(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6708897
(24)【登録日】2020年5月26日
(45)【発行日】2020年6月10日
(54)【発明の名称】切り屑吸引装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 11/00 20060101AFI20200601BHJP
B27G 3/00 20060101ALI20200601BHJP
B23D 47/00 20060101ALI20200601BHJP
【FI】
B23Q11/00 M
B27G3/00 A
B23D47/00 A
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-549167(P2018-549167)
(86)(22)【出願日】2017年3月22日
(65)【公表番号】特表2019-513089(P2019-513089A)
(43)【公表日】2019年5月23日
(86)【国際出願番号】EP2017056846
(87)【国際公開番号】WO2017167621
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2018年10月26日
(31)【優先権主張番号】102016105978.1
(32)【優先日】2016年4月1日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516127189
【氏名又は名称】ラトゥンデ アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ラトゥンデ,ウルリヒ
【審査官】
村上 哲
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−226839(JP,A)
【文献】
特許第2964388(JP,B2)
【文献】
特開2013−022712(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0242007(US,A1)
【文献】
実開昭51−063091(JP,U)
【文献】
特開昭48−095072(JP,A)
【文献】
実開昭59−026438(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 11/00
B23D 47/00
B27G 3/00
WPI
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
切り屑を連続的に破棄するための切り屑吸引装置であって、
底部を備える負圧空間(2)に開口する切り屑吸引管(9)であって、前記底部には吸引された切り屑(12)が収集される、切り屑吸引管と、
前記底部に配置された入口(16)および前記負圧空間(2)の外に配置された出口(18)を有する切り屑排出管(17)であって、前記切り屑排出管(17)の内断面積は前記入口(16)と前記出口(18)との間で増大する、切り屑排出管と、
前記入口(16)に配置されており、前記底部に収集された切り屑(12)を前記入口(16)に押し込む少なくとも1つの切り屑押込み装置(14,19)と、を備え、
前記底部には凹部(13)が設けられており、
前記切り屑押込み装置(14,19)はストップシリンダ(19)を有し、前記ストップシリンダは前記凹部(13)の上方に対角に配置されており、切り屑(12)を前記凹部(13)に押し込む、ことを特徴とする切り屑吸引装置。
【請求項2】
前記切り屑吸引管(9)の開口の上方には吸引ブロワ(6)が配置されており、前記吸引ブロワは、前記負圧空間(2)内に負圧を形成し、前記負圧の吸引力は、吸引された切り屑(12)が負圧空間(2)内で前記底部に落下するように設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の切り屑吸引装置。
【請求項3】
前記凹部内では前記切り屑押込み装置(14,19)が作用し、前記凹部には前記切り屑排出管(17)の入口(16)が配置されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の切り屑吸引装置。
【請求項4】
前記切り屑排出管(17)は、それぞれ断面積を備えるパイプ部分から組み立てられており、前記断面積は前記入口(16)から前記出口(18)に向かって段階的に増大する、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の切り屑吸引装置。
【請求項5】
前記切り屑押込み装置は、前記凹部(13)に対して水平に作用するポンプシリンダ(14)を有し、前記切り屑押込み装置は、前記凹部(13)に収集された切り屑(12)を前記入口(16)に押し込む、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の切り屑吸引装置。
【請求項6】
前記ポンプシリンダ(14)は、入れ子式に互いに差し込まれる個別のポンプシリンダないしポンプパイプ(14a,14b)を有し、これらポンプシリンダないしポンプパイプは別個に制御可能である、ことを特徴とする請求項5に記載の切り屑吸引装置。
【請求項7】
前記ストップシリンダ(19)と前記ポンプシリンダ(14)は順次に操作可能である、ことを特徴とする請求項5または6に記載の切り屑吸引装置。
【請求項8】
切り屑(12)を吸引する方法であって、負圧空間(2)に負圧を形成し、これにより切り屑(12)を、切り屑吸引管(9)を通して前記負圧空間(2)に吸引し、前記負圧空間(2)に吸引された切り屑(12)が底部に落下し、落下した切り屑(12)を切り屑押込み装置(14,19)によって前記底部に配置された前記切り屑排出管(17)の入口(16)に押し込み、前記切り屑排出管(17)の内断面積は入口(16)と出口(18)との間で増大し、前記切り屑排出管(17)に押し込まれた切り屑(12)を、負圧空間(2)の外部に配置された前記出口(18)から押し出す、
前記底部には凹部(13)が設けられており、
前記切り屑押込み装置(14,19)はストップシリンダ(19)を有し、前記ストップシリンダ(19)により切り屑(12)を凹部(13)に押し込み、前記ストップシリンダは前記凹部(13)の上方に対角に配置されている、ことを特徴とする方法。
【請求項9】
前記切り屑押込み装置は、前記凹部(13)に対して水平に作用するポンプシリンダ(14)を有し、前記切り屑(12)は、前記ポンプシリンダ(14)によって前記凹部(13)から前記入口(16)に詰め込まれる、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記切り屑排出管(17)内の切り屑(12)は、前記切り屑が切り屑排出管(17)の自由な内断面積を、負圧空間内の負圧が維持されるように閉鎖するまで圧縮される、ことを特徴とする請求項8または9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切り屑を連続的に破棄するための切り屑吸引装置に関する。本発明は、切り屑の吸引方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
材料、とりわけパイプおよび金属パイプの加工処理の際には、種々の作業工程において切り屑が発生する。例えばパイプの鋸切断の際には金属切り屑が形成されるが、フライス加工の際にも同様に切り屑が形成される。さらにプラスチック部材、とりわけプラスチックパイプの鋸切断の際にも切り屑が形成されることがある。相応のことが木材部分の鋸切断に対しても当てはまる。通常は加工機械の種々の位置に吸引装置が設けられており、これらの吸引装置がそれぞれの加工処理工程の際に発生する切り屑を吸引する。
【0003】
独国特許出願公開第102013207928号明細書から、ソーイングユニットおよびソーイングユニットの運転時に発生する鋸引き廃棄物を吸引するための吸引ユニットを備えるソーイング装置が公知である。さらに吸引装置は、吸引ユニットにより吸引される鋸引き廃棄物を圧縮するための圧縮ユニットを含む。
【0004】
独国特許出願公開第3239542号明細書から、生物材料および廃棄物用のブリケットプレス機が公知である。ここではピストンプレスチャネルに、パイプ部分に長手に分割されたプレス吸引機が後置接続されており、パイプ部分は圧力装置により半径方向に操作可能である。
【0005】
独国特許出願公開第4027583号明細書には、ロープ部分のプレス装置が記載されており、このプレス装置にはステップ状に構成された充填および圧縮空間が設けられている。
【0006】
従来技術には種々の吸引装置が存在する。例えば吸引流はフィルタを通して案内することができ、フィルタ内に切り屑を溜めることができる。フィルタは時折交換しなければならない。そのために機械が遮断され、汚染されたフィルタを取り出し、クリーンなフィルタと置換される。
【0007】
容器がいっぱいになるまで切り屑を容器内に収集することも公知である。切り屑は通常、負圧の形成によって吸引されるから、容器を負圧空間内で容易に交換することはできず、機械あるいは吸引装置を遮断して、容器を負圧空間から取り出し、空の容器と交換しなければならない。
【0008】
公知の吸引装置には、負圧の形成により吸引作用が発生し、鋸引き切り屑が負圧の領域に入るように吸引されるという基本的問題がある。そこに切り屑が基本的に収集され、切り屑を負圧領域から取り除くためには吸引装置を遮断しなければならない。なぜなら動作中に取り出すと負圧が崩壊することになるからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】独国特許出願公開第102013207928号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第3239542号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第4027583号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって本発明の課題は、切り屑を吸引装置の運転中でも連続的に除去処理することのできる、切り屑用の吸引装置を提供することである。また本発明の課題は、切り屑を装置の運転中でも連続的に除去処理することのできる、切り屑の吸引方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題は、第1の視点では、請求項1の特徴を備える切り屑吸引装置によって解決される。
【0012】
本発明の切り屑吸引装置は、作業機械、とりわけパイプ切断機、パイプソーシング機、またはパイプソーイング機の前方または後方に配置された加工処理ステーションの作業領域から切り屑を絶え間なく吸引する。本発明の切り屑吸引装置は、特に金属切り屑の吸引に適するが、プラスチック切り屑にも適する。金属パイプのような好ましい金属異形材では、とりわけ金属切り屑が発生する。しかし切り屑吸引装置は、プラスチックまたは木材の切り屑を吸引するのにも適する。吸引される切り屑は、とりわけ好ましくは金属崩壊切り屑、スパイラル状切り屑、螺旋状切り屑、糸状切り屑またはテープ状切り屑である。切り屑の形状は個別に発生し得る。しかし種々の切り屑形状が共通に、または種々異なる群に分かれて発生する場合も考えられる。ここでは、互いに絡み合うことができる切り屑が取り扱われ、とりわけ金属切り屑の場合は関連する大きな切り屑集合体を形成することがあり、この切り屑集合体はそれ自体、可動ではあるが、取り扱いが困難であり、往々にして格別の力を投入しないと変形することができない。
【0013】
本発明は、とりわけ金属切り屑用の本発明の切り屑吸引装置を備えるパイプ切断機も含む。
【0014】
本発明の切り屑吸引装置は、切り屑発生領域にある入口と作業領域とを有する切り屑吸引管を含み、前記作業領域は負圧空間に開口し、この負圧空間は切り屑吸引管と空気連通しており、かつ負圧によって空気を、切り屑吸引管を通して吸引する。前記作業領域内に発生する切り屑は、形成された空気流によって負圧空間に吸入される。
【0015】
負圧空間には種々のやり方で負圧を形成することができる。しかし吸引された切り屑は底部に、すなわち地面の方向に落下し、負圧空間の底部に集合することができる。したがって負圧空間に形成される負圧を形成するための空気流は、吸引される切り屑を重力に抗して連行するほど大きい必要はない。
【0016】
切り屑吸引装置は切り屑排出管を含み、この切り屑排出管は、負圧空間の底部に配置された入口と、負圧空間の外に配置された出口を有し、切り屑排出管の内断面積は入口と出口の間で増大する。
【0017】
入口に配置された少なくとも1つの切り屑押込み装置が設けられており、この切り屑押込み装置は底部に収集された切り屑を入口に押し込む。
【0018】
切り屑押込み装置も切り屑排出管も、種々のやり方で構成することができる。しかしいずれの場合でも切り屑排出管は、少なくとも一部に沿って、好ましくはその広がりの全長にわたって自由な内断面積を有し、この内断面積は入口から出口の方向に増大する。
【0019】
切り屑排出管は、断面において部分的に、またはその長手広がり全体にわたって円形に構成することができ、したがってこの場合、切り屑排出管の半径ないし直径は部分ごとに、または切り屑排出管の広がり全体に沿って連続的に拡大する。切り屑排出管の内断面積が拡大することにより、切り屑押込み装置によって切り屑排出管に押し込まれた切り屑は、入口から再びこぼれ落ちること、または落下することが、入口が負圧空間と空気連通しており、切り屑排出管の入口にも負圧が存在する場合でも阻止される。しかし負圧は、切り屑排出管に押し込まれ、絡み合い、出口に向かって拡張する切り屑の塊を吸い込んで戻す程、強力ではない。さらに切り屑の塊はほとんど変形できない。
【0020】
好ましくは切り屑排出管は、それぞれ同じ断面積を有するパイプ部分から組み立てられており、固有の断面積が入口から出口に向かって段階的に増大する。しかし切り屑排出管が円錐形の、すなわち連続的に増大する内断面積を有することも考えられる。これにより切り屑排出管内には切り屑円錐体が形成され、この切り屑円錐体は排出管から出口の方向にだけ押し出し搬送することができる。この装置は、金属切り屑を搬送するのに特に適するが、プラスチック切り屑の搬送にも適する。しかしとりわけ好ましい金属切り屑の場合、金属切り屑が、切り屑排出管での切り屑押込み装置による押し込みによって絡み合い、それらが円錐の形状で切り屑排出管に適合し、あたかもコルク栓のように切り屑排出管内にしっかり固着する。切り屑排出管は、完全に1mの長さと、入口において100mmの直径、出口において150mmの直径を有することができる。しかし別の寸法も考えられる。
【0021】
切り屑を切り屑排出管に押し込むことにより、切り屑排出管の自由な内断面積が減少し、それにより空気流が出口から入口の方向に、すなわち切り屑の搬送方向とは反対方向に減少し、ほぼ完全に阻止される。これにより、切り屑が入口から出口の方向に連続的に搬送されても、負圧空間内に形成される負圧を安定して維持することができる。
【0022】
切り屑吸引装置の特に好ましい一実施形態では、底部に凹部が設けられており、この凹部内で切り屑押込み装置が作用し、この凹部には切り屑排出管の入口が配置されている。好ましくは、切り屑排出管の出口は負圧空間の外壁に接線方向に配置することができる。これにより切り屑排出管を通して吸引される切り屑はらせん状に負圧空間内で回転し、回転運動で負圧空間の底部の中心に集合する。負圧空間の底部の中心領域には凹部が設けられている。切り屑は、すでにその回転運動によって、好ましくは底部の中心およびひいては凹部に収集される。しかし切り屑は付加的に切り屑押込み装置により、同様に凹部に配置されている入口に押し込まれる。凹部は底部に嵌め込むことができ、底部の下方には切り屑押込み装置も切り屑排出管の入口も設けることができる。
【0023】
本発明の好ましい一実施形態では、切り屑押込み装置はポンプシリンダを有し、このポンプシリンダは凹部に対して水平に作用し、凹部に収集された切り屑を入口に押し込む。ポンプシリンダは、好ましくは空気圧的に駆動される。
【0024】
切り屑押込み装置は、ストップシリンダを有することができ、このストップシリンダは凹部の上方に対角に配置されており、切り屑を凹部に押し込む。
【0025】
ポンプシリンダとストップシリンダは好ましくは互いに共同して動作する。すなわち、ストップシリンダがまず切り屑を凹部に圧縮し、次に軽く共に圧縮された切り屑がポンプシリンダによって切り屑排出管の入口に押し込まれる。ストップシリンダのクロッキングとポンプシリンダのクロッキングとは互いにずらされている。しかしストップシリンダのストローク運動とポンプシリンダのストローク運動とは共通の作業クロックで共同作用する。この作業クロックは、短時間に相前後して実施することができる。または数秒の時間間隔を置いて順次実施することもできる。
【0026】
本発明の特に好ましくは一実施形態では、ポンプシリンダは入れ子式に互いに中に差し込まれた個別のポンプシリンダないしポンプパイプを有し、これらは有利には別個に制御することができる。
【0027】
ポンプシリンダは、入口の方向に水平に可動のピストンを有し、このピストンは入口の内径よりも小さい外径を有する。したがってポンプシリンダのピストンを、切り屑排出管の入口に押し込むことができる。ピストンは好ましくは数cm、すなわち10cmまたは15cmまで、またはこれら2つの距離の間の任意の距離で切り屑排出管に押し込むことができ、したがって切り屑を切り屑排出管に深く押し込むことができる。
【0028】
入口の内側でのポンプシリンダの締め付けを阻止するために、比較的に大きな空隙がピストン外壁と入口内壁との間に設けられている。しかし空隙幅は好ましくは、搬送される切り屑に依存して種々異なる空隙幅を有する。とりわけ非常に長いらせん状切り屑の場合、そうでないとピストンが切り屑の締め付けによって入口内に締め付けられることとなる。したがって有利には、ポンプシリンダは入れ子式に互いに入れ込まれた複数のポンプシリンダを有し、最内側のポンプシリンダが実際のシリンダ形状を有し、これを取り囲むパイプシリンダは実際には管状に構成されている。ポンプシリンダのこの構成によりポンプシリンダの外径は、切り屑により課せられる要求に適合することができる。
【0029】
本発明は、その第2の視点において請求項9の特徴を備える方法によって解決される。この方法は、上記切り屑吸引装置の1つにより実施するのに特に適する。
【0030】
吸引方法も、パイプ切断機によるパイプ部分、とりわけ金属パイプ部分の加工処理方法の一部とすることができる。
【0031】
本発明の方法においては、負圧空間内に負圧が形成され、これにより切り屑が切り屑吸引管を通して負圧空間に吸引される。負圧空間内では吸引された切り屑が、地面の方向で負圧空間の底部に落下する。落下した切り屑は切り屑押込み装置により、底部に配置された切り屑排出管の入口に押し込まれる。ここで切り屑排出管の内断面積は入口と出口との間で増大し、切り屑排出管に押し込まれた切り屑は、負圧空間の外部に配置された出口から押し出される。
【0032】
この方法に関しても驚くことには、切り屑の吸引の中断なしで、吸引装置を遮断することなく連続的な切り傷の廃棄処理を行うことができることが示された。なぜなら、負圧空間を開放する必要なしに切り屑を負圧空間から外に搬送することができるからであり、このことは、切り屑が切り屑押込み装置により切り屑排出管に押し込まれることにより、切り屑自体が搬出中に切り屑排出管を少なくとも99%まで閉鎖することによって行われる。さらに、切り屑排出管において切り屑の塊ないし切り屑の栓が吸い戻されることに対しては、切り屑排出管の内断面が拡大し、これにより切り屑の塊が入口方向への運動の際に強固に締め付けられることによって対抗作用される。
【0033】
好ましくは切り屑は底部において凹部に集合し、ストップシリンダによって凹部に詰め込まれ、その後、ポンプシリンダによって凹部から入口に詰め込まれる。
【0034】
切り屑排出管の長さと直径は、出口から入口の方向への空気の通過が、切り屑排出管が完全に満たされ、完全に塞がれた場合には非常に僅かな程度にしか可能でなく、それにより負圧空間内の負圧が維持されるように寸法設定されている。有利には負圧空間内では吸引ブロワが切り屑排出管の上方に設けられており、この吸引ブロワにより空気が負圧空間からフィルタを通して外部に吹き出され、それにより負圧が形成される。
【0035】
本発明を、2つの図面における2つの実施例に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の切り屑吸引装置の第1実施形態を示す図である。
【
図2】本発明の切り屑吸引装置の第2実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1には、負圧空間2を有する切り屑吸引装置1が示されている。負圧空間はケーシングシリンダ3の一部であり、ケーシングシリンダの内部には中間底部4が取り付けられている。中間底部4には中央にさらに吸引ブロワ6が配置されており、この吸引ブロワは空気を負圧空間2から中間底部4にある開口部7を通して上方に吸引し、フィルタ8を通して吹き出す。空気を吸い出すことにより、負圧空間2内には負圧が形成される。この負圧は、負圧空間2に接線方向に配置された切り屑吸引管9を通る空気流Sを形成する。切り屑吸引管9は、図示しない入口と、負圧空間2の壁にある楕円形の開口11とを有し、前記入口は切り屑形成部の領域に配置されている。切り屑吸引管9を通る空気流Sにより、回転する空気流Sが負圧空間2に形成され、この空気流により吸引された切り屑12が共に搬送される。重力のため切り屑12は、回転運動しながら負圧空間2の底部の方向に落下する。負圧空間の底部には凹部13が設けられており、この凹部は負圧空間2の底部のほぼ中央に配置されている。負圧空間2は、断面が長手方向Lに対して垂直の円形に構成されている。
【0038】
凹部13は、平面図ではほぼ矩形に構成することができる。凹部13の下方には、一方でポンプシリンダ14が、他方で切り屑排出管17の入口16が設けられている。ポンプシリンダ14によって、凹部13に収集された切り屑12は切り屑排出管17の入口16に押し込まれる。切り屑排出管17はほぼS字状に成形されている。これは円錐形に拡張する。すなわち円形の内断面は、入口16から出口18に向かって連続的に増大する。切り屑排出管17の長さは、この実施例では約1mである。入口16の直径は100mmであり、出口18の直径は150mmである。付加的にストップシリンダ19が設けられている。このストップシリンダは、凹部13の上方に対角に配置されており、底部で回転運動する切り屑12を凹部13に押し込んで栓をする。そこから切り屑を、ポンプシリンダ14によって入口16に押し込んで栓をすることができる。(図示しない)制御部が設けられており、制御部はまずストップシリンダ19を、そしてその直後にポンプシリンダ14を駆動制御する。ストップシリンダ19は短い往復運動を実施し、切り屑12を凹部13に押し込み、引き続きポンプシリンダ14が往復運動を実施し、切り屑12を入口16に押し込む。その際にポンプシリンダ14は、完全に数cm、例えば10cmだけ切り屑排出管17の入口に押し込むことができる。切り屑排出管17が切り屑によって完全に満たされていればいるほど、切り屑排出管17はその内側長手広がりに沿って僅かな空気しか通過させなくなる。充填された切り屑排出管17の空気通過が少なくなるので、吸引ブロワ6は、切り屑排出管17を通して切り屑12を連続的に搬出するにもかかわらず、負圧空間2内の負圧を維持することができ、これにより切り屑12を(図示しない)作業領域から連続的に吸引することができる。切り屑排出管17の出口18の下方にはボックス等を配置することができ、このボックスには発生した切り屑の塊が収集される。
【0039】
吸引過程の開始時に、切り屑排出管17がまだ満たされていない場合、とりあえずカバーを出口18の上にセットすることができ、このカバーが空気の通過を阻止する。
【0040】
図2には本発明の第2実施形態が示されている。この第2実施形態は第1実施形態とは、ポンプシリンダ14の構成の点でのみ異なる。
図1でポンプシリンダ14は一体型のシリンダ状本体として構成されているが、
図2のポンプシリンダ14は分割式に構成されている。ポンプシリンダ14は、入れ子式に互いに入り込んで走行可能な複数の個別のポンプシリンダないしポンプパイプ14a,14bを有する。したがって相応に制御することにより、ポンプ運動を実際に実施するポンプシリンダ14の断面を必要性に、とりわけ切り屑の種類に適合することができる。切り屑12が入口16に詰まった際に問題なのは、ポンプシリンダ14が切り屑排出管17の入口16内で締め付けられることがあることである。したがって約1cmまたはそれ以上の大きなスリット幅が必要である。しかし長さが短く、さほど直線状ではない切り屑12の場合、1cm未満のスリット幅でも十分なことがある。ポンプシリンダ14の断面に対するこれら種々異なる必要性を、より多くのまたはより少ないポンプシリンダないしポンプパイプ14a,14bを相応に提供することによって勘案することができ、これらのポンプシリンダないしポンプいパイプは共通にまたは個別に運動される。
【符号の説明】
【0041】
1 切り屑吸引装置
2 負圧空間
3 ケーシングシリンダ
4 中間底部
6 吸引ブロワ
7 開口部
8 フィルタ
9 切り屑吸引管
11 楕円形の開口
12 切り屑
13 凹部
14 ポンプシリンダ
14a 個別のポンプシリンダ
14b 個別のポンプパイプ
16 入口
17 切り屑排出管
18 出口
19 ストップシリンダ
L 長手方向
S 空気流