(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708841
(24)【登録日】2020年5月26日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】ガードレール基礎用構築材およびブロック間空隙被覆材
(51)【国際特許分類】
E01F 15/04 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
E01F15/04 Z
E01F15/04 A
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-155682(P2016-155682)
(22)【出願日】2016年8月8日
(65)【公開番号】特開2018-24992(P2018-24992A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2019年5月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】502045884
【氏名又は名称】株式会社赤羽コンクリート
(74)【代理人】
【識別番号】100089060
【弁理士】
【氏名又は名称】向山 正一
(72)【発明者】
【氏名】赤羽 宏
(72)【発明者】
【氏名】高木 仁志
【審査官】
彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】
特開2003−119739(JP,A)
【文献】
特開2005−213852(JP,A)
【文献】
特開2009−243046(JP,A)
【文献】
特開2004−278016(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3011626(JP,U)
【文献】
特開2000−008310(JP,A)
【文献】
特開平09−328707(JP,A)
【文献】
特開2000−064670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガードレール用基礎構築に使用されるガードレール基礎用構築材であって、
前記ガードレール基礎用構築材は、複数のコンクリートブロックと、隣り合うように配置される前記コンクリートブロック間の上面に配置されるブロック間空隙被覆材とを備え、
前記コンクリートブロックは、基板部と、前記基板部より上方に延び、かつ、ガードレール用支柱挿入孔を有する柱状部と、前記柱状部の上部両側部に設けられた上板部とを有し、かつ、前記コンクリートブロックは、前記上板部の側部が隣り合うように配列したとき、隣り合う前記側部間に、空隙が形成されるものとなっており、
前記ブロック間空隙被覆材は、前記コンクリートブロックの側部間空隙および前記側部付近の前記上板部の上面を被包するための平板部と、前記平板部の先端部より、下方に屈曲して延び、前記空隙の先端面および前記空隙付近の前記上板部の先端面を被包する先端側屈曲部と、前記平板部の基端部より、下方に屈曲して延びる基端側屈曲部とを備えることを特徴とするガードレール基礎用構築材。
【請求項2】
前記先端側屈曲部は、前記空隙付近の前記上板部の下面を被包する折返し部を備えている請求項1に記載のガードレール基礎用構築材。
【請求項3】
前記コンクリートブロックの前記側部は、前記柱状部側に傾斜した傾斜側部となっており、前記コンクリートブロックは、前記傾斜側部が隣り合うように並列させたとき、隣り合う前記傾斜側部間に、先端に向かって幅が広がる空隙が形成されるものとなっている請求項1または2に記載のガードレール基礎用構築材。
【請求項4】
前記上板部は、前記ガードレール用支柱挿入孔が中央部に位置するほぼ平坦の上面を有している請求項1ないし3のいずれかに記載のガードレール基礎用構築材。
【請求項5】
前記ブロック間空隙被覆材は、前記平板部が前記空隙の上面を被包し、前記先端側屈曲部が、前記空隙の先端面を被包した状態において、前記基端側屈曲部は、若干押し広げられた状態にて、前記コンクリートブロックに当接するものである請求項1ないし4のいずれかに記載のガードレール基礎用構築材。
【請求項6】
前記平板部は、先端方向に向かって幅が広がるものとなっている請求項1ないし5のいずれかに記載のガードレール基礎用構築材。
【請求項7】
前記基端側屈曲部は、前記平板部の基端より狭い幅にて、下方に延びている請求項1ないし6のいずれかに記載のガードレール基礎用構築材。
【請求項8】
前記基端側屈曲部は、前記平板部の基端より、前記先端側屈曲部方向に延びる第1の屈曲部と、前記第1の屈曲部より、前記先端側屈曲部と反対方向に延びる第2の屈曲部とを備えている請求項1ないし7のいずれかに記載のガードレール基礎用構築材。
【請求項9】
コンクリートブロックを用いるガードレール用基礎構築に使用され、隣り合うコンクリートブロック間の上面空隙を被包するためのブロック間空隙被覆材であって、
前記コンクリートブロックは、基板部と、前記基板部より上方に延び、かつ、ガードレール用支柱挿入孔を有する柱状部と、前記柱状部の上部両側部に設けられた上板部とを有し、前記上板部の側部が隣り合うように配列したとき、隣り合う前記側部間に、空隙が形成されるものであって、
前記ブロック間空隙被覆材は、前記側部間空隙および前記側部付近の前記上板部の上面を被包するための平板部と、前記平板部の先端部より、下方に屈曲して延び、前記空隙の先端面および前記空隙付近の前記上板部の先端面および下面を被包する先端側屈曲部と、前記平板部の基端部より、下方に屈曲して延びる基端側屈曲部とを備えることを特徴とするブロック間空隙被覆材。
【請求項10】
前記先端側屈曲部は、前記空隙付近の前記上板部の下面を被包する折返し部を備えている請求項9に記載のブロック間空隙被覆材。
【請求項11】
前記ブロック間空隙被覆材は、前記平板部が前記空隙の上面を被包し、前記先端側屈曲部が、前記空隙部の先端面を被包した状態において、前記基端側屈曲部は、若干押し広げられた状態にて、前記コンクリートブロックに当接するものである請求項9または10に記載のブロック間空隙被覆材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のコンクリートブロックをガードレールの長手方向に結合することによって互いに連結され、かつ一体的に形成されるガードレール用基礎構造に使用されるガードレール基礎用構築材およびブロック間空隙被覆材に関する。
【背景技術】
【0002】
ガードレール基礎用のコンクリートブロックは、道路に沿って路肩に、複数配置され、ボルト等にて固定され、連結される。従来のガードレール基礎用のコンクリートブロックとしては、例えば、特開2003−119739(特許文献1)のものがあり、このガードレール基礎用のコンクリートブロックは、底版と、この底版の前端部に立設すると共に、支柱用穴を有する前壁と、底版の両側で、かつ前壁に対して直角方向に設けられた左右の側壁とからなっている。そしてこの基礎ブロックを道路に沿って路肩に並べた状態で、隣接する基礎ブロックの側壁相互にボルトを水平方向に貫通させ、その両端をナットで固定するようにしている。また、ボルトにて連結される両側壁間の連結用空間内にコンクリートを充填している。
【0003】
また、ガードレール基礎用のコンクリートブロックとしては、特開2005−213852(特許文献2)に示されるものがある。このガードレール基礎用のコンクリートブロックは、底版2と、この底版の前端に立設した前壁3と、この前壁の一部を厚くして支柱建て込み用の穴7を設けた補強ブロック4と、底版の両端より内側の位置に上記前壁に接続して設けられた側壁5,6とを一体成形してなり、側壁を、一端を前壁に接続して前後方向に延設した長辺側壁5a,6aと、長辺側壁の他端より底版の側端に向けて前壁と平行に連設した短辺側壁5b,6bにてL字状に形成し、この側壁と前壁の一部とで囲まれる連結用空間内8,8に、隣接するブロック相互を連結する連結手段を設けた構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−119739
【特許文献2】特開2005−213852
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1および特許文献2のガードレール基礎用のコンクリートブロックを用いて、ガードレールを施工したとき、ガードレール支柱が立設された部位(支柱保持部)の側部に、凹部が形成される。この凹部に歩行者や、自転車が落下する危険性がある。そこで、本願出願人は、ガードレール基礎用のコンクリートブロックのガードレール用支柱を立設する柱状部の側部に上板部を形成することにより、上記のような危険性を回避したものを提案している。しかし、このようなコンクリートブロックにおいても、長手方向に配列されたコンクリートブロックの側部間には、大きくはないが、隙間が形成される。この隙間に、歩行者が足を取られ、転倒する可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、ガードレール基礎用のコンクリートブロックの上面に凹部がなく、かつ、長手方向に配列されたコンクリートブロック間の隙間をなくし、ガードレール施工部付近を歩行者等が安全に通行可能なガードレールを容易に施工することができるガードレール基礎用構築材およびブロック間空隙被覆材を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するものは、以下のものである。
(1) ガードレール用基礎構築に使用されるガードレール基礎用構築材であって、
前記ガードレール基礎用構築材は、複数のコンクリートブロックと、隣り合うように配置される前記コンクリートブロック間の上面に配置されるブロック間空隙被覆材とを備え、
前記コンクリートブロックは、基板部と、前記基板部より上方に延び、かつ、ガードレール用支柱挿入孔を有する柱状部と、前記柱状部の上部両側部に設けられた上板部とを有し、かつ、前記コンクリートブロックは、前記上板部の側部が隣り合うように配列したとき、隣り合う前記側部間に、空隙が形成されるものとなっており、
前記ブロック間空隙被覆材は、前記コンクリートブロックの側部間空隙および前記側部付近の前記上板部の上面を被包するための平板部と、前記平板部の先端部より、下方に屈曲して延び、前記空隙の先端面および前記空隙付近の前記上板部の先端面を被包する先端側屈曲部と、前記平板部の基端部より、下方に屈曲して延びる基端側屈曲部とを備えるガードレール基礎用構築材。
【0008】
(2) 前記先端側屈曲部は、前記空隙付近の前記上板部の下面を被包する折返し部を備えている上記(1)に記載のガードレール基礎用構築材。
(3) 前記コンクリートブロックの前記側部は、前記柱状部側に傾斜した傾斜側部となっており、前記コンクリートブロックは、前記傾斜側部が隣り合うように並列させたとき、隣り合う前記傾斜側部間に、先端に向かって幅が広がる空隙が形成されるものとなっている上記(1)または(2)に記載のガードレール基礎用構築材。
(4) 前記上板部は、前記ガードレール用支柱挿入孔が中央部に位置するほぼ平坦の上面を有している上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のガードレール基礎用構築材。
(5) 前記ブロック間空隙被覆材は、前記平板部が前記空隙の上面を被包し、前記先端側屈曲部が、前記空隙の先端面を被包した状態において、前記基端側屈曲部は、若干押し広げられた状態にて、前記コンクリートブロックに当接するものである上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のガードレール基礎用構築材。
(6) 前記平板部は、先端方向に向かって幅が広がるものとなっている上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のガードレール基礎用構築材。
(7) 前記基端側屈曲部は、前記平板部の基端より狭い幅にて、下方に延びている上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のガードレール基礎用構築材。
(8) 前記基端側屈曲部は、前記平板部の基端より、前記先端側屈曲部方向に延びる第1の屈曲部と、前記第1の屈曲部より、前記先端側屈曲部と反対方向に延びる第2の屈曲部とを備えている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のガードレール基礎用構築材。
【0009】
また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
(9) コンクリートブロックを用いるガードレール用基礎構築に使用され、隣り合うコンクリートブロック間の上面空隙を被包するためのブロック間空隙被覆材であって、
前記コンクリートブロックは、基板部と、前記基板部より上方に延び、かつ、ガードレール用支柱挿入孔を有する柱状部と、前記柱状部の上部両側部に設けられた上板部とを有し、前記上板部の側部が隣り合うように配列したとき、隣り合う前記側部間に、空隙が形成されるものであって、
前記ブロック間空隙被覆材は、前記側部間空隙および前記側部付近の前記上板部の上面を被包するための平板部と、前記平板部の先端部より、下方に屈曲して延び、前記空隙の先端面および前記空隙付近の前記上板部の先端面および下面を被包する先端側屈曲部と、前記平板部の基端部より、下方に屈曲して延びる基端側屈曲部とを備えるブロック間空隙被覆材。
【0010】
(10) 前記先端側屈曲部は、前記空隙付近の前記上板部の下面を被包する折返し部を備えている上記(9)に記載のブロック間空隙被覆材。
(11) 前記ブロック間空隙被覆材は、前記平板部が前記空隙の上面を被包し、前記先端側屈曲部が、前記空隙部の先端面を被包した状態において、前記基端側屈曲部は、若干押し広げられた状態にて、前記コンクリートブロックに当接するものである上記(9)または(10)に記載のブロック間空隙被覆材。
【発明の効果】
【0011】
本発明のガードレール基礎用構築材は、複数のコンクリートブロックと、隣り合うように配置されるコンクリートブロック間の上面に配置されるブロック間空隙被覆材とを備える。コンクリートブロックは、基板部と、基板部より上方に延び、かつ、ガードレール用支柱挿入孔を有する柱状部と、柱状部の上部両側部に設けられた上板部とを有し、かつ、コンクリートブロックは、上板部の側部が隣り合うように配列したとき、隣り合う側部間に、空隙が形成されるものとなっている。ブロック間空隙被覆材は、コンクリートブロックの側部間空隙および側部付近の上板部の上面を被包するための平板部と、平板部の先端部より、下方に屈曲して延び、空隙の先端面および空隙付近の上板部の先端面および下面を被包する先端側屈曲部と、平板部の基端部より、下方に屈曲して延びる基端側屈曲部とを備えるものとなっている。
【0012】
このガードレール基礎用構築材を用いて構築されるガードレール基礎では、コンクリートブロックの上面に開口する凹部がなく、かつ、長手方向に配列されたコンクリートブロック間の隙間もない。このため、ガードレール施工部付近を歩行者等が安全に通行することができる。また、ブロック間空隙被覆材は、コンクリートブロックの接続部に装着するのみで、ブロック間の隙間を消失させることができ、施工も容易である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明のガードレール基礎用構築材の一実施例の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明のブロック間空隙被覆材の平面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示したブロック間空隙被覆材の底面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示したブロック間空隙被覆材の正面図である。
【
図5】
図5は、
図2に示したブロック間空隙被覆材の左側面図である。
【
図6】
図6は、
図2に示したブロック間空隙被覆材の斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明のガードレール基礎用構築材に使用されるコンクリートブロックの一例の斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明のガードレール基礎用構築材に使用されるコンクリートブロックを2つ長手方向に並べた状態を説明するための説明図である。
【
図9】
図9は、本発明のガードレール基礎用構築材に使用されるコンクリートブロックを2つ長手方向に並べた状態を説明するための説明図である。
【
図10】
図10は、
図1のガードレール基礎用構築材におけるブロック間空隙被覆材付近の拡大斜視図である。
【
図11】
図11は、
図1のガードレール基礎用構築材におけるブロック間空隙被覆材付近の上方からみた拡大図である。
【
図12】
図12は、本発明のガードレール基礎用構築材を用いて構築したガードレール施工部の斜視図である。
【
図13】
図13は、
図12に示した本発明のガードレール基礎用構築材を用いて構築したガードレール施工部の部分の上方からみた拡大図である。
【
図14】
図14は、
図13に示した本発明のガードレール基礎用構築材を用いて構築したガードレール施工部のA−A線部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のガードレール基礎用構築材およびブロック間空隙被覆材を図面に示す実施例を用いて説明する。
本発明のガードレール用基礎構築に使用されるガードレール基礎用構築材50は、複数のコンクリートブロック10と、隣り合うように配置されるコンクリートブロック10間の上面に配置されるブロック間空隙被覆材1とを備える。
【0015】
コンクリートブロック10は、基板部11と、基板部11より上方に延び、かつ、ガードレール用支柱挿入孔14を有する柱状部13と、柱状部13の上部両側部に設けられた上板部12とを有し、かつ、コンクリートブロック10は、上板部12の側部12a、12bが隣り合うように配列したとき、道路湾曲部での使用を可能とするために、隣り合う側部12a、12b間に、空隙20が形成されるものとなっている。
【0016】
ブロック間空隙被覆材1は、コンクリートブロック10の側部間空隙20および側部12a、12b付近の上板部12の上面を被包するための平板部2と、平板部2の先端部23より、下方に屈曲して延び、空隙20の先端面および空隙20付近の上板部12の先端面を被包する先端側屈曲部3と、平板部2の基端部22より、下方に屈曲して延びる基端側屈曲部5を備えている。
【0017】
また、本発明のブロック間空隙被覆材1は、コンクリートブロック10を用いるガードレール用基礎構築に使用され、隣り合うコンクリートブロック10間の上面空隙を被包するためのものである。ブロック間空隙被覆材1の使用対象となるコンクリートブロック10は、基板部11と、基板部11より上方に延び、かつ、ガードレール用支柱挿入孔14を有する柱状部13と、柱状部13の上部両側部に設けられた上板部12とを有し、上板部12の側部12a、12bが隣り合うように配列したとき、隣り合う側部12a、12b間に、空隙20が形成されるものである。ブロック間空隙被覆材1は、コンクリートブロック10の側部間空隙20および側部12a、12b付近の上板部12の上面を被包するための平板部2と、平板部2の先端部23より、下方に屈曲して延び、空隙20の先端面および空隙20付近の上板部12の先端面を被包する先端側屈曲部3と、平板部2の基端部22より、下方に屈曲して延びる基端側屈曲部5を備えている。
【0018】
図1に示す様に、このガードレール基礎用構築材を用いて構築されるガードレール基礎では、コンクリートブロックの上面に開口する凹部がなく、かつ、長手方向に配列されたコンクリートブロック間の隙間もない。このため、ガードレール施工部付近を歩行者等が安全に通行することができる。
【0019】
図1ないし
図11に示す実施例のガードレール基礎用構築材およびブロック間空隙被覆材について説明する。
この実施例のガードレール基礎用構築材50は、複数(2以上)のコンクリートブロック10と、隣り合うように配置されるコンクリートブロック10間の上面に配置される1以上のブロック間空隙被覆材1とを備える。
【0020】
図7ないし
図9に示す様に、この実施例のコンクリートブロック10は、基板部11と、基板部11より上方に延び、かつ、ガードレール用支柱挿入孔14を有する柱状部13と、柱状部13の上部両側部に設けられた上板部12と、基板部11より上方に延び、上板部12および柱状部13の端面部と連結する立板部17と、基板部11より延びる道路埋設板部18と、道路埋設板部18の両側部より上方に延びるボルト孔保有突出部15,16を備えている。
【0021】
そして、この実施例のコンクリートブロック10では、
図7に示す様に、上板部12は、ガードレール用支柱挿入孔14を中央部に有するほぼ平坦上面を有するものとなっている。言い換えれば、平面視において、基板部11が視認不能となるように、基板部11の上部を覆っている。このため、このブロック10は、上面に開口する凹部を持たない。また、この実施例のブロック10では、上板部12は、
基板部11とほぼ平行に設けられており、かつ、形状もほぼ同じものとなっている。上板部12の先端部の厚さとしては、70〜80mm程度が好ましい。
【0022】
そして、コンクリートブロック10の上板部12の側部は、柱状部13側に傾斜した傾斜側部12a、12bとなっている。言い換えれば、上板部12は、先端に向かって幅が狭くなっている。このため、
図8および
図9に示すように、コンクリートブロック10は、傾斜側部12a、12bが隣り合うように並列させたとき、隣り合う傾斜側部12a、12b間に、先端に向かって幅が広がる空隙20が形成されるものとなっている。また、コンクリートブロック10の基板部11の側部も、柱状部13側に傾斜した傾斜側部となっている。
【0023】
さらに、この実施例のコンクリートブロック10では、上板部12の傾斜側部12a、12bの基部には、膨出部12c、12dが設けられている。膨出部は、上板部12の上端から、基板部11の下端まで延びるものとなっている。このため、
図8および
図9に示すように、コンクリートブロック10は、傾斜側部12a、12bが隣り合うように並列させたとき、この膨出部12c、12dにて、隣り合うブロックが当接もしくは近接する。そして、膨出部12cと膨出部12dの当接点もしくは近接点を始端として、空隙20は末広がり状に平板部2の先端まで延びている。空隙20は、隣り合うコンクリートブロック10の長手方向の並べ方により、大きさが変化する。
図8および
図9のように、直線状に並べた時に形成される空隙20の大きさを基準とすると、施工道路が右カーブの場合では、
図8における右側コンクリートブロック10の先端が図面下側となるように配列されるため、空隙20は小さくなり、施工道路が左カーブの場合では、
図8における右側コンクリートブロック10の先端が図面上側となるように配列されるため、空隙20は大きくなる。言い換えれば、
空隙20の大きさは、画一なものではなく、個々に相違する。後述する本発明のブロック間空隙被覆材1は、上記のような空隙20の変化にも対応可能なものとなっている。
【0024】
次に、
図2ないし
図6に示す実施例のブロック間空隙被覆材について説明する。
この実施例のブロック間空隙被覆材1は、コンクリートブロック10の側部間空隙20および側部12a、12b付近の上板部12の上面を被包するための平板部2と、平板部2の先端部23より、下方に屈曲して延び、空隙20の先端面および空隙20付近の上板部12の先端面を被包する先端側屈曲部3と、平板部2の基端部22より、下方に屈曲して延びる基端側屈曲部5を備えている。
このブロック間空隙被覆材1は、上記のような空隙20の変化にも対応可能なものとなっている。
【0025】
平板部2は、
図2ないし
図6に示す様に、先端方向に向かって幅が広がるものとなっている。具体的には、基端部22から中央部21に向かってさらに中央部21から先端部23に向かって、徐々に幅が広くなるものとなっている。特に、この実施例では、平板部2の両側面は、直線状となっており、基端から先端まで一律に幅が広くなっている。平板部2の側辺27と側辺28間の角度は、10〜30度であることが好ましく、特に、15〜20度が好ましい。なお、平板部2の側面形態は、直線状のものに限定されるものではなく、曲線状のものであってもよい。
【0026】
平板部2の基端の幅は、50〜170mmが好ましく、特に、80〜130mmが好ましい。また、平板部2の先端の幅は、150〜250mmが好ましく、特に、180〜230mmが好ましい。平板部2の長さは、ブロックの上板部の幅より若干大きいものとなっている。
【0027】
先端側屈曲部3は、平板部2の先端部23より、下方に屈曲して延びている。この実施例のものでは、先端側屈曲部3は、ほぼ平板部2の先端の幅と同じ幅にて、下方に屈曲して延びるものとなっている。また、先端側屈曲部3の下方への屈曲長は、上板部12の厚さとほぼ同じもしくは若干長いものであることが好ましい。先端側屈曲部3は、平板部2に対して、ほぼ直角に屈曲している。先端側屈曲部3は、空隙20の先端面および空隙20付近の上板部12の先端面を被包する。
【0028】
さらに、この実施例のブロック間空隙被覆材1では、
図2ないし
図6に示す様に、先端側屈曲部3は、空隙20付近の上板部12の下面および空隙20の先端部下面を被包する折返し部4を備えている。このため、先端側屈曲部3の下方への屈曲長は、上板部12の厚さより若干長いものとなっており、平板部の先端部、先端側屈曲部3および折返し部4にて形成される部位に、コンリートブロックの上板部12の先端部を収納可能となっている。折返し部4は、空隙20の先端部下面および空隙20付近の上板部12の先端部下面を被包する。なお、
図4に示す先端側屈曲部3と折返し部4間の角度R1は、90度より若干大きいものとなっている。角度R1としては、91〜100度程度が好ましい。このようなものとすることにより、ブロック間空隙被覆材1の上記部位への平板部2の先端部の収納が容易なものとなる。なお、折返し部4は、備えることが望ましいが、持たないものであってもよい。また、折返し部4は、その先端に向かって若干幅が狭くなるものであってもよい。また、折返し部4の角部は、面取りされたものであってもよい。
【0029】
基端側屈曲部5は、平板部2の基端部22の中央部より、下方に屈曲して延びている。特に、この実施例のものでは、基端側屈曲部5は、平板部2の基端部22より細い幅にて、下方に延びるものとなっている。基端側屈曲部5は、弾性変形性を有し、コンクリートブロック10に当接可能なものであることが好ましい。具体的には、ブロック間空隙被覆材1が、平板部2が空隙20の上面を被包し、先端側屈曲部3が、隣り合うコンクリートブロック10の側部先端部を被包した状態において、基端側屈曲部5は、若干押し広げられた状態にて、コンクリートブロック10に当接するものであることが好ましい。このようなものとすることにより、配列されたブロックに、ブロック間空隙被覆材1を仮固定することができ、道路施工時に、ブロック間空隙被覆材1のズレ、離脱などの移動を防止することができる。
【0030】
特に、この実施例では、基端側屈曲部5は、平板部2の基端より、先端側屈曲部方向に延びる第1屈曲部51と、第1屈曲部51より、先端側屈曲部3と反対方向に延びる第2屈曲部52を備えている。第1屈曲部51と第2屈曲部52間には、屈曲点(もしくは湾曲点)53が形成されている。さらに、平板部2には、基端側屈曲部5の屈曲始端54付近に短いスリット25,26を備えている。このため、基端側屈曲部5の平板部2との屈曲部が、平板部2内に位置し、突出しないものとなっている。基端側屈曲部5の幅としては、15〜25mmが好ましい。また、
図4に示す平板部2と基端側屈曲部5(第1屈曲部51)間の角度R2は、90度より若干小さいものとなっている。角度R2としては、85〜89度程度が好ましい。このようなものとすることにより、基端側屈曲部5の弾性変形性が良好なものとなる。また、第1屈曲部51と第2屈曲部52間の屈曲角度R3としては、120〜160度程度が好適である。
【0031】
ブロック間空隙被覆材1は、金属薄板にて形成することが好ましい。金属薄板としては、鋼板、アルミニウム板などが使用できる。鋼板としては、亜鉛メッキ鋼板、ニッケルメッキ鋼板、錫メッキ鋼板、ティンフリー鋼板、ステンレス鋼板などが使用できる。
【0032】
次に、本発明のガードレール基礎用構築材およびブロック間空隙被覆材の作用およびそれを用いたガードレール施工方法を図面を用いて説明する。
ガードレールの施工対象となる道路の路肩に、
図8および
図9に示すように、複数のコンクリートブロック10を上板部12が外側で、道路埋設板部18が内側となるように配置する。そして、
図11に示すように、ボルト孔保有突出部15,16にボルト37を挿入し、固定する。配置されたブロック10の各側部間には、空隙20が形成される。そして、
図10に示すように、
空隙20が形成された部位に、ブロック間空隙被覆材1を装着する。
【0033】
ブロック間空隙被覆材1の装着は、ブロック間空隙被覆材1の先端側屈曲部3および折返し部4が、空隙20の先端部、隣り合うブロック10の上板部12を収納した状態とした後、言い換えれば、折返し部4が隣り合うブロック10の上板部12の先端下面に位置する状態となった後、ブロック間空隙被覆材1の基端部を押し下げ、基端側屈曲部5を隣り合うブロックの上面部12の基端面側に押し込むことにより行われる。なお、押し込まれたブロック間空隙被覆材1の基端側屈曲部5は、ブロック10の膨出部12c.12dに当接し、押圧した状態となることが好ましい。ブロック間空隙被覆材1の装着により、隣り合うブロック10間の上面部の隙間は消失する。また、
図12および
図13に示すように、隣り合うブロック10間は、ブロック間空隙被覆材1により、固定補助された状態となる。
【0034】
続いて、
図12ないし
図14に示すように、道路35を施工する。ブロック間空隙被覆材1の基端側屈曲部5は、
図14に示すように、道路35に埋設され、外部に露出しない。また、ブロック10の道路埋設板部18、ボルト孔保有突出部15,16、それに固定されたボルト37も道路に埋設される。これにより、コンクリートブロック10およびブロック間空隙被覆材1は、道路に固定され、コンクリートブロック10およびブロック間空隙被覆材1によるガードレール基礎が形成される。
【0035】
そして、コンクリートブロック10およびブロック間空隙被覆材1により構築されたガードレール基礎に、ガードレール30を施工する。ガードレールの施工は、ガードレール支柱32の下部をブロック10の支柱挿入孔に挿入し、セメント等を注入し、固定した後、ガードレールビーム31をボルトにて支柱に固定することにより行われる。
このようにして構築されたガードレールでは、
図12および
図13に示すように、ブロック10の上面およびブロック10間に空隙、凹部がなく、ほぼ平坦面となっている。このため、歩行者などが安全に通行できる。
【符号の説明】
【0036】
1 ブロック間空隙被覆材
2 平板部
3 先端側屈曲部
4 折返し部
5 基端側屈曲部
10 コンクリートブロック
11 基板部
12 上板部
12a,12b 傾斜側部
20 側部間空隙
50 ガードレール基礎用構築材