【実施例1】
【0015】
本発明の一実施形態に係るフライヤー掃除軽減補助器の斜視図を
図1−4、
図6、
図8−9、
図11−12に基づいて説明する。
図1はフライヤー掃除軽減補助器1の全体斜視図を示している。補助器1は耐熱性ステンレスの薄板(0.7mm〜1.5mm)で構成されており、全体を持った場合も軽量となり、作業しやすいように工夫されている。底部には網8が格子状枠15と一体とされ、補助器四面側壁下端から5mm上方のところにフラットへッド捻子7によって取り替え可能にセットされている。
図3の断面で示すように、手前側壁に続き、水平底板4が底部網部5とは段差4’をもって構成されている。さらに底部網部5の位置より5mm四方の側壁が下方に出ている構成としている。
【0016】
従来の補助器の設置であれば、
図5及び
図7に示すように小さい水泡・気泡が底部に留まり側壁すきまからの油の突沸が起こり非常に危険となる。この突沸が起こるのは、そもそも油の中あるいは食品の中に含まれる空気や水分が気泡、水泡となるが、これらは主たる部分が気体あるいは水であるため、当然油より重量は軽い。下方から熱が加わるため、気泡水泡は上方へ向かう。しかしながら本発明で使用している(SUS-304-0.1×100")程度の網目であれば、容易には通過しにくいため、何とか網目以上の空隙を探し、抵抗の少ないこの側壁のわずかな隙間を狙って上方に突出するのである。ここで、側壁端を1mm下方に出してみると、この1mmの突出部が気泡水泡をバリケードし、小さい水泡・気泡が底部に留まるものの、網目から通る水泡・気泡の量が増え側壁すきまからの油の突沸量がやや少なくなった。この側壁突起を3mm出してみると、
図8に示すように小さい水泡・気泡が底部に留まるものの、網目から通る水泡・気泡の量が増え側壁すきまからの油の突沸量が図示したように激減した。しかし、作業上の危険性は残る状況であった。このように実験を重ねた結果、下記表が得られ、この結果5mm突出させた場合には、
図6及び
図9で示すように油の水泡気泡の側壁面からの噴出しがなくなり、危険性が大幅に減って本発明が完成した。なおこの油の突沸はフライヤー自体の容量によって程度に相違があり、大きいフライヤーであれば、1cm程度まで延長しても油の突沸は穏やかであった。あまりこの延長を多く取るとフライする場合の油の領域が狭くなり現実的ではない。従って、できるだけ突沸を起こさず、かつ油領域を最大活用できる側壁端の延長さを検討した結果、4mmから1cmの範囲が最適であることが判明した。
【0017】
【0018】
なお本発明の網部は、従来のようにあるいは上記文献が示すように大小網目の異なる網を重ねるのではなく、
図1−2に示すように底部網部5には、網部を支える格子状の支持枠体15と網8(SUS-304-0.1×100")がスリムヘッドの二重ねじ7で取り外し可能にセットされている。着脱方法はスライド式でもはめ込み式ボルト等の固定式でも一般の方法でも良い。
さらに、底部網部の支持枠体の構成としては
図11(b)に示す幅5mm程度の格子状を15mmから40mmの幅で構成している。格子を形成する格子部材の幅は4mmから1cm程度が適しており、5mmが最適であることが実験によって判明している。
このように格子の間隔を小さくすることで、そもそも目の細かい網部を保護する意味がある。好ましくは20mmから30mmであり、本実施例では20mmとしており、最適な格子間隔となる。さらに、油内の水泡・気泡が固定位置(格子で囲まれた個々の網部中央部周辺)で留まって網部を通過できないような大きさになる(
図11(c)参照)前に、網部から上方にすんなり抜けるようになる(
図11(d))。従ってこのような網部支持枠体の構成も油の側壁からの突沸を防ぐために重要な工夫となる。
【0019】
また左右奥側面2及び手前側面3にはフラップ2’3’が設けられており、取り外し取り付け時にこのフラップを取手として利用可能である。また補助器1のフライヤーへの取り付けにおいて、このフラップをフライヤー側壁上部に架けることにより補助器はフライヤーにしっかりとセット可能となる。
【0020】
またこの実施例では補助器底部で手前側に底部衣付着防止プレートである水平な底板4を設けている。この水平な底板4は、補助器底部網部5よりやや浅い位置に段差をつけて設けられており、底部網部5とは20−40mmの段差を設けている。そして中央下部側壁4’が形成される。底板を水平にしたことで、この中央下部側壁4’が形成され、その結果底部網部下部は4辺の側壁が整うことになって気泡等を5mmの延長部分で囲い込むことが可能となる(
図3図4図9参照)ため、この底板の水平化は前述の網部の構成と相まって、側壁からの突沸防止に貢献している。
さらに、底板を水平にしたことで、別の効果も生まれる。揚げ物の種類によっては、油の中に投入した場合、揚物自体の重量が重いため、底に当たって浮き上がる折に、底部の網部やボイラーに衣が付着するが、それを防止するために水平底板が役立つ。この水平底板上部の油に重量の重い肉等の揚げ物を投入することで、底部網部の衣付着汚れを大幅に防止できる。従来装置のようにこの部分がフライヤーの斜め底部に沿って斜めに構成すると、揚物はその斜めに沿ってすべり落ち、結局網部にくっつくこととなる。従ってこの底板4が水平であることは網部を汚さないために必須となる。
【0021】
このようなフライヤー掃除軽減補助器のフライヤーへのセットはフライヤー掃除軽減補助器の折り返しフラップ2’ 3’をもって、底部衣付着防止プレート4を手前にして、フライヤーの油表面がフライヤー掃除軽減補助器の側面上部フラップの位置が一致するようにセットする。補助器1はフライヤーの内径幅とほぼ同じでわずかに狭い幅をもっており(約0.5cm以下)、油の抵抗があっても、この隙間によりフライヤーに設置しやすくなっている。またセットした場合ボイラーより上部のフライヤー側壁のほぼ全体に補助器1の側面がわずかの隙間を有して沿う形となる。さらに問題点で指摘したように、このフラップは万一補助器とフライヤーの隙間から油が突沸した場合にも作業者に油がかかるのを防止する盾の代わりとなる。
セットしても点火後にフライヤーと補助器の隙間から高温の油が突出することがないため、安全である。このように補助器をセットすると油表面近くのフライヤー側壁部分がフライヤー掃除軽減補助器の側壁面2により完全に覆われるため、油汚れがつきにくい。その後点火して温度180度から190度に点火する。そして、温度をみるための種落としは手前の水平な底板4の上部で行うことができる。底板にあたってすぐ浮き上がってくるかどうかで油の温度がわかる。また重量の重い肉等は手前の水平底板の上部の油を使用すると、網部にくっつくことがないため、掃除回数を軽減できる。また野菜等の重量の軽いものは奥の網部上部の油を使用するなどの仕分けが可能となる。
【0022】
次に、掃除手順について説明する。
本発明の補助器を用いない場合には、毎日以下のような作業が必要となる。
まずフライヤーを消火する。油が高温になっているため、火傷、切り傷等の事故を防ぐために厚手手袋をはめ、レバーを下げて油と油かすを落とし、油粕を別のタンク上に移動させる。次に落とした別タンク内の油を高温のまま、再度油をこすために移動させた油粕受けの網をくぐらせ別タンクに落とす。これで一旦タンク内の油から油内の油かすが取り除ける。しかしこの作業は高温の大量の油を持上げ注ぐという非常に危険な作業であり、男性でも大変な重労働となっていた。次に、再度油かす受けの網をセットして、フライヤー浴槽内にお湯、洗剤等で揚げ物粉が底部に沈殿した油かすなど付着物を洗う。そして、フライヤーシンク内の汚れた水を油の別タンクとは別のタンクで受ける。再度フライヤーを水、お湯等で洗い流す。その後、油かす受けの網上の油かすを捨て、はじめに別タンクに落とした油をフライヤータンク内に戻す。
しかし、本願の補助器を用いた場合には、日々油表面付近のフライヤー側面への付着を防止できるため、1週間に1度フライヤータンクの清掃をするだけでフライヤーの汚れの掃除としては十分となる。補助器設置の効果として、フライヤータンクの側壁はほとんど汚れが付着していないため、その場合の作業としては、補助器底部網部にたまった油かすを捨てる、そして、補助器を清掃する、再度補助器をフライヤーにセットする等の作業だけで終了することになる。日々は補助器の網部上の油かすを捨てる程度で大掛かりなフライヤーの清掃は必要なくなり、1週間に1回の補助器の清掃だけで油汚れはほとんどフライヤー側壁底部に付着しない。
【実施例3】
【0024】
本発明の実施例3は網部の構成を3枚としたものである。
図12に示すように、細かい網部(SUS-304-0.1×100")程度の網目)8 その網を保護するためのやや大きめの保護網8’網部の構成を格子状の枠体15の3層構成としている。網部補助器本体6に2枚の網および支持枠体15をセット可能としている。この網部補助器本体6は直方体の上底面開放としているが、底面周辺には網を乗せることができる数センチの網部受け部6’を設けている。網はこの受け部で支えられる。次に枠体15を内部網部にボルト等でセットして網3枚が固定される。このように構成したものが、網部補助器11となる。この網部補助器11を補助器本体1に設置することで取り外し可能な網部となる。
なお、取り外し方法としては、網部を独立した網部補助器11を補助器本体に設置可能としたが、補助器本体に1枚の網を固定として残り2枚を取り外し可能としても良いことはもちろんである。このように構成することで、日々のフライヤー掃除軽減補助器の清掃において、油かすを捨てた後、網部を取り外し、一旦フライヤー掃除軽減補助器をフライヤーへ戻し、調理は再開する。再開しながら、2枚の網を清掃し、清掃後またフライヤー掃除軽減補助器を取り出し、きれいになった網部を取り付け再度フライヤー掃除軽減補助器をセットし、調理を再開する。このようにすれば、網部の清掃が必要となった場合にも、調理を停止する間を最大限縮小することができるため作業効率が格段に向上する。またフライヤーには種々の形があり、サイズ等も異なるため、それぞれのフライヤーにあった形の変更は適宜可能である。
【0025】
本実施例1の枠体格子を7cm(横)5cm(縦)とした場合の水泡気泡の集まり具合、抜け具合を図面11(c)に示す。
図示したように、比較的大きな枠体を用いた場合には、格子部分から離れた網部中央部に凝集し網を抜けて上にあがろうとする気泡水泡が面積網部が広く多数発生する。そしてその気泡水泡は集まり比較的大きな大きさとなり、網部を通過できなくなる。
一方本願のように、40mm四方あるいは実施例1のように20mmから30mm四方の格子支持枠においては、格子間隔が小さいため、網部が上方に湾曲する程度が少なく、集まった水泡気泡が大きく凝集することはないことを図面11(d)に示す。図示から明らかなように大きく気泡水泡が凝集する前に網部を通過することができ、また上方にうまく抜けることが可能となる。
一方図示していないが、格子間隔を1cmと小さくした場合には、揚物かすが付着して詰まってしまい、使用に耐えなかった。このことから、網部の格子状の支持体は40mm格子さらに細かい場合には、20mmから30mmが適していることが判明した。