(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708879
(24)【登録日】2020年5月26日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】製袋充填包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 9/20 20120101AFI20200601BHJP
B65B 51/22 20060101ALI20200601BHJP
B65B 51/10 20060101ALI20200601BHJP
B65B 51/26 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
B65B9/20
B65B51/22 100
B65B51/10 P
B65B51/26
【請求項の数】3
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-112301(P2016-112301)
(22)【出願日】2016年6月3日
(65)【公開番号】特開2017-218171(P2017-218171A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2019年5月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000148162
【氏名又は名称】株式会社川島製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108567
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 雅夫
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 式範
(72)【発明者】
【氏名】中澤 健太
【審査官】
村山 美保
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第04373982(US,A)
【文献】
特開2000−177707(JP,A)
【文献】
実開昭63−147404(JP,U)
【文献】
特開2012−236622(JP,A)
【文献】
特開2005−227748(JP,A)
【文献】
特開2014−227204(JP,A)
【文献】
米国特許第04517790(US,A)
【文献】
特開平01−124508(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/20
B65B 51/10
B65B 51/22
B65B 51/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状包装材から曲成された略筒状包装材の両側縁部分を間に挟むことが可能な超音波ホーンとアンビルとを有し超音波振動によって前記両側縁部分を溶着することで縦シールを施して筒状包装材に成形する超音波縦シール装置と、前記筒状包装材をその長手方向に送る包装材送り装置と、製品が充填された前記筒状包装材に横シールを施す横シール装置を備えている製袋充填包装機において、
前記超音波縦シール装置は、前記包装材の送り方向に位置調整可能に設置されており、 前記包装材送り装置による前記筒状包装材の送りが停止していたときに前記超音波縦シール装置によって前記超音波振動が加えられる前記包装材の部分が、前記包装材送り装置による前記筒状包装材の送りに従って、前記横シールが施される領域に含まれる態様で、前記横シール装置による前記横シールが施されること
を特徴とする製袋充填包装機。
【請求項2】
前記包装材送り装置による前記筒状包装材の送りは、間欠的な送り又は連続的な送りであること
を特徴とする請求項1に記載の製袋充填包装機。
【請求項3】
前記横シール装置には、前記横シール領域の間において先行して製造された前記袋包装体と後続の袋包装体とに切断するカッタ機構が組み入れられていること
を特徴とする請求項1又は2に記載の製袋充填包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、帯状包装材から曲成された略筒状包装材の両側縁部分を縦シールして筒状包装材に成形し、更に当該筒状包装材に製品を充填して横シールを行うことで袋包装体を製造する製袋充填包装機に関し、特に、縦シールを超音波シールにて行う製袋充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、製袋充填包装機として、本出願人は、
図6に示すような縦型の製袋充填包装機を提案している(特許文献1参照)。
図6(特許文献1の
図2に基づく図;符号は100番台を使用する。)に示す製袋充填包装機100においては、巻取りロールから繰り出されたウェブ状包装材Fwは、適宜の張力が付与された後、フォーマ130に供給される。ウェブ状包装材Fwは、フォーマ130によって両側縁部分Fe,Feが接近した略筒状に曲成される。フォーマ130内には、上部がホッパ151となった充填筒150が嵌入されており、曲成された包装材がフォーマ130と充填筒150との間に形成される断面円環状の隙間内を通過する。
【0003】
略筒状に曲成され且つ充填筒150の外周を取り巻くように送られた包装材は、縦シール装置160によって両側縁部分Fe,Feがシールされ、筒状包装材Ftが形成される。縦シール装置160は、超音波シーラとして構成されており、先端にホーン161を備える超音波発振器162と、ホーン161に対向配置されている円板状のアンビル164とを備えている。超音波発振器162は、アクチュエータ163によってアンビル164側に押しつけられる。アンビル164はモータ165によってフィルムと同じ速度又は若干速く回転駆動され、ホーン161との対向部位が逐次変更される。ホーン161とアンビル164とによって挟み込まれた包装材の両側縁部分Fe,Feが超音波振動によって溶着される。
【0004】
充填筒150の側方には、筒状包装材Ftを挟んで紙送り手段としてのベルト式の包装材送り装置170が配設されており、充填筒150の外周面とベルト171,171との間で筒状包装材Ftを挟み付けることで、ベルト171,171の走行により筒状包装材Ftを下方に向かって紙送りする。充填筒150を通じて菓子等の食品のような包装物が筒状包装材Ftから形成された袋内に投下・充填され、横シール装置140を構成する対向配置された二つの横ヒートシールバー141,141が筒状包装材Ftを挟み付けることで横断方向にシールをして、先行して形成されている袋の上開口部を封鎖するとともに、後続の袋の底部が形成される。このように、袋の形成とタイミングを合わせて充填筒150を通して食品を袋内に落下・充填・封鎖の各動作を繰り返すことで、袋内に包装物を収容した袋包装体Bを連続して製造することができる。横シール手段140にはカッタ機構を組み込んでおいて、筒状包装材Ftに対して横シールをする際に、筒状包装材Ftを先行して製造された袋包装体と後続の袋Bとの間で切断・分離することができる。
【0005】
この縦型製袋充填包装機100によれば、ウェブ状包装材Fwをフォーマ130に導いて充填筒150に巻き付けて略筒状に曲成された包装材とし、当該円筒の側方に設けた包装材送り装置170により包装材を紙引きし、円筒の一側において合わされる両側縁部分Fe,Feに対して円筒の該一側に設けた超音波発振器162を含む縦シール装置160によって縦シールを施して筒状包装材Ftとし、円筒の下方に設けた開閉自在な横シール装置140により、充填筒150内に落下充填される包装物の上下が横シール(更にカット手段によりカット)される。横シール装置140は図示のように上下動自在な昇降テーブルに設置することで、円筒から横シール位置までの距離を、筒状包装材Ftに皺が発生しない限度に円筒の径の大小に対応して変化させることで、包装物の落下距離をできるだけ短くすることができる。包装材送り装置170を、円筒の左右両側に対に設けられたバキューム機能を有するベルト式構造とすることで、アクチュエータによりベルトを円筒に近接状態として筒状包装材Ftをバキュームしながら紙引きを行うこともできる。縦シール装置160は、バーヒータのような長尺のシール手段ではなくスポット的にシールをする手段であるので、紙送りされる包装材が縦シール装置160と相対的に移動することで両側縁部分Fe,Feが連続してシールされる。
【0006】
一般に、製袋充填包装機においては、本来、包装物である製品の投入が間欠的に行われるものであり、それに合わせて、製袋充填包装機100についても、略筒状に曲成された包装材の両側縁部分Fe,Feをシールして筒状包装材Ftに形成する縦シール装置160と、筒状包装材Ftを横断的に溶着・密封する横シール装置140と、包装材の送りを一時的に停止しながら行う間欠作動型とされることが多い。こうした間欠動作型の製袋充填包装機は、包装材の送りを停止させることなく連続的に行う連続送り型のものと比較して、特に横シールに関して、停止している間にシールを確実に行う充分な時間が得られるとともに、連続送りに対応した複雑な駆動機構や移動機構を備える必要がなく、作動・構造がシンプルで且つ包装機の製造・運転コストを低減させることができ、依然として高いニーズがある。特に、超音波シーラで構成された縦シール装置160は、ヒートシールによる縦シール装置と比較して、装置高さを抑えることができ、包装機を省スペースに設置することができる。
【0007】
しかしながら、包装材の送りを間欠動作型とした製袋充填包装機100において、縦シール装置160を超音波シーラで構成した場合には、包装材の送りには必ず一時的に停止している期間があることになり、その間、縦シール装置160においては超音波振動が包装材(両側縁部分Fe,Fe)の特定の箇所に必要以上に加えられ続けることがある。このような場合、包装材のシールすべき両側縁部分Fe,Feには却ってシール不良や孔開きのようなシール不具合(
図6のEsで示す。)が発生する可能性がある。横シール装置140によって筒状包装材Ftに横シールSe(横シールが予定される領域についてもSeで示す。)を施すことで製造された袋包装体Bの中にそうしたシール不良や孔開きのようなシール不具合Esが残存してしまうと、袋包装体Bはシール不良な包装体となる。
【0008】
更に、製袋充填包装機100においては、例えば筒状包装材Ftに施すべき横シールの位置が横シール装置140の位置に一致している状態を包装機の運転基準位置としており、包装機を待機させるときには、当該運転基準位置において占める状態を待機状態としている。そこで、特に、製袋充填包装機の運転を一旦待機状態にしてから再スタートする場合には、包装材の送りが間欠送りである場合は勿論のこと、連続送りである場合であっても、包装機が待機状態の際に超音波振動が特定の包装材箇所に必要以上に加えられ続けることがあり、上記と同様のシール不具合の問題がある。
【0009】
また、製袋充填包装機100は一般に、縦シール装置160と横シール装置140との間の領域は、製品の投入の衝撃、包装材の送りのバタツキ、包装環境等に起因して筒状包装材Ftの送りが不安定になる領域である。筒状包装材Ftに横シールSeを施すべき予定の部位が、正しく横シール装置140によって横シールが施されず、微妙に位置ずれが生じる可能性もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平01−124508号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、略円筒状に曲成された包装材に超音波シールにて縦シールをすることで筒状包装材を形成し更に当該筒状包装材に製品を充填して横シールを行うことで袋包装体を製造する製袋充填包装機において、縦シールの超音波振動が特定の包装材部分に必要以上に加えられ続けることに起因して包装材のシールすべき両側縁部分にシール不良や孔開き等のシール不具合が発生する可能性があるときに、横シールを利用して当該シール不良や孔開き等が包装体の不良原因として残存するのを回避する点で解決すべき課題がある。
【0012】
この発明の目的は、上記課題を解決することであり、上記した製袋充填包装機において、縦シールを超音波シールにて行う場合には、包装材に上記したシール不良や孔開き等のシール不具合が発生する可能性があるが、横シールを利用して個々の袋包装体にそうしたシール不具合が残存しないようにして、包装体としての不良品を生じさせないようにした製袋充填包装機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、この発明による製袋充填包装機は、帯状包装材から曲成された略筒状包装材の両側縁部分を間に挟むことが可能な超音波ホーンとアンビルとを有し超音波振動によって前記両側縁部分を溶着することで縦シールを施して筒状包装材に成形する超音波縦シール装置と、前記筒状包装材をその長手方向に送る包装材送り装置と、製品が充填された前記筒状包装材に横シールを施す横シール装置を備えている製袋充填包装機であって、前記超音波縦シール装置は、前記包装材の送り方向に位置調整可能に設置されており、前記包装材送り装置による前記筒状包装材の送りが停止していたときに前記超音波縦シール装置によって前記超音波振動が加えられる前記包装材の部分が、前記包装材送り装置による前記筒状包装材の送りに従って、前記横シールが施される領域に含まれる態様で、前記横シール装置による前記横シールが施されることを特徴としている。
【0014】
この製袋充填包装機によれば、筒状包装材の送りが停止している間に縦シールの超音波振動が特定の包装材部分(超音波縦シール装置に挟まれた特定の両側縁部分)に必要以上に加えられ続けることに起因して、当該包装材の特定の両側縁部分にシール不良や孔開き等のシール不具合が発生する可能性があるが、このシール不具合が生じる可能性がある部分は、包装材送り装置による筒状包装材の送りが行われて後の横シール装置によって横シールが施される領域に含まれるように、超音波縦シール装置の縦方向の位置が調整されている。したがって、シール不具合が生じる可能性がある包装材部分は、横シール領域内に含められる態様で横シール装置によって横シールが施され、シール不具合が仮に生じていたとしても横シールによって上書きするように封じられるので、シール不具合が袋包装体に残存するのを回避することができる。
【0015】
袋包装体の仕様が変更されて、包装体の縦ピッチ長さが変わった等の場合には、筒状包装材の送りが停止しているときに縦シール装置の超音波振動を受ける特定の包装材部分が、筒状包装材が後に横シール装置によって施される横シール領域内に含まれなくなることが生じ得る。こうした場合には、超音波縦シール装置を包装材の送り方向に位置調整することで、上記特定の包装材部分が横シール装置によって施される横シール領域内に含まれるように調整することができる。
【0016】
この製袋充填包装機において、前記包装材送り装置による前記筒状包装材の送りは、間欠的な送り又は連続的な送りであるとすることができる。包装材の送りを間欠型とする場合には、包装材の送りが間欠的に停止している間に、超音波縦シール装置に挟まれた両側縁部分が、超音波振動を必要以上に受け続けることに起因してシール不具合が発生する可能性がある特定の包装材部分となるが、そうした場合でも縦シールに生じ得るシール不具合を横シールで上書きするように封じることができる。また、包装材の送りが連続型である場合でも、包装機が待機状態にあるときや一時的な運転停止となるときには、包装材の送りが間欠送りの場合と同様の現象が生じる可能性があるが、そうした場合にも、縦シールに生じ得るシール不具合を横シールで上書きするように封じることができる。
【0017】
この製袋充填包装機において、前記横シール装置は、前記横シール領域の間において先行して製造された前記袋包装体と後続の袋包装体とに切断するカッタ機構を組み入れることができる。横シール装置にカッタ機構を組み入れると、筒状包装材に施された横シール領域を、先行して製造された袋包装体と後続の袋包装体とに分離させることができる。シール不具合が生じる可能性がある包装材部分が生じていて、カッタ機構によってその部分で切断しても、先行及び後続の袋包装体にはシール不具合として残ることがない。
【発明の効果】
【0018】
この発明である製袋充填包装機によれば、略筒状包装材の両側縁部分を超音波振動によって溶着することで縦シールを施す超音波縦シール装置と、筒状包装材をその長手方向に送る包装材送り装置と、筒状包装材に横シールを施す横シール装置を備えている製袋充填包装機であって、超音波縦シール装置を包装材の送り方向に位置調整可能に設置し、包装材送り装置による筒状包装材の送りが停止していたときに超音波縦シール装置によって超音波振動が加えられる包装材の部分が、包装材送り装置による筒状包装材の送りに従って、横シールが施される領域に含まれる態様で、横シール装置による横シールが施されるようにしているので、包装材送り装置による筒状包装材の送りが停止しているときに超音波縦シール装置による縦シールに起因してシール不具合が生じる可能性のある包装材の部分は、後に横シール装置によって横シールが施される領域に存在することになり、当該部位は横シールが上書きされるかまたはカットされることとなり袋包装体がシール不良品となるのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は発明による製袋充填包装機の一実施例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す製袋充填包装機に用いられるフォーマ、充填筒及び縦シール装置の組合せ状態を示す正面図である。
【
図3】
図1に示す製袋充填包装機に用いられる超音波縦シール装置の開閉を示す説明図である。
【
図4】
図1に示す製袋充填包装機に用いられる超音波縦シール装置に関しての断面図である。
【
図5】この発明による製袋充填包装機の作動態様の一例を説明する図である。
【
図6】縦シールを超音波シールで行う従来の製袋充填包装機の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による製袋充填包装機の実施例を説明する。
図1は、本発明による製袋充填包装機の一実施例を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示す製袋充填包装機に用いられるフォーマ、充填筒及び超音波縦シール装置の組合せ状態を示す正面図である。また、
図1に示す製袋充填包装機については、
図3に超音波縦シール装置の開閉を示す説明図が示されており、
図4に超音波縦シール装置の断面図が示されている。
図1に示す製袋充填包装機の基本的な構造は、
図6を参照して説明した従来の製袋充填包装機と同じである。製袋充填包装機は、本実施例では、包装すべき製品が縦に置かれた充填筒を通して投入され、包装材から袋を製作しつつ当該袋内に製品が充填されて袋包装体を製造する縦型製袋充填包装機として具体化されている。
【0021】
図1〜
図4に示す製袋充填包装機1において、帯状包装材Fwがロール状に巻き取られた巻取りロールFrと、巻取りロールFrから帯状包装材Fwを繰り出して、一部を貯留するとともに適当な張力を与える繰出し機構10、帯状包装材Fwに対して印刷を行う印刷装置等の付属装置20、連続して繰り出された帯状包装材Fwを略筒状包装材に曲成するフォーマ30、略筒状包装材に曲成された包装材に縦シールを施して筒状包装材Ftを形成する縦シール装置60、縦シールを施して形成された筒状包装材Ftに横断方向にシールを施す横シール装置40、フォーマ30内に嵌入されていて包装物が投入される充填筒50、及び筒状包装材Ftを紙送りする吸引式の包装材送り装置70を備えている。
【0022】
図1に示すように、包装材送り装置70は、筒状包装材Ftをその外側から吸引しながら紙送りする吸引紙送り装置である。包装材送り装置70は、具体的には、筒状包装材Ftの直径方向両側に対向して配置されている紙送りベルト71,71を備えている。各紙送りベルト71には、その幅方向中央の位置において長手方向に列状に並ぶ複数の吸引孔72が形成されている。各紙送りベルト71は、モータ駆動される駆動プーリ73、従動プーリ74、及びガイドプーリ75に巻き掛けられている。図示しない吸引手段が吸引孔72を通して空気を吸引する。駆動プーリ73からの駆動力によって、紙送りベルト71に接触する筒状包装材Ftをその外側から吸引しつつ下方へと紙送りする。紙送りされる筒状包装材Ftが縦シール装置60に対して相対的に移動することで、両側縁部分Fe,Feが連続的に縦シールScとしてシールされる。
【0023】
フォーマ30は、特に
図2に示しているように、帯状包装材Fwを略円筒状に曲成するセーラ部31と、セーラ部31に接続されており略円筒状に曲成された包装材(以下、「略円筒状曲成包装材」という)を内部に通過させる筒状部32を備えている。セーラ部31は、帯状包装材Fwに作用して略円筒状に曲成する湾曲したセーラ本体33と、セーラ本体33の互いに対向する先端縁部分34a,34aに形成されており且つ帯状包装材Fwの両側縁部分Fe,Feを重ね合わせるとともに重ね合わされた当該両側縁部分Fe,Feを通過可能とする重ね合わせ部分34を有している。セーラ本体33は筒状部32の周囲を背面側から正面側に向かって滑らかな曲面状に回り込んでおり、重ね合わせ部分34はセーラ本体33の正面下端に形成されている。
【0024】
筒状部32は、セーラ部31の重ね合わせ部分34よりも下方に筒状の態様のまま延びて下端36で終端している筒状本体35から成っている。筒状本体35には、重ね合わせ部分34に接続して縦に延長するように延びており且つ重ね合わされた両側縁部分Fe,Feが表側に飛び出た状態で通過可能なスリット37が形成されている。
【0025】
フォーマ30内に嵌入されている充填筒50は、金属製(ステンレス製)の円筒体であって、フォーマ30の筒状部32の内部に隙間51を置いて嵌入されており、略円筒状曲成包装材は、筒状部32の内周面と充填筒50の外周面との間の隙間51を通過可能である。
図2に示す例では、充填筒50は、フォーマ30の筒状部32の下端36から更に下方に延びている形態のものである。充填筒50は、その外周面が包装材送り装置70と協働して筒状包装材Ftを送る機能も合わせ持っている。
【0026】
縦シール装置60は、フォーマ30の重ね合わせ部分34の直下の位置に配設されており、超音波ホーン61と超音波発生部62、及びアンビル64を備えた超音波縦シール装置である。超音波ホーン61と超音波発生部62及びアンビル64は、超音波シールユニットとしてユニット化されている。縦シール装置60は、スリット37を通して表側に飛び出た状態を維持しつつ移動している包装材の両側縁部分Fe,Feを加圧・振動して溶融溶着することで縦シールScを施す。縦シール装置60は、両側縁部分Fe,Feをスポット的にシールするシール装置であるが、包装材送り装置70によって略円筒状曲成包装材が縦シール装置60に対して縦方向に相対移動されることで、両側縁部分Fe,Feには連続した縦シール(超音波シール)Scが施され、略円筒状曲成包装材は筒状包装材Ftに成形される。縦シール装置60は、バー状の縦ヒートシール装置の場合と比較して高さ寸法が抑えられているので、包装機の高さ短縮に貢献している。
【0027】
超音波ホーン61は、金属製の略棒軸状体であり、その基端側にある超音波発生部62からアンビル64側に向かって突出している。アンビル64は、金属製の円柱体であり、周面が超音波ホーン61の先端部に対向している。超音波発生部62において高周波電気エネルギーが圧電素子で構成されるコンバータによって機械振動エネルギーに変換され、当該機械振動エネルギーがブースタで増幅され、更にホーン61と呼ばれる共鳴体を通してアンビル64に向けて超音波振動が伝達される。超音波ホーン61とアンビル64との間に加圧状態に挟まれている両側縁部分Fe,Feは、超音波ホーン61に伝達された振動エネルギーによってそれらの境界面に擦り合わせに起因して発生する摩擦熱によって溶融溶着される。
【0028】
横シール装置40は、
図1に示すように、対向配置された二つの横ヒートシールバー41,41を備えており、両横ヒートシールバー41,41間に筒状包装材Ftを加圧・加熱をすることで横断方向のシール(横シールSe)をして、先行して形成されている袋P1の上開口部を封鎖するとともに、後続の袋P2の底部を形成する。横シール装置40には、従来の包装機と同様、カッタ装置45が組み込まれている。カッタ装置45としては、一方の横ヒートシールバー41にカッタ刃46が進退可能に組み込まれており、他方の横ヒートシールバー41には、挟み込まれた筒状包装材Ftを切断するために、進出されたカッタ刃46が入り込む溝47が形成されている。
【0029】
縦シール装置60について、
図3及び
図4を参照して詳細を後述する。縦シール装置60は回動アーム65の内側に収容された状態に設けられており、回動アーム65は、ヒンジ66によって、装置フレーム(図示せず)に取り付けられた取付けアーム67に対して回動可能に設けられている。回動アーム65を
図3の装填位置(a)に置くことで、縦シール装置60を稼働させることができる。装填位置(a)から回動して退避位置(b)に置くことで、縦型製袋包装機1のセッティングやメンテナンスを行うことができる。
【0030】
取付けアーム67は、
図4(a)に示すように、回動アーム65及びヒンジ66を、筒状部32に対して進退させることができるようにネジ機構68を備えている。ネジ機構68は、モータ68aと、その回転出力を伝達する歯車機構68bと、歯車機構68bから回転が与えられるネジ軸68cとを備えている。ネジ軸68cの回転によって、ネジ軸68cに螺合する支持体66aとともに、ヒンジ66と回動アーム65とがフォーマ30の筒状部32に対して進退する。ネジ軸68cの回転による調整動作によって、袋のデザイン等に対応したフォーマ30のサイズ等に応じて、包装材の両側縁部分Fe,Feに対する縦シール装置60の位置を調整することができる。
【0031】
本実施例では、縦シール装置60は、縦方向に位置調整可能とされている。縦シール装置60を縦方向に位置調整可能にする機構は、例えば、
図4(a)に示すネジ機構68と同等のネジ機構88を縦方向の調整機構として適用することができる。即ち、
図4(b)に一例として示すように、超音波シールユニットとしての縦シール装置60を収容する回動アーム65を取付けアーム67に対して縦方向に位置調整可能に設けるために、モータ88a、歯車機構88b及びネジ88cを備えているネジ機構88が設けられている。即ち、ヒンジ66をねじ軸88cとし、支持体66aにモータ88aを設置し、モータ88aの出力回転を歯車機構88b介してネジ軸88cに伝達する。ネジ軸88cの回転によって支持体66aに対して回動アーム65が縦シール装置60ごと縦方向に位置変更可能である。なお、このネジ機構88は一例であり、縦シール装置60を縦方向に位置変更可能にする機構については他の種々の変形例も適用可能であることは言うまでもない。
【0032】
図5には、製袋充填包装機1の作動態様の一例が説明されている。
図5は、基本的には
図1に示す製袋充填包装機のうち主要な構造のみを示す斜視図であるので、同等の構成要素には
図1において用いた符号と同じ符号を用いることで、再度の詳細な説明を省略する。
図5に示すように、筒状包装材Ftの送りが停止している間に、縦シール装置60による超音波振動が特定の包装材部分(超音波縦シール装置に挟まれた両側縁部分Fe,Feの特定部分)に必要以上に加えられ続けると、そのことに起因して、両側縁部分Fe,Feの特定部分にシール不良や孔開き等のシール不具合Esが発生する可能性がある(
図5は、縦シールに、間欠停止毎にシール不具合Esが発生するとした極端な例である)。
【0033】
本実施例では、縦シール装置60の設置位置が調整可能とされているので、超音波縦シールのシール不具合Esが生じる可能性がある包装材の部分については、その後、包装材送り装置70によって筒状包装材Ftの送りが行われたときに、横シール装置40による横シールSeの領域内に納まるようにもたらすことができる。即ち、かかるシール不具合Esが生じる可能性がある包装材部分は、縦シール装置60の設置位置を調整することで、横シール装置40によって、将来、横シールSeが施されることになる予定領域に含められるので、その後、実際に筒状包装材Ftの送りが再開され、実際に横シール装置40によって横シールが施される際には、シール不具合Esが生じる可能性がある包装材部分は、丁度、横シールが施される位置に到来しており、横シールによって上書きされるようにシールが行われる。
【0034】
縦シール装置60の取付け位置は、基本的には、当該取付け位置と横シール装置40による横シール位置との間の距離が袋P(袋包装体B)のピッチ長さLの整数倍(図示の例では3倍)となるように設定されている。縦シール装置60の位置と横シール装置40の位置との間の包装材は、送りが不安定なゾーンでもあるので、このような寸法的な規定は、個々の状況に応じて臨機応変に対応する必要もある。縦シール装置60の取付け位置を縦方向に調整可能とすることで、このような場合に微調整的な対応が可能である。
【0035】
袋包装体Bの仕様が変更されて、袋Pの縦ピッチ長さLが変わった等の場合には、筒状包装材Ftの送りが停止しているときに縦シール装置60の超音波振動を受ける特定の包装材部分が、筒状包装材Ftが後に横シール装置40によって施される横シールSeの領域内に含まれなくなることが生じ得る。こうした場合にも、縦シール装置60を包装材の送り方向に位置調整することで、上記特定の包装材部分が横シール装置40によって施される横シールSeの領域内に含まれるようにすることができる。
【0036】
筒条包装材Ftの送りは、間欠送りであってもよいし、また連続送りであってもよい。シール不具合Esを生じやすい筒状包装材Ftの送りの停止は、間欠送りの場合は、包装サイクル毎の間欠的な停止として生じており、連続送りの場合には、筒状包装材Ftの送りの停止は、製袋充填包装機の一時停止や待機状態の際に生じる。
【0037】
このように、本発明の実施例によれば、シール不具合Esが生じうる特定の包装材部分を、袋P(袋包装体B)の横シールSeを利用して、当該横シールSeの領域に含まれてしまう態様として横シールで覆うようにしている。特定の包装材部分にシール不具合Esが仮に生じていたとしても、横シールの際に上書きするようにシールされるか又はカットされてしまうので、シール不具合Esは袋包装体Bには残存せず、シール不良を原因とした袋包装体Bの不良品が生じるのを回避することができる。また、本実施例においては、横シール装置40は加熱式のものであるが、超音波式の横シール装置であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1 縦型製袋包装機 10 繰出し機構 20 付属装置
30 フォーマ 31 セーラ部 32 筒状部
33 セーラ本体 34 重ね合わせ部分 34a,34a 先端縁部分
35 筒状本体 36 下端 37 スリット
40 横シール手段 41,41 ヒートシールバー
45 カッタ装置 46 カッタ刃 47 溝
50 充填筒 51 隙間
60 縦シール装置(超音波シール装置) 61 超音波ホーン
62 超音波発生部 64 アンビル
65 回動アーム 66 ヒンジ66 66a 支持体
67 取付けアーム
68 ネジ機構 68a モータ 68b 歯車機構 68c ネジ軸
70 包装材送り装置 71 紙送りベルト 72 吸引孔
73 駆動プーリ 74 従動プーリ 75 ガイドプーリ
88 ネジ機構 88a モータ 88b 歯車機構
88c ネジ軸
100 縦型製袋包装機 130 フォーマ
140 横シール装置 141 横ヒートシールバー
150 充填筒 151 ホッパ
160 縦シール装置 161 ホーン 162 超音波発振器
163 アクチュエータ 164 アンビル 165 モータ
170 包装材送り装置 171 ベルト
Fr 巻取りロール Fw 帯状包装材 Fw ウェブ状包装材
Fe,Fe 両側縁部分 Ft 筒状包装材 P,P1,P2 袋
L 包装体長さ B 袋包装体
Sc 縦シール Se 横シール Es シール不具合