特許第6708867号(P6708867)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6708867飛行状況管理システム、飛行状況管理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6708867
(24)【登録日】2020年5月26日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】飛行状況管理システム、飛行状況管理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B64C 39/02 20060101AFI20200601BHJP
   B64C 19/00 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
   B64C39/02
   B64C19/00
【請求項の数】22
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-214478(P2019-214478)
(22)【出願日】2019年11月27日
【審査請求日】2019年11月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517106408
【氏名又は名称】株式会社A.L.I.Technologies
(74)【代理人】
【識別番号】110002790
【氏名又は名称】特許業務法人 iPLAB Startups
(72)【発明者】
【氏名】小松 周平
【審査官】 マキロイ 寛済
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−121267(JP,A)
【文献】 特開2015−212621(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2019/0077507(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2018/0024551(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第104298248(CN,A)
【文献】 特開2004−157397(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 39/02
B64C 19/00
G01C 11/00
G05D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラを有する飛行体から前記カメラの撮影した画像を取得する映像取得部と、
前記画像から特定のマーカーを検出するマーカー解析部と、
前記マーカーの検出に応じて前記飛行体の飛行に係る状況情報を作成する計算処理部と、
前記状況情報を出力する出力処理部と、
を備え、
前記計算処理部は、前記マーカーを検出した回数をカウントし、前記回数に基づいて、前記飛行体による飛行コースの周回数を計算すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の飛行状況管理システムであって、
前記計算処理部は、前記マーカーを検出した時点と前記回数とに応じて、前記飛行コースにおける前記飛行体の順位を計算すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
【請求項3】
請求項1に記載の飛行状況管理システムであって、
前記マーカー解析部は、前記マーカーを復号して、前記飛行コースに設置されたゲートの識別情報を取得し、
前記計算処理部は、取得した前記ゲートの数をカウントして、前記飛行体が通過した前記ゲートの数を計算すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
【請求項4】
請求項1に記載の飛行状況管理システムであって、
前記マーカーが検出された時点を記憶する記憶部をさらに備え、
前記計算処理部は、前記マーカーが検出された前記時点に基づいて、前記飛行体による前記飛行コースのラップタイムを計算すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
【請求項5】
請求項1に記載の飛行状況管理システムであって、
前記マーカーには、前記マーカーの位置を特定するための情報が符号化され、
前記マーカー解析部は、前記マーカーを復号して前記マーカーの位置を特定するための情報を取得し、
前記計算処理部は、前記マーカーの位置を特定するための情報に基づいて求められる前記マーカーの位置を前記飛行体の位置として計算し、
前記出力処理部は、前記飛行体の位置を出力すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
【請求項6】
カメラを有する飛行体から前記カメラの撮影した画像を取得する映像取得部と、
前記画像から特定のマーカーを検出するマーカー解析部と、
前記マーカーの検出に応じて前記飛行体の飛行に係る状況情報を作成する計算処理部と、
前記状況情報を出力する出力処理部と、
を備え、
前記マーカー解析部は、前記マーカーを復号して、飛行コースに設置されたゲートの識別情報を取得し、
前記計算処理部は、取得した前記ゲートの数をカウントして、前記飛行体が通過した前記ゲートの数を計算すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の飛行状況管理システムであって、
前記計算処理部は、前記マーカーを検出した回数をカウントし、前記回数に基づいて、前記飛行体による前記飛行コースの周回数を計算すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
【請求項8】
請求項6に記載の飛行状況管理システムであって、
前記計算処理部は、前記マーカーを検出した時点と前記回数とに応じて、前記飛行コースにおける前記飛行体の順位を計算すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
【請求項9】
請求項6に記載の飛行状況管理システムであって、
前記マーカーが検出された時点を記憶する記憶部をさらに備え、
前記計算処理部は、前記マーカーが検出された前記時点に基づいて、前記飛行体による前記飛行コースのラップタイムを計算すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
【請求項10】
請求項6に記載の飛行状況管理システムであって、
前記マーカーには、前記マーカーの位置を特定するための情報が符号化され、
前記マーカー解析部は、前記マーカーを復号して前記マーカーの位置を特定するための情報を取得し、
前記計算処理部は、前記マーカーの位置を特定するための情報に基づいて求められる前記マーカーの位置を前記飛行体の位置として計算し、
前記出力処理部は、前記飛行体の位置を出力すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
【請求項11】
カメラを有する飛行体から前記カメラの撮影した画像を取得する映像取得部と、
前記画像から特定のマーカーを検出するマーカー解析部と、
前記マーカーの検出に応じて前記飛行体の飛行に係る状況情報を作成する計算処理部と、
前記状況情報を出力する出力処理部と、
を備え、
前記マーカーが検出された時点を記憶する記憶部をさらに備え、
前記計算処理部は、前記マーカーが検出された前記時点に基づいて、前記飛行体による飛行コースのラップタイムを計算すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
【請求項12】
請求項11に記載の飛行状況管理システムであって、
前記計算処理部は、前記マーカーを検出した回数をカウントし、前記回数に基づいて、前記飛行体による前記飛行コースの周回数を計算すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
【請求項13】
請求項11に記載の飛行状況管理システムであって、
前記計算処理部は、前記マーカーを検出した時点と前記回数とに応じて、前記飛行コースにおける前記飛行体の順位を計算すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
【請求項14】
請求項11に記載の飛行状況管理システムであって、
前記マーカー解析部は、前記マーカーを復号して、前記飛行コースに設置されたゲートの識別情報を取得し、
前記計算処理部は、取得した前記ゲートの数をカウントして、前記飛行体が通過した前記ゲートの数を計算すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
【請求項15】
請求項11に記載の飛行状況管理システムであって、
前記マーカーが検出された時点を記憶する記憶部をさらに備え、
前記計算処理部は、前記マーカーが検出された前記時点に基づいて、前記飛行体による前記飛行コースのラップタイムを計算すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
【請求項16】
請求項11に記載の飛行状況管理システムであって、
前記マーカーには、前記マーカーの位置を特定するための情報が符号化され、
前記マーカー解析部は、前記マーカーを復号して前記マーカーの位置を特定するための情報を取得し、
前記計算処理部は、前記マーカーの位置を特定するための情報に基づいて求められる前記マーカーの位置を前記飛行体の位置として計算し、
前記出力処理部は、前記飛行体の位置を出力すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
【請求項17】
コンピュータが、
カメラを有する飛行体から前記カメラの撮影した画像を取得するステップと、
前記画像から特定のマーカーを検出するステップと、
前記マーカーを検出した回数をカウントし、前記回数に基づいて、前記飛行体による飛行コースの周回数を計算するステップと、
前記周回数を出力するステップと、
を実行することを特徴とする飛行状況管理方法。
【請求項18】
コンピュータが、
カメラを有する飛行体から前記カメラの撮影した画像を取得するステップと、
前記画像から特定のマーカーを検出し、前記マーカーを復号して、飛行コースに設置されたゲートの識別情報を取得するステップと、
取得した前記ゲートの数をカウントして、前記飛行体が通過した前記ゲートの数を計算するステップと、
前記ゲートの数を出力するステップと、
を実行することを特徴とする飛行状況管理方法。
【請求項19】
コンピュータが、
カメラを有する飛行体から前記カメラの撮影した画像を取得するステップと、
前記画像から特定のマーカーを検出するステップと、
前記マーカーが検出された時点を記憶するステップと、
前記マーカーが検出された前記時点に基づいて、前記飛行体による飛行コースのラップタイムを計算するステップと、
前記ラップタイムを出力するステップと、
を実行することを特徴とする飛行状況管理方法。
【請求項20】
コンピュータに、
カメラを有する飛行体から前記カメラの撮影した画像を取得するステップと、
前記画像から特定のマーカーを検出するステップと、
前記マーカーを検出した回数をカウントし、前記回数に基づいて、前記飛行体による飛行コースの周回数を計算するステップと、
前記周回数を出力するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項21】
コンピュータに、
カメラを有する飛行体から前記カメラの撮影した画像を取得するステップと、
前記画像から特定のマーカーを検出し、前記マーカーを復号して、飛行コースに設置されたゲートの識別情報を取得するステップと、
取得した前記ゲートの数をカウントして、前記飛行体が通過した前記ゲートの数を計算するステップと、
前記ゲートの数を出力するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項22】
コンピュータに、
カメラを有する飛行体から前記カメラの撮影した画像を取得するステップと、
前記画像から特定のマーカーを検出するステップと、
前記マーカーが検出された時点を記憶するステップと、
前記マーカーが検出された前記時点に基づいて、前記飛行体による飛行コースのラップタイムを計算するステップと、
前記ラップタイムを出力するステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行状況管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラで撮影した画像を見ながらのドローンレースが行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018−101902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドローンレースでの飛行体の速度は速く、飛行体の状況を把握するセンサを配置する場合には高性能で高額なセンサが必要となる。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、飛行体の状況を把握することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、飛行状況管理システムであって、カメラを有する飛行体から前記カメラの撮影した画像を取得する映像取得部と、前記画像から特定のマーカーを検出するマーカー解析部と、前記マーカーの検出に応じて前記飛行体の飛行に係る状況情報を作成する計算処理部と、前記状況情報を出力する出力処理部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、飛行体の状況を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態の飛行状況管理システムの全体構成例を示す図である。
図2】本実施形態の飛行状況管理システムを説明する図である。
図3】マーカー91が配置されたゲート9の例を示す図である。
図4】制御用PC3のソフトウェア構成例を示す図である。
図5】本実施形態の飛行状況管理システムにより実行される処理について説明する図である。
図6】制御用PC3のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<発明の概要>
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば、以下のような構成を備える。
[項目1]
カメラを有する飛行体から前記カメラの撮影した画像を取得する映像取得部と、
前記画像から特定のマーカーを検出するマーカー解析部と、
前記マーカーの検出に応じて前記飛行体の飛行に係る状況情報を作成する計算処理部と、
前記状況情報を出力する出力処理部と、
を備えることを特徴とする飛行状況管理システム。
[項目2]
項目1に記載の飛行状況管理システムであって、
前記計算処理部は、前記マーカーを検出した回数をカウントし、前記回数に基づいて、前記飛行体による飛行コースの周回数を計算すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
[項目3]
項目2に記載の飛行状況管理システムであって、
前記計算処理部は、前記マーカーを検出した時点と前記回数とに応じて、前記飛行コースにおける前記飛行体の順位を計算すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
[項目4]
項目1に記載の飛行状況管理システムであって、
前記マーカー解析部は、前記マーカーを復号して、飛行コースに設置されたゲートの識別情報を取得し、
前記計算処理部は、取得した前記ゲートの数をカウントして、前記飛行体が通過した前記ゲートの数を計算すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
[項目5]
項目1に記載の飛行状況管理システムであって、
前記マーカーが検出された時点を記憶する記憶部をさらに備え、
前記計算処理部は、前記マーカーが検出された前記時点に基づいて、前記飛行体による前記飛行コースのラップタイムを計算すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
[項目6]
項目1に記載の飛行状況管理システムであって、
前記マーカーには、前記マーカーの位置を特定するための情報が符号化され、
前記マーカー解析部は、前記マーカーを復号して前記マーカーの位置を特定するための情報を取得し、
前記計算処理部は、前記マーカーの位置を特定するための情報に基づいて求められる前記マーカーの位置を前記飛行体の位置として計算し、
前記出力部は、前記飛行体の位置を出力すること、
を特徴とする飛行状況管理システム。
【0010】
<システム概要>
以下、本発明の一実施形態に係る飛行状況管理システムについて説明する。図1は、本実施形態の飛行状況管理システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の飛行状況管理システムは、複数のユーザがレーシングドローン1(本実施形態では、回転翼機を想定するが、任意の制御可能な飛行体とすることができる。)を操作して行う、いわゆるドローンレースにおいて、レーシングドローン1の状況を把握しようとするものである。
【0011】
本実施形態の飛行状況管理システムは、レーシングドローン1から出力される、FPV(First Person View)のカメラ映像を受信機2にて受信し、その映像を制御用PC3による解析、表示用に利用することで、演出用の映像を生成し、スイッチャへ4と送信する。最終的な出力はスイッチャ4により決定され大型ディスプレイ5に表示される。スイッチャ4には、撮影用ドローン6からの映像の与えられ、制御用PC3からの映像または撮影用ドローン6からの映像を切り替えることができる。
【0012】
図2は、本実施形態の飛行状況管理システムを説明する図である。本実施形態の飛行状況管理システムは、レーシングドローン1に搭載された映像送信装置からの映像(FPV映像)を受信し、受信したFPV映像を画面51に表示する。画面51は、例えば、大型ディスプレイ5に表示される。
【0013】
図2に示すように、画面51は、複数台(図2の例では4台)のレーシングドローン1に関する情報表示欄511を備えており、情報表示欄511は、レーシングドローン1を運転しているパイロットの写真514、パイロット情報515(氏名その他のパイロットに関する情報)、レーシングドローン1の状況(周回数、レースタイム、順位など)の表示欄516レーシングドローン1からのFPV映像517を備えている。レーシングドローン1の順位については、順位表示欄512にも表示される。また、画面51には、コースの概略図を示すマップ518が表示され、マップ518上にはレーシングドローン1の位置が仮想的に表示される。
【0014】
コース上には特定のQRコード(登録商標)などのマーカー91が配置されたゲート9が複数箇所設置される。図3は、マーカー91が配置されたゲート9の例を示す図である。同図に示すように、ゲート9のレーシングドローン1が進入する面に複数のマーカー91が配置される。飛行するレーシングドローン1がゲート9を通過する際、搭載するカメラにマーカー91が映り込み、画面51のFPV映像517にも同様にマーカー91が映り込む。そこで、本実施形態の飛行状況管理システムでは、レーシングドローン1からの画像に映り込んだマーカー91を認識して復号し、復号された識別情報を利用して、レースにおけるレーシングドローン1のラップタイムの計測、順位計算などを行うことができる。また、またマップ518上には、仮想的に計算した各レーシングドローン1の位置を表示することもできる。なお、レーシングドローン1の飛行速度と制御用PC3の画像処理能力に応じて、マーカー91の情報密度を決定することができるが、本実施形態では、ゲート9の数だけの情報量が符号化できればよく、図3の例では、マーカー91の情報密度を下げて、認識容易に設定している。
【0015】
図4は、制御用PC3のソフトウェア構成例を示す図である。制御用PC3は、映像取得部311、マーカー解析312、順位計算処理313、ラップタイム計算処理314、位置計算処理315、ゴール判定処理316、描画処理317、検出履歴記憶部331、マーカー位置記憶部332、状況記憶部333を備える。
【0016】
<映像取得部311>
映像取得部311は、レーシングドローン1が撮影したFPV映像(本実施形態では動画像を想定しているが、静止画像であってもよい。)を取得する。本実施形態では、映像取得部311は、5.8GHzの受信機2によって得られた信号を受信することを想定する。映像取得部311は、受信した信号を映像に復号することができる。映像取得は、各レーシングドローン1からの映像毎に行われる。どのレーシングドローン1の映像を受信するかは5.8GHz受信機2側で決定することができる。取得した映像は、30fpsまたは60fpsで処理することができる。どちらのfpsで処理されるかも受信機2側で決定することができる。映像取得部311は、取得した映像を、1/30または1/60のコマ数に切り分けた画像に変換する。
【0017】
<マーカー解析部312>
マーカー解析部312は、FPV映像を解析し、マーカー91を検出することができる。マーカー解析部312は、映像処理部311から受け取った画像について、マーカー91が映り込んでいるかの画像解析処理を行う。本実施形態では、マーカー91の誤検知も考慮し、同一マーカー91を複数同時に映り込んだ際に検知として処理することができる。マーカー91には識別情報が埋め込まれており、マーカー解析部312は、マーカー91を検知すると、マーカー91から識別情報を取得する。マーカー解析部312はマーカー91を検知した場合には、FPV映像の送信元であるレーシングドローン1を特定するドローンIDと、マーカー91から取得した識別情報と、マーカー91を検出した日時とを対応付けて検出履歴記憶部331に登録することができる。
【0018】
<順位計算処理部313>
順位計算処理部313は、マーカー91の検出に応じてレーシングドローン1の順位を計算する。順位計算処理部313は、例えば、マーカー91が検知されたタイミング(処理時間)で、検出履歴記憶部331から、検出したマーカー91(が設けられたゲート9)の数を計算し、マーカー91の検出時点でレーシングドローン1が周回している周回数を計算することができる。
【0019】
また、マーカー位置位置記憶部332は、マーカー91の識別情報い対応付けて、マーカ−91のコースマップ上での位置を記憶しているものとする。順位計算処理部313は、各レーシングドローン1が最後に検出したマーカー91の識別情報に対応する位置をマーカー位置記憶部332から取得し、取得した位置と計算した周回数とに基づいて、レーシングドローン1の順位を計算することができる。上述したように、順位計算処理部313が計算した順位に応じて、画面51の順位表示欄512に順位が表示される。
【0020】
順位計算処理部313は、マーカー91の検出日時、検出したマーカー91から取得した識別情報、識別情報に対応する位置、並びに、計算した周回数及びゲート数により、状況記憶部333を更新することができる。なお、順位計算処理部313は、状況記録部333を参照して、同一の識別情報を検出した最終日時から、現在の検出日時までの時間が所定時間以下の場合には、計算を行わないようにしてもよい。
【0021】
<ラップタイム計算処理部314>
ラップタイム計算処理部314は、レーシングドローン1のラップタイム(コースの周回にかかった時間)を計算する。ラップタイム計算処理部314は、マーカー91が検知されたタイミング(処理時間)で、検出履歴記憶部331から、検出したマーカー91(が設けられたゲート9)の数を計算し、マーカー91の検出時点でレーシングドローン1が周回している周回数を計算することができる。また、ラップタイム計算処理部314は、ラップタイム(周回にかかった時間)を計算することもできる。ラップタイム計算処理部314は、例えば、検出したマーカー91の識別情報に対応する直近の日時を検出履歴記憶部331から特定し、特定した直近の日時から、現在日時(マーカー91を検出した日時)までの時間をラップタイムとして計算することができる。
【0022】
<位置計算処理部315>
位置計算処理部315は、レーシングドローン1の位置を計算する。位置計算処理部315は、マーカー91が検知されたタイミング(処理時間)で、検知したマーカ91から取得した識別情報に対応する位置をマーカー位置記憶部332から取得し、取得した位置を、その時点でのレーシングドローン1の位置とすることができる。
【0023】
<ゴール判定処理316>
ゴール判定処理316は、ラップタイムを計算した処理の後、各レーシングドローン1が規定された数を周回し、ゴールしているか否かの判定を行う。ゴール判定処理316は、ゴールしていると判定した場合、順位を確定し以降の処理を停止する。
【0024】
<描画処理317>
描画処理317は、各処理にて計算された情報を、画面51上の各表示位置へ表示することができる。
【0025】
<処理フロー>
図5は、本実施形態の飛行状況管理システムにより実行される処理について説明する図である。
【0026】
シーシングドローン1からはカメラ(不図示)により撮影されたFPV映像が送出され、受信機2がFPV映像を受信し、映像取得部311は、受信機2からFPV映像を取得する(S351)。マーカー解析部312は、FPV映像をフレームに分解し、各フレームについて画像解析を行い、マーカー91を抽出する(S352)。マーカー解析部312は、いずれかのフレームから同時に所定数(例えば、2、3など任意の閾値とすることができる。)以上のマーカー91を抽出できなければ(S353:NO)、ステップS351からの処理を繰り返す。
【0027】
マーカー解析部312は、いずれかのフレームから同時に所定数(例えば、2、3など任意の閾値とすることができる。)以上のマーカー91を抽出できた場合(S353:YES)、FPV映像の送信元であるレーシングドローン1を特定するドローンIDと、マーカー91から復号した識別情報と、現在の日時(又はFPV映像の送信日時)とを検出履歴記憶部331に登録する(S354)。位置計算処理部315は、復号した識別情報に対応する位置をマーカー位置記憶部332から取得する(S355)。
【0028】
順位計算処理部313は、検出履歴記憶部331に登録されている履歴からレーシングドローン1が通過したゲート数、すなわち、検出したマーカー91の種類(マーカー91が配置されていたゲート9の数)を計算し(S356)、当該履歴から、例えば、飛行コースを構成する連続したゲート9のパターンの数をカウントするなどにより、レーシングドローン1が飛行した周回数を計算する(S357)。ラップタイム計算処理部314は、履歴に基づいて、例えば、マーカー91から抽出した識別情報及びドローンIDに対応する最新2つの日時の差を計算することなどにより、ラップタイムを計算する(S358)。順位計算処理部313は、計算した位置や周回数、ゲート数を、日時、ドローンID及び識別情報に対応付けて、状況記録部333に登録することができる(S359)。
【0029】
順位計算処理部313は、各レーシングドローン1の最新の位置及び周回数を状況記録部333から読み出して(S360)、これらに基づいてレーシングドローン1の順位を計算する(S361)。
【0030】
ゴール判定処理部316は、各レーシングドローン1の最新の位置及び周回数に基づいて、ゴールしたか否かを判定し(S362)、ゴールしていなければ、ステップS351からの処理を繰り返す。
【0031】
<ハードウェア>
図6は、制御用PC3のハードウェア構成例を示す図である。制御PC3は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。制御用PC3は、CPU01、メモリ302、記憶装置303、通信インタフェース304、入力装置305、出力装置306を備える。記憶装置303は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース304は、通信ネットワークに接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置305は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置306は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。
【0032】
上述した制御PC3が備える映像取得部311、マーカー解析312、順位計算処理313、ラップタイム計算処理314、位置計算処理315、ゴール判定処理316、描画処理317は、CPU301が記憶装置303に記憶されているプログラムをメモリ302に読み出して実行することにより実現することができ、検出履歴記憶部331、マーカー位置記憶部332、状況記憶部333は、メモリ302及び記憶装置303が提供する記憶領域の一部として実現することができる。
【0033】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0034】
例えば、本実施形態では、制御用PC3によりマーカー91の検出を行うものとしたが、レーシングドローン1側でマーカー91の検出を行い、検出したマーカー91から取得した識別情報を制御用PC3に送信するようにしてもよい。この場合、例えばランダム文字列などの予測困難な文字列を符号化しておき、制御用PC3において復号化されたランダム文字列と識別情報とを対応付けて管理するようにしてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、ゲート9の進入側の面にマーカー91が配されるものとしたが、例えば、ゲート9の内面にマーカー91を配して、ゲート9を通ったときにのみマーカー91をカメラから視認可能とするようにしてもよい。この場合に、カメラの画角に応じて、ゲート9の内面に傾斜を設け、ゲート9の進入直前に、レーシングドローン1の進行方向を向いたカメラであってもゲート9の内面に配されたマーカー91が視認可能となるように設定してもよい。
【0036】
また、本実施形態では、4台のレーシングドローン1がレースを行うものとしたが、もちろん4台に限らず、2台、3台、又は5台以上のレーシングドローン1がレースを行うものとして、これらのレーシングドローン1からのFPV映像を全て解析してもよい。
【0037】
また、本実施形態では、FPV映像、すなわち、レーシングドローン1の進行方向を向いているカメラからの映像を解析するものとしたが、レーシングドローン1に進行方向とは異なる方向を向くカメラを配して、そのカメラからの映像を解析するようにしてもよい。
【0038】
また、本実施形態では、QRコード(登録商標)を用いたマーカー91を配置するものとしたが、他のコードを用いるようにしてもよい。また、例えば、立方体、球、円錐などの立体形状または四角エイ、円、三角形などの二次元形状を配置して、FPV映像からこれらの形状を認識するようにしてもよい。この場合、位置に応じて異なる形状とすることで、ゲート9の位置を把握することが可能となる。
【0039】
また、本実施形態では、FPV映像からマーカー91を検出できた時点でレーシングドローン1がゲート9の位置にあるものとしたが、例えば、マーカー91の大きさやFPV映像中での位置などに応じて、ゲート9の位置に対してオフセットを加えて、レーシングドローン1の位置を補正するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 レーシングドローン
2 受信機
3 制御用PC
4 スイッチャ
5 大型ディスプレイ
311 映像取得部
312 マーカー解析
313 順位計算処理
314 ラップタイム計算処理
315 位置計算処理
316 ゴール判定処理
317 描画処理
331 検出履歴記憶部
332 マーカー位置記憶部
333 状況記録部
【要約】
【課題】飛行体の状況を把握することができる。
【解決手段】飛行状況管理システムは、カメラを有する飛行体からカメラの撮影した画像を取得する映像取得部と、画像から特定のマーカーを検出するマーカー解析部と、マーカーの検出に応じて飛行体の飛行に係る状況情報を作成する計算処理部と、状況情報を出力する出力処理部と、を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6