特許第6708857号(P6708857)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708857
(24)【登録日】2020年5月26日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】X線検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/046 20180101AFI20200601BHJP
   G01N 23/083 20180101ALI20200601BHJP
【FI】
   G01N23/046
   G01N23/083
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-200834(P2017-200834)
(22)【出願日】2017年10月17日
(65)【公開番号】特開2019-74415(P2019-74415A)
(43)【公開日】2019年5月16日
【審査請求日】2019年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】512097042
【氏名又は名称】日本装置開発株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(72)【発明者】
【氏名】木下 修
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−256034(JP,A)
【文献】 特開2006−170876(JP,A)
【文献】 特開2008−188279(JP,A)
【文献】 特開2009−014710(JP,A)
【文献】 特開2014−134528(JP,A)
【文献】 特開2004−245685(JP,A)
【文献】 特開2013−061280(JP,A)
【文献】 特開2007−029168(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/078415(WO,A1)
【文献】 特開昭61−240145(JP,A)
【文献】 特表2016−538552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/2276
A61B 6/00− 6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被検査体にX線を照射するX線発生器と、前記X線発生器との間で複数の前記被検査体を挟むように配置される二次元のX線検出器と、複数の前記被検査体のそれぞれが載置される複数の回転テーブルと、前記X線検出器が接続される制御部とを備え、
複数の前記回転テーブルは、複数の前記被検査体のそれぞれの透視像が重ならない状態で前記X線検出器に写し出される位置に配置され、
複数の前記被検査体の検査時に、複数の前記回転テーブルは、同時に回転し、前記X線検出器は、複数の前記被検査体の前記透視像が写る二次元のX線画像を順次、複数枚取得し、前記制御部は、取得した複数枚の前記X線画像に基づいて複数の前記被検査体のそれぞれのCT画像を生成するとともに、
前記制御部は、取得した複数枚の前記X線画像に基づいて1個の前記被検査体の前記CT画像を生成するときに、複数枚の前記X線画像のそれぞれの中の、前記CT画像が生成される1個の前記被検査体の前記透視像が含まれる部分のみを用いた所定の演算を行って前記CT画像を生成することを特徴とするX線検査装置。
【請求項2】
複数の被検査体にX線を照射するX線発生器と、前記X線発生器との間で複数の前記被検査体を挟むように配置される二次元のX線検出器と、複数の前記被検査体のそれぞれが載置される複数の回転テーブルと、前記X線検出器が接続される制御部とを備え、
複数の前記回転テーブルは、複数の前記被検査体のそれぞれの透視像が重ならない状態で前記X線検出器に写し出される位置に配置され、
複数の前記被検査体の検査時に、複数の前記回転テーブルは、同時に回転し、前記X線検出器は、複数の前記被検査体の前記透視像が写る二次元のX線画像を順次、複数枚取得し、前記制御部は、取得した複数枚の前記X線画像に基づいて複数の前記被検査体のそれぞれのCT画像を生成するとともに、
前記制御部は、取得した複数枚の前記X線画像に基づいて1個の前記被検査体の前記CT画像を生成するときに、複数枚の前記X線画像のそれぞれの中の、前記CT画像が生成される1個の前記被検査体の前記透視像が含まれる部分を切り出すとともに、切り出した部分のみを用いた所定の演算を行って前記CT画像を生成することを特徴とするX線検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工業製品等の被検査体の内部を非破壊で検査するためのX線検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業用のX線CT装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のX線CT装置は、X線発生器と、X線発生器との間で被撮像物を挟むように配置されるX線検出器と、被撮像物が載置される回転テーブルとを備えている。このX線CT装置では、回転テーブルに載置される被撮像物にX線発生器がX線を照射しつつ、回転テーブルが回転駆動して、微小回転角度ごとにX線検出器が被撮像物のX線画像を取得している。また、このX線CT装置では、取得した360°分の複数枚のX線画像に基づいて被撮像物のCT画像を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−145394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願発明者は、特許文献1に記載のX線CT装置と同様にX線発生器103とX線検出器104と回転テーブル105とを備えるとともに被検査体102のCT画像を生成するX線検査装置において(図5参照)、被検査体102の検査効率を高めるために複数個の被検査体102を1個の回転テーブル105に一緒に載置して回転させながら、X線検出器104で複数の被検査体102のX線画像を同時に取得することを試みた。たとえば、2個の被検査体102を1個の回転テーブル105に一緒に載置して回転させながら、X線検出器104で2個の被検査体102のX線画像を同時に取得することを試みた。
【0005】
しかしながら、この場合には、回転テーブル105が1回転する間に、X線発生器103とX線検出器104とが対向する方向においてX線発生器103とX線検出器104との間で2個の被検査体102が重なるため(たとえば、図5の二点鎖線参照)、2個の被検査体102をX線が透過するようにX線の強度を高めないと、回転テーブル105の回転角度によっては、2個の被検査体102の透視像をX線検出器104に写し出すことができないことが明らかになった。
【0006】
また、この場合には、回転テーブル105が1回転する間に、X線発生器103とX線検出器104とが対向する方向においてX線発生器103とX線検出器104との間で2個の被検査体102が重なるため、仮に、回転テーブル105の全ての回転角度において2個の被検査体102の透視像をX線検出器104に写し出すことができて、2個の被検査体102のX線画像を取得することができたとしても、X線画像に基づいて生成されたCT画像にメタルアーチファクトが発生することが明らかになった。
【0007】
そこで、本発明の課題は、被検査体の検査効率を高めることが可能であっても、複数の被検査体をX線が透過するようにX線の強度を高める必要がなく、かつ、生成されるCT画像でのメタルアーチファクトの発生を防止することが可能なX線検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のX線検査装置は、複数の被検査体にX線を照射するX線発生器と、X線発生器との間で複数の被検査体を挟むように配置される二次元のX線検出器と、複数の被検査体のそれぞれが載置される複数の回転テーブルと、X線検出器が接続される制御部とを備え、複数の回転テーブルは、複数の被検査体のそれぞれの透視像が重ならない状態でX線検出器に写し出される位置に配置され、複数の被検査体の検査時に、複数の回転テーブルは、同時に回転し、X線検出器は、複数の被検査体の透視像が写る二次元のX線画像を順次、複数枚取得し、制御部は、取得した複数枚のX線画像に基づいて複数の被検査体のそれぞれのCT画像を生成するとともに、制御部は、取得した複数枚のX線画像に基づいて1個の被検査体のCT画像を生成するときに、複数枚のX線画像のそれぞれの中の、CT画像が生成される1個の被検査体の透視像が含まれる部分のみを用いた所定の演算を行ってCT画像を生成することを特徴とする。また、上記の課題を解決するため、本発明のX線検査装置は、複数の被検査体にX線を照射するX線発生器と、X線発生器との間で複数の被検査体を挟むように配置される二次元のX線検出器と、複数の被検査体のそれぞれが載置される複数の回転テーブルと、X線検出器が接続される制御部とを備え、複数の回転テーブルは、複数の被検査体のそれぞれの透視像が重ならない状態でX線検出器に写し出される位置に配置され、複数の被検査体の検査時に、複数の回転テーブルは、同時に回転し、X線検出器は、複数の被検査体の透視像が写る二次元のX線画像を順次、複数枚取得し、制御部は、取得した複数枚のX線画像に基づいて複数の被検査体のそれぞれのCT画像を生成するとともに、制御部は、取得した複数枚のX線画像に基づいて1個の被検査体のCT画像を生成するときに、複数枚のX線画像のそれぞれの中の、CT画像が生成される1個の被検査体の透視像が含まれる部分を切り出すとともに、切り出した部分のみを用いた所定の演算を行ってCT画像を生成することを特徴とする。
【0009】
本発明のX線検査装置では、X線発生器とX線検出器との間に複数の被検査体が配置されており、複数の被検査体のそれぞれは、回転テーブルに個別に載置されている。また、本発明では、複数の被検査体の検査時に、複数の回転テーブルは、同時に回転し、X線検出器は、複数の被検査体が写る二次元のX線画像を順次、複数枚取得し、制御部は、取得した複数枚のX線画像に基づいて複数の被検査体のそれぞれのCT画像を生成している。そのため、本発明では、複数の被検査体の検査を同時に行うことが可能になり、その結果、被検査体の検査効率を高めることが可能になる。
【0010】
また、本発明では、複数の回転テーブルは、複数の被検査体のそれぞれの透視像が重ならない状態でX線検出器に写し出される位置に配置されているため、複数の回転テーブルが1回転する間に、X線発生器とX線検出器とが対向する方向においてX線発生器とX線検出器との間で複数の被検査体が重なることがない。したがって、本発明では、1個の被検査体をX線が透過すれば良く、複数の被検査体をX線が透過するようにX線の強度を高める必要がない。また、本発明では、生成されるCT画像でのメタルアーチファクトの発生を防止することが可能になる。
【0011】
さらに、本発明では、複数の被検査体の透視像が共通のX線検出器に写し出されるため、複数の被検査体の透視像が個別に写し出される小型のX線検出器が複数設けられている場合と比較して、X線検査装置のコストを低減することが可能になる。また、小型のX線検出器が複数設けられている場合には、複数のX線検出器の調整が必要になるが、本発明では、共通の1個のX線検出器を調整すれば良い。また、小型のX線検出器が複数設けられている場合には、複数のX線検出器のそれぞれが故障するおそれがあるため、X線検査装置で故障が発生しやすくなるが、本発明では、故障が発生しにくくなる。
【0012】
また、本発明では、制御部は、1個の被検査体のCT画像を生成するときに、複数枚のX線画像のそれぞれの中の、CT画像が生成される1個の被検査体の透視像が含まれる部分のみを用いた所定の演算を行ってCT画像を生成しているか、または、制御部は、1個の被検査体のCT画像を生成するときに、複数枚のX線画像のそれぞれの中の、CT画像が生成される1個の被検査体の透視像が含まれる部分を切り出すとともに、切り出した部分のみを用いた所定の演算を行ってCT画像を生成している。そのため、短時間で適切にCT画像を生成することが可能になる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明のX線検査装置では、被検査体の検査効率を高めることが可能であっても、複数の被検査体をX線が透過するようにX線の強度を高める必要がなく、また、生成されるCT画像でのメタルアーチファクトの発生を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態にかかるX線検査装置の概略構成を説明するための斜視図である。
図2図1に示すX線検査装置の構成を説明するための概略図である。
図3図2に示す制御部でのCT画像の生成方法を説明するための図である。
図4】本発明の他の実施の形態にかかるX線検査装置の構成を説明するための概略図である。
図5】本発明の課題を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0017】
(X線検査装置の構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるX線検査装置1の概略構成を説明するための斜視図である。図2は、図1に示すX線検査装置1の構成を説明するための概略図である。図3は、図2に示す制御部6でのCT画像の生成方法を説明するための図である。
【0018】
本形態のX線検査装置1は、工業製品等の被検査体2の内部を非破壊で検査するための装置である。このX線検査装置1は、複数の被検査体2にX線を照射する1個のX線発生器3と、X線発生器3との間で複数の被検査体2を挟むように配置される1個の二次元のX線検出器(エリアセンサ)4と、複数の被検査体2のそれぞれが載置される複数の回転テーブル5と、X線検出器4が接続される制御部6とを備えている。
【0019】
本形態では、X線発生器3とX線検出器4との間に2個の被検査体2が配置されており、X線発生器3は、2個の被検査体2にX線を照射し、X線検出器4には、2個の被検査体2の透視像Pが写し出される。また、X線検査装置1は、2個の被検査体2のそれぞれが個別に載置される2個の回転テーブル5を備えており、2個の回転テーブル5のそれぞれに1個の被検査体2が載置されている。以下の説明では、2個の被検査体2を区別して表す場合には、2個の被検査体2のうちの一方の被検査体2を「被検査体2A」とし、他方の被検査体2を「被検査体2B」とする。また、X線検出器4に映し出される2個の透視像Pを区別して表す場合には、被検査体2Aの透視像Pを「透視像P1」とし、被検査体2Bの透視像Pを「透視像P2」とする。
【0020】
X線発生器3は、2個の被検査体2に向かって円錐状のX線(コーンビーム)を射出する。X線発生器3は、射出するX線の光軸が水平方向と略平行になるように配置されている。X線検出器4は、X線検出器4の受光面が水平方向に直交するように、かつ、X線発生器3側を向くように配置されている。回転テーブル5には、回転テーブル5を回転させる回転機構が連結されている。回転テーブル5は、上下方向を回転の軸方向として回転する。被検査体2は、回転テーブル5の回転の軸L上に配置されている。なお、2個の回転テーブル5には、2個の回転テーブル5を一緒に回転させる共通の回転機構が連結されていても良いし、2個の回転テーブル5が個別に回転可能となるように、2個の回転テーブル5のそれぞれに個別の回転機構が連結されていても良い。
【0021】
2個の回転テーブル5は、2個の被検査体2のそれぞれの透視像P1、P2が互いに重ならない状態でX線検出器4に写し出される位置に配置されている。すなわち、2個の回転テーブル5は、被検査体2Aの透視像P1と被検査体2Bの透視像P2とが互いに重ならないように離れた状態(間隔をあけた状態)でX線検出器4に写し出される位置に配置されている。具体的には、X線発生器3とX線検出器4とが対向する図1のX方向を前後方向とし、上下方向と前後方向とに直交する図1のY方向を左右方向とすると、2個の回転テーブル5は、2個の回転テーブル5が1回転しても2個の被検査体2が前後方向で重ならないように、左右方向に間隔をあけた状態で配置されている。また、2個の回転テーブル5は、前後方向において同じ位置に配置されている。
【0022】
X線検出器4には、互いに重ならないように離れた状態の透視像P1、P2が写し出される。また、本形態では、X線検出器4に、2個の被検査体2の全体の透視像P1、P2が写し出される。すなわち、X線検出器4には、2個の被検査体2の回転の軸(すなわち、回転テーブル5の回転の軸L)を含む2個の被検査体2の全体の透視像P1、P2が写し出される。
【0023】
2個の被検査体2の検査時には、X線発生器3は、2個の被検査体2にX線を照射する。また、2個の被検査体2の検査時には、被検査体2が載置された2個の回転テーブル5は、同時に回転するとともに等速度で回転する。さらに、2個の被検査体2の検査時には、X線検出器4は、2個の透視像P1、P2が写る二次元のX線画像I(図3参照)を順次、複数枚取得する。具体的には、X線検出器4は、2個の被検査体2が一定角度回転するごとに、X線画像Iを取得する。たとえば、X線検出器4は、2個の被検査体2が1°回転するごとに、X線画像Iを取得する。すなわち、X線検出器4は、2個の被検査体2の検査時に、360枚のX線画像Iを順次取得する。
【0024】
制御部6は、取得した複数枚のX線画像Iに基づいて2個の被検査体2のそれぞれのCT画像を生成する。たとえば、制御部6は、被検査体2AのCT画像を生成するときには、複数枚のX線画像Iのそれぞれの中の、被検査体2Aの透視像P1が含まれる部分I1のみを用いた所定の演算を行って被検査体2AのCT画像を生成し、被検査体2BのCT画像を生成するときには、複数枚のX線画像Iのそれぞれの中の、被検査体2Bの透視像P2が含まれる部分I2のみを用いた所定の演算を行って被検査体2AのCT画像を生成する(図3(A)参照)。すなわち、制御部6は、1個の被検査体2Aまたは2BのCT画像を生成するときに、複数枚のX線画像Iのそれぞれの中の、CT画像が生成される1個の被検査体2Aまたは2Bの透視像Pが含まれる部分I1またはI2のみを用いた所定の演算を行ってCT画像を生成する。
【0025】
あるいは、制御部6は、たとえば、被検査体2AのCT画像を生成するときには、複数枚のX線画像Iのそれぞれの中の、被検査体2Aの透視像P1が含まれる部分I1を切り出すとともに、切り出した部分I1のみを用いた所定の演算を行って被検査体2AのCT画像を生成し、被検査体2BのCT画像を生成するときには、複数枚のX線画像Iのそれぞれの中の、被検査体2Bの透視像P2が含まれる部分I2を切り出すとともに、切り出した部分I2のみを用いた所定の演算を行って被検査体2AのCT画像を生成する(図3(B)参照)。すなわち、制御部6は、1個の被検査体2Aまたは2BのCT画像を生成するときに、複数枚のX線画像Iのそれぞれの中の、CT画像が生成される1個の被検査体2Aまたは2Bの透視像Pが含まれる部分I1またはI2を切り出すとともに、切り出した部分I1またはI2のみを用いた所定の演算を行ってCT画像を生成する。
【0026】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、X線発生器3とX線検出器4との間に2個の被検査体2が配置されており、2個の被検査体2のそれぞれは、回転テーブル5に個別に載置されている。また、本形態では、2個の被検査体2の検査時に、2個の回転テーブル5は、同時に回転し、X線検出器3は、2個の被検査体2の透視像Pが写るX線画像Iを順次、複数枚取得し、制御部6は、取得した複数枚のX線画像Iに基づいて2個の被検査体2のそれぞれのCT画像を生成している。そのため、本形態では、2個の被検査体2の検査を同時に行うことが可能になり、その結果、被検査体2の検査効率を高めることが可能になる。
【0027】
本形態では、2個の回転テーブル5は、被検査体2Aの透視像P1と被検査体2Bの透視像P2とが重ならない状態でX線検出器4に写し出される位置に配置されており、回転テーブル5が1回転する間に、前後方向においてX線発生器3とX線検出器4との間で2個の被検査体2が重なることがない。したがって、本形態では、1個の被検査体2をX線が透過すれば良く、2個の被検査体2をX線が透過するようにX線の強度を高める必要がない。また、本形態では、生成されるCT画像でのメタルアーチファクトの発生を防止することが可能になる。
【0028】
本形態では、1個のX線検出器4に2個の被検査体2の透視像Pが写し出される。そのため、本形態では、2個の透視像Pが個別に写し出される小型のX線検出器4が2個設けられている場合と比較して、X線検査装置1のコストを低減することが可能になる。また、本形態では、X線発生器3の数が1個であるため、小型のX線発生器3が2個設けられている場合と比較して、X線検査装置1のコストを低減することが可能になる。
【0029】
また、小型のX線検出器4が2個設けられている場合には、2個のX線検出器4の調整が必要になるが、本形態では、1個のX線検出器4を調整すれば良い。また、小型のX線検出器4が2個設けられている場合には、2個のX線検出器4のそれぞれが故障するおそれがあるため、X線検査装置1で故障が発生しやすくなるが、本形態では、故障が発生しにくくなる。また、被検査体2AにX線を照射するX線発生器3と被検査体2BにX線を照射するX線発生器3とが個別に設けられている場合には、2個のX線発生器3の調整が必要になるが、本形態では、1個のX線発生器3を調整すれば良い。また、X線発生器3が2個設けられている場合には、2個のX線発生器3のそれぞれが故障するおそれがあるため、X線検査装置1で故障が発生しやすくなるが、本形態では、故障が発生しにくくなる。
【0030】
本形態では、制御部6は、1個の被検査体2Aまたは2BのCT画像を生成するときに、複数枚のX線画像Iのそれぞれの中の、CT画像が生成される1個の被検査体2Aまたは2Bの透視像Pが含まれる部分I1またはI2のみを用いた所定の演算を行ってCT画像を生成している。あるいは、本形態では、制御部6は、1個の被検査体2Aまたは2BのCT画像を生成するときに、複数枚のX線画像Iのそれぞれの中の、CT画像が生成される1個の被検査体2Aまたは2Bの透視像Pが含まれる部分I1またはI2を切り出すとともに、切り出した部分I1またはI2のみを用いた所定の演算を行ってCT画像を生成している。そのため、本形態では、短時間で適切にCT画像を生成することが可能になる。
【0031】
(他の実施の形態)
上述した形態において、X線検出器4に、2個の被検査体2の一部の透視像P1、P2が写し出されても良い(図4参照)。この場合であっても、X線検出器4には、2個の被検査体2の回転の軸(回転テーブル5の回転の軸L)を含む2個の被検査体2の一部の透視像P1、P2が写し出される。なお、図4に示す例では、図4に示す被検査体2の大きさは図2に示す被検査体2の大きさよりも大きくなっているが、図4に示す被検査体2の大きさと図2に示す被検査体2の大きさとが等しくなっていても良い。この場合には、2個の回転テーブル5は、図2に示す位置よりもX線発生器3に近い位置に配置されており、X線検出器4に、2個の被検査体2の一部の透視像P1、P2が写し出される。
【0032】
上述した形態において、X線発生器3とX線検出器4との間に配置される被検査体2の数は、3個以上であっても良い。この場合には、X線検査装置1は、3個以上の被検査体2のそれぞれが個別に載置される3個以上の回転テーブル5を備えており、3個以上の回転テーブル5のそれぞれには、1個の被検査体2が載置されている。また、この場合には、X線発生器3は、3個以上の全ての被検査体2にX線を照射し、X線検出器4には、3個以上の被検査体2の全ての透視像Pが互いに重ならないように離れた状態で写し出される。
【0033】
上述した形態において、X線検査装置1は、たとえば、1個のX線発生器3と、X線発生器3との間で2個の被検査体2を挟むように配置される1個のX線検出器4と、X線発生器3との間で別のもう2個の被検査体2を挟むように配置される別のもう1個のX線検出器4と、4個の被検査体2のそれぞれが載置される4個の回転テーブル5とを備えていても良い。すなわち、X線検査装置1は、1個のX線発生器3と2個のX線検出器4と4個の回転テーブル5とを備えていても良い。この場合には、X線発生器3は、4個の被検査体2にX線を照射し、一方のX線検出器4には、互いに重ならない状態の2個の透視像Pが写し出され、他方のX線検出器4にも、互いに重ならない状態の2個の透視像Pが写し出される。
【0034】
上述した形態において、X線発生器3が射出するX線の光軸は、上下方向(鉛直方向)と略平行になっていても良いし、上下方向および水平方向に対して傾斜していても良い。また、上述した形態において、2個の回転テーブル5の回転速度が異なっていても良い。また、上述した形態において、2個の回転テーブル5は、前後方向でずれていても良い。
【符号の説明】
【0035】
1 X線検査装置
2、2A、2B 被検査体
3 X線発生器
4 X線検出器
5 回転テーブル
6 制御部
I X線画像
P、P1、P2 透視像
図1
図2
図3
図4
図5