄のためのサポート14の中に一体化させることは、たとえば、スパージングユニットを、サポートに対して機械的に直接接合させるか、またはパーフォレーテッドチューブから作製したメッシュの構成を取らせて、同時に鉄のためのサポートとしても機能するようにさせることにより、実施される。
【0046】
ガスの導入は、鉄のためのサポート14より下で実施して、ガスが、ガス導入ユニット15から流出して、鉄ベッドの中を通過するようにするのが好ましい。反応器の高さに対して、ガス導入ユニットを、反応器の下から1/2、好ましくは下から1/3のところに位置させるのが好ましい。
【0047】
図1に示した実施態様においては、ガス導入ユニット15が、鉄のためのサポート14より下に設置されている。このことによって、少なくとも1種の酸素含有ガスAの90体積パーセント以上が、鉄のためのサポート14の中、および鉄Feの中を通過して流れ、少なくとも1種の酸素含有ガスAのわずか10体積パーセント未満のものが、ホルダー13を通過し、次いで反応容器11の壁面と、ガス導入領域の外側境界12との間を、液状反応混合物の表面の方向に向けて流れる、ということが確保される。しかしながら、このことは、一般的には、エアリフトポンプ効果によって防止されるが、それは、外側境界12によって形成される内側空間の中での上向きのガス流によってもたらされる。鉄のためのサポート14より下に少なくとも1種の酸素含有ガスを導入することの結果として、反応混合物の表面の方向に向けてのガスストリームが形成され、それにより、液状反応混合物の対流が、鉄のためのサポート14の上に位置している鉄を通過することがもたらされる。反応混合物の中に流入する少なくとも1種の酸素含有ガスは、反応混合物の中に部分的に溶解する。反応混合物の中に溶解した少なくとも1種の酸素含有ガスの一部が、反応混合物のその他の成分と部分的に反応し、その結果として、その反応混合物の中で、溶解されたアンモニウム化合物および/または窒素酸化物もまた生成する。窒素酸化物の一部は、さらに、それらの反応成分とも反応する。少なくとも1種の酸素含有ガスおよび生成した窒素酸化物の一部が、窒素酸化物含有ストリームNOXとして、その反応混合物から抜き出される。
【0048】
一つの実施態様においては、鉄のためのサポート14が、典型的には、ホルダー13および外側境界12に機械的に接合されたシーブまたはメッシュである。
【0049】
さらなる実施態様においては、ホルダー13が、その一部が液不透過性および/またはガス不透過性で、好ましくは部分的もしくは全面的にメッシュまたはシーブからなっている壁面である。
【0050】
さらなる実施態様においては、そのホルダー13が、反応容器11の底面または側壁に接合された支柱(strut)で構成されている。
【0051】
さらなる実施態様においては、
図1に見られるように、その鉄のためのサポート14が、その全周で、外側境界12およびホルダー13に機械的に接合されている。本発明の方法を実施している間、外側境界12の内部で上向きのストリームが起こり、外側境界12と反応器11の内壁との間の空間で下向きのストリームが起きて、それによって、液状反応混合物が、鉄の間を通って循環される。
【0052】
さらなる実施態様においては、
図5に見られるように、その鉄のためのサポート14が、その周囲のほんの一部で、外側境界12およびホルダー13に機械的に接合され、そして、その周囲の残りの部分が反応容器11に直接、機械的に接合されている。本発明の方法を実施している間、鉄のためのサポート14の上、外側境界12と反応容器11との間で上向きのストリームが起こり、そして、鉄のためのサポート14の横では、外側境界12と反応容器11の壁面との間で下向きのストリームが起きて、それによって、反応混合物が、鉄の間を通って循環される。
【0053】
さらなる実施態様においては、
図6および7に示したように、鉄のためのサポート14とガス導入ユニット15とが、反応容器11の少なくとも一つの独立した区画21の中に存在している。その少なくとも一つの独立した区画21は、フィード導管211および排出導管212によって反応容器11に連結されている。フィード導管211および排出導管212は、好ましくは、反応器の中のガス空間に隣接している反応混合物の表面より下に位置している。この実施態様においては、ガス導入領域GAは、
図1および5に示される上述の実施態様のように、鉄のためのサポート14の領域と同一である。独立した区画を複数存在させた場合には、「1時間あたり、ガス導入面積1m
2あたりの、酸素含有ガスのガス導入体積(m
3)」というパラメーターは、個々の区画の個々のガス導入体積を合計したものの、個々の区画のガス導入面積を合計したものに対する比率から計算される。
【0054】
それに代わる実施態様においては、反応容器11の中の入口111および/または出口112および/または出口113を、同一の開口部によるか、またはそれぞれの場合において、それぞれ個々の出発物質および/または生成物のための入口または出口によるか、またはそれらの各種組合せによって、それらが形成されるように、構成することもまた可能である。
【0055】
さらなる実施態様においては、その反応器1にはさらに、ミキサー(図示せず)たとえばプロペラミキサー、および/または反応器の出口で液相を抜き出し、それを導管を介して、他のポイントにある入口から反応器の中に送り返すポンプが含まれる。さらなる好ましい実施態様においては、反応容器11の中に、たとえば加熱マントル、加熱プラグおよび/または加熱コイルとして、加熱装置(図示せず)を直接備えておいたり、あるいは、その液状反応混合物の中に、加熱した水および/または加圧したスチームの直接導入を実施したりすることも可能である。
【0056】
以下においては、本発明の方法を実施するための手順を、例を挙げて説明する。本発明の方法を実施するために、出発物質の鉄、場合によっては水、硝酸鉄(II)溶液、およびヘマタイト核懸濁液を、入口、たとえば入口111を介して、反応容器、たとえば反応容器11の中に導入する。その反応混合物を加熱して、70〜120℃、好ましくは70〜99℃の温度とする。酸素含有ガスの手段による酸化によって、ヘマタイト核の上にヘマタイトを析出させるが、それには、その液状反応混合物の中に酸素含有ガスを、1時間あたり、反応体積1m
3あたり、0.5〜2m
3のガス導入体積の酸素含有ガスおよび、1時間あたり、ガス導入面積1m
2あたり8〜32m
3、好ましくは8〜24m
3のガス導入体積の酸素含有ガス:または、1時間あたり、反応体積1m
3あたり、0.5〜1m
3のガス導入体積の酸素含有ガス、および1時間あたり、ガス導入面積1m
2あたり、8〜16m
3、好ましくは8〜12m
3のガス導入体積の酸素含有ガス:または、1時間あたり、反応体積1m
3あたり、1〜2m
3のガス導入体積の酸素含有ガス、および1時間あたり、ガス導入面積1m
2あたり、16〜32m
3、好ましくは24〜32m
3のガス導入体積の酸素含有ガス:で導入し、そして、その酸化鉄赤色顔料が所望の色合いに達するまで、反応させながら、ヘマタイト核のサイズを増大させる。この方法で製造したヘマタイト顔料懸濁液PAQ−Fe
2O
3は、任意の貯蔵容器(図示せず)の中に一時的に貯蔵するか、および/または出口、たとえば出口113を通し、反応容器と連結している導管を介して、分離装置(図示せず)に直接的に移送して、そこで、反応混合物から顔料を分離する。好ましい実施態様においては、たとえばプロペラ攪拌機の手段による追加の機械的混合、および/またはたとえば液状反応混合物の液状反応混合物のポンプ循環による追加の水力学的混合の手段を、省いても、あるは省かなくてもよい。
【0057】
本発明の方法の間に、液相の中に存在しているヘマタイト核の上に顔料が析出して、ヘマタイト顔料懸濁液が生成するが、その色値、表面コーティング試験における好ましくはa
*値およびb
*値は、顔料析出の際に粒径および/またはモルホロジーが変化した結果として、反応の間に変化する。本発明の方法を停止させる時点は、ヘマタイト顔料懸濁液の中に存在しているヘマタイト顔料の色値を測定することによって決める。ヘマタイト顔料が、所望の色合い、好ましくは表面コーティング試験における原色または退色における所望のa
*値およびb
*値を有するようになったら、本発明の方法を停止させる。これは、ガスの導入を停止することによって実施されるが、場合によっては、反応混合物を冷却して、70℃未満の温度とする。本発明における反応での典型的な反応時間は、所望の色合いに応じて、10〜150時間である。
【0058】
このようにして製造したヘマタイト顔料懸濁液、たとえばヘマタイト顔料懸濁液PAQ−Fe
2O
3は、任意の貯蔵容器(図示せず)の中に一時的に保存してもよいし、および/または出口、たとえば出口113を介し、導管を介して分離装置(図示せず)の中に直接移送して、その中で、反応混合物から顔料を分離してもよい。
【0059】
好ましい実施態様においては、本発明における反応の後に、慣用される方法、好ましくは濾過法および/または沈降法および/または遠心分離法によって、ヘマタイト懸濁液からヘマタイト顔料を分離する。分離の後での、得られたフィルターケーキの洗浄、およびその後のフィルターケーキの乾燥も同様に実施するのが好ましい。ヘマタイト顔料の懸濁液からヘマタイト顔料を分離する前に、1段または複数段の篩別工程、特に好ましくは異なった開き度で、開き度を小さくしながらの篩別を実施するのが同様に好ましい。このことは、そうしないとヘマタイト顔料の中に混ざり込んでしまう異物、たとえば金属片が、ヘマタイト顔料懸濁液から分別されるという利点を有している。
【0060】
ヘマタイト顔料懸濁液からのヘマタイト顔料の分離は、当業者に公知のあらゆる方法、たとえば、沈降させてから水相を除去する方法、またはフィルタープレス、たとえば膜フィルタープレスを通過させる濾過法などで実施することができる。
【0061】
本発明の方法の好ましい実施態様においては、少なくとも1種の硫酸塩、たとえば硫酸鉄(II)および/またはアルカリ金属の硫酸塩もしくはアルカリ土類金属の硫酸塩、好ましくは硫酸鉄(II)および/または硫酸ナトリウムを、篩別の前もしくは途中、および/または分離の前もしくは途中に、ヘマタイト顔料懸濁液に添加することができる。これによって、ヘマタイト顔料のヘマタイト顔料懸濁液からの沈降が加速されるというメリットが得られる。このことが、その次のヘマタイト顔料の単離に寄与する。さらには、硫酸鉄(II)をさらに使用して、その析出反応を実施することもできる。次いで、水酸化ナトリウム溶液の手段によって、残存している鉄の沈降を実施するが、それには、空気を導入しながら、アルカリ性の沈殿剤(たとえば、NaOH、KOH、CaCO
3、Na
2CO
3、K
2CO
3など)を添加することによって、pH3.5〜6、好ましくは4〜5にpH調節し、鉄(II)含量が0.1g/L未満になるまで続ける。沈降が完了したら、ガスの導入を停止し、アルカリ性の沈殿剤をさらに加えることによってpHを4〜6に設定する。
【0062】
場合によっては、このようにして分離された沈降物またはフィルターケーキに、次いで少なくとも1回の洗浄を実施する。分離および/または洗浄の後に、場合によっては、このようにして分離されたヘマタイト顔料の乾燥を、たとえばフィルタードライヤー、ベルトドライヤー、ニーディングドライヤー、スピンフラッシュドライヤー、乾燥オーブン、またはスプレードライヤーの手段によって実施する。ベルトドライヤー、プレートドライヤー、ニーディングドライヤーおよび/またはスプレードライヤーの手段によって乾燥を実施するのが好ましい。
【0063】
驚くべきことには、顕著に高い、反応体積あたり、時間あたりのガス導入体積で顔料析出を実施する従来技術の方法よりも、本発明の方法では、顕著に少ない量の窒素酸化物しかガス相の中に放出されないということが見出された。それに加えて、ガス導入体積が小さいために、従来技術に比較して、70〜120℃、好ましくは70〜99℃に加熱された反応混合物からガス相の中へ移行し、次いでたとえばスチームの形態の外部エネルギーを、反応混合物の中に再び導入しなければならないエネルギーが顕著に少ない。1m
3の反応体積あたり、1時間の反応時間あたり、10m
3のガス体積量のガス導入が使用される、従来技術による方法においては、通常は、Fe(NO
3)
2の1kgあたり、1.7kgのFe
2O
3が製造される。従来技術の方法に比較して、本発明の方法においては、ヘマタイト顔料の中に存在している、鉄から来るFe
3+が、少なくとも同じ割合かまたは大きい割合であると共に、ヘマタイト顔料の中に存在している、Fe(NO
3)
2から来るFe
3+が、少なくとも同じ割合かまたは小さい割合である。本発明の方法の手段によって、Fe(NO
3)
2の1kgあたり、1.7kgを超えるFe
2O
3、好ましくは、Fe(NO
3)
2の1kgあたり、1.8〜2.5kgのFe
2O
3が生成する。ヘマタイト顔料の中の鉄に由来するFe
3+の比率が高いと、その方法がより低コストになるが、その理由は、同一の量のヘマタイトを製造するのに、使用される鉄とは対照的に別途に製造しなければならない硝酸鉄(II)溶液の必要度が低くなるからである。
【0064】
したがって、本発明の方法、ならびにその中で本発明の方法が実施される本発明の装置によって、硝酸塩を使用するペンニマンプロセスにより酸化鉄赤色顔料を高品質、高収率、高エネルギー効率の方法で製造し、しかも酸化窒素系ガスまたは笑気ガスのような望ましくない反応生成物を含むオフガスを回避することが可能となった。
【実施例】
【0065】
実施例および方法:
鉄(II)および鉄(III)の定量滴定:
硝酸鉄(II)の含量は、塩酸を用いて酸性化させたサンプル溶液を、硫酸セリウム(III)を用いて電位差滴定することにより、鉄(II)含量を測定することによって間接的に求めることができる。
【0066】
NO
xの測定
NO
xの測定は、堀場製のガス分析計PG 250(化学ルミネセンス法)を用いて実施した。NO
x生成についての情報は、顔料収量に対する比率として報告した(NO
2として計算、NO
2(g)/顔料(kg))。ガスサンプルは、ガス分析計中のコールドトラップの手段により、脱水させる。出発物質のヘマタイト核および硝酸鉄の製造で発生するNO
x放出は含まれていない。
【0067】
N
2Oの測定
サンプル調製のために、測定対象のガスのサンプルを最初に、冷却装置、たとえば氷水を用いて冷却されたガス洗浄ビンの中を通して、その乾燥されたガスが40℃以下の温度を有するようにする。ここで、その水量は、典型的には、40〜50gの水蒸気/(1m
3の空気)にまで低下する。笑気ガスの測定は、定量的ガスクロマトグラフィー測定の手段によるか、および/または赤外測定法によって実施した。N
2O生成についての情報は、顔料収量に対する比率として報告した(N
2O(g)/顔料(kg))。出発物質のヘマタイト核および硝酸鉄の製造で発生するN
2O放出は含まれていない。
【0068】
O
2の測定
サンプル調製のために、測定対象のガスのサンプルを最初に、冷却装置、たとえば氷水を用いて冷却されたガス洗浄ビンの中を通して、その乾燥されたガスが40℃以下の温度を有するようにする。ここで、その水量は、典型的には、40〜50gの水蒸気/(1m
3の空気)にまで低下する。乾燥された窒素酸化物含有ストリームの中の酸素含量の測定は、たとえば、ガス混合物の中の酸素濃度を選択的に求めることが可能な電気化学的センサーの手段により実施する。乾燥された窒素酸化物含有ストリームの中の酸素含量は、他の方法で測定することもまた可能である。酸素含量は、参照サンプルと比較することにより、絶対的に求めることが可能な絶対量であるので、当業熟練者は、この場合、参照サンプルの手段により検証された、唯一の方法を使用するであろう。
【0069】
N
2の測定
サンプル調製のために、測定対象のガスのサンプルを最初に、冷却装置、たとえば氷水を用いて冷却されたガス洗浄ビンの中を通して、その乾燥されたガスが40℃以下の温度を有するようにする。ここで、その水量は、典型的には、40〜50gの水蒸気/(1m
3の空気)にまで低下する。乾燥された窒素酸化物含有ストリームの中の窒素含量の測定は、ガスクロマトグラフィーにより実施する。この目的のためには、真空にしたガスサンプルビンにオフガスを充填することによりガスサンプルを採取し、ガスクロマトグラフィーにより定量分析する。乾燥された窒素酸化物含有ストリームの中の窒素含量は、他の方法で測定することもまた可能である。窒素含量は、参照サンプルと比較することにより、絶対的に求めることが可能な絶対量であるので、当業熟練者は、この場合、参照サンプルの手段により検証された、唯一の方法を使用するであろう。
【0070】
例1:(比較例)
69.9kgの約1mmの厚みを有する鉄のシートを、直径0.98m、従って面積0.75m
2を有する円状シーブトレイ(メッシュ開口部、約10mm)およびスパージ・リングを備えた、1m
3の反応器(内径1.0m)の中に入れた。そのスパージ・リング(直径20cm)は、シーブトレイより下に設置し、そのシーブトレイの上に鉄のシートを均質に分散させた。次いで、水、硝酸鉄(II)溶液、およびヘマタイト核懸濁液を、体積が1000リットルに達し、そして核の濃度(Fe
2O
3として)が21g/L、硝酸鉄の濃度(無水のFe(NO
3)
2として計算)が44g/Lとなるような量で導入した。その混合物を加熱して85℃とし、その温度に達したら、10m
3/時間の空気(13m
3の空気/ガス導入面積(m
2)/時間)を用いて、94時間かけて吹き込んだ。次いでその反応混合物を、フィルタープレスを通して濾過し、得られたヘマタイト顔料を、水を用いて洗浄する。次いでそのヘマタイト顔料を、80℃で乾燥させて、残存湿分含量を5重量%とする。次いでその乾燥させたフィルターケーキを、シュレッダーの手段により機械的に破砕する。このようにすると、ヘマタイト顔料が、粉体の形態で、93.1kgの収率(Fe(NO
3)
2の1kgあたり、1.7kgのFe
2O
3に相当)で得られる。「Fe(NO
3)
2の1kgあたり、kgのFe
2O
3」というパラメーターは、反応が完了した後に、液状反応混合物の体積およびFe(NO
3)
2の濃度を測定することにより求める。反応において消費されたFe(NO
3)
2の量(得られたヘマタイト顔料の量に対する比率として報告される)は、反応前に導入されたFe(NO
3)
2の量と、反応後に残っているFe(NO
3)
2の量から計算する。
【0071】
比較例2〜7
比較例2〜7は、同一の反応器の中、同様のスケールで、同一の条件、そして出発物質の量対溶液の体積の相対比を同じに設定して、実施した。変動させた唯一のパラメーターは、ガス導入体積であった。それらの実験の結果を表1に示す。
【0072】
実施例8(本発明による)
シーブトレイ(メッシュ開口部、約10mm)を有し、直径0.28m、高さ0.8mの円筒の形状のインサート(側壁に開口部なし)を、1m
3の使用可能体積を有する反応容器の中に取り付け、このインサートより下にガス導入ユニットを設置した。
【0073】
上部がオープンになっていて、シーブトレイと、その下にガス導入ユニットを有するこの筒の中に、25kgの鉄のシートを導入した。次いで、水、硝酸鉄(II)溶液、およびヘマタイト核懸濁液を、体積が1000リットルに達し、そして核の濃度(Fe
2O
3として)が21g/L、硝酸鉄の濃度(無水のFe(NO
3)
2として計算)が44g/Lとなるような量で加えた。その混合物を加熱して85℃とし、その温度に達したら、0.5m
3/時間の空気(0.5m
3の空気/反応体積(m
3)/時間に相当(8m
3の空気/ガス導入面積(m
2)/時間に相当))を用いて、48時間かけて吹き込んだ。次いでその反応混合物を、フィルタープレスを通して濾過し、得られたヘマタイト顔料を、水を用いて洗浄する。次いでそのヘマタイト顔料を、80℃で乾燥させて、残存湿分含量を5重量%とする。次いでその乾燥させたフィルターケーキを、シュレッダーの手段により機械的に破砕する。
【0074】
実施例9〜12(本発明による)は、同一の反応器の中、同様のスケールで、同一の条件、さらには出発物質の量対溶液の体積の相対比を同じに設定して、実施した。変動させた唯一のパラメーターは、ガス導入体積であった。それらの実験の結果を表2に示す。
【0075】
【表1】
【0076】
【表2】