特許第6708876号(P6708876)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708876
(24)【登録日】2020年5月26日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】フライヤー掃除軽減補助器
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/12 20060101AFI20200601BHJP
【FI】
   A47J37/12 391
   A47J37/12 321
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-220669(P2018-220669)
(22)【出願日】2018年11月26日
(65)【公開番号】特開2019-155070(P2019-155070A)
(43)【公開日】2019年9月19日
【審査請求日】2018年12月21日
(31)【優先権主張番号】特願2018-43280(P2018-43280)
(32)【優先日】2018年3月9日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】318003098
【氏名又は名称】田中 規寛
(74)【代理人】
【識別番号】100081581
【弁理士】
【氏名又は名称】内山 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】田中 規寛
【審査官】 川口 聖司
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−509147(JP,A)
【文献】 特開2008−136717(JP,A)
【文献】 実開昭53−149768(JP,U)
【文献】 特開2014−217451(JP,A)
【文献】 特開2006−296295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面開放で、フライヤーにセット可能な四面側壁及び該四面側壁の一部である手前側側壁に続く水平底板、該水平底板から垂直に下方に伸びる底部中央側壁の段差を設けて底部網部を有する構成であって、中央部において、該底部中央側壁、左右側壁及び奥側側壁に囲まれ、該底部中央側壁、左右側壁及び奥側側壁のそれぞれの下端より上方に底部網部を水平に設けたフライヤー掃除軽減補助器。
【請求項2】
該底部網部は底部中央側壁、左右側壁及び奥側側壁補下端より4mmから1cm上方に設けたことを特徴とする請求項1記載のフライヤー掃除軽減補助器。
【請求項3】
該底部網部は20mmから40mmの間隔を有した格子状の枠体と網部から構成される請求項1記載のフライヤー掃除軽減補助器。
【請求項4】
該底部網部は該フライヤー掃除軽減補助器から取り外し可能な補助器本体と格子状の枠体と単数あるいは複数の網部から構成されることを特徴とする請求項1記載のフライヤー掃除軽減補助器。
【請求項5】
該格子状の枠体の格子を形成している部材幅は4mmから1cmの間隔を有した請求項4記載のフライヤー掃除軽減補助器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライヤーにセットして使用するフライヤー掃除軽減補助器に関する。フライヤーへの汚れの最大の付着部分である油表面近くのフライヤー側壁をほぼ覆う形の下記文献の油汚濁防止槽(補助器)をフライヤーにセットした場合の問題点であるフライヤーと補助器の隙間から突沸する油はねを防止するようにすることで、フライヤーでの補助器使用を安全に行うことが可能となる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来フライヤーについては、油汚れがフライヤー側壁にこびりつくため、毎日の清掃が必要となり、さらに油の交換が危険を伴い、力も必要な大変な重労働作業となっていた。油加熱によりフライヤーや中にセットする補助器自体も高温となる上、一旦高温の油をタンクで何度も移動する作業が非常に危険性のある作業であって、改善が望まれていた。また補助器の底部の網については、油かすの付着によってすぐに網が詰まる現状があった。網は細かくすると破損つまりが発生することやこの網の大きさ等の構成が水泡気泡の発生程度と関係することが実験の結果判明している。
【0003】
従来フライヤー内に何かの補助装置をセットして、掃除の軽減や油交換サイクルの延長を図るものとしては、下記実用文献があげられる。これは本願と同様のフライヤーに取付ける形となっているが、フライヤーにセットした場合の問題点について考慮されていない。すなわち、できるだけフライヤー壁に油かすがつかないようにという配慮から、フライヤーに油汚濁防止槽(補助器)をわずかの隙間を設けてセットするよう予定されている。また補助器の底部構造についても、下記文献では底板23と網体22とで構成となっている。さらに底板の点については下記文献の第2図からは、底板23がフライヤーの斜めの底部部分に沿っているため、水平方向ではなく、斜めに構成されている。底板を下記文献では斜めに構成する理由については何ら記載されていない。おそらくフライヤーの油汚れを防止するために、できるだけフライヤーを油に接することがないよう、フライヤーの底部の傾きに沿った形で補助器を構成したものと推測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平2−67936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のようにわずかな隙間でフライヤーに補助器をセットすると両者の隙間から高温に加熱された油が図5あるいは図7に示すように飛び散り、非常に危険な状況となる。従って、上記文献の考案は実用化されていない。また底部の網を細かくすることで、細かい油かすを取り除くことが可能となるが、細かくすると破損やたわみが発生するため、実用に耐えない。
このような状況を改善すべく種々の実験の積み重ねの結果、本願の発明が完成した。まず側壁隙間からの突沸については、補助器側壁下端長さを底部網部より下方へ延長することで防止できることを見出した。
また、突沸防止をさらに効果的にすることについては、上記文献のように補助器の底部網部を外枠だけの網構成にするのではなく、格子状の支持枠と組み合わせることで網の補強とともに、上記油内の水泡気泡が一定の場所に固まらずうまく細かい網部を抜けることを見い出した。本発明はこの格子状の支持枠構成は細かい網を支持枠で支える構造としている。そして支持枠の割合構成によっては上記油内の水泡気泡が一定の場所(個々の格子枠に囲まれた個々の網部中央付近)に集まり、格子枠が大きい間隔であればあるほど気泡が多く凝集してしまい気泡の網抜けが悪くなる問題点があった。さらに上記従来のものは底板がフライヤーに沿って斜めに構成されている。そのような構成であると肉等の重量の重い揚げ物をフライヤーに投入した場合、揚げ物は一旦底板にあたり、斜めに構成されていることからその斜めにそって網部にすべり落ちるため、結局網部にくっつき、網部がすぐに油かすや材料かすでつまり、使い物にならないという問題点があった。
本発明はこの不都合にも対応してなされたものであり、底板を水平としたため、重量の重い揚げ物をこの水平底板の上方部の油に落とすことで、揚げ物が網部方向にすべり落ちることなく、網部にくっつくことが防止できるようになった。さらに、野菜などの底網にくっつくほど重量の重くないものは網部上部に落とし、重量の重い揚げ物は手前の水平底面のある部分で揚げるというように、素材によって区分けすることも可能とするフライヤーの提供が実現した。そしてこの工夫は前記突沸防止にも多大の効果をもたらすこととなった。この水平方向の底板構成によって、従来のものには見られなかった中央下部側壁を創設することになり、これによって底部網部下端部延長部部分が4辺となって細かい空気層をサイドに逃がしてしまうことなく、一端網部の下部に集めることが可能となり、突沸を防止できることとなった。
本願は底部網部構成としてやや細かめの格子状の支持枠と目の細かい網部を組み合わせること、及び底部底板部分を水平にすることで中央下部側壁端を構成したことの2点により、上記油内の水疱気泡が一定の場所に固まって側壁から突沸することを防止でき、細かい網部を抜けるようにできた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明のフライヤー掃除軽減補助器は、上下面開放の直方体で構成され、少なくともフライヤー側壁及び奥側の壁に沿わせた平板状の補助器側壁と手前側にはフライヤー手前側壁に沿った手前側壁とそれに直角に交わる水平方向の底板を有し、さらに中央部まで延びた該水平底板反対側端部において、下方垂直方向に中央下部側壁を有し、各四辺側壁下端の上方に網部を水平方向に設けたことを要旨とする。
【0007】
本発明のフライヤー掃除軽減補助器は、上下面開放の直方体で構成され、フライヤー側壁四面に沿わせた平板状の補助器側壁と底部網部を有し、該網部は各側壁下端より上方に設けられたことを要旨とする。
【0008】
該補助器側壁下端より底部網部は4mmから1cm上方に設けたことを要旨とする。
【0009】
該底部網部は15mmから40mmの間隔を有した格子状の枠体と網部から構成されることを要旨とする。
【0010】
該底部網部は該補助器から取り外し可能な補助器本体と格子状の枠体を単数あるいは複数の網部から構成されることを要旨とする。
【0011】
該格子状枠体の格子を形成している部材幅は4mmから1cmの間隔を有した請求項1又は2記載のフライヤー掃除軽減補助器。
【発明の効果】
【0012】
本発明のフライヤー掃除軽減補助器は、上記のような構成としたことで、図5に示すようにフライヤー側壁16と補助器側壁2との隙間から噴出してくる油の撥ねを完全に防止することができる。油の中の非常に小さい空気粒子は補助器側壁と網部に囲まれ網部下の突出した壁領域に押しとどめられて溜まった状態で突沸することにはならず、ある程度のまとまりとなると上方の網部を通りぬけて上方向に抜けだすため、フライヤー側壁と補助器側壁のわずかな隙間に噴出することがなく、安全にフライヤーに設置して使用可能となる。油は高温に温められるため、この側壁端部の下方への延長の工夫はフライを行う作業者の危険度を大幅に減少する。
同様に細かい網を格子から格子までの間隔が15mmから40mmの状態で支持すると、格子外の網部中央に留まった気泡が、網部を通りぬけることができる程度あるいはそれより少し大きい程度で留まり、気泡は変化可能であるため、少し変形して網部を抜けることができるようになる。こうやって突沸を防止できることから補助器を安全にフライヤーに設置することが可能となる。その結果補助器設置により、補助器側壁でフライヤー4辺の側壁をカバーをすることになり、フライヤー側壁の油付着汚れが大幅に減少する。また補助器自体は厚さを1mm程度に抑えたステンレスを用いているため、軽量であり、従って設置も操作も女性でも簡単に容易に行える。
【0013】
従来の補助器の底板はフライヤーの斜め底板に沿った構造となっていたため、揚げ物はこの斜めを滑り落ち、網部が設けられた領域に滑り落ちていくため、網部にくっつき手入れが大変となっていた。この底板を水平にするだけで、揚げ物は一旦底部の水平底板に接触し、そのまま上方に浮き上がってきて、網部にすべり落ちることがない。その結果網部にくっつくことも、ボイラーを痛めることもない。このような水平な底板(底部衣付着防止プレート)があるとフライヤー底部の汚れが大幅に軽減でき、フライヤーの掃除回数を大幅に減らすことが可能となる。また野菜等の比較的軽く底部まで沈まないものは底板上の油部分以外の奥側の油部分へ投入し、重量のあるものは手前の水平な底板上方の油に投入するというように、揚げ物の種類によって、油の使用領域を分けることが可能となり、効率よく揚げ作業ができる。効率化が図れ、優れた効果が発揮できる。なお油の温度確認のための衣投入作業による目視確認等にもこの水平な底板は利用可能である。
また網部を取り外し可能と構成した場合には、一旦油かすを取り除き、新しい網に変えて元の網の清掃前にフライヤーを利用し続けることができるとともに、ゆっくり外した網の掃除をすることができ、フライヤーの使用を中止することなく、作業が行える。また網部が損傷したような場合にもこの部分のみ取り替えることで対応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るフライヤー掃除軽減補助器の斜視図。
図2】同上底部網部説明斜視図。
図3図1のA断面説明図。
図4図1のB断面説明図。
図5】従来のフライヤーに従来の補助器をセットした場合の突沸状況の概略説明図。
図6】本発明の実施例1に係るフライヤー掃除軽減補助器の概略使用状態説明図。
図7】側壁下端の突出0mmの場合の油の水泡気泡の溜まり具合と突出状況を示す比較説明図。
図8】側壁下端の突出3mmの場合の油の水泡気泡の溜まり具合と突出状況を示す比較説明図。
図9】側壁下端の突出5mmの場合の油の水泡気泡の溜まり具合と突出状況がないことを示す説明図。
図10】本発明の実施例2に係るフライヤー掃除軽減補助器の網部セット前の本体概略斜視図。
図11】(a)大きな格子状支持枠体の説明図。 (b)小さな格子状支持枠体の説明図。(c)大きな格子状支持枠体における気泡の凝集状態の説明図。 (d)小さな格子状支持枠体における気泡の凝集状態の説明図。
図12】本発明の実施例3に係る底部網部の概略説明図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0015】
本発明の一実施形態に係るフライヤー掃除軽減補助器の斜視図を図1−4、図6図8−9、図11−12に基づいて説明する。図1はフライヤー掃除軽減補助器1の全体斜視図を示している。補助器1は耐熱性ステンレスの薄板(0.7mm〜1.5mm)で構成されており、全体を持った場合も軽量となり、作業しやすいように工夫されている。底部には網8が格子状枠15と一体とされ、補助器四面側壁下端から5mm上方のところにフラットへッド捻子7によって取り替え可能にセットされている。図3の断面で示すように、手前側壁に続き、水平底板4が底部網部5とは段差4’をもって構成されている。さらに底部網部5の位置より5mm四方の側壁が下方に出ている構成としている。
【0016】
従来の補助器の設置であれば、図5及び図7に示すように小さい水泡・気泡が底部に留まり側壁すきまからの油の突沸が起こり非常に危険となる。この突沸が起こるのは、そもそも油の中あるいは食品の中に含まれる空気や水分が気泡、水泡となるが、これらは主たる部分が気体あるいは水であるため、当然油より重量は軽い。下方から熱が加わるため、気泡水泡は上方へ向かう。しかしながら本発明で使用している(SUS-304-0.1×100")程度の網目であれば、容易には通過しにくいため、何とか網目以上の空隙を探し、抵抗の少ないこの側壁のわずかな隙間を狙って上方に突出するのである。ここで、側壁端を1mm下方に出してみると、この1mmの突出部が気泡水泡をバリケードし、小さい水泡・気泡が底部に留まるものの、網目から通る水泡・気泡の量が増え側壁すきまからの油の突沸量がやや少なくなった。この側壁突起を3mm出してみると、図8に示すように小さい水泡・気泡が底部に留まるものの、網目から通る水泡・気泡の量が増え側壁すきまからの油の突沸量が図示したように激減した。しかし、作業上の危険性は残る状況であった。このように実験を重ねた結果、下記表が得られ、この結果5mm突出させた場合には、図6及び図9で示すように油の水泡気泡の側壁面からの噴出しがなくなり、危険性が大幅に減って本発明が完成した。なおこの油の突沸はフライヤー自体の容量によって程度に相違があり、大きいフライヤーであれば、1cm程度まで延長しても油の突沸は穏やかであった。あまりこの延長を多く取るとフライする場合の油の領域が狭くなり現実的ではない。従って、できるだけ突沸を起こさず、かつ油領域を最大活用できる側壁端の延長さを検討した結果、4mmから1cmの範囲が最適であることが判明した。
【0017】
【0018】
なお本発明の網部は、従来のようにあるいは上記文献が示すように大小網目の異なる網を重ねるのではなく、図1−2に示すように底部網部5には、網部を支える格子状の支持枠体15と網8(SUS-304-0.1×100")がスリムヘッドの二重ねじ7で取り外し可能にセットされている。着脱方法はスライド式でもはめ込み式ボルト等の固定式でも一般の方法でも良い。
さらに、底部網部の支持枠体の構成としては図11(b)に示す幅5mm程度の格子状を15mmから40mmの幅で構成している。格子を形成する格子部材の幅は4mmから1cm程度が適しており、5mmが最適であることが実験によって判明している。
このように格子の間隔を小さくすることで、そもそも目の細かい網部を保護する意味がある。好ましくは20mmから30mmであり、本実施例では20mmとしており、最適な格子間隔となる。さらに、油内の水泡・気泡が固定位置(格子で囲まれた個々の網部中央部周辺)で留まって網部を通過できないような大きさになる(図11(c)参照)前に、網部から上方にすんなり抜けるようになる(図11(d))。従ってこのような網部支持枠体の構成も油の側壁からの突沸を防ぐために重要な工夫となる。
【0019】
また左右奥側面2及び手前側面3にはフラップ2’3’が設けられており、取り外し取り付け時にこのフラップを取手として利用可能である。また補助器1のフライヤーへの取り付けにおいて、このフラップをフライヤー側壁上部に架けることにより補助器はフライヤーにしっかりとセット可能となる。
【0020】
またこの実施例では補助器底部で手前側に底部衣付着防止プレートである水平な底板4を設けている。この水平な底板4は、補助器底部網部5よりやや浅い位置に段差をつけて設けられており、底部網部5とは20−40mmの段差を設けている。そして中央下部側壁4’が形成される。底板を水平にしたことで、この中央下部側壁4’が形成され、その結果底部網部下部は4辺の側壁が整うことになって気泡等を5mmの延長部分で囲い込むことが可能となる(図3図4図9参照)ため、この底板の水平化は前述の網部の構成と相まって、側壁からの突沸防止に貢献している。
さらに、底板を水平にしたことで、別の効果も生まれる。揚げ物の種類によっては、油の中に投入した場合、揚物自体の重量が重いため、底に当たって浮き上がる折に、底部の網部やボイラーに衣が付着するが、それを防止するために水平底板が役立つ。この水平底板上部の油に重量の重い肉等の揚げ物を投入することで、底部網部の衣付着汚れを大幅に防止できる。従来装置のようにこの部分がフライヤーの斜め底部に沿って斜めに構成すると、揚物はその斜めに沿ってすべり落ち、結局網部にくっつくこととなる。従ってこの底板4が水平であることは網部を汚さないために必須となる。
【0021】
このようなフライヤー掃除軽減補助器のフライヤーへのセットはフライヤー掃除軽減補助器の折り返しフラップ2’ 3’をもって、底部衣付着防止プレート4を手前にして、フライヤーの油表面がフライヤー掃除軽減補助器の側面上部フラップの位置が一致するようにセットする。補助器1はフライヤーの内径幅とほぼ同じでわずかに狭い幅をもっており(約0.5cm以下)、油の抵抗があっても、この隙間によりフライヤーに設置しやすくなっている。またセットした場合ボイラーより上部のフライヤー側壁のほぼ全体に補助器1の側面がわずかの隙間を有して沿う形となる。さらに問題点で指摘したように、このフラップは万一補助器とフライヤーの隙間から油が突沸した場合にも作業者に油がかかるのを防止する盾の代わりとなる。
セットしても点火後にフライヤーと補助器の隙間から高温の油が突出することがないため、安全である。このように補助器をセットすると油表面近くのフライヤー側壁部分がフライヤー掃除軽減補助器の側壁面2により完全に覆われるため、油汚れがつきにくい。その後点火して温度180度から190度に点火する。そして、温度をみるための種落としは手前の水平な底板4の上部で行うことができる。底板にあたってすぐ浮き上がってくるかどうかで油の温度がわかる。また重量の重い肉等は手前の水平底板の上部の油を使用すると、網部にくっつくことがないため、掃除回数を軽減できる。また野菜等の重量の軽いものは奥の網部上部の油を使用するなどの仕分けが可能となる。
【0022】
次に、掃除手順について説明する。
本発明の補助器を用いない場合には、毎日以下のような作業が必要となる。
まずフライヤーを消火する。油が高温になっているため、火傷、切り傷等の事故を防ぐために厚手手袋をはめ、レバーを下げて油と油かすを落とし、油粕を別のタンク上に移動させる。次に落とした別タンク内の油を高温のまま、再度油をこすために移動させた油粕受けの網をくぐらせ別タンクに落とす。これで一旦タンク内の油から油内の油かすが取り除ける。しかしこの作業は高温の大量の油を持上げ注ぐという非常に危険な作業であり、男性でも大変な重労働となっていた。次に、再度油かす受けの網をセットして、フライヤー浴槽内にお湯、洗剤等で揚げ物粉が底部に沈殿した油かすなど付着物を洗う。そして、フライヤーシンク内の汚れた水を油の別タンクとは別のタンクで受ける。再度フライヤーを水、お湯等で洗い流す。その後、油かす受けの網上の油かすを捨て、はじめに別タンクに落とした油をフライヤータンク内に戻す。
しかし、本願の補助器を用いた場合には、日々油表面付近のフライヤー側面への付着を防止できるため、1週間に1度フライヤータンクの清掃をするだけでフライヤーの汚れの掃除としては十分となる。補助器設置の効果として、フライヤータンクの側壁はほとんど汚れが付着していないため、その場合の作業としては、補助器底部網部にたまった油かすを捨てる、そして、補助器を清掃する、再度補助器をフライヤーにセットする等の作業だけで終了することになる。日々は補助器の網部上の油かすを捨てる程度で大掛かりなフライヤーの清掃は必要なくなり、1週間に1回の補助器の清掃だけで油汚れはほとんどフライヤー側壁底部に付着しない。
【実施例2】
【0023】
本発明の第2の実施例としては、図10に示すように、底面衣付着防止用の水平プレート4を設けず、フライヤー掃除軽減補助器の底部は底部網部のみとした構造のコンパクト補助器10である。また網は(SUS-304-0.14×60")を用いている。取手12は任意である。このようなコンパクトな補助器であれば、コンビ二等のコンパクトで少量のフライ物を扱う店舗においても小型のフライヤーに設置可能となる。補助器の構成機能や網部の構成機能については実施例1と同様である。側壁下方先端が4mm突出している。このような構成にすることで側壁すきまからの油の突沸を防止でき危険性がなくなる。また実施例1と同様に掃除が楽になり婦人や年配の作業者でも苦労なく行える。
【実施例3】
【0024】
本発明の実施例3は網部の構成を3枚としたものである。図12に示すように、細かい網部(SUS-304-0.1×100")程度の網目)8 その網を保護するためのやや大きめの保護網8’網部の構成を格子状の枠体15の3層構成としている。網部補助器本体6に2枚の網および支持枠体15をセット可能としている。この網部補助器本体6は直方体の上底面開放としているが、底面周辺には網を乗せることができる数センチの網部受け部6’を設けている。網はこの受け部で支えられる。次に枠体15を内部網部にボルト等でセットして網3枚が固定される。このように構成したものが、網部補助器11となる。この網部補助器11を補助器本体1に設置することで取り外し可能な網部となる。
なお、取り外し方法としては、網部を独立した網部補助器11を補助器本体に設置可能としたが、補助器本体に1枚の網を固定として残り2枚を取り外し可能としても良いことはもちろんである。このように構成することで、日々のフライヤー掃除軽減補助器の清掃において、油かすを捨てた後、網部を取り外し、一旦フライヤー掃除軽減補助器をフライヤーへ戻し、調理は再開する。再開しながら、2枚の網を清掃し、清掃後またフライヤー掃除軽減補助器を取り出し、きれいになった網部を取り付け再度フライヤー掃除軽減補助器をセットし、調理を再開する。このようにすれば、網部の清掃が必要となった場合にも、調理を停止する間を最大限縮小することができるため作業効率が格段に向上する。またフライヤーには種々の形があり、サイズ等も異なるため、それぞれのフライヤーにあった形の変更は適宜可能である。
【比較例1】
【0025】
本実施例1の枠体格子を7cm(横)5cm(縦)とした場合の水泡気泡の集まり具合、抜け具合を図面11(c)に示す。
図示したように、比較的大きな枠体を用いた場合には、格子部分から離れた網部中央部に凝集し網を抜けて上にあがろうとする気泡水泡が面積網部が広く多数発生する。そしてその気泡水泡は集まり比較的大きな大きさとなり、網部を通過できなくなる。
一方本願のように、40mm四方あるいは実施例1のように20mmから30mm四方の格子支持枠においては、格子間隔が小さいため、網部が上方に湾曲する程度が少なく、集まった水泡気泡が大きく凝集することはないことを図面11(d)に示す。図示から明らかなように大きく気泡水泡が凝集する前に網部を通過することができ、また上方にうまく抜けることが可能となる。
一方図示していないが、格子間隔を1cmと小さくした場合には、揚物かすが付着して詰まってしまい、使用に耐えなかった。このことから、網部の格子状の支持体は40mm格子さらに細かい場合には、20mmから30mmが適していることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上説明したように、本発明は、水平底板を設け網部と四辺の下方側壁端が段差を設けられ、側壁端を底部網部より突出させ、網部の網目の大きさとそれに適した格子状大きさの支持枠体からなる底部網という工夫された構成の補助器をフライヤーにセットすることで、フライヤーと補助器の隙間から油の突出が防止できる。補助器をセットした状態で安全に使用できるため産業上の利用可能性を有する。この補助器によりフライヤー側壁への油付着が防止でき、清掃が大幅に軽減できるようになる。従来実用化されなかった補助器の実用化が可能となった。さらに水平底板によって網部への付着や汚れが防止できるようになり、作業効率の向上に著しく寄与できるため、産業上の利用可能性を有する。また底部網部は取り外し可能としたことで、一体として交換掃除ができ、効率よく油粕除去作業及び網部交換作業を行うことができる。取り外した網を清掃中においても、別の網をセットして使用を継続することが可能となり、フライヤーでの揚げ物作業を中断することなくなるため効率的である。作業における危険性も全くなくなり、安全であり、産業の発展に寄与するものである。
【符号の説明】
【0027】
1 補助器本体
2 左右側面
3 手前側面
2’ 3’ フラップ
4 底板(底部衣付着防止プレート)
4’ 中央下部側壁
5 底部網部
6 網部補助器本体
6’ 網部受け部
7 二重ねじ
8 細かい網
9 枠体
10 コンパクト補助器
11 網部補助器
12 取手
15 格子状枠体
16 フライヤー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12