特許第6708800号(P6708800)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6708800電子マネー用エスクロー決済システム及び電子マネー用エスクロー決済方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6708800
(24)【登録日】2020年5月25日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】電子マネー用エスクロー決済システム及び電子マネー用エスクロー決済方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/08 20120101AFI20200601BHJP
   G06Q 20/06 20120101ALI20200601BHJP
【FI】
   G06Q20/08 302
   G06Q20/06 300
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2019-565582(P2019-565582)
(86)(22)【出願日】2018年7月18日
(86)【国際出願番号】JP2018026812
【審査請求日】2019年11月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】508212303
【氏名又は名称】株式会社JPメディアダイレクト
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】影島 卓
(72)【発明者】
【氏名】熊川 是実
【審査官】 加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−272470(JP,A)
【文献】 特開2007−148593(JP,A)
【文献】 特開2001−338245(JP,A)
【文献】 特開2011−070604(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/148874(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0293912(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0162882(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の取引におけるエスクロー決済に電子マネーを利用可能とするエスクローサービスサーバを備える電子マネー用エスクロー決済システムであって、
前記エスクローサービスサーバが、
販売者端末から販売情報を受け取るとともに、購入者端末から購入情報を受け取る取引情報取得部であって、前記販売情報と前記購入情報とを対応させて取引情報とする前記取引情報取得部と、
前記購入情報で購入者からの支払に指定された種類と同じ種類である第1の電子マネーの流通を管理する第1の電子マネーサーバが貸している第1の口座であって、前記エスクローサービスサーバが残高を把握する前記第1の口座に前記エスクローサービスサーバが前記取引情報を通知した前記購入者の支払指示による前記購入者の口座からの入金が完了したことを認知するとともに、前記入金が完了したことを前記販売者端末に通知する代金受取処理部と、
前記第1の口座に入金した前記購入者からの商品受取通知の受領に応じて、前記購入者の口座から前記第1の口座に入金された前記第1の電子マネーのうちの支払い相当額に対応する量の第2の電子マネーであって、前記第1の電子マネーとは相違する種類として前記販売情報で販売者が受取に指定した種類である前記第2の電子マネーを、前記エスクローサービスサーバの支払指示に応じて前記エスクローサービスサーバが残高を把握する前記第2の電子マネーの第2の口座であって、前記第2の電子マネーの流通を管理する第2の電子マネーサーバが貸している前記第2の口座から前記販売者の口座に送金するとともに、前記販売者端末に送金完了を通知する代金受渡処理部とを備える
電子マネー用エスクロー決済システム。
【請求項2】
前記エスクローサービスサーバは、前記販売者端末から前記販売情報を受け取ることに応じて、当該販売情報を前記購入者に通知するとともに、前記販売情報に対する応答としての前記購入情報を前記購入者端末から受け取る
請求項1に記載の電子マネー用エスクロー決済システム。
【請求項3】
前記エスクローサービスサーバは、前記販売者端末から前記販売情報及び約束書面を受領し、前記購入者端末に対して前記販売情報及び前記約束書面を通知する
請求項1又は2に記載の電子マネー用エスクロー決済システム。
【請求項4】
前記エスクローサービスサーバには、前記購入者による前記購入情報の登録において、前記約束書面に対する同意の可否が登録される
請求項3に記載の電子マネー用エスクロー決済システム。
【請求項5】
前記エスクローサービスサーバは、前記購入者が登録する前記購入情報の内容を前記販売者からの前記販売情報で補完する
請求項1〜4のいずれか一項に記載の電子マネー用エスクロー決済システム。
【請求項6】
前記代金受取処理部は、前記取引情報に基づいて、前記第1の口座へ送金する前記第1の電子マネーの量を前記購入者に通知するとともに、前記第1の口座に入金された前記第1の電子マネーの量が適正であるか否かを判定する
請求項1〜5のいずれか一項に記載の電子マネー用エスクロー決済システム。
【請求項7】
前記商品の配送を管理する配送管理サーバから前記商品の出荷情報を取得することが可能であり、
前記代金受取処理部は、前記代金受取処理部が前記販売者端末に前記入金が完了した通知を行ってから所定期間経過後に前記配送管理サーバから前記商品の出荷情報が得られないとき、所定の返金条件の下、前記第1の口座に前記入金が完了した前記第1の電子マネーを前記購入者の口座に返金する
請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子マネー用エスクロー決済システム。
【請求項8】
前記商品の配送を管理する配送管理サーバから前記商品の配達情報を取得することが可能であり、
前記代金受渡処理部は、前記購入者から前記商品受取通知が受領できないとき、前記配送管理サーバからの前記配達情報に基づいて前記商品の受取が確認されてから所定期間経過後、所定の支払条件の下、前記支払い相当額に対応する量の前記第2の電子マネーを前記販売者の口座に送金する
請求項1〜7のいずれか一項に記載の電子マネー用エスクロー決済システム。
【請求項9】
前記第1の口座の残高及び前記第2の口座の残高を管理する口座管理部を備え、
前記口座管理部は、前記第1の口座及び前記第2の口座のうちで残高が、設定された上限値を上回った口座について当該口座から電子マネーの払い出しをすること、及び、残高が、設定された下限値を下回った口座について電子マネーを補充することの少なくとも一方の処理を行う
請求項1〜8のいずれか一項に記載の電子マネー用エスクロー決済システム。
【請求項10】
商品の取引におけるエスクロー決済に電子マネーを利用可能とするエスクローサービスサーバで行われる電子マネー用エスクロー決済方法であって、
販売者端末から受け取った販売情報と、購入者端末から受け取った購入情報とを対応させて取引情報とする取引情報取得工程と、
前記購入情報で購入者からの支払に指定された種類と同じ種類である第1の電子マネーの流通を管理する第1の電子マネーサーバが貸している第1の口座であって、前記エスクローサービスサーバが残高を把握する前記第1の口座に前記エスクローサービスサーバが前記取引情報を通知した前記購入者の支払指示による前記購入者の口座からの入金が完了したことを認知するとともに、前記入金が完了したことを前記販売者端末に通知する代金受取処理工程と、
前記第1の口座に入金した前記購入者からの商品受取通知の受領に応じて、前記購入者の口座から前記第1の口座に入金された前記第1の電子マネーのうちの支払い相当額に対応する量の第2の電子マネーであって、前記第1の電子マネーとは相違する種類として前記販売情報で販売者が受取に指定した種類である前記第2の電子マネーを、前記エスクローサービスサーバの支払指示に応じて前記エスクローサービスサーバが残高を把握する前記第2の電子マネーの第2の口座であって、前記第2の電子マネーの流通を管理する第2の電子マネーサーバが貸している前記第2の口座から前記販売者の口座に送金するとともに、前記販売者端末に送金完了を通知する代金受渡処理工程とを備える
電子マネー用エスクロー決済方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、取引において電子マネーによるエスクロー決済を可能にする電子マネー用エスクロー決済システム、及び電子マネー用エスクロー決済方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続された通信端末の普及に伴い、電子商取引が急速に拡大している。電子商取引は、ネットワーク上で一部あるいは全部の商取引を行なうことであって、ネットワーク上での取引すべてが対象となることから、その領域は非常に広範囲にわたっている。電子商取引には、例えば、企業と企業との間(BtoB:Business to Business)の取引、企業と消費者との間(BtoC:Business to Consumer)の取引、さらに一般の消費者の間(CtoC:Consumer to Consumer)の取引を含むことができる。
【0003】
従来、電子商取引では、代金決済と商品引渡しにおけるトラブルが発生しやすいという問題があった。具体的には、買手側では、代金を振り込んだのに商品が届かない場合や、購入時に見た写真と届いた商品とが違うというようなトラブルがあった。また、売手側では、商品を送ったのに代金が振り込まれないというトラブルがあった。そこで、例えば、こうしたトラブルを防止することのできるエスクロー決済システムの技術の一例が特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献1に記載のエスクロー決済システムは、商品の売り手と買い手とからそれぞれ送信される所定の情報に基づいて、電子情報からなる仮想口座を作成する仮想口座作成部を備える。また、エスクロー決済システムは、商品の買い手の仮想口座に対する商品の代金情報を含む入金情報を受信した場合、商品の売り手に対して商品の出荷指示を送信するとともに、物流業者に対して商品の集荷指示を送信する集荷指示部を備える。また、エスクロー決済システムは、物流業者から商品の買い手に対する商品の配送完了報告を受信した場合、商品の代金情報を商品の買い手の仮想口座から商品の売り手の仮想口座に振り込む仮想口座振込部を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−74219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、電子商取引では、現金による決済に代わって、電子マネーによる決済が少なくない。電子マネーは、インターネット等を利用した電子商取引において、現金の取り扱いに比べて扱いが簡単であるため、決済手段としての利用が広がっている。
【0007】
ところで、通貨は通常1種類であるのに対して、電子マネーは複数種類が存在しているとともに、電子マネーの種類毎に使用方法に関して多少なりとも制約がある。種々の電子マネーが広く使用されることで電子マネーの利便性は向上する。一方、電子マネーの利用が多くなってくることに応じて、販売者としては、複数の電子マネーによる決済に対応しなければならない状況になり、購入者としては、決済に利用可能な電子マネーを準備しておかなければならない状況にもなってきている。このように、販売者及び消費者にとって、電子マネーの管理が煩雑となってきている面もあり、電子マネーの利便性の低下が懸念される。
【0008】
本開示は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、エスクロー決済における電子マネーの利便性を高めることのできる電子マネー用エスクロー決済システム、及び電子マネー用エスクロー決済方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する電子マネー用エスクロー決済システムは、商品の取引におけるエスクロー決済に電子マネーを利用可能とするエスクローサービスサーバを備える電子マネー用エスクロー決済システムであって、前記エスクローサービスサーバが、販売者端末から販売情報を受け取るとともに、購入者端末から購入情報を受け取る取引情報取得部であって、前記販売情報と前記購入情報とを対応させて取引情報とする前記取引情報取得部と、前記購入情報で購入者からの支払に指定された種類と同じ種類である第1の電子マネー用の第1の口座であって、前記エスクローサービスサーバが残高を把握する前記第1の口座に前記購入者からの入金が完了したことを認知するとともに、前記入金が完了したことを前記販売者端末に通知する代金受取処理部と、前記購入者からの商品受取通知の受領に応じて、前記購入者から前記第1の口座に入金された前記第1の電子マネーのうちの支払い相当額に対応する量の第2の電子マネーであって、前記第1の電子マネーとは相違する種類として前記販売情報で販売者が受取に指定した種類である前記第2の電子マネーを、前記エスクローサービスサーバが残高を把握する前記第2の電子マネー用の第2の口座から前記販売者に送金する代金受渡処理部とを備える。
【0010】
上記課題を解決する電子マネー用エスクロー決済方法は、商品の取引におけるエスクロー決済に電子マネーを利用可能とするエスクローサービスサーバで行われる電子マネー用エスクロー決済方法であって、販売者端末から受け取った販売情報と、購入者端末から受け取った購入情報とを対応させて取引情報とする取引情報取得工程と、前記購入情報で購入者からの支払に指定された種類と同じ種類である第1の電子マネー用の第1の口座であって、前記エスクローサービスサーバが残高を把握する前記第1の口座に前記購入者からの入金が完了したことを認知するとともに、前記入金が完了したことを前記販売者端末に通知する代金受取処理工程と、前記購入者からの商品受取通知の受領に応じて、前記購入者から前記第1の口座に入金された前記第1の電子マネーのうちの支払い相当額に対応する量の第2の電子マネーであって、前記第1の電子マネーとは相違する種類として前記販売情報で販売者が受取に指定した種類である前記第2の電子マネーを、前記エスクローサービスサーバが残高を把握する前記第2の電子マネー用の第2の口座から前記販売者に送金する代金受渡処理工程とを備える。
【0011】
このような構成又は方法によれば、エスクローサービスサーバに販売者と購入者とがそれぞれ販売情報と購入情報とを通知するような売買取引において、販売者と購入者との間で相違する種類の電子マネーが決済に利用されたとしても、それら相違する電子マネーの間でエスクロー決済を行うことができる。これにより、エスクロー決済における電子マネーの利便性を高めることができる。
【0012】
好ましい構成として、前記エスクローサービスサーバは、前記販売者端末から前記販売情報を受け取ることに応じて、当該販売情報を前記購入者に通知するとともに、前記販売情報に対する応答としての前記購入情報を前記購入者端末から受け取る。
【0013】
このような構成によれば、販売情報が購入者へ通知されることによって、購入者は決済に利用するエスクローサービスを知ることができるとともに、購入情報の登録が必要なことが通知される。また、エスクローサービスサーバは、販売情報に対する応答として購入情報を受け取ることができるため販売情報と購入情報との間の関連付けを適切に行うことができる。つまり、販売者、及び、購入者ともに決済に要する手間が軽減される。
【0014】
好ましい構成として、前記エスクローサービスサーバは、前記販売者端末から前記販売情報及び約束書面を受領し、前記購入者端末に対して前記販売情報及び前記約束書面を通知する。
【0015】
このような構成によれば、対面していない二者間取引においても、購入者は約束書面を確認してから購入することができるため、取引の安全性が高められる。
好ましい構成として、前記エスクローサービスサーバには、前記購入者による前記購入情報の登録において、前記約束書面に対する同意の可否が登録される。
【0016】
このような構成によれば、決済に先立ち、約束書面への同意/不同意が明確に登録されるため、二者間取引における取引の安全性がより高く確保できるようになる。
好ましい構成として、前記エスクローサービスサーバは、前記購入者が登録する前記購入情報の内容を前記販売者からの前記販売情報で補完する。
【0017】
このような構成によれば、エスクローサービスを利用するために必要とされる購入者による購入情報の登録内容を適切にすることができる。
好ましい構成として、前記代金受取処理部は、前記取引情報に基づいて、前記第1の口座へ送金する前記第1の電子マネーの量を前記購入者に通知するとともに、前記第1の口座に入金された前記第1の電子マネーの量が適正であるか否かを判定する。
【0018】
このような構成によれば、購入者端末に、送金に必要な情報が通知されることから購入者による適正な量の電子マネーの支払いが容易になる。また、入金された電子マネーの量が適正であるかどうか判定されることから決済がスムーズになされるようになる。
【0019】
好ましい構成として、前記商品の配送を管理する配送管理サーバから前記商品の出荷情報を取得することが可能であり、前記代金受取処理部は、前記代金受取処理部が前記販売者端末に前記入金が完了した通知を行ってから所定期間経過後に前記配送管理サーバから前記商品の出荷情報が得られないとき、所定の返金条件の下、前記第1の口座に前記入金が完了した前記第1の電子マネーを前記購入者に返金する。
【0020】
このような構成によれば、購入者が第1の電子マネーを支払った後であっても、販売者が商品を出荷しないとき、所定の返金条件の下、購入者の入金した種類の電子マネーが購入者に返金されるようになることから取引の安全性が確保される。
【0021】
好ましい構成として、前記商品の配送を管理する配送管理サーバから前記商品の配達情報を取得することが可能であり、前記代金受渡処理部は、前記購入者から前記商品受取通知が受領できないとき、前記配送管理サーバからの前記配達情報に基づいて前記商品の受取が確認されてから所定期間経過後、所定の支払条件の下、前記支払い相当額に対応する量の前記第2の電子マネーを前記販売者に送金する。
【0022】
このような構成によれば、購入者が商品受取の確認を忘れたり、受取の確認を行わなかったりするような場合であっても、販売者に支払い相当額に対応する電子マネーが支払われることから取引の安全性が確保される。
【0023】
好ましい構成として、前記第1の口座の残高及び前記第2の口座の残高を管理する口座管理部を備え、前記口座管理部は、前記第1の口座及び前記第2の口座のうちで残高が、設定された上限値を上回った口座について当該口座から電子マネーの払い出しをすること、及び、残高が、設定された下限値を下回った口座について電子マネーを補充することの少なくとも一方の処理を行う。
【0024】
このような構成によれば、第1の口座及び第2の口座の残高が払い出しや補充による調整を通じて、設定された上限値と下限値との間に維持されるようになることから、第1の口座及び第2の口座に保持されている資金の量を適正な量に維持することができる。また残高が、設定された上限値や下限値になることによって一定のまとまった額による払い出しや補充が行われることで払い出しや補充にかかる回数を減らすことができるとともに、手間や手数料を低く抑えられるようになる。
【発明の効果】
【0025】
本開示によれば、エスクロー決済における電子マネーの利便性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】電子マネー用エスクロー決済システム、及び電子マネー用エスクロー決済方法の一実施形態を示すブロック図。
図2】本実施形態の構成を示すブロック図。
図3】本実施形態の処理手順を示すシーケンス図。
図4】本実施形態の処理手順を示すシーケンス図。
図5】本実施形態の処理手順を示すシーケンス図。
図6】本実施形態の処理手順を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本実施形態を図1図6に基づいて説明する。本実施形態においては、複数の電子マネーによるエスクロー決済を可能にする電子マネー用エスクロー決済システム、及び電子マネー用エスクロー決済方法について説明する。
【0028】
ここで、電子マネーとは、デジタルデータによって表現された金銭的価値(以下、単に価値と記載する)をいう。複数の種類の電子マネーが存在しており、それぞれの種類の電子マネーの使用方法は、種類毎に多少の相違がある(少なからず制約がある)。例えば、ある1つの電子マネーは、その電子マネーを取り扱うことができるように調整された所定の決済システムにおいて利用可能である。そのため、通常、ある1つの電子マネーは、それとは異なる他の電子マネーを取り扱うように調整された決済システムにおいて利用することができない。電子マネーサービスの例として、「LINE Pay」(登録商標)、「Yahoo!(登録商標)マネー」等がある。
【0029】
電子マネーの利用者は、円、ドル等の通貨を電子マネーに変換し、その変換した電子マネーを利用して商品やサービスを購入することが可能である。ここでいう商品は、実体のある物品や、データファイル、アプリケーションプログラム等のデジタルコンテンツを含んでもよい。
【0030】
電子マネーの単位は、通貨単位と異なる独自の単位であってもよいが、通貨と同じ単位であってもよい。また、企業が独自に発行するポイントプログラムであって、企業ポイントとも言われる企業通貨や、仮想通貨等も電子マネーに含まれてもよい。また、電子マネーは、ICカードに情報を書き込みクレジットカードのように利用する形態(ICカード型)や、インターネット上でデータとして流通する形態(ネットワーク型)、プリペイドカード型を含んでもよい。このとき、電子マネーを保持している口座は、通常、電子マネーを発行した団体・企業等の管理下にあるが、その口座が、ICカードに配置されていたり、サーバに配置されていたり、携帯端末に配置されていたり、又は配置箇所がそれらの組み合わせから構成されていたりしてもよい。ここで、口座は、管理する団体・企業がユーザの有している電子マネーの量を記憶する電子的情報を含み、各ユーザに割り当てている電子マネーの量を増減可能なかたちで記憶する。
【0031】
図1を参照して、本実施形態におけるネットワークNを介しての接続について説明する。ネットワークNは、公衆通信回線でもよいし、専用通信回線でもよいし、それらの組み合わせによって構成された通信回線でもよい。ネットワークNには、エスクローサービスサーバ1、購入者20が操作する購入者端末2、販売者30が操作する販売者端末3、第1の電子マネーを管理する第1電子マネーサーバ4、第2の電子マネーを管理する第2電子マネーサーバ6、及び配送管理サーバ8がそれぞれ相互通信可能に接続されている。第1の電子マネー及び第2の電子マネーは、相互に異なる種類の電子マネーである。第1の電子マネーの決済には第1の電子マネーに対応している決済システムが必要である。第2の電子マネーの決済には第2の電子マネーに対応している決済システムが必要である。
【0032】
エスクローサービスサーバ1、購入者端末2、販売者端末3、第1電子マネーサーバ4、第2電子マネーサーバ6、及び配送管理サーバ8は、その全部又は一部がそれぞれ異なる団体、企業又は個人に所有されているとともに、管理されていてよい。
【0033】
本実施形態における取引の概要について説明する。
まず、購入者20と販売者30との間で、個人間の商品売買(いわゆるCtoC)の約束(契約)が成立する。商品売買の約束は、例えば、SNS(Social Networking Service)、電話、手紙、情報誌の誌面等を介して行うことができる。ここでは、SNSを利用する場合について説明する。
【0034】
このうちSNSは、個人ユーザ同士が相互に情報発信や情報共有等を行うことのできるコミュニケーションツールである。SNSは、通常、会員のプロフィール等がSNSサイトで掲載された上でユーザ同士がお互いに友人等の登録をすることで社会的ネットワークが形成される。例えば、SNSとは、TWITTER(登録商標)、FACEBOOK(登録商標)、LINE(登録商標)、mixi(登録商標)、Instagram(登録商標)等の他、1対1での文字情報のやりとりが可能な手段であればよく、電子メールやSMS(Short Message Service)のような手段を含んでもよい。また、SNSではユーザ毎に固有のウェブページが割り当てられ、当該ウェブページ上において自己のコレクションや作品を紹介して、コメント機能により自己及び友人が投稿したコメントを表示できることから、ときにはコレクション等の売買が行われたりもする。
【0035】
ところで、SNSはコミュニケーションツールであるため、安全かつ確実に売買取引を行うための仕組みは備えていないことから、売買取引の実行には、例えば、本実施形態の電子マネー用エスクロー決済システムが利用されることになる。つまり、購入者20と販売者30との間での売買取引が、エスクローサービスサーバ1を介しての物品の配送、任意の電子マネーによる代金の受け渡しにより実行される。なお、売買取引にエスクローサービスサーバ1を利用することは、販売者30及び購入者20の少なくとも一方が提案し、これを相手方が受け入れることにより決定される。
【0036】
エスクローサービスサーバ1を利用して売買取引を行うとき、販売者30は販売情報を、購入者20は購入情報を、それぞれエスクローサービスサーバ1に登録する。エスクローサービスサーバ1は、1つの売買取引に対して登録された販売情報と購入情報とに基づいて1つの取引情報101を生成し、取引ID番号を付与して管理する。このとき、販売情報や購入情報は、1つの売買取引であることを認識可能とする情報、例えば、購入者の住所氏名と販売者の住所氏名や、唯一に定めた取引ID等が含まれている必要がある。また、販売情報や購入情報には、個人間取引に必要とされる情報が含まれている。個人間取引に必要とされる情報とは、例えば、購入者情報102、販売者情報103、及び商品情報104である。なお、予めエスクローサービスサーバ1に登録されている情報であって、販売者30、購入者20又は商品情報104に紐づけられている情報は、都度の登録を省略できてもよい。
【0037】
図2を参照して、エスクローサービスサーバ1、購入者端末2、販売者端末3、第1電子マネーサーバ4、第2電子マネーサーバ6、及び配送管理サーバ8について説明する。
購入者端末2は、商品の購入者20が操作する、たとえば携帯電話やスマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータ等のコンピュータである。購入者20は、購入者端末2を操作してSNSサーバにアクセスし、販売者30が投稿や紹介している商品の確認や販売者30とのコミュニケーションを通じて売買の約束をすることができる。また、購入者20は購入者端末2を操作して、エスクローサービスに関する情報をエスクローサービスサーバ1との間でやりとりする。また、購入者20は購入者端末2の操作を通じて、購入者20に割り当てられている購入者口座5を操作したり、取引に利用することを希望している第1の電子マネーで商品の購入代金を支払う。
【0038】
販売者端末3は、販売者30が操作する、たとえば携帯電話やスマートフォン、タブレットコンピュータ、パーソナルコンピュータ等のコンピュータである。販売者30は、販売者端末3を操作してSNSサーバにアクセスし、購入者20からのコメントを確認することや、購入者20とのコミュニケーションを通じて売買の約束をすることができる。また、販売者30は販売者端末3を操作して、エスクローサービスに関する情報をエスクローサービスサーバ1との間でやりとりする。また、販売者30は販売者端末3の操作を通じて、販売者30に割り当てられている販売者口座7を操作したり、取引に利用することを希望している第2の電子マネーで商品の購入代金を受け取ったことを確認することができる。
【0039】
購入者端末2及び販売者端末3にはそれぞれ、個人間に取引環境を提供するアプリケーションであるエスクローサービスアプリケーション(ESApp)9が設けられて(インストールされて)いる。ESApp9は、API連携がなされているエスクローサービスサーバ1との間で情報の授受を容易にするアプリケーションである。ESApp9は、購入者20による使用、販売者30による使用のいずれも可能になっている。ESApp9では、例えば、取引や決済に関する状態表示、エスクロー決済に関する操作、販売する商品情報の登録操作、商品の配送先情報の登録操作ができる。また、ESApp9は、エスクローサービスサーバ1に通知しなければならない情報を購入者端末2や販売者端末3から収集してエスクローサービスサーバ1に通知することができてもよい。また、ESApp9は、購入者20が購入者端末2を利用して行った取引に関する情報や、販売者30が販売者端末3を利用して行った取引に関する情報をそれぞれ保持していてもよい。
【0040】
第1電子マネーサーバ4は、第1の電子マネーの流通を管理するサーバである。第1電子マネーサーバ4は、第1の電子マネーを取り扱える口座を維持管理するものであり、口座をユーザに貸し出している。第1電子マネーサーバ4は、貸し出し口座として、購入者20の名義であって、購入者20が電子マネーの出入りを管理する購入者口座5と、エスクローサービスサーバ1を管理する者の名義であって、エスクローサービスサーバ1が残高を把握する第1の口座41とを有している。
【0041】
第2電子マネーサーバ6は、第1の電子マネーとは種類が相違する電子マネーである第2の電子マネーの流通を管理するサーバである。第2電子マネーサーバ6は、第2の電子マネーを取り扱える口座を維持管理するものであり、口座をユーザに貸し出している。第2電子マネーサーバ6は、貸し出し口座として、販売者30の名義であって、販売者30が電子マネーの出入りを管理する販売者口座7と、エスクローサービスサーバ1を管理する者の名義であって、エスクローサービスサーバ1が残高を把握する第2の口座61とを有している。
【0042】
第1及び第2電子マネーサーバ4,6は、いずれも電子マネーサービスを行う、パーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータである。第1及び第2電子マネーサーバ4,6としてはそれぞれ種類の相違する電子マネーの流通を管理するが、周知で一般的な電子マネーサービスを可能とするものを想定している。すなわち、図示しないが、電子マネーサーバは、電子マネーの利用者間の取引情報を取得する取引情報取得手段や、電子マネーの購入や現金に戻す際(現金化)に金融機関システムとの決済を行う決済手段や、電子マネーの各種の取引や処理を実行する取引実行手段を備えて構成されている。そして、各利用者に紐付けられている電子マネーの量が口座に記憶されている。また、電子マネーサーバは、電子マネーウォレットに格納された電子マネーの履歴情報を検索する履歴情報検索手段や、検索された履歴情報を利用者の求めに応じて通知する履歴情報通知手段や、履歴情報を半永久的に保全する履歴情報保全手段等を備えて構成されていてもよい。
【0043】
配送管理サーバ8は、商品の配送に関するサービスを行う、パーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータである。配送管理サーバ8は、エスクローサービスサーバ1から取引情報101を受信することにより、購入者情報102、販売者情報103、商品情報104等を取引ID番号とともに知ることができる。配送管理サーバ8は、取引ID番号等を基にして、販売者30の商品の出荷状態を出荷情報に関連付け、購入者20への商品の配達状態を配達情報に関連付ける。また、配送管理サーバ8は、中立な第三者として、取引ID番号に基づいて、販売者30が商品を出荷したことや、購入者20が商品を受領したこと(配送完了通知)をエスクローサービスサーバ1にネットワークNを介して送信する。
【0044】
エスクローサービスサーバ1は、エスクローサービスに関する処理を行う、パーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータである。エスクローサービスサーバ1は、販売者端末3から販売情報、及び購入者端末2から購入情報を受信すると取引ID番号を含む取引情報101を生成し、取引ID番号に対応する取引に関して、購入者20の支払いと販売者30の出荷とに関する処理、及び、購入者20の商品受取と販売者30への代金送金とに関する処理を行う。
【0045】
エスクローサービスサーバ1は、取引情報101を生成して取引情報保持部17に保持する取引情報取得部11と、購入者端末2との間で代金受取処理を行う代金受取処理部12とを備える。また、エスクローサービスサーバ1は、種類の違う第1の電子マネーの価値や、第2の電子マネーの価値を相互に換算したり、通貨に換算したりすることのできる電子マネー仲介部13を備える。また、エスクローサービスサーバ1は、送金条件が成立することに応じて第2の口座61から販売者口座7に第2の電子マネーを送金する代金受渡処理部14を備える。また、エスクローサービスサーバ1は、配送管理サーバ8から取得した情報に基づいて商品の配送を監視する配送監視部15と、第1の口座41の残高及び第2の口座61の残高をそれぞれ管理する口座管理部16とを備える。
【0046】
続いて、図3図6を参照して、本実施形態におけるエスクロー決済システムを利用した取引の一例について説明する。
図3は、取引の第1段階として、購入者20と販売者30との間で送金に関する手続きの合意に至るまでのシーケンスを示す図である。
【0047】
まず、販売者端末3では、販売者30が販売情報を登録する為の画面が、インストールされたESApp9によって表示(提供)される(図3のステップS31)。販売者30は、ESApp9が表示させている販売情報を登録する為の画面を操作して販売情報を入力する(図3のステップS32)。販売者30は、販売情報として、購入者20を特定する宛先、商品、販売価格、自身が代金受け取りに使う電子マネーの種類や口座等の情報を登録する。ESApp9は、入力された販売情報をエスクローサービスサーバ1に登録する処理を行う(図3のステップS33)。なお、ESApp9は、ESApp9や販売者端末3に設定されている販売者30に関する情報や販売する商品に関する情報等を販売情報に追加してもよい。購入者20を特定する宛先には、住所、氏名・名称、電子メールのアドレス等、エスクローサービスサーバ1から購入者端末2への電子メール等の通知に必要とされる情報が含まれている。
【0048】
登録処理では、ESApp9は、販売者30が入力した販売情報をエスクローサービスサーバ1に通知して、エスクローサービスサーバ1に登録させる(図3のステップS34)。
【0049】
販売情報が登録されると、エスクローサービスサーバ1は、登録された販売情報に基づいて、販売情報が登録された旨を販売者端末3に電子メール等で通知する(図3のステップS35)。これにより、販売者端末3では、入力した販売情報がエスクローサービスサーバ1に登録されたことを確認することができる。
【0050】
また、販売情報が登録されると、エスクローサービスサーバ1は、販売者30から登録された販売情報のうち、購入者20が必要とする情報を購入者端末2へ電子メール等で通知する(図3のステップS36)。購入者20が必要とする情報は、販売者30の情報、商品、販売価格等である。また、購入者端末2のESApp9は、エスクローサービスサーバ1と連携して、購入情報登録画面を購入者端末2に表示させる(図3のステップS37)。購入者20は、ESApp9が表示させている購入情報を登録する為の画面を操作して購入情報を入力する(図3のステップS38)。購入者20は、購入情報として、商品の宛先(通常、自身の住所氏名)、支払に使う電子マネーの種類や口座等の情報を登録する。ESApp9は、入力された購入情報をエスクローサービスサーバ1に登録する処理を行う(図3のステップS39)。なお、ESApp9は、ESApp9や購入者端末2に設定されている購入者20に関する情報や購入する商品に関する情報等を購入情報に追加してもよい。
【0051】
登録処理では、購入者端末2のESApp9は、購入者20の入力等に基づく購入情報をエスクローサービスサーバ1に通知して、エスクローサービスサーバ1に登録させる(図3のステップS310)。購入情報が登録されると、エスクローサービスサーバ1は、登録された購入情報に基づいて、購入情報が登録された旨を販売者端末3に電子メール等で通知する(図3のステップS311)。これにより、販売者端末3では、購入者20が商品の購入を許諾して購入情報をエスクローサービスサーバ1に登録したものであることを確認することができる。
【0052】
エスクローサービスサーバ1では、取引情報取得部11が、登録された販売情報と購入情報とに基づいて取引に必要な情報である取引情報101を生成する。取引情報101は、購入者情報102、販売者情報103、及び商品情報104を含み構成されている。
【0053】
購入者情報102には、購入者20が決済に利用する種類の電子マネーが「第1の電子マネー」であること、第1電子マネーサーバ4に「購入者口座5」を有していることが含まれている。すなわち、購入者20は、エスクローサービスサーバ1で決済可能な複数の電子マネーのうちから第1の電子マネーを決済用に選択している。また、購入者情報102には、購入者20の住所、氏名、会社名、電話番号、メールアドレス、商品の送り先等が含まれている。
【0054】
販売者情報103には、販売者30が決済に利用する種類の電子マネーが「第2の電子マネー」であること、第2電子マネーサーバ6に「販売者口座7」を有していることが含まれている。すなわち、販売者30は、エスクローサービスサーバ1で決済可能な複数の電子マネーのうちから第2の電子マネーを決済用に選択している。また、販売者情報103には、販売者30の住所、氏名、会社名、電話番号、メールアドレス等が含まれている。
【0055】
商品情報104には、商品の種別、品名、名称、大きさ、重さ等の情報が含まれている。また、商品情報104には、購入に関する情報として、購入数、購入価格、配送料、配送日時等が含まれている。
【0056】
ところで、個人取引の場合、取引の合意が明確ではないという問題がある。この点、ここまでの販売情報の登録や購入情報の登録に係る処理によって、購入者20と販売者30との双方が、電子マネー送金サービスを介しての支払・受取に関して合意を形成したとすることができる。
【0057】
なお、より明示的に合意形成をすることができる。例えば、販売者30は、合意を形成を明確とする約束書面を含む購入情報をエスクローサービスサーバ1に登録してもよい。また、エスクローサービスサーバ1は、購入者20が必要とする情報に、販売者30によって登録された約束書面を含めて購入者端末2へ通知してもよい。さらに、購入者20の約束書面への同意の有無を購入情報に含めるようにしてもよい。そして、エスクローサービスサーバ1には、約束書面への同意の有無を含んで購入情報が登録されてもよい。これにより、エスクローサービスサーバ1では、約束書面への同意の有無の確認、及び、約束書面への同意の有無に応じた取引処理が可能になる。
【0058】
エスクローサービスサーバ1は、少なくともエスクローサービスによる取引が完了するまでの期間、作成した取引情報101を取引情報保持部17に保持するとともに、取引情報101に基づいて1つの取引を管理する。
【0059】
つまり、エスクローサービスサーバ1は、取引情報101に基づいてエスクローサービスを開始する(取引情報取得工程)。
なお、エスクローサービスを開始する際、エスクローサービスサーバ1は、販売者端末3にエスクロー手続開始の通知を行ってもよく、購入者端末2にエスクロー手続開始の通知を行ってもよい。エスクローサービスサーバ1から購入者端末2や販売者端末3への通知は、適宜利用可能な方法が選択される。利用可能な方法は、電子メールや、第1電子マネーサーバ4や第2電子マネーサーバ6の通知機能等である。
【0060】
図4は、取引の第2段階として、購入者20が任意の電子マネーで商品の購入代金を支払う際(代金受取処理工程)のシーケンス図である。
まず、エスクロー手続が開始されると、エスクローサービスサーバ1は、購入者端末2に支払の指示を電子メール等で通知する(図4のステップS41)。支払の指示には、送金先の第1の口座41の番号や、第1の口座41へ送金する第1の電子マネーの量が含まれている。
【0061】
購入者端末2に支払指示が通知されると、購入者20が購入者端末2を操作して購入者口座5から第1の口座41への第1の電子マネーの支払操作を行う(図4のステップS42)。これにより、購入者口座5から第1の口座41に第1の電子マネーが送金される(図4のステップS43)。このとき、購入者口座5と第1の口座41とは同一の種類の第1の電子マネーの口座であることから、購入者口座5から第1の口座41への第1の電子マネーにかかる費用や手数料は、第1の電子マネーの利用の促進を図るためなどから、通常は、無料又は比較的低額である。また、購入者端末2には、購入者口座5から第1の口座41への電子マネーの送金が完了したことを示す送金完了通知が第1電子マネーサーバ4の購入者口座5に対応する機能から通知される(ステップS431)。これにより、購入者20は、電子マネーの送金が完了したことを確認することができる。
【0062】
第1の口座41に電子マネーが入金されると、入金に関する情報を含む入金通知が第1の口座41からエスクローサービスサーバ1へ通知される(図4のステップS44)。より詳細には、入金通知は、第1電子マネーサーバ4からエスクローサービスサーバ1の第1の口座41への入金情報の通知である。入金通知には、購入者20の情報と支払額の情報とが含まれているとともに、取引ID番号が含まれていてもよい。エスクローサービスサーバ1は、取引情報101と入金情報とを照合することに基づいて、購入者20の確認や、支払額の確認を行う(図4のステップS45)。このとき、取引ID番号が含まれていれば、取引ID番号により取引情報101と入金情報とを照合してもよい。
【0063】
照合によって購入者20と支払額とが一致することが確認できた場合、エスクローサービスサーバ1は、取引の代金が入金されたことを電子メール等で購入者端末2に通知する(図4のステップS46)。この通知には、入金した第1の電子マネーの量や、送金先等が含まれていてもよい。これにより、購入者20は購入者端末2による操作によって、支払ができたことを確認することができる。
【0064】
一方、照合によって購入者20と支払額との少なくとも一方が不一致である場合、入金額など手続き内容に誤りがある場合に限り、購入者20が利用した第1電子マネーサーバ4を介して、購入者端末2に送金金額の訂正と、再送金の手続きを促す通知を行うようにしてもよい。さらに、購入者端末2に通知された手続に対応する送金金額の訂正と、再送金が行われないときや、再送金ができない問題があるとき、取引の中止を通知するようにしてもよい。
【0065】
図5は、取引の第3段階として、販売者30が購入者20に商品を発送し、購入者20が商品を受け取ったことを登録するまでを示すシーケンス図である。
購入者20による支払が確認できると、エスクローサービスサーバ1は、販売者端末3に対して、購入者20からの入金が済んだことを示す入金完了通知、及び、商品の出荷を指示する出荷指示を電子メール等で通知する(図5のステップS51)。
【0066】
出荷指示が通知されると、販売者30は、商品を購入者20宛に出荷する(図5のステップS52)。また、配送管理サーバ8は、配送業者が販売者30から商品を集荷してから、配送業者が購入者20へ商品を引き渡すまでの間における商品の配送状況を把握するとともに、管理している。配送状況は、商品を引き受けた引受情報、商品を引き渡した引渡情報等である。配送管理サーバ8は、商品の配送状況を、エスクローサービスサーバ1、販売者端末3、及び購入者端末2に通知可能な関係を構築する、すなわち配送状況連携を行う(図5のステップS53−1,S53−2,S53−3)。配送状況連携によって、配送業者と販売者30や購入者20との間の引受情報や引渡情報等が配送管理サーバ8と、エスクローサービスサーバ1、販売者端末3、及び購入者端末2との間で連携され、共有される。
【0067】
購入者20には、配送業者の商品引き渡しによって商品が到着する。また、購入者端末2は、配送管理サーバ8からの通知によって、商品到着に係る処理を行う(図5のステップS54)。商品到着に係る処理は、商品受取完了の登録であり、詳しくは、到着した商品の状態確認と受取確認の通知とを含む処理である。購入者端末2では、購入者20が商品受取を確認すると、購入者20が商品受取の登録をするためにESApp9を操作し(図5のステップS55)、ESApp9に対して商品受取情報の登録処理が行われる(図5のステップS56)。ESApp9は、登録処理された商品受取情報をエスクローサービスサーバ1に受取情報として通知して、通知した受取情報を登録させる(図5のステップS57)。
【0068】
一方、エスクローサービスサーバ1は、代金受取処理部12から販売者端末3に入金が完了した通知や出荷通知を行ってから、数日から1週間など所定期間経過しても、当該商品に対して配送管理サーバ8から出荷情報が得られないとき、所定の返金条件の下、第1の電子マネーを購入者20に返金してもよい。なお、返金される電子マネーの価値は、第1の口座41に入金が完了した第1の電子マネーと同じ量や価値であってもよいし、入金された量等から所定の手数料等が減じられてもよいし、時価換算等が行われたものであってもよい。所定期間は、数日から1週間、又は商品の発売日や入荷日までの期間等を設定することができてよい。また、所定期間は、変更回数や延長期間が限定されることも含めて、販売者30が先延ばしできるようになっていてもよい。所定の返金条件は、エスクローサービスサーバ1からの出荷を督促した回数や、状況確認の結果や、購入者20の承諾等のうちから必要なものを含んでよい。
【0069】
また一方、代金受渡処理部14は、販売者30が商品を出荷した後、購入者端末2から商品受取通知が受領できないとき、配送管理サーバ8からの配達情報に含まれる引渡情報に基づいて商品の受取が確認されてから所定期間経過後、所定の支払条件の下、支払い相当額に対応する量の第2の電子マネーを販売者30に送金してもよい。所定期間は、商品の状態確認に要する期間であって、例えば、数日程度が設定されたり、モニター期間として1〜2週間など長めの期間が設定されてもよい。所定の支払条件は、エスクローサービスサーバ1からの受取確認を督促した回数であったり、状況確認の結果であったり、販売者30による申立や、強制支払の承諾等のうちから必要なものを含んでよい。
【0070】
図6は、取引の第4段階として、販売者30が任意の電子マネーサービスで代金の受取を行い、取引手続きが完了するまで(代金受渡処理工程)のシーケンス図である。
購入者20からの商品受取通知の受領に対応する受取情報が登録されると、エスクローサービスサーバ1は、購入者20から一時的に預かっていた(委託されていた)第1の電子マネーによる商品の購入代金を、第2の電子マネーで販売者30に支払う指示を行う(図6のステップS61)。このとき、エスクローサービスサーバ1は、代金受渡処理部14で支払い相当額に対応する量の第2の電子マネーを算出する。なお、支払い相当額は、商品の販売価格であってもよいし、商品の販売価格からエスクローサービスの利用料を減じた額であってもよいし、その他税金や立替金等を控除した額であってもよい。入金時には商品の販売価格に対応する量の第1の電子マネーが支払われていることから、算出された第2の電子マネーの量は、購入者20から第1の口座41に入金された第1の電子マネーのうちから支出可能である。
【0071】
支払指示に応じて、代金受渡処理部14は、第2の口座61から販売者30の販売者口座7へ支払い相当額に対応する量の第2の電子マネーを送金する(図6のステップS62)。販売者口座7へ電子マネーが入金されると、入金に関する情報を含む入金通知が販売者口座7から販売者端末3へ通知される(図6のステップS63)。なお、詳しくは、入金通知としては、第2電子マネーサーバ6から販売者端末3へ販売者口座7の情報が通知される。また、代金受渡処理部14(エスクローサービスサーバ1)には、第2の口座61から販売者口座7への電子マネーの送金が完了したことを示す送金完了通知が第2電子マネーサーバ6の第2の口座61に対応する機能から通知される(ステップS621)。これにより、エスクローサービスサーバ1は、電子マネーの送金が完了したことを確認する。
【0072】
販売者端末3は、入金通知に基づいて商品の代金受取処理を行う(図6のステップS64)。代金受取処理は、例えば、販売価格と入金額との照合処理等である。代金受取処理が済むと、販売者端末3は、エスクローサービスサーバ1に代金受取情報を通知する(図6のステップS65)。
【0073】
第2電子マネーサーバ6からの送金完了通知や、販売者端末3からの代金受取情報の登録通知に基づいて、エスクローサービスサーバ1は、支払情報の登録処理を行う(図6のステップS67)。そして、支払情報の登録処理では、エスクローサービスサーバ1は、取引情報保持部17に保持されている取引情報101について、取引の完了を登録し、その取引に関する処理を完了する。また、エスクローサービスサーバ1は、支払完了通知を電子メール等で購入者20に通知する(図6のステップS68)。支払完了通知は、販売者30によって代金受取りが完了したことや、販売に係る手続きが完了したことを含んでいてもよい。
【0074】
(口座残高管理処理)
本実施形態では、エスクローサービスサーバ1は上述の口座管理部16を備えている。
口座管理部16は、第1の口座41の残高、及び、第2の口座61の残高を把握しながら管理し、調整する。例えば、口座管理部16は、第1の口座41には、第1の口座41に対応する電子マネー残高の上限値と下限値を有しているとともに、第2の口座61には、第2の口座61に対応する電子マネー残高の上限値と下限値とを有している。第1の口座41の電子マネーと、第2の口座61の電子マネーとは、その流通量の相違等から需要が相違することが考えられるので、需要に応じた上限値と下限値とがそれぞれ設定されることが好ましい。
【0075】
口座管理部16は、第1の口座41の電子マネーの残高が、設定された上限値と下限値との間にあるように調整する。例えば、口座管理部16は、第1の口座41の残高が、設定された上限値を上回った場合、当該口座から電子マネーを払い出すこと、及び、残高が下限値を下回った場合、当該口座に電子マネーを補充することの少なくとも一方の処理を行う。また、口座管理部16は、第1の口座41の電子マネーの残高の調整と同様に、第2の口座61の電子マネーの残高の調整を行う。
【0076】
口座の残高が上限値や下限値に到達したことに応じて、個々の取引で決済される金額よりも大きな金額を払い出したり、補充したりすることにより電子マネーの換金や購入の回数が減る。このため、電子マネーの換金や購入にかかる手間が減るとともに、換金や購入の際、金融機関や電子マネー管理団体等に支払う手数料の支出を減らすことができるようになる。
【0077】
なお、エスクローサービスサーバ1では、取引が終了すれば、第1の口座41の残高(価値)と、第2の口座61の残高(価値)との総計は、取引前と同じになる。つまり、エスクローサービスサーバ1では、各口座の総残高は変化しない。また、電子マネーの口座を3つ以上所有する場合、各口座の残高の比率が当初の比率から変動することはあるが、全口座の総残高(総価値)は変化しない。よって、各口座の残高の調整を各口座間で行うことができる。また、3つ以上の口座の扱える電子マネーの種類が相違すれば、エスクローサービスサーバ1が仲介することのできる電子マネーの種類の組み合わせも増加するようになる。
【0078】
例えば、口座管理部16は、払い出しによって口座の残高の増加を抑える調整を行うとき、払い出した電子マネーの量に相当する価値の全部又は一部を、払い出した電子マネーとは相違する種類の他の電子マネーの口座に補充する。また、補充対象とする他の電子マネーの口座が複数あるとき、複数の他の口座のうち、当該口座に設定された上限値又は下限値に対する充足率が低い残高である口座を選択して、この選択した口座に対して補充するようにすることができる。これにより、口座の残高が過剰になるおそれが低減されるようになる。
【0079】
また、例えば、口座管理部16は、補充によって口座の残高の減少を抑える調整を行うとき、補充に必要な電子マネーを、補充が必要な電子マネーとは相違する種類の電子マネーの口座である他の口座から払い出して補充する。また、払い出し対象とする他の電子マネーの口座が複数有るとき、複数の他の口座のうち、当該口座に設定された上限値又は下限値に対する充足率が高い残高である他の口座を選択して、この口座から払い出した電子マネーの送金により、補充対象の口座の残高を補充する。これにより、口座の残高が不足するおそれが低減されるようになる。
【0080】
本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)エスクローサービスサーバ1に販売者30と購入者20とがそれぞれ販売情報と購入情報とを通知するような売買取引において、販売者30と購入者20との間で相違する種類の電子マネーが決済に利用されたとしても、それら相違する電子マネーの間でエスクロー決済を行うことができる。これにより、エスクロー決済における電子マネーの利便性を高めることができる。
【0081】
(2)販売情報が購入者20へ通知されることによって、購入者20は決済に利用するエスクローサービスを知ることができるとともに、購入情報の登録が必要なことが通知される。また、エスクローサービスサーバ1は、販売情報に対する応答として購入情報を受け取ることで販売情報と購入情報との間の関連付けを適切に行うことができる。つまり、販売者30、及び、購入者20ともに決済に要する手間が軽減される。
【0082】
(3)販売者30から受領した約束書面を購入者20に通知することで、対面していない二者間取引においても、購入者20は約束書面を確認してから購入することができるため、取引の安全性が高められる。
【0083】
(4)決済に先立ち、約束書面への同意/不同意が明確に登録されるため、二者間取引における取引の安全性がより高く確保できるようになる。
(5)エスクローサービスを利用するために必要とされる購入者20による購入情報の登録内容を適切にすることができる。
【0084】
(6)購入者端末2に、送金に必要な情報が通知されることから購入者20による適正な量の電子マネーの支払いが容易になる。また、入金された電子マネーの量が適正であるかどうか判定されることから決済がスムーズになされるようになる。
【0085】
(7)購入者20が第1の電子マネーを支払った後であっても、販売者30が商品を出荷しないとき、所定の返金条件の下、購入者20の入金した種類の電子マネーが購入者に返金されるようになることから取引の安全性が確保される。
【0086】
(8)購入者20が商品受取の確認を忘れたり、受取の確認を行わなかったりするような場合であっても、販売者30に支払い相当額に対応する電子マネーが支払われることから取引の安全性が確保される。
【0087】
(9)第1の口座41及び第2の口座61の残高が払い出しや補充による調整を通じて、設定された上限値と下限値との間に維持されるようになることから、第1の口座41及び第2の口座61に保持されている資金の量を適正な量に維持することができる。また残高が、設定された上限値や下限値になることによって一定のまとまった額による払い出しや補充が行われることで払い出しや補充にかかる回数を減らすことができるとともに、手間や手数料を低く抑えられるようになる。
【0088】
また、上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、購入者20が購入情報の登録をするためにESApp9を操作する場合について例示した。しかしこれに限らず、購入情報の登録は、購入者がブラウザ等に表示される入力フォーム(インターフェース)に書き込むことで登録されてもよい。
【0089】
・上記実施形態では、販売者30が販売情報の登録をするためにESApp9を操作する場合について例示した。しかしこれに限らず、販売情報の登録は、販売者がブラウザ等に表示される入力フォーム(インターフェース)に書き込むことで登録されてもよい。
【0090】
・約束書面は、契約書等であってもよい。
・エスクローサービスサーバ1は、購入者端末2に通知する支払の指示を、電子メールを介して行うのではなく、ESAppやWEBサイト等で行うようにしてもよい。例えば、支払う金額(電子マネーの量)を購入者が入力できてもよいが、支払指示に含まれる金額がESAppやWEBサイトに予め設定されているとよい。金額が設定されていれば、入力の誤設定が抑止されるようになる。
【0091】
・エスクローサービスサーバ1は、販売者端末3に対する入金完了通知や出荷指示の通知を、電子メールではなくESAppやWEBサイト等で行うようにしてもよい。
・エスクローサービスサーバ1は、購入者20への支払完了通知を、電子メールではなくESAppやWEBサイト等で行うようにしてもよい。
【0092】
・エスクローサービスサーバ1は、口座管理部16が設けられていなくてもよい。
・口座の残高が上限値や下限値に到達していなくても、必要に応じて適宜、個々の取引で決済される金額よりも大きな金額を払い出したり、補充したりしてもよい。これにより、電子マネーの換金や購入の回数を減らすことができて、電子マネーの換金や購入にかかる手間が減るとともに、換金や購入の際、金融機関や電子マネー管理団体等に支払う手数料の支出を減らすことができる。
【0093】
・上記実施形態では、エスクローサービスサーバ1では、第1の電子マネーと第2の電子マネーとの2つの種類の電子マネーが支払や受取に使える場合について例示した。しかし、これに限らず、エスクローサービスサーバでは、残高の把握可能な口座が増えて、支払や受取に使える電子マネーの種類が増えてもよい。これにより、電子マネーの利便性が高められるようになる。
【0094】
なお、エスクローサービスサーバは、複数種類の電子マネーに加えて、1又は複数の通貨、1又は複数のクレジットカード、1又は複数のデビットカード、1又は複数のプリペイドカード等の少なくとも1つ以上を決済に選択可能であってもよい。
【0095】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
・前記口座管理部は、前記払い出した電子マネーに相当する額の全部又は一部を前記払い出した電子マネーとは相違する種類の電子マネーの口座である他の口座であって、前記他の口座に設定された上限値又は下限値に対する充足率が低い前記他の口座へ補充する電子マネー用エスクロー決済システム。
【0096】
このような構成によれば、エスクローサービスサーバ1によって管理される複数の口座内において残高の高い口座から、残高の低い口座に資金が移動されることから外部に対する入出金を減らすことができるため資金管理の利便性が高い。
【0097】
・前記口座管理部は、前記補充が必要な電子マネーを、前記補充が必要な電子マネーとは相違する種類の電子マネーの口座である他の口座であって、前記他の口座に、設定された上限値又は下限値に対する充足率が高い前記他の口座からの送金により補充する電子マネー用エスクロー決済システム。
【0098】
このような構成によれば、エスクローサービスサーバ1によって管理される複数の口座内において残高の高い口座から、残高の低い口座に資金が移動されることから外部に対する入出金を減らすことができるため資金管理の利便性が高い。
【符号の説明】
【0099】
1…エスクローサービスサーバ、2…購入者端末、3…販売者端末、4…第1電子マネーサーバ、5…購入者口座、6…第2電子マネーサーバ、7…販売者口座、8…配送管理サーバ、9…エスクローサービスアプリケーション(ESApp)、11…取引情報取得部、12…代金受取処理部、13…電子マネー仲介部、14…代金受渡処理部、15…配送監視部、16…口座管理部、17…取引情報保持部、20…購入者、30…販売者、41…第1の口座、61…第2の口座、101…取引情報、102…購入者情報、103…販売者情報、104…商品情報、N…ネットワーク。
【要約】
エスクロー決済における電子マネーの利便性を高めることのできる電子マネー用エスクロー決済システム、及び電子マネー用エスクロー決済方法を提供する。電子マネー用エスクロー決済システムは、商品の取引におけるエスクロー決済に電子マネーを利用可能とするエスクローサービスサーバ(1)を備える。取引情報取得部(11)は販売者端末(3)からの販売情報と、購入者端末(2)からの購入情報とを対応させて取引情報とする。代金受取処理部(12)は、購入者(20)の支払と同じ種類である第1の電子マネー用の第1の口座への、購入者(20)からの入金の完了を販売者端末(3)に通知する。代金受渡処理部(14)は購入者(20)からの商品受取通知の受領に応じて、第1の電子マネーのうちの支払い相当額に対応する量の第2の電子マネーを、エスクローサービスサーバの第2の電子マネー用の第2の口座から販売者(30)に送金する。
図1
図2
図3
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図5
図6