(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記薬物は、マイタンシノイド、オーリスタチン、アミノプテリン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、タリソマイシン、カンプトテシン、N8−アセチルスペルミジン、1−(2クロロエチル)−1,2−ジメチルスルホニルヒドラジド、エスペラミシン、エトポシド、6−メルカプトプリン、ドラスタチン、トリコテセン、カリケアミシン、タキサン、メトトレキサート、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ドキソルビシン、メルファラン、ミトマイシンA、ミトマイシンC、クロラムブシル、デュオカルマイシン、核酸分解酵素、細菌や動植物由来の毒素、シスプラチン、イリノテカン、パクリタキセルおよびドセタキセルから選択される一つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の抗体−薬物接合体。
前記抗体は、単クローン抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト抗体およびヒト化抗体から構成された群から選択される一つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の抗体−薬物接合体。
前記抗体は、癌特異抗原、細胞表面受容体タンパク質、細胞表面タンパク質、膜貫通タンパク質、シグナル伝逹タンパク質、細胞生存調節因子、細胞増殖調節因子、組織発達または分化に関する分子、リンホカイン、サイトカイン、細胞周期調節に関する分子、血管形成に関する分子、または血管新生に関する分子に対する結合能と特異性を有することを特徴とする請求項1に記載の抗体−薬物接合体。
前記抗体は、可変領域およびIgG2またはIgG4のCH1、CH2およびCH3を含み、または FabおよびIgG2またはIgG4のFcを含むことを特徴とする請求項1に記載の抗体−薬物接合体。
【背景技術】
【0002】
抗癌治療に用いられる薬物は、一般的に、毒性、特に、骨髄、粘膜、神経毒性を示す。したがって、強い抗癌作用を示し、且つより安全で癌細胞に特異性を示す抗癌剤の開発が求められる。癌細胞にのみ特異的に作用し、副作用は減少する抗癌剤は、様々な方向から開発が進められている。
【0003】
かかる面において、特定の疾患で特異的に発現する標的(target)、すなわち、抗原に特異的に結合する抗体を用いた治療剤は、バイオ医薬品の中で現在最も活発に研究が進められている。特に、癌細胞の表面に特異的に発現する腫瘍−関連抗原を明らかにし、これに結合して細胞の成長を抑制したり死滅を誘導する抗体、すなわち、抗癌抗体を用いた腫瘍の診断および治療方法は、現在広く使用されており、今後の見通しも非常に明るい技術分野である。
【0004】
しかし、かかる抗癌抗体は、標的特異性は非常に高いが、癌細胞の死滅効果は既存の細胞毒性薬物(抗癌剤)、すなわち、抗癌薬物に比べて低いことが多いため、細胞毒性薬物およびその他の細胞増殖抑制薬物などとの併用投与療法(combination therapy)で使用されることが多い。抗癌薬物は、抗癌抗体に比べては著しく高い細胞毒性を示すが、癌細胞への標的特異性は低いため、抗体治療剤に比べて非常に高い副作用(side effect)を示す。したがって、抗癌抗体と抗癌薬物の併用投与療法は、それぞれの薬物を個別に投与した時よりもさらに高い治療効果を示すが、抗癌薬物の副作用は常に伴われるという根本的な限界を有している。
【0005】
また、非常に高い細胞毒性のため、抗癌薬物の中で単独処方で抗癌治療剤として使用可能な薬物は、相対的に毒性の低いタキソール系やシスプラチン系の薬物と制限的である。細胞毒性が大きいほとんどの抗癌薬物の場合、非常に高い細胞毒性のため、単独薬物として処方することは事実上不可能である。単独処方での使用が不可能な抗癌薬物を癌細胞に対する標的特異性が非常に高い抗体に結合させることで、正常細胞への副作用なしに標的癌細胞にのみ抗癌薬物を運搬することができる。したがって、抗体−薬物接合体は、既存には使用が不可能な抗癌薬物の治療効能を向上させるための方法として脚光を浴びている。
【0006】
現在、市場に発売されている抗体−薬物接合体は、ホジキンリンパ腫の治療剤であるアドセトリス(Adcetris(登録商標))と転移性乳癌治療剤であるカドサイラ(Kadcyla(登録商標))がある。これらの抗体−薬物接合体は、細胞の分裂過程に関与する細胞内微小管であるチューブリンに接合し、細胞の分裂を抑制することで、癌の成長と分裂を阻害するチューブリン抑制剤が抗体に接合している構造を有する。これらの抗体−薬物接合体は、抗体が本来有しているリジンに薬物を接合するか(カドサイラ)、抗体の構造的安定性を維持させる重鎖−重鎖、あるいは重鎖−軽鎖を連結するジスルフィド基を還元させたシステイン基に薬物を接合する(アドセトリス)。かかる第1世代抗体−薬物接合体に使用された抗癌薬物の接合方式は、抗体当たり接合する薬物の個数を調節することができず、同じ薬物接合数を有する抗体−薬物接合体でも薬物の接合位置が互いに異なる位置異性体(positional isomer)が生成されることになる。抗体当たりの薬物の接合個数は、抗体−薬物接合体の細胞毒性だけでなく、抗体−薬物接合体の安定性、凝集体形成可能性などにも影響を及ぼす要素であり、一般的に、薬物が多く接合するほど抗体自体の安定性が低下し、凝集体の形成可能性が高くなる。
【0007】
また、第1世代抗体−薬物接合体は、抗体当たり接合する薬物の個数を調節することができないため、抗体当たり接合する薬物の個数は、平均的な数値を有することになる。例えば、カドサイラの場合には、抗体に接合した薬物の個数が1個から8個までの分布を有することになり、平均的に3.5個の薬物接合数を有することになる。同じ薬物接合個数でも薬物の接合位置に応じて抗体−薬物接合体の特性が異なり得る。Fab付近やFcのhinge付近に薬物が接合する場合、抗原やFcγやFcRn受容体との結合力に差が生じるため、抗体の安定性や抗原−抗体反応性が阻害される可能性もある。抗体当たり接合する薬物の個数が増加するほど、薬物の接合位置が互いに異なる位置異性体の個数も比例して増加し、かかる結果は、生産バッチによる抗体−薬物接合体の一貫した特性を維持するにも大きい影響を及ぼし得る。
【0008】
したがって、近年、上記のような第1世代抗体−薬物接合体の欠点を改善するために、位置特異的薬物接合のための様々な接合技術が開発されている。ジェネンテック(Genetech)では、抗体のアミノ酸を置換してシステイン基を導入した後、導入したシステイン基に位置特異的に薬物を接合するThioMab技術を用いて薬物を接合する技術を開発した。これにより、位置特異的に薬物が接合された抗体−薬物接合体が、第1世代抗体−薬物接合体の接合技術で製造されたものよりも生体内での活性に優れていることを示した(Junutula et al.,Nature Biotechnology,2008,26,925−932)。位置特異的接合は、基質特異性が非常に高いタンパク質酵素を用いた薬物接合方式でまた多くの会社が試みた。
【0009】
ホルミルグリシン−生成酵素(Formylglycine−generating enzyme)を用いた位置特異的接合(Drake et al.,Bioconjugate Chemistry,2014,25,1331−1341)、グルタミントランスフェラーゼを用いた接合(Strop et al.,Chemistry & Biology,2013,20,161−167)などの方法により、所望の個数の薬物を位置選択的に抗体に接合することができることが報告された。しかし、かかるタンパク質酵素を用いた接合は、37℃で72時間過量の薬物の存在下で接合をするか、または高濃度の接合酵素を要するという点などの欠点がある。
【0010】
さらに他の位置特異的接合方法である非天然アミノ酸(non−natural amino acid)を用いた接合方法は、tRNA合成酵素のmutantを介して非天然アミノ酸をタンパク質に導入することができるtRNAを合成することで、天然状態のアミノ酸が有していない残基(side−chain)をタンパク質内に導入することができる技術に基づいている(Wang et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,2003,100,56−61)。これにより導入した非天然アミノ酸の残基に位置特異的接合をする方式で所望の位置に薬物を接合することができる(zimmerman et.Al,Bioconjugate Chem.2014,25,351−361)。しかし、かかる方法は、高度の遺伝子工学的方法により転写段階(translation pathway)を調節しなければならない高難易度の作業が求められる。
【0011】
前記のような位置特異的接合は、複雑な遺伝子工学的方法を用いて転写システムを変形するか、または過量の接合酵素を添加しなければならないなど、位置特異的接合反応のためにかかる時間とコストが非常に大きい。抗体は、抗癌薬物を癌細胞に特異的に伝達する輸送体(carrier)の役割をし、薬物は、癌細胞に運搬されるまで安定して抗体に接合されていれば良い抗体−薬物接合体の基本概念から見て、果して前記のような複雑で時間と経済的コストがかかる接合方法を使用して、抗体−薬物接合体を製造しなければならない必然性に疑問がありかねない。抗体−薬物接合体の生産において、位置特異的に接合することができ、且つ経済的効用性にも優れた接合方式は、既存の第1世代抗体−薬物接合体の接合方法だけでなく、新たに提示された位置特異的接合方式の限界を乗り越えることができる立派な代案になることができる。
【0012】
抗体−薬物接合体は、既存の抗体医薬品に比べて著しく優れたin vitroおよびin vivo効能を示している。しかし、抗体−薬物接合体を1次治療剤として使用するためのいくつかの臨床結果は、単クローン抗体治療剤と化学合成薬物の複合治療(combination therapy)に比べて有意な臨床的効用性の差を示すのに失敗した(http://www.roche.com/media/store/releases/med−cor−2014−12−19.htm)。かかる結果は、抗体−薬物接合体が、合成薬物だけではなく、単クローン抗体治療剤に比べて著しく高い治療費を要するという点を考慮したときに、抗体−薬物接合体の経済的効用性に大きな制約として作用し得る。かかる点で上述の位置特異的接合方式では、1次治療剤として使用できるという経済的効用性を提供するのに深刻な問題点を内包していると言える。
【0013】
かかる技術的背景下で、本出願の発明者らは、位置特異的接合反応をするとともに、提示された接合反応よりも経済的効用性において著しく優れた抗体−薬物接合体に関する開発が切実に求められていることを認識し、かかる問題を解決するために、金属イオン結合モチーフが含まれたペプチドモチーフを含む変形抗体を介して位置特異的接合をするとともに、より著しく優れた薬物接合収率を有する変形抗体を発明した。かかる発明により、位置特異的接合方法による抗体−薬物接合体の優れた生体内抗癌効果だけではなく、より経済的に製造可能な抗体−薬物接合体を提供することを目的とする。
【発明を実施するための形態】
【0018】
他に定義されない限り、本明細書で使用されたすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野において熟練された専門家によって通常理解されるものと同じ意味を有する。一般的に、本明細書で使用された命名法は、本技術分野においてよく知られており、通常使用されるものである。
【0019】
抗体−薬物接合体は、ターゲット癌細胞に抗癌薬物を伝達するまでに抗癌薬物が抗体に安定して結合していなければならない。ターゲット癌細胞に伝達された抗癌薬物は、抗体から遊離され、癌細胞の死滅を誘導しなければならない。このためには、抗癌薬物をリンカーを用いて抗体に安定して結合するとともに、癌細胞から遊離される時には癌細胞の死滅を誘導する十分な細胞毒性を有する薬物−リンカーの構造を有していなければならない。また、薬物は、抗体に位置特異的に接合することで、抗体−薬物接合体の抗癌効能性と製造過程での均一性を示すべきである。
【0020】
このために、本出願の発明者らは、韓国登録特許第1541764号にて抗体のC−末端に金属イオン結合モチーフを含むペプチドを導入して、位置特異的に薬物が接合することができ、所定の抗体対薬物の接合比率を達成することができることを示した。これにより薬物が変形抗体に位置特異的に接合するとともに、親抗体の特性は維持され、且つ非常に高い標的特異性と薬物効果を期待することができることを示した。しかし、合成薬物や単クローン抗体治療剤と比較して、著しく高い生産費は、薬物の接合収率の向上による経済的効用性の拡大を切実に要している。
【0021】
そのため、本発明では、金属イオン結合モチーフが含まれたペプチドモチーフを含む変形抗体を改良、すなわち、親抗体の末端に導入した金属イオン結合モチーフの配列と1次構造に応じて抗体に接合される薬物の接合比率が著しく増加することができることを証明しようとした。
【0022】
一観点で、本発明は、下記構造式(1)で表されるモチーフを抗体の末端に含む変形抗体がリンカーを介して薬物に結合された抗体−薬物接合体に関する。
【0023】
構造式(1)
X
a−[M
motif1]
n1−X
b−[M
motif2]
n2
【0024】
前記式中、M
motif1またはM
motif2は、それぞれ独立して、ACGHA(配列番号1)、AHGCA(配列番号2)、AXGHA(配列番号3)およびAHGXA(配列番号4)から構成された配列のいずれか一つを含み、前記配列番号3または4中、Xは、システイン以外のアミノ酸残基を含み、
X
aおよびX
bは、それぞれ独立して、A(alanine)、S(serine)、G(glycine)からなる群から選択されるアミノ酸残基が0個〜20個から構成されたペプチドであり、
n1およびn2は、それぞれ1〜10の整数である。
【0025】
前記構造式(1)で表されるモチーフは、金属イオン結合モチーフであるCGHモチーフを含むペプチドであり、CGHモチーフは、以下の化学式1の構造を有する。
【0027】
前記化学式1中、Mは金属イオンを意味し、Rはシステイン以外のアミノ酸残基、特にアラニンが好ましい。
【0028】
本発明によるモチーフにおいて、M
motif1またはM
motif2は、それぞれ、C末端とN末端にアラニンが位置するACGHA(配列番号1)またはこのうち、システインをシステイン以外のアミノ酸残基で置換したAXGHA(配列番号3)を含む。N−末端とC−末端が変わっても依然として金属イオン結合特性を有することから、本発明によるモチーフにおいて、M
motif1またはM
motif2にACGHA(配列番号1)またはAXGHA(配列番号3)でN−末端とC−末端が変更されたAHGCA(配列番号2)またはAHGXA(配列番号4)も含まれる。
【0029】
本発明によるモチーフにおいて、M
motif1またはM
motif2は、それぞれ同一の配列を含んでもよく、互いに異なる配列を含んでもよい。
【0030】
本発明による一実施形態において、前記M
motif1またはM
motif2がAXGHAまたはAHGXAに相当する場合、この際、Xは、セリン(S)、アラニン(A)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、アスパラギン酸(D)、リジン(K)およびフェニルアラニン(F)から構成された群から選択されるアミノ酸残基であってもよい。
【0031】
本発明による一実施形態において、前記M
motif2がAXGHA(配列番号3)を含み、Xはシステイン以外のアミノ酸残基の場合、ACGHAを含む場合に比べて高い薬物接合能を示すことができることを確認した。前記M
motif2は、AXGHA、この際、Xは、システイン以外のアミノ酸残基、例えば、セリン(S)、アラニン(A)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、アスパラギン酸(D)、リジン(K)およびフェニルアラニン(F)から構成された群から選択されるアミノ酸残基であってもよい。
【0032】
X
aは、モチーフM
motif1の5’末端に存在するアミノ酸残基であり、場合に応じて、抗体の末端と連結するために位置するペプチドであってもよく、A(alanine)、S(serine)、G(glycine)からなる群から選択されるアミノ酸残基が0個〜20個から構成されたペプチドである。X
aのアミノ酸残基が0の場合、モチーフは、X
aを含まず、抗体にモチーフのM
motif1が直接結合する形態であってもよい。X
aのアミノ酸残基が1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上であってもよく、例えば、2〜20個、2〜18個、2〜16個、2〜14個、2〜12個、2〜10個、2〜8個、2〜6個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個であってもよい。
【0033】
X
bは、M
motif1およびM
motif2を連結するためのリンカーであり、A(alanine)、S(serine)、G(glycine)からなる群から選択されるアミノ酸残基が0個〜20個から構成されたペプチドである。X
bのアミノ酸残基が0の場合、モチーフは、X
bを含まず、M
motif1およびM
motif2が直接連結される形態であってもよい。X
bのアミノ酸残基が1個以上、2個以上、3個以上、4個以上、5個以上であってもよく、例えば、2〜20個、2〜18個、2〜16個、2〜14個、2〜12個、2〜10個、2〜8個、2〜6個、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個であってもよい。
【0034】
n1およびn2は、それぞれ、M
motif1およびM
motif2の繰り返し回数を示し、1〜10の整数である。前記n1およびn2は、それぞれ、1であってもよく、この際、M
motif1およびM
motif2にACGHA(配列番号1)、AHGCA(配列番号2)、AXGHA(配列番号3)およびAHGXA(配列番号4)から構成された配列のいずれか一つが、X
bのリンカーなしにまたはX
bのリンカーを含んで連結されてもよい。例えば、[M
motif1]
n1−X
b−[M
motif2]
n2の構造は、X
bのリンカーがない場合、ACGHAACGHA(配列番号5)、ACGHAAHGCA(配列番号6)、ACGHAAXGHA(配列番号7)、ACGHAAHGXA(配列番号8)、AHGCAAHGCA(配列番号9)、AHGCAACGHA(配列番号10)、AHGCAAXGHA(配列番号11)、AHGCAAHGXA(配列番号12)、AXGHAAXGHA(配列番号13)、AXGHAACGHA(配列番号14)、AXGHAAHGCA(配列番号15)、AXGHAAHGXA(配列番号16)、AHGXAAHGXA(配列番号17)、AHGXAACGHA(配列番号18)、AHGXAAHGCA(配列番号19)、またはAHGXAAXGHA(配列番号20)であってもよく、薬物の結合のために、C(システイン)を必須に含むモチーフがM
motif1およびM
motif2に選別されてもよい。
【0035】
X
bが存在する場合の前記アミノ酸配列において、5’末端から6番目の位置にアミノ酸残基が1個〜20個から構成されたペプチドがさらに含まれてもよい。この際、Xは、セリン(S)、アラニン(A)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、アスパラギン酸(D)、リジン(K)およびフェニルアラニン(F)から構成された群から選択されてもよい。
【0036】
[M
motif1]
n1−X
b−[M
motif2]
n2の構造は、X
bのリンカーがない場合、例えば、Xがセリンであれば、Xを含む配列番号7、8、11〜20においてX位置にセリンを含み、ACGHAASGHA(配列番号21)、ACGHAAHGSA(配列番号22)、AHGCAASGHA(配列番号23)、AHGCAAHGSA(配列番号24)、ASGHAASGHA(配列番号25)、ASGHAACGHA(配列番号26)、ASGHAAHGCA(配列番号27)、ASGHAAHGSA(配列番号28)、AHGSAAHGSA(配列番号29)、AHGSAACGHA(配列番号30)、AHGSAAHGCA(配列番号31)、またはAHGSAASGHA(配列番号32)であってもよい。
【0037】
[M
motif1]
n1−X
b−[M
motif2]
n2の構造は、X
bのリンカーがない場合、例えば、Xがアラニン(A)であれば、ACGHAAAGHA(配列番号33)、ACGHAAHGAA(配列番号34)、AHGCAAAGHA(配列番号35)、AHGCAAHGAA(配列番号36)、AAGHAAAGHA(配列番号37)、AAGHAACGHA(配列番号38)、AAGHAAHGCA(配列番号39)、AAGHAAHGAA(配列番号40)、AHGAAAHGAA(配列番号41)、AHGAAACGHA(配列番号42)、AHGAAAHGCA(配列番号43)、またはAHGAAAAGHA(配列番号44)であってもよい。
【0038】
[M
motif1]
n1−X
b−[M
motif2]
n2の構造は、X
bのリンカーがない場合、例えば、Xがトレオニン(T)であれば、ACGHAATGHA(配列番号45)、ACGHAAHGTA(配列番号46)、AHGCAATGHA(配列番号47)、AHGCAAHGTA(配列番号48)、ATGHAATGHA(配列番号49)、ATGHAACGHA(配列番号50)、ATGHAAHGCA(配列番号51)、ATGHAAHGTA(配列番号52)、AHGTAAHGTA(配列番号53)、AHGTAACGHA(配列番号54)、AHGTAAHGCA(配列番号55)、またはAHGTAATGHA(配列番号56)であってもよい。
【0039】
[M
motif1]
n1−X
b−[M
motif2]
n2の構造は、X
bのリンカーがない場合、例えば、Xがチロシン(Y)であれば、ACGHAAYGHA(配列番号57)、ACGHAAHGYA(配列番号58)、AHGCAAYGHA(配列番号59)、AHGCAAHGYA(配列番号60)、AYGHAAYGHA(配列番号61)、AYGHAACGHA(配列番号62)、AYGHAAHGCA(配列番号63)、AYGHAAHGYA(配列番号64)、AHGYAAHGYA(配列番号65)、AHGYAACGHA(配列番号66)、AHGYAAHGCA(配列番号67)、またはAHGYAAYGHA(配列番号68)であってもよい。
【0040】
[M
motif1]
n1−X
b−[M
motif2]
n2の構造は、X
bのリンカーがない場合、例えば、Xがアスパラギン酸(D)であれば、ACGHAADGHA(配列番号69)、ACGHAAHGDA(配列番号70)、AHGCAADGHA(配列番号71)、AHGCAAHGDA(配列番号72)、ADGHAADGHA(配列番号73)、ADGHAACGHA(配列番号74)、ADGHAAHGCA(配列番号75)、ADGHAAHGDA(配列番号76)、AHGDAAHGDA(配列番号77)、AHGDAACGHA(配列番号78)、AHGDAAHGCA(配列番号79)、またはAHGDAADGHA(配列番号80)であってもよい。
【0041】
[M
motif1]
n1−X
b−[M
motif2]
n2の構造は、X
bのリンカーがない場合、例えば、Xがリジン(K)であれば、ACGHAAKGHA(配列番号81)、ACGHAAHGKA(配列番号82)、AHGCAAKGHA(配列番号83)、AHGCAAHGKA(配列番号84)、AKGHAAKGHA(配列番号85)、AKGHAACGHA(配列番号86)、AKGHAAHGCA(配列番号87)、AKGHAAHGKA(配列番号88)、AHGKAAHGKA(配列番号89)、AHGKAACGHA(配列番号90)、AHGKAAHGKA(配列番号91)、またはAHGKAAKGHA(配列番号92)であってもよい。
【0042】
[M
motif1]
n1−X
b−[M
motif2]
n2の構造は、X
bのリンカーがない場合、例えば、Xがフェニルアラニン(F)であれば、ACGHAAFGHA(配列番号93)、ACGHAAHGFA(配列番号94)、AHGCAAFGHA(配列番号95)、AHGCAAHGFA(配列番号96)、AFGHAAFGHA(配列番号97)、AFGHAACGHA(配列番号98)、AFGHAAHGCA(配列番号99)、AFGHAAHGFA(配列番号100)、AHGFAAHGFA(配列番号101)、AHGFAACGHA(配列番号102)、AHGFAAHGFA(配列番号103)、またはAHGFAAFGHA(配列番号104)であってもよい。
【0043】
X
bが存在する場合の上記配列番号5〜104のアミノ酸配列において、5’末端から6番目の位置にアミノ酸残基が1個〜20個から構成されたペプチドがさらに含まれてもよい。この際、Xは、セリン(S)、アラニン(A)、トレオニン(T)、チロシン(Y)、アスパラギン酸(D)、リジン(K)およびフェニルアラニン(F)から構成された群から選択されてもよい。
【0044】
前記n1およびn2は、それぞれ、2以上であってもよく、例えば、前記n1およびn2が2の場合、M
motif1およびM
motif2それぞれが、同じアミノ酸配列を含む場合、ACGHA(配列番号1)、AHGCA(配列番号2)、AXGHA(配列番号3)およびAHGXA(配列番号4)から構成された配列のいずれか一つがそれぞれ2回ずつ繰り返された配列が含まれるか、または異なる配列、例えば、ACGHAおよびAHGCA、ACGHAおよびAXGHA、ACGHAおよびAHGXA、AHGCAおよびACGHA、AHGCAおよびAXGHA、AHGCAおよびAHGXA、AXGHAおよびACGHA、AXGHAおよびAHGCA、AXGHAおよびAHGXA、AHGXAおよびACGHA、AHGXAおよびAHGCA、またはAHGXAおよびAXGHAがそれぞれ2回ずつ繰り返された配列が含まれてもよい。前記n1およびn2が3〜10の場合には、M
motif1およびM
motif2それぞれが、ACGHA(配列番号1)、AHGCA(配列番号2)、AXGHA(配列番号3)およびAHGXA(配列番号4)から構成された配列のいずれか一つに相当する同一配列を含むか、異なる配列を含み、それぞれ、3〜10回ずつ繰り返されてもよい。
【0045】
好ましくは、前記n1およびn2は、それぞれ、1であってもよく、X
bのリンカーが存在しないこともあり、この際、本発明によるモチーフは、例えば、配列番号5〜104から構成された群から選択される一つ以上の配列を含んでもよい。
【0046】
前記モチーフは、抗体の重鎖または軽鎖C−末端、具体的には、重鎖C−末端に結合することができ、これにより薬物接合収率が著しく増加した変形抗体およびこれを含む薬物接合体を提供することができる。前記薬物の接合収率を高めることで、抗体−薬物接合体の生産収率を高めることができる。高い収率で接合された薬物は、変形抗体によってターゲット癌細胞に特異的に伝達されることで治療効果を高めることができ、高い抗体−薬物接合体の接合収率により、抗体−薬物接合体治療剤の生産コストを低減することができる。
【0047】
前記モチーフは、親抗体とアミノ結合による融合(fusion)形態で直接結合されるか、親抗体の末端官能基とモチーフのうち末端官能基が化学的に結合する形態、またはモチーフのうち末端官能基と薬物を連結するリンカーに媒介された(linker−mediated)形態の結合も可能である。
【0048】
前記リンカーは、モチーフ内の特定の残基と薬物を連結する形態であってもよく、変形抗体のうちモチーフ上に存在する求核性残基(例えば、システイン)に反応する求電子性基を有する反応性部位を有することができる。前記リンカーは、例えば、モチーフに結合する反応性官能基、アミノ酸および自己切断スペーサを含んでもよい。
【0049】
前記官能基は、i)マレイミド基、アセトアミド基、またはその誘導体、ii)アジリジン基、アリールハライド、アクリロイル基、またはその誘導体、iii)アルキル化反応基、アリール化反応基、ピリジルジスルフィド、チオニトロ安息香酸、またはその誘導体であってもよい。具体的には、前記リンカーは、具体例として、i)マレイミド基またはその誘導体−バリン−シトルリン−パラアニリン安息香酸(para−aniline benzoic acid:PABA);またはii)アセトアミド基またはその誘導体−バリン−シトルリン(valine−citrulline)−パラアニリン安息香酸(para−aniline benzoic acid:PABA)の形態であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0050】
前記リンカーによる残基と薬物の結合は、公知の方法、例えば、アルキル化、二硫化(disulfide)相互交換方法およびトランスチオエステル化反応法が用いられることができる。これにより、モチーフ内のシステイン残基のチオール基を介して抗体と薬物が接合されることができる。
【0051】
一つの具体例において、チオール−リンカー結合のために使用されるマレイミド基の場合、システイン残基のチオールがマレイミド基に対して有する求核反応性がタンパク質の中で存在する他のアミノ酸官能基、例えば、リジン残基のアミノ基またはN−末端アミノ基に比べて、約1,000倍も高いことからシステインに特異的に結合させるのに活用することができる。したがって、マレイミド基、その誘導体またはアセトアミド基またはその誘導体、例えば、ブロモアセトアミド基、ヨードアセトアミド基による変形抗体−薬物接合体は、システインがチオエーテル結合により薬物と結合されることが分かる。
【0052】
前記抗体は、単クローン抗体、二重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト抗体およびヒト化抗体から構成された群から選択される一つ以上であってもよい。また、二重特異性抗体(bispecific antibody)などの変形抗体や、抗体断片などもいずれも使用可能である。「抗体断片」は、少なくとも抗原に対する結合機能を有している断片を意味し、単鎖抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、Fab断片、F(ab')2断片、Fd、scFv、ドメイン抗体、ミニボディ、スキャブ(single chain antibody、scAb)、抗体不変領域の誘導体、タンパク質スカホールド(protein scaffolds)に基づく人工抗体などを含む。
【0053】
場合に応じて、前記抗体は、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMから構成された群から選択されてもよい。
【0054】
前記抗体は、具体的には、癌特異抗原、細胞表面受容体タンパク質、細胞表面タンパク質、膜貫通タンパク質、シグナル伝逹タンパク質、細胞生存調節因子、細胞増殖調節因子、組織発達または分化に関する分子、リンホカイン、サイトカイン、細胞周期調節に関する分子、血管形成に関する分子、または血管新生に関する分子に対する結合能と特異性を有してもよく、例えば、(1)BMPR1B(骨形態形成タンパク質受容体−IB型、GenBank承認番号NM_001203);
(2)E16(LAT1、SLC7A5、GenBank承認番号NM_003486);
(3)STEAP1(前立腺の6回の膜貫通上皮抗原、GenBank承認番号NM_012449);
(4)0772P(CA125、MUC16、GenBank承認番号AF361486);
(5)MPF(MPF、MSLN、SMR、巨核細胞強化因子、メソテリン、GenBank承認番号NM_005823);
(6)Napi3b(NAPI−3B、NPTIIb、SLC34A2、溶質輸送体族34(リン酸ナトリウム)、構成員2、第II型ナトリウム−依存性ホスフェート輸送体3b、GenBank承認番号NM_006424);
(7)Sema 5b(FLJ10372、KIAA1445、Mm.42015、SEMA5B、SEMAG、セマフォリン5b Hlog、セマドメイン、7個のトロンボスポンジンリピート(第1型および類似第1型)、膜貫通ドメイン(TM)および短い細胞質ドメイン、(セマフォリン)5B、GenBank承認番号AB040878);
(8)PSCA hlg(2700050C12Rik、C530008O16Rik、RIKEN cDNA 2700050C12、RIKEN cDNA 2700050C12遺伝子、GenBank承認番号AY358628);
(9)ETBR(エンドセリンB型受容体、GenBank承認番号AY275463);
(10)MSG783(RNF124、仮想タンパク質FLJ20315、GenBank承認番号NM_017763);
(11)STEAP2(HGNC_8639、IPCA−1、PCANAP1、STAMP1、STEAP2、STMP、前立腺癌関連遺伝子1、前立腺癌関連タンパク質1、前立腺の6回の膜貫通上皮抗原2、6回の膜貫通前立腺タンパク質、GenBank承認番号AF455138);
(12)TrpM4(BR22450、FLJ20041、TRPM4、TRPM4B、一時的受容体潜在的カチオンチャネル、M亜族、構成員4、GenBank承認番号NM_017636);
(13)CRIPTO(CR、CR1、CRGF、CRIPTO、TDGF1、奇形癌腫−由来成長因子、GenBank承認番号NP_003203またはNM_003212);
(14)CD21(CR2(補体受容体2)またはC3DR(C3d/エプスタインバールウイルス受容体)またはHs.73792GenBank承認番号M26004);
(15)CD79b(CD79B、CD79β、IGb(イムノグロブリン−関連ベータ)、B29、GenBank承認番号NM_000626);
(16)FcRH2(IFGP4、IRTA4、SPAP1A(SH2ドメイン含有ホスファターゼ固定タンパク質1a)、SPAP1B、SPAP1C、GenBank承認番号NM_030764);
(17)HER2(GenBank承認番号M11730);
(18)EGFR、HER3およびHER4から選択されるErbB受容体;
(19)NCA(GenBank承認番号M18728);
(20)MDP(GenBank承認番号BC017023);
(21)IL20Rα(GenBank承認番号AF184971);
(22)ブレビカン(GenBank承認番号AF229053);
(23)EphB2R(GenBank承認番号NM_004442);
(24)ASLG659(GenBank承認番号AX092328);
(25)PSCA(GenBank承認番号AJ297436);
(26)GEDA(GenBank承認番号AY260763);
(27)BAFF−R(B細胞活性化因子受容体、BLyS受容体3、BR3、NP_443177.1);
(28)CD22(B−細胞受容体CD22−Bイソ型、NP−001762.1);
(29)CD79a(Igベータ(CD79B)と共有的に相互作用し、IgM分子と表面で複合体を形成するB細胞特異的タンパク質であるCD79A、CD79α、イムノグロブリン−関連アルファは、B細胞分化に関与する信号を伝達する、GenBank承認番号NP_001774.1);
(30)CXCR5(CXCL13ケモカインによって活性化したGタンパク質カップリングされた受容体であるバーキットリンパ種受容体1は、リンパ球の移動および体液性免疫に作用し、HIV−2感染に参加し、AIDS、リンパ種、骨髄腫および白血病の発病と関連があると思われる、GenBank承認番号NP_001707.1);
(31)HLA−DOB(ペプチドに結合しCD4+Tリンパ球に提示する、MHCクラスII分子(Ia抗原)のベータサブユニット、GenBank承認番号NP_002111.1);
(32)P2X5(細胞の他、ATPによってゲートされるイオンチャネルである、プリン性受容体P2Xリガンド−ゲートイオンチャネル5は、シナプス伝達および神経発生に関与することができ、その欠乏は、特発性排尿筋不安定の病態生理に寄与することができる、GenBank承認番号NP_002552.2);
(33)CD72(B−細胞分化抗原CD72、Lyb−2、GenBank承認番号NP_001773.1);
(34)LY64(ロイシンリッチリピート(LRR)族の第I型膜タンパク質である、リンパ球抗原64(RP105)は、B細胞活性化およびアポトーシスを調節し、これの機能喪失は、全身性エリテマトーデス患者の疾病活性増加と関連する、GenBank承認番号NP_005573.1);
(35)FcRH1(C2型Ig−類似およびITAMドメインを含有するイムノグロブリンFcドメインに対する推定的受容体であるFc受容体様タンパク質1は、Bリンパ球分化に関与することができる、GenBank承認番号NP_443170.1);
(36)IRTA2(B細胞発生およびリンパ腫発生に作用することができる推定的免疫数溶体であるイムノグロブリン巨大族受容体転座関連2、転座による前記遺伝子脱調節はいくつかのB細胞悪性腫瘍で起こる、GenBank承認番号NP_112571.1);
(37)TENB2(成長因子のEGF/ヘレグリン族およびホリスタチンと関連のある推定的膜貫通プロテオグリカン、GenBank承認番号AF179274);
(38)MAGE−C1/CT7(精巣腫瘍過発現タンパク質);
(39)アンドロゲン受容体(androgen receptor)、PTEN、ヒトカリクレイン関連ペプチダーゼ3(human kallikrein−related peptidase 3)(前立腺癌で過発現するタンパク質);
(40)CD20;
(41)CD30;
(42)CD33;
(43)CD52;
(44)EpCam;
(45)CEA;
(46)gpA33;
(47)Mucins;
(48)TAG−72;
(49)炭酸脱水酵素IX(Carbonic anhydrase IX);
(50)PSMA;
(51)葉酸受容体(Folate receptor)(FOLR 遺伝子により発現するタンパク質ファミリ。葉酸と高い結合力を有しており、5−メチルテトラヒドロ葉酸を細胞内に運搬する);
(52)ガングリオシド(GD2、GD3、GM2);
(53)糖水化物Lewis−Y;
(54)VEGF;
(55)VEGFR;
(56)aVb3;
(57)a5b1;
(58)ERB3;
(59)c−MET;
(60)EphA3;
(61)TRAIL−R1、TRAIL−R2;
(62)RANKL;
(63)FAP;および
(64)Tenascinから構成された群から選択される一つ以上のターゲットに結合能を有することができるが、これに制限されるものではない。
【0055】
本発明による一実施形態において、配列番号115の重鎖および配列番号116の軽鎖を含む葉酸受容体(Folate receptor)に結合する抗体(Farletuzumab)を親抗体として用いた。前記親抗体の重鎖末端に金属イオン結合モチーフを導入し、ペプチドモチーフの配列および配置に応じて様々な変形抗体を製造した後、変形抗体による薬物の接合比率の差を測定した。前記変形抗体は、配列番号117〜121から構成された群から選択される一つ以上の重鎖を含むことができる。
【0056】
また、本発明による他の実施形態において、Her2に特異的に結合する抗体(Trastuzumab)を親抗体として用いた。前記親抗体の重鎖末端に金属イオン結合モチーフを導入し、ペプチドモチーフの配列および配置に応じて様々な変形抗体を製造した後、変形抗体による薬物の接合比率の差を測定した。
【0057】
結果、本発明による抗体−薬物接合体においてFarletuzumabおよびTrastuzumabにモチーフが導入された時に同等程度の高い薬物接合収率を有することを確認した。したがって、本発明によるモチーフは、抗体の種類と関係なく抗体−薬物接合体の製造において抗体に薬物を結合するためのプラットフォーム技術として活用することができる。
【0058】
一つの実施形態において、前記抗体は、親抗体または変形抗体の可変領域およびIgG2またはIgG4のCH1、CH2およびCH3を含むことができる。例えば、Farletuzumab、Trastuzumabまたはその変形抗体のVHとVLを使用し、IgG2またはIgG4のCH1、CH2、CH3を含むことができる。例えば、前記Farletuzumab抗体の可変領域は、配列番号122の重鎖可変領域および/または配列番号123の軽鎖可変領域を含むことができる。
【0059】
他の実施形態において、前記抗体は、親抗体または変形抗体のFabおよびIgG2またはIgG4のFcを含むことができる。具体的には、Farletuzumab、Trastuzumabまたはその変形抗体のFab部分とIgG2またはIgG4のFc部分を融合(fusion)した形態を含むことができる。例えば、前記Farletuzumab抗体のFabは、配列番号122の重鎖可変領域およびCH1を含む配列(配列番号124)および/または配列番号123の軽鎖可変領域を含むことができる。前記Trastuzumab抗体は、配列番号127の重鎖および/または配列番号128の軽鎖を含むことができる。
【0060】
本発明での変形抗体と結合する薬物は、疾病の治療効果のある薬物であれば、いずれも制限なく使用可能であり、特に、腫瘍細胞の増殖抑制効能のある癌治療用薬物が好ましい。
【0061】
前記薬物は、変形抗体の末端に導入されたモチーフのシステイン基またはセリン基に接合されることができる。
【0062】
本発明の変形抗体−薬物接合体に使用可能な薬物は、具体的には、細胞毒性または細胞増殖抑制効果を有する任意の化合物、部分または基を含み、(i)マイクロチューブリン抑制剤、有糸分裂抑制剤、トポイソメラーゼ抑制剤、またはDNAインターカレータとして機能することができる化学療法剤;(ii)酵素的に機能することができるタンパク質毒素;(iii)特定の癌遺伝子(oncogene)の発現を抑制させることができるマイクロRNA(miRNA)、siRNA、shRNA;または(iv)ラジオアイソトープなどが含まれてもよい。
【0063】
かかる薬物には、例えば、マイタンシノイド、オーリスタチン、アミノプテリン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、タリソマイシン、カンプトテシン、N8−アセチルスペルミジン、1−(2クロロエチル)−1,2−ジメチルスルホニルヒドラジド、エスペラミシン、エトポシド、6−メルカプトプリン、ドラスタチン、トリコテセン、カリケアミシン、タキサン、メトトレキサート、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ドキソルビシン、メルファラン、ミトマイシンA、ミトマイシンC、クロラムブシル、デュオカルマイシン、核酸分解酵素、細菌や動植物由来の毒素、シスプラチン、イリノテカン、パクリタキセルおよびドセタキセルから選択される一つ以上であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0064】
場合に応じて、前記薬物は、リンカーおよびリンカー試薬上の求電子性基と共有結合を形成するために反応することができるアミン、チオール、ヒドロキシル、ヒドラジド、オキシム、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジンカルボキシレート、およびアリールヒドラジド基から構成された群から選択される一つ以上の求核基を含むことができる。
【0065】
さらに他の観点で、本発明は、前記抗体−薬物接合体を有効成分として含む治療用組成物を提供する。前記組成物において変形抗体−薬物接合体の薬物は、癌の治療において腫瘍細胞を死滅または抑制する薬物の局所的伝達のための抗体接合体の使用により薬物部分が腫瘍内に抗体−抗原として標的化した伝達および細胞内への蓄積を可能とする。
【0066】
また、本発明では、変形抗体−薬物接合体を有効成分とし、癌、自己免疫、炎症性または感染性疾病または疾患のある前記標的細胞に接触し、標的細胞の増殖を抑制する方法を提供する。
【0067】
本発明での治療可能な癌は、肝臓癌、胃癌、乳癌、結腸癌、骨癌、膵臓癌、頭頸部癌、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、食道癌、小腸癌、肛門付近癌、結腸癌、卵管癌、子宮内膜癌腫、子宮頸部癌腫、膣癌腫、外陰癌腫、ホジキン病(Hodgkin’s disease)、前立腺癌、膀胱癌、腎臓癌、尿管癌、腎臓細胞癌腫、腎臓骨盤癌腫および中枢神経系腫瘍から選択される一つ以上の物であり、これに限定されない。具体例として、試験管内の葉酸受容体が増幅された癌細胞であるKB細胞で変形抗体−薬物接合体を接触して細胞増殖抑制を誘導することができる。したがって、本発明での変形抗体−薬物接合体を有効成分とした抑制方法は、前記疾病と関する細胞を死滅させたり増殖速度を減少させて抑制させる効果を有する。
【0068】
本発明で使用される技術用語および科学用語において他の定義がなければ、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が一般的に理解している意味を有する。また、従来と同様の技術的構成および作用に対する繰り返される説明は省略する。
【0069】
以下、本発明を具体的な実施例によってより詳細に説明する。しかし、本発明は、下記の実施例により限定されるものではなく、本発明の思想と範囲内で様々な変形または修正が可能であることは通常の技術者にとって自明である。
【0070】
実施例1.発現ベクターpAV4の製造
発現ベクタークローニングは、親ベクターであるpSGHV0(GenBank Accession No.AF285183)を用いて産業体で抗体の作製に使用できるように目的に合わせて改良させて開発したpAV4ベクターを用いた。親ベクターは、大腸菌のようなバクテリアを用いてヒト由来タンパク質を発現させる場合、細胞内に過量発現されるが、活性を有する物質として得られ難いタンパク質の場合に、動物細胞を用いて細胞外に生理活性を有する関心タンパク質を高濃度で発現させて簡単に精製する目的で作製された研究用ベクターである。しかし、産業体で生産用に使用するには様々な制限があるため、このベクターの最大の利点である発現量が高いことを生産に利用するために、産業体で使用可能に改良したものである。また、抗体の場合、重鎖(heavy chain)と軽鎖(light chain)の二つのタンパク質を同時に発現させなければならないため、かかる目的に適するベクターを開発した。
【0071】
実施例2.Folate receptorに結合能がある親抗体および金属イオン結合モチーフであるACGHAを導入した変形抗体のベクターの製造
葉酸受容体に結合能がある親抗体(Fwt)ベクターを製造するために、配列番号125の重鎖と配列番号126の軽鎖コーディングcDNAをCHO細胞で発現が極大化するようにコドン最適化した配列でそれぞれ合成した。この遺伝子をpAV4ベクターのXhoI/NotIとApaI/SmaIにそれぞれクローニングし、親抗体ベクター(pFwt)を製造した。
【0073】
2−1.Folate receptor 結合親抗体であるFwtの変形抗体FM2の製造:
金属イオン結合モチーフ(ACGHA)2個を有するFwtの変形抗体であるFM2(Fwt−ACGHAACGHA(配列番号5)、FM2)を製造するために、親抗体であるFwtのベクター(pFwt)を鋳型とし、XhoI−Q5−F正方向プライマー(5'−GCTCCTCGAGGCCACCATGGGATGGAGCTGT ATCATCC−3':配列番号105)とM2逆方向プライマー(5'−CCATGCGGCCGCTCATTTAGGCATGGCCA CAAGCAGCATGGCCACAGGCACCCGGAGACAGGGAGAGGC−3':配列番号106)を用いてPCRで増幅した。前記増幅されたヌクレオチドを末端に存在する二つの制限酵素であるXhoIとNotIで切断し、XhoI/NotI切断部を有している発現ベクターpFwtと接合し、変形抗体ベクター(pFM2)を製造した。
【0074】
2−2.Folate receptor結合変形抗体FM1の製造:
金属イオン結合モチーフ(ACGHA)を一つだけ有するトラスツズマブ変形抗体であるFM1(Fwt−GGGACGHA、pFM1)を製造するために、上記で製造したFM2を鋳型とし、正方向プライマー(5'−GCTCCTCGAGGCCACCATGGGATGGAGCTGT ATCATCC−3':配列番号107)と逆方向プライマー(5'−CCATGCGGCCGCTCATTTAGGCATGGCC ACAAGCA CCTC CACCACCCGGAGACAGGGAGA−3':配列番号108)を使用して、site−directed mutagenesis(enzynomics社製、EzChange Site−directed mutagenesis kit、Ez004S)方法を用いてPCRで増幅した。前記増幅されたヌクレオチドを末端に存在する二つの制限酵素であるXhoIとNotIで切断し、XhoI/NotI切断部を有している発現ベクターpFwtと接合し、変形抗体ベクター(pFM1)を製造した。
【0075】
2−3.Folate receptor結合変形抗体FM2Lの製造:
金属イオン結合モチーフ(ACGHA)が3個のアミノ酸リンカーで連結された変形抗体であるFM2L(Fwt−ACGHAGGGACGHA、pFM2L)を製造するために、上記で製造した変形抗体FM2を鋳型とし、正方向プライマー(5'−GCTCCTCGAGGCCACCATGGGATGGAGCTGTATCATCC−3':配列番号109)と逆方向プライマー(5'−CCATGCGGCCGCTCATTTAGGCATGGCCACAAGCACCTCCACCAGCATGGCCACAGGCACCCGGAGACAGGGAGAGGC−3':配列番号110)を使用し、site−directed mutagenesis(enzynomics社製、EzChange Site−directed mutagenesis kit、Ez004S)方法でPCRを用いて二つの金属イオン結合モチーフの間にグリシンリンカーを添加した。前記増幅されたヌクレオチドを末端に存在する二つの制限酵素であるXhoIとNotIで切断し、XhoI/NotI切断部を有している発現ベクターpFwtと接合し、変形抗体ベクター(pFM2L)を製造した。
【0076】
2−4.Folate receptor結合変形抗体FM2aの製造:
FM2変形抗体に存在する2個の金属イオン結合モチーフであるACGHAACGHA(配列番号5)で内側のシステインをセリン(serine)で置換し、一つの金属イオン結合モチーフだけが存在する変形抗体であるFM2a(Fwt−ASGHAACGHA(配列番号26)、pFM2a)を製造するために、上記で製造した変形抗体FM2を鋳型とし、正方向プライマー(5'−GCTCCTCGAGGCCACCATGGGATGGAGCTGT ATCATCC−3':配列番号111)と逆方向プライマー(5'−CAGATTGCGGCCGCTCATTAGGCATGGCCACAAGCAGCATGGCCTG AGGCACCCGGAGACAGG−3’:配列番号112)をPCRを用いて内側のシステインをセリンで置換した。前記増幅されたヌクレオチドを末端に存在する二つの制限酵素であるXhoIとNotIで切断し、XhoI/NotI切断部を有している発現ベクターpFwtと接合し、変形抗体ベクター(pFM2a)を製造した。
【0077】
2−5.Folate receptor結合変形抗体FM2bの製造:
FM2変形抗体に存在する2個の金属イオン結合モチーフであるACGHAACGHAで外側のシステインをセリン(serine)で置換し、一つの金属イオン結合モチーフだけが存在する変形抗体であるFM2b(Fwt−ACGHAASGHA(配列番号21)、pFM2b)を製造するために、上記で製造した変形抗体FM2を鋳型とし、正方向プライマー(5'−GCTCCTCGAGGCCACCATGGGATGGAGCTGTATCATCC−3':配列番号113)と逆方向プライマー(5'−CAGATTGCGGCCGCTCATTAGGCATGGCCTGAAGCAGCATGGCCACA GGCACCCGGAGACAGG−3':配列番号114)を使用し、site−directed mutagenesis(enzynomics社製、EzChange Site−directed mutagenesis kit、Ez004S)方法でPCRを用いて内側のシステインをセリンで置換した。前記増幅されたヌクレオチドを末端に存在する二つの制限酵素であるXhoIとNotIで切断し、XhoI/NotI切断部を有している発現ベクターpFwtと接合し、変形抗体ベクター(pFM2b)を製造した。
【0079】
実施例3.Folate receptor結合親抗体であるFwtと変形抗体の発現および精製
チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO−K1)を用いて、実施例2で製造したFwtおよびその金属イオン結合モチーフ変形抗体(FM1、FM2、FM2L、FM2a、FM2b)のタンパク質発現を確認した。CHO−K1は、10%FBS(Fetal Bovine Serum)と抗生剤を含むDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle Media)に37℃、5% CO
2、培養器で培養した。Fwtおよびその変形抗体発現ベクターを導入する前日、100mm培養皿に細胞を5×10
6/ml濃度で接種して培養した後、FBSと抗生剤のない800μlのDMEMと10μgのFwtまたは変形抗体発現ベクターを混合し、常温で1分間維持した後、20μgのPEI(Polyethylenimine、linear、Polysciences Inc(Cat.no:23966、MW〜25、000))と混合し、10〜15分程度常温で放置した。この際、前日に培養した細胞をPBSで洗浄し、新たな培養液6mlのDMEMを添加した。10〜15分間常温に放置したFwtまたはその変形抗体の発現ベクターをこの培養皿に添加した。翌日、PBSで洗浄し、FBSのないIMDM(Cat.No 12200−028、Gibco、Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium)培地を添加し、タンパク質発現を確認した。
【0080】
このように発現されたFwtおよびその金属イオン結合モチーフ変形抗体は、下記のように精製した。具体的には、細胞培養液に分泌したFwtおよびその金属イオン結合モチーフ変形抗体を精製するために、培養液を遠心分離して細胞を除去した後、上澄み液のみを取り、この上澄み液を平衡緩衝液で平衡化したHiTrap Protein A HP(GE Healthcare、米国)カラムに注入して平衡緩衝液で十分に洗浄した後、Glycine緩衝液(100mM Glycine、pH2.8)でpHを変化させてタンパク質を溶出させた。前記溶液をリン酸塩緩衝液で透析した後、Vivaspin20(Sartorius、米国)を使用して濃縮し、最終的に高純度に精製されたタンパク質を得た。
【0081】
実施例4.Fwtの変形抗体とmaleimide基とシステインの反応による抗体−薬物接合体の製造
本発明では、MMAEとFwtの変形抗体を接合させてFMx(Fwtの金属イオン結合モチーフ変異体)−MMAE結合体を製造した。MMAEとして知られたオーリスタチン(Auristatin)の接合可能性誘導体である単一メチルオーリスタチンE(monomethyl Auristatin E、化学式2参照)として、
【0083】
細胞内でタンパク質分解酵素(protease)により分解されるバリン−シトルリン(valine−citrulline)と自己分解スペーサ基であるパラアニリン安息香酸(para−aniline benzoic acid:PABA)によりチオール基に選択的に結合するマレイミド基に連結される構造を有する。これを通称MC(maleimido caproic acid)−VC(valine−citrulline)−PAB−MMAEとし、オーリスタチンは、細胞内毒性が強い物質であって、細胞増殖抑制試験でのIC
50値が200〜300pMと知られている。
【0084】
本発明では、精製された変形抗体1当量当たり還元剤であるTCEPを3当量加え、4℃で30分間反応させてチオール基を還元させた後、MC−vc−PAB−MMAEを3当量添加し、常温で2時間ほど反応させる。反応は、過量のシステインを加えて終結し、過量のMC−vc−PAB−MMAEとTCEPは、遠心分離濾過フィルターとリン酸塩緩衝液での透析により除去し、最終精製されたFMx−MC−vc−PAB−MMAEを製造した。
【0085】
各変形抗体の重鎖への接合収率は、以下の表3とおりである。
【0087】
前記の表3に示されているように、各変形抗体の間に重鎖への薬物接合収率は非常に大きい差を示している。FM1、FM2、FM2a、FM2Lなどの変形抗体は、同じ薬物接合条件で約63〜66%の接合収率を示す反面、FM2bの場合、97.5%の非常に高い薬物接合収率を示している。FM2bの場合、互いに異なる2個の発現バッチ(transient transfection batch)から出た試料でほとんど類似した接合収率を示している。
【0088】
実施例5.Fwtの変形抗体とブロモアセトアミド(bromoacetamide)基とシステインの反応による抗体−薬物接合体の製造
本実施例では、ブロモアセトアミド基によりシステインのチオール基に結合する抗体−薬物接合体を製造した。ブロモアセトアミドは、細胞内でタンパク質分解酵素(protease)によって分解されるバリン−シトルリン(valine−citrulline)と自己分解スペーサ基であるパラアニリン安息香酸(para−aniline benzoic acid:PABA)によりMMAEと結合した構造を有し、bromoacetamideとチオール基との結合によりMMAEを変形抗体に結合させる。これをbr(bromo acetamide)−VC(valine−citrulline)−PAB−MMAEと名付ける。
【0089】
本発明では、精製された変形抗体1当量当たり還元剤であるTCEPを3当量加え、4℃で30分間反応させてチオール基を還元させた後、br−vc−PAB−MMAEを3当量添加し、37℃で2時間反応させる。反応は、過量のシステインを加えて終結し、過量のbr−vc−PAB−MMAEとTCEPは、遠心分離濾過フィルターとリン酸塩緩衝液での透析により除去し、最終精製されたFMx−acetamide−vc−PAB−MMAEを製造した。
【0090】
各変形抗体の重鎖への接合収率は、以下の表4のとおりである。
【0092】
前記の表4に示されているように、各変形抗体の間に重鎖への薬物接合収率は、FM2bがその他の変形抗体に比べて著しく優れた接合収率を示している。Iodoacetamideによる接合反応でもFM2bは、他の変形抗体に比べて著しく優れた接合収率を示す。
【0094】
実施例6.Trastuzumab変形抗体の生産
実施例2で使用した方法のように、trastuzumabのC−末端にシステインを含む金属イオンモチーフを導入した変形抗体を作製した。
【0095】
6−1.Trastuzumabの変形抗体HM2の製造:
金属イオン結合モチーフ(ACGHA)2個を有するtrastuzumabの変形抗体であるHM2(HR−ACGHAACGHA(配列番号5)、HM2)を製造するために、親抗体であるtrastuzumabのベクター(pHR)を鋳型とし、XhoI−Q5−F正方向プライマー(5'−GCTCCTCGAGGCCACCATGGGATGGAGCTGT ATCATCC−3':配列番号111)とM2逆方向プライマー(5'−CCATGCGGCCGCTCATTTAGGCATGGCCA CAAGCAGCATGGCCACAGGCACCCGGAGACAGGGAGAGGC−3':配列番号112)を用いてPCRで増幅した。前記増幅されたヌクレオチドを末端に存在する二つの制限酵素であるXhoIとNotIで切断し、XhoI/NotI切断部を有している発現ベクターpHRと接合し、変形抗体ベクター(pHM2)を製造した。
【0096】
6−2.Trastuzumabの変形抗体HM2aの製造:
HM2変形抗体に存在する2個の金属イオン結合モチーフであるACGHAACGHA(配列番号5)で内側のシステインをセリン(serine)で置換し、一つの金属イオン結合モチーフだけが存在する変形抗体であるHM2a(HR−ASGHAACGHA(配列番号26)、pHM2a)を製造するために、上記で製造した変形抗体HM2を鋳型とし、正方向プライマー(5'−GCTCCTCGAGGCCACCATGGGATGGAGCTGT ATCATCC−3':配列番号111)と逆方向プライマー(5'−CAGATTGCGGCCGCTCATTAGGCATGGCCACAAGCAGCATGGCCTG AGGCACCCGGAGACAGG−3':配列番号112)をPCRを用いて内側のシステインをセリンで置換した。前記増幅されたヌクレオチドを末端に存在する二つの制限酵素であるXhoIとNotIで切断し、XhoI/NotI切断部を有している発現ベクターpHRと接合し、変形抗体ベクター(pHM2a)を製造した。
【0097】
6−3.Trastuzumabの変形抗体HM2bの製造:
HM2変形抗体に存在する2個の金属イオン結合モチーフであるACGHAACGHAで外側のシステインをセリン(serine)で置換し、一つの金属イオン結合モチーフだけが存在する変形抗体であるHM2b(HR−ACGHAASGHA(配列番号21)、pHM2b)を製造するために、上記で製造した変形抗体HM2を鋳型とし、正方向プライマー(5'−GCTCCTCGAGGCCACCATGGGATGGAGCTGTATCATCC−3':配列番号109)と逆方向プライマー(5'−CAGATTGCGGCCGCTCATTAGGCATGGCCTGAAGCAGCATGGCCACA GGCACCCGGAGACAGG−3':配列番号114)を使用し、site−directed mutagenesis(enzynomics社製、EzChange Site−directed mutagenesis kit、Ez004S)方法でPCRを用いて内側のシステインをセリンで置換した。前記増幅されたヌクレオチドを末端に存在する二つの制限酵素であるXhoIとNotIで切断し、XhoI/NotI切断部を有している発現ベクターpHRと接合し、変形抗体ベクター(pHM2b)を製造した。
【0098】
実施例7.Trastuzumab変形抗体の発現および精製
チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO−K1)を用いて、実施例6で製造したtrastuzumab変形抗体(HM2、HM2a、HM2b)のタンパク質発現を確認した。CHO−K1は10%FBS(Fetal Bovine Serum)と抗生剤を含むDMEM(Dulbecco’s Modified Eagle Media)に37℃、5%CO
2、培養器で培養した。変形抗体発現ベクターを導入する前日、100mm培養皿に細胞を5×10
6/ml濃度で接種して培養した後、FBSと抗生剤がない800μlのDMEMと10μgの変形抗体発現ベクターを混合し、常温で1分間維持した後、20μgのPEI(Polyethylenimine、linear、Polysciences Inc(Cat.no:23966、MW〜25、000))と混合し、10〜15分位常温で放置した。この際、前日に培養した細胞をPBSで洗浄し、新たな培養液6mlのDMEMを添加した。10〜15分間常温に放置した変形抗体の発現ベクターをこの培養皿に添加した。翌日、PBSで洗浄し、FBSがないIMDM(Cat.No 12200−028、Gibco、Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium)培地を添加し、タンパク質発現を確認した。
【0099】
このように発現された変形抗体は、下記のように精製した。具体的には、細胞培養液に分泌した変形抗体を精製するために、培養液を遠心分離して細胞を除去した後、上澄み液のみを取り、この上澄み液を平衡緩衝液で平衡化したHiTrap Protein A HP(GE Healthcare、米国)カラムに注入し、平衡緩衝液で十分に洗浄した後、Glycine緩衝液(100mM Glycine、pH2.8)でpHを変化させてタンパク質を溶出させた。前記溶液をリン酸塩緩衝液に透析した後、Vivaspin20(Sartorius、米国)を使用して濃縮し、最終的に高純度に精製されたタンパク質を得た。
【0100】
実施例8.Trastuzumabの変形抗体とMC−vc−PAB−MMAEの接合による抗体−薬物接合体の製造
本発明では、MMAEと実施例6、7で生産したtrastuzumabの変形抗体を接合してHMx(Trastuzumabの金属イオン結合モチーフ変異体)−MMAE結合体を製造した。本発明では、精製された変形抗体1当量当たり還元剤であるTCEPを3当量加え、4℃で30分間反応させてチオール基を還元させた後、MC−vc−PAB−MMAEを2.5当量添加し、常温で2時間ほど反応させる。反応は、過量のシステインを加えて終結し、過量のMC−vc−PAB−MMAEとTCEPは、遠心分離濾過フィルターとリン酸塩緩衝液での透析により除去し、最終精製されたFMx−MC−vc−PAB−MMAEを製造した。
【0101】
各変形抗体の重鎖への接合収率は、以下の表6のとおりである。
【0103】
前記の表6に示されているように、各変形抗体の間に重鎖への薬物接合収率は、非常に大きい差を示している。HM2とHM2aの変形抗体は、同じ薬物接合条件で約55〜62%の接合収率を示す反面、HM2bの場合、85.5%の非常に高い薬物接合収率を示している。かかる結果は、M2bのsequenceがFarletuzumabだけでなく、他の抗体に導入された時にも同様に高い接合収率を有することを示す。
【0104】
実施例9.M2b(ACGHAASGHA:配列番号21)配列でSerineを置換した変形抗体の生産
前記の実施例で金属イオン結合モチーフであるM2(ACGHAACGHA)で後側のcysteineをserineで置換したM2b(ACGHAASGHA)がM2配列に比べて著しく高い薬物接合能を示すことを確認することができた。かかるserine置換部位が他のアミノ酸の置換でも同じ効果を示すか確認するために、この位置に様々なアミノ酸を置換した変形抗体を生産した。
【0106】
上記の表7のようなC−末端の配列を有する変形抗体をFM2bまたはFM2b−Sに導入し、それぞれ、FM2b−A、FM2b−T、FM2b−Y、FM2b−D、FM2b−K、FM2b−Fの変形抗体を生産した。
【0107】
実施例10.FM2b変形抗体とMC−vc−PAB−MMAEの接合による抗体−薬物接合体の生産
本発明では、MMAEと実施例9のように生産したFM2b−X(X=A、T、Y、D、K、あるいはF)変形抗体を接合させてFM2b−X−MMAE結合体を製造した。本発明では、精製された変形抗体1当量当たり還元剤であるTCEPを3当量加え、4℃で30分間反応させてチオール基を還元させた後、MC−vc−PAB−MMAEを2.5当量添加し、常温で2時間ほど反応させる。反応は、過量のシステインを加えて終結し、過量のMC−vc−PAB−MMAEとTCEPは、遠心分離濾過フィルターとリン酸塩緩衝液での透析により除去し、最終精製されたFMb−X−MC−vc−PAB−MMAEを製造した。各変形抗体の重鎖への接合収率は、以下の表8のとおりである。
【0109】
前記の表8に示されているように、M2b配列であるACGHAASGHAの後側のserine位置に他のアミノ酸で置換してもFM2bとほとんど類似した接合結果が出ることが分かる。
【0110】
実施例11.DAR2である抗体−薬物接合体の精製
前記の実施例4のように製造された各変形抗体−薬物接合体は、変形抗体当たり接合された薬物の個数(DAR:drug−to−antibody ratio)が異なるため、in vitroで薬物の細胞毒性を比較することが容易でない。したがって、同じDARを有するように変形抗体−薬物接合体を精製するために、疎水性クロマトグラフィーを用いて変形抗体−薬物接合体を精製した。フェニル(phenyl)カラムクロマトグラフィーを用いてDARが2を有する変形抗体−薬物接合体を精製した。カラムを10mM sodium succinate、0.5M NaCl、pH5.0緩衝液で平衡化した後、変形抗体−薬物接合体をカラムに注入した。同じ緩衝液でカラムを洗浄した後、30%のアセトニトリル(acetonitrile)が含まれた前記緩衝液を加え、DARにしたがって変形抗体−薬物接合体を溶出した。溶出した変形抗体−薬物接合体は、10mM sodium succinate、30mM sucrose、pH6.0の緩衝液で透析(dialysis)を用いて緩衝液を交換した。
【0111】
実施例12.試験管内の抗体−薬物接合体の安定性の試験
上記の実施例9、10、11のように、MC−vc−PAB−MMAE薬物が2個接合された抗体−薬物接合体であるFM2b−S−D2、FM2b−F−D2、FM2b−K−D2、FM2b−Y−D2を生産した。生産された抗体−薬物接合体をそれぞれ、25℃と50℃の温度条件でincubationし、薬物接合個数の変化とaggregationの変化を測定した。
【0112】
各試験試料は、1mg/mlの濃度で110μLの濃度で、それぞれ12個ずつを準備した。各抗体−薬物接合体の試料のうち6個の試料は25℃、残りの6個の試料は60℃条件で0、1、3、5、7、14日間保管し、DARとmonomerの変化を測定した。25℃でDAR2の含量は、各試料別に1.5〜2%程度の減少が観察され、monomerの純度は、0.3〜4%程度の減少が観察されたが、各試料別に差はあまり大きくなかった。50℃でのDAR2の含量とmonomer純度の変化は、25℃で観察された値よりは大きく観察されたが、試料別の差はあまり大きくなかった。したがって、各抗体変異体間の差はあまり大きくないことを確認することができた。
【0115】
実施例13.試験管内の細胞増殖抑制能の試験
変形抗体−薬物接合体の試験管内細胞増殖抑制能を比較するために、Folate receptorが過発現したKB−細胞を用いて細胞成長抑制能の試験を行った。KB−細胞は10%FBSが添加されたDMEM/F12培地に希釈し、1×10
4個/ウェル(well)になるように調整した後、100μlの細胞培養物を96−ウェル(well)プレートの各ウェルに加えた。以降、ウェルプレートを5%二酸化炭素および37℃に設定された培養器で24時間培養し、細胞をプレートに付着させた。各試験試料を培地に希釈した後、最終濃度6.45nM、3.23nM、1.61nM、0.806nM、0.403nM、0.202nM、0.101nM、0.0504nM、0.0252nMおよび0.0126nMになるように添加し、同時に対照群ウェルには培地のみ(薬物なし)添加した。5日間培養した後、20μl/ウェルでCellTiter 96−AQueous One Solution試薬[MTS−基礎検定;生きている細胞のジヒドロゲナーゼ(dehydrogenase)によってMTSが紫色のホルマザン(formazan)を形成し、生成された紫色のホルマザンの量によって増殖測定]を添加した後、37℃に設定された培養器で2時間培養した。細胞溶菌を吸光分析装置でO.D.490nmで測定し、viability(%)を測定した。
【0116】
13−1.FM2−D2とFM2b−D2(or FM2b−S−D2)の細胞成長抑制能比較の試験:
親抗体であるFwtと前記例でMMAEを接合させた後、同じDARを有するように精製した変形抗体−薬物接合体であるFM2−D2(変形抗体であるFM2のMMAE薬物接合体としてDAR2を有する変形抗体−薬物接合体)とFM2b−D2(変形抗体であるFM2bのMMAE薬物接合体としてDAR2を有する変形抗体−薬物接合体)を前記のようにKB cellに処理した後、薬物の細胞成長抑制能を比較した。
【0117】
図3に示されているように、親抗体に比べて抗体−薬物接合体であるFM2−D2とFM2b−D2は、著しく優れた抗癌効能を示している。FM2−D2とFM2b−D2は、ほとんど同じ癌細胞成長抑制能を示している。かかる結果は、変形抗体であるFM2とFM2bとの間には変形抗体−薬物接合体として同じDARを有している時に、癌細胞成長抑制能の活性差がないということを示している。
【0118】
13−2.FM2−D2とFM2b−D2(or FM2b−S−D2)の細胞成長抑制能の比較試験:
FM2b−Sと他の変異体に基づく抗体−薬物接合体間の細胞成長抑制能を比較するために、FM2b−S、−F、−Y変異体にMC−vc−PAB−MMAEを接合させた後、同じDARを有するように精製した後、上記のようにKB cellに処理した後、薬物の細胞成長抑制能を比較した。
【0119】
図4に示されているように、FM2b−S−D2とFM2b−F−D2、FM2b−Y−D2はほとんど同じ細胞成長抑制能を示している。それぞれのIC
50値はFM2b−S−D2は0.25nM、FM2b−F−D2は0.26nM、FM2b−Y−D2は0.24nMが測定された。かかる結果は、FM2b−Sのserineの代りに、それぞれphenylalanine、tyrosineで置換した抗体変異体に基づく抗体−薬物接合体の間には癌細胞成長抑制能の活性差がないということを示している。
【0120】
かかる結果からみて、M2b配列を導入した抗体を用いて抗体−薬物接合体に製造された時に、他の変形抗体と比較して著しく優れた薬物の接合収率を有しており、且つ抗体−薬物接合体としての抗癌活性では差がないという点を示している。また、M2b配列であるACGHA−ASGHAでserine位置に他のアミノ酸が置換されても薬物の接合収率や安定性、抗癌活性にも差がないことを確認することができた。したがって、FM2bやHM2bに使用されたようなモチーフであるACGHA−AXGHA(Xは、システイン以外の他のアミノ酸)を抗体の重鎖末端に導入する時に、その他の変形抗体に比べて著しく優れた接合収率を有することで、より効率的で経済的な抗体−薬物接合体を生産することができることを意味する。